(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150695
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】加熱式タバコ用カートリッジ
(51)【国際特許分類】
A24D 1/20 20200101AFI20241016BHJP
A24F 1/20 20060101ALI20241016BHJP
A24D 1/02 20060101ALI20241016BHJP
A24D 3/17 20200101ALI20241016BHJP
A24F 40/42 20200101ALI20241016BHJP
【FI】
A24D1/20
A24F1/20
A24D1/02
A24D3/17
A24F40/42
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024120192
(22)【出願日】2024-07-25
(62)【分割の表示】P 2024110094の分割
【原出願日】2021-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】721008039
【氏名又は名称】Future Technology株式会社
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 龍志
(57)【要約】 (修正有)
【課題】加熱式タバコ用カートリッジのタバコ充填物集積体より発生するエアロゾルを冷却する部材を提供する。
【解決手段】加熱式タバコ用カートリッジのタバコ充填物集積体とフィルタとの間に配置され、前記タバコ充填物集積体より発生するエアロゾルを冷却する部材であって、第1端面と第2端面と、その間に形成された周面部とを有する円筒状かつ中実状に形成され、第1端面から第2端面まで延びる貫通孔を有し、周面部は、第1端面を正面とした場合の側面視において、それぞれの先端部が周面部の周方向に沿って延びて設けられる複数の凸部を有し、複数の凸部は部材の長手方向の一部に存在する。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タバコ材料を含み、略円筒状に形成されたタバコ充填物集積体と、
円筒状に形成され、前記タバコ充填物集積体において生成された水蒸気、エアロゾル中の微粒子の一部を濾過するフィルタと、
前記タバコ充填物集積体と前記フィルタとの間に配置され、前記タバコ充填物集積体より発生するエアロゾルを冷却する部材であって、
第1端面と第2端面と、前記第1端面と前記第2端面の間に形成された周面部とを有する円筒状かつ中実状に形成され、前記第1端面から前記第2端面まで延びる貫通孔を有し、
前記周面部は、前記第1端面を正面とした場合の側面視において、それぞれの先端部が前記周面部の周方向に沿って延びて設けられる複数の凸部を有する、前記タバコ充填物集積体より発生するエアロゾルを冷却する部材と、
前記タバコ充填物集積体、前記フィルタ及び前記タバコ充填物集積体より発生するエアロゾルを冷却する部材を巻くシート状の包装部材と、を備え、
前記複数の凸部は、前記部材の周面部に周面部の周方向の全周に渡って設けられ、前記部材の前記第1端面側から前記第2端面側までの長手方向の一部に存在する、
加熱式タバコ用カートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タバコまたは非タバコ植物を材料とするタバコ充填物を有する加熱式タバコに用いられる加熱式タバコ用支持部材及びこれを有する加熱式タバコ用カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タバコの禁煙の傾向に合わせるために、火炎を用いることなく、タバコの成分を含むカートリッジを加熱して、気化したタバコ成分を吸引することで、タバコを楽しむための加熱式タバコ製品が普及し始めている。加熱式タバコ用カートリッジは、加熱式タバコ本体が有するブレード等の加熱体が差し込まれて加熱されるタバコ充填物と、吸口に設けられるフィルタと、タバコ充填物とフィルタの間に設けられる支持部材とを有し、これらが紙等の包装部材で巻かれることで形成される。このような加熱式タバコ用支持部材及び加熱式タバコ用カートリッジとして、例えば特許文献1に挙げるようなものがある。
【0003】
また、特許文献2の加熱式タバコでは、加熱式タバコカートリッジのエアロゾル形成基材に加熱要素を挿入してエアロゾル形成基材を加熱し、タバコ成分を含むエアロゾルを生成する。加熱式タバコカートリッジは、エアロゾル形成基材を支持する中空管状の支持部材を有し、支持部材は、加熱要素がエアロゾル形成基材内へ挿入される際にカートリッジが受ける力に抗する。加熱によりエアロゾル形成基材から放出されたタバコ成分は、支持部材の中空の部分を通って、下流に位置するマウスピースに移送され、ユーザーによって吸引される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3212228号公報
【特許文献2】特許第6000451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、特許文献1および2に記載の支持部材を用いて電子加熱式タバコ用カートリッジを製造するときに、支持部材の表面が滑る場合があり、製造機械(組立機械)が支持部材を把持することができない場合がある。
【0006】
そこで、本発明は前記課題を鑑みてなされたものであり、組立機械が把持しやすい加熱式タバコ用支持部材をもちいた加熱式タバコ用カートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、電気制御式の発熱体を備えた加熱式喫煙具に装着して喫煙する加熱式タバコ用カートリッジであって、加熱されることにより、エアロゾルを発生するタバコ充填物集積体と、前記エアロゾルを濾過するフィルタと、前記タバコ充填物集積体と前記フィルタとの間に配置され、前記発熱体が前記タバコ充填物集積体の中に挿入されるときに前記タバコ充填物集積体が前記フィルタ側へ移動するのを防止する支持部材と、前記タバコ充填物集積体、前記フィルタ、及び前記支持部材の外周に巻かれた包装部材と、を備え、前記支持部材は、前記たばこ充填物集積体側に設けられた第1端面、前記フィルタ側に設けられた第2端面、および前記第1端面から前記第2端面の間に形成される周面部に設けられた少なくとも一つの凹部または凸部を有し、前記少なくとも一つの凹部または凸部は、対応する先端部を有する、加熱式タバコ用カートリッジが提供される。
【0008】
上記加熱式タバコ用カートリッジにおいて、前記少なくとも一つの凹部または凸部は、前記周面部の一部の領域に設けられてもよい。
【0009】
上記加熱式タバコ用カートリッジにおいて、前記少なくとも一つの凹部または凸部は、前記支持部材の長手方向に沿って設けられてもよい。
【0010】
上記加熱式タバコ用カートリッジにおいて、前記少なくとも一つの凹部または凸部は、前記支持部材の周方向に沿って設けられてもよい。
【0011】
上記加熱式タバコ用カートリッジにおいて、前記少なくとも一つの凹部または凸部は、それぞれ曲線状に設けられてもよい。
【0012】
上記加熱式タバコ用カートリッジにおいて、前記少なくとも一つの凹部または凸部は、前記支持部材の長手方向に交差する方向に沿って設けられてもよい。
【0013】
上記加熱式タバコ用カートリッジにおいて、前記少なくとも一つの凹部または凸部は、複数の凹部または凸部を含み、前記複数の凹部または凸部は、それぞれ交差して設けられてもよい。
【0014】
上記加熱式タバコ用カートリッジにおいて、前記少なくとも一つの凹部または凸部は、複数の凹部または凸部を含み、前記複数の凹部または凸部は、前記支持部材の長手方向に設けられる複数の領域にそれぞれ設けられてもよい。
【0015】
上記加熱式タバコ用カートリッジにおいて、前記少なくとも一つの凹部または凸部は、複数の凹部または凸部を含み、前記複数の凹部または凸部は、前記周方向に設けられる複数の領域にそれぞれ設けられてもよい。
【0016】
上記加熱式タバコ用カートリッジにおいて、前記少なくとも一つの凹部または凸部は、前記支持部材の長手方向に沿って前記第1端面から前記第2端面まで設けられてもよい。
【0017】
上記加熱式タバコ用カートリッジにおいて、前記少なくとも一つの凹部または凸部は、複数の凹部または凸部を含み、前記複数の凹部または凸部は、前記支持部材の周方向の全周に渡って設けられてもよい。
【0018】
上記加熱式タバコ用カートリッジにおいて、前記凸部の高さは、0.05mm以上1mm以下であってもよい。
【0019】
上記加熱式タバコ用カートリッジにおいて、前記凸部の高さは、それぞれ異なってもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一実施形態を用いることにより、組立機械が把持しやすい加熱式タバコ用支持部材及び加熱式タバコ用支持部材をもちいた加熱式タバコ用カートリッジを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態における加熱式タバコ用カートリッジの長手方向に沿う中心軸を含む面で切断した断面図である。
【
図2】加熱式タバコ用カートリッジの使用形態を表す断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態における支持部材の斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態における支持部材の側面図、および第1端面を正面とした図である。
【
図5】本発明の一実施形態における支持部材および包装部材の断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態における支持部材の側面図である。
【
図7】本発明の一実施形態における支持部材の側面図である。
【
図8】本発明の一実施形態における支持部材の側面図、および第1端面を正面とした図である。
【
図9】本発明の一実施形態における支持部材の側面図、および第1端面を正面とした図である。
【
図10】本発明の一実施形態における支持部材の側面図、および第1端面を正面とした図である。
【
図11】本発明の一実施形態における支持部材の側面図である。
【
図12】本発明の一実施形態における支持部材の側面図である。
【
図13】本発明の一実施形態における支持部材の側面図である。
【
図14】本発明の一実施形態における支持部材の側面図である。
【
図15】本発明の一実施形態における支持部材の側面図、および第1端面を正面とした図である。
【
図16】本発明の一実施形態における支持部材の側面図、および第1端面を正面とした図である。
【
図17】本発明の一実施形態における支持部材の側面図、および第1端面を正面とした図である。
【
図18】本発明の一実施形態における支持部材の側面図、および第1端面を正面とした図である。
【
図19】本発明の一実施形態における支持部材の側面図、および第1端面を正面とした図である。
【
図20】本発明の一実施形態における支持部材の第1端面を正面とした図である。
【
図21】本発明の一実施形態における支持部材の側面図である。
【
図22】本発明の一実施形態における支持部材の側面図である。
【
図23】本発明の一実施形態における支持部材の第1端面を正面とした模式図である。
【
図24】本発明の一実施形態における支持部材の第1端面を正面とした模式図である。
【
図25】本発明の一実施形態における支持部材の側面図、および第1端面を正面とした模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を、図面等を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。図面は説明をより明確にするため、模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0023】
また、各要素に対する「第1」、「第2」と付記された文字は、各要素を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限りそれ以上の意味を有さない。なお、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号(数字xxxにA,Bまたは1,2などを付しただけの符号)を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、構成の一部が図面から省略されたりする場合がある。その他、本発明の属する分野における通常に知識を有する者であれば認識できるものである場合、特段の説明を行わないものとする。
【0024】
本明細書で使用する場合、用語「先端部」は、支持部材の周面部に設けられた凸部または凹部において、凸部の場合は周面部から最も高く突出した1点の頂部、凹部の場合は周面部から中心に向かって最も深い位置にある1点の深部を意味し、頂部または深部の形状は尖っているものに限らず、丸みを有しているものも含まれる。
【0025】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る加熱式タバコ用カートリッジについて、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
(1-1.加熱式タバコ用カートリッジの構成)
図1は、本実施形態におけるタバコ充填物集積体10を有する加熱式タバコ用カートリッジ1の断面図である。
図1に示すように、加熱式タバコ用カートリッジ1は、タバコ充填物集積体10、加熱式タバコ用支持部材20(以下単に支持部材20という)、吸口部となるフィルタ30、およびシート状の包装部材40を含む。加熱式タバコ用カートリッジ1では、タバコ充填物集積体10、支持部材20、およびフィルタ30が長手方向D1に沿って配列され、包装部材40で巻かれることで一体化されて形成されている。
【0027】
タバコ充填物集積体10は、長尺状のタバコ充填物11が長手方向D1に沿って束状とされ、シート状の包装体で巻かれることで略円筒状となるように形成されている。タバコ充填物11は、この例では非タバコ材料で形成される。なお、タバコ充填物11はタバコ材料で形成されてもよい。
【0028】
タバコ充填物11は、乾燥・粉砕された非タバコ植物に、エアロゾルを発生させるエアロゾルフォーマや、微結晶セルロース、風味を追加する添加剤、保存料、粘着剤または増粘剤等を混合し、シート状に成形した上で、所定の幅及び長さを有するように切断されることで形成される。なお、タバコ充填物11は長尺状に限定されず、多様な形状を有してもよい。例えば、ペースト状に形成されてもよいし、顆粒状に形成されてもよい。
【0029】
タバコ充填物11を長尺状で構成した場合、中心軸Cに直交する断面は略長方形状であり、その断面の長辺と短辺の比は、例えば、1:1~30:1の範囲であることが好ましい。長辺の長さは、0.1mm~7.5mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは、0.1mm~3.0mmの範囲である。短辺の長さは、0.1mm~1.0mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは0.1mm~0.5mmの範囲である。また、タバコ充填物11の長さはタバコ充填物集積体10の長さと略同一であるのが好ましい。タバコ充填物11の長さは10mm~25mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは10mm~20mmの範囲である。このようなタバコ充填物11の寸法の一例を挙げると、長辺が1.5mm、短辺が0.3mm、長さが12mmである。
【0030】
支持部材20は、タバコ充填物集積体10の支持部材20側への移動を抑制するとともに、タバコ充填物集積体10で発生したエアロゾルを含む気流をフィルタ30側に流通させる。支持部材20は、例えば円筒状かつ中実状に設けられ、その軸方向が中心軸Cに沿うようにタバコ充填物11とフィルタ30との間に配置される。支持部材20は、例えば、中心軸Cに沿った長さが3.0mm~50mm以下に形成される。なお、支持部材20は、適宜機能および構成に応じて上記とは異なる寸法を有していてもよい。支持部材20のその他の構成については、後述する。
【0031】
フィルタ30は、円筒状に形成され、例えば直径が6.5mm~7.5mm、中心軸Cに沿った長さが50mm以下に形成される。フィルタ30は、喫煙具用カートリッジ1の吸口を構成する部分である。フィルタ30は、例えば紙等を用いて形成される。また、フィルタ30は、例えば紙からなるシート状の部材を巻いて円筒状に設けられてもよいし、微粒子を取り除くセルロースアセテートフィルタ等を含んでいてもよい。フィルタ30は、タバコ充填物集積体10で生成された水蒸気やエアロゾル中の微粒子の一部を濾過する機能を有する。
【0032】
本実施形態に係る加熱式タバコ用カートリッジ1は、径が6.5~7.5mm、長さが40~60mmに形成される。加熱式タバコ用カートリッジ1の径を6.5~7.5mmの範囲に設定すれば、加熱式喫煙具に設けられた加熱式タバコ用カートリッジを差し込む挿入孔よりも小さな径となり、加熱式タバコ用カートリッジ1を加熱式喫煙具に挿入するのが容易となる。加熱式タバコ用カートリッジ1の長さを40~60mmの範囲に設定すれば、加熱式喫煙具に設けられた加熱式タバコ用カートリッジを受け入れる挿入孔の長さよりも長くなるので、加熱式タバコカートリッジ1を喫煙具に差し込んでも吸口部を加熱式喫煙具から露出させることができ、喫煙者が喫煙するのに必要な長さを確保可能となる。
【0033】
また、タバコ充填物集積体10は、10~25mmの長さを有する。タバコ充填物集積体10の長さを10mm以上に設定すれば、発熱体52を挿入するために最低限必要な長さを確保可能となる。また、タバコ充填物集積体10の長さを25mm以下に設定すれば、発熱体52の熱をタバコ充填物11の隅々まで行き渡らせることが可能な長さを確保することができる。なお、加熱式タバコ用カートリッジ1は、加熱式タバコ本体の形状に合わせて、上記とは異なる寸法を有していてもよい。
【0034】
図2は、加熱式タバコ用カートリッジ1の使用形態を表す断面図である。加熱式タバコ用カートリッジ1は、加熱式タバコ本体5に装着されて使用される。加熱式タバコ本体5は、加熱式タバコ用カートリッジ1を挿入させる挿入部50を有している。挿入部50には、挿入された加熱式タバコ用カートリッジ1のタバコ充填物11に対して挿入される針状あるいはブレード状の発熱体52が設けられる。発熱体52は、加熱式タバコ本体5内部に設けられた制御部により電気的に制御される。発熱体52は、タバコ充填物11に対して挿入された状態で発熱することにより、タバコ充填物11からエアロゾルを発生させることができる。この状態で、ユーザーがフィルタ30から吸うことにより、エアロゾルを含む気流を吸引することができる。また、支持部材20が、中実であり、タバコ充填物集積体10とフィルタとの間に設けられることにより、タバコ充填物集積体10がフィルタ30側に移動することを防止することができる。
【0035】
(1-2.支持部材20の構成)
支持部材20について、以下に詳細に説明する。
【0036】
図3は、支持部材20の斜視図である。
図3に示すように、支持部材20は、第1端面21、第2端面23及び周面部25を有する。支持部材20の第1端面21はタバコ充填物集積体10の端面に当接する。支持部材20の第2端面23はフィルタ30の端面に当接する。支持部材20は第1端面21から第2端面23まで延びる孔部27(貫通孔ともいう)を有しており、孔部27を通じて気流が流通する。支持部材20は、円筒状に設けられる。支持部材20を形成する材料には、例えば、シリコーン樹脂が用いられる。なお、支持部材20はシリコーン樹脂に限定されず、冷却効果が増す木材、金属(アルミ等)のような樹脂材以外の材料で形成されていてもよい。
【0037】
図4(A)は、支持部材20の側面図である。
図4(B)は、支持部材20の第1端面21を正面とした図である。
図4(A)および
図4(B)に示すように、支持部材20は、長手方向D1と直交する平面で切断した断面形状において、第1端面21から第2端面23まで同じ形状を有する。
【0038】
支持部材20は、第1端面21から第2端面23まで貫通する孔部27を有している。孔部27は、タバコ充填物集積体10で発生したエアロゾルを含む気流を、フィルタ30側に流通させる流路として機能する。
【0039】
図4(A)および
図4(B)に示すように、孔部27は、周面部25の中心軸C20を含まないように配置されている。この例では、孔部27は円柱形状を有している。また、本実施形態では、周方向に沿って6つの孔部27が設けられる。このとき、孔部27の中心Pは、中心軸C20を中心としてそれぞれ周方向に60°の間隔を有して配置されている。このため、6つの孔部27は、周方向に等間隔に配置される。また、6つの孔部27は、同じ半径を有する。
【0040】
第1端面21は、孔部27の部分が空隙であり、それ以外の部分が中実である。この中実部分がタバコ充填物集積体10の端面に当接する。タバコ充填物集積体10は、加熱式タバコ本体5の発熱体52が挿入される際には長手方向D1に力を受けるため、当接する支持部材20の中実部分でタバコ充填物集積体10を支持することができる。
【0041】
支持部材20は、周面部25に複数の凸部251を有している。凸部251は、長手方向D1に沿って延伸して設けられる。この例では、凸部251は、支持部材20の周面部25の第1端面21から第2端面23までの長手方向D1全長に渡るように形成されている。また、凸部251は、周方向の全周に渡って複数設けられる。
【0042】
複数の凸部251は、それぞれ先端部251aを有する。この例では、先端部251aは、丸みを有している。
図4(B)において、第1端面21側から見た時の凸部251の中心C251から先端部251aに向かって伸びる仮想線VL1は、支持部材20の中心軸C20から径方向D2に延びる仮想線と同一である。凸部251は、2つの側部S251を有しており、2つの側部S251はそれぞれ先端部251aと周面部25とをつないでいる。このとき、第1端面21側から支持部材20を見た場合、仮想線VL1と、凸部251の先端部251aに対応する側部S251に沿って設けられた仮想線VL2とのなす角θは、鋭角である。
【0043】
本実施形態において、周面部25に凸部251が設けられることで、組立機械の把持部が支持部材20を把持したときに、組立機械の把持部と凸部251の先端部251aとの間に摩擦力が生じる。これにより、組立機械の把持部は支持部材20を把持しやすくなり、加熱タバコ用カートリッジを安定して製造することができる。
【0044】
図5は、支持部材20を包装部材40が包装した状態の断面図である。
図5に示すように、本実施形態において、支持部材20の外周に巻かれている包装部材40と支持部材20の周面部25との間には、凸部251が設けられることにより空隙26が設けられる。これにより、包装部材40と周面部25との間をエアロガスが流通することができる。したがって、エアロガスの流路が孔部27に加えて拡大し、エアロガスの流動性を向上させることができる。さらに、本実施形態の場合、空隙26が包装部材40に向かって広がる形状となるため、例えば凸部が略方形状を有する場合に比べてエアロゾルの流路を大きく
とることができる。
【0045】
また、本実施形態では、凸部251は、長手方向D1においてそれぞれ同じ高さを有する。このとき、凸部251の高さは、0.05mm以上1mm以下であることが好ましい。凸部251の高さが0.05mm未満の場合には、凸部としての形状を維持することが難しくなる、またはエアロゾルがスムーズに流通することができない場合があるためである。また、凸部251の高さが1mmを超えると、支持部材20と包装部材40との間の空隙のサイズが増大し、タバコ充填物11の一部が空隙に入り込んでしまい、タバコ充填物集積体10がフィルタ30側に移動するのを抑制するのが困難となるおそれがあるためである。また、凸部の形状を保持する観点からも上記の範囲が望ましい。
【0046】
また、本実施形態において、周面部25と包装部材40との間の空隙率とともに、支持部材20は、支持部材20の断面積に対する貫通孔の断面積の割合である空隙率を調整することで、タバコ充填物集積体10からのエアロゾル(気流)の流動性を調整することができる。空隙率の詳細にはついては、後述する。
【0047】
本実施形態の支持部材20を包装部材40で包装したとき、周面部25と包装部材40との間に複数の空隙26が設けられ、この空隙をエアロゾルの流路とすることができる。支持部材20の第1端面における空隙は、空隙26と6つの孔部27であり、空隙26と孔部27の空隙率の比は、例えば1:1~1:12の範囲であることが好ましい。空隙26の空隙率は包装部材40によって囲まれた面積のうち1%~5%の範囲が好ましく、孔部27の空隙率は1%~60%の範囲が好ましい。空隙26が上記範囲の上限を超えた場合、外部から圧力を加えられた際に、包装部材40がつぶれてしまい、カートリッジ全体としての形状を保持することができない、または支持部材20の支持機能が維持できなくなるおそれがある(例えば、タバコ充填物集積体が空隙26と孔部27に入り易くなる)。また、空隙26が上記範囲の下限を下回った場合、エアロゾルの流通を損ねるおそれがある(例えば、流路が狭くなり、エアロゾルの流通量が減るため、吸引に力を要する)。
【0048】
つまり、本実施形態を用いることにより、外部から圧力を加えられた際に、包装部材40がつぶれてしまうことなく、支持部材20の中実部分がタバコ充填物集積体10の支持部材20側への移動を抑制するとともに、包装部材40との間に複数の空隙26が設けられることで、孔部27に加え、空隙26の空隙をエアロゾルが流通することで、エアロゾルを流通させる効果を高めることができる。
【0049】
また、空隙率と合わせて、包装部材40の厚みや材料により、通気抵抗を調整してもよい。本実施形態では、包装部材40と支持部材20の間には空隙26が設けられるため、フィルタ30を吸って包装部材40の内部が負圧の状態になると、包装部材40を介して外部の空気が取り込まれる。このとき、包装部材40の通気抵抗により、外部の空気が取り込まれる度合いを変化させることができる。
【0050】
<第2実施形態>
本発明の第1実施形態では、支持部材において周面部の長手方向に凸部が延びて配置される例を示したが、本発明ではこれに限定されない。本実施形態では、第1実施形態とは異なる支持部材について説明する。具体的には、凸部が、長手方向に対して傾いた方向に設けられる支持部材について説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態と同様の構成については、適宜説明を省略する。
【0051】
図6は、支持部材20Aの側面図である。
図6に示すように、支持部材20Aは、周面部25Aに凸部251Aを有する。凸部251Aは、長手方向D1に交差する方向に延びて設けられてもよい。具体的には、凸部251Aは、長手方向D1に対して傾いた方向に設けられる。この場合、凸部251Aが長手方向D1に延びる場合に比べてエアロゾルの流路を長くなり、冷却時間を増加させることができる。したがって、本実施形態を用いることにより、組立機械の把持部(製造装置)が支持部材20Aを把持しやすくなり、加熱タバコ用カートリッジを安定して製造することができるとともに、凸部251Aが直線状
に設けられる場合と比べてエアロゾルを吸い込んだ時の吸い心地に変化を及ぼすことを可能とする。
【0052】
<第3実施形態>
本発明の第1実施形態では、支持部材において周面部の長手方向に凸部が延びて配置される例を示したが、本発明ではこれに限定されない。本実施形態では、第1実施形態とは異なる支持部材について説明する。具体的には、曲線状に配置された凸部を有する支持部材について説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態と同様の構成については、適宜説明を省略する。
【0053】
図7は、支持部材20Bの側面図である。
図7に示すように、支持部材20Bの周面部25Bにおいて、凸部251Bは、先端部を有するとともに、第1端面21から第2端面23に向かって曲線状に配置されてもよい。この場合、凸部251Bが長手方向D1に直線状に延びる場合に比べてエアロゾルの流路を長くすることができる。これにより、製造機械(組立機械)が把持しやすくなり、加熱タバコ用カートリッジを安定して製造することができるとともに、凸部が直線状に設けられる場合と比べて喫煙者がエアロゾルを吸い込んだ時の吸い心地に変化を及ぼすことを可能とする。
【0054】
<第4実施形態>
本実施形態では、第1実施形態とは異なる支持部材について説明する。具体的には、凸部が、第1端面から第2端面に向かって波形状に設けられる支持部材について説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態と同様の構成については、適宜説明を省略する。
【0055】
図8(A)は、支持部材20Cの側面図である。
図8(B)は、支持部材20Cの第1端面21を正面とした図である。
図8(A)および
図8(B)に示すように、支持部材20Cにおいて、凸部251Cは、第1端面21から第2端面23に向かって長手方向D1に波形状に配置されてもよい。この場合、凸部251Cが長手方向D1に直線状に延びる場合に比べてエアロゾルの流路を長くすることができる。これにより、エアロゾルの冷却時間も変化する。したがって、本実施形態を用いることにより、組立機械の把持部(製造装置)が支持部材20Cを把持しやすくなり、加熱タバコ用カートリッジを安定して製造することができるとともに、凸部251Cが直線状に設けられる場合と比べて喫煙者がエアロゾルを吸い込んだ時の吸い心地に変化を及ぼすことを可能とする。
【0056】
<第5実施形態>
本実施形態では、第1実施形態と異なる支持部材について説明する。具体的には、凸部が、周方向に沿って設けられる支持部材について説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態と同様の構成については、適宜説明を省略する。
【0057】
図9(A)は、支持部材20Dの側面図である。
図9(B)は、支持部材20Dの第1端面21を正面とした図である。
図9(A)および
図9(B)に示すように、支持部材20Dは、第1端面21、第2端面23及び周面部25Dを有する。支持部材20Dの周面部25Dは、凸部251Dを有する。凸部251Dは、先端部251Daを有するとともに、周方向に沿って設けられてもよい。このとき、
図9(A)において、凸部251Dの中心C251Dから先端部251Daに向かって伸びる仮想線VL1は、支持部材20Dの中心軸C20Dから径方向D2に延びる仮想線と同一である。凸部251Dは、2つの側部S251Dを有しており、2つの側部S251Dはそれぞれ先端部251Daと周面部25Dとをつないでいる。このとき、周面部25D側から支持部材20Dを見た場合、仮想線VL1と、凸部251Dの先端部251Daに対応する側部S251Dに沿って設けられた仮想線VL2とのなす角θは、鋭角である。
【0058】
凸部251Dの数は、支持部材20Dの長手方向の長さにより制御される。本実施形態の場合、組立機械の把持部と接触する凸部251Dの数は、凸部251が長手方向D1に延びる場合に比べて増加する。接触する凸部251Dの数が増加することにより、組立機械の把持部と支持部材20Dとが接触するときに大きい摩擦力が生じやすくなる。したがって、本実施形態を用いることにより、組立機械の把持部(製造装置)は支持部材20Dを把持しやすくなり、加熱タバコ用カートリッジを安定して製造することができる。
【0059】
<第6実施形態>
本実施形態では、第1実施形態と異なる支持部材について説明する。具体的には、複数の凸部が、それぞれ交差して設けられる支持部材について説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態と同様の構成については、適宜説明を省略する。
【0060】
図10(A)は、支持部材20Eの側面図である。
図10(B)は、支持部材20Eの第1端面21を正面とした図である。
図10(A)および
図10(B)に示すように、支持部材20Eは、周面部25Eに複数の凸部251Eを含む。凸部251Eは、凸部251E1および凸部251E2を有する。凸部251E1は、先端部251E1aを有するとともに、長手方向D1に沿って設けられる。凸部251E2は、先端部251E2aを有するとともに、周方向に沿って設けられる。凸部251E1および凸部251E2は、それぞれ交差して設けられてもよい。
【0061】
このとき、凸部251E1の高さと、凸部251E2の高さが異なってもよい。この例では、凸部251E2の高さが凸部251E1の高さよりも大きい。これにより、組立機械の把持部と接触する凸部251E2の数が増加する。接触する凸部の数が増加することにより、組立機械の把持部と支持部材20Eとが接触するときに大きな摩擦力が生じやすくなる。
【0062】
また、本実施形態の場合、凸部251E1と、周方向の凸部251E2とが交差することにより、格子状の溝251EVが形成される。溝251EVには、エアロゾルが部分的に滞留することができる。これにより、エアロゾルの流路が多様化するとともに、エアロゾルの冷却時間を異ならせることができる。したがって、本実施形態を用いることにより、組立機械の把持部(製造装置)が支持部材20Eを把持しやすくなり、加熱タバコ用カートリッジを安定して製造することができるとともに、凸部が直線状に設けられる場合と比べて喫煙者がエアロゾルを吸い込んだ時の吸い心地に変化を及ぼすことを可能とする。
【0063】
<第7実施形態>
本発明の第1実施形態では、支持部材が周面部25の長手方向D1の全長及び周方向の全体にわたって凹凸が設けられる例を示したが、本発明ではこれに限定されない。本実施形態では、第1実施形態とは異なる支持部材20について、説明する。凸部251が周面部25の一部の領域に設けられた支持部材20について説明する。
【0064】
図11乃至
図14は、支持部材20Fの側面図である。
図11乃至
図14に示すように、支持部材20Fは、周面部25Fにおいて凸部251Fを有する。凸部251Fは、周面部25Fの一部の領域に設けられてもよい。
【0065】
このとき、
図11(A)に示すように、長手方向D1に比べて周方向に広く設けられてもよい。また、
図11(B)に示すように、周方向に比べて長手方向D1に広く設けられてもよい。
【0066】
また、支持部材20Fは複数の領域に設けられてもよい。例えば、
図12(A)に示すように、凸部251Fが周方向に広く設けられる場合には、凸部251Fが長手方向D1の複数の領域に設けられてもよい。また、
図12(B)に示すように、凸部251が長手方向D1に広く設けられる場合には、凸部251Fが周方向の複数の領域に設けられてもよい。
【0067】
また、
図13(A)に示すように、凸部251Fは、周面部25Fの一部に周面部25Fの周方向の全周に渡って設けられてもよい。このとき、
図13(B)に示すように、凸部251Fは、長手方向D1の複数の領域に設けられてもよい。
【0068】
また、
図14(A)に示すように、凸部251Fは、周面部25Fの一部に周面部25Fの長手方向D1の全長に渡って設けられてもよい。このとき、
図14(B)に示すように、凸部251Fは周方向の複数の領域に設けられてもよい。
【0069】
本実施形態の構成においても、周面部25Fに凸部251Fが設けられるため、組立機械が支持部材20Fを把持したときに摩擦力が生じやすくなる。これにより、組立機械の把持部は支持部材20Fを把持しやすくなり、加熱タバコ用カートリッジを安定して製造することができる。
【0070】
<第8実施形態>
本発明の第1実施形態では、支持部材において周面部25の長手方向D1に凸部251が延びて設けられる例を示したが、本発明ではこれに限定されない。本実施形態では、第1実施形態とは異なる支持部材について説明する。具体的には、突起状の凸部が設けられた支持部材について説明する。
【0071】
図15(A)は、支持部材20Gの側面図である。
図15(B)は、支持部材20Gの第1端面21を正面とした図である。
図15(A)および
図15(B)に示すように、周面部25Gは、凸部251Gを有する。凸部251Gは突起形状を有する。凸部251Gは、長手方向D1および周方向に配置される。凸部251Gは、それぞれ先端部251Gaを有する。
図15(B)において、第1端面側から見た時の凸部251の中心C251Gから先端部251Gaに向かって伸びる仮想線VL1は、支持部材20Gの中心軸C20Gから径方向D2に延びる仮想線と同一である。凸部251Gは、2つの側部S251
Gを有しており、2つの側部S251Gはそれぞれ先端部251Gaと周面部25Gとをつないでいる。このとき、第1端面21側から支持部材20Gを見た場合、仮想線VL1と、凸部251Gの先端部251Gaに対応する側部S251Gに沿って設けられた仮想線VL2とのなす角θは、鋭角である。
【0072】
本実施形態の場合、突起の数だけ凸部251Gが設けられることになり、加熱タバコカートリッジを製造するときの支持部材20Gと、組立機械の把持部との間の摩擦力を増大させることができる。これにより、組立機械の把持部は支持部材20Gを把持しやすくなり、加熱タバコ用カートリッジを安定して製造することができる。
【0073】
なお、本実施形態において隣接する凸部251Gは、長手方向D1に配置される例を示したが、これに限定されない。例えば、一つの凸部251Gに隣接する他の凸部251Gは、長手方向D1に交差する方向に配置されてもよい。
【0074】
図16(A)は、支持部材20Hの側面図である。
図16(B)は、支持部材20Hの第1端面21を正面とした図である。
図16(A)に示すように、凸部251Hは、例えば、長手方向D1に対して斜め方向にジグザグ状に配置されてもよい。このとき、
図16(B)に示すように、第1端面21側から見たときに、隣接する凸部251Hが部分的に重畳する。これにより、エアロゾルの流路は、エアロゾルが直線的に流通する場合に比べて長くなる。そのため、エアロゾルの冷却時間が多様化する。したがって、組立機械が把持しやすくなり、加熱タバコ用カートリッジを安定して製造することができるとともに、喫煙者がエアロゾルを吸い込んだ時の吸い心地に変化を及ぼすことを可能とする。
【0075】
<第9実施形態>
本発明の第1実施形態では、支持部材において周面部の長手方向に凸部が延びて配置される例を示したが、本発明ではこれに限定されない。本実施形態では、第1実施形態とは異なる支持部材について説明する。具体的には、周面部において長手方向に延びる凹部を有する支持部材について説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態と同様の構成については、適宜説明を省略する。
【0076】
図17(A)は、支持部材20Jの側面図である。
図17(B)は、支持部材20Jの第1端面21を正面とした図である。
図17(A)および
図17(B)に示すように、支持部材20Jにおいて、周面部25Jは、凹部252を有する。凹部252は、第1端面21から第2端面23に向かって長手方向D1に直線状に配置される。
【0077】
図17(B)において、凹部252は、2つの側部S252を有しており、2つの側部S252Jはそれぞれ先端部252aと周面部25Jとをつないでいる。このとき、第1端面21側から支持部材20Jを見た場合、第1端面21側から見た時の凹部252の中心C252から先端部252aに向かって伸びる仮想線VL1と、凹部252の先端部252aに対応する側部S252に沿って設けられた仮想線VL2とのなす角θは、鋭角である。
【0078】
本実施形態の場合、支持部材20Jが凹部252を有することにより、組立機械の把持部の先端が支持部材20Jに引っ掛かりやすくなる。その結果として、組立機械の把持部は支持部材20Jを把持しやすくなり、加熱タバコ用カートリッジを安定して製造することができる。
【0079】
なお、本実施形態では、凹部252が、第1端面21から第2端面23に向かって長手方向D1に直線状に配置される例を示したが、第2乃至第7実施形態等に記載された形状に合わせて設けられてもよい。
【0080】
<第10実施形態>
本発明の第8実施形態では、支持部材が周面部に突起状の凸部を有する例を示したが、本発明はこれに限定されない。本実施形態では、本発明の第8実施形態とは異なる支持部材について説明する。具体的には、窪み形状の凹部を有する例について説明する。
【0081】
図18(A)は、支持部材20Kの側面図である。
図18(B)は、支持部材20Kの第1端面21を正面とした図である。
図18(A)および
図18(B)に示すように、周面部25Kは、複数の凹部252Kを有する。凹部252Kは先端部252Kaを有する窪み形状を有する。凹部252Kは、長手方向D1および周方向に配置される。凹部252Kは、それぞれ先端部252Kaを有する。
【0082】
本実施形態の場合、支持部材20Kが複数の凹部252Kを有することにより、組立機械の把持部の先端が支持部材20Kの凹部252Kに引っ掛かりやすくなる。その結果として、組立機械の把持部は支持部材20Kを把持しやすくなり、加熱タバコ用カートリッジを安定して製造することができる。
【0083】
また、本実施形態の場合、凹部252Kの中にエアロゾルが滞留することで、エアロゾルの流路が変化する。これにより、喫煙者がエアロゾルを吸い込んだ時の吸い心地に変化を及ぼすことを可能とする。
【0084】
<第11実施形態>
本実施形態では、第1実施形態とは異なる支持部材について説明する。具体的には、複数の微細な凸部が、周方向に設けられた支持部材について説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態と同様の構成については、適宜説明を省略する。
【0085】
図19(A)は、支持部材20Lの側面図である。
図19(B)は、支持部材20Lの第1端面21を正面とした図および一部の拡大図である。
図19(A)および
図19(B)に示すように、支持部材20Lの周面部25Lにおいて、第1端面21から第2端面23に向かって長手方向D1に複数の微細な凸部251Lが配置されてもよい。微細な凸部251Lは、先端部251Laが尖った形状を有する。
【0086】
支持部材20Lは、6つの孔部27L(貫通孔)を有する。6つの貫通孔のうち、5つの貫通孔は、周方向に72度ずつ離れ、均等に配置される。6つの貫通孔のうち、残り1つの貫通孔は、第1端面21の中央に配置される。
【0087】
本実施形態において、周方向に100個以上150個以下の微細な凸部251Lが配置されてもよい。また、微細な凸部251Lの高さは、支持部材の幅(直径)に対して100分の1以上50分の1以下であってもよい。この例では、周方向に137個の微細な凸部251Lが配置される。このとき、支持部材の直径が7mmであり、凸部251Lの高さT251Lは、0.1mmである。隣接する凸部251Lの先端部251La間の幅W251La(ピッチともいう)は、0.16mmである。
【0088】
本実施形態を有することにより、凸部の形状を維持しながら把持する部材との接地面積(接触点)が増加する。これにより、組立機械の把持部と、支持部材との間の摩擦力を高めることができる。したがって、組立機械の把持部で支持部材をより把持しやすくなる。
【0089】
また、本実施形態の支持部材を包装部材で包装したとき、周面部25Lと包装部材40との間に複数の空隙26が設けられ、この空隙をエアロゾルの流路とすることができる。このとき、支持部材20Lの第1端面における空隙は、空隙26と6つの孔部27Lである。空隙26と孔部27Lの空隙率の比は、例えば1:1~1:12の範囲であることが好ましい。空隙26の空隙率は包装部材40によって囲まれた面積のうち2%~4%の範囲が好ましく、孔部27Lの空隙率は2%~48%の範囲が好ましい。空隙26が上記範囲の上限を超えた場合、外部から圧力を加えられた際に、包装部材40がつぶれてしまい、カートリッジ全体としての形状を保持することができない、または支持部材20の支持機能が維持できなくなるおそれがある(例えば、タバコ充填物集積体10のタバコ充填物11が空隙26と孔部27に入り易くなる)。また、空隙26が上記範囲の下限を下回った場合、エアロゾルの流通を損ねるおそれがある(例えば、流路が狭くなり、エアロゾルの流通量が減るため、吸引に力を要する)。本実施形態における空隙率は孔部27が30%、空隙26の空隙率は3%である。
【0090】
つまり、本実施形態を用いることにより、支持部材20Lの中実部分がタバコ充填物集積体10のフィルタ30側への移動を抑制するとともに、包装部材40との間に複数の空隙26が設けられることで、孔部27Lに加え、空隙26の空隙をエアロゾルが流通することで、エアロゾルを流通させる効果を高めることができる。
【0091】
(変形例)
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例および修正例に想到し得るものであり、それら変更例および修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、前述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、処理の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。また、各実施形態の構成を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0092】
本発明の第1実施形態では、加熱式タバコ用カートリッジ1には、タバコ充填物集積体10、支持部材20、および吸口部となるフィルタ30が設けられる例を示したが、本発明は、これに限定されない。支持部材20とフィルタ30との間に冷却部材、断熱部材など別の部材が設けられてもよい。また、支持部材と、フィルタとの間には通気性を向上させるための空洞を有してもよい。このとき、空洞は、1mm以上20mm以下の範囲で設けられてもよい。これにより、空洞の部分が広く設けられた状態となるため、被加熱芳香発生体で発生したエアロゾルの吸引量を向上させることができる。また、空洞は交流空間
としても機能するため、味わいの面においても優れる。さらに、製造上の誤差によって茶葉やフィルタが多少長くなるなどの不具合が発生した場合においても、この空洞が設けられることにより製造上の不具合を吸収することができる。
【0093】
また、加熱式タバコ用カートリッジ1は、タバコ充填物集積体10および支持部材20のみで構成されてもよい。この場合、加熱式タバコ用カートリッジ1は、フィルタを有しなくてもよい。
【0094】
本発明の第1実施形態では、孔部27(貫通孔)は、同じ半径を有するとともに、円形状を有する例が示されたが、これに限定されない。孔部27は、それぞれ異なる半径を有してもよい。また、孔部27は、楕円形状でもよいし、矩形状でもよい。
【0095】
本発明の第1実施形態では、支持部材20が孔部を有する例を示したが、これに限定されない。凸部251の形状に応じて孔部27は設けられなくてもよい。
【0096】
なお、本発明の第1実施形態では、複数の凸部または凹部が設けられる例を示したがこれに限定されない。凸部または凹部は、少なくとも一つ設けられることにより、本願の課題を解決することができる。
【0097】
なお、本発明の第1実施形態では、凸部251は、それぞれ同じ高さをする例を示したが、本発明はこれに限定されない。凸部251は、それぞれ異なる高さを有してもよい。また、凸部251が長手方向D1に延びる場合には、長手方向D1において凸部251の高さが異なってもよい。また、凸部251が周方向に沿って延びる場合には、周方向において凸部251の高さが異なってもよい。また、隣接する凸部251の高さが異なってもよい。これにより、エアロゾルの流路は多様化する。したがって、加熱タバコカートリッジにおいて得られるエアロゾルの吸い心地に変化を及ぼすことを可能とする。
【0098】
本発明の第1実施形態では、第1端面側から見た時の凸部251の中心から先端部251aに向かって伸びる仮想線VL1は、支持部材20の中心軸C20から径方向D2に延びる仮想線と同一である例を示したが、これに限定されない。
図20は、支持部材20Mの第1端面21を正面とした図である。
図20に示すように、支持部材20Mの周面部25Mは、凸部251Mを有する。凸部251Mの中心C251Mから先端部251Maに向かって伸びる仮想線VL1は、支持部材20Mの中心軸C20Mから径方向に延びる仮想線VL3と異なってもよい。この場合、2つの仮想線VL1、VL3がなす角は5度未満であることが望ましい。これにより、第1実施形態の凸部251の中心および先端部251aが同一の仮想線上に設けられる場合と同様の効果を有することができる。
【0099】
また、本発明の第4実施形態において凸部251Cは、長手方向D1に波形状を有して配置される例を示したが、これに限定されない。支持部材20Nの凸部251Nは、周方向に配置されてもよいし、長手方向D1に対して斜め方向に配置されてもよい。
図21は、支持部材20Nの側面図である。例えば、
図21に示すように、凸部251Nは、それぞれ長手方向D1に交差する方向に波形状を有して配置されてもよい。
【0100】
また、本発明の第6実施形態では、複数の凸部251は、長手方向D1および周方向において交差して設けられる例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、複数の凸部251Eの一部は、長手方向D1または周方向に対して傾斜した方向に延びてもよい。凸部251Eは長手方向D1および周方向において交差するとともに波形状を有してもよい。これにより、エアロゾルの流路が多様化し、喫煙者がエアロゾルを吸い込んだ時の吸い心地に変化を及ぼすことを可能とする。
【0101】
また、本発明の各実施形態では、一定の規則性を有して、凹部または凸部が設けられる例を示したが、これに限定されない。
図22は、支持部材20Pの側面図である。
図22に示すように、支持部材20Pは、周面部25Pに凸部251Pを有する。凸部251Pは、不規則に設けられてもよい。このとき、凸部251Pが設けられることにより、組立機械の把持部と、凸部との間で摩擦力が発生するとともに、エアロゾルの流路が多様化し、喫煙者がエアロゾルを吸い込んだ時の吸い心地に変化を及ぼすことを可能とする。したがって、組立機械が把持しやすくなり、加熱タバコ用カートリッジを安定して製造することができるとともに、エアロゾルの吸い心地を異ならせることができる。
【0102】
また、本発明の一実施形態では、先端部を有する例を示したが、これに限定されない。
図23は、支持部材20Qの断面図および凸部251Qの拡大図である。
図23に示すように、支持部材20Qにおける周面部25Qの凸部251Qの上部251Quが平坦であってもよい。このとき、第1端面21側から支持部材20を見た場合において凸部251Qの上部251Quの幅W251Quは、凸部251の下部251Qdの幅W251Qdに対して5分の1以下であることが望ましい。これにより、凸部が先端部(頂部)を有した時と同様の効果を奏することができる。
【0103】
また、本発明の第1実施形態では、一つの凸部は一つの頂部が形成された先端部を有する例を示したが、これに限定されない。
図24は、支持部材20Rの断面図および凸部251Rの拡大図である。
図24に示すように、支持部材20Rは、周面部25Rに凸部251Rを有する。凸部251Rは、複数の頂部が形成された先端部251Raを有してもよい。このとき、凸部の中心C251Rと、先端部251Raにおける一つの頂部251Ra1とを結ぶ仮想線VL1Rと、頂部251Ra1に対応する側部S251Rに沿って設けられた仮想線VL2Rとがなす角は鋭角である。これにより、把持する部材との接地
面積(接触点)が増加する。そのため、組立機械の把持部と、支持部材との間の摩擦力を高めることができる。したがって、組立機械の把持部で支持部材をより把持しやすくなる。
【0104】
また、本発明の第1実施形態では、第1端面21を正面としたときに凸部が二つの側部を有する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。凸部が円弧を有してもよい。
【0105】
図25(A)は、支持部材20Sの側面図である。
図25(B)は、支持部材20Sの第1端面21を正面とした図である。
図25(A)および
図25(B)に示すように、支持部材20Sは周面部25Sに凸部251Sを有する。凸部251Sは、長手方向D1および周方向に配置される。凸部251Sは、それぞれ先端部251Saを有する。
図25(B)において、第1端面側から見た時の凸部251Sの中心C251Sから先端部251Saに向かって伸びる仮想線VL1は、支持部材20の中心軸C20Sから径方向D2に延びる仮想線と同一である。凸部251Sは、円弧S251Sを含み、先端部251Saと周面部25Sとをつないでいる。
【0106】
本実施形態において、周面部25Sに凸部251Sが設けられることで、組立機械の把持部が支持部材20Sを把持したときに、組立機械の把持部と凸部251Sの先端部21Saとの間に摩擦力が生じる。これにより、組立機械の把持部は支持部材20Sを把持しやすくなり、加熱タバコ用カートリッジを安定して製造することができる。
【符号の説明】
【0107】
1・・・カートリッジ,5・・・加熱式タバコ本体,10・・・タバコ充填物集積体,11・・・タバコ充填物,20・・・支持部材,21・・・第1端面,23・・・第2端面,25・・・周面部,26・・・空隙,27・・・孔部,30・・・フィルタ,40・・・包装部材,50・・・挿入部,51・・・挿入部,52・・・発熱体,251・・・凸部,251a・・・先端部,252・・・凹部,252a・・・先端部
【手続補正書】
【提出日】2024-08-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タバコ材料を含み、略円筒状に形成されたタバコ充填物集積体と、
円筒状に形成され、前記タバコ充填物集積体において生成された水蒸気、エアロゾル中の微粒子の一部を濾過するフィルタと、
前記タバコ充填物集積体と前記フィルタとの間に配置され、前記タバコ充填物集積体より発生するエアロゾルを冷却する部材であって、
前記タバコ充填物集積体を支持する中空管状の支持部材と、
第1端面と第2端面と、前記第1端面と前記第2端面の間に形成された周面部とを有する円筒状に形成され、前記第1端面から前記第2端面まで延びる貫通孔を有し、
前記周面部は、前記第1端面を正面とした場合の側面視において、それぞれの先端部が前記周面部の周方向に沿って延びて設けられる複数の凹部を有する、前記タバコ充填物集積体より発生するエアロゾルを冷却する部材と、
前記タバコ充填物集積体、前記フィルタ及び前記タバコ充填物集積体より発生するエアロゾルを冷却する部材を巻くシート状の包装部材と、を備える、
加熱式タバコ用カートリッジ。
【請求項2】
前記複数の凹部は、前記部材の周面部に周面部の周方向の全周に渡って設けられている、
請求項1に記載の加熱式タバコ用カートリッジ。
【請求項3】
前記複数の凹部は、前記部材の前記第1端面側から前記第2端面側までの長手方向全長に渡って存在する、
請求項2に記載の加熱式タバコ用カートリッジ。
【請求項4】
加熱式タバコ用カートリッジのタバコ充填物集積体とフィルタとの間に配置され、前記タバコ充填物集積体より発生するエアロゾルを冷却する部材であって、
第1端面と第2端面と、前記第1端面と前記第2端面の間に形成された周面部とを有する円筒状に形成され、前記第1端面から前記第2端面まで延びる貫通孔を有し、
前記周面部は、前記第1端面を正面とした場合の側面視において、それぞれの先端部が前記周面部の周方向に沿って延びて設けられる複数の凹部を有し、
前記複数の凹部は前記部材の長手方向の一端から他端に渡って存在する、
タバコ充填物集積体より発生するエアロゾルを冷却する部材。
【請求項5】
前記複数の凹部は前記部材の周面部に周面部の周方向の全周に渡って設けられている、
請求項4に記載のタバコ充填物集積体より発生するエアロゾルを冷却する部材。
【請求項6】
前記複数の凹部は、前記部材の前記第1端面側から前記第2端面側までの長手方向全長に渡って存在する、
請求項5に記載のタバコ充填物集積体より発生するエアロゾルを冷却する部材。