(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150760
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 29/786 20060101AFI20241016BHJP
H01L 21/28 20060101ALI20241016BHJP
H01L 29/417 20060101ALI20241016BHJP
G02F 1/1368 20060101ALI20241016BHJP
G02F 1/1343 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
H01L29/78 616S
H01L29/78 612B
H01L29/78 618B
H01L21/28 301B
H01L29/50 M
G02F1/1368
G02F1/1343
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024128710
(22)【出願日】2024-08-05
(62)【分割の表示】P 2022204725の分割
【原出願日】2010-02-02
(31)【優先権主張番号】P 2009026482
(32)【優先日】2009-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】及川 欣聡
(72)【発明者】
【氏名】丸山 穂高
(72)【発明者】
【氏名】郷戸 宏充
(72)【発明者】
【氏名】河江 大輔
(72)【発明者】
【氏名】山崎 舜平
(57)【要約】
【課題】酸化物半導体層を用い、電気特性の優れた薄膜トランジスタを備えた半導体装置
を提供することを課題の一つとする。
【解決手段】チャネル形成領域にSiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体層を用い
、電気抵抗値の低い金属材料からなる配線層とのコンタクト抵抗を低減するため、ソース
電極層及びドレイン電極層と上記SiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体層との間
にソース領域又はドレイン領域を設ける。ソース領域又はドレイン領域、及び画素領域は
同一層のSiOxを含まないIn-Sn-O系酸化物半導体層を用いる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲート電極層と、
ゲート絶縁層と、
Inと、Snと、SiOxと、を含む第1の酸化物半導体層と、
前記第1の酸化物半導体層に接するソース領域及びドレイン領域と、
画素電極領域と、を有し、
前記ソース領域又は前記ドレイン領域の一方と、前記画素電極領域とは、同一層の第2の酸化物半導体層を有し、
前記第2の酸化物半導体層は、Inと、Snと、を有する、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
酸化物半導体を用いる半導体装置及びその作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属酸化物は多様に存在しさまざまな用途に用いられている。酸化インジウムはよく知ら
れた材料であり、液晶ディスプレイなどで必要とされる透明電極材料として用いられてい
る。
【0003】
金属酸化物の中には半導体特性を示すものがある。半導体特性を示す金属酸化物は化合物
半導体の一種である。化合物半導体とは、2種以上の原子が結合してできる半導体である
。一般的に、金属酸化物は絶縁体となる。しかし、金属酸化物を構成する元素の組み合わ
せによっては、半導体となることが知られている。
【0004】
例えば、金属酸化物の中で、酸化タングステン、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛など
は半導体特性を示すことが知られている。このような金属酸化物で構成される透明半導体
層をチャネル形成領域とする薄膜トランジスタが開示されている(特許文献1乃至4、非
特許文献1参照。)。
【0005】
ところで、金属酸化物は一元系酸化物のみでなく多元系酸化物も知られている。例えば、
ホモロガス相を有するInGaO3(ZnO)m(m:自然数)は公知の材料である(非
特許文献2乃至4参照。)。
【0006】
そして、上記のようなIn-Ga-Zn系酸化物を薄膜トランジスタのチャネル層として
適用可能であることが確認されている(特許文献5、非特許文献5及び6参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭60-198861号公報
【特許文献2】特開平8-264794号公報
【特許文献3】特表平11-505377号公報
【特許文献4】特開2000-150900号公報
【特許文献5】特開2004-103957号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】M. W. Prins, K. O. Grosse-Holz, G. Muller, J. F. M. Cillessen, J. B. Giesbers, R. P. Weening, and R. M. Wolf、「A ferroelectric transparent thin-film transistor」、 Appl. Phys. Lett.、17 June 1996、 Vol.68 p.3650-3652
【非特許文献2】M. Nakamura, N. Kimizuka, and T. Mohri、「The Phase Relations in the In2O3-Ga2ZnO4-ZnO System at 1350℃」、J. Solid State Chem.、1991、Vol.93, p.298-315
【非特許文献3】N. Kimizuka, M. Isobe, and M. Nakamura、「Syntheses and Single-Crystal Data of Homologous Compounds, In2O3(ZnO)m(m=3,4, and 5), InGaO3(ZnO)3, and Ga2O3(ZnO)m(m=7,8,9, and 16) in the In2O3-ZnGa2O4-ZnO System」、 J. Solid State Chem.、1995、Vol.116, p.170-173
【非特許文献4】中村真佐樹、君塚昇、毛利尚彦、磯部光正、「ホモロガス相、InFeO3(ZnO)m(m:自然数)とその同型化合物の合成および結晶構造」、固体物理、1993年、Vol.28、No.5、p.317-327
【非特許文献5】K. Nomura, H. Ohta, K. Ueda, T. Kamiya, M. Hirano, and H. Hosono、「Thin-film transistor fabricated in single-crystalline transparent oxide semiconductor」、SCIENCE、2003、Vol.300、p.1269-1272
【非特許文献6】K. Nomura, H. Ohta, A. Takagi, T. Kamiya, M. Hirano, and H. Hosono、「Room-temperature fabrication of transparent flexible thin-film transistors using amorphous oxide semiconductors」、NATURE、2004、Vol.432 p.488-492
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の一態様は、酸化物半導体層を用い、電気特性の優れた薄膜トランジスタ及び画素
電極層を備えた表示装置を提供することを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
非晶質の酸化物半導体層を実現するため、チャネル形成領域を有する半導体層に酸化シリ
コン若しくは酸窒化シリコンを含むIn-Sn-O系酸化物半導体層を用いた薄膜トラン
ジスタとする。代表的にはSiO2を5重量%以上50重量%以下、好ましくは10重量
%以上30重量%以下含むIn-Sn-O系酸化物半導体ターゲットを用いて成膜を行い
、In-Sn-O系酸化物半導体層に結晶化を阻害するSiOx(X>0)を含ませるこ
とで、薄膜トランジスタのゲート電圧が0Vにできるだけ近い正のしきい値電圧でチャネ
ルが形成される薄膜トランジスタを実現する。
【0011】
チャネル形成領域を有する半導体層に、SiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体層
を用いた薄膜トランジスタの電気特性について計算を行った。計算モデル及び計算条件を
以下に示す。
【0012】
計算は、Silvaco社製、Atlasを用いて行い、計算モデルの構造は、
図35に
示すような逆スタガ構造の薄膜トランジスタである。ゲート電極層801(仕事関数4.
7eV)上のゲート絶縁層802は酸化窒化珪素層(膜厚100nm、比誘電率4.1)
、チャネル形成領域を有する半導体層803はIn-Sn-O系酸化物半導体層(膜厚5
0nm、電子親和力4.3eV)、配線層804a、804bはIn-Sn-O系酸化物
半導体層(仕事関数4.7eV)、チャネル形成領域を有する半導体層803のチャネル
方向の長さ及びチャネル方向の幅は10μm、移動度は電子が0.1cm
2/Vs、正孔
は0.01cm
2/Vsである。
【0013】
半導体層803の導電率は
図32に示すようにドナー(キャリア)濃度より算出し、導電
率3.9×10
-3S/cm、1.6×10
-3S/cm、8.8×10
-4S/cm、
1.3×10
-4S/cm、1.7×10
-7S/cm、1.9×10
-10S/cm、
8.0×10
-12S/cmの場合の薄膜トランジスタの電気特性を計算した。薄膜トラ
ンジスタのゲートソース間の電圧(Vgs〔V〕)及びドレインソース間の電流(Ids
/W〔A/μm〕)の計算結果を
図33(A)(B)に示す。なお、
図33(A)はドレ
イン電圧を1V、
図33(B)はドレイン電圧を10Vとしたものであり、
図33(A)
(B)では各導電率における結果を、3.9×10
-3S/cmは下向きの三角形のドッ
ト、1.6×10
-3S/cmは一点鎖線、8.8×10
-4S/cmは上向きの三角形
のドット、1.3×10
-4S/cmは点線、1.7×10
-7S/cmは丸印のドット
、1.9×10
-10S/cmは実線、8.0×10
-12S/cmは四角形のドットで
示している。
【0014】
図33(A)(B)に示すように、半導体層の導電率が1.6×10
-3S/cm以下で
あると薄膜トランジスタとしてのスイッチング特性が得られている。また、
図34に薄膜
トランジスタのしきい値電圧と導電率の関係を示す。
図34より、さらに半導体層の導電
率が1.3×10
-4S/cm以下であるとしきい値電圧がほぼ0V以下となり、ノーマ
リーオフの薄膜トランジスタとすることができることがわかる。よって、チャネル形成領
域を有する半導体層に、SiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体層を用いた薄膜ト
ランジスタにおいては、半導体層の導電率は1.6×10
-3S/cm以下とすればよく
、さらに1.3×10
-4S/cm以下とすればより好ましいと言える。
【0015】
また、電気抵抗値の低い金属材料からなるソース電極層又はドレイン電極層とのコンタク
ト抵抗を低減するため、ソース電極層又はドレイン電極層と上記SiOxを含むIn-S
n-O系酸化物半導体層との間にソース領域またはドレイン領域を形成する。ソース領域
又はドレイン領域の一方は画素電極領域と同一層の薄膜で形成される。
【0016】
ソース領域、ドレイン領域、及び画素電極領域は、SiOxを含まないIn-Sn-O系
酸化物半導体層を用いる。
【0017】
ソース電極層又はドレイン電極層は、Al、Cr、Ta、Ti、Mo、Wから選ばれた元
素、または上述した元素を成分とする合金か、上述した元素を組み合わせた合金膜等を用
いる。
【0018】
本明細書で開示する半導体装置の一態様は、ゲート電極層と、ゲート絶縁層と、SiOx
を含む第1のIn-Sn-O系酸化物半導体層と、SiOxを含む第1のIn-Sn-O
系酸化物半導体層に接するソース領域及びドレイン領域と、画素電極領域を有し、ソース
領域又はドレイン領域及び画素電極領域は同一層の第2のIn-Sn-O系酸化物半導体
層である。
【0019】
本明細書で開示する半導体装置の一態様は、絶縁表面を有する基板上に、ゲート電極層と
、ゲート電極層上にゲート絶縁層と、ゲート絶縁層上にSiOxを含む第1のIn-Sn
-O系酸化物半導体層と、SiOxを含む第1のIn-Sn-O系酸化物半導体層に接す
るソース領域及びドレイン領域と、画素電極領域を有し、ソース領域又はドレイン領域及
び画素電極領域は同一層の第2のIn-Sn-O系酸化物半導体層である。
【0020】
上記構成において、SiOxを含む第1のIn-Sn-O系酸化物半導体層の導電率は1
.6×10-3S/cm以下、さらに1.3×10-4S/cm以下が好ましい。なお、
SiOxを含む第1のIn-Sn-O系酸化物半導体層は、SiO2を5重量%以上50
重量%以下、好ましくは10重量%以上30重量%以上含むIn-Sn-O系酸化物半導
体ターゲットを用いたスパッタ法で形成される。
【0021】
また、上記構造を実現するための本発明の一態様は、絶縁表面を有する基板上にゲート電
極層を形成し、ゲート電極層上にゲート絶縁層を形成し、ゲート絶縁層上にSiO2を5
重量%以上50重量%以下含む第1のIn-Sn-O系酸化物半導体ターゲットを用いた
スパッタ法でSiOxを含む第1の酸化物半導体層を成膜し、SiOxを含む第1のIn
-Sn-O系酸化物半導体層上に第2のIn-Sn-O系酸化物半導体ターゲットを用い
たスパッタ法でソース領域、ドレイン領域、及び画素電極領域を形成し、ソース領域又は
ドレイン領域、及び画素電極領域は同一層の第2のIn-Sn-O系酸化物半導体層で形
成する半導体装置の作製方法である。
【0022】
薄膜トランジスタの構造は限定されず、ボトムゲート型の薄膜トランジスタ、またはトッ
プゲート型の薄膜トランジスタを作製することができる。
【0023】
なお、本明細書中において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置
全般を指し、電気光学装置、半導体回路および電子機器は全て半導体装置である。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一態様は、酸化物半導体層を用い、信頼性の優れた薄膜トランジスタを備えた半
導体装置を提供することを実現する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図16】信号線駆動回路の動作を説明するタイミングチャート。
【
図17】信号線駆動回路の動作を説明するタイミングチャート。
【
図19】
図18に示すフリップフロップの接続構成を説明する図。
【
図25】電子ペーパーの使用形態の例を説明する図。
【
図27】テレビジョン装置およびデジタルフォトフレームの例を示す外観図。
【
図36】半導体装置の作製に用いることのできるターゲットを説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、以下の説明に限定されず、趣
旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者
であれば容易に理解される。従って、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈さ
れるものではない。なお、以下に説明する構成において、同一部分又は同様な機能を有す
る部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0027】
(実施の形態1)
半導体装置及び半導体装置の作製方法を
図1及び
図2を用いて説明する。
【0028】
図1(A)は半導体装置の有する薄膜トランジスタ470の平面図であり、
図1(B)は
図1(A)の線C1-C2における断面図である。薄膜トランジスタ470は逆スタガ型
の薄膜トランジスタであり、絶縁表面を有する基板である基板400上に、ゲート電極層
401、ゲート絶縁層402、SiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体層403、
ソース領域又はドレイン領域として機能するIn-Sn-O系酸化物半導体層404、I
n-Sn-O系酸化物半導体層408、ソース電極層又はドレイン電極層405を含む。
また、薄膜トランジスタ470を覆い、SiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体層
403に接する絶縁膜407が設けられている。
【0029】
チャネル形成領域を有する半導体層に、酸化珪素若しくは酸窒化シリコンを含むIn-S
n-O系酸化物半導体層を用いる。SiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体層40
3の導電率は1.6×10-3S/cm以下、さらに1.3×10-4S/cm以下が好
ましい。なお、SiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体層は、SiO2を5重量%
以上50重量%以下、好ましくは10重量%以上30重量%以上含むIn-Sn-O系酸
化物半導体ターゲットを用いたスパッタ法で形成される。
【0030】
電気抵抗値の低い金属材料からなるソース電極層又はドレイン電極層405とSiOxを
含むIn-Sn-O系酸化物半導体層403との間にソース領域又はドレイン領域として
形成されるIn-Sn-O系酸化物半導体層404は、コンタクト抵抗を低減する。ソー
ス領域又はドレイン領域の一方は画素電極領域と同一層のIn-Sn-O系酸化物半導体
層408で形成される。よって、In-Sn-O系酸化物半導体層408はソース領域又
はドレイン領域と画素電極の機能を兼ねている。
【0031】
In-Sn-O系酸化物半導体層404及びIn-Sn-O系酸化物半導体層408は、
SiOxを含まないIn-Sn-O系酸化物半導体層を用いる。In-Sn-O系酸化物
半導体層404及びIn-Sn-O系酸化物半導体層408は、Siを含まない点でSi
Oxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体層403と大きく異なっている。In-Sn-
O系酸化物半導体層404及びIn-Sn-O系酸化物半導体層408は、SiOxを含
むIn-Sn-O系酸化物半導体層403より低抵抗(高導電率)とすることができる。
また、ソース領域、ドレイン領域、及び画素電極領域は、窒素添加のIn-Sn-O系酸
化物半導体を用いてもよく、例えば窒素を含ませたIn-Sn-O系非単結晶膜などを用
いることができる。
【0032】
図2(A)乃至(E)は薄膜トランジスタ470の作製工程を示す断面図に相当する。
【0033】
図2(A)において、絶縁表面を有する基板である基板400上にゲート電極層401を
設ける。下地膜となる絶縁膜を基板400とゲート電極層401の間に設けてもよい。下
地膜は、基板400からの不純物元素の拡散を防止する機能があり、窒化珪素膜、酸化珪
素膜、窒化酸化珪素膜、又は酸化窒化珪素膜から選ばれた一又は複数の膜による積層構造
により形成することができる。ゲート電極層401の材料は、モリブデン、チタン、クロ
ム、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、ネオジム、スカンジウム等の金属材料
又はこれらを主成分とする合金材料を用いて、単層で又は積層して形成することができる
。
【0034】
例えば、ゲート電極層401の2層の積層構造としては、アルミニウム層上にモリブデン
層が積層された2層の積層構造、または銅層上にモリブデン層を積層した二層構造、また
は銅層上に窒化チタン層若しくは窒化タンタル層を積層した二層構造、窒化チタン層とモ
リブデン層とを積層した二層構造とすることが好ましい。3層の積層構造としては、タン
グステン層または窒化タングステン層と、アルミニウムとシリコンの合金またはアルミニ
ウムとチタンの合金と、窒化チタン層またはチタン層とを積層した積層とすることが好ま
しい。
【0035】
ゲート電極層401上にゲート絶縁層402を形成する。
【0036】
ゲート絶縁層402は、プラズマCVD法又はスパッタリング法等を用いて、酸化シリコ
ン層、窒化シリコン層、酸化窒化シリコン層又は窒化酸化シリコン層を単層で又は積層し
て形成することができる。また、ゲート絶縁層402として、有機シランガスを用いたC
VD法により酸化シリコン層を形成することも可能である。有機シランガスとしては、珪
酸エチル(TEOS:化学式Si(OC2H5)4)、テトラメチルシラン(TMS:化
学式Si(CH3)4)、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、オクタ
メチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、
トリエトキシシラン(SiH(OC2H5)3)、トリスジメチルアミノシラン(SiH
(N(CH3)2)3)等のシリコン含有化合物を用いることができる。
【0037】
ゲート絶縁層402上に、SiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体膜430、In
-Sn-O系酸化物半導体膜431を順に積層する。SiOxを含むIn-Sn-O系酸
化物半導体膜430、In-Sn-O系酸化物半導体膜431は、それぞれフォトリソグ
ラフィ工程により島状の酸化物半導体層に加工されている。
【0038】
なお、SiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体膜430をスパッタ法により成膜す
る前に、アルゴンガスを導入してプラズマを発生させるプラズマ処理を行い、ゲート絶縁
層402の表面に付着しているゴミを除去してもよい。
【0039】
ゲート絶縁層402、SiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体膜430、及びIn
-Sn-O系酸化物半導体膜431上に導電膜432を形成する(
図2(B)参照。)。
【0040】
導電膜432の材料としては、Al、Cr、Ta、Ti、Mo、Wから選ばれた元素、ま
たは上述した元素を成分とする合金か、上述した元素を組み合わせた合金膜等が挙げられ
る。また、Al(アルミニウム)と、Nd(ネオジム)、又はSc(スカンジウム)を組
み合わせた合金膜を用いてもよい。
【0041】
導電膜432をエッチング工程によりエッチングしソース電極層又はドレイン電極層40
5を形成する。(
図2(C)参照。)。
【0042】
SiOxを含まないIn-Sn-O系酸化物半導体膜431上にマスク435を形成する
。ソース電極層又はドレイン電極層405及びマスク435を用いて、SiOxを含むI
n-Sn-O系酸化物半導体膜430及びIn-Sn-O系酸化物半導体膜431をエッ
チングし、SiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体層403、In-Sn-O系酸
化物半導体層404、In-Sn-O系酸化物半導体層408を形成する(
図2(D)参
照。)。なお、SiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体層403は一部のみがエッ
チングされ、溝部(凹部)を有する半導体層となる。In-Sn-O系酸化物半導体層4
04はソース領域又はドレイン領域として機能し、In-Sn-O系酸化物半導体層40
8はソース領域又はドレイン領域と画素電極として機能する。
【0043】
以上の工程で、
図2(E)に示すSiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体層403
をチャネル形成領域とする逆スタガ型の薄膜トランジスタ470を作製することができる
。また、薄膜トランジスタ470を覆い、SiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体
層403に接する絶縁膜407を、In-Sn-O系酸化物半導体層408の画素電極領
域上を除いて形成する。
【0044】
絶縁膜407は、スパッタ法などを用いて得られる窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、ま
たは酸化窒化シリコン膜などの単層またはこれらの積層を用いることができる。
【0045】
従って、電気特性の優れた薄膜トランジスタ及び画素電極層を備えた半導体装置を実現す
ることができる。
【0046】
(実施の形態2)
ここでは、実施の形態1において、チャネル保護層が設けられた薄膜トランジスタを有す
る半導体装置の例を
図3及び
図4に示す。従って、他は実施の形態1と同様に行うことが
でき、実施の形態1と同一部分又は同様な機能を有する部分、及び工程の繰り返しの説明
は省略する。
【0047】
図3(A)は半導体装置の有する薄膜トランジスタ471の平面図であり、
図3(B)は
図3(A)の線Z1-Z2における断面図である。薄膜トランジスタ471は逆スタガ型
の薄膜トランジスタであり、絶縁表面を有する基板である基板400上に、ゲート電極層
401、ゲート絶縁層402、SiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体層403、
チャネル保護層409、ソース領域又はドレイン領域として機能するIn-Sn-O系酸
化物半導体層404、In-Sn-O系酸化物半導体層408、ソース電極層又はドレイ
ン電極層405を含む。また、薄膜トランジスタ471を覆い絶縁膜407が設けられて
いる。絶縁膜407は、In-Sn-O系酸化物半導体層408の画素電極領域を除いて
形成されている。
【0048】
本実施の形態の薄膜トランジスタ471は、SiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導
体層403のチャネル形成上にチャネル保護層409が設けられている。In-Sn-O
系酸化物半導体層403はチャネル保護層409がチャネルストッパーとして機能するた
めエッチングされない。
【0049】
チャネル保護層409としては、無機材料(酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸
化珪素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミ
ニウムなど)を用いることができる。作製法としては、スパッタ法を用いることができる
。
【0050】
チャネル形成領域を有する半導体層に、酸化珪素若しくは酸窒化シリコンを含むIn-S
n-O系酸化物半導体層を用いる。SiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体層40
3の導電率は1.6×10-3S/cm以下、さらに1.3×10-4S/cm以下が好
ましい。なお、SiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体層は、SiO2を5重量%
以上50重量%以下、好ましくは10重量%以上30重量%以上含むIn-Sn-O系酸
化物半導体ターゲットを用いたスパッタ法で形成される。
【0051】
電気抵抗値の低い金属材料からなるソース電極層又はドレイン電極層405とSiOxを
含むIn-Sn-O系酸化物半導体層403との間にソース領域又はドレイン領域として
形成されるIn-Sn-O系酸化物半導体層404は、コンタクト抵抗を低減する。ソー
ス領域又はドレイン領域の一方は画素電極領域と同一層のIn-Sn-O系酸化物半導体
層408で形成される。よって、In-Sn-O系酸化物半導体層408はソース領域又
はドレイン領域と画素電極の機能を兼ねている。
【0052】
In-Sn-O系酸化物半導体層404及びIn-Sn-O系酸化物半導体層408は、
SiOxを含まないIn-Sn-O系酸化物半導体層を用いる。
【0053】
図4(A)乃至(E)は薄膜トランジスタ471の作製工程を示す断面図に相当する。
【0054】
図4(A)において、絶縁表面を有する基板である基板400上にゲート電極層401を
設ける。下地膜となる絶縁膜を基板400とゲート電極層401の間に設けてもよい。
【0055】
ゲート電極層401上にゲート絶縁層402を形成する。
【0056】
ゲート絶縁層402上に、SiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体層403及びチ
ャネル保護層409を形成する。SiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体層403
及びチャネル保護層409は、それぞれフォトリソグラフィ工程により島状に加工されて
いる。
【0057】
ゲート絶縁層402、SiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体層403及びチャネ
ル保護層409上に、In-Sn-O系酸化物半導体膜431及び導電膜432を形成す
る(
図4(B)参照。)。
【0058】
導電膜432をエッチング工程によりエッチングしソース電極層又はドレイン電極層40
5を形成する。(
図4(C)参照。)。
【0059】
SiOxを含まないIn-Sn-O系酸化物半導体膜431上にマスク435を形成する
。ソース電極層又はドレイン電極層405及びマスク435を用いて、In-Sn-O系
酸化物半導体膜431をエッチングし、In-Sn-O系酸化物半導体層404、In-
Sn-O系酸化物半導体層408を形成する(
図4(D)参照。)。In-Sn-O系酸
化物半導体層404はソース領域又はドレイン領域として機能し、In-Sn-O系酸化
物半導体層408はソース領域又はドレイン領域と画素電極として機能する。
【0060】
以上の工程で、
図4(E)に示すSiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体層403
をチャネル形成領域とする逆スタガ型の薄膜トランジスタ470を作製することができる
。また、薄膜トランジスタ470を覆い、チャネル保護層409に接する絶縁膜407を
、In-Sn-O系酸化物半導体層408の画素電極領域上を除いて形成する。
【0061】
従って、電気特性の優れた薄膜トランジスタ及び画素電極層を備えた半導体装置を実現す
ることができる。
【0062】
(実施の形態3)
半導体装置及び半導体装置の作製方法の他の例を
図5及び
図6を用いて説明する。
【0063】
図5(A)は半導体装置の有する薄膜トランジスタ460の平面図であり、
図5(B)は
図5(A)の線D1-D2における断面図である。薄膜トランジスタ460はボトムゲー
ト型の薄膜トランジスタであり、絶縁表面を有する基板である基板400上に、ゲート電
極層401、ゲート絶縁層402、ソース電極層又はドレイン電極層405、ソース領域
又はドレイン領域として機能するIn-Sn-O系酸化物半導体層404、In-Sn-
O系酸化物半導体層408、及びSiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体層403
を含む。また、薄膜トランジスタ460を覆い、SiOxを含むIn-Sn-O系酸化物
半導体層403に接する絶縁膜407が設けられている。絶縁膜407は、In-Sn-
O系酸化物半導体層408の画素電極領域を除いて形成されている。
【0064】
薄膜トランジスタ460は、薄膜トランジスタ460を含む領域全てにおいてゲート絶縁
層402が存在し、ゲート絶縁層402と絶縁表面を有する基板である基板400の間に
ゲート電極層401が設けられている。ゲート絶縁層402上にはソース電極層又はドレ
イン電極層405、及びIn-Sn-O系酸化物半導体層404、In-Sn-O系酸化
物半導体層408が設けられている。そして、ゲート絶縁層402、ソース電極層又はド
レイン電極層405、In-Sn-O系酸化物半導体層404、及びIn-Sn-O系酸
化物半導体層408上にSiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体層403が設けら
れている。また、図示しないが、ゲート絶縁層402上にはソース電極層又はドレイン電
極層405に加えて配線層を有し、該配線層はSiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半
導体層403の外周部より外側に延在している。
【0065】
チャネル形成領域を有する半導体層に、酸化珪素若しくは酸窒化シリコンを含むIn-S
n-O系酸化物半導体層を用いる。SiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体層40
3の導電率は1.6×10-3S/cm以下、さらに1.3×10-4S/cm以下が好
ましい。なお、SiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体層は、SiO2を5重量%
以上50重量%以下、好ましくは10重量%以上30重量%以上含むIn-Sn-O系酸
化物半導体ターゲットを用いたスパッタ法で形成される。
【0066】
電気抵抗値の低い金属材料からなるソース電極層又はドレイン電極層405とSiOxを
含むIn-Sn-O系酸化物半導体層403との間にソース領域又はドレイン領域として
形成されるIn-Sn-O系酸化物半導体層404は、コンタクト抵抗を低減する。ソー
ス領域又はドレイン領域の一方は画素電極領域と同一層のIn-Sn-O系酸化物半導体
層408で形成される。よって、In-Sn-O系酸化物半導体層408はソース領域又
はドレイン領域と画素電極の機能を兼ねている。
【0067】
In-Sn-O系酸化物半導体層404及びIn-Sn-O系酸化物半導体層408は、
SiOxを含まないIn-Sn-O系酸化物半導体層を用いる。
【0068】
図6(A)乃至(E)は薄膜トランジスタ460の作製工程を示す断面図に相当する。
【0069】
絶縁表面を有する基板である基板400上にゲート電極層401を設ける。下地膜となる
絶縁膜を基板400とゲート電極層401の間に設けてもよい。
【0070】
ゲート電極層401上にゲート絶縁層402を形成する。次にゲート絶縁層452上に、
ソース電極層又はドレイン電極層405を形成する(
図6(A)参照。)。
【0071】
In-Sn-O系酸化物半導体膜を形成し、フォトリソグラフィ工程により島状のIn-
Sn-O系酸化物半導体膜451、452を形成する(
図6(B)参照。)。
【0072】
次に、In-Sn-O系酸化物半導体膜451、452上にSiOxを含むIn-Sn-
O系酸化物半導体膜450を形成する(
図6(C)参照。)。
【0073】
フォトリソグラフィ工程によりSiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体膜450を
エッチング加工し、島状のSiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体層403を形成
する(
図6(D)参照。)。In-Sn-O系酸化物半導体膜450のエッチング工程の
際、In-Sn-O系酸化物半導体膜451、452も一部エッチングされ、In-Sn
-O系酸化物半導体層404、In-Sn-O系酸化物半導体層408となる。
【0074】
以上の工程で、
図6(E)に示すSiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体層403
をチャネル形成領域とする逆スタガ型の薄膜トランジスタ460を作製することができる
。また、薄膜トランジスタ460を覆い、SiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体
層403に接する絶縁膜407を、In-Sn-O系酸化物半導体層408の画素電極領
域上を除いて形成する。
【0075】
従って、電気特性の優れた薄膜トランジスタ及び画素電極層を備えた半導体装置を実現す
ることができる。
【0076】
(実施の形態4)
ここでは、トップゲート型の半導体装置の例を
図7を用いて説明する。
【0077】
図7(A)は半導体装置の有する薄膜トランジスタ480の平面図であり、
図7(B)は
図7(A)の線X1-X2における断面図である。薄膜トランジスタ480はトップゲー
ト型の薄膜トランジスタであり、絶縁表面を有する基板である基板400上に、ソース電
極層又はドレイン電極層405、ソース電極層又はドレイン電極層405に接するソース
領域又はドレイン領域として機能するIn-Sn-O系酸化物半導体層404、In-S
n-O系酸化物半導体層408、In-Sn-O系酸化物半導体層404及びIn-Sn
-O系酸化物半導体層408に接するSiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体層4
03、ゲート絶縁層402、ゲート電極層401を含む。また、薄膜トランジスタ480
を覆い、絶縁膜407が設けられている。絶縁膜407及びゲート絶縁層402は、In
-Sn-O系酸化物半導体層408の画素電極領域を除いて形成されている。
【0078】
薄膜トランジスタ480は、ソース電極層又はドレイン電極層405、In-Sn-O系
酸化物半導体層404、In-Sn-O系酸化物半導体層408、及びSiOxを含むI
n-Sn-O系酸化物半導体層403上にゲート絶縁層402が形成され、ゲート絶縁層
402上においてIn-Sn-O系酸化物半導体層404、In-Sn-O系酸化物半導
体層408、及びSiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体層403と重畳する領域
にゲート電極層401が設けられる構造である。
【0079】
チャネル形成領域を有する半導体層に、酸化珪素若しくは酸窒化シリコンを含むIn-S
n-O系酸化物半導体層を用いる。SiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体層40
3の導電率は1.6×10-3S/cm以下、さらに1.3×10-4S/cm以下が好
ましい。なお、SiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体層は、SiO2を5重量%
以上50重量%以下、好ましくは10重量%以上30重量%以上含むIn-Sn-O系酸
化物半導体ターゲットを用いたスパッタ法で形成される。
【0080】
電気抵抗値の低い金属材料からなるソース電極層又はドレイン電極層405とSiOxを
含むIn-Sn-O系酸化物半導体層403との間にソース領域又はドレイン領域として
形成されるIn-Sn-O系酸化物半導体層404は、コンタクト抵抗を低減する。ソー
ス領域又はドレイン領域の一方は画素電極領域と同一層のIn-Sn-O系酸化物半導体
層408で形成される。よって、In-Sn-O系酸化物半導体層408はソース領域又
はドレイン領域と画素電極の機能を兼ねている。
【0081】
In-Sn-O系酸化物半導体層404及びIn-Sn-O系酸化物半導体層408は、
SiOxを含まないIn-Sn-O系酸化物半導体層を用いる。
【0082】
従って、電気特性の優れた薄膜トランジスタ及び画素電極層を備えた半導体装置を実現す
ることができる。
【0083】
(実施の形態5)
ここでは、トップゲート型の半導体装置の他の例を、
図8を用いて説明する。
【0084】
図8(A)は半導体装置の有する薄膜トランジスタ481の平面図であり、
図8(B)は
図8(A)の線V1-V2における断面図である。薄膜トランジスタ481はトップゲー
ト型の薄膜トランジスタであり、絶縁表面を有する基板である基板400上に、SiOx
を含むIn-Sn-O系酸化物半導体層403、SiOxを含むIn-Sn-O系酸化物
半導体層403に接するソース領域又はドレイン領域として機能するIn-Sn-O系酸
化物半導体層404及びIn-Sn-O系酸化物半導体層408、In-Sn-O系酸化
物半導体層404に接するソース電極層又はドレイン電極層405、ゲート絶縁層402
、ゲート電極層401を含む。また、薄膜トランジスタ481を覆い、絶縁膜407が設
けられている。絶縁膜407及びゲート絶縁層402は、In-Sn-O系酸化物半導体
層408の画素電極領域を除いて形成されている。
【0085】
薄膜トランジスタ481は、SiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体層403、I
n-Sn-O系酸化物半導体層404、In-Sn-O系酸化物半導体層408、及びソ
ース電極層又はドレイン電極層405上にゲート絶縁層402が形成され、ゲート絶縁層
402上においてSiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体層403、In-Sn-
O系酸化物半導体層404、及びIn-Sn-O系酸化物半導体層408と重畳する領域
にゲート電極層401が設けられる構造である。
【0086】
チャネル形成領域を有する半導体層に、酸化珪素若しくは酸窒化シリコンを含むIn-S
n-O系酸化物半導体層を用いる。SiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体層40
3の導電率は1.6×10-3S/cm以下、さらに1.3×10-4S/cm以下が好
ましい。なお、SiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体層は、SiO2を5重量%
以上50重量%以下、好ましくは10重量%以上30重量%以上含むIn-Sn-O系酸
化物半導体ターゲットを用いたスパッタ法で形成される。
【0087】
電気抵抗値の低い金属材料からなるソース電極層又はドレイン電極層405とSiOxを
含むIn-Sn-O系酸化物半導体層403との間にソース領域又はドレイン領域として
形成されるIn-Sn-O系酸化物半導体層404は、コンタクト抵抗を低減する。ソー
ス領域又はドレイン領域の一方は画素電極領域と同一層のIn-Sn-O系酸化物半導体
層408で形成される。よって、In-Sn-O系酸化物半導体層408はソース領域又
はドレイン領域と画素電極の機能を兼ねている。
【0088】
In-Sn-O系酸化物半導体層404及びIn-Sn-O系酸化物半導体層408は、
SiOxを含まないIn-Sn-O系酸化物半導体層を用いる。
【0089】
従って、電気特性の優れた薄膜トランジスタ及び画素電極層を備えた半導体装置を実現す
ることができる。
【0090】
(実施の形態6)
ソース領域又はドレイン領域と画素電極領域とを有するIn-Sn-O系酸化物半導体層
が、薄膜トランジスタ上の絶縁層に形成された開口に設けられる構成の半導体装置の例を
図9及び
図10に示す。
【0091】
図9(A)は半導体装置の有する薄膜トランジスタ475の平面図であり、
図9(B)は
図9(A)の線Y1-Y2における断面図である。薄膜トランジスタ475は逆スタガ型
の薄膜トランジスタであり、絶縁表面を有する基板である基板400上に、ゲート電極層
401、ゲート絶縁層402、SiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体層403、
ソース電極層又はドレイン電極層405、ソース領域又はドレイン領域として機能するI
n-Sn-O系酸化物半導体層404、絶縁層410、In-Sn-O系酸化物半導体層
408を含む。
【0092】
図9において、ソース領域又はドレイン領域と画素電極層とを兼ねるSiOxを含まない
In-Sn-O系酸化物半導体層408は、絶縁層410に形成する開口において薄膜ト
ランジスタ475のSiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体層403と接しており
、電気的に接続している。
【0093】
図10(A)は半導体装置の有する薄膜トランジスタ476の平面図であり、
図10(B
)は
図10(A)の線Y3-Y4における断面図である。薄膜トランジスタ476は逆ス
タガ型の薄膜トランジスタであり、絶縁表面を有する基板である基板400上に、ゲート
電極層401、ゲート絶縁層402、SiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体層4
03、絶縁層410、ソース電極層又はドレイン電極層405、ソース領域又はドレイン
領域として機能するIn-Sn-O系酸化物半導体層404、In-Sn-O系酸化物半
導体層408を含む。
【0094】
図10において、ソース領域又はドレイン領域として機能するIn-Sn-O系酸化物半
導体層404及びソース領域又はドレイン領域と画素電極層とを兼ねるSiOxを含まな
いIn-Sn-O系酸化物半導体層408は、絶縁層410に形成する開口において薄膜
トランジスタ475のSiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体層403と接してお
り、電気的に接続している。また、In-Sn-O系酸化物半導体層404上にソース電
極層又はドレイン電極層405が形成され、SiOxを含まないIn-Sn-O系酸化物
半導体層408の画素電極領域を除いて絶縁膜407が形成されている。
【0095】
このように薄膜トランジスタ上に平坦化絶縁膜として機能する絶縁層を形成後、ソース領
域、ドレイン領域、及び画素電極領域となるIn-Sn-O系酸化物半導体層を形成して
もよい。
【0096】
平坦化絶縁膜としては、ポリイミド、アクリル、ベンゾシクロブテン、ポリアミド、エポ
キシ等の有機材料を用いることができる。また上記有機材料の他に、低誘電率材料(lo
w-k材料)、シロキサン系樹脂、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス
)等を用いることができる。
【0097】
なおシロキサン系樹脂とは、シロキサン系材料を出発材料として形成されたSi-O-S
i結合を含む樹脂に相当する。シロキサン系樹脂は置換基としては有機基(例えばアルキ
ル基やアリール基)やフルオロ基を用いても良い。また、有機基はフルオロ基を有してい
ても良い。
【0098】
平坦化絶縁膜の形成法は、特に限定されず、その材料に応じて、スパッタ法、SOG法、
スピンコート、ディップ、スプレー塗布、液滴吐出法(インクジェット法、スクリーン印
刷、オフセット印刷等)、ドクターナイフ、ロールコーター、カーテンコーター、ナイフ
コーター等を用いることができる。
【0099】
本実施の形態では、実施の形態1で示す薄膜トランジスタを適用する例を示したが、本実
施の形態はこれに限定されず他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施する
ことが可能である。
【0100】
従って、電気特性の優れた薄膜トランジスタ及び画素電極層を備えた半導体装置を実現す
ることができる。
【0101】
(実施の形態7)
本実施の形態では、ゲート電極の幅が実施の形態1とは異なる薄膜トランジスタの一例に
ついて
図11乃至
図13、及び
図31を用いて説明する。
【0102】
図13は薄膜トランジスタ170を有する半導体装置の平面図であり、
図13は
図13の
線A1-A2、B1-B2における断面図である。薄膜トランジスタ170は逆スタガ型
の薄膜トランジスタであり、絶縁表面を有する基板である基板100上に、ゲート電極層
101、ゲート絶縁層102、SiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体層103、
ソース領域又はドレイン領域として機能するIn-Sn-O系酸化物半導体層104、I
n-Sn-O系酸化物半導体層110、ソース電極層又はドレイン電極層105を含む。
また、薄膜トランジスタ170を覆い、SiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体層
103に接する保護絶縁層107が設けられている。
【0103】
チャネル形成領域を有する半導体層に、酸化珪素若しくは酸窒化シリコンを含むIn-S
n-O系酸化物半導体層を用いる。SiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体層10
3の導電率は1.6×10-3S/cm以下、さらに1.3×10-4S/cm以下が好
ましい。なお、SiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体層は、SiO2を5重量%
以上50重量%以下、好ましくは10重量%以上30重量%以上含むIn-Sn-O系酸
化物半導体ターゲットを用いたスパッタ法で形成される。
【0104】
電気抵抗値の低い金属材料からなるソース電極層又はドレイン電極層105とSiOxを
含むIn-Sn-O系酸化物半導体層103との間にソース領域又はドレイン領域として
形成されるIn-Sn-O系酸化物半導体層104は、コンタクト抵抗を低減する。ソー
ス領域又はドレイン領域の一方は画素電極領域と同一層のIn-Sn-O系酸化物半導体
層110で形成される。よって、In-Sn-O系酸化物半導体層110はソース領域又
はドレイン領域と画素電極の機能を兼ねている。
【0105】
In-Sn-O系酸化物半導体層104及びIn-Sn-O系酸化物半導体層110は、
SiOxを含まないIn-Sn-O系酸化物半導体層を用いる。In-Sn-O系酸化物
半導体層104及びIn-Sn-O系酸化物半導体層110は、Siを含まない点でSi
Oxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体層103と大きく異なっている。In-Sn-
O系酸化物半導体層104及びIn-Sn-O系酸化物半導体層110は、SiOxを含
むIn-Sn-O系酸化物半導体層103より低抵抗(高導電率)とすることができる。
また、ソース領域、ドレイン領域、及び画素電極領域は、窒素添加のIn-Sn-O系酸
化物半導体を用いてもよく、例えば窒素を含ませたIn-Sn-O系非単結晶膜などを用
いることができる。
【0106】
薄膜トランジスタ170は
図12の半導体装置において、画素部のスイッチング素子とし
て機能しており、該半導体装置を作製する例を以下に説明する。
【0107】
絶縁表面を有する基板100上導電層を形成する。絶縁表面を有する基板100にはバリ
ウムホウケイ酸ガラスやアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板を用いることができ
る。
【0108】
次いで、導電層をフォトリソグラフィ工程を行い、レジストマスクを形成し、エッチング
により不要な部分を除去して配線及び電極(ゲート電極層101を含むゲート配線、容量
配線108、及び第1の端子121)を形成する。
【0109】
ゲート電極層101を含むゲート配線と容量配線108、端子部の第1の端子121は、
導電性材料としては、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、モリブ
デン(Mo)、クロム(Cr)、Nd(ネオジム)、スカンジウム(Sc)から選ばれた
属材料又はこれらを主成分とする合金材料を用いて、単層で又は積層して形成することが
できる。また、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、又はこれらを主成分とする合金材料
を用いてもよい。
【0110】
例えば、ゲート電極層101の2層の積層構造としては、アルミニウム層上にモリブデン
層が積層された二層の積層構造、または銅層上にモリブデン層を積層した二層構造、また
は銅層上に窒化チタン層若しくは窒化タンタルを積層した二層構造、窒化チタン層とモリ
ブデン層とを積層した二層構造とすることが好ましい。また、Caを含む銅層上にバリア
層となるCaを含む酸化銅層の積層や、Mgを含む銅層上にバリア層となるMgを含む酸
化銅層の積層もある。また、3層の積層構造としては、タングステン層または窒化タング
ステン層と、アルミニウムとシリコンの合金またはアルミニウムとチタンの合金と、窒化
チタン層またはチタン層とを積層した積層とすることが好ましい。
【0111】
次いで、ゲート電極層101上にゲート絶縁層102を全面に成膜する。ゲート絶縁層1
02はスパッタ法、PCVD法などを用い、膜厚を50~400nmとする。
【0112】
例えば、ゲート絶縁層102としてスパッタ法により酸化シリコン膜を用い、100nm
の厚さで形成する。勿論、ゲート絶縁層102はこのような酸化シリコン膜に限定される
ものでなく、酸化窒化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化アルミニウム、窒化アルミニウ
ム、酸化窒化アルミニウム、酸化タンタル膜などの他の絶縁膜を用い、これらの材料から
成る単層または積層構造として形成しても良い。積層する場合、例えば、PCVD法によ
り窒化シリコン膜を形成し、その上にスパッタ法で酸化シリコン膜を成膜すればよい。ま
た、ゲート絶縁層102として酸化窒化シリコン膜、または窒化シリコン膜などを用いる
場合、ガラス基板からの不純物、例えばナトリウムなどが拡散し、後に上方に形成する酸
化物半導体に侵入することをブロックすることができる。
【0113】
次に、ゲート絶縁層102上に、SiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体膜を形成
する。SiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体膜は、SiO2を5重量%以上50
重量%以下、好ましくは10重量%以上30重量%以上含むIn-Sn-O系酸化物半導
体ターゲットを用いたスパッタ法で形成される。In-Sn-O系酸化物半導体にSiO
xを含ませることにより、成膜されるSiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体をア
モルファス化することが容易となる。SiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体膜を
、フォトリソグラフィ工程を行って形成したレジストマスクを用いたエッチングにより、
SiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体層を形成する。SiOxを含むIn-Sn
-O系酸化物半導体層103の導電率は1.6×10-3S/cm以下、さらに1.3×
10-4S/cm以下が好ましい。
【0114】
次にSiOxを含まないIn-Sn-O系酸化物半導体ターゲットを用いて、スパッタ法
によってSiOxを含まないIn-Sn-O系酸化物半導体膜を形成する。SiOxを含
まないIn-Sn-O系酸化物半導体膜をフォトリソグラフィ工程を行って形成したレジ
ストマスクを用いたエッチングにより、SiOxを含まないIn-Sn-O系酸化物半導
体層を形成する。
【0115】
スパッタ法にはスパッタ用電源に高周波電源を用いるRFスパッタ法と、DCスパッタ法
があり、さらにパルス的にバイアスを与えるパルスDCスパッタ法もある。RFスパッタ
法は主に絶縁膜を成膜する場合に用いられ、DCスパッタ法は主に金属膜を成膜する場合
に用いられる。
【0116】
また、材料の異なるターゲットを複数設置できる多元スパッタ装置もある。多元スパッタ
装置は、同一チャンバーで異なる材料膜を積層成膜することも、同一チャンバーで複数種
類の材料を同時に放電させて成膜することもできる。
【0117】
また、チャンバー内部に磁石機構を備えたマグネトロンスパッタ法を用いるスパッタ装置
や、グロー放電を使わずマイクロ波を用いて発生させたプラズマを用いるECRスパッタ
法を用いるスパッタ装置がある。
【0118】
また、スパッタ法を用いる成膜方法として、成膜中にターゲット物質とスパッタガス成分
とを化学反応させてそれらの化合物薄膜を形成するリアクティブスパッタ法や、成膜中に
基板にも電圧をかけるバイアススパッタ法もある。
【0119】
SiO
2を含むIn-Sn-O系酸化物半導体層、In-Sn-O系酸化物半導体層は、
SiO
2を含むIn-Sn-O系酸化物半導体ターゲット又はIn-Sn-O系酸化物半
導体ターゲットを用いたスパッタ法によって形成することができる。ターゲットはターゲ
ット材をバッキングプレート(ターゲットを貼り付けるための基板)に貼り付けて作製さ
れるが、バッキングプレートにターゲットを貼り付ける際、ターゲットを分割して一枚の
バッキングプレートにボンディングしてもよい。
図36(A)(B)にターゲットを分割
して一枚のバッキングプレートに貼り付ける(ボンディング)する例を示す。
【0120】
図36(A)はバッキングプレート850にターゲット851をターゲット851a、8
51b、851c、851dと4分割して貼り付ける例である。また、
図36(B)はよ
り多数にターゲットを分割した例であり、バッキングプレート850にターゲット852
をターゲット852a、852b、852c、852d、852e、852f、852g
、852h、852iと9分割して貼り付けている。なお、ターゲットの分割数は
図36
(A)(B)に限定されない。ターゲットを分割するとバッキングプレートに貼り付ける
際のターゲットの反りを緩和することができる。このような分割したターゲットは、大面
積基板に上記薄膜を成膜する場合、それに伴って大型化するターゲットに特に好適に用い
ることができる。もちろん、一枚のバッキングプレートに一枚のターゲットを貼り付けて
もよい。
【0121】
エッチングは、ウェットエッチング、ドライエッチングを用いることができる。
【0122】
ドライエッチング法としては、平行平板型RIE(Reactive Ion Etch
ing)法や、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導
結合型プラズマ)エッチング法を用いることができる。所望の加工形状にエッチングでき
るように、エッチング条件(コイル型の電極に印加される電力量、基板側の電極に印加さ
れる電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節する。
【0123】
ウエットエッチングに用いるエッチング液としては、燐酸と酢酸と硝酸を混ぜた溶液、ア
ンモニア過水(過酸化水素:アンモニア:水=5:2:2)などを用いることができる。
また、ITO07N(関東化学社製)を用いてもよい。
【0124】
また、ウエットエッチング後のエッチング液はエッチングされた材料とともに洗浄によっ
て除去される。その除去された材料を含むエッチング液の廃液を精製し、含まれる材料を
再利用してもよい。当該エッチング後の廃液から酸化物半導体層に含まれるインジウム等
の材料を回収して再利用することにより、資源を有効活用し低コスト化することができる
。
【0125】
所望の加工形状にエッチングできるように、材料に合わせてエッチング条件(エッチング
液、エッチング時間、温度等)を適宜調節する。
【0126】
次いで、フォトリソグラフィ工程を行い、レジストマスクを形成し、エッチングにより不
要な部分(ゲート絶縁層の一部)を除去してゲート電極層と同じ材料の配線や電極層に達
するコンタクトホールを形成する。このコンタクトホールは後に形成する導電膜と接続す
るために設ける。例えば、駆動回路部において、ゲート電極層とソース電極層或いはドレ
イン電極層と直接接する薄膜トランジスタや、端子部のゲート配線と電気的に接続する端
子を形成する場合にコンタクトホールを形成する。
【0127】
次に、SiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体層及びSiOxを含まないIn-S
n-O系酸化物半導体層上に金属材料からなる導電膜をスパッタ法や真空蒸着法で形成す
る。
【0128】
導電膜の材料としては、Al、Cr、Ta、Ti、Mo、W、Nd、Scから選ばれた元
素、または上述した元素を成分とする合金か、上述した元素を組み合わせた合金膜等が挙
げられる。
【0129】
例えば、導電膜としてチタン膜の単層構造、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する2層
構造などを用いることができる。また、導電膜としてTi膜と、そのTi膜上に重ねてN
dを含むアルミニウム(Al-Nd)膜を積層し、さらにその上にTi膜を成膜する3層
構造としてもよい。導電膜は、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造としてもよい。
【0130】
次に、フォトリソグラフィ工程を行い、レジストマスクを形成し、エッチングにより不要
な部分を除去してソース電極層又はドレイン電極層105、第2の端子122、第1の端
子121に接続する導電層128を形成する。なお、第2の端子122はソース配線(ソ
ース電極層又はドレイン電極層105を含むソース配線)と電気的に接続されている。
【0131】
SiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体層上に、フォトリソグラフィ工程を行い、
レジストマスクを形成する。マスクを用いて、SiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半
導体層及びIn-Sn-O系酸化物半導体層をエッチングし、SiOxを含むIn-Sn
-O系酸化物半導体層103、In-Sn-O系酸化物半導体層104、In-Sn-O
系酸化物半導体層110を形成する。なお、SiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導
体層103は一部のみがエッチングされ、溝部(凹部)を有する半導体層となる。In-
Sn-O系酸化物半導体層104はソース領域又はドレイン領域として機能し、In-S
n-O系酸化物半導体層110はソース領域又はドレイン領域と画素電極として機能する
。
【0132】
以上の工程で画素部には、SiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体層103をチャ
ネル形成領域とする薄膜トランジスタ170及びSiOxを含まないIn-Sn-O系酸
化物半導体層を画素電極とする半導体装置が作製できる。なお、この段階での平面図が図
13に相当する。
【0133】
また、多階調マスクにより形成した複数(代表的には二種類)の厚さの領域を有するレジ
ストマスクを用いると、レジストマスクの数を減らすことができるため、工程簡略化、低
コスト化が図れる。
【0134】
次いで、薄膜トランジスタ170を覆う保護絶縁層107を形成する。保護絶縁層107
はスパッタ法などを用いて得られる窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン
膜、酸化アルミニウム膜、酸化タンタル膜などを用いることができる。
【0135】
次に、フォトリソグラフィ工程を行い、レジストマスクを形成し、保護絶縁層107のエ
ッチングにより、In-Sn-O系酸化物半導体層110の画素電極領域を露出する。ま
た、ここでのエッチングにより第2の端子122に達するコンタクトホール、導電層12
8に達するコンタクトホールも形成する。
【0136】
第1の端子121と直接接続された導電層128は、ゲート配線の入力端子として機能す
る接続用の端子電極となる。第2の端子122は、ソース配線の入力端子として機能する
接続用の端子電極である。
【0137】
また、
図11(A1)、
図11(A2)は、この段階でのゲート配線端子部の平面図及び
断面図をそれぞれ図示している。
図11(A1)は
図11(A2)中のE1-E2線に沿
った断面図に相当する。
図11(A1)において、保護絶縁膜154が除去され露出され
ている導電層153は、入力端子として機能する接続用の端子電極である。また、
図11
(A1)において、端子部では、ゲート配線と同じ材料で形成される第1の端子151と
、ソース配線と同じ材料で形成される導電層153とが接続され、導通している。なお、
図12に図示した導電層128と第1の端子121とが接触している部分が、
図11(A
1)の導電層153と第1の端子151が接触している部分に対応している。
【0138】
また、
図11(B1)、及び
図11(B2)は、
図12(C)に示すソース配線端子部と
は異なるソース配線端子部の平面図及び断面図をそれぞれ図示している。また、
図11(
B1)は
図11(B2)中のF1-F2線に沿った断面図に相当する。
図11(B1)に
おいて、保護絶縁膜154が除去され露出されている第2の端子150は、入力端子とし
て機能する接続用の端子電極である。また、
図11(B1)において、端子部では、ゲー
ト配線と同じ材料で形成される電極層156が、ソース配線と電気的に接続される第2の
端子150の下方にゲート絶縁層152を介して重なる。電極層156は第2の端子15
0とは電気的に接続しておらず、電極層156を第2の端子150と異なる電位、例えば
フローティング、GND、0Vなどに設定すれば、ノイズ対策のための容量または静電気
対策のための容量を形成することができる。
【0139】
ゲート配線、ソース配線、及び容量配線は画素密度に応じて複数本設けられるものである
。また、端子部においては、ゲート配線と同電位の第1の端子、ソース配線と同電位の第
2の端子、容量配線と同電位の第3の端子などが複数並べられて配置される。それぞれの
端子の数は、それぞれ任意な数で設ければ良いものとし、実施者が適宣決定すれば良い。
【0140】
こうしてボトムゲート型のnチャネル型薄膜トランジスタである薄膜トランジスタ170
、画素電極、及び保持容量を有する画素部及び端子部を完成させることができる。また、
同一基板上に駆動回路も形成することもできる。そして、これらを個々の画素に対応して
マトリクス状に配置して画素部を構成することによりアクティブマトリクス型の表示装置
を作製するための一方の基板とすることができる。本明細書では便宜上このような基板を
アクティブマトリクス基板と呼ぶ。
【0141】
アクティブマトリクス型の液晶表示装置を作製する場合には、アクティブマトリクス基板
と、対向電極が設けられた対向基板との間に液晶層を設け、アクティブマトリクス基板と
対向基板とを固定する。なお、対向基板に設けられた対向電極と電気的に接続する共通電
極をアクティブマトリクス基板上に設け、共通電極と電気的に接続する第4の端子を端子
部に設ける。この第4の端子は、共通電極を固定電位、例えばGND、0Vなどに設定す
るための端子である。
【0142】
また、本発明は、
図13の画素構成に限定されず、
図13とは異なる平面図の例を
図31
に示す。
図31では容量配線を設けず、画素電極領域を隣り合う画素のゲート配線と保護
絶縁膜及びゲート絶縁層を介して重ねて保持容量を形成する例であり、この場合、容量配
線及び容量配線と接続する第3の端子は省略することができる。なお、
図31において、
図13と同じ部分には同じ符号を用いて説明する。
【0143】
アクティブマトリクス型の液晶表示装置においては、マトリクス状に配置された画素電極
を駆動することによって、画面上に表示パターンが形成される。詳しくは選択された画素
電極と該画素電極に対応する対向電極との間に電圧が印加されることによって、画素電極
と対向電極との間に配置された液晶層の光学変調が行われ、この光学変調が表示パターン
として観察者に認識される。
【0144】
液晶表示装置の動画表示において、液晶分子自体の応答が遅いため、残像が生じる、また
は動画のぼけが生じるという問題がある。液晶表示装置の動画特性を改善するため、全面
黒表示を1フレームおきに行う、所謂、黒挿入と呼ばれる駆動技術がある。
【0145】
また、垂直同期周波数を通常の1.5倍、好ましくは2倍以上にすることで動画特性を改
善する所謂、倍速駆動と呼ばれる駆動技術もある。
【0146】
また、液晶表示装置の動画特性を改善するため、バックライトとして複数のLED(発光
ダイオード)光源または複数のEL光源などを用いて面光源を構成し、面光源を構成して
いる各光源を独立して1フレーム期間内で間欠点灯駆動する駆動技術もある。面光源とし
て、3種類以上のLEDを用いてもよいし、白色発光のLEDを用いてもよい。独立して
複数のLEDを制御できるため、液晶層の光学変調の切り替えタイミングに合わせてLE
Dの発光タイミングを同期させることもできる。この駆動技術は、LEDを部分的に消灯
することができるため、特に一画面を占める黒い表示領域の割合が多い映像表示の場合に
は、消費電力の低減効果が図れる。
【0147】
これらの駆動技術を組み合わせることによって、液晶表示装置の動画特性などの表示特性
を従来よりも改善することができる。
【0148】
酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタで形成することにより、製造コストを低減するこ
とができる。
【0149】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能
である。
【0150】
(実施の形態8)
半導体装置の一例である表示装置において、同一基板上に少なくとも駆動回路の一部と、
画素部に配置する薄膜トランジスタを作製する例について以下に説明する。
【0151】
画素部に配置する薄膜トランジスタは、チャネル形成領域を有する半導体層にSiOxを
含むIn-Sn-O系酸化物半導体層、ソース領域及びドレイン領域にSiOxを含まな
いIn-Sn-O系酸化物半導体層を有し、実施の形態1乃至7に従って形成する。また
、実施の形態1乃至7に示す薄膜トランジスタはnチャネル型TFTであるため、駆動回
路のうち、nチャネル型TFTで構成することができる駆動回路の一部を画素部の薄膜ト
ランジスタと同一基板上に形成する。
【0152】
半導体装置の一例であるアクティブマトリクス型液晶表示装置のブロック図の一例を
図1
4(A)に示す。
図14(A)に示す表示装置は、基板5300上に表示素子を備えた画
素を複数有する画素部5301と、各画素を選択する走査線駆動回路5302と、選択さ
れた画素へのビデオ信号の入力を制御する信号線駆動回路5303とを有する。
【0153】
また、実施の形態1乃至7に示す薄膜トランジスタは、nチャネル型TFTであり、nチ
ャネル型TFTで構成する信号線駆動回路について
図15を用いて説明する。
【0154】
図15に示す信号線駆動回路は、ドライバIC5601、スイッチ群5602_1~56
02_M、第1の配線5611、第2の配線5612、第3の配線5613及び配線56
21_1~5621_Mを有する。スイッチ群5602_1~5602_Mそれぞれは、
第1の薄膜トランジスタ5603a、第2の薄膜トランジスタ5603b及び第3の薄膜
トランジスタ5603cを有する。
【0155】
ドライバIC5601は第1の配線5611、第2の配線5612、第3の配線5613
及び配線5621_1~5621_Mに接続される。そして、スイッチ群5602_1~
5602_Mそれぞれは、第1の配線5611、第2の配線5612、第3の配線561
3及びスイッチ群5602_1~5602_Mそれぞれに対応した配線5621_1~5
621_Mに接続される。そして、配線5621_1~5621_Mそれぞれは、第1の
薄膜トランジスタ5603a、第2の薄膜トランジスタ5603b及び第3の薄膜トラン
ジスタ5603cを介して、3つの信号線に接続される。例えば、J列目の配線5621
_J(配線5621_1~配線5621_Mのうちいずれか一)は、スイッチ群5602
_Jが有する第1の薄膜トランジスタ5603a、第2の薄膜トランジスタ5603b及
び第3の薄膜トランジスタ5603cを介して、信号線Sj-1、信号線Sj、信号線S
j+1に接続される。
【0156】
なお、第1の配線5611、第2の配線5612、第3の配線5613には、それぞれ信
号が入力される。
【0157】
なお、ドライバIC5601は、単結晶基板上に形成されていることが望ましい。さらに
、スイッチ群5602_1~5602_Mは、画素部と同一基板上に形成されていること
が望ましい。したがって、ドライバIC5601とスイッチ群5602_1~5602_
MとはFPCなどを介して接続するとよい。
【0158】
次に、
図15に示した信号線駆動回路の動作について、
図16のタイミングチャートを参
照して説明する。なお、
図16のタイミングチャートは、i行目の走査線Giが選択され
ている場合のタイミングチャートを示している。さらに、i行目の走査線Giの選択期間
は、第1のサブ選択期間T1、第2のサブ選択期間T2及び第3のサブ選択期間T3に分
割されている。さらに、
図15の信号線駆動回路は、他の行の走査線が選択されている場
合でも
図16と同様の動作をする。
【0159】
なお、
図16のタイミングチャートは、J列目の配線5621_Jが第1の薄膜トランジ
スタ5603a、第2の薄膜トランジスタ5603b及び第3の薄膜トランジスタ560
3cを介して、信号線Sj-1、信号線Sj、信号線Sj+1に接続される場合について
示している。
【0160】
なお、
図16のタイミングチャートは、i行目の走査線Giが選択されるタイミング、第
1の薄膜トランジスタ5603aのオン・オフのタイミング5703a、第2の薄膜トラ
ンジスタ5603bのオン・オフのタイミング5703b、第3の薄膜トランジスタ56
03cのオン・オフのタイミング5703c及びJ列目の配線5621_Jに入力される
信号5721_Jを示している。
【0161】
なお、配線5621_1~配線5621_Mには第1のサブ選択期間T1、第2のサブ選
択期間T2及び第3のサブ選択期間T3において、それぞれ別のビデオ信号が入力される
。例えば、第1のサブ選択期間T1において配線5621_Jに入力されるビデオ信号は
信号線Sj-1に入力され、第2のサブ選択期間T2において配線5621_Jに入力さ
れるビデオ信号は信号線Sjに入力され、第3のサブ選択期間T3において配線5621
_Jに入力されるビデオ信号は信号線Sj+1に入力される。さらに、第1のサブ選択期
間T1、第2のサブ選択期間T2及び第3のサブ選択期間T3において、配線5621_
Jに入力されるビデオ信号をそれぞれData_j-1、Data_j、Data_j+
1とする。
【0162】
図16に示すように、第1のサブ選択期間T1において第1の薄膜トランジスタ5603
aがオンし、第2の薄膜トランジスタ5603b及び第3の薄膜トランジスタ5603c
がオフする。このとき、配線5621_Jに入力されるData_j-1が、第1の薄膜
トランジスタ5603aを介して信号線Sj-1に入力される。第2のサブ選択期間T2
では、第2の薄膜トランジスタ5603bがオンし、第1の薄膜トランジスタ5603a
及び第3の薄膜トランジスタ5603cがオフする。このとき、配線5621_Jに入力
されるData_jが、第2の薄膜トランジスタ5603bを介して信号線Sjに入力さ
れる。第3のサブ選択期間T3では、第3の薄膜トランジスタ5603cがオンし、第1
の薄膜トランジスタ5603a及び第2の薄膜トランジスタ5603bがオフする。この
とき、配線5621_Jに入力されるData_j+1が、第3の薄膜トランジスタ56
03cを介して信号線Sj+1に入力される。
【0163】
以上のことから、
図15の信号線駆動回路は、1ゲート選択期間を3つに分割することで
、1ゲート選択期間中に1つの配線5621から3つの信号線にビデオ信号を入力するこ
とができる。したがって、
図15の信号線駆動回路は、ドライバIC5601が形成され
る基板と、画素部が形成されている基板との接続数を信号線の数に比べて約1/3にする
ことができる。接続数が約1/3になることによって、
図15の信号線駆動回路は、信頼
性、歩留まりなどを向上できる。
【0164】
なお、
図15のように、1ゲート選択期間を複数のサブ選択期間に分割し、複数のサブ選
択期間それぞれにおいて、ある1つの配線から複数の信号線それぞれにビデオ信号を入力
することができれば、薄膜トランジスタの配置や数、駆動方法などは限定されない。
【0165】
例えば、3つ以上のサブ選択期間それぞれにおいて1つの配線から3つ以上の信号線それ
ぞれにビデオ信号を入力する場合は、薄膜トランジスタ及び薄膜トランジスタを制御する
ための配線を追加すればよい。ただし、1ゲート選択期間を4つ以上のサブ選択期間に分
割すると、1つのサブ選択期間が短くなる。したがって、1ゲート選択期間は、2つ又は
3つのサブ選択期間に分割されることが望ましい。
【0166】
別の例として、
図17のタイミングチャートに示すように、1つの選択期間をプリチャー
ジ期間Tp、第1のサブ選択期間T1、第2のサブ選択期間T2、第3の選択期間T3に
分割してもよい。さらに、
図17のタイミングチャートは、i行目の走査線Giが選択さ
れるタイミング、第1の薄膜トランジスタ5603aのオン・オフのタイミング5803
a、第2の薄膜トランジスタ5603bのオン・オフのタイミング5803b、第3の薄
膜トランジスタ5603cのオン・オフのタイミング5803c及びJ列目の配線562
1_Jに入力される信号5821_Jを示している。
図17に示すように、プリチャージ
期間Tpにおいて第1の薄膜トランジスタ5603a、第2の薄膜トランジスタ5603
b及び第3の薄膜トランジスタ5603cがオンする。このとき、配線5621_Jに入
力されるプリチャージ電圧Vpが第1の薄膜トランジスタ5603a、第2の薄膜トラン
ジスタ5603b及び第3の薄膜トランジスタ5603cを介してそれぞれ信号線Sj-
1、信号線Sj、信号線Sj+1に入力される。第1のサブ選択期間T1において第1の
薄膜トランジスタ5603aがオンし、第2の薄膜トランジスタ5603b及び第3の薄
膜トランジスタ5603cがオフする。このとき、配線5621_Jに入力されるDat
a_j-1が、第1の薄膜トランジスタ5603aを介して信号線Sj-1に入力される
。第2のサブ選択期間T2では、第2の薄膜トランジスタ5603bがオンし、第1の薄
膜トランジスタ5603a及び第3の薄膜トランジスタ5603cがオフする。このとき
、配線5621_Jに入力されるData_jが、第2の薄膜トランジスタ5603bを
介して信号線Sjに入力される。第3のサブ選択期間T3では、第3の薄膜トランジスタ
5603cがオンし、第1の薄膜トランジスタ5603a及び第2の薄膜トランジスタ5
603bがオフする。このとき、配線5621_Jに入力されるData_j+1が、第
3の薄膜トランジスタ5603cを介して信号線Sj+1に入力される。
【0167】
以上のことから、
図17のタイミングチャートを適用した
図15の信号線駆動回路は、サ
ブ選択期間の前にプリチャージ選択期間を設けることによって、信号線をプリチャージで
きるため、画素へのビデオ信号の書き込みを高速に行うことができる。なお、
図17にお
いて、
図16と同様なものに関しては共通の符号を用いて示し、同一部分又は同様な機能
を有する部分の詳細な説明は省略する。
【0168】
また、走査線駆動回路の構成について説明する。走査線駆動回路は、シフトレジスタ、バ
ッファを有している。また場合によってはレベルシフタを有していても良い。走査線駆動
回路において、シフトレジスタにクロック信号(CLK)及びスタートパルス信号(SP
)が入力されることによって、選択信号が生成される。生成された選択信号はバッファに
おいて緩衝増幅され、対応する走査線に供給される。走査線には、1ライン分の画素のト
ランジスタのゲート電極が接続されている。そして、1ライン分の画素のトランジスタを
一斉にONにしなくてはならないので、バッファは大きな電流を流すことが可能なものが
用いられる。
【0169】
走査線駆動回路の一部に用いるシフトレジスタの一形態について
図18及び
図19を用い
て説明する。
【0170】
図18にシフトレジスタの回路構成を示す。
図18に示すシフトレジスタは、フリップフ
ロップ5701_1~5701_nという複数のフリップフロップで構成される。また、
第1のクロック信号、第2のクロック信号、スタートパルス信号、リセット信号が入力さ
れて動作する。
【0171】
図18のシフトレジスタの接続関係について説明する。
図18のシフトレジスタは、i段
目のフリップフロップ5701_i(フリップフロップ5701_1~5701_nのう
ちいずれか一)は、
図19に示した第1の配線5501が第7の配線5717_i-1に
接続され、
図19に示した第2の配線5502が第7の配線5717_i+1に接続され
、
図19に示した第3の配線5503が第7の配線5717_iに接続され、
図19に示
した第6の配線5506が第5の配線5715に接続される。
【0172】
また、
図19に示した第4の配線5504が奇数段目のフリップフロップでは第2の配線
5712に接続され、偶数段目のフリップフロップでは第3の配線5713に接続され、
図19に示した第5の配線5505が第4の配線5714に接続される。
【0173】
ただし、1段目のフリップフロップ5701_1の
図19に示す第1の配線5501は第
1の配線5711に接続され、n段目のフリップフロップ5701_nの
図19に示す第
2の配線5502は第6の配線5716に接続される。
【0174】
なお、第1の配線5711、第2の配線5712、第3の配線5713、第6の配線57
16を、それぞれ第1の信号線、第2の信号線、第3の信号線、第4の信号線と呼んでも
よい。さらに、第4の配線5714、第5の配線5715を、それぞれ第1の電源線、第
2の電源線と呼んでもよい。
【0175】
次に、
図18に示すフリップフロップの詳細について、
図19に示す。
図19に示すフリ
ップフロップは、第1の薄膜トランジスタ5571、第2の薄膜トランジスタ5572、
第3の薄膜トランジスタ5573、第4の薄膜トランジスタ5574、第5の薄膜トラン
ジスタ5575、第6の薄膜トランジスタ5576、第7の薄膜トランジスタ5577及
び第8の薄膜トランジスタ5578を有する。なお、第1の薄膜トランジスタ5571、
第2の薄膜トランジスタ5572、第3の薄膜トランジスタ5573、第4の薄膜トラン
ジスタ5574、第5の薄膜トランジスタ5575、第6の薄膜トランジスタ5576、
第7の薄膜トランジスタ5577及び第8の薄膜トランジスタ5578は、nチャネル型
トランジスタであり、ゲート、ソース間電圧(Vgs)がしきい値電圧(Vth)を上回
ったとき導通状態になるものとする。
【0176】
次に、
図18に示すフリップフロップの接続構成について、以下に示す。
【0177】
第1の薄膜トランジスタ5571の第1の電極(ソース電極またはドレイン電極の一方)
が第4の配線5504に接続され、第1の薄膜トランジスタ5571の第2の電極(ソー
ス電極またはドレイン電極の他方)が第3の配線5503に接続される。
【0178】
第2の薄膜トランジスタ5572の第1の電極が第6の配線5506に接続され、第2の
薄膜トランジスタ5572第2の電極が第3の配線5503に接続される。
【0179】
第3の薄膜トランジスタ5573の第1の電極が第5の配線5505に接続され、第3の
薄膜トランジスタ5573の第2の電極が第2の薄膜トランジスタ5572のゲート電極
に接続され、第3の薄膜トランジスタ5573のゲート電極が第5の配線5505に接続
される。
【0180】
第4の薄膜トランジスタ5574の第1の電極が第6の配線5506に接続され、第4の
薄膜トランジスタ5574の第2の電極が第2の薄膜トランジスタ5572のゲート電極
に接続され、第4の薄膜トランジスタ5574のゲート電極が第1の薄膜トランジスタ5
571のゲート電極に接続される。
【0181】
第5の薄膜トランジスタ5575の第1の電極が第5の配線5505に接続され、第5の
薄膜トランジスタ5575の第2の電極が第1の薄膜トランジスタ5571のゲート電極
に接続され、第5の薄膜トランジスタ5575のゲート電極が第1の配線5501に接続
される。
【0182】
第6の薄膜トランジスタ5576の第1の電極が第6の配線5506に接続され、第6の
薄膜トランジスタ5576の第2の電極が第1の薄膜トランジスタ5571のゲート電極
に接続され、第6の薄膜トランジスタ5576のゲート電極が第2の薄膜トランジスタ5
572のゲート電極に接続される。
【0183】
第7の薄膜トランジスタ5577の第1の電極が第6の配線5506に接続され、第7の
薄膜トランジスタ5577の第2の電極が第1の薄膜トランジスタ5571のゲート電極
に接続され、第7の薄膜トランジスタ5577のゲート電極が第2の配線5502に接続
される。第8の薄膜トランジスタ5578の第1の電極が第6の配線5506に接続され
、第8の薄膜トランジスタ5578の第2の電極が第2の薄膜トランジスタ5572のゲ
ート電極に接続され、第8の薄膜トランジスタ5578のゲート電極が第1の配線550
1に接続される。
【0184】
なお、第1の薄膜トランジスタ5571のゲート電極、第4の薄膜トランジスタ5574
のゲート電極、第5の薄膜トランジスタ5575の第2の電極、第6の薄膜トランジスタ
5576の第2の電極及び第7の薄膜トランジスタ5577の第2の電極の接続箇所をノ
ード5543とする。さらに、第2の薄膜トランジスタ5572のゲート電極、第3の薄
膜トランジスタ5573の第2の電極、第4の薄膜トランジスタ5574の第2の電極、
第6の薄膜トランジスタ5576のゲート電極及び第8の薄膜トランジスタ5578の第
2の電極の接続箇所をノード5544とする。
【0185】
なお、第1の配線5501、第2の配線5502、第3の配線5503及び第4の配線5
504を、それぞれ第1の信号線、第2の信号線、第3の信号線、第4の信号線と呼んで
もよい。さらに、第5の配線5505を第1の電源線、第6の配線5506を第2の電源
線と呼んでもよい。
【0186】
また、信号線駆動回路及び走査線駆動回路を実施の形態1に示すnチャネル型TFTのみ
で作製することも可能である。実施の形態1に示すnチャネル型TFTはトランジスタの
移動度が大きいため、駆動回路の駆動周波数を高くすることが可能となる。また、実施の
形態1に示すnチャネル型TFTはソース領域又はドレイン領域により寄生容量が低減さ
れるため、周波数特性(f特性と呼ばれる)が高い。例えば、実施の形態1に示すnチャ
ネル型TFTを用いた走査線駆動回路は、高速に動作させることができるため、フレーム
周波数を高くすること、または、黒画面挿入を実現することなども実現することができる
。
【0187】
さらに、走査線駆動回路のトランジスタのチャネル幅を大きくすることや、複数の走査線
駆動回路を配置することなどによって、さらに高いフレーム周波数を実現することができ
る。複数の走査線駆動回路を配置する場合は、偶数行の走査線を駆動する為の走査線駆動
回路を片側に配置し、奇数行の走査線を駆動するための走査線駆動回路をその反対側に配
置することにより、フレーム周波数を高くすることを実現することができる。また、複数
の走査線駆動回路により、同じ走査線に信号を出力すると、表示装置の大型化に有利であ
る。
【0188】
また、半導体装置の一例であるアクティブマトリクス型発光表示装置を作製する場合、少
なくとも一つの画素に複数の薄膜トランジスタを配置するため、走査線駆動回路を複数配
置することが好ましい。アクティブマトリクス型発光表示装置のブロック図の一例を
図1
4(B)に示す。
【0189】
図14(B)に示す発光表示装置は、基板5400上に表示素子を備えた画素を複数有す
る画素部5401と、各画素を選択する第1の走査線駆動回路5402及び第2の走査線
駆動回路5404と、選択された画素へのビデオ信号の入力を制御する信号線駆動回路5
403とを有する。
【0190】
図14(B)に示す発光表示装置の画素に入力されるビデオ信号をデジタル形式とする場
合、画素はトランジスタのオンとオフの切り替えによって、発光もしくは非発光の状態と
なる。よって、面積階調法または時間階調法を用いて階調の表示を行うことができる。面
積階調法は、1画素を複数の副画素に分割し、各副画素を独立にビデオ信号に基づいて駆
動させることによって、階調表示を行う駆動法である。また時間階調法は、画素が発光す
る期間を制御することによって、階調表示を行う駆動法である。
【0191】
発光素子は、液晶素子などに比べて応答速度が高いので、液晶素子よりも時間階調法に適
している。具体的に時間階調法で表示を行なう場合、1フレーム期間を複数のサブフレー
ム期間に分割する。そしてビデオ信号に従い、各サブフレーム期間において画素の発光素
子を発光または非発光の状態にする。複数のサブフレーム期間に分割することによって、
1フレーム期間中に画素が実際に発光する期間のトータルの長さを、ビデオ信号により制
御することができ、階調を表示することができる。
【0192】
なお、
図14(B)に示す発光表示装置では、一つの画素に2つのスイッチング用TFT
を配置する場合、一方のスイッチング用TFTのゲート配線である第1の走査線に入力さ
れる信号を第1走査線駆動回路5402で生成し、他方のスイッチング用TFTのゲート
配線である第2の走査線に入力される信号を第2の走査線駆動回路5404で生成してい
る例を示しているが、第1の走査線に入力される信号と、第2の走査線に入力される信号
とを、共に1つの走査線駆動回路で生成するようにしても良い。また、例えば、1つの画
素が有するスイッチング用TFTの数によって、スイッチング素子の動作を制御するのに
用いられる走査線が、各画素に複数設けられることもあり得る。この場合、複数の走査線
に入力される信号を、全て1つの走査線駆動回路で生成しても良いし、複数の各走査線駆
動回路で生成しても良い。
【0193】
また、発光表示装置においても、駆動回路のうち、nチャネル型TFTで構成することが
できる駆動回路の一部を画素部の薄膜トランジスタと同一基板上に形成することができる
。また、信号線駆動回路及び走査線駆動回路を実施の形態1乃至7に示すnチャネル型T
FTのみで作製することも可能である。
【0194】
また、上述した駆動回路は、液晶表示装置や発光表示装置に限らず、スイッチング素子と
電気的に接続する素子を利用して電子インクを駆動させる電子ペーパーに用いてもよい。
電子ペーパーは、電気泳動表示装置(電気泳動ディスプレイ)も呼ばれており、紙と同じ
読みやすさ、他の表示装置に比べ低消費電力、薄くて軽い形状とすることが可能という利
点を有している。
【0195】
電気泳動ディスプレイは、様々な形態が考えられ得るが、プラスの電荷を有する第1の粒
子と、マイナスの電荷を有する第2の粒子とを含むマイクロカプセルが溶媒または溶質に
複数分散されたものであり、マイクロカプセルに電界を印加することによって、マイクロ
カプセル中の粒子を互いに反対方向に移動させて一方側に集合した粒子の色のみを表示す
るものである。なお、第1の粒子または第2の粒子は染料を含み、電界がない場合におい
て移動しないものである。また、第1の粒子の色と第2の粒子の色は異なるもの(無色を
含む)とする。
【0196】
このように、電気泳動ディスプレイは、誘電定数の高い物質が高い電界領域に移動する、
いわゆる誘電泳動的効果を利用したディスプレイである。電気泳動ディスプレイは、液晶
表示装置には必要な偏光板、対向基板も電気泳動表示装置には必要なく、厚さや重さが半
減する。
【0197】
上記マイクロカプセルを溶媒中に分散させたものが電子インクと呼ばれるものであり、こ
の電子インクはガラス、プラスチック、布、紙などの表面に印刷することができる。また
、カラーフィルタや色素を有する粒子を用いることによってカラー表示も可能である。
【0198】
また、アクティブマトリクス基板上に適宜、二つの電極の間に挟まれるように上記マイク
ロカプセルを複数配置すればアクティブマトリクス型の表示装置が完成し、マイクロカプ
セルに電界を印加すれば表示を行うことができる。例えば、チャネル形成領域を有する半
導体層にSiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体層、ソース領域及びドレイン領域
にSiOxを含まないIn-Sn-O系酸化物半導体層を有し、実施の形態1乃至7に従
って形成する薄膜トランジスタによって得られるアクティブマトリクス基板を用いること
ができる。
【0199】
なお、マイクロカプセル中の第1の粒子および第2の粒子は、導電体材料、絶縁体材料、
半導体材料、磁性材料、液晶材料、強誘電性材料、エレクトロルミネセント材料、エレク
トロクロミック材料、磁気泳動材料から選ばれた一種の材料、またはこれらの複合材料を
用いればよい。
【0200】
以上の工程により、半導体装置として信頼性の高い表示装置を作製することができる。
【0201】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能
である。
【0202】
(実施の形態9)
薄膜トランジスタを作製し、該薄膜トランジスタを画素部、さらには駆動回路に用いて表
示機能を有する半導体装置(表示装置ともいう)を作製することができる。また、薄膜ト
ランジスタを駆動回路の一部または全体を、画素部と同じ基板上に一体形成し、システム
オンパネルを形成することができる。
【0203】
表示装置は表示素子を含む。表示素子としては液晶素子(液晶表示素子ともいう)、発光
素子(発光表示素子ともいう)を用いることができる。発光素子は、電流または電圧によ
って輝度が制御される素子をその範疇に含んでおり、具体的には無機EL(Electr
o Luminescence)、有機EL等が含まれる。また、電子インクなど、電気
的作用によりコントラストが変化する表示媒体も適用することができる。
【0204】
また、表示装置は、表示素子が封止された状態にあるパネルと、該パネルにコントローラ
を含むIC等を実装した状態にあるモジュールとを含む。さらに、該表示装置を作製する
過程における、表示素子が完成する前の一形態に相当する素子基板に関し、該素子基板は
、電流を表示素子に供給するための手段を複数の各画素に備える。
【0205】
なお、本明細書中における表示装置とは、画像表示デバイス、表示デバイス、もしくは光
源(照明装置含む)を指す。また、コネクター、例えばFPC(Flexible pr
inted circuit)もしくはTAB(Tape Automated Bon
ding)テープもしくはTCP(Tape Carrier Package)が取り
付けられたモジュール、TABテープやTCPの先にプリント配線板が設けられたモジュ
ール、または表示素子にCOG(Chip On Glass)方式によりIC(集積回
路)が直接実装されたモジュールも全て表示装置に含むものとする。
【0206】
半導体装置の一形態に相当する液晶表示パネルの外観及び断面について、
図22を用いて
説明する。
図22は、第1の基板4001上に形成された実施の形態1で示したチャネル
形成領域を有する半導体層にSiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体層、ソース領
域及びドレイン領域にSiOxを含まないIn-Sn-O系酸化物半導体層を含む薄膜ト
ランジスタ4010、4011、及び液晶素子4013を、第2の基板4006との間に
シール材4005によって封止した、パネルの平面図であり、
図22(B)は、
図22(
A1)(A2)のM-Nにおける断面図に相当する。
【0207】
第1の基板4001上に設けられた画素部4002と、走査線駆動回路4004とを囲む
ようにして、シール材4005が設けられている。また画素部4002と、走査線駆動回
路4004の上に第2の基板4006が設けられている。よって画素部4002と、走査
線駆動回路4004とは、第1の基板4001とシール材4005と第2の基板4006
とによって、液晶層4008と共に封止されている。また第1の基板4001上のシール
材4005によって囲まれている領域とは異なる領域に、別途用意された基板上に単結晶
半導体膜又は多結晶半導体膜で形成された信号線駆動回路4003が実装されている。
【0208】
なお、別途形成した駆動回路の接続方法は、特に限定されるものではなく、COG方法、
ワイヤボンディング方法、或いはTAB方法などを用いることができる。
図22(A1)
は、COG方法により信号線駆動回路4003を実装する例であり、
図22(A2)は、
TAB方法により信号線駆動回路4003を実装する例である。
【0209】
また第1の基板4001上に設けられた画素部4002と、走査線駆動回路4004は、
薄膜トランジスタを複数有しており、
図22(B)では、画素部4002に含まれる薄膜
トランジスタ4010と、走査線駆動回路4004に含まれる薄膜トランジスタ4011
とを例示している。
【0210】
薄膜トランジスタ4010、4011は、チャネル形成領域を有する半導体層にSiOx
を含むIn-Sn-O系酸化物半導体層、ソース領域及びドレイン領域にSiOxを含ま
ないIn-Sn-O系酸化物半導体層を含む実施の形態1に示す薄膜トランジスタを適用
することができる。また実施の形態2乃至7に示す薄膜トランジスタを適用してもよい。
本実施の形態において、薄膜トランジスタ4010、4011はnチャネル型薄膜トラン
ジスタである。
【0211】
また、液晶素子4013が有する画素電極層として機能するSiOxを含まないIn-S
n-O系酸化物半導体層4030は、薄膜トランジスタ4010のソース領域又はドレイ
ン領域も兼ねており、薄膜トランジスタ4010と液晶素子4013とを電気的に接続し
ている。そして液晶素子4013の対向電極層4031は第2の基板4006上に形成さ
れている。SiOxを含まないIn-Sn-O系酸化物半導体層4030と対向電極層4
031と液晶層4008とが重なっている部分が、液晶素子4013に相当する。なお、
SiOxを含まないIn-Sn-O系酸化物半導体層4030、対向電極層4031はそ
れぞれ配向膜として機能する絶縁層4032、4033が設けられ、絶縁層4032、4
033を介して液晶層4008を挟持している。
【0212】
なお、第1の基板4001、第2の基板4006としては、ガラス、金属(代表的にはス
テンレス)、セラミックス、プラスチックを用いることができる。プラスチックとしては
、FRP(Fiberglass-Reinforced Plastics)板、PV
F(ポリビニルフルオライド)フィルム、ポリエステルフィルムまたはアクリル樹脂フィ
ルムを用いることができる。また、アルミニウムホイルをPVFフィルムやポリエステル
フィルムで挟んだ構造のシートを用いることもできる。
【0213】
また4035は絶縁膜を選択的にエッチングすることで得られる柱状のスペーサであり、
SiOxを含まないIn-Sn-O系酸化物半導体層4030と対向電極層4031との
間の距離(セルギャップ)を制御するために設けられている。なお球状のスペーサを用い
ていても良い。また、対向電極層4031は、薄膜トランジスタ4010と同一基板上に
設けられる共通電位線と電気的に接続される。共通接続部を用いて、一対の基板間に配置
される導電性粒子を介して対向電極層4031と共通電位線とを電気的に接続することが
できる。なお、導電性粒子はシール材4005に含有させる。
【0214】
また、配向膜を用いないブルー相を示す液晶を用いてもよい。ブルー相は液晶相の一つで
あり、コレステリック液晶を昇温していくと、コレステリック相から等方相へ転移する直
前に発現する相である。ブルー相は狭い温度範囲でしか発現しないため、温度範囲を改善
するために5重量%以上のカイラル剤を混合させた液晶組成物を用いて液晶層4008に
用いる。ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、応答速度が10μs~
100μsと短く、光学的等方性であるため配向処理が不要であり、視野角依存性が小さ
い。
【0215】
なお透過型液晶表示装置の他に、反射型液晶表示装置でも半透過型液晶表示装置でも適用
できる。
【0216】
また、液晶表示装置では、基板の外側(視認側)に偏光板を設け、内側に着色層、表示素
子に用いる電極層という順に設ける例を示すが、偏光板は基板の内側に設けてもよい。ま
た、偏光板と着色層の積層構造も本実施の形態に限定されず、偏光板及び着色層の材料や
作製工程条件によって適宜設定すればよい。また、ブラックマトリクスとして機能する遮
光膜を設けてもよい。
【0217】
また、薄膜トランジスタの表面凹凸を低減するため、及び薄膜トランジスタの信頼性を向
上させるため、薄膜トランジスタ上に平坦化絶縁膜や保護膜として機能する絶縁層を形成
してもよい。なお、保護膜は、大気中に浮遊する有機物や金属物、水蒸気などの汚染不純
物の侵入を防ぐためのものであり、緻密な膜が好ましい。保護膜は、スパッタ法を用いて
、酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、酸化アルミニウム膜、窒
化アルミニウム膜、酸化窒化アルミニウム膜、又は窒化酸化アルミニウム膜の単層、又は
積層で形成すればよい。保護膜をスパッタ法で形成する例を示すが、特に限定されず種々
の方法で形成すればよい。
【0218】
ここでは、保護膜として積層構造の絶縁層4020を形成する。ここでは、絶縁層402
0の一層目として、スパッタ法を用いて酸化珪素膜を形成する。保護膜として酸化珪素膜
を用いると、ソース電極層及びドレイン電極層として用いるアルミニウム膜のヒロック防
止に効果がある。
【0219】
また、保護膜の二層目として絶縁層を形成する。ここでは、絶縁層4020の二層目とし
て、スパッタ法を用いて窒化珪素膜を形成する。保護膜として窒化珪素膜を用いると、ナ
トリウム等の可動イオンが半導体領域中に侵入して、TFTの電気特性を変化させること
を抑制することができる。
【0220】
平坦化絶縁膜としては、ポリイミド、アクリル、ベンゾシクロブテン、ポリアミド、エポ
キシ等の有機材料を用いることができる。また上記有機材料の他に、低誘電率材料(lo
w-k材料)、シロキサン系樹脂、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス
)等を用いることができる。
【0221】
なおシロキサン系樹脂とは、シロキサン系材料を出発材料として形成されたSi-O-S
i結合を含む樹脂に相当する。シロキサン系樹脂は置換基としては有機基(例えばアルキ
ル基やアリール基)やフルオロ基を用いても良い。また、有機基はフルオロ基を有してい
ても良い。
【0222】
平坦化絶縁膜の形成法は、特に限定されず、その材料に応じて、スパッタ法、SOG法、
スピンコート、ディップ、スプレー塗布、液滴吐出法(インクジェット法、スクリーン印
刷、オフセット印刷等)、ドクターナイフ、ロールコーター、カーテンコーター、ナイフ
コーター等を用いることができる。
【0223】
対向電極層4031は、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを
含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むイン
ジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物(以下、ITOと示す。)、インジウム亜鉛酸化物
、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの透光性を有する導電性材料を用いるこ
とができる。
【0224】
また、対向電極層4031として、導電性高分子(導電性ポリマーともいう)を含む導電
性組成物を用いて形成することができる。導電性組成物を用いて形成した画素電極は、シ
ート抵抗が10000Ω/□以下、波長550nmにおける透光率が70%以上であるこ
とが好ましい。また、導電性組成物に含まれる導電性高分子の抵抗率が0.1Ω・cm以
下であることが好ましい。
【0225】
導電性高分子としては、いわゆるπ電子共役系導電性高分子が用いることができる。例え
ば、ポリアニリンまたはその誘導体、ポリピロールまたはその誘導体、ポリチオフェンま
たはその誘導体、若しくはこれらの2種以上の共重合体などがあげられる。
【0226】
また別途形成された信号線駆動回路4003と、走査線駆動回路4004または画素部4
002に与えられる各種信号及び電位は、FPC4018から供給されている。
【0227】
端子電極4016は、薄膜トランジスタ4010、4011のソース配線層と同じ導電膜
で形成されている。
【0228】
端子電極4016は、FPC4018が有する端子と、異方性導電膜4019を介して電
気的に接続されている。
【0229】
また
図22においては、信号線駆動回路4003を別途形成し、第1の基板4001に実
装している例を示しているがこの構成に限定されない。走査線駆動回路を別途形成して実
装しても良いし、信号線駆動回路の一部または走査線駆動回路の一部のみを別途形成して
実装しても良い。
【0230】
図23は、本明細書に開示する作製方法により作製されるTFT基板2600を用いて半
導体装置として液晶表示モジュールを構成する一例を示している。
【0231】
図23は液晶表示モジュールの一例であり、TFT基板2600と対向基板2601がシ
ール材2602により固着され、その間にTFT等を含む画素部2603、液晶層を含む
表示素子2604、着色層2605が設けられ表示領域を形成している。着色層2605
はカラー表示を行う場合に必要であり、RGB方式の場合は、赤、緑、青の各色に対応し
た着色層が各画素に対応して設けられている。TFT基板2600と対向基板2601の
外側には偏光板2606、偏光板2607、拡散板2613が配設されている。光源は冷
陰極管2610と反射板2611により構成され、回路基板2612は、フレキシブル配
線基板2609によりTFT基板2600の配線回路部2608と接続され、コントロー
ル回路や電源回路などの外部回路が組みこまれている。また偏光板と、液晶層との間に位
相差板を有した状態で積層してもよい。
【0232】
液晶表示モジュールには、TN(Twisted Nematic)モード、IPS(I
n-Plane-Switching)モード、FFS(Fringe Field S
witching)モード、MVA(Multi-domain Vertical A
lignment)モード、PVA(Patterned Vertical Alig
nment)モード、ASM(Axially Symmetric aligned
Micro-cell)モード、OCB(Optical Compensated B
irefringence)モード、FLC(Ferroelectric Liqui
d Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liq
uid Crystal)などを用いることができる。
【0233】
以上の工程により、半導体装置として信頼性の高い液晶表示パネルを作製することができ
る。
【0234】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能
である。
【0235】
(実施の形態10)
半導体装置として電子ペーパーの例を示す。
【0236】
図30は、半導体装置の例としてアクティブマトリクス型の電子ペーパーを示す。半導体
装置に用いられる薄膜トランジスタ581としては、実施の形態1で示す薄膜トランジス
タと同様に作製でき、チャネル形成領域を有する半導体層にSiOxを含むIn-Sn-
O系酸化物半導体層、ソース領域及びドレイン領域にSiOxを含まないIn-Sn-O
系酸化物半導体層を含む薄膜トランジスタである。また、実施の形態2乃至7で示す薄膜
トランジスタも本実施の薄膜トランジスタ581として適用することもできる。
【0237】
図30の電子ペーパーは、ツイストボール表示方式を用いた表示装置の例である。ツイス
トボール表示方式とは、白と黒に塗り分けられた球形粒子を表示素子に用いる電極層間に
配置し、電極層間に電位差を生じさせての球形粒子の向きを制御することにより、表示を
行う方法である。
【0238】
基板580上に設けられた薄膜トランジスタ581はボトムゲート構造の薄膜トランジス
タであり、ソース領域又はドレイン領域と画素電極層とを兼ねるSiOxを含まないIn
-Sn-O系酸化物半導体層587と、絶縁層585に形成する開口において接しており
、電気的に接続している。SiOxを含まないIn-Sn-O系酸化物半導体層587と
電極層588との間には黒色領域590a及び白色領域590bを有し、周りに液体で満
たされているキャビティ594を含む球形粒子589が設けられており、球形粒子589
の周囲は樹脂等の充填材595で充填されている(
図30参照。)。電極層588が共通
電極(対向電極)に相当する。電極層588は、薄膜トランジスタ581と同一基板上に
設けられる共通電位線と電気的に接続される。共通接続部を用いて、一対の基板間に配置
される導電性粒子を介して電極層588と共通電位線とを電気的に接続することができる
。
【0239】
また、ツイストボールの代わりに、電気泳動素子を用いることも可能である。透明な液体
と、正に帯電した白い微粒子と負に帯電した黒い微粒子とを封入した直径10μm~20
0μm程度のマイクロカプセルを用いる。画素電極層と共通電極層との間に設けられるマ
イクロカプセルは、画素電極層と共通電極層によって、電場が与えられると、白い微粒子
と、黒い微粒子が逆の方向に移動し、白または黒を表示することができる。この原理を応
用した表示素子が電気泳動表示素子であり、一般的に電子ペーパーとよばれている。電気
泳動表示素子は、液晶表示素子に比べて反射率が高いため、補助ライトは不要であり、ま
た消費電力が小さく、薄暗い場所でも表示部を認識することが可能である。また、表示部
に電源が供給されない場合であっても、一度表示した像を保持することが可能であるため
、電波発信源から表示機能付き半導体装置(単に表示装置、又は表示装置を具備する半導
体装置ともいう)を遠ざけた場合であっても、表示された像を保存しておくことが可能と
なる。
【0240】
以上の工程により、半導体装置として信頼性の高い電子ペーパーを作製することができる
。
【0241】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能
である。
【0242】
(実施の形態11)
半導体装置として発光表示装置の例を示す。表示装置の有する表示素子としては、ここで
はエレクトロルミネッセンスを利用する発光素子を用いて示す。エレクトロルミネッセン
スを利用する発光素子は、発光材料が有機化合物であるか、無機化合物であるかによって
区別され、一般的に、前者は有機EL素子、後者は無機EL素子と呼ばれている。
【0243】
有機EL素子は、発光素子に電圧を印加することにより、一対の電極から電子および正孔
がそれぞれ発光性の有機化合物を含む層に注入され、電流が流れる。そして、それらキャ
リア(電子および正孔)が再結合することにより、発光性の有機化合物が励起状態を形成
し、その励起状態が基底状態に戻る際に発光する。このようなメカニズムから、このよう
な発光素子は、電流励起型の発光素子と呼ばれる。
【0244】
無機EL素子は、その素子構成により、分散型無機EL素子と薄膜型無機EL素子とに分
類される。分散型無機EL素子は、発光材料の粒子をバインダ中に分散させた発光層を有
するものであり、発光メカニズムはドナー準位とアクセプター準位を利用するドナー-ア
クセプター再結合型発光である。薄膜型無機EL素子は、発光層を誘電体層で挟み込み、
さらにそれを電極で挟んだ構造であり、発光メカニズムは金属イオンの内殻電子遷移を利
用する局在型発光である。なお、ここでは、発光素子として有機EL素子を用いて説明す
る。
【0245】
図20は、半導体装置の例としてデジタル時間階調駆動を適用可能な画素構成の一例を示
す図である。
【0246】
デジタル時間階調駆動を適用可能な画素の構成及び画素の動作について説明する。ここで
はSiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体層をチャネル形成領域に用いるnチャネ
ル型のトランジスタを1つの画素に2つ用いる例を示す。
【0247】
画素6400は、スイッチング用トランジスタ6401、駆動用トランジスタ6402、
発光素子6404及び容量素子6403を有している。スイッチング用トランジスタ64
01はゲートが走査線6406に接続され、第1電極(ソース電極及びドレイン電極の一
方)が信号線6405に接続され、第2電極(ソース電極及びドレイン電極の他方)が駆
動用トランジスタ6402のゲートに接続されている。駆動用トランジスタ6402は、
ゲートが容量素子6403を介して電源線6407に接続され、第1電極が電源線640
7に接続され、第2電極が発光素子6404の第1電極(画素電極)に接続されている。
発光素子6404の第2電極は共通電極6408に相当する。共通電極6408は、同一
基板上に形成される共通電位線と電気的に接続される。
【0248】
なお、発光素子6404の第2電極(共通電極6408)には低電源電位が設定されてい
る。なお、低電源電位とは、電源線6407に設定される高電源電位を基準にして低電源
電位<高電源電位を満たす電位であり、低電源電位としては例えばGND、0Vなどが設
定されていても良い。この高電源電位と低電源電位との電位差を発光素子6404に印加
して、発光素子6404に電流を流して発光素子6404を発光させるため、高電源電位
と低電源電位との電位差が発光素子6404の順方向しきい値電圧以上となるようにそれ
ぞれの電位を設定する。
【0249】
なお、容量素子6403は駆動用トランジスタ6402のゲート容量を代用して省略する
ことも可能である。駆動用トランジスタ6402のゲート容量については、チャネル領域
とゲート電極との間で容量が形成されていてもよい。
【0250】
ここで、電圧入力電圧駆動方式の場合には、駆動用トランジスタ6402のゲートには、
駆動用トランジスタ6402が十分にオンするか、オフするかの二つの状態となるような
ビデオ信号を入力する。つまり、駆動用トランジスタ6402は線形領域で動作させる。
駆動用トランジスタ6402は線形領域で動作させるため、電源線6407の電圧よりも
高い電圧を駆動用トランジスタ6402のゲートにかける。なお、信号線6405には、
(電源線電圧+駆動用トランジスタ6402のVth)以上の電圧をかける。
【0251】
また、デジタル時間階調駆動に代えて、アナログ階調駆動を行う場合、信号の入力を異な
らせることで、
図20と同じ画素構成を用いることができる。
【0252】
アナログ階調駆動を行う場合、駆動用トランジスタ6402のゲートに発光素子6404
の順方向電圧+駆動用トランジスタ6402のVth以上の電圧をかける。発光素子64
04の順方向電圧とは、所望の輝度とする場合の電圧を指しており、少なくとも順方向し
きい値電圧を含む。なお、駆動用トランジスタ6402が飽和領域で動作するようなビデ
オ信号を入力することで、発光素子6404に電流を流すことができる。駆動用トランジ
スタ6402を飽和領域で動作させるため、電源線6407の電位は、駆動用トランジス
タ6402のゲート電位よりも高くする。ビデオ信号をアナログとすることで、発光素子
6404にビデオ信号に応じた電流を流し、アナログ階調駆動を行うことができる。
【0253】
なお、
図20に示す画素構成は、これに限定されない。例えば、
図20に示す画素に新た
にスイッチ、抵抗素子、容量素子、トランジスタ又は論理回路などを追加してもよい。
【0254】
次に、発光素子の構成について、
図21を用いて説明する。ここでは、駆動用TFTがn
型の場合を例に挙げて、画素の断面構造について説明する。
図21(A)(B)(C)の
半導体装置に用いられる駆動用TFTであるTFT7001、7011、7021は、実
施の形態1で示す薄膜トランジスタと同様に作製でき、チャネル形成領域を有する半導体
層にSiOxを含むIn-Sn-O系酸化物半導体層、ソース領域及びドレイン領域にS
iOxを含まないIn-Sn-O系酸化物半導体層を含む薄膜トランジスタである。また
、実施の形態2乃至7で示す薄膜トランジスタをTFT7001、7011、7021と
して適用することもできる。
【0255】
発光素子は発光を取り出すために少なくとも陽極又は陰極の一方が透明であればよい。そ
して、基板上に薄膜トランジスタ及び発光素子を形成し、基板とは逆側の面から発光を取
り出す上面射出や、基板側の面から発光を取り出す下面射出や、基板側及び基板とは反対
側の面から発光を取り出す両面射出構造の発光素子があり、画素構成はどの射出構造の発
光素子にも適用することができる。
【0256】
上面射出構造の発光素子について
図21(A)を用いて説明する。
【0257】
図21(A)に、駆動用TFTであるTFT7001がn型で、発光素子7002から発
せられる光が陽極7005側に抜ける場合の、画素の断面図を示す。
図21(A)では、
発光素子7002の陰極7003と駆動用TFTであるTFT7001が電気的に接続さ
れており、反射膜7006上に陰極7003、発光層7004、陽極7005が順に積層
されている。SiOxを含まないIn-Sn-O系酸化物半導体膜である陰極7003は
TFT7001のソース領域又はドレイン領域と画素電極層とを兼ねており、発光素子7
002の電極として機能する。反射膜7006は光を反射する膜であれば様々の材料を用
いることができる。例えば、Ca、Al、CaF、MgAg、AlLi等があげられる。
そして発光層7004は、単数の層で構成されていても、複数の層が積層されるように構
成されていてもどちらでも良い。複数の層で構成されている場合、SiOxを含まないI
n-Sn-O系酸化物半導体膜である陰極7003上に電子注入層、電子輸送層、発光層
、ホール輸送層、ホール注入層の順に積層する。なおこれらの層を全て設ける必要はない
。陽極7005は光を透過する透光性を有する導電性材料を用いて形成し、例えば酸化タ
ングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸
化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム錫
酸化物(以下、ITOと示す。)、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジ
ウム錫酸化物などの透光性を有する導電性導電膜を用いても良い。
【0258】
陰極7003及び陽極7005で発光層7004を挟んでいる領域が発光素子7002に
相当する。
図21(A)に示した画素の場合、発光素子7002から発せられる光は、矢
印で示すように陽極7005側に射出する。
【0259】
次に、下面射出構造の発光素子について
図21(B)を用いて説明する。駆動用TFT7
011がn型で、発光素子7012から発せられる光が陰極7013側に射出する場合の
、画素の断面図を示す。
図21(B)では、駆動用TFT7011と電気的に接続された
透光性を有するSiOxを含まないIn-Sn-O系酸化物半導体膜である陰極7013
上に、発光素子7012の発光層7014、陽極7015が順に積層されている。SiO
xを含まないIn-Sn-O系酸化物半導体膜である陰極7013は駆動用TFT701
1のソース領域又はドレイン領域と画素電極層とを兼ねており、発光素子7012の電極
として機能する。なお、陽極7015が透光性を有する場合、陽極上を覆うように、光を
反射または遮蔽するための遮蔽膜7016が成膜されていてもよい。陰極7013は、図
21(A)の場合と同様に、SiOxを含まないIn-Sn-O系酸化物半導体材料を用
いることができる。そして発光層7014は、
図21(A)と同様に、単数の層で構成さ
れていても、複数の層が積層されるように構成されていてもどちらでも良い。陽極701
5は光を透過する必要はないが、
図21(A)と同様に、透光性を有する導電性材料を用
いて形成することができる。そして遮蔽膜7016は、例えば光を反射する金属等を用い
ることができるが、金属膜に限定されない。例えば黒の顔料を添加した樹脂等を用いるこ
ともできる。
【0260】
陰極7013及び陽極7015で、発光層7014を挟んでいる領域が発光素子7012
に相当する。
図21(B)に示した画素の場合、発光素子7012から発せられる光は、
矢印で示すように陰極7013側に射出する。
【0261】
次に、両面射出構造の発光素子について、
図21(C)を用いて説明する。
図21(C)
では、駆動用TFT7021と電気的に接続された透光性を有するSiOxを含まないI
n-Sn-O系酸化物半導体膜である陰極7023上に発光層7024、陽極7025が
順に積層されている。陰極7023は、
図21(A)の場合と同様に、SiOxを含まな
いIn-Sn-O系酸化物半導体材料を用いることができる。SiOxを含まないIn-
Sn-O系酸化物半導体膜である陰極7023は駆動用TFT7021のソース領域又は
ドレイン領域と画素電極層とを兼ねており、発光素子7022の電極として機能する。そ
して発光層7024は、
図21(A)と同様に、単数の層で構成されていても、複数の層
が積層されるように構成されていてもどちらでも良い。陽極7025は、
図21(A)と
同様に、光を透過する透光性を有する導電性材料を用いて形成することができる。
【0262】
陰極7023と、発光層7024と、陽極7025とが重なっている部分が発光素子70
22に相当する。
図21(C)に示した画素の場合、発光素子7022から発せられる光
は、矢印で示すように陽極7025側と陰極7023側の両方に射出する。
【0263】
なお、ここでは、発光素子として有機EL素子について述べたが、発光素子として無機E
L素子を設けることも可能である。
【0264】
なお、発光素子の駆動を制御する薄膜トランジスタ(駆動用TFT)と発光素子が電気的
に接続されている例を示したが、駆動用TFTと発光素子との間に電流制御用TFTが接
続されている構成であってもよい。
【0265】
なお半導体装置は、
図21に示した構成に限定されるものではなく、本明細書に開示する
技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0266】
次に、半導体装置の一形態に相当する発光表示パネル(発光パネルともいう)の外観及び
断面について、
図24を用いて説明する。
図24は、第1の基板上に形成された薄膜トラ
ンジスタ及び発光素子を、第2の基板との間にシール材によって封止した、パネルの平面
図であり、
図24(B)は、
図24(A)のH-Iにおける断面図に相当する。
【0267】
第1の基板4501上に設けられた画素部4502、信号線駆動回路4503a、450
3b、及び走査線駆動回路4504a、4504bを囲むようにして、シール材4505
が設けられている。また画素部4502、信号線駆動回路4503a、4503b、及び
走査線駆動回路4504a、4504bの上に第2の基板4506が設けられている。よ
って画素部4502、信号線駆動回路4503a、4503b、及び走査線駆動回路45
04a、4504bは、第1の基板4501とシール材4505と第2の基板4506と
によって、充填材4507と共に密封されている。このように外気に曝されないように気
密性が高く、脱ガスの少ない保護フィルム(貼り合わせフィルム、紫外線硬化樹脂フィル
ム等)やカバー材でパッケージング(封入)することが好ましい。
【0268】
また第1の基板4501上に設けられた画素部4502、信号線駆動回路4503a、4
503b、及び走査線駆動回路4504a、4504bは、薄膜トランジスタを複数有し
ており、
図24(B)では、画素部4502に含まれる薄膜トランジスタ4510と、信
号線駆動回路4503aに含まれる薄膜トランジスタ4509とを例示している。
【0269】
薄膜トランジスタ4509、4510は、チャネル形成領域を有する半導体層にSiOx
を含むIn-Sn-O系酸化物半導体層、ソース領域及びドレイン領域にSiOxを含ま
ないIn-Sn-O系酸化物半導体層を含む実施の形態1に示す薄膜トランジスタを適用
することができる。また実施の形態2乃至7に示す薄膜トランジスタを適用してもよい。
薄膜トランジスタ4509、4510はnチャネル型薄膜トランジスタである。
【0270】
また4511は発光素子に相当し、発光素子4511が有する画素電極であるSiOxを
含まないIn-Sn-O系酸化物半導体層4517は、薄膜トランジスタ4510のソー
ス領域又はドレイン領域も兼ねており、薄膜トランジスタ4510の半導体層と発光素子
4511とを電気的に接続している。なお発光素子4511の構成は、SiOxを含まな
いIn-Sn-O系酸化物半導体層4517、電界発光層4512、電極層4513の積
層構造であるが、示した構成に限定されない。発光素子4511から取り出す光の方向な
どに合わせて、発光素子4511の構成は適宜変えることができる。
【0271】
隔壁4520は、有機樹脂膜、無機絶縁膜または有機ポリシロキサンを用いて形成する。
特に感光性の材料を用い、SiOxを含まないIn-Sn-O系酸化物半導体層4517
上に開口部を形成し、その開口部の側壁が連続した曲率を持って形成される傾斜面となる
ように形成することが好ましい。
【0272】
電界発光層4512は、単数の層で構成されていても、複数の層が積層されるように構成
されていてもどちらでも良い。
【0273】
発光素子4511に酸素、水素、水分、二酸化炭素等が侵入しないように、電極層451
3及び隔壁4520上に保護膜を形成してもよい。保護膜としては、窒化珪素膜、窒化酸
化珪素膜、DLC膜等を形成することができる。
【0274】
また、信号線駆動回路4503a、4503b、走査線駆動回路4504a、4504b
、または画素部4502に与えられる各種信号及び電位は、FPC4518a、4518
bから供給されている。
【0275】
端子電極4516は、薄膜トランジスタ4509、4510においてと電気的に接続する
ソース配線層と同じ導電膜から形成されている。
【0276】
端子電極4516は、FPC4518aが有する端子と、異方性導電膜4519を介して
電気的に接続されている。
【0277】
発光素子4511からの光の取り出し方向に位置する基板である場合には、第1の基板4
501、第2の基板4506は透光性でなければならない。その場合には、ガラス板、プ
ラスチック板、ポリエステルフィルムまたはアクリルフィルムのような透光性を有する材
料を用いる。
【0278】
また、充填材4507としては窒素やアルゴンなどの不活性な気体の他に、紫外線硬化樹
脂または熱硬化樹脂を用いることができ、PVC(ポリビニルクロライド)、アクリル、
ポリイミド、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)またはEV
A(エチレンビニルアセテート)を用いることができる。例えば充填材として窒素を用い
ればよい。
【0279】
また、必要であれば、発光素子の射出面に偏光板、又は円偏光板(楕円偏光板を含む)、
位相差板(λ/4板、λ/2板)、カラーフィルタなどの光学フィルムを適宜設けてもよ
い。また、偏光板又は円偏光板に反射防止膜を設けてもよい。例えば、表面の凹凸により
反射光を拡散し、映り込みを低減できるアンチグレア処理を施すことができる。
【0280】
信号線駆動回路4503a、4503b、及び走査線駆動回路4504a、4504bは
、別途用意された基板上に単結晶半導体膜又は多結晶半導体膜によって形成された駆動回
路で実装されていてもよい。また、信号線駆動回路のみ、或いは一部、又は走査線駆動回
路のみ、或いは一部のみを別途形成して実装しても良く、
図24の構成に限定されない。
【0281】
以上の工程により、半導体装置として信頼性の高い発光表示装置(表示パネル)を作製す
ることができる。
【0282】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能
である。
【0283】
(実施の形態12)
本明細書に開示する半導体装置は、電子ペーパーとして適用することができる。電子ペー
パーは、情報を表示するものであればあらゆる分野の電子機器に用いることが可能である
。例えば、電子ペーパーを用いて、電子書籍(電子ブック)、ポスター、電車などの乗り
物の車内広告、クレジットカード等の各種カードにおける表示等に適用することができる
。電子機器の一例を
図25、
図26に示す。
【0284】
図25(A)は、電子ペーパーで作られたポスター2631を示している。広告媒体が紙
の印刷物である場合には、広告の交換は人手によって行われるが、本明細書に開示する電
子ペーパーを用いれば短時間で広告の表示を変えることができる。また、表示も崩れるこ
となく安定した画像が得られる。なお、ポスターは無線で情報を送受信できる構成として
もよい。
【0285】
また、
図25(B)は、電車などの乗り物の車内広告2632を示している。広告媒体が
紙の印刷物である場合には、広告の交換は人手によって行われるが、本明細書に開示する
電子ペーパーを用いれば人手を多くかけることなく短時間で広告の表示を変えることがで
きる。また表示も崩れることなく安定した画像が得られる。なお、広告は無線で情報を送
受信できる構成としてもよい。
【0286】
また、
図26は、電子書籍2700の一例を示している。例えば、電子書籍2700は、
筐体2701および筐体2703の2つの筐体で構成されている。筐体2701および筐
体2703は、軸部2711により一体とされており、該軸部2711を軸として開閉動
作を行うことができる。このような構成により、紙の書籍のような動作を行うことが可能
となる。
【0287】
筐体2701には表示部2705が組み込まれ、筐体2703には表示部2707が組み
込まれている。表示部2705および表示部2707は、続き画面を表示する構成として
もよいし、異なる画面を表示する構成としてもよい。異なる画面を表示する構成とするこ
とで、例えば右側の表示部(
図26では表示部2705)に文章を表示し、左側の表示部
(
図26では表示部2707)に画像を表示することができる。
【0288】
また、
図26では、筐体2701に操作部などを備えた例を示している。例えば、筐体2
701において、電源2721、操作キー2723、スピーカ2725などを備えている
。操作キー2723により、頁を送ることができる。なお、筐体の表示部と同一面にキー
ボードやポインティングディバイスなどを備える構成としてもよい。また、筐体の裏面や
側面に、外部接続用端子(イヤホン端子、USB端子、またはACアダプタおよびUSB
ケーブルなどの各種ケーブルと接続可能な端子など)、記録媒体挿入部などを備える構成
としてもよい。さらに、電子書籍2700は、電子辞書としての機能を持たせた構成とし
てもよい。
【0289】
また、電子書籍2700は、無線で情報を送受信できる構成としてもよい。無線により、
電子書籍サーバから、所望の書籍データなどを購入し、ダウンロードする構成とすること
も可能である。
【0290】
(実施の形態13)
本明細書に開示する半導体装置は、さまざまな電子機器(遊技機も含む)に適用すること
ができる。電子機器としては、例えば、テレビジョン装置(テレビ、またはテレビジョン
受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメ
ラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型
ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられ
る。
【0291】
図27(A)は、テレビジョン装置9600の一例を示している。テレビジョン装置96
00は、筐体9601に表示部9603が組み込まれている。表示部9603により、映
像を表示することが可能である。また、ここでは、スタンド9605により筐体9601
を支持した構成を示している。
【0292】
テレビジョン装置9600の操作は、筐体9601が備える操作スイッチや、別体のリモ
コン操作機9610により行うことができる。リモコン操作機9610が備える操作キー
9609により、チャンネルや音量の操作を行うことができ、表示部9603に表示され
る映像を操作することができる。また、リモコン操作機9610に、当該リモコン操作機
9610から出力する情報を表示する表示部9607を設ける構成としてもよい。
【0293】
なお、テレビジョン装置9600は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機に
より一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線または無線に
よる通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向
(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
【0294】
図27(B)は、デジタルフォトフレーム9700の一例を示している。例えば、デジタ
ルフォトフレーム9700は、筐体9701に表示部9703が組み込まれている。表示
部9703は、各種画像を表示することが可能であり、例えばデジタルカメラなどで撮影
した画像データを表示させることで、通常の写真立てと同様に機能させることができる。
【0295】
なお、デジタルフォトフレーム9700は、操作部、外部接続用端子(USB端子、US
Bケーブルなどの各種ケーブルと接続可能な端子など)、記録媒体挿入部などを備える構
成とする。これらの構成は、表示部と同一面に組み込まれていてもよいが、側面や裏面に
備えるとデザイン性が向上するため好ましい。例えば、デジタルフォトフレームの記録媒
体挿入部に、デジタルカメラで撮影した画像データを記憶したメモリを挿入して画像デー
タを取り込み、取り込んだ画像データを表示部9703に表示させることができる。
【0296】
また、デジタルフォトフレーム9700は、無線で情報を送受信できる構成としてもよい
。無線により、所望の画像データを取り込み、表示させる構成とすることもできる。
【0297】
図28(A)は携帯型遊技機であり、筐体9881と筐体9891の2つの筐体で構成さ
れており、連結部9893により、開閉可能に連結されている。筐体9881には表示部
9882が組み込まれ、筐体9891には表示部9883が組み込まれている。また、図
28(A)に示す携帯型遊技機は、その他、スピーカ部9884、記録媒体挿入部988
6、LEDランプ9890、入力手段(操作キー9885、接続端子9887、センサ9
888(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、
化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振
動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン9889)等を備え
ている。もちろん、携帯型遊技機の構成は上述のものに限定されず、少なくとも本明細書
に開示する半導体装置を備えた構成であればよく、その他付属設備が適宜設けられた構成
とすることができる。
図28(A)に示す携帯型遊技機は、記録媒体に記録されているプ
ログラム又はデータを読み出して表示部に表示する機能や、他の携帯型遊技機と無線通信
を行って情報を共有する機能を有する。なお、
図28(A)に示す携帯型遊技機が有する
機能はこれに限定されず、様々な機能を有することができる。
【0298】
図28(B)は大型遊技機であるスロットマシン9900の一例を示している。スロット
マシン9900は、筐体9901に表示部9903が組み込まれている。また、スロット
マシン9900は、その他、スタートレバーやストップスイッチなどの操作手段、コイン
投入口、スピーカなどを備えている。もちろん、スロットマシン9900の構成は上述の
ものに限定されず、少なくとも本明細書に開示する半導体装置を備えた構成であればよく
、その他付属設備が適宜設けられた構成とすることができる。
【0299】
図29(A)は携帯型のコンピュータの一例を示す斜視図である。
【0300】
図29(A)の携帯型のコンピュータは、上部筐体9301と下部筐体9302とを接続
するヒンジユニットを閉状態として表示部9303を有する上部筐体9301と、キーボ
ード9304を有する下部筐体9302とを重ねた状態とすることができ、持ち運ぶこと
が便利であるとともに、使用者がキーボード入力する場合には、ヒンジユニットを開状態
として、表示部9303を見て入力操作を行うことができる。
【0301】
また、下部筐体9302はキーボード9304の他に入力操作を行うポインティングデバ
イス9306を有する。また、表示部9303をタッチ入力パネルとすれば、表示部の一
部に触れることで入力操作を行うこともできる。また、下部筐体9302はCPUやハー
ドディスク等の演算機能部を有している。また、下部筐体9302は他の機器、例えばU
SBの通信規格に準拠した通信ケーブルが差し込まれる外部接続ポート9305を有して
いる。
【0302】
上部筐体9301には更に上部筐体9301内部にスライドさせて収納可能な表示部93
07を有しており、広い表示画面を実現することができる。また、収納可能な表示部93
07の画面の向きを使用者は調節できる。また、収納可能な表示部9307をタッチ入力
パネルとすれば、収納可能な表示部の一部に触れることで入力操作を行うこともできる。
【0303】
表示部9303または収納可能な表示部9307は、液晶表示パネル、有機発光素子また
は無機発光素子などの発光表示パネルなどの映像表示装置を用いる。
【0304】
また、
図29(A)の携帯型のコンピュータは、受信機などを備えた構成として、テレビ
放送を受信して映像を表示部に表示することができる。また、上部筐体9301と下部筐
体9302とを接続するヒンジユニットを閉状態としたまま、表示部9307をスライド
させて画面全面を露出させ、画面角度を調節して使用者がテレビ放送を見ることもできる
。この場合には、ヒンジユニットを開状態として表示部9303を表示させず、さらにテ
レビ放送を表示するだけの回路の起動のみを行うため、最小限の消費電力とすることがで
き、バッテリー容量の限られている携帯型のコンピュータにおいて有用である。
【0305】
また、
図29(B)は、腕時計のように使用者の腕に装着可能な形態を有している携帯電
話の一例を示す斜視図である。
【0306】
この携帯電話は、少なくとも電話機能を有する通信装置及びバッテリーを有する本体、本
体を腕に装着するためのバンド部、腕に対するバンド部の固定状態を調節する調節部92
05、表示部9201、スピーカ9207、及びマイク9208から構成されている。
【0307】
また、本体は、操作スイッチ9203を有し、電源入力スイッチや、表示切り替えスイッ
チや、撮像開始指示スイッチの他、例えば押すとインタネット用のプログラムが起動され
るスイッチなど、操作スイッチ9203を用いて各ファンクションを対応づけることがで
きる。
【0308】
この携帯電話の入力操作は、表示部9201に指や入力ペンなどで触れること、又は操作
スイッチ9203の操作、またはマイク9208への音声入力により行われる。なお、図
29(B)では、表示部9201に表示された表示ボタン9202を図示しており、指な
どで触れることにより入力を行うことができる。
【0309】
また、本体は、撮影レンズを通して結像される被写体像を電子画像信号に変換する撮像手
段を有するカメラ部9206を有する。なお、特にカメラ部は設けなくともよい。
【0310】
また、
図29(B)に示す携帯電話は、テレビ放送の受信機などを備えた構成として、テ
レビ放送を受信して映像を表示部9201に表示することができ、さらにメモリーなどの
記憶装置などを備えた構成として、テレビ放送をメモリーに録画できる。また、
図29(
B)に示す携帯電話は、GPSなどの位置情報を収集できる機能を有していてもよい。
【0311】
表示部9201は、液晶表示パネル、有機発光素子または無機発光素子などの発光表示パ
ネルなどの映像表示装置を用いる。
図29(B)に示す携帯電話は、小型、且つ、軽量で
あるため、バッテリー容量の限られており、表示部9201に用いる表示装置は低消費電
力で駆動できるパネルを用いることが好ましい。
【0312】
なお、
図29(B)では”腕”に装着するタイプの電子機器を図示したが、特に限定され
ず、携行できる形状を有しているものであればよい。
【実施例0313】
薄膜トランジスタのチャネル形成領域を有する半導体層に用いるSiOxを含むIn-S
n-O系酸化物半導体膜を形成した。以下詳細に説明する。
【0314】
SiO2を含むIn-Sn-O系酸化物半導体ターゲット(In2O3:SnO2:Si
O2=85:10:5(wt%))を用いて、スパッタ法により試料A、試料B、試料C
のSiO2を含むIn-Sn-O系酸化物半導体膜を作成し、導電率を測定した。試料A
、試料B、試料Cの成膜条件及び導電率を表1に示す。
【0315】
【0316】
表1において酸素流量比率とは、成膜中に流される酸素流量を酸素流量及びアルゴンの流
量全体で割った比率である。表1に示すように導電率は、酸素流量比率4%の試料Aは4
.20E+01(4.20×10)S/cm、酸素流量比率29%の試料Bは3.76E
-07(3.73×10-7)S/cm、酸素流量比率40%の試料Cは9.25E-1
0(9.25×10-10)S/cmであった。
【0317】
上記計算結果により、チャネル形成領域を有する半導体層に、SiOxを含むIn-Sn
-O系酸化物半導体層を用いた薄膜トランジスタにおいては、半導体層の導電率は1.6
×10-3S/cm以下、さらに1.3×10-4S/cm以下が好ましい値である。
【0318】
よって、試料B及び試料CのSiO2を含むIn-Sn-O系酸化物半導体膜は、1.3
×10-4S/cm以下の低い導電率であるために、試料B、試料CのSiO2を含むI
n-Sn-O系酸化物半導体膜を用いて電気特性のよい薄膜トランジスタを作製すること
ができる。