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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150680
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】光照射装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/06 20060101AFI20241016BHJP
【FI】
A61N5/06 B
A61N5/06 Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024119311
(22)【出願日】2024-07-25
(62)【分割の表示】P 2021543131の分割
【原出願日】2020-01-23
(31)【優先権主張番号】62/795,730
(32)【優先日】2019-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/825,993
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/747,688
(32)【優先日】2020-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】506029004
【氏名又は名称】ソウル バイオシス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SEOUL VIOSYS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】65-16,Sandan-ro 163 Beon-gil,Danwon-gu,Ansan-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ペ,ヒ ホ
(72)【発明者】
【氏名】ユン,ヨン ミン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ア ヨン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】人体に対する副作用を最小に抑えつつ高い殺菌効果を得ることができる光照射装置を提供する。
【解決手段】光照射装置は、ハウジングと、ハウジングに配置された基板と、基板上に配置された光源と、を含む。光源は、青色波長帯域を含む第1の光を照射する少なくとも1つの第1光源30と、UVC帯域を含む第2の光を照射する少なくとも1つの第2光源40と、第1の光を照射する第1光源30及び第2の光を照射する第2光源40の発光を制御する制御部と、を含む。第1光源30は、第1の期間において、第1の光を照射し、第2光源40は、第1の期間に続く第2の期間において、第1の光に続いて第2の光を順次照射する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングに配置された基板と、
前記基板上に配置された光源と、を含み、
前記光源は、
青色波長帯域を含む第1の光を照射する少なくとも1つの第1光源と、
UVC帯域を含む第2の光を照射する少なくとも1つの第2光源と、
前記第1の光を照射する前記第1光源及び前記第2の光を照射する前記第2光源の発光を制御する制御部と、を含み、
前記第1光源は、第1の期間において、前記第1の光の照射し、前記第2光源は、前記第1の期間に続く第2の期間において、前記第1の光に続いて前記第2の光を順次照射する、光照射装置。
【請求項2】
前記第1光源は、前記青色波長帯に加えて可視光線帯域の光を含む、請求項1に記載の光照射装置。
【請求項3】
前記第1光源は、白色光を照射する、請求項2に記載の光照射装置。
【請求項4】
前記第1光源は、複数の第1の発光ダイオードを含み、前記第2光源は、複数の第2の発光ダイオードを含む、請求項1に記載の光照射装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第2光源から照射される第2の光のドーズ量が、前記第1光源から照射される第1の光のドーズ量の1/10以下となるように制御する、請求項1に記載の光照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光照射装置に関し、より詳細には、治療に使用される光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、紫外線を用いたさまざまな治療器が開発されている。一般に、紫外線は、殺菌効果を有することが知られており、従来の紫外線治療器は、旧来の紫外線ランプを使用し、これを皮膚の近くで作動させ、治療が必要とされる部位に紫外線を照射する方式で使用されていた。
【0003】
しかし、紫外線は、殺菌効果に加えて皮膚の老化や癌を誘発するなどの副作用を有している。そのため、人体に影響を及ぼさない安全な方法で殺菌効果を得ることができる方法が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、人体に対する副作用を最小に抑えつつ高い殺菌効果を得ることができる光照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態に係る光照射装置は、ハウジングと、ハウジング内に設けられた基板と、及び基板上に実装された光源と、を含み、光源は、青色波長帯域の第1の光を出射する少なくとも1つの第1光源と、紫外線波長帯域の第2の光を出射する少なくとも1つの第2光源と、第1の光の出射と第2の光の出射とが重なるか否かにかかわらず、前記第1の光と前記第2の光とが順次又は近接したタイミングで出射されるように、第1光源及び第2光源の発光を制御する制御部と、を含み、第2光源のドーズ量は、第1光源のドーズ量の1/10以下である。
【0006】
本発明の一実施形態において、制御部は、第1の光の出射が開始された後、第2の光が出射されるように第1光源及び第2光源を制御することができる。
【0007】
本発明の一実施形態において、第2の光は、UVA、UVB、及びUVCの波長帯域のうち少なくとも一つの波長帯域に対応してもよい。
【0008】
本発明の一実施形態において、第1の光は、約400nm~約500nmの波長帯域を有してもよい。第1の光は、可視光線に対応する波長帯域の光をさらに含んでもよく、第1の光は、約380nm~約780nmの波長帯域を有してもよい。このとき、第1の光のスペクトルは、規格化された太陽光スペクトルの面積に対して約55%以上の面積を有し、第1の光のピークは、規格化された太陽光スペクトルに対して約0.14以下の偏差を有してもよい。
【0009】
本発明の一実施形態において、第2の光は、約240nm~約280nmの波長帯域を有してもよい。
【0010】
本発明の一実施形態において、第1の光は第1の時間照射され、第2の光は、第1の時間より短い第2の時間照射されてもよい。本発明の一実施形態において、第2の光は、第1の光の照射が停止した後に照射が開始されてもよく、第2の光は、第1の光の照射が停止する前に照射が開始され、第1の時間と第2の時間の少なくとも一部が互いに重なる期間を有してもよい。また、第1の光は連続的に照射されてもよく、第2の光は不連続的に照射されてもよい。本発明の一実施形態において、第2の光は周期的に照射されてもよい。
【0011】
本発明の一実施形態において、光照射装置は、人体の治療に使用されてもよく、例えば、急性創傷の治療に使用されてもよい。
【0012】
本発明の一実施形態において、第2光源は、1日当たり所定のドーズ量の範囲内で第2の光を照射し、1日当たり所定のドーズ量は第2の光が人体に照射される際に無害な範囲内となる許容ドーズ量とすることができる。本発明の一実施形態において、第2の光は、約30J/m~約1,000,000J/mのドーズ量で照射されてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一実施形態によると、人体に対する副作用を最小限に抑えつつ、殺菌効果が高い光照射装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る光照射装置を示す平面図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る光照射装置を示すブロック図である。
図3a図3aは、本発明の一実施形態に係る光照射装置の駆動方法を示す図であり、第1及び第2光源のオン/オフによる時間を示す図である。
図3b図3bは、本発明の一実施形態に係る光照射装置の駆動方法を示した図であって、第1及び第2光源のオン/オフによる時間を示す図である。
図3c図3cは、本発明の一実施形態に係る光照射装置の駆動方法を示した図であって、第1及び第2光源のオン/オフによる時間を示す図である。
図4a図4aは、第1の光と第2の光を順次照射する場合における本発明の一実施形態に係る光照射装置の駆動方法を示す図であり、第1及び第2光源のオン/オフによる時間を示す図である。
図4b図4bは、第1の光と第2の光を順次照射する場合における本発明の一実施形態に係る光照射装置の駆動方法を示す図であり、第1及び第2光源のオン/オフによる時間を示す図である。
図5a図5aは、本発明の一実施形態に係る光照射装置の駆動方法を示す図であり、第1及び第2光源のオン/オフによる時間を示す図である。
図5b図5bは、本発明の一実施形態に係る光照射装置の駆動方法を示す図であり、第1及び第2光源のオン/オフによる時間を示す図である。
図5c図5cは、本発明の一実施形態に係る光照射装置の駆動方法を示す図であり、第1及び第2光源のオン/オフによる時間を示す図である。
図6図6は、本発明の一実施形態に係る発光装置において、第1光源から出射された光のスペクトルを示す図である。
図7a図7aは、本発明の一実施形態に係る光照射装置の平面図である。
図7b図7bは、本発明の一実施形態に係る光照射装置の平面図であり、図7aのI-I’線に沿った断面図である。
図8図8は、本発明の一実施形態に係る照明装置が製品として具現された例を示す図である。
図9図9は、本発明の一実施形態に係る照明装置が製品として具現された例を示す図である。
図10図10は、既存の発明と本発明の一実施形態に係る発光装置を用いて殺菌対象に光を照射したときの照射条件による殺菌効果を示すグラフである。
図11a図11aは、第1の光の殺菌力を調べた結果を示すグラフである。
図11b図11bは、第2の光の殺菌力を調べた結果を示すグラフである。
図12a図12aは、第1の光が単独で照射された場合、第2の光が単独で照射された場合、及び第1の光と第2の光とが組み合わされて照射された場合のバクテリア数を示す図である。
図12b図12bは、第1の光が単独で照射された場合、第2の光が単独で照射された場合、及び第1の光と第2の光とが組み合わされて照射された場合の殺菌力を示す図である。
図13a図13aは、第1の光と第2の光とを照射する順番が異なるように設定されて照射された場合のバクテリア数を示す図である。
図13b図13bは、第1の光と第2の光とを照射する順番が異なるように設定されて照射された場合の殺菌力を示す図である。
図14a図14aは、インビトロ(in vitro)条件で第1の光と第2の光を順次照射し、第1の光の光量を異ならせたときのバクテリア数を示す図である。
図14b図14bは、第1の光と第2の光を順次照射し、第1の光の光量を異ならせたときの殺菌力を示す図である。
図15a図15aは、インビボ(in vivo)条件で第1の光と第2の光を順次照射し、第1の光の光量を異ならせたときのバクテリア数を示す図である。
図15b図15bは、インビボ(in vivo)条件で第1の光と第2の光を順次照射し、第1の光の光量を異ならせたときの殺菌力を示す図である。
図16図16は、インビボ(in vivo)条件で日付けに対する殺菌力の変化を示す図である。
図17図17は、インビボ(in vivo)条件で日付けに対する菌数を測定した結果を示す図である。
図18図18は、インビボ(in vivo)条件での日付けに対する傷面積の変化を示す図である。
図19a図19aは、日付けによる傷の部分の形状を撮像した写真であって、無照射群の傷の写真である。
図19b図19bは、日付けによる傷の部分の形状を撮像した写真であって、光照射群の傷の写真である。
図20a図20aは、組織内でのチミンダイマーの含有量を百分率で示すグラフである。
図20b図20bは、DCFH-DAによって染色された組織の発光の程度を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[発明を実施するための最良の形態]
【0016】
本発明は、さまざまな変更を加えることができ、さまざまな形態を有し得るので、特定の実施形態を図面に例示し、これを本文で詳細に説明する。しかし、これは、本発明を特定の開示された形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物及び代替物を含むものと理解しなければならない。
【0017】
以下、添付の各図面を参照して本発明の好適な実施形態をより詳細に説明する。
【0018】
本発明は、殺菌が必要な対象に殺菌光を照射することによって殺菌を行う光照射装置に関する。特に、本発明の一実施形態に係る光照射装置は、傷の治癒が必要な場所に傷の治癒を目的として使用することができる。殺菌が必要な対象が人体であり、皮膚が傷を負っている場合、傷口の病原体を殺菌する必要があり、本発明の一実施形態に係る殺菌装置は、傷口の病原体を殺菌するために使用することができる。ここで、病原体(pathogen)は、バクテリア、ウイルス、細菌、菌類、原生生物、カビなどの微生物などを指す。本発明の一実施形態に係る光照射装置は、創傷、潰瘍(ulcer)、切開部位の感染(surgical site infection)、裂傷(laceration)、切り傷(incised wound)、刺傷(punctured wound)などのさまざまな傷に使用することができる。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係る光照射装置を示す平面図である。
【0020】
本発明の一実施形態例に係る光照射装置100は、第1の光を出射する第1光源30、第2の光を出射する第2光源40、及び第1及び第2光源30、40を実装する基板20を含む。
【0021】
第1光源30及び第2光源40は基板20上に実装されるので、基板20は、第1及び第2光源30、40を実装することができるものであれば特に限定されず、さまざまな形態で提供されてもよい。基板20は、第1及び第2光源30、40に電力を供給できるように配線が含まれた形態で提供されてもよい。基板20は、例えば、配線が形成された金属基板、プリント基板などを用いることができる。
【0022】
第1光源30は、可視光線の波長帯域のうち青色波長帯域の第1の光を出射する。第1の光は、約400nm~約500nmの波長帯域の光に相当するものであってもよい。本発明の一実施形態において、第1の光は、約400nm~約420nmの波長帯域の光であってもよい。本発明の一実施形態において、より詳細には、第1の光は、405nmの波長を有する光であってもよい。
【0023】
第1の光は、バクテリア、細菌、カビなどの微生物に存在する光増感剤(photosensitizer)に作用し、細胞を損傷させることによって微生物の死滅を誘導する。第1の光は、細菌に存在する光増感剤であるポルフィリン(porphyrin)の吸収波長に対応する。第1の光は、特に400nm~420nm、455nm~470nmの波長において高い殺菌力を示し、これは、光増感剤であるポルフィリンの吸収波長帯域に相当する。ポルフィリンは、細胞内の酸素の輸送に必須の要素であり、色素である。ポルフィリンは、特に約402nm~約420nmの波長で高い吸収を示し、約455nm~470nmの波長も吸収する。本発明の一実施形態において、ポルフィリンは、バクテリアの種類によって含量が異なるので、第1の光の波長及び強度を調節することによって特定のバクテリアを死滅させる目的で使用することができる。細菌に第1の光が照射されると、細菌内のポルフィリンが第1の光を吸収し、第1の光のエネルギーによって細菌の細胞内に活性酸素(reactive oxygen species)が生成される。活性酸素は、細菌の細胞内に蓄積されることによって細菌の細胞壁を酸化させ、その結果、細菌が死滅するという効果を有する。
【0024】
第2光源40は、紫外線波長帯域の第2の光を出射する。すなわち、第2の光は、約100nm~約400nmの波長帯域の光であってもよく、UVA、UVB、及びUVCであってもよい。UVAは約315nm~約400nmの波長帯域を有していてもよく、UVBは約280nm~約315nmの波長帯域を有していてもよく、UVCは約100nm~約280nmの波長帯域を有していてもよい。本発明の一実施形態において、第2の光は、UVCに該当していてもよく、このとき、約240nm~約280nmの波長帯域を有していてもよい。本発明の一実施形態において、より詳細には、第2の光は、275nmの波長を有する光であってもよい。
【0025】
第2の光が細菌に照射されると、細菌内のDNAが第2の光を吸収し、第2の光のエネルギーによってDNA構造に変化が生じる。DNAは、この光吸収によってDNA内のチミンとアデニンとの結合が切れる。これは、DNAを構成する各塩基であるプリンやピリミジンなどが紫外線を強く吸収するためであり、光吸収の結果、チミンダイマーが形成される。このような過程を経てDNAの変形が起こり、変形したDNAは、細胞増殖能力を有しないので細菌の死滅につながる。DNAは、約240nm~約280nmの波長帯域の光を吸収することができる。
【0026】
図2は、本発明の一実施形態に係る光照射装置を示すブロック図である。
【0027】
図2を参照すると、本発明の一実施形態に係る光照射装置は、第1の光を出射する第1光源30、第2の光を出射する第2光源40、第1光源30及び第2光源40の発光を制御する制御部50、制御部50及び第1及び第2光源30、40に電力を供給する電源供給部60を含むことができる。
【0028】
第1及び第2光源30、40のそれぞれは、上記のように、青色波長帯域を含む第1の光、及び紫外線波長帯域を含む第2の光を出射することができる。本発明の一実施形態において、第1及び第2光源30、40は、さまざまな光源によって具現され得る。例えば、第1及び第2光源30、40としては、それぞれ個別に発光ダイオード、ハロゲンランプ、蛍光灯、ガス放電ランプ、レーザーなどのさまざまなものが使用可能であり、その種類は限定されない。
【0029】
制御部50は、第1及び第2光源30、40からの光を出射するか否か、光量、光強度、出射時間などを制御することができる。制御部50は、さまざまな方式で光を出射するか否か、光量、光の強度、及び出射時間を制御することができる。
【0030】
電源供給部60は、第1及び第2光源30、40及び制御部50に電気的に接続され、第1及び第2光源30、40及び制御部50に電力を供給する。図面では、電源供給部60が制御部50を通じて第1及び第2光源30、40に電力を供給することを示すが、これに限定されず、第1及び第2光源30、40に電源供給部60が直接接続され、第1及び第2光源30、40に電力を供給するようにしてもよい。
【0031】
光照射装置100には、第1及び第2光源30、40から出射された光を選択的に集光又は分配させる光学ユニットがさらに備えられていてもよい。光学ユニットは、第1及び第2光源30、40から生成された光を必要に応じて狭い範囲又は広い部位に集束することができる。または、光学ユニットは、光を照射しようとする場所に応じて、集光させたり均一又は不均一に分散させたりすることができる。光学ユニットは、必要に応じて少なくとも一つ以上のレンズを含んでもよく、レンズは、第1及び第2光源30、40からの光を集光、分散、均一化、不均一化するなどのさまざまな機能を発揮することができる。
【0032】
例えば、本発明の一実施形態に係る発光装置100を用いて狭い領域に光を照射する場合、第1及び第2光源30、40に光を集光するためのレンズが使用されてもよく、その反対に、本発明の一実施形態に係る発光装置100を用いて広い領域、例えば、部屋全体に光を照射する場合、光を拡散させるためのレンズが使用されてもよい。
【0033】
本実施形態において、制御部50は、第1光源30及び第2光源40をそれぞれ同時に又は個別に駆動する。すなわち、第1及び第2光源30、40を同時にオン/オフし、第1光源30と第2光源40とを個別にオン/オフするようにしてもよい。また、第1光源30及び第2光源40からの出射光、すなわち、第1の光及び第2の光の強度を同時に又は個別に制御することができる。
【0034】
本発明の一実施形態において、制御部50は、一日の紫外線照射量を3mJ/cm以下にすることができる。特に、制御部50は、UVCの場合、一日の照射量を3mJ/cm以下に保つことができる。これに加えて、UVAの場合、日毎の照射時間が1000秒未満であるとき、紫外線照射量が1J/cmを超えないように保たれ、日毎の照射時間が1000秒以上であるときは、紫外線照射量が1mW/cmを超えないように保つことができる。
【0035】
本発明の一実施形態において、第1光源30及び第2光源40から殺菌対象までの距離はさまざまに設定することができる。例えば、第1及び第2光源30、40の光強度、殺菌しようとする対象の種類、殺菌しようとする対象の面積や体積、殺菌しようとする目的物質(例えば、細菌、バクテリアなど)などによってさまざまに変更することができる。同様の方法で、本発明の一実施形態において、第1光源30及び第2光源40の光照射時間もさまざまに設定することができる。
【0036】
図3a乃至図3cは、本発明の一実施形態に係る光照射装置の駆動方法を示す図であり、第1及び第2光源のオン/オフに対応する時間を示す図である。
【0037】
本発明の一実施形態に係る光照射装置において、第1光源から出射される第1の光をL1、第2光源から出射される第2の光をL2とし、時間の経過をTで示すと、第1光源は、第1の時間t1の間オンになり第1の光L1を照射し、第2光源は、第2の時間t2の間オンになり第2の光L2を照射する。本実施形態において、第1の光L1が照射される第1の時間t1は、第2の光L2が照射される第2の時間t2より長くてもよい。第2の光L2は、特に人体に及ぼす影響が大きいので、第1の光L1よりも短い時間で照射するようにしてもよい。例えば、第1光源は、約10分程度の時間で照射されてもよく、第2光源は、約10秒以内の時間で照射されてもよい。
【0038】
第1及び第2光源から出射される第1及び第2の光L1、L2の照射時間t1、t2及び照射時の光量はさまざまに変更することができるが、殺菌しようとする対象への総ドーズ量は、人体に無害な範囲内に設定される。特に、第2の光L2が人体に照射されるとき、1日当たりの無害な範囲のドーズ量を許容ドーズ量とすると、第2光源は、許容ドーズ量内で第2の光L2を出射することができる。第1光源及び第2光源から出射された光の有害性によってドーズ量に差があり得るが、本発明の一実施形態において、第2光源のドーズ量が第1光源のドーズ量に対して1/10以下であってもよく、他の一実施形態においては、第2光源のドーズ量が前記第1光源のドーズ量に対して1/20であってもよい。例えば、第2の光L2の許容ドーズ量は、約30J/m~約1,000,000J/mであってもよい。
【0039】
図3a乃至図3cに示すように、第1の光L1と第2の光L2は、同時に照射を開始してもよく、互いに異なる時間に照射を開始してもよい。第1の光L1と第2の光L2が互いに異なる時間に照射を開始する場合、第1の光L1が先に照射されてもよく、第2の光L2が先に照射されてもよい。また、第1の光L1と第2の光L2が照射される時間は、互いに重なってもよく、互いに重ならなくてもよい。第1の光L1と第2の光L2が照射される時間が重ならない場合、第1の光L1と第2の光L2が照射される時間の間隔は短く設定されてもよい。例えば、第1の光L1と第2の光L2が照射される時間の間隔は、数時間以内、数分以内、又は数秒以内であってもよい。
【0040】
本発明の一実施形態に係る殺菌装置は、第1の光及び第2の光を同時に、又は、同時ではないにしても近接した時間内に照射することによって得ることができる相乗効果により、第1の光の単独の殺菌効果、第2の光の単独の殺菌効果に比べて著しく高い殺菌効果を有する。
【0041】
本発明の一実施形態に係る殺菌装置は、光増感剤による活性酸素の生成を誘導する第1の光と、及びチミンダイマーを生成することによってDNAの損傷を誘発する第2の光による殺菌原理を採用している。本発明の実施形態では、第1光源と第2光源を併用して使用することにより、各光源を単独で使用する場合より少ないエネルギー量であっても相対的に短い時間内に著しく高い殺菌効果を得ることができる。
【0042】
化学的及び物理的ストレスが加えられたバクテリアは、追加的に加えられる他の種類の弱い刺激によっても死滅率が急激に増加するので、本発明の実施形態において、青色光及び紫外線に対応する第1の光及び第2の光による互いに異なる2つの殺菌メカニズムは、バクテリアにそれぞれ異なるストレスを誘導する。これによって、これらのストレスの相乗効果により、2つの光源を単独で使用する場合より少ないエネルギーでバクテリアを死滅させることができる。本発明の一実施形態によると、第2の光を殺菌対象の生体組織に無害なエネルギー量の条件で照射しながら第1の光を併用して適用することによって、2つの光源による殺菌の相乗効果を得ることができる。その結果、本発明は、殺菌対象が人体であっても、人体組織にダメージを与えることなく短期間で効果的な殺菌効果を得ることができる。
【0043】
これに対し、第1の光のみを使用する場合は、人体には無害であるが、相対的に殺菌力が弱いので、高エネルギーで長時間照射する必要があり、第2の光のみを使用する場合は、殺菌力は高いが、人体に有害であるという問題があることに留意しなければならない。
【0044】
上記のように、本発明の一実施形態に係る光照射装置は、さまざまな病原体の殺菌に使用することができる。特に、本発明の一実施形態に係る光照射装置は、急性感染症の創傷に対して殺菌光を照射し、感染菌を初期に殺菌する際に使用可能であり、その結果、創傷の治癒期間が短縮されるという効果を得ることができる。急性創傷の場合、傷がついた初期に感染菌の菌数を減少させることが、傷を治癒する過程において最も重要である。急性創傷において初期の殺菌が十分に行われないと、創傷の治癒が正常に進まないので、3ヶ月以上創傷が治癒されない慢性創傷に発展する可能性があるが、本発明の一実施形態に係る光照射装置を用いて感染菌を初期に殺菌する場合は、これを防止することができる。
【0045】
しかし、人体以外にも、動物や各種物品に付着するバクテリア、細菌、カビなどの微生物も殺菌が可能であり、本発明の一実施形態に係る殺菌装置の処理対象は、人体に限定されなく、動物及び各種物品に拡張することができる。
【0046】
本発明の一実施形態によると、上記のように、第1光源と第2光源から出射される第1の光及び第2の光を同時に、又は、同時ではないとしても近接した時間内に照射する場合、殺菌効果が著しく増加する。これに加え、本発明の一実施形態によると、第1の光と第2の光を順次照射する場合、第2の光と第1の光を順次照射する場合より高い殺菌効率を得ることができる。したがって、本発明の一実施形態によると、殺菌しようとする対象に、第1の光と第2の光を順次照射する処理を通じて殺菌効率を最大化することができる。
【0047】
本発明の一実施形態によると、第1の光を第2の光の照射前に所定の時間だけ殺菌しようとする対象に照射し、次に、第2の光を照射することができる。これにより、第1の光を照射した後、DNAが損傷から再び回復することを防止することができ、その結果、第1の光を単独で照射する場合に比べて少ないドーズ量で画期的に高い殺菌効果を得ることができる。また、第2の光の場合、殺菌しようとする対象に対する殺菌力には優れるが、人体に長時間暴露されると、皮膚の老化や癌の誘発などの人体への悪影響が生じるおそれがある。よって、単独で第2の光を殺菌しようとする対象に照射することは、非常に制限されるという問題がある。しかし、本発明の一実施形態によると、第1の光の照射に加えて、第2の光を照射することによって、単独で照射する場合に比べて少ない量の照射であるにもかかわらず、著しい殺菌効果を得ることができる。
【0048】
本発明の一実施形態において、第1の光に加えて、第2の光を順次照射する場合、第2の光の光量を制御する必要性がある。本発明の一実施形態では、第1の光と第2の光を順次照射することで、殺菌の相乗効果を得ることができると共に、人体への影響を最小化することができる。このため、第1光源及び第2光源をオン/オフさせる場合には、連続的に光を出射する方式、光の強さを順次減少又は増加させる方式、点滅させる方式、又は併用した方式などを採用することができる。
【0049】
図4a及び図4bは、第1の光と第2の光を順次照射する場合の本発明の一実施形態に係る光照射装置の駆動方法を示す図であり、第1及び第2光源をオン/オフさせる時間を示す図である。
【0050】
図4a及び図4bを参照すると、本発明の一実施形態において、第1の光L1の照射が先に行われた後、第2の光L2の照射が行われてもよい。第1の光L1を先に照射した後で第2の光L2を照射する場合、第2の光L2を先に照射し、第1の光L1を後で照射する場合より殺菌力が著しく増加する。第2の光L2を先に照射し、第1の光L1を後で照射する場合、第2の光L2による細菌増殖阻害効果が第1の光L1の照射によって減少することがある。これは、第2の光L2によってDNAの構造が一部変形したとしても、可視光線波長帯域を含む第1の光L1の照射によって変形したDNAが光回復(photoreactivation)するという効果があるためである。第1の光L1の照射によって回復された各
種細菌は、再び増殖することができる状態に戻るので、全体的な殺菌力は依然として良いが、第1の光L1及び第2の光L2を順次照射する場合よりは最終的な殺菌力が減少する場合がある。
【0051】
これとは異なり、本発明の一実施形態に係る光照射装置を用いて第1の光L1を殺菌しようとする対象に照射した後、第2の光L2を順次照射する場合、先に照射された第1の光L1によって細菌内に活性酸素が生成され、細菌に酸化ストレスが生じる。この状態で、後から照射された第2の光L2によって更なる殺菌が行われるので、少ない照射量でも殺菌の度合いが著しく増加する。
【0052】
本実施形態において、第2の光L2を照射するタイミングは、第1の光L1及び第2の光L2を順次照射する範囲内で変化させることができる。例えば、図3aに示すように、第1の光L1の照射が完了した後、第2の光L2の照射を開始してもよく、図3bに示すように、第1の光L1の照射が完了しない状態で、第2の光L2の照射が開始されてもよい。この場合、第1の光L1と第2の光L2の照射が一部重なってもよいので、第1の時間と第2の時間の少なくとも一部は互いに重なる区間を有してもよい。
【0053】
上記の本発明の一実施形態に係る光照射装置は、第1の光L1と第2の光L2を順次照射する範囲内で、制御部によってさまざまな形態で駆動することができる。
【0054】
図5a乃至図5cは、本発明の一実施形態に係る光照射装置の駆動方法を示すした図であり、第1及び第2光源がオン/オフされる時間を示す図である。
【0055】
図5aを参照すると、第1の光L1及び第2の光L2は、周期的に殺菌しようとする対象に照射されてもよい。すなわち、第1の光L1が第1の時間t1の間殺菌対象に照射され、第2の光L2が第2の時間t2の間照射された後、再び第1の光L1及び第2の光L2の照射が繰り返されてもよい。このような繰り返し期間及び繰り返し回数は、殺菌しようとする対象の種類、総量などによって変えることができる。ここで、第1の光L1の総ドーズ量及び第2の光L2の総ドーズ量は、人体に許容された許容ドーズ量以下の値になるように第1の光L1及び第2の光L2の反復周期及び回数を決定することができる。
【0056】
図5bを参照すると、第1の光L1及び第2の光L2を照射するとき、第1の光L1の照射後に第2の光L2が照射される範囲内で、第1の光L1は、中断せず連続的に殺菌対象に照射されてもよい。その一方で、第2の光L2は、連続的に与えられるのではなく、不連続的に第1の光L1と重なるように与えられる。
【0057】
図示するように、第1の光L1は、第1の時間t1の間中断せず連続的に殺菌対象に継続して照射されてもよく、第2の光L2は、第1の光L1の照射がある程度進められた後、第1の光L1の照射が連続的に進められている途中で第2の時間t2の間殺菌対象に照射されてもよい。第2の光L2は、殺菌対象に周期的に繰り返し照射されてもよい。
【0058】
図5cを参照すると、第1の光L1及び第2の光L2が照射されたとき、第1の光L1の照射後に第2の光L2が照射される範囲内で、第1の光L1を中断せず連続的に殺菌対象に照射されてもよく、又は、第2の光L2が照射される前に中断されてもよい。図示するように、第1の光L1が第1の時間t1の間殺菌対象に照射される場合、第2の光L2は、第1の光L1の照射途中で第2の時間t2の間照射されてもよい。その後、第1の光L1の照射が終了した後、第2の光L2が第3の時間t3の間照射されてもよい。ここで、第2の光L2は、人体に安全であると許容される許容ドーズ量以下の値内で互いに異なる時間で殺菌対象に照射されてもよい。すなわち、第2の光L2が照射される第2の時間t2と第3の時間t3とは、互いに異なる長さを有してもよい。
【0059】
本発明の一実施形態において、第1の光L1の照射を停止した直後に第2の光L2を照射すると、殺菌効果が最も高くなり、第1の光L1の照射を中断することなく第2の光L2を順次照射してもよい。但し、第1の光L1の照射を中断した直後に第2の光L2を照射するのではなく、所定の時間が経過した後で第2の光L2を照射してもよいが、その間隔は非常に短くてもよい。その一方、第1の光L1と第2の光L2とを順次照射することによって所定の殺菌効果が得られた場合、次の第1の光L1と第2の光L2との逐次的な照射は、十分な時間が経過した後に再び行われてもよい。
【0060】
本発明の一実施形態において、第1光源は、可視光線波長帯域のうち殺菌が可能な青色波長を含んでいるが、これに限定されず、青色波長帯域の光を含み、他の可視光線領域の光をさらに含んでもよい。
【0061】
図6は、本発明の一実施形態に係る発光装置において、第1光源から出射された光のスペクトルを示す図である。
【0062】
図6を参照すると、第1光源は、約380nm~約750nmの波長帯域の光を出射し、そのほとんどが可視光線波長領域帯に対応している。すなわち、第1光源は、白色光を出射する光源に該当する。本実施形態において、第1光源は、第2の光と組み合わされることによって相乗効果を発揮する青色波長帯域の光を含み、同様に上記の殺菌効果を得ることができる。
【0063】
これに加えて、本実施形態での第1光源は、全波長帯域の光が均一に混合された形態として、太陽光と類似するスペクトルを有する。但し、本発明の一実施形態に係る第1光源は、紫外線波長帯域の大部分を除いて発光するという点で太陽光と相違している。本発明の一実施形態に係る光源は、実質的に可視光線の全波長帯域に対応する約380nm~約780nmの波長帯域を有する光を出射する。
【0064】
本発明の一実施形態において、太陽光と類似するという意味は、規格化された太陽光スペクトルを基準としたとき、従来の発明と比較して重畳する部分が所定の値以上であり、太陽光スペクトルからのピークのずれ(太陽光スペクトルのピークを基準にしたとき、逸脱する程度)も所定の値以下である場合を意味する。例えば、本発明の一実施形態において、第1光源は、規格化された太陽光スペクトルの面積に対して約55%以上の面積を有する光を出射することができ、第1の光のピークは、正規化された太陽光スペクトルから約0.14以下の偏差を有してもよい。
【0065】
このように、第1の光が太陽光と類似するスペクトルを有することによって、太陽光に頻繁に晒される場合と同じ効果があり、これによるビタミンDの合成が容易になり、近視などの疾病の発生を抑制することができる。
[発明を実施するための形態]
【0066】
本発明の一実施形態に係る光照射装置は、さまざまな形態で実現することができる。図7aは、本発明の一実施形態に係る光照射装置の平面図を示し、図7bは、図7aのI-I’線に沿った断面図を示す。
【0067】
図7a及び図7bを参照すると、本発明の一実施形態に係る光照射装置は、第1光源30、第2光源40、及び第1及び第2光源30、40が実装された基板20を含むことができる。
【0068】
本実施形態において、第1光源30は複数個設けられてもよく、第2光源40も複数個設けられてもよい。例えば、第1光源30及び第2光源40は、同数で設けられ、図示するように、行列状に交互に配置されてもよい。しかし、第1及び第2光源30、40の数はこれに限定されず、第1光源30の数は、第2光源40の数より多くてもよく、第2光源40の数より少なくてもよい。また、本発明の一実施形態によると、第1光源30及び第2光源40は、その数によって規則的に又は不規則的に配列されてもよい。
【0069】
本発明の一実施形態に係る光照射装置は、第1及び第2光源30、40及び基板20を収納するハウジングをさらに含んでもよい。ハウジングには、第1及び第2光源30、40から出射された光が透過する透過窓が設けられてもよく、第1及び第2光源30、40から出射された光は、透過窓を介して人体側に照射されてもよい。
【0070】
本発明の一実施形態において、基板20上には制御部50がさまざまな形態で設けられてもよい。例えば、制御部50は、基板20上に個別の回路配線として設けられてもよいし、個別のチップとして基板20上に実装されることで提供されてもよい。
【0071】
上記のように、本発明の一実施形態に係る殺菌装置は、殺菌が必要なさまざまな他の装置に適用可能であり、特に光源を使用する装置に適用されてもよい。また、本発明の一実施形態に係る殺菌装置は、殺菌装置専用として使用されるのではなく、照明装置として使用されてもよい。例えば、本発明の一実施形態に係る殺菌装置は、所定の空間に光を提供する照明用として追加された光源をさらに含んでもよく、この場合、追加された光源は、可視光線波長帯域の光を出射するようにしてもよい。追加された光源は、可視光線領域の全スペクトルに対応する光を出射することもでき、特定のカラーのスペクトルに対応する光を出射することもできる。
【0072】
または、本発明の一実施形態において、別途追加された光源を用いることなく、第1光源が青色波長帯域の光を含む可視光線波長帯域の光を出射するようにすることができる。例えば、第1光源は、約380nm~約750nmの波長帯域の光を出射するため、そのほとんどは可視光線波長領域帯に対応するものとなる。この場合、第1光源は、可視光線波長帯域の光を全体的に照射しながら、第2の光と組み合わされることによって相乗効果を発揮する青色波長帯域の光を含んでおり、上記の各実施形態と同じ殺菌効果を得ることができる。このように、可視光線波長帯域の光を出射する追加された光源が設けられ、第1光源が可視光線波長帯域の光を出射する場合、その光は、太陽光と類似するスペクトルを有することができる。この光が太陽光と類似するスペクトルを有する場合、太陽光に頻繁に晒される場合と同じ効果があり、これによるビタミンDの合成が容易になり、近視などの疾病の有病率を低下させることができる。
【0073】
本発明の一実施形態に係る発光装置は、さまざまな形態で実現することができる。図7aは、本発明の一実施形態に係る発光装置の平面図を示し、図7bは、図7aのI-I’線に沿った断面図を示す。
【0074】
図7a及び図7bを参照すると、本発明の一実施形態に係る発光装置は、第1光源30、第2光源40、及び第1及び第2光源30、40が実装された基板20を含むことができる。
【0075】
本実施形態において、第1光源30は複数個設けられてもよく、第2光源40も複数個設けられてもよい。例えば、第1光源30及び第2光源40は、同数設けられ、図示するように、行列状に交互に配置されてもよい。しかし、第1及び第2光源30、40の数はこれに限定されず、第1光源30の数は、第2光源40の数より多くてもよく、第2光源40の数より少なくてもよい。また、本発明の一実施形態によると、第1光源30及び第2光源40は、その数によって規則的に又は不規則的に配列されてもよい。
【0076】
本発明の一実施形態に係る発光装置は、第1及び第2光源30、40及び基板20を収納するハウジングをさらに含んでもよい。ハウジングには、第1及び第2光源30、40から出射された光が透過する透過窓が設けられてもよく、第1及び第2光源30、40から出射された光は、透過窓を介して人体側に照射されてもよい。
【0077】
本発明の一実施形態において、基板20上には制御部50がさまざまな形態で設けられてもよい。例えば、制御部50は、基板20上に個別の回路配線として設けられたり、個別のチップとして設けられたりすることによって基板20上に実装されることで提供されてもよい。
【0078】
発光装置は、さまざまな形態で実現され、さまざまな用途で使用することができる。例えば、本発明の一実施形態に係る発光装置は、照明及び殺菌が必要な場所に種々適用することができ、特に照明装置として使用されてもよく、例えば、手術室、病院などのように、医療施設、公共衛生や個人衛生用照明装置に使用されてもよい。特に、本発明の一実施形態に係る照明装置は、患者を治療する目的で使用されてもよい。
【0079】
本発明の照明装置は、公共施設、公共使用空間及び共同使用製品などに適用することによって公共治療の目的で使用されてもよく、個人施設、個人使用空間及び個人使用製品などに適用することによって個人が治療目的で使用するものであってもよい。
【0080】
また、本発明の照明装置は、照明装置専用として使用されるのではなく、他の治療装置に付加して使用されてもよい。
【0081】
以下は、本発明の一実施形態に係る照明装置の具体的な実施形態を説明する。
【0082】
図8及び図9は、本発明の一実施形態に係る照明装置が製品として具体化された例を示す図である。
【0083】
図8を参照すると、本発明の一実施形態に係る照明装置は、光を出射する発光装置100、発光装置100が収容されるハウジング300、発光装置の上部に設けられたウィンドウ210、及びウィンドウ210及びハウジング300を固定する固定部材220を含む。
【0084】
ハウジング300は、発光装置100を収容及び支持し、発光装置に電力を供給できるものであれば限定はない。例えば、図示されるように、ハウジング300は、本体310、電源供給装置320、電源ケース330、及び電源接続部340が含まれてもよい。電源供給装置320は、電源ケース330に収納され、発光装置100と電気的に接続され、少なくとも一つのICチップが含まれてもよい。ICチップは、発光装置100に供給される電力の特性を調節、変換又は制御することができる。
【0085】
電源ケース330は、電源供給装置320を収納して支持することができ、電源供給装置320がその内部に固定された電源ケース330は、本体310の内部に位置してもよい。
【0086】
電源接続部340は、電源ケース330の下端に配置され、電源ケース330と結束されてもよい。これによって、電源接続部340は、電源ケース330内で電源供給装置320と電気的に接続され、電源供給装置320に外部から電力を供給するための経路として機能することができる。
【0087】
発光装置100は、基板20、及び基板20上に配置された第1及び第2光源30、40を含み、上記の各実施形態に係る形態を有してもよい。発光装置100は、本体310の上部に設けられ、電源供給装置320と電気的に接続されてもよい。基板20は、本体310に安定した状態で固定されるように、本体310の上部の固定部材220の部分に対応する形状を有してもよい。
【0088】
ウィンドウ210は、発光装置100の上部をカバーするようにハウジング300上に配置されてもよい。ウィンドウ210は、発光装置100上に配置され、本体310に固定されることによって発光装置100をカバーすることができる。ウィンドウ210には、発光装置100からの光の拡散を容易にするレンズ部材211が設けられてもよい。ウィンドウ210は、透光性材料を有してもよく、ウィンドウ210の形態及び光透過率を調節し、照明装置の指向特性を調節することができる。したがって、ウィンドウ210は、照明装置の利用目的及び用途によってさまざまな形態に変形することができる。
【0089】
固定部材220は、ウィンドウ210の上部に設けられ、ウィンドウ210、発光装置100、及び本体310を互いに連結することができる。
【0090】
上記の構造を有する照明装置は、各種の光治療器に装着されてもよい。また、所定の空間(例えば、チャンバー)を構成する壁や天井に装着される照明機器として使用されてもよい。
【0091】
本発明の一実施形態に係る照明装置は、実生活に使用可能な形態で実現することができる。
【0092】
図9を参照すると、本発明の他の実施形態に係る照明装置1000’は、台座510と、光を出射する発光装置100と、支持体520と、発光装置100を囲む反射シェード400とを含んで構成されてもよい。本発明の他の実施形態に係る照明スタンドは、各種治療器上に配置されてもよい。
【0093】
台座510の表面には、照明スタンドの動作を制御するための入力デバイス530が配置されてもよい。台座510は、発光装置100が配置された基板20と支持体520を介して連結することで固定する。台座510は、電源部600を介して発光装置に電力が供給されるようにする。支持体520は、台座510と発光装置100が配置された基板20との間を連結し、電力を供給するための電線(図示せず)が内部に設けられてもよい。
【0094】
本実施形態において、支持体520が堅い単一の部材で形成されたことを示したが、これに限定されなく、少なくとも1回折り曲げられる折り曲げ可能な部材から構成されたり、可撓性のある部材から構成されたりすることによって、さまざまな形状に変更することができる。例えば、支持体520は、ある程度の外力によって変形してもよいが、外力がない場合は、その形状が維持される程度の軟性を有することができる。例えば、人が配線ユニット130に外力を加えることによって配線ユニット130の一部の形状を変えることができ、外力がなくなると、配線ユニット130は、外力が加えられた直後の最終的な形状にそのまま維持することができる。このために、支持体520は、蛇腹形状で設けられてもよい。
【0095】
発光装置100を囲む反射シェード400は、発光装置から放射される光源を反射し、照度を高めることができるアルミニウムなどの金属材料で形成されてもよく、光の透過が可能な素材を含んで構成されてもよい。反射シェード400の内側表面には、光触媒物質を含むコーティング層が形成されてもよい。光触媒物質は、TiO、ZnO、ZrO、WOのグループから選ばれる少なくとも一つを含んで構成されてもよい。
【0096】
以下では、本発明の一実施形態に係る光照射装置の殺菌効果に対して実験を行った実施例を説明する。
【実施例0097】
実験例1-照射条件による殺菌効果
【0098】
図10は、従来の発明と本発明の一実施形態に係る発光装置を用いて殺菌対象に光を照射したときの照射条件による殺菌効果を示すグラフである。図10において、殺菌の対象として使用された細菌は、黄色ブドウ球菌であり、黄色ブドウ球菌を細菌培養培地に塗抹し、35℃~37℃で1日間培養し、細菌培養培地上に形成された細菌コロニーを収集し、生理食塩水に混濁した後で遠心分離し、上澄み液を捨てた後、再び生理食塩水を入れ、これを希釈することによって殺菌実験に適当な濃度の細菌液を作製した。このように作製した細菌液を別の容器に入れ、従来の発明及び本発明の一実施形態に係る発光装置を容器から所定の距離に設置した後、光を順次照射した。次に、光照射が行われた細菌液を希釈し、細菌培養培地上に均一に塗布し、35℃~37℃で1日間培養した後、細菌培養培地上に形成されたコロニーを確認し、これに希釈倍数を乗じて計数することによって殺菌効果に対する結果を得た。
【0099】
x軸は、第1及び第2の光のドーズ量を示したものであり、y軸は、細菌の不活性化程度を対数目盛で示したものである。比較例1は、第2の光のみを細菌に照射したものであり、275nmの波長帯域の光を細菌に照射したものである。比較例2は、第1の光のみを細菌に照射したものであり、405nmの波長帯域の光を細菌に照射したものである。比較例3は、細菌に275nmの波長帯域の第2の光を照射した後、405nmの波長帯域の第1の光を照射したものである。実施例は、細菌に405nmの波長帯域の第1の光を照射した後、275nmの波長帯域の第2の光を照射したものである。但し、グラフにおいて、比較例1の場合は、3mJ/cmのドーズ量のみで275nmの波長帯域の第2の光を照射したものであり、比較例2、比較例3、及び実施例の場合は、それぞれ405nmの波長帯域の第1の光のドーズ量を変更しながら、すなわち、30J/cm、60J/cm、90J/cm、120mJ/cm、150J/cmのドーズ量で照射し、275nmの波長帯域の第2の光を3mJ/cmのドーズ量で照射したものである。ここで、第2の光の場合は、人体に及ぼす許容ドーズ量を考慮して、第1の光より低いドーズ量に設定されている。
【0100】
図10を参照すると、比較例1の場合は、細菌に第2の光のみを照射したものであり、3mJ/cmのドーズ量で照射したとき、不活性化度が約1.5(log CFU/ml)であり、比較例2の場合は、細菌に第1の光のみを照射したものであって、30J/cmのドーズ量で照射したとき、不活性化度が約1(log CFU/ml)であった。第2の光を細菌に3mJ/cmのドーズ量で先に照射し、第1の光を30J/cmのドーズ量で後から照射した場合は、不活性化度が約1.5(log CFU/ml)であった。しかし、第1の光を30J/cmのドーズ量で先に照射し、第2の光を3mJ/cmのドーズ量で後から照射した実施例の場合は、不活性化度が約4(log CFU/ml)であり、非常に高い殺菌効果を示した。ここで、比較例3と実施例の場合は、第1の光と第2の光の順番のみが異なり、同一の量が細菌に照射されたにもかかわらず、実際の殺菌程度において著しい効果の差を示したことを確認することができた。
【0101】
また、比較例2、比較例3、及び実施例の場合は、第1の光のドーズ量が60J/cmのドーズ量であり、同一の態様を示したが、実施例の殺菌効果は、比較例2や比較例3の殺菌効果よりも著しく高い結果となった。
【0102】
但し、第1の光のドーズ量が90J/cm以上である場合、比較例3と実施例は、約6(log CFU/ml)の滞留値を示すが、これは、新しい菌の流入がない実験室の条件で殺菌される細菌がこれ以上ないためであると判断され得る。これによって、新しい菌の流入が持続的に起こる開放された外部条件では、比較例1乃至比較例3より実施例の殺菌効果が著しく高いと予測することができる。
【0103】
下記の表1は、比較例1乃至比較例3及び実施例において、所望の殺菌度を得るための最小ドーズ量を示すものである。ここで、比較例1は、第2の光のみを細菌に照射したものであり、275nmの波長帯域の光を細菌に照射したものである。比較例2は、第1の光のみを細菌に照射したものであり、405nmの波長帯域の光を細菌に照射したものである。比較例3は、細菌に275nmの波長帯域の第2の光を照射した後、405nmの波長帯域の第1の光を照射したものである。実施例は、細菌に405nmの波長帯域の第1の光を照射した後、275nmの波長帯域の第2の光を照射したものである。
【0104】
表1を参照すると、第2光源を単独で使用した比較例1の場合は、非常に少ないドーズ量でも90%以上、99%以上、又は99.9%以上の殺菌効果を得ることができる。しかし、第2の光の場合は、人体に及ぼす影響が大きいので、第2の光のみでドーズ量を高めながら殺菌を進めることは難しい。
【0105】
次に、第1の光と第2の光とを混合して使用した比較例2、比較例3及び実施例を見ると、比較例2及び比較例3に比べて、実施例の場合、遥かに少ない第1の光のドーズ量で高い殺菌効果を示すことを確認することができる。例えば、99%の殺菌効果を得るために、比較例2の場合は65J/cmのドーズ量が必要とされ、比較例3の場合は40J/cmのドーズ量が必要とされる一方、実施例の場合は15J/cmのドーズ量が必要とされている。
【0106】
【表1】
【0107】
このように、本発明の一実施形態に係る発光装置は、従来の発明に比べて著しく高い殺菌効果を示すことを確認することができる。
【0108】
実験例2-第1の光及び第2の光の個別殺菌力テスト
【0109】
本テストにおいて、病原体としてMRSA菌株を使用し、MRSA菌株を培養した後、一定の菌濃度(7log)の懸濁液を準備した。菌懸濁液に第1の光及び第2の光をそれぞれ各光量で照射した。このとき、第1の光の波長は405nmで、第2の光の波長は275nmであった。第1の光及び第2の光がそれぞれ照射された菌を一定の濃度で希釈し、寒天板に接種した後で再び培養した。次に、培養された菌のコロニー数を確認し、その数値を対数値に換算した。各テストは、5回にわたって同一の条件で実施した。
【0110】
表2及び図11aは、第1の光の殺菌力をテストした結果を示したものであって、表3及び図11bは、第2の光の殺菌力をテストした結果を示したものである。
【0111】
【表2】
【0112】
表2及び図11aを参照すると、第1の光の照射量が増加することによって菌の数が減少することを確認することができる。誤差範囲を勘案しても、菌の数が減少することは明らかであった。
【0113】
【表3】
【0114】
表3及び図11bを参照すると、第2の光の照射量が増加することによって菌の数が減少することを確認することができる。誤差範囲を勘案しても、菌の数が減少することは明らかであった。また、第2の光の場合、第1の光より遥かに少ない量で殺菌が行われることが分かった。
【0115】
実験例3-第1の光と第2の光との組み合わせ時の殺菌力テスト
【0116】
本テストにおいて、病原体としてMRSA菌株を使用し、MRSA菌株を培養した後、一定の菌濃度(7log)の懸濁液を準備した。菌懸濁液に、第1の光を単独で、第2の光を単独で、第1の光と第2の光とを組み合わせて照射し、菌懸濁液に何も照射していないものは比較例1、第2の光を単独で照射したものは比較例2、第1の光を単独で照射したものは比較例3、第1の光と第2の光とを組み合わせて照射したものは実施例で示した。このとき、第1の光は、波長が405nmでドーズ量が120J/cmであり、第2の光は、波長が275nmでドーズ量が3mJ/cmであった。実施例の場合、第2の光を3mJ/cmのドーズ量で照射した後、第1の光を120J/cmのドーズ量で照射した。次に、比較例1乃至比較例3、及び実施例の菌を一定の濃度で希釈し、寒天板に接種した後で再び培養した。次に、培養された菌のコロニー数を確認し、その数値を対数値に換算した。
【0117】
各テストは、5回にわたって同一の条件で実施された。
【0118】
図12a及び表4は、第1の光及び第2の光が単独でそれぞれ照射された場合と、第1の光と第2の光とが組み合わされて照射された場合のバクテリア数を示したものであり、図12b及び表5は、第1の光及び第2の光が単独でそれぞれ照射された場合と、第1の光と第2の光とが組み合わされて照射された場合の殺菌力を示したものである。
【0119】
【表4】
【0120】
【表5】
【0121】
図12a、図12b、表4、及び表5を参照すると、第2の光を単独で照射したときは約90%の殺菌力を示し、第1の光を単独で照射したときは約99%の殺菌力を示したが、第1の光と第2の光とを組み合わせて照射したときは99.99%以上の殺菌力を示した。これによって、光を照射しない場合、及び第1の光又は第2の光を単独で照射した場合に比べて、第1の光と第2の光とを組み合わせて照射する条件で菌量が著しく減少し、これによる殺菌力が著しく増加することを確認することができる。
【0122】
実験例4-第1の光と第2の光との組み合わせ順序による殺菌力変化テスト
【0123】
本テストにおいて、病原体としてMRSA菌株を使用し、MRSA菌株を培養した後、一定の菌濃度(7log)の懸濁液を準備した。菌懸濁液に、第2の光を照射した後に第1の光を照射し、第1の光を照射した後に第2の光を照射した。菌懸濁液に何も照射していないものは比較例1、第2の光を照射した後で第1の光を照射したものは実施例1、第1の光を照射した後で第2の光を照射したものは実施例2で示した。
【0124】
このとき、実施例1の場合は、275nmの第2の光を3mJ/cmのドーズ量で照射した後、405nmの第1の光を120J/cmのドーズ量で照射し、実施例2の場合は、405nmの第1の光を120J/cmのドーズ量で照射した後、275nmの第2の光を3mJ/cmのドーズ量で照射した。
【0125】
次に、比較例、実施例1及び実施例2の菌を一定の濃度で希釈し、寒天板に接種した後で再び培養した。次いで、培養された菌のコロニー数を確認し、その数値を対数値に換算した。
【0126】
各テストは、5回にわたって同一の条件で実施された。
【0127】
図13a及び表6は、第1の光と第2の光とが異なる組み合わせの順番に設定されて照射された場合のバクテリア数を示したものであって、図13b及び表7は、第1の光と第2の光が異なる組み合わせの順番に設定されて照射された場合の殺菌力を示したものである。
【0128】
【表6】
【0129】
【表7】
【0130】
図13a、図13b、表6、及び表7を参照すると、実施例1の場合は99.99%の殺菌力を示す一方、実施例2の場合は、菌が観察されず、実質的に完全に殺菌が行われたことを確認することができる。すなわち、第1の光を照射した後で第2の光を照射する場合、その反対の場合に比べて同一の照射光量で著しく高い殺菌力を示し、これは、第2の光を照射した後で第1の光を照射する場合より少ない光量で同一の殺菌力を得ることができることを意味する。より少ない光量の適用は、光照射時間が短くなることを意味するので、実施例2の場合、実施例1より光照射時間を短縮することができる。
【0131】
実験例5-光量条件の設定(in vitro)
【0132】
第1の光と第2の光の逐次的な照射によって著しい殺菌力の向上が示されたことに基づいて、各光源の最適な光量を調査するために、第1の光及び第2の光を逐次照射するとき、光量を変更しながらバクテリアの数及び殺菌力をインビトロ(in vitro)条件で測定した。
【0133】
本テストにおいて、病原体としてMRSA菌株を使用し、MRSA菌株を培養した後、一定の菌濃度(7log)の懸濁液を準備した。菌懸濁液に、第1の光のドーズ量を30J/cm、60J/cm、90J/cm、120J/cmに変更し、第1の光と第2の光を順次照射した。但し、第2の光の場合、人体許容水準を考慮して、275nmの光を3mJ/cmのドーズ量に限定して行った。
【0134】
次に、菌を一定の濃度で希釈し、寒天板に接種した後で再び培養した。次いで、培養された菌のコロニー数を確認し、その数値を対数値に換算した。
【0135】
各テストは、5回にわたって同一の条件で実施された。
【0136】
図14a及び表8は、第1の光と第2の光を順次照射し、第1の光の光量を異ならせたときのバクテリア数を示したものであり、図14b及び表9は、第1の光と第2の光を順次照射し、第1の光の光量を異ならせたときの殺菌力を示したものである。
【0137】
【表8】
【0138】
【表9】
【0139】
図14a、図14b、表8、及び表9を参照すると、第1の光の光量が増加することによって菌数が減少することが確認され、120J/cmの光量では完全殺菌になることが確認された。
【0140】
実験例6-光量条件の設定(in vivo)
【0141】
実施例4において、第2の光(405nm)のドーズ量が3mJ/cmである条件で第1の光(275nm)のドーズ量が120J/cmであるときに完全殺菌になることが確認されたので、インビボ(in vivo)条件でもこのような殺菌効果があるかどうかを
テストした。
【0142】
本テストにおいて、インビボ(in vivo)条件での光照射の有効性及び安全性を確認す
るためにマウスを用いて実験を行った。光照射の条件は、インビトロ(in vitro)での条件と同一にした。マウスは、BALB/cマウス(6週齢~8週齢)を用いており、マウスの背中の毛を剃った後、背中部位に直径10mmの創傷を生成した。この創傷に病原性細菌を接種(5log接種)した後、第1の光のドーズ量を30J/cm、60J/cm、90J/cm、120J/cmと変更し、第1の光と第2の光を順次照射した。但し、第2の光は、人体許容水準を考慮して、275nmの光を3mJ/cmのドーズ量に限定して行った。次に、組織を採取し、採取した組織を破砕した後、一定の濃度で希釈し、寒天板に接種した後で再び培養した。次に、培養された菌のコロニー数を確認し、その数値を対数値に換算した。
【0143】
各テストは、5回にわたって同一の条件で実施された。
【0144】
図15a及び表10は、第1の光と第2の光を順次照射し、第1の光の光量を異ならせたときのバクテリア数を示したものであり、図15b及び表11は、第1の光と第2の光を順次照射し、第1の光の光量を異ならせたときの殺菌力を示したものである。
【0145】
【表10】
【0146】
【表11】
【0147】
図15a、図15b、表10、及び表11を参照すると、インビボ(in vivo)条件で
も第1の光の光量が増加することにしたがって菌数が減少することを確認し、120J/cmの光量では完全に殺菌されることを確認した。
【0148】
実験例7-有効性評価1(in vivo)
【0149】
実施例5においてインビボ(in vivo)条件での殺菌のための光のドーズ量が確認され
たので、これに基づいてインビボ(in vivo)条件での時間による殺菌力及び菌数変化を
テストした。
【0150】
本テストは、マウスを用いて進めた。マウスは、BALB/cマウス(6週齢~8週齢)を用いており、マウスの背中の毛を剃った後、背中部位に直径10mmの創傷を生成した。前記創傷に病原性細菌を接種(5log接種)した後、第1の光(405nm)のドーズ量を120J/cmとし、第1の光と第2の光を毎日同じ時刻に合計6回繰り返し順次照射した。但し、第2の光の場合、人体許容水準を考慮して、275nmの光を3mJ/cmのドーズ量に限定して行った。
【0151】
次に、菌数を毎日確認するために、組織を採取し、採取した組織を破砕した後、一定の濃度で希釈し、寒天板に接種した後で再び培養した。次いで、培養された菌のコロニー数を確認し、その数値を対数値に換算した。菌数は、初期殺菌力を確認するために3回光照射までの量を検出した。
【0152】
図16及び表12は、インビボ(in vivo)条件での日毎の殺菌力の変化を示すもので
あり、図17及び表13は、インビボ(in vivo)条件での日毎の菌数を測定した結果を
示したものである。図17及び表13において、比較例は、光を照射していない無照射群に該当し、実施例は、光を照射した光照射群に該当する。
【0153】
【表12】
【0154】
【表13】
【0155】
図16図17、表12、及び表13を参照すると、創傷初期に光を照射した後、殺菌力が99.99%以上持続的に維持されていることを確認することができ、光を照射した場合、菌数は実質的に0に近いと見なすことができる。
【0156】
実験例8-有効性評価2(in vivo)
【0157】
実施例5においてインビボ(in vivo)条件での殺菌のための光のドーズ量が確認され
たので、これに基づいてオンビボ(in vivo)条件での光の照射による傷治癒効果をテス
トした。
【0158】
本テストは、マウスを用いて行った。マウスは、BALB/cマウス(6週齢~8週齢)を用いており、マウスの背中の毛を剃った後、背中部位に直径10mmの創傷を生成した。この創傷に病原性細菌を接種(5log接種)した後、第1の光(405nm)のドーズ量を120J/cmとし、第1の光と第2の光を毎日同じ時刻に合計6回繰り返し順次照射した。但し、第2の光の場合、人体許容水準を考慮して、275nmの光を3mJ/cmのドーズ量に限定して行った。
【0159】
毎日同じ時刻に傷の形状変化(特に面積変化)を観察した。傷の大きさは、上皮化時点まで毎日観察しながら値を記録した。
【0160】
図18及び表14は、インビボ(in vivo)条件での日毎の傷面積の変化を示すもので
ある。図18及び表14において、比較例は、光を照射していない無照射群に該当し、実施例は、光を照射した光照射群に該当する。図19a及び図19bは、日毎の傷面積の形状を撮像した写真であり、図19aは無照射群の傷の写真であり、図19bは光照射群の傷の写真である。
【0161】
【表14】
【0162】
図18、表14、図19a及び図19bを参照すると、傷がついた後、2日目まで傷の治癒が可視的に観察されず、傷での菌数は著しく減少したので、殺菌が進められる段階であると見なすことができる。傷がついた後、2日目から瘡蓋が生成され、その後、傷の面積が徐々に減少したので、傷がついた後、2日目から傷治癒が進められる段階であると見なすことができる。傷に瘡蓋が生成されると、瘡蓋によって傷の外部への露出がなくなるので、追加的な感染は週毎に少なくなる。但し、瘡蓋が形成される前までの殺菌有無によって、瘡蓋の大きさ及び傷の回復に大きな差が示される。傷治癒段階で傷の面積が50%に減少する時点は、光照射群の場合は6日に過ぎなかったが、無照射群の場合は10日も必要とされている。また、光照射群の場合は15日目で上皮化されたが、無照射群の場合は15日目にも依然として上皮化がされていない。これにより、本発明の一実施例によって光を照射するとき、傷治癒効果が著しく示されることを確認することができる。
【0163】
実験例9-安全性評価1(in vivo)
【0164】
上記の実験例での照射条件が人体に有害であるかどうかを確認するために、DNA変異の有無を確認した。
【0165】
本テストでは、光照射によって感染されていない組織にDNA変異(mutation)が発生するかどうかを確認するために、光を照射した後、チミンダイマー(thymine dimer)形
成程度を免疫組織化学的分析(immunohistochemical analysis)によって確認を行った。DNAに過量のUVを照射すると、チミンダイマーなどのDNA変異が発生し、細胞が死滅するようになるので、チミンダイマーの形成程度でDNA変異の有無を確認することができる。
【0166】
本テストは、マウスを用いて進めた。マウスは、BALB/cマウス(6週齢~8週齢)を用いており、マウスの背中の毛を剃った後、パンチを用いて背中部位に直径10mmの創傷を生成した。この創傷に光を照射した後、組織を採取し、ホルマリン及びパラフィンで採取した組織を固定した後で切片を取った。光を照射するとき、対照群は光を処理していない無照射群で、実験群1は過量のUVCを処理した光照射群で、実験群2は、第1の光(405nm)のドーズ量を120J/cmに、第2の光(275nm)のドーズ量を3mJ/cmに限定して順次照射した光照射群である。
【0167】
図16a及び表15は、組織内でのチミンダイマーの含量を百分率で示したものである。図20a及び表15を参照すると、実験群1ではチミンダイマーが発見されたが、実験群2ではチミンダイマーが発見されなかった。これによって、本発明の一実施例で適用した光の条件は、感染されていない組織に照射した場合にもDNA変異が発生しないことが確認された。
【0168】
【表15】
【0169】
実験例10-安全性評価2(in vivo)
【0170】
上記の実験例での照射条件が人体に有害であるかどうかを確認するために、ROS生成の有無を確認した。
【0171】
本テストは、感染されていない組織にも光照射によって活性酸素(ROS)が誘導されるかどうかを確認するためのものである。感染菌に殺菌光が照射されると、ROSが誘導され、菌が死滅するようになる。
【0172】
本テストは、マウスを用いて進めた。マウスは、BALB/cマウス(6週齢~8週齢)を用いており、マウスの背中の毛を剃った後、パンチを用いて背中部位に直径10mmの創傷を生成した。前記創傷に光を照射した後、光の照射部位にDCFH-DA(Dichlorofluorescin diacetate)を処理した後、DCFH-DAによって染色された部分の発光量を測定し、ROS有無を確認した。DCFH-DAは、細胞内でROSによって酸化されることによって蛍光発光をする。DCFH-DAの励起時、吸収波長は445nm~490nmで、蛍光発光波長は515nm~575nmである。
【0173】
ここで、対照群は何の追加処理もしていない無処理群で、実験群1は過酸化水素処理群で、実験群2は、第1の光(405nm)のドーズ量を120J/cmに、第2の光(275nm)のドーズ量を3mJ/cmに限定して順次照射した処理群である。
【0174】
図20b及び表16は、DCFH-DAによって染色された部分の発光度を示したものである。図20b及び表16を参照すると、実験群1では、蛍光が起こることによってROSの存在を確認したが、実験群2では、蛍光が起こらなかったので、ROSがないと判断された。これによって、本発明の一実施例で適用した光の条件で感染されていない組織に光を照射した場合にも、ROSが発生しないことが確認された。
【0175】
【表16】
【0176】
以上では、本発明の好適な実施例を参照して説明したが、該当の技術分野で熟練した当業者又は該当の技術分野で通常の知識を有する者であれば、後述する特許請求の範囲に記載の本発明の思想及び技術領域から逸脱しない範囲内で本発明をさまざまに修正及び変更可能であることを理解できるであろう。よって、本発明の技術的範囲は、明細書の詳細な説明に記載の内容に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって定められるべきであろう。
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図5a
図5b
図5c
図6
図7a
図7b
図8
図9
図10
図11a
図11b
図12a
図12b
図13a
図13b
図14a
図14b
図15a
図15b
図16
図17
図18
図19a
図19b
図20a
図20b