(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150688
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】mRNAおよび長い核酸の送達のための脂質ナノ粒子組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 48/00 20060101AFI20241016BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241016BHJP
A61K 9/127 20060101ALI20241016BHJP
A61K 9/51 20060101ALI20241016BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20241016BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20241016BHJP
A61K 47/28 20060101ALI20241016BHJP
A61K 31/7105 20060101ALI20241016BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20241016BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20241016BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20241016BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20241016BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20241016BHJP
C12N 15/11 20060101ALI20241016BHJP
C12N 15/09 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
A61K48/00 ZNA
A61P43/00 105
A61K9/127
A61K9/51
A61K9/14
A61K47/24
A61K47/28
A61K31/7105
A61K47/18
A61K47/34
A61K47/14
A61P3/00
A61K47/20
C12N15/11 Z
C12N15/09 100
A61K48/00
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024119383
(22)【出願日】2024-07-25
(62)【分割の表示】P 2020570975の分割
【原出願日】2019-06-19
(31)【優先権主張番号】62/687,010
(32)【優先日】2018-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
2.STYROFOAM
(71)【出願人】
【識別番号】508152917
【氏名又は名称】ザ ボード オブ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティー オブ テキサス システム
【氏名又は名称原語表記】THE BOARD OF REGENTS OF THE UNIVERSITY OF TEXAS SYSTEM
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】シーグワート ダニエル ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】チェン チャン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】mRNAおよび長い核酸の送達のための脂質ナノ粒子組成物を提供する。
【解決手段】組成物は、カチオン性イオン化可能脂質、リン脂質、PEG化脂質、およびステロイドを含んでもよく、より短い核酸を有する組成物よりも少ないカチオン性イオン化可能脂質の使用を含む。これらの組成物は、mRNAの送達が治療的に有効である疾患もしくは障害を処置するために用いられうる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む組成物:
(A) 長さが80ヌクレオチドを超える核酸; ならびに
(B) 以下の送達脂質ナノ粒子組成物:
(i) 約5から約50のカチオン性イオン化可能脂質;
(ii) 約10から約45のリン脂質;
(iii) 約15から約50のステロイド; および
(iv) 約0.5から約10のPEG化脂質;
ここで、量はモル比としてのものである。
【請求項2】
核酸の長さが、約90ヌクレオチドから約500ヌクレオチドである、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
核酸の長さが、約1,000ヌクレオチドから約7,000ヌクレオチドである、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
核酸がメッセンジャーRNA (mRNA)または単一ガイドRNA (sgRNA)である、請求項1~3のいずれか一項記載の組成物。
【請求項5】
核酸が、遺伝子編集のためのタンパク質またはガイドをコードしている、請求項1~4のいずれか一項記載の組成物。
【請求項6】
核酸が、疾患もしくは障害において欠損しているタンパク質をコードしているか、または該タンパク質の遺伝子編集において作用する、請求項5記載の組成物。
【請求項7】
カチオン性イオン化可能脂質が、カチオン性イオン化可能デンドロンまたはカチオン性イオン化可能デンドリマーである、請求項1~6のいずれか一項記載の組成物。
【請求項8】
カチオン性イオン化可能脂質が、2つまたはそれ以上の疎水性基、生理学的pHでカチオン性である基、1つまたは複数のエステルを含むリンカー基を含む、請求項7記載の組成物。
【請求項9】
カチオン性イオン化可能脂質が、下記式のデンドロンとしてさらに定義される、請求項1~8のいずれか一項記載の組成物、または薬学的に許容されるその塩:
コア-繰り返し単位-末端基 (I)
式中、1つもしくは複数の水素原子をコアから除去して該原子を繰り返し単位で置換することによって、コアは、繰り返し単位に連結され、かつ
コアは、下記式を有し:
式中、
X
1はアミノもしくはアルキルアミノ
(C≦12)、ジアルキルアミノ
(C≦12)、ヘテロシクロアルキル
(C≦12)、ヘテロアリール
(C≦12)、またはその置換型であり;
R
1はアミノ、ヒドロキシ、もしくはメルカプト、もしくはアルキルアミノ
(C≦12)、ジアルキルアミノ
(C≦12)、またはこれらの基のいずれかの置換型であり; ならびに
aは1、2、3、4、5、または6であり; あるいは
コアは下記式を有し:
式中、
X
2はN(R
5)
yであり;
R
5は水素、アルキル
(C≦18)、もしくは置換アルキル
(C≦18)であり; ならびに
yおよびzの和が3であるという条件で、yは0、1、もしくは2であり;
R
2はアミノ、ヒドロキシ、もしくはメルカプト、もしくはアルキルアミノ
(C≦12)、ジアルキルアミノ
(C≦12)、またはこれらの基のいずれかの置換型であり;
bは1、2、3、4、5、または6であり; ならびに
zおよびyの和が3であるという条件で、zは1、2、3であり; あるいは
コアは下記式を有し:
式中、
X
3は-NR
6-であり、式中、R
6は水素、アルキル
(C≦8)、もしくは置換アルキル
(C≦8)、-O-、もしくはアルキルアミノジイル
(C≦8)、アルコキシジイル
(C≦8)、アレーンジイル
(C≦8)、ヘテロアレーンジイル
(C≦8)、ヘテロシクロアルカンジイル
(C≦8)、またはこれらの基のいずれかの置換型であり;
R
3およびR
4は各々独立してアミノ、ヒドロキシ、もしくはメルカプト、もしくはアルキルアミノ
(C≦12)、ジアルキルアミノ
(C≦12)、もしくはこれらの基のいずれかの置換型; または式: -N(R
f)
f(CH
2CH
2N)
e(R
c)R
dの基であり;
式中、
eおよびfの和が3であるという条件で、eおよびfは各々独立して1、2、もしくは3であり; または
R
c、R
dおよびR
fは各々独立して水素、アルキル
(C≦6)、もしくは置換アルキル
(C≦6)であり;
cおよびdは各々独立して1、2、3、4、5、または6であり; あるいは
コアはアルキルアミン
(C≦18)、ジアルキルアミン
(C≦36)、ヘテロシクロアルカン
(C≦12)、またはこれらの基のいずれかの置換型であり;
繰り返し単位は分解性ジアシルおよびリンカーを含み;
分解性ジアシル基は下記式を有し:
式中、
A
1およびA
2は各々独立して-O-または-NR
a-であり、式中、
R
aは水素、アルキル
(C≦6)、もしくは置換アルキル
(C≦6)であり;
Y
3はアルカンジイル
(C≦12)、アルケンジイル
(C≦12)、アレーンジイル
(C≦12)、もしくはこれらの基のいずれかの置換型; または式:
の基であり;
式中、
X
3およびX
4はアルカンジイル
(C≦12)、アルケンジイル
(C≦12)、アレーンジイル
(C≦12)、もしくはこれらの基のいずれかの置換型であり;
Y
5は共有結合、アルカンジイル
(C≦12)、アルケンジイル
(C≦12)、アレーンジイル
(C≦12)、もしくはこれらの基のいずれかの置換型であり; ならびに
R
9はアルキル
(C≦8)または置換アルキル
(C≦8)であり;
リンカー基は下記式を有し:
式中、
Y
1はアルカンジイル
(C≦12)、アルケンジイル
(C≦12)、アレーンジイル
(C≦12)、またはこれらの基のいずれかの置換型であり; ならびに
繰り返し単位がリンカー基を含む場合、リンカー基は、nが1より大きいなら、リンカー基の窒素原子および硫黄原子の両方に結合された独立した分解性ジアシル基を含み、繰り返し単位中の最初の基は分解性ジアシル基であり、各リンカー基について、隣の繰り返し単位は、リンカー基の窒素原子に結合した2つの分解性ジアシル基を含み; およびnは、繰り返し単位中に存在するリンカー基の数であり; ならびに
末端基は下記式を有し:
式中、
Y
4はアルカンジイル
(C≦18)、またはアルカンジイル
(C≦18)上の水素原子の1つもしくは複数が-OH、-F、-Cl、-Br、-I、-SH、-OCH
3、-OCH
2CH
3、-SCH
3もしくは-OC(O)CH
3で置換されているアルカンジイル
(C≦18)であり;
R
10は水素、カルボキシ、ヒドロキシ、またはアリール
(C≦12)、アルキルアミノ
(C≦12)、ジアルキルアミノ
(C≦12)、N-ヘテロシクロアルキル
(C≦12)、-C(O)N(R
11)-アルカンジイル
(C≦6)-ヘテロシクロアルキル
(C≦12)、-C(O)-アルキルアミノ
(C≦12)、-C(O)-ジアルキルアミノ
(C≦12)、-C(O)-N-ヘテロシクロアルキル
(C≦12)であり、
式中、
R
11は水素、アルキル
(C≦6)もしくは置換アルキル
(C≦6)であり;
鎖中の最後の分解性ジアシルは末端基に結合されており;
nは0、1、2、3、4、5、または6である。
【請求項10】
末端基が下記式によってさらに定義される、請求項9記載の組成物:
式中、
Y
4はアルカンジイル
(C≦18)であり; および
R
10は水素である。
【請求項11】
コアが下記式によってさらに定義される、請求項9もしくは請求項10のいずれか記載の組成物:
式中、
X
2はN(R
5)
yであり;
R
5は水素もしくはアルキル
(C≦18)、もしくは置換アルキル
(C≦18)であり; ならびに
yおよびzの和が3であるという条件で、yは0、1、または2であり;
R
2はアミノ、ヒドロキシ、もしくはメルカプト、もしくはアルキルアミノ
(C≦12)、ジアルキルアミノ
(C≦12)、またはこれらの基のいずれかの置換型であり;
bは1、2、3、4、5、または6であり; ならびに
zおよびyの和が3であるという条件で、zは1、2、3である。
【請求項12】
コアが下記式によってさらに定義される、請求項9もしくは請求項10のいずれか記載の組成物:
式中、
X
3は-NR
6-であり、式中、R
6は水素、アルキル
(C≦8)、もしくは置換アルキル
(C≦8)、-O-、もしくはアルキルアミノジイル
(C≦8)、アルコキシジイル
(C≦8)、アレーンジイル
(C≦8)、ヘテロアレーンジイル
(C≦8)、ヘテロシクロアルカンジイル
(C≦8)、またはこれらの基のいずれかの置換型であり;
R
3およびR
4は各々独立してアミノ、ヒドロキシ、もしくはメルカプト、もしくはアルキルアミノ
(C≦12)、ジアルキルアミノ
(C≦12)、もしくはこれらの基のいずれかの置換型; または式: -N(R
f)
f(CH
2CH
2N)
e(R
c)R
dの基であり;
式中、
eおよびfの和が3であるという条件で、eおよびfは各々独立して1、2、もしくは3であり; または
R
c、R
dおよびR
fは各々独立して水素、アルキル
(C≦6)、もしくは置換アルキル
(C≦6)であり;
cおよびdは各々独立して1、2、3、4、5、または6である。
【請求項13】
コアが
としてさらに定義される、請求項9~12のいずれか一項記載の組成物。
【請求項14】
分解性ジアシルが
としてさらに定義される、請求項9~13のいずれか一項記載の組成物。
【請求項15】
リンカーが
としてさらに定義され、
式中、
Y
1はアルカンジイル
(C≦8)または置換アルカンジイル
(C≦8)である、
請求項9~14のいずれか一項記載の組成物。
【請求項16】
送達脂質ナノ粒子組成物が、約2.5~約40モル比のカチオン性イオン化可能脂質を含む、請求項1~15のいずれか一項記載の組成物。
【請求項17】
カチオン性イオン化可能脂質のモル比が、約5~約30である、請求項16記載の組成物。
【請求項18】
リン脂質が1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)または1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)である、請求項1~17のいずれか一項記載の組成物。
【請求項19】
リン脂質がDOPEである、請求項18記載の組成物。
【請求項20】
送達脂質ナノ粒子組成物が、約10~約45モル比のリン脂質を含む、請求項1~19のいずれか一項記載の組成物。
【請求項21】
リン脂質のモル比が約20~約40である、請求項20記載の組成物。
【請求項22】
ステロイドがコレステロールである、請求項1~21のいずれか一項記載の組成物。
【請求項23】
送達脂質ナノ粒子組成物が、約15~約50モル比のステロイドを含む、請求項1~22のいずれか一項記載の組成物。
【請求項24】
ステロイドのモル比が、約25~約50である、請求項23記載の組成物。
【請求項25】
PEG化脂質が約1000~約10,000ダルトンのPEG成分を含む、請求項1~24のいずれか一項記載の組成物。
【請求項26】
PEG脂質がPEG化ジアシルグリセロールである、請求項25記載の組成物。
【請求項27】
PEG脂質が下記式によってさらに定義される、請求項26記載の組成物:
式中、
R
12およびR
13は各々独立してアルキル
(C≦24)、アルケニル
(C≦24)、またはこれらの基のいずれかの置換型であり;
R
eは水素、アルキル
(C≦8)、または置換アルキル
(C≦8)であり; および
xは1~250である。
【請求項28】
PEG脂質がジミリストイル-sn-グリセロールまたは下記式の化合物である、請求項1記載の組成物:
式中、
n
1は5~250であり; ならびに
n
2およびn
3は各々独立して2~25である。
【請求項29】
送達脂質ナノ粒子組成物が、約0.5~約10モル比のPEG化脂質を含む、請求項1~28のいずれか一項記載の組成物。
【請求項30】
PEG化脂質のモル比が、約1~約6である、請求項29記載の組成物。
【請求項31】
以下を含む組成物:
(A) 長さが80ヌクレオチドを超える核酸; ならびに
(B) 以下の送達脂質ナノ粒子組成物:
(i) 約5から約50のカチオン性イオン化可能脂質;
(ii) 約10から約50のリン脂質;
(iii) 約15から約60のステロイド; および
(iv) 約0.25から約12.5のPEG化脂質;
ここで、量はモル百分率としてのものである。
【請求項32】
核酸の長さが、約1,000ヌクレオチドから約7,000ヌクレオチドである、請求項31記載の組成物。
【請求項33】
核酸の長さが、約90ヌクレオチドから約500ヌクレオチドである、請求項32記載の組成物。
【請求項34】
核酸がメッセンジャーRNA (mRNA)または単一ガイドRNA (sgRNA)である、請求項31~33のいずれか一項記載の組成物。
【請求項35】
核酸が、遺伝子編集のためのタンパク質をコードしているか、または遺伝子編集のためのガイドである、請求項31~34のいずれか一項記載の組成物。
【請求項36】
核酸が、疾患もしくは障害において欠損しているタンパク質をコードしているか、または該タンパク質の遺伝子編集において作用する、請求項35記載の組成物。
【請求項37】
カチオン性イオン化可能脂質が、カチオン性イオン化可能デンドロンまたはカチオン性イオン化可能デンドリマーである、請求項31~36のいずれか一項記載の組成物。
【請求項38】
カチオン性イオン化可能脂質が、2つまたはそれ以上の疎水性基、生理学的pHでカチオン性である基、1つまたは複数のエステルを含むリンカー基を含む、請求項37記載の組成物。
【請求項39】
カチオン性イオン化可能脂質が、下記式のデンドロンとしてさらに定義される、請求項31~38のいずれか一項記載の組成物、または薬学的に許容されるその塩:
コア-繰り返し単位-末端基 (I)
式中、1つもしくは複数の水素原子をコアから除去して該原子を繰り返し単位で置換することによって、コアは、繰り返し単位に連結され、かつ
コアは、下記式を有し:
式中、
X
1はアミノもしくはアルキルアミノ
(C≦12)、ジアルキルアミノ
(C≦12)、ヘテロシクロアルキル
(C≦12)、ヘテロアリール
(C≦12)、またはその置換型であり;
R
1はアミノ、ヒドロキシ、もしくはメルカプト、もしくはアルキルアミノ
(C≦12)、ジアルキルアミノ
(C≦12)、またはこれらの基のいずれかの置換型であり; ならびに
aは1、2、3、4、5、または6であり; あるいは
コアは下記式を有し:
式中、
X
2はN(R
5)
yであり;
R
5は水素、アルキル
(C≦18)、もしくは置換アルキル
(C≦18)であり; ならびに
yおよびzの和が3であるという条件で、yは0、1、もしくは2であり;
R
2はアミノ、ヒドロキシ、もしくはメルカプト、もしくはアルキルアミノ
(C≦12)、ジアルキルアミノ
(C≦12)、またはこれらの基のいずれかの置換型であり;
bは1、2、3、4、5、または6であり; ならびに
zおよびyの和が3であるという条件で、zは1、2、3であり; あるいは
コアは下記式を有し:
式中、
X
3は-NR
6-であり、式中、R
6は水素、アルキル
(C≦8)、もしくは置換アルキル
(C≦8)、-O-、もしくはアルキルアミノジイル
(C≦8)、アルコキシジイル
(C≦8)、アレーンジイル
(C≦8)、ヘテロアレーンジイル
(C≦8)、ヘテロシクロアルカンジイル
(C≦8)、またはこれらの基のいずれかの置換型であり;
R
3およびR
4は各々独立してアミノ、ヒドロキシ、もしくはメルカプト、もしくはアルキルアミノ
(C≦12)、ジアルキルアミノ
(C≦12)、もしくはこれらの基のいずれかの置換型; または式: -N(R
f)
f(CH
2CH
2N)
e(R
c)R
dの基であり;
式中、
eおよびfの和が3であるという条件で、eおよびfは各々独立して1、2、もしくは3であり; または
R
c、R
dおよびR
fは各々独立して水素、アルキル
(C≦6)、もしくは置換アルキル
(C≦6)であり;
cおよびdは各々独立して1、2、3、4、5、または6であり; あるいは
コアはアルキルアミン
(C≦18)、ジアルキルアミン
(C≦36)、ヘテロシクロアルカン
(C≦12)、またはこれらの基のいずれかの置換型であり;
繰り返し単位は分解性ジアシルおよびリンカーを含み;
分解性ジアシル基は下記式を有し:
式中、
A
1およびA
2は各々独立して-O-または-NR
a-であり、式中、
R
aは水素、アルキル
(C≦6)、もしくは置換アルキル
(C≦6)であり;
Y
3はアルカンジイル
(C≦12)、アルケンジイル
(C≦12)、アレーンジイル
(C≦12)、もしくはこれらの基のいずれかの置換型; または式:
の基であり;
式中、
X
3およびX
4はアルカンジイル
(C≦12)、アルケンジイル
(C≦12)、アレーンジイル
(C≦12)、もしくはこれらの基のいずれかの置換型であり;
Y
5は共有結合、アルカンジイル
(C≦12)、アルケンジイル
(C≦12)、アレーンジイル
(C≦12)、もしくはこれらの基のいずれかの置換型であり; ならびに
R
9はアルキル
(C≦8)または置換アルキル
(C≦8)であり;
リンカー基は下記式を有し:
式中、
Y
1はアルカンジイル
(C≦12)、アルケンジイル
(C≦12)、アレーンジイル
(C≦12)、またはこれらの基のいずれかの置換型であり; ならびに
繰り返し単位がリンカー基を含む場合、リンカー基は、nが1より大きいなら、リンカー基の窒素原子および硫黄原子の両方に結合された独立した分解性ジアシル基を含み、繰り返し単位中の最初の基は分解性ジアシル基であり、各リンカー基について、隣の繰り返し単位は、リンカー基の窒素原子に結合した2つの分解性ジアシル基を含み; およびnは、繰り返し単位中に存在するリンカー基の数であり; ならびに
末端基は下記式を有し:
式中、
Y
4はアルカンジイル
(C≦18)、またはアルカンジイル
(C≦18)上の水素原子の1つもしくは複数が-OH、-F、-Cl、-Br、-I、-SH、-OCH
3、-OCH
2CH
3、-SCH
3もしくは-OC(O)CH
3で置換されているアルカンジイル
(C≦18)であり;
R
10は水素、カルボキシ、ヒドロキシ、またはアリール
(C≦12)、アルキルアミノ
(C≦12)、ジアルキルアミノ
(C≦12)、N-ヘテロシクロアルキル
(C≦12)、-C(O)N(R
11)-アルカンジイル
(C≦6)-ヘテロシクロアルキル
(C≦12)、-C(O)-アルキルアミノ
(C≦12)、-C(O)-ジアルキルアミノ
(C≦12)、-C(O)-N-ヘテロシクロアルキル
(C≦12)であり、
式中、
R
11は水素、アルキル
(C≦6)もしくは置換アルキル
(C≦6)であり;
鎖中の最後の分解性ジアシルは末端基に結合されており;
nは0、1、2、3、4、5、または6である。
【請求項40】
末端基が下記式によってさらに定義される、請求項39記載の組成物:
式中、
Y
4はアルカンジイル
(C≦18)であり; および
R
10は水素である。
【請求項41】
コアが下記式によってさらに定義される、請求項39または請求項40のいずれか記載の組成物:
式中、
X
2はN(R
5)
yであり;
R
5は水素もしくはアルキル
(C≦18)、もしくは置換アルキル
(C≦18)であり; ならびに
yおよびzの和が3であるという条件で、yは0、1、もしくは2であり;
R
2はアミノ、ヒドロキシ、もしくはメルカプト、もしくはアルキルアミノ
(C≦12)、ジアルキルアミノ
(C≦12)、またはこれらの基のいずれかの置換型であり;
bは1、2、3、4、5、または6であり; ならびに
zおよびyの和が3であるという条件で、zは1、2、3である。
【請求項42】
コアが下記式によってさらに定義される、請求項39または請求項40のいずれか記載の組成物:
式中、
X
3は-NR
6-であり、式中、R
6は水素、アルキル
(C≦8)、もしくは置換アルキル
(C≦8)、-O-、もしくはアルキルアミノジイル
(C≦8)、アルコキシジイル
(C≦8)、アレーンジイル
(C≦8)、ヘテロアレーンジイル
(C≦8)、ヘテロシクロアルカンジイル
(C≦8)、またはこれらの基のいずれかの置換型であり;
R
3およびR
4は各々独立してアミノ、ヒドロキシ、もしくはメルカプト、もしくはアルキルアミノ
(C≦12)、ジアルキルアミノ
(C≦12)、もしくはこれらの基のいずれかの置換型; または式: -N(R
f)
f(CH
2CH
2N)
e(R
c)R
dの基であり;
式中、
eおよびfの和が3であるという条件で、eおよびfは各々独立して1、2、もしくは3であり; または
R
c、R
dおよびR
fは各々独立して水素、アルキル
(C≦6)、もしくは置換アルキル
(C≦6)であり;
cおよびdは各々独立して1、2、3、4、5、または6である。
【請求項43】
コアが
としてさらに定義される、請求項39~42のいずれか一項記載の組成物。
【請求項44】
分解性ジアシルが
としてさらに定義される、請求項39~43のいずれか一項記載の組成物。
【請求項45】
リンカーが
としてさらに定義され、
式中、
Y
1はアルカンジイル
(C≦8)または置換アルカンジイル
(C≦8)である、
請求項39~44のいずれか一項記載の組成物。
【請求項46】
送達脂質ナノ粒子組成物が、約5~約40モル百分率のカチオン性イオン化可能脂質を含む、請求項31~45のいずれか一項記載の組成物。
【請求項47】
カチオン性イオン化可能脂質のモル百分率が、約5~約30である、請求項46記載の組成物。
【請求項48】
リン脂質が1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)または1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)である、請求項31~47のいずれか一項記載の組成物。
【請求項49】
リン脂質がDOPEである、請求項48記載の組成物。
【請求項50】
送達脂質ナノ粒子組成物が、約10~約45モル百分率のリン脂質を含む、請求項31~49のいずれか一項記載の組成物。
【請求項51】
リン脂質のモル百分率が約20~約40である、請求項50記載の組成物。
【請求項52】
ステロイドがコレステロールである、請求項31~51のいずれか一項記載の組成物。
【請求項53】
送達脂質ナノ粒子組成物が、約15~約50モル百分率のステロイドを含む、請求項31~52のいずれか一項記載の組成物。
【請求項54】
ステロイドのモル百分率が、約25~約50である、請求項53記載の組成物。
【請求項55】
PEG化脂質が約1000~約10,000ダルトンのPEG成分を含む、請求項31~54のいずれか一項記載の組成物。
【請求項56】
PEG脂質がPEG化ジアシルグリセロールである、請求項55記載の組成物。
【請求項57】
PEG脂質が下記式によってさらに定義される、請求項56記載の組成物:
式中、
R
12およびR
13は各々独立してアルキル
(C≦24)、アルケニル
(C≦24)、またはこれらの基のいずれかの置換型であり;
R
eは水素、アルキル
(C≦8)、または置換アルキル
(C≦8)であり; および
xは1~250である。
【請求項58】
PEG脂質がジミリストイル-sn-グリセロールまたは下記式の化合物である、請求項31記載の組成物:
式中、
n
1は5~250であり; ならびに
n
2およびn
3は各々独立して2~25である。
【請求項59】
送達脂質ナノ粒子組成物が、約0.5~約10モル百分率のPEG化脂質を含む、請求項31~58のいずれか一項記載の組成物。
【請求項60】
PEG化脂質のモル百分率が、約1~約6である、請求項59記載の組成物。
【請求項61】
組成物が、約1:1~約1:100の、核酸のカチオン性イオン化可能脂質に対する重量比を含む、請求項1~60のいずれか一項記載の組成物。
【請求項62】
前記重量比が約1:10~約1:40である、請求項61記載の組成物。
【請求項63】
前記重量比が約1:15~約1:25である、請求項62記載の組成物。
【請求項64】
薬学的組成物として製剤化されており、賦形剤をさらに含む、請求項1~63のいずれか一項記載の組成物。
【請求項65】
経口的に、脂肪内に(intraadiposally)、動脈内に、関節内に、頭蓋内に、皮内に、病変内に、筋肉内に、鼻腔内に、眼内に、心膜内に、腹腔内に、胸膜内に、前立腺内に、直腸内に、くも膜下腔内に、気管内に、腫瘍内に、臍帯内に、膣内に、静脈内に、膀胱内に、硝子体内に、リポソーム的に、局所的に、粘膜的に、非経口的に、直腸的に、結膜下に、皮下に、舌下に、局所に、経頬的に、経皮的に、経膣的に、クリーム中で、脂質組成物中で、カテーテルを介して、洗浄を介して、持続注入を介して、注入を介して、吸入を介して、注射を介して、局所送達を介して、または限局性灌流を介して投与するために製剤化されている、請求項64記載の組成物。
【請求項66】
動脈内または静脈内投与のために製剤化されている、請求項65記載の組成物。
【請求項67】
単位用量として製剤化されている、請求項64~66のいずれか一項記載の組成物。
【請求項68】
請求項1~67のいずれか一項記載の組成物の治療的有効量を投与する段階を含む、患者における疾患もしくは障害を処置する方法であって、前記核酸が、疾患または障害を処置するのに有効である、該方法。
【請求項69】
疾患または障害が遺伝的障害である、請求項68記載の方法。
【請求項70】
疾患または障害がタンパク質変異に関連する、請求項69記載の方法。
【請求項71】
第2の療法を患者に施す段階をさらに含む、請求項68~70のいずれか一項記載の方法。
【請求項72】
前記組成物を患者に1回投与する段階をさらに含む、請求項68~71のいずれか一項記載の方法。
【請求項73】
前記組成物を患者に2回またはそれ以上投与する段階をさらに含む、請求項68~71のいずれか一項記載の方法。
【請求項74】
6ヶ月を超える期間にわたって前記組成物を患者に投与する段階を含む、請求項73記載の方法。
【請求項75】
期間が6ヶ月から5年である、請求項74記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年6月19日付で出願された米国仮出願第62/687,010号の優先権の恩典を主張するものであり、その内容全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本発明は、国防総省によって授与された助成金番号CA 150245P3の下で政府の支援を受けて行われた。政府は本発明において一定の権利を有する。
【0003】
1. 発明の分野
本発明は、概して、核酸送達組成物の分野に関する。特に、本発明は、mRNAなどのより大きな核酸の送達のために製剤化された脂質核酸送達組成物に関する。より具体的には、本発明は、疾患もしくは障害の処置のためのmRNAの送達のための組成物に関する。
【背景技術】
【0004】
2. 関連技術の説明
脂質ナノ粒子(LNP)は、ヒト臨床試験において(Kanasty et al., 2013, Coelho et al., 2013およびAdams et al., 2017)など、短いRNA (siRNA/miRNA)を肝臓に送達するために広く利用されているが、特に、脂質が基礎疾患を悪化させ、有効性を弱めうることが知られている重度の疾患モデルでの用途の場合(Wu et al., 2014, Tousignant et al., 2000 and Lv et al., 2006)に、mRNAなどのはるかに長いカーゴの送達のためにLNPを合理的に再デザインすることは依然として困難である(Sahin et al., 2014, Hajj & Whitehead, 2017, Kormann et al., 2011; Petsch et al., 2012; Uchida et al., 2014; Kauffman et al., 2015; Li et al., 2015, Pardi et al., 2015, Fenton et al., 2016, Jarzebinska et al., 2016, Kaczmarek et al., 2016, DeRosa et al., 2016, Ramaswamy et al., 2017, Richner et al., 2017およびPatel et al., 2017)。有効な担体は、肝機能が損なわれている患者では非常に忍容性が高いことが必要とされ、また、二次折り畳みおよび静電結合の増加の可能性がある長いmRNAの高負荷に対応するためにそのモル組成が根本的に変えられることも必要とされよう。それゆえ、より長いmRNAを送達するために使用できる組成物を特定および開発する必要性が依然として存在している。
【発明の概要】
【0005】
いくつかの局面において、本開示は、mRNAなどの長い核酸の送達に有用な組成物を提供する。いくつかの態様において、組成物は以下を含む:
(A) 長さが80ヌクレオチドを超える核酸; ならびに
(B) 以下の送達脂質ナノ粒子組成物:
(i) 約5から約50のカチオン性イオン化可能脂質;
(ii) 約10から約45のリン脂質;
(iii) 約15から約50のステロイド; および
(iv) 約0.5から約10のPEG化脂質;
ここで、量はモル比としてのものである。
【0006】
いくつかの態様において、核酸の長さは、約90ヌクレオチドから約500ヌクレオチドである。他の態様において、核酸の長さは、約1,000ヌクレオチドから約7,000ヌクレオチドである。いくつかの態様において、核酸はメッセンジャーRNA (mRNA)または単一ガイドRNA (sgRNA)である。いくつかの態様において、核酸は遺伝子編集のためのタンパク質またはガイドをコードしている。いくつかの態様において、核酸は、疾患もしくは障害において欠損しているタンパク質をコードしているか、または該タンパク質の遺伝子編集において作用する。
【0007】
いくつかの態様において、カチオン性イオン化可能脂質は、カチオン性イオン化可能デンドロンまたはカチオン性イオン化可能デンドリマーである。いくつかの態様において、カチオン性イオン化可能脂質は、2つまたはそれ以上の疎水性基、生理学的pHでカチオン性である基、1つまたは複数のエステルを含むリンカー基、を含む。いくつかの態様において、カチオン性イオン化可能脂質は、下記式のデンドロンまたは薬学的に許容されるその塩としてさらに定義される:
コア-繰り返し単位-末端基 (I)
式中、1つもしくは複数の水素原子をコアから除去して該原子を繰り返し単位で置換することによって、コアは、繰り返し単位に連結され、かつ
コアは、下記式を有し:
式中、
X
1はアミノもしくはアルキルアミノ
(C≦12)、ジアルキルアミノ
(C≦12)、ヘテロシクロアルキル
(C≦12)、ヘテロアリール
(C≦12)、またはその置換型であり;
R
1はアミノ、ヒドロキシ、もしくはメルカプト、もしくはアルキルアミノ
(C≦12)、ジアルキルアミノ
(C≦12)、またはこれらの基のいずれかの置換型であり; ならびに
aは1、2、3、4、5、または6であり; あるいは
コアは下記式を有し:
式中、
X
2はN(R
5)
yであり;
R
5は水素、アルキル
(C≦18)、もしくは置換アルキル
(C≦18)であり; ならびに
yおよびzの和が3であるという条件で、yは0、1、もしくは2であり;
R
2はアミノ、ヒドロキシ、もしくはメルカプト、もしくはアルキルアミノ
(C≦12)、ジアルキルアミノ
(C≦12)、またはこれらの基のいずれかの置換型であり;
bは1、2、3、4、5、または6であり; ならびに
zおよびyの和が3であるという条件で、zは1、2、3であり; あるいは
コアは下記式を有し:
式中、
X
3は-NR
6-であり、式中、R
6は水素、アルキル
(C≦8)、もしくは置換アルキル
(C≦8)、-O-、もしくはアルキルアミノジイル
(C≦8)、アルコキシジイル
(C≦8)、アレーンジイル
(C≦8)、ヘテロアレーンジイル
(C≦8)、ヘテロシクロアルカンジイル
(C≦8)、またはこれらの基のいずれかの置換型であり;
R
3およびR
4は各々独立してアミノ、ヒドロキシ、もしくはメルカプト、もしくはアルキルアミノ
(C≦12)、ジアルキルアミノ
(C≦12)、もしくはこれらの基のいずれかの置換型; または式: -N(R
f)
f(CH
2CH
2N)
e(R
c)R
dの基であり;
式中、
eおよびfの和が3であるという条件で、eおよびfは各々独立して1、2、もしくは3であり; または
R
c、R
dおよびR
fは各々独立して水素、アルキル
(C≦6)、もしくは置換アルキル
(C≦6)であり;
cおよびdは各々独立して1、2、3、4、5、または6であり; あるいは
コアはアルキルアミン
(C≦18)、ジアルキルアミン
(C≦36)、ヘテロシクロアルカン
(C≦12)、またはこれらの基のいずれかの置換型であり;
繰り返し単位は分解性ジアシルおよびリンカーを含み;
分解性ジアシル基は下記式を有し:
式中、
A
1およびA
2は各々独立して-O-または-NR
a-であり、式中、
R
aは水素、アルキル
(C≦6)、もしくは置換アルキル
(C≦6)であり;
Y
3はアルカンジイル
(C≦12)、アルケンジイル
(C≦12)、アレーンジイル
(C≦12)、もしくはこれらの基のいずれかの置換型; または式:
の基であり;
式中、
X
3およびX
4はアルカンジイル
(C≦12)、アルケンジイル
(C≦12)、アレーンジイル
(C≦12)、もしくはこれらの基のいずれかの置換型であり;
Y
5は共有結合、アルカンジイル
(C≦12)、アルケンジイル
(C≦12)、アレーンジイル
(C≦12)、もしくはこれらの基のいずれかの置換型であり; ならびに
R
9はアルキル
(C≦8)または置換アルキル
(C≦8)であり;
リンカー基は下記式を有し:
式中、
Y
1はアルカンジイル
(C≦12)、アルケンジイル
(C≦12)、アレーンジイル
(C≦12)、またはこれらの基のいずれかの置換型であり; ならびに
繰り返し単位がリンカー基を含む場合、リンカー基は、nが1より大きいなら、リンカー基の窒素原子および硫黄原子の両方に結合された独立した分解性ジアシル基を含み、繰り返し単位中の最初の基は分解性ジアシル基であり、各リンカー基について、隣の繰り返し単位は、リンカー基の窒素原子に結合した2つの分解性ジアシル基を含み; およびnは、繰り返し単位中に存在するリンカー基の数であり; ならびに
末端基は下記式を有し:
式中、
Y
4はアルカンジイル
(C≦18)、またはアルカンジイル
(C≦18)上の水素原子の1つもしくは複数が-OH、-F、-Cl、-Br、-I、-SH、-OCH
3、-OCH
2CH
3、-SCH
3もしくは-OC(O)CH
3で置換されているアルカンジイル
(C≦18)であり;
R
10は水素、カルボキシ、ヒドロキシ、またはアリール
(C≦12)、アルキルアミノ
(C≦12)、ジアルキルアミノ
(C≦12)、N-ヘテロシクロアルキル
(C≦12)、-C(O)N(R
11)-アルカンジイル
(C≦6)-ヘテロシクロアルキル
(C≦12)、-C(O)-アルキルアミノ
(C≦12)、-C(O)-ジアルキルアミノ
(C≦12)、-C(O)-N-ヘテロシクロアルキル
(C≦12)であり、
式中、
R
11は水素、アルキル
(C≦6)もしくは置換アルキル
(C≦6)であり;
鎖中の最後の分解性ジアシルは末端基に結合されており;
nは0、1、2、3、4、5、または6である。
【0008】
いくつかの態様において、末端基は下記式によってさらに定義される:
式中、
Y
4はアルカンジイル
(C≦18)であり; および
R
10は水素である。
【0009】
いくつかの態様において、コアは下記式によってさらに定義される:
式中、
X
2はN(R
5)
yであり;
R
5は水素もしくはアルキル
(C≦18)、もしくは置換アルキル
(C≦18)であり; ならびに
yおよびzの和が3であるという条件で、yは0、1、もしくは2であり;
R
2はアミノ、ヒドロキシ、もしくはメルカプト、もしくはアルキルアミノ
(C≦12)、ジアルキルアミノ
(C≦12)、またはこれらの基のいずれかの置換型であり;
bは1、2、3、4、5、または6であり; ならびに
zおよびyの和が3であるという条件で、zは1、2、3である。
【0010】
いくつかの態様において、コアは下記式によってさらに定義される:
式中、
X
3は-NR
6-であり、式中、R
6は水素、アルキル
(C≦8)、もしくは置換アルキル
(C≦8)、-O-、もしくはアルキルアミノジイル
(C≦8)、アルコキシジイル
(C≦8)、アレーンジイル
(C≦8)、ヘテロアレーンジイル
(C≦8)、ヘテロシクロアルカンジイル
(C≦8)、またはこれらの基のいずれかの置換型であり;
R
3およびR
4は各々独立してアミノ、ヒドロキシ、もしくはメルカプト、もしくはアルキルアミノ
(C≦12)、ジアルキルアミノ
(C≦12)、もしくはこれらの基のいずれかの置換型; または式: -N(R
f)
f(CH
2CH
2N)
e(R
c)R
dの基であり;
式中、
eおよびfの和が3であるという条件で、eおよびfは各々独立して1、2、もしくは3であり; または
R
c、R
dおよびR
fは各々独立して水素、アルキル
(C≦6)、もしくは置換アルキル
(C≦6)であり;
cおよびdは各々独立して1、2、3、4、5、または6である。
【0011】
いくつかの態様において、コアは
としてさらに定義される。
【0012】
いくつかの態様において、分解性ジアシルは
としてさらに定義される。
【0013】
いくつかの態様において、リンカーは
としてさらに定義され、
式中、
Y
1はアルカンジイル
(C≦8)または置換アルカンジイル
(C≦8)である。
【0014】
いくつかの態様において、送達脂質ナノ粒子組成物は、約2.5~約40モル比のカチオン性イオン化可能脂質を含む。いくつかの態様において、カチオン性イオン化可能脂質のモル比は、約5~約30である。
【0015】
いくつかの態様において、リン脂質は1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)または1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)である。1つの態様において、リン脂質はDOPEである。いくつかの態様において、送達脂質ナノ粒子組成物は、約10~約45モル比のリン脂質を含む。いくつかの態様において、リン脂質のモル比は約20~約40である。
【0016】
いくつかの態様において、ステロイドはコレステロールである。いくつかの態様において、送達脂質ナノ粒子組成物は、約15~約50モル比のステロイドを含む。いくつかの態様において、ステロイドのモル比は、約25~約50である。
【0017】
いくつかの態様において、PEG化脂質は約1000~約10,000ダルトンのPEG成分を含む。いくつかの態様において、PEG脂質はPEG化ジアシルグリセロールである。他の態様において、PEG脂質は下記式によってさらに定義される:
式中、
R
12およびR
13は各々独立してアルキル
(C≦24)、アルケニル
(C≦24)、またはこれらの基のいずれかの置換型であり;
R
eは水素、アルキル
(C≦8)、または置換アルキル
(C≦8)であり; および
xは1~250である。
【0018】
いくつかの態様において、PEG脂質はジミリストイル-sn-グリセロールもしくは下記式の化合物である:
式中、
n
1は5~250であり; ならびに
n
2およびn
3は各々独立して2~25である。
【0019】
いくつかの態様において、送達脂質ナノ粒子組成物は、約0.5~約10モル比のPEG化脂質を含む。いくつかの態様において、PEG化脂質のモル比は、約1~約6である。
【0020】
さらに別の局面において、本開示は、以下を含む組成物を提供する:
(A) 長さが80ヌクレオチドを超える核酸; ならびに
(B) 以下の送達脂質ナノ粒子組成物:
(i) 約5から約50のカチオン性イオン化可能脂質;
(ii) 約10から約50のリン脂質;
(iii) 約15から約60のステロイド; および
(iv) 約0.25から約12.5のPEG化脂質;
ここで、量はモル百分率としてのものである。
【0021】
いくつかの態様において、核酸の長さは、約90ヌクレオチドから約500ヌクレオチドである。他の態様において、核酸の長さは、約1,000ヌクレオチドから約7,000ヌクレオチドである。いくつかの態様において、核酸はメッセンジャーRNA (mRNA)または単一ガイドRNA (sgRNA)である。いくつかの態様において、核酸は、遺伝子編集のためのタンパク質またはガイドをコードしている。いくつかの態様において、核酸は、疾患もしくは障害において欠損しているタンパク質をコードしているか、または該タンパク質の遺伝子編集において作用する。
【0022】
いくつかの態様において、カチオン性イオン化可能脂質は、カチオン性イオン化可能デンドロンまたはカチオン性イオン化可能デンドリマーである。いくつかの態様において、カチオン性イオン化可能脂質は、2つまたはそれ以上の疎水性基、生理学的pHでカチオン性である基、1つまたは複数のエステルを含むリンカー基を含む。いくつかの態様において、カチオン性イオン化可能脂質は、下記式のデンドロンまたは薬学的に許容されるその塩としてさらに定義される:
コア-繰り返し単位-末端基 (I)
式中、1つまたは複数の水素原子をコアから除去して該原子を繰り返し単位で置換することによって、コアは、繰り返し単位に連結され、かつ
コアは、下記式を有し:
式中、
X
1はアミノもしくはアルキルアミノ
(C≦12)、ジアルキルアミノ
(C≦12)、ヘテロシクロアルキル
(C≦12)、ヘテロアリール
(C≦12)、またはその置換型であり;
R
1はアミノ、ヒドロキシ、もしくはメルカプト、もしくはアルキルアミノ
(C≦12)、ジアルキルアミノ
(C≦12)、またはこれらの基のいずれかの置換型であり; ならびに
aは1、2、3、4、5、または6であり; あるいは
コアは下記式を有し:
式中、
X
2はN(R
5)
yであり;
R
5は水素、アルキル
(C≦18)、もしくは置換アルキル
(C≦18)であり; ならびに
yおよびzの和が3であるという条件で、yは0、1、もしくは2であり;
R
2はアミノ、ヒドロキシ、もしくはメルカプト、もしくはアルキルアミノ
(C≦12)、ジアルキルアミノ
(C≦12)、またはこれらの基のいずれかの置換型であり;
bは1、2、3、4、5、または6であり; ならびに
zおよびyの和が3であるという条件で、zは1、2、3であり; あるいは
コアは下記式を有し:
式中、
X
3は-NR
6-であり、式中、R
6は水素、アルキル
(C≦8)、もしくは置換アルキル
(C≦8)、-O-、もしくはアルキルアミノジイル
(C≦8)、アルコキシジイル
(C≦8)、アレーンジイル
(C≦8)、ヘテロアレーンジイル
(C≦8)、ヘテロシクロアルカンジイル
(C≦8)、またはこれらの基のいずれかの置換型であり;
R
3およびR
4は各々独立してアミノ、ヒドロキシ、もしくはメルカプト、もしくはアルキルアミノ
(C≦12)、ジアルキルアミノ
(C≦12)、もしくはこれらの基のいずれかの置換型; または式: -N(R
f)
f(CH
2CH
2N)
e(R
c)R
dの基であり;
式中、
eおよびfの和が3であるという条件で、eおよびfは各々独立して1、2、もしくは3であり; または
R
c、R
dおよびR
fは各々独立して水素、アルキル
(C≦6)、もしくは置換アルキル
(C≦6)であり;
cおよびdは各々独立して1、2、3、4、5、または6であり; あるいは
コアはアルキルアミン
(C≦18)、ジアルキルアミン
(C≦36)、ヘテロシクロアルカン
(C≦12)、またはこれらの基のいずれかの置換型であり;
繰り返し単位は分解性ジアシルおよびリンカーを含み;
分解性ジアシル基は下記式を有し:
式中、
A
1およびA
2は各々独立して-O-または-NR
a-であり、式中、
R
aは水素、アルキル
(C≦6)、もしくは置換アルキル
(C≦6)であり;
Y
3はアルカンジイル
(C≦12)、アルケンジイル
(C≦12)、アレーンジイル
(C≦12)、もしくはこれらの基のいずれかの置換型; または式:
の基であり;
式中、
X
3およびX
4はアルカンジイル
(C≦12)、アルケンジイル
(C≦12)、アレーンジイル
(C≦12)、もしくはこれらの基のいずれかの置換型であり;
Y
5は共有結合、アルカンジイル
(C≦12)、アルケンジイル
(C≦12)、アレーンジイル
(C≦12)、もしくはこれらの基のいずれかの置換型であり; ならびに
R
9はアルキル
(C≦8)または置換アルキル
(C≦8)であり;
リンカー基は下記式を有し:
式中、
Y
1はアルカンジイル
(C≦12)、アルケンジイル
(C≦12)、アレーンジイル
(C≦12)、またはこれらの基のいずれかの置換型であり; ならびに
繰り返し単位がリンカー基を含む場合、リンカー基は、nが1より大きいなら、リンカー基の窒素原子および硫黄原子の両方に結合された独立した分解性ジアシル基を含み、繰り返し単位中の最初の基は分解性ジアシル基であり、各リンカー基について、隣の繰り返し単位は、リンカー基の窒素原子に結合した2つの分解性ジアシル基を含み; およびnは、繰り返し単位中に存在するリンカー基の数であり; ならびに
末端基は下記式を有し:
式中、
Y
4はアルカンジイル
(C≦18)、またはアルカンジイル
(C≦18)上の水素原子の1つもしくは複数が-OH、-F、-Cl、-Br、-I、-SH、-OCH
3、-OCH
2CH
3、-SCH
3もしくは-OC(O)CH
3で置換されているアルカンジイル
(C≦18)であり;
R
10は水素、カルボキシ、ヒドロキシ、またはアリール
(C≦12)、アルキルアミノ
(C≦12)、ジアルキルアミノ
(C≦12)、N-ヘテロシクロアルキル
(C≦12)、-C(O)N(R
11)-アルカンジイル
(C≦6)-ヘテロシクロアルキル
(C≦12)、-C(O)-アルキルアミノ
(C≦12)、-C(O)-ジアルキルアミノ
(C≦12)、-C(O)-N-ヘテロシクロアルキル
(C≦12)であり、
式中、
R
11は水素、アルキル
(C≦6)もしくは置換アルキル
(C≦6)であり;
鎖中の最後の分解性ジアシルは末端基に結合されており;
nは0、1、2、3、4、5、または6である。
【0023】
いくつかの態様において、末端基は下記式によってさらに定義される:
式中、
Y
4はアルカンジイル
(C≦18)であり; および
R
10は水素である。
【0024】
いくつかの態様において、コアは下記式によってさらに定義される:
式中、
X
2はN(R
5)
yであり;
R
5は水素もしくはアルキル
(C≦18)、もしくは置換アルキル
(C≦18)であり; ならびに
yおよびzの和が3であるという条件で、yは0、1、もしくは2であり;
R
2はアミノ、ヒドロキシ、もしくはメルカプト、もしくはアルキルアミノ
(C≦12)、ジアルキルアミノ
(C≦12)、またはこれらの基のいずれかの置換型であり;
bは1、2、3、4、5、または6であり; ならびに
zおよびyの和が3であるという条件で、zは1、2、3である。
【0025】
いくつかの態様において、コアは下記式によってさらに定義される:
式中、
X
3は-NR
6-であり、式中、R
6は水素、アルキル
(C≦8)、もしくは置換アルキル
(C≦8)、-O-、もしくはアルキルアミノジイル
(C≦8)、アルコキシジイル
(C≦8)、アレーンジイル
(C≦8)、ヘテロアレーンジイル
(C≦8)、ヘテロシクロアルカンジイル
(C≦8)、またはこれらの基のいずれかの置換型であり;
R
3およびR
4は各々独立してアミノ、ヒドロキシ、もしくはメルカプト、もしくはアルキルアミノ
(C≦12)、ジアルキルアミノ
(C≦12)、もしくはこれらの基のいずれかの置換型; または式: -N(R
f)
f(CH
2CH
2N)
e(R
c)R
dの基であり;
式中、
eおよびfの和が3であるという条件で、eおよびfは各々独立して1、2、もしくは3であり; または
R
c、R
dおよびR
fは各々独立して水素、アルキル
(C≦6)、もしくは置換アルキル
(C≦6)であり;
cおよびdは各々独立して1、2、3、4、5、または6である。
【0026】
いくつかの態様において、コアは
としてさらに定義される。
【0027】
いくつかの態様において、分解性ジアシルは
としてさらに定義される。
【0028】
いくつかの態様において、リンカーは
としてさらに定義され、
式中、
Y
1はアルカンジイル
(C≦8)または置換アルカンジイル
(C≦8)である。
【0029】
いくつかの態様において、送達脂質ナノ粒子組成物は、約5~約40モル百分率のカチオン性イオン化可能脂質を含む。いくつかの態様において、カチオン性イオン化可能脂質のモル百分率は、約5~約30である。
【0030】
いくつかの態様において、リン脂質は1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)または1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)である。1つの態様において、リン脂質はDOPEである。いくつかの態様において、送達脂質ナノ粒子組成物は、約10~約45モル百分率のリン脂質を含む。いくつかの態様において、リン脂質のモル百分率は約20~約40である。
【0031】
いくつかの態様において、ステロイドはコレステロールである。いくつかの態様において、送達脂質ナノ粒子組成物は、約15~約50モル百分率のステロイドを含む。いくつかの態様において、ステロイドのモル百分率は、約25~約50である。
【0032】
いくつかの態様において、PEG化脂質は約1000~約10,000ダルトンのPEG成分を含む。いくつかの態様において、PEG脂質はPEG化ジアシルグリセロールである。他の態様において、PEG脂質は下記式によってさらに定義される:
式中、
R
12およびR
13は各々独立してアルキル
(C≦24)、アルケニル
(C≦24)、またはこれらの基のいずれかの置換型であり;
R
eは水素、アルキル
(C≦8)、または置換アルキル
(C≦8)であり; および
xは1~250である。
【0033】
いくつかの態様において、PEG脂質はジミリストイル-sn-グリセロールまたは下記式の化合物である:
式中、
n
1は5~250であり; ならびに
n
2およびn
3は各々独立して2~25である。
【0034】
いくつかの態様において、送達脂質ナノ粒子組成物は、約0.5~約10モル百分率のPEG化脂質を含む。いくつかの態様において、PEG化脂質のモル百分率は、約1~約6である。
【0035】
いくつかの態様において、組成物は、約1:1~約1:100の、核酸のカチオン性イオン化可能脂質に対する重量比を含む。いくつかの態様において、重量比は約1:10~約1:40、例えば約1:15~約1:25である。
【0036】
いくつかの態様において、組成物は薬学的組成物として製剤化されており、賦形剤をさらに含む。いくつかの態様において、組成物は経口的に、脂肪内に(intraadiposally)、動脈内に、関節内に、頭蓋内に、皮内に、病変内に、筋肉内に、鼻腔内に、眼内に、心膜内に、腹腔内に、胸膜内に、前立腺内に、直腸内に、くも膜下腔内に、気管内に、腫瘍内に、臍帯内に、膣内に、静脈内に、膀胱内に、硝子体内に、リポソーム的に、局所的に、粘膜的に、非経口的に、直腸的に、結膜下に、皮下に、舌下に、局所に、経頬的に、経皮的に、経膣的に、クリーム中で、脂質組成物中で、カテーテルを介して、洗浄を介して、持続注入を介して、注入を介して、吸入を介して、注射を介して、局所送達を介して、または限局性灌流を介して投与するために製剤化されている。いくつかの態様において、組成物は、動脈内または静脈内投与のために製剤化されている。いくつかの態様において、組成物は単位用量として製剤化されている。
【0037】
さらに別の局面において、本開示は、本明細書において記述される組成物の治療的有効量を投与する段階を含む、患者における疾患または障害を処置する方法を提供し、ここで核酸は疾患または障害を処置するのに有効である。いくつかの態様において、疾患または障害は、タンパク質変異に関連する疾患または障害などの遺伝的障害である。いくつかの態様において、本方法は、第2の療法を患者に施す段階をさらに含む。いくつかの態様において、本方法は、組成物を患者に1回投与する段階をさらに含む。他の態様において、本方法は、組成物を患者に2回またはそれ以上投与する段階をさらに含む。いくつかの態様において、本方法は、6ヶ月から5年などの6ヶ月を超える期間にわたって組成物を患者に投与する段階を含む。
【0038】
用語「含む(comprise)」(ならびに「含む(comprises)」および「含む(comprising)」のような、含む(comprise)の任意の形態)、「有する(have)」(ならびに「有する(has)」および「有する(having)」のような、有する(have)の任意の形態)、「含む(contain)」(ならびに「含む(contains)」および「含む(containing)」のような、含む(contain)の任意の形態)、ならびに「含む(include)」(ならびに「含む(includes)」および「含む(including)」のような、含む(include)の任意の形態)は、制限のない連結動詞である。結果として、1つまたは複数の列挙された段階または要素を「含む(comprises)」、「有する(has)」、「含む(contains)」または「含む(includes)」方法、組成物、キットまたはシステムは、列挙された段階または要素を保有するが、しかしそれらの段階または要素のみを保有することに限定されない; それは、列挙されていない要素または段階を保有(すなわち、網羅)しうる。同様に、1つまたは複数の列挙された特徴を「含む(comprises)」、「有する(has)」、「含む(contains)」または「含む(includes)」方法、組成物、キットまたはシステムの要素は、それらの特徴を保有するが、しかしそれらの特徴のみを保有することに限定されない; それは、列挙されていない特徴を保有しうる。
【0039】
本方法、組成物、キットおよびシステムのいずれかの任意の態様は、記述された段階および/または特徴を含む(comprise)/含む(include)/含む(contain)/有する(have)のではなく、それらからなり、またはそれらから本質的になりうる。したがって、特許請求の範囲のいずれかにおいて、「からなる」または「から本質的になる」という用語は、所与の特許請求の範囲を、普通なら制限のない連結動詞を用いているものから変更するために、上記に列挙した制限のない連結動詞のいずれかに代えて使用されうる。
【0040】
特許請求の範囲における「または」という用語の使用は、代替物のみをいうことが明示されていない限り、または代替物が相互排他的でない限り「および/または」を意味するように用いられるが、本開示は、代替物のみをいう定義ならびに「および/または」を支持する。
【0041】
[本発明1001]
以下を含む組成物:
(A) 長さが80ヌクレオチドを超える核酸; ならびに
(B) 以下の送達脂質ナノ粒子組成物:
(i) 約5から約50のカチオン性イオン化可能脂質;
(ii) 約10から約45のリン脂質;
(iii) 約15から約50のステロイド; および
(iv) 約0.5から約10のPEG化脂質;
ここで、量はモル比としてのものである。
[本発明1002]
核酸の長さが、約90ヌクレオチドから約500ヌクレオチドである、本発明1001の組成物。
[本発明1003]
核酸の長さが、約1,000ヌクレオチドから約7,000ヌクレオチドである、本発明1002の組成物。
[本発明1004]
核酸がメッセンジャーRNA (mRNA)または単一ガイドRNA (sgRNA)である、本発明1001~1003のいずれかの組成物。
[本発明1005]
核酸が、遺伝子編集のためのタンパク質またはガイドをコードしている、本発明1001~1004のいずれかの組成物。
[本発明1006]
核酸が、疾患もしくは障害において欠損しているタンパク質をコードしているか、または該タンパク質の遺伝子編集において作用する、本発明1005の組成物。
[本発明1007]
カチオン性イオン化可能脂質が、カチオン性イオン化可能デンドロンまたはカチオン性イオン化可能デンドリマーである、本発明1001~1006のいずれかの組成物。
[本発明1008]
カチオン性イオン化可能脂質が、2つまたはそれ以上の疎水性基、生理学的pHでカチオン性である基、1つまたは複数のエステルを含むリンカー基を含む、本発明1007の組成物。
[本発明1009]
カチオン性イオン化可能脂質が、下記式のデンドロンとしてさらに定義される、本発明1001~1008のいずれかの組成物、または薬学的に許容されるその塩:
コア-繰り返し単位-末端基 (I)
式中、1つもしくは複数の水素原子をコアから除去して該原子を繰り返し単位で置換することによって、コアは、繰り返し単位に連結され、かつ
コアは、下記式を有し:
式中、
X
1はアミノもしくはアルキルアミノ
(C≦12)、ジアルキルアミノ
(C≦12)、ヘテロシクロアルキル
(C≦12)、ヘテロアリール
(C≦12)、またはその置換型であり;
R
1はアミノ、ヒドロキシ、もしくはメルカプト、もしくはアルキルアミノ
(C≦12)、ジアルキルアミノ
(C≦12)、またはこれらの基のいずれかの置換型であり; ならびに
aは1、2、3、4、5、または6であり; あるいは
コアは下記式を有し:
式中、
X
2はN(R
5)
yであり;
R
5は水素、アルキル
(C≦18)、もしくは置換アルキル
(C≦18)であり; ならびに
yおよびzの和が3であるという条件で、yは0、1、もしくは2であり;
R
2はアミノ、ヒドロキシ、もしくはメルカプト、もしくはアルキルアミノ
(C≦12)、ジアルキルアミノ
(C≦12)、またはこれらの基のいずれかの置換型であり;
bは1、2、3、4、5、または6であり; ならびに
zおよびyの和が3であるという条件で、zは1、2、3であり; あるいは
コアは下記式を有し:
式中、
X
3は-NR
6-であり、式中、R
6は水素、アルキル
(C≦8)、もしくは置換アルキル
(C≦8)、-O-、もしくはアルキルアミノジイル
(C≦8)、アルコキシジイル
(C≦8)、アレーンジイル
(C≦8)、ヘテロアレーンジイル
(C≦8)、ヘテロシクロアルカンジイル
(C≦8)、またはこれらの基のいずれかの置換型であり;
R
3およびR
4は各々独立してアミノ、ヒドロキシ、もしくはメルカプト、もしくはアルキルアミノ
(C≦12)、ジアルキルアミノ
(C≦12)、もしくはこれらの基のいずれかの置換型; または式: -N(R
f)
f(CH
2CH
2N)
e(R
c)R
dの基であり;
式中、
eおよびfの和が3であるという条件で、eおよびfは各々独立して1、2、もしくは3であり; または
R
c、R
dおよびR
fは各々独立して水素、アルキル
(C≦6)、もしくは置換アルキル
(C≦6)であり;
cおよびdは各々独立して1、2、3、4、5、または6であり; あるいは
コアはアルキルアミン
(C≦18)、ジアルキルアミン
(C≦36)、ヘテロシクロアルカン
(C≦12)、またはこれらの基のいずれかの置換型であり;
繰り返し単位は分解性ジアシルおよびリンカーを含み;
分解性ジアシル基は下記式を有し:
式中、
A
1およびA
2は各々独立して-O-または-NR
a-であり、式中、
R
aは水素、アルキル
(C≦6)、もしくは置換アルキル
(C≦6)であり;
Y
3はアルカンジイル
(C≦12)、アルケンジイル
(C≦12)、アレーンジイル
(C≦12)、もしくはこれらの基のいずれかの置換型; または式:
の基であり;
式中、
X
3およびX
4はアルカンジイル
(C≦12)、アルケンジイル
(C≦12)、アレーンジイル
(C≦12)、もしくはこれらの基のいずれかの置換型であり;
Y
5は共有結合、アルカンジイル
(C≦12)、アルケンジイル
(C≦12)、アレーンジイル
(C≦12)、もしくはこれらの基のいずれかの置換型であり; ならびに
R
9はアルキル
(C≦8)または置換アルキル
(C≦8)であり;
リンカー基は下記式を有し:
式中、
Y
1はアルカンジイル
(C≦12)、アルケンジイル
(C≦12)、アレーンジイル
(C≦12)、またはこれらの基のいずれかの置換型であり; ならびに
繰り返し単位がリンカー基を含む場合、リンカー基は、nが1より大きいなら、リンカー基の窒素原子および硫黄原子の両方に結合された独立した分解性ジアシル基を含み、繰り返し単位中の最初の基は分解性ジアシル基であり、各リンカー基について、隣の繰り返し単位は、リンカー基の窒素原子に結合した2つの分解性ジアシル基を含み; およびnは、繰り返し単位中に存在するリンカー基の数であり; ならびに
末端基は下記式を有し:
式中、
Y
4はアルカンジイル
(C≦18)、またはアルカンジイル
(C≦18)上の水素原子の1つもしくは複数が-OH、-F、-Cl、-Br、-I、-SH、-OCH
3、-OCH
2CH
3、-SCH
3もしくは-OC(O)CH
3で置換されているアルカンジイル
(C≦18)であり;
R
10は水素、カルボキシ、ヒドロキシ、またはアリール
(C≦12)、アルキルアミノ
(C≦12)、ジアルキルアミノ
(C≦12)、N-ヘテロシクロアルキル
(C≦12)、-C(O)N(R
11)-アルカンジイル
(C≦6)-ヘテロシクロアルキル
(C≦12)、-C(O)-アルキルアミノ
(C≦12)、-C(O)-ジアルキルアミノ
(C≦12)、-C(O)-N-ヘテロシクロアルキル
(C≦12)であり、
式中、
R
11は水素、アルキル
(C≦6)もしくは置換アルキル
(C≦6)であり;
鎖中の最後の分解性ジアシルは末端基に結合されており;
nは0、1、2、3、4、5、または6である。
[本発明1010]
末端基が下記式によってさらに定義される、本発明1009の組成物:
式中、
Y
4はアルカンジイル
(C≦18)であり; および
R
10は水素である。
[本発明1011]
コアが下記式によってさらに定義される、本発明1009もしくは本発明1010のいずれかの組成物:
式中、
X
2はN(R
5)
yであり;
R
5は水素もしくはアルキル
(C≦18)、もしくは置換アルキル
(C≦18)であり; ならびに
yおよびzの和が3であるという条件で、yは0、1、または2であり;
R
2はアミノ、ヒドロキシ、もしくはメルカプト、もしくはアルキルアミノ
(C≦12)、ジアルキルアミノ
(C≦12)、またはこれらの基のいずれかの置換型であり;
bは1、2、3、4、5、または6であり; ならびに
zおよびyの和が3であるという条件で、zは1、2、3である。
[本発明1012]
コアが下記式によってさらに定義される、本発明1009もしくは本発明1010のいずれかの組成物:
式中、
X
3は-NR
6-であり、式中、R
6は水素、アルキル
(C≦8)、もしくは置換アルキル
(C≦8)、-O-、もしくはアルキルアミノジイル
(C≦8)、アルコキシジイル
(C≦8)、アレーンジイル
(C≦8)、ヘテロアレーンジイル
(C≦8)、ヘテロシクロアルカンジイル
(C≦8)、またはこれらの基のいずれかの置換型であり;
R
3およびR
4は各々独立してアミノ、ヒドロキシ、もしくはメルカプト、もしくはアルキルアミノ
(C≦12)、ジアルキルアミノ
(C≦12)、もしくはこれらの基のいずれかの置換型; または式: -N(R
f)
f(CH
2CH
2N)
e(R
c)R
dの基であり;
式中、
eおよびfの和が3であるという条件で、eおよびfは各々独立して1、2、もしくは3であり; または
R
c、R
dおよびR
fは各々独立して水素、アルキル
(C≦6)、もしくは置換アルキル
(C≦6)であり;
cおよびdは各々独立して1、2、3、4、5、または6である。
[本発明1013]
コアが
としてさらに定義される、本発明1009~1012のいずれかの組成物。
[本発明1014]
分解性ジアシルが
としてさらに定義される、本発明1009~1013のいずれかの組成物。
[本発明1015]
リンカーが
としてさらに定義され、
式中、
Y
1はアルカンジイル
(C≦8)または置換アルカンジイル
(C≦8)である、
本発明1009~1014のいずれかの組成物。
[本発明1016]
送達脂質ナノ粒子組成物が、約2.5~約40モル比のカチオン性イオン化可能脂質を含む、本発明1001~1015のいずれかの組成物。
[本発明1017]
カチオン性イオン化可能脂質のモル比が、約5~約30である、本発明1016の組成物。
[本発明1018]
リン脂質が1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)または1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)である、本発明1001~1017のいずれかの組成物。
[本発明1019]
リン脂質がDOPEである、本発明1018の組成物。
[本発明1020]
送達脂質ナノ粒子組成物が、約10~約45モル比のリン脂質を含む、本発明1001~1019のいずれかの組成物。
[本発明1021]
リン脂質のモル比が約20~約40である、本発明1020の組成物。
[本発明1022]
ステロイドがコレステロールである、本発明1001~1021のいずれかの組成物。
[本発明1023]
送達脂質ナノ粒子組成物が、約15~約50モル比のステロイドを含む、本発明1001~1022のいずれかの組成物。
[本発明1024]
ステロイドのモル比が、約25~約50である、本発明1023の組成物。
[本発明1025]
PEG化脂質が約1000~約10,000ダルトンのPEG成分を含む、本発明1001~1024のいずれかの組成物。
[本発明1026]
PEG脂質がPEG化ジアシルグリセロールである、本発明1025の組成物。
[本発明1027]
PEG脂質が下記式によってさらに定義される、本発明1026の組成物:
式中、
R
12およびR
13は各々独立してアルキル
(C≦24)、アルケニル
(C≦24)、またはこれらの基のいずれかの置換型であり;
R
eは水素、アルキル
(C≦8)、または置換アルキル
(C≦8)であり; および
xは1~250である。
[本発明1028]
PEG脂質がジミリストイル-sn-グリセロールまたは下記式の化合物である、本発明1001の組成物:
式中、
n
1は5~250であり; ならびに
n
2およびn
3は各々独立して2~25である。
[本発明1029]
送達脂質ナノ粒子組成物が、約0.5~約10モル比のPEG化脂質を含む、本発明1001~1028のいずれかの組成物。
[本発明1030]
PEG化脂質のモル比が、約1~約6である、本発明1029の組成物。
[本発明1031]
以下を含む組成物:
(A) 長さが80ヌクレオチドを超える核酸; ならびに
(B) 以下の送達脂質ナノ粒子組成物:
(i) 約5から約50のカチオン性イオン化可能脂質;
(ii) 約10から約50のリン脂質;
(iii) 約15から約60のステロイド; および
(iv) 約0.25から約12.5のPEG化脂質;
ここで、量はモル百分率としてのものである。
[本発明1032]
核酸の長さが、約1,000ヌクレオチドから約7,000ヌクレオチドである、本発明1031の組成物。
[本発明1033]
核酸の長さが、約90ヌクレオチドから約500ヌクレオチドである、本発明1032の組成物。
[本発明1034]
核酸がメッセンジャーRNA (mRNA)または単一ガイドRNA (sgRNA)である、本発明1031~1033のいずれかの組成物。
[本発明1035]
核酸が、遺伝子編集のためのタンパク質をコードしているか、または遺伝子編集のためのガイドである、本発明1031~1034のいずれかの組成物。
[本発明1036]
核酸が、疾患もしくは障害において欠損しているタンパク質をコードしているか、または該タンパク質の遺伝子編集において作用する、本発明1035の組成物。
[本発明1037]
カチオン性イオン化可能脂質が、カチオン性イオン化可能デンドロンまたはカチオン性イオン化可能デンドリマーである、本発明1031~1036のいずれかの組成物。
[本発明1038]
カチオン性イオン化可能脂質が、2つまたはそれ以上の疎水性基、生理学的pHでカチオン性である基、1つまたは複数のエステルを含むリンカー基を含む、本発明1037の組成物。
[本発明1039]
カチオン性イオン化可能脂質が、下記式のデンドロンとしてさらに定義される、本発明1031~1038のいずれかの組成物、または薬学的に許容されるその塩:
コア-繰り返し単位-末端基 (I)
式中、1つもしくは複数の水素原子をコアから除去して該原子を繰り返し単位で置換することによって、コアは、繰り返し単位に連結され、かつ
コアは、下記式を有し:
式中、
X
1はアミノもしくはアルキルアミノ
(C≦12)、ジアルキルアミノ
(C≦12)、ヘテロシクロアルキル
(C≦12)、ヘテロアリール
(C≦12)、またはその置換型であり;
R
1はアミノ、ヒドロキシ、もしくはメルカプト、もしくはアルキルアミノ
(C≦12)、ジアルキルアミノ
(C≦12)、またはこれらの基のいずれかの置換型であり; ならびに
aは1、2、3、4、5、または6であり; あるいは
コアは下記式を有し:
式中、
X
2はN(R
5)
yであり;
R
5は水素、アルキル
(C≦18)、もしくは置換アルキル
(C≦18)であり; ならびに
yおよびzの和が3であるという条件で、yは0、1、もしくは2であり;
R
2はアミノ、ヒドロキシ、もしくはメルカプト、もしくはアルキルアミノ
(C≦12)、ジアルキルアミノ
(C≦12)、またはこれらの基のいずれかの置換型であり;
bは1、2、3、4、5、または6であり; ならびに
zおよびyの和が3であるという条件で、zは1、2、3であり; あるいは
コアは下記式を有し:
式中、
X
3は-NR
6-であり、式中、R
6は水素、アルキル
(C≦8)、もしくは置換アルキル
(C≦8)、-O-、もしくはアルキルアミノジイル
(C≦8)、アルコキシジイル
(C≦8)、アレーンジイル
(C≦8)、ヘテロアレーンジイル
(C≦8)、ヘテロシクロアルカンジイル
(C≦8)、またはこれらの基のいずれかの置換型であり;
R
3およびR
4は各々独立してアミノ、ヒドロキシ、もしくはメルカプト、もしくはアルキルアミノ
(C≦12)、ジアルキルアミノ
(C≦12)、もしくはこれらの基のいずれかの置換型; または式: -N(R
f)
f(CH
2CH
2N)
e(R
c)R
dの基であり;
式中、
eおよびfの和が3であるという条件で、eおよびfは各々独立して1、2、もしくは3であり; または
R
c、R
dおよびR
fは各々独立して水素、アルキル
(C≦6)、もしくは置換アルキル
(C≦6)であり;
cおよびdは各々独立して1、2、3、4、5、または6であり; あるいは
コアはアルキルアミン
(C≦18)、ジアルキルアミン
(C≦36)、ヘテロシクロアルカン
(C≦12)、またはこれらの基のいずれかの置換型であり;
繰り返し単位は分解性ジアシルおよびリンカーを含み;
分解性ジアシル基は下記式を有し:
式中、
A
1およびA
2は各々独立して-O-または-NR
a-であり、式中、
R
aは水素、アルキル
(C≦6)、もしくは置換アルキル
(C≦6)であり;
Y
3はアルカンジイル
(C≦12)、アルケンジイル
(C≦12)、アレーンジイル
(C≦12)、もしくはこれらの基のいずれかの置換型; または式:
の基であり;
式中、
X
3およびX
4はアルカンジイル
(C≦12)、アルケンジイル
(C≦12)、アレーンジイル
(C≦12)、もしくはこれらの基のいずれかの置換型であり;
Y
5は共有結合、アルカンジイル
(C≦12)、アルケンジイル
(C≦12)、アレーンジイル
(C≦12)、もしくはこれらの基のいずれかの置換型であり; ならびに
R
9はアルキル
(C≦8)または置換アルキル
(C≦8)であり;
リンカー基は下記式を有し:
式中、
Y
1はアルカンジイル
(C≦12)、アルケンジイル
(C≦12)、アレーンジイル
(C≦12)、またはこれらの基のいずれかの置換型であり; ならびに
繰り返し単位がリンカー基を含む場合、リンカー基は、nが1より大きいなら、リンカー基の窒素原子および硫黄原子の両方に結合された独立した分解性ジアシル基を含み、繰り返し単位中の最初の基は分解性ジアシル基であり、各リンカー基について、隣の繰り返し単位は、リンカー基の窒素原子に結合した2つの分解性ジアシル基を含み; およびnは、繰り返し単位中に存在するリンカー基の数であり; ならびに
末端基は下記式を有し:
式中、
Y
4はアルカンジイル
(C≦18)、またはアルカンジイル
(C≦18)上の水素原子の1つもしくは複数が-OH、-F、-Cl、-Br、-I、-SH、-OCH
3、-OCH
2CH
3、-SCH
3もしくは-OC(O)CH
3で置換されているアルカンジイル
(C≦18)であり;
R
10は水素、カルボキシ、ヒドロキシ、またはアリール
(C≦12)、アルキルアミノ
(C≦12)、ジアルキルアミノ
(C≦12)、N-ヘテロシクロアルキル
(C≦12)、-C(O)N(R
11)-アルカンジイル
(C≦6)-ヘテロシクロアルキル
(C≦12)、-C(O)-アルキルアミノ
(C≦12)、-C(O)-ジアルキルアミノ
(C≦12)、-C(O)-N-ヘテロシクロアルキル
(C≦12)であり、
式中、
R
11は水素、アルキル
(C≦6)もしくは置換アルキル
(C≦6)であり;
鎖中の最後の分解性ジアシルは末端基に結合されており;
nは0、1、2、3、4、5、または6である。
[本発明1040]
末端基が下記式によってさらに定義される、本発明1039の組成物:
式中、
Y
4はアルカンジイル
(C≦18)であり; および
R
10は水素である。
[本発明1041]
コアが下記式によってさらに定義される、本発明1039または本発明1040のいずれかの組成物:
式中、
X
2はN(R
5)
yであり;
R
5は水素もしくはアルキル
(C≦18)、もしくは置換アルキル
(C≦18)であり; ならびに
yおよびzの和が3であるという条件で、yは0、1、もしくは2であり;
R
2はアミノ、ヒドロキシ、もしくはメルカプト、もしくはアルキルアミノ
(C≦12)、ジアルキルアミノ
(C≦12)、またはこれらの基のいずれかの置換型であり;
bは1、2、3、4、5、または6であり; ならびに
zおよびyの和が3であるという条件で、zは1、2、3である。
[本発明1042]
コアが下記式によってさらに定義される、本発明1039または本発明1040のいずれかの組成物:
式中、
X
3は-NR
6-であり、式中、R
6は水素、アルキル
(C≦8)、もしくは置換アルキル
(C≦8)、-O-、もしくはアルキルアミノジイル
(C≦8)、アルコキシジイル
(C≦8)、アレーンジイル
(C≦8)、ヘテロアレーンジイル
(C≦8)、ヘテロシクロアルカンジイル
(C≦8)、またはこれらの基のいずれかの置換型であり;
R
3およびR
4は各々独立してアミノ、ヒドロキシ、もしくはメルカプト、もしくはアルキルアミノ
(C≦12)、ジアルキルアミノ
(C≦12)、もしくはこれらの基のいずれかの置換型; または式: -N(R
f)
f(CH
2CH
2N)
e(R
c)R
dの基であり;
式中、
eおよびfの和が3であるという条件で、eおよびfは各々独立して1、2、もしくは3であり; または
R
c、R
dおよびR
fは各々独立して水素、アルキル
(C≦6)、もしくは置換アルキル
(C≦6)であり;
cおよびdは各々独立して1、2、3、4、5、または6である。
[本発明1043]
コアが
としてさらに定義される、本発明1039~1042のいずれかの組成物。
[本発明1044]
分解性ジアシルが
としてさらに定義される、本発明1039~1043のいずれかの組成物。
[本発明1045]
リンカーが
としてさらに定義され、
式中、
Y
1はアルカンジイル
(C≦8)または置換アルカンジイル
(C≦8)である、
本発明1039~1044のいずれかの組成物。
[本発明1046]
送達脂質ナノ粒子組成物が、約5~約40モル百分率のカチオン性イオン化可能脂質を含む、本発明1031~1045のいずれかの組成物。
[本発明1047]
カチオン性イオン化可能脂質のモル百分率が、約5~約30である、本発明1046の組成物。
[本発明1048]
リン脂質が1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)または1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)である、本発明1031~1047のいずれかの組成物。
[本発明1049]
リン脂質がDOPEである、本発明1048の組成物。
[本発明1050]
送達脂質ナノ粒子組成物が、約10~約45モル百分率のリン脂質を含む、本発明1031~1049のいずれかの組成物。
[本発明1051]
リン脂質のモル百分率が約20~約40である、本発明1050の組成物。
[本発明1052]
ステロイドがコレステロールである、本発明1031~1051のいずれかの組成物。
[本発明1053]
送達脂質ナノ粒子組成物が、約15~約50モル百分率のステロイドを含む、本発明1031~1052のいずれかの組成物。
[本発明1054]
ステロイドのモル百分率が、約25~約50である、本発明1053の組成物。
[本発明1055]
PEG化脂質が約1000~約10,000ダルトンのPEG成分を含む、本発明1031~1054のいずれかの組成物。
[本発明1056]
PEG脂質がPEG化ジアシルグリセロールである、本発明1055の組成物。
[本発明1057]
PEG脂質が下記式によってさらに定義される、本発明1056の組成物:
式中、
R
12およびR
13は各々独立してアルキル
(C≦24)、アルケニル
(C≦24)、またはこれらの基のいずれかの置換型であり;
R
eは水素、アルキル
(C≦8)、または置換アルキル
(C≦8)であり; および
xは1~250である。
[本発明1058]
PEG脂質がジミリストイル-sn-グリセロールまたは下記式の化合物である、本発明1031の組成物:
式中、
n
1は5~250であり; ならびに
n
2およびn
3は各々独立して2~25である。
[本発明1059]
送達脂質ナノ粒子組成物が、約0.5~約10モル百分率のPEG化脂質を含む、本発明1031~1058のいずれかの組成物。
[本発明1060]
PEG化脂質のモル百分率が、約1~約6である、本発明1059の組成物。
[本発明1061]
組成物が、約1:1~約1:100の、核酸のカチオン性イオン化可能脂質に対する重量比を含む、本発明1001~1060のいずれかの組成物。
[本発明1062]
前記重量比が約1:10~約1:40である、本発明1061の組成物。
[本発明1063]
前記重量比が約1:15~約1:25である、本発明1062の組成物。
[本発明1064]
薬学的組成物として製剤化されており、賦形剤をさらに含む、本発明1001~1063のいずれかの組成物。
[本発明1065]
経口的に、脂肪内に(intraadiposally)、動脈内に、関節内に、頭蓋内に、皮内に、病変内に、筋肉内に、鼻腔内に、眼内に、心膜内に、腹腔内に、胸膜内に、前立腺内に、直腸内に、くも膜下腔内に、気管内に、腫瘍内に、臍帯内に、膣内に、静脈内に、膀胱内に、硝子体内に、リポソーム的に、局所的に、粘膜的に、非経口的に、直腸的に、結膜下に、皮下に、舌下に、局所に、経頬的に、経皮的に、経膣的に、クリーム中で、脂質組成物中で、カテーテルを介して、洗浄を介して、持続注入を介して、注入を介して、吸入を介して、注射を介して、局所送達を介して、または限局性灌流を介して投与するために製剤化されている、本発明1064の組成物。
[本発明1066]
動脈内または静脈内投与のために製剤化されている、本発明1065の組成物。
[本発明1067]
単位用量として製剤化されている、本発明1064~1066のいずれかの組成物。
[本発明1068]
本発明1001~1067のいずれかの組成物の治療的有効量を投与する段階を含む、患者における疾患もしくは障害を処置する方法であって、前記核酸が、疾患または障害を処置するのに有効である、該方法。
[本発明1069]
疾患または障害が遺伝的障害である、本発明1068の方法。
[本発明1070]
疾患または障害がタンパク質変異に関連する、本発明1069の方法。
[本発明1071]
第2の療法を患者に施す段階をさらに含む、本発明1068~1070のいずれかの方法。
[本発明1072]
前記組成物を患者に1回投与する段階をさらに含む、本発明1068~1071のいずれかの方法。
[本発明1073]
前記組成物を患者に2回またはそれ以上投与する段階をさらに含む、本発明1068~1071のいずれかの方法。
[本発明1074]
6ヶ月を超える期間にわたって前記組成物を患者に投与する段階を含む、本発明1073の方法。
[本発明1075]
期間が6ヶ月から5年である、本発明1074の方法。
本開示の他の目的、特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、本発明の特定の態様が示されているものの、詳細な説明および具体的な実施例は、この詳細な説明から当業者には本発明の趣旨および範囲内のさまざまな変更および修正が明らかになるものと思われるので、実例としてのみ与えられたものであると理解されるべきである。特定の化合物がある特定の一般的な式に帰されているからといって、それが別の一般的な式にも属しうることを意味するものではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本発明の特定の局面をさらに実証するために含まれる。本発明は、本明細書において提示される特定の態様の詳細な説明と組み合わせて、これらの図面の1つまたは複数を参照することによってさらによく理解されうる。
【0043】
【
図1】mRNA送達のためのDLNPの最適化により、効果的なmRNA送達に必要な内部電荷バランスへの洞察が明らかにされた。Luc mRNA (25 ng mRNA/ウェル; 96ウェルプレート(n=4))を含有するさまざまなDLNP製剤でIGROV-1細胞を処理した。トランスフェクション24時間後に発光強度および細胞生存性を定量化した。(
図1A) 実験デザイン(DOE)の計算により、製剤モル比を改善するために必要な製剤の数が最小限に抑えられた。L16 (4
4)直交表デザインを利用して、2ラウンドのスクリーニングにわたるさらなる最適化をガイドした。(
図1B) 赤色の棒線は、イオン化可能カチオン性脂質の割合が低い、より効果的なDLNPを強調している。(
図1C) 黄色の棒線は、DMG-PEGが含まれていない場合の活性の喪失を強調している。製剤32例の各々において用いられたモル比およびモル百分率については
図2を参照されたい。
【
図2A】ライブラリAおよびライブラリBの詳細。詳細には、各成分の厳密なモル比および百分率、ならびに5A2-SC8のmRNAに対する重量比が含まれる。ライブラリA、BおよびCにおける全ての試験された(44) DLNP/mRNA製剤についてのZ平均サイズ(直径)、PDI、およびゼータ電位(表面電荷)といった物理的特性が
図2Bに示されている。
【
図2B】ライブラリAおよびライブラリBの詳細。詳細には、各成分の厳密なモル比および百分率、ならびに5A2-SC8のmRNAに対する重量比が含まれる。ライブラリA、BおよびCにおける全ての試験された(44) DLNP/mRNA製剤についてのZ平均サイズ(直径)、PDI、およびゼータ電位(表面電荷)といった物理的特性が
図2Bに示されている。
【
図3】ライブラリAおよびライブラリBにおける各成分の送達傾向。これらの結果を用いて、mRNA送達を改善するための最適な調整を決定した。
【
図4】DMG-PEG含有量および担体 対 mRNA重量比の最適化により、有効性がさらに改善された。mRNA送達効力に対するDMG-PEG %および重量比の影響を評価した。上位2つの製剤(B3およびB10)をライブラリBから選択し、DMG-PEGの割合を1.96%から4.76%に、5A2-SC8のmRNAに対する重量比を10/1から30/1に体系的に調整して、Luc mRNA (25 ng mRNA/ウェル; 96ウェルプレート(n=4))に及ぼす影響を調べた。トランスフェクション24時間後に発光強度および細胞生存性を定量化した。
【
図5】Luc mRNA送達のインビボスクリーニングにより、DLNP最適化プロセスをさらに評価した。上位の製剤(A2、C4、C9およびC10)を、インビボでLuc mRNAを送達するその能力について調べた。(
図5A) 製剤の詳細および(
図5B) C57BL/6マウスをランダムにグループ化し、0.25 mg/kg Luc mRNAを静脈内(IV)注射した(n = 2)。注射24時間後に発光を定量化した。
【
図6】最適化されたmDLNP製剤の特性評価により、臨床解釈に修正可能な物理的属性が明らかにされた。(
図6A) 最適化されたmDLNP製剤の特性評価により、臨床解釈に修正可能な物理的属性が明らかにされた。標準的なsiRNA製剤は、最適化されたmDLNP製剤よりもmRNAの送達に対してインビボで有効性が有意に低かった。(
図6A) 各成分間の詳細なモル比、5A2-SC8のmRNAに対する重量比、カプセル化効率、pKa、サイズ、およびゼータ電位を示す表。(
図6B) mDLNPの形態がTEM画像(スケールバー = 200 nm)に示されている。(
図6C) DLNPの安定性をDLS (n=3)により1週間モニターした。(
図6Dおよび6E) DOPEを含有するmDLNPは、DSPCを含有するmDLNPおよび開始のsiRNA DLNPよりも効果的であった。0.1および0.5 mg/kg (I.V.)後のエクスビボ生物発光画像が示されている(n=2)。緑色の三角形は検出器の飽和を示す。全肝臓の平均発光をプロットした(
図6E)。
【
図7】最適化前後のDLNP製剤安定性の比較。ライブラリA (A2)およびライブラリB (B3, B10)の上位3つの製剤を分析した。DLSサイズ分布および多分散指数(PDI)を10時間モニターした。
【
図8】mDLNPは、肝臓肝細胞の高いトランスフェクション効率で用量依存的にmRNAを送達する。(
図8A) mDLNP中0.25 mg/kg Luc mRNAの静脈内(IV)注射後のC57BL/6マウスにおける時間依存性Luc発現。発光を48時間以内のさまざまな時点で記録した(n=2)。(
図8B) 用量依存的なLuc mRNA発現のため、C57BL/6マウスに0.05、0.1もしくは0.2 mg/kgの用量を静脈内(IV)注射した。発光を注射6時間後に検出した(n=2)。(
図8C) 0.5 mg/kg mCherry mRNAのIV注射後の肝臓凍結切片におけるmCherry発現の共焦点画像(6時間、核は青色であり、mCherryタンパク質は赤色であり、スケールバー = 50 μm)。(
図8D) フローサイトメトリーによって検出された肝細胞のインビボトランスフェクション効率。C57BL/6マウスにmCherry mDLNPを0.5 mg/kgの用量で注射した。初代肝細胞を6時間後に分離し、フローサイトメトリーによって分析した。
【
図9】Luc mRNA mDLNPの静脈内(IV)注射後のマウスの全身発光画像化。(
図9A) 時間依存性Luc mRNA発現のため、C57BL/6マウスに0.25 mg/kgの用量を静脈内(IV)注射し、48時間以内のさまざまな時点で発光を記録した(n=2)。(
図9B) 用量依存的なLuc mRNA発現のため、C57BL/6マウスに、それぞれ0.05、0.1および0.2 mg/kgの用量を静脈内(IV)注射し、注射後6時間の時点で発光を検出した(n=2)。
【
図10】mCherry mRNA DLNP静脈内(IV)注射後のエクスビボ蛍光画像。0.25 mg/kg (左)および0.5 mg/kg (右) mRNA DLNPSの用量。注射6時間後に、マウスを殺処理し、主要な臓器をIVIS Luminaシステムによって画像化した。
【
図11】A549細胞におけるFAH mRNA送達のウエスタンブロット。FAH mRNAの質を評価するために、A549細胞を12ウェルプレートに播種し、さまざまな製剤によって処理した。24時間後、総タンパク質を収集し、ウエスタンブロッティングを実施した。
【
図12】FAH mRNAのmDLNP送達により、FAH(-/-)マウスでの体重および肝機能が正常化された。(
図12A) 治療計画のスキーム。(
図12B) mDLNP中のFAH mRNA注射後の肝臓切片の免疫蛍光(IF)画像(10 μg mRNA/マウス, 6時間, スケールバー = 250 μm)。(
図12C) FAH-/-マウスの体重を1ヶ月の治療研究においてモニターした。マウス(NTBC水から離して, 2♂, 1♀, n = 3)をランダムにグループ化し、30日目まで3日ごとに(矢印で示した) PBS、mCherry mDLNPもしくはFAH mDLNPを注射した(10 μg mRNA/注射もしくは約0.35 mg/kg)。各マウスのエンドポイントにおいて、肝臓組織のウエスタンブロット(
図12D)および(
図12E)肝臓損傷マーカー(TBIL、ALTおよびAST)を測定して、治療効果を評価した。有意ではない: P > 0.05。
*はP < 0.05を示す。
【
図13】A3およびC10 DLNP製剤は、B7製剤よりも大きな細胞取り込みおよびエンドソーム脱出を示した。IGROV1細胞をB7 (低活性)、A3 (中活性)およびC10 (高活性)製剤(50 ng Cy5-Luc mRNA)で2時間および8時間処理し、その後に共焦点顕微鏡によって画像化した。Cy5で標識されたmRNA (赤色)、エンドソーム/リソソーム(緑色)、および核(青色)が示されている。マージ1は青色と赤色を組み合わせている。マージ2は青色、赤色および緑色を組み合わせている。白色の矢印は点状の蛍光を示し、黄色の矢印は拡散した蛍光およびエンドソーム脱出を示す。スケールバー = 20 μm。
【
図14】A2、C4、C9およびC10製剤で処置されたマウスからの肝臓および脾臓の定量化された発光。A2、C4、C9およびC10を調べて、静脈内(IV)注射により0.25 mg/kg Luc mRNAでLuc mRNAをインビボ送達した(n=2)。24時間後、肝臓および脾臓の発光をIVIS Luminaシステムによって定量化した。
【
図15】mDLNPの均一な直径および狭いPDIにより、安定性がPBS中で7日間超および10% FBS中でチャレンジして2日間37℃で維持された。mDLNPを形成し、最初に1×PBSで透析し、次に1×PBSおよび10% FBSで5 ng/μLに希釈した(n=3)。希釈されたmDLNP 160 μLをDLS Ultramicroキュベット中にピペットで移し、サイズおよびPDIを1週間モニターした。
【
図16】DOPEを含有するmRNA最適化mDLNPは、DSPCを含有するmDLNPよりも効果的であった。DOPEを含有するmRNA最適化mDLNPも、出発のsiRNA DLNPよりも効果的であった。(
図16A) 試験された製剤の詳細。(
図16B) 0.1および0.5 mg/kg (I.V.)後の動物全身の生物発光画像が示されている(n=2)。
【発明を実施するための形態】
【0044】
例示的な態様の説明
いくつかの局面において、本開示は、mRNAなどの大きな核酸の送達で用いるための脂質ナノ粒子組成物を提供する。いかなる理論にも束縛されることを望まないが、より大きな核酸は、siRNAなどのより小さな核酸からの異なる成分を含む異なる組成物を必要とし、より少量のカチオン性イオン化可能脂質を必要としうるものと考えられる。これらの組成物は、mRNAもしくは他の大きな核酸が有用である疾患および障害を処置するために用いられうる。
【0045】
A. 化学的定義
化学基の文脈において用いられる場合: 「水素」は-Hを意味し; 「ヒドロキシ」は-OHを意味し; 「オキソ」は= Oを意味し; 「カルボニル」は-C(=O)-を意味し; 「カルボキシ」は-C(=O)OH (-COOHもしくは-CO2Hとも表記される)を意味し; 「ハロ」は独立して-F、-Cl、-Brもしくは-Iを意味し; 「アミノ」は-NH2を意味し; 「ヒドロキシアミノ」は-NHOHを意味し; 「ニトロ」は-NO2を意味し; イミノは-NHを意味し; 「シアノ」は-CNを意味し; 「イソシアネート」は-N=C=Oを意味し; 「アジド」は-N3を意味し; 一価の文脈において「リン酸塩」は-OP(O)(OH)2もしくはその脱プロトン化形態を意味し; 二価の文脈において「リン酸塩」は-OP(O)(OH)O-もしくはその脱プロトン化形態を意味し; 「メルカプト」は-SHを意味し; 「チオ」は=Sを意味し; 「スルホニル」は-S(O)2-を意味し; 「ヒドロキシスルホニル」は-S(O)2OHを意味し; 「スルホンアミド」は-S(O)2NH2を意味し; および「スルフィニル」は-S(O)-を意味する。
【0046】
化学式の文脈において、記号「-」は単結合を意味し、「=」は二重結合を意味し、「≡」は三重結合を意味する。記号「----」は任意の結合を表し、これが存在する場合、単結合もしくは二重結合のいずれかである。記号
は単結合もしくは二重結合を示す。したがって、例えば、式
は
を含む。そのような環原子は2つ以上の二重結合の一部を形成しないことが理解される。さらに、共有結合記号「-」は、1個もしくは2個のステレオジェン原子を連結する場合、いかなる好ましい立体化学も示さないことに留意されたい。そうではなく、それは全ての立体異性体およびその混合物を網羅する。記号
は結合を横切って垂直に描かれた場合
、基の結合点を示す。読者が結合点を明確に特定するのを補助するために、結合点は、典型的には、より大きな基についてこのようなやり方でのみ特定されることに留意されたい。記号
は、くさびの太端に結合した基が「頁の外」にある単結合を意味する。記号
は、くさびの太端に結合した基が「頁の中」にある単結合を意味する。記号
は、二重結合の周りの幾何(例えば、EもしくはZのどちらか)が定義されていない単結合を意味する。それゆえ、両方の選択肢、およびそれらの組み合わせが意図される。本出願において示される構造の原子上のいずれの未定義の原子価も、その原子に結合した水素原子を暗示する。炭素原子上の太点は、その炭素に結合している水素が紙面の外へ配向していることを示す。
【0047】
基「R」が、例えば、式:
において、環系上に「浮遊基」として描かれているなら、Rは、安定な構造が形成される限り、描写された、暗示された、または明確に定義された水素を含む、いずれかの環原子に結合した任意の水素原子に取って代わりうる。基「R」が、例えば式:
にあるように、縮合環系上に「浮遊基」として描かれているなら、Rは、特別の定めのない限り、縮合環のいずれかの環原子のいずれかに結合した任意の水素に取って代わりうる。置換可能な水素には、安定な構造が形成される限り、描かれた水素(例えば、上記の式中の窒素に結合した水素)、含意された水素(例えば、示されていないが、存在するものと理解される上記の式の水素)、明確に定義された水素、および存在が環原子の同一性に依る任意の水素(例えば、Xが-CH-に等しい場合、基Xに結合した水素)が含まれる。描かれた例において、Rは、縮合環系の5員環もしくは6員環のどちらかに存在しうる。上記の式において、括弧で囲まれた基「R」の直後の下付き文字「y」は数値変数を表す。特別の定めのない限り、この変数は、環もしくは環系の置換可能な水素原子の最大数によってのみ制限される、0、1、2、もしくは2より大きい任意の整数とすることができる。
【0048】
化学基および化合物クラスの場合、基もしくはクラスにおける炭素原子の数は以下のように示される: 「Cn」は基/クラスにおける炭素原子の正確な数(n)を定義する。「C≦n」は、基/クラスに入ることができる炭素原子の最大数(n)を定義し、最小数は対象となっている基/クラスに対して可能な限り小さいものとなり、例えば、基「アルケニル(C≦8)」もしくはクラス「アルケン(C≦8)」における炭素原子の最小数は2であるものと理解される。1~10個の炭素原子を有するアルコキシ基を示す「アルコキシ(C≦10)」と比較されたい。「Cn-n'」は、基中の炭素原子の最小数(n)と最大数(n')の両方を定義する。したがって、「アルキル(C2~10)」は、2~10個の炭素原子を有するアルキル基を示す。これらの炭素数インジケータは、それが修飾する化学基もしくはクラスの前もしくは後にあってもよく、意味のいずれの変化も示すことなく、括弧で囲まれていてもいなくてもよい。したがって、「C5オレフィン」、「C5-オレフィン」、「オレフィン(C5)」および「オレフィンC5」という用語は、全て同意語である。
【0049】
「飽和した」という用語は、化合物もしくは化学基を修飾するために用いられる場合、化合物または化学基が、以下に記載の場合を除いて、炭素-炭素二重結合なしおよび炭素-炭素三重結合なしを意味する。この用語が原子を修飾するために用いられる場合、その原子が任意の二重結合もしくは三重結合の一部ではないことを意味する。飽和基の置換型の場合、1つもしくは複数の炭素酸素二重結合もしくは炭素窒素二重結合が存在しうる。そのような結合が存在するなら、ケト-エノール互変異性もしくはイミン/エナミン互変異性の一部として生じうる炭素-炭素二重結合は排除されない。「飽和した」という用語が物質の溶液を修飾するために用いられる場合、その物質がそれ以上その溶液に溶解しえないことを意味する。
【0050】
「脂肪族」という用語は、「置換された」という修飾語なしで用いられる場合、そのように修飾された化合物もしくは化学基は、非環式もしくは環式であるが、非芳香族の炭化水素化合物もしくは基であることを示す。脂肪族化合物/基において、炭素原子は、直鎖、分枝鎖、もしくは非芳香族環(脂環式)において一緒に連結されることができる。脂肪族化合物/基は、一重炭素-炭素結合によって連結された飽和(アルカン/アルキル)、あるいは1つもしくは複数の炭素-炭素二重結合(アルケン/アルケニル)または1つもしくは複数の炭素-炭素三重結合(アルキン/アルキニル)による不飽和であることができる。
【0051】
「芳香族」という用語は、化合物もしくは化学基原子を修飾するために用いられる場合、環を形成する結合の相互作用によって安定化された原子の平面不飽和環を含む化合物もしくは化学基を意味する。
【0052】
「アルキル」という用語は、「置換された」という修飾語なしで用いられる場合、結合点としての炭素原子、直鎖もしくは分枝鎖非環式構造を有し、炭素および水素以外の原子を有していない、一価の飽和脂肪族基をいう。基-CH3 (Me)、-CH2CH3 (Et)、-CH2CH2CH3 (n-Prもしくはプロピル)、-CH(CH3)2 (i-Pr、iPrもしくはイソプロピル)、-CH2CH2CH2CH3 (n-Bu)、-CH(CH3)CH2CH3 (sec-ブチル)、-CH2CH(CH3)2 (イソブチル)、-C(CH3)3 (tert-ブチル、t-ブチル、t-BuもしくはtBu)、および-CH2C(CH3)3 (neo-ペンチル)は、アルキル基の非限定的な例である。「アルカンジイル」という用語は、「置換された」という修飾語なしで用いられる場合、結合点としての1つもしくは2つの飽和炭素原子、直鎖もしくは分枝鎖非環式構造を有し、炭素-炭素二重もしくは三重結合を有しておらず、かつ炭素および水素以外の原子を有していない、二価の飽和脂肪族基をいう。基-CH2- (メチレン)、-CH2CH2-、-CH2C(CH3)2CH2-、および-CH2CH2CH2-はアルカンジイル基の非限定的な例である。「アルカン」は、Rが、この用語が上記で定義される通りのアルキルである、式H-Rを有する化合物のクラスをいう。これらの用語のいずれかが「置換された」という修飾語とともに用いられる場合、1つもしくは複数の水素原子は独立して-OH、-F、-Cl、-Br、-I、-NH2、-NO2、-CO2H、-CO2CH3、-CN、-SH、-OCH3、-OCH2CH3、-C(O)CH3、-NHCH3、-NHCH2CH3、-N(CH3)2、-C(O)NH2、-C(O)NHCH3、-C(O)N(CH3)2、-OC(O)CH3、-NHC(O)CH3、-S(O)2OH、もしくは-S(O)2NH2により置き換えられている。以下の基は置換アルキル基の非限定的な例である: -CH2OH、-CH2Cl、-CF3、-CH2CN、-CH2C(O)OH、-CH2C(O)OCH3、-CH2C(O)NH2、-CH2C(O)CH3、-CH2OCH3、-CH2OC(O)CH3、-CH2NH2、-CH2N(CH3)2、および-CH2CH2Cl。「ハロアルキル」という用語は、置換アルキルの一部であり、炭素、水素およびハロゲン以外の他の原子が存在しないように、水素原子の置き換えがハロ(すなわち、-F、-Cl、-Br、もしくは-I)に限定されている。基-CH2Clは、ハロアルキルの非限定的な例である。「フルオロアルキル」という用語は、置換アルキルの一部であり、炭素、水素およびフッ素以外の他の原子が存在しないように、水素原子の置き換えがフルオロに限定されている。基-CH2F、-CF3、および-CH2CF3はフルオロアルキル基の非限定的な例である。
【0053】
「シクロアルキル」という用語は、「置換された」という修飾語なしで用いられる場合、結合点としての炭素原子を有し、該炭素原子は1つもしくは複数の非芳香環構造の一部を形成し、炭素-炭素二重もしくは三重結合を有しておらず、かつ炭素および水素以外の原子を有していない、一価の飽和脂肪族基をいう。非限定的な例としては、-CH(CH
2)
2 (シクロプロピル)、シクロブチル、シクロペンチル、もしくはシクロヘキシル(Cy)が挙げられる。「シクロアルカンジイル」という用語は、「置換された」という修飾語なしで用いられる場合、結合点としての2つの炭素原子を有し、炭素-炭素二重もしくは三重結合を有しておらず、かつ炭素および水素以外の原子を有していない、二価の飽和脂肪族基をいう。基
は、シクロアルカンジイル基の非限定的な例である。「シクロアルカン」は、Rが、この用語が上記で定義される通りのシクロアルキルである、式H-Rを有する化合物のクラスをいう。これらの用語のいずれかが「置換された」という修飾語とともに用いられる場合、1つもしくは複数の水素原子は独立して-OH、-F、-Cl、-Br、-I、-NH
2、-NO
2、-CO
2H、-CO
2CH
3、-CN、-SH、-OCH
3、-OCH
2CH
3、-C(O)CH
3、-NHCH
3、-NHCH
2CH
3、-N(CH
3)
2、-C(O)NH
2、-C(O)NHCH
3、-C(O)N(CH
3)
2、-OC(O)CH
3、-NHC(O)CH
3、-S(O)
2OH、もしくは-S(O)
2NH
2により置き換えられている。
【0054】
「アルケニル」という用語は、「置換された」という修飾語なしで用いられる場合、結合点としての炭素原子、直鎖もしくは分枝鎖非環式構造、少なくとも1つの非芳香族炭素-炭素二重結合を有し、炭素-炭素三重結合を有しておらず、かつ炭素および水素以外の原子を有していない、一価の不飽和脂肪族基をいう。非限定的な例としては、-CH=CH2 (ビニル)、-CH=CHCH3、-CH=CHCH2CH3、-CH2CH=CH2 (アリル)、-CH2CH=CHCH3、および-CH=CHCH=CH2が挙げられる。「アルケンジイル」という用語は、「置換された」という修飾語なしで用いられる場合、結合点としての2つの炭素原子、直鎖もしくは分枝鎖、直鎖もしくは分枝鎖非環式構造、少なくとも1つの非芳香族炭素-炭素二重結合を有し、炭素-炭素三重結合を有しておらず、かつ炭素および水素以外の原子を有していない、二価の不飽和脂肪族基をいう。基-CH=CH-、-CH=C(CH3)CH2-、-CH=CHCH2-、および-CH2CH=CHCH2-はアルケンジイル基の非限定的な例である。アルケンジイル基は脂肪族であるが、両端で連結されると、この基は芳香族構造の一部を形成することから除外されないということが知られている。「アルケン」および「オレフィン」という用語は同意語であり、Rはこの用語が、上記で定義される通りのアルケニルである、式H-Rを有する化合物のクラスをいう。同様に、「末端アルケン」および「α-オレフィン」という用語は同意語であり、1つだけの炭素-炭素二重結合を有し、その結合は分子の末端のビニル基の一部であるアルケンをいう。これらの用語のいずれかが「置換された」という修飾語とともに用いられる場合、1つもしくは複数の水素原子は独立して-OH、-F、-Cl、-Br、-I、-NH2、-NO2、-CO2H、-CO2CH3、-CN、-SH、-OCH3、-OCH2CH3、-C(O)CH3、-NHCH3、-NHCH2CH3、-N(CH3)2、-C(O)NH2、-C(O)NHCH3、-C(O)N(CH3)2、-OC(O)CH3、-NHC(O)CH3、-S(O)2OH、もしくは-S(O)2NH2により置き換えられている。基-CH=CHF、-CH=CHClおよび-CH=CHBrは置換アルケニル基の非限定的な例である。
【0055】
「アルキニル」という用語は、「置換された」という修飾語なしで用いられる場合、結合点としての炭素原子、直鎖もしくは分枝鎖非環式構造、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有し、かつ炭素および水素以外の原子を有していない、一価の不飽和脂肪族基をいう。本明細書において用いられる場合、アルキニルという用語は、1つもしくは複数の非芳香族炭素-炭素二重結合の存在を除外しない。基-C≡CH、-C≡CCH3、および-CH2C≡CCH3はアルキニル基の非限定的な例である。「アルキン」は、Rがアルキニルである、式H-Rを有する化合物のクラスをいう。これらの用語のいずれかが「置換された」という修飾語とともに用いられる場合、1つもしくは複数の水素原子は独立して-OH、-F、-Cl、-Br、-I、-NH2、-NO2、-CO2H、-CO2CH3、-CN、-SH、-OCH3、-OCH2CH3、-C(O)CH3、-NHCH3、-NHCH2CH3、-N(CH3)2、-C(O)NH2、-C(O)NHCH3、-C(O)N(CH3)2、-OC(O)CH3、-NHC(O)CH3、-S(O)2OH、もしくは-S(O)2NH2により置き換えられている。
【0056】
「アリール」という用語は、「置換された」という修飾語なしで用いられる場合、結合点としての芳香族炭素原子を有し、該炭素原子は1つもしくは複数の6員芳香環構造の一部を形成し、環原子は全て炭素であり、かつ基は炭素および水素以外の原子からならない、一価の不飽和芳香族基をいう。2つ以上の環が存在する場合、環は縮合されても、縮合されなくてもよい。本明細書において用いられる場合、この用語は、第1の芳香環もしくは存在する任意のさらなる芳香環に結合された、1つもしくは複数のアルキルもしくはアラルキル基(炭素数の制限が許容する)の存在を除外しない。アリール基の非限定的な例としては、フェニル(Ph)、メチルフェニル、(ジメチル)フェニル、-C
6H
4CH
2CH
3 (エチルフェニル)、ナフチル、およびビフェニルから誘導される一価の基が挙げられる。「アレーンジイル」という用語は、「置換された」という修飾語なしで用いられる場合、結合点としての2つの芳香族炭素原子を有し、該炭素原子は1つもしくは複数の6員芳香環構造の一部を形成し、環原子は全て炭素であり、かつ一価の基は炭素および水素以外の原子からならない、二価の芳香族基をいう。本明細書において用いられる場合、この用語は、第1の芳香環もしくは存在する任意のさらなる芳香環に結合された、1つもしくは複数のアルキル、アリールもしくはアラルキル基(炭素数の制限が許容する)の存在を除外しない。2つ以上の環が存在する場合、環は縮合されても、縮合されなくてもよい。非縮合環は下記の1つもしくは複数を介して連結されうる: 共有結合、アルカンジイル、もしくはアルケンジイル基(炭素数の制限が許容する)。アレーンジイル基の非限定的な例としては、
が挙げられる。
【0057】
「アレーン」は、Rが、その用語が上記で定義される通りのアリールである、式H-Rを有する化合物のクラスをいう。ベンゼンおよびトルエンはアレーンの非限定的な例である。これらの用語のいずれかが「置換された」という修飾語とともに用いられる場合、1つもしくは複数の水素原子は独立して-OH、-F、-Cl、-Br、-I、-NH2、-NO2、-CO2H、-CO2CH3、-CN、-SH、-OCH3、-OCH2CH3、-C(O)CH3、-NHCH3、-NHCH2CH3、-N(CH3)2、-C(O)NH2、-C(O)NHCH3、-C(O)N(CH3)2、-OC(O)CH3、-NHC(O)CH3、-S(O)2OH、もしくは-S(O)2NH2により置き換えられている。
【0058】
「アラルキル」という用語は、「置換された」という修飾語なしで用いられる場合、アルカンジイルおよびアリールという用語がそれぞれ前述の定義に一致した様式で用いられる、一価の基-アルカンジイル-アリールをいう。非限定的な例は、フェニルメチル(ベンジル, Bn)および2-フェニル-エチルである。アラルキルという用語が「置換された」という修飾語とともに用いられる場合、アルカンジイルおよび/もしくはアリール基からの1つもしくは複数の水素原子は独立して-OH、-F、-Cl、-Br、-I、-NH2、-NO2、-CO2H、-CO2CH3、-CN、-SH、-OCH3、-OCH2CH3、-C(O)CH3、-NHCH3、-NHCH2CH3、-N(CH3)2、-C(O)NH2、-C(O)NHCH3、-C(O)N(CH3)2、-OC(O)CH3、-NHC(O)CH3、-S(O)2OH、もしくは-S(O)2NH2により置き換えられている。置換アラルキルの非限定的な例は、(3-クロロフェニル)-メチル、および2-クロロ-2-フェニル-エタ-1-イルである。
【0059】
「ヘテロアリール」という用語は、「置換された」という修飾語なしで用いられる場合、結合点としての芳香族炭素原子もしくは窒素原子を有し、該炭素原子もしくは窒素原子は1つもしくは複数の芳香環構造の一部を形成し、環原子の少なくとも1つは窒素、酸素もしくは硫黄であり、かつヘテロアリール基は炭素、水素、芳香族窒素、芳香族酸素および芳香族硫黄以外の原子からならない、一価の芳香族基をいう。ヘテロアリール環は、窒素、酸素、および硫黄から選択される1つ、2つ、3つ、もしくは4つの環原子を含みうる。2つ以上の環が存在する場合、環は縮合されても、縮合されなくてもよい。本明細書において用いられる場合、この用語は、芳香環もしくは芳香環系に結合された1つもしくは複数のアルキル、アリール、および/もしくはアラルキル基(炭素数の制限が許容する)の存在を除外しない。ヘテロアリール基の非限定的な例としては、フラニル、イミダゾリル、インドリル、インダゾリル(Im)、イソキサゾリル、メチルピリジニル、オキサゾリル、フェニルピリジニル、ピリジニル(ピリジル)、ピロリル、ピリミジニル、ピラジニル、キノリル、キナゾリル、キノキサリニル、トリアジニル、テトラゾリル、チアゾリル、チエニル、およびトリアゾリルが挙げられる。「N-ヘテロアリール」という用語は、結合点としての窒素原子を有するヘテロアリール基をいう。「ヘテロアレーンジイル」という用語は、「置換された」という修飾語なしで用いられる場合、2つの結合点としての2つの芳香族炭素原子、2つの芳香族窒素原子、もしくは1つの芳香族炭素原子および1つの芳香族窒素原子を有し、該原子は1つもしくは複数の芳香環構造の一部を形成し、環原子の少なくとも1つは窒素、酸素もしくは硫黄であり、かつ二価基は炭素、水素、芳香族窒素、芳香族酸素および芳香族硫黄以外の原子からならない、二価の芳香族基をいう。2つ以上の環が存在する場合、環は縮合されても、縮合されなくてもよい。非縮合環は下記の1つもしくは複数を介して連結されうる: 共有結合、アルカンジイル、もしくはアルケンジイル基(炭素数の制限が許容する)。本明細書において用いられる場合、この用語は、芳香環もしくは芳香環系に結合された1つもしくは複数のアルキル、アリール、および/もしくはアラルキル基(炭素数の制限が許容する)の存在を除外しない。ヘテロアレーンジイル基の非限定的な例としては、
が挙げられる。「ヘテロアレーン」は、Rがヘテロアリールである、式H-Rを有する化合物のクラスをいう。ピリジンおよびキノリンはヘテロアレーンの非限定的な例である。これらの用語が「置換された」という修飾語とともに用いられる場合、1つもしくは複数の水素原子は独立して-OH、-F、-Cl、-Br、-I、-NH
2、-NO
2、-CO
2H、-CO
2CH
3、-CN、-SH、-OCH
3、-OCH
2CH
3、-C(O)CH
3、-NHCH
3、-NHCH
2CH
3、-N(CH
3)
2、-C(O)NH
2、-C(O)NHCH
3、-C(O)N(CH
3)
2、-OC(O)CH
3、-NHC(O)CH
3、-S(O)
2OH、もしくは-S(O)
2NH
2により置き換えられている。
【0060】
「ヘテロシクロアルキル」という用語は、「置換された」という修飾語なしで用いられる場合、結合点としての炭素原子もしくは窒素原子を有し、該炭素原子もしくは窒素原子は1つもしくは複数の非芳香環構造の一部を形成し、環原子の少なくとも1つは窒素、酸素もしくは硫黄であり、かつヘテロシクロアルキル基は炭素、水素、窒素、酸素および硫黄以外の原子からならない、一価の非芳香族基をいう。ヘテロシクロアルキル環は、窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1つ、2つ、3つ、もしくは4つの環原子を含みうる。2つ以上の環が存在する場合、環は縮合されても、縮合されなくてもよい。本明細書において用いられる場合、この用語は、環もしくは環系に結合された1つもしくは複数のアルキル基(炭素数の制限が許容する)の存在を除外しない。同様に、この用語は、得られる基が非芳香族のままであることを条件として、環もしくは環系における1つもしくは複数の二重結合の存在を除外しない。ヘテロシクロアルキル基の非限定的な例としては、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフラニル、テトラヒドロピラニル、ピラニル、オキシラニル、およびオキセタニルが挙げられる。「N-ヘテロシクロアルキル」という用語は、結合点としての窒素原子を有するヘテロシクロアルキル基をいう。N-ピロリジニルはそのような基の一例である。「ヘテロシクロアルカンジイル」という用語は、「置換された」という修飾語なしで用いられる場合、2つの結合点としての2つの炭素原子、2つの窒素原子、もしくは1つの炭素原子および1つの窒素原子を有し、該原子は1つもしくは複数の環構造の一部を形成し、環原子の少なくとも1つは窒素、酸素もしくは硫黄であり、かつ二価基は炭素、水素、窒素、酸素および硫黄以外の原子からならない、二価の環基をいう。2つ以上の環が存在する場合、環は縮合されても、縮合されなくてもよい。非縮合環は下記の1つもしくは複数を介して連結されうる: 共有結合、アルカンジイル、もしくはアルケンジイル基(炭素数の制限が許容する)。本明細書において用いられる場合、この用語は、環もしくは環系に結合された1つもしくは複数のアルキル基(炭素数の制限が許容する)の存在を除外しない。同様に、この用語は、得られる基が非芳香族のままであることを条件として、環もしくは環系における1つもしくは複数の二重結合の存在を除外しない。ヘテロシクロアルカンジイル基の非限定的な例としては、
が挙げられる。これらの用語が「置換された」という修飾語とともに用いられる場合、1つもしくは複数の水素原子は独立して-OH、-F、-Cl、-Br、-I、-NH
2、-NO
2、-CO
2H、-CO
2CH
3、-CN、-SH、-OCH
3、-OCH
2CH
3、-C(O)CH
3、-NHCH
3、-NHCH
2CH
3、-N(CH
3)
2、-C(O)NH
2、-C(O)NHCH
3、-C(O)N(CH
3)
2、-OC(O)CH
3、-NHC(O)CH
3、-S(O)
2OH、もしくは-S(O)
2NH
2により置き換えられている。
【0061】
「アシル」という用語は、「置換された」という修飾語なしで用いられる場合、Rが、それらの用語が上記で定義される通りの、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アラルキルもしくはヘテロアリールである、基-C(O)Rをいう。基-CHO、-C(O)CH3 (アセチル, Ac)、-C(O)CH2CH3、-C(O)CH2CH2CH3、-C(O)CH(CH3)2、-C(O)CH(CH2)2、-C(O)C6H5、-C(O)C6H4CH3、-C(O)CH2C6H5、-C(O)(イミダゾリル)はアシル基の非限定的な例である。「チオアシル」は、基-C(O)Rの酸素原子が硫黄原子で置き換えられていること以外は、同様の様式で定義され、-C(S)Rである。「アルデヒド」という用語は、水素原子の少なくとも1つが-CHO基で置き換えられている、上記で定義の、アルカンに対応する。これらの用語のいずれかが「置換された」という修飾語とともに用いられる場合、1つもしくは複数の水素原子(もしあれば、カルボニルもしくはチオカルボニル基の炭素原子に直接結合された水素原子を含む)は独立して-OH、-F、-Cl、-Br、-I、-NH2、-NO2、-CO2H、-CO2CH3、-CN、-SH、-OCH3、-OCH2CH3、-C(O)CH3、-NHCH3、-NHCH2CH3、-N(CH3)2、-C(O)NH2、-C(O)NHCH3、-C(O)N(CH3)2、-OC(O)CH3、-NHC(O)CH3、-S(O)2OH、もしくは-S(O)2NH2により置き換えられている。基-C(O)CH2CF3、-CO2H (カルボキシル)、-CO2CH3 (メチルカルボキシル)、-CO2CH2CH3、-C(O)NH2 (カルバモイル)、および-CON(CH3)2は置換アシル基の非限定的な例である。
【0062】
「アルコキシ」という用語は、「置換された」という修飾語なしで用いられる場合、Rが、その用語が上記で定義される通りのアルキルである、基-ORをいう。非限定的な例としては、-OCH3 (メトキシ)、-OCH2CH3 (エトキシ)、-OCH2CH2CH3、-OCH(CH3)2 (イソプロポキシ)、-OC(CH3)3 (tert-ブトキシ)、-OCH(CH2)2、-O-シクロペンチル、および-O-シクロヘキシルが挙げられる。「シクロアルコキシ」、「アルケニルオキシ」、「アルキニルオキシ」、「アリールオキシ」、「アラルコキシ」、「ヘテロアリールオキシ」、「ヘテロシクロアルコキシ」、および「アシルオキシ」という用語は、「置換された」という修飾語なしで用いられる場合、Rがそれぞれシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、およびアシルである、-ORと定義される基をいう。「アルコキシジイル」という用語は、二価基-O-アルカンジイル-、-O-アルカンジイル-O-、もしくは-アルカンジイル-O-アルカンジイル-をいう。「アルキルチオ」および「アシルチオ」という用語は、「置換された」という修飾語なしで用いられる場合、Rがそれぞれアルキルおよびアシルである、基-SRをいう。「アルコール」という用語は、水素原子の少なくとも1つがヒドロキシ基で置き換えられている、上記で定義の、アルカンに対応する。「エーテル」という用語は、水素原子の少なくとも1つがアルコキシ基で置き換えられている、上記で定義の、アルカンに対応する。これらの用語のいずれかが「置換された」という修飾語とともに用いられる場合、1つもしくは複数の水素原子は独立して-OH、-F、-Cl、-Br、-I、-NH2、-NO2、-CO2H、-CO2CH3、-CN、-SH、-OCH3、-OCH2CH3、-C(O)CH3、-NHCH3、-NHCH2CH3、-N(CH3)2、-C(O)NH2、-C(O)NHCH3、-C(O)N(CH3)2、-OC(O)CH3、-NHC(O)CH3、-S(O)2OH、もしくは-S(O)2NH2により置き換えられている。
【0063】
「アルキルアミノ」という用語は、「置換された」という修飾語なしで用いられる場合、Rが、その用語が上記で定義される通りのアルキルである、基-NHRをいう。非限定的な例としては、-NHCH3および-NHCH2CH3が挙げられる。「ジアルキルアミノ」という用語は、「置換された」という修飾語なしで用いられる場合、RおよびR'が同じもしくは異なるアルキル基でありうるか、またはRおよびR'が一緒になって、アルカンジイルを表しうる、基-NRR'をいう。ジアルキルアミノ基の非限定的な例としては、-N(CH3)2および-N(CH3)(CH2CH3)が挙げられる。「シクロアルキルアミノ」、「アルケニルアミノ」、「アルキニルアミノ」、「アリールアミノ」、「アラルキルアミノ」、「ヘテロアリールアミノ」、「ヘテロシクロアルキルアミノ」、「アルコキシアミノ」、および「アルキルスルホニルアミノ」という用語は、「置換された」という修飾語なしで用いられる場合、Rがそれぞれシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、およびアルキルスルホニルである、-NHRと定義される基をいう。アリールアミノ基の非限定的な例は-NHC6H5である。「アルキルアミノジイル」という用語は、二価基-NH-アルカンジイル-、-NH-アルカンジイル-NH-、もしくは-アルカンジイル-NH-アルカンジイル-をいう。「アミド」(アシルアミノ)という用語は、「置換された」という修飾語なしで用いられる場合、Rが、その用語が上記で定義される通りのアシルである、基-NHRをいう。アミド基の非限定的な例は-NHC(O)CH3である。「アルキルイミノ」という用語は、「置換された」という修飾語なしで用いられる場合、Rが、その用語が上記で定義される通りのアルキルである、二価基=NRをいう。これらの用語のいずれかが「置換された」という修飾語とともに用いられる場合、炭素原子に結合された1つもしくは複数の水素原子は独立して-OH、-F、-Cl、-Br、-I、-NH2、-NO2、-CO2H、-CO2CH3、-CN、-SH、-OCH3、-OCH2CH3、-C(O)CH3、-NHCH3、-NHCH2CH3、-N(CH3)2、-C(O)NH2、-C(O)NHCH3、-C(O)N(CH3)2、-OC(O)CH3、-NHC(O)CH3、-S(O)2OH、もしくは-S(O)2NH2により置き換えられている。基NHC(O)OCH3および-NHC(O)NHCH3は置換アミド基の非限定的な例である。
【0064】
「1つの(a)」もしくは「1つの(an)」という単語の使用は、特許請求の範囲および/もしくは本明細書において「含む(comprising)」という用語とともに用いられる場合、「1つ(one)」を意味しうるが、「1つもしくは複数」、「少なくとも1つ」、および「1つもしくは2つ以上」の意味とも一致する。
【0065】
本出願の全体を通して、「約」という用語は、値がその値をもとめるために用いている装置、方法の誤差の固有の変動、もしくは試験対象の間に存在する変動を含むことを示すために用いられる。
【0066】
本出願において用いられる場合、「平均分子量」という用語は、各重合体種のモル数とその種のモル質量との間の関係をいう。特に、各重合体分子は、異なるレベルの重合を有し、したがって、異なるモル質量を有しうる。平均分子量は、複数の重合体分子の分子量を表すために用いることができる。平均分子量は、典型的には、平均モル質量と同義である。特に、3つの主要なタイプの平均分子量がある: 数平均モル質量、重量(質量)平均モル質量、およびZ平均モル質量。本出願の文脈において、特別の定めのない限り、平均分子量は、式の数平均モル質量もしくは重量平均モル質量のどちらかを表す。いくつかの態様において、平均分子量は数平均モル質量である。いくつかの態様において、平均分子量は、脂質中に存在するPEG成分を記述するために使用されうる。
【0067】
「含む(comprise)」、「有する(have)」および「含む(include)」という用語は、制限のない連結動詞である。「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「有する(has)」、「有する(having)」、「含む(includes)」および「含む(including)」のような、これらの動詞の1つもしくは複数の任意の形式もしくは時制も制限がない。例えば、1つもしくは複数の段階を「含む(comprises)」、「有する(has)」もしくは「含む(includes)」任意の方法は、それらの1つもしくは複数の段階のみを有することに限定されることはなく、同様に他の列挙していない段階も網羅する。
【0068】
「有効」という用語は、その用語が本明細書および/もしくは特許請求の範囲において用いられる場合、所望の、予想の、もしくは所期の結果を達成するのに十分であることを意味する。「有効量」、「治療的有効量」もしくは「薬学的有効量」は、患者もしくは対象を化合物で処置するという文脈において用いられる場合、疾患を処置するために対象もしくは患者に投与されたときに、疾患に対するそのような処置を行うのに十分な化合物の量を意味する。
【0069】
本明細書において用いられる場合、「IC50」という用語は、得られる最大の応答の50%である阻害用量をいう。この定量的尺度は、所与の生物学的、生化学的もしくは化学的プロセス(またはプロセスの成分、すなわち酵素、細胞、細胞受容体もしくは微生物)を半分だけ阻害するために、どれだけの特定の薬物もしくは他の物質(阻害剤)が必要とされるかを示す。
【0070】
第一の化合物の「異性体」は、各分子が第一の化合物と同じ構成原子を含むが、それらの原子の三次元の配置が異なる、別の化合物である。
【0071】
本明細書において用いられる場合、「患者」もしくは「対象」という用語は、ヒト、サル、ウシ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、マウス、ラット、モルモット、もしくはそのトランスジェニック種などの、生きている哺乳類生物をいう。特定の態様において、患者もしくは対象は霊長類である。ヒト対象の非限定的な例は、成人、少年、乳児および胎児である。
【0072】
本明細書において一般に用いられる場合、「薬学的に許容される」とは、健全な医学的判断の範囲内で、妥当な損益比に相応の、過度の毒性、刺激、アレルギー応答、または他の問題もしくは合併症なしに、ヒトおよび動物の組織、器官、および/または体液と接触して用いるのに適した、化合物、材料、組成物、および/または投与量形態をいう。
【0073】
「薬学的に許容される塩」は、上記で定義される通り、薬学的に許容され、かつ所望の薬理活性を保有する、本発明の化合物の塩を意味する。そのような塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などといった無機酸と; または1,2-エタンジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、3-フェニルプロピオン酸、4,4'-メチレンビス(3-ヒドロキシ-2-エン-1-カルボン酸)、4-メチルビシクロ[2.2.2]オクタ-2-エン-1-カルボン酸、酢酸、脂肪族モノ-およびジカルボン酸、脂肪族硫酸、芳香族硫酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、炭酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクロペンタンプロピオン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヘプタン酸、ヘキサン酸、ヒドロキシナフトエ酸、乳酸、ラウリル硫酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムコン酸、o-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、シュウ酸、p-クロロベンゼンスルホン酸、フェニル-置換アルカン酸、プロピオン酸、p-トルエンスルホン酸、ピルビン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、酒石酸、第三級ブチル酢酸、トリメチル酢酸などといった有機酸と形成される酸付加塩が含まれる。薬学的に許容される塩には、存在する酸性プロトンが無機または有機塩基と反応可能な場合に形成されうる、塩基付加塩も含まれる。許容される無機塩基には、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アルミニウムおよび水酸化カルシウムが含まれる。許容される有機塩基には、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N-メチルグルカミンなどが含まれる。本発明の任意の塩の一部を形成している特定のアニオンもしくはカチオンは、塩が全体として薬理学的に許容される限り、重要ではないことが理解されるべきである。薬学的に許容される塩ならびにそれらの調製法および使用法のさらなる例は、Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, and Use (P. H. Stahl & C. G. Wermuth eds., Verlag Helvetica Chimica Acta, 2002)に提示されている。
【0074】
本明細書において用いられる「薬学的に許容される担体」という用語は、化学物質を担持もしくは輸送することに関与する、液体もしくは固体充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒またはカプセル封入材料などの、薬学的に許容される材料、組成物もしくは媒体を意味する。
【0075】
「予防」または「予防すること」には、(1) 疾患のリスクが高い、および/もしくは素因を有しうるが、疾患の任意の、もしくは全ての病態もしくは総体症状をまだ経験もしくは提示していない、対象もしくは患者における疾患の発症を阻害すること、ならびに/または(2) 疾患のリスクが高い、および/もしくは素因を有しうるが、疾患の任意の、もしくは全ての病態もしくは総体症状をまだ経験もしくは提示していない、対象もしくは患者における疾患の病態もしくは総体症状の発症を遅延させることが含まれる。
【0076】
「繰り返し単位」は、特定の材料、例えば、有機材料、無機材料もしくは有機金属のいずれかの、骨格および/もしくは重合体の最も単純な構造実体である。重合体鎖の場合、繰り返し単位は、ネックレスのビーズのように、鎖に沿って連続的に連結される。例えば、ポリエチレン-[-CH2CH2-]n-において、繰り返し単位は-CH2CH2-である。下付き文字「n」は、重合度、すなわち、ともに連結した繰り返し単位の数を示す。「n」の値が未定義のままである場合、または「n」がない場合、それは単に材料の重合体性のみでなく、括弧内の式の繰り返しを指定する。繰り返し単位の概念は、金属有機骨格、変性重合体、熱硬化性重合体などにおけるような、繰り返し単位間の連結が三次元的に伸びるところに等しく適用される。デンドリマーの文脈内で、繰り返し単位はまた、分枝単位、内部層、もしくは世代として記述されうる。同様に、末端基はまた、表面基として記述されうる。
【0077】
「立体異性体」もしくは「光学異性体」は、同じ原子が同じ他の原子に結合しているが、それらの原子の三次元の配置が異なる、所与の化合物の異性体である。「鏡像異性体」は、左右の手のような、互いに鏡像である、所与の化合物の立体異性体である。「ジアステレオマー」は、鏡像異性体ではない、所与の化合物の立体異性体である。キラル分子は、立体中心もしくはステレオジェン中心ともいわれる、キラル中心を含み、これは任意の2つの基の交換が立体異性体につながるような基を担持する分子における任意の点であるが、必ずしも原子ではない。有機化合物において、キラル中心は典型的には炭素、リンもしくは硫黄原子であるが、有機および無機化合物において他の原子が立体中心であることも可能である。分子は複数の立体中心を有し、多くの立体異性体を生じることもできる。その立体異性が四面体ステレオジェン中心(例えば、四面体炭素)による化合物において、仮説上可能な立体異性体の総数は2nを越えず、nは四面体立体中心の数である。対称性を有する分子は多くの場合、可能な最大数よりも少ない立体異性体を有する。鏡像異性体の50:50混合物はラセミ混合物といわれる。あるいは、鏡像異性体の混合物は、1つの鏡像異性体が50%よりも多い量で存在するように、鏡像異性的に濃縮されうる。典型的には、鏡像異性体および/もしくはジアステレオマーは、当技術分野において公知の技術を用いて分割もしくは分離することができる。立体化学が定義されていないキラリティーの任意の立体中心もしくは軸について、キラリティーのその立体中心もしくは軸はそのR型、S型、もしくはラセミおよび非ラセミ混合物を含む、RおよびS型の混合物として存在しうることが企図される。本明細書において用いられる場合、「他の立体異性体を実質的に含まない」という語句は、組成物が≦15%、より好ましくは≦10%、さらにより好ましくは≦5%、もしくは最も好ましくは≦1%の別の立体異性体を含むことを意味する。
【0078】
「処置」もしくは「処置すること」には、(1) 疾患の病態もしくは総体症状を経験もしくは提示している対象もしくは患者における疾患を阻害する(例えば、病態および/もしくは総体症状のさらなる発生を停止する)こと、(2) 疾患の病態もしくは総体症状を経験もしくは提示している対象もしくは患者における疾患を改善する(例えば、病態および/もしくは総体症状を逆転する)こと、および/または(3) 疾患の病態もしくは総体症状を経験もしくは提示している対象もしくは患者における疾患の任意の測定可能な低減を行うことが含まれる。
【0079】
前述の定義は、参照により本明細書に組み入れられる任意の参照文献における任意の相反する定義に取って代わる。しかし、特定の用語が定義されているという事実は、定義されていない任意の用語が明確ではないことを示すと考えられるべきではない。むしろ、用いられる全ての用語は、当業者であれば本発明の範囲を理解し、本発明を実践しうるような用語で本発明を記述すると考えられる。
【0080】
B. カチオン性イオン化可能脂質
本開示のいくつかの局面において、親油性およびカチオン性の成分を含有する化合物を含有し、カチオン性成分がイオン化可能である、組成物が提供される。いくつかの態様において、これらのカチオン性イオン化可能脂質はデンドリマーであり、これは規則的な樹状分枝を示す重合体であり、枝分かれした層を、コアにもしくはコアから、順次もしくは世代的に添加することにより形成され、コアと、少なくとも1つの内部分枝層と、表面分枝層とによって特徴付けられる。(Petar R. Dvornic and Donald A. Tomalia in Chem. in Britain, 641-645, August 1994を参照のこと)。他の態様において、本明細書において用いられる「デンドリマー」という用語は、限定するものではないが、内部コアを有する分子構造と、この内部コアに規則的に結合した繰り返し単位の内部層(もしくは「世代」)と、最外の世代に結合した末端基の外部表面とを含むことが意図される。「デンドロン」は、コアに直接もしくは連結部分を通じ連結されて、より大きなデンドリマーを形成するかもしくは形成しうる焦点から発する分枝を有するデンドリマーの種である。いくつかの態様において、デンドリマー構造は、各分枝について各繰り返し単位を兼ねる中心コアからの放射性の繰り返し基を有する。いくつかの態様において、本明細書において記述されるデンドリマーは、小分子、中型の分子、脂質、もしくは脂質様材料として記述されうる。これらの用語は、デンドロン様の外観(例えば、単一の焦点から放射する分子)を有する、本明細書において記述される化合物を記述するために使用されうる。
【0081】
デンドリマーは重合体であるが、デンドリマーは、制御可能な構造、単一の分子量、多数の制御可能な表面官能基を有し、特定の世代に達した後に伝統的に球状構造をとるため、従来の重合体より好ましい。デンドリマーは、単分散、樹状および/もしくは世代構造の重合体構造を生成するために、各繰り返し単位の逐次反応によって調製することができる。個々のデンドリマーは、その中心コア上の1つもしくは複数の機能的部位に結合した樹状のくさびを有する、中心のコア分子からなる。デンドリマー表面層は、調製中に用いられるアセンブリ単量体によって、アニオン性、カチオン性、親水性もしくは親油性基を含む種々の官能基をその上に配置することができる。
【0082】
コア、繰り返し単位の官能基および/もしくは化学的性質、ならびに表面基もしくは末端基を修飾することにより、それらの物理的性質を調節することができる。変化させることができるいくつかの特性には、溶解性、毒性、免疫原性および生物学的付着能力が含まれるが、これらに限定されることはない。デンドリマーは、それらの世代もしくは枝中の繰り返し単位の数によって記述されることが多い。コア分子のみからなるデンドリマーは世代0といわれ、一方、全ての分枝に沿った各連続繰り返し単位は、末端基もしくは表面基まで、第1世代、第2世代などである。いくつかの態様において、チオールとの第2の縮合反応ではなく、アミンとの第1の縮合反応のみから生じる半世代が可能である。
【0083】
デンドリマーの調製は、各連続した基によりデンドリマーを構築することを含む一連の段階的反応によって達成される、あるレベルの合成制御を必要とする。デンドリマー合成は、収束型もしくは発散型のものであることができる。多様なデンドリマー合成の間、前世代に1つの世代を付着させ、続いて、反応の次の段階のために官能基を変化させる段階的プロセスにより、コアから周辺へと分子が組み立てられる。官能基の変換は、制御されない重合を防止するために必要である。そのような重合は、単分散ではなく、さもなければ超分枝重合体として知られている高度に分枝した分子をもたらす。デンドリマー繰り返し単位を反応させ続けると、立体効果により、立体的な過密状態が特定の世代で完全な反応を妨げ、分子の単分散性を破壊するまで、球状もしくは球形分子が生じる。したがって、いくつかの態様において、G1~G10世代のデンドリマーが特に企図される。いくつかの態様において、デンドリマーは、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10個の繰り返し単位、またはその中で導き出せる任意の範囲を含む。いくつかの態様において、本明細書において用いられるデンドリマーは、G0、G1、G2もしくはG3である。しかし、分枝重合体中の間隔単位を低減させることによって、可能な世代数(11、12、13、14、15、20、もしくは25など)を増加させることができる。
【0084】
さらに、デンドリマーは、2つの主要な化学的環境: 末端生成時に特定の表面基によって作出される環境と、高次構造によりバルク媒体および表面基から遮蔽されうる樹状構造の内部とを有する。これらの異なる化学的環境のために、デンドリマーは、治療用途を含む多数の異なる潜在的用途を見出した。
【0085】
いくつかの局面において、本発明の組成物において用いられうるデンドリマーは、アクリレートおよびメタクリレート基とアミンおよびチオールとの示差反応性を用いて組み立てられる。デンドリマーには、アクリレート基と第1級もしくは第2級アミンとのおよびメタクリレートとメルカプト基との反応によって形成される第2級もしくは第3級アミンおよびチオエーテルが含まれる。さらに、デンドリマーの繰り返し単位は、生理学的条件下で分解可能な基を含みうる。いくつかの態様において、これらの繰り返し単位は、1つもしくは複数の初期(germinal)ジエーテル、エステル、アミドもしくはジスルフィド基を含みうる。いくつかの態様において、コア分子は、一方向のみの樹状重合を可能にするモノアミンである。他の態様において、コア分子は、それぞれが1つもしくは複数の繰り返し単位を含みうる複数の異なる樹状分枝を有するポリアミンである。デンドリマーは、このコアから1つもしくは複数の水素原子を除去することによって形成されうる。いくつかの態様において、これらの水素原子は、窒素原子などのヘテロ原子上にある。いくつかの態様において、末端基は、長鎖アルキル基もしくはアルケニル基などの親油性基である。他の態様において、末端基は、長鎖ハロアルキル基もしくはハロアルケニル基である。他の態様において、末端基は、アミン(-NH2)もしくはカルボン酸(-CO2H)などのイオン化可能基を含む脂肪族基もしくは芳香族基である。さらに他の態様において、末端基は、水酸基、アミド基、もしくはエステルなどの1つもしくは複数の水素結合供与体を含む脂肪族基もしくは芳香族基である。
【0086】
本開示のカチオン性イオン化可能脂質は、1つもしくは複数の非対称に置換された炭素原子もしくは窒素原子を含み、光学的に活性な形態もしくはラセミ形態で単離されうる。したがって、特定の立体化学もしくは異性体形態が具体的に示されない限り、化学式の全てのキラル、ジアステレオマー、ラセミ形態、エピマー形態および全ての幾何異性形態が意図される。カチオン性イオン化可能脂質は、ラセミ化合物およびラセミ混合物、単一鏡像異性体、ジアステレオマー混合物ならびに個々のジアステレオマーとして生じうる。いくつかの態様において、単一のジアステレオマーが得られる。本開示のカチオン性イオン化可能脂質のキラル中心は、S配置またはR配置を有することができる。さらに、カチオン性イオン化可能脂質の1つもしくは複数が構造異性体として存在しうることが企図される。いくつかの態様において、化合物は同じ式を有するが、コアの窒素原子との異なる結合性を有する。いかなる理論にも束縛されることを望まないが、出発単量体が最初に第1級アミンと反応し、次いで統計的に、存在するいずれかの第2級アミンと反応するので、そのようなカチオン性イオン化可能脂質が存在するものと考えられる。したがって、構造異性体は、完全に反応した第1級アミン、次いで、反応した第2級アミンの混合物を提示しうる。
【0087】
本開示のカチオン性イオン化可能脂質を表すために用いられる化学式は、典型的には、おそらくいくつかの異なる互変異性体のうちの1つのみを示すであろう。例えば、多くのタイプのケトン基が、対応するエノール基と平衡状態で存在することが知られている。同様に、多くのタイプのイミン基が、エナミン基と平衡して存在する。与えられた式についてどの互変異性体が描かれていても、どの1つが最も一般的であっても、所与の化学式の全ての互変異性体が意図される。
【0088】
本開示のカチオン性イオン化可能脂質はまた、本明細書において記載される適応症でもしくはそれ以外で用いるかどうかにかかわらず、それらが先行技術において公知の化合物よりも効果的であり、低い毒性であり、長く作用し、強力であり、少ない副作用をもたらし、容易に吸収され、および/もしくは良好な薬物動態プロファイル(例えば、高い経口バイオアベイラビリティおよび/もしくは低いクリアランス)を有し、ならびに/または先行技術において公知の化合物に比べて他の有用な薬理学的、物理的、もしくは化学的性質を有しうるという利点がありうる。
【0089】
さらに、本開示のカチオン性イオン化可能脂質を構成する原子は、そのような原子の全ての同位体形態を含むことが意図される。同位体は、本明細書において用いられる場合、同じ原子番号を有するが異なる質量数を有する原子を含む。一般的な例として、限定するものではないが、水素の同位体には三重水素および重水素が含まれ、炭素の同位体には13Cおよび14Cが含まれる。
【0090】
本明細書において提供されるカチオン性イオン化可能脂質の任意の塩形態の一部を形成している特定のアニオンもしくはカチオンは、塩が全体として薬理学的に許容される限り、重要ではないことが認識されるべきである。薬学的に許容される塩ならびにそれらの調製法および使用法のさらなる例は、Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, and Use (2002)に提示されており、これは参照により本明細書に組み入れられる。
【0091】
C. 脂質ナノ粒子中のさらなる脂質
本開示のいくつかの局面において、1つもしくは複数の脂質を含有する組成物をカチオン性イオン化可能脂質と混合して組成物を作出する。いくつかの態様において、重合体は、1、2、3、4、もしくは5種類の異なるヘルパー脂質と混合される。カチオン性イオン化可能脂質は、単一のタイプの複数の異なる脂質と混合できることが企図される。いくつかの態様において、カチオン性イオン化可能脂質組成物は、少なくともステロイドもしくはステロイド誘導体、PEG脂質、およびリン脂質を含む。
【0092】
1. ステロイドおよびステロイド誘導体
本開示のいくつかの局面において、カチオン性イオン化可能脂質を1つもしくは複数のステロイドもしくはステロイド誘導体と混合して組成物を作出する。いくつかの態様において、ステロイドもしくはステロイド誘導体は、任意のステロイドもしくはステロイド誘導体を含む。本明細書において用いられる場合、いくつかの態様において、「ステロイド」という用語は、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、オキソ基、アシル基、または2つもしくはそれ以上の炭素原子間の二重結合を含む1つもしくは複数の置換をさらに含みうる四環17炭素環構造を有する化合物のクラスである。1つの局面において、ステロイドの環構造は、下記の式に示されるように、3つの縮合シクロヘキシル環および縮合シクロペンチル環を含む:
。
いくつかの態様において、ステロイド誘導体は、1つもしくは複数の非アルキル置換を有する上記の環構造を含む。いくつかの態様において、ステロイドもしくはステロイド誘導体は、式が、
のようにさらに定義される、ステロールである。本開示のいくつかの態様において、ステロイドもしくはステロイド誘導体は、コレスタンもしくはコレスタン誘導体である。コレスタンにおいて、環構造は、式:
によってさらに定義される。上記のように、コレスタン誘導体は、上記環系の1つもしくは複数の非アルキル置換を含む。いくつかの態様において、コレスタンもしくはコレスタン誘導体は、コレステンもしくはコレステン誘導体またはステロールもしくはステロール誘導体である。他の態様において、コレスタンもしくはコレスタン誘導体は、コレステンおよびステロールもしくはその誘導体の両方である。
【0093】
いくつかの態様において、組成物は、約1:4~約8:1の、ステロイドのカチオン性イオン化可能脂質に対するモル比をさらに含みうる。いくつかの態様において、モル比は、約1:4、1:3、1:2、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1~約8:1もしくはその中で導き出せる任意の範囲である。いくつかの態様において、モル比は約1:1~約6:1、例えば2:1もしくは3:1である。
【0094】
2. PEGもしくはPEG化脂質
本開示のいくつかの局面において、重合体は、デンドリマー組成物を作出するために1つもしくは複数のPEG化脂質(もしくはPEG脂質)と混合される。いくつかの態様において、本開示は、PEG基が結合した任意の脂質を用いることを含む。いくつかの態様において、PEG脂質は、グリセロール基に結合したPEG鎖をも含むジグリセリドである。他の態様において、PEG脂質は、PEG鎖でリンカー基に結合した1つもしくは複数のC6~C24長鎖アルキルもしくはアルケニル基またはC6~C24脂肪酸基を含む化合物である。PEG脂質のいくつかの非限定的な例としては、PEG修飾ホスファチジルエタノールアミンおよびホスファチジン酸、PEGセラミドコンジュゲート化PEG修飾ジアルキルアミンおよびPEG修飾1,2-ジアシルオキシプロパン-3-アミン、PEG修飾ジアシルグリセロールおよびジアルキルグリセロールが挙げられる。いくつかの態様においては、PEG修飾ジアステアロイルホスファチジルエタノールアミンもしくはPEG修飾ジミリストイル-sn-グリセロール。いくつかの態様において、PEG修飾は、脂質のPEG成分の分子量によって測定される。いくつかの態様において、PEG修飾は、約100~約15,000の分子量を有する。いくつかの態様において、分子量は、約200~約500、約400~約5,000、約500~約3,000、もしくは約1,200~約3,000である。PEG修飾の分子量は、約100、200、400、500、600、800、1,000、1,250、1,500、1,750、2,000、2,250、2,500、2,750、3,000、3,500、4,000、4,500、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、10,000、12,500~約15,000である。本発明において使用されうる脂質のいくつかの非限定的な例は、米国特許第5,820,873号、WO 2010/141069、もしくは米国特許第8,450,298号によって教示されており、これらは参照により本明細書に組み入れられる。
【0095】
別の局面において、PEG脂質は下記式を有する:
式中、 R
12およびR
13は各々独立してアルキル
(C≦24)、アルケニル
(C≦24)、もしくはこれらの基のいずれかの置換型であり; R
eは水素、アルキル
(C≦8)もしくは置換アルキル
(C≦8)であり; およびxは1~250である。いくつかの態様において、R
eはメチルなどのアルキル
(C≦8)である。R
12およびR
13は各々独立してアルキル
(C≦4~20)である。いくつかの態様において、xは5~250である。1つの態様において、xは5~125であり、またはxは100~250である。いくつかの態様において、PEG脂質は1,2-ジミリストイル-sn-グリセロール、メトキシポリエチレングリコールである。
【0096】
別の局面において、PEG脂質は下記式を有する:
式中、 n
1は1~100の整数であり、n
2およびn
3は各々独立して1~29の整数から選択される。いくつかの態様において、n
1は5、10、15、20、25、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、もしくは100、またはその中で導き出せる任意の範囲である。いくつかの態様において、n
1は約30~約50である。いくつかの態様において、n
2は5~23である。いくつかの態様において、n
2は11~約17である。いくつかの態様において、n
3は5~23である。いくつかの態様において、n
3は11~約17である。
【0097】
いくつかの態様において、組成物は、約1:1~約1:100の、PEG脂質のカチオン性イオン化可能脂質に対するモル比をさらに含みうる。いくつかの態様において、モル比は、約1:1、3:5、1:2、1:5、1:10、1:20、1:30、1:40、1:50、1:60、1:70、1:80、1:90~約1:100もしくはその中で導き出せる任意の範囲である。いくつかの態様において、モル比は約1:1~約1:15である。
【0098】
3. リン脂質
本開示のいくつかの局面において、重合体は、組成物を作出するために1つもしくは複数のリン脂質と混合される。いくつかの態様においては、リン酸基をも含む任意の脂質。いくつかの態様において、リン脂質は、1つもしくは2つの長鎖C6~C24アルキルもしくはアルケニル基、グリセロールもしくはスフィンゴシン、1つもしくは2つのリン酸基、および任意で、有機小分子を含む構造である。いくつかの態様において、有機小分子は、アミノ酸、糖、またはコリンもしくはエタノールアミンなどの、アミノ置換アルコキシ基である。いくつかの態様において、リン脂質はホスファチジルコリンである。いくつかの態様において、リン脂質はジステアロイルホスファチジルコリンもしくはジオレオイルホスファチジルエタノールアミンである。
【0099】
いくつかの態様において、組成物は、約1:10~約1:20の、リン脂質のカチオン性イオン化可能脂質に対するモル比をさらに含みうる。いくつかの態様において、モル比は、約1:5、2:9、1:4、1:2、8:9、1:1、4:3、2:1、3:1、4:1、6:1、8:1~約10:1もしくはその中で導き出せる任意の範囲である。いくつかの態様において、モル比は約1:1~約4:1である。
【0100】
D. 核酸、および核酸に基づく治療剤
1. 核酸
本開示のいくつかの局面において、デンドリマー組成物は、1つもしくは複数の核酸を含む。いくつかの態様において、デンドリマー組成物は、約5:1~約1:100のデンドリマーに対する重量比で存在する1つもしくは複数の核酸を含む。いくつかの態様において、核酸のデンドリマーに対する重量比は、約5:1、2.5:1、1:1、1:5、1:10、1:15、1:20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:45、1:50、1:60、1:70、1:80、1:90、もしくは1:100、またはその中で導き出せる任意の範囲である。いくつかの態様において、重量比は約1:25もしくは約1:7である。さらに、本開示は、本明細書において開示される特定の核酸に限定されないことが明らかなはずである。しかしながら、当業者は、ヒト以外の種(例えば、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、サル、テナガザル、チンパンジー、類人猿、ヒヒ、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ネコおよび他の種)由来の核酸を含む核酸のさまざまな他の供給源における関連した同族体を容易に同定することができるので、本発明は、核酸の任意の特定の供給源、配列、もしくはタイプに範囲が限定されない。本開示において用いられる核酸は、天然に存在する配列に基づく配列を含みうることが企図される。遺伝コードの縮重を考慮すれば、天然配列のヌクレオチド配列と同一であるヌクレオチドの少なくとも約50%、一般的には少なくとも約60%、より一般的には約70%、最も一般的には約80%、好ましくは少なくとも約90%および最も好ましくは約95%を有する配列。別の態様において、核酸は、天然配列に対する相補配列であり、または75%、80%、85%、90%、95%および100%に相補的である。250、500、1000、1212、1500、2000、2500、3000もしくはそれ以上をコードする、より長いポリヌクレオチドが、本発明において企図される。
【0101】
本明細書において用いられる核酸は、ゲノムDNAに由来してもよく、すなわち、特定の生物のゲノムから直接クローン化されてもよい。しかし、好ましい態様において、核酸は相補的DNA (cDNA)を含むであろう。天然のイントロンもしくは別の遺伝子に由来するイントロンを加えたcDNAも企図される; そのように操作された分子は「ミニ遺伝子」といわれることもある。少なくとも、本発明のこれらのおよび他の核酸は、例えば、ゲル電気泳動における分子量標準として使用されうる。
【0102】
「cDNA」という用語は、メッセンジャーRNA (mRNA)を鋳型として用いて調製されたDNAをいうように意図される。ゲノムDNA、または、非プロセシングもしくは部分的にプロセシングされたRNA鋳型から重合されたDNAとは対照的に、cDNAを用いることの利点は、cDNAが主として、対応するタンパク質のコード配列を含むということである。最適な発現のために非コード領域が必要とされる場合、またはイントロンなどの非コード領域がアンチセンス戦略において標的とされる場合のような、完全もしくは部分ゲノム配列が好ましい場合がありうる。
【0103】
いくつかの態様において、核酸は、遺伝子もしくは遺伝子産物の発現を阻害する1つもしくは複数のアンチセンスセグメントを含む。アンチセンス方法論は、核酸が「相補的」配列と対になる傾向があるという事実を利用する。相補的とは、ポリヌクレオチドが、標準的なワトソン-クリック相補性規則にしたがって塩基対形成できるものであることを意味する。すなわち、より大きなプリンがより小さなピリミジンと塩基対を形成して、シトシンと対になったグアニン(G:C)、DNAの場合にはチミンと対になったアデニン(A:T)、もしくはRNAの場合にはウラシルと対になったアデニン(A:U)の組み合わせを形成するであろう。イノシン、5-メチルシトシン、6-メチルアデニン、ヒポキサンチンおよび他のものなどのあまり一般的でない塩基を、ハイブリダイズする配列に含めても、対形成は妨害されない。
【0104】
ポリヌクレオチドにより二本鎖(ds) DNAをターゲティングすると三重らせん形成が起こる; RNAをターゲティングすると二重らせん形成が起こるであろう。アンチセンスポリヌクレオチドは、標的細胞に導入されると、その標的ポリヌクレオチドに特異的に結合し、転写、RNAプロセシング、輸送、翻訳および/もしくは安定性を妨げる。アンチセンスRNA構築体、もしくはそのようなアンチセンスRNAをコードするDNAは、宿主細胞内で、インビトロもしくはインビボのどちらかで、例えばヒト対象を含む宿主動物内で、遺伝子転写もしくは翻訳またはその両方を阻害するために利用されうる。
【0105】
アンチセンス構築体は、プロモーターおよび他の制御領域、エクソン、イントロンもしくは遺伝子のエクソン-イントロン境界にさえも結合するようにデザインされうる。最も有効なアンチセンス構築体は、イントロン/エクソンスプライスジャンクションに相補的な領域を含むことが企図される。したがって、好ましい態様は、イントロン-エクソンスプライスジャンクションの50~200塩基内の領域に対して相補性を有するアンチセンス構築体を含むことが提案される。いくつかのエクソン配列を、その標的選択性に重大な影響を及ぼすことなく構築体に含めることができることが観察されている。含まれるエクソン材料の量は、用いられる特定のエクソンおよびイントロン配列に依って変化するであろう。単に、インビトロで構築体を試験して、正常細胞機能が影響を受けているかどうか、または相補配列を有する関連遺伝子の発現が影響を受けているかどうかを決定することによって、含まれているエクソンDNAが多すぎるかどうかを容易に試験することができる。
【0106】
上記のように、「相補的」もしくは「アンチセンス」は、それらの全長にわたって実質的に相補的であり、かつ塩基ミスマッチがほとんどないポリヌクレオチド配列を意味する。例えば、長さが15塩基の配列は、位置番号13もしくは14で相補的なヌクレオチドを有する場合、相補的と称されうる。当然のことながら、完全に相補的な配列は、その全長にわたって完全に相補的であり、かつ塩基のミスマッチを有しない配列であろう。相同性の程度がより低い他の配列も企図される。例えば、相同性の高い領域を限定的に有し、非相同領域も含む、アンチセンス構築体(例えば、リボザイム; 以下参照)をデザインすることができる。これらの分子は、50%未満の相同性を有するが、適切な条件下で標的配列に結合するであろう。
【0107】
2. 修飾された核酸塩基
いくつかの態様において、本開示の核酸は、修飾された糖部分を含む1つもしくは複数の修飾されたヌクレオシドを含む。1つもしくは複数の糖修飾されたヌクレオシドを含むそのような化合物は、天然の糖部分を含むヌクレオシドのみを含むオリゴヌクレオチドと比べて、標的核酸との増大したヌクレアーゼ安定性もしくは増加した結合親和性といった、望ましい特性を有しうる。いくつかの態様において、修飾された糖部分は、置換された糖部分である。いくつかの態様において、修飾された糖部分は糖代用物である。そのような糖代用物は、置換された糖部分の置換に対応する1つもしくは複数の置換を含みうる。
【0108】
いくつかの態様において、修飾された糖部分は、2'位および/もしくは5'位の置換基を含むがこれらに限定されない、1つもしくは複数の非架橋糖置換基を含む置換された糖部分である。2'位に適した糖置換基の例としては、2'-F、2'-OCH3 (「OMe」もしくは「O-メチル」)、および2'-O(CH2)2OCH3 (「MOE」)が挙げられるが、これらに限定されることはない。特定の態様において、2'位の糖置換基は、アリル、アミノ、アジド、チオ、O-アリル、O--C1~C10アルキル、O--C1~C10置換アルキル; OCF3、O(CH2)2SCH3、O(CH2)2--O--N(Rm)(Rn)、およびO--CH2--C(=O)--N(Rm)(Rn)から選択され、各RmおよびRnは、独立して、Hまたは置換もしくは非置換C1~C10アルキルである。5'位の糖置換基の例としては、5'-メチル(RもしくはS); 5'-ビニル、および5'-メトキシが挙げられるが、これらに限定されることはない。いくつかの態様において、置換された糖は、2つ以上の非架橋糖置換基、例えば、T-F-5'-メチル糖部分を含む(例えば、さらなる5',2'-ビス置換糖部分およびヌクレオシドの場合、PCT国際出願WO 2008/101157を参照のこと)。
【0109】
2'-置換糖部分を含むヌクレオシドは2'-置換ヌクレオシドといわれる。いくつかの態様において、2'-置換ヌクレオシドは、ハロ、アリル、アミノ、アジド、SH、CN、OCN、CF3、OCF3、O、S、もしくはN(Rm)-アルキル; O、S、もしくはN(Rm)-アルケニル; O、SもしくはN(Rm)-アルキニル; O-アルキレニル-O-アルキル、アルキニル、アルカリール、アラルキル、O-アルカリール、O-アラルキル、O(CH2)2SCH3、O(CH2)2--O--N(Rm)(Rn)もしくはO--CH2--C(=O)--N(Rm)(Rn)から選択される2'-置換基を含み、各RmおよびRnは、独立して、H、アミノ保護基または置換もしくは非置換C1~C10アルキルである。これらの2'-置換基は、ヒドロキシル、アミノ、アルコキシ、カルボキシ、ベンジル、フェニル、ニトロ(NO2)、チオール、チオアルコキシ(S-アルキル)、ハロゲン、アルキル、アリール、アルケニルおよびアルキニルから独立して選択される1つもしくは複数の置換基でさらに置換することができる。
【0110】
いくつかの態様において、2'-置換ヌクレオシドは、F、NH2、N3、OCF3、O--CH3、O(CH2)3NH2、CH2-CH=CH2、O--CH2-CH=CH2、OCH2CH2OCH3、O(CH2)2SCH3、O--(CH2)2--O--N(Rm)(Rn)、O(CH2)2O(CH2)2N(CH3)2、およびN-置換アセトアミド(O--CH2--C(=O)--N(Rm)(Rn)から選択される2'-置換基を含み、各RmおよびRnは、独立して、H、アミノ保護基または置換もしくは非置換C1~C10アルキルである。
【0111】
いくつかの態様において、2'-置換ヌクレオシドは、F、OCF3, O--CH3, OCH2CH2OCH3, O(CH2)2SCH3, O(CH2)2--O--N(CH3)2, --O(CH2)2O(CH2)2N(CH3)2、およびO--CH2--C(=O)--N(H)CH3から選択される2'-置換基を含む糖部分を含む。
【0112】
いくつかの態様において、2'-置換ヌクレオシドは、F、O--CH3、およびOCH2CH2OCH3から選択される2'-置換基を含む糖部分を含む。
【0113】
特定の修飾糖部分は、二環式糖部分を生じる第二の環を形成する架橋糖置換基を含む。いくつかのそのような態様において、二環式糖部分は、4'および2'フラノース環原子の間の架橋を含む。そのような4'-2'糖置換基の例としては、--[C(Ra)(Rb)]n--、--[C(Ra)(Rb)]n--O--、--C(RaRb)--N(R)--O--もしくは、--C(RaRb)--O--N(R)--; 4'-CH2-2'、4'-(CH2)2-2'、4'-(CH2)--O-2' (LNA); 4'-(CH2)--S-2'; 4'-(CH2)2--O-2' (ENA); 4'-CH(CH3)--O-2' (cEt)および4'-CH(CH2OCH3)--O-2'、ならびにそれらの類似体(例えば、米国特許第7,399,845号参照); 4'-C(CH3)(CH3)--O-2'およびその類似体(例えば、WO 2009/006478参照); 4'-CH2--N(OCH3)-2'およびその類似体(例えば、WO2008/150729参照); 4'-CH2--O--N(CH3)-2' (例えば、2004年9月2日付で公開されたUS2004/0171570を参照のこと); 4'-CH2--O--N(R)-2'、および4'-CH2--N(R)--O-2'-が挙げられるが、これらに限定されることはなく、式中、各Rは、独立して、H、保護基、もしくはC1~C12アルキル; 4'-CH2--N(R)--O-2'であり、式中、RはH、C1~C12アルキル、もしくは保護基(米国特許第7,427,672号参照); 4'-CH2--C(H)(CH3)-2' (例えば、Chattopadhyaya et al., J. Org. Chem., 2009, 74, 118-134を参照のこと); ならびに4'-CH2--C(=CH2)-2'およびその類似体(PCT国際出願WO 2008/154401を参照のこと)である。
【0114】
いくつかの態様において、そのような4'-2'架橋は独立して、--[C(Ra)(Rb)]n--、--C(Ra)=C(Rb)--、--C(Ra)=N--、--C(=NRa)--、--C(=O)--、--C(=S)--、--O--、--Si(Ra)2--、--S(=O)x--、および--N(Ra)--から独立して選択される1~4個の連結基を含み; 式中、
xは0、1、もしくは2であり;
nは1、2、3、もしくは4であり;
各RaおよびRbは、独立して、H、保護基、ヒドロキシル、C1~C12アルキル、置換されたC1~C12アルキル、C2~C12アルケニル、置換されたC2~C12アルケニル、C2~C12アルキニル、置換されたC2~C12アルキニル、C5~C20アリール、置換されたC5~C20アリール、複素環基、置換された複素環基、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、C5~C7脂環式基、置換されたC5~C7脂環式基、ハロゲン、OJ1、NJ1J2、SJ1、N3、COOJ1、アシル(C(=O)--H)、置換されたアシル、CN、スルホニル(S(=O)2-J1)、もしくはスルホキシル(S(=O)-J1)であり; ならびに
各J1およびJ2は、独立して、H、C1~C12アルキル、置換されたC1~C12アルキル、C2~C12アルケニル、置換されたC2~C12アルケニル、C2~C12アルキニル、置換されたC2~C12アルキニル、C5~C20アリール、置換されたC5~C20アリール、アシル(C(=O)--H)、置換されたアシル、複素環基、置換された複素環基、C1~C12アミノアルキル、置換されたC1~C12アミノアルキル、または保護基である。
【0115】
二環式糖部分を含むヌクレオシドは、二環式ヌクレオシドもしくはBNAといわれる。二環式ヌクレオシドには、(A) α-L-メチレンオキシ(4'-CH2--O-2') BNA、(B) β-D-メチレンオキシ(4'-CH2--O-2') BNA (ロックド核酸もしくはLNAともいわれる)、(C) エチレンオキシ(4'-(CH2)2--O-2') BNA、(D) アミノオキシ(4'-CH2--O--N(R)-2') BNA、(E) オキシアミノ(4'-CH2--N(R)--O-2') BNA、(F) メチル(メチレンオキシ) (4'-CH(CH3)--O-2') BNA (拘束エチルもしくはcEtともいわれる)、(G) メチレン-チオ(4'-CH2--S-2') BNA、(H) メチレン-アミノ(4'-CH2-N(R)-2') BNA、(I) メチル炭素環式(4'-CH2--CH(CH3)-2') BNA、(J) プロピレン炭素環式(4'-(CH2)3-2') BNA、および(K) メトキシ(エチレンオキシ) (4'-CH(CH2OMe)-O-2') BNA (拘束MOEもしくはcMOEともいわれる)が含まれるが、これらに限定されることはない。
【0116】
さらなる二環式糖部分は、当技術分野において公知である、例えば: Singh et al., Chem. Commun., 1998, 4, 455-456; Koshkin et al., Tetrahedron, 1998, 54, 3607-3630; Wahlestedt et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 2000, 97, 5633-5638; Kumar et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 1998, 8, 2219-2222; Singh et al., J. Org. Chem., 1998, 63, 10035-10039; Srivastava et al., J. Am. Chem. Soc., 129(26) 8362-8379 (Jul. 4, 2007); Elayadi et al., Curr. Opinion Invens. Drugs, 2001, 2, 5561; Braasch et al., Chem. Biol., 2001, 8, 1-7; Orum et al., Curr. Opinion Mol. Ther., 2001, 3, 239-243; 米国特許第7,053,207号、同第6,268,490号、同第6,770,748号、同第6,794,499号、同第7,034,133号、同第6,525,191号、同第6,670,461号、および同第7,399,845号; WO 2004/106356、WO 1994/14226、WO 2005/021570、およびWO 2007/134181; 米国特許出願公開第2004/0171570号、同第2007/0287831号、および同第2008/0039618号; 米国特許出願第12/129,154号、同第60/989,574号、同第61/026,995号、同第61/026,998号、同第61/056,564号、同第61/086,231号、同第61/097,787号、および同第61/099,844号; ならびにPCT国際出願番号PCT/US2008/064591、PCT/US2008/066154、およびPCT/US2008/068922。
【0117】
いくつかの態様において、二環式糖部分、およびそのような二環式糖部分を組み入れたヌクレオシドは、異性立体配置によってさらに定義される。例えば、4'-2'メチレン-オキシ架橋を含むヌクレオシドは、α-L配置もしくはβ-D配置にありうる。これまでに、α-L-メチレンオキシ(4'-CH2--O-2')二環式ヌクレオシドは、アンチセンス活性を示すアンチセンスオリゴヌクレオチドに組み入れられている(Frieden et al., Nucleic Acids Research, 2003, 21, 6365-6372)。
【0118】
いくつかの態様において、置換された糖部分は、1つもしくは複数の非架橋糖置換基および1つもしくは複数の架橋糖置換基(例えば、5'-置換および4'-2'架橋糖; PCT国際出願WO 2007/134181、ここではLNAが、例えば、5'-メチルもしくは5'-ビニル基で置換されている)を含む。
【0119】
いくつかの態様において、修飾された糖部分は糖代用物である。いくつかのそのような態様において、天然糖の酸素原子は、例えば、硫黄、炭素もしくは窒素原子で置換される。いくつかのそのような態様において、そのような修飾された糖部分はまた、上記のように架橋および/もしくは非架橋置換基を含む。例えば、特定の糖代用物は、4'-硫黄原子および置換を2'-位(例えば、公開された米国特許出願第2005/0130923号を参照のこと)および/もしくは5'位に含む。さらなる例として、4'-2'架橋を有する炭素環式二環式ヌクレオシドが記述されている(例えば、Freier et al., Nucleic Acids Research, 1997, 25(22), 4429-4443およびAlbaek et al., J. Org. Chem., 2006, 71, 7731-7740を参照のこと)。
【0120】
いくつかの態様において、糖代用物は、5-原子以外の環を含む。例えば、いくつかの態様において、糖代用物は、6員テトラヒドロピランを含む。そのようなテトラヒドロピランは、さらに修飾もしくは置換されうる。そのような修飾されたテトラヒドロピランを含むヌクレオシドには、ヘキシトール核酸(HNA)、アニトール核酸(ANA)、マンニトール(manitol)核酸(MNA) (Leumann, C J. Bioorg. & Med. Chem. (2002) 10:841-854を参照のこと)、およびフルオロHNA (F-HNA)が含まれるが、これらに限定されることはない。
【0121】
いくつかの態様において、q1、q2、q3、q4、q5、q6およびq7がそれぞれHである式VIIの修飾されたTHPヌクレオシドが提供される。特定の態様において、q1、q2、q3、q4、q5、q6およびq7の少なくとも1つはH以外である。いくつかの態様において、q1、q2、q3、q4、q5、q6およびq7の少なくとも1つはメチルである。いくつかの態様において、R1およびR2の1つがFである式VIIのTHPヌクレオシドが提供される。特定の態様において、R1はフルオロであり、かつR2はHであり、R1はメトキシであり、かつR2はHであり、およびR1はメトキシエトキシであり、かつR2はHである。
【0122】
アンチセンス化合物への組み入れのためのヌクレオシドを修飾するために用いることができる多くの他のビシクロおよびトリシクロ糖代用物環系も当技術分野において公知である(例えば、総説: Leumann, J. C, Bioorganic & Medicinal Chemistry, 2002, 10, 841-854を参照のこと)。
【0123】
非限定的に、2'-F-5'-メチル置換ヌクレオシド(他の開示された5',2'-ビス置換ヌクレオシドの場合にはPCT国際出願WO 2008/101157を参照のこと)ならびにSでのリボシル環酸素原子の置換および2'位でのさらなる置換(米国特許出願第2005/0130923号参照)あるいは二環式核酸の5'置換(PCT国際出願WO 2007/134181を参照されたく、4'-CH2--O-2'二環式ヌクレオシドは、5'の位置で5'-メチルもしくは5'-ビニル基によりさらに置換されている)などの、修飾の組み合わせも提供される。また、炭素環式二環式ヌクレオシドの合成および調製はそのオリゴマー化および生化学的研究とともに記述されている(例えば、Srivastava et al., 2007を参照のこと)。
【0124】
いくつかの態様において、本発明は、修飾されたヌクレオシドを含むオリゴヌクレオチドを提供する。それらの修飾されたヌクレオチドは、修飾された糖、修飾された核酸塩基、および/もしくは修飾された結合を含みうる。特定の修飾は、得られたオリゴヌクレオチドが所望の特徴を保有するように選択される。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、1つもしくは複数のRNA様ヌクレオシドを含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、1つもしくは複数のDNA様ヌクレオチドを含む。
【0125】
いくつかの態様において、本発明のヌクレオシドは、1つもしくは複数の未修飾核酸塩基を含む。特定の態様において、本発明のヌクレオシドは、1つもしくは複数の修飾核酸塩基を含む。
【0126】
いくつかの態様において、修飾された核酸塩基は、本明細書において定義されるユニバーサル塩基、疎水性塩基、無差別(promiscuous)塩基、サイズ拡張塩基、およびフッ素化塩基、2-アミノプロピルアデニン、5-プロピニルウラシルを含む、5-置換ピリミジン、6-アザピリミジンならびにN-2、N-6およびO-6置換プリン; 5-プロピニルシトシン; 5-ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2-アミノアデニン、アデニンおよびグアニンの6-メチルおよび他のアルキル誘導体、アデニンおよびグアニンの2-プロピルおよび他のアルキル誘導体、2-チオウラシル、2-チオチミンおよび2-チオシトシン、5-ハロウラシルおよびシトシン、5-プロピニルCH3)ウラシルおよびシトシンならびにピリミジン塩基の他のアルキニル誘導体、6-アザ(azo)ウラシル、シトシンおよびチミン、5-ウラシル(シュードウラシル)、4-チオウラシル、8-ハロ、8-アミノ、8-チオール、8-チオアルキル、8-ヒドロキシルならびに他の8-置換アデニンおよびグアニン、5-ハロ、特に5-ブロモ、5-トリフルオロメチルおよび他の5-置換ウラシルおよびシトシン、7-メチルグアニンおよび7-メチルアデニン、2-F-アデニン、2-アミノ-アデニン、8-アザグアニンおよび8-アザアデニン、7-デアザグアニンおよび7-デアザアデニン、3-デアザグアニンおよび3-デアザアデニン、本明細書において定義されるユニバーサル塩基、疎水性塩基、無差別塩基、サイズ拡張塩基、およびフッ素化塩基から選択される。さらに修飾された核酸塩基には、フェノキサジンシチジン([5,4-b][1,4]ベンゾオキサジン-2(3H)-オン)、フェノチアジンシチジン(1H-ピリミド[5,4-b][1,4]ベンゾチアジン-2(3H)-オン)などの三環式ピリミジン、置換フェノキサジンシチジン(例えば、9-(2-アミノエトキシ)-H-ピリミド[5,4-13][1,4]ベンゾオキサジン-2(3H)-オン)、カルバゾールシチジン(2H-ピリミド[4,5-b]インドール-2-オン)、ピリドインドールシチジン(H-ピリド[3',2':4,5]ピロロ[2,3-d]ピリミジン-2-オン)などのG-クランプが含まれる。修飾された核酸塩基はまた、プリンもしくはピリミジン塩基が他の複素環で置換されたもの、例えば7-デアザ-アデニン、7-デアザグアノシン、2-アミノピリジンおよび2-ピリドンを含みうる。さらなる核酸塩基には、米国特許第3,687,808号に開示されているもの、The Concise Encyclopedia Of Polymer Science And Engineering, Kroschwitz, J. I., Ed., John Wiley & Sons, 1990, 858-859に開示されているもの; Englisch et al., 1991により開示されているもの; およびSanghvi, Y. S., 1993により開示されているものが含まれる。
【0127】
上記の修飾された核酸塩基および他の修飾された核酸塩基のいくつかの調製を教示する代表的な米国特許には、非限定的に、米国特許第3,687,808号; 同第4,845,205号; 同第5,130,302号; 同第5,134,066号; 同第5,175,273号; 同第5,367,066号; 同第5,432,272号; 同第5,457,187号; 同第5,459,255号; 同第5,484,908号; 同第5,502,177号; 同第5,525,711号; 同第5,552,540号; 同第5,587,469号; 同第5,594,121号; 同第5,596,091号; 同第5,614,617号; 同第5,645,985号; 同第5,681,941号; 同第5,750,692号; 同第5,763,588号; 同第5,830,653号および同第6,005,096号が含まれ、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0128】
いくつかの態様において、本発明は、結合したヌクレオシドを含むオリゴヌクレオチドを提供する。そのような態様において、ヌクレオシド同士は、任意のヌクレオシド間結合を用いて連結されうる。ヌクレオシド間連結基の2つの主なクラスは、リン原子の存在もしくは非存在によって定義される。代表的なリン含有ヌクレオシド間結合には、ホスホジエステル(P=O)、ホスホトリエステル、メチルホスホネート、ホスホラミデートおよびホスホロチオエート(P=S)が含まれるが、これらに限定されることはない。代表的な非リン含有ヌクレオシド間連結基には、メチレンメチルイミノ(--CH2--N(CH3)--O--CH2--)、チオジエステル(--O--C(O)--S--)、チオノカルバメート(--O--C(O)(NH)--S--); シロキサン(--O--Si(H)2--O--); およびN,N'-ジメチルヒドラジン(--CH2--N(CH3)--N(CH3)--)が含まれるが、これらに限定されることはない。天然のホスホジエステル結合と比較して、修飾された結合は、オリゴヌクレオチドのヌクレアーゼ耐性を変化させる、典型的には増加させるために用いることができる。いくつかの態様において、キラル原子を有するヌクレオシド間結合は、ラセミ混合物として、または別個の鏡像異性体として調製することができる。代表的なキラル結合には、アルキルホスホネートおよびホスホロチオエートが含まれるが、これらに限定されることはない。リン含有および非リン含有ヌクレオシド間結合の調製の方法は、当業者に周知である。
【0129】
本明細書において記述されるオリゴヌクレオチドは、1つもしくは複数の不斉中心を含み、したがって絶対立体化学に関して、(R)もしくは(S)、糖アノマーの場合などのαもしくはβ、またはアミノ酸などの場合などの(D)もしくは(L)として定義されうる鏡像異性体、ジアステレオマー、および他の立体異性体配置を生じる。本明細書において提供されるアンチセンス化合物に含まれるのは、全てのそのような可能な異性体、ならびにそれらのラセミ体および光学的に純粋な形態である。
【0130】
中性のヌクレオシド間結合には、非限定的に、ホスホトリエステル、メチルホスホネート、MMI (3'-CH2--N(CH3)--O-5')、アミド-3 (3'-CH2--C(=O)--N(H)-5')、アミド-4 (3'-CH2--N(H)--C(=O)-5')、ホルムアセタール(3'-O--CH2--O-5')、およびチオホルムアセタール(3'-S--CH2--O-5')が含まれる。さらなる中性のヌクレオシド間結合には、シロキサン(ジアルキルシロキサン)、カルボキシレートエステル、カルボキサミド、スルフィド、スルホネートエステルおよびアミドを含む非イオン結合が含まれる(例えば: Carbohydrate Modifications in Antisense Research; Y. S. Sanghvi and P. D. Cook, Eds., ACS Symposium Series 580; Chapters 3 and 4, 40-65を参照のこと)。さらなる中性のヌクレオシド間結合には、混合されたN、O、SおよびCH2構成部分を含む非イオン結合が含まれる。
【0131】
オリゴヌクレオチド上の他の位置、特に3'末端ヌクレオチド上の糖の3'位、および5'末端ヌクレオチドの5'位で、さらなる修飾を行うこともできる。例えば、本発明のリガンド結合オリゴヌクレオチドの1つのさらなる修飾は、オリゴヌクレオチドの活性、細胞分布もしくは細胞取り込みを増強する1つもしくは複数のさらなる非リガンド部分もしくはコンジュゲートをオリゴヌクレオチドに化学的に連結することを伴う。そのような部分には、コレステロール部分(Letsinger et al., 1989)などの脂質部分、コール酸(Manoharan et al., 1994)、チオエーテル、例えば、ヘキシル-5-トリチルチオール(Manoharan et al., 1992; Manoharan et al., 1993)、チオコレステロール(Oberhauser et al., 1992)、脂肪族鎖、例えば、ドデカンジオールもしくはウンデシル残基(Saison-Behmoaras et al., 1991; Kabanov et al., 1990; Svinarchuk et al., 1993)、リン脂質、例えば、ジ-ヘキサデシル-rac-グリセロールもしくはトリエチルアンモニウム1,2-ジ-O-ヘキサデシル-rac-グリセロ-3-H-ホスホネート(Manoharan et al., 1995; Shea et al., 1990)、ポリアミンもしくはポリエチレングリコール鎖(Manoharan et al., 1995)、またはアダマンタン酢酸(Manoharan et al., 1995)、パルミチル部分(Mishra et al., 1995)、またはオクタデシルアミンもしくはヘキシルアミノ-カルボニル-オキシコレステロール部分(Crooke et al., 1996)が含まれるが、これらに限定されることはない。
【0132】
そのようなオリゴヌクレオチドコンジュゲートの調製を教示する代表的な米国特許には、米国特許第4,828,979号; 同第4,948,882号; 同第5,218,105号; 同第5,525,465号; 同第5,541,313号; 同第5,545,730号; 同第5,552,538号; 同第5,578,717号、同第5,580,731号; 同第5,580,731号; 同第5,591,584号; 同第5,109,124号; 同第5,118,802号; 同第5,138,045号; 同第5,414,077号; 同第5,486,603号; 同第5,512,439号; 同第5,578,718号; 同第5,608,046号; 同第4,587,044号; 同第4,605,735号; 同第4,667,025号; 同第4,762,779号; 同第4,789,737号; 同第4,824,941号; 同第4,835,263号; 同第4,876,335号; 同第4,904,582号; 同第4,958,013号; 同第5,082,830号; 同第5,112,963号; 同第5,214,136号; 同第5,082,830号; 同第5,112,963号; 同第5,214,136号; 同第5,245,022号; 同第5,254,469号; 同第5,258,506号; 同第5,262,536号; 同第5,272,250号; 同第5,292,873号; 同第5,317,098号; 同第5,371,241号、同第5,391,723号; 同第5,416,203号、同第5,451,463号; 同第5,510,475号; 同第5,512,667号; 同第5,514,785号; 同第5,565,552号; 同第5,567,810号; 同第5,574,142号; 同第5,585,481号; 同第5,587,371号; 同第5,595,726号; 同第5,597,696号; 同第5,599,923号; 同第5,599,928号および同第5,688,941号が含まれるが、これらに限定されることはなく、これらの各々は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0133】
E. キット
本開示はまた、キットを提供する。本明細書において開示される成分のいずれも、キットの形態で組み合わせることができる。いくつかの態様において、キットは、上記のもしくは特許請求の範囲における組成物を含む。
【0134】
キットには一般に、成分が配置され、好ましくは適切に分注されうる、少なくとも1つのバイアル、試験管、フラスコ、ボトル、シリンジもしくは他の容器が含まれる。キット中に2つ以上の成分がある場合、キットにはまた一般に、さらなる成分が別個に配されうる、第2、第3もしくは他のさらなる容器が含まれる。しかしながら、成分のさまざまな組み合わせを容器に含めることができる。いくつかの態様において、脂質ナノ粒子成分の全てが単一の容器中で組み合わされる。他の態様において、脂質ナノ粒子成分の一部もしくは全部が別個の容器中で提供される。
【0135】
本発明のキットはまた、典型的には、商業的販売のために密閉してさまざまな容器を含むための包装を含む。そのような包装は、所望の容器が保持される厚紙または射出成形もしくはブロー成形プラスチック包装を含みうる。キットはまた、キット成分を利用するための説明書を含みうる。説明書は、実行可能なバリエーションを含みうる。
【実施例0136】
F. 実施例
以下の実施例は、本発明の好ましい態様を実証するために含まれる。以下の実施例において開示される技法は、本発明の実践において良好に機能するように発明者によって発見された技法を表し、したがって、その実践のための好ましい様式を構成すると考えることができることが、当業者には理解されるべきである。しかしながら、当業者であれば、本開示に照らして、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、開示された特定の態様において多くの変更をなすことができ、それでもなお、同様のもしくは類似の結果を得ることができることを認識すべきである。
【0137】
実施例1: 材料および方法
A. 材料
デンドリマー5A2-SC8は、既述(Zhou et al., 2016)のように合成された。1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)は、Avanti Polar Lipidsから購入した。コレステロールはSigma-Aldrichから購入した。1,2-ジミリストイル-sn-グリセロール-メトキシポリエチレングリコール2000 (DMG-PEG)は、NOF America Corporationから購入した。ONE-Glo + Tox Luciferase Reporterアッセイキットは、Promega Corporationから購入した。4',6-ジアミジノ-2-フェニルインドール二塩酸塩(DAPI)、Lysotracker Green DND-26、Hoechst 33342、DLS Ultramicroキュベット、およびLab-Tekチャンバーカバーガラスユニットは、Thermo Fisher Scientificから購入した。ニチシノン(NTBC)はYecuris Corporationから購入した。ホタルルシフェラーゼmRNA (FLuc mRNAおよびCy5-Luc mRNA)は、TriLink BioTechnologiesから購入した。D-ルシフェリン(ナトリウム塩)は、Gold Biotechnologyから購入した。Pur-A-Lyzer Midi Dialysis Kits (WMCO, 3.5 kDa)は、Sigma-Aldrichから購入した。
【0138】
B. mRNA合成
本研究において用いられたmCherry mRNAおよびFAH mRNAは、インビトロ転写(IVT)によって作出された。手短に言えば、mCherryおよびFAHのコドン領域を、pCS2+MTプラスミド(Addgene)にクローニングし、その後、5',3'非翻訳領域およびポリAをpDNA鋳型の中にさらに構築し、mRNAの安定性および翻訳効率を向上させようとした。最後に、IVTプロトコル(SP6プロモーター)にしたがって線形化pDNAを実施した。UTPをIVT反応でN1-メチルプソイドウリジン-5'-三リン酸に置き換え、Cap-1 mRNAをワクシニアキャッピング酵素および2'-O-メチルトランスフェラーゼ(NEB)によって得た。mCherryおよびFAHのコード領域配列は、次の通りであった:
【0139】
C. ナノ粒子製剤
5A2-SC8、DOPE、コレステロールおよびDMG-PEGを、実験デザイン(DOE)に基づいて所与のモル比でエタノールに溶解した。DOEにはOrthogonal Designing Assistant II V3.1と呼ばれるソフトウェアを用いた。クエン酸緩衝液(10 mM, pH 4.0)に溶解したmRNA、重量比20:1 (5A2-SC8:mRNA)を、体積比3:1 (mRNA:脂質, v/v)で脂質のエタノール溶液中にピペットで素早く混合し、次に室温で10分間インキュベートした。形成後、新鮮なDLNP/mRNA製剤を1×PBSで希釈して、インビトロアッセイ法およびサイズ検出のために0.5 ng mRNA/μL (エタノールは5%未満)にした。動物実験の場合、DLNP/mRNAサンプルを最初に1×PBSに対して2時間透析し(Pur-A-Lyzer Midi Dialysis Kits, WMCO 3.5kDa, Sigma-Aldrich)、次にPBSで15 μl/gに希釈して静脈内(IV)注射を実施した。
【0140】
D. DLNP特性評価
mRNAを負荷したDLNP製剤の物理化学的特性を評価するために、動的光散乱法(DLS, Malvern; He-Neレーザー, λ = 632 nm; 検出角度 = 173°)を用いた。100 μlの新鮮なナノ粒子(0.5 ng mRNA/μl, 上記の通り)を用いてサイズ分布および多分散指数(PDI)を測定し、続いて1×PBSで800 μlに希釈することによりゼータ電位を試験した。mRNAのカプセル化効率を計算するために、Quant-iT RiboGreen RNA Assayをその標準プロトコル(ThermoFisher)に基づきおよび既述のように実施した。透過電子顕微鏡法(TEM, FEI Tecnai G2 Spirit Biotwin)を用いて、DLNP構造を観察した。手短に言えば、サンプル(2 mg/mLの総脂質) 5~8 μLをTEMグリッドに1分間滴下し、余分なサンプルを拭き取り、1時間乾燥させてから画像化した。pKaを測定するために、改変された2-(p-トルイジノ)-6-ナフタレンスルホン酸(TNS)アッセイ法を既報(Zhou et al., 2016)のように利用した。10 mM HEPES、10 mM MES (4-モルホリンエタンスルホン酸)、10 mM酢酸アンモニウムおよび130 mM NaClを含有し、pHが2.5~11の範囲であった一連の緩衝液中でDLNP/mRNA製剤を希釈した。TNSプローブ(蒸留水中100 μMのストック液)を上記の溶液とわずかに振とうしながら5分間混合し、60 μMの総脂質および2 μMのプローブをそれぞれ含む最終容量100 μLにした。各ウェルの蛍光をTecanプレートリーダーによりλEx = 321 nmおよびλEm = 445 nmで測定し、データをpH 2.5の値に対して正規化した。最大半量蛍光のpHは、製剤のpKaを示した。
【0141】
E. mDLNP安定性
mDLNP安定性を調べるために、PBS (4℃および37℃)中および10% FBSを含有する培地中に37℃で1週間貯蔵してサイズおよびPDIをモニターした。DLNPを上記のように形成し、1×PBSで透析した後、1×PBSおよび10% FBSで5 ng/μLに希釈した(n=3)。160 μLをDLS Ultramicroキュベット中にピペットで移し、37℃で貯蔵した。その後、サイズおよびPDIを1週間モニターした。
【0142】
F. インビトロルシフェラーゼ発現および細胞生存性試験
ルシフェラーゼmRNAを負荷したDLNP製剤でのトランスフェクションの前に、Orthogonal Designing Assistant II V3.1ソフトウェアを用いてDOEを実施した。L16 (44)直交表を用いて2ラウンドの直交アッセイ法を実行した。IGROV-1細胞を1ウェルあたり1×104個の細胞の密度で白色96ウェルプレート中に播種した。24時間後、細胞を新鮮RPMI 1640 medium (5% FBS) 150 μLによって交換し、DLNP/Fluc mRNA製剤50 μLを1ウェルあたり25 ngの固定mRNAとともに添加した。細胞を24時間さらにインキュベートし、ONE-Glo + Toxキットを標準プロトコルに基づくmRNA発現および細胞毒性検出に用いた。
【0143】
G. 細胞取り込みおよびエンドソーム脱出
DLNP/mRNA製剤の細胞取り込みおよびエンドソーム脱出を研究するために、共焦点画像化を実行した。IGROV-1細胞をLab-Tek Chambered Coverglassの中に2×104個の細胞/ウェルの密度で播種した。24時間後、細胞を新鮮RPMI 1640培地(5% FBS) 150 μLによって交換し、50 μL DLNP/Cy5-Fluc mRNA製剤固定50 ng mRNA/ウェルで処理した。処理後2時間および8時間の時点で、細胞をPBSで3回洗浄し、Lysotracker Green (1:3000希釈)およびHoechst 33342 (0.1 mg/mL)により37℃で15分間染色し、その後、共焦点顕微鏡法(LSM 700, Zeiss)によって画像化した。
【0144】
H. インビボLuc mRNA送達
全ての実験は、テキサス大学サウスウエスタンメディカルセンターの施設動物管理および使用委員会により承認され、該当する場合、地方、州および連邦の規制に合致していた。正常な野生型C57BL/6マウスをUTSWマウス繁殖コアから購入し、FAH-/-マウスはHao Zhu教授の研究室から親切にも提供していただいた。インビボスクリーニング、時間および用量依存性実験を、Luc mRNA送達で評価した。体重18~20 gの雌性C57BL/6マウスに所与の時点で、0.25 mg/kgの用量のLuc mRNA製剤をIV注射し、マウスにD-ルシフェリン(150 mg/kg)を腹腔内(IP)注射し、5分間インキュベートした。全身のルシフェラーゼ発現およびエクスビボ画像をIVIS Luminaシステム(Perkin Elmer)によって画像化した。用量依存的なLuc mRNA送達のため、マウスに、それぞれ0.05 mg/kg、0.1 mg/kgおよび0.2 mg/kgの用量でmRNA DLNP (mDLNP)製剤をIV注射した。6時間後、ルシフェラーゼ発現を上記のように評価した。
【0145】
I. インビボmCherry mRNA送達
雌性C57BL/6マウスにmCherry mDLNPを0.5 mg/kgの用量でIV注射した。6時間後、マウスを殺処理し、主要臓器を分離し、IVIS Luminaシステム(Perkin Elmer)によって画像化した。分離した肝臓ブロック(1.5 cm × 1.5 cm)を最適切断温度コンパウンド(O.C.T.) (Sakura Finetek)中に包埋し、Cryostat機器(Leica Biosystems)を用いて凍結切片(8 μm)にした。切片を4,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI, Vector Laboratories)で染色し、共焦点顕微鏡法(LSM 700, Zeiss)によって観察した。
【0146】
J. フローサイトメトリー
肝細胞のインビボトランスフェクション効力を研究するために、mCherry mDLNPを利用した。雌性C57BL/6マウスに0.5 mg/kgの用量で静脈内(IV)注射した。6時間後、初代マウス肝細胞を2段階コラゲナーゼ灌流によって分離した。チュービング、灌流ポンプ、およびStyrofoam操作の段階を設定した。次に、マウスをイソフルランによって麻酔し、固定し、70%エタノールを用いて腹部を洗浄した。カテーテル(BD Insyte IV 24Gシールドカテーテル、肝臓灌流培地に接続)を下大静脈に挿入し、肝臓灌流培地(Thermo Fisher Scientific, 17701038)により流速3 mL/分で7~10分間、灌流を開始し、その後、チュービングを肝臓灌流培地から肝臓消化培地(Thermo Fisher Scientific, 17703034)に切り替え、7~10分間灌流(同じ流速)を続けた。肝臓消化培地10 mLを含有するプレートの中に肝臓を収集し、肝臓嚢(liver sac)を切断して肝細胞を遊離させた。遊離した肝細胞を収集し、肝細胞(Hepatocyte)洗浄培地(Thermo Fisher Scientific, 17704024)で2回、1×PBSでもう1回、洗浄した。肝細胞を濾過および低速(50×g)遠心分離によってさらに分離した。最後に、肝細胞をFACS Aria II SORP機(BD Biosciences)によって分析した。
【0147】
K. インビボFAH mRNA治療研究
フマリルアセト酢酸ヒドロラーゼ(FAH) mRNA療法の前に、FAH mRNAの質をインビトロおよびインビボの両方で検証した。FAH mRNAの質を評価するためにA549細胞を選択した。得られたFAHタンパク質をウエスタンブロットにより定量化した。インビボ評価のため、mRNA 10 μgを含有するFAH mDLNPを各FAH-/-マウスに注射した。6時間後、肝臓切片を調製し、免疫蛍光を実施した。FAH mRNA療法のため、体重18~20 gのFAH-/-マウスをNTBC (Yecuris)水から取り出し、0日目と印した。マウスにPBS、mCherry mDLNP (10 μg/マウス)およびFAH mDLNP (10 μg/マウス)を30日目まで3日ごとに注射した。この間に、各マウスの体重をモニターし、ライフケアの質に関する施設内ガイドラインに準拠させるため、体重減少が20%超のマウスを安楽死させた。各エンドポイントにおいて、肝機能およびウエスタンブロット分析のために、血清および肝臓組織をそれぞれ収集した。
【0148】
L. 免疫蛍光(IF)
FAH mRNAの質を検証するために、マウスあたり10 μg mRNAを含有するFAH mDLNPによりFAH-/-に注射した。6時間後、分離した肝臓を4%パラホルムアルデヒド(PFA)中で固定し、最適切断温度コンパウンド(O.C.T.)中で凍結保存した。Cryostat機(Leica Biosystems)を用いてブロックを凍結切片(8 μm)にした。次に、肝臓切片(8 um)をブロッキングし(5%ウシ血清アルブミン/0.25% Triton X-100)、FAHに対する一次抗体(Yecuris, 1:1000)とともにインキュベートした。フルオロフォア結合二次抗体とのインキュベーション後、切片を4,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)で対比染色し、倒立顕微鏡検査(Leica DMI6000)によって画像化した。
【0149】
M. 肝機能検査
各エンドポイントにおいて、全血をBD Microtainer管中に収集した。5000 rpmの速度で10分間遠心分離することによって血清を分離し、次に総ビリルビン(TBIL)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)およびアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)をUTSW分子遺伝学コアによって試験した。
【0150】
N. タンパク質抽出
FAH mRNAの質を検証するために、インビトロFAH mRNA mDLNP送達を実施し、ウエスタンブロットアッセイ法を用いた。トランスフェクションの前日に、A549細胞を1ウェルあたり1×105個の細胞の密度で12ウェルプレート中に播種した。Luc mDLNP (1 μg)、FAH mDLNP (0.5 μg)、FAH mDLNP (1 μg)、RNAiMax/FAH mRNA (1 μg)およびリポフェクトアミン(Lipofectamine)2000/FAH pDNA (0.5 μg)を含む、種々のmDLNP製剤とともに24時間、細胞をインキュベートした。細胞を冷1×PBSで3回洗浄し、続いて、溶解緩衝液(50 mM Tris HCl, pH 7.4, 150 mM NaCl, 1 mM EDTAおよび1% TRITON X-100を有する) 100 μLおよびタンパク質阻害剤カクテル(100A, Thermo Fisher) 1 μLを加えた。25分間激しく振とうした後に、細胞溶解物を1.6 mlの管の中に収集し、4℃で10分間(13,000 g)遠心分離した。上清を新しい管の中に収集し、すぐに使用しない場合は-80℃中に貯蔵した。組織からのタンパク質抽出の場合、推奨プロトコルにしたがってT-PER組織タンパク質抽出試薬(ThermoFisher)を用いた。
【0151】
O. ウエスタンブロット
タンパク質濃度をBCAアッセイキット(ThermoFisher)によって測定した。総タンパク質15 μgを負荷し、4~20%ポリアクリルアミドゲル(ThermoFisher)によって分離した。分離したタンパク質をポリビニリデンメンブレン(BioRad)に転写し、これを次に5% BSA (PBSTに溶解)によりRTで1時間ブロッキングした。一次抗体を4℃で終夜適用した(ウサギFAH抗体, 1:300希釈; ウサギβアクチン抗体, 1:2000希釈)。PBSTを用いて4回洗浄した後、メンブレンを二次抗体によりRTで1時間インキュベートし(抗ウサギIgG, HRP結合抗体, 1:3000希釈)、次にメンブレンをECL基質 (ThermoFisher)で処理し画像化した。
【0152】
P. 統計分析
データは、特に記載がない限り、平均±S.E.Mとして報告されている。Graph Pad Prismバージョン7を用いて、統計比較を計算した。両側スチューデントのt検定を用いて、p値を計算した。P > 0.05は、有意ではない ; *はP < 0.05を示し; **はP < 0.005を示し; ***はP < 0.0005を示す。
【0153】
実施例2-効果的なmRNA送達および翻訳のためのDLNP内の分子相互作用の最適化
疾患誘発性の肝機能障害の増大を回避する無毒の送達媒体を発見するために、賦形剤と自己集合してDLNPとなり、損傷した肝臓にsiRNA/miRNAを効果的に送達する、イオン化可能なアミノ基を含む1,500超のエステルベースのデンドリマーの大規模ライブラリが開発された(Zhou et al., 2016)。この目的のために、遺伝子操作された後期肝がんマウスモデルを利用して、肝機能が著しく制限されたマウスで機能するために、高い送達効力と低い肝毒性とのバランスをとることができる担体を特定した。これにより、5A2-SC8が、Let-7g miRNAの送達を媒介して生存期間を延長できるリード脂質デンドリマーとして特定された。しかしながら、低分子RNA用に最適化された4成分LNP組成物(カチオン性イオン化脂質/リン脂質/コレステロール/脂質ポリ(エチレングリコール) (PEG) = 50 / 10 / 38 / 2 (モル/モル))は長鎖RNAを送達するのに効果的ではないことが分かった。LNP内の水ポケット中のRNAを取り巻く分子相互作用は、より長鎖のRNAの有効性を可能にするために厳密にバランスがとられている必要があるという仮説を評価するために、リン脂質なしで3成分LNPへと自己集合する両性イオンアミノ脂質(ZAL)と呼ばれるハイブリッド脂質が合理的にデザインされ、それらは、高い効力で細胞内にmRNAを負荷し、安定化し、かつ放出しうることが分かった(Miller et al., 2017)。各LNP成分の基本的な役割をさらに調べたところ、リン脂質がLNPへのRNAの負荷を媒介することが分かった。カチオン性脂質製剤へのリン脂質の用量設定に関する研究により、リン脂質はsiRNA送達には必要ではないが、mRNA送達には必要であることが明確に示された(Miller et al., 2017)。リン脂質含有量を増やすと、LNPへのmRNAの負荷が徐々に改善され、送達が促進された。異なるリン脂質および組成を有するLNPを用いたmRNA送達に関する他の研究室からの最近の報告によって、RNAの可溶化および安定化相互作用がLNPの組織化を改善し、送達効力を高めることがさらに示唆されている(Kauffman et al., 2015; Fenton et al., 2016; Jarzebinska et al., 2016; Kaczmarek et al., 2016; Dong et al., 2016; Li et al., 2016)。初期のZAL製剤は主に肺にmRNAを送達し、DLNPは肝臓肝細胞に低分子RNAを送達したため、本発明者らは、HT-1処置のために肝臓へのmRNA送達の改善に向けて、これらの別個の研究から学んだ電荷バランスの知識を用いてDLNP担体を合理的にデザインしようとした。
【0154】
再配合がLNPのmRNA送達能力を高めうるという基本的な証拠にもかかわらず、長鎖RNAのためのLNPの合理的デザインに向けたフレームワークは、特に各脂質が果たす役割に関しては不明なままである。これらの疑問に答え、FAHの機能的タンパク質置換のための高mRNA送達を媒介できるLNPを開発するために、効果的なmRNA送達のためのLNP内の各脂質の機能的寄与を解明するようにデザインされた体系的な直交行列デザイン手法を用いた。5A2-SC8は、物質毒性によるオフターゲット効果を懸念することなく、がんの発生と肝臓の再生における遺伝子機能性を調べるための肝臓へのsiRNAの送達に成功しているため、イオン化可能なカチオン性デンドリマーとして選択された(Zhou et al., 2016; Zhang et al., 2018a; Zhang et al., 2018b)。イオン化可能なカチオン性脂質は、混合中に低pHでRNAに結合し、エンドソーム成熟中にpHが低下するにつれて細胞内放出を促進するため、RNA送達に不可欠である(Zelphati and Szoca, 1996; Hafez et al., 2001; Sahay et al., 2013; Gilleron et al., 2013; Dahlman et al., 33; Wittrup et al., 2015; Hao et al., 2015; Yan et al., 2016; Yan et al., 2017)。1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)は、mRNA製剤でのその生産的有用性から、リン脂質として用いられた(Kauffman et al., 2015; Fenton et al., 2016; Jarzebinska et al., 2016; Kaczmarek et al., 2016; Dong et al., 2016; Li et al., 2016)。DOPEはRNA負荷を増強し(Miller et al., 2017)、不安定な六方晶相を形成してLNPの分解およびエンドソーム膜の不安定化を補助しうる(Patel et al., 2017; Harvie et al, 1998; Li and Szoka, 2007; Leung et al., 2012; Semple et al., 2010; Cheng and Lee, 2016)。mRNA送達のためにリピドイドおよび脂質様ナノ粒子を最適化したという既報を考慮して、直交実験デザイン手法を5A2-SC8デンドリマー脂質DLNPに適用した(Kauffman et al., 2015; Li et al., 2015)。LNPの各成分をどのように調整するかを先験的に知らなかったため、500超の製剤の理論的空間を網羅する44例のDLNPの試験を伴う、複数ラウンドの最適化が用いられた。LNPは、個々のパラメータが互いを妨害しうる長鎖mRNAを安定化するために、分子相互作用のバランスを必要とすることを考えると、これは重要である。ライブラリスクリーニングのこれらのラウンド(A、BおよびC)は、mRNAの送達を順次改善した。
【0155】
18~22塩基対の小さなsiRNA/miRNAを送達するための担体は、より長鎖のmRNAを効果的にパッケージ化および放出できるようにするために最適化を要することが多いということが、過去数年間で明らかになった。直交実験デザイン手法を適用して脂質および脂質様ナノ粒子をmRNA送達用に実験的に最適化する最近の取り組みにより、個々のLNP成分の調整によってmRNA送達効力を改善できることが明らかにされた(Kauffman et al., 2015 and Li et al., 2015)。内部RNAの可溶化および安定化相互作用がLNP組織を改善し、送達効力を高めるという仮説が立てられている(Kauffman et al., 2015; Li et al., 2015; Fenton et al., 2016; Jarzebinska et al., 2016; Kaczmarek et al., 2016; Dong et al., 2016; Li et al., 2016; Miller et al., 2017; Yan et al., 2017)。例えば、ハイブリッド両性イオンアミノ脂質(ZAL)は、リン脂質なしでLNPへと自己集合して、細胞内でmRNAを負荷し、安定化し、かつ放出しうることが示されている(Miller et al., 2017)。
【0156】
古典的な4成分LNPにおける各LNP成分の基本的な役割をさらに調べて、本発明者らは、リン脂質がLNPへのRNAの負荷を媒介することに気付いた。カチオン性脂質製剤へのリン脂質の用量設定に関する研究により、リン脂質はsiRNA送達には必要ではないが、mRNA送達には必要であることが明確に示された(Miller et al., 2017)。リン脂質含有量を増やすと、LNPへのmRNAの負荷が徐々に改善され、送達が促進された。この以前の研究は、LNP内の水ポケット中のRNAを取り巻く分子相互作用が、より長鎖のRNAの有効性を可能にするために厳密にバランスがとられている必要があるという本発明者らの仮説を支持するものであった。
【0157】
DLNP内の脂質の相対モル比を、以下の相対範囲で最初に調整した: 5A2-SC8 (15~45)、DOPE (10~40)、コレステロール(20~35)、およびDMG-PEG2000 (0.5~5.0)。ルシフェラーゼ(Luc) mRNAをレポーター配列として用いて、トランスフェクションに対して中程度の耐性を有する代表的な系統として、インビトロでIGROV-1卵巣がん細胞への送達を評価した(
図1Aおよび1B)。製剤A1~A4はA5~A16と同等かもしくはA5~A16よりも有効であることが直ちに分かった。驚くべきことに、A1~A4は最も低い比率のイオン化可能なカチオン性5A2-SC8を含む(
図2) (Kaczmarek et al., 2016)。LNPの50モル%をカチオン性脂質で構成する必要があることが多い標準的なsiRNA製剤と比較して、本研究では、効果的なmRNA製剤ではカチオン性脂質を劇的に減少させることができると分かった。さらに、両性イオンDOPEの相対的な増加も効力には有利であった(A4、A8、A12、A16)。長鎖mRNAは柔軟性があり、低pHの混合で、プロトン化された5A2-SC8アミンと相互作用する分子あたり数千のアニオン性リン酸塩を提示することを考えると、これは、これらの静電相互作用が強すぎることはないことを示唆している。代わりに、カチオン性脂質と両性イオンリン脂質とのバランスは、水分子と塩イオンで溶媒和されたmRNAとの会合に理想的である(Leung et al., 2012)。対照的に、短鎖siRNA (18~22塩基対のみ)は、mRNAと比較して弱い静電相互作用に加えて、分子相互作用が疎水性力を伴う剛体棒に似ている場合がある。したがって、DLNP最適化からの最初の結果によって、mRNAは、エンドサイトーシス後のmRNA放出を可能にする可能性が高いため、より弱い静電結合を必要としうることが明らかにされた。各成分の関数としてのこのデータセットのプロットにより、活性を最大化するために、イオン化可能なカチオン性脂質が低く、リン脂質が高い傾向(
図3)が明らかにされた。エステルベースの分解性5A2-SC8の毒性が低いことに起因して、細胞生存性の低下は観察されなかった。
【0158】
次に、最適化のBラウンドでは、比例的に低い5A2-SC8 (5~20)およびDOPE (10~25)の比率に焦点を合わせ、コレステロール(15~30)の相対的割合が高くなった(
図1C)。1,2-ジミリストイル-sn-グリセロール-メトキシポリ(エチレングリコール)2000 (DMG-PEG)の役割も調べた。この第2ラウンドのスクリーニングでは、全体としてより多くのヒットが明らかになり、ライブラリAから予測された調整が正しいことが示唆された。特に、DMG-PEGなしで調製されたDLNP (B1、B7、B12、B14)は、非常に低いmRNA送達能力を示した。これらの結果は、DMG-PEGがDLNPの安定性にとって重要であることを示している。
【0159】
大幅に減少した5A2-SC8および増加したDOPEを含む最適化された製剤の確立に続き、リードのDLNP B3およびB10に焦点を当てた第3ラウンドのDLNPを作出し、PEG化および担体:mRNA重量比の影響を研究した(
図4)。全体として、5A2-SC8:mRNAのより高い重量比は送達に有利であり、イオン化可能なカチオン性5A2-SC8が、その見かけ上のpKa 6.5に起因して、mRNAの放出に果たす重要な役割を強調するものであった(Zhou et al., 2016)。最適なsiRNA製剤とは対照的に、mRNA製剤はより高い比率のDMG-PEGを許容し、最高の効力は4.76% (C10)に達しうることが分かった。より長いmRNA鎖のカプセル化は、LNP直径の増加につながる可能性があると考えられ、これは、より多くのDMG-PEG包含のより小さなサイズの収縮力によってバランスをとることができる。次に、ソフトウェアを用いて、これらの結果に基づき最適な比率を予測した(C11、C12)。興味深いことに、これらの新しいDLNPは、ライブラリCの最良のDLNPよりも活性が低く、ソフトウェアおよび一般的な直感から想定されるように、LNPにおける5成分のそれぞれが独立変数ではないことを示唆している。代わりに、これらの要因間に相互作用があり、mRNAを効果的に負荷しながら、エンドサイトーシス後にmRNAを放出する能力を保持する最適に配置されたDLNPを構築する。
【0160】
全3つのライブラリの上位4つの製剤を、Luc mRNAをインビボで送達するその能力について評価した。全4つのDLNPは、静脈内(IV)投与後にLuc mRNAを肝臓に生産的に送達することができた(
図5)。これらの中で、C10は0.25 mg/kgの試験用量で肝臓における最高のLuc発現を可能にした。興味深いことに、C4 DLNPは他のDLNPよりも著しく効果が低かった。主な相違は、C4が他の製剤(およそ23モル%)と比べ2分の1より少ないイオン化可能な5A2-SC8脂質(9.71モル%)を有することである。これらの結果は、5A2-SC8が典型的なsiRNA製剤の割合と比較して半分以上減少する可能性がある一方で、送達に必要であることを示した(
図4および
図5を参照されたい)。この結果から、mRNAの肝臓送達に最適な組成物としてC10製剤が選択された。開始のsiRNA製剤との大きな相違を考慮して、本発明者らは、製剤C10をメッセンジャーRNA最適化DLNP (mDLNP)と指定した。
【0161】
次に、mDLNPの物理的特徴付けを実施した(
図6)。mDLNPは、DMG-PEG遮蔽の量が多い(4.76%)ため、100 nm前後の直径およびほぼ中性の表面電荷(-3.58 mV)を有し単分散であった。mDLNPは初期製剤と比較して明らかな改善を示した(
図7)。mDLNPは、4℃と37℃の両方でPBS中での1週間のモニタリングにわたって安定であり(直径の変化なし) (
図6Cおよび
図15)、37℃で10% FBS培地という厳しい条件下で2日間安定であった(
図15)。mDLNPは、1週間のモニタリングの過程で直径の変化がなく安定であり(
図6C)、初期製剤と比較して明らかな改善があった(
図7)。全体として、mRNA製剤とsiRNA製剤を比較する最適化研究に関して4つの結論が指摘されている: 1. イオン化可能なカチオン性脂質のモル分率は劇的に減少されると考えられるが、ゼロにはならない(mRNA放出に必要); 2. 両性イオンリン脂質のモル分率を大幅に増加させると考えられる(DLNPへのmRNAの負荷を補助し、放出を増強する); 3. コレステロールは、イオン化可能な脂質のpK
aを超えるDLNPの安定性にとって重要である(中程度のモル分率が理想的であり、効力はコレステロールの変化に対して感度が低い); および4. DLNPの安定性には脂質PEGが必要とされる(mRNA DLNPはより高いDMG-PEGモル分率を許容することができる)。さらに、DOPEなどのより極性の高いリン脂質を含有するmDLNPは、DSPCを含有するmDLNPおよび開始のsiRNA DLNPよりも効果的であった(
図6D、6E、および16)。これらの一般的なデザインガイドラインは、mRNAの送達効力を改善するために、他のカチオン性イオン化可能な脂質ベースの4成分LNP (Hajj et al., 2017)に適用できる可能性が高い。
【0162】
実施例3-mRNAを負荷したDLNPのIV投与は、強力な用量依存性タンパク質活性をもたらす
肝臓へのmDLNPの送達をさらに理解するために、IV投与後の時間依存性Luc活性を定量化した。Lucタンパク質発現は、注射後6時間でピークに達し、臓器レベル(
図8A)および全身レベル(
図9)において、高レベル(光子10
7個/秒, 0.25 mg/kg)で約2日間持続した。次に、送達のインビボでの用量応答挙動を調べた(
図8B)。Luc発現は、0.05 mg/kgから0.2 mg/kg mRNAへの用量の増加とともに増加した。肝臓全体にわたる平均の発光を計算し、時間依存および用量応答の両方の研究についてプロットした(
図8Aおよび8B)。0.05 mg/kg mRNAの用量で光子10
6個/秒を超える発現があり、mDLNPはこれまでに報告されている中で最も効果的なmRNA担体である可能性が高い。次に、肝臓肝細胞への送達を定量化した。mCherry mRNAを0.5 mg/kgの用量で送達し、肝臓切片の蛍光画像化によってmCherry発現をPBS注射された対照と比較した(
図8C)。強い赤色のmCherryシグナルが肝臓の全体にわたって観察された(
図10)。トランスフェクション効率をさらに分析するために、注射されたマウスから肝細胞を分離し、フローサイトメトリーを用いて、肝細胞へのmCherry mRNAの特異的送達を定量化した。mCherry mRNA mDLNPのIV投与6時間後に、全ての肝細胞の44.2 %がmCherryタンパク質を強力に発現していることが分かった。以前の研究により、FAHの変異は、水圧注入によって送達されるCRISPR/Cas成分を用いて(Yin et al., 2014およびPankowicz et al., 2016)もしくはCas9 mRNAの非ウイルス送達とsgRNAおよびDNAのウイルス送達とを組み合わせることによって(Yin et al., 2016)修正されたことが示されている。現在、これらのプロセスの効率は非常に低く、以前の刊行物では肝細胞の0.4%および6%と報告されている(Yin et al., 2014およびYin et al., Nat. 2016)。理論によって束縛されることを望むわけではないが、最適化されたmDLNPを用いたmRNAによるFAHのタンパク質置換は、機能性タンパク質を発現する肝細胞の比率が高い(44%超)ため、見込みのあるアプローチであると考えられる。
【0163】
最近になって、FAHの変異は、水圧注入によって送達されるCRISPR/Cas成分を用いて(Yin et al., 2014; Pankowicz et al., 2016)もしくはCas9 mRNAの非ウイルス送達とsgRNAおよびDNAのウイルス送達とを組み合わせることによって(Yin et al., 2016)修正できることが分かった。しかしながら、これらのプロセスの効率は非常に低く、以前の刊行物では肝細胞の0.4%および6%と報告されている(Yin et al., 2014; Yin et al., 2016)。それゆえ、最適化されたmDLNPを用いたmRNAによるFAHのタンパク質置換は、肝細胞の44%超がタンパク質を高度に発現するという治療上の利点を供与すると仮定される。複数ラウンドのインビトロ/インビボ直交実験デザイン手法を用いて、罹患したマウスにおいて治療上の利益を有するのに十分なFAH mRNAを送達する可能性のある製剤(
図11)が見出された。
【0164】
実施例4-DLNPは、FAH-/-マウスの肝臓へのFAH mRNAの送達を媒介し、1ヶ月を超える間体重および肝機能を正常化する
FAHタンパク質補充療法の効力を評価するために、HT-1疾患のノックアウトモデル(FAH
-/-)を利用した(Grompe et al., 1995)。それゆえ、このマウスモデルは、mRNA送達によるタンパク質補充療法の評価に最適であり、遺伝子編集による修正にはあまり適していない。これらのマウスは、HT-1の症状を軽減するためにNTBCで維持される。NTBCの除去後、FAH
-/-マウスはすぐに体重を減らし始め、スクシニルアセトンを含む代謝物の毒性レベルを蓄積し、肝不全により死亡する。FAH
-/-マウスをNTBC水から取り出した後に、マウスを3日ごとにマウスあたりmDLNP (約0.35 mg/kg)中10 μg FAH mRNAのIV注射で処置した(
図12A)。この用量およびスケジュールは、mRNA送達動態に基づいて選択した。マウスの体重を30日間モニターした。PBS注射およびmCherry mDLNPを対照として用いた。最初に、FAH mRNAを送達するmDLNPの能力を、免疫蛍光染色を用いて肝臓におけるFAHタンパク質発現を測定することにより評価した(
図12B)。肝臓切片全体に強いFAH抗体染色が観察された。治療計画の過程中、体重を測定した。PBSもしくはmCherry mRNA対照mDLNPを注射したFAH
-/-マウスは、3週間以内にその体重の20%超を減らした。対照的に、FAH mRNA mDLNPで処置したFAH
-/-マウスは活動的で、健常であり、体重を全く減らさなかった(
図12C)。mRNA処置の継続により生存期間が延長された。実験は1ヶ月後に中止されたが、mRNAの送達を継続すれば生存が無期限に媒介される可能性が高いであろう。
【0165】
FAHタンパク質産生が生存増加の原因であったことを確認するために、ウエスタンブロットによって、分離された肝臓からFAHを検出した(
図12D)。FAH mRNAで処置したマウスにおいてのみ、強力なFAHタンパク質発現が観察された。さらに、FAH mRNA mDLNPで処置したFAH
-/-マウスは、野生型C57BL/6マウスおよびNTBCで維持されたFAH
-/-マウスと比較して同等レベルのTBIL、ALT、およびASTを有していた(
図12E)。対照的に、PBSもしくはmCherry対照mDLNPを注射したFAH
-/-マウスは、肝障害マーカーが上昇していた。肝臓が損なわれたFAH
-/-マウスにおいて実施されたこの興味深い実験は、5A2-SC8 mDLNPがFAH mRNAを肝細胞に生産的に送達して、治療的に有効なレベルのFAHタンパク質を長期間にわたって産生する能力を有することを実証している。それゆえ、この送達システムは、肝疾患を有する易感染性ホストにおいて機能する能力を持っている。全ての肝細胞の40%超に高レベルのFAH mRNAを送達し、体重および肝機能を正常化する能力は、HT-1の処置における5A2-SC8 mDLNPの有用性を実証している。
【0166】
上記の実験は、肝臓肝細胞への完全長mRNAの送達用に最適化された非毒性の分解性送達システムを提供する。高いインビボトランスフェクション効率および効力のため、5A2-SC8 mDLNPは、HT-1に罹患したFAH-/-ノックアウトマウスの生存を延長させることができた。FAH mRNA処置は、30日間の実験全体を通して体重および肝機能を正常化した。この研究の過程で、mRNA送達用に最適化されたLNPは、標準的なsiRNA製剤と比較して有意に少ないイオン化可能なカチオン性脂質および多い両性イオンリン脂質を含有しうることが分かった。本研究はさらに、mRNAの送達のために他のsiRNA送達LNPを再開発するための合理的なデザインガイドラインを提供する。さらに、5A2-SC8 mDLNPがFAH mRNAを担体の毒性なしに罹患した肝臓に送達する能力により、このシステムは多種多様な肝疾患の処置に適している。
【0167】
本明細書において開示および主張される組成物および方法の全ては、本開示に照らして過度の実験なしに作製および実行されることができる。本発明の組成物および方法は特定の態様に関して記述されているが、当業者には、本発明の概念、趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書において記述される組成物および方法、ならびに方法の段階または段階の順序において、変形が適用されうることが明らかであろう。より具体的には、化学的にも生理学的にも関連する特定の薬剤が、本明細書において記述される薬剤に代用されても、同じもしくは同様の結果が達成されうることが明らかであろう。当業者には明らかなそのような同様の置換および修飾は全て、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨、範囲および概念の範囲内であるとみなされる。
【0168】
参考文献
以下の参考文献は、それらが本明細書において記載されたものを補足する例示のまたはその他の詳細を提供する範囲で、参照により本明細書に具体的に組み入れられる。
【0169】
配列情報
SEQUENCE LISTING
<110> THE BOARD OF REGENTS OF THE UNIVERSITY OF TEXAS SYSTEM
<120> LIPID NANOPARTICLE COMPOSITIONS FOR DELIVERY OF MRNA AND LONG
NUCLEIC ACIDS
<150> US 62/687,010
<151> 2018-06-19
<160> 2
<170> PatentIn version 3.5
<210> 1
<211> 711
<212> RNA
<213> Artificial sequence
<220>
<223> Synthetic oligoribonucleotide
<400> 1
auggugagca agggcgagga ggauaacaug gccaucauca aggaguucau gcgcuucaag 60
gugcacaugg agggcuccgu gaacggccac gaguucgaga ucgagggcga gggcgagggc 120
cgccccuacg agggcaccca gaccgccaag cugaagguga ccaagggugg cccccugccc 180
uucgccuggg acauccuguc cccucaguuc auguacggcu ccaaggccua cgugaagcac 240
cccgccgaca uccccgacua cuugaagcug uccuuccccg agggcuucaa uugggagcgc 300
gugaugaacu ucgaggacgg cggcguggug accgugaccc aggacuccuc ccugcaggac 360
ggcgaguuca ucuacaaggu gaagcugcgc ggcaccaacu uccccuccga cggccccgua 420
augcaguguc guaccauggg cugggaggcc uccacugagc ggauguaccc cgaggacggc 480
gcccugaagg gcgagaucaa gcagaggcug aagcugaagg acggcggcca cuacgacgcu 540
gaggucaaga ccaccuacaa ggccaagaag cccgugcagc ugcccggcgc cuacaacguc 600
gacaucaagu uggacauccu uucccacaac gaggacuaca ccaucgugga acaguacgaa 660
cgcgccgagg gccgccacuc caccggcggc auggacgagc uguacaagua a 711
<210> 2
<211> 1260
<212> RNA
<213> Artificial sequence
<220>
<223> Synthetic oligoribonucleotide
<400> 2
auguccuuua uuccaguggc cgaggacucc gacuuuccca uccaaaaccu gcccuauggu 60
guuuucucca cucaaagcaa cccaaagcca cggauuggug uagccaucgg ugaccagauc 120
uuggaccuga gugucauuaa acaccucuuu accggaccug cccuuuccaa acaucaacau 180
gucuucgaug agacaacucu caauaacuuc augggucugg gucaagcugc auggaaggag 240
gcaagagcau ccuuacagaa cuuacugucu gccagccaag cccggcucag agaugacaag 300
gagcuucggc agcgugcauu caccucccag gcuucugcga caaugcaccu uccugcuacc 360
auaggagacu acacggacuu cuacucuucu cggcagcaug ccaccaaugu uggcauuaug 420
uucagaggca aggagaaugc gcuguugcca aauuggcucc acuuaccugu gggauaccau 480
ggccgagcuu ccuccauugu gguaucugga accccgauuc gaagacccau ggggcagaug 540
agaccugaua acucaaagcc uccuguguau ggugccugca gacucuuaga cauggaguug 600
gaaauggcuu ucuucguagg cccugggaac agauucggag agccaauccc cauuuccaaa 660
gcccaugaac acauuuucgg gaugguccuc augaacgacu ggagcgcacg agacauccag 720
caaugggagu acgucccacu ugggccauuc cuggggaaaa gcuuuggaac cacaaucucc 780
ccgugggugg ugccuaugga ugcccucaug cccuuugugg ugccaaaccc aaagcaggac 840
cccaagcccu ugccauaucu cugccacagc cagcccuaca cauuugauau caaccugucu 900
gucucuuuga aaggagaagg aaugagccag gcggcuacca ucugcagguc uaacuuuaag 960
cacauguacu ggaccaugcu gcagcaacuc acacaccacu cuguuaaugg augcaaccug 1020
agaccugggg accucuuggc uucuggaacc aucaguggau cagacccuga aagcuuuggc 1080
uccaugcugg aacuguccug gaagggaaca aaggccaucg auguggggca ggggcagacc 1140
aggaccuucc ugcuggacgg cgaugaaguc aucauaacag gucacugcca gggggacggc 1200
uaccguguug gcuuuggcca gugugcuggg aaagugcugc cugcccuuuc accagccuga 1260
対象における疾患もしくは障害を処置するための、請求項1~14のいずれか一項記載の組成物であって、前記核酸が、疾患または障害を処置するのに有効である、該組成物。