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特開2024-150693薬物送達システムのためのスペーサ組立体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150693
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】薬物送達システムのためのスペーサ組立体
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/315 20060101AFI20241016BHJP
   A61M 5/142 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
A61M5/315 510
A61M5/142 520
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024119607
(22)【出願日】2024-07-25
(62)【分割の表示】P 2023031038の分割
【原出願日】2017-06-08
(31)【優先権主張番号】62/347,911
(32)【優先日】2016-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/616,183
(32)【優先日】2017-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ヴィンセント クイン
(72)【発明者】
【氏名】トゥリヴィクラマ バノージ パーラ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ソング
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド オーブリー プランプトル
(72)【発明者】
【氏名】マルコム スタンリー ボイド
(72)【発明者】
【氏名】ピーター クイン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】薬剤を注射するための薬物送達システムを提供する。
【解決手段】薬剤を注射するための薬物送達システムであって、薬剤を受け入れるように構成された容器508と、駆動組立体500であって、半径方向に突出した羽根520を有するドラム部分518を含む送りねじ514と、送りねじの回転がプランジャ516を軸方向に変位させるように、送りねじに結合されたプランジャであって、プランジャの軸方向変位が容器内のストッパを移動させる、プランジャと、ドラム部分内に配置され、送りねじに結合され、送りねじを回転方向に付勢する定力バネと、半径方向に突出した羽根に隣接し、第1の位置から第2の位置まで移動可能な作動レリーズであって、第1の位置は半径方向に突出した羽根の回転を防止し、第2の位置は半径方向に突出した羽根の回転を許容する、作動レリーズ512と、を含む駆動組立体と、を含む薬物送達システム。
【選択図】図83
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤を注射するための薬物送達システムであって、
薬剤を受け入れるように構成された容器であって、前記容器内で移動するように構成されたストッパを含む容器と、
駆動組立体であって、
半径方向に突出した羽根を有するドラム部分を含む送りねじと、
前記送りねじの回転がプランジャを軸方向に変位させるように、前記送りねじに結合されたプランジャであって、前記プランジャの軸方向変位が前記容器内の前記ストッパを移動させる、プランジャと、
前記ドラム部分内に配置され、前記送りねじに結合され、前記送りねじを回転方向に付勢する定力ばねと、
前記半径方向に突出した羽根に隣接し、第1の位置から第2の位置まで移動可能な作動レリーズであって、前記第1の位置は前記半径方向に突出した羽根の回転を防止し、前記第2の位置は前記半径方向に突出した羽根の回転を許容する、作動レリーズと、を含む駆動組立体と、
を含む薬物送達システム。
【請求項2】
前記定力ばねは、半径方向に巻かれている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記定力ばねは、非螺旋状である、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記定力ばねは、前記ドラム部分と同軸である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記定力ばねは、前記プランジャと同軸である、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記送りねじは、前記プランジャ内に配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記作動レリーズが前記第2の位置にあるとき、前記定力ばねの巻が戻って前記送りねじを回転させ、それによって前記プランジャを軸方向に変位させ、前記ストッパを移動させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記容器と流体連通するように構成された針を含む針アクチュエータ組立体をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記針が、使用前位置から使用後位置まで軸方向に変位可能であり、前記針アクチュエータ組立体が、前記針を前記使用後位置に向けて付勢する付勢部材を含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記針の軸方向変位が、前記作動レリーズを前記第1の位置から前記第2の位置に移動させる、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記作動レリーズに結合され、前記作動レリーズを前記第1の位置から前記第2の位置に移動させるように操作可能な作動ボタンをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記送りねじは、前記プランジャのねじ山部分と係合するねじ山部分を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記駆動組立体の少なくとも一部をその中に含むハウジングをさらに含み、前記ハウジングは、前記半径方向に突出した羽根の可視性を提供する窓を含む、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、注射により患者の体内に流体を送達するための注射器デバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、そのそれぞれが参照により全体として本明細書に組み込まれている、2016年6月9日に出願した米国特許仮出願第62/347,911号明細書、および2017年6月7日に出願した米国特許出願第15/616,183号明細書の優先権を主張するものである。
【0003】
薬液および他の治療用液体製剤が未訓練の人物によって投与されるかまたは自己注射されることを可能にするために、様々なタイプの自動注射デバイスが開発されてきた。一般に、これらのデバイスは、治療用液体製剤が予め充填されるリザーバと、使用者によって始動され得る何らかのタイプの自動針注射機構とを含む。投与すべき流体または薬物の体積が一般に1mLなどの特定の体積を下回る場合、約10から15秒間の注射時間を典型的に有する自己注射器が典型的に使用される。投与すべき流体または薬物の体積が1mLを超える場合、注射時間は一般により長くなり、患者がデバイスと患者の皮膚の標的領域との間の接触を維持するのが難しくなる。さらに、投与すべき薬物の体積が大きくなるにつれて、注射のための期間を増大させることが望ましくなる。患者にゆっくりと注射すべき薬物のための従来の方法は、静脈内注射を開始して患者の体内に薬物をゆっくりと注射することである。そのような処置は、典型的には病院または外来診療の場で行われる。
【0004】
特定のデバイスは、家庭環境での自己注射を可能にし、かつ、治療用液体製剤を患者の皮膚内に徐々に注射することができる。場合によっては、これらのデバイスは、治療用液体製剤が患者に注入されている間、患者によってそれらが「装着」されることを可能にするほどに(高さおよび全体的な大きさの両方において)小型である。これらのデバイスは、典型的には、ポンプまたは他のタイプの吐出機構を含んで、治療用液体製剤を強制的にリザーバから流出させて注射針に流入させる。そのようなデバイスはまた、典型的には、治療用液体製剤を適時に流れ始めさせるための弁または流れ制御機構と、注射を開始するための始動機構(triggering mechanism)とを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2013/155153号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2014/179774号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2015/081337号パンフレット
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの態様では、薬剤を注射するための薬物送達システムが、ストッパおよびクロージャを含む、薬剤を受け入れるように構成された容器を具備し、ストッパは、容器内で使用前位置から使用後位置へ移動するように構成される。システムは、第1の位置と第2の位置との間でストッパを移動させるように構成された駆動組立体と、容器のストッパと係合され、かつ、駆動組立体によって係合されるように構成されたスペーサ組立体とを含む。スペーサ組立体は、ストッパ内に受け入れられる第1のスペーサ部分、第1のスペーサ部分から予め定められた距離だけ離間された第2のスペーサ部分、内側プランジャ、および内側プランジャによって受け入れられるスペーサシャトルを含む。内側プランジャ、スペーサシャトル、および第2の部分は、ストッパに対して移動するように構成され、第2のスペーサ部分の移動は、スペーサシャトルによって制限され、スペーサシャトルの移動は、内側プランジャによって制限され、内側プランジャの移動は、ストッパによって制限される。
【0007】
内側プランジャは、第1の部分、および第1の部分から軸方向に離間された第2の部分を有することができ、スペーサシャトルは、内側プランジャが第1の位置にあるときには軸方向移動を制限され、内側プランジャが第2の位置にあるときにはストッパに対して移動可能である。第2のスペーサ部分は、内側プランジャが第1の位置にあるときにはスペーサシャトルを介して軸方向移動を制限され、内側プランジャが第2の位置にあるときにはストッパに対して移動可能であり得る。ストッパは、閉じられた第1の端部、および第2の開いた端部を有することができ、ストッパの閉じられた第1の端部は、ストッパの閉じられた第1の端部が内側プランジャと係合される使用位置と、ストッパの閉じられた第1の端部が内側プランジャから離間される投与終了位置との間で容器に対して軸方向に移動可能であり、また、内側プランジャは、ストッパが投与終了位置にあるときに第1の位置から第2の位置へ自由に移動することができる。ストッパは、容器内に受け入れられた薬剤との係合に基づいて使用位置と投与終了位置との間で移動するように構成され得る。
【0008】
ストッパは、閉じられた第1の端部、および第2の開いた端部を有することができ、ストッパの閉じられた第1の端部は、ストッパの閉じられた第1の端部が内側プランジャと係合される使用位置と、ストッパの閉じられた第1の端部が内側プランジャから離間される投与終了位置との間で容器に対して軸方向に移動可能であり、また、内側プランジャは、ストッパが投与終了位置にあるときに第1の位置から第2の位置へ自由に移動することができる。ストッパは、容器内に受け入れられた薬剤との係合に基づいて使用位置と投与終了位置との間で移動するように構成され得る。スペーサ組立体の第2の部分の予め定められた距離の移動は、駆動組立体に針の後退を引き起こさせるように構成され得る。スペーサシャトルは、内側プランジャに対して回転可能であってよく、スペーサ組立体の第2の部分の軸方向変位は、スペーサシャトルの回転を生じさせるように構成される。スペーサ組立体の第2の部分は、スペーサ組立体の第1のスペーサ部分の直接係合を可能にするように構成されたアクセス開口部を画定し得る。
【0009】
さらなる態様では、薬剤を注射する薬物送達システムのためのスペーサ組立体が、ストッパによって受け入れられるように構成された第1のスペーサ部分と、第1のスペーサ部分から予め定められた距離だけ離間された第2のスペーサ部分と、内側プランジャと、内側プランジャによって受け入れられるスペーサシャトルとを含み、内側プランジャ、スペーサシャトル、およびスペーサの第2の部分は、第1のスペーサ部分に対して移動するように構成される。第2のスペーサ部分の移動は、スペーサシャトルによって制限され、スペーサシャトルの移動は、内側プランジャによって制限される。
【0010】
内側プランジャは、第1の位置、および第1の位置から軸方向に離間された第2の位置を有することができ、スペーサシャトルは、内側プランジャが第1の位置にあるときには軸方向移動を制限され、内側プランジャが第2の位置にあるときにはストッパに対して移動可能であり得る。第2のスペーサ部分は、内側プランジャが第1の位置にあるときにはスペーサシャトルを介して軸方向移動を制限され、内側プランジャが第2の位置あるときにはストッパに対して移動可能であり得る。スペーサ組立体の第2の部分は、第1のプランジャが第2の位置にあるときにはスペーサ組立体の第1の部分に向かって自由に移動することができてもよい。スペーサシャトルは、内側プランジャに対して回転可能であってよく、スペーサ組立体の第2の部分の軸方向変位は、スペーサシャトルの回転を生じさせるように構成される。スペーサ組立体の第2のスペーサ部分は、スペーサ組立体の第1のスペーサ部分の直接係合を可能にするように構成されたアクセス開口部を画定し得る。スペーサ組立体の第1の部分およびスペーサ組立体の第2の部分は、予め定められた距離にわたる相対的な軸方向移動を可能にしながら、互いに固着され得る。
【0011】
さらなる態様では、薬剤を注射するための薬物送達システムが、ストッパおよびクロージャを含む、薬剤を受け入れるように構成された容器を具備し、ストッパは、容器内で使用前位置から使用後位置へ移動するように構成される。システムはまた、固定スペーサおよび調節可能スペーサを備えるスペーサ組立体を含み、固定スペーサは、ストッパによって受け入れられる。調節可能スペーサは、固定スペーサに固着され、かつ、スペーサ組立体に対して予め定められた軸方向距離だけ移動可能である。
【0012】
調節可能スペーサは、固定スペーサに対して第1の軸方向にのみ移動可能であり得る。スペーサ組立体は、ラチェット機構を含むことができ、固定スペーサおよび調節可能スペーサのうちの一方が、複数の戻り止めを含み、固定スペーサおよび調節可能スペーサのうちの他方が、ばね戻り止めアームを含み、調節可能スペーサの固定スペーサに対する第1の回転方向への回転が、調節可能スペーサを予め定められた軸方向距離だけ移動させる。システムはまた、調節可能スペーサに固着されるように構成されたシムを含み得る。
【0013】
さらなる態様では、薬剤を注射するための薬物送達システムが、薬剤を受け入れるように構成された容器であって、容器内で移動するように構成されたストッパ、およびクロージャを含む容器と、駆動組立体とを具備し、駆動組立体は、容器内でストッパを移動させるように構成されたプランジャ部材であって、第1の位置、および第1の位置から軸方向に離間された第2の位置を有するプランジャ部材、プランジャ部材を第1の位置から第2の位置へ移動させるように構成された付勢部材、ならびにプランジャ部材に対して移動可能なプランジャ作動部材を含む。プランジャ部材がプランジャ作動部材に対して軸方向に固定される第1の位置、およびプランジャ部材がプランジャ作動部材に対して軸方向に移動可能である第2の位置を有するプランジャ作動部材。システムはまた、容器と流体連通されるように構成された針を含む針アクチュエータ組立体であって、針が、第1の位置、および第1の位置から離間された第2の位置から移動可能である針アクチュエータ組立体と、針アクチュエータ組立体の移動を制限するように構成された制限部材と、固定スペーサおよび調節可能スペーサを含むスペーサ組立体であって、固定スペーサがストッパによって受け入れられるスペーサ組立体とを具備する。調節可能スペーサは、固定スペーサに固着され、かつ、スペーサ組立体に対して予め定められた軸方向距離だけ移動可能である。
【0014】
制限部材は、容器の後方部分に係合するように構成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本開示の実施形態に関する以下の説明を添付の図面と併せて参照することにより、本開示の上記その他の特徴および利点ならびにそれらを実現する方法がより明らかになるであろうし、開示自体がより良く理解されるであろう。
【0016】
図1】本発明の1つの態様による薬物送達システムの斜視図である。
図2】本発明の1つの態様による図1の薬物送達システムの断面斜視図である。
図3】本発明の1つの態様による図1の薬物送達システムの断面正面図である。
図4】ハウジングの頂部部分が取り除かれている、使用前位置における薬物送達システムを示す、本発明の1つの態様による図1の薬物送達システムの上面図である。
図5】使用前位置における薬物送達システムを示す、本発明の1つの態様による図1の薬物送達システムの断面上面図である。
図6】使用前位置における薬物送達システムを示す、本発明の1つの態様による図1の薬物送達システムの断面正面図である。
図7】ハウジングの頂部部分が取り除かれている、初期作動位置における薬物送達システムを示す、本発明の1つの態様による図1の薬物送達システムの上面図である。
図8】初期作動位置における薬物送達システムを示す、本発明の1つの態様による図1の薬物送達システムの断面上面図である。
図9】初期作動位置における薬物送達システムを示す、本発明の1つの態様による図1の薬物送達システムの断面正面図である。
図10】ハウジングの頂部部分が取り除かれている、使用位置における薬物送達システムを示す、本発明の1つの態様による図1の薬物送達システムの上面図である。
図11】使用位置における薬物送達システムを示す、本発明の1つの態様による図1の薬物送達システムの断面上面図である。
図12】使用位置における薬物送達システムを示す、本発明の1つの態様による図1の薬物送達システムの断面正面図である。
図13】ハウジングの頂部部分が取り除かれている、使用後位置における薬物送達システムを示す、本発明の1つの態様による図1の薬物送達システムの上面図である。
図14】使用後位置における薬物送達システムを示す、本発明の1つの態様による図1の薬物送達システムの断面上面図である。
図15】使用後位置における薬物送達システムを示す、本発明の1つの態様による図1の薬物送達システムの断面正面図である。
図15A】薬物送達システムが使用前位置にあり、パッドを示す、本発明の1つの態様による図1の薬物送達システムの断面正面図である。
図15B】薬物送達システムが使用前位置にあり、パッドを示す、本発明の1つの態様による図1の薬物送達システムの断面斜視図である。
図15C】薬物送達システムが使用前位置にあり、パッドを示す、本発明の1つの態様による図1の薬物送達システムの断面斜視図である。
図16】弁組立体を示す、本発明の1つの態様による図1の薬物送達システムの部分断面図である。
図17】本発明の1つの態様による薬物送達システムのための駆動組立体の斜視図である。
図18】駆動組立体の使用前位置を示す、本発明の1つの態様による図17の駆動組立体の断面図である。
図19】駆動組立体の使用位置を示す、本発明の1つの態様による図17の駆動組立体の断面図である。
図20】駆動組立体の使用後位置を示す、本発明の1つの態様による図17の駆動組立体の断面図である。
図21】本発明の1つの態様による図17の駆動組立体のプランジャ作動部材の断面図である。
図22】本発明の1つの態様による図17の駆動組立体の第1のプランジャ部材の斜視図である。
図23】第1のプランジャ部材と係合されたプランジャ作動部材を示す、本発明の1つの態様による図17の駆動組立体のプランジャ作動部材および第1のプランジャ部材の斜視図である。
図24】第1のプランジャ部材から係脱されたプランジャ作動部材を示す、本発明の1つの態様による図17の駆動組立体のプランジャ作動部材および第1のプランジャ部材の斜視図である。
図25】第1のプランジャ部材から係脱されかつ第1のプランジャ部材に対して軸方向に変位されたプランジャ作動部材を示す、本発明の1つの態様による図17の駆動組立体のプランジャ作動部材および第1のプランジャ部材の斜視図である。
図26】本発明の1つの態様による図17の駆動組立体の第1のプランジャ部材および第2のプランジャ部材の正面図である。
図27】本発明のさらなる態様による薬物送達システムのための駆動組立体の上面図である。
図28】本発明の1つの態様による図27の駆動組立体の斜視図である。
図29】駆動組立体の使用前位置を示す、本発明の1つの態様による図27の駆動組立体の断面図である。
図30】ハウジングの底部部分によって受け入れられた駆動組立体を示す、本発明の1つの態様による図27の駆動組立体の斜視図である。
図31】本発明の1つの態様による図30のハウジングの斜視図である。
図32】駆動組立体の初期作動位置における、駆動組立体と針アクチュエータの一部分との係合を示す、本発明の1つの態様による図27の駆動組立体の上面図である。
図33】駆動組立体の作動位置における、駆動組立体と針アクチュエータの一部分との係合を示す、本発明の1つの態様による図27の駆動組立体の拡大斜視図である。
図34】本発明の1つの態様による針アクチュエータ組立体の正面図である。
図35】本発明の1つの態様による図34の針アクチュエータ組立体の針シャトルの左側斜視図である。
図36】本発明の1つの態様による図34の針アクチュエータ組立体の針シャトルの右側斜視図である。
図37A】使用前位置における針アクチュエータ組立体を示す、本発明の1つの態様による図34の針アクチュエータ組立体の正面図である。
図37B】使用位置における針アクチュエータ組立体を示す、本発明の1つの態様による図34の針アクチュエータ組立体の正面図である。
図37C】初期使用後位置における針アクチュエータ組立体を示す、本発明の1つの態様による図34の針アクチュエータ組立体の正面図である。
図37D】使用後位置における針アクチュエータ組立体を示す、本発明の1つの態様による図34の針アクチュエータ組立体の正面図である。
図38A】使用位置における針アクチュエータ組立体を示す、本発明の1つの態様による図34の針アクチュエータ組立体の斜視図である。
図38B】初期使用後位置における針アクチュエータ組立体を示す、本発明の1つの態様による図34の針アクチュエータ組立体の斜視図である。
図39】初期使用後位置における針アクチュエータ組立体を示す、本発明の1つの態様によるアクチュエータボタンおよび図34の針アクチュエータ組立体の斜視図である。
図40A】初期使用後位置における針アクチュエータ組立体を示す、本発明の1つの態様によるアクチュエータボタンおよび図34の針アクチュエータ組立体の断面図である。
図40B】使用後位置における針アクチュエータ組立体を示す、本発明の1つの態様によるアクチュエータボタンおよび図34の針アクチュエータ組立体の斜視図である。
図41】本発明のさらなる態様による薬物送達システムのための駆動組立体の斜視図である。
図42】ハウジングの頂部部分を取り除いて示す、本発明の1つの態様による図41の駆動組立体の斜視図である。
図43】本発明の1つの態様による図41の駆動組立体の断面図である。
図44】本発明の1つの態様による図41の駆動組立体の斜視図である。
図45】使用前位置における駆動組立体を示す、本発明の1つの態様による図41の駆動組立体の断面図である。
図46】使用前位置における駆動組立体を示す、本発明の1つの態様による図41の駆動組立体の断面図である。
図47】使用前位置における駆動組立体を示す、本発明の1つの態様による図41の駆動組立体の上面図である。
図48】初期作動位置における駆動組立体を示す、本発明の1つの態様による図41の駆動組立体の上面図である。
図49】初期作動位置における駆動組立体を示す、本発明の1つの態様による図41の駆動組立体の上面図である。
図50】初期作動位置における駆動組立体を示す、本発明の1つの態様による図41の駆動組立体の上面図である。
図51】使用位置における駆動組立体を示す、本発明の1つの態様による図41の駆動組立体の上面図である。
図52】使用位置における駆動組立体を示す、本発明の1つの態様による図41の駆動組立体の上面図である。
図53】使用位置における駆動組立体を示す、本発明の1つの態様による図41の駆動組立体の断面図である。
図54】使用位置における駆動組立体を示す、本発明の1つの態様による図41の駆動組立体の上面図である。
図55】使用位置における駆動組立体を示す、本発明の1つの態様による図41の駆動組立体の断面図である。
図56】使用位置における駆動組立体を示す、本発明の1つの態様による図41の駆動組立体の断面図である。
図57】使用位置における駆動組立体を示す、本発明の1つの態様による図41の駆動組立体の上面図である。
図58】初期使用後位置における駆動組立体を示す、本発明の1つの態様による図41の駆動組立体の上面図である。
図59】初期使用後位置における駆動組立体を示す、本発明の1つの態様による図41の駆動組立体の斜視図である。
図60】使用後位置における駆動組立体を示す、本発明の1つの態様による図41の駆動組立体の上面図である。
図61】使用後位置における駆動組立体を示す、本発明の1つの態様による図41の駆動組立体の上面図である。
図62】使用前位置における駆動組立体を示す、本発明の1つの態様による図41の駆動組立体の断面図である。
図63】使用位置における駆動組立体を示す、本発明の1つの態様による図41の駆動組立体の断面図である。
図64】本発明のさらなる態様による駆動組立体の斜視図である。
図65A】使用位置における針アクチュエータ組立体を示す、本発明の1つの態様による針アクチュエータ組立体の正面図である。
図65B】使用位置における針アクチュエータ組立体を示す、本発明の1つの態様による図65Aの針アクチュエータ組立体の正面図である。
図65C】初期使用後位置における針アクチュエータ組立体を示す、本発明の1つの態様による図65Aの針アクチュエータ組立体の正面図である。
図65D】使用後位置における針アクチュエータ組立体を示す、本発明の1つの態様による図65Aの針アクチュエータ組立体の正面図である。
図65E】使用前位置における針アクチュエータ組立体を示す、本発明の1つの態様による図65Aの針アクチュエータ組立体の正面図である。
図65F】使用前位置における針アクチュエータ組立体を示す、本発明の1つの態様による図65Aの針アクチュエータ組立体の断面図である。
図65G】ボタンアクチュエータが軸方向に変位された、使用前位置における針アクチュエータ組立体を示す、本発明の1つの態様による図65Aの針アクチュエータ組立体の正面図である。
図65H】ボタンアクチュエータが軸方向に変位された、使用前位置における針アクチュエータ組立体を示す、本発明の1つの態様による図65Aの針アクチュエータ組立体の断面図である。
図66】本発明の1つの態様による図65Aの針アクチュエータ組立体のボタンばねの斜視図である。
図67】本発明の1つの態様による図65Aの針アクチュエータ組立体のアクチュエータボタンの斜視図である。
図68】本発明の1つの態様による図65Aの針アクチュエータ組立体のボタンばねおよびアクチュエータボタンの断面図である。
図68A】本発明のさらなる態様による図65Aの針アクチュエータ組立体のアクチュエータボタンの斜視図である。
図68B】本発明のさらなる態様による図65Aの針アクチュエータ組立体のアクチュエータボタンの底面図である。
図68C】本発明のさらなる態様による図65Aの針アクチュエータ組立体のアクチュエータボタンの正面図である。
図68D】使用前位置におけるアクチュエータボタンを示す、本発明のさらなる態様による図65Aの針アクチュエータ組立体のアクチュエータボタンの上面図である。
図68E】使用前位置におけるアクチュエータボタンを示す、本発明のさらなる態様による図65Aの針アクチュエータ組立体のアクチュエータボタンの正面図である。
図68F】使用位置におけるアクチュエータボタンを示す、本発明のさらなる態様による図65Aの針アクチュエータ組立体のアクチュエータボタンの上面図である。
図68G】使用位置におけるアクチュエータボタンを示す、本発明のさらなる態様による図65Aの針アクチュエータ組立体のアクチュエータボタンの正面図である。
図69】本発明の1つの態様による図65Aの針アクチュエータ組立体のアクチュエータボタンの上面図である。
図70A】使用前位置における駆動組立体を示す、本発明の1つの態様による駆動組立体の概略図である。
図70B】使用位置における駆動組立体を示す、本発明の1つの態様による図70Aの駆動組立体の概略図である。
図70C】使用位置における駆動組立体を示す、本発明の1つの態様による図70Aの駆動組立体の概略図である。
図70D】使用位置における駆動組立体を示す、本発明の1つの態様による図70Aの駆動組立体の概略図である。
図70E】使用位置における駆動組立体を示す、本発明の1つの態様による図70Aの駆動組立体の概略図である。
図70F】使用後位置における駆動組立体を示す、本発明の1つの態様による図70Aの駆動組立体の概略図である。
図70G】使用後位置における駆動組立体を示す、本発明の1つの態様による図70Aの駆動組立体の概略図である。
図71】スペーサ組立体の組み立てられた使用前位置を示す、本発明の1つの態様による薬物送達システムのスペーサ組立体の斜視図である。
図72】スペーサ組立体の使用位置を示す、本発明の1つの態様による図71のスペーサ組立体の斜視図である。
図73】スペーサ組立体の初期使用後位置を示す、本発明の1つの態様よる図71のスペーサ組立体の斜視図である。
図74】本発明の1つの態様による制限部材の斜視図である。
図75】本発明のさらなる態様による薬物送達システムのためのスペーサ組立体の正面図である。
図76】本発明の1つの態様による薬物送達システムのためのスペーサ組立体の上面図である。
図77】本発明の1つの態様による図76のスペーサ組立体の斜視図である。
図78】本発明の1つの態様による図76のスペーサ組立体の断面図である。
図79】本発明のさらなる態様による薬物送達システムのためのスペーサ組立体の斜視図である。
図80】本発明の別の態様による薬物送達システムのためのスペーサ組立体の斜視図である。
図81A】スペーサ組立体の組立前位置を示す、本発明の1つの態様による図80のスペーサ組立体の断面図である。
図81B】スペーサ組立体の組み立てられた位置を示す、本発明の1つの態様による図80のスペーサ組立体の断面図である。
図82】本発明の1つの態様による薬物送達システムのための駆動組立体の斜視図である。
図83】ハウジングの頂部部分を取り除いて示す、本発明の1つの態様による図82の駆動組立体の斜視図である。
図84】駆動組立体の使用前位置を示す、本発明の1つの態様による図82の駆動組立体の断面図である。
図85】駆動組立体の使用前位置を示す、本発明の1つの態様による図82の駆動組立体の拡大断面図である。
図86】本発明の1つの態様による図82の駆動組立体の付勢部材の上面図である。
図87】駆動組立体と係合された制限部材を示す、本発明の1つの態様による図82の駆動組立体の斜視図である。
図88】本発明の1つの態様による薬物送達システムのための駆動組立体の斜視図である。
図89】駆動組立体の使用前位置を示す、本発明の1つの態様による図88の駆動組立体の斜視図である。
図90】本発明の1つの態様による図88の駆動組立体の断面図である。
図91】駆動組立体の使用後位置を示す、本発明の1つの態様による図88の駆動組立体の斜視図である。
図92】駆動組立体の使用前位置を示す、本発明の1つの態様による図88の駆動組立体の断面図である。
図93】駆動組立体の使用位置を示す、本発明の1つの態様による図88の駆動組立体の正面図である。
図94】本発明の1つの態様による薬物送達システムのためのスペーサ組立体の斜視図である。
図95】本発明の1つの態様による図94のスペーサ組立体の正面図である。
図96】本発明の1つの態様による図94のスペーサ組立体の断面図である。
図97】シムを取り除いて示す、本発明の1つの態様による図94のスペーサ組立体の斜視図である。
図98】本発明の1つの態様による図94のスペーサ組立体の固定スペーサの斜視図である。
図99】本発明の1つの態様による図94のスペーサ組立体の調節可能スペーサの斜視図である。
図100】本発明の1つの態様による図94のスペーサ組立体のシムの斜視図である。
【0017】
いくつかの図にわたって、対応する参照文字は、対応する部品を示す。本明細書に提示された例示は、本開示の例示的な態様を示すものであり、そのような例示は、いかなる方法によっても本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の説明は、本発明を実施するために企図された説明される実施形態を当業者が作りかつ使用することを可能にするために提供される。しかし、様々な修正、均等物、変形、および代替が、当業者には容易に明らかなままであろう。あらゆるそのような修正、変形、均等物、および代替は、本発明の精神および範囲に含まれることが意図されている。
【0019】
以下の説明において、用語「上部の」、「下部の」、「右の」、「左の」、「垂直の」、「水平の」、「頂部」、「底部」、「側方の」、「長手方向の」、およびそれらの派生語は、図面において向きを合わせられたときの本発明に関連するものとする。しかし、本発明は、そうではないことが明記されている場合を除き、様々な代替の変形形態をとり得ることが、理解されるべきである。添付の図面に示されかつ以下の詳述で説明される特定のデバイスは、単に本発明の例示的な実施形態であることもまた、理解されるべきである。したがって、本明細書で開示される実施形態に関連する具体的な寸法および他の物理的特性は、限定的なものと考えられるべきではない。
【0020】
図1~16を参照すると、本発明の1つの態様による薬物送達システム10が、駆動組立体12、容器14、弁組立体16、および針アクチュエータ組立体18を含む。駆動組立体12、容器14、弁組立体16、および針アクチュエータ組立体18は、少なくとも部分的にハウジング20内に位置決めされる。ハウジング20は、頂部部分22および底部部分24を含むが、ハウジング20のための他の適切な構成が利用されてもよい。1つの態様では、薬物送達システム10は、使用者に装着または固着されるように構成されまた容器14内に用意された薬剤の予め定められた用量を注射を介して使用者の体内に送達するように構成された、注射器デバイスである。システム10は、「ボーラス注射」を送達するために利用されてもよく、その場合、設定された期間内に薬剤が送達される。薬剤は、最長で45分間の期間にわたって送達され得るが、他の適切な注射量および持続時間が利用されてもよい。ボーラス投与または送達は、速度制御を伴って、または特定の速度制御なしで行われ得る。システム10は、速度が変化しやすい状態で、一定の圧力で使用者に薬剤を送達し得る。システム10の一般的な操作は、図1~16を参照して以下で説明され、システム10の駆動組立体12、針アクチュエータ組立体18、および他の特徴の詳細は、図17~93に関連して以下で論じられる。
【0021】
図1~16を再度参照すると、システム10は、針組立体18の針28による使用者の皮膚の穿刺をもたらす、使用者による作動ボタン26の係合と、針28を容器14と流体連通させて容器14から流体または薬剤を吐出する、駆動組立体12の作動と、薬剤の注射が完了した後の針28の引き抜きとを経て動作するように構成される。薬物送達システムの一般的な操作は、図示および説明されている(例えば、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれている、特許文献1および2参照)。システム10のハウジング20は、システム10の状態に関する表示を使用者に提供するように構成された表示器機構32を観察するための表示器窓30と、容器14を観察するための容器窓31とを含む。表示器窓30は、表示器機構32の明瞭に見える状態を提供するための拡大鏡であってもよい。表示器機構32は、システム10の使用中に針アクチュエータ組立体18と一緒に移動して、システム10の使用前状態、使用状態、および使用後状態を表示する。表示器機構32は、状態に関して視覚性のしるしを提供するが、聴覚性のものまたは触覚性のものなどの他の適切なしるしが、代替的なまたは追加のしるしとして提供されてもよい。
【0022】
図4~6を参照すると、システム10の使用前位置の間、容器14は、駆動組立体12および弁組立体16から離間されており、針28は、後退位置にある。図7~9に示されるように、システム10の初期作動中、駆動組立体12は、容器14に係合して、容器14を弁組立体16に向かって移動させ、弁組立体16は、容器14のクロージャ36に穴を開けて、管(図示せず)または他の適切な機構を介して容器14内の薬剤を針28と流体連通させるように構成されている。駆動組立体12は、容器14のストッパ34に係合するように構成され、これは、最初に、容器14内の流体または薬剤の非圧縮性により、容器14全体を移動させて弁組立体16と係合させる。システム10の初期作動は、以下でより詳細に論じられるように針アクチュエータ組立体18および駆動組立体12を解放する、使用者による作動ボタン26の係合によって引き起こされる。初期作動中、針28は、依然として後退位置にあり、かつ、システム10の使用者を注射するために、延長位置へ移動しようとしている。
【0023】
図10~12に示されるように、システム10の使用位置の間、針28は、少なくとも部分的にハウジング20の外側で延長位置にあり、駆動組立体12は、薬剤を容器14から針28を通じて使用者へ送達するために、容器14内でストッパ34を移動させている。使用位置では、弁組立体16は、すでに容器14のクロージャ36に穴を開けていて、容器14を針28と流体連通させており、これはまた、流体を容器14から分注することができるので、駆動組立体12がストッパ34を容器14に対して移動させることを可能にする。図13~15に示されるように、システム10の使用後位置では、針28は、後退位置にあり、かつ、針28を封止して容器14からの流体または薬剤のいかなる残余の流れも防止するパッド38と係合されている。容器14および弁組立体16は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている特許文献3で示されかつ説明されている容器14および弁組立体16であってもよい。
【0024】
図15A~15Cを参照すると、パッド38は、針アクチュエータ本体96が使用位置から使用後位置へ移動するにつれて、パッド内に付勢される。具体的には、パッド38は、ハウジング20の底部部分24上のカム行路126と協働するカム表面124を有するパッドアーム122によって受け入れられる。パッドアーム122は、棒ばね128を介して針アクチュエータ本体96に接続される。カム表面124は、カム行路126に係合してパッドアーム122を下方に偏向させ、それによりパッド38が針28に向かって上方に付勢される前に針28の真下を通ることを可能にするように、構成される。棒ばね128は、パッドアーム122が針アクチュエータ本体96のピボットの周りで捻れることを可能にする。パッド38は、パッドアーム122の開口部内に圧入されてもよいが、パッド38を固着するための他の適切な構成が利用されてもよい。
【0025】
図1~33を参照すると、本発明の1つの態様による駆動組立体12が示されている。上述のように、駆動組立体12は、容器14を移動させて容器14のクロージャ36に穴を開けるように、また、容器14内でストッパ34を移動させて容器14から流体または薬剤を分注するように、構成される。図17~33に示された駆動組立体12は、容器14のストッパ34によって受け入れられるスペーサ組立体40と係合しかつ協働するように構成される。スペーサ組立体40は、スペーサ42およびスペーサ保持器44を含む。スペーサ保持器44は、ストッパ34によって受け入れられ、スペーサ42は、スペーサ保持器44によって受け入れられる。スペーサ保持器44は、ストッパ34の対応するねじ付き部分に係合する第1のねじ付き部分46を含むが、他の適切な構成が利用されてもよい。スペーサ42もまた、スペーサ42をスペーサ保持器44に固着するためにスペーサ保持器44の対応する第2のねじ付き部分50に係合するねじ付き部分48を含むが、他の適切な構成が利用されてもよい。駆動組立体12は、投与の終了後に針28を後退させること、およびシステム10の状態の表示を提供することを含むがこれらに限定されない、上記で説明されたシステム10の機能上の特徴を維持しながら、また、駆動組立体12によるストッパ34の突然の係合を最小限に抑えながら、容器14の予め定められた充填体積の範囲を分注するように構成される。駆動組立体12は、複数のサイズのスペーサ42を利用することにより、複数の別々の充填体積範囲を分注するように構成される。1つの態様では、12の充填体積範囲、および12のスペーサ42サイズが提供される。1つの態様では、スペーサ42の長さは、容器14内の様々な充填体積に適応するように変更される。あるいは、単一サイズのスペーサ42が、スペーサ42によって受け入れられる複数のシムを利用することによって適応される容器14内の複数の充填体積とともに利用され得る。
【0026】
図17~26を参照すると、駆動組立体12は、第1のプランジャ部材52、第1のプランジャ部材52によって受け入れられる第2のプランジャ部材54、第1の付勢部材56、第2の付勢部材58、プランジャ作動部材60、およびインデックス部材62を含む。第1のプランジャ部材52は、使用前位置(図18に示される)から、使用位置(図19に示される)へ、使用後位置(図20に示される)へと移動可能であり、第1のプランジャ部材52は、スペーサ組立体40に係合し容器14内でストッパ34を移動させて容器14から薬剤を分注するように構成されている。第1のプランジャ部材52は、軸方向に移動するように構成される。第2のプランジャ部材54および第1のプランジャ部材52は、入れ子式の構成を形成し、第2のプランジャ54は、第1のプランジャ部材52が予め定められた軸方向距離を移動した後で軸方向に移動するように構成される。第1および第2のプランジャ部材52、54の移動は、圧縮ばねである第1および第2の付勢部材56、58によって実現されるが、付勢部材56、58のための他の適切な構成が利用されてもよい。
【0027】
第1の付勢部材56は、第2のプランジャ部材54によって受け入れられ、かつ、プランジャ作動部材60(およびインデックス部材62)と第2のプランジャ部材54の第1のばね座64との間に拘束される。第2の付勢部材58は、第1の付勢部材56から径方向内方に位置決めされ、かつ、第2のプランジャ部材54によって受け入れられる。第2の付勢部材58は、第2のプランジャ部材54の第2のばね座66と第1のプランジャ部材52との間に拘束される。第2の付勢部材58は、第1のプランジャ52部材を使用前位置から使用位置へ、そして使用後位置へと容器14に向かって付勢するように構成される。第1の付勢部材56は、第2のプランジャ部材54を容器14の方へ付勢するように構成され、これが、第1のプランジャ部材52を使用前位置から使用位置へ、そして使用後位置へと容器14の方へと順に付勢する。より具体的には、第2の付勢部材58は、第1のプランジャ部材52をスペーサ組立体40またはストッパ34に押し付けて容器14を弁組立体16に係合するように移動させ、それにより容器14のクロージャ36に穴を開けて容器14を針28と流体連通させるように、構成される。第1の付勢部材56は、容器14内でストッパ34を移動させて容器14から薬剤を分注するように構成される。第2の付勢部材58は、第1の付勢部材56とは異なるばね定数を有する。具体的には、第2の付勢58部材は、容器14のクロージャ36に穴を開けるための大きな力を提供するために、第1の付勢部材56よりも堅く、一方で、第1の付勢部材56は、容器14内の流体または薬剤の粘性に合わせて、分注のためのより弱い力を提供する。
【0028】
図17~26を再度参照すると、プランジャ作動部材60は、環状部分68、およびスピンドル部分70を有する。プランジャ作動部材60は、第1の回転位置と第1の回転位置から離間された第2の回転位置との間で第1のプランジャ部材52に対して回転的に移動可能である。第1の回転位置は、第2の回転位置から15度に位置してもよいが、他の適切な位置が利用されてもよい。環状部分68は、複数の歯74を含む駆動表面72を具備するが、他の適切な構成が駆動表面72に利用されてもよい。スピンドル部分70は、第1のプランジャ部材52のプランジャロッキング表面78との係合および解放のために構成されたアクチュエータロッキング表面76を含む。プランジャロッキング表面78は、アクチュエータロッキング表面76によって画定された複数の溝または切欠き81によって受け入れられるように構成された、複数の突起80を含む。
【0029】
図18および23に示されるように、プランジャ作動部材60の第1の回転位置では、複数の突起80および複数の溝または切欠き81は、第1および第2の付勢部材56、58が第1および第2のプランジャ部材52、54をプランジャ作動部材60から離れる方向に付勢している状態で、プランジャ作動部材80が第1のプランジャ部材52と係合されて第1および第2のプランジャ部材52、54の移動を妨げるように、位置がずれる。図19および24に示されるように、プランジャ作動部材60の第2の回転位置では、複数の突起80および複数の溝または切欠き81は、プランジャ作動部材60が第1のプランジャ部材52から係脱されて、第1および第2のプランジャ部材52、54の移動を可能にし、それにより容器14からの分注過程を開始するように、互いに位置合わせされる。
【0030】
図7および33を参照すると、プランジャ作動部材60の駆動表面72は、針アクチュエータ組立体18の一部分によって係合されるように構成される。以下でより詳細に論じられるアクチュエータボタン26の係合と針アクチュエータ組立体18の解放の後、針アクチュエータ組立体18は、使用前位置から使用位置へ、そして使用後位置へと、ハウジング20内で移動する。針アクチュエータ組立体18の初期移動中、針アクチュエータ組立体18の一部分が、プランジャ作動部材60の駆動表面72に係合して、プランジャ作動部材60を第1の回転位置から第2の回転位置へ移動させる。図33に示されるように、針アクチュエータ組立体18の斜めのブレード部分82が、プランジャ作動部材60の駆動表面72に係合して、プランジャ作動部材60の回転を生じさせる。
【0031】
図11、13、および26を参照すると、第2のプランジャ部材52は、複数のコード化された突起84を含み、この複数のコード化された突起84のうちの予め選択された1つは、システム10の制限部材86に係合するように構成されている。以下でより詳細に論じられるように、制限部材86は、針作動組立体18と協働して、ストッパ34の予め定められた投与終了位置が達せられるまで、針アクチュエータ組立体18の使用位置から使用後位置への移動を制限する。1つの態様では、制限部材86は、制限部材86と針作動組立体18の一部分との間の係合を介して針作動組立体18の使用位置からの軸方向の移動を制限するように構成される。制限部材86と針作動組立体18との間のそのような係合は、ストッパ34が投与終了位置に達するときに制限部材86の回転によって解除される。針アクチュエータ組立体18の使用位置の間、制限部材86は、制限部材86と第2のプランジャ部材54の複数のコード化(coded)された突起84のうちの1つとの間の係合を通じて制限部材86の回転が妨げられた状態で、回転方向に付勢される。複数のコード化された突起84は、様々な長さの軸方向リブであり得るが、他の適切な構成が利用されてもよい。各コード化された突起84は、制限部材86が回転して針アクチュエータ組立体18を解放することができる位置を画定する。第2のプランジャ部材の滑らかな部分はまた、システム10がいつ投与終了位置に推移するかを定めるさらなる「コード(code)」を提供し得る。
【0032】
上述のように、表示器機構32は、システム10が使用前位置、使用位置、および使用後位置または投与終了位置から移動するときに表示器機構32の様々な部分が表示器窓30を通して目に見えるように、移動する。より具体的には、表示器機構32は、制限部材86の一部分に係合し、かつ、システム10の様々な段階にわたって制限部材86と一緒に移動して、システム10の状態に関する表示を使用者に提供する。
【0033】
システム10の組立て中、容器14の投与量は、設定された長さを有する特定のスペーサ42と整合され、複数のコード化された突起84のうちの対応する1つが、制限部材86と位置合わせされる。したがって、上述のように、容器14は、複数の投与体積を備えることができ、各体積は、特定のスペーサ42およびコード化された突起84に対応している。したがって、たとえ投与体積が異なっていても、システム10は、駆動組立体12によるストッパ34の突然の係合を最小限に抑えると同時に、針28を使用者に刺して容器14から1回分の薬剤を送達し、投与の終了後に針28を後退させ、かつ、システム10の状態の表示を提供するように、構成される。具体的には、ストッパ34のサイズは、第1のプランジャ部材52とスペーサ組立体40との間の距離を最小限に抑え、かつ、減衰の使用を必要としないように、選択され得る。
【0034】
図27~33を参照すると、本発明のさらなる態様による駆動組立体12Aが示されている。図27~33に示された駆動組立体12Aは、図17~26に示されかつ上記で説明された駆動組立体12に似ており、かつ、駆動組立体12と同様に動作する。しかし、図27~33の駆動組立体では、第1のプランジャ部材52は、第2のプランジャ部材54によって受け入れられて、使用前位置から使用位置への軸方向移動中、第2のプランジャ部材54から延在する。さらに、第1のプランジャ部材52は、第1および第2のプランジャ部材52、54が一緒に移動するように、第1のプランジャ部材52が予め定められた軸方向距離を移動した後で第2のプランジャ部材54に係合するように構成された拡張部分88を含む。第1および第2の付勢部材56、58は、図17~26の駆動組立体12と同様に第1および第2のプランジャ部材52、54に係合しかつ作用する。
【0035】
図27~32を参照すると、インデックス部材62は、第1および第2のプランジャ部材52、54の周りに位置決めされ、かつ、ハウジング20の底部部分24上に位置決めされた可撓性タブ92に係合するように構成された複数のラチェット歯90を含む。駆動組立体12、12Aがハウジング20の底部部分24内に設置されるときに、インデックス部材62のラチェット歯90とハウジング20の可撓性タブ92との係合が、インデックス部材62の一方向回転を提供する。インデックス部材62は、上述のように投与体積およびスペーサ42サイズに基づいて第2のプランジャ部材52のコード化された突起84のうちの1つを制限部材86に位置合わせするように構成される。インデックス部材62は、駆動組立体12、12Aに24箇所の回転位置を提供してもよく、24箇所の回転位置のうちの12箇所は、それらに関連付けられた固有の用量値(dose value)を有してもよい。
【0036】
図1~16および34~40Bを参照すると、本発明の1つの態様による針アクチュエータ組立体18が示されている。針アクチュエータ組立体18は、案内表面98を有する針アクチュエータ本体96、カム表面104を有する針シャトル102、および、針シャトル102によって受け入れられかつ上述のように容器14と流体連通するように構成された針28を含む。針アクチュエータ本体96は、全体的に長方形であり、案内表面98は、径方向内方に突出している。針シャトル102は、針アクチュエータ本体96内に受け入れられる。上記のように、針アクチュエータ本体96は、ハウジング20内で、使用前位置(図4~6に示される)、初期作動位置(図7~9)、使用位置(図10~12)、および使用後位置(図13~15)から移動可能である。針アクチュエータ本体96は、引張りばね106を介して使用前位置から使用後位置へ付勢されるが、他の適切な付勢構成が利用されてもよい。針アクチュエータ本体96は、以下でより詳細に論じられるアクチュエータボタン26の係合に応じて解放されて、使用前位置から使用位置へ自由に移動することができる。針アクチュエータ本体96は、図17~33に関連して上述されたように制限部材86の回転後に使用位置から使用後位置へ移動する。
【0037】
図34~40Bを参照すると、針シャトル102は、針28がハウジング20内に位置決めされる後退位置と、針28の少なくとも一部分がハウジング20の外へ延びる延長位置との間で、垂直軸に沿って移動可能である。針シャトル102は、針アクチュエータ96の案内表面98と針シャトル102のカム表面104との間の係合を通じて後退位置と延長位置との間で移動するように構成される。カム表面104は、第1および第2のカム部材108、110によって設けられ、第1のカム部材108は、第2のカム部材110から離間されている。ハウジング20は、針シャトル102上のT形状の突起114を受け入れるように構成された凹部を有する案内支柱112を含むが、他の形状および構成が、案内支柱112およびT形状の突起114のために利用されてもよい。針シャトル102は、後退位置と延長位置との間で案内支柱112に沿って移動する。案内支柱112は、直線状であり、かつ、ハウジング20からほぼ垂直に延在するが、他の適切な構成が利用されてもよい。針アクチュエータ本体86の案内表面98は、非直線状であり、かつ、第1の側116、および第1の側116の反対側に位置決めされた第2の側118をそれぞれが含む。
【0038】
以下で論じられるように、針アクチュエータ本体96の案内表面98は、針シャトル102のカム部材108、110と協働して、針アクチュエータ本体96が使用前位置から使用後位置へ軸方向に移動するときに針シャトル102を後退位置と延長位置との間で垂直に移動させる。針シャトル102はまた、ハウジング20またはアクチュエータボタン26に係合するように構成されたシャトル付勢部材120を含む。具体的には、シャトル付勢部材120は、針アクチュエータ本体96が使用位置から使用後位置に移行するときにハウジング20またはアクチュエータボタン26に係合して付勢力を提供する。針アクチュエータ本体96が使用後位置に完全に移行されると、針シャトル102のカム部材108、110は、針アクチュエータ本体96の案内表面98から係脱され、シャトル付勢部材120は、上述のように針28がパッド38に係合するように、針シャトル102を下方に付勢する。しかし、図1~16に関連して上述されたように、パッド38はまた、シャトル付勢部材120を介して針シャトル102を下方に付勢するのではなく針28の方へ付勢されてもよい。針アクチュエータ本体96は、アクチュエータボタン26と相互作用して、使用後位置が達せられるまでアクチュエータボタン26が跳ね戻るのを防ぐことができ、これは以下でより詳細に論じられる。
【0039】
図37A~40Bを参照すると、使用前位置(図37A)では、針シャトル102は後退した位置にあり、カム部材108、110は、針アクチュエータ本体96の案内表面98から離間されている。針アクチュエータ本体96が使用位置(図37Bおよび38A)へ移動するにつれて、針シャトル102の第2のカム部材110が案内表面98の第2の側118に係合して、針シャトル102を後退位置から延長位置へ移動させる。針アクチュエータ本体96の使用位置から使用後位置への移行中(図37C)、針シャトル102の第1のカム部材108は、案内表面98の第1の側116と係合されて、針シャトル102を第2の位置から第1の位置へ移動させる。針アクチュエータ本体96が使用後位置に完全に移行された後(図37Dおよび38B)、シャトル付勢部材120は、カム部材108、110が針アクチュエータ本体96の案内表面98から係脱するときに、針28がパッド38に係合している状態で、針シャトル102を下方に付勢する。針アクチュエータ本体96の移行および針シャトル102の対応する位置もまた、図39~40Bに示されている。アクチュエータボタン26と針アクチュエータ本体96との間の相互作用は、図65A~67に関連して詳細に論じられる。図41~64を参照すると、さらなる実施形態による薬物送達システム200が示されている。システム200は、上部ハウジング204および下部ハウジング206を有するハウジング202を含む。ハウジングは、近位端部205および遠位端部207を有する。上部ハウジング204は、使用者がシステム200の動作状態を見ることができるように、状態視認ポート208を有する。システム200はまた、弁組立体212と、弁組立体214を針アーム216の近位端部内に配置された患者針215と流体的に接続する管214とを含む。ばね218が、針アクチュエータ220を遠位に付勢する。
【0040】
図42~46に示されるように、システム200は、その中にストッパ224が移動可能に配置されている容器または薬剤容器222をさらに含むが、ストッパ224は、明瞭性に役立つように様々な図から省略される。薬剤容器222の遠位端部は、隔壁組立体228を有することが好ましく、隔壁組立体228は、図47に最も良く示されるように、デバイス222の作動の前に弁組立体212から離間される。
【0041】
製造目的のためには、薬剤容器に対して、たとえ複数の充填体積または投与量がその容器で使用されるように意図されていても、1つのサイズを使用することが望ましいことが多い。そのような場合には、薬剤容器が充填されるときに、異なる充填体積により、ストッパの様々な位置がもたらされる。そのような様々なストッパ位置に適応するために、また、ストッパの製造上の差違に適応するために、本発明の態様は、容器222の近位端部内でストッパ224の近位に配置される特注のまたは個別製作のスペーサ226を含む。言い換えれば、特注のスペーサ226は、様々なスペーサ226の選択により、製造業者が設定した予め定められた充填体積の範囲の分注を可能にする選択肢を提供し、かつ、組立体構成作業の必要性を少なくするかまたは排除する。スペーサ226のサイズは、容器222の充填の足りない体積を占めるように、また、容器の近位端部において一貫した支持面を提供するように、採用され得る。
【0042】
スペーサ226は、様々なサイズの複数のスペーサ226から選択されて、ストッパ224の近位端部から容器222の近位端部までの空間を占有する。1つの実施形態によれば、図45~47に示されるように、スペーサ226は、容器222の近位端部と実質的に面一になるように選択される。さらに、1つの実施形態によれば、スペーサ226は、図45に最も良く示されるように、中央コラム230および遠位フランジ232を含む、「シルクハット」形状を有する。
【0043】
図44~47に戻り参照すると、システム200はまた、容器222を遠位に変位させて容器222と患者針215との間の流体接続を確立するため、および、容器222から薬剤を分注するための、駆動組立体234を含む。より詳細には、駆動組立体234は、中央プランジャ238内に配置された内側ばね236、外側プランジャ240、中央プランジャ238と外側プランジャ240との間に配置された外側ばね242、入れ子式部材244、および解放ゲート246を含む。
【0044】
内側ばね236は、外側ばね242よりも大きいばね定数を有し、したがって外側ばね242よりも強いまたは堅いことが、好ましい。内側ばね236は、中央プランジャ238の内側に配置されて、下部ハウジング内のばねフランジ248(図46に最も良く示される)と中央プランジャ238との間で押し、中央プランジャ238は、デバイス作動後にスペーサ226の近位端部に直接もたれかかる。外側ばね242は、外側プランジャ240の内側に配置されて、中央プランジャ238の近位外部フランジ250と外側プランジャ240の遠位内部フランジ252との間で押す。したがって、内側ばね236および外側ばね242は入れ子にされて、単一のばねを用いるのに比べてよりコンパクトな駆動組立体を(したがって、よりコンパクトなシステム200を)提供することができる。
【0045】
1つの態様によれば、内側ばね236は、容器222を変位させて患者針215との流体接続を確立するようにのみ働き、外側ばね242は、それに続いて容器222から薬剤を分注するようにのみ働く。別の態様によれば、内側ばね236は、容器222を変位させて患者針215との流体接続を確立するように働き、また、容器222からの薬剤の分注を開始するように働き、外側ばね242もまた、薬剤の分注を完了させるように働く。さらなる態様では、内側ばね236は、容器222の最初の穴開けを生じさせ、外側ばね242は、穴開けおよび容器222からの薬剤の分注を完了させる。
【0046】
図44~47に示されるように、また、後でより詳細に説明されるように、外側プランジャ240は、近位フランジまたは足254の対を含み、この近位フランジまたは足254の対はそれぞれ、解放ゲート上の対応する傾斜した表面と相互作用して動力モジュールを保持しその後にデバイス200の作動後に解放する、傾斜した表面を有する。
【0047】
図46および47に最も良く示されるように、最初に組み立てられるときに、容器222は、駆動組立体234および弁組立体212から隙間を空けて配置される。針アクチュエータ220上の側方フランジ256が、薬剤容器222を軸方向に保持し、針アクチュエータ220は、解放ゲート246が側方に変位するのを防ぐ。1つの実施形態によれば、ばね(図示せず)が、針アクチュエータ220を遠位に付勢するが、作動ボタン210(および/またはその関連する組立体)は、デバイス200の作動の前に、針アクチュエータ220の遠位変位を防ぐ。状態バー258が、針アクチュエータ220上に配置され、かつ、状態視認ポート208を通して見ることができる上面を有する。1つの実施形態によれば、状態バーの上面は、複数の色または模様を有し、デバイスが作動前状態にあるときには、黄色などの第1の色または模様が、状態視認ポート208を通して目に見える。
【0048】
図48~52は、システム200の作動時およびその後の事象の動作を示す、システム200の上面図である。図47では、使用者が、作動ボタン210を近位に摺動させ、次いで、ボタン210をハウジング202内へ垂直に変位させ、それにより、針アクチュエータ220がばね(明瞭性のために省略されている)の影響下で遠位に変位できるようにする。図49に示されるように、針アクチュエータが遠位に変位するときに、針アクチュエータ220上の行路260が、針アーム216上の側方ボス262と相互作用して、患者針215を挿入する。この段階では、好ましくは、針アクチュエータ220の近位端部はまだ解放ゲート246から離れておらず、したがって、駆動組立体234は、まだ解放されていない。しかし、側方フランジ256は遠位に変位しており、したがって、容器222は拘束されていない。
【0049】
続いて、図50および51に示されるように、遠位変位が持続すると、針アクチュエータ220の近位端部は、解放ゲート246から離れる(それにより、駆動組立体234を解放する)。針アクチュエータ220は、回転可能な解放フリッパ264上の特徴に一時的に寄り掛かって、解放フリッパ264を入れ子式部材244のアウトリガ266(図44および59に最も良く示されている)に逆らって駆動させる。針アクチュエータ220は、薬剤が分注されてしまうまで、この位置に留まる。この位置では、状態バー258の緑色などの第2の色または模様が、状態視認ポート208を通して目に見えることが好ましい。
【0050】
この段階では、ばね236および242の力、ならびに近位フランジまたは足254の傾斜した表面と解放ゲート246上の対応する傾斜した表面との相互作用により、解放ゲート246が側方に変位され、したがって、外側プランジャ240は、解放ゲート246との拘束相互作用から自由になる。この時点まで、外側プランジャ240は、中央プランジャ238を拘束していた。
【0051】
図52および53を参照すると(内側ばね236は、明瞭性のために図52から省略されている)、堅い内側ばね236は、中央プランジャ238を遠位に駆動してスペーサ226に接触させる。薬剤容器222は、実質的に非圧縮性の流体で満たされるので、中央プランジャ238の継続的な遠位変位は、スペーサ226、ストッパ224、および容器222をハウジング202に対して遠位に変位させる。この遠位の変位により、隔壁組立体228は、弁組立体212によって穴を開けられ、容器222と患者針215との間の流体連通が確立される。中央プランジャ238は、その近位外部フランジ250(図59に最も良く示されている)が下部ハウジング206上のフランジに接触して「穴を開ける移動」を制限するまで、遠位に移動する。下部ハウジング206上の別のフランジおよび/または針アクチュエータ220の側方フランジ256が、容器222の遠位の移動を制限することが、好ましい。
【0052】
続いて、図54および55に示されるように、内側ばね236はもはや中央プランジャ238を遠位に変位させることができないので、より柔らかい外側ばね242が、外側プランジャ240を中央プランジャ238に対して遠位に変位させて、スペーサ226の遠位フランジ232に接触させる。後でより詳細に説明されるように、外側プランジャ240とスペーサ226との間の接触は、衝撃力を最小限に抑えるように減衰されることが好ましい。外側ばね242のさらなる伸長が、外側プランジャ240を遠位に変位させて、薬剤を分注する。
【0053】
図56および57に示されるように、外側ばね242が引き続き伸長して外側プランジャ240を遠位に変位させると、入れ子式部材244に対する外側プランジャ240の予め定められた遠位の変位に応じて、外側プランジャ240上の外部の特徴またはフランジ268が、入れ子式部材244の内部の遠位特徴またはフランジ270と相互作用して、入れ子式部材244を「拾い上げる」。これは、外側プランジャ240のさらなる遠位の変位が入れ子式部材244の対応する遠位変位を生じさせることを確実にする。この対での遠位の変位は、薬剤分注の終わりまで継続する。
【0054】
すでに注記されたように、アウトリガ266は、入れ子式部材244上に配置される。アウトリガの軸方向長さ、および入れ子式部材144の遠位の移動は、解放フリッパ264とのアウトリガ266の係脱のタイミングを制御する。図58および59に示されるように、薬剤分注の終わりには、アウトリガ266の近位端部は、解放フリッパ264を迂回する。これは、解放フリッパ264が回転して針アクチュエータ220との係合から外れることを可能にし(図60)、また、針アクチュエータ220がその遠位の変位を続けて患者針215を引っ込めることを可能にする(図61)。この段階では、状態バー258の赤色などの別の色または模様が、状態視認ポート208を通して目に見え、デバイス200が動作を完了したことを知らせる。
【0055】
すでに注記されたように、図62および63に示されるような外側プランジャ240とスペーサ226との間の接触は、衝撃力を最小限に抑えるように減衰されることが好ましい。粘性流体を収容している、充填の足りないシリンジの場合、外側ばね242は所望の分注速度を提供するためにより堅くされるので、最高水準のエネルギー散逸が望ましい。低粘性流体を収容している、最大限に充填されたシリンジの場合、外側ばねは所望の分注速度を提供するために堅さを弱められ得るので、最低水準のエネルギー散逸が望ましい。減衰の水準を調節するために、空気減衰、または独立気泡フォーム減衰(closed-cell foam damping)などの、様々な方法が用いられ得る。
【0056】
衝撃力を減衰する別の方法として、図64は、1つまたは複数の軸方向干渉リブ272がスペーサ226の中央コラム230の周りに周方向に配列される、スペーサ226の一実施形態を示す。この実施形態では、外側プランジャ240は、干渉リブ272を通過しなければならず、これは、スペーサ226に対する外側プランジャ240の遠位の変位への摩擦抵抗を提供する。干渉リブ272と外側プランジャ240との間の干渉によって作り出される摩擦力は、プランジャ速度には依存しない。摩擦力は、より弱いばねの動きを止めるのを避けるために、最低限の分注ばね荷重を超えないことが好ましい。干渉は、望ましい水準の摩擦抵抗を与えるように調整され得る。様々な流体粘性に対して、干渉リブ272の様々な(軸方向および/または径方向の)サイジングが存在し得る。これは、粘度と充填水準の組合せごとの特注のまたは個別製作のスペーサを意味するか、または、粘度範囲に必要とされるばねの数に応じて、スペーサを特定の係数のばねに対する特定の位置に設定することができる、複数の歯付きの位置が存在し得る(位置は、その特定のばね荷重/粘度状況に対して干渉/減衰調整されている)ことを意味し得る。
【0057】
図65A~69を参照すると、本発明の1つの態様によるシステム10を作動させるためのアクチュエータボタン機構280が示されている。アクチュエータボタン機構280は、アクチュエータボタン26、ボタンばね284、および針アクチュエータ本体286を含む。針アクチュエータ本体286は、上述の針アクチュエータ本体96、220に類似し、かつ、ハウジング20内で移動して針シャトル102または針28を後退位置と延長位置との間で移行させるように構成され得る。図69に示されるように、アクチュエータボタン26は、使用者と相互作用するためのユーザインタフェース部分288を含む。ユーザインタフェース部分288は、約22mmの長さでありかつ約10mmの幅であることが好ましいが、他の適切な寸法が利用されてもよい。アクチュエータボタン26は、デバイス作動の前に針アクチュエータ本体286上のボタン接触表面294、296と相互作用して針アクチュエータ本体286が上方に揺れ動くのを防ぐ2対のロックアウトアーム290、292を含む。図65Hに示されるように、針アクチュエータ本体286とハウジング20との間の重複部分が、早期作動を防止する。図66を参照すると、ボタンばね284は、第1の支持表面298および第1の支持表面298から離間された第2の支持表面300、ならびに第1の支持表面298によって連結された1対の外側アーム304で取り囲まれた片持ち式の中央ばねアーム302を含む。
【0058】
作動ボタン機構280は、以下でより詳細に論じられる以下の特徴、すなわち、アクチュエータボタン26の一方向の軸方向変位または摺動と、針アクチュエータ本体286の使用位置の間アクチュエータボタン26が押し下げられたままである、アクチュエータボタン26の横移動(上げられた位置および押し下げられた位置)と、ボタン26が上げられた位置にあって使用者によって押し下げられ得ないような、針アクチュエータ本体286の使用後位置におけるアクチュエータボタン26のロックアウトと、のうちの1つまたは複数を提供するように構成される。
【0059】
アクチュエータボタン26を使用してシステム10を作動させるために、使用者は最初に、図65Gおよび65Hにおいて右に向かうものとして示されている第1の軸方向に、ユーザインタフェース部分288を摺動させる。使用者は、ユーザインタフェース部分288を約10mmまたは約8mm摺動させるよう要求される場合があるが、他の適切な距離が利用されてもよい。アクチュエータボタン26を軸方向に移動させることで、針アクチュエータ本体286上のボタン接触表面294、296を空けるようにロックアウトアーム290、292が移動して、上げられた位置から押し下げられた位置へのアクチュエータボタン26の移動が可能になる。
【0060】
使用者がユーザインタフェース部分288を遠位に摺動させるにつれて、ボタンばね284の中央ばねアーム302は、ハウジング20上のばねアーム306支持面を乗り越え、一方で、第1および第2の支持表面298、300は、ハウジング20上の第1および第2の支持ランプ308、310に係合する。ボタンばね284に加わる力は、ばねアーム支持表面306ならびに第1および第2の支持ランプ308、310との係合を通じて釣り合いが取られて、アクチュエータボタン26の滑らかな軸方向変位または摺動を提供する。
【0061】
図65Hに示されるように、アクチュエータボタン26およびボタンばね284がそれらの軸方向の摺動行程の終わりに達するときに、中央ばねアーム302および第1の支持表面298は、それぞれの止め具312、314の端を通過して、アクチュエータボタン26がその最初の位置に戻るのを防ぐ。さらに、アクチュエータボタン26およびボタンばね284がそれらの軸方向の摺動行程の終わりに達すると、使用者は、ユーザインタフェース部分288に係合して、アクチュエータボタン26をその押し下げられた位置まで下方に移動させる。アクチュエータボタン26は、約2mm押し下げられてもよく、アクチュエータボタン26を押し下げるのに必要とされる最低限の力は、約3N、最も好ましくは約2.8Nであるが、他の適切な距離および最低限の力が利用されてもよい。
【0062】
図65Aおよび65Bに示されるように、使用者がユーザインタフェース部分288を押し下げると、アクチュエータボタン26は、針アクチュエータ本体286を回転させて針アクチュエータ本体286を解放し、それにより、針アクチュエータ本体286が使用前位置から使用位置へ移動することを可能にする。図65Bに示されるように、針アクチュエータ本体286が使用位置へ移動するときに、ロックアウトアーム290、292は、ボタン接触表面294、296の下面に沿って進んで、アクチュエータボタン26が上方に跳ねるのを防ぐ。薬剤が送達された後、図65Cに示されるように、針アクチュエータ本体286が使用位置から使用後位置へ移行しているときに、ロックアウトアーム290、292は、ボタン接触表面294、296から係脱されて、アクチュエータボタン26がボタンばね284の影響下で上に跳ね返るのを可能にする。図65Dに示されるように、針アクチュエータ本体286が使用後位置に完全に移行すれば、アクチュエータボタン26は、ボタンばね284の付勢力により、押し下げられた位置から上げられた位置への移動を終えてしまう。針アクチュエータ本体286が使用後位置にあるときに、針アクチュエータ本体286上のばねアーム316が、アクチュエータボタン26に係合して、アクチュエータボタン26が押し下げられた位置へ移動するのを防ぎ、同時に軸方向の移動は、ばねアーム302と止め具312、314との係合によってまだ制限されている。したがって、アクチュエータボタン26は、薬剤の送達が完了した後でロックされて、使用済みのシステムと未使用のシステムとの間の明瞭な表示を提供する。
【0063】
さらに、使用者が薬剤の分注中にアクチュエータボタン26を押し下げた場合、適切な投与および針後退はなおも完了するが、アクチュエータボタン26は、ボタン26が解放されるまで、上げられた位置には跳ね返らない。
【0064】
1つの態様では、ボタンばね284は、プラスチックで作られる。ボタンばね284は、代わりに使用され得るプレス加工された金属ばねであってもよいが、任意の他の適切な金属が利用されてもよい。
【0065】
図68A~68Gを参照すると、別々のアクチュエータボタン26およびボタンばね284を設けるのではなく、ばねは、ボタン26と一体に設けられてもよい。より具体的には、本発明のさらなる態様によるアクチュエータボタン320は、一体的なばねアーム322を含む。アクチュエータボタン320はまた、ロックアウトアーム324、保持アーム326、および後部ピボット328を含む。図68Dおよび68Eに示されるように、ばねアーム322は、ハウジング20の頂部部分22内で分岐突起330に係合する。使用前位置から使用位置へのシステム10の移行中、ばねアーム322は、分岐突起330の戻り止めを越えて摺動して、軸方向のばね力を提供する。ばねアーム322の末端は、ハウジング20の頂部部分22の一部分に係合して、ばねアーム322が偏向するときに垂直方向のばね力を提供する。アクチュエータボタン320は、2つの別々の運動が生じるにしても、ボタン320の摺動運動と降下運動との間での滑らかな動きのために構成され、これは、上述のボタン26の動作に似ている。使用前位置と使用位置との間での移行中、ボタン320は、アクチュエータボタン26と同様の方法で投与終了位置が達せられるまで保持アーム326が針アクチュエータ本体286の一部分に係合してボタン320の押し下げられた位置を維持している状態で、後部ピボット328の周りで旋回する。ロックアウトアーム324は、針アクチュエータ本体286が投与終了位置へ移動するときに、内方に偏向して針アクチュエータ本体286の一部分に係合し、それにより、上述のアクチュエータボタン26と同様の方法で、アクチュエータボタン320のさらなる移動を防ぐ。
【0066】
本発明の態様は、これまでのボタン設計に優る改善を提供する。例えば、作動ボタン機構280は、作動に先立ち針アクチュエータ本体286を針アクチュエータばね106に逆らって所定の位置に保持するための複数の表面を提供し、それにより、落下衝撃時の早すぎる作動の可能性を低くする。作動ボタン機構280は、分離して事前に作動する余地を表面が有することがないように針アクチュエータ本体286を傾けた(ロックした)状態に保持することにより、それが作動の前に移動するのを物理的に防止する。
【0067】
さらに、作動ボタン機構280のボタン摺動力(button slide force)は、単純な緩衝戻り止め(bump detent)を使用するのではなく、屈曲するアームを利用することによって、より正確に制御される。これは、より良好な力制御を伴うボタン26のより長い摺動行程を可能にして、より人間工学的に効果的な設計をもたらす。さらに、作動ボタン機構280は、注射の終わりにボタン26を元の位置に跳ね戻させて、薬剤送達が完了したことの追加的な視覚性の、可聴式の、および触覚性の表示を使用者に与える。
【0068】
1つの態様によれば、システム10の流体送達体積は、実際の充填体積、容器内径、ならびにストッパの始動位置および長さに関係なく、ハウジング内部の位置に対するプランジャの端部位置によって決定される。上記の因子の公差はかなり大きい場合があり得るので、投与精度変動は、相当なものになり得る。本発明の態様は、投与方程式(dosing equation)からこれらの公差のうちの一部または全てを除外することを可能にして、より正確で変動の少ない薬剤の注射体積をもたらす。
【0069】
図70A~70Gを参照すると、本発明の1つの態様による駆動組立体とともに使用するためのスペーサ組立体400が示されている。
【0070】
ストッパスペーサ組立体400における公差の連鎖内の要素には、内側プランジャ404のフランジ402の厚さ(A)、外側プランジャ406の内部近位端部408と内部肩410との間の内部長さ(B)、および、内部プランジャフランジ402と外側プランジャの内部近位端部408との間の初期オフセット距離(C1)が含まれる。この初期オフセット距離(C1)は、外側プランジャ406と薬剤バレル412の近位端部との間の間隙距離(C2)よりも大きいことが好ましい。ストッパスペーサ組立体400における公差の連鎖には、内部バレル直径(D)も含まれる。組み立てられると、ストッパスペーサ414および外側プランジャ406は、所与の薬剤体積に対して固有のものになる。
【0071】
図70B~70Gは、ストッパスペーサ組立体400の動作を示す。図70Bに示されるように、システムが作動されると、内側プランジャ404および外側プランジャ406の両方が解放される。外側ばね416が、外側プランジャ406をバレル412に押し込んで、減衰材料418および内側ばね420を圧迫する。ストッパ422は、薬剤の流体のために、バレル412に対してまだ移動しない。
【0072】
次に、図70Cに示されるように、外側ばね416は、外側プランジャ406およびバレル412を遠位に変位させて、針(図示せず)との流体連通を確立するバレル412の遠位端部にある弁(図示せず)を開く。液体薬剤の非圧縮性により、ストッパ422は、弁が開かれて患者針への流体経路が確立されるまで、バレル412に対して変位することができない。
【0073】
続いて、図70Dおよび70Eに示されるように、内側ばね420は、内側プランジャ404、ストッパスペーサ414、およびストッパ422を変位させて、流体を分注する。
【0074】
図70Fは、内側プランジャ404の近位フランジ402が外側プランジャ406の内部肩410に接触し、それにより薬剤バレル212に対する内側プランジャ404(ならびにストッパスペーサ414およびストッパ422)の変位を中止して薬剤の流れを止める、薬剤送達の終わりを示す。
【0075】
1つの態様によれば、図70Gに示されるように、薬剤バレル412に対する内側プランジャ404の変位の中止は、システムの投与終了表示器を始動させる。
【0076】
図71および72を参照すると、つぶれることができるスペーサ組立体430が、ストッパ434に固着された前方スペーサ部分432と、内側プランジャ436と、後方スペーサ部分438と、回転シャトル440とを含む。内側プランジャ436は、前方スペーサ部分432に対して並進することができるが、それに対して回転することはできない。同様に、後方スペーサ部分438もまた、前方スペーサ部分432に対して軸方向に移動することができるが、前方スペーサ部分432に対して回転することはできない。後でより詳細に説明されるように、回転シャトル440は、最初に回転し、その後に並進する。
【0077】
1つの態様によれば、前方スペーサ部分432は、ストッパ434にしっかりと固着される。前方スペーサ部分432をストッパ434に固着するために、例えば接着剤、機械的な締結具、または任意の他の適切な機構といった多くの方法が用いられ得ることを、当業者は理解するであろう。前方スペーサ部分432は、ストッパ434にあるねじ穴に係合するねじを含むことが好ましい。
【0078】
ストッパスペーサ組立体430がストッパ434にねじ込まれるときに、後方スペーサ部分438にあるアクセス開口部442を通じて軸方向荷重が印加される。この力は、ストッパ434を前方に押して流体薬剤に圧力を印加するために使用され得る。この圧力により、ストッパ434の前(遠位)面は、近位に撓んで圧力をかけて、後方スペーサ部分438を押し返し、回転シャトルをその「組み立てられたような」状態に回転させる。言い換えれば、薬剤バレルが薬剤で満たされて、システムのプランジャがスペーサ組立体430を介して薬剤に軸方向の力を印加しているときに、ストッパ434の遠位面は、薬剤の圧力によって変形させられる。薬剤送達中、駆動組立体により(プランジャを介して)後方スペーサ部分438に圧力が印加され、そして後方スペーサ部分438が、後方スペーサ部分438のねじれ面444を介して回転シャフト440に回転トルクを印加する。しかし、薬剤によるストッパ変形は、内側プランジャ436に後方へのまたは近位への力を与え、これが、回転シャトル440の回転を妨げる。
【0079】
1つの態様によれば、内側プランジャ436にかかる軸方向の反作用荷重は、内側プランジャ436の長さを増すことによって増大され得る。
【0080】
薬剤送達が完了すると、図73に示されるように、ストッパ434にかかる圧力が減少し、それにより、内側プランジャ436の遠位端部が遠位に変位することが可能になる。この遠位の変位は、回転シャトル440が回転することを可能にする。駆動組立体によって印加される持続的な軸方向力は、後方スペーサ部分438にあるねじれ面444と回転シャトル440の対応するカム面付きアーム446との相互作用により、回転シャトル440を回転させかつ遠位に変位させる。1つの態様によれば、回転シャトル440のこの最後の移動は、駆動組立体に針後退を引き起こさせる。
【0081】
図74および75を参照すると、本発明の1つの態様による制限部材452が、駆動組立体とともに配置されている。制限部材452は、薬剤投与の完了後の針アクチュエータ本体96、220の最後の変位のタイミングに影響を与える。制限部材452は、固定された支柱の周りを回転するのではなく、遊動する。プランジャが(図74および75に示されるように)間隙に対して十分に遠位に変位して制限部材452と整列すると、制限部材452は、針アクチュエータ96、220上のばねの力と、針アクチュエータ本体に係合する制限部材174のアームの後部上の傾斜した面454(図75に最も良く示される)とにより、間隙に向かって側方に変位する。制限部材がもう針アクチュエータ本体96、220を保持しなくなると、針アクチュエータ本体96、220は、使用後位置への軸方向移動を自由に完了することができる。さらに、図75に示されるように、制限部材452は、容器14のバレル部分の後部上に付勢され、これは、様々な構成要素の公差連鎖を最小化し、かつ、用量精度を改善する。
【0082】
図76~78を参照すると、本発明のさらなる態様によるスペーサ組立体460が示されている。図76~78に示されたスペーサ組立体460は、スペーサ組立体の調整を通じて増大する製造上の公差の影響の除去を可能にし、したがって、各システムが同量の薬剤を注射することを可能にする。
【0083】
図77に示されるように、スペーサ組立体460は、ストッパ462、およびストッパスペーサ464を含む。ストッパスペーサ464は、ストッパ462に固定して接続される、固定スペーサ片または固定スペーサ466と、固定スペーサ466に対して1つの方向に回転的に変位可能である、調節可能スペーサ片または調節可能スペーサ468とを含む。
【0084】
固定スペーサ466をストッパ462に固着するために、例えば接着剤、機械的な締結具、または任意の他の適切な機構といった多くの方法が用いられ得ることを、当業者は理解するであろう。固定スペーサ466は、ストッパ462にある1つまたは複数のねじ山に係合する1つまたは複数の雄ねじを含むことが好ましい。1つの態様によれば、調節可能スペーサ468は、雄ねじ470付きの遠位ステムを有する。遠位ステムねじ470は、固定スペーサ466にある雌ねじ472(図78に最も良く示される)に係合して、固定スペーサ466に対する調節可能スペーサ468の軸方向変位を回転的に制御する。
【0085】
図76および77に示されるように、固定スペーサ466は、径方向に離間された戻り止め474を含み、調節可能スペーサ468は、ばね戻り止めアーム476を含み、その自由端部は、戻り止め474のうちの選択された1つに係合して、固定スペーサ466に向かう調節可能スペーサ468の回転および軸方向変位を妨げる。ばね戻り止めアーム476の自由端部は、戻り止め474を1つの方向に通り越して、固定スペーサ466から離れる調節可能スペーサ468の回転および近位の軸方向変位を可能にするように、成形される。
【0086】
ストッパおよび容器の寸法のばらつきにかかわらず、調節可能スペーサ468は、ストッパ組立体460の一定の軸方向長さを提供するように、固定スペーサ466に対して調節され得る。
【0087】
図78に示されるように、容器が満たされると、システム10、200に取り付けられるときに受けるであろう荷重などの軸方向荷重が、調節可能スペーサ468(したがって、固定スペーサ466およびストッパ462)に印加され得る。軸方向荷重が印加されると、調節可能スペーサ468は、近位に後退させられて、薬剤バレル480の近位端部と調節可能スペーサの近位面との間の一貫した間隙478を確実にし、それにより、薬剤バレルガラスが様々であることと混入した空気の圧縮性とを補償することができる。言い換えれば、スペーサ組立体460は、調節可能スペーサ468が、容器14およびストッパ長さの変動に無関係で、容器14に対して予め定められた設定位置を有することを可能にする。したがって、スペーサ組立体460の開始位置は、容器14から予め定められた距離にあり、スペーサ組立体460の終了位置もまた、容器14から予め定められた距離にあり、その結果、ストッパ462の行程は、駆動組立体12のプランジャ52、54の有効長さによって定められる。
【0088】
図79および80を参照すると、本発明の1つの態様による自動的に調節するスペーサ486のベースコラム482およびキャップ484が示されている。ベースコラム482は、ベース部分488、および軸方向に延在するコラム490を含む。1つの実施形態によれば、ベースコラム482は、複数の柱状突出部491を含み、そのそれぞれが、その近位部分上に配置された複数のラチェット歯492を有する。ロック用かえし493が、複数のラチェット歯492のそれぞれの近位端部に配置される。キャップ484は、中空であり、キャップ484の遠位端部は、1つまたは複数の軸方向ばね494を含む。1つの態様によれば、軸方向ばね494は、キャップ484の成形中に形成された、湾曲した片持ち式のアームである。別の態様によれば、圧縮ばねなどの別体の付勢部材が、自動的に調節するスペーサ486に用いられ得る。ばね494は、ベースコラム482と組み立てられると、ベース部分488に係合して、ベースコラム482とキャップ484との間の初期間隔を維持する。1つの態様によれば、ばね494は、省略される。キャップ484はまた、複数の可撓性の片持ち式のアームまたはタブ496を含み、そのそれぞれが、複数の内部ラチェット歯497を含む自由近位部分を有する。各可撓性タブ496の近位端部は、足498を含む。
【0089】
図81Bは、薬剤バレルの近位部分においてストッパ494の近位凹部内に配置された自動的に調整するスペーサのキャップを示す。ベースコラム482は、ベース部分482がストッパ494に係合し、また、足498がバレルの近位端部の外側に配置された状態で、中空のキャップ484内に組み付けられる。
【0090】
動作に当たっては、図81Aおよび81Bに示されるように、キャップ484は、キャップ484の近位端部が薬剤バレルの端部と面一になるまで、ベースコラム482(ならびにストッパ494およびバレル)に対して遠位に配置される。この動作は、足498をバレルの内部表面に係合させかつ径方向内方に変位させ、それにより、ラチェット歯492を強制的にラチェット歯497とロッキング係合させる。ロック用かえし493、ラチェット歯492と497の係合、およびバレルの内部表面との足498の係合は、ベースコラム482に対するキャップ484の変位を防ぐ。したがって、自動的に調整するスペーサ486は、ストッパ、バレル直径、および薬剤充填体積の差違に適応して、薬剤バレルの近位端部と面一の支持面を自動的に提供することができる。
【0091】
本発明の1つの態様は、システム内で容器内のストッパに接触して位置するスペーサ組立体486である。スペーサ設計は、正確な量の薬剤の分注を可能にするためにその有効長さが調節され得るような設計である。長さ調節は、容器、充填体積、および特にストッパ長さにおける製造上の公差を補償するように意図され、これは結局、調節不能なスペーサを使用して送達される用量におけるばらつきの1/3になり得る。スペーサ長さは、具体的な態様に応じて、いくつかの技法を通じて調節され得る。スペーサ長さは、容器の後部までのその位置に基づいて自己調節するものであってもよく、それは、部分組立体への主要な容器の最終組付けの時点で組立設備によって調節されてもよく、また、それは、ストッパの一体的な部分として作られて、充填に先立って部分組立体として調節されてもよい。調節可能スペーサ486は、調節不可能なスペーサと比較してより正確な量の流体が注入されることを可能にする。
【0092】
図82~87を参照すると、本発明の1つの態様による薬物送達システムのための駆動組立体500が示されている。駆動組立体500は、作動ボタン506、容器508、針アクチュエータ組立体510、作動レリーズまたはフリッパ512、送りねじ514、およびプランジャ516を含む。送りねじは、径方向に突出している外部の羽根520が付いたドラム部分518と、図84および85に最も良く示されるように、また、後でより詳細に説明されるように、ねじ山部分522とを含む。作動に先立ち、図83および86に最も良く示されるように、作動レリーズ512の一方の端部513が、羽根520のうちの1つに係合して、送りねじ514の回転を妨げる。
【0093】
1つの態様によれば、図84~86に示されるように、送りねじ514のねじ山部分522は、プランジャ516に接続されたナット524の雌ねじに係合する。別の態様によれば、ナットおよびその雌ねじは、単一の構造としてプランジャと一体に形成される。さらに、定力ばね526が、ドラム部分518内に受け入れられて、送りねじ514を回転方向に付勢する。1つの態様によれば、ばね526は、ベースカバー504に固着される。別の態様によれば、図84~86に示されるように、駆動組立体ハウジング528が、システム内に配置され、ばね526は、動力パックハウジング528に固着される。
【0094】
その変位に比例する力プロフィルを有する圧縮ばねなどのつる巻きばねとは異なり、定力ばね526などは、長い作用長さにわたって比較的に変化が少ないまたは一様な力プロフィルを維持する。一様な力プロフィルは、ばね力に比例する注射力を有利に提供する。これは、変化が少ないまたは一様な注射力を提供し、したがって、薬剤に対して実質的に一定の注射速度を提供する。ばね526は、2巻きだけの材料を有するものとして図86に示されているが、当業者は、より少ないまたはより多い数の巻きが用いられ得ることを理解するであろう。組立作業者が、駆動組立体500が組み立てられるときにばね526を巻き、ばね526は、作動のときまで巻かれた位置で保管されることが、好ましい。
【0095】
システムの作動に応じて、針アクチュエータ組立体510は解放されて、付勢部材530(図83に最も良く示される)の影響下で使用前位置から使用後位置まで軸方向に(図82~85では右側に)変位する。この変位中、針アクチュエータ組立体510は、図87に示されるように、作動レリーズ512の第2の端部532に対接して、レリーズ512を反時計回りに回転させる。作動レリーズ512のこの反時計回りの回転は、その第1の端部513を羽根520との係合から解放する。羽根520からの第1の端部513の係脱に続いて、ばね526の巻きが戻って送りねじ514を回転させ、これが、ナット524と相まってプランジャ514を前進させて、薬剤を分注する。
【0096】
送りねじ514が回転しているときに、ドラム部分518および羽根520の回転が、ハウジングにある窓534を通して目に見える。この窓534は、容器508内のストッパ536の直線運動を見るのよりも明白な方法で、ねじの進行を示す。実際に、この回転運動は、直線運動よりも何倍も敏感である。当業者は、利点または増加の正確な量は送りねじ514のねじ山部分522のピッチ、ドラム部分518の直径、およびドラム部分518上の羽根520の数に依存することを、理解するであろう。
【0097】
図88~93を参照すると、本発明のさらなる態様による薬物送達システムのための駆動組立体600が示されている。駆動組立体600は、ばねの機械的エネルギーを蓄えて、始動されたときにそれを作動させる働きをする。駆動組立体600は、薬剤バレル601、バレル601内に摺動可能に配置されたストッパ602、第1の弁プランジャ603、第2の弁プランジャ604、第1の回転ナット605、および第2の回転ナット606を含む。駆動組立体600はまた、回転式表示器607、ロッキング要素608、回転式表示器607内に配置された定力ばね609、および、作動レリーズまたはフリッパ610を含む。駆動組立体600は、薬物送達システム内に組み付けられ得るハウジング611の中に少なくとも部分的に配置される。
【0098】
定力ばね609は、ハウジング611と回転式表示器607との間で回転式表示器607のドラム部分616内に収容される。駆動組立体の機能していない状態は、ばね609を解くことによりエネルギーが印加されてこのエネルギーをハウジング611、回転式表示器607、および作動レリーズ610により幾何学的に利用するような状態である。駆動組立体600が非作動にされると、ばねは反跳して、機械的エネルギーを回転式表示器の回転運動に変える。
【0099】
入れ子式の多部品プランジャは、薬剤バレル601と回転式表示器607との間で力軸線に沿って配向される。回転式表示器607は、ねじ付きシャフト618を特徴とする。1つの態様によれば、ねじは、二重リードであり、かつ、事実上正方形または長方形である。多部品入れ子式プランジャは、2部品ねじ付きナット(第1の回転ナット605および第2の回転ナット606)と、2部品プランジャ(第1の弁プランジャ603および第2の弁プランジャ604)とを含む。第2の回転ナット606は、回転式表示器607および第1の回転ナット605と嵌合しかつその内表面および外表面上の適合するねじ(それぞれ、雌ねじおよび雄ねじ)を特徴としてそれらと嵌合する、ねじ付きシャフトである。第2の回転ナット606はまた、第2の弁プランジャ604上に底を着ける円形のカラー620(図92に最も良く示される)をその近位端部上に有する。第2の回転ナット606は、力軸線に沿って自由に回転することができる。第1の回転ナット605もまた、第2の回転ナット606の雄ねじに対応するその内径上のねじを特徴として第2の回転ナット606と嵌合する、ねじ付きシャフトである。
【0100】
1つの態様によれば、第1の回転ナット605は、第1の弁プランジャ603上にプレス嵌めされて第1の弁プランジャ603を第1の回転ナット605に固定して接続する六角形のカラーを、一方の端部に有する。駆動組立体600では、第1の回転ナットは、自由に回転することができず、動力モジュール部分組立体が作動されたときにのみ並進する。
【0101】
第2の弁プランジャ604は、その遠位端部上の小さいカラー622と、その近位端部上の大きいカラー624と、大きいカラー624から突出している延長されたL形状のアーム626(図93に最も良く示される)とを含む、中空円筒形の構成要素である。1つの実施形態によれば、小さいカラー622は、非連続的であり、かつ、カラーが屈曲して第1の弁プランジャ603と嵌合することを可能にする4つのリーフ片持ち式アームまたは板ばね623を特徴とする。第2の弁プランジャ604の内表面は、その長さにわたって逃げ溝を有し、その近位端部において、大きいカラー624の径方向内方に突出している棚628で終端している。棚628は、入れ子式組立体内で第2の回転ナット606に係合する。
【0102】
第1の弁プランジャ603は、ストッパ602に取り付き、また、第2の弁プランジャ604と嵌合する中空円筒形の構成要素である。より具体的には、第1の弁プランジャ603は、その遠位端部上の円筒形の突出部630を特徴として、ストッパ602と嵌合する。1つの態様によれば、図89に最も良く示されるように、4つの貫通溝632が、第1の弁プランジャ603の近位四分円上に配置されて、第2の弁プランジャ604の板ばねまたはアーム623および小さいカラー部分622と嵌合する。第1の弁プランジャ603および第2の弁プランジャ604の両方が、自由に摺動することができる。
【0103】
入れ子にすることは、定力ばね609が反跳して回転式表示器607が回転し始めたときに、達成される。回転式表示器607と第2の回転ナット606との間のねじによる接続が、第2の回転ナット606を回転させる。しかし、第2の回転ナット606は、第1の回転ナット605に螺合されており、第1の回転ナット605は、回転することができず、かつ、バレル601内の薬剤によって生じる圧力による遠位の並進に対する抵抗を経験するので、第2の回転ナット606は、近位に変位して、第2の弁プランジャの径方向内方に突出する棚628の底に達することになる。第2の弁プランジャ604は、ハウジング611により、近位に変位するのを妨げられる。続いて、回転式表示器607の回転が持続すると、第2の回転ナット606は第1の回転ナット605(回転することができない)に螺合されているので、第1の回転ナット605は、遠位に並進し、第1の弁プランジャ603(およびストッパ602)を押して、バレル601から薬剤を分注する。
【0104】
第1の弁プランジャ603は、小さいカラーセクション622(第2の弁プランジャ604の板ばねまたはアーム623の遠位端部上にそれぞれ配置されている)が第1の弁プランジャ603の溝632の対応する近位端部に係合するまで、第2の弁プランジャ604に対して遠位に変位する。これは、第1の弁プランジャ603および第2の弁プランジャ604の相対的な陽電子をロックし、回転式表示器607の回転が持続すると、両方の弁プランジャが、遠位に並進すると同時に、第2の回転ナットを(棚624とのその近位の係合により)押し進める。
【0105】
入れ子式のプランジャの初期位置および最終位置、したがって薬剤用量は、回転式表示器607のねじ付きシャフト618の長方形ねじ形状と、回転式表示器607のドラム部分616上のねじ付きシャフトと、ロッキング要素608として働く段付きピンとによって制御される。1つの態様によれば、回転式表示器607のドラム部分616上のねじ付きシャフトは、単一リードであり、また、入れ子の連鎖内の残りの構成要素は二重リードねじを有するので、他のねじ付き構成要素の軸方向行程は、回転式表示器に対するロック608の軸方向行程の2倍である。
【0106】
1つの実施形態によれば、ロック608は、円筒形であり、かつ、一方の端部上の半球形の先端、および、他方の端部上の円筒形のカラーを特徴とする。回転式表示器のドラム部分616の外部上のねじは、ハウジング611の底部にある溝および逃げ溝636と一緒に、ロック608を所定の位置に捕捉して、それが力軸線に平行に摺動することを可能にする。したがって、ばね609が解放されて回転式表示器607が回転すると、ロック608も並進して、回転式表示器のドラム部分616の外部上のねじの遠位端部が達せられるときに、確実な止め具を作り出す。
【0107】
駆動組立体600の態様の1つの利点は、定力ばね609の使用を含み、その機械的エネルギーは、バレル601内の薬剤に対する実質的に一定の直線力に変換される。そしてこれが、一様な薬剤送達速度を作り出す。別の利点は、ねじ形状によって駆動される入れ子式のプランジャを用いることであり、駆動組立体は、他のプランジャ設計と比較して、0.75インチ(1.905cm)までの直列スペースの節約をもたらすことができる。さらに、駆動組立体は、同一の構成要素内での初期および最終の機械的拘束を通じて、制御された薬剤用量を提供する。
【0108】
すでに注記されたように、他の薬物送達システムは、作動時に最大限の力を発揮する圧縮コイルばねを利用し、この力は、ばねが伸びるにつれて次第に弱くなる。プランジャでの弱まる力は、一定しない薬剤送達時間および薬剤射出圧力をもたらす。定力ばねを使用することにより、プランジャに加えられる力は、投与の始まりから終わりまで一定である。さらに、薬物容器の内側での並進を必要とする静的なプランジャの長さに加えて、コイルばねが移動しなければならない距離は、長い組立体を作り出す可能性がある。対照的に、本発明の実施形態では、定力ばねは、径方向に収容され、作動の前後でいかなる追加的なスペースも必要としない。さらに、入れ子式プランジャの態様は、プランジャの長さが静的なプランジャの長さと比較して大幅に短縮され得ることを可能にする。
【0109】
これまでの薬物送達システムは、薬物送達を可能にする機械的構成要素が、厳しい公差で作製することができない容器に基づくことによる幾何学的な依存性を作り出すので、不安定な用量精度性能を有する。本発明のいくつかの実施形態は、回転式表示器におけるねじ形状と、定力ばねの使用とを介して、並進するプランジャの始まりと終わりの時に対する制御をもたらす。
【0110】
駆動組立体は、薬物送達デバイスのための十分に制御された時間、体積、および圧力に加えて、スペースを節約する幾何形状を作り出し、これは、より魅力的にコンパクトでかつ精密な薬物送達デバイスに変わる。
【0111】
駆動組立体のいくつかの態様は、回転するねじ付きシャフトを3つ実装して、約0.75インチ(1.905cm)の直線スペース節約をもたらす。他の態様では、回転するねじ付きシャフトを2つ使用して、同様の発想が用いられて、約0.5インチ(1.27cm)のスペース節約をもたらし得る。本発明のいくつかの態様は、定力ばねの回転エネルギーを、プランジャの並進力運動(translational force motion)に変換する。
【0112】
図94~100を参照すると、本発明のさらなる態様によるスペーサ組立体660が示されている。スペーサ組立体660は、上述されかつ図76~78に示されたスペーサ組立体460に似ており、同様の方法で動作して、同様の利点を得る。スペーサ組立体660は、固定スペーサ666、および調節可能スペーサ668を含む。固定スペーサ666は、ストッパ462によって受け入れられるように構成され、出張り670がストッパ462に係合して、固定スペーサ666をストッパ462内に固着するが、ねじなどの他の適切な固着機構が利用されてもよい。固定スペーサ666は、調節可能スペーサ668の外部ねじ678を受け入れる内部ねじ672を含む。固定スペーサ666は、固定スペーサ666の螺旋状の部分上に位置決めされた複数の戻り止め674を含む。調節可能スペーサ668は、戻り止め674のうちの1つに係合して固定スペーサ666に対する調節可能スペーサ668の回転および軸方向変位を防ぐ、ばね戻り止めアーム676を含む。ばね戻り止めアーム676は、戻り止め674を一方向に通過する形状および構成とされて、固定スペーサ666から離れる調節可能スペーサ668の回転および軸方向変位を可能にする。調節可能スペーサ668は、ばね戻り止めアーム676を戻り止め674から離れる方向に付勢してスペーサ666、668が互いに固着されるのを可能にする力をばね戻り止めアーム676の頂部に印加することにより、ねじ672、678を介して最初に固定スペーサ666に固着され得る。したがって、調節可能スペーサは、スペーサ組立体460に関連して上述されたのと同様の方法で、1つの軸方向に自由に回転して、スペーサ組立体660の長さを調節することができる。
【0113】
図94~100を再度参照すると、スペーサ組立体660は、調節可能スペーサ668に受け入れられて固着されるように構成されたシム680をさらに含む。複数のサイズの調節可能スペーサ468、668を提供するのではなく、複数のシム680サイズが、容器14内の複数の異なる充填体積に適応するように提供され得る。シム680は、スナップ嵌めを使用して調節可能スペーサ668によって受け入れられる、シム680から延在するコネクタ682を介して、調節可能スペーサ668に固着され得るが、他の適切な固着機構が利用されてもよい。固定スペーサ666の中心部分684が、調節可能スペーサ668が固定スペーサ666に対して回転されている間に係合されるように構成されて、固定スペーサ666が調節可能スペーサ268と一緒に回転するのを防ぐ。固定スペーサ666の中心部分684は、シム680内の開口部を通じてアクセス可能である。
【0114】
開示された1つの態様の要素は、開示された1つまたは複数の他の態様の要素と組み合わせることができ、その全てが、本発明の範囲に含まれると考えられる。
【0115】
本開示は例示的な設計を有するものとして説明されてきたが、本開示は、本開示の精神および範囲内でさらに修正され得る。したがって、本出願は、その一般的原理を使用して本開示のあらゆる変形形態、使用法、または適応をカバーするように意図されている。さらに、本出願は、本開示が関係しかつ添付の特許請求の範囲に記載の限界に含まれる当技術分野における知られたまたは慣例的な実施に属するような本開示からの逸脱をカバーするように意図されている。
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