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特開2024-150652,5-フランジカルボン酸の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015065
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】2,5-フランジカルボン酸の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 307/68 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
C07D307/68
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023200152
(22)【出願日】2023-11-27
(62)【分割の表示】P 2021556684の分割
【原出願日】2020-03-20
(31)【優先権主張番号】10-2019-0031921
(32)【優先日】2019-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0009897
(32)【優先日】2020-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】500578515
【氏名又は名称】サムヤン コーポレイション
(71)【出願人】
【識別番号】508224890
【氏名又は名称】リサーチ アンド ビジネス ファウンデーション ソンギュングァン ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オ,チュンリム
(72)【発明者】
【氏名】リ,ドクラク
(72)【発明者】
【氏名】リ,ウォンジョン
(72)【発明者】
【氏名】リ,チワン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ,ジウン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヨンソク
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ジョンウン
(72)【発明者】
【氏名】リ,テウ
(57)【要約】
【課題】本発明は、遷移金属触媒を使用しなくても、アルカリ金属(又はアルカリ土類金属)化合物と酸素(又は空気)の環境に優しいプロトコルに基づいた化学選択的酸化反応を介して、5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)から2,5-フランジカルボン酸(FDCA)を高純度及び高収率で製造することができる方法を提供することを課題とする。
【解決手段】化学選択的酸化反応により5-ヒドロキシメチルフルフラールから2,5-フランジカルボン酸を製造する方法であって、前記化学選択的酸化反応が、促進剤としてアルカリ金属又はアルカリ土類金属化合物の存在下、酸化剤として酸素又は空気を使用して行われることを特徴とする2,5-フランジカルボン酸の製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学選択的酸化反応により5-ヒドロキシメチルフルフラールから2,5-フランジカルボン酸を製造する方法であって、
前記化学選択的酸化反応が、促進剤としてアルカリ金属又はアルカリ土類金属化合物の存在下、酸化剤として酸素又は空気を使用して行われることを特徴とする2,5-フランジカルボン酸の製造方法。
【請求項2】
前記アルカリ金属が、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム又はそれらの組み合わせであり、前記アルカリ土類金属が、バリウム、マグネシウム又はそれらの組み合わせである請求項1に記載の2,5-フランジカルボン酸の製造方法。
【請求項3】
前記アルカリ金属又は前記アルカリ土類金属化合物が、下記式1
MOR 式1
(式中、Mは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属であり;Rは、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基又はアリールアルキル基である。)
で示される請求項1に記載の2,5-フランジカルボン酸の製造方法。
【請求項4】
遷移金属触媒を使用しない請求項1に記載の2,5-フランジカルボン酸の製造方法。
【請求項5】
前記化学選択的酸化反応が、溶媒中で行われる請求項1に記載の2,5-フランジカルボン酸の製造方法。
【請求項6】
前記溶媒が、水、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、tert-ブタノール、tert-アミルアルコール、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ベンゼン、トルエン、又はそれらの2以上の混合物である請求項5に記載の2,5-フランジカルボン酸の製造方法。
【請求項7】
前記化学選択的酸化反応が、20℃~100℃の温度で行われる請求項1に記載の2,5-フランジカルボン酸の製造方法。
【請求項8】
前記化学選択的酸化反応が、1~10気圧で行われる請求項1に記載の2,5-フランジカルボン酸の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2,5-フランジカルボン酸の製造方法に関し、より詳細には、本発明は、遷移金属触媒を使用しなくても、様々な機能を有する2,5-フランジカルボン酸を高純度及び高収率で製造することができる、より効率的及び経済的な方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2,5-フランジカルボン酸(FDCA)は、様々な機能を備えた非常に有用な材料であり、包装産業(ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタンなど)、自動車、製薬分野、精密化学などで広く使用されている。また、ポリエチレンテレフタレート(PET)の代替物として開発されたバイオプラスチックであるポリエチレンフラノエート(PEF)は、2,5-フランジカルボン酸(FDCA)から得ることができるため、研究する価値が高くなっている。
【0003】
5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)を酸化することにより、2,5-フランジカルボン酸(FDCA)を得る方法が知られている。しかしながら、このような従来の方法では、非常に過酷でデリケートな条件下で、酸化剤として過剰当量の硝酸を用いて反応を行うため、望ましくない副産物の生成を回避することができない。その後、金、白金、パラジウム、チタンなどの様々な遷移金属を使用し、酸化剤として酸素を使用することにより、2,5-フランジカルボン酸(FDCA)を化学選択的に合成する技術が開発されている(例えば、特許文献1及び2)。しかしながら、このような方法は、高価な遷移金属触媒を使用し、反応は高温又は高圧下で反応を行わなければならないため、工業化が難しい。
【0004】
従って、遷移金属触媒を使用しなくても、酸化剤として酸素(又は空気)を使用して、5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)から2,5-フランジカルボン酸(FDCA)を高純度及び高収率で製造できる方法の開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許公報第10-2018-0090840号
【特許文献2】韓国公開特許公報第10-2018-0107143号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前述の従来技術の問題点を解決することを目的とし、遷移金属触媒を使用しなくても、アルカリ金属(又はアルカリ土類金属)化合物と酸素(又は空気)の環境に優しいプロトコルに基づいた化学選択的酸化反応を介して、5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)から2,5-フランジカルボン酸(FDCA)を高純度及び高収率で製造することができる方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決する為、本発明は、化学選択的酸化反応により5-ヒドロキシメチルフルフラールから2,5-フランジカルボン酸を製造する方法であって、前記化学選択的酸化反応が、促進剤としてアルカリ金属又はアルカリ土類金属化合物の存在下、酸化剤として酸素又は空気を使用して行われる方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、包装産業、自動車、製薬分野、精密化学などの様々な分野で広く便利に使用される高純度の2,5-フランジカルボン酸(FDCA)を、5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)からより経済的、効率的、環境に優しい方法で製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明は、下記反応スキーム1で示されるように、5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)の分子中のアルコール官能基及びアルデヒド官能基を酸化する化学選択的酸化反応を介して、2,5-フランジカルボン酸(FDCA)を製造する方法に関する。
【0010】
(反応スキーム1)
【0011】
【化1】
【0012】
本発明の2,5-フランジカルボン酸の製造方法において、前記化学選択的酸化反応は、促進剤としてアルカリ金属又はアルカリ土類金属化合物の存在下で行われる。
【0013】
一実施形態では、前記アルカリ金属は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム又はそれらの組み合わせであり、前記アルカリ土類金属は、バリウム、マグネシウム又はそれらの組み合わせであってもよい。
【0014】
一実施形態では、促進剤として使用される前記アルカリ金属又はアルカリ土類金属化合物は、下記式1で示され得る。
【0015】
MOR 式1
(式中、Mは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属であり;Rは、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基又はアリールアルキル基である。)
【0016】
より具体的に、前記式1において、Rは、(C1~C10)アルキル基、(C6~C10)アリール基、(C1~C10)アルキル(C6~C10)アリール基又は(C6~C10)アリール(C1~C10)アルキル基であってもよく、さらに具体的に、Rは、(C1~C6)アルキル基、(C6)アリール基、(C1~C6)アルキル(C6)アリール基又は(C6)アリール(C1~C6)アルキル基であってもよい。
【0017】
本発明によれば、2,5-フランジカルボン酸(FDCA)は、高価な遷移金属触媒を使用しなくても、5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)から高純度及び高収率で製造することができる。従って、本発明の2,5-フランジカルボン酸の製造方法の好ましい一実施形態では、遷移金属触媒を使用しない。
【0018】
本発明の2,5-フランジカルボン酸の製造方法において、前記化学選択的酸化反応は、様々な溶媒中で行うことができる。
【0019】
前記溶媒は、水、有機溶媒又はそれらの組み合わせであり、前記有機溶媒は、非極性有機溶媒、極性プロトン性有機溶媒、極性非プロトン性有機溶媒、又はそれらの組み合わせであってもよい。
【0020】
一実施形態では、前記溶媒は、水、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、tert-ブタノール、tert-アミルアルコール、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ベンゼン、トルエン又はそれらの2以上の混合物であってもよい。
【0021】
一実施形態では、アルカリ金属又はアルカリ土類金属化合物(例えば、アルコキシド)の促進剤は、5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)に対して、1~10当量の量で使用することができ、より効率的な収率を得るために、5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)に対して、3~4当量の量を使用することが好ましい。
【0022】
一実施形態では、前記化学選択的酸化反応は、20℃~100℃の温度で行うことができ、より具体的には、20℃~60℃の温度で行うことができ、さらに具体的には、40℃~60℃の温度で行うことが好ましい。
【0023】
一実施形態では、前記化学選択的酸化反応は、1~10気圧の条件で行うことができ、より具体的には、3~5気圧で行うことができ、さらに具体的には、1~2気圧で行うことができる。
【0024】
本発明の2,5-フランジカルボン酸の製造方法において、促進剤として使用されるアルカリ金属又はアルカリ土類金属化合物及び酸化剤として使用される酸素又は空気は、それ自体が高い反応性を有するため、前記化学選択的酸化反応が、比較的低い温度条件(例えば、約40℃)及び比較的低い圧力条件(例えば、2気圧)で行われる場合でも、優れた収率で2,5-フランジカルボン酸を製造することができる。したがって、本発明の2,5-フランジカルボン酸の製造方法は、大量生産のための工業化に非常に有用である。
【0025】
本発明を、以下の実施例及び比較例を通じてより詳細に説明する。しかし、本発明の範囲は、それによっていかなる方法にも限定されない。
【実施例0026】
下記実施例1~4において、使用した溶媒は、tert-ブタノールであり、使用した促進剤は、それぞれ、ナトリウムtert-ブトキシド、ナトリウムtert-アミレート、ナトリウムエトキシド及びナトリウムメトキシドであり、反応は、約30℃の反応温度と常圧の酸素条件下で約1日間行った。
【0027】
下記実施例5~8において、使用した溶媒は、tert-ブタノールであり、使用した促進剤は、それぞれ、リチウムtert-ブトキシド、カリウムtert-ブトキシド、マグネシウムtert-ブトキシド及びバリウムtert-ブトキシドであり、反応は、約30℃の反応温度と常圧の酸素条件下で約1日間行った。
【0028】
下記実施例9~23において、使用した溶媒は、それぞれ、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、ベンゼン、トルエン、n-ブタノール、tert-アミルアルコール、N,N-ジメチルアセトアミド、イソプロパノール及びn-プロパノールであり、使用した促進剤は、ナトリウムtert-ブトキシドであり、反応は、約25℃の反応温度と常圧の酸素条件下で約1日間行った。
【0029】
下記実施例24~27において、使用した溶媒は、n-ブタノールとtert-ブタノールであり、使用した促進剤は、ナトリウムtert-ブトキシドであり、反応は、それぞれ、45℃と55℃の反応温度で常圧の酸素条件下で約1日間行った。
【0030】
実施例1
30℃で、3mLのtert-ブタノールをナトリウムtert-ブトキシド(3当量)に加え、5分間撹拌した。そこに、5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF、0.5mmol)を加え、雰囲気を酸素に変えた後、室温で1日撹拌した。得られた混合物に微量の蒸留水を加えて反応を停止し、1N HCl溶液で混合物の酸度(pH)を1に下げ、次に混合物を濃縮した。残渣を種結晶で精製して、2,5-フランジカルボン酸(FDCA)を98%の収率で得た。
【0031】
1H NMR(500MHz,DMSO-d6):δ13.62(br,2H),7.29(s,2H)
13C NMR(125MHz,DMSO-d6):δ158.91,147.04,118.40
【0032】
実施例2
30℃で、3mLのtert-ブタノールをナトリウムtert-アミレート(3当量)に加え、5分間撹拌した。5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF、0.5mmol)を加え、雰囲気を酸素に変えた後、室温で1日撹拌した。得られた混合物に微量の蒸留水を加えて反応を停止し、1N HCl溶液で混合物の酸度(pH)を1に下げ、次に混合物を濃縮した。残渣を種結晶で精製して、2,5-フランジカルボン酸(FDCA)を89%の収率で得た。
【0033】
1H NMR(500MHz,DMSO-d6):δ13.62(br,2H),7.29(s,2H)
13C NMR(125MHz,DMSO-d6):δ158.91,147.04,118.40
【0034】
実施例3
30℃で、3mLのtert-ブタノールをナトリウムエトキシド(3当量)に加え、5分間撹拌した。5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF、0.5mmol)を加え、雰囲気を酸素に変えた後、室温で1日撹拌した。得られた混合物に微量の蒸留水を加えて反応を停止し、1N HCl溶液で混合物の酸度(pH)を1に下げ、次に混合物を濃縮した。残渣を種結晶で精製して、2,5-フランジカルボン酸(FDCA)を75%の収率で得た。
【0035】
1H NMR(500MHz,DMSO-d6):δ13.62(br,2H),7.29(s,2H)
13C NMR(125MHz,DMSO-d6):δ158.91,147.04,118.40
【0036】
実施例4
30℃で、3mLのtert-ブタノールをナトリウムメトキシド(3当量)に加え、5分間撹拌した。5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF、0.5mmol)を加え、雰囲気を酸素に変えた後、室温で1日撹拌した。得られた混合物に微量の蒸留水を加えて反応を停止し、1N HCl溶液で混合物の酸度(pH)を1に下げ、次に混合物を濃縮した。残渣を種結晶で精製して、2,5-フランジカルボン酸(FDCA)を56%の収率で得た。
【0037】
1H NMR(500MHz,DMSO-d6):δ13.62(br,2H),7.29(s,2H)
13C NMR(125MHz,DMSO-d6):δ158.91,147.04,118.40
【0038】
実施例5
30℃で、3mLのtert-ブタノールをリチウムtert-ブトキシド(3当量)に加え、5分間撹拌した。5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF、0.5mmol)を加え、雰囲気を酸素に変えた後、室温で1日撹拌した。得られた混合物に微量の蒸留水を加えて反応を停止し、1N HCl溶液で混合物の酸度(pH)を1に下げ、次に混合物を濃縮した。残渣を種結晶で精製して、2,5-フランジカルボン酸(FDCA)を88%の収率で得た。
【0039】
1H NMR(500MHz,DMSO-d6):δ13.62(br,2H),7.29(s,2H)
13C NMR(125MHz,DMSO-d6):δ158.91,147.04,118.40
【0040】
実施例6
30℃で、3mLのtert-ブタノールをカリウムtert-ブトキシド(3当量)に加え、5分間撹拌した。5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF、0.5mmol)を加え、雰囲気を酸素に変えた後、室温で1日撹拌した。得られた混合物に微量の蒸留水を加えて反応を停止し、1N HCl溶液で混合物の酸度(pH)を1に下げ、次に混合物を濃縮した。残渣を種結晶で精製して、2,5-フランジカルボン酸(FDCA)を92%の収率で得た。
【0041】
1H NMR(500MHz,DMSO-d6):δ13.62(br,2H),7.29(s,2H)
13C NMR(125MHz,DMSO-d6):δ158.91,147.04,118.40
【0042】
実施例7
30℃で、3mLのtert-ブタノールをマグネシウムtert-ブトキシド(3当量)に加え、5分間撹拌した。5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF、0.5mmol)を加え、雰囲気を酸素に変えた後、室温で1日撹拌した。得られた混合物に微量の蒸留水を加えて反応を停止し、1N HCl溶液で混合物の酸度(pH)を1に下げ、次に混合物を濃縮した。残渣を種結晶で精製して、2,5-フランジカルボン酸(FDCA)を75%の収率で得た。
【0043】
1H NMR(500MHz,DMSO-d6):δ13.62(br,2H),7.29(s,2H)
13C NMR(125MHz,DMSO-d6):δ158.91,147.04,118.40
【0044】
実施例8
30℃で、3mLのtert-ブタノールをバリウムtert-ブトキシド(3当量)に加え、5分間撹拌した。5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF、0.5mmol)を加え、雰囲気を酸素に変えた後、室温で1日撹拌した。得られた混合物に微量の蒸留水を加えて反応を停止し、1N HCl溶液で混合物の酸度(pH)を1に下げ、次に混合物を濃縮した。残渣を種結晶で精製して、2,5-フランジカルボン酸(FDCA)を73%の収率で得た。
【0045】
1H NMR(500MHz,DMSO-d6):δ13.62(br,2H),7.29(s,2H)
13C NMR(125MHz,DMSO-d6):δ158.91,147.04,118.40
【0046】
実施例9
25℃で、3mLのテトラヒドロフランをナトリウムtert-ブトキシド(3当量)に加え、5分間撹拌した。5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF、0.5mmol)を加え、雰囲気を酸素に変えた後、室温で1日撹拌した。得られた混合物に微量の蒸留水を加えて反応を停止し、1N HCl溶液で混合物の酸度(pH)を1に下げ、次に混合物を濃縮した。残渣を種結晶で精製して、2,5-フランジカルボン酸(FDCA)を81%の収率で得た。
【0047】
1H NMR(500MHz,DMSO-d6):δ13.62(br,2H),7.29(s,2H)
13C NMR(125MHz,DMSO-d6):δ158.91,147.04,118.40
【0048】
実施例10
25℃で、3mLの1,4-ジオキサンをナトリウムtert-ブトキシド(3当量)に加え、5分間撹拌した。5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF、0.5mmol)を加え、雰囲気を酸素に変えた後、室温で1日撹拌した。得られた混合物に微量の蒸留水を加えて反応を停止し、1N HCl溶液で混合物の酸度(pH)を1に下げ、次に混合物を濃縮した。残渣を種結晶で精製して、2,5-フランジカルボン酸(FDCA)を77%の収率で得た。
【0049】
1H NMR(500MHz,DMSO-d6):δ13.62(br,2H),7.29(s,2H)
13C NMR(125MHz,DMSO-d6):δ158.91,147.04,118.40
【0050】
実施例11
25℃で、3mLのジクロロメタンをナトリウムtert-ブトキシド(3当量)に加え、5分間撹拌した。5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF、0.5mmol)を加え、雰囲気を酸素に変えた後、室温で1日撹拌した。得られた混合物に微量の蒸留水を加えて反応を停止し、1N HCl溶液で混合物の酸度(pH)を1に下げ、次に混合物を濃縮した。残渣を種結晶で精製して、2,5-フランジカルボン酸(FDCA)を82%の収率で得た。
【0051】
1H NMR(500MHz,DMSO-d6):δ13.62(br,2H),7.29(s,2H)
13C NMR(125MHz,DMSO-d6):δ158.91,147.04,118.40
【0052】
実施例12
25℃で、3mLの1,2-ジクロロエタンをナトリウムtert-ブトキシド(3当量)に加え、5分間撹拌した。5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF、0.5mmol)を加え、雰囲気を酸素に変えた後、室温で1日撹拌した。得られた混合物に微量の蒸留水を加えて反応を停止し、1N HCl溶液で混合物の酸度(pH)を1に下げ、次に混合物を濃縮した。残渣を種結晶で精製して、2,5-フランジカルボン酸(FDCA)を80%の収率で得た。
【0053】
1H NMR(500MHz,DMSO-d6):δ13.62(br,2H),7.29(s,2H)
13C NMR(125MHz,DMSO-d6):δ158.91,147.04,118.40
【0054】
実施例13
25℃で、3mLのクロロベンゼンをナトリウムtert-ブトキシド(3当量)に加え、5分間撹拌した。5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF、0.5mmol)を加え、雰囲気を酸素に変えた後、室温で1日撹拌した。得られた混合物に微量の蒸留水を加えて反応を停止し、1N HCl溶液で混合物の酸度(pH)を1に下げ、次に混合物を濃縮した。残渣を種結晶で精製して、2,5-フランジカルボン酸(FDCA)を78%の収率で得た。
【0055】
1H NMR(500MHz,DMSO-d6):δ13.62(br,2H),7.29(s,2H)
13C NMR(125MHz,DMSO-d6):δ158.91,147.04,118.40
【0056】
実施例14
25℃で、3mLのアセトニトリルをナトリウムtert-ブトキシド(3当量)に加え、5分間撹拌した。5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF、0.5mmol)を加え、雰囲気を酸素に変えた後、室温で1日撹拌した。得られた混合物に微量の蒸留水を加えて反応を停止し、1N HCl溶液で混合物の酸度(pH)を1に下げ、次に混合物を濃縮した。残渣を種結晶で精製して、2,5-フランジカルボン酸(FDCA)を75%の収率で得た。
【0057】
1H NMR(500MHz,DMSO-d6):δ13.62(br,2H),7.29(s,2H)
13C NMR(125MHz,DMSO-d6):δ158.91,147.04,118.40
【0058】
実施例15
25℃で、3mLのジメチルスルホキシドをナトリウムtert-ブトキシド(3当量)に加え、5分間撹拌した。5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF、0.5mmol)を加え、雰囲気を酸素に変えた後、室温で1日撹拌した。得られた混合物に微量の蒸留水を加えて反応を停止し、1N HCl溶液で混合物の酸度(pH)を1に下げ、次に混合物を濃縮した。残渣を種結晶で精製して、2,5-フランジカルボン酸(FDCA)を83%の収率で得た。
【0059】
1H NMR(500MHz,DMSO-d6):δ13.62(br,2H),7.29(s,2H)
13C NMR(125MHz,DMSO-d6):δ158.91,147.04,118.40
【0060】
実施例16
25℃で、3mLのN,N-ジメチルホルムアミドをナトリウムtert-ブトキシド(3当量)に加え、5分間撹拌した。5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF、0.5mmol)を加え、雰囲気を酸素に変えた後、室温で1日撹拌した。得られた混合物に微量の蒸留水を加えて反応を停止し、1N HCl溶液で混合物の酸度(pH)を1に下げ、次に混合物を濃縮した。残渣を種結晶で精製して、2,5-フランジカルボン酸(FDCA)を86%の収率で得た。
【0061】
1H NMR(500MHz,DMSO-d6):δ13.62(br,2H),7.29(s,2H)
13C NMR(125MHz,DMSO-d6):δ158.91,147.04,118.40
【0062】
実施例17
25℃で、3mLのベンゼンをナトリウムtert-ブトキシド(3当量)に加え、5分間撹拌した。5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF、0.5mmol)を加え、雰囲気を酸素に変えた後、室温で1日撹拌した。得られた混合物に微量の蒸留水を加えて反応を停止し、1N HCl溶液で混合物の酸度(pH)を1に下げ、次に混合物を濃縮した。残渣を種結晶で精製して、2,5-フランジカルボン酸(FDCA)を59%の収率で得た。
【0063】
1H NMR(500MHz,DMSO-d6):δ13.62(br,2H),7.29(s,2H)
13C NMR(125MHz,DMSO-d6):δ158.91,147.04,118.40
【0064】
実施例18
25℃で、3mLのトルエンをナトリウムtert-ブトキシド(3当量)に加え、5分間撹拌した。5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF、0.5mmol)を加え、雰囲気を酸素に変えた後、室温で1日撹拌した。得られた混合物に微量の蒸留水を加えて反応を停止し、1N HCl溶液で混合物の酸度(pH)を1に下げ、次に混合物を濃縮した。残渣を種結晶で精製して、2,5-フランジカルボン酸(FDCA)を71%の収率で得た。
【0065】
1H NMR(500MHz,DMSO-d6):δ13.62(br,2H),7.29(s,2H)
13C NMR(125MHz,DMSO-d6):δ158.91,147.04,118.40
【0066】
実施例19
25℃で、3mLのn-ブタノールをナトリウムtert-ブトキシド(3当量)に加え、5分間撹拌した。5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF、0.5mmol)を加え、雰囲気を酸素に変えた後、室温で1日撹拌した。得られた混合物に微量の蒸留水を加えて反応を停止し、1N HCl溶液で混合物の酸度(pH)を1に下げ、次に混合物を濃縮した。残渣を種結晶で精製して、2,5-フランジカルボン酸(FDCA)を85%の収率で得た。
【0067】
1H NMR(500MHz,DMSO-d6):δ13.62(br,2H),7.29(s,2H)
13C NMR(125MHz,DMSO-d6):δ158.91,147.04,118.40
【0068】
実施例20
25℃で、3mLのtert-アミルアルコールをナトリウムtert-ブトキシド(3当量)に加え、5分間撹拌した。5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF、0.5mmol)を加え、雰囲気を酸素に変えた後、室温で1日撹拌した。得られた混合物に微量の蒸留水を加えて反応を停止し、1N HCl溶液で混合物の酸度(pH)を1に下げ、次に混合物を濃縮した。残渣を種結晶で精製して、2,5-フランジカルボン酸(FDCA)を80%の収率で得た。
【0069】
1H NMR(500MHz,DMSO-d6):δ13.62(br,2H),7.29(s,2H)
13C NMR(125MHz,DMSO-d6):δ158.91,147.04,118.40
【0070】
実施例21
25℃で、3mLのN,N-ジメチルアセトアミドをナトリウムtert-ブトキシド(3当量)に加え、5分間撹拌した。5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF、0.5mmol)を加え、雰囲気を酸素に変えた後、室温で1日撹拌した。得られた混合物に微量の蒸留水を加えて反応を停止し、1N HCl溶液で混合物の酸度(pH)を1に下げ、次に混合物を濃縮した。残渣を種結晶で精製して、2,5-フランジカルボン酸(FDCA)を77%の収率で得た。
【0071】
1H NMR(500MHz,DMSO-d6):δ13.62(br,2H),7.29(s,2H)
13C NMR(125MHz,DMSO-d6):δ158.91,147.04,118.40
【0072】
実施例22
25℃で、3mLのイソプロパノールをナトリウムtert-ブトキシド(3当量)に加え、5分間撹拌した。5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF、0.5mmol)を加え、雰囲気を酸素に変えた後、室温で1日撹拌した。得られた混合物に微量の蒸留水を加えて反応を停止し、1N HCl溶液で混合物の酸度(pH)を1に下げ、次に混合物を濃縮した。残渣を種結晶で精製して、2,5-フランジカルボン酸(FDCA)を65%の収率で得た。
【0073】
1H NMR(500MHz,DMSO-d6):δ13.62(br,2H),7.29(s,2H)
13C NMR(125MHz,DMSO-d6):δ158.91,147.04,118.40
【0074】
実施例23
25℃で、3mLのn-プロパノールをナトリウムtert-ブトキシド(3当量)に加え、5分間撹拌した。5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF、0.5mmol)を加え、雰囲気を酸素に変えた後、室温で1日撹拌した。得られた混合物に微量の蒸留水を加えて反応を停止し、1N HCl溶液で混合物の酸度(pH)を1に下げ、次に混合物を濃縮した。残渣を種結晶で精製して、2,5-フランジカルボン酸(FDCA)を68%の収率で得た。
【0075】
1H NMR(500MHz,DMSO-d6):δ13.62(br,2H),7.29(s,2H)
13C NMR(125MHz,DMSO-d6):δ158.91,147.04,118.40
【0076】
実施例24
45℃で、3mLのn-ブタノールをナトリウムtert-ブトキシド(3当量)に加え、5分間撹拌した。5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF、0.5mmol)を加え、雰囲気を酸素に変えた後、室温で1日撹拌した。得られた混合物に微量の蒸留水を加えて反応を停止し、1N HCl溶液で混合物の酸度(pH)を1に下げ、次に混合物を濃縮した。残渣を種結晶で精製して、2,5-フランジカルボン酸(FDCA)を87%の収率で得た。
【0077】
1H NMR(500MHz,DMSO-d6):δ13.62(br,2H),7.29(s,2H)
13C NMR(125MHz,DMSO-d6):δ158.91,147.04,118.40
【0078】
実施例25
45℃で、3mLのtert-ブタノールをナトリウムtert-ブトキシド(3当量)に加え、5分間撹拌した。5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF、0.5mmol)を加え、雰囲気を酸素に変えた後、室温で1日撹拌した。得られた混合物に微量の蒸留水を加えて反応を停止し、1N HCl溶液で混合物の酸度(pH)を1に下げ、次に混合物を濃縮した。残渣を種結晶で精製して、2,5-フランジカルボン酸(FDCA)を82%の収率で得た。
【0079】
1H NMR(500MHz,DMSO-d6):δ13.62(br,2H),7.29(s,2H)
13C NMR(125MHz,DMSO-d6):δ158.91,147.04,118.40
【0080】
実施例26
55℃で、3mLのn-ブタノールをナトリウムtert-ブトキシド(3当量)に加え、5分間撹拌した。5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF、0.5mmol)を加え、雰囲気を酸素に変えた後、室温で1日撹拌した。得られた混合物に微量の蒸留水を加えて反応を停止し、1N HCl溶液で混合物の酸度(pH)を1に下げ、次に混合物を濃縮した。残渣を種結晶で精製して、2,5-フランジカルボン酸(FDCA)を78%の収率で得た。
【0081】
1H NMR(500MHz,DMSO-d6):δ13.62(br,2H),7.29(s,2H)
13C NMR(125MHz,DMSO-d6):δ158.91,147.04,118.40
【0082】
実施例27
55℃で、3mLのtert-ブタノールをナトリウムtert-ブトキシド(3当量)に加え、5分間撹拌した。5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF、0.5mmol)を加え、雰囲気を酸素に変えた後、室温で1日撹拌した。得られた混合物に微量の蒸留水を加えて反応を停止し、1N HCl溶液で混合物の酸度(pH)を1に下げ、次に混合物を濃縮した。残渣を種結晶で精製して、2,5-フランジカルボン酸(FDCA)を73%の収率で得た。
【0083】
1H NMR(500MHz,DMSO-d6):δ13.62(br,2H),7.29(s,2H)
13C NMR(125MHz,DMSO-d6):δ158.91,147.04,118.40
【0084】
実施例1~27の反応条件及び結果を下記表1~表3にまとめる。
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【0087】
【表3】
【0088】
上記から分かるように、本発明によれば、アルカリ金属(又はアルカリ土類金属)化合物の促進剤と酸素(又は空気)の酸化剤の環境に優しいプロトコルに基づいた化学選択的酸化反応を介して、高純度の2,5-フランジカルボン酸(FDCA)をより効率的及び経済的に製造することができる。