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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150716
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】露光システム
(51)【国際特許分類】
   G11B 7/004 20060101AFI20241016BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20241016BHJP
   G11B 7/26 20060101ALI20241016BHJP
   G11B 7/1374 20120101ALI20241016BHJP
   G11B 7/00 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
G11B7/004 Z
G03F7/20 503
G03F7/20 505
G03F7/20 521
G03F7/20 502
G11B7/26 501
G11B7/1374
G11B7/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2024122912
(22)【出願日】2024-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】714009083
【氏名又は名称】西沢 克弥
(72)【発明者】
【氏名】西沢 克弥
(57)【要約】
【課題】 露光系を考案する。液浸露光に純水を用いるとドライブ内で揮発する問題があった。そこで揮発しにくい液浸露光の液体部を検討したい。
【解決手段】揮発しにくいイオン液体・DES・NADESでもよい難揮発性の液体部NVLQを備えさせ、EUV露光時はNVLQをフォトマスクと露光されるフォトレジスト基板の間に配置し浸して密着露光させることも提案する。純水では大気下等で揮発・蒸発しがちであったところ前記液体NVLQを浸すことで揮発しにくくして液浸露光・レーザー記録を試みる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン液体、若しくは、深共晶溶媒(DES)を液浸露光部に用いた露光システム。
【請求項2】
紫外線を透過可能なイオン液体、若しくは、深共晶溶媒(DES)を含む請求項1に記載の露光システム。
【請求項3】
光子放出部と光子受光部の間にイオン液体、若しくは、深共晶溶媒を液浸露光部を浸す・満たす・配置する事が可能な特徴を有する請求項1に記載の露光システム。
【請求項4】
紫外線光子・X線の光子を露光に用いる、請求項1に記載の露光システム。
【請求項5】
紫外線光子・X線の光子を露光に用いる、請求項1に記載の露光システムを用いた記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光装置に関する。また露光装置部を含むリソグラフィ装置や光学ディスク、記録装置に関するものである。
【0002】
本発明は、UVC等の短波長の紫外線を用い記録層に記録や露光を行う装置・システム・方法を含む。
【0003】
本発明は、X線、軟X線、紫外線を用いた、半導体製造プロセスにて用いられてもよい、フォトリソグラフィのフォトレジスト等を記録層とする露光装置/密着露光装置/密着液浸露光装置や真空での液浸式の密着露光装置に関する装置・システム・方法を含む。
【0004】
(また本発明は、例えば光学ディスクに用いられるポリカーボネート基板やハードディスクドライブのプラッタ・基板に用いるアルミニウムやガラス基板、あるいはポリイミド等の耐火基板のディスクに記録層が形成され、記録層には紫外線レーザーなどで書き込みが行われてもよい、磁気テープ等のテープメディアに記録されることも考えられる。光学ディスク、光磁気ディスク、記録テープ、記録媒体、記憶装置・記録装置を含む。耐火・長期保管用を目指す記録・記憶装置の考案を含む)
【背景技術】
【0005】
<光ディスク、光磁気ディスク、青色レーザー、紫外線レーザー>
記録層に露光用の光やレーザー光をあてて/露光して記録層の材料を変化させ回路パターンやイメージやデータ・情報を記録する方式は公知である。青色レーザーを用いるブルーレイディスクBD(登録商標)では青色の405nmの光子を用いて書き込みを行う。CD、DVDでは青色よりも長波長の赤色レーザーを用いている。
そしてさらに情報の記録量を増やしたい場合、(光子の波長を短くすることでより細かく記録できるならば、)青色より波長が短い光子・レーザー、例えば紫外線の波長域にある光子を用いることが想定される。
【0006】
<波長>紫外線にはUVA(400から315nm)、UVB(315から270)、UVC(波長100から280nm)、あるいはそれよりも短波長の紫外線、極端紫外線EUV、真空紫外線VUV、軟Xに近い紫外線、がある。X線・ガンマ線なども青色より波長の短い光子である。
【0007】
BDでは青色レーザーを用いる際に光学レンズ・開口数等の光学系の制限からディスクの保護層はDVDよりもBDのほうが薄くする必要があった。そしてその光学レンズ・開口数等の光学系の制限の問題は紫外線レーザー用いるとさらに大きくなる可能性がある。
【0008】
<光学系の課題>
光学レンズ・開口数等の光学系の制限の問題の理由として光学ディスクドライブのレーザー記録ヘッド・光ピックアップ部とディスクの間は空気・隙間をあける必要があったためかもしれない。
そこで本願では後述のように紫外線レーザーを光学ディスクの記録層に照射するときに空気の隙間・真空の隙間・ギャップを不揮発性でもよい液体NVLQ部で浸す構成を提案する。
紫外線を用いるArF液浸露光等の公知技術では液浸露光時の浸すための液体部は揮発性の純水等であったが本願では不揮発性あるいは難揮発性であるイオン液体や深共晶溶媒DESや天然深共晶溶媒NADESを用いた前記浸す液体部NVLQとする事で液浸露光時に液体が揮発しにくくなる可能性がある。(オイル油状でもよい、難揮発性の液浸露光部)さらに前記液体部NVLQは減圧下・真空下で揮発しにくい可能性があり、大気又は真空の環境下で液体部NVLQ部が揮発しにくくなることでNVLQ部を水が揮発したときに水を露光部に補充する頻度を減らせる・無くせる可能性がある。
【0009】
<記録媒体の形態>
例えば、フィルムテープ、磁気フィルムテープ・磁気テープについて、そのテープの記録層に前記紫外線レーザーを用いて記録し(あるいは記録をアシストし)その後記録情報の読み取りもできてよい。
例えば光磁気記録式の記録層を有するディスクメディア、シート、テープメディアに記録を行ってもよい。テープメディアはIT・DX化の進む現代において情報処理・記録を行うコンピュータネットワークのサーバの記録装置のログ(特許知財情報の保管、製造された製品の品質保証データ保管、観測データ、サーバデータ、レシート・取引データ)や顧客情報などのバックアップ・アーカイブに用いられる。
【0010】
<テープメディア・ディスクメディアのスキャン方法>
記録媒体がフィルム基板の場合、特開2022-71011 号公報や日本国特許第7135228号に記載の図1等に記載された記録ヘッド1と記録される記録面2と記録ヘッドのメンテナンス部・クリーニング部3を有したヘッド1の走査方法に関する出願に関連して、紫外線を記録面に放出可能でもよい紫外線レーザー記録ヘッド1は基板面2の間にNVLQ部を含んでもよい。
記録ヘッド1はヘッドスキャンしながらNVLQ部を形成可能でNVLQ部やヘッド部に含まれた不純物やダスト、あるいは追加して供給したいNVLQやNVLQ内の不純物ダストを濾過可能なヘッドとNVLQのメンテナンス部・クリーニング部3を備えさせ、記録ヘッド・レンズをクリーニング可能な記録装置の構成も可能かもしれない。(本願は日本国特許第7135228号を参考文献として参照できる。記録層は2、ヘッドは1、クリーニング部は3であり、NVLQをヘッド1と記録層2の間に浸せる構成であってもよい。他方本願は紫外線レーザを用いた記録装置やNVLQ部を持つ記録装置・露光装置・システム・露光方法についての記載を主にするため詳細の説明は省略する。)
【0011】
(磁気テープの公知の規格例: Linear Tape-Open (LTO)、ポリエチレンナフタレートPEN、記録層材料は金属粒子又はバリウムフェライトBaFe、バリウムフェライトはフェライト系でセラミックス・酸化物であり大気中では酸素と結合済みの為酸化されず、腐食に強い磁性体として長期データ保持用の磁気テープ分野で用いられている。
【0012】
光磁気記録でなく単純な(室温で、加熱されない条件の)磁気だけの記録を用いる磁気テープでは磁気テープは放置されると磁気的性能の経年劣化がおきてデータ保持力が落ちる(将来的にはデータが消失していく)ところ、レーザー加熱・レーザーのエネルギーを用いて通常の室温とは異なる条件・温度条件・反応条件にて記録層の材料を光磁気などで変化させ記録に用いることができれば、室温で保持データを失いにくくなるかもしれない。またテープやディスク・基板に記録可能な磁気的なデータをより高密度に記録可能になる可能性もある。
【0013】
磁気テープのほかに、例えばハードディスクドライブHDD装置の分野において、ハードディスクのプラッタ基板に記録できるデータ量を増加させる試みとして熱アシスト記録(TAR)または熱アシスト磁気記録(HAMR)が公知である。熱アシスト記録を行う際により細かい区画を局所的にレーザー照射し加熱あるいは材料の性質を変化できれば光磁気記録を行う記録層(あるいは化学反応や相変化を伴う記録層)に対する記録密度を向上できるようになる可能性がある。
(より波長が短く細かい領域に記録できうる青色レーザーより短波長の紫外線(UVA、UVB、UVC、あるいは発明の範囲を限定しないようにすれば、例えば、EUV露光装置で用いるようなのEUVの波長の光子やArF液浸露光リソグラフィで用いる波長193nmの光子を用いることができればより短い波長でより微細な箇所にレーザー・あるいは露光による記録ができうる。)
【0014】
<開口数NAやレンズ、屈折率、光学系の問題の解決手段としての不揮発性液体を用いたの液浸露光>NVLQを、紫外線等の光子を記録層あるいは記録層に接続可能な層と、光子を照射するレンズ部・露光ヘッド部・レーザーヘッド部との間に挿入・配置・浸す・満たす事ができてよい。
【0015】
またNVLQを、紫外線等の光子を記録層あるいは記録層に接続可能な層と、光子を照射するレンズ部・露光ヘッド部・レーザーヘッド部との間に挿入・配置・浸す・満たして、前記レンズ部・ヘッド部と光子が照射される記録層は近接・密着できる構成であってもよい。
例えば、HDDの分野でのHAMR方式(HAMR:Heat-Assisted Magnetic Recording)のような、レーザーアシスト加熱できてもよい、レーザー照射と磁気記録の可能な記録ヘッドと記録層を含むプラッタ基板はNVLQを浸して近接・密着し密着露光できる系でもよい。
例えば、必要に応じて、フォトマスクとフォトレジスト記録層の間は前記液浸露光の液体部で満たされていてもよい。
【0016】
例えば記録層はフロッピーディスクのフィルムメディア基板あるいは磁気テープのテープ基板、あるいは磁気ハードディスクドライブの磁気ディスク・プラッタ基板に形成されていてもよい。記録層はレーザー照射され磁気的物性を変化させることのできる記録層であってもよい。
光磁気記録とすれば加熱されていない状況では外部磁界の影響によりデータを失いにくい可能性もある。
光磁気記録方式のMOディスクでは数十年にわたる記録保持時間を予想する物もある。
【0017】
<カートリッジ/容器内で保管できる装置の場合>
HDDは密閉された容器内でディスクを保管でき(食品を外部大気環境から守る缶詰の缶容器のように)密閉保管することで内部ディスクを湿気・大気等から守ることで記録媒体の劣化を防ぐ効果があるかもしれない。
【0018】
<カートリッジ/容器内で保管できる装置にNVLQを用いる場合>
通常のHDDでは内部を流体で満たしHDDヘッドは流体を用いてディスク面を飛行・浮上している。ディスク面に液浸露光用の液体を配置し、ディスクとヘッドの間に液体流体でもあるNVLQを配置しヘッドを浮上させてもよいかもしれない。そしてディスクをヘリウム等の不活性ガスや真空の環境下に密閉できる容器内に収めることでディスクが劣化しにくくなる事も期待する。(一部のイオン液体などは減圧された環境や真空下で揮発しにくい。)
【0019】
<耐熱性のあるメディア基板の利用>
HDDではアルミやガラスなどのポリカーボネート基板よりは耐熱性のあるとみられる基板を用いている。しかし光学・光ディスク・光磁気ディスクやフロッピーディスクのように、より普及させやすい材料・薄い・かさばらない・軽い形態であって耐火性のある基板を用いた記録装置があってもよいかもしれない。この改善策として、光学ドライブで書き込み可能な耐火性のある基板でできた光ディスク・光磁気ディスクの記録メディアがあっても良いかもしれない。公知技術では高耐久の光ディスクとしてM-DISC(登録商標)は無機記録層を用いており、反射層をなくして、高耐久を実現しているが、その基板はポリカーボネート樹脂製(ガラス転移温度TGはおよそ摂氏150度)の場合がある。
(耐熱性の高いポリイミドフィルムなどを知っている発明者としては、耐火金庫にPC基板の保管してもより保管後の万一の火災や災害被災時は記録データが守り切れるのかやや不安があった。)
【0020】
*本願装置ではポリカーボネート基板も用いてよいし、ポリイミドのような耐熱性基板を用いてよい。
その基板の表面に記録層や保護層・硬い層・超硬層を製膜・形成し設ける構成も一つの構成として考えられる。そしてその層とレンズ・ヘッド部の間を液浸露光の液体NVLQで浸す・満たす。
【0021】
(*注:ポリカーボネート基板を用いた場合であっても、
NVLQ部(一部のイオン液体やDESにおいて例えば屈折率1.4程度)が屈折率の低い空気(屈折率1.00)の代わりに存在することで屈折率がレンズ(例えば屈折率1.5や1.6等と仮定、)とNVLQ部とポリカーボネート基板(屈折率1.5以上と仮定)や記録層の保護層等レーザーの透過する部分での屈折率のギャップ・屈折率のミスマッチ・屈折率の差の発生を空気を用いたときよりNVLQ部を用いたほうが小さくできて、屈折率の差を弱めることで、開口数やレンズ、光学系の光学的設計の余裕が生まれる可能性もあり、本発明ではポリカーボネート基板を使わないことに限定するわけではない。本願では液浸露光部に前記NVLQ部を用いたことで揮発しにくい液浸露光システムやレーザーを記録層に液浸露光して記録層に記録するステップを持つ装置に関する考案を含む。)
【0022】
またフォトリソグラフィの露光装置では基板の材料はシリコンウェーハ等の半導体材料基板やサファイヤ等の基板、あるいはディスプレイであればガラス基板、フレキシブルディスプレイであればそのディスプレイ基板等であり、基板は用途に応じて変わりうる。
【0023】
<記録層がフォトリソグラフィのフォトレジスト部>
記録層はフォトレジスト層であってもよい。
【0024】
<光磁気記録層>記録層は光ディスクや光磁気ディスクの記録層であってもよい。例えば露光システムの応用の想定例として、紫外線レーザを用いる事ができると青色レーザーよりも光子1つあたりのエネルギーが高くとることができ、局所加熱時の温度を高くできたり温度変化を大きくしたり光のエネルギーを用いた光化学反応、熱アシスト記録を用いた磁気記録等が行える可能性がある。
【0025】
<<紫外線を用いて樹脂基板の記録層面に書き込む場合>>
本願では紫外線光子を用いた書き込み方式、光学ディスクの形態のいくつかの例を開示する。なお本願はドライブ・記録メディアの試作はされていない。アイデアの開示である。
【0026】
<記録密度の増加>
紫外線は青色の光よりも波長が短くより細かいマーキング・記録ができるようになり、ディスクに単位面積当たり書き込める情報量を増やせる可能性がある。
【0027】
<高エネルギーな書き込み>あるいは薄いポリイミドフィルムの表面に形成された無機材料などからなる記録層への記録をする際に光子のエネルギーが高いため熱の効果だけでなく材料中の化学結合を変える等の観点で物質に変化を起こさせて記録をすることが可能になる可能性もあった。
【0028】
<紫外線レーザ使用時の課題>
光学ディスクは赤色レーザを用いるCDからDVD、より短波長の青色レーザーを用いるBDに変わった際に、レンズ・開口の問題から、ディスクの保護層を薄くして開口の問題を回避していた。
しかし、青色よりもさらに短い紫外線光子、例えばUVAからUVCの光子を用いる場合、開口の問題を解決すべく更に保護層を短くすることは困難であるとみられた。
開口の問題を解決する方法として、例えば半導体露光装置では紫外線光源を用いた液浸露光を行い、光を照射するレンズと光照射される基板との間に純水などの液体を浸して・配置して屈折率の差を減らして開口の問題を解決している。ここで純水は揮発性であり、屋内環境では揮発するという問題があった。
【0029】
<不揮発性の液浸露光用液体NVLQ部の考案>
そこで、本願では不揮発性の液浸露光用液体NVLQを用いてよい。例えば、塩化コリンと尿素・塩化マグネシウム水和物等からなる深共晶溶媒DES、低毒性の期待のある天然に存在する材料からなるDESのNADESを前記液浸露光用の液体部に用いてよい。
類似して一部のイオン液体も前記液体部に用いられうる。
前記不揮発性の液浸露光用液体部NVLQは露光に用いる光子の波長に対してある程度透明(吸収が少ない、ほぼ無い)であってよい。
(*赤色の光に対し透明であっても青色や紫外線・UVCに強い吸収を持ち透過させない液体では液体部の厚さを薄くして対応できないこともないかもしれないが、液体部で光子が吸収されてしまうと露光したい基板面に露光に用いる光子を提供しづらくなる場合がある。)
【0030】
<光源例>
本願の検討時に公知の紫外線レーザー素子として深紫外線・UVCの274nmにピークを持つ窒化アルミニウムAlN系のレーザーダイオードが開発されている。*半導体などの固体素子を用いた紫外線レーザーダイオードとしてはUVAからUVB、UVCの波長域において開発されており公知であって本願の記録装置・記憶装置、光学ディスクや光磁気ディスクのレーザーを放出するヘッド部に用いてよい。
【0031】
[また半導体製造分野ではArF露光用の193nmの紫外線光源が存在する。ArF液浸露光装置等の液浸リソグラフィ装置・システムが公知である。
本願では不揮発性の液体としてDESやNADES、イオン液体を提案しているが、露光装置内のシリコン基板と光源レンズ・光源部の間に前記不揮発性の液体としてDESやNADESやイオン液体を図2のNVLQ部のように配置もしくは浸してフォトリソグラフィの液浸露光を試みることも可能になる可能性がある。
*ArF液浸露光等のフォトリソグラフィ用途で実証できてはいないが、本願システムの可能性・特徴・共通点・類似点としては紫外線等(紫外線・X線・軟X線)の光子を放出するヘッド部・レンズ部と記録層・レジスト・記録面部との間に前記NVLQ部を配置し、記録層に紫外線をNVLQ部を経由して露光することを試みうる構成である。NVLQを配置して露光・フォトリソグラフィのフォトレジストパターン形成を試みてもよい。
NVLQはArF液浸露光で用いる光子よりもさらに波長の短い(X線に近い)短波長の光子では吸収を持っている恐れもある。他方、ほかの光源、例えばArF液浸露光(例として赤外線光子は波長193nm)の分野では大気圧化で純水に対し紫外線を透過させており、本願ではその純水の代わりにNVLQの利用を試みてよい。
*発明の範囲を限定する意図はないが、レーザーの発生源については固体レーザー・半導体式の固体レーザー、レーザーダイオード、あるいは装置が大型化しがちであるが自由電子レーザ、放射光によるレーザー発生装置も紫外線あるいは短波長の光子の発生源として考えられる。他方出願時はUVAからUVCまでのうち一部波長の半導体レーザーダイオードは開発実績があり、コンピュータ・サーバー・データセンター・オフィス・ホーム用の用途ではUVAからUVCのレーザーダイオードを用いたNVLQ部を備えてよい記録装置・記憶措置・ディスクドライブ・テープドライブが考えられる。]
(液浸露光技術:半導体露光装置のレンズとシリコンウェハとの間を、空気(屈折率1.00)よりも屈折率の高い純水(屈折率1.44)で満たすことで、純水自体をレンズのように使ってより高い解像度を達成する)
【0032】
本発明は光学ディスクの用途に限定されない。或る形態ではNVLQを液浸露光システムに用いることを試みてもよい。
<半導体露光装置>
図1等のNVLQは例えばNADESを液浸露光の液体部に用いてよい。図1等のNVLQは例えばイオン液体を液浸露光の液体部に用いてよい。図1等のNVLQは例えば深共晶溶媒DESを液体露光の液体部に用いてよい。
【0033】
液浸露光で、液浸露光の光学系・NA系を用い、その系の液浸部の液体にNVLQを用い、液浸露光によるフォトリソグラフィの工程を複数回行いダブルパターニング・マルチパターニングを行い、より微細な半導体回路のパターン(回路イメージの記録された記録層)を形成試みてもよい。
【0034】
*非特許文献1のように純水を用いた液浸露光技術は公知である。
*水は大気下または真空環境では揮発してしまう。他方イオン液体やDES、NADESを用いたNVLQ部は揮発しにくい、若しくはほぼ揮発しないことを期待する。
*NVLQは光学系のクリーニング液にしてもいい。基板部を液体NVLQが循環可能であればそのNVLQがドライブや露光装置システム系内で不純物を含んだとしてもNVLQを回収しフィルタリング・濾過・再生・もしくは新液の補充につなげることができうる。
また光照射された基板部を液体NVLQが循環可能であればその光照射され加熱された部分を冷却可能になる可能性もある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0035】
【非特許文献1】株式会社ニコン、「4.先端半導体の製造を支える液浸露光技術」、[online]、[インターネット、令和6年7月21日閲覧]、インターネット<URL:https://semi.nikon.com/technology/story04/>.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0036】
解決しようとする問題点は、紫外線光源(光ディスク・光磁気ディスク用の紫外線レーザーあるいは露光用の光)を用い記録層に記録したい場合に、液浸露光を用いたいが液浸露光に用いる純水は大気中では揮発・蒸発してなくなるうえに、減圧下・真空下では蒸発しつくして利用できないので大気中や真空環境でも使える揮発しにくい液浸露光の液体部を考案する事が課題であった。
【課題を解決するための手段】
【0037】
本発明は、前記液浸露光の液体部に不揮発性・難揮発性の液体部NVLQを用いることを最も主要な特徴とする。前記難揮発性のNVLQは例えばDES、NADES、イオン液体のような液体を用いる。
【0038】
液浸露光用の液体を難揮発性の前記NVLQとすることで、液浸露光用の光放出部・レンズ部・レーザー発生部と光を受け取る部分の間に配置されうる液浸露光用液体部の揮発・蒸発を防ぐ。
【0039】
発明の範囲を限定する意図はないが、例えば、材料の例を列挙するとDESでは塩化コリンと尿素やクエン酸水和物・塩化マグネシウム等があげられる。
【0040】
<フォトマスク等光子の通過する材料部>
もし必要であればフォトマスク部など光子の透過する部分はフッ化マグネシウム等の一部紫外線を投下しやすい窓材を用いてもよい。*フォトマスクはUVが透過可能な膜・薄膜でもよい。*UVが大気分子と反応しにくい構成で、基板のフォトレジスト塗布面に前記液体部を満たしUVを照射してよい。
【発明の効果】
【0041】
液浸露光用の液体を難揮発性のNVLQとすることができ、液浸露光用の光放出部・レンズ部・レーザー発生部と光を受け取る部分の間に配置されうる液浸露光用液体部の揮発・蒸発を防ぐことができうる。
【0042】
(水を用いた場合、水はドライブ内・露光システム内の材料やディスク材料のうち加水分解されうる樹脂材料がある場合はそれを加水分解する可能性があったが、NVLQとすることで加水分解は防げる可能性もある。)
【図面の簡単な説明】
【0043】

図1図1は液浸露光用の液体部NVLQを用いた液浸露光システムを用いてレーザーによる記録を行おうとするときの説明図。
図2図2は液浸露光するときの液NVLQを供給するシステムを含めた例の説明図。
図3図3はヘッドのメンテナンスやクリーニング及び液体NVLQ補給をできてもよいメンテナンス部3を含む記録装置の説明図
図4図4は液体NVLQを用いフォトリソグラフィ等で密着露光を行う場合の説明図
図5図5は液体NVLQを用い液浸露光を行う場合の説明図
【発明を実施するための形態】
【0044】
揮発しにくいイオン液体・DES・NADESでもよい難揮発性の液体部NVLQを備えさせ、UV露光時はNVLQを光照射を行うヘッド部・レンズ部・光放出部と光を受ける光受光部との間に配置・浸して露光させることも提案する。
このようにすることでUV露光時であればフォトマスク/レンズとフォトレジスト/光子により記録する記録層の間で純水では蒸発しがちであったところ前記液体NVLQを浸すことで液浸露光用の液体部が揮発することを抑えつつで露光することが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
<露光、フォトリソグラフィ、半導体製造>
ArF液浸露光、EUV露光の分野においてNVLQを用いることで波長の短いEUVを密着露光等で露光することができれば複雑な反射型でフォトマスクレチクル部や反射ミラー部でのEUV光吸収や発熱加熱・レチクルやペリクル加熱破損等の問題を避けうる。もしNVLQ部は循環可能な液体で基板部・フォトレジスト部とふフォトマスク部を循環液体にて冷却可能な液冷式とできれば、フォトマスク・レチクル部とフォトレジスト・シリコンウェーハ等基板部を冷却したり、フォトレジストから生じるアウトガスをNVLQで吸収させるなどできればアウトガスの影響を抑えることにつながる可能性がある。
【0046】
<光学ディスク>
紫外線を用いることで青紫のブルーレイディスクよりも高容量の光学ディスクになる可能性がある。本願ではAlNの固体半導体レーザーダイオードを例として記載している。
*紫外線を用いるときに揮発しやすい水の代わりに難揮発性・不揮発性のNVLQを用いることができ、もし液浸部に水を用いていればユーザや光学ドライブは水の補給をしないければいけなかったところ、水の補給を不要にして、光学ドライブ内で水が蒸発することなく、NVLQを配置すればよくなる。
【0047】
*定期的にNVLQを(モータ・エンジンオイルの潤滑油のように滴下交換するように)光学ディスクドライブの光ピックアップ・レーザー光源部に滴下・注す必要は生じうる。クリーニング用のドライブと補充NVLQは用いてよいかもしれない。
【0048】
NADES等、塩化コリンと塩化マグネシウム等の低毒性、安価な材料をNVLQに用いることができ、普及しやすくできうる。
【0049】
<X線露光システム>
レーザー光の波長は紫外線に限定されない場合がある。例えば軟エックス線、エックス線も用いることを試みてよい。UVC、EUV、VUV、軟エックス線、エックス線をNVLQを用いた真空下での液浸露光を行って基板上のフォトレジストでもよい記録層に前記波長・種類の光子を照射し露光を試みてよい。
【0050】
<光ディスク>
光ディスクにおいて既存のポリカーボネート基板を用いたディスクの記録層に記録を行ってもよい。耐熱性のポリイミド等あるいはエンジニアリングプラスチック・スーパーエンジニアリングプラスチックを用いた耐熱・高強度ディスクに記録層を形成しその記録層に紫外線レーザを用いて書き込みを行ってよい。(あるいはレーザー加工機風であればポリイミドそのものをレーザーで加熱し化学反応させマーキング・記録部とすることも試みられうる。微細な箇所をレーザー加工機で加工するように。)
【0051】
<光磁気ディスク>
レーザーにてピンポイントに磁気記録用の材料を加熱して外部磁場生成手段部1UVMOMGを用いて磁化の度合い・磁化を制御可能となれば、光磁気ディスク・光磁気フィルムテープあるいは光磁気記録メディアの高容量化を期待する。
【0052】
<微細なマーキングを行うレーザー加工機、研究開発向け加工装置>
本願発明の装置は紫外線を用いてレーザースポットの径の小さい露光面を記録面に形成可能になる場合、微細な半導体素子やMEMS等の本来フォトマスクと露光機を用いたフォトリソグラフィの必要な製品について光ディスクに微細な記録データをマーキングするように半導体素子のパターニング部を形成する事が可能になるかもしれない。
【0053】
<露光型3Dプリンタ>
本願発明では密着露光部にNVLQ部を用いている。NVLQは溶液である。記録層は紫外線硬化樹脂のモノマー層で、記録層は高さZ方向に走査・持ち上げて新たな記録層モノマーが補充充填できる構成であって紫外線レーザーとレンズとNVLQと記録層モノマーの間で液浸露光できてもよい。
【0054】
<卓上での回路製造機>
ポリイミド基板に銅等の導電材料を形成した回路基板の形成をしてもよい。例えばフォトレジストが記録層部に塗布されているポリイミド基板にNVLQ部を用いた紫外線レーザ液浸露光ドライブ又は加工機を用いて記録層に紫外線を照射し記録層のフォトレジスト部を光化学反応させることで回路パターンデータを記録層に記録させ、フォトリソグラフィを試みてもよい。
【符号の説明】
【0055】
NVLQ:液浸露光用の浸す液体部であって、難揮発性の液体部。(その例としては一部のDES・NADES・イオン液体)
図1
図2
図3
図4
図5