(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150643
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】埋め込み型人工弁の製造に関連するシステム、デバイス、および方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/24 20060101AFI20241016BHJP
【FI】
A61F2/24
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024117615
(22)【出願日】2024-07-23
(62)【分割の表示】P 2021556466の分割
【原出願日】2020-03-16
(31)【優先権主張番号】62/819,839
(32)【優先日】2019-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/904,496
(32)【優先日】2019-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516333805
【氏名又は名称】フォルダックス, インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】305053547
【氏名又は名称】カリフォルニア インスティテュート オブ テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ギャレット ジョンソン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン ジー. ベイス
(72)【発明者】
【氏名】マレク ロタク
(72)【発明者】
【氏名】プラヴィーン デ シルバ
(72)【発明者】
【氏名】ピーター ミルソン
(72)【発明者】
【氏名】フランシス ピー. マグワイア
(72)【発明者】
【氏名】モルテザ ガリブ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】改良された人工弁、それらの製造方法、ならびに弁を製造するためのシステムおよび装置を提供する。
【解決手段】人工弁は、経カテーテル移植用に構成され得る。人工弁は、人工弁尖を有し得る。人工弁は、ポリマー浸漬プロセスおよび/またはエレクトロスピニングなど、様々な方法で製造され得る。弁および他の医療デバイス用のスポンジ状のポリマーがまた開示されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年3月18日に出願された米国仮特許出願第62/819,839号および2019年9月23日に出願された米国仮特許出願第62/904,496号の利益および優先権を主張し、これらは両方とも、参照によりその全体およびすべての目的のために本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書に記載の主題は、一般に、改良された交換弁、より具体的には、2つ以上の人工ポリマー弁尖を有する埋め込み型人工心臓弁などの人工弁の製造および製造可能性のための改良された技術に関する。
【背景技術】
【0003】
ヒトの心臓には、体を通る血流を適切な方向に維持するための多数の弁がある。心臓の主要な弁は、二尖(僧帽弁)および三尖弁を含む、房室(AV)弁、ならびに大動脈弁および肺動脈弁を含む、半月弁である。健康な場合、これらの弁の各々は同じように動作する。弁は、弁の反対側で発生する圧力差に応じて、開いた状態(血流を許可する)と閉じた状態(血流を防ぐ)との間を移動する。
【0004】
これらの弁のいずれかが誤動作し始めると、患者の健康は深刻なリスクにさらされる可能性がある。誤動作は様々な理由で発生する可能性があるが、通常、血流を制限する狭窄または逆流のいずれかが発生し、血液が間違った方向に流れることが許容される。欠乏がひどい場合には、心臓弁の交換が必要になる場合がある。
【0005】
交換用心臓弁、特に交換用大動脈弁および僧帽弁の開発に多大な努力が費やされてきた。現在、人工弁の経カテーテル移植に大きな関心が寄せられている。経カテーテル弁の実装には、人工動脈ステントと統合された生体人工弁が含まれることがよくある。この方法は、低侵襲カテーテルベースの移植技術を備えた組織ベースの弁の利点を提供する。このような経カテーテル移植技術の例には、経カテーテル大動脈弁移植(TAVI)および経カテーテル大動脈弁置換(TAVR)などの大動脈弁置換技術、ならびに経カテーテル僧帽弁移植(TMVI)および経カテーテル僧帽弁置換技術(TMVR)などの僧帽弁置換技術が含まれる。これらの技術は、カテーテルを介して患者の体に人工弁を導入し、次に(最初に本来の弁を切除するのではなく)既存の損傷した心臓弁の上に人工弁を拡張することを含む。生体人工弁の経カテーテル移植は、弁リーフレットを形成するために使用される生体組織の有限の寿命に悩まされ、カテーテルベースの移植によってさらに悪化する。弁をカテーテルに適合させるために、弁は、大動脈弁または僧帽弁の位置での操作に必要なサイズよりも小さい断面サイズに縮小されなければならない。このサイズの縮小は、組織の弁尖に折り目およびしわを生じさせる可能性があり、これらの折り目およびしわは、しわのない組織よりも高い割合で石灰化の影響を受けやすくなる。
【0006】
これらおよび他の理由のために、改良された埋め込み型弁、ならびに埋め込み型弁を製造するための改良されたシステム、デバイス、および方法に対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書で提供されるのは、カテーテルまたは他の血管内送達デバイスを介して移植するように構成された人工弁のいくつかの例示の実施形態であり、いくつかの実施形態は、外科的に埋め込み型弁を対象とする。弁は、大動脈または僧帽弁、静脈弁、または他として使用するように構成され得る。血管内の実施形態は、一般に、2つ以上の人工ポリマー弁尖を有する弁体と結合されたステントまたは支持構造を含む。血管内の埋め込み型人工弁は、患者の血管系を通過することを可能にする、または他には、移植後に必要とされるよりも小さい寸法で患者の体内に導入されることを可能にする縮小された半径方向の寸法に収縮され得る。人工弁は、多くの実施形態では、自律的に、患者の血流を調節する際の動作のための拡張された構成に拡張され得る。人工弁は、大動脈弁、僧帽弁、三尖弁、および肺動脈弁の交換用として構成され得る。これらのフレームに含めることができる機能と同様に、拡張可能および収縮可能なフレームの多数の異なる実施形態が説明されている。
【0008】
人工心臓弁を製造または製造する際に使用するためのシステム、デバイス、および方法がまた提供される。これらの実施形態の多くは、人工弁の要素の一部またはすべてをウェットポリマーに浸漬して、その上にポリマーのコーティングを形成することを含む、浸漬鋳造または浸漬プロセスを利用する。次に、ポリマーを硬化させて、心臓弁の一部分にコーティングを形成するか、または心臓弁自体の構成要素を形成することができる。方法の実施形態の多数のバリエーションが開示されており、これらの方法自体を変更、再配置、および追加のステップで補足することができる。
【0009】
人工心臓弁を製造または製造する際に使用するためのシステム、デバイス、および方法がまた提供される。これらの実施形態の多くは、フレーム上にエレクトロスピニングポリマーを利用して、弁を形成する。方法の実施形態の多数のバリエーションが開示されており、これらの方法自体を変更、再配置、および追加のステップで補足することができる。
【0010】
スポンジ状のポリマーを製造する方法と同様に、スポンジ状のポリマーを利用するシステム、デバイス、および方法が開示されている。スポンジ状のポリマーは、弁、ステント、交換用の椎間板および椎骨、フィルター、組織の足場、ならびに血管パッチなどの、様々な医療デバイスに利用され得る。
【0011】
本明細書に記載の主題の他のシステム、デバイス、方法、特徴、および利点は、以下の図および詳細な説明を検討することにより、当業者に明らかになるか、または明らかになるであろう。そのようなすべての追加のシステム、方法、特徴、および利点は、この説明に含まれ、本明細書に記載の主題の範囲内にあり、付随する特許請求の範囲によって保護されることが意図されている。例示の実施形態の特徴は、特許請求の範囲におけるそれらの特徴の明示的な列挙がない限り、添付の特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0012】
本明細書に記載の主題の詳細は、その構造および動作の両方に関して、同様の参照番号が同様の部分を指し得る、添付の図を検討することによって明らかになり得る。図内の構成要素は、必ずしも縮尺どおりではなく、代わりに、主題の原理を図示することに重点が置かれている。さらに、すべての図は、相対的サイズ、形状、および他の詳細な属性が文字通りまたは正確にではなく概略的に示され得る概念を伝達するように意図される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1A】当技術分野で知られている人工弁を示す斜視図である。
【
図1B】人工弁で使用するための収縮フレームの例示の実施形態を示す側面図である。
【
図2A】人工弁で使用するための拡張フレームの例示の実施形態を示す斜視図である。
【
図3】人工弁の例示の実施形態を示す上面図である。
【
図4】人工弁で使用するためのフレームの例示の実施形態を示す斜視図である。
【
図5A】人工弁の例示の実施形態を示す上面図である。
【
図5B】人工弁の例示の実施形態を示す斜視図である。
【
図5C】人工弁の例示の実施形態を示す側面図である。
【
図5D-E】[
図5D]人工弁の例示の実施形態を示す側面図である。[
図5E]人工弁の例示の実施形態を示す上面図である。
【
図5F】人工弁で使用するための部分的に収縮したフレームの例示の実施形態を示す側面図である。
【
図6A】弁を製造する方法の例示の実施形態を示す流れ図である。
【
図6B】製造の様々な段階での弁の実施例を示す画像である。
【
図6C】製造の様々な段階での弁の実施例を示す画像である。
【
図6D】製造の様々な段階での弁の実施例を示す画像である。
【
図6E】製造の様々な段階での弁の実施例を示す画像である。
【
図6F】製造の様々な段階での弁の実施例を示す画像である。
【
図6G】製造の様々な段階での弁の実施例を示す画像である。
【
図6H】製造の様々な段階での弁の実施例を示す画像である。
【
図7A】弁を製造する方法の例示の実施形態を示す流れ図である。
【
図7B】製造の様々な段階での弁の実施例を示す画像である。
【
図7C】製造の様々な段階での弁の実施例を示す画像である。
【
図8A】弁を製造する方法の例示の実施形態を示す流れ図である。
【
図8B】製造の様々な段階での弁の例示の実施形態を示す流れ図である。
【
図9】弁を製造する方法の例示の実施形態を示す流れ図である。
【
図10A】シーリングスカートの例示の実施形態の画像である。
【
図10E】弁のシーリングスカートの拡大画像である。
【
図10F】シーリングスカートを有するフレームの例示の実施形態の画像である。
【
図10G】シーリングスカートを有するフレームの例示の実施形態の画像である。
【
図10H-I】[
図10H]シーリングスカートを有するフレームの例示の実施形態の画像である。[
図10I]内側ライナーを有するフレームの画像である。
【
図10J】エレクトロスピニングされたポリマーと接触しているキャストポリマーの断面の拡大画像であり、
図10Kは、
図10Jの装置のさらに拡大された画像である。
【
図10K】エレクトロスピニングされたポリマーと接触しているキャストポリマーの断面の拡大画像であり、
図10Kは、
図10Jの装置のさらに拡大された画像である。
【
図11A】弁を製造する方法の例示の実施形態を示す流れ図である。
【
図11B】弁を製造する方法の例示の実施形態を示す流れ図である。
【
図11C】弁を製造する方法の例示の実施形態を示す流れ図である。
【
図11D】弁を製造する方法の例示の実施形態を示す流れ図である。
【
図11E】製造の様々な段階での人工弁の一部分を示す断面図である。
【
図11F】製造の様々な段階での人工弁の一部分を示す断面図である。
【
図11G】製造の様々な段階での人工弁の一部分を示す断面図である。
【
図11H】製造の様々な段階での弁プロテーゼの例示の実施形態の画像である。
【
図11I】製造の様々な段階での弁プロテーゼの例示の実施形態の画像である。
【
図11J】弁を製造する方法の例示の実施形態を示す流れ図である。
【
図11K】それぞれ、ヒートコンディショニング前後のシーリングスカートの流出エッジの例示の実施形態の画像である。
【
図11L】それぞれ、ヒートコンディショニング前後のシーリングスカートの流出エッジの例示の実施形態の画像である。
【
図11M】ポリマー浸漬によるコンディショニング後のシーリングスカートの流入エッジの例示の実施形態の画像であり、それぞれ外径および内径から取られたものである。
【
図11N】ポリマー浸漬によるコンディショニング後のシーリングスカートの流入エッジの例示の実施形態の画像であり、それぞれ外径および内径から取られたものである。
【
図12A】スポンジ状のポリマーの例示の実施形態の写真である。
【
図12B】スポンジ状のポリマーの例示の実施形態の写真である。
【
図12C】スポンジ状のポリマーの例示の実施形態の写真である。
【
図12D】スポンジ状のポリマーの例示の実施形態の写真である。
【
図13A】縫製カフを有する外科用弁の例示の実施形態の写真である。
【
図13B】縫製カフを有する外科用弁の例示の実施形態の写真である。
【
図13C】縫製カフを有する外科用弁の例示の実施形態の写真である。
【
図13D】縫製カフを有する外科用弁の例示の実施形態の写真である。
【
図14】スポンジ状のポリマーを製造する方法の例示の実施形態を示す流れ図である。
【
図15】スポンジ状のポリマーを製造する方法の例示の実施形態を示す流れ図である。
【
図16】スポンジ状のポリマーを製造する方法の例示の実施形態を示す流れ図である。
【
図17A】マンドレルの例示の実施形態の側面図である。
【
図17B】圧着状態の弁の例示の実施形態の上面図である。
【
図18A】拡張状態のフレームのポケット内にポリマーウェルを有するフレームの例示の実施形態の一部分の画像である。
【
図18B】圧着状態のフレームの例示の実施形態の一部分の図解である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本主題が詳細に説明される前に、本開示は、説明された特定の実施形態に限定されず、それ自体はもちろん変化し得ることを理解されたい。本開示の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるので、本明細書で使用される用語は特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図しないことも理解されたい。
【0015】
本明細書に記載の例示の実施形態は、2つ以上の弁尖と結合された支持構造、ステント、またはフレームを有する人工心臓弁などの改良された埋め込み型人工弁、ならびに埋め込み型弁の製造および製造可能性に関する技術に関する。これらの実施形態は、人工(生物学的組織ではない)ポリマー弁尖に特に適しており、結果として得られる人工弁は、より長い寿命という追加の利点とともに、現在のアプローチに匹敵する利点を提供する。ポリマーベースの弁尖を備えた弁は、ポリマーが生体組織と同じ構造的支持を提供することができる一方で、はるかに薄く、弁をより簡単に収縮させて送達できるため、有利である。これにより、ポリマーが収縮するときにポリマーへのストレスが少なくなり、弁リーフレットの長期的な劣化が防止される。さらに、本明細書に記載の製造方法は、弁尖を支持構造またはステントに縫合または成形することなく弁の製作を可能にし、したがって、高品質の再現可能な結果を促進する。
【0016】
本明細書に記載の実施形態は、心臓弁(大動脈および僧帽弁)に特に適しているが、それらは、末梢弁または他のものにおいて同様に使用することができる。実施形態は、同様に、ステントおよびステントグラフトデバイス、または人体内に埋め込み型である他の医療デバイスとともに使用することができる。
【0017】
図1Aは、支持構造102および弁体104を有する当技術分野で知られている例示的な埋め込み型人工弁100を示す斜視図である。この実施形態では、弁体は、大動脈置換弁として構成されており、3つの弁リーフレット110-1、110-2、および110-3を有する。弁100は、血液が上流端106(近位端または流入端と呼ばれることもある)から下流端108(遠位端または流出端と呼ばれることもある)に流れることを可能にするように構成されており、弁100は、弁を通る血流の一次方向に対して平行に上流端106と下流端108との間に延在している長手方向軸112を有する。
【0018】
本明細書に記載の弁の多くの実施形態は、(特に明記しない限り)経カテーテル移植用に構成され得、したがって、一方では、血流を調節するための拡張構成または動作構成(比較的大きな半径方向寸法を有する)の間で遷移することができ、他方で、血管内または経心尖送達のための送達デバイス(例えば、カテーテル)への挿入を可能にする、収縮した、圧着された、または送達可能な構成(比較的小さい半径方向の寸法を有する)の間で遷移することができる。
図1Bは、拡張状態から収縮状態にサイズが縮小された弁100を示している。
図1Bは、送達デバイス500内の収縮状態の支持構造102を示している。本明細書に記載の弁のすべての実施形態は、自己拡張可能であり得、その結果、弁が、別のエンティティからの支援なしに送達デバイスを出るか、または送達デバイスから解放されると、収縮状態から拡張状態に自動的に拡張するか、またはバルーン拡張可能であり得、その結果、弁が膨張可能なバルーンまたは他の拡張可能な部材の支援により拡張する。
【0019】
支持構造102は、弁体104と結合され、本体104に半径方向および長手方向の支持を提供する。
図1Aに示されるように、支持構造102の本体は、単一またはモノリシック本体に一緒に結合された複数の支柱120を含む。各支柱120は、拡張状態(ここに示されている)状態と収縮状態との間の構造102の遷移のために変形可能な場所で別の支柱と結合されている。この実施例では、支柱120は、複数の開放領域124が存在するように、交差パターンまたは格子で相互接続されている。これらの開放領域124は、本明細書に示される構成において4面の菱形を有する。支持構造102はまた、フレームまたはステントと呼ばれることがある。
【0020】
人工弁の例示の実施形態
図2Aは、フレーム1020の例示の実施形態を示す斜視図であり、これは、埋め込み型人工弁体、例えば、弁体1040(この図には示されていない)の支持構造である。この実施形態は、拡張状態から収縮状態にサイズを縮小することができる。
図2Aの実施形態では、フレーム1020の本体は、単一またはモノリシック本体に一緒に結合された複数の支柱1200を含む。各支柱1200は、例えば、場所1220で、拡張状態と収縮状態との間のフレーム1020の遷移のために変形可能である別の支柱と結合される(
図1は、拡張状態のフレーム102を示している)。この実施形態では、支柱1200は、複数の開放領域1240が存在するように、交差パターンまたは格子で相互接続されている。
【0021】
これらの開放領域1240は、一般に、ここに示される拡張構成において4面の菱形を有する。開放領域1240および開放領域1240の側面を形成する支柱1200(この実施形態では4つの支柱)は、まとめて、フレームのセル1155と呼ばれる。支柱1200の多くは、一般に、長手方向軸112に対してある角度で配向されている。
【0022】
フレーム1020の下流108側には、3つの交連位置がある。各交連位置は、2つの隣接する弁尖(図示せず)の間の交点と整列する。したがって、この実施形態は、3つの弁尖弁体とともに使用するように構成されている。これらの交連位置のうちの1つは、参照番号1120で示される。この位置1120の上部では、支柱1130は、フレーム1020のその部分を有利に補強する偏向減衰特徴を備えて形成されている。この特徴1130は、完全な拡張期負荷の下での過剰なたわみの防止を容易にし得る。この例示の実施形態では、特徴1130はT字型であるが、他の実施形態では、特徴は代替の配置を有し得る。
【0023】
図2Aを参照すると、フレーム1020のエッジ1150に沿って、弁の弁尖の上流エッジが存在するであろう下流108端で(ここには示されていない、例えば、
図3を参照)、支柱1200は、連続エッジ1150を形成している。この構成により、その領域の弁尖応力を最小限に抑えることができる。この連続エッジ1150は、支柱1200によって形成された個々のフレームセル1155の不均一で固有の格子を接続することによって構築される。フレーム1020の各セル1155は、エッジ1150によって望まれる角度の付いた形状を達成するように独自に設計され得る。このフレーム1020の設計により、冠状動脈への開放アクセスと環状上弁尖の配置が可能になり、臨床的に有意な低い勾配レベルにつながることが示されている。
【0024】
領域1130は、
図2Bにより詳細に示されている。隣接する菱形のセルは支柱を共有するが、偏向減衰特徴1130の領域では、隣接するセル1155-1および1155-2は各々、それぞれそれ自体の内部支柱1134および1135を有する。セル1155-1および1155-2の下流部分は、それぞれ支柱1137および1138と結合され、比較的小さなセル1136を形成する。長手方向支柱1139は、支柱1137と支柱1138との間の接合部から下流に延在しており、テザーなどでフレーム2020を送達システム(図示せず)に取り付けるために使用されるループ1140で下流端108でキャップされる。
【0025】
図3は、部分的に開いた状態の弁体1040を支持する拡張状態のフレーム1020を備えた弁1000の一実施形態を示している。弁体1040は、3つの弁尖1110を含み、各々が、交連位置1120でフレーム1020に取り付けられ、フレーム1020によって支持される外側上流エッジ1050を有する。フレーム1020のこの実施形態は、
図2A~
図2Bの実施形態と同様であるが、より短い長手方向の長さを有する。
【0026】
図4は、埋め込み型弁体(
図5A~
図5Cの弁2000を参照)の支持構造であるステントまたはフレーム2020の例示の実施形態を示す斜視図である。
図4の実施形態では、フレーム2020は、互いに偏向可能に結合された複数の支柱2200を含む。この実施形態では、フレーム2020は、支柱がシームレスに相互接続されるように、単一のソースオブジェクトから機械加工された、または切り取られた単一またはモノリシック構造である。あるいは、支柱のうちの1つ以上を個別に形成し、次に物理的に結合してフレームを形成することができ、ここで、各支柱接続は、溶接または他の形態の取り付けである。支柱2200は、フレーム2020の拡張状態と収縮状態との間の遷移のために変形可能である。この実施形態では、支柱2200はまた、複数の内部領域2230が存在するように、交差パターンまたは格子状に配置されている。
【0027】
これらの内部領域2230は、一般に、ここに示される構成において4面の菱形を有する。内部領域2230および領域2230の側面を形成する支柱2200(この実施形態では4つの支柱)は、フレーム2020のセル2255を構成する。隣接するセル2255は、少なくとも1つの支柱2200を共有する。拡張構成では、支柱2200の多くは、一般に、長手方向軸112に対してある角度で配向されているが、その角度は、収縮状態では減少している。
【0028】
図5Aは、3つの弁リーフレット2110を有する弁体2040を支持する、下流端108からのフレーム2020を備えた弁2000を示している。各弁リーフレット2110は、交連位置2120またはその近くでフレーム2020によって支持されている。
図5Bは、弁体2040を支持するフレーム2020を備えた弁2000の斜視図を示している。
図5Cは、フレーム2020および個々の弁尖2110を示す弁2000のシミュレーションの側面図である(ただし、説明を容易にするために、弁体の残りの部分およびフレームセル内のポリマーを省略している)。
【0029】
図4および
図5A~
図5Cの実施形態では、フレーム2020の下流端108は、交連位置2050の上流に位置するクラウンまたはクラウンセクション2500を含む。これらの実施形態では、クラウン2500は、フレーム2020の円周の周りで連続的に繰り返されるセル2255の単一の列を含む。クラウン2500は、6つの追加セル2255を含み、そのうちの3つは単一の行に隣接して下流に位置して、頂上2120(以下で説明)を形成し、そのうちの3つ(セル2256)は交連位置2050の上方の単一の行に隣接して上流に位置されている。
【0030】
クラウン2500は、フレーム2020で発生するたわみを低減するのに役立ち得、これにより、弁膜の弁尖応力が低下する可能性がある。さらに、クラウン2500は、斜めの角度で誤って埋め込まれた場合に流入側106を安定させるのを助けるための矯正機能として機能することができる。本来の弁輪が楕円形の場合、クラウン2500はまた、人工弁を丸く保つのに役立つため、より低い応力で機能する。クラウン2500はまた、副鼻腔接合部(STJ)に追加の固定を提供することができる。クラウン2500はまた、角度を付けて展開した場合、弁をまっすぐにする、および/または整列することに役立ち得る。クラウン2500のセルは、例えば、セルを通る血流への影響を最小限にするために、ポリマーで満たすことができ(
図5Bを参照)、またはポリマーを欠くこともできる。クラウン2500はまた、人工弁2000が半機能的であると、後の段階で弁2000の解放を可能にし得、弁2000を完全に解放することなく、固定および/または流れの評価を可能にする。
【0031】
頂上2120は各々、交連位置2050に整列されている。
図4では、頂上位置2120および交連位置2050のうちの1つのみがラベル付けされている。頂上2120の上端または下流端は、係止機能2140と結合され、これは、この実施形態では、テザーなどを使用してフレームを送達システム(図示せず)に取り付けるために使用され得るループである。フックまたは支柱などの他の構造は、係止機能として使用され得る。他の実施形態では、頂上2120および係止特徴2140は、交連位置2050からオフセットされ得る。例えば、頂上2120および係止特徴2140は、
図5Aに示される交連整列位置から交連位置2050の中間の位置2600に移動することができる。弁は通常、埋め込まれるときに最初に流入端に展開される。係止特徴2140が交連位置2050と整列されるとき、弁の動作(弁尖による血流の調節)は、係止機能2140が交連2050の中間に位置付けられている構成(位置2600など)よりも比較的遅く開始する。したがって、位置2600に係止特徴2140を配置することにより、展開中のより早い弁動作を可能にすることができる。
【0032】
フレーム2020のウエスト区域のクラウン2500の下(上流側)に位置付けられている3つの開放領域2250は、交連位置2120の間に画定される。
図4に示されるように、ウエスト領域のこれらの開放領域2250は、一般に、下流108端と上流106端との間に位置し、フレーム2020内の任意の所与のセル2255よりもサイズが大きい。一実施形態では、開放領域2250の下流端108は、セル2255の複数の列の幅を有するが、開放領域2250の上流端106はより狭く、開放領域2250の長さは、セル2255の複数の行によって画定される。これらの開放領域2250は、弁尖の長手方向長さよりも長い長手方向長さ(長手方向軸112に対して平行に測定される)を有することができ(
図5Bを参照)、これは、必要に応じて、その後の冠状動脈インターベンションの場合に冠状動脈への直接的なアクセスを可能にする、弁尖の自由端の下流側にギャップを提供する。これらの開放領域2250はまた、冠状動脈への自由な流れを可能にし、冠状動脈の解剖学的構造に対して弁を半径方向に整列させる、または「クロック」する必要性を防止し得る。これらの開放領域2250はまた、診断または治療デバイスのために冠状動脈への、および/または冠状動脈からのアクセスを可能にすることができる。
【0033】
他の実施形態では、クラウン2500は、セル2255の複数の列を含むことができ、複数のセルもしくは非セル構造を有する頂上2120を形成することができ、頂上2120を完全に省略することができ、および/または冠状動脈インターベンションに適切なギャップを提供する別の構造の有無にかかわらず、単一の列を交連位置2050に接続するセル2256を省略することができる。
【0034】
弁体2040の弁尖2110は、開放領域2250の上部のすぐ下に形成される。この実施形態では、弁体2040は、クラウン特徴2500の領域2230およびクラウンの下方の弁の本体の領域2230を含む、内部領域2230のほとんどまたはすべてが、フィルムまたは繊維形態のいずれかのポリマーで少なくとも部分的に密封されるか、または完全に密封されるように(アパーチャが存在しないように)、フレーム2020上に形成されるか、またはフレーム2020に取り付けられる。他の実施形態では、クラウン特徴2500の領域2230は、開いており、ポリマーを含まない。弁尖2110を備えた弁体2040は、フレーム2020の外側にさらに形成され得、これは、圧着を容易にし得る。
【0035】
図5Dは、フレーム2020内にフレーム2020および弁体2040を有する弁2000の別の側面図である。また、フレーム2020の流入端106上のシーリングスカートとして構成されたシール2900が示されている。シール2900は、フレームおよび/またはフレーム上のポリマーとのポリマー結合によってプロテーゼに縫合なしで取り付けられる。
図5Eは、流出108端からの弁2000を示している。この図から、弁体2040の弁尖2110を見ることができる。
図5Fは、展開中に発生するように、送達デバイス500内に流出端を有する部分的に収縮した状態の弁2000を示している。
【0036】
弁1000および2000の実施形態は、概して右円筒形の上流端を有するが、これらの実施形態は、代わりに、湾曲したまたはスカラップ状の上流端を有することができる。スカラップ状の端部は、当業者に知られている(例えば、参照によりその全体がすべての目的のために本明細書に組み込まれる米国特許第9,301,837号を参照されたい)。
【0037】
必須ではないが、フレーム1020および2020は、好ましくは、1つ以上の材料(例えば、同じまたは別の材料の二次構造またはコーティングを有する1つの材料の一次またはコア構造)から段階的に製作される。本明細書に記載のすべての実施形態において、一次構造の材料は、好ましくは、弾性または超弾性であり、そのような材料の例には、チタン合金(例えば、ニチノール)、エルジロイ、ステンレス鋼、および様々なポリマーが含まれる(ただしこれらに限定されない)。二次コーティングの材料には、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリウレタン、ULTEMなどのポリエーテルイミド(PEI)などのポリマー材料、弁尖1110および2110を形成するために使用されるいくつかの人工材料などが含まれ得る。弁尖1110および2110は、当技術分野で知られている任意の生体安定性ポリウレタンおよびポリウレタン組成物(例えば、ポリシロキサン含有ポリウレタン、ポリシロキサン含有ポリウレタン尿素など)を含む、ポリマー材料から製作され得る。ポリウレタン含有弁尖の例は、米国特許第6,984,700号、米国特許第7,262,260号、米国特許第7,365,134号、米国特許公開第2017/0119923号(「Polyurethane/urea Compositions」)、およびYilgorら、「Silicone containing copolymers:Synthesis,properties and applications」、Prog.Polym.Sci.(2013)に記載されており、これらはすべて、すべての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。ポリウレタン尿素含有弁尖の例は、米国特許第10,266,657号、米国特許公開第2018/0346654号、およびDandeniyageら、「Development of high strength siloxane poly(urethane-urea)elastomers based on linked macrodiols for heart valve applications」、J.Biomed.Mater.Res.Part B,2018,106(5),1712-1720に記載されており、これらはすべて、すべての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。理想的な等方性でクリーピングのない特性に近づく材料は、多くの実施形態での使用に特に適している。弁尖はまた、非人工的であり、生物学的組織(例えば、ブタの弁)から製作され得る。
【0038】
特定の実施形態では、弁尖を形成するために使用されるポリマー、支持構造の全部もしくは一部(例えば、一次および/または二次構造)、ならびに/または弁の他の構成要素(例えば、内側ライナー、外側ライナー、本明細書でさらに説明されるようなシールまたは縫製カフ)は、シロキサンポリウレタン尿素(SiPUU)である。
【0039】
特定の実施形態では、SiPUUポリマーは、
式Iの構造:
-A1-L1-A1-
式I
を含む第1のセグメント(式中、
L1が、第1のジイソシアネートの残基であり、
A1が、ポリ(C1~C12アルカンジオール)の残基である)と、
第1のシロキサン含有ジオールの残基を含む、第2のセグメントと、
第2のシロキサン含有ジオールの残基を含む、第3のセグメントと、
C1~C12アルカンジアミンの残基を含む、第4のセグメントと、を含み、
ここで、セグメントは各々、ジイソシアネートの残基を介して互いに共有結合している。特定の実施形態では、ポリマーは、複数の第1、第2、第3、または第4のセグメントのうちのいずれかを含む。特定の実施形態では、ポリマーは、複数の第1、第2、第3、および第4のセグメントの各々を含む。
【0040】
特定の実施形態において、SiPUUポリマーは、式IIの構造:
A4-L4-A3-L3-A2-L2-A1-L1-A1-L2-A2-L3-A3-L4-A4
式IIを含み、
式中、
L1が、第1のジイソシアネートの残基であり、
A1が、ポリ(C1~C12アルカンジオール)の残基であり、
L2が、第2のジイソシアネートの残基であり、
A2が、-A1-L1-A1-、第1のシロキサン含有ジオールの残基、第2のシロキサン含有ジオールの残基、およびC1~C12のアルカンジアミンの残基から選択され、
L3が、第3のジイソシアネートの残基であり、
A3が、-A1-L1-A1-、第1のシロキサン含有ジオールの残基、第2のシロキサン含有ジオールの残基、およびC1~C12のアルカンジアミンの残基から選択され、
L4が、第4のジイソシアネートの残基であり、
A4が、-A1-L1-A1-、第1のシロキサン含有ジオールの残基、第2のシロキサン含有ジオールの残基、およびC1~C12のアルカンジアミンの残基から選択され、
ただし、A2、A3、またはA4の少なくとも1つの場合は、第2のシロキサン含有ジオールの残基であり、A2、A3、またはA4の少なくとも1つの場合は、C1~C12のアルカンジアミンの残基である。
【0041】
特定の実施形態において、第1のジイソシアネート、第2のジイソシアネート、第3のジイソシアネート、または第4のジイソシアネートは、1,4-ジイソシアナトブタン、1,12-ジイソシアナトドデカン、1,6-ジイソシアネートヘキサン、1,8-ジイソシアネートオクタン、4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルジイソシアネート)(H12MDI)、p-フェニレンジイソシアネート(p-PDI)、m-フェニレンジイソシアネート(m-PDI)、トランスシクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート(CHDI)またはシス異性体とトランス異性体の混合物、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)、2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-TDI)、p-テトラメチルキシレンジイソシアネート(p-TMXDI)、イソホロンジイソシアネートまたはm-テトラメチルキシレンジイソシアネート(m-TMXDI)、1,6-ジイソシアネートヘキサン(DICH)、1,3-ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ベンゼン、および1,5-ジイソシアナトナフタレン(NDI)から独立して選択される。
【0042】
特定の実施形態において、第1のジイソシアネート、第2のジイソシアネート、第3のジイソシアネート、および第4のジイソシアネートは、同じであり、例えば、好ましくは、第1のジイソシアネート、第2のジイソシアネート、第3のジイソシアネート、および第4のジイソシアネートは、4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)である。
【0043】
いくつかの実施形態では、ポリ(C1~C12アルカンジオール)は、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)、ポリ(ヘプタメチレンオキシド)、ポリ(オクタメチレンオキシド)、およびポリ(デカメチレンオキシド)であり、好ましくは、ポリ(C1~C12アルカンジオール)は、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)(PHMO)である。特定の実施形態において、PHMOの分子量は、約660g/モル~約760g/モル、好ましくは、約713g/モルである。
【0044】
特定の実施形態では、A2は、第1のシロキサン含有ジオールの残基であり、例えば、第1のシロキサン含有ジオールは、ポリ(ジメチルシロキサン)ジオールであり、好ましくは、第1のシロキサン含有ジオールは、α、ω-ビス-(6-ヒドロキシエトキシプロピル)ポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)である。特定の実施形態では、PDMSの分子量は、約950g/モル~約1050g/モル、好ましくは、約998g/モルである。
【0045】
特定の実施形態において、第2のシロキサン含有ジオールは、ジシロキサン含有ジオールであり、好ましくは、第2のシロキサン含有ジオールは、1,3ビス-(4-ヒドロキシブチル)-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン(BHTD)である。
【0046】
いくつかの実施形態では、C1~C12アルカンジアミンは、1,2-エチレンジアミン、1,3-プロパンジアミン、および1,4-ブタンジアミンから選択され、好ましくは、C1~C12アルカンジアミンは、1,2-エチレンジアミン(EDA)である。
【0047】
特定の好ましい実施形態において、SiPUUポリマーは、式IIまたは式IIIの構造:
A4-L4-A3-L3-A2-L2-A1-L1-A1-L2-A2-L3-A3-L4-A4
式II
A4-L4-A2-L3-A3-L2-A1-L1-A1-L2-A3-L3-A2-L4-A4
式IIIを含み、
式中、
L1が、MDIの残基であり、
A1が、PHMOの残基であり、
L2が、MDIの残基であり、
A2が、PDMSの残基であり、
L3が、MDIの残基であり、
A3が、BHTDの残基であり、
L4が、MDIの残基であり、
A4が、EDAの残基である。
【0048】
特定の実施形態では、ポリマーは、少なくとも100,000g/モル、例えば、約100,000g/モル~約125,000g/モルの数平均分子量を有する。
【0049】
特定の実施形態では、ポリマーは、少なくとも約260,000g/モル、例えば、約260,000g/モル~約355,000g/モルの重量平均分子量を有する。
【0050】
いくつかの実施形態では、ポリマーの多分散度指数は、≦3.00、例えば、2.50~3.00である。
【0051】
特定の実施形態では、ポリマーは、約20重量%~約60重量%の第3のセグメントおよび第4のセグメントであり、ジイソシアネート残基は、各々に結合している。特定の実施形態において、式IIまたは式IIIを含むポリマーは、約20重量%~約60重量%のA4、L4、およびA3である。
【0052】
特定の実施形態において、-A1-L1-A1-は、約400g/モル~約6,000g/モルの分子量を有する。
【0053】
特定の実施形態では、ポリマーは、約23℃で少なくとも約20MPaの極限引張強度、例えば、約23℃で約25MPa~約50MPa、約23℃で約30MPa~約45MPa、または約23℃で約30MPa~約40MPaの極限引張強度を有する。
【0054】
弁尖鋳造を含む人工弁製造の例示の実施形態
人工ポリマー弁尖1110および2110を有する弁1000および2000を製造するシステム、デバイス、および方法の多数の実施形態が、本明細書に記載されている。これらのシステム、デバイス、および方法は、任意のフレーム形状またはポリマーに適用され得、レシピエントの免疫システムの異物反応による炎症を軽減する薬剤溶出技術を組み込むなど、複数の状態の治療を同時に含む弁の可能なアプリケーションを拡張する。さらに、本明細書で説明する製造方法は、自動化および/またはロボット化して、安価で再現性のある製造を行うことができる。
【0055】
本明細書に記載の特定の製造方法は、フレーム1020、2020の製作または受け取り、次いで、弁尖1110、2110またはそれに弁体1040、2040を結合すること、またはその上に弁尖1110、2110を一体的に形成することを含む。議論を容易にするために、これらのシステム、デバイス、および方法は、フレーム2020を有する弁2000の製作に関して本明細書で説明されるが、そのようなすべてのシステム、デバイス、および方法は、同様に、弁1000および100の実施形態を製作するために使用され得ることが強調される。本明細書に記載の特定の製造実施形態は、浸漬鋳造または浸漬プロセスを利用するが、当業者は、他の同等の形成プロセス(例えば、成形)を代わりに使用することができることを認識するであろう。硬化時のポリマーへの重力の均一な効果により、結果として生じるモールドがポリマーの最低エネルギー状態で作成されることが確実になるため、浸漬が使用される。これにより、射出成形などの他の一般的な成形技術から生じる可能性のあるポリマーのマクロおよびミクロ構造内の応力集中が排除され、したがって、弁の寿命が大幅に延長される。
【0056】
収縮可能なフレーム構造の使用に加えてこれらの浸漬技術を使用すると、フレームが静止サイズよりも小さい直径に収縮または圧着する能力を保持するため、弁2000、1000、100を低侵襲カテーテルベース手技に移植することがより容易になる。一実施形態では、フレームセル1155、1255は、ポリマーの弾性伸縮を制限するように設計されている。例えば、完全に拡張されたセル1155、1255の長さは8ミリメートル(mm)であり、完全に圧着された同じセルの長さは9.5mmである得るため、ポリマーに15%のひずみが与えられる。フレームセル構造を設計するときは、材料の変形を最小限に抑えるために、ポリマーの塑性変形の制限を十分に下回ることが望ましい場合がある。
【0057】
弁を製造する多くの実施形態が、本明細書に記載されている。
図6A~
図6Hは、方法3000として具体化された、弁フレーム上にポリマー弁体を置くことによって弁を製造する一実施形態を説明するために使用される。
図6Aは、方法3000を示す流れ図であり、
図6B~Gは、流れ3000の様々なステップを示している。
図6A~
図6Gは、同時に説明される。3002で、弁尖2110を備えた弁体2040は、逆モールド(
図6Bに示されるモールド2018など)で鋳造され、これはまた、内部フォーマーまたはマンドレルと呼ばれ得、弁2000の構成要素を製造するために、円筒形または他の任意の所望の様式で成形され得る。これには、マンドレルをポリマーに浸漬することが含まれる。本明細書に記載のこのおよびすべての浸漬段階において、ウェットポリマーへのマンドレルの実際の移動は、コンピュータ制御デバイスを用いて自動化され得る。特に明記しない限り、本明細書で使用される場合、「浸漬」は、浸漬される要素(例えば、フレーム、マンドレル、弁)をウェットポリマー内に置き、続いてそれを除去する行為を指す。次に、弁尖2110を備えた弁体2040は、3002での鋳造プロセスの一部として硬化される。次に、弁尖エッジは、例えば、3004で超音波ナイフを使用してトリミングされ、3006でマンドレルから除去される。硬化した弁体2040が、
図6Cに示されている。フレーム2020は、鋳造された弁尖2110が後でフレーム2020上に置かれることを可能にするために、3008で下流側または流出側で少なくとも部分的に圧着されている。
図6Dは、管状部材2022によって部分的に圧着されたフレーム2020を示している。
【0058】
3010で、フレーム2020は、結合のためにそれを準備するために(
図6E)、好ましくは、少なくとも流入側で、強溶媒(例えば、ジメチルアセトアミド(DMAc))、または10%の固体ポリマーもしくは20%の固体ポリマーなどの低固形分ポリマーのいずれかに浸漬される。例示的なポリマーは、本明細書に記載されるもののうちのいずれかを含むが、それに限定されない。固形分が少ないと、材料の粘度が低くなる。次に、弁尖2110を備えたプレキャスト弁体2040は、
図6Fに示されるように、3012で部分的に収縮または圧着されたフレーム2020上に挿入される。次に、収縮または圧着装置は、3014で取り外される。これにより、フレーム2020は、弁尖2110を備えた鋳造弁体2040に拡張し、弁尖2110を備えた鋳造弁体2040と溶媒または低固形分ポリマーとの間に接合を作り出すことができる。硬化中、弁体の外径に対応する形状(弁尖用の切り欠きを有する)を有する外部フォーマー2042(
図6G)を使用して、弁体2040と下にあるフレーム2020との間の緊密な適合を維持することができる。このプロセスにより、収縮または圧着された構成を最小限に抑えながら、堅牢な接合が可能になる。拡張状態の完成した弁プロテーゼ2000が、
図6Hに示されている。方法3000は、フレーム2020に関して説明されているが、この方法は、弁尖用の側面開口部を備えた異なる構成のフレームに適用され得、したがって、フレーム2020のように構成されたフレームだけに限定されない。
【0059】
図7A~
図7Cは、方法4000として具体化された、ポリマー弁体の上に弁フレームを置くことによって弁を製造する一実施形態を説明するために使用される。
図7Aは、方法4000を示す流れ図であり、
図7B~
図7Cは、例示的なフレーム1020および弁体1040の写真を用いて方法4000の様々な態様を示している。4002で、弁体1040は、マンドレル(例えば、
図6B)を上向きにし、それをポリマー(例えば、
図6E)に浸漬し、そしてそれを硬化させることによって、別々に鋳造される。次に、超音波ナイフを使用して、弁尖エッジ110が、4004で弁体1040でトリミングされる。4006で、フレーム1020は、結合のためにそれを準備するために、例えば、強溶媒(すなわち、DMAc))、または10%の固体ポリマーもしくは20%の固体ポリマーなどの低固形分ポリマーのいずれかに浸漬される。例示的なポリマーは、本明細書に記載されるもののうちのいずれかを含むことができるが、それに限定されない。4008で、ウェットフレーム1020は、鋳造された弁体1040の上に置かれる。
図7Bに示すように、鋳造弁体1040をマンドレルから取り外し、次にフレーム1020をその上に配置するか、またはフレーム1020を、マンドレル2018上にある間に鋳造弁体1040の上に置くことができる。4010で、半径方向の圧縮がフレーム1020の外側から適用して、支柱を鋳造材料に押し込み、フレームがまだ湿っている間に強固な接合を作り出す。半径方向の圧縮は、外部クランプ、特別に設計された固定具、または内側に半径方向の力を適用するいくつかの他の方法(図示せず)を介して適用して、弁体1040とフレーム1020との間に強固な接合を作り出すことができる。半径方向の圧縮を適用しながら、プロテーゼを硬化させることができる。
図7Cは、拡張状態の完成したプロテーゼ1000を示している。方法4000は、フレーム1020に関して説明されているが、この方法は、弁尖用の側面開口部の有無にかかわらず、異なる構成のフレームに適用され得、したがって、フレーム1020のように構成されたフレームだけに限定されない。
【0060】
図8A~
図8Bは、弁フレーム上に直接ポリマー弁体を形成することによって弁を製造する一実施形態を説明するために使用される。
図8Aは、方法5000を示す流れ図であり、
図8Bは、写真を用いて方法5000のいくつかのステップを示している。
図8Bに示す5500に示されるように、ベアフレーム1020が、5002でマンドレル上に置かれ、5004で弁の流出側が容器の上部に向かうようにポリマーに浸漬される。浸漬距離は、厳密に制御されており、弁尖エッジが必要なポイントで停止する。このステップに続いて、弁1000は、5006で通常通り硬化される。硬化後、弁尖110は、弁尖エッジが弁尖の正確な浸漬によってすでに形成されているので、いかなる方法でもトリミングまたは変更を必要としないが、弁尖は、任意選択でトリミングされ得る。方法5000は、フレーム1020に関して説明されているが、この方法は、弁尖用の側面開口部の有無にかかわらず、異なる構成のフレームに適用され得、したがって、フレーム1020のように構成されたフレームだけに限定されない。
【0061】
図9は、方法6000として具体化された別の実施例を示す流れ図である。この実施形態は、移植されたときに冠状動脈の前を通過する領域(例えば、フレーム2200の開放領域2250に一般的に対応する領域)に支柱が存在するフレーム102のような構成のためのものである。6002で、フレームは、マンドレル上に置かれる。マンドレルは、6004で、ポリマーに浸漬される。次に6006で、マンドレルがポリマーから除去され、真空吸引が使用されて、弁尖を囲んでいるフレームセル内の余分なポリマーが除去される。あるいは、不活性ガスをブローオフステップで使用することもでき、この場合、浸漬したフレームを低圧ガスブレード(例えば、窒素)に通し、セル内からポリマーを取り除くが、支柱に薄い層を残す。これを使用して、冠状動脈の前にあるフレームセルを開き、冠状動脈へのアクセスを開いたままにして、流れを妨げないようにすることができる。冠状動脈に面する支柱の構造的支持は、フレームが荷重下でのたわみに抵抗することを助ける。さらに、堅牢なポリマーコーティングは、所望のセルにのみ形成される。さらに、弁尖の保護、シールド、およびマスキングは、二次マンドレルアタッチメント(図示せず)を使用して可能になる。この実施形態のポリマー除去技術は、ポリマーがセルの開放領域から除去される本明細書の任意の実施形態で使用され得る。
【0062】
本明細書に記載のすべての方法の実施形態は、エレクトロスピニングおよび他の技術などによる様々な方法でのシーリングスカートの形成を含むように拡張され得る。これらの実施形態は、弁尖の形成および弁尖の取り付け方法が浸漬、エレクトロスピニング、または他のプロセスを含むかどうかに関係なく、弁リーフレットを形成する任意の方法および/または弁リーフレットをフレームに取り付ける任意の方法と組み合わせて使用され得る。例えば、
図6A~
図9に関して説明された方法3000~6000の各々は、外側ライナーを形成する、シーリングスカートを形成する、および/または内側ライナーを形成する1つ以上の追加のステップを含むことができる。シーリングスカートおよびライナー形成は、本明細書に記載のスカート形成技術および方法のうちのいずれか、または本明細書に記載されていない他の方法を用いて実施され得る。方法3000~6000の各々は、方法の所望の点で実施される任意の形成されたポリマー構造を仕上げる(例えば、トリミングする)追加のステップを含むことができる。本明細書に記載のすべての方法は、フレームを製作するステップで実施され得る。本明細書に記載のすべての方法は、浸漬、エレクトロスピニング、または他のポリマー付着プロセスのためにフレームを準備するステップで実施され得、ここで、フレームの準備は、フレームのクリーニング、洗浄、すすぎ、および/または研磨のうちのいずれか1つ以上を含む。本明細書に記載のすべての方法は、前もって製作されたフレームを受容するステップで実施され得る。
【0063】
エレクトロスピニングを含む人工弁製造の例示の実施形態
本明細書に提供されるのは、弁の構成要素を形成するために電場支援スプレー堆積(例えば、エレクトロスピニング)を使用する例示の実施形態である。ポリマーは、弁の支持構造(ベア金属フレームまたはポリマーコーティングされたフレームのいずれか)に直接的にエレクトロスピニングされ得るか、またはマンドレルもしくは他の基体にエレクトロスピニングされて、次に支持構造に取り付けられ得る(ここで、取り付けは、マンドレルからの取り外しの前または後に発生する)。エレクトロスピニングされた構成要素は、いくつか例を挙げると、弁尖自体、シーリングスカート、内側ライナー、外側ライナー、または縫製カフ(外科的に埋め込まれた弁の場合)など、弁の任意の所望のポリマー構成要素であり得る。以下は、金属またはポリマーフレームのような構造へのポリマーのエレクトロスピニングの説明である。エレクトロスピンコーティングを用いた実験により、いくつかのポリマー弁尖または他のポリマー構造を金属フレームまたは別のポリマーに取り付けるために必要な強力な結合特性が示された。これには、弁用ポリマーの従来の浸漬鋳造または成形に比べて、例えば、エレクトロスピニングされたポリマーの金属フレームへの接着性の向上、エレクトロスピニングされたポリマーの浸漬またはキャストポリマーへの優れた接着性、および透過性のエレクトロスピニングされたポリマーの不透過性のエレクトロスピニングされたポリマーへの優れた接着性など、多くの利点がある。
【0064】
エレクトロスピニングは、ポリマー基体からの繊維を利用して、所望の構造を形成することを含む。エレクトロスピニングは、高電流を使用して、ポリマーの帯電溶液を帯電コレクターに引き込むことができ、ミクロンおよびさらにはナノメートルスケールの特徴を有する構造を作成することができる。製造パラメータ、溶液条件、およびコレクターの設計を変更することにより、様々な形態を構築し、目的のアプリケーションに合わせて調整することができる。エレクトロスピニングされた構造の形態は、例えば、狭窄した心臓弁に典型的に見られる異常な形状およびカルシウムのスパイクに適合し得る繊維の格子構造を含み得る。
【0065】
弁プロテーゼの一部であるポリマー構造(例えば、弁尖、スカート、コーティング、縫製カフなど)は、エレクトロスピニングによって形成され得る。これらのエレクトロスピニングされたポリマー構造は、本明細書に記載のすべてのSiPUUまたは他のポリマーを含む任意のタイプのポリマーを使用して形成され得、1つの構造(例えば、弁尖)に使用されるポリマーのタイプは、別の構造(例えば、シーリングスカートまたは縫製カフ)を形成するために使用されるポリマーと同じか、または異なり得る。複数の異なる材料を使用して、各構造を形成することもできる。以下の実施形態は、当業者によく知られている、ドライスピニング(ホイップジェットを使用する)、およびウェットスピニング(ホイップジェットを使用しない)タイプのエレクトロスピニングに関して説明される。これらの技術は、不浸透性または実質的に不浸透性のポリマーから比較的低いまたは比較的高い透過性のポリマーまで、様々な程度の流体(例えば、血液)透過性を有するポリマーをエレクトロスピニングするために使用され得る。
【0066】
図10Aは、ドライスピニングプロセスから生じるエレクトロスピニングされたシーリングスカートを示している。エレクトロスピニングされたシーリングスカートは、格子またはウェブと呼ばれ得るポリマー繊維10200の構造を含む。ポリマー繊維10200の構造は、SiPUUから製作され、各フレームセル内のギャップを横切って延在しているか、またはギャップを埋める(1155、1255は示されていない)。ポリマー繊維10200の構造はまた、フレームを越えて、下にあるマンドレル10210上に延在している。この非常に多孔性で順応性のあるポリマー材料は、圧着可能であり、弁輪の不規則性を密封し、長期間の固定のために組織の健康な成長を促進する。このドライスピニングプロセスをまたウェットスピニングプロセスと組み合わせて(またはウェットスピニングプロセスを単独で使用することもできる)、弁の内径(ID)に不浸透性の層を作成して、フレームの内腔の層流を促進することもでき、一方でまた、本来の弁輪と接触している外面に堅牢なシーリング層が作成される。
【0067】
図10Bは、エレクトロスピニングマンドレル10500上の弁10400の完全にエレクトロスピニングされたシーリングスカート10650の一実施例を示している。マンドレル10500は、導電性であり、弁尖および他の構造を形成するために3-Dの凹面または凸面の曲率を有することができる。
図10Cは、弁尖10600のより詳細な写真である。ここで、弁尖10600は、その全体にわたって均一な厚さを有するが、必要に応じて厚さをまた調整することができる。
【0068】
図10Dは、エレクトロスピニングされたシーリングスカート10650およびエレクトロスピニングされた弁尖10800(合計3つ、1つが
図10Dに示されている)を備えた弁10400の例示の実施形態を示している。エレクトロスピニングされた弁尖10800は、その全体にわたって均一な厚さを有する。ここで、シーリングスカート10650は、弁10400のフレームの外周に沿って外側にのみ適用される。他の実施形態では、シーリングスカート10650は、内周に沿った内側および外周に沿った外側の両方に適用され得る。いずれの実施形態においても、シーリングスカート10650は、好ましくは、外周全体の周りに延在している。シーリングスカート10650は、弁10400の任意の長手方向の長さ(血流の軸に対して平行な弁に沿って測定された長さ)に沿って延在することができる。シーリングスカート10650は、流入末端10402から(または
図10Dに示されるように下から)、弁10400の側面に沿って流入末端10402と弁尖10800の基部10403との間(またはその基部まで)に位置する位置まで延在することができる。ここで、シーリングスカート10650は、一般に(ここに示されるように)末端10402で、またはそれからさらに上流の位置から、末端10402と基部10403との間の中間位置10404まで延在している。他の実施形態では、シーリングスカート10650は、末端10402から基部10403まで(またはさらに下流の位置で基部10403を超えて)延在することができ、末端10402と基部10403との間の第1の中間位置から末端10402と基部10403との間の第2の中間位置まで、または末端10402と基部10403との間の第1の中間位置から基部10403まで(またはそれを超えて)延在することができる。
図10Dに示されるように10402の下にあるシーリングスカート10650の下部円周エッジは、流入エッジと呼ばれ得、上部円周エッジ(10404における)は、スカート10650の流出エッジと呼ばれ得る。
【0069】
図10Eは、シーリングスカート10650をより詳細に示す拡大画像である。この実施形態では、シーリングスカート10650は、繊維の構造であり、構造を形成する個々のポリマー繊維10200を見ることができる。ここで、多くの繊維は、2~3ミクロン(um)の範囲の直径、および20~30um以上のギャップを有している。本明細書に開示される任意およびすべての実施形態において、繊維は、10nm~10μmの範囲、より好ましくは2um以上4.5um以下の範囲の直径を有し得、平均ギャップは、27um以上である。エレクトロスピニングされたシーリングスカート10650は、0.25mm~5mmの好ましい範囲で、任意の所望の厚さで形成され得る。これらはすべて単なる例であり、当業者は、この説明に照らして、他のサイズの繊維も同様に使用することができることを認識するであろう。
【0070】
図10Fは、比較的厚い構成(血流の方向に対して垂直に横方向に測定される厚さ)を有するエレクトロスピニングされたシーリングスカート10650を備えた弁フレームの一実施形態の実施例を示している。例えば、この実施形態の厚さは、約5mmである。
図10Gは、比較的薄い構成、例えば、約0.25mmを有するエレクトロスピニングされたシーリングスカート10650を備えた弁フレームの一実施形態の実施例を示している。必要な環状シーリングの望ましいレベルに応じて、スカートは、所望の任意の厚さに調整され得る。
【0071】
図10Hは、エレクトロスピニングされたスカート10650を有するフレーム10700の例示の実施形態を示す写真である。ここで、フレーム10700は、その上に置かれたポリマー基体10702を有し、スカート10650は、フレーム10700および基体10702の上に置かれている。
図10Iは、フレーム10700がエレクトロスピニングされた内側ライナー10704と結合されている、別の例示の実施形態を示している。いくつかの実施形態では、マンドレル上などに最初に内側ライナー10704を形成することができ、次にフレーム10700をそれに取り付けることができる。他の実施形態では、内側ライナー10704は、フレーム10700上に直接的に形成され得る。内側ライナー10704は、固体の不浸透性内側スカートとして機能して、フレームセルを通るいずれかの方向(フレーム10700の内腔(調節された血流側)から外部(組織接触側)まで、またはその逆方向のいずれか)への血流を防ぐことができる。内側ライン10704はまた、フレーム自体に加えて、ポリマー(エレクトロスピニングまたは他の方法で適用される)が付着することができる、例えば、シーリングスカートがフレームセルを通して付着することができるか、またはポリマー弁尖が付着することができる、基体として機能することができる。内側ライナー10704は、本明細書に開示されるすべての実施形態とともに使用され得る。
【0072】
図10Jは、浸漬または鋳造されたポリマー基体10702に接着されたエレクトロスピニングされたシーリングスカート10650の例示の実施形態を示す断面画像である。
図10Kは、より大きな倍率での同じ構造を示している。スカート10650のエレクトロスピニングされた多孔性で透過性のポリマーは、ここに見られるように、基体10702の不透過性ポリマーへの優れた接着性を示す。同様に、適切な接着は、ウェットエレクトロスピニング不透過性ポリマーに結合されたドライエレクトロスピニング透過性ポリマーで達成され得る。そのような接触および接着は、例えば、弁の外径上の透過性のエレクトロスピニングされたシーリングスカートが、フレーム自体を覆う(例えば、浸漬または鋳造プロセスを通じて、またはウェットエレクトロスピニングによって、フレームを覆う)ポリマーコーティングに結合する場合、弁の外径にある透過性のエレクトロスピニングされたシーリングスカートが、ベア金属フレームの開放フレームセルを介して、ベア金属フレームの内径にあるポリマーライナー(例えば、ウェットエレクトロスピニングライナー)と結合する場合、弁の外径にある透過性のエレクトロスピニングされたシーリングスカートが、フレームを覆うポリマーコーティングと、コーティングされた金属フレームセルの開放フレームセルを介して、コーティングされたフレームの内径にあるポリマーライナー(例えば、ウェットエレクトロスピニングライナー)と結合する場合などに、例示の実施形態において行うことができる。
【0073】
図11A~
図11Dは、スカート10650などのエレクトロスピニングされたシーリングスカートを備えた弁を製造する例示の実施形態を説明するために使用される。
図11Aは、弁プロテーゼの一部分を製造するためのエレクトロスピニングプロセス11000の例示の実施形態を示す流れ図である。プロテーゼは、11002で、最初に弁体および/または1つ以上の弁尖をマンドレル上にエレクトロスピニングすることによって作成される。これは、例えば、各弁尖がその一部である弁体を形成するウェットスピニングプロセスであり得る。次に、弁体を任意に硬化または乾燥させることができる。11004で、各弁尖がフレームに対して正しい場所に位置付けられるように、フレームを弁体の上に置くことができる。11006で、第2の量(例えば、層の形態で)の材料がプロテーゼ上にエレクトロスピニングされて、フレームを弁体または弁尖に結合し、また、
図10Aに示される、例えば、10650のようなシーリングスカートを作成する。11008で、プロテーゼを硬化させて、エレクトロスピニングされた部分を部分的に固化し、および/または溶媒を除去することができる。硬化は、オーブンまたは他の温度および/または湿度制御された環境で実施され得る。11010で、プロテーゼは、シーリングスカートをトリミングすること、弁尖をトリミングすること、および/またはプロテーゼのエッジをシーリングすることなどによって仕上げられ得る(本明細書の
図11K~
図11Nに関する説明を参照のこと)。マンドレルからのエレクトロスピニングされた弁体およびフレームの除去は、導電性マンドレルの局所的な冷却または加熱によって支援され得る。
【0074】
図11Bは、弁プロテーゼの一部分を製造するためのエレクトロスピニングプロセス11100の別の例示の実施形態を示す流れ図である。プロテーゼは、11102で、最初に弁体および/または1つ以上の弁尖をマンドレル上にエレクトロスピニングすることによって作成される。繰り返すが、これは、各弁尖がその一部である弁体を形成するウェットスピニングプロセスであり得る。11104で、各弁尖がフレームに対して正しい場所に位置付けられるように、フレームを弁体の上に置くことができる。11106で、第2の量(例えば、層の形態で)の材料がプロテーゼ上にエレクトロスピニングされて、フレームを弁体または弁尖に結合する。いくつかの変形例では、この追加の材料は、エレクトロスピニング以外の方法で噴霧またはコーティングすることによって適用され得る。11108で、プロテーゼは、エレクトロスピニングされた部分を少なくとも部分的に固化し、および/または溶媒を除去するために硬化される。次に、11110で、シーリングスカートを硬化弁(例えば、フレームおよび/またはポリマー層)上にエレクトロスピニングすることができる。いくつかの変形例では、ステップ11108を省略して、プロセスを直接的にステップ11110に進めることができる。11112で、プロテーゼを硬化させて、エレクトロスピニングされた部分を少なくとも部分的に固化し、および/または溶媒を除去することができる。11114で、プロテーゼは、シーリングスカートをトリミングすること、弁尖をトリミングすること、および/またはプロテーゼのエッジをシーリングすることなどによって仕上げられ得る(本明細書の
図11K~
図11Nに関する説明を参照のこと)。
【0075】
図11Cは、弁プロテーゼの一部分を製造するためのプロセス11200の別の例示の実施形態を示す流れ図である。11202において、弁尖を有する弁体は、例えば、本明細書に記載されるものなどの浸漬プロセスを使用して、マンドレルまたは他のフォーマー上に形成される。このステップは、弁尖を硬化させること、および/または弁尖をそれらの所望の形状にトリミングすることを含むことができる。11204で、弁体が除去され、エレクトロスピニングのために第2のマンドレル上に置かれ(またはいくつかの実施形態では、同じマンドレルを使用することができる)、弁フレームが弁尖の上に置かれる。11206で、ポリマーは、弁体を弁フレームに取り付けるために、またはより具体的には、弁尖の動きがそれらの血液調節機能を実施することを可能にする方法で弁体の一部分を弁フレームに取り付けるために、プロテーゼ上にエレクトロスピニングされる。これは、ウェットスピンプロセスである可能性がある。いくつかの変形例では、この追加の材料は、エレクトロスピニング以外の方法で噴霧またはコーティングすることによって適用され得る。11208で、プロテーゼは、エレクトロスピニングされた部分を少なくとも部分的に固化し、および/または溶媒を除去するために硬化される。次に、11210で、シーリングスカートを硬化弁(例えば、フレームまたはエレクトロスピニングされたポリマー)上にエレクトロスピニングすることができる。いくつかの変形例では、ステップ11208を省略して、プロセスを直接的にステップ11210に進めることができる。11212で、プロテーゼを硬化させて、エレクトロスピニングされた部分を少なくとも部分的に固化し、および/または溶媒を除去することができる。11214で、プロテーゼは、シーリングスカートをトリミングすること、弁尖をトリミングすること、および/またはプロテーゼのエッジをシーリングすることなどによって仕上げられ得る(本明細書の
図11K~
図11Nに関する説明を参照のこと)。
【0076】
図11Dは、弁プロテーゼの一部分を製造するためのプロセス11250の別の例示の実施形態を示す流れ図である。11252において、弁尖を有する弁体は、例えば、本明細書に記載されるものなどの浸漬プロセスを使用して、マンドレルまたは他のフォーマー上に形成される。このステップは、弁尖を硬化させること、および/または弁尖をそれらの所望の形状にトリミングすることを含むことができる。11254で、弁体が除去され、エレクトロスピニングのために第2のマンドレル上に置かれ(またはいくつかの実施形態では、同じマンドレルを使用することができる)、弁フレームが弁体の上に置かれる。必要に応じて、弁尖の交連をフレーム上の対応する交連の位置に整列させるように、フレームを弁体の上に置く。11256では、必要に応じて、フレームの内径(または外径)に沿って、弁尖の上の位置にシールドまたはカバーを置くことができる。
【0077】
11258で、エレクトロスピニングステップが実施されて、弁体をフレームに取り付ける。エレクトロスピニングは、比較的高湿度の環境で実施される。本明細書に記載の実施形態はこれに限定されないが、相対湿度は、摂氏20度(C)~40度までの温度で60%~100%までであり得る。ポリマーは、エレクトロスピニングされたポリマーがフレームセルの開放領域を通過し、下方の弁体のポリマーと接触するように、シールドされていない弁体の真上の領域に掃引運動でフレームにエレクトロスピニングされ得る。ポリマーは、必要に応じてフレーム全体にわたってエレクトロスピニングされ得る。エレクトロスピニングステップは、所望の接合強度およびポリマーの厚さを達成するために、所望の時間に行われ得る。
【0078】
ポリマーは、弁体を弁フレームに取り付けるために、またはより具体的には、弁尖の動きがそれらの血液調節機能を実施することを可能にする方法で弁体の一部分を弁フレームに取り付けるために、プロテーゼ上にエレクトロスピニングされる。これは、ウェットスピンプロセスである可能性がある。いくつかの変形例では、この追加の材料は、エレクトロスピニング以外の方法で噴霧またはコーティングすることによって適用され得る。
【0079】
弁尖シールドはすべて除去され得、プロテーゼは、任意選択で第2のマンドレル上にある間、硬化環境(例えば、オーブン)にさらされ得る。11260で、プロテーゼは、エレクトロスピニングされた部分を少なくとも部分的に固化し、および/または溶媒を除去するために硬化される。プロテーゼは硬化環境から除去され得、必要に応じてプロテーゼの流入側をトリミングすることができる。プロテーゼは、フレームから除去され得る。次に、11262で、結合されていないエレクトロスピニングされたポリマーをフレームから除去することができる。例えば、フレーム実施形態のシールド上および/または冠状動脈開口部(例えば、2250)を横切って適用されるエレクトロスピニングされたポリマーなど、下にある弁体に接触しなかったエレクトロスピニングされたポリマーは、容易に除去され得る。必要に応じて、シーリングスカートをまたプロテーゼに追加し、および/またはさらに仕上げを行ったりすることができる。
【0080】
比較的高湿度の環境でのポリマーのエレクトロスピニングは、ポリマー(この場合は、エレクトロスピニングされたポリマー)と弁体のポリマーとの間に強い接合をもたらす可能性がある。従来のエレクトロスピニングでは、スピニングされたポリマーの溶媒は、(フレームの開口部を通過した後に)浸漬または鋳造されたポリマーと接触し、完全に硬化する前に、下にある浸漬または鋳造されたポリマーを崩壊させる。この比較的高湿度の環境でエレクトロスピニングを行うと、溶媒は、水と結合し、フレームに残る比較的粘着性の高い形態のままになる。硬化中にキャストポリマーと粘着性エレクトロスピニングされたポリマーとの間に化学結合が形成される。エレクトロスピニングされたポリマーがフレームを覆って包み込むと、機械的接合が形成され、エレクトロスピニングされた粘着性ポリマーは、下にあるポリマー基体、この実施例では、キャストポリマーに接合する。下にある基体がない場合、化学的および機械的接合が存在しないため、エレクトロスピニングされたポリマーをフレームから簡単に除去することができる。本明細書に記載の実施形態はそのように限定されないが、上述のシロキサンポリウレタン尿素(SiPUU)は、
図11C~
図11Iに関して記載された技術におけるエレクトロスピニングされたポリマーおよび基体ポリマーとしての使用に特に適している。
【0081】
図11Eは、硬化前に、基体ポリマー11270がフレーム11271の内径に置かれ、エレクトロスピニングされたポリマー11272がフレーム11271の外径に適用された、例示の実施形態の断面を示す図である。エレクトロスピニングされたポリマー11272は、フレーム11271の開口部を貫通し、基体ポリマー11270に接触する(両面矢印で示されている)。
図11Fは、硬化後のこの例示の実施形態を示している。ここで、基体ポリマー11270は、エレクトロスピニングされたポリマー11272と化学的に結合しており、その2つは、フレーム11271と機械的に接合して、領域11274に接合構造11273を形成している。
図11Gに示されるように、基体ポリマー11270が領域11275に存在しないので、エレクトロスピニングされたポリマー11273は、化学的に接合せず、フレーム11271から容易に除去され得る。
【0082】
図11Hは、プロセス11250がフレーム11271に適用される例示の実施形態の上面図を示す画像である。弁体11280が中央に示され、エレクトロスピニングされたポリマー11272に硬化および接合されている。プロテーゼの流出端に隣接する領域(例えば、
図11E~Gを参照する領域11275)のエレクトロスピニングされたポリマー11272の部分は、基体ポリマーに接触することなく適用され、フレーム11271から切り離されたポリマーセクション11281によって示されるように容易に除去され得る。この領域のエレクトロスピニングされたポリマー11272は、トリマー(例えば、超音波ナイフ)を使用して完全に除去され得、
図11Iに示され、
図11Dのステップ11262に記載されるように、弁体11280は、フレーム11271および残りのエレクトロスピニングされたポリマー11272の両方に完全に接合されたままである。
【0083】
図11Jは、弁プロテーゼの一部分を製造するためのプロセス11300の別の例示の実施形態を示す流れ図である。11302で、フレームを液体ポリマーに浸漬して、フレームの流入側に基体を作成する。基体は、後でシーリングスカートを適用することができる、基部として使用され得る。11304で、プロテーゼは、ポリマーを少なくとも部分的に固化し、および/または溶媒を除去するために硬化される。11306では、エレクトロスピニングなどによって、シーリングスカートを基体上に適用することができる。11308で、プロテーゼは再び硬化され得る。シーリングスカートを有する流入端は、必要に応じてトリミングされ、または他の方法で仕上げられ得る。
【0084】
11310で、プロテーゼを弁尖マンドレルまたは他のフォーマー上に置き、液体ポリマーに浸漬して、弁尖を備えた弁体を形成することができる。この実施形態および他の実施形態では、フレームがクラウンセクション(例えば、2500)および弁尖に隣接する開放領域(例えば、2250)で構成されている場合、それらの開放領域は、浸漬プロセス中にそれらの開放領域上にポリマーが充填またはドレープするのを防ぐために、マスクまたは他の方法でシールドもしくはカバーされ得る。また、この実施形態では、プロテーゼは、流出側を最初に浸漬したときに、シーリングスカートの流出エッジまで浸漬され得、その結果、シーリングスカートの流出エッジ上にポリマーの小さな領域を提供し、これにより、エッジをフレームに接合し、および/または他にはエッジの層間剥離もしくは剥離を防ぐことができる。シーリングスカートがその非常に適合性のある性質を保持することを可能にするために、浸漬は、好ましくはシーリングスカート全体を覆わない。11312で、プロテーゼを硬化させて、ポリマーを少なくとも部分的に固化し、および/または溶媒を除去することができる。
【0085】
11314で、プロテーゼの流入側をポリマーに浸漬して、シーリングスカートの流入エッジをポリマーで覆うことができる(以下の
図11K~
図11Lに関する説明を参照)。11316で、プロテーゼは再び硬化され得る。11318で、プロテーゼの弁尖および他のポリマー部分を仕上げる(例えば、トリミングする)ことができる。当業者は、この説明を読むと、硬化ステップおよび仕上げステップが様々な異なる時間に実施され得、硬化ステップが特定の場合にも統合され得ることを認識するであろう。そのため、様々な時点での硬化ステップの説明はオプションと見なす必要がある。
【0086】
図11K~
図11Nは、シーリングスカート10650の流入および流出エッジを示す写真であり、下にある構造(例えば、フレームおよび/またはポリマー基体)からの剥離または層間剥離に対してこれらのエッジを調整する実施形態を説明するために使用される。
図11Kは、コンディショニング前のスカート10650の流出エッジ11402を示す拡大図である。
図11Lは、コンディショニング後の流出エッジ11402を示しており、この実施形態では、流出エッジ11402に沿って部分的または完全に溶融した領域11404を形成するように熱を加えることを含む。熱を加えると、スカート10650が下にあるポリマー基体10702に融合する。これは、剥離しない下にあるポリマーに接合された非外傷性エッジ領域11404につながる。熱は、加熱されたフィラメント、はんだごて、超音波ナイフなどを含む任意の所望のデバイスで適用され得る。
【0087】
図11M~
図11Nは、この実施形態では、ポリマーで浸漬またはコーティングされていた、コンディショニング後のスカート10650の流入エッジ11406のそれぞれ外径および内径を示す拡大図である。コーティングされた領域11408は、流入エッジ11406上に適用され、スカート10650を下にあるポリマー基体および/またはフレームに接合する。これはまた、剥離しない非外傷性エッジ領域11408につながる。
【0088】
ドライエレクトロスピニングは、70~90%の空気、多くの実施例では、約80%の空気であり得る格子状の構造を形成することができ、この範囲により、横方向の寸法(例えば、フレンチ)で測定した場合、圧着性が向上し、送達システムが比較的小さくなる。密度はさらに低下する。エレクトロスピニングされた構造は、必要に応じて、治癒応答およびセル動員を助けるために、サイズが幾何学的に、組成および/または薬物の取り込みが化学的に調整され得る。あるいは、エレクトロスピニングされた構造は、不活性のままであり、必要に応じてセル接着または治癒応答を防ぐ方法で適用され得る。構造は、正規化された特性を繰り返すことを含み得、さらに、可変で所望の密度を含み得るアモルファスウェブまたはマトリックスを含み得る。さらに、2つのタイプのポリマーが、構造にスピニングされ得る。例えば、1つの繊維は、構造部分を形成することができ、別の繊維は、スカート10650の一部であり得る薬物放出部分を含むことができる。
【0089】
本明細書に記載の任意のすべての実施形態において、エレクトロスピニングされた材料は、弁尖および/もしくは弁体を形成するために使用されるものとは異なるタイプのポリマーであり得るか、またはエレクトロスピニングされた材料は、心臓弁リーフレットもしくは弁体を作製するために使用される同じもしくは類似のポリマータイプであり得る。スカートおよび弁尖(または弁体)の両方に同じポリマータイプを使用する場合、弁およびフレームを除くシーリング装置全体を作成するために1つの材料を使用することができる。これにより、またさらにより強固な接合が可能になり、1つの製造プロセスを使用して弁全体をフレーム上に作成することができる。
【0090】
弁尖を形成するために使用されるポリマーは、上述のシロキサンポリウレタン尿素(SiPUU)から選択され得る。好ましい実施形態では、弁尖を形成するために使用されるポリマーは、本明細書に記載されるようなSiPUUを含む。SiPUUは、タンパク質の沈着、凝固、または他の生物学的ファウリングに対して非常に耐性があることが実証されており、このような沈着およびファウリングが性能を妨げる可能性がある弁リーフレットの製作に理想的である。逆に、当業者は、シーリングスカートなどの弁周囲漏出を軽減するための構造が、タンパク質の沈着、凝固、および/または生物学的ファウリングを促進するはずであり、これらのメカニズムは、その性質上、血流のシールとして機能し、したがって、弁周囲漏出をさらに妨害または防止することを認識している。したがって、当業者は、弁周囲漏出を軽減するのに使用するためのSiPUUを考慮しないであろう。
【0091】
しかしながら、本開示は、式Iの構造を含むものなどのSiPUUが、密に配置された繊維の格子を有するエレクトロスピニングされた構造(例えば、シーリングスカート)を形成することによって、弁周囲漏出を軽減するのに使用され、エレクトロスピニングされた構造自体が、例えば、タンパク質および/または赤血球を捕捉することによってシーリングを促進し、それによって、フィブリンおよび治癒および組織内殖反応を活性化することができる、実施形態を提供する。本明細書に記載されるようなドライスピニング技術を使用して(血管壁の組織と接触している)外面をエレクトロスピニングすることにより、この格子構造の作成を容易にすることができる。さらに、ウェットスピニング技術を用いて内面(血液が流れる表面)をエレクトロスピニングすると、治癒反応を活性化せず、フレーム自体にも十分に接合する比較的滑らかな、または非外傷性の格子表面をもたらす可能性がある。
【0092】
したがって、シーリングスカートをエレクトロスピニングすることのいくつかの利点は、比較的滑らかな内面のウェットスピニング、およびフレーム材料(例えば、ニチノールまたは他のニッケルチタン合金)への結合と、環状領域での治癒、内部成長、および/または固定を促進するためのドライスピニングと、異常な形状への適合を助ける圧縮性と、小さい圧着プロファイルと、比較的速い適用時間と、オーブンの使用を回避する可能性と、を含み得る。スカートはまた、ウェットジェットでトリミングされ得る。
【0093】
弁尖をエレクトロスピニングする利点は、一貫した壁の厚さと、速い適用時間と、頑丈な取り付けと、ウェットジェットによる弁尖トリミングと、弁尖およびスカートポリマーが同じまたは類似している場合のシングルプロセス弁製造の可能性と、を含み得る。
【0094】
スポンジ状のポリマーの実施例および関連する製造方法
また、本明細書には、適合性が高く、弁プロテーゼの構築に有利に使用され得る、スポンジまたはスポンジ状のポリマーが記載されている。
図12A~
図12Dは、スポンジまたはスポンジ状のポリマー12000の例示の実施形態の写真である。
図12Aは、非多孔性の粗い外面を有するスポンジ12000の例示の実施形態を示している。
図12Bは、より多孔性の構成を有するスポンジ12000の例示の実施形態を示している。
図12Cは、高度に多孔性のスポンジの巨視的図であり、
図12Dは、より高い倍率の
図12Cのスポンジの図である。
【0095】
見られるように、スポンジ12000は、一緒にセルのマトリックスを形成する様々なサイズの複数の個々のセル(細孔またはマイクロセルとも呼ばれる)12002を含む。
図12B~
図12Dに示されるように、かなりの割合のセルを開いて、構造に圧縮性および適合性の両方を与えることができ、これにより、構造は、弁周囲漏出を軽減するためのシール(例えば、シーリングスカートまたは縫製カフ)としての使用に適したものになる。オープンセルはまた、構造を血液および組織に対して多孔性または半多孔性にし、タンパク質の捕捉、血栓形成、および組織の内部成長を促進し、それが次に漏れを軽減し、構造を周囲の組織に固定するのを助ける。オープンセルの割合およびサイズは、構造の圧縮性および適合性の程度に寄与し、処理パラメータを調整して、オープンセルの相対的な割合を変化させることができる。スポンジ構造の例示の実施形態は、いくつか例を挙げると、例えば、90%以上、75%以上、50%以上(すなわち、多数)、50%未満(すなわち、少数)、25%以下、または10%以下のオープンセルを有することができる。セルの寸法は、アプリケーションのニーズに基づいて大きく異なり得る。例えば、
図12Dでは、セル12004、12005、および12006は、それぞれ、約14.9ミクロン、12.3ミクロン、および13ミクロンの横方向の寸法を有する。一般に、シールとして使用するためのスポンジセルは、0.1~1000ミクロン、またはより好ましくは1~100ミクロン、さらにより好ましくは12ミクロン以上の横方向の寸法を有する。
【0096】
図13A~Dは、弁の支持構造13004の外周の周りに延在している縫製カフ13002を有する外科用弁13000を示している。縫製カフは、スポンジまたはスポンジ状のポリマー、具体的にはSiPUUである。縫製カフは、最初にウェットポリマーを支持構造の外側に適用し、次に縫製カフを適用することによって事前に製造および取り付けられ、その結果、ポリマーの硬化時に、縫製カフが、除去された溶媒(例えば、dMAC)によって支持構造の浸漬キャストポリマーに取り付けられる(ポリマー的に結合される)。結合強度は、ポリマーと溶媒の比率、および硬化中に構造に加えられる圧力の量によって制御され得る。
【0097】
図14~
図16は、スポンジおよびスポンジ状の材料12000を製造する例示の実施形態を示す流れ図である。
図14は、例示的なプロセス14000を示している。14002で、溶媒和された液体ポリマーが、例えば、浸漬または噴霧によって基体(例えば、フレーム)に適用され、次いで、その基体は、14004で比較的高湿度の環境に置かれる。高湿度環境の例は、参照によりその全体およびすべての目的のために本明細書に組み込まれる、国際公開第WO2019/028374号に記載されている。長期間後、ポリマー中の溶媒(例えば、ジメチルアセトアミド(DMAc))は、高湿度雰囲気の水と相互作用し、水分子と結合して、新生細胞を作成する。溶媒は,ポリマーに水を引き込み続け、その結果、セルのサイズが大きくなり、ポリマーが膨潤する。14006で、溶媒および水は、硬化プロセスによって除去され、溶媒および水によって占められていた残された空洞は、本明細書に記載されるようなセル構造になる。セルサイズは、高湿度チャンバー内の湿度レベルおよび圧力を変えることで調整され得る。
【0098】
図15は、スポンジまたはスポンジ状の材料を製造するためのプロセス15000の例示の実施形態を示す流れ図であり、ここで、このプロセスは、炭酸カルシウム(CaCO
3)が分散された溶媒和ポリマーを利用する。15002で、ポリマーは、例えば、モールドでの成形、基体への浸漬または噴霧などによって、所望の形状に形成される。15004で、溶媒和ポリマーを加熱して、溶媒(例えば、DMAc)を除去する。この加熱によりまた、炭酸カルシウムはガス状の二酸化炭素(CO
2)および酸化カルシウム(CaO)に分解される。二酸化炭素は、発泡体のようにポリマー内で泡立ち、15006で硬化すると、少なくとも部分的にオープンセル構造になる。
【0099】
図16は、ガスの注入を利用してスポンジ状のポリマーを製造するためのプロセス16000の例示の実施形態を示す流れ図である。16002で、液体ポリマーは、所望の形状を有するモールドに注入される。次に、16004で、側面のモールドに沿って位置するガスポートを使用して、ガス(例えば、窒素(N
2))をガス容器からモールド内の液体ポリマーに注入する。これにより、液体ポリマー内に小さな気泡が発生する。次に、液体ポリマーは、16006でモールド内で硬化され、所望の形状のスポンジ状の構造を形成する。
【0100】
別の実施形態では、スポンジ状のポリマーは、水にさらされたときにポリマー内に制御されたボイドを作り出す水溶性微粒子(例えば、ポリエチレンオキシド(PEO))を含む液体ポリマーから形成され得る。
【0101】
運搬剤にスポンジ状または格子状の材料を利用する実施形態の実施例
本明細書に記載のすべての実施形態において、スポンジ状および/または格子状の構造を有する材料は、患者の体内に放出するために、薬物または他の治療薬などの1つ以上の薬剤を運ぶように構成され得る。薬剤は、構造自体の製造中、または構造の製造後に、スポンジ状または格子状の構造に適用され得る。薬剤は、固体、ゲル、または液体の形態で運ぶことができる。体内に導入されると、薬剤は、血流および/または周囲の組織に放出される可能性がある。薬剤は、組織の成長の促進、血栓形成または治癒反応の防止または促進、炎症の軽減などの任意の所望の効果を有することができる。組織の成長を促進するための薬物の非網羅的なリストには、フィブロネクチンおよび骨形成タンパク質(BMP)が含まれる。血栓症(抗凝固剤)を予防するための薬物の非網羅的なリストには、ワルファリン(クマディン)、ヘパリン、およびラブノックスが含まれる。薬剤は、徐放性の方法で溶解するように構成され得る。薬物溶出の場合、取り込み速度は一般に、他の要因の中でも特に表面積に依存する。
【0102】
ポリマーの圧着性
好ましい実施形態の別の態様は、圧着可能なポリマー構造の使用である。例えば、フレームセルの数は、圧着性に反比例する(例えば、24セルの設計は、12セルの設計と同様に圧着しない)。フレームの外径(OD)にポリマーを使用すると、圧着する可能性があり、ポリマーがフレームの壁内を移動すると、圧着性が低下する。さらに、各フレームセル内のポリマーの厚さは、圧着性と直接的な相関関係があることに留意されたい。さらに、一般に、ポリマーは、組織よりも損傷することなく、より積極的に圧着され得る。
【0103】
図17Aは、フレーム(図示せず)のセルに隣接するポリマーを有する弁の圧着を補助するための複数の凹部またはくぼみ17002を有するマンドレル17000(またはモールドまたはフォーマー)の側面図である。マンドレル17000はまた、弁尖形成用の領域17003と、浸漬後のポリマーの排出を支援する領域17004と、を有する。マンドレル17000は、フレームがマンドレル17000の上に置かれると、フレームの各セルが対応するくぼみ17002を有するように構成され、ここで、くぼみは、セルの内部領域と一致する(またはわずかに小さい)サイズおよび形状を有する。マンドレル17000をポリマーに浸漬するとき(フレームがその上に位置されているかどうかに関係なく)、ポリマーは、くぼみ17002を充填する。プロテーゼが最終的に組み立てられると、セルの内部領域にあるくぼみからのポリマーは、プロテーゼの内径に向かってバイアスされる。したがって、プロテーゼが拡張状態にあり、圧着状態に向かって遷移するとき、ポリマーは、プロテーゼの内径に向かって、およびプロテーゼの内径内に移動する傾向がある。
【0104】
図17Bは、圧着状態の弁100の例を示す写真であり、ここで、セルの内部領域からのポリマー弁尖およびポリマーが、圧着された弁の内腔17006内に移動し、その中に位置している。マンドレル17000を使用すると、圧着弁100の直径が最大3フレンチ減少することがわかっている。例えば、マンドレル17000を使用して製作された弁は、19フレンチに圧着され、くぼみ17002のないマンドレルで製作された同様の弁は、わずか22フレンチに圧着された。マンドレル17000は、異なる形状のフレーム(クラウンの有無など)を有する弁、ならびに浸漬および/またはエレクトロスピニングによって形成された弁を含む、本明細書に記載の弁のすべての実施形態の形成に使用するように構成され得る。
【0105】
図18Aおよび
図18Bは、圧着性を高めることができる別の特徴を説明するために使用され、これは、セル頂部におけるポリマープーリングの影響を受けやすく、本明細書のすべての実施形態で使用され得、その特徴は、
図17Aおよび
図17Bの特徴の代わりにまたはそれに加えて使用され得る。ポリマーに浸漬したフレームは、セルスペースを開いたままフレーム支柱をコーティングするか、セルを埋めるために、ポリマーの蓄積またはフレームセルの頂点でのプーリングの影響を受けやすく、ここで、ほとんどの圧縮は、圧着状態または収縮状態に入るときに発生する。
【0106】
図18Aは、拡張状態のフレーム18000の一部分の第1の実施形態を示しており、
図18Bは、圧着状態のフレーム18000の一部分の第2の実施形態を示している。第1のセルの内部領域18001-1は、2つの支柱18002-1および18002-3で縁取られて示されている。第2のセルの内部領域18001-2は、2つの支柱18002-2および18002-4で縁取られて示されている。支柱18002-1および18002-2は、頂点接合部18006で交差し、湾曲して、ポリマーが蓄積するか、または十分に溜まることができるポケット18004-1を形成する。同様のポケット18004-2は、支柱18002-3および18002-4の交差点に示されている。ポケット18004は、ポリマーがプーリングされ、圧着時に最も圧縮される各フレームセルの上部および下部の各頂点に位置付けられている。ポケット18004は、
図18Bに見られるように、圧着中にポリマーが占める追加のスペースを提供することによってこの圧縮のいくらかを軽減し、したがって、直径を小さくした圧着状態を達成することができる。
図18Bの実施形態では、支柱18002は、それらの長さに沿ってほぼ均一な幅を有する。
図18Aの実施形態では、支柱18002は、部分的にポリマーで満たされて示されているポケット18004の周囲に沿って、最大幅からより薄い幅まで先細になっている。
【0107】
本明細書に記載のすべての実施形態において、異なる特性を有するポリマーを使用することができる。これらの特性には、粘度、化学組成、添加剤の存在などが含まれ得る。
【0108】
本明細書に記載の弁の実施形態は、トリリーフレット(3つの弁尖)弁であるが、弁は、代替のバイリーフレット(2つの弁尖)弁として実装および製造され得る。本文書を検討すると、当業者は、図に示すことを必要とせずに、弁をバイリーフレット弁として実装および製造する方法を容易に認識するであろう。
【0109】
他の医療デバイス
本明細書に記載の実施形態は、弁での使用に限定されない。これらの実施形態またはこれらの実施形態の態様は、他の医療デバイスにも適用され得る。例えば、本明細書に記載のSiPUUポリマーは、ギャップのない(例えば、格子状およびスポンジ状ではない)均一な固体構造を有する、または格子状および/もしくはスポンジ状の構造の任意の医療デバイスで使用され得る。例えば、スポンジ状のポリマーは、交換用の椎間板または椎骨に使用され得る。そのような実施形態では、より多くの機械的支持およびより少ない圧縮性を提供するために、比較的高い多孔性が望ましい。例えば、80%以上の多孔性は、骨芽細胞がインプラントに固定するのに役立つ。
【0110】
スポンジ状のポリマーはまた、組織(移植片)の足場デバイスおよびフレームにも使用され得る。スポンジ状のポリマーは、血管パッチに使用され得、高い多孔性により、セルが相互接続されることが確実になる。例えば、4~6ミクロンの範囲の頸静脈パッチの横方向の寸法サイズが望ましい。
【0111】
スポンジ状のポリマーはまた、血流から潜在的な血栓を除去するための血管フィルター(例えば、下大静脈フィルター、塞栓保護デバイス)に使用され得る。このような用途では、他の体を捕捉しながら血液がスポンジを通って流れることを可能にするために、高い多孔性が望ましい。約25x25平方ミクロン以上のセル(または細孔)の断面積は、赤血球(8.2x2.5平方ミクロン)と白血球が通過することができるようにする。このような用途のセルサイズは、圧力によって理想的なサイズおよび多孔性が決まる(IVCフィルターには、塞栓保護デバイスとは異なる制約がある)ため、フィルターの目的の配置場所に依存する。
【0112】
本主題の様々な態様は、以下の実施形態の相互関係および互換性に重点を置いて、これまでに説明された実施形態を検討し、および/または補足して、以下に記載される。言い換えれば、実施形態の各特徴は、他に明示的に述べられていない限り、または論理的に信じがたい場合を除いて、他のすべての特徴と組み合わせることができるという事実に重点が置かれている。
【0113】
多くの実施形態では、第1の埋め込み型弁は、フレームと、ポリマー弁体と、を含み得る。フレームは、複数の偏向可能な支柱、上流端、下流端、および下流端と上流端との間のウエスト区域を含み得る。ポリマー弁体は、フレームと結合され、複数の人工弁尖を含み、フレームは、複数の交連位置を画定し、下流端の複数の偏向可能な支柱は、複数の交連位置の間にクラウン形状を画定する。
【0114】
いくつかの実施形態では、弁体のポリマーは、シロキサンポリウレタン尿素であり得る。
【0115】
いくつかの実施形態では、埋め込み型弁は、ウエスト区域に画定された少なくとも1つの開放領域をさらに含み、複数の偏向可能な支柱にまたがって延在している長さおよび幅を有し得る。
【0116】
いくつかの実施形態では、フレームは、3つの交連位置を有し、各々が、人工弁尖の近くに位置付けられ得る。
【0117】
いくつかの実施形態では、フレームおよび弁体は、フィルムまたは繊維のいずれかの形態の硬化ポリマーと一緒に結合され得る。
【0118】
いくつかの実施形態では、フレームは、フィルムまたは繊維のいずれかの形態の硬化ポリマーに封入され得る。
【0119】
いくつかの実施形態では、ポリマー弁体は、フィルムまたは繊維のいずれかの形態の硬化ポリマーからできていてもよい。
【0120】
いくつかの実施形態では、埋め込み型弁は、長手方向軸を有し、埋め込み型弁が拡張状態にあるときに、複数の偏向可能な支柱は、長手方向軸に対して横方向であり得る。完全に収縮した状態にあるときに、複数の偏向可能な支柱は、長手方向軸に対して平行または実質的に平行であり得る。
【0121】
いくつかの実施形態では、複数の偏向可能な支柱は、交差し、複数のセルを形成し得る。各セルの頂点は、ポリマーで満たされたポケットを有し得る。複数の偏向可能な支柱は、各ポケットの位置で湾曲し得る。複数の偏向可能な支柱の湾曲した部分は、複数の偏向可能な支柱の直線部分よりも比較的薄くてもよい。
【0122】
いくつかの実施形態では、弁体は、フレームの上流端の上流に位置するスカートを含み得る。スカートは、フレームの上流端にわたって延在していてもよい。スカートはまた、フレームの外側上流部分にわたって延在していてもよい。スカートはまた、フレームの外側上流部分にわたって延在しており、フレームの外側上流部分に接合されていなくてもよい。スカートは、弁体と同じポリマーでできていてもよい。スカートはまた、弁体のポリマーとは異なるポリマーでできていてもよい。スカートは、流入エッジ部分のみを覆い得る、ポリマーコーティングで覆われた流入エッジ部分を有し得る。スカートはまた、下にあるポリマーに融合された流出エッジ部分を有し得る。
【0123】
いくつかの実施形態では、複数の偏向可能な支柱は、ポリマーで満たされたセルを画定し得、ポリマーは、拡張状態から収縮状態に遷移する際に、セル内から弁の内腔に偏向するようにバイアスされ得る。
【0124】
いくつかの実施形態では、フレームは、一次構造の上にコーティングされた二次構造を備えた一次構造を含み得る。
【0125】
いくつかの実施形態では、埋め込み型弁は、半径方向の寸法を有し得、収縮状態と拡張状態との間で遷移可能であり得、ここで、半径方向の寸法は、拡張状態よりも収縮状態において比較的小さい。
【0126】
いくつかの実施形態では、第2の例示の埋め込み型弁は、フレームと、ポリマー弁体と、を含み得る。フレームは、複数の偏向可能な支柱、上流端、下流端、および下流端と上流端との間のウエスト区域を含み得る。ポリマー弁体は、フレームと結合され得、ポリマー弁体は、複数の人工弁尖を含み得る。フレームは、複数の交連位置を画定し得、下流端の複数の偏向可能な支柱は、複数の交連位置の間に連続エッジを画定し得る。
【0127】
いくつかの実施形態では、埋め込み型弁は、複数の交連位置の各々の下流端上に偏向減衰構成で形成された支柱をさらに含み得る。
【0128】
いくつかの実施形態では、複数の交連位置の各々の下流端上に偏向減衰構成で形成された支柱は、T字形を有し得る。
【0129】
いくつかの実施形態では、フレームは、3つの交連位置を有し、各々が、人工弁尖の近くに位置付けられ得る。
【0130】
いくつかの実施形態では、フレームおよび弁体は、フィルムまたは繊維のいずれかの形態の硬化ポリマーと一緒に結合され得る。
【0131】
いくつかの実施形態では、フレームは、フィルムまたは繊維のいずれかの形態の硬化ポリマーに封入され得る。
【0132】
いくつかの実施形態では、ポリマー弁体は、フィルムまたは繊維のいずれかの形態の硬化ポリマーから構成され得る。
【0133】
いくつかの実施形態では、埋め込み型弁は、長手方向軸を有し、埋め込み型弁が拡張状態にあるときに、複数の偏向可能な支柱は、長手方向軸に対して横方向であり得る。
【0134】
いくつかの実施形態では、完全に収縮した状態にあるときに、複数の偏向可能な支柱は、長手方向軸に対して平行または実質的に平行であり得る。
【0135】
いくつかの実施形態では、複数の偏向可能な支柱は、交わって、複数のセルを形成する。
【0136】
いくつかの実施形態では、弁体は、フレームの上流端の上流に位置するスカートを含み得る。スカートは、フレームの上流端にわたって延在していてもよい。スカートはまた、フレームの外側上流部分にわたって延在していてもよい。スカートはまた、フレームの外側上流部分にわたって延在しており、フレームの外側上流部分に接合されていなくてもよい。スカートは、弁体と同じポリマーでできていてもよい。スカートは、弁体のポリマーとは異なるポリマーでできていてもよい。スカートは、流入エッジ部分のみを覆い得る、ポリマーコーティングで覆われた流入エッジ部分を有し得る。スカートは、下にあるポリマーに融合された流出エッジ部分を有し得る。
【0137】
いくつかの実施形態では、複数の偏向可能な支柱は、交差し、複数のセルを形成し得る。各セルの頂点は、ポリマーで満たされたポケットを有し得る。複数の偏向可能な支柱は、各ポケットの位置で湾曲し得る。複数の偏向可能な支柱の湾曲した部分は、複数の偏向可能な支柱の直線部分よりも比較的薄くてもよい。
【0138】
いくつかの実施形態では、複数の偏向可能な支柱は、ポリマーで満たされたセルを画定し得、ポリマーは、拡張状態から収縮状態に遷移する際に、セル内から弁の内腔に偏向するようにバイアスされる。
【0139】
上記の実施形態のうちのいずれかにおいて、複数の弁尖は、2つまたは3つの弁尖であり得る。
【0140】
上記の実施形態のうちのいずれかにおいて、埋め込み型弁は、ヒトの心臓の大動脈弁に置き換わることができる。
【0141】
いくつかの実施形態では、埋め込み型弁を製造する第1の例示の方法は、ポリマー弁体を形成することと、フレームを形成および圧着することと、圧着されたフレームを、ウェットポリマーに浸漬することと、圧着されたフレーム上にポリマー弁体を位置付けることと、フレームの圧着を解除することと、を含み得る。
【0142】
いくつかの実施形態では、ポリマー弁体を形成することは、モールドをウェットポリマーに浸漬して、モールド上にポリマーコーティングを形成することと、モールド上のポリマーコーティングを硬化させることと、を含み得る。
【0143】
いくつかの実施形態では、モールドは、複数の弁尖を形成するための輪郭のある表面を含み得る。
【0144】
いくつかの実施形態では、弁体は、フレームが弁体の複数の弁尖と整列するようにフレーム上に位置付けられ得る。
【0145】
いくつかの実施形態では、ポリマー弁体は、ポリマー弁体の隣接する弁尖間の交連位置がフレーム上の対応する位置と整列するようにフレーム上に位置付けられ得る。
【0146】
いくつかの実施形態では、弁体は、複数の弁尖を含み、フレームの上流部分およびポリマー弁体は、ポリマーコーティングが複数の弁尖上ではなく、上流部分上に置かれるように、ウェットポリマーに浸漬され得る。
【0147】
いくつかの実施形態では、ポリマーコーティングを硬化させることは、弁体の上流端が下を向いている間にポリマーコーティングを硬化させることを含み得る。
【0148】
いくつかの実施形態では、埋め込み型弁は、ポリマーコーティングを硬化させた後、またはフレームもしくは弁体に弁仕上げを行った後に形成され得る。
【0149】
【0150】
いくつかの実施形態では、埋め込み型弁を製造する方法は、ポリマー弁体を形成することと、フレームをウェットポリマーに浸漬することと、ポリマー弁体の上にフレームを位置付けることと、フレームに半径方向の圧縮を適用することと、を含み得る。
【0151】
いくつかの実施形態では、ポリマー弁体を形成することは、モールドをウェットポリマーに浸漬して、モールド上にポリマーコーティングを形成することと、モールド上のポリマーコーティングを硬化させることと、を含み得る。
【0152】
いくつかの実施形態では、モールドは、複数の弁尖を形成するための輪郭のある表面を含み得る。
【0153】
いくつかの実施形態では、フレームは、フレームが弁体の複数の弁尖と整列するように弁体上に位置付けられ得る。
【0154】
いくつかの実施形態では、フレームは、ポリマー弁体の隣接する弁尖間の交連位置がフレーム上の対応する位置と整列するように、ポリマー弁体上に位置付けられ得る。
【0155】
いくつかの実施形態では、弁体は、複数の弁尖を含み、フレームの上流部分およびポリマー弁体は、ポリマーコーティングが複数の弁尖上ではなく、上流部分上に置かれるように、ウェットポリマーに浸漬され得る。
【0156】
いくつかの実施形態では、ポリマーコーティングを硬化させることは、弁体の上流端が下を向いている間にポリマーコーティングを硬化させることを含み得る。
【0157】
いくつかの実施形態では、埋め込み型弁は、ポリマーコーティングを硬化させた後、またはフレームもしくは弁体に弁仕上げを行った後に形成され得る。
【0158】
多くの実施形態では、埋め込み型弁を製造する方法は、フレームを、弁体のモールド上に置くことと、フレームおよびモールドをウェットポリマーに浸漬して、ポリマーコーティングを形成することと、ポリマーの硬化させることと、を含み得る。
【0159】
いくつかの実施形態では、モールドは、複数の弁尖を形成するための輪郭のある表面を含み得る。
【0160】
【0161】
いくつかの実施形態では、弁体は、フレームが弁体の複数の弁尖と整列するようにフレーム上に位置付けられ得る。
【0162】
いくつかの実施形態では、ポリマー弁体は、ポリマー弁体の隣接する弁尖間の交連位置がフレーム上の対応する位置と整列するようにフレーム上に位置付けられ得る。
【0163】
いくつかの実施形態では、弁体は、複数の弁尖を含み、フレームの上流部分およびポリマー弁体は、ポリマーコーティングが複数の弁尖上ではなく、上流部分上に置かれるように、ウェットポリマーに浸漬され得る。
【0164】
いくつかの実施形態では、ポリマーコーティングを硬化させることは、弁体の上流端が下を向いている間にポリマーコーティングを硬化させることを含み得る。
【0165】
いくつかの実施形態では、埋め込み型弁は、ポリマーコーティングを硬化させた後、またはフレームもしくは弁体に弁仕上げを行った後に形成され得る。
【0166】
いくつかの実施形態では、モールドは、複数のくぼみを含み、各くぼみは、フレームのセルの内部領域に対応する位置を有し得る。
【0167】
いくつかの実施形態では、各くぼみは、フレームのセルの内部領域に対応する形状を有し得る。
【0168】
多くの実施形態では、埋め込み型弁を製造する方法は、ポリマー弁体をマンドレル上にエレクトロスピニングすることと、弁体の上にフレームを置くことと、フレーム上でスカートをエレクトロスピニングすることと、を含み得る。
【0169】
いくつかの実施形態では、弁体は、ウェットエレクトロスピニングによって形成され得る。
【0170】
いくつかの実施形態では、スカートは、ドライエレクトロスピニングによって形成され得る。
【0171】
いくつかの実施形態では、弁体は、第1のポリマーで形成され、スカートは、第2のポリマーで形成され得る。
【0172】
いくつかの実施形態では、スカートは、第1のポリマーおよび第2のポリマーで形成され得る。
【0173】
いくつかの実施形態では、モールドは、複数の弁尖を形成するための輪郭のある表面を含み得る。
【0174】
【0175】
いくつかの実施形態では、フレームは、フレームが弁体の複数の弁尖と整列するように弁体上に位置付けられ得る。
【0176】
いくつかの実施形態では、フレームは、ポリマー弁体の隣接する弁尖間の交連位置がフレーム上の対応する位置と整列するように、ポリマー弁体上に位置付けられ得る。
【0177】
いくつかの実施形態では、方法は、スカートの流出エッジおよび/または流入エッジを調整することをさらに含み得る。スカートの流入エッジを調整することは、スカートの流入エッジ領域のみをポリマーに浸漬することを含み得る。スカートの流出エッジを調整することはまた、流出エッジを下にあるポリマーに融合することを含み得る。
【0178】
多くの実施形態では、埋め込み型弁は、支持構造と、支持構造と結合された複数の弁尖と、支持構造と結合されたスポンジ状のポリマー材料と、を含み得る。
【0179】
いくつかの実施形態では、スポンジ状のポリマー材料は、複数のセルを含み得る。スポンジ状のポリマー材料は、第1の物質を含み得、複数のセルの内部は、第1の物質とは異なる第2の物質を含み得る。第2の物質は、固体、液体、または気体であり得る。第2の物質は、気体であり得、スポンジ状のポリマー材料は、圧縮可能であり得る。第2の物質は、治療薬であり得る。複数のセルの大部分は、0.1~1000ミクロンの範囲の断面寸法を有し得る。
【0180】
いくつかの実施形態では、スポンジ状のポリマー材料は、支持構造と結合された縫製カフまたはシールを形成し得る。
【0181】
いくつかの実施形態では、スポンジ状のポリマー材料は、支持構造の外周の周りに位置し、およびフィラメントを通ってその支持構造を隣接する組織に結合することを可能にするように構成された縫製カフを形成し得る。
【0182】
いくつかの実施形態では、スポンジ状のポリマー材料は、支持構造の外周の周りに位置するシールを形成し得、ここで、シールは、弁周囲漏出を軽減するように構成されている。支持構造は、血管内移植のために半径方向に圧縮可能または半径方向に折り畳み可能であり得る。支持構造はまた、血管内送達デバイス内に配置するために半径方向に圧縮可能または半径方向に折り畳み可能であり得る。支持構造は、自己拡張可能またはバルーン拡張可能であり得る。シールは、シーリングスカートであり得、支持構造は、フレームであり得る。シーリングスカートは、フレームの上流端の上流に位置し得る。シーリングスカートは、フレームの上流端にわたって延在していてもよい。スカートはまた、フレームの外側上流部分にわたって延在していてもよい。スカートはまた、フレームの外側上流部分にわたって延在しており、フレームの外側上流部分に接合されていなくてもよい。
【0183】
いくつかの実施形態では、複数の弁尖およびスポンジ状のポリマーは、ポリマーであり、同じポリマーであり得る。
【0184】
上記の実施形態のうちのいずれかにおいて、埋め込み型弁は、ヒトの心臓の大動脈弁に置き換わるように作製され得る。
【0185】
上記の実施形態のうちのいずれかにおいて、複数の弁尖は、2つまたは3つの弁尖であり得る。
【0186】
いくつかの実施形態では、複数のセルは各々、治療薬を含み得る。
【0187】
いくつかの実施形態では、スポンジ状のポリマーは、圧縮可能であり得る。
【0188】
いくつかの実施形態では、スポンジ状のポリマーは、多孔性または半多孔性であり得る。
【0189】
いくつかの実施形態では、スポンジ状のポリマーは、心臓弁のシールとして使用され得る。
【0190】
多くの実施形態では、スポンジ状のポリマーを製造する方法は、溶媒を含む液体ポリマーを、基体に適用することと、溶媒が水分子と結合して、細胞を形成するように、基体を湿気の多い雰囲気に晒すことと、ポリマーがスポンジ状の構造を保持するように、ポリマーを硬化させて、溶媒および水を除去することと、を含み得る。
【0191】
いくつかの実施形態では、ポリマーは、シロキサンポリウレタン尿素であり得る。
【0192】
いくつかの実施形態では、基体は、弁の支持構造であり得る。
【0193】
多くの実施形態では、スポンジ状のポリマーを製造する方法は、炭酸カルシウムを含む液体ポリマーを形状に形成することと、炭酸カルシウムが液体ポリマー中に気泡を生成するように、液体ポリマーを加熱することと、ポリマーがスポンジ状の構造を保持するように、ポリマーを硬化させることと、を含み得る。
【0194】
いくつかの実施形態では、液体ポリマーは、溶媒が除去されるように加熱され得る。
【0195】
いくつかの実施形態では、気泡が、二酸化炭素の泡であり得る。
【0196】
いくつかの実施形態では、ポリマーは、シロキサンポリウレタン尿素であり得る。
【0197】
【0198】
多くの実施形態では、スポンジ状のポリマーを製造する方法は、液体ポリマーをモールド内に置くことであって、モールドの側壁がガスポートを含み得る、置くことと、泡が液体ポリマー内に形成されるように、ガスポートを通して、液体ポリマー内にガスを注入することと、ポリマーがスポンジ状の構造を保持するように、ポリマーを硬化させることと、を含み得る。
【0199】
いくつかの実施形態では、ガスは、窒素であり得、ポリマーは、シロキサンポリウレタン尿素である。
【0200】
多くの実施形態では、心臓弁を製造する方法は、弁の支持構造上にポリマーをエレクトロスピニングすることであって、エレクトロスピニングされたポリマーが格子状または繊維状の構造を有する、エレクトロスピニングすることを含み得る。
【0201】
いくつかの実施形態では、エレクトロスピニングプロセスは、ドライエレクトロスピニングプロセスであり得る。
【0202】
いくつかの実施形態では、エレクトロスピニングされたポリマーは、支持構造の周囲の周りのシールの形状であり得る。
【0203】
いくつかの実施形態では、シールは、シーリングスカートまたは縫製カフであり得る。
【0204】
いくつかの実施形態では、心臓弁を製造する方法は、格子構造に治療薬を埋め込むことをさらに含み得る。
【0205】
いくつかの実施形態では、エレクトロスピニングされたポリマーは、圧縮可能であり得る。
【0206】
いくつかの実施形態では、支持構造は、半径方向に圧縮可能なフレームまたは非半径方向に圧縮可能な構造であり得る。
【0207】
いくつかの実施形態では、エレクトロスピニングされたポリマーは、シロキサンポリウレタン尿素であり得る。
【0208】
いくつかの実施形態では、エレクトロスピニングされたポリマーは、心臓弁の弁尖を形成し得る。
【0209】
多くの実施形態では、心臓弁を製造する方法は、ポリマーをエレクトロスピニングすることと、エレクトロスピニングされたポリマーを弁の支持構造に結合することと、を含み得、ここで、エレクトロスピニングされたポリマーは、格子状または繊維状の構造を有し得る。
【0210】
いくつかの実施形態では、エレクトロスピニングプロセスは、ドライエレクトロスピニングプロセスである。
【0211】
いくつかの実施形態では、エレクトロスピニングされたポリマーは、支持構造の周囲の周りのシールの形状である。
【0212】
いくつかの実施形態では、心臓弁を製造する方法は、格子構造に治療薬を埋め込むことをさらに含み得る。
【0213】
いくつかの実施形態では、エレクトロスピニングされたポリマーは、圧縮可能であり得る。
【0214】
いくつかの実施形態では、エレクトロスピニングされたポリマーを弁の支持構造に結合することは、液体ポリマーを支持構造に適用することと、ポリマーの硬化がエレクトロスピニングされたポリマーを支持構造に結合するように、適用された液体ポリマー上にエレクトロスピニングされたポリマーを置くことと、を含み得る。
【0215】
いくつかの実施形態では、ポリマーは、シロキサンポリウレタン尿素であり得る。
【0216】
いくつかの実施形態では、エレクトロスピニングされたポリマーは、弁の弁尖を形成し得る。
【0217】
多くの実施形態では、心臓弁を製造する方法は、弁体をマンドレル上にエレクトロスピニングすることと、弁体の上にフレームを置くことと、フレームにわたってポリマー層をエレクトロスピニングして、フレームの開口部を介してフレームを弁体に接合することであって、ポリマー層が、シーリングスカートを形成する、接合することと、を含み得る。
【0218】
いくつかの実施形態では、ウェットスピニングプロセスを使用して、弁体をマンドレル上にエレクトロスピニングする。
【0219】
いくつかの実施形態では、心臓弁を製造する方法は、フレームを弁体の上に置く前に、弁体を硬化させることをさらに含み得る。
【0220】
いくつかの実施形態では、心臓弁を製造する方法は、ポリマー層を硬化させることをさらに含み得る。
【0221】
いくつかの実施形態では、心臓弁を製造する方法は、心臓弁を仕上げることをさらに含み得る。
【0222】
いくつかの実施形態では、心臓弁を製造する方法は、マンドレルを冷却または加熱することによって、心臓弁をマンドレルから除去することをさらに含み得る。
【0223】
多くの実施形態では、心臓弁を製造する方法は、弁体をマンドレル上にエレクトロスピニングすることと、弁体の上にフレームを置くことと、フレームにポリマー層を適用して、フレームの開口部を介してフレームを弁体に接合することと、を含み得る。
【0224】
いくつかの実施形態では、ウェットスピニングプロセスを使用して、弁体をマンドレル上にエレクトロスピニングし得る。
【0225】
いくつかの実施形態では、心臓弁を製造する方法は、フレームを弁体の上に置く前に、弁体を硬化させることをさらに含み得る。
【0226】
いくつかの実施形態では、心臓弁を製造する方法は、ポリマー層を硬化させることをさらに含み得る。
【0227】
いくつかの実施形態では、心臓弁を製造する方法は、フレームおよび/またはポリマー層上にシーリングスカートをエレクトロスピニングすることをさらに含み得る。
【0228】
いくつかの実施形態では、心臓弁を製造する方法は、心臓弁を硬化させることをさらに含み得る。
【0229】
いくつかの実施形態では、心臓弁を製造する方法は、心臓弁を仕上げることをさらに含み得る。
【0230】
いくつかの実施形態では、心臓弁を製造する方法は、マンドレルを冷却または加熱することによって、心臓弁をマンドレルから除去することをさらに含み得る。
【0231】
多くの実施形態では、心臓弁を製造する方法は、第1のマンドレル上に弁体を形成することと、弁体の上にフレームを置くことと、ポリマーをフレーム上にエレクトロスピニングして、フレームを弁体に接合することと、を含み得る。
【0232】
いくつかの実施形態では、心臓弁を製造する方法は、フレームおよび/またはエレクトロスピニングされたポリマー上に、シーリングスカートをエレクトロスピニングすることをさらに含み得る。
【0233】
いくつかの実施形態では、心臓弁を製造する方法は、シーリングスカートを硬化させることをさらに含み得る。ウェットスピニングプロセスを使用して、ポリマーをエレクトロスピニングして、フレームを結合する、および/またはシーリングスカートをエレクトロスピニングし得る。弁体を形成することは、マンドレルを液体ポリマーに浸漬することと、液体ポリマーを硬化させることと、を含み得る。
【0234】
多くの実施形態では、心臓弁を製造する方法は、フレームを液体ポリマーに浸漬して、フレームの流入側に基体を作成することと、フレーム上の基体にわたってシーリングスカートを適用することと、フレームを液体ポリマーに浸漬して、弁尖を形成することと、心臓弁を硬化させることと、を含み得る。
【0235】
いくつかの実施形態では、心臓弁を製造する方法は、シーリングスカートを適用する前に、ポリマーを硬化させることをさらに含み得る。
【0236】
いくつかの実施形態では、心臓弁を製造する方法は、フレームを液体ポリマーに浸漬して、弁尖を形成する前に、シーリングスカートを硬化させることをさらに含み得る。心臓弁を製造する方法は、シーリングスカートをトリミングすることをさらに含み得る。
【0237】
いくつかの実施形態では、フレームは、クラウンと、クラウンとフレームの本体との間の開放領域と、を含み得、ここで、フレームを液体ポリマーに浸漬して、弁尖を形成することは、開放領域上にシールドを備えたフレームを浸漬することを含み得る。
【0238】
いくつかの実施形態では、フレームを液体ポリマーに浸漬して、弁尖を形成することは、フレームの流出側を、シーリングスカートの流出エッジまで浸漬することと、を含み得る。
【0239】
いくつかの実施形態では、心臓弁を製造する方法は、シーリングスカートの流入エッジを液体ポリマーに浸漬することをさらに含み得る。
【0240】
いくつかの実施形態では、心臓弁を製造する方法は、弁尖をトリミングすることをさらに含み得る。
【0241】
多くの実施形態では、弁プロテーゼを製造する方法は、溶媒を含むポリマーを、フレーム、および少なくとも部分的に硬化したポリマー弁体の少なくとも一部分上にエレクトロスピニングすることと、エレクトロスピニングされたポリマーとポリマー弁体との間に化学結合が形成されるように、エレクトロスピニングされたポリマーを硬化させることと、を含み得る。
【0242】
いくつかの実施形態では、エレクトロスピニングすることは、60~100%の相対湿度を有する環境で実施され得る。
【0243】
いくつかの実施形態では、エレクトロスピニングすることは、摂氏20~40度の温度を有する環境で実施される。
【0244】
いくつかの実施形態では、弁プロテーゼを製造する方法は、少なくとも2つの弁尖を含む、硬化したポリマー弁体に接触しなかったエレクトロスピニングされたポリマーを除去することと、エレクトロスピニングすることの前に弁尖を覆って、弁尖をエレクトロスピニングされたポリマーとの接触から保護することと、をさらに含み得る。硬化させることは、オーブン内で実施され得る。
【0245】
いくつかの実施形態では、弁プロテーゼを製造する方法は、ポリマーをエレクトロスピニングすることの前に実施される以下のステップであって、マンドレルを液体ポリマーに浸漬し、ここで、マンドレルは、複数の弁尖を備えた弁体を形成するための表面輪郭を有しており、浸漬したポリマーを少なくとも部分的に硬化させて、弁体を形成するステップをさらに含み得る。
【0246】
いくつかの実施形態では、製造方法は、ポリマーをエレクトロスピニングすることの前に、少なくとも部分的に硬化した弁体の上にフレームを置くことをさらに含む。
【0247】
いくつかの実施形態では、弁プロテーゼを製造する方法は、弁プロテーゼ上にシーリングスカートを形成することをさらに含み得る。
【0248】
いくつかの実施形態では、弁プロテーゼを製造する方法は、エレクトロスピニングされたポリマーまたはポリマー弁体が、シロキサンポリウレタン尿素であることをさらに含み得る。
【0249】
いくつかの実施形態では、エレクトロスピニングされたポリマーおよびポリマー弁体は、両方ともシロキサンポリウレタン尿素である。
【0250】
いくつかの実施形態では、弁体のポリマーは、シロキサンポリウレタン尿素であり得る。シロキサンポリウレタン尿素に関する前述のすべての実施形態において、そのシロキサンポリウレタン尿素は、第1、第2、第3、および第4のセグメントを含み得る。第1のセグメントは、-A1-L1-A1の構造(式中、L1は、第1のジイソシアネートの残基である)を有し得る。A1は、ポリ(C1~C12アルカンジオール)の残基である。第2のセグメントは、第1のシロキサン含有ジオールの残基を有し得る。第3のセグメントは、第2のシロキサン含有ジオールの残基を有し得、第4のセグメントは、C1~C12アルカンジアミンの残基を有し得、ここで、セグメントは各々、ジイソシアネートの残基を介して互いに共有結合している。
【0251】
前述のすべての実施形態において、弁は、僧帽弁または大動脈弁として構成され得る。
【0252】
シロキサンポリウレタン尿素に関する前述のすべての実施形態において、そのシロキサンポリウレタン尿素は、A4-L4-A3-L3-A2-L2-A1-L1-A1-L2-A2-L3-A3-L4-A4の構造(式中、L1は、第1のジイソシアネートの残基であり得る)を有し得る。A1は、ポリ(C1~C12アルカンジオール)の残基であり得る。L2は、第2のジイソシアネートの残基であり得る。A2は、-A1-L1-A1-、第1のシロキサン含有ジオールの残基、第2のシロキサン含有ジオールの残基、およびC1~C12のアルカンジアミンの残基から選択され得る。L3は、第3のジイソシアネートの残基であり得る。A3は、-A1-L1-A1-、第1のシロキサン含有ジオールの残基、第2のシロキサン含有ジオールの残基、およびC1~C12のアルカンジアミンの残基から選択され得る。L4は、第4のジイソシアネートの残基であり得る。A4は、-A1-L1-A1-、第1のシロキサン含有ジオールの残基、第2のシロキサン含有ジオールの残基、およびC1~C12のアルカンジアミンの残基から選択され得る。A4-L4-A3-L3-A2-L2-A1-L1-A1-L2-A2-L3-A3-L4-A4の構造では、A2、A3、またはA4の少なくとも1つの場合は、第2のシロキサン含有ジオールの残基であり得、A2、A3、またはA4の少なくとも1つの場合は、C1~C12のアルカンジアミンの残基であり得る。
【0253】
シロキサンポリウレタン尿素に関する前述のすべての実施形態において、そのシロキサンポリウレタン尿素は、A4-L4-A3-L3-A2-L2-A1-L1-A1-L2-A2-L3-A3-L4-A4(式II)の第1の構造、および/またはA4-L4-A2-L3-A3-L2-A1-L1-A1-L2-A3-L3-A2-L4-A4(式III)の第2の構造を含み得る。第1および第2の構造の場合、
L1は、MDIの残基であり得、
A1は、PHMOの残基であり得、
L2は、MDIの残基であり得、
A2は、PDMSの残基であり得、
L3は、MDIの残基であり得、
A3は、BHTDの残基であり得、
L4は、MDIの残基であり得、
A4は、EDAの残基であり得る。
【0254】
多くの例示の実施形態では、複数の偏向可能な支柱を含むフレームと、フレームと結合されたポリマー弁体であって、複数の人工弁尖を含む、ポリマー弁体と、を含み、埋め込み型弁が、半径方向の寸法を有し、収縮状態と拡張状態との間で遷移可能であり、半径方向の寸法が、拡張状態よりも収縮状態において比較的小さい、埋め込み型弁が提供されている。
【0255】
これらの弁の実施形態では、フレームおよび弁体は、硬化したポリマーと一緒に結合され得る。フレームは、硬化したポリマーに封入され得る。ポリマー弁体は、硬化したポリマーで構成され得る。
【0256】
これらの弁の実施形態では、埋め込み型弁は、長手方向軸を有し、埋め込み型弁が拡張状態にあるときに、複数の偏向可能な支柱は、長手方向軸に対して横方向であり得る。完全に収縮した状態にあるときに、複数の偏向可能な支柱は、長手方向軸に対して平行または実質的に平行であり得る。弁は、複数の長手方向支柱をさらに含み得、複数の長手方向支柱の各々は、隣接する弁尖間の交連に位置付けられている。複数の長手方向支柱の各々は、埋め込み型弁が拡張および収縮構成にあるときに、埋め込み型弁の長手方向軸に対して平行であり得る。複数の偏向可能な支柱は、交わって、複数のセルを形成し得る。フレームは、フレームの下流端に隣接して位置するセルの第1の列を含み得、ここで、複数の長手方向支柱は、セルの第1の列にある。フレームは、セルの第1の列の上流に位置するセルの第2の列を含み得、ここで、セルの第2の列には長手方向支柱はない。
【0257】
これらの弁の実施形態では、弁体は、フレームの上流端の上流に位置するスカートを含み得る。スカートは、フレームの上流端にわたって延在していてもよい。スカートは、フレームの外側上流部分にわたって延在していてもよい。スカートは、フレームの外側上流部分にわたって延在していてもよく、フレームの外側上流部分に接続されていなくてもよい(接合されていなくてもよい)。
【0258】
これらの弁の実施形態では、複数の弁尖は、2つおよび2つだけの弁尖であり得るか、または複数の弁尖は、3つおよび3つだけの弁尖であり得る。他の数の弁尖がまた使用され得る。これらの弁の実施形態では、埋め込み型弁は、ヒトの心臓の大動脈弁に置き換わるように構成され得る。これらの弁の実施形態では、埋め込み型弁は、ヒトの心臓の僧帽弁、三尖弁、および肺動脈弁に置き換わるように構成され得る。これらの弁の実施形態では、フレームは、一次構造の上にコーティングされた二次構造を備えた一次構造を含み得る。
【0259】
多くの例示の実施形態では、人工弁を移植する方法が提供されており、方法は、人工弁が収縮状態にある間に、細長い送達デバイスを用いて、レシピエントの体を通して人工弁を動かすことと、少なくとも送達デバイスから人工弁を展開することによって、レシピエントの体内に人工弁を移植することであって、人工弁が拡張構成で埋め込まれ、人工弁が前述の弁の実施形態のうちのいずれかに準拠している、移植することと、を含む。
【0260】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、別段文脈が明らかに指示しない限り、複数の言及を含む。
【0261】
値の範囲が提供される場合、文脈が明確に別段の指示をしない限り、範囲の上限と下限と、その記載された範囲内のいくつかの他の記載または介在値との間にあり、下限の単位の10分の1までの各介在値は、本開示に含まれ、唯一の値として、またはより狭い範囲として主張され得る。記載された範囲が制限のうちの一方または両方を含む場合、それらの含まれる制限のうちのいずれかまたは両方を除外する範囲がまた本開示に含まれる。
【0262】
離散値または値の範囲が提供される場合、その値または値の範囲は、特に明記しない限り、離散数または数の範囲としてより広く主張され得る。例えば、本明細書で提供される各値または値の範囲は、概算として主張され得、この段落は、いつでも、その値の「約」、その値の範囲の「約」、その値の「おおよそ」、および/またはその値の範囲の「おおよそ」としてそのような各値または値の範囲を記載する特許請求の範囲の導入の先行基準および書面によるサポートとして機能する。逆に、値または値の範囲が近似または一般化として記述されている場合、例えば、約X、またはおおよそXの場合、その値または値の範囲は、そのような拡張項を使用せずに個別に主張され得る。
【0263】
しかしながら、本明細書は、本明細書に開示される主題が、特許請求の範囲におけるその値または値の範囲の明示的な記載がない限り、特定の値または値の範囲に限定されることを意味すると解釈されるべきではない。値および値の範囲は、単に例として本明細書に提供されている。
【0264】
本明細書で提供される任意の実施形態に関して説明されるすべての特徴、要素、構成要素、機能、およびステップは、他の任意の実施形態からのものと自由に組み合わせることができ、置換可能であることが意図されている。特定の特徴、要素、構成要素、機能、またはステップが1つの実施形態に関してのみ記載されている場合、その特徴、要素、構成要素、機能、またはステップは、明示的に別段の記載がない限り、本明細書に記載されている他のすべての実施形態で使用され得ることを理解されたい。したがって、この段落は、以下の説明が、特定の実例において、組み合わせまたは置換が可能であると明示的に記述していない場合であっても、異なる実施形態からの特徴、要素、構成要素、機能、およびステップを組み合わせる、または1つの実施形態の特徴、要素、構成要素、機能、およびステップを別の実施形態の特徴、要素、構成要素、機能、およびステップに置き換える、特許請求の範囲の導入に関する先行の基礎および書面によるサポートとして機能する。特に、そのような組み合わせおよび置換の各々およびすべての許容性が当業者によって容易に認識されることを考えると、すべての可能な組み合わせおよび置換の明示的な列挙は過度に負担が大きいことが明確に認められている。
【0265】
実施形態は、様々な修正および代替形態の影響を受けやすいが、その特定の実施例は、図面に示され、本明細書で詳細に記載されている。しかしながら、これらの実施形態は、開示される特定の形態に限定されるものではないが、対照的に、これらの実施形態は、本開示の精神に該当する修正、均等物、および代替のすべてを網羅することを理解されたい。さらに、実施形態の任意の特徴、機能、ステップ、または要素は、範囲内にない特徴、機能、ステップ、または要素によって特許請求の範囲の本発明の範囲を画定する、否定的な限定と同様に、特許請求の範囲内に列挙、または追加され得る。
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
埋め込み型弁であって、
複数の偏向可能な支柱、上流端、下流端、および前記下流端と上流端との間のウエスト区域を含む、フレームと、
前記フレームと結合されたポリマー弁体であって、複数の人工弁尖を含む、ポリマー弁体と、を含み、
前記フレームが複数の交連位置を画定し、前記下流端の前記複数の偏向可能な支柱が、前記複数の交連位置の間にクラウン形状を画定する、埋め込み型弁。
(項目2)
前記弁体の前記ポリマーが、シロキサンポリウレタン尿素である、項目1に記載の埋め込み型弁。
(項目3)
前記シロキサンポリウレタン尿素が、
-A1-L1-A1-
の構造を含む第1のセグメント(式中、
L1が、第1のジイソシアネートの残基であり、
A1が、ポリ(C1~C12アルカンジオール)の残基である)と、
第1のシロキサン含有ジオールの残基を含む、第2のセグメントと、
第2のシロキサン含有ジオールの残基を含む、第3のセグメントと、
C1~C12アルカンジアミンの残基を含む、第4のセグメントと、を含み、
前記セグメントが各々、ジイソシアネートの残基を介して互いに共有結合している、項目2に記載の埋め込み型弁。
(項目4)
前記シロキサンポリウレタン尿素が、
A4-L4-A3-L3-A2-L2-A1-L1-A1-L2-A2-L3-A3-L4-A4
の構造を含み、式中、
L1が、第1のジイソシアネートの残基であり、
A1が、ポリ(C1~C12アルカンジオール)の残基であり、
L2が、第2のジイソシアネートの残基であり、
A2が、-A1-L1-A1-、第1のシロキサン含有ジオールの残基、第2のシロキサン含有ジオールの残基、およびC1~C12のアルカンジアミンの残基から選択され、
L3が、第3のジイソシアネートの残基であり、
A3が、-A1-L1-A1-、第1のシロキサン含有ジオールの残基、第2のシロキサン含有ジオールの残基、およびC1~C12のアルカンジアミンの残基から選択され、
L4が、第4のジイソシアネートの残基であり、
A4が、-A1-L1-A1-、第1のシロキサン含有ジオールの残基、第2のシロキサン含有ジオールの残基、およびC1~C12のアルカンジアミンの残基から選択され、
ただし、A2、A3、またはA4の少なくとも1つの場合が、第2のシロキサン含有ジオールの残基であり、A2、A3、またはA4の少なくとも1つの場合が、C1~C12のアルカンジアミンの残基である、項目2に記載の埋め込み型弁。
(項目5)
前記シロキサンポリウレタン尿素が、
A4-L4-A3-L3-A2-L2-A1-L1-A1-L2-A2-L3-A3-L4-A4
式II
A4-L4-A2-L3-A3-L2-A1-L1-A1-L2-A3-L3-A2-L4-A4
式III
の構造を含み、式中、
L1が、MDIの残基であり、
A1が、PHMOの残基であり、
L2が、MDIの残基であり、
A2が、PDMSの残基であり、
L3が、MDIの残基であり、
A3が、BHTDの残基であり、
L4が、MDIの残基であり、
A4が、EDAの残基である、項目2に記載の埋め込み型弁。
(項目6)
前記ウエスト区域に画定された少なくとも1つの開放領域をさらに含み、複数の偏向可能な支柱にまたがって延在している長さおよび幅を有する、項目1に記載の埋め込み型弁。
(項目7)
前記フレームが、3つの交連位置を有し、各々が、人工弁尖の近くに位置付けられている、項目1に記載の埋め込み型弁。
(項目8)
前記フレームおよび弁体が、フィルムまたは繊維のいずれかの形態の硬化ポリマーと一緒に結合されている、項目1に記載の埋め込み型弁。
(項目9)
前記フレームが、フィルムまたは繊維のいずれかの形態の前記硬化ポリマーに封入されている、項目1に記載の埋め込み型弁。
(項目10)
前記ポリマー弁体が、フィルムまたは繊維のいずれかの形態の前記硬化ポリマーから構成されている、項目1に記載の埋め込み型弁。
(項目11)
前記埋め込み型弁が、長手方向軸を有し、前記埋め込み型弁が拡張状態にあるときに、前記複数の偏向可能な支柱が、前記長手方向軸に対して横方向である、項目1に記載の埋め込み型弁。
(項目12)
前記完全に収縮した状態にあるときに、前記複数の偏向可能な支柱が、前記長手方向軸に対して平行または実質的に平行である、項目11に記載の埋め込み型弁。
(項目13)
前記複数の偏向可能な支柱が、交差し、複数のセルを形成する、項目1に記載の埋め込み型弁。
(項目14)
各セルの頂点が、ポリマーで満たされたポケットを有する、項目13に記載の埋め込み型弁。
(項目15)
前記複数の偏向可能な支柱が、各ポケットの位置で湾曲している、項目14に記載の埋め込み型弁。
(項目16)
前記複数の偏向可能な支柱の前記湾曲した部分が、前記複数の偏向可能な支柱の直線部分よりも比較的薄い、項目15に記載の埋め込み型弁。
(項目17)
前記弁体が、前記フレームの上流端の上流に位置するスカートを含む、項目1に記載の埋め込み型弁。
(項目18)
前記スカートが、前記フレームの前記上流端にわたって延在している、項目17に記載の埋め込み型弁。
(項目19)
前記スカートが、前記フレームの外側上流部分にわたって延在している、項目17に記載の埋め込み型弁。
(項目20)
前記スカートが、前記フレームの前記外側上流部分にわたって延在しており、前記フレームの前記外側上流部分に接合されていない、項目19に記載の埋め込み型弁。
(項目21)
前記スカートが、前記弁体と同じポリマーでできている、項目17に記載の埋め込み型弁。
(項目22)
前記スカートが、前記弁体の前記ポリマーとは異なるポリマーでできている、項目17に記載の埋め込み型弁。
(項目23)
前記スカートが、ポリマーコーティングで覆われた流入エッジ部分を有する、項目17に記載の埋め込み型弁。
(項目24)
前記ポリマーコーティングが、前記流入エッジ部分のみを覆う、項目23に記載の埋め込み型弁。
(項目25)
前記スカートが、下にあるポリマーに融合された流出エッジ部分を有する、項目17に記載の埋め込み型弁。
(項目26)
前記複数の偏向可能な支柱が、ポリマーで満たされたセルを画定し、前記ポリマーが、拡張状態から収縮状態に遷移する際に、前記セル内から前記弁の内腔に偏向するようにバイアスされる、項目1に記載の埋め込み型弁。
(項目27)
前記埋め込み型弁が、ヒトの心臓の僧帽弁に置き換わるように構成されている、項目1~26のいずれかに記載の埋め込み型弁。
(項目28)
前記フレームが、一次構造の上にコーティングされた二次構造を備えた前記一次構造を含む、項目1~26のいずれかに記載の埋め込み型弁。
(項目29)
前記埋め込み型弁が、半径方向の寸法を有し、収縮状態と拡張状態との間で遷移可能であり、前記半径方向の寸法が、前記拡張状態よりも前記収縮状態において比較的小さい、項目1~26のいずれかに記載の埋め込み型弁。
(項目30)
埋め込み型弁であって、
複数の偏向可能な支柱、上流端、下流端、および前記下流端と上流端との間のウエスト区域を含む、フレームと、
前記フレームと結合されたポリマー弁体であって、複数の人工弁尖を含む、ポリマー弁体と、を含み、
前記フレームが複数の交連位置を画定し、前記下流端の前記複数の偏向可能な支柱が、前記複数の交連位置の間に連続エッジを画定する、埋め込み型弁。
(項目31)
前記複数の交連位置の各々の前記下流端上に偏向減衰構成で形成された支柱をさらに含む、項目30に記載の埋め込み型弁。
(項目32)
前記複数の交連位置の各々の前記下流端上に偏向減衰構成で形成された前記支柱が、T字形を有する、項目30に記載の埋め込み型弁。
(項目33)
前記フレームが、3つの交連位置を有し、各々が、人工弁尖の近くに位置付けられている、項目30に記載の埋め込み型弁。
(項目34)
前記フレームおよび弁体が、フィルムまたは繊維のいずれかの形態の硬化ポリマーと一緒に結合されている、項目30に記載の埋め込み型弁。
(項目35)
前記フレームが、フィルムまたは繊維のいずれかの形態の前記硬化ポリマーに封入されている、項目30に記載の埋め込み型弁。
(項目36)
前記ポリマー弁体が、フィルムまたは繊維のいずれかの形態の前記硬化ポリマーから構成されている、項目30に記載の埋め込み型弁。
(項目37)
前記埋め込み型弁が、長手方向軸を有し、前記埋め込み型弁が拡張状態にあるときに、前記複数の偏向可能な支柱が、前記長手方向軸に対して横方向である、項目30に記載の埋め込み型弁。
(項目38)
前記完全に収縮した状態にあるときに、前記複数の偏向可能な支柱が、前記長手方向軸に対して平行または実質的に平行である、項目30に記載の埋め込み型弁。
(項目39)
前記複数の偏向可能な支柱が、交わって、複数のセルを形成する、項目30に記載の埋め込み型弁。
(項目40)
前記弁体が、前記フレームの上流端の上流に位置するスカートを含む、項目30に記載の埋め込み型弁。
(項目41)
前記スカートが、前記フレームの前記上流端にわたって延在している、項目40に記載の埋め込み型弁。
(項目42)
前記スカートが、前記フレームの外側上流部分にわたって延在している、項目40に記載の埋め込み型弁。
(項目43)
前記スカートが、前記フレームの前記外側上流部分にわたって延在しており、前記フレームの前記外側上流部分に接合されていない、項目40に記載の埋め込み型弁。
(項目44)
前記スカートが、前記弁体と同じポリマーでできている、項目40に記載の埋め込み型弁。
(項目45)
前記スカートが、前記弁体の前記ポリマーとは異なるポリマーでできている、項目40に記載の埋め込み型弁。
(項目46)
前記スカートが、ポリマーコーティングで覆われた流入エッジ部分を有する、項目40に記載の埋め込み型弁。
(項目47)
前記ポリマーコーティングが、前記流入エッジ部分のみを覆う、項目46に記載の埋め込み型弁。
(項目48)
前記スカートが、下にあるポリマーに融合された流出エッジ部分を有する、項目47に記載の埋め込み型弁。
(項目49)
前記複数の偏向可能な支柱が、交差し、複数のセルを形成する、項目30に記載の埋め込み型弁。
(項目50)
各セルの頂点が、ポリマーで満たされたポケットを有する、項目49に記載の埋め込み型弁。
(項目51)
前記複数の偏向可能な支柱が、各ポケットの位置で湾曲している、項目50に記載の埋め込み型弁。
(項目52)
前記複数の偏向可能な支柱の前記湾曲した部分が、前記複数の偏向可能な支柱の直線部分よりも比較的薄い、項目51に記載の埋め込み型弁。
(項目53)
前記複数の偏向可能な支柱が、ポリマーで満たされたセルを画定し、前記ポリマーが、拡張状態から収縮状態に遷移する際に、前記セル内から前記弁の内腔に偏向するようにバイアスされる、項目30に記載の埋め込み型弁。
(項目54)
前記複数の弁尖が、2つまたは3つの弁尖である、項目30~53のいずれかに記載の埋め込み型弁。
(項目55)
前記埋め込み型弁が、ヒトの心臓の大動脈弁に置き換わるように構成されている、項目30~53のいずれかに記載の埋め込み型弁。
(項目56)
埋め込み型弁を製造する方法であって、
ポリマー弁体を形成することと、
フレームを形成および圧着することと、
前記圧着されたフレームを、ウェットポリマーに浸漬することと、
前記圧着されたフレーム上に前記ポリマー弁体を位置付けることと、
前記フレームの圧着を解除することと、を含む、方法。
(項目57)
前記ポリマー弁体を形成することが、
モールドをウェットポリマーに浸漬して、前記モールド上にポリマーコーティングを形成することと、
前記モールド上の前記ポリマーコーティングを硬化させることと、を含む、項目56に記載の方法。
(項目58)
前記モールドが、前記複数の弁尖を形成するための輪郭のある表面を含む、項目56に記載の方法。
(項目59)
前記弁体が、前記フレームが前記弁体の複数の弁尖と整列するように前記フレーム上に位置付けられている、項目56に記載の方法。
(項目60)
前記ポリマー弁体が、前記ポリマー弁体の隣接する弁尖間の交連位置が前記フレーム上の対応する位置と整列するように前記フレーム上に位置付けられている、項目56に記載の方法。
(項目61)
前記弁体が、複数の弁尖を含み、前記フレームの前記上流部分およびポリマー弁体が、前記ポリマーコーティングが前記複数の弁尖上ではなく、前記上流部分上に置かれるように、ウェットポリマーに浸漬される、項目56に記載の方法。
(項目62)
前記ポリマーコーティングを硬化させることが、前記弁体の上流端が下を向いている間に前記ポリマーコーティングを硬化させることを含む、項目56に記載の方法。
(項目63)
前記埋め込み型弁が、前記ポリマーコーティングを硬化させた後、または前記フレームもしくは弁体に弁仕上げを行った後に形成される、項目56に記載の方法。
(項目64)
前記埋め込み型弁が、項目1~55のいずれかに準拠している、項目56に記載の方法。
(項目65)
埋め込み型弁を製造する方法であって、
ポリマー弁体を形成することと、
フレームをウェットポリマーに浸漬することと、
前記ポリマー弁体の上に前記フレームを位置付けることと、
前記フレームに半径方向の圧縮を適用することと、を含む、方法。
(項目66)
前記ポリマー弁体を形成することが、
モールドをウェットポリマーに浸漬して、前記モールド上にポリマーコーティングを形成することと、
前記モールド上の前記ポリマーコーティングを硬化させることと、を含む、項目65に記載の方法。
(項目67)
前記モールドが、前記複数の弁尖を形成するための輪郭のある表面を含む、項目65に記載の方法。
(項目68)
前記フレームが、前記フレームが前記弁体の複数の弁尖と整列するように前記弁体上に位置付けられている、項目65に記載の方法。
(項目69)
前記フレームが、前記ポリマー弁体の隣接する弁尖間の交連位置が前記フレーム上の対応する位置と整列するように、前記ポリマー弁体上に位置付けられている、項目65に記載の方法。
(項目70)
前記弁体が、複数の弁尖を含み、前記フレームの前記上流部分およびポリマー弁体が、前記ポリマーコーティングが前記複数の弁尖上ではなく、前記上流部分上に置かれるように、ウェットポリマーに浸漬される、項目65に記載の方法。
(項目71)
前記ポリマーコーティングを硬化させることが、前記弁体の上流端が下を向いている間に前記ポリマーコーティングを硬化させることを含む、項目65に記載の方法。
(項目72)
前記埋め込み型弁が、前記ポリマーコーティングを硬化させた後、または前記フレームもしくは弁体に弁仕上げを行った後に形成される、項目65に記載の方法。
(項目73)
前記埋め込み型弁が、項目1~55のいずれかに準拠している、項目65に記載の方法。
(項目74)
埋め込み型弁を製造する方法であって、
フレームを、弁体のモールド上に置くことと、
前記フレームおよびモールドをウェットポリマーに浸漬して、ポリマーコーティングを形成することと、
前記ポリマーの硬化させることと、を含む、方法。
(項目75)
前記モールドが、前記複数の弁尖を形成するための輪郭のある表面を含む、項目74に記載の方法。
(項目76)
前記弁体が、前記フレームが前記弁体の複数の弁尖と整列するように前記フレーム上に位置付けられている、項目74に記載の方法。
(項目77)
前記ポリマー弁体が、前記ポリマー弁体の隣接する弁尖間の交連位置が前記フレーム上の対応する位置と整列するように前記フレーム上に位置付けられている、項目74に記載の方法。
(項目78)
前記弁体が、複数の弁尖を含み、前記フレームの前記上流部分およびポリマー弁体が、前記ポリマーコーティングが前記複数の弁尖上ではなく、前記上流部分上に置かれるように、ウェットポリマーに浸漬される、項目74に記載の方法。
(項目79)
前記ポリマーコーティングを硬化させることが、前記弁体の上流端が下を向いている間に前記ポリマーコーティングを硬化させることを含む、項目74に記載の方法。
(項目80)
前記埋め込み型弁が、前記ポリマーコーティングを硬化させた後、または前記フレームもしくは弁体に弁仕上げを行った後に形成される、項目74に記載の方法。
(項目81)
前記モールドが、複数のくぼみを含み、各くぼみが、前記フレームのセルの内部領域に対応する位置を有する、項目74に記載の方法。
(項目82)
各くぼみが、前記フレームのセルの前記内部領域に対応する形状を有する、項目66に記載の方法。
(項目83)
前記埋め込み型弁が、項目1~55のいずれかに準拠している、項目74に記載の方法。
(項目84)
埋め込み型弁を製造する方法であって、
ポリマー弁体をマンドレル上にエレクトロスピニングすることと、
前記弁体の上にフレームを置くことと、
フレーム上でスカートをエレクトロスピニングすることと、を含む、方法。
(項目85)
前記弁体が、ウェットエレクトロスピニングによって形成される、項目84に記載の方法。
(項目86)
前記スカートが、ドライエレクトロスピニングによって形成される、項目84に記載の方法。
(項目87)
前記弁体が、第1のポリマーで形成され、前記スカートが、第2のポリマーで形成される、項目84に記載の方法。
(項目88)
前記スカートが、第1のポリマーおよび第2のポリマーで形成される、項目84に記載の方法。
(項目89)
前記モールドが、前記複数の弁尖を形成するための輪郭のある表面を含む、項目84に記載の方法。
(項目90)
前記フレームが、前記フレームが前記弁体の複数の弁尖と整列するように前記弁体上に位置付けられている、項目84に記載の方法。
(項目91)
前記フレームが、前記ポリマー弁体の隣接する弁尖間の交連位置が前記フレーム上の対応する位置と整列するように、前記ポリマー弁体上に位置付けられている、項目84に記載の方法。
(項目92)
前記スカートの流出エッジおよび/または流入エッジを調整することをさらに含む、項目84に記載の方法。
(項目93)
前記スカートの前記流入エッジを調整することが、前記スカートの流入エッジ領域のみをポリマーに浸漬することを含む、項目92に記載の方法。
(項目94)
前記スカートの前記流出エッジを調整することが、前記流出エッジを下にあるポリマーに融合することを含む、項目92に記載の方法。
(項目95)
前記埋め込み型弁が、項目1~55のいずれかに準拠している、項目84に記載の方法。
(項目96)
埋め込み型弁であって、
支持構造と、
前記支持構造と結合された複数の弁尖と、
前記支持構造と結合されたスポンジ状のポリマー材料と、を含む、埋め込み型弁。
(項目97)
前記スポンジ状のポリマー材料が、複数のセルを含む、項目96に記載の埋め込み型弁。
(項目98)
前記スポンジ状のポリマー材料が、第1の物質であり、前記複数のセルの内部が、前記第1の物質とは異なる第2の物質を含む、項目97に記載の埋め込み型弁。
(項目99)
前記第2の物質が、固体、液体、または気体である、項目98に記載の埋め込み型弁。(項目100)
前記第2の物質が、気体であり、前記スポンジ状のポリマー材料が、圧縮可能である、項目99に記載の埋め込み型弁。
(項目101)
前記第2の物質が、治療薬である、項目98に記載の埋め込み型弁。
(項目102)
前記複数のセルの大部分が、0.1~1000ミクロンの範囲の断面寸法を有する、項目97に記載の埋め込み型弁。
(項目103)
前記スポンジ状のポリマー材料が、前記支持構造と結合された縫製カフまたはシールを形成する、項目96に記載の埋め込み型弁。
(項目104)
前記スポンジ状のポリマー材料が、前記支持構造の外周の周りに位置し、およびフィラメントを通ってその支持構造を隣接する組織に結合することを可能にするように構成された縫製カフを形成する、項目96に記載の埋め込み型弁。
(項目105)
前記スポンジ状のポリマー材料が、前記支持構造の外周の周りに位置するシールを形成し、前記シールが、弁周囲漏出を軽減するように構成されている、項目96に記載の埋め込み型弁。
(項目106)
前記支持構造が、血管内移植のために半径方向に圧縮可能または半径方向に折り畳み可能である、項目105に記載の埋め込み型弁。
(項目107)
前記支持構造が、血管内送達デバイス内に配置するために半径方向に圧縮可能または半径方向に折り畳み可能である、項目105に記載の埋め込み型弁。
(項目108)
前記支持構造が、自己拡張可能またはバルーン拡張可能である、項目105に記載の埋め込み型弁。
(項目109)
前記シールが、シーリングスカートとして構成されており、前記支持構造が、フレームとして構成されている、項目105に記載の埋め込み型弁。
(項目110)
前記シーリングスカートが、前記フレームの上流端の上流に位置する、項目109に記載の埋め込み型弁。
(項目111)
前記シーリングスカートが、前記フレームの前記上流端にわたって延在している、項目110に記載の埋め込み型弁。
(項目112)
前記スカートが、前記フレームの外側上流部分にわたって延在している、項目110に記載の埋め込み型弁。
(項目113)
前記スカートが、前記フレームの前記外側上流部分にわたって延在しており、前記フレームの前記外側上流部分に接合されていない、項目112に記載の埋め込み型弁。
(項目114)
前記複数の弁尖および前記スポンジ状のポリマーが、ポリマーであり、同じポリマーを含む、項目108に記載の埋め込み型弁。
(項目115)
前記スポンジ状のポリマー材料が、シロキサンポリウレタン尿素である、項目96に記載の埋め込み型弁。
(項目116)
前記シロキサンポリウレタン尿素が、
-A1-L1-A1-
の構造を含む第1のセグメント(式中、
L1が、第1のジイソシアネートの残基であり、
A1が、ポリ(C1~C12アルカンジオール)の残基である)と、
第1のシロキサン含有ジオールの残基を含む、第2のセグメントと、
第2のシロキサン含有ジオールの残基を含む、第3のセグメントと、
C1~C12アルカンジアミンの残基を含む、第4のセグメントと、を含み、
前記セグメントが各々、ジイソシアネートの残基を介して互いに共有結合している、項目115に記載の埋め込み型弁。
(項目117)
前記シロキサンポリウレタン尿素が、
A4-L4-A3-L3-A2-L2-A1-L1-A1-L2-A2-L3-A3-L4-A4
の構造を含み、式中、
L1が、第1のジイソシアネートの残基であり、
A1が、ポリ(C1~C12アルカンジオール)の残基であり、
L2が、第2のジイソシアネートの残基であり、
A2が、-A1-L1-A1-、第1のシロキサン含有ジオールの残基、第2のシロキサン含有ジオールの残基、およびC1~C12のアルカンジアミンの残基から選択され、
L3が、第3のジイソシアネートの残基であり、
A3が、-A1-L1-A1-、第1のシロキサン含有ジオールの残基、第2のシロキサン含有ジオールの残基、およびC1~C12のアルカンジアミンの残基から選択され、
L4が、第4のジイソシアネートの残基であり、
A4が、-A1-L1-A1-、第1のシロキサン含有ジオールの残基、第2のシロキサン含有ジオールの残基、およびC1~C12のアルカンジアミンの残基から選択され、
ただし、A2、A3、またはA4の少なくとも1つの場合が、第2のシロキサン含有ジオールの残基であり、A2、A3、またはA4の少なくとも1つの場合が、C1~C12のアルカンジアミンの残基である、項目115に記載の埋め込み型弁。
(項目118)
前記シロキサンポリウレタン尿素が、
A4-L4-A3-L3-A2-L2-A1-L1-A1-L2-A2-L3-A3-L4-A4
式II
A4-L4-A2-L3-A3-L2-A1-L1-A1-L2-A3-L3-A2-L4-A4
式III
の構造を含み、式中、
L1が、MDIの残基であり、
A1が、PHMOの残基であり、
L2が、MDIの残基であり、
A2が、PDMSの残基であり、
L3が、MDIの残基であり、
A3が、BHTDの残基であり、
L4が、MDIの残基であり、
A4が、EDAの残基である、項目115に記載の埋め込み型弁。
(項目119)
前記埋め込み型弁が、ヒトの心臓の僧帽弁または大動脈弁に置き換わるように構成されている、項目96~118のいずれかに記載の埋め込み型弁。
(項目120)
前記複数の弁尖が、2つまたは3つの弁尖である、項目96~118のいずれかに記載の埋め込み型弁。
(項目121)
スポンジ状のポリマーであって、
シロキサンポリウレタン尿素であって、
-A1-L1-A1-
の構造を含む、第1のセグメント(式中、
L1が、第1のジイソシアネートの残基であり、
A1が、ポリ(C1~C12アルカンジオール)の残基である)と、
第1のシロキサン含有ジオールの残基を含む、第2のセグメントと、
第2のシロキサン含有ジオールの残基を含む、第3のセグメントと、
C1~C12アルカンジアミンの残基を含む、第4のセグメントと、を含み、
前記セグメントが各々、ジイソシアネートの前記残基を介して互いに共有結合している、シロキサンポリウレタン尿素と、
前記シロキサンポリウレタン尿素によって形成された側壁を備えた複数のセルと、を含む、スポンジ状のポリマー。
(項目122)
前記シロキサンポリウレタン尿素が、
A4-L4-A3-L3-A2-L2-A1-L1-A1-L2-A2-L3-A3-L4-A4
の構造を含み、式中、
L1が、第1のジイソシアネートの残基であり、
A1が、ポリ(C1~C12アルカンジオール)の残基であり、
L2が、第2のジイソシアネートの残基であり、
A2が、-A1-L1-A1-、第1のシロキサン含有ジオールの残基、第2のシロキサン含有ジオールの残基、およびC1~C12のアルカンジアミンの残基から選択され、
L3が、第3のジイソシアネートの残基であり、
A3が、-A1-L1-A1-、第1のシロキサン含有ジオールの残基、第2のシロキサン含有ジオールの残基、およびC1~C12のアルカンジアミンの残基から選択され、
L4が、第4のジイソシアネートの残基であり、
A4が、-A1-L1-A1-、第1のシロキサン含有ジオールの残基、第2のシロキサン含有ジオールの残基、およびC1~C12のアルカンジアミンの残基から選択され、
ただし、A2、A3、またはA4の少なくとも1つの場合が、第2のシロキサン含有ジオールの残基であり、A2、A3、またはA4の少なくとも1つの場合が、C1~C12のアルカンジアミンの残基である、項目121に記載のスポンジ状のポリマー。
(項目123)
前記シロキサンポリウレタン尿素が、
A4-L4-A3-L3-A2-L2-A1-L1-A1-L2-A2-L3-A3-L4-A4
式II
A4-L4-A2-L3-A3-L2-A1-L1-A1-L2-A3-L3-A2-L4-A4
式III
の構造を含み、式中、
L1が、MDIの残基であり、
A1が、PHMOの残基であり、
L2が、MDIの残基であり、
A2が、PDMSの残基であり、
L3が、MDIの残基であり、
A3が、BHTDの残基であり、
L4が、MDIの残基であり、
A4が、EDAの残基である、項目121に記載のスポンジ状のポリマー。
(項目124)
前記複数のセルが各々、治療薬を含む、項目121に記載のスポンジ状のポリマー。
(項目125)
圧縮可能であるように構成されている、項目121に記載のスポンジ状のポリマー。
(項目126)
多孔性または半多孔性に構成されている、項目121に記載のスポンジ状のポリマー。(項目127)
心臓弁のシールとして構成されている、項目121に記載のスポンジ状のポリマー。
(項目128)
スポンジ状のポリマーを製造する方法であって、
溶媒を含む液体ポリマーを、基体に適用することと、
前記溶媒が水分子と結合して、セルを形成するように、前記基体を湿気の多い雰囲気に晒すことと、
前記ポリマーがスポンジ状の構造を保持するように、前記ポリマーを硬化させて、前記溶媒および水を除去することと、を含む、方法。
(項目129)
前記ポリマーが、シロキサンポリウレタン尿素である、項目128に記載の方法。
(項目130)
前記基体が、弁の支持構造である、項目128に記載の方法。
(項目131)
スポンジ状のポリマーを製造する方法であって、
炭酸カルシウムを含む液体ポリマーを形状に形成することと、
前記炭酸カルシウムが前記液体ポリマー中に気泡を生成するように、前記液体ポリマーを加熱することと、
前記ポリマーがスポンジ状の構造を保持するように、前記ポリマーを硬化させることと、を含む、方法。
(項目132)
前記液体ポリマーが、前記溶媒が除去されるように加熱される、項目131に記載の方法。
(項目133)
前記気泡が、二酸化炭素の泡である、項目131に記載の方法。
(項目134)
前記ポリマーが、シロキサンポリウレタン尿素である、項目131に記載の方法。
(項目135)
スポンジ状のポリマーを製造する方法であって、
液体ポリマーをモールド内に置くことであって、前記モールドの側壁がガスポートを含む、置くことと、
泡が液体ポリマー内に形成されるように、前記ガスポートを通して、前記液体ポリマー内にガスを注入することと、
前記ポリマーがスポンジ状の構造を保持するように、前記ポリマーを硬化させることと、を含む、方法。
(項目136)
前記ガスが窒素である、項目135に記載の方法。
(項目137)
前記ポリマーが、シロキサンポリウレタン尿素である、項目135に記載の方法。
(項目138)
心臓弁を製造する方法であって、
前記弁の支持構造上にポリマーをエレクトロスピニングすることであって、前記エレクトロスピニングされたポリマーが、格子状または繊維状の構造を有する、エレクトロスピニングすることを含む、方法。
(項目139)
前記エレクトロスピニングプロセスが、ドライエレクトロスピニングプロセスである、項目138に記載の方法。
(項目140)
前記エレクトロスピニングされたポリマーが、前記支持構造の周囲の周りのシールの形状である、項目138に記載の方法。
(項目141)
前記シールが、シーリングスカートまたは縫製カフである、項目138に記載の方法。(項目142)
格子構造に治療薬を埋め込むことをさらに含む、項目138に記載の方法。
(項目143)
前記エレクトロスピニングされたポリマーが圧縮可能である、項目138に記載の方法。
(項目144)
前記支持構造が、半径方向に圧縮可能なフレームまたは非半径方向に圧縮可能な構造である、項目138に記載の方法。
(項目145)
前記エレクトロスピニングされたポリマーが、シロキサンポリウレタン尿素である、項目138に記載の方法。
(項目146)
前記エレクトロスピニングされたポリマーが、前記心臓弁の弁尖を形成する、項目138に記載の方法。
(項目147)
心臓弁を製造する方法であって、
ポリマーをエレクトロスピニングすることであって、前記エレクトロスピニングされたポリマーが、格子状または繊維状の構造を有する、エレクトロスピニングすることと、
前記エレクトロスピニングされたポリマーを弁の支持構造に結合することと、を含む、方法。
(項目148)
前記エレクトロスピニングプロセスが、ドライエレクトロスピニングプロセスである、項目147に記載の方法。
(項目149)
前記エレクトロスピニングされたポリマーが、前記支持構造の周囲の周りのシールの形状である、項目147に記載の方法。
(項目150)
格子構造に治療薬を埋め込むことをさらに含む、項目147に記載の方法。
(項目151)
前記エレクトロスピニングされたポリマーが圧縮可能である、項目147に記載の方法。
(項目152)
前記エレクトロスピニングされたポリマーを前記弁の前記支持構造に結合することが、液体ポリマーを前記支持構造に適用することと、前記ポリマーの硬化が前記エレクトロスピニングされたポリマーを前記支持構造に結合するように、前記適用された液体ポリマー上に前記エレクトロスピニングされたポリマーを置くことと、を含む、項目147に記載の方法。
(項目153)
前記ポリマーが、シロキサンポリウレタン尿素である、項目147に記載の方法。
(項目154)
前記エレクトロスピニングされたポリマーが、前記弁の弁尖を形成する、項目147に記載の方法。
(項目155)
心臓弁を製造する方法であって、
弁体をマンドレル上にエレクトロスピニングすることと、
前記弁体の上にフレームを置くことと、
前記フレームにわたってポリマー層をエレクトロスピニングして、前記フレームの開口部を介して前記フレームを前記弁体に接合することであって、前記ポリマー層が、シーリングスカートを形成する、接合することと、を含む、方法。
(項目156)
ウェットスピニングプロセスを使用して、前記弁体をマンドレル上にエレクトロスピニングする、項目155に記載の方法。
(項目157)
前記フレームを前記弁体の上に置く前に、前記弁体を硬化させることをさらに含む、項目155に記載の方法。
(項目158)
前記ポリマー層を硬化させることをさらに含む、項目155に記載の方法。
(項目159)
前記心臓弁を仕上げることをさらに含む、項目158に記載の方法。
(項目160)
前記マンドレルを冷却または加熱することによって、前記心臓弁を前記マンドレルから除去することをさらに含む、項目158に記載の方法。
(項目161)
心臓弁を製造する方法であって、
弁体をマンドレル上にエレクトロスピニングすることと、
前記弁体の上にフレームを置くことと、
前記フレームにポリマー層を適用して、前記フレームの開口部を介して前記フレームを前記弁体に接合することと、を含む、方法。
(項目162)
ウェットスピニングプロセスを使用して、前記弁体を前記マンドレル上にエレクトロスピニングする、項目161に記載の方法。
(項目163)
前記フレームを前記弁体の上に置く前に、前記弁体を硬化させることをさらに含む、項目161に記載の方法。
(項目164)
前記ポリマー層を硬化させることをさらに含む、項目161に記載の方法。
(項目165)
前記フレームおよび/またはポリマー層上にシーリングスカートをエレクトロスピニングすることをさらに含む、項目161に記載の方法。
(項目166)
前記心臓弁を硬化させることをさらに含む、項目165に記載の方法。
(項目167)
前記心臓弁を仕上げることをさらに含む、項目161に記載の方法。
(項目168)
前記マンドレルを冷却または加熱することによって、前記心臓弁を前記マンドレルから除去することをさらに含む、項目161に記載の方法。
(項目169)
心臓弁を製造する方法であって、
第1のマンドレル上に弁体を形成することと、
前記弁体の上にフレームを置くことと、
ポリマーを前記フレーム上にエレクトロスピニングして、前記フレームを前記弁体に接合することと、を含む、方法。
(項目170)
前記フレームおよび/またはエレクトロスピニングされたポリマー上に、シーリングスカートをエレクトロスピニングすることをさらに含む、項目169に記載の方法。
(項目171)
前記シーリングスカートを硬化させることをさらに含む、項目170に記載の方法。
(項目172)
ウェットスピニングプロセスを使用して、前記ポリマーをエレクトロスピニングして、フレームを結合する、および/または前記シーリングスカートをエレクトロスピニングする、項目170に記載の方法。
(項目173)
前記弁体を形成することが、前記マンドレルを液体ポリマーに浸漬することと、前記液体ポリマーを硬化させることと、を含む、項目170に記載の方法。
(項目174)
前記心臓弁を仕上げることをさらに含む、項目169に記載の方法。
(項目175)
心臓弁を製造する方法であって、
フレームを液体ポリマーに浸漬して、前記フレームの流入側に基体を作成することと、
前記フレーム上の前記基体にわたってシーリングスカートを適用することと、
前記フレームを液体ポリマーに浸漬して、弁尖を形成することと、
前記心臓弁を硬化させることと、を含む、方法。
(項目176)
前記シーリングスカートを適用する前に、前記ポリマーを硬化させることをさらに含む、項目175に記載の方法。
(項目177)
前記フレームを液体ポリマーに浸漬して、弁尖を形成する前に、前記シーリングスカートを硬化させることをさらに含む、項目175に記載の方法。
(項目178)
前記シーリングスカートをトリミングすることをさらに含む、項目177に記載の方法。
(項目179)
前記フレームが、クラウンと、前記クラウンと前記フレームの本体との間の開放領域と、を含む、項目175に記載の方法。
(項目180)
前記フレームを液体ポリマーに浸漬して、弁尖を形成することが、前記開放領域上にシールドを備えた前記フレームを浸漬することを含む、項目179に記載の方法。
(項目181)
前記フレームを液体ポリマーに浸漬して、弁尖を形成することが、前記フレームの流出側を、前記シーリングスカートの流出エッジまで浸漬することと、を含む、項目175に記載の方法。
(項目182)
前記シーリングスカートの流入エッジを液体ポリマーに浸漬することをさらに含む、項目175に記載の方法。
(項目183)
前記弁尖をトリミングすることをさらに含む、項目175に記載の方法。
(項目184)
弁プロテーゼを製造する方法であって、
溶媒を含むポリマーを、フレーム、および少なくとも部分的に硬化したポリマー弁体の少なくとも一部分上にエレクトロスピニングすることと、
前記エレクトロスピニングされたポリマーと前記ポリマー弁体との間に化学結合が形成されるように、前記エレクトロスピニングされたポリマーを硬化させることと、を含む、方法。
(項目185)
前記エレクトロスピニングすることが、60~100%の相対湿度を有する環境で実施される、項目184に記載の方法。
(項目186)
前記エレクトロスピニングすることが、摂氏20~40度の温度を有する環境で実施される、項目185に記載の方法。
(項目187)
前記硬化したポリマー弁体に接触しなかったエレクトロスピニングされたポリマーを除去することをさらに含む、項目184に記載の方法。
(項目188)
前記弁体が、少なくとも2つの弁尖を含み、前記方法が、エレクトロスピニングすることの前に前記弁尖を覆って、前記弁尖をエレクトロスピニングされたポリマーとの接触から保護することをさらに含む、項目187に記載の方法。
(項目189)
硬化させることが、オーブン内で実施される、項目188に記載の方法。
(項目190)
前記ポリマーをエレクトロスピニングすることの前に実施される、
マンドレルを液体ポリマーに浸漬するステップであって、前記マンドレルが、前記複数の弁尖を備えた前記弁体を形成するための表面輪郭を有する、浸漬するステップと、
前記浸漬したポリマーを少なくとも部分的に硬化させて、前記弁体を形成するステップと、をさらに含む、項目184に記載の方法。
(項目191)
前記ポリマーをエレクトロスピニングすることの前に、前記少なくとも部分的に硬化した弁体の上に前記フレームを置くことをさらに含む、項目190に記載の方法。
(項目192)
前記弁プロテーゼ上にシーリングスカートを形成することをさらに含む、項目184に記載の方法。
(項目193)
前記エレクトロスピニングされたポリマーまたは前記ポリマー弁体が、シロキサンポリウレタン尿素である、項目184に記載の方法。
(項目194)
前記エレクトロスピニングされたポリマーおよび前記ポリマー弁体が、両方ともシロキサンポリウレタン尿素である、項目184に記載の方法。
(項目195)
項目56~95に記載のいずれかの方法によって製造された弁プロテーゼ。
(項目196)
項目128~194に記載のいずれかの方法によって製造された弁プロテーゼ。
【外国語明細書】