特開 2024-150748 被加熱芳香カートリッジ

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024150748

(43)【公開日】2024-10-23

(54)【発明の名称】被加熱芳香カートリッジ

(51)【国際特許分類】

   A24F 40/42 20200101AFI20241016BHJP

   A24F 40/20 20200101ALI20241016BHJP

   A24D 1/20 20200101ALI20241016BHJP

【ＦＩ】

A24F40/42

A24F40/20

A24D1/20

【審査請求】有

【請求項の数】2

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2024127681

(22)【出願日】2024-08-02

(62)【分割の表示】P 2020065072の分割

【原出願日】2020-03-31

(71)【出願人】

【識別番号】721008039

【氏名又は名称】Ｆｕｔｕｒｅ Ｔｅｃｈｎｏｌｏｇｙ株式会社

(72)【発明者】

【氏名】渡邊 龍志

(57)【要約】      （修正有）

【課題】喫煙者の好み及び操作に適した喫煙を可能とする被加熱芳香カートリッジを提供する。
【解決手段】被加熱芳香発生源を上流側に、下流側に支持部材とマウスピースを、長手方向に順に配設される被加熱芳香カートリッジであって、支持部材が、少なくとも、前記被加熱芳香発生源の移動を防止する支持部と、揮発物が通過する流路とを備え、揮発物が流路に流入する流入口と流出する流出口の被加熱芳香カートリッジの長手方向に垂直な断面の形状が相似な円形状であり、支持部材の外周が形成する被加熱芳香カートリッジの長手方向に垂直な断面の面積に対する、流路の外周が形成する被加熱芳香カートリッジの長手方向に垂直な断面の面積の割合を空孔率と定義したとき、流入口の方が前記流出口よりも前記空孔率が小さい、
【選択図】図３

【特許請求の範囲】

【請求項1】

喫煙者が吸引する際の気流の流れの方向を基準として、加熱されてエアロゾル及び芳香の成分となる揮発物を生成する被加熱芳香発生基材の集合体である被加熱芳香発生源を上流側に、下流側に支持部材とマウスピースを、長手方向に順に配設される被加熱芳香カートリッジであって、
前記支持部材が、少なくとも、前記被加熱芳香発生源の移動を防止する支持部と、前記揮発物が通過する流路とを備え、
前記揮発物が流路に流入する流入口と前記揮発物が流路から流出する流出口の前記被加熱芳香カートリッジの長手方向に垂直な断面の形状が相似な円形状であり、前記支持部材の外周が形成する前記被加熱芳香カートリッジの長手方向に垂直な断面の面積に対する、前記流路の外周が形成する前記被加熱芳香カートリッジの長手方向に垂直な断面の面積の割合を空孔率と定義したとき、前記流入口の方が前記流出口よりも前記空孔率が小さい、
ことを特徴とする被加熱芳香カートリッジ。

【請求項2】

前記流入口と前記流出口の前記空孔率との差が、１９～６９％ポイントに設計されている、
ことを特徴とする、請求項１に記載の被加熱芳香カートリッジ。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、電子的に制御されるヒーター等の熱源を備えた加熱式芳香具に装着されて加熱されることによってエアロゾル及び芳香を生成する、エアロゾルフォーマ、芳香原材、及び、結合剤等を含有する被加熱芳香発生基材の集合体である被加熱芳香発生源と、その長手方向に支持部材、冷却部材、及び、フィルターの少なくともいずれか一つを備えるマウスピースとを連接した被加熱芳香カートリッジにおいて、マウスピースが必要とする機能に有する支持部材に関し、及び、その支持部材を備えた被加熱芳香カートリッジを提供するものである。

【0002】

特に、本発明は、マウスピースに求められる機能の中でも、被加熱芳香カートリッジの加熱式芳香具への装着時及び喫煙時における被加熱芳香発生基材及び被加熱芳香発生源を安定して支持する機能、加熱により被加熱芳香発生基材から発生するエアロゾルフォーマ及び芳香原材の揮発成分を冷却する機能、並びに、それらの揮発成分が抵抗なく通過する機能を備えた支持部材に関し、その支持部材を備えた被加熱芳香カートリッジを提供することができる。

【0003】

従来、上記「被加熱芳香発生基材」は、「エアロゾル形成基材」と呼称されてきた。しかし、加熱することによって、エアロゾルを生成するエアロゾルフォーマと共に、芳香原材や芳香剤の香り成分も揮発され、エアロゾルの煙と芳香原材や芳香剤の香りを喫煙によって楽しむことから、本発明においては、「被加熱芳香発生基材」と呼称する。これに基づき、従来の呼称である、「エアロゾル形成体」（エアロゾル形成基材の集合体）、「電子タバコカートリッジ」、及び、「加熱式喫煙具」を、それぞれ、「被加熱芳香発生源」、「被加熱芳香カートリッジ」、及び、「加熱式芳香具」と呼称する。

【背景技術】

【0004】

近年、タバコの禁煙が、職場や飲食店等の人が集う空間に幅広く普及する傾向に従って、タバコを燃焼する火炎式喫煙の喫煙者数が減少するのに対し、エアロゾルを生成するエアロゾルフォーマ、ナス科タバコ属のタバコ植物を含む芳香原材を含有する、被加熱芳香発生基材の集合体である被加熱芳香発生源を備えた被加熱芳香カートリッジを、ヒーター等の熱源によって伝達された熱によって加熱する加熱式喫煙の喫煙者数が急激に増加している。

【0005】

従来の火炎式喫煙の場合、タバコの燃焼によって、喫煙者の視覚的欲求を満足させる煙、喫煙者がタバコに依存する根源となるニコチン、そして、無数の芳香成分を十分に発生するため、愛好者数は極めて多かった。しかし、少なくとも燃焼するための６００℃を超える温度が必要であり、喫煙時には最高９００℃に達することがあり、火炎式喫煙の有害物質の発生量は極めて多く、健康志向の現在においては、受動喫煙を問題視する非喫煙者だけでなく、愛好者自身からも火炎式喫煙を敬遠する傾向が極めて顕著となっている。

【0006】

これに対し、加熱式喫煙によれば、タバコの葉の熱分解が開始する程度の温度である２００～３５０℃程度で喫煙できる上、タバコの葉以外の芳香原材が含まれているため、燃焼による有害物質の発生を防止できるばかりでなく、熱分解による有害物質の発生も低減される。そのため、加熱式喫煙を一層楽しむことを可能にする様々な技術開発が活発に行われている（例えば、特許文献１～１１）。

【0007】

このような加熱式喫煙のメカニズムは、加熱式喫煙具、被加熱芳香カートリッジ等の形態によって異なるが、ヒーターであるブレードを熱源とする加熱式芳香具に加熱芳香カートリッジを装着して喫煙する典型的な例を用い説明する。

【0008】

被加熱芳香カートリッジは、熱源から長手方向に、被加熱芳香発生源とマウスピースとがこの順に連接され構成されている。このマウスピースは、支持部材、冷却部材、及び、フィルターから少なくとも一つが選択されるが、複数用いる場合には、熱源から長手方向に、支持部材、冷却部材、及び、フィルターがこの順に連接され形成されるのが一般的である（特許文献１～１１）。

【0009】

被加熱芳香発生基材は、グリセリンやプロピレングリコール等のエアロゾルフォーマという沸点が約１５０～３００℃の有機溶媒と、芳香成分を有するタバコ植物を含む各種非タバコ植物や芳香剤とを、多糖類等の結合剤で塊状物としたものを成形加工したものである。喫煙に際しては、芳香カートリッジが、加熱要素を備えた加熱式芳香具のチャンバーに装着されると同時に、この被加熱芳香発生源に加熱要素が挿入される。その後、電子的に制御された加熱源により約２００～３５０℃に加熱されて、エアロゾルフォーマの揮発物（蒸気）並びにタバコ植物を含む各種非タバコ植物及び芳香剤の芳香成分の揮発物が生成される。

【0010】

マウスピースを構成する、支持部材、冷却部材、及び、フィルターには、それぞれ、次に示すような機能を有している（特許文献７～１１）。

【0011】

支持部材は、芳香カートリッジを加熱式芳香具に装着する際に、被加熱芳香発生基材及び被加熱芳香発生源を支持し、装着時及び喫煙時の被加熱芳香発生基材及び被加熱芳香発生源の破損やマウスピース側への移動の防止を主たる役割も果たすと共に、被加熱芳香発生基材が加熱されて生成する揮発物の流路となっており、揮発物が支持部材を通過する際の煙（核）の発生に大きな影響を及ぼす冷却部材の役割も果たしている（特許文献１１）。

【0012】

冷却部材は、被加熱芳香発生基材が加熱されて生成する揮発物を積極的に冷却するための流路であり、支持部材以上に、冷却効果が高いと考えられる、揮発物との接触面積が大きい多孔質体によって形成されていることが多い（特許文献７、９、１０、及び、１１）が、有害物質を吸着する能力を有するフィルターの役割も果たしている場合がある（特許文献９）。

【0013】

フィルターは、揮発物や煙に含まれる有害物質等を濾過することができるセルロースアセテート繊維の束から形成された紙巻きタバコ同様のフィルターや物質吸着能に優れた細孔構造を有する炭素材料等が用いられる（特許文献７～１１）。

【0014】

このように、加熱式喫煙のメカニズムを要約すると、エアロゾルフォーマの揮発物が、支持部材や冷却部材を通過して冷却され生成する煙と、タバコ植物を含む各種非タバコ植物や芳香剤が揮発した芳香成分とを吸引して喫煙が楽しまれるのである。

【0015】

特に、エアロゾルフォーマの揮発物が冷却されて煙を生成する現象は、蒸気から液滴が形成される現象で、局所的な熱力学的相変化が現出する核生成現象の一つであることは興味深い。この核生成現象は、日常生活におけるコップや窓ガラスに付着する水滴、雲及び降雨の生成メカニズム、環境科学に関わる大気中におけるエアロゾル形成メカニズム、工場、病院等の蒸気を用いたプロセス、並びに、溶液から形成される結晶等において重要な意義があるため、古くから様々な理論的及び実験的研究が行われてきた（非特許文献１～８）。従って、被加熱芳香カートリッジを加熱式芳香具に装着して行う喫煙に関する開発は、核生成現象を利用したものであり、これまでの理論的及び実験的研究結果に基づいて行うことができるものと考えられる。

【0016】

この核生成現象と密接な関係にあるのが、エアロゾルフォーマの揮発物である蒸気が通過する流路となっているマウスピースである。特に、支持部材及び冷却部材は、核生成現象による煙を生成する場であり、蒸気が通過する流路でもあるため、支持部材及び冷却部材における煙の生成メカニズムは、核生成現象に流体力学に基づいた現象を合わせて考える必要がある（非特許文献８～１１）。

【0017】

そして、支持部材及び冷却部材における煙の生成メカニズムは、支持部材及び冷却部材設計上に大きな影響を及ぼすため、支持部材及び冷却部材における、エアロゾルフォーマの揮発物の核生成現象及び流れの状態について考える。

【0018】

まず、エアロゾルフォーマの揮発物の冷却による煙（核）生成、すなわち、エアロゾルの生成を、従来の熱力学に基づく核生成メカニズムから総合的に考えると、（１）気相中の均質凝縮核生成、及び、（２）壁面状の不均質凝縮核生成の二つの生成が考えられる（非特許文献１、４、及び、７）。

【0019】

また、壁面の濡れ性によって核生成メカニズムは異なるが、上記（２）壁面状の不均質凝縮核生成による一次核生成、及び、上記（１）気相中の均質凝縮核生成である二次核生成の二段階で核生成が生じているものと考えられる。

【0020】

特に、二次核生成の均質凝縮核は、一次核生成の不均質凝縮核よりも小さく、二次核生成数が、一次核生成数よりも多く、芳香カートリッジが生成する煙の量及び大きさと密接に係わるものと推測される。そして、この二次核生成数は、冷却速度が増加する程、また、蒸気の流れが乱流である程増加するので、それに伴い、核の平均粒子径が低下するため、芳香カートリッジが生成する煙の量及び大きさに大きな影響を与える。

【0021】

一方、一次核生成は、蒸気の壁面との濡れ性が高い程、核生成が生じやすく、芳香カートリッジの流路となる支持部材及び冷却部材の材質の影響を受けるものと考えられる。

【0022】

次いで、流体力学に基づいた現象については、連続の式、ベルヌーイの定理、レイノルズ数等から明らかなように、流路を形成する支持部材や冷却部材の構造によって流体である被加熱芳香発生基材の揮発物の流速、流れ方、及び、冷却速度等の影響を強く受ける。例えば、流路の形状は、揮発物の流速や流れ方に大きく影響し、細い管を流れる揮発物は、流速や冷却速度が大きく、乱流になりやすいため、核生成現象が生じやすいものと考えられる（非特許文献８～１１）。

【0023】

このように、加熱式喫煙における煙の生成メカニズムを、核生成現象という熱力学的要素と流体の状態を示す流体力学的要素とから検討すると、その煙の生成に及ぼす支持部材及び冷却部材の構造及び材質が、煙の生成に大きな影響及ぼすことが分かる。

【0024】

しかし、従来技術のマウスピース、特に、支持部材及び冷却部材は、煙が核生成現象によって生成するものであるという熱力学及び気体の流路であるという流体力学に基づいた設計がなされていないため、構造が複雑で、喫煙者の好み及び操作に適した喫煙を可能とするものは提供されてこなかった（非特許文献８～１０）。

【0025】

その結果として、被加熱芳香カートリッジを加熱式芳香具への装着時及び喫煙時における被加熱芳香発生基材及び被加熱芳香発生源の破損や移動等を防止する機能を有する支持部材と、エアロゾルフォーマの揮発物からエアロゾルを生成する冷却部材とを、被加熱芳香カートリッジに分離して配設する必要があった（非特許文献８～１０）。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0026】

【特許文献1】特表２００８－５１８６１４号公報

【特許文献2】特表２０１０－５２０７６４号公報

【特許文献3】特表２０１３－５１９３８４号公報

【特許文献4】特表２０１６－５３８８４８号公報

【特許文献5】特許第６４３３６２６号公報

【特許文献6】特許第６４４２１１０号公報

【特許文献7】特許第５９２０７４４号公報

【特許文献8】特許第６００５７３５号公報

【特許文献9】特許第５８７７６１８号公報

【特許文献10】特表２０１７－５１８０４１号公報

【特許文献11】特許第６２８０２８７号公報

【非特許文献】

【0027】

【非特許文献1】水渡英二，小林隆史，講座「沈殿生成に関する理論（Ｉ）－核生成理論－」，Ｊａｐａｎ Ａｎａｙｌｓｔ，１９６６（昭和４１）年，Ｖｏｌ．１５，ｐｐ．１４０６－１４１２

【非特許文献2】棚沢一郎，「滴状凝縮について」，日本舶用機関学会誌，昭和５３（１９７８）年１月，第１３巻、第１号，ｐｐ．２７－３４

【非特許文献3】笠原三紀夫，「大気中におけるエアロゾル粒子生成」，エアロゾル研究，１９８８（昭和６３）年，Ｖｏｌ．３，Ｎо．１，ｐｐ．２３－２８

【非特許文献4】木村達人，学位論文「固液接触と核生成の分子動力学」，平成１３（２００１）年１２月

【非特許文献5】河野明男，「エアロゾル生成初期過程としての均一蒸気－液体核生成の分子シミュレーション」，エアロゾル研究，２０１０（平成２２）年，Ｖｏｌ．２５，Ｎｏ．４，ｐｐ．２９９－３０８

【非特許文献6】島伸一郎，「雲の物理学入門」，物性研究・電子版，２０１４（平成２６）年８月号，Ｖｏｌ．３，Ｎｏ．３，０３３２１０

【非特許文献7】徐東郁，「不均一核生成の分子動力学シミュレーション」，２０１５（平成２７）年３月，Ｖｏｌ．１１３，Ｎｏ．１１５６，ｐｐ．１５０

【非特許文献8】一般社団法人日本空調衛生工事業協会，「蒸気・還水配管」，空衛，２０１８年，第７２巻，１０月号

【非特許文献9】鳩ぽっぽ，「初心者のための航空力学講座－連続の式」，［ｏｎｌｉｎｅ］，［２０２０（令和２）年３月１５日検索］，インターネット＜ＵＲＬ： https://pigeon-poppo.com/continuity-equation＞

【非特許文献10】鳩ぽっぽ，「初心者のための航空力学講座－連続の式」，［ｏｎｌｉｎｅ］，［２０２０（令和２）年３月１５日検索］，インターネット＜ＵＲＬ：https://pigeon-poppo.com/bernoullis-theorem/＞

【非特許文献11】鳩ぽっぽ，「初心者のための航空力学講座－連続の式」，［ｏｎｌｉｎｅ］，［２０２０（令和２）年３月１５日検索］，インターネット＜ＵＲＬ：https://pigeon-poppo.com/reynolds-number＞

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0028】

加熱されてエアロゾル及び芳香の成分となる揮発物を生成する被加熱芳香発生基材の集合体である被加熱芳香発生源を上流側に、少なくとも支持部材を備えたマウスピースを下流側に配設して長手方向に連接される被加熱芳香カートリッジにおいて、従来のマウスピースを構成する支持部材及び冷却部材は、煙が核生成現象によって生成するものであるという熱力学及び気体の流路であるという流体力学に基づいた設計がなされていないため、構造が複雑で、喫煙者の好み及び操作に適した喫煙を可能とするものは提供されてこなかった。その結果として、被加熱芳香カートリッジを加熱式芳香具への装着時及び喫煙時における被加熱芳香発生基材及び被加熱芳香発生源の破損や移動等を防止する支持部材と、エアロゾルフォーマの揮発物からエアロゾルを生成する冷却部材とを、被加熱芳香カートリッジに分離して配設する必要があった。

【課題を解決するための手段】

【0029】

そこで、本発明者は、このような加熱式タバコの煙の生成が、蒸気から液滴が形成される核生成現象であり、支持部材及び冷却部材の流路を流れる蒸気の流体力学的現象の影響を受けるという観点から、芳香カートリッジを構成するマウスピースを再検討した。その結果、被加熱芳香発生基材及び被加熱芳香発生源の破損や移動を防止し、喫煙者にとって心地よい煙及び芳香を味わうことができるためには、適切な構造の流路を有する支持部材が存在することを見出し、本発明の完成に至った。

【0030】

本発明は、被加熱芳香カートリッジを喫煙者が吸引する際の気流の流れの方向を基準として、加熱されてエアロゾル及び芳香の成分となる揮発物を生成する被加熱芳香発生基材の集合体である被加熱芳香発生源を上流側に、少なくとも支持部材を備えたマウスピースを下流側に配設して長手方向に連接される被加熱芳香カートリッジにおいて、支持部材が、少なくとも、被加熱芳香発生基材及び被加熱芳香発生源の破損や移動等を防止する支持部と、揮発物を通過し冷却する流路とを備え、揮発物が流路に流入する流入口と揮発物が前記流路から流出する流出口の、被加熱芳香カートリッジの長手方向に垂直な断面の形状、面積、数、及び、空孔率、並びに、流路の揮発物との接触表面積が、熱力学的及び流体力学的に考案されたことを特徴とする支持部材であり、その支持部材を配設した被加熱芳香カートリッジである。

【0031】

本発明の第一の特徴は、被加熱芳香発生基材及び被加熱芳香発生源の破損や移動等を防止する支持部と、揮発物を通過し冷却する流路とを備え、流路の断面積及び表面性状が同一である場合、揮発物が流路に流入する流入口の被加熱芳香カートリッジの長手方向に垂直な断面の形状と、揮発物が流路から流出する流出口の被加熱芳香カートリッジの長手方向に垂直な断面の形状とが異なることである。しかし、流路の断面形状、流路が配設される位置及び数等に限定されるものではない。

【0032】

表１に示すように、簡単に比較するため、例えば、円形、正方形、及び、正三角形の流路を考え、断面積と表面積を計算すると、同一断面積の流路でも、円形、正方形、三角形の順に、支持部材の長さ１ｍｍ当たりの流路の表面積（内壁表面積）は増加する。このことは、エアロゾルの生成メカニズムに基づけば、エアロゾルフォーマの揮発物の冷却速度に影響を及ぼし、異なった性状のエアロゾル、すなわち、異なった性状の煙が生成することを意味する。なお、ここで、空孔率は、支持部材の外周が形成する被加熱芳香カートリッジの長手方向に垂直な断面の面積に対する、流路の外周が形成する被加熱芳香カートリッジの長手方向に垂直な断面の面積の割合と定義したものである。

【0033】

【表1】

【0034】

エアロゾルフォーマの揮発物のエアロゾル生成メカニズムは、壁面状の不均質凝縮核生成による一次核生成、及び、気相中の均質凝縮核生成である二次核生成の二段階で核生成を経由して生じているものと考えられ、二次核生成の均質凝縮核は、一次核生成の不均質凝縮核よりも小さく、二次核生成数が、一次核生成数よりも多く、芳香カートリッジが生成する煙の量及び大きさと密接に係わる。そして、この二次核生成数は、冷却速度が増加する程、核の平均粒子径が低下する。従って、支持部材に揮発物が流入する流入口と支持部材から揮発物を流出する流出口の形状が異なることによって、喫煙者が味わう煙及び芳香を制御でき、同一の被加熱芳香発生源を使用しても、異なった煙及び芳香の被加熱芳香カートリッジを提供でき、喫煙者が様々な喫煙を堪能できる。

【0035】

具体的には、同一断面積で、流入口側の流路の表面積が大きくなるように設計した場合、煙の平均粒子径が小さい煙が多数生成し、煙及び芳香を強く感じることができる。逆に、同一断面積で、流入口側の流路の表面積が小さくなるように設計した場合、その逆の現象が生じる。これらは、喫煙者の嗜好に依存するため、被加熱芳香カートリッジ提供者としては、同一の被加熱芳香発生源でありながら、様々な味わいの被加熱法カートリッジを提供することができるという長所がある。ここで、煙の性状が芳香と密接な関係にあるのは、煙がエアロゾルフォーマという液体の揮発物から凝縮して生成した液体であるということに基づいている。煙表面及び煙内部煙の平均粒子径及び生成数は、その比表面積に大きな影響を及ぼすためである。煙の平均粒子径が小さくなる程、その比表面積が急増して煙表面に吸着する芳香成分が増加し、生成数が大きくなる程、芳香成分を含んだ煙が増加するためである。

【0036】

本発明の第二の特徴は、被加熱芳香発生基材及び被加熱芳香発生源の破損や移動等を防止する支持部と、揮発物を通過し冷却する流路とを備え、流路の表面性状が同一である場合、揮発物が流路に流入する流入口の被加熱芳香カートリッジの長手方向に垂直な断面の面積と、揮発物が前記流路から流出する流出口の被加熱芳香カートリッジの長手方向に垂直な断面の面積とが異なることである。しかし、流路の断面形状、流路が配設される位置及び数等に限定されるものではない。

【0037】

流体力学のベルヌーイの定理、レイノルズ数等から明らかなように、流路断面積は、流れの性状に大きな影響を及ぼす。特に、断面積が小さくなる程、流速は大きくなり、レイノルズ数が増加し、乱流が生じるようになる。一方、エアロゾル生成メカニズムに基づけば、エアロゾル、すなわち、煙の生成は、壁面状の不均質凝縮核生成による一次核生成、及び、気相中の均質凝縮核生成である二次核生成の二段階で核生成を経由して生じているものと考えられ、二次核生成の均質凝縮核は、一次核生成の不均質凝縮核よりも小さく、二次核生成数が、一次核生成数よりも多く、芳香カートリッジが生成する煙の量及び大きさと密接に係わる。そして、この二次核生成数は、乱流が増加する程増加する。

【0038】

具体的には、流入口の流路の断面積を小さくなるように設計した程、流速が大きく、乱流となりやすいので、煙の平均粒子径が小さい煙が多数生成し、煙及び芳香を強く感じることができる。逆に、流入口側の流路の面積が大きくなるように設計した場合、その逆の現象が生じる。これらは、喫煙者の嗜好に依存するため、被加熱芳香カートリッジ提供者としては、同一の被加熱芳香発生源でありながら、様々な味わいの被加熱法カートリッジを提供することができるという長所がある。

【0039】

一方、流入口の流路の断面積を小さくなるように設計した場合、被加熱芳香発生基材及び被加熱芳香発生源の破損や移動等を防止する支持部の断面積が増加するため、被加熱芳香カートリッジをブレード型熱源等が備えられた加熱式芳香具に装着する際に、被加熱芳香発生基材及び被加熱芳香発生源の破損及び移動等を防止することができる。また、喫煙時における喫煙者の吸引においても、被加熱芳香発生源が支持部材から受ける応力が低減され、被加熱芳香発生源の破損及び移動等を防止することができる。

【0040】

本発明の第三の特徴は、被加熱芳香発生基材及び被加熱芳香発生源の破損や移動等を防止する支持部と、揮発物を通過し冷却する流路とを備え、流路の表面性状が同一である場合、揮発物が流路に流入する流入口の被加熱芳香カートリッジの長手方向に垂直な断面の形状及び面積と、揮発物が流路から流出する流出口の被加熱芳香カートリッジの長手方向に垂直な断面の形状及び面積とが異なることである。

【0041】

このような流入口と流出口は、第一の特徴と第二の特徴との相乗効果を現出し、それらの効果をより顕著にすることができる。具体的には、流路の断面形状を、流路の表面積が大きくなると共に、その断面積が小さくなるように設計すると、エアロゾルフォーマの揮発物との接触面積が増加し冷却速度大きくなると共に乱流が生起し易くなり、流速が大きくなり、平均粒子径の小さな煙の生成数量が顕著に増加し、煙及び芳香を強く感じることができる。逆に、流路の断面形状を、流路の表面積が小さくなると共に、その断面積が大きくなるように設計すると、その逆の現象が生じる。これらの煙及び芳香は、喫煙者の嗜好に依存するため、被加熱芳香カートリッジ提供者としては、同一の被加熱芳香発生源でありながら、様々な味わいの被加熱法カートリッジを提供することができるという長所がある。

【0042】

この場合には、流路を配設する位置については、特に限定されるものではないが、流路の形状及び面積については、上記相乗効果を現出するために、流入口と流出口の相対的な制約の下で設計される必要がある。

【0043】

本発明の第四の特徴は、被加熱芳香発生基材及び被加熱芳香発生源の破損や移動等を防止する支持部と、揮発物を通過し冷却する流路とを備え、流路の表面性状が同一である場合、揮発物が流路に流入する流入口の数と揮発物が流路から流出する流出口の数とが異なることである。

【0044】

本発明の第一の特徴を備えた支持部材を用いた被加熱芳香カートリッジの場合、流路の数を増減させることによって、煙の性状を制御すると同時に、一定の吸引力の下で、流量を制御することが可能である。すなわち、流路の数によって、喫煙時における吸引の抵抗を感じさせることなく、煙と芳香を堪能することができる。しかし、本発明の第二及び第三の特徴においては、流路の数を増減しても、煙の性状を効果的に制御するためには、流路に空孔率の差を設けなければならないため、喫煙時における吸引の抵抗を制御する設計には工夫が必要である。

【0045】

しかし、本発明の第四の特徴によれば、流入口及び流出口の総断面積を等しくすることが可能となり、個々の断面積の大きさによる煙の性状を制御すると同時に、一定の吸引力の下で、流量を制御することが可能となる。すなわち、流路の数と断面積によって、喫煙時における吸引の抵抗を感じさせることなく、煙と芳香を堪能することができる。

【0046】

この場合には、流路の断面形状及び断面積、流路が配設される位置、並びに、数等に限定されるものではない。しかし、喫煙者の吸引力に応じた適切な流量となるように、流路の総断面積を適切に設計する必要がある。

【0047】

本発明の第五の特徴は、被加熱芳香発生基材及び被加熱芳香発生源の破損や移動等を防止する支持部と、揮発物を通過し冷却する流路とを備え、支持部材の外周が形成する被加熱芳香カートリッジの長手方向に垂直な断面の面積に対する、流路の外周が形成する被加熱芳香カートリッジの長手方向に垂直な断面の面積の割合で定義された空孔率が、約１～７０％に設計されていることにある。

【0048】

このような構成とすることによって、被加熱芳香発生基材の集合体である被加熱芳香発生源を面で支持することが可能な面積の支持部が形成されるため、被加熱芳香カートリッジをブレード型熱源等が備えられた加熱式芳香具に装着する際に、被加熱芳香発生基材及び被加熱芳香発生源の破損及び移動等を防止することができる。また、喫煙時における喫煙者の吸引においても、被加熱芳香発生源が支持部材から受ける応力が低減され、被加熱芳香発生源の破損及び移動等を防止することができる。

【0049】

このような被加熱芳香発生基材及び被加熱芳香発生源の破損及び移動の原因は、被加熱芳香発生源を構成する被加熱芳香発生基材が、エアロゾルフォーマ、加熱により芳香成分が揮発するタバコ植物や各種植物、芳香剤、及び、これらを結着するための多糖類やセルロース繊維等の結合剤等の組成物から成形加工されるものであるという、加熱式喫煙のメカニズムを実現するための材料構成に由来している。このような組成物から成形加工された、角柱状、円柱状、及び、粒状等の被加熱芳香発生基材は、やや粘性を有し、塑性変形する塊状物で脆いため、僅かな応力によって破損してしまうのである。また、被加熱芳香発生源は、通常、被加熱芳香発生基材ラッピング部材で被加熱芳香発生基材が巻装されて成形されるが、このような物性の被加熱芳香発生基材を強く巻装すると、被加熱芳香発生基材が破壊されるという問題と共に、加熱時の揮発物の流路を閉塞するという問題があり、空隙を確保した巻装状態にあることも、上述した破損及び移動の原因となっている。

【0050】

従って、空孔率を約７０％以上にすると、支持部の断面積が低減し、被加熱芳香発生基材及び被加熱芳香発生源を面で支持することが困難となり、被加熱芳香カートリッジ装着時及び喫煙時におけるこれらの破損及び移動を防止することが困難となる。そのため、空孔率は、約５０％以下であることがより好ましい。

【0051】

一方、空孔率が約１％未満であると、喫煙時の吸引に対する抵抗が大きく、空孔率は、より好ましくは、約２％以上、より更に好ましくは、約５％以上の空孔率とすることである。

【0052】

本発明の第六の特徴は、被加熱芳香発生基材及び被加熱芳香発生源の破損や移動等を防止する支持部と、揮発物を通過し冷却する流路とを備え、流入口の空孔率と流出口の空孔率との差が、約１９～６９％に設計されていることである。

【0053】

エアロゾルフォーマの揮発物の凝縮による煙の生成メカニズム及び揮発物の流れの状態に基づいて、本発明の支持部材の流路が考案されたが、煙の性状を効果的に制御するためには、流入口の空孔率と流出口の空孔率との差が、約１９～６９％に設計されることが好ましく、約１９％～４９％であることがより更に好ましい。この範囲外にある場合、異なる構造の流路を流れる揮発物の冷却速度及び流速の差が小さく、異なった性状の煙を生成することが困難になる。

【0054】

このように、流路は、断面形状、断面積、及び、数等による影響が大きいが、空孔率が、被加熱芳香発生基材及び被加熱芳香発生源の破損や移動等を防止する支持部と、揮発物を通過し冷却する流路とのバランスを考える上で重要な因子であるので、流路の断面形状や流路が配設される位置は、特に限定されるものではない。従って、断面の形状は、円形状、半円形状、楕円形状、三角形状、四角形状、多角形状、及び、星型形状等の様々な形状とすることができる。また、流路を形成する位置は、支持部材の外周内であっても、外周上であってもよく、支持部材の中心に対象的な位置関係にあることが好ましい。しかし、不規則な位置関係であってもよい。

【0055】

本発明の第七の特徴は、被加熱芳香発生基材及び被加熱芳香発生源の破損や移動等を防止する支持部と、揮発物を通過し冷却する流路とを備え、流路の内壁表面積が、支持部材の長さ１ｍｍ当たり１８～５００ｍｍ２に設計されていることである。

【0056】

従来の加熱式喫煙において重要な要素の一つである煙は、エアロゾルフォーマの揮発物である蒸気が通過する流路となっているマウスピースで生成されるため、マウスピースの構成が種々検討されており、支持部材、冷却部材、及び、フィルターを備えているが、加熱された被加熱芳香発生基材から発生するエアロゾルフォーマの揮発物が通過する流路となる支持部材及び冷却部材が、凝縮という核生成現象による煙を生成する場として重要な役割を果たしている。

【0057】

ここで、従来の支持部材は、被加熱芳香発生基材及び被加熱芳香発生源の移動を防止し、比表面積が大きい冷却部材で煙を生成するという考え方で、両者を備えた複雑な構造のマウスピースが設計されてきた。冷却部材は、流路が十分に確保された中空の円筒状であるものが代表例として挙げられる。一方、冷却部材は、揮発物との接触面積が大きくなるように、複雑な凹凸の激しい流路や多数の細い流路の集合体が用いられてきた。

【0058】

そのため、被加熱芳香発生基材及び被加熱芳香発生源を受ける支持部材の支持部の断面積が小さく、揮発物は流れ易いが、被加熱芳香カートリッジの装着時及び喫煙時における被加熱芳香発生基材及び被加熱芳香発生源の破損及び移動等を防止することが困難である。一方、冷却部材は、揮発物との接触面積が大きく、煙の発生が多いが、セルロースアセテート繊維の束から形成された紙巻きタバコ同様のフィルターや物質吸着能に優れた細孔構造のように、有害物質と共に煙を付着してしまい、煙の生成量が不十分である。また、支持部材と冷却部材を設けるのは、マウスピースの構造を複雑にする。

【0059】

しかし、本発明の支持部材は、被加熱芳香発生基材及び被加熱芳香発生源の破損や移動等を防止する支持部と、揮発物を通過し冷却する流路とを備え、流路の構造に基づいて、被加熱芳香発生基材及び被加熱芳香発生源を受け止める支持部の断面積を確保すると共に、豊かな煙と芳香を生成する、従来の支持部材と冷却部材を兼ねる、全く新しい発想で考案されたものである。従って、本発明の流路の揮発物との接触面には複雑な凹凸等を形成してもよいが、比較的平坦な表面性状である流路であって、流路の内壁表面積は、支持部材の長さ１ｍｍ当たり１８～５００ｍｍ２であることが好ましく、１８～３００ｍｍ２であることがより好ましく、１８～２５０ｍｍ２であることがより更に好ましい。

【0060】

本発明の第八の特徴は、被加熱芳香発生基材及び被加熱芳香発生源の破損や移動等を防止する支持部と、揮発物を通過し冷却する流路とを備え、支持部材が、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、及び、エーテル基を含有する親水性ポリマーで成形加工されていることである。また、流路内壁だけが、このような親水性が付与されているものであってもよい。

【0061】

これは、上述したように、エアロゾルの生成メカニズムは、壁面状の不均質凝縮核生成による一次核生成、及び、気相中の均質凝縮核生成である二次核生成の二段階で核生成を経由して生じているものと考えられ、一次核生成は、蒸気の壁面との濡れ性が高い程、核生成が生じやすいことが確認されている。そして、平均粒子径の大きなエアロゾルが生成する。

【0062】

従って、支持部材の材質としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、及び、エーテル基を含有する親水性ポリマーであることが好ましい。このような親水性ポリマーの代表例としては、エチレン－ビニルアルコール共重合体、アクリル酸共重合体、メタクリル酸共重合体、マレイン酸共重合体、アクリルアミド共重合体、４級アンモニウム塩型共重合体、各種ナイロン、各種ポリエーテル等をあげることができる。

【0063】

以上のように、本発明の支持部材によれば、流入口と流出口における流路の形状、断面積、数、及び、空孔率の差に基づいて、平均粒子径及び生成数の異なる煙が生成され、時間差をもって不均一な状態で喫煙者に吸引されることになるが、それぞれが混合されて吸引される場合と比較したところ、例えば、支持部材の下流側の端部付近に、流路から流出される揮発物が滞留するような体積の大きな流路を形成した方が、心地よい喫煙が行えることが分かった。

【0064】

そこで、本発明の第九の特徴は、被加熱芳香発生基材及び被加熱芳香発生源の破損や移動等を防止する支持部と、揮発物を通過し冷却する流路とを備え、支持部材の前流出口端面と連接して、流出口から流出する揮発物が滞留される貯留流路を備えていることである。

【0065】

以上、本発明の支持部材は、被加熱芳香発生基材及び被加熱芳香発生源の破損や移動等を防止すると共に、様々な味わいを堪能することができる煙及び芳香を生成することができ、従来の支持部材と冷却部材の機能を兼ね備えた支持部材である。従って、これを用いた被加熱芳香カートリッジは、加熱式喫煙具のチャンバーを汚染し難く、操作性に優れ、快い喫煙を楽しむことができる。しかも、支持部材を交換するだけで、同一の被加熱芳香発生基材及び被加熱芳香発生源を用いて、異なった味わいの喫煙を楽しむことができる。このことは、被加熱芳香カートリッジの製品バリエーションを増やすことができるだけでなく、生産性を高めることにもなる。

【0066】

更に、喫煙者が自ら様々な味わいの煙を楽しむため、様々な支持部材を交換できるように、被加熱芳香発生源と支持部材を配設されるマウスピースとが着脱できるように、例えば、被加熱芳香発生基材の最外装材としてコネクティング部材を用いることが好ましい。そして、このようなコネクティング部材の材質は、特に限定されるものではないが、ネジ等で嵌合され、着脱に耐えうる円筒状のプラスチックであることが好ましい。例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ナイロン系樹脂、ＥＶＡ系樹脂、アクリル系樹脂等の汎用樹脂が好ましく用いられるが、自然環境保護の観点から、生分解性プラスチッ
クであることがより好ましい。

【0067】

このように、本発明の支持部材は、従来の支持部材及び冷却部材以上の機能を有すると共に、被加熱芳香カートリッジの構造を簡略化でき、扱いやすく、喫煙を楽しめる被加熱芳香カートリッジを提供することができる。

【発明の効果】

【0068】

本発明の支持部材は、被加熱芳香発生基材及び前記被加熱芳香発生源の破損や移動等を防止する支持部と、揮発物が通過する流路とを備え、支持部材の流入口と流出口で、断面形状、断面積、空孔率、及び、数が異なる流路、並びに、支持部材の上流側と下流側の流路の内壁の表面積が異なる流路を備えているので、被加熱芳香発生基材及び被加熱芳香発生源が破損及び移動することなく受け止める面積を有する支持部が形成できる。それと共に、熱力学的及び流体力学的現象の結果、上流側流路と下流側流路で、平均粒子径異なる煙が生成し、心地よい喫煙を楽しむことができる。このことを利用すれば、一種類の被加熱芳香発生源で多種多様な煙の感覚及び味わいを堪能することができる。更に、本発明の支持部材は、支持部材と冷却部材の機能を兼ね備え、構造が簡単な被加熱芳香発生基材と
することが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【0069】

【図1】従来技術に係る、中空の気体流路を有する支持部材が配設されている被加熱芳香カートリッジを加熱式芳香具に装着し喫煙時の状態を示す、被加熱芳香カートリッジの中心を通り、ＸＹ面で切断した断面模式図である。

【図2】本発明の一実施形態に係る、被加熱芳香発生基材及び被加熱芳香発生源の破損や移動等を防止する支持部と、加熱された被加熱芳香発生基材から生成する揮発物を通過し冷却する流路を支持部材外周内に備え、揮発物が流路に流入する流入口と揮発物が流路から流出する流出口との被加熱芳香カートリッジの長手方向に垂直な断面の形状は異なるが、空孔率が等しい第一支持部材の、（ａ）第一支持部材の中心を通るＸＹ面で切断した断面模式図、（ｂ）Ｘ軸左方向から見た側面図、（ｃ）Ｘ軸右方向から見た側面図である。

【図3】本発明の一実施形態に係る、図２に示す第一支持部材が配設されている被加熱芳香カートリッジを加熱式芳香具に装着し喫煙時の状態を示す、被加熱芳香カートリッジの中心を通り、ＸＹ面で切断した断面模式図である。

【図4】本発明の一実施形態に係る、被加熱芳香発生基材及び被加熱芳香発生源の破損や移動等を防止する支持部と、加熱された被加熱芳香発生基材から生成する揮発物を通過し冷却する流路を支持部材外周内に備え、揮発物が流路に流入する流入口と揮発物が流路から流出する流出口の被加熱芳香カートリッジの長手方向に垂直な断面の形状が相似な円形状である第二支持部材の、（ａ）第二支持部材の中心を通るＸＹ面で切断した断面模式図、（ｂ）Ｘ軸左方向から見た側面図、（ｃ）Ｘ軸右方向から見た側面図である。

【図5】本発明の一実施形態に係る、被加熱芳香発生基材及び被加熱芳香発生源の破損や移動等を防止する支持部と、加熱された被加熱芳香発生基材から生成する揮発物を通過し冷却する流路を支持部材外周内に備え、揮発物が流路に流入する流入口と揮発物が流路から流出する流出口の被加熱芳香カートリッジの長手方向に垂直な断面の形状が相似な三角形状である第三支持部材の、（ａ）第三支持部材の中心を通るＸＹ面で切断した断面模式図、（ｂ）Ｘ軸左方向から見た側面図、（ｃ）Ｘ軸右方向から見た側面図である。

【図6】本発明の一実施形態に係る、被加熱芳香発生基材及び被加熱芳香発生源の破損や移動等を防止する支持部と、加熱された被加熱芳香発生基材から生成する揮発物を通過し冷却する流路を支持部材外周上備え、揮発物が流路に流入する流入口と揮発物が流路から流出する流出口の被加熱芳香カートリッジの長手方向に垂直な断面の形状が相似な半円形状である第四支持部材の、（ａ）第四支持部材の中心を通るＸＹ面で切断した断面模式図、（ｂ）Ｘ軸左方向から見た側面図、（ｃ）Ｘ軸右方向から見た側面図である。

【図7】本発明の一実施形態に係る、被加熱芳香発生基材及び被加熱芳香発生源の破損や移動等を防止する支持部と、加熱された被加熱芳香発生基材から生成する揮発物を通過し冷却する流路を支持部材外周上に備え、揮発物が流路に流入する流入口と揮発物が流路から流出する流出口の被加熱芳香カートリッジの長手方向に垂直な断面の形状が相似な三角形状である第五支持部材の、（ａ）第五支持部材の中心を通るＸＹ面で切断した断面模式図、（ｂ）Ｘ軸左方向から見た側面図、（ｃ）Ｘ軸右方向から見た側面図である。

【図8】本発明の一実施形態に係る、被加熱芳香発生基材及び被加熱芳香発生源の破損や移動等を防止する支持部と、加熱された被加熱芳香発生基材から生成する揮発物を通過し冷却する流路を支持部材外周内に備え、揮発物が流路に流入する流入口と揮発物が流路から流出する流出口の被加熱芳香カートリッジの長手方向に垂直な断面の形状と断面積が異なる第六支持部材の、（ａ）第六支持部材の中心を通るＸＹ面で切断した断面模式図、（ｂ）Ｘ軸左方向から見た側面図、（ｃ）Ｘ軸右方向から見た側面図である。

【図9】本発明の一実施形態に係る、被加熱芳香発生基材及び被加熱芳香発生源の破損や移動等を防止する支持部と、加熱された被加熱芳香発生基材から生成する揮発物を通過し冷却する流路を支持部材外周内に備え、揮発物が流路に流入する流入口と揮発物が流路から流出する流出口との、形状、数、及び、断面積が異なる第七支持部材の、（ａ）第七支持部材の中心を通るＸＹ面で切断した断面模式図、（ｂ）Ｘ軸左方向から見た側面図、（ｃ）Ｘ軸右方向から見た側面図である。

【図10】本発明の一実施形態に係る、被加熱芳香発生基材及び被加熱芳香発生源の破損や移動等を防止する支持部と、加熱された被加熱芳香発生基材から生成する揮発物を通過し冷却する流路を支持部材外周上に備え、揮発物が流路に流入する流入口と揮発物が流路から流出する流出口の被加熱芳香カートリッジの長手方向に垂直な断面の形状が相似な三角形状であって、最下流端に揮発物が滞留する貯留流路を備える第八支持部材の、（ａ）第八支持部材の中心を通るＸＹ面で切断した断面模式図、（ｂ）Ｘ軸左方向から見た側面図、（ｃ）Ｘ軸右方向から見た側面図である。

【図11】本発明の一実施形態に係る、（ａ）被加熱芳香発生源を備えた被加熱芳香発生源コネクティング部材、（ｂ）マウスピースコネクティング部材、及び、（ｃ）これらが嵌合された被加熱芳香カートリッジコネクティング部材の斜視模式図である。

【図12】本発明の一実施形態に係る、図７に示す第五支持部材とフィルターが配設されたマウスピースコネクティング部材と被加熱芳香発生源が配設された被加熱芳香発生源コネクティング部材とが着脱可能に嵌合された被加熱芳香カートリッジのＸＹ面で切断した断面模式図である。

【発明を実施するための形態】

【0070】

以下、実施形態を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能であり、特許請求の範囲に記載した技術思想によってのみ限定されるものである。

【0071】

本発明の実施例で使用した被加熱芳香発生基材及びその集合体である被加熱芳香発生源は、次のように製造したものを用いた。芳香成分を揮発する植物として、サフランの花、コンニャク、ペパーミントの葉及びアンズの果実の乾燥粉砕物を用い、所定量の純水／エタノールに溶解・混合した架橋ＰＶＰ、β－シクロデキストリン、微結晶セルロース、及び、ＣＭＣ－Ｎａと混合した後、グリセリン、及び、プロピレングリコールと混合し、更に、コンニャク紛を分散したソルビン酸カリウム／安息香酸ナトリウム水溶液を添加して被加熱芳香発生基材組成物を製造した。
サフランの花 ８７質量部
アンズの果実 ６質量部
ペパーミントの葉 ６質量部
コンニャク １質量部
グリセリン ２４質量部
プロピレングリコール ２４質量部
架橋ＰＶＰ １６質量部
β－シクロデキストリン １質量部
微結晶セルロース １６質量部
ＣＭＣ－Ｎａ ３質量部
ソルビン酸カリウム ０．００５質量部
安息香酸ナトリウム ０．００５質量部

【0072】

この組成物は、３本ロールを用い、シートの厚さが、０．２８±０．０２ｍｍとなるように成形された。そして、このように成形されたシートは、幅１．５±０．１ｍｍとなるように細断された被加熱芳香発生基材３１０とし、所定量の充填率となるように被加熱芳香発生基材ラッピング部材３２０で巻装された。次いで、この巻装された被加熱芳香発生基材３１０は、長さ１１．５～１２．０ｍｍとなるように断裁された後、水分量が１８～２０質量％となるまで乾燥され、被加熱芳香発生源３００が製造された。

【0073】

一方、本発明の被加熱芳香カートリッジを構成するマウスピース４００は、図３に示すように、上流側から支持部材５１０とセルロースアセテート繊維の束から形成されたフィルター７００がこの順で連接され、マウスピースラッピング部材４１０で巻装され製造された。

【0074】

そして、このようにして製造された被加熱芳香発生源３００とマウスピース４００は、図３に示すように、被加熱芳香カートリッジラッピング部材４１０でマウスピース４００と連接され、被加熱芳香カートリッジ２００が製造された。

【0075】

このようにして製造された種々の支持部材を配設した被加熱芳香カートリッジ２００は、図1及び３に示すように、ブレード型熱源１３０が本体１１０のチャンバー１２０の底に備えられた加熱式芳香具であるアイコス（登録商標）１００を用いて評価した。

【0076】

本発明の支持部材及びそれを用いた被加熱芳香カートリッジ２００を、従来の技術と比較するため、図１には、被加熱芳香発生源３００を、中空円筒状の支持部材５００、空孔率が７０％以上有する連続気泡の多孔質体で形成される冷却部材６００、及び、セルロースアセテート繊維の束から形成されたフィルター７００が、この順に連接された従来技術のマウスピース４００Ｒと連接された従来技術の被加熱芳香カートリッジ２００Ｒが、加熱式芳香具１００に装着された状態を示している。

【0077】

図１は、被加熱芳香カートリッジ２００Ｒの中心を通るＸＹ面で切断した断面図であるが、図から第一に分かるのは、支持部材５００の支持部５０２の長手方向に垂直なＹＺ面で切断した断面面積が円周部だけしかなく、被加熱芳香カートリッジ２００Ｒを加熱式芳香具１００に装着する際、及び、喫煙時に吸引する際、被加熱芳香発生基材３１０及び被加熱芳香発生源３００が受ける応力が大きく、破損及び移動という問題が発生することである。第二に、被加熱芳香発生基材３１０が加熱されて生成する揮発物が、支持部材５００の流路５０１を通過するが、流路５０１の内壁面積が小さく、揮発物が冷却され凝縮した煙の生成量は極めて少ないため、冷却部材６００が必要となり、被加熱芳香カートリッジ２００Ｒの構造が複雑になることである。

【0078】

図２は、本発明の一実施形態に係る、被加熱芳香発生基材３１０及び被加熱芳香発生源３００の破損や移動等を防止する支持部５１２と、加熱された被加熱芳香発生基材３１０から生成する揮発物を通過し冷却する流路を支持部材外周内に備え、揮発物が流路に流入する流入口と揮発物が流路から流出する流出口との被加熱芳香カートリッジ２００の長手方向に垂直な断面の形状は異なるが、断面積が等しい支持部材において、断面積が等しい三角形の流入口と円形の流出口を備えた第一支持部材５１０の、（ａ）第一支持部材５１０
の中心を通るＸＹ面で切断した断面模式図、（ｂ）Ｘ軸左方向から見た側面図、（ｃ）Ｘ軸右方向から見た側面図である。

【0079】

支持部材断面積を１００とした場合の相対的な流路断面積（空孔率）を計算した表２に示すように、空孔率が等しいが、表１から分かるように、断面形状が三角形の上流側流路の内壁表面積の方が、断面形状が円形の下流側流路の内壁表面積よりも大きく、冷却速度が速くなるため、上流側の煙は、平均粒子径が小さく、生成数が多く、下流側では、その逆の現象が生じる。特に、下流側では、上流側で煙が生成するため、揮発物濃度が低くなり、より煙の生成数が少なくなる。従って、この支持部材により、平均粒子径が小さく、芳香成分が豊富な煙が生成される。この支持部材の向きを長手方向に対して逆転させ配設すれば、上記現象と逆の現象が生じ、異なった味わいの煙を生成することができる。

【0080】

【表2】

【0081】

図３は、本発明の一実施形態に係る、図２に示す第一支持部材５１０が配設されている被加熱芳香カートリッジ２００を加熱式芳香具１００に装着し喫煙時の状態を示す、被加熱芳香カートリッジの中心を通り、ＸＹ面で切断した断面模式図である。

【0082】

このような支持部材５１０を用いることによって、図から明らかなように、被加熱芳香源支持部５１２の断面積が確保され、特に、被加熱芳香カートリッジ２００を加熱式芳香具１００に装着する際の被加熱芳香発生基材３１０及び被加熱芳香発生源３００の破損及び移動を確実に防止することができる。

【0083】

図４は、本発明の一実施形態に係る、被加熱芳香発生基材３１０及び被加熱芳香発生源３００の破損や移動等を防止する支持部５２２と、加熱された被加熱芳香発生基材３１０から生成する揮発物を通過し冷却する流路を支持部材外周内に備え、揮発物が流路に流入する流入口と揮発物が流路から流出する流出口の被加熱芳香カートリッジ２００の長手方向に垂直な断面の形状が相似な円形状である支持部材において、流入口の方が流出口よりも断面積が小さい第二支持部材５２０の、（ａ）第二支持部材５２０の中心を通るＸＹ面で切断した断面模式図、（ｂ）Ｘ軸左方向から見た側面図、（ｃ）Ｘ軸右方向から見た側面図である。

【0084】

図５は、本発明の一実施形態に係る、被加熱芳香発生基材３１０及び被加熱芳香発生源３００の破損や移動等を防止する支持部５３２と、加熱された被加熱芳香発生基材３１０から生成する揮発物を通過し冷却する流路を支持部材外周内に備え、揮発物が流路に流入する流入口と揮発物が流路から流出する流出口の被加熱芳香カートリッジ２００の長手方向に垂直な断面の形状が相似な三角形状である支持部材において、流入口の方が流出口よりも断面積が小さい第三支持部材５３０の、（ａ）第三支持部材５３０の中心を通るＸＹ面で切断した断面模式図、（ｂ）Ｘ軸左方向から見た側面図、（ｃ）Ｘ軸右方向から見た側面図である。

【0085】

図６は、本発明の一実施形態に係る、被加熱芳香発生基材３１０及び被加熱芳香発生源３００の破損や移動等を防止する支持部５４２と、加熱された被加熱芳香発生基材３１０から生成する揮発物を通過し冷却する流路を支持部材外周上備え、揮発物が流路に流入する流入口と揮発物が流路から流出する流出口の被加熱芳香カートリッジ２００の長手方向に垂直な断面の形状が相似な半円形状である支持部材において、流入口の方が流出口よりも断面積が小さい第四支持部材５４０の、（ａ）第四支持部材５４０の中心を通るＸＹ面で切断した断面模式図、（ｂ）Ｘ軸左方向から見た側面図、（ｃ）Ｘ軸右方向から見た側面図である。

【0086】

図７は、本発明の一実施形態に係る、被加熱芳香発生基材３１０及び被加熱芳香発生源３００の破損や移動等を防止する支持部５５２と、加熱された被加熱芳香発生基材３１０から生成する揮発物を通過し冷却する流路を支持部材外周上に備え、揮発物が流路に流入する流入口と揮発物が流路から流出する流出口の被加熱芳香カートリッジの長手方向に垂直な断面の形状が相似な三角形状である支持部材において、流入口の方が流出口よりも断面積が小さい第五支持部材５５０の、（ａ）第五支持部材５５０の中心を通るＸＹ面で切断した断面模式図、（ｂ）Ｘ軸左方向から見た側面図、（ｃ）Ｘ軸右方向から見た側面図である。

【0087】

図４～７の流路の流入口と流出口における形状、数、及び、支持部材断面積を１００とした場合の相対的な断面積(空孔率)は、表２に示す通りである。いずれの場合も、上流側において、揮発物当たりの流路内壁の接触面積が大きくなり冷却速度が大きくなると共に、流速が大きく乱流となるため、二次核生成が活発に生起し、平均粒子径が小さい煙が大量に生成するのに対し、下流側では、その逆の現象が生じる。特に、下流側では、上流側で煙が生成するため、揮発物濃度が低くなり、より煙の生成数が少なくなる。従って、これらの支持部材５２０～５５０により、平均粒子径が小さく、芳香成分が豊富な煙が生成される。この支持部材の向きを長手方向に対して逆転させ配設すれば、上記現象と逆の現象が生じ、異なった味わいの煙を生成することができる。

【0088】

しかも、図４～図７のように、流入口側の空孔率が小さいと、被加熱芳香発生源３００を受ける支持部５２２～５５２の断面積が大きくなり、特に、被加熱芳香カートリッジ２００を装着する際の被加熱芳香発生基材３１０及び被加熱芳香発生源３００の破損や移動等を効果的に防止することができる。

【0089】

図８は、本発明の一実施形態に係る、被加熱芳香発生基材３１０及び被加熱芳香発生源３００の破損や移動等を防止する支持部５６２と、加熱された被加熱芳香発生基材３１０から生成する揮発物を通過し冷却する流路を支持部材外周内に備え、揮発物が流路に流入する流入口と揮発物が流路から流出する流出口の被加熱芳香カートリッジ２００の長手方向に垂直な断面の形状と断面積が異なる支持部材で、流入口を三角形、流出口を四角形とした第六支持部材５６０の、（ａ）第六支持部材５６０の中心を通るＸＹ面で切断した断面
模式図、（ｂ）Ｘ軸左方向から見た側面図、（ｃ）Ｘ軸右方向から見た側面図である。

【0090】

この場合には、図４～７に示した流路の特徴に加え、流入口と流出口の断面形状に基づいて、上流側の流路内壁と下流側流路内壁の表面積の効果も発現する。表１から分かるように、同一断面積の場合、三角形の方が、四角形よりも流路内壁の表面積が大きいことが、この場合にも影響する。

【0091】

図９は、本発明の一実施形態に係る、被加熱芳香発生基材３１０及び被加熱芳香発生源３００の破損や移動等を防止する支持部５７２と、加熱された被加熱芳香発生基材３１０から生成する揮発物を通過し冷却する流路を支持部材外周内に備え、揮発物が流路に流入する流入口と揮発物が流路から流出する流出口との、形状、数、及び、断面積が異なる支持部材において、流入口は断面積の小さな四角形が１０、流出口は断面積が大きな三角形が２の第七支持部材５７０の、（ａ）第七支持部材５７０の中心を通るＸＹ面で切断した断面模式図、（ｂ）Ｘ軸左方向から見た側面図、（ｃ）Ｘ軸右方向から見た側面図である。

【0092】

このように、流入口と流出口の形状、数、及び、断面積を自在に設計することができると、表２から分かるように、流入口から流出口に至る流路の総断面積を一定にすることが可能となり、特に、流路の断面積による上流側と下流側の煙の性状の違いを維持したまま、喫煙における吸引に対する抵抗を適切な状態に制御することが可能となる。

【0093】

更に、図１０は、本発明の一実施形態に係る、被加熱芳香発生基材３１０及び被加熱芳香発生源３００の破損や移動等を防止する支持部５８２と、加熱された被加熱芳香発生基材３１０から生成する揮発物を通過し冷却する流路を支持部材外周上に備え、揮発物が流路に流入する流入口と揮発物が流路から流出する流出口の被加熱芳香カートリッジ２００の長手方向に垂直な断面の形状が相似な三角形状であって、最下流端に揮発物が滞留する貯留流路５８３を備える第八支持部材５８０の、（ａ）第八支持部材５８０の中心を通るＸＹ面で切断した断面模式図、（ｂ）Ｘ軸左方向から見た側面図、（ｃ）Ｘ軸右方向から見た側面図である。

【0094】

このような貯留流路５８３を設けることは、揮発物の流れの対流を生じ、上流側で生成した煙と下流側で生成した煙が均一に混合され、流速を大きく低下させて口腔内に吸引されるため、貯留流路５８３のない支持部材とは異なった味わいの煙及び芳香を楽しむことが可能となる。

【0095】

以上のように、本発明の支持部材は、被加熱芳香カートリッジの装着時及び喫煙時の被加熱芳香発生基材及びの破損及び移動を防止できるだけでなく、流路の形状、流路の数、及び、空孔率等を制御することによって、また、新たな貯留流路を配設することによって、同じ被加熱芳香発生基材から生成するエアロゾルフォーマ揮発物の冷却、凝縮により生成する煙の平均粒子径や生成数が異なり、異なった喫煙の感覚及び味わいを堪能することができる。そして、この感覚及び味わいは、個人差があるため、製品のバリエーションを高める手段としても有効である等、様々な利用の仕方が考えられ、様々な長所がある。

【0096】

そこで、このような本発明の支持部材の特徴を積極的に活用するため、図１０に示すような着脱可能な被加熱芳香カートリッジコネクティング部材２２０を使用することによって、喫煙者自らが、同一の被加熱芳香発生基材の被加熱芳香カートリッジを様々な感覚及び味わいで喫煙を堪能することができる。

【0097】

図１１は、本発明の一実施形態に係る、（ａ）被加熱芳香発生源を備えた被加熱芳香発生源コネクティング部材２２１、（ｂ）マウスピースコネクティング部材２２２、及び、（ｃ）これらが雌ねじ２２１１と雄ねじ２２２１とで嵌合された着脱可能な被加熱芳香カートリッジコネクティング部材２２０の斜視模式図である。そして、図１２は、本発明の一実施形態に係る、図７に示す第五支持部材５５０とフィルター７００が配設されたマウスピースコネクティング部材２２２と被加熱芳香発生源３００が配設された被加熱芳香発生源コネクティング部材２２１とが着脱可能に嵌合された被加熱芳香カートリッジのＸＹ面で切断した断面模式図である。

【0098】

このような被加熱芳香カートリッジコネクティング部材２２０を使用すると、種々の支持部材が配設されたマウスピースコネクティング部材２２２を準備すれば、一種類の被加熱芳香発生基材の集合体である被加熱芳香発生源３３０を配設した被加熱芳香発生源コネクティング部材で、何種類もの被加熱芳香カートリッジを楽しむことができる。

【産業上の利用可能性】

【0099】

本発明のエアロゾル生成メカニズムの基礎となる熱力学的核生成現象及び流体力学的流れの諸現象を用いた、揮発したエアロゾルフォーマからのエアロゾル（煙）の生成技術は、被加熱芳香カートリッジを用いた加熱式喫煙ばかりでなく、煙や蒸気等の流体を扱う線香、焼香、抹香、塗香等や、アロマセラピー等に応用できる可能性がある。

【符号の説明】

【0100】

１００ 加熱式芳香具
１１０ ボディ
１２０ チャンバー
１３０ ブレード型熱源
２００Ｒ 従来技術の被加熱芳香カートリッジ
２００ 被加熱芳香カートリッジ
２１０ 被加熱芳香カートリッジラッピング部材
２２０ 被加熱芳香カートリッジコネクティング部材
２２１ 被加熱芳香発生源コネクティング部材
２２１１ 被加熱芳香発生源コネクティング部材雌ネジ部
２２２ マウスピースコネクティング部材
２２２１ マウスピースコネクティング部材雄ネジ部
２２３ 被加熱芳香カートリッジコネクティング部
３００ 被加熱芳香発生源
３１０ 被加熱芳香発生基材
３２０ 被加熱芳香発生基材ラッピング部材
４００Ｒ 従来技術のマウスピース
４００ マウスピース
４１０ マウスピースラッピング部材
５００ 従来技術の支持部材
５０１ 従来技術の支持部材の気体流路
５０２ 従来技術の支持部材の被加熱芳香発生源支持部
５１０ 本発明の第一支持部材
５１１１ 本発明の第一支持部材の第一気体流路
５１１２ 本発明の第一支持部材の第二気体流路
５１２ 本発明の第一支持部材の被加熱芳香発生源支持部
５２０ 本発明の第二支持部材
５２１１ 本発明の第二支持部材の第一気体流路
５２１２ 本発明の第二支持部材の第二気体流路
５２１３ 本発明の第二支持部材の第三気体流路
５２２ 本発明の第二支持部材の被加熱芳香発生源支持部
５３０ 本発明の第三支持部材
５３１１ 本発明の第三支持部材の第一気体流路
５３１２ 本発明の第三支持部材の第二気体流路
５３１３ 本発明の第三支持部材の第三気体流路
５３２ 本発明の第三支持部材の被加熱芳香発生源支持部
５４０ 本発明の第四支持部材
５４１１ 本発明の第四支持部材の第一気体流路
５４１２ 本発明の第四支持部材の第二気体流路
５４１３ 本発明の第四支持部材の第三気体流路
５４１４ 本発明の第四支持部材の第四気体流路
５４２ 本発明の第四支持部材の被加熱芳香発生源支持部
５５０ 本発明の第五支持部材
５５１１ 本発明の第五支持部材の第一気体流路
５５１２ 本発明の第五支持部材の第二気体流路
５５１３ 本発明の第五支持部材の第三気体流路
５５１４ 本発明の第五支持部材の第四気体流路
５５２ 本発明の第五支持部材の被加熱芳香発生源支持部
５６０ 本発明の第六支持部材
５６１１ 本発明の第六支持部材の第一気体流路
５６１２ 本発明の第六支持部材の第二気体流路
５６１３ 本発明の第六支持部材の第三気体流路
５６２ 本発明の第六支持部材の被加熱芳香発生源支持部
５７０ 本発明の第七支持部材
５７１１ 本発明の第七支持部材の第一気体流路
５７１２ 本発明の第七支持部材の第二気体流路
５７１３ 本発明の第七支持部材の第三気体流路
５７１４ 本発明の第七支持部材の第四気体流路
５７１５ 本発明の第七支持部材の第五気体流路
５７１６ 本発明の第七支持部材の第六気体流路
５７１７ 本発明の第七支持部材の第七気体流路
５７１８ 本発明の第七支持部材の第八気体流路
５７１９ 本発明の第七支持部材の第九気体流路
５７１１０ 本発明の第七支持部材の第十気体流路
５７１１５ 本発明の第七支持部材の第一気体合流路
５７１６１０ 本発明の第七支持部材の第二気体合流路
５７２ 本発明の第七支持部材の被加熱芳香発生源支持部
５８０ 本発明の第八支持部材
５８１１ 本発明の第八支持部材の第一気体流路
５８１２ 本発明の第八支持部材の第二気体流路
５８１３ 本発明の第八支持部材の第三気体流路
５８１４ 本発明の第八支持部材の第四気体流路
５８２ 本発明の第八支持部材の被加熱芳香発生源支持部
５８３ 本発明の第八支持部材の貯留流路
６００ 冷却部材
７００ フィルター部材
Ｘ軸 被加熱芳香カートリッジの長手方向
Ｙ軸 Ｘ軸に垂直で鉛直方向
Ｚ軸 ＸＹ平面の垂直方向

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【手続補正書】

【提出日】2024-09-09

【手続補正1】

【補正対象書類名】特許請求の範囲

【補正対象項目名】全文

【補正方法】変更

【補正の内容】

【特許請求の範囲】

【請求項1】

喫煙者が吸引する際の気流の流れの方向を基準として、加熱されてエアロゾル及び芳香の成分となる揮発物を生成する被加熱芳香発生基材の集合体である被加熱芳香発生源を上流側に、下流側に支持部材とフィルタを、長手方向に順に配設される被加熱芳香カートリッジであって、
前記支持部材が、少なくとも、前記被加熱芳香発生源の移動を防止する支持部と、前記揮発物が通過する流路とを備え、
前記揮発物が流路に流入する流入口と前記揮発物が流路から流出する流出口の前記被加熱芳香カートリッジの長手方向に垂直な断面の形状が相似な円形状であり、前記支持部材の外周が形成する前記被加熱芳香カートリッジの長手方向に垂直な断面の面積に対する、前記流路の外周が形成する前記被加熱芳香カートリッジの長手方向に垂直な断面の面積の割合を空孔率と定義したとき、前記流入口の方が前記流出口よりも前記空孔率が小さい、
ことを特徴とする被加熱芳香カートリッジ。

【請求項2】

前記流入口と前記流出口の前記空孔率との差が、１９～６９％ポイントに設計されている、
ことを特徴とする、請求項１に記載の被加熱芳香カートリッジ。