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特開2024-150619コーディエライト‐インディアライト‐擬板チタン石構造セラミック体、バッチ組成物混合物、及びこれらからセラミック体を製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150619
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】コーディエライト‐インディアライト‐擬板チタン石構造セラミック体、バッチ組成物混合物、及びこれらからセラミック体を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 38/00 20060101AFI20241016BHJP
   C04B 35/195 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
C04B38/00 303Z
C04B35/195
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024116762
(22)【出願日】2024-07-22
(62)【分割の表示】P 2021511643の分割
【原出願日】2019-08-29
(31)【優先権主張番号】62/725,591
(32)【優先日】2018-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100224775
【弁理士】
【氏名又は名称】南 毅
(72)【発明者】
【氏名】ハサヴァハナ クチボトラ サルマ
(72)【発明者】
【氏名】キャメロン ウェイン タナー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高い気孔率、比較的大きな細孔メジアン径、狭い細孔径分布、及び比較的低いCTEを有するセラミック体、並びに該セラミック体を製造する方法を提供する。
【解決手段】%P≧50%(ここで%Pは平均バルク体積気孔率である)であり;df≦0.36(ここでdfは(d50-d10)/d50である)であり;合計重量百分率が少なくとも85重量%の、コーディエライト及びインディアライトを含有する結晶質相を含み;最大10重量%の、擬板チタン石構造を含む結晶質相を含む、セラミック体であって、前記セラミック体は、酸化物基準の重量パーセントで表した場合に:1重量%~11重量%のチタニア、並びに89重量%~99重量%のMgO、Al、及びSiOを含有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
%P≧50%(ここで%Pは平均バルク体積気孔率である)であり;
df≦0.36(ここでdfは(d50-d10)/d50である)であり;
合計重量百分率が少なくとも85重量%の、コーディエライト及びインディアライトを含有する結晶質相を含み;
最大10重量%の、擬板チタン石構造を含む結晶質相を含む、セラミック体であって、
前記セラミック体は、酸化物基準の重量パーセントで表した場合に:
1重量%~11重量%のチタニア、並びに89重量%~99重量%のMgO、Al、及びSiO(ここでMgO:Al:SiOの相対重量比は15.6:34.0:50.4、12.6:34.0:53.4、13.9:30.7:55.4、及び16.9:30.7:52.4によって定義されるフィールド内である);
又は
2.5%~11%のチタニア、並びに89重量%~97.5重量%のMgO、Al、及びSiO(ここでMgO:Al:SiOの相対重量比は15.6:34.0:50.4、12.6:34.0:53.4、12.0:35.7:52.3、及び15.0:35.7:49.3によって定義されるフィールド内である)
を含有する、セラミック体。
【請求項2】
7μm≦d50≦20μm(ここでd50は前記セラミック体の細孔メジアン径である)である、請求項1に記載のセラミック体。
【請求項3】
50%≦%P≦72%であり;
7μm≦d50≦20μm(ここでd50は細孔メジアン径である)であり;
0.16≦df≦0.36であり;
3×10-7/K≦CTE≦14×10-7/Kである、請求項1に記載のセラミック体。
【請求項4】
60%≦%P≦72%であり;
10μm≦d50≦20μm(ここでd50は細孔メジアン径である)であり;
0.16≦df≦0.25であり;
3×10-7/℃≦CTE≦13×10-7/℃(ここでCTEは、25℃~800℃で測定した場合の、前記セラミック体の熱膨張係数である)である、請求項1に記載のセラミック体。
【請求項5】
2重量%~6重量%のチタニア、並びに94重量%~98重量%のMgO、Al、及びSiO(ここでMgO:Al:SiOの相対重量比は14.3:34.9:50.8;13.3:34.9:51.8;14.3:32.3:53.4;及び15.3:32.3:52.4によって定義されるフィールド内である)を含む、請求項1に記載のセラミック体。
【請求項6】
セラミック体を製造する方法であって、
前記方法は:
20重量%~42重量%のマグネシア源、
25重量%~40重量%のアルミナ源、
15重量%~30重量%のシリカ源、及び
1重量%~10重量%のチタニア源、
を含む無機成分を提供するステップであって、前記マグネシア源、前記アルミナ源、前記シリカ源、及び前記チタニア源それぞれの前記重量%は全て、存在する無機物の総重量100%をベースとしたものである、ステップ;
前記無機成分を、26重量%SApf~56重量%SApfの造孔剤、及び液体ビヒクルと混合して、バッチ組成物混合物を形成するステップであって、重量%SApfは、前記無機物の総重量100%をベースとした、付加分の重量パーセントである、ステップ;
前記バッチ組成物混合物を成型して素地とするステップ;並びに
合計重量百分率が少なくとも85重量%の、コーディエライト及びインディアライトを含有する結晶質相と、最大10重量%の、擬板チタン石構造を含む結晶質相とを含むセラミック体へと、前記素地を変換するために有効な条件下で、前記素地を焼成するステップ
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【優先権】
【0001】
本出願は、米国特許法第119条の下で、2018年8月31日出願の米国仮特許出願第62/725,591号の優先権を主張するものであり、上記仮特許出願の内容は、参照によりその全体が本出願に援用される。また、本出願は、2019年8月29日に出願された特願2021-511643号の分割出願である。
【技術分野】
【0002】
本開示の例示的実施形態は、コーディエライト及び擬板チタン石構造セラミック体に関し、より詳細には、エンジンの排ガスの後処理及び他のろ過用途に有用な、多孔質コーディエライト及び擬板チタン石構造ハニカム体に関する。
【背景技術】
【0003】
コーディエライト系ハニカム、及びチタン酸アルミニウム系ハニカムは、例えば触媒コンバータにおける、並びにディーゼル及びガソリンエンジンの排出物の制御のための微粒子フィルタにおける、多様な排気ガス緩和/処理用途に、広く使用されてきた。
【0004】
ディーゼル微粒子フィルタ(diesel particulate filter:DPF)及びガソリン微粒子フィルタ(gasoline particulate filter:GPF)は、多孔質セラミックハニカム体から、一部のチャネルをあるパターンで目封止して目封止ハニカム体を形成することによって製造できる。
【0005】
排ガスは、目封止セラミックハニカム体の多孔質壁を通って流れる。多孔質壁を通るその流路に沿って、排ガス由来の微粒子が、孔の中、多孔質壁の表面上、又は多孔質壁の表面上に堆積若しくは形成されたスート層上に堆積でき、これによって排ガスからの微粒子のろ過が提供される。形成されるスート層は、再生サイクルにおいて定期的に燃焼させることができ、これにより、DPF/GPFは、車両の寿命に匹敵する設計寿命を有することができる。
【発明の概要】
【0006】
本開示の例示的実施形態は、コーディエライト‐インディアライト‐擬板チタン石結晶質構造を有するセラミック体を提供する。
【0007】
本開示の例示的実施形態はまた、コーディエライト‐インディアライト‐擬板チタン石結晶質構造を含む多孔質壁を備えるセラミックハニカム体を提供する。
【0008】
本開示の例示的実施形態はまた、コーディエライト‐インディアライト‐擬板チタン石結晶質構造の製造に有用なバッチ組成物混合物を提供する。
【0009】
本開示の1つ以上の例示的実施形態はまた、コーディエライト‐インディアライト‐擬板チタン石結晶質構造を有するセラミック体を製造する方法を提供する。
【0010】
本開示の更なる特徴は、以下の説明に記載され、またその一部は本説明から明らかになるか、又は本明細書で開示される実施形態を実施することによって学習できる。
【0011】
一態様では、本開示の実施形態は:%P≧50%(ここで%Pは平均バルク体積気孔率である)であり;df≦0.36(ここでdfは(d50-d10)/d50である)であり;合計重量百分率が少なくとも85重量%の、コーディエライト及びインディアライトを含有する結晶質相を含み;最大10重量%の、擬板チタン石構造を含む結晶質相を含む、セラミック体を提供し、上記セラミック体は、酸化物基準の重量パーセントで表した場合に:
1重量%~11重量%のチタニア、並びに89重量%~99重量%のMgO、Al、及びSiO(ここでMgO:Al:SiOの相対重量比は15.6:34.0:50.4、12.6:34.0:53.4、13.9:30.7:55.4、及び16.9:30.7:52.4によって定義されるフィールド内である);
又は
2.5%~11%のチタニア、並びに89重量%~97.5重量%のMgO、Al、及びSiO(ここでMgO:Al:SiOの相対重量比は15.6:34.0:50.4、12.6:34.0:53.4、12.0:35.7:52.3、及び15.0:35.7:49.3によって定義されるフィールド内である)
を含有する。
【0012】
別の例示的実施形態は、合計重量百分率が85重量%~92重量%の、コーディエライト及びインディアライトを含む結晶質相と、最大10重量%の、アーマルコライトを含む擬板チタン石構造の第2の結晶質相とを含む、セラミック体を開示しており、
上記セラミック体は、酸化物基準の重量パーセントで表した場合に、1重量%~11重量%のチタニア、並びに89重量%~99重量%のMgO、Al、及びSiO(ここでMgO:Al:SiOの相対重量比は15.6:34.0:50.4、12.6:34.0:53.4、13.9:30.7:55.4、及び16.9:30.7:52.4によって定義されるフィールド内である)を含有し;
55%≦%P≦72%であり;
8μm≦d50≦20μm(ここでd50は細孔メジアン径である)であり;
0.16≦df≦0.32(ここでdfは(d50-d10)/d50である)である。
【0013】
別の例示的実施形態は、合計重量百分率が85重量%~92重量%の、コーディエライト及びインディアライトを含む結晶質相と、最大10重量%の、アーマルコライトを含む擬板チタン石構造の第2の結晶質相とを含む、セラミック体を開示しており、
上記セラミック体は、酸化物基準の重量パーセントで表した場合に、2.5%~11%のチタニア、並びに89重量%~97.5重量%のMgO、Al、及びSiO(ここでMgO:Al:SiOの相対重量比は15.6:34.0:50.4、12.6:34.0:53.4、12.0:35.7:52.3、及び15.0:35.7:49.3によって定義されるフィールド内である)を含有し;
55%≦%P≦72%であり;
8μm≦d50≦20μm(ここでd50は細孔メジアン径である)であり;
0.16≦df≦0.32(ここでdfは(d50-d10)/d50である)である。
【0014】
別の例示的実施形態では、バッチ組成物混合物が開示されている。上記バッチ組成物混合物は、酸化物基準の重量パーセントで表した場合に:
1重量%~11重量%のチタニア、並びに89重量%~99重量%のMgO、Al、及びSiO(ここでMgO:Al:SiOの相対重量比は15.6:34.0:50.4、12.6:34.0:53.4、13.9:30.7:55.4、及び16.9:30.7:52.4によって定義されるフィールド内である);又は
2.5%~11%のチタニア、並びに89重量%~97.5重量%のMgO、Al、及びSiO(ここでMgO:Al:SiOの相対重量比は15.6:34.0:50.4、12.6:34.0:53.4、12.0:35.7:52.3、及び15.0:35.7:49.3によって定義されるフィールド内である)
の、マグネシア源、アルミナ源、シリカ源、及びチタニア源を含む。
【0015】
更に別の例示的実施形態は、セラミック体を製造する方法を開示する。上記方法は:
20重量%~42重量%のマグネシア源、
25重量%~40重量%のアルミナ源、
15重量%~30重量%のシリカ源、及び
1重量%~10重量%のチタニア源、
を含む無機成分を提供するステップであって、上記マグネシア源、上記アルミナ源、上記シリカ源、及び上記チタニア源それぞれの上記重量%は全て、存在する無機物の総重量100%をベースとしたものである、ステップ;
上記無機成分を、有機結合剤、26重量%SA~56重量%SAの造孔剤、及び液体ビヒクルと混合して、バッチ組成物混合物を形成するステップであって、重量%SAは、上記無機物の総重量100%をベースとした、付加分の重量パーセントである、ステップ;
上記バッチ組成物混合物を成形して素地とするステップ;並びに
合計重量百分率が少なくとも85重量%の、コーディエライト及びインディアライトを含有する結晶質相と、最大10重量%の、擬板チタン石構造を含む結晶質相とを含むセラミック体へと、上記素地を変換するために有効な条件下で、上記素地を焼成するステップ
を含む。
【0016】
以上の「発明の概要」及び以下の「発明を実施するための形態」はいずれも多数の例を提供し、本開示の更なる理解を提供することを意図したものであることを理解されたい。
【0017】
添付の図面は、本開示の更なる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれて本明細書の一部を構成し、例示的実施形態を図示し、また本記載と合わせて本開示の原理を説明する役割を果たす。これらの図面は必ずしも正確な縮尺ではない。同一又は略同様の部分を指すために、同様の参照番号を使用する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1A】本開示の実施形態による、コーディエライト、インディアライト、及び擬板チタン石結晶質構造セラミックを含むハニカム体として具現化された、セラミック体の斜視図
図1B】本開示の実施形態による、図1Aのセラミックハニカム体の一部分の拡大端面図
図1C】本開示の実施形態による、コーディエライト、インディアライト、及び擬板チタン石結晶質構造セラミックを含む目封止ハニカム体として具現化された、セラミック体の斜視図
図2】本開示の実施形態による、素地ハニカム体を押出成形している状態で示されている押出成形機の部分断面図
図3】本開示の実施形態による、(MgO、Al、及びSiOの合計100%をベースとした)フィールド内のMgO:Al:SiOの相対重量比の三角グラフ
図4A】本開示の実施形態による、コーディエライト、インディアライト、及び擬板チタン石結晶質構造セラミックを含む例示的なセラミック体(例えば例E9)の多孔質壁の研磨済み断面の代表的な顕微鏡写真
図4B】本開示の実施形態による、コーディエライト、インディアライト、及び擬板チタン石結晶質構造セラミックを含む例示的なセラミック体(例えば例E7C)の多孔質壁の研磨済み断面の代表的な顕微鏡写真
図4C】本開示の実施形態による、コーディエライト、インディアライト、及び擬板チタン石結晶質構造セラミックを含む例示的なセラミック体(例えば例E20)の多孔質壁の研磨済み断面の代表的な顕微鏡写真
図5】本開示の実施形態による、コーディエライト、インディアライト、及び擬板チタン石結晶質構造セラミックを含むセラミック体を製造する方法
【発明を実施するための形態】
【0019】
これより、例示的実施形態を示す添付の図面を参照して、本開示を更に完全に説明する。しかしながら本発明は、多数の異なる形態で具現化でき、本明細書に記載の実施形態に限定されるものと解釈してはならない。図面では、特徴部分及び構成部品のサイズ及び相対サイズは、分かりやすくするために誇張される場合があり、従って正確な縮尺で図示されない場合がある。図面中の同様の参照番号は、同様の要素を指すことができる。
【0020】
ある要素が別の要素「の上に存在する(on)」、「に接続されている(connected to)」、又は「に連結されている(coupled to)」と言われている場合、上記ある要素は、上記別の要素の上に直接存在するか、若しくは上記別の要素に直接接続されていてよく、又は介在要素若しくは相互接続要素が存在してもよいことを理解されたい。対照的に、ある要素が別の要素「の上に直接存在する(directly on)」、又は「に直接接続されている(directly connected to)」と言われている場合、介在要素は存在しない。
【0021】
様々な脱NOx触媒若しくはディーゼル酸化触媒(diesel oxidation catalyst:DOC)、又は三元触媒(three‐way catalyst:TWC)若しくは選択触媒還元(selective catalyst reduction:SCR)触媒を、目封止ハニカムフィルタ体に組み込むことができる。高い触媒装填量を利用することによって、比較的高い触媒効率を達成できる。100g/lのウォッシュコート装填量が現在一般的であり、将来には装填量は150g/lを超える可能性がある。様々な実施形態では、低い背圧での高い触媒装填量は、極めて高い気孔率及び比較的大きな細孔径を備えるセラミックハニカム構造から作製されたハニカムフィルタ体によって提供できる。
【0022】
多孔質コーディエライト及びチタン酸アルミニウム‐長石複合体ハニカムセラミック物品は、高性能自動車触媒コンバータ及びディーゼル微粒子フィルタのための、低い熱膨張率、比較的高い気孔率、低いヤング率、及び高い強度を示すことができる。例えば米国特許第8,394,167号明細書(その内容は参照によりその全体が本出願に援用される)で開示されているように、コーディエライト‐ムライト‐チタン酸アルミニウム(CMAT)複合体が提供され、これは、CMATセラミック材料の相のアセンブリ及び微小構造によって、チタン酸アルミニウム‐長石複合体に比べて改善された強度、及びコーディエライトに比べて良好な体積熱容量を示す。これら2つの利点の組み合わせにより、CMAT材料は、セラミックハニカムフィルタ体等における高い気孔率を要する用途、例えばTWC及びSCR用途に、特に好適なものとなる。これらのCMAT複合体中の擬板チタン石構造相は、固溶体中のマグネシウムによって安定化させることができ、これにより、チタン酸アルミニウム長石(AT)複合体中に見られるチタン酸アルミニウム相よりも熱力学的に安定させることができ、また銅、マンガン、コバルト、ビスマス等及びこれらの化合物といったガラス形成要素に曝露された場合の、高温での熱分解及び加速分解に、よりよく耐えることができる。しかしながら、本明細書中の様々な実施形態は、高い気孔率、比較的大きな細孔メジアン径、狭い細孔径分布、及び比較的低いCTEの様々な組み合わせを提供する。
【0023】
例示的なセラミック体の実施形態は、従来技術のAT、コーディエライト、及びコーディエライト‐ムライト‐チタン酸アルミニウム(CMAT)材料を上回る予想外の優れた性能を提供する組成範囲の、コーディエライト、インディアライト、及び擬板チタン石構造を開示する。より詳細には、本開示は:比較的高い平均バルク体積気孔率(例えば%P≧50%);比較的狭い細孔径分布(例えばdf≦0.36(ここでdfは(d50-d10)/d50である);コーディエライト及びインディアライトを含む結晶質相の、比較的高い合計重量百分率(例えば少なくとも85重量%);並びに最大10重量%の結晶質擬板チタン石構造相(例えばアーマルコライト)を有するセラミック体を開示する。
【0024】
特に上記セラミック体は、酸化物基準の重量パーセントで表した場合に:
1重量%~11重量%のチタニア、並びに89重量%~99重量%のMgO、Al、及びSiO(ここでMgO:Al:SiOの相対重量比は15.6:34.0:50.4、12.6:34.0:53.4、13.9:30.7:55.4、及び16.9:30.7:52.4によって定義されるフィールド内である);又は
2.5%~11%のチタニア、並びに89重量%~97.5重量%のMgO、Al、及びSiO(ここでMgO:Al:SiOの相対重量比は15.6:34.0:50.4、12.6:34.0:53.4、12.0:35.7:52.3、及び15.0:35.7:49.3によって定義されるフィールド内である)
を含有する。
【0025】
定義
コーディエライト‐(Mg,Fe)Al(SiAlO18)~(Fe,Mg)Al(SiAlO18)の一連の式を有する、マグネシウムアルミニウムシクロシリケート。鉄及びニッケルが少量、即ち4重量%未満だけ存在してもよい。コーディエライト結晶を用いて、1つの軸に沿って極めて低い熱膨張を得ることができる。
【0026】
インディアライト‐コーディエライトの六角形の二型である高温多形アルミノシリケート相であり、これはベリルと同構造であり、(Si、Al)18環中のAlのランダムな分布を有する。これはコーディエライトと組成的に類似しており、また1つの結晶軸に沿って負の熱膨張を有する。インディアライトからコーディエライトへの変換はゆっくりと発生し、インディアライトは約1250℃未満において準安定である。鉄及びニッケルが少量、即ち4重量%未満だけ存在してもよい。
【0027】
スピネル‐八面体結晶として発生し、酸化マグネシウム及び酸化アルミニウムからなる、硬質の結晶質相材料。
【0028】
エンスタタイト‐マグネシウムシリケートからなる輝石群の斜方晶系材料MgSiO
【0029】
ルチル‐主に二酸化チタン(TiO)で構成されるセラミック材料。
【0030】
擬板チタン石構造相‐チアライト(AlTiO)、擬板チタン石(FeTiO)、アーマルコライト(Mg,Fe2+)Ti、及びカルーアイト(MgTi)のうちの1つ以上の固溶体である構造相。
【0031】
クリスタボライト‐シリカの高温多形。これは、石英(SiO)と同一の化学式を有するものの別個の結晶構造を有することを意味する。
【0032】
非晶質相‐主にシリカを含有し、それ未満の量のアルミナ、マグネシア、チタニア、並びにナトリウム、カルシウム、鉄、及びニッケルの酸化物不純物を含有するガラス。
【0033】
これより、本明細書で開示及び説明されている表及び図1A~5を参照して、本開示の更なる実施形態を説明する。いくつかの実施形態では、セラミック体100は、図1A及び1Bに示されているようなハニカム体として具現化できる。ハニカム体として具現化されたセラミック体100は、連結多孔質壁102のマトリクスを備えることができ、これらは、セラミック体100の軸方向長さに沿って第1の端部103(例えば入口端部)から第2の端部105(例えば出口端部)まで延在する複数のチャネル104のハニカムを形成する。チャネル104は互いに対して平行とすることができる。壁102によって輪郭が形成される、横断面における上記チャネルの形状は、図1A及び1Bに示されているように正方形となることができる。しかしながらあるいは、横断面チャネル形状は、長方形(正方形ではない)、三角形、八角形、六角形、ひし形、円形、他の多角形、これらの組み合わせ等とすることができ、また丸みを帯びた角、面取りされた角、四角い角、又はこれらの組み合わせを有してよい。
【0034】
セラミック体100は、ハニカム体として構成された場合、0.002インチ~0.016インチ(0.05mm~0.41mm、図1Bを参照)、更にはいくつかの実施形態では0.004~0.012インチ(0.10mm~0.30mm)の、壁102の横方向壁厚twを有する構成を備えることができる。更に、連結多孔質壁102は、ハニカム体を横断する略一定の厚さを有してよく、又は様々な厚さを有してよい。例えば、連結多孔質壁102の壁厚twは、セラミック体100の表皮106付近において大きくすることができ、これによって表皮106付近に、輪の形状の比較的厚い壁を提供できる。
【0035】
セラミック体100は、図1Aのハニカム体又は図1Cの目封止ハニカム体として構成された場合、例えば15.5セル/cm~77.5セル/cm(100cpsi~500cpsi)の範囲の平均セル密度である平均セル密度を有することができる。他のセル密度も使用できる。セラミック体100の例示的なジオメトリは、本明細書中で400/8ハニカム体として定義される、400cpsi(62セル/cm)の平均セル密度及び約8ミル(0.20mm)の横方向壁厚、又は本明細書中で400/6ハニカム体として定義される、400cpsi(62セル/cm)の平均セル密度及び約6ミル(0.15mm)の壁厚を有してよい。セラミック体100の他のジオメトリとしては、例えば100/17、200/12、200/19、270/19、300/8、200/8、及び350/12という平均セル密度/横方向壁厚の組み合わせが挙げられる。セル密度及び横方向壁厚の他の好適な組み合わせを用いることもできる。
【0036】
いくつかのハニカム体では、セラミック体100が目封止セラミックハニカム体100Pとして具現化される場合、チャネル104のうちの特定のいくつかを目封止できる。例えば図1Cに示されているように、ディーゼルエンジン又はガソリンエンジン用途のための微粒子フィルタに含めることができる目封止セラミックハニカム体100Pが示されている。図1Cに図示されている実施形態では、例えば米国特許第6,843,822号明細書;米国特許第6,696,132号明細書;米国特許第7,247,184号明細書;及び米国特許第7,601,194号明細書に記載されているように、チャネルのうちのいくつか104Lは、他の比較的小さなチャネル104Sよりも大きな水力エリアを有することができる。他の実施形態では、例えば米国特許第4,329,162号明細書;米国特許第6,849,181号明細書;米国特許第8512,433号明細書;及び米国特許第8236,083号明細書で開示されているように、目封止セラミックハニカム体100Pは、同一のサイズの入口チャネル及び出口チャネルを含むことができる。例えば米国特許第9,757,675号明細書;米国特許第8,673,064号明細書;米国特許第4,417,908号明細書;及び米国特許第8,844,752号明細書で開示されているような、他のフィルタ目封止パターンも可能である。
【0037】
セラミック体100(及び目封止ハニカム体100P)の最も外側の断面形状は、(図1A及び1Cに示されているような)円、長円、楕円、三角形又は三葉形、競技用トラック型、正方形、又は長方形の断面外形といった、いずれの所望の外側断面形状であってよい。しかしながら、ハニカム体100及び目封止ハニカム体は、これらの断面形状に限定されない。他の断面形状を使用してもよい。本明細書中で使用されるセラミック体100は、ハニカム体及び目封止ハニカム体100Pを含むがこれらに限定されない。
【0038】
本開示のセラミック体100の例示的実施形態は、比較的高いレベルの合計バルク気孔率を有することができ、これは開放及び連結気孔率である。例えば本明細書に記載の組成のセラミック体100は、平均バルク気孔率%Pを有することができ、ここで、水銀侵入ポロシメトリーで判定すると、%P≧50%、%P≧55%、%P≧60%、更には%P≧65%である。いくつかの実施形態では、平均バルク気孔率%Pは、50%≦%P≦72%、55%≦%P≦72%、60%≦%P≦72%、更には65%≦%P≦72%とすることができる。本開示のセラミック体100のこのような範囲の気孔率は、微粒子フィルタのために目封止ハニカム体100Pとして使用した場合に、十分な全体的強度及び熱衝撃耐性を提供しながら、低い背圧を提供できる。
【0039】
比較的高い合計気孔率に加えて、本開示のセラミック体100は、比較的狭い細孔径分布も有することができる。この狭い細孔径分布は、比較的微細な細孔径若しくは比較的大きな細孔径の百分率が最小限であること、又はいくつかの実施形態では比較的微細な細孔径及び比較的大きな細孔径の両方の百分率が最小限であることによって証明できる。このような狭い細孔径分布は、触媒含有ウォッシュコートでコーティングした場合であっても、低い背圧を提供するという利点を有する。更に、狭い細孔径分布は、セラミック体100をディーゼル及び/又はガスエンジン排気ガスろ過用途で利用する場合に、小さなスートロード圧力降下及び優れたスート捕捉効率を提供するために有益となり得る。
【0040】
この目的のために、相対細孔径分布を、ワッシュバーンの式を用いて、水銀侵入ポロシメトリーによって決定する。例えば、量d50は、(マイクロメートルを単位として測定される)細孔容積に基づく細孔メジアン径(MPS)を表す。従ってd50は、セラミック体100の開放気孔率の50%に水銀が侵入する細孔直径である。量d90は、細孔容積の90%がd90の値より小さな直径を有する細孔で構成される細孔直径であり、従ってd90は、セラミックの開放気孔率の10体積%に水銀が侵入する細孔直径にも等しい。また更に、量d10は、細孔容積の10%がd10の値より小さな直径を有する細孔で構成される細孔直径であり、従ってd10は、セラミックの開放気孔率の90体積%に水銀が侵入する細孔直径に等しい。d10及びd90の値もまた、マイクロメートルを単位として表される。
【0041】
50
本開示のある態様によると、焼成後のセラミック体100の多孔質壁102は、d50≧10.0μm、d50≧12.0μm、d50≧13.0μm、d50≧15.0μm、更にはいくつかの実施形態ではd50≧18.0μmの、細孔メジアン直径(d50)を有することができる。更に、焼成後のセラミック体100の多孔質壁102は、7μm≦d50≦20μm、10μm≦d50≦20μm、12μm≦d50≦20μm、更にはいくつかの実施形態では15μm≦d50≦20μmの範囲の、細孔メジアン直径(d50)を有することができる。
【0042】
df
セラミック体100の開放連結気孔率の細孔径分布の、比較的小さな細孔画分(d50以下)の狭さは、d係数(df)によって特性決定でき、ここでdf={(d50-d10)/d50}である。セラミック体100の例示的実施形態では、dfは、df≦0.36、df≦0.32;df≦0.30、df≦0.25、更にはdf≦0.22であってよい。本明細書に記載されている極めて狭い細孔径分布の実施形態は、df≦0.20、df≦0.18、更にはdf≦0.17であるd係数を示す場合がある。いくつかの実施形態では、焼成後のセラミック体100の多孔質壁102は、0.16≦df≦0.32、0.16≦df≦0.30、0.16≦df≦0.25、0.16≦df≦0.22、更には0.16≦df≦0.20であるdfを有することができる。
【0043】
dB
細孔径分布の比較的大きな細孔画分(d10からd90まで)を含む狭さの相対的な尺度は、セラミック体100の開放連結気孔率の細孔径分布のd幅(dB)によって特性決定できる。例えば、セラミック体100の開放連結気孔率の細孔径分布のd幅(dB)は、dB≦1.1、dB≦0.85、dB≦0.80、dB≦0.70、更にはいくつかの実施形態ではdB≦0.60であってよく、ここでdB={(d90-d10)/d50}である。いくつかの実施形態では、焼成後のセラミック体100の多孔質壁102は、0.45≦dB≦1.1、0.45≦dB≦0.85、0.45≦dB≦0.70、0.45≦dB≦0.60、更には0.45≦dB≦0.55であるdBを有することができる。
【0044】
CTE
セラミックを含むセラミック体100の熱膨張係数(coefficient of thermal expansion:CTE)は、極めて低いことが発見された。例示的実施形態によると、本発明のセラミック材料は低い熱膨張係数を示し、これが優れた熱衝撃耐性(thermal shock resistance:TSR)をもたらすことが発見された。当業者には理解されるように、TSRは熱膨張係数(CTE)に反比例する。即ち、熱膨張係数が低いセラミック体100は、比較的高い熱衝撃耐性も有することができ、従って、エンジン排気ガスろ過用途において発生する幅広い温度変動に耐えることができる。
【0045】
従って例示的実施形態では、本明細書に記載のセラミック相を含む本開示のセラミック体100は、ディラメトリーによって測定した場合に、少なくとも1方向において比較的低い熱膨張係数(CTE)を示すことができる。特に、CTE≦14×10-7/℃、CTE≦12×10-7/℃、CTE≦10×10-7/℃、更にはCTE≦9×10-7/℃を達成でき、これらは全て25℃~800℃の温度範囲にわたって測定されるものである。いくつかの実施形態では、25℃~800℃の温度範囲にわたるCTEは、7×10-7/℃≦CTE≦14×10-7/℃;7×10-7/℃≦CTE≦12×10-7/℃;更には7×10-7/℃≦CTE≦10×10-7/℃となることができる。更なる実施形態では、25℃~800℃の温度範囲にわたるCTEは、3×10-7/℃≦CTE≦14×10-7/℃、3×10-7/℃≦CTE≦12×10-7/℃、更には3×10-7/℃≦CTE≦10×10-7/℃となることができる。セラミック体100は、0.10以上の微小クラック指数Nbを有する微小クラック体として特性決定できる。いくつかの実施形態では、微小クラック指数Nbは0.10≦Nb≦0.43であってよい。
【0046】
組み合わせ
上述の平均バルク気孔率(%P)、細孔メジアン直径(d50)、低いdf及び/又は低いdB、並びに低いCTE(RT~800℃)の組み合わせを示すセラミック体100は、本開示のセラミック体100をディーゼル又はガソリン排気ガスろ過用途で使用する際に、有用なろ過効率及び改善された熱衝撃耐性を維持したまま、小さなクリーン及びスートロード圧力降下を提供できる。
【0047】
セラミック体100の特に効果的な例は、本明細書に記載のセラミック組成物を含むことができ、更に、P%≧50%である連結多孔質壁102の平均バルク気孔率(%P)、d50≧7.0μmであるセラミック体100の細孔メジアン径(d50)(ここでd50は細孔メジアン径である)、df≦0.36(ここでdf={(d50-d10)/d50}である)、及び室温25℃~800℃で測定した場合にCTE≦14×10-7/℃を有することができる。いくつかの実施形態では、セラミック体100は、本明細書に記載のセラミック組成物を含むことができ、更に、50%≦P%≦72%である連結多孔質壁102の平均バルク気孔率(%P)、7.0μm≦d50≦20.0μmである細孔メジアン径(d50)、0.16≦df≦0.36、及び3×10-7/K≦CTE≦14×10-7/℃を有することができる。
【0048】
本開示の特定の他の例示的実施形態は、本明細書に記載のセラミック組成物を含むことができ、更に:55%≦%P≦72%;8μm≦d50≦20μm;0.16≦df≦0.32;及び25℃~800℃で測定した場合に3×10-7/℃≦CTE≦14×10-7/℃を達成できる。更に、特定の他の例示的実施形態は:60%≦%P≦72%;10μm≦d50≦20μm;0.16≦df≦0.25;及び25℃~800℃で測定した場合に3×10-7/℃≦CTE≦13×10-7/℃を達成できる。
【0049】
注目すべきことに、いくつかの例示的実施形態は:60%≦%P≦72%;12μm≦d50≦20μm;0.16≦df≦0.20;及び25℃~800℃で測定した場合に3×10-7/℃≦CTE≦12×10-7/℃を達成できる。更なる例示的実施形態は:60%≦%P≦72%;13μm≦d50≦20μm;0.16≦df≦0.18;及び25℃~800℃で測定した場合に3×10-7/℃≦CTE≦12×10-7/℃を達成できる。このような特性は、微粒子フィルタ用途での使用に関して極めて有用である。
【0050】
既に概説したように、本開示の例示的実施形態は、コーディエライトとインディアライトとの組み合わせからなる主要な結晶質相と、擬板チタン石構造相を有する固溶体を含む二次結晶質相とを含有するセラミック複合体を含む、セラミック体100を提供する。特にセラミック体100は、少なくとも85重量%の、コーディエライト及びインディアライトを含有する複合結晶質相と、最大10重量%の、固溶体擬板チタン石構造相を含む二次結晶質相とを含む。他の相が存在してもよい。
【0051】
コーディエライト及びインディアライトの結晶質相は合わせて(共に添加した場合に)、存在する無機物100重量%をベースとして85重量%~92重量%とすることができる。例えば1つ以上の実施形態では、コーディエライトの結晶質相は、存在する無機物100重量%をベースとして53重量%~78重量%とすることができる。インディアライトの結晶質相は、存在する無機物100重量%をベースとして15重量%~35重量%とすることができる。いくつかの実施形態では、セラミック体100中の擬板チタン石構造相は、存在する無機物100重量%をベースとして2重量%~8重量%とすることができる。擬板チタン石構造相は、アーマルコライトの結晶質相を含むことができる。
【0052】
更にセラミック体100は、追加のムライトの結晶質相を含むことができ、これは存在する無機物100重量%をベースとして1.5重量%~3重量%とすることができる。セラミック体100は、ルチルの結晶質相を略含まないものとするべきである。例えばルチルの結晶質相は、セラミック体100中に存在する無機物100重量%をベースとして1.0重量%未満の量とすることができる。いくつかの実施形態は、エンスタタイト又はクリストバライトの結晶質相を、存在する無機物100重量%をベースとして2.0重量%未満の量等で含んでよい。いくつかの実施形態では、セラミック体100は、存在する無機物100重量%をベースとして7重量%未満の非晶質相を含むことができる。
【0053】
本明細書に記載の重量百分率、及び存在する様々な相の同定は、リートベルト法によって達成され、セラミック体100中に存在する無機物の総重量100重量%の百分率として表される。
【0054】
更にセラミック体100は、酸化物基準の重量パーセントで表した場合に:
1重量%~11重量%のチタニア、並びに図3の領域340において最もよく図示されているように合計90重量%~99重量%のMgO(酸化マグネシウム)、Al(アルミナ)、及びSiO(シリカ)(ここでMgO:Al:SiOの相対重量比は15.6:34.0:50.4、12.6:34.0:53.4、13.9:30.7:55.4、及び16.9:30.7:52.4によって定義されるフィールド内である);又は
2.5重量%~11重量%のチタニア、並びに図3の領域342において最もよく図示されているように合計89重量%~97.5重量%のMgO(酸化マグネシウム)、Al(アルミナ)、及びSiO(シリカ)(ここでMgO:Al:SiOの相対重量比は15.6:34.0:50.4、12.6:34.0:53.4、12.0:35.7:52.3、及び15.0:35.7:49.3によって定義されるフィールド内である)
を含むことができる。図示及び説明されているように、これらの相対重量比(MgO:Al:SiO)は合計すると100%となる。
【0055】
他の実施形態では、セラミック体100は、2重量%~6重量%のチタニア、並びに94重量%~98重量%のMgO、Al、及びSiO(ここでMgO:Al:SiOの相対重量比は14.3:34.9:50.8;13.3:34.9:51.8;14.3:32.3:53.4;及び15.3:32.3:52.4によって定義されるフィールド内である)を含む。
【0056】
よって酸化物濃度に関して、セラミック体100は、領域340の縁部境界内のMgO:Al:SiO酸化物比を有する実施形態では、1重量%~11重量%のチタニアを含むことができ、領域342の縁部境界内のMgO:Al:SiO酸化物比を有する実施形態では、2.5%~11%のチタニアを含むことができる。
【0057】
セラミック体100は更に、いくつかの実施形態では、セラミック体100中に存在する総無機物酸化物100重量%をベースとして1重量%~6重量%の、チタニア(TiO)の酸化物濃度を有することができる。他の実施形態では、セラミック体100は更に、2重量%~6重量%の、チタニア(TiO)の酸化物濃度を有することができる。更に、酸化物の重量パーセントに関して、セラミック体100は、いくつかの実施形態では、セラミック体100中に存在する総無機物酸化物100重量%をベースとして12重量%~17重量%、又は12.5重量%~14重量%もの、マグネシア(MgO)の酸化物濃度を有することができる。
【0058】
コーディエライト及びインディアライト相と共にチタニアが存在することにより、比較的高い気孔率(%P)及び狭い細孔径分布だけでなく、低いCTEも提供されることを認識されたい。理論によって束縛されるものではないが、チタニアの機能は、毛細管力に応答して移動して望ましくない微細な細孔を充填する安定した液体を、反応性焼結中に生成することであると考えられる。これにより、細孔径分布を、名目上化学量論的なコーディエライトよりも狭くすることができる。よって、目封止ハニカム体100Pとして具現化されたセラミック体100を利用した微粒子フィルタは、優れた透過性、ウォッシュコート適合性、及びろ過効率を有することができる。
【0059】
本開示のセラミック体100の例示的実施形態は、4.5GPa以下のEを有してよく、ここでEは、GPaを単位とする、室温(RT)におけるセラミック体100のヤング率である。他の例示的実施形態では、セラミック体100は、2.0GPa以下、更には1.5GPa以下のEを有することができる。いくつかの実施形態では、Eは1.33GPa~4.5Gpa、更には1.33GPa~1.5GPa、更には1.33GPa~2.0GPaであってよい。
【0060】
本開示の例示的実施形態によると、セラミック体100は、コーディエライト相の好ましい結晶学的テクスチャを示し、これは、(110)及び(200)表面X線回折(x‐ray diffraction:XRD)ピーク強度から計算されるi比によって定量化できる。軸方向i比に関して、XRDピーク強度は、セラミック体100の壁102に対して垂直に測定された。横方向i比に関して、XRDピーク強度は、壁面上、又はわずかに研磨されたハニカム壁面上で測定された。リートベルトデコンボリューションを用いて、存在する他の相の重なり合うピークの寄与から、コーディエライトのピーク強度を抽出できる。本開示の例示的実施形態では、セラミック体のコーディエライト相は、0.43~0.59の軸方向i比、及び0.80~0.88の横方向i比を示す。いくつかの実施形態では、軸方向i比は0.55未満、更には0.5未満となり得る。
【0061】
押出成形方法
本開示の例示的実施形態はまた、コーディエライト‐インディアライト‐擬板チタン石複合セラミック体を、無機粉末原材料、有機粉末材料、液体ビヒクル(例えば水)、及び加工助剤から製造する方法も提供する。上記方法は、本明細書中で概説されている選択された粒径(例えばd50及びdB)並びに重量百分率(重量%)を有することができる、マグネシア、アルミナ、シリカ、及びチタニアの源を含む無機バッチ組成物混合物を提供するステップを含む。次に、上記無機バッチ組成物混合物を:有機結合剤、造孔剤等の上記有機粉末材料;上記液体ビヒクル;並びに可塑化剤及び潤滑剤からなる群から選択される1つ以上の加工助剤と混合及び/又は混練して、可塑化済みバッチ組成物混合物210を形成できる。可塑化済みセラミック前駆バッチ組成物混合物210を成型して、又は他の方法で成形して、ハニカム素地等の素地100G(図2を参照)とすることができる。続いて素地100Gを乾燥させた後、素地100Gを、上述のコーディエライト‐インディアライト‐擬板チタン石複合結晶質組成を有するセラミック体100に変換するために有効な条件下で焼成できる。
【0062】
例えば上記可塑化済みバッチ組成物を、押出成形方法によって素地100Gへと成形できる。例えば図2は、押出成形機200(例えば連続2軸押出成形機)の例示的実施形態の側方断面図を示す。押出成形機200はバレル212を含み、これはその中に形成されたチャンバ214を含む。バレル212はモノリシックであってよく、又は長手方向215(例えば矢印で示されている方向)に連続して接続された複数のバレルセグメントから形成されていてよい。チャンバ214は、上流側215Uと下流側215Dとの間に、バレル212を長手方向215に通って延在する。バレル212の上流側215Uには、バッチ組成物混合物210を押出成形機200に供給するために、ホッパー又は他の材料供給用構造を含むことができる材料供給ポート216を設けてよい。バッチ混合物210を素地ハニカム体100G等の所望の形状へと押出成形するために、ハニカム押出ダイ218を含むカートリッジアセンブリ217が下流側215Dに設けられる。可塑化済みバッチ組成物混合物210がハニカム押出ダイ218に到達する前に、安定したプラグタイプの流れの前面の形成を容易にするために、ハニカム押出ダイ218の前に、全体的に開放されたキャビティ、スクリーン220、ホモジナイザー222等の他の構造が存在してもよい。
【0063】
図2に更に示されているように、1対の押出スクリュ224をバレル212内に回転可能に設置できる。スクリュ224は図示されているように、互いに対して概ね平行に配設されていてよいが、任意に互いに対して様々な角度で配設されていてもよい。スクリュ224はまた、スクリュ224の同一方向又は異なる方向での回転のために、バレル212の外側に位置する駆動機構220に連結されていてよい。両方のスクリュ224を、図示されているように単一の駆動機構220に連結しても、独立した駆動機構(図示せず)に連結してもよいことを理解されたい。スクリュ224は、ポンピング及び更なる混合作用によって、バッチ組成物混合物210をチャンバ214を通るように長手方向215に移動させるよう動作する。更なる支持構造を設けて、スクリュ224をその端部において及び/又はその長さに沿って支持してよい。このような支持構造はその中に穿孔又は孔を含んでよく、これを通してバッチ組成物混合物210を流すことができる。
【0064】
図2は更に、押出成形機200を、素地100Gがそこから押出成形されている状態で示す。押出成形機カートリッジ217は、ハニカム押出ダイ218及び表皮形成用マスク226等の押出成形ハードウェアを含んでよい。素地100Gは押出成形機200から押出成形され、いくつかの実施形態では、押出成形中に、複数の壁102に沿って、複数の壁102を取り囲む表皮106も形成される。次にハニカム体100Gを、切断要素228によってある長さに切断し、トレイ230上に提供する。トレイ230は、例えば米国特許第9,440,373号明細書;米国特許第9,085,089号明細書;米国特許第8,407,915号明細書に記載されているようなものとすることができる。
【0065】
切断は、ワイヤー切断、バンドソー若しくはレシプロソーによる鋸切断、又は他の切断方法によって達成できる。トレイ232を、例えば米国特許第9,038,284号明細書、米国特許第9,335,093号明細書、米国特許第7,596,885号明細書、及び米国特許第6,259,078号明細書に記載されているようなドライヤーへと供給できる。いずれの好適な乾燥方法、例えばRF乾燥、マイクロ波乾燥、オーブン乾燥、又はこれらの組み合わせを使用できる。いくつかの実施形態では、素地ハニカム体100Gを、例えば乾燥後に、ログ(log)から切断でき、このログからは複数のハニカム体が供給される。
【0066】
乾燥後、素地ハニカム体を、コーディエライト、インディアライト、及び擬板チタン石、並びに他の結晶質相を含むセラミック体100に変換するために有効な条件下で、素地100Gを焼成できる。
【0067】
バッチ組成物
バッチ組成物混合物は:マグネシア源、アルミナ源、シリカ源、及びチタニア源を含む無機成分;造孔剤(例えばデンプン及び/又はグラファイト)を含むことができ、これらは更に、以下の表1に記載されている粒径及び粒径分布、並びに幅(dBp)を有してよい。
【0068】
【表1】
【0069】
この目的のために、本明細書中で言及される場合、全ての粒径をレーザ回折技法及びMicrotrac粒径アナライザで測定するが、分散性アルミナ(AlOH)は例外であり、その特性は供給元によって定義されていた。
【0070】
マグネシア源
例えばマグネシア源は、限定ではなく例示として、コーディエライト‐インディアライト‐擬板チタン石構造結晶質相組成物の形成に有用なマグネシウムの酸化物を提供できるいずれの好適な化合物とすることができる。例えばマグネシア源は、タルク源、又は水酸化マグネシウム、又はこれらの組み合わせとして選択できる。例えばタルク源は、か焼された又はか焼されていないタルクとすることができる。任意に、マグネシア源は、MgO、Mg(OH)、MgCO、MgAl、MgSiO、MgSiO、MgTiO、MgTiO、MgTiのうちの1つ以上とすることができる。あるいはマグネシア源は、フォルステライト、かんらん石、緑泥石、及び蛇紋石のうちの1つ以上とすることができる。マグネシア源がタルクである場合、これは、約6μm~約25μmの粒子メジアン直径(dp50)を有することができ、またdB≦2.2とすることができ、ここでdBは幅係数であり、(dp90-dp10)/dp50である。マグネシア源は、バッチ組成物混合物210中に存在する無機物の総重量100%をベースとして25重量%~40重量%を構成できる。
【0071】
アルミナ源
アルミナ源は、限定ではなく例示として、コーディエライト‐インディアライト‐擬板チタン石構造結晶質相組成物の形成に有用なアルミニウムの酸化物を提供できるいずれの好適な化合物とすることができる。アルミナ源は例えば、コランダム、Al(OH)等の水酸化アルミニウム(若しくは水酸化アルミナ)、コロイド懸濁液を形成できるベーマイト等の分散性アルミナ、ダイアスポア、又はγアルミナ若しくはρアルミナ等の遷移アルミナといった、アルミナ形成源から選択できる。あるいはアルミナ源は、MgAl、AlTiO、ムライト、カオリン、か焼されたカオリン、葉ろう石、藍晶石、緑泥石等の、アルミニウムと別の金属酸化物との化合物とすることができる。いくつかの実施形態では、アルミナ源のメジアン粒径(dp50)は約7.0μm以下とすることができ、約0.5μm~約7.0μmとすることができる。アルミナ源は、バッチ組成物混合物210中に存在する無機物の総重量100%をベースとして25重量%~40重量%を構成できる。
【0072】
シリカ源
シリカ源は、限定ではなく例示として、コーディエライト‐インディアライト‐擬板チタン石構造結晶質相組成物の形成に有用なシリカの酸化物を提供できるいずれの好適な化合物とすることができる。シリカ源は例えば、石英、隠微晶質石英、溶融シリカ、珪藻土シリカ、低アルカリゼオライト、コロイドシリカ、又はこれらの組み合わせといったSiO粉末等のシリカ源から選択できる。更にシリカ源は、例えばタルク、コーディエライト、緑泥石、カオリン、藍晶石等を含む、マグネシウム及び/又はアルミニウムとの化合物として提供することもできる。実施形態では、シリカ源のメジアン粒径(d50)は約4μm~約30μmとすることができる。シリカ源は、バッチ組成物混合物210中に存在する無機物の総重量100%をベースとして15重量%~30重量%を構成できる。
【0073】
チタニア源
チタニア源はTiO粉末として提供できる。表1に示されているメジアン粒径(dp50)及び/又は粒径分布を有するチタニア粉末を使用できる。例えばチタニア源は、0.25μm~0.45μmのメジアン粒径を有することができる。更にチタニア源は、幅係数dB≦2.0、更にはdB≦1.5(ここでdB=(dp90-dp10)/dp50である)である粒径分布を有することができる。
【0074】
造孔剤
比較的高い平均バルク気孔率(%P≧50%)を達成するために、バッチ組成物混合物210は、セラミック体100の平均バルク気孔率、及び場合によっては細孔径分布の調整を補助するための、造孔剤を含有できる。造孔剤は一過性の材料であり、セラミック体100中の所望の粗い細孔メジアン直径(d50)に結びつけることができる、所望の高いバルク気孔率を得るための、素地100Gの乾燥及び/又は加熱中に、燃焼によって蒸発するか又は気化する。好適な造孔剤としては、限定するものではないが:炭素;グラファイト;デンプン;木材、外皮、又は木の実の粉末;ポリエチレンビーズ等のポリマー等;及びこれらの組み合わせが挙げられる。デンプンとしては、トウモロコシデンプン、コメデンプン、エンドウマメデンプン、サゴデンプン、ジャガイモデンプン等が挙げられる。他の好適な造孔剤を用いることもできる。ジャガイモデンプン等の特定の造孔剤を使用する場合、相対的に粗い(例えばdp50がより大きな)タルク、アルミナ、及び/又はシリカ源を利用すると、dfを低下させることができる。
【0075】
比較的高い気孔率と比較的大きなd50との有用な組み合わせを提供するのを補助する例示的実施形態は、デンプンとグラファイトとの組み合わせを含むことができる。例えば造孔剤は、エンドウマメデンプンを単独で若しくはグラファイトと組み合わせて、又はトウモロコシデンプンを単独で若しくはグラファイトと組み合わせて、含むことができる。造孔剤は、バッチ組成物混合物210中に存在する無機物の重量100%をベースとして約25重量%付加分(SApf)~約57重量%SApfの量で提供できる。バッチ組成物混合物210中に存在する無機物の重量100%をベースとして20重量%SApf~約47重量%SApfのデンプンと20重量%SApf~約47重量%SApfのグラファイトとの組み合わせを含む実施形態は、ろ過用途に有用な、高い平均バルク気孔率と細孔メジアン径(d50)との優れた組み合わせを提供できる。造孔剤の量は、w×重量%SApf/100として計算され、ここでwは、無機原材料の総重量である。
【0076】
デンプンは、約5μm~50μm、及び他の実施形態では約8μm~30μmの粒子メジアン直径(dp50)を有することができる。グラファイトは、いくつかの実施形態では約5μm~50μmの粒子メジアン直径(dp50)を有することができる。
【0077】
有機結合剤
バッチ組成物混合物210は有機結合剤を含んでよい。有機結合剤は例えば、疎水性に修飾されたセルロースエーテル結合剤のようなセルロースエーテル結合剤であってよい。いくつかの実施形態では、疎水性に修飾されたセルロースエーテル結合剤は、限定するものではないが、メチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシブチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、これらの組み合わせ等であってよい。メチルセルロース及び/又はメチルセルロース誘導体は、バッチ組成物混合物210中で使用するための有機結合剤として特に好適であり、メチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースが優れた選択肢である。セルロースエーテルの源は、DOW(登録商標)Chemical Co.から入手可能なMETHOCEL(商標)セルロース製品である。
【0078】
以下の表2A~2Eで開示されているもの等のバッチ組成物のいくつかの実施形態は、メチルセルロース(メチルセルロース1)、及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(メチルセルロース2)を含んでよい。セルロースエーテル結合剤の他の組み合わせは、分子量が異なる複数のセルロースエーテルを含んでよい。あるいは、セルロースエーテルの組み合わせは、異なる疎水基若しくは同一の疎水基の異なる濃度を有する複数のセルロースエーテル、又は他のセルロースエーテルの組み合わせを含んでよい。異なる疎水基は、非限定的な例として、ヒドロキシエチル又はヒドロキシプロピルであってよい。いくつかの実施形態では、有機結合剤は、ヒドロキシエチルメチルセルロース結合剤とヒドロキシプロピルメチルセルロース結合剤との組み合わせであってよい。有機結合剤の他の好適な組み合わせを使用してもよい。
【0079】
有機結合剤は、約2.0重量%SAP~8.0重量%SAP、更には約3.0重量%SAP~約5.0重量%SAPもの量で、バッチ組成物中に提供してよく、ここでSAPは、バッチ組成物混合物210中に存在する無機物及び造孔剤の総重量100%に対する付加分をベースとしたものである。
【0080】
液体ビヒクル
1つ以上の実施形態では、バッチ組成物混合物210は液体ビヒクルを含み、これは、バッチ中に存在する無機物及び造孔剤の重量100%に対する付加分としての、ある液体ビヒクル百分率LV%で提供できる。バッチ組成物混合物210中の上記LV%は、バッチ組成物混合物210中に存在する無機物及び造孔剤の総重量100%に対する付加によって、約15重量%≦LV%≦50重量%の量でバッチ組成物混合物に添加してよい。
【0081】
使用時、液体ビヒクルは、有機結合剤を溶解させる媒体を提供し、従ってバッチ組成物混合物210に可塑性を提供し、またその中の無機物粒子の湿潤を提供する。液体ビヒクルは、水系液体、例えば水又は水混和性溶媒とすることができる。一実装形態では、液体ビヒクルは脱イオン水等の水であるが、アルコール(例えばメタノール又はエタノール)等の他の溶媒も、単独で又は水と組み合わせて使用してよい。
【0082】
加工助剤
また更に、バッチ組成物混合物210は、可塑化剤、界面活性剤、及び/又は油性潤滑剤といった他の加工助剤を含むことができる。加工助剤として使用できる界面活性剤の非限定的な例は、C~C22脂肪酸、及び/又はこれらの誘導体である。これらの脂肪酸と共に使用してよい更なる界面活性剤組成物は、C~C22脂肪族エステル、C~C22脂肪族アルコール、及びこれらの組み合わせである。例示的な界面活性剤は:ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、リノール酸、及びパルミチン酸、並びにこれらの誘導体;トール油;ラウリル硫酸アンモニウムと組み合わされたステアリン酸;並びにこれら全ての組み合わせである。ある例示的実施形態では、界面活性剤は、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、トール油、又はこれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、界面活性剤の量は、約0.25重量%SA~約2重量%SA、及び図示されている実施形態では約0.5重量%SA~1.5重量%SAとすることができる。
【0083】
加工助剤として使用できる油性潤滑剤の非限定的な例としては、軽質鉱油、トウモロコシ油、高分子量ポリブテン、ポリオールエステル、軽質鉱油とワックスエマルジョンとのブレンド、トウモロコシ油中のパラフィンワックスのブレンド、又はこれらとオレフィンとの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、油性潤滑剤の量は、約0重量%SA~約10重量%SAとすることができる。いくつかの例示的実施形態では、油性潤滑剤は最大約2重量%SAだけ存在できる。いくつかの実施形態では潤滑剤を使用しない。
【0084】
無機バッチ粉末成分、有機結合剤、及び造孔剤を、液体ビヒクル及び1つ以上の加工助剤と入念にブレンドして、素地100Gへの成型時に可塑化済みバッチ組成物混合物に可塑成形性及び素地強度を付与できる。成形を押出成形によって実施する場合、最も典型的には、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及び/又はこれらの組み合わせといったセルロースエーテル結合剤が、一時的な有機結合剤として機能する。トール油が好適な加工助剤として機能できる。無機バッチ成分、有機結合剤、及び造孔剤は典型的には乾燥形態で混合され、その後、液体ビヒクル(例えば水)及び1つ以上の加工助剤と混合される。液体ビヒクル(例えば水)の量は、バッチ組成物混合物毎に異なり得るため、特定のバッチ組成物混合物を押出成形性に関して予備試験し、必要に応じて、押出成形のための適切な可塑性及び最適な取り扱い特性を達成するために液体ビヒクルのLV%を調整することによって決定される。
【0085】
押出成形による可塑化済みバッチ組成物混合物からの素地100Gの成形及び成型に加えて、他の好適な成形方法を使用してよい。例えば、1軸又は等方圧プレス、鋳造、及び射出成形を用いて素地100Gを成形してよい。例えば、セラミック体100がハニカム体として具現化されている場合、例えば触媒コンバータの通過基板(例えば触媒基板)、又は微粒子壁面流フィルタ用途に使用するための目封止ハニカム体として具現化されている場合には、押出成形を使用できる。得られた素地100Gを乾燥させた後、素地100Gをセラミック体100に変換するために有効な条件下で、ガス窯又は電気窯等の炉で焼成できる。焼成後、セラミック体100を本明細書に記載されているように目封止して、目封止セラミック体100Pを形成できる。
【0086】
焼成
1つ以上の実施形態では、素地100Gをセラミック体100に変換するために有効な焼成条件は、1,350℃~1,410℃の最高浸漬温度まで素地100Gを加熱すること、及びこれに続いて、コーディエライト‐インディアライト‐擬板チタン石結晶質相複合構造を生成するために十分な浸漬時間にわたって上記最高浸漬温度を保持することを含むことができる。いくつかの実施形態では、最高浸漬温度は1360℃~1400℃又は1380~1395℃とすることができる。最高浸漬温度は、素地100Gを、コーディエライト‐インディアライト‐擬板チタン石結晶質相複合構造を有するセラミック体100へと変換するために十分な浸漬時間にわたって維持される。浸漬時間は例えば約6時間~約24時間とすることができる。浸漬時間の後には、セラミック体100に熱衝撃を与えないような十分に低い速度での冷却が続く。
【0087】
目封止
壁面流微粒子フィルタ用途での使用のための目封止ハニカム体100Pを得るために、入口端部及び/又は面におけるセラミックハニカム体100のセルの一部分を、当該技術分野で公知であるように目封止できる。この目封止はチャネル104の端部で行ってよく、深さ約3mm~20mmとすることができるが、この深さは変化させることができる。いくつかの実施形態では、入口端部103ではなく出口端部105においてチャネル104の一部分が目封止され(例えば入口チャネル)、出口端部105ではなく入口端部103においてチャネル104の別の部分が目封止される(例えば出口チャネル)。従って各チャネル104は、完全に目封止された実施形態の一方の端部のみが目封止される。いくつかの実施形態では、所与の面上の他の全てのチャネル104が市松模様に目封止されるように、目封止構成を提供できる。しかしながら他の目封止パターンも可能であり、全てのチャネル104が目封止を含まなくてもよい。一部のチャネル104は目封止を含まなくてよく、即ち目封止されていない通過チャネルであってよい。好適かつ非限定的な目封止材料及び目封止プロセスは、例えば米国特許第4,329,162号明細書;米国特許第4,557,773号明細書;米国特許第6,673,300号明細書;米国特許第7,744,669号明細書;及び米国特許第7,922,951号明細書に記載されている。他の好適な目封止方法、パターン、及び目封止のタイプを使用してもよい。
【0088】
例示的なバッチ組成物混合物
これより、単なる例示であり限定を意図したものではない特定のバッチ組成物混合物に関して、本開示の例示的実施形態を更に説明する。以下の表2A~2Eは、コーディエライト‐インディアライト‐擬板チタン石構造複合セラミックを含むセラミック体100の形成において有用なバッチ組成物混合物210のいくつかの実施例(E1~E27)を提供する。特に、本明細書に記載の実施形態による例示的なバッチ混合物210は、マグネシア源、アルミナ源、シリカ源、及びチタニア源を含む無機成分を含むことができ、これは粉末化された微粒子源の材料等とすることができる。マグネシア源はバッチ組成物混合物中に20重量%~42重量%だけ提供でき;アルミナ源は25重量%~40重量%だけ提供でき;シリカ源は15重量%~30重量%だけ提供でき;チタニア源は1重量%~10重量%だけ提供でき、ここでマグネシア源、アルミナ源、シリカ源、及びチタニア源それぞれの重量%は全て、バッチ組成物混合物210中に存在する無機物の総重量100%をベースとしたものであり、即ち各無機成分は100%に対して追加される。
【0089】
マグネシア源が、粉末化された微粒子タルク材料としてバッチ組成物混合物に供給されるタルク源である場合、これは例えば、表1に示されているタルク粒径分布及び材料のうちの1つに従って提供できる。アルミナ源は、か焼されたアルミナ、水和アルミナ、更にはカオリン粘土等の粘土に由来するもの等の、アルミナ及び/又は水酸化アルミニウムのいずれの好適な源とすることができる。ハロイサイト又はアタパルジャイト等の他のタイプの粘土を用いてもよい。いくつかの実施形態では、アルミナ源は:11重量%~33重量%のか焼されたアルミナの微粒子材料;及び0重量%~16重量%の水和アルミナを含むことができ、これらはそれぞれ、バッチ組成物混合物210中の無機物の総重量100%をベースとしたものである。
【0090】
シリカ源は、微粒子シリカ、カオリン粘土等の粘土、又はタルク、又はこれらの組み合わせに由来するものとすることができる。チタニア源は、上述のような微粒子チタニア(TiO)のいずれの源とすることができる。
【0091】
バッチ組成物混合物は更に、26重量%SApf~56重量%SApf、更には35重量%SApf~56重量%SApfだけ提供された造孔剤を含み、ここで重量%SAは、バッチ組成物混合物210中の無機物の総重量100%をベースとした付加分の重量パーセントである。いくつかの実施形態では、造孔剤は、44重量%SApf~56重量%SApfだけ提供される。更なる実施形態では、造孔剤は、44重量%SApf~51重量%SApfのエンドウマメデンプンを含むことができる。例示的なエンドウマメデンプンは、表1に示されているような、及び/又は本明細書中の他の箇所に記載されているような、メジアン粒径(d50)及び粒径分布を有することができる。
【0092】
いくつかの実施形態では、造孔剤は、デンプンのみ、又はデンプンとグラファイトとの組み合わせを含む。例えば造孔剤は、44重量%SApf~46重量%SApfのエンドウマメデンプン、及び9重量%SApf~11重量%SApfのグラファイトを含み、ここで重量%SApfは、バッチ組成物混合物210中の無機物の総重量100%をベースとした付加分の重量パーセントである。
【0093】
【表2A】
【0094】
【表2B】
【0095】
【表2C】
【0096】
【表2D】
【0097】
【表2E】
【0098】
以下の表3A~3Gは、表1の原材料及び表2A~2Eで定義されたバッチ組成物混合物を利用してバッチ組成物混合物210から製造された、焼成後の例示的なセラミック体E1A~E28の、公称の酸化物の化学組成、加工の詳細、微小構造のジオメトリ及び特性、並びに重量パーセント(重量%)を単位とする相の分率としての様々な相の組成を示す。
【0099】
表2A~2EのE1~E28に対応する表3A~3Gの実施例E1A~E28はそれぞれ、軸方向長さが約200mm~305mm、公称直径が横方向断面において54mm、セル密度密度が46.6セル/cm、及び壁厚が0.20mm~0.23mmであるハニカム素地100Gを押出成形することによって得られた。これらのハニカム素地100Gは、表2A~2Eに列挙されている様々なバッチ材料から作製され、その後、列挙されている焼成条件で、電気炉内で焼成される。最高浸漬温度(℃)、及び時間(hr)を単位とする浸漬時間を示す。
【0100】
様々な源に関して計算された酸化物重量百分率を示す。コーディエライト‐インディアライト‐擬板チタン石(CID)複合セラミック中に存在する様々な相の相分率を示す。例えばE2は、コーディエライト、インディアライト、スピネル、エンスタタイト、擬板チタン石構造としてのアーマルコライト、ルチル、及び非晶質相を含有する。全ての実施例E1A~E28の相分率は、リートベルト法及びX線回折によって決定された。
【0101】
【表3A】
【0102】
【表3B】
【0103】
【表3C】
【0104】
【表3D】
【0105】
【表3E】
【0106】
【表3F】
【0107】
【表3G】
【0108】
セラミック体100の細孔径分布を、Autopore(登録商標)IV 9520ポロシメーターを用いた水銀侵入ポロシメトリーによって調査した。この測定システムでは、水銀が試験片全体に広がる臨界圧力に到達するまで、水銀が比較的狭い細孔チャネルに侵入して、増大した細孔の容積を充填するように、圧力を上昇させる。
【0109】
熱膨張は、4℃/分の速度で室温から1,000℃まで加熱した後、室温(RT)まで冷却する間に、寸法がおよそ0.25インチ×0.25インチ×2インチ(0.64×0.64×5.1cm)のバー状の試料に関して測定した。報告されたデータに関して、試験用バーの長軸をハニカムチャネル104の方向に配向することにより、熱膨張をハニカム体100の軸方向において提供した。室温(RT)から800℃までの平均熱膨張係数は、L(800℃)-L(25℃)/775℃として定義される。
【0110】
寸法が5インチ×1インチ×0.5インチ(12.7×2.54×1.27cm)であり、長軸がハニカムチャネル104の方向に配向された、バー形状の試料を用いて、曲げ共振周波数によって弾性率(E)を測定した。試料を1200℃まで加熱し、再び室温まで冷却した。各温度に関して、ASTM C 1198‐01を参照することによって、弾性率を共振周波数から直接導出し、試料のジオメトリ及び重量に関して正規化した。
【0111】
図4A~4Cは、実施例E9、E7C、及びE18の研磨済み焼成製品の走査電子顕微鏡(SEM)写真を示し、これは、相分布の拡大図を示し、ここではコーディエライト及びインディアライト相が濃い灰色、細孔が黒色、擬板チタン石構造相が薄い灰色である。セラミック体100中に存在する相は、X線回折(XRD)で同定された。X’Celerator高速検出器を備えたPhillips X’Pert回折システムを利用した。高解像度スペクトルを、典型的には15°~100°(2θ)で取得した。リートベルト法を用いて相の百分率を定量化した。
【0112】
図5は、セラミック体100を製造する方法を示す。方法500は、502において、20重量%~42重量%のマグネシア源、25重量%~40重量%のアルミナ源、15重量%~30重量%のシリカ源、及び1重量%~10重量%のチタニア源を含む無機成分を提供するステップを含み、ここで、マグネシア源、アルミナ源、シリカ源、及びチタニア源それぞれの重量%は、存在する無機物の総重量100%をベースとしたものである。
【0113】
製造方法500は更に、504において、上記無機成分を、有機結合剤、26重量%SApf~56重量%SApfの造孔剤、及び液体ビヒクルと混合して、バッチ組成物混合物を形成するステップを含み、ここで重量%SApfは、上記無機物の総重量100%をベースとする付加分の重量パーセントである。
【0114】
製造方法500は更に、506において、上記バッチ組成物混合物を成型して素地(例えば素地100G)とするステップ、及び508において、本明細書に記載されているように素地100Gを乾燥させるステップを含む。バッチ組成物混合物210を成型して素地100Gとする上記ステップは、押出ダイ218を通してバッチ組成物混合物210を押出成形して、素地ハニカム体を形成するステップを含むことができる。任意に、上記成型するステップは他のいずれの好適な方法によるものであってよい。
【0115】
製造方法500は更に、510において、上記素地を、合計重量百分率が少なくとも85重量%の、コーディエライト及びインディアライトを含有する結晶質相と、最大10重量%の結晶質擬板チタン石構造相とを含むセラミック体(例えばセラミック体100)に変換するために有効な条件下で、上記素地を焼成するステップを含む。上記擬板チタン石構造相を含む上記結晶質相は、いくつかの実施形態ではアーマルコライトを含むことができる。しかしながら、他の擬板チタン石構造相も提供できる。いくつかの実施形態では、上記素地(例えば素地100G)をセラミック体100に変換するために有効な上記焼成条件は、1350℃~1410℃の浸漬温度で素地100Gを加熱すること、及び素地100Gをセラミック体100に変換するために十分な浸漬時間にわたって、上記浸漬温度を維持することを含む。
【0116】
本開示の範囲を逸脱することなく、本明細書で開示されている様々な実施形態に対して様々な修正及び変更を行うことができることは、当業者には明らかであろう。よって、本開示は、開示されている実施形態の修正例及び変形例が、特許請求の範囲及びその均等物の範囲内である限りにおいて、これらの修正例及び変形例を包含することが意図されている。
【0117】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0118】
実施形態1
%P≧50%(ここで%Pは平均バルク体積気孔率である)であり;
df≦0.36(ここでdfは(d50-d10)/d50である)であり;
合計重量百分率が少なくとも85重量%の、コーディエライト及びインディアライトを含有する結晶質相を含み;
最大10重量%の、擬板チタン石構造を含む結晶質相を含む、セラミック体であって、
上記セラミック体は、酸化物基準の重量パーセントで表した場合に:
1重量%~11重量%のチタニア、並びに89重量%~99重量%のMgO、Al、及びSiO(ここでMgO:Al:SiOの相対重量比は15.6:34.0:50.4、12.6:34.0:53.4、13.9:30.7:55.4、及び16.9:30.7:52.4によって定義されるフィールド内である);
又は
2.5%~11%のチタニア、並びに89重量%~97.5重量%のMgO、Al、及びSiO(ここでMgO:Al:SiOの相対重量比は15.6:34.0:50.4、12.6:34.0:53.4、12.0:35.7:52.3、及び15.0:35.7:49.3によって定義されるフィールド内である)
を含有する、セラミック体。
【0119】
実施形態2
微小クラック指数NbがNb≧0.10である、実施形態1に記載のセラミック体。
【0120】
実施形態3
%P≧55%である、実施形態1に記載のセラミック体。
【0121】
実施形態4
%P≧60%である、実施形態1に記載のセラミック体。
【0122】
実施形態5
%P≧65%である、実施形態1に記載のセラミック体。
【0123】
実施形態6
50%≦%P≦72%である、実施形態1に記載のセラミック体。
【0124】
実施形態7
60%≦%P≦72%である、実施形態1に記載のセラミック体。
【0125】
実施形態8
65%≦%P≦72%である、実施形態1に記載のセラミック体。
【0126】
実施形態9
df≦0.32である、実施形態1に記載のセラミック体。
【0127】
実施形態10
df≦0.25である、実施形態1に記載のセラミック体。
【0128】
実施形態11
df≦0.22である、実施形態1に記載のセラミック体。
【0129】
実施形態12
df≦0.20である、実施形態1に記載のセラミック体。
【0130】
実施形態13
df≦0.18である、実施形態1に記載のセラミック体。
【0131】
実施形態14
df≦0.17である、実施形態1に記載のセラミック体。
【0132】
実施形態15
0.16≦df≦0.30である、実施形態1に記載のセラミック体。
【0133】
実施形態16
0.16≦df≦0.25である、実施形態1に記載のセラミック体。
【0134】
実施形態17
0.16≦df≦0.22である、実施形態1に記載のセラミック体。
【0135】
実施形態18
0.16≦df≦0.20である、実施形態1に記載のセラミック体。
【0136】
実施形態19
dB≦0.85である、実施形態1に記載のセラミック体。
【0137】
実施形態20
dB≦0.70である、実施形態1に記載のセラミック体。
【0138】
実施形態21
dB≦0.60である、実施形態1に記載のセラミック体。
【0139】
実施形態22
7μm≦d50≦20μm(ここでd50は上記セラミック体の細孔メジアン径である)である、実施形態1に記載のセラミック体。
【0140】
実施形態23
10μm≦d50≦20μm(ここでd50は上記セラミック体の細孔メジアン径である)である、実施形態22に記載のセラミック体。
【0141】
実施形態24
12μm≦d50≦20μm(ここでd50は上記セラミック体の細孔メジアン径である)である、実施形態22に記載のセラミック体。
【0142】
実施形態25
25℃~800℃で測定した場合に、CTE≦14×10-7/℃(ここでCTEは熱膨張係数である)である、実施形態1に記載のセラミック体。
【0143】
実施形態26
CTE≦13×10-7/℃である、実施形態25に記載のセラミック体。
【0144】
実施形態27
CTE≦12×10-7/℃である、実施形態25に記載のセラミック体。
【0145】
実施形態28
CTE≦10×10-7/℃である、実施形態25に記載のセラミック体。
【0146】
実施形態29
CTE≦9×10-7/℃である、実施形態25に記載のセラミック体。
【0147】
実施形態30
3×10-7/℃≦CTE≦14×10-7/℃である、実施形態25に記載のセラミック体。
【0148】
実施形態31
3×10-7/℃≦CTE≦12×10-7/℃である、実施形態25に記載のセラミック体。
【0149】
実施形態32
50%≦%P≦72%であり;
7μm≦d50≦20μm(ここでd50は細孔メジアン径である)であり;
0.16≦df≦0.36であり;
3×10-7/K≦CTE≦14×10-7/Kである、実施形態1に記載のセラミック体。
【0150】
実施形態33
60%≦%P≦72%であり;
10μm≦d50≦20μm(ここでd50は細孔メジアン径である)であり;
0.16≦df≦0.25であり;
3×10-7/℃≦CTE≦13×10-7/℃(ここでCTEは、25℃~800℃で測定した場合の、上記セラミック体の熱膨張係数である)である、実施形態1に記載のセラミック体。
【0151】
実施形態34
60%≦%P≦72%であり;
12μm≦d50≦20μm(ここでd50は上記セラミック体の細孔メジアン径である)であり;
0.16≦df≦0.20であり;
3×10-7/K≦CTE≦12×10-7/K(ここでCTEは、25℃~800℃で測定した場合の、上記セラミック体の熱膨張係数である)である、実施形態1に記載のセラミック体。
【0152】
実施形態35
60%≦%P≦72%であり;
13μm≦d50≦20μm(ここでd50は上記セラミック体の細孔メジアン径である)であり;
0.16≦df≦0.18であり;
3×10-7/K≦CTE≦12×10-7/K(ここでCTEは、25℃~800℃で測定した場合の、上記セラミック体の熱膨張係数である)である、実施形態1に記載のセラミック体。
【0153】
実施形態36
コーディエライト及びインディアライトの上記結晶質相は、85重量%~92重量%である、実施形態1に記載のセラミック体。
【0154】
実施形態37
コーディエライトの上記結晶質相は、53重量%~78重量%である、実施形態1に記載のセラミック体。
【0155】
実施形態38
インディアライトの上記結晶質相は、15重量%~35重量%である、実施形態1に記載のセラミック体。
【0156】
実施形態39
上記擬板チタン石構造は、アーマルコライトの結晶質相を含む、実施形態1に記載のセラミック体。
【0157】
実施形態40
アーマルコライトの上記結晶質相は、2重量%~8重量%である、実施形態39に記載のセラミック体。
【0158】
実施形態41
1.5重量%~3重量%のムライトの結晶質相を含む、実施形態1に記載のセラミック体。
【0159】
実施形態42
1.0重量%未満のルチルの結晶質相を含む、実施形態1に記載のセラミック体。
【0160】
実施形態43
7重量%未満の非晶質相を含む、実施形態1に記載のセラミック体。
【0161】
実施形態44
上記チタニアの酸化物濃度は1重量%~6重量%である、実施形態1に記載のセラミック体。
【0162】
実施形態45
上記チタニアの酸化物濃度は2重量%~6重量%である、実施形態44に記載のセラミック体。
【0163】
実施形態46
上記マグネシアの酸化物濃度は12重量%~17重量%である、実施形態1に記載のセラミック体。
【0164】
実施形態47
2重量%~6重量%のチタニア、並びに94重量%~98重量%のMgO、Al、及びSiO(ここでMgO:Al:SiOの相対重量比は14.3:34.9:50.8;13.3:34.9:51.8;14.3:32.3:53.4;及び15.3:32.3:52.4によって定義されるフィールド内である)を含む、実施形態1に記載のセラミック体。
【0165】
実施形態48
ハニカム体を含む、実施形態1に記載のセラミック体。
【0166】
実施形態49
上記ハニカム体は、連結多孔質壁のマトリクスを含む、実施形態48に記載のセラミック体。
【0167】
実施形態50
上記連結多孔質壁のマトリクスは、0.05mm~0.41mmの横方向壁厚を有する、実施形態49に記載のセラミック体。
【0168】
実施形態51
上記連結多孔質壁のマトリクスは、15.5セル/cm~62セル/cmのセル密度有する、実施形態49に記載のセラミック体。
【0169】
実施形態52
合計重量百分率が85重量%~92重量%の、コーディエライト及びインディアライトを含む結晶質相と、最大10重量%の、アーマルコライトを含む擬板チタン石構造の第2の結晶質相とを含む、セラミック体であって、
上記セラミック体は、酸化物基準の重量パーセントで表した場合に、1重量%~11重量%のチタニア、並びに89重量%~99重量%のMgO、Al、及びSiO(ここでMgO:Al:SiOの相対重量比は15.6:34.0:50.4、12.6:34.0:53.4、13.9:30.7:55.4、及び16.9:30.7:52.4によって定義されるフィールド内である)を含有し;
55%≦%P≦72%であり;
8μm≦d50≦20μm(ここでd50は細孔メジアン径である)であり;
0.16≦df≦0.32(ここでdfは(d50-d10)/d50である)であり;
25℃~800℃において3×10-7/℃≦CTE≦14×10-7/℃である、セラミック体。
【0170】
実施形態53
合計重量百分率が85重量%~92重量%の、コーディエライト及びインディアライトを含む結晶質相と、最大10重量%の、アーマルコライトを含む擬板チタン石構造の第2の結晶質相とを含む、セラミック体であって、
上記セラミック体は、酸化物基準の重量パーセントで表した場合に、2.5%~11%のチタニア、並びに89重量%~97.5重量%のMgO、Al、及びSiO(ここでMgO:Al:SiOの相対重量比は15.6:34.0:50.4、12.6:34.0:53.4、12.0:35.7:52.3、及び15.0:35.7:49.3によって定義されるフィールド内である)を含有し;
55%≦%P≦72%であり;
8μm≦d50≦20μm(ここでd50は細孔メジアン径である)であり;
0.16≦df≦0.32(ここでdfは(d50-d10)/d50である)であり;
25℃~800℃において3×10-7/℃≦CTE≦14×10-7/℃である、セラミック体。
【0171】
実施形態54
酸化物基準の重量パーセントで表した場合に:
1重量%~11重量%のチタニア、並びに89重量%~99重量%のMgO、Al、及びSiO(ここでMgO:Al:SiOの相対重量比は15.6:34.0:50.4、12.6:34.0:53.4、13.9:30.7:55.4、及び16.9:30.7:52.4によって定義されるフィールド内である);又は
2.5%~11%のチタニア、並びに89重量%~97.5重量%のMgO、Al、及びSiO(ここでMgO:Al:SiOの相対重量比は15.6:34.0:50.4、12.6:34.0:53.4、12.0:35.7:52.3、及び15.0:35.7:49.3によって定義されるフィールド内である)
の、マグネシア源、アルミナ源、シリカ源、及びチタニア源を含む、バッチ組成物混合物。
【0172】
実施形態55
20重量%~42重量%の上記マグネシア源;
25重量%~40重量%の上記アルミナ源;
15重量%~30重量%の上記シリカ源;及び
1重量%~10重量%のチタニア源
を含み、
上記マグネシア源、上記アルミナ源、上記シリカ源、及び上記チタニア源それぞれの上記重量%は全て、前記バッチ組成物混合物中に存在する無機物の総重量100%をベースとしたものである、実施形態54に記載のバッチ組成物混合物。
【0173】
実施形態56
前記アルミナ源は、それぞれ前記バッチ組成物混合物中の無機物の総重量をベースとして:
20重量%~35重量%のアルミナ;及び
0重量%~16重量%の水和アルミナ
を含む、実施形態54に記載のバッチ組成物混合物。
【0174】
実施形態57
26重量%SA~56重量%SAの造孔剤を含み、
重量%SAは、上記バッチ組成物混合物中の無機物の総重量をベースとした、付加分の重量パーセントである、実施形態54に記載のバッチ組成物混合物。
【0175】
実施形態58
上記造孔剤は、35重量%SA~56重量%SAの範囲内で提供される、実施形態57に記載のバッチ組成物混合物。
【0176】
実施形態59
上記造孔剤は、35重量%SA~51重量%SAの範囲内で提供されるエンドウマメデンプンを含む、実施形態57に記載のバッチ組成物混合物。
【0177】
実施形態60
上記造孔剤は、36重量%SA~46重量%SAのエンドウマメデンプンと、9重量%SA~11重量%SAのグラファイトとを含む、実施形態57に記載のバッチ組成物混合物。
【0178】
実施形態61
上記造孔剤は、デンプンのみ、又はデンプンとグラファイトとの組み合わせを含む、実施形態57に記載のバッチ組成物混合物。
【0179】
実施形態62
セラミック体を製造する方法であって、
上記方法は:
20重量%~42重量%のマグネシア源、
25重量%~40重量%のアルミナ源、
15重量%~30重量%のシリカ源、及び
1重量%~10重量%のチタニア源、
を含む無機成分を提供するステップであって、上記マグネシア源、上記アルミナ源、上記シリカ源、及び上記チタニア源それぞれの上記重量%は全て、存在する無機物の総重量100%をベースとしたものである、ステップ;
上記無機成分を、26重量%SApf~56重量%SApfの造孔剤、及び液体ビヒクルと混合して、バッチ組成物混合物を形成するステップであって、重量%SApfは、上記無機物の総重量100%をベースとした、付加分の重量パーセントである、ステップ;
上記バッチ組成物混合物を成型して素地とするステップ;並びに
合計重量百分率が少なくとも85重量%の、コーディエライト及びインディアライトを含有する結晶質相と、最大10重量%の、擬板チタン石構造を含む結晶質相とを含むセラミック体へと、上記素地を変換するために有効な条件下で、上記素地を焼成するステップ
を含む、方法。
【0180】
実施形態63
上記素地をセラミック体に変換するために有効な上記焼成条件は、1350℃~1410℃の浸漬温度で上記素地を加熱すること、及び上記素地を上記セラミック体に変換するために十分な浸漬時間にわたって、上記浸漬温度を維持することを含む、実施形態62に記載の方法。
【0181】
実施形態64
上記擬板チタン石構造は、アーマルコライトの結晶質相を含む、実施形態62に記載の方法。
【0182】
実施形態65
上記バッチ組成物混合物を成型して上記素地とする上記ステップは、素地ハニカム体を形成するための、押出ダイを通した上記バッチ組成物混合物の押出成形を含む、実施形態62に記載の方法。
【0183】
実施形態66
%P≧50%(ここで%Pは平均バルク体積気孔率である)であり;
df≦0.36(ここでdfは(d50-d10)/d50である)であり;
合計重量百分率が少なくとも85重量%の、コーディエライト及びインディアライトを含有する結晶質相を含み;
最大10重量%の、擬板チタン石構造を含む結晶質相を含む、セラミック体であって、
前記セラミック体は、酸化物基準の重量パーセントで表した場合に:
1重量%~11重量%のチタニア、並びに89重量%~99重量%のMgO、Al、及びSiO(ここでMgO:Al:SiOの相対重量比は15.6:34.0:50.4、12.6:34.0:53.4、13.9:30.7:55.4、及び16.9:30.7:52.4によって定義されるフィールド内である);
又は
2.5%~11%のチタニア、並びに89重量%~97.5重量%のMgO、Al、及びSiO(ここでMgO:Al:SiOの相対重量比は15.6:34.0:50.4、12.6:34.0:53.4、12.0:35.7:52.3、及び15.0:35.7:49.3によって定義されるフィールド内である)
を含有する、セラミック体。
【0184】
実施形態67
7μm≦d50≦20μm(ここでd50は前記セラミック体の細孔メジアン径である)である、実施形態66に記載のセラミック体。
【0185】
実施形態68
50%≦%P≦72%であり;
7μm≦d50≦20μm(ここでd50は細孔メジアン径である)であり;
0.16≦df≦0.36であり;
3×10-7/K≦CTE≦14×10-7/Kである、実施形態66に記載のセラミック体。
【0186】
実施形態69
60%≦%P≦72%であり;
10μm≦d50≦20μm(ここでd50は細孔メジアン径である)であり;
0.16≦df≦0.25であり;
3×10-7/℃≦CTE≦13×10-7/℃(ここでCTEは、25℃~800℃で測定した場合の、前記セラミック体の熱膨張係数である)である、実施形態66に記載のセラミック体。
【0187】
実施形態70
2重量%~6重量%のチタニア、並びに94重量%~98重量%のMgO、Al、及びSiO(ここでMgO:Al:SiOの相対重量比は14.3:34.9:50.8;13.3:34.9:51.8;14.3:32.3:53.4;及び15.3:32.3:52.4によって定義されるフィールド内である)を含む、実施形態66に記載のセラミック体。
【0188】
実施形態71
セラミック体を製造する方法であって、
前記方法は:
20重量%~42重量%のマグネシア源、
25重量%~40重量%のアルミナ源、
15重量%~30重量%のシリカ源、及び
1重量%~10重量%のチタニア源、
を含む無機成分を提供するステップであって、前記マグネシア源、前記アルミナ源、前記シリカ源、及び前記チタニア源それぞれの前記重量%は全て、存在する無機物の総重量100%をベースとしたものである、ステップ;
前記無機成分を、26重量%SApf~56重量%SApfの造孔剤、及び液体ビヒクルと混合して、バッチ組成物混合物を形成するステップであって、重量%SApfは、前記無機物の総重量100%をベースとした、付加分の重量パーセントである、ステップ;
前記バッチ組成物混合物を成型して素地とするステップ;並びに
合計重量百分率が少なくとも85重量%の、コーディエライト及びインディアライトを含有する結晶質相と、最大10重量%の、擬板チタン石構造を含む結晶質相とを含むセラミック体へと、前記素地を変換するために有効な条件下で、前記素地を焼成するステップ
を含む、方法。
【符号の説明】
【0189】
100 セラミック体
100G 素地、素地ハニカム体
100P 目封止セラミックハニカム体
102 多孔質壁
103 第1の端部、入口端部
104、104L、104S チャネル
105 第2の端部、出口端部
106 表皮
200 押出成形機
210 可塑化済みバッチ組成物混合物
212 バレル
214 チャンバ
215 長手方向
215D 下流側
215U 上流側
216 材料供給ポート
217 カートリッジアセンブリ、押出成形機カートリッジ
218 ハニカム押出ダイ
220 スクリーン
222 ホモジナイザー
224 押出スクリュ
226 表皮形成用マスク
228 切断要素
230 トレイ
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5