(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150776
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】ヒト又は動物の心臓を刺激するための植込み型医療装置
(51)【国際特許分類】
A61N 1/365 20060101AFI20241016BHJP
A61N 1/37 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
A61N1/365
A61N1/37
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024130707
(22)【出願日】2024-08-07
(62)【分割の表示】P 2022540351の分割
【原出願日】2021-01-08
(31)【優先権主張番号】62/969,179
(32)【優先日】2020-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】20158056.0
(32)【優先日】2020-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】512158181
【氏名又は名称】バイオトロニック エスエー アンド カンパニー カーゲー
【氏名又は名称原語表記】BIOTRONIK SE & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Woermannkehre 1 12359 Berlin Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミドゲット、マデリーヌ アン
(72)【発明者】
【氏名】ヒューゲリッヒ、ブルクハルト
(72)【発明者】
【氏名】ウィッティントン、アール.ホリス
(57)【要約】 (修正有)
【課題】植込み型医療装置を提供する。
【解決手段】ヒト又は動物の心臓を刺激するための植込み型医療装置であって、制御ユニットと、記憶ユニットと、刺激ユニットと、同じ心臓の電気信号を検出するための検出ユニットとを備え、記憶ユニットが、a)検出ユニットを用いて観察期間中に捕捉閾値を検出するステップであって、各捕捉閾値が刺激ユニットによって送達されるペーシング・パルスに応答して検出されるステップ210と、b)検出された捕捉閾値を記憶ユニットに記憶するステップと、c)各日多くとも所定の最大値だけ刺激ユニットのペーシング出力の電圧Uを低下させるステップであって、ペーシング出力の電圧Uが、観察期間に等しいか又はそれよりも短い期間内に決定された最大捕捉閾値と少なくとも同じ高さのままであるステップ230、240と、を制御ユニットに実行させるコンピュータ読み取り可能なプログラムを含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト又は動物の心臓を刺激するための植込み型医療装置であって、制御ユニットと、記憶ユニットと、ヒト又は動物の心臓の心臓領域を刺激するための刺激ユニットと、同じ心臓の電気信号を検出するための検出ユニットとを備える、植込み型医療装置において、
前記記憶ユニットが、前記制御ユニット上で実行されるときに、
a)前記検出ユニットを用いて観察期間中に捕捉閾値を検出するステップ(210)であって、各捕捉閾値が前記刺激ユニットによって送達されるペーシング・パルスに応答して検出される、ステップ(210)と、
b)前記検出された捕捉閾値を前記記憶ユニットに記憶するステップと、
c)各日多くとも所定の最大値だけ前記刺激ユニットのペーシング出力の電圧(U)を低下させるステップ(230;240)であって、前記ペーシング出力の前記電圧(U)が、前記観察期間に等しいか又はそれよりも短い期間内に決定された最大捕捉閾値と少なくとも同じ高さのままである、ステップ(230;240)と
を前記制御ユニットに実行させるコンピュータ読み取り可能なプログラムを含むことを特徴とする、植込み型医療装置。
【請求項2】
前記所定の最大値が0.05V~0.2Vの範囲にあることを特徴とする、請求項1に記載の植込み型医療装置。
【請求項3】
前記コンピュータ読み取り可能なプログラムが、前記制御ユニットにi)第1の期間内に決定された前記最大捕捉閾値に基づいて、前記観察期間内の最大決定閾値間差が所定の限界値に等しいか又はそれより大きい場合、前記刺激ユニットの前記ペーシング出力を調整すること(140;170)であって、前記第1の期間が前記観察期間に等しいか若しくはそれより短い、調整すること(140;170)、又は、ii)第2の期間内に決定された前記最大捕捉閾値に基づいて、前記観察期間内の前記最大決定閾値間差が前記所定の限界値より小さい場合、前記刺激ユニットの前記ペーシング出力を調整すること(150;170)であって、前記第2の期間が前記第1の期間より短い、調整すること(150;170)ことを行わせることを特徴とする、請求項1又は2に記載の植込み型医療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載される植込み型医療装置、請求項10のプリアンブルに記載されるそのような植込み型医療装置の動作を制御するための方法、請求項11のプリアンブルに記載されるコンピュータ・プログラム製品、及び請求項13のプリアンブルに記載される別の植込み型医療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
心臓ペースメーカーなどの、ヒト又は動物の心臓を刺激するための植込み型医療装置は、典型的には、心室捕捉を評価するための捕捉制御機能を使用する。捕捉は、心室刺激の成功として説明することができ、すなわち、それは、外部刺激又は人工刺激(例えば、ペースメーカーによる)に応答する心室心臓活動として定義される。
【0003】
捕捉制御機能は、典型的には、植込み型医療装置の消費電力を最小にするためにペーシング出力を制限しながら、捕捉を確実に実現するのに必要なペーシング出力を計算するアルゴリズムを使用する。捕捉制御機能は、周期的に捕捉閾値を測定し、自動的に下記の基礎計算(前の閾値+安全マージン=ペーシング出力)を用いてペーシング出力を調整する。
【0004】
しばしば、捕捉制御は1日に一度実行され、印加されたペーシング出力は、捕捉閾値を決定するために、捕捉試験中に減少される。高振幅を有するペーシング出力から始めて、ペーシング出力の振幅は、心室活動をなおも捕捉することができる最低振幅を決定するために、反復的に減少される。
【0005】
伝統的な安全マージン・アルゴリズムは、評価対象期間にわたって、最後に測定された閾値又は最大閾値のいずれかに一定のマージンを加える。これらの方法は、典型的には、比較的高いペーシング出力をもたらすことになり、したがって、比較的高い電力消費を必要とする。
【0006】
WO2017/139197A1は、ローリング・タイム・ウィンドウにおける複数の最後に決定された閾値の最小閾値と最大閾値との間の差を計算する捕捉管理方法を記載している。決定された差が大きいほど、使用されるペーシング出力を決定するために、決定された捕捉閾値に加えられる安全マージンは高くなる。したがって、この方法は、ローリング・タイム・ウィンドウにおいて決定された最高捕捉閾値に加えられる変動可能な安全マージンを利用し、決定された捕捉閾値のばらつき(variance)が大きい場合、マージンが高く、決定された捕捉閾値のばらつきが小さい場合、安全マージンは低い。
【0007】
米国特許出願公開第2014/0350623(A1)号は、患者の心臓組織内で捕捉を実現するのに十分な最も低いパルス・エネルギーに対応する候補パルス幅を特定する方法を記載している。この文脈では、異なる安全マージンの適用も記載されている。
【0008】
米国特許出願公開第2016/0346552(A1)号及び米国特許出願公開第2018/0036547(A1)号は、ペーシング出力(刺激振幅)を決定するために、決定された捕捉閾値に対する閾値テストの適用及び安全マージンの適用を例示的に記載している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、ヒト又は動物の心臓を刺激するための植込み型医療装置を提供することであり、その装置は、従来技術から知られている植込み型装置よりも低消費電力であるが、心臓捕捉に関して患者への高い安全性をなおも保証する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、請求項1の特徴を有する植込み型医療装置によって実現される。このような植込み型医療装置は、ヒト又は動物の心臓を刺激することを意図している。それは、制御ユニットと、記憶ユニットと、ヒト又は動物の心臓の心臓領域を刺激するための刺激ユニットと、同じ心臓の電気信号を検出するための検出ユニットとを備える。この文脈では、検出ユニットは、典型的には、心臓の心室信号を検出する。刺激ユニットは、ヒト又は動物の心臓の心房又は心室を刺激することができる。しばしば、刺激ユニットは、患者の心臓の右心室を刺激することを意図している。
【0011】
現在特許請求されている発明によれば、記憶ユニットは、制御ユニット上で実行されるときに、制御ユニットに以下に説明するステップを実行させるコンピュータ読み取り可能なプログラムを含む。
【0012】
第1のステップでは、捕捉閾値は、検出ユニットを用いて検出される。この検出は、観察期間中に行われる。この文脈では、各捕捉閾値は、刺激ユニットによって送達されるペーシング・パルスのシーケンスに応答して検出される。したがって、検出ユニットは、外部刺激又は人工刺激に応答する心臓活動を検出する。
【0013】
検出された捕捉閾値は、記憶ユニットに記憶される。典型的には、時間情報は、捕捉閾値とともに記憶される。その後、特定の捕捉閾値が検出された時点で、それを容易に見ることができる。
【0014】
閾値差は、2つの連続する捕捉閾値の各対の間で決定される。このような決定のために、少なくとも2つの捕捉閾値が必要である。第1の捕捉閾値及び第2の捕捉閾値が検出された場合、第1の捕捉閾値と第2の捕捉閾値との間の閾値間差(threshold-to-threshold difference)を計算することができる。その後、第3の捕捉閾値が決定された場合、第2の捕捉閾値と第3の捕捉閾値との間の閾値間差を計算することができる。一例を挙げると、30の捕捉閾値の場合、各ケースの2つの連続する捕捉閾値の間に29の閾値間差が生じる。
【0015】
計算された閾値間差は、その後、さらに評価される。この目的のために、観察期間内に決定された最大閾値間差が特定される。この最大閾値間差が、所定の限界値に等しいか又はそれよりも大きい場合、これは、閾値間の変化(inter-threshold variety)がむしろ大きいことを示している。そして、心室捕捉を安全に保証するために、より高いペーシング出力が必要である。したがって、刺激ユニットのペーシング出力は、この選択肢では、第1の期間内に決定された最大捕捉閾値に基づいて調整される。この文脈では、第1の期間は観察期間に等しいか、又は観察期間よりも短い。
【0016】
他方、観察期間内の最大決定閾値間差が、所定の限界値よりも小さい場合、これは、個々の閾値の閾値間のばらつきが比較的小さいことを示している。次に、第1の期間よりも短い期間の最大振幅に依存するだけでも、心臓捕捉の実現を保証することもできる。したがって、刺激ユニットのペーシング出力は、この選択肢では、第2の期間内に決定された最大捕捉閾値に基づいて調整され、第2の期間は第1の期間よりも短い。
【0017】
第1の期間及び第2の期間は、刺激ユニットのペーシング出力を調整した時点から過去にまで及ぶことを理解されたい。このように、第1の期間は、より多くの捕捉閾値をカバーし、したがって、第2の期間よりも多くの閾値間差をカバーし、第1の期間及び第2の期間は両方とも、刺激ユニットのペーシング出力の調整よりも前に、直近の閾値間差をカバーする。
【0018】
コンピュータ読み取り可能なプログラムによって使用されるアルゴリズムのこの動的態様は、最大閾値評価対象期間、すなわち第1の期間又は第2の期間の長さに伴う電力と安全性とのトレードオフを考慮した節電の機会を提供する。最大測定捕捉閾値を追跡する評価対象期間を長くすることによって、存在する全体の平均ペース出力振幅が大きく上がる。しかしながら、動的性能は、この最大捕捉閾値評価対象期間を第2の期間に短縮することによって、捕捉閾値が安定している期間中に、全体の平均ペース出力振幅を低下させる。
【0019】
第1の期間及び第2の期間は、ローリング・ウィンドウ期間であり、それは、刺激ユニットのペーシング出力がコンピュータ読み取り可能なプログラムによって使用される方法によって調整される時点で常に終了する。したがって、この期間の終点は、常に時間内に前方に移動する。同様に、期間自体が延長されない場合、それぞれの期間の開始点も時間内に前方に移動する。したがって、現在特許請求されている植込み型の医療装置は、ローリング・ウィンドウを使用する捕捉閾値の記憶と、最大閾値測定と、閾値間変動測定とを含む捕捉閾値処理をサポートする装置である。
【0020】
一実施例では、植込み型医療装置は、心臓内装置である。装置は、心臓組織に刺激を送達することが可能であり、心臓捕捉又は心室捕捉の捕捉閾値をそれぞれ測定することが可能である。
【0021】
先行技術の解決策とは対照的に、現在特許請求されている植込み型医療装置によって使用される方法は、患者の最大捕捉閾値を測定し、この最大捕捉閾値に基づいてペーシング出力を決定するために、捕捉閾値評価対象期間の長さがどのように追跡されるべきかを決定するための閾値の安定性の新しい尺度を使用する。これにより、全体的なペーシング出力を減少させる安定した捕捉閾値の期間中、より速い動的応答が可能になり、その一方で、捕捉閾値が不安定な期間中に長いウィンドウを通して安全性を維持することができる。
【0022】
一実施例では、捕捉閾値の進捗が評価される。この実施例では、記憶された捕捉閾値は、例えば、植込み型医療装置の心臓組織からの望ましくない解離の危険性があるか否か評価するために使用される。捕捉閾値の連続的な増加が検出された場合、これは、植込み型医療装置が心臓組織から解離しそうになっていることを示しているかもしれない。このような場合、移植を意図された部位で植込み型医療装置の安全な移植を保証するために、すぐにカウンターアクションを取ることができる。したがって、この実施例では、患者の安全性は向上する。捕捉閾値がまず増加し、その後減少して再び増減する場合、これは、その移植部位から植込み型医療装置の解離がなく、むしろ捕捉閾値の自然な変動を反映していることを示すものとして見ることができる。
【0023】
一実施例では、検出ユニットを用いて捕捉閾値を検出するステップは、1日に一度実行される。この目的のために、典型的には、複数の測定が必要であり、その測定の間、心臓組織を刺激するために使用されるペーシング出力が反復的に低下する。捕捉閾値は、捕捉が決定され得るペーシング出力の最後の値であり、心臓捕捉を検出することができない第1のペーシング出力は、捕捉閾値を下回る。
【0024】
一実施例では、コンピュータ読み取り可能なプログラムは、最大捕捉閾値に安全マージンを加えることによって、制御ユニットにペーシング出力を決定させ、最大捕捉閾値に基づいて、ペーシング出力が調整される。このような安全マージンは、捕捉閾値の小さなばらつきが他にあったとしても、心臓捕捉を保証する。したがって、このような安全マージンは、安全マージンのない作業よりも幾分多くのエネルギーを消費したとしても、患者の安全性を向上させる。言い換えれば、安全マージンは、第1の期間又は第2の期間の予め定められた最大捕捉閾値に安全マージンを加えることに起因するペーシング出力による刺激によって、心臓捕捉が起こることを確実に保証する。
【0025】
一実施例では、コンピュータ読み取り可能なプログラムは、決定された閾値間差に依存せずに、或いは又はさらに、決定された最大捕捉閾値に依存せずに、制御ユニットに安全マージンを設定させる。したがって、最終ペーシング出力を決定するために特定の最大捕捉閾値に適用される安全マージンの変動に依存する従来技術の解決策とは対照的に、現在特許請求されている発明のこの実施例は、安全マージンを変化させるのではなく、ペーシング出力を計算するために適用される最大閾値の熟練した選択にむしろ依存する。既に概説したように、現在特許請求されているアプローチは、患者の生理的なニーズをよりよく反映しており、患者の心臓は、植込み型医療装置によって刺激され、同時に、患者の心臓をペーシングするのに必要なかなりの量のエネルギーを節約する。現在記載されている発明が採用するアプローチは、変動可能な安全マージンを必要としない。むしろ、安全マージンは、植込み型医療装置の全寿命にわたって、又は植込み型医療装置の少なくともほぼ全寿命にわたって一定に保つことができる。
【0026】
一実施例では、コンピュータ読み取り可能なプログラムは、制御ユニットに、第3の期間中の安全マージンを第3の期間の後よりも高く設定させる。この文脈では、第3の期間は、植込み型医療装置の移植の直後の期間である。この実施例は、捕捉閾値が、典型的には移植後の最初の週の間に幾分高く、より変わりやすく、その後、典型的にはより低い比較的一定の値まで減少することを考慮している。したがって、先の実施例と本実施例とを互いに組み合わせると、移植後のまさに最初の時間の間だけ安全マージンが変化し、植込み型医療装置の残りの寿命のために一定に保たれる。これは、植込み型医療装置のほぼ全寿命にわたって一定の安全マージンとみなすことができる。一実施例では、「植込み型医療装置のほぼ全寿命」という用語は、全寿命から第3の期間を引いたもの(第3の期間内の安全マージンのいかなる変動にも関係なく)を意味するものと解釈されるべきである。
【0027】
一実施例では、第3の期間は、1日~200日、特に5日~190日、特に10日~180日、特に20日~170日、特に30日~160日、特に40日~150日、特に50日~140日、特に60日~130日、特に70日~120日、特に80日~110日、特に90日~100日に及ぶ期間である。いずれにしても、第3の期間は、植込み型医療装置の移植、特に植込み型医療装置の患者の心臓への移植からすぐに始まる。
【0028】
一実施例では、植込み型医療装置は、リードレス・ペースメーカーである。リードレス・ペースメーカーは、患者の心臓に植え込まれる。すなわち、それらは、心臓内装置としても示すことができる。リードレス・ペースメーカーは、典型的には、従来のペースメーカーよりも小型であり、したがって、バッテリのようなエネルギー源のためのスペースがより小さくなる。したがって、リードレス・ペースメーカーの消費電力は、従来のペースメーカーの消費電力よりもはるかにうまく制御されることになる。したがって、現在特許請求されている発明がリードレス・ペースメーカーの寿命を大幅に延ばし、それゆえ、このような装置を、既に使用されているものよりもさらに魅力的なものにすることができるので、リードレス・ペースメーカーは、現在特許請求されている発明の適用の非常に興味深い分野である。
【0029】
一実施例では、コンピュータ読み取り可能なプログラムは、制御ユニットに、各日多くとも所定の最大値だけペーシング出力の電圧を低下させる。この実施例が適用される場合、ペーシング出力の初期電圧は、決定された捕捉閾値及び閾値間差に応じて、潜在的に可能な範囲よりも多く制限される。したがって、この実施例による植込み型医療装置の動作は、絶対的に必要とされるよりも高いエネルギー消費をもたらす。しかしながら、さらに、患者の安全性が向上する。さらに、ペーシング出力の電圧を各日多くともその分だけ低下させることができる所定の最大値は、植込み型医療装置のエネルギー消費量が必要以上に多くなる期間が数日又は数週間に限定されるように設定され得る。そうすることで、植込み型医療装置の動作の最初の期間、例えば、移植直後に、ペーシング出力を高いレベルに設定することができる。さらなる例を挙げると、第3の期間中、ペーシング出力の電圧の低下を制限して使用することができる。その後、患者の心臓組織がペーシング・パルスによる刺激に対してまだ最終的な影響を受けていなくても、心臓捕捉を実現するためのかなり高いペーシング出力を保証することができる。
【0030】
一実施例では、ステップ・ダウン・サイズの所定の最大値は、0.05V~0.2V、特に0.075V~0.15V、特に0.1V~0.12Vの範囲にある。
【0031】
一実施例では、観察期間及び/又は第1の期間は、7日~50日、特に10日~45日、特に15日~40日、特に20日~35日、特に25日~30日に及ぶ期間である。一実施例では、第1の期間は、観察期間と同じ長さを有する、すなわち、第1の期間は観察期間に等しい。一例を挙げると、観察期間は30日間に及ぶ。次に、第1の期間は、現在特許請求されている植込み型医療装置によって刺激ユニットのペーシング出力が使用される方法に従って調整される日の前の直近30日間に及ぶ。
【0032】
一実施例では、第2の期間は、2日~14日、特に3日~13日、特に4日~12日、特に5日~11日、特に6日~10日、特に7日~9日に及ぶ期間である。特に適当な第2の期間は、2日~6日間、例えば3日間、4日間、5日間又は6日間である。
【0033】
本発明の一態様は、前述の説明によるヒト又は動物の心臓を刺激するための植込み型医療装置の動作を制御するための方法に関する。この方法は、以下に説明されるステップを含む。
【0034】
まず、ヒト又は動物の心臓の電気信号は、検出ユニットを用いて検出される。この検出は、観察期間中に捕捉閾値を検出するのに役立つ。各捕捉閾値は、同じ心臓の心臓領域を刺激するための刺激ユニットによって送達されるペーシング・パルスのシーケンスに応答して検出される。
【0035】
検出された捕捉閾値は、植込み型医療装置の記憶ユニットに記憶される。
【0036】
さらに、各ケースにおける2つの連続する捕捉閾値の間の閾値間差が決定される。
【0037】
その後、観察期間内の最大決定閾値間差が、所定の限界値に等しいか若しくはそれよりも大きいか(第1の選択肢)、又は所定の限界値より小さいか(第2の選択肢)否かが決定される。第1の選択肢の場合、刺激ユニットのペーシング出力は、第1の期間内で決定された最大捕捉閾値に基づいて調整される。この文脈では、第1の期間は、観察期間に等しいか、又は観察期間よりも短い。第2の選択肢の場合、刺激ユニットのペーシング出力は、第2の期間内で決定された最大捕捉閾値に基づいて調整される。この文脈では、第2の期間は、第1の期間よりも短い。第1の期間及び第2の期間は、刺激ユニットのペーシング出力を調整した時点から過去にまで及ぶ期間である。
【0038】
本発明の一態様は、制御ユニット上で実行されるときに、制御ユニットに以下のステップを実行させるコンピュータ読み取り可能なコードを備えるコンピュータ・プログラム製品に関する。
【0039】
まず、ヒト又は動物の心臓の電気信号は、検出ユニットを用いて検出される。この検出は、観察期間中に捕捉閾値を検出するのに役立つ。各捕捉閾値は、同じ心臓の心臓領域を刺激するための刺激ユニットによって送達されるペーシング・パルスのシーケンスに応答して検出される。
【0040】
検出された捕捉閾値は、植込み型医療装置の記憶ユニットに記憶される。
【0041】
さらに、各ケースにおける2つの連続する捕捉閾値の間の閾値間差が決定される。
【0042】
その後、観察期間内の最大決定閾値間差が、所定の限界値に等しいか若しくはそれよりも大きいか(第1の選択肢)、又は所定の限界値より小さいか(第2の選択肢)否かが決定される。第1の選択肢の場合、刺激ユニットのペーシング出力は、第1の期間内で決定された最大捕捉閾値に基づいて調整される。この文脈では、第1の期間は、観察期間に等しいか、又は観察期間よりも短い。第2の選択肢の場合、刺激ユニットのペーシング出力は、第2の期間内で決定された最大捕捉閾値に基づいて調整される。この文脈では、第2の期間は、第1の期間よりも短い。第1の期間及び第2の期間は、刺激ユニットのペーシング出力を調整した時点から過去にまで及ぶ期間である。
【0043】
本発明の一態様は、このような治療を必要とするヒト又は動物の患者の治療の医学的方法に関する。この治療は、ヒト又は動物の心臓を刺激するための植込み型医療装置によって、特に前述の説明による植込み型医療装置によって行われる。このような植込み型医療装置は、制御ユニットと、記憶ユニットと、ヒト又は動物の心臓の心臓領域を刺激するための刺激ユニットと、同じ心臓の電気信号を検出するための検出ユニットとを備える。この方法は、以下に説明されるステップを含む。
【0044】
まず、ヒト又は動物の心臓の電気信号は、検出ユニットを用いて検出される。この検出は、観察期間中に捕捉閾値を検出するのに役立つ。各捕捉閾値は、同じ心臓の心臓領域を刺激するための刺激ユニットによって送達されるペーシング・パルスのシーケンスに応答して検出される。
【0045】
検出された捕捉閾値は、植込み型医療装置の記憶ユニットに記憶される。
【0046】
さらに、各ケースにおける2つの連続する捕捉閾値の間の閾値間差が決定される。
【0047】
その後、観察期間内の最大決定閾値間差が、所定の限界値に等しいか若しくはそれよりも大きいか(第1の選択肢)、又は所定の限界値より小さいか(第2の選択肢)否かが決定される。第1の選択肢の場合、刺激ユニットのペーシング出力は、第1の期間内で決定された最大捕捉閾値に基づいて調整される。この文脈では、第1の期間は、観察期間に等しいか、又は観察期間よりも短い。第2の選択肢の場合、刺激ユニットのペーシング出力は、第2の期間内で決定された最大捕捉閾値に基づいて調整される。この文脈では、第2の期間は、第1の期間よりも短い。第1の期間及び第2の期間は、刺激ユニットのペーシング出力を調整した時点から過去にまで及ぶ期間である。
【0048】
その後、ヒト又は動物の心臓は、前述のステップにおいて調整されたペーシング出力で刺激ユニットによってペーシング・パルスを印加することによって刺激される。したがって、ペーシング・パルスは、捕捉閾値の以前に観察されたばらつきに応じて、異なる振幅を有することができる。典型的には、ペーシング・パルスは、検出された閾値間差のばらつきが比較的大きかった場合、より高い振幅を有する(すなわち、刺激ユニットは、より高いペーシング出力で作動される)。これに対して、ペーシング・パルスは、個々の捕捉閾値の間でばらつきがより少なく決定された場合、すなわち、閾値間差が比較的低かった場合、より低い振幅を有する(すなわち、刺激ユニットは、より低いペーシング出力で作動される)。
【0049】
本発明のさらなる態様は、ヒト又は動物の心臓を刺激するための別の植込み型医療装置であり、前に説明した実施例のいずれかと組み合わせることができるが、前に説明した態様及び実施例から独立して請求される。このさらなる植込み型医療装置は、制御ユニットと、記憶ユニットと、ヒト又は動物の心臓の心臓領域を刺激するための刺激ユニットと、同じ心臓の電気信号を検出するための検出ユニットとを備える。
【0050】
記憶ユニットは、制御ユニット上で実行されるときに、制御ユニットに以下に説明するステップを実行させるコンピュータ読み取り可能なプログラムを含む。
【0051】
まず、捕捉閾値は、観察期間中に検出ユニットを用いて検出される。この文脈では、各捕捉閾値は、刺激ユニットによって送達されるペーシング・パルスのシーケンスに応答して検出される。
【0052】
検出された捕捉閾値は、記憶ユニットに記憶される。
【0053】
刺激ユニットのペーシング出力の電圧は、各日多くとも所定の最大値だけ低下する。この文脈では、ペーシング出力の電圧は、観察期間に等しいか又はそれより短い期間内に決定された最大捕捉閾値と少なくとも同じ高さのままである。一実施例によれば、ペーシング出力の電圧は、加えられた安全マージンを有する観察期間に等しいか又はそれより短い期間内に決定された最大捕捉閾値と少なくとも同じ高さのままである。そうすることで、ペーシング出力の印加電圧は常に、加えられた安全マージンを有する決定された捕捉閾値と少なくとも同じ高さであることが保証されるが、それと同時に、以前の値から小さなステップでのみ低下することが保証される。これは、一時的なだけかもしれない捕捉閾値の突然の低下に対処するのに役立つ。本発明の一実施例によれば、ペーシング出力の変動、特にペーシング出力の1回の低下に対する最大値を表す所定の値が定義される。
【0054】
一実施例では、ペーシング出力の電圧の限定的な低下は、所定の期間にわたってのみ、例えば、上で定義したように第3の期間中にのみ実行される。
【0055】
一実施例では、所定の最大値は、0.05V~0.2V、特に0.075V~0.15V、特に0.1V~0.12Vの範囲にある。
【0056】
一実施例では、植込み型医療装置は、ペーシング出力の初期電圧の限定的な低下を実施するだけでなく、観察された捕捉閾値のばらつきに応じてペーシング出力の調整も実施する。この実施例では、コンピュータ読み取り可能なプログラムにより、制御ユニットが、第1の選択肢又は第2の選択肢のいずれかに従って刺激ユニットのペーシング出力を調整する。第1の選択肢によれば、観察期間内の最大決定閾値間差が、所定の限界値に等しいか又はそれよりも大きい場合、ペーシング出力は、第1の期間内に決定された最大捕捉閾値に基づいて調整される。この文脈では、第1の期間は、観察期間に等しいか、又は観察期間よりも短い。第2の選択肢によれば、観察期間内の最大決定閾値間差が、所定の限界値よりも小さい場合、刺激ユニットのペーシング出力は、第2の期間内の決定された最大捕捉閾値に基づいて調整される。この文脈では、第2の期間は、第1の期間よりも短い。
【0057】
したがって、この実施例では、ペーシング出力の電圧は、過去の捕捉閾値のばらつきを評価するアルゴリズムの出力に達するまで、各日所定の最大値だけ低下する。この動作モードにより、捕捉できない事例は確実に回避される。しかしながら、過去の捕捉閾値のばらつきを評価するアルゴリズムの出力が、ペーシング出力の電圧がこれまで各日多くとも低下させてきた最大値を最後のペーシング出力の電圧から引いた値よりも高い必要捕捉閾値になる場合、ペーシング出力は、アルゴリズムによって決定された最大捕捉閾値に基づいて決定されたペーシング出力にすぐに更新される。
【0058】
本発明の一態様は、ヒト又は動物の心臓を刺激するための植込み型医療装置の動作を制御するための方法に関し、その方法は、a)ヒト又は動物の心臓の電気信号を検出するための検出ユニットを用いて観察期間中に捕捉閾値を検出するステップであって、各捕捉閾値が同じ心臓の心臓領域を刺激するための刺激ユニットによって送達される少なくとも1つのペーシング・パルス又はペーシング・パルスのシーケンスに応答して検出される、ステップと、b)検出された捕捉閾値を植込み型医療装置の記憶ユニットに記憶するステップと、c)各日多くとも所定の最大値だけ刺激ユニットのペーシング出力の電圧を低下させるステップであって、ペーシング出力の電圧が、観察期間に等しいか又はそれよりも短い期間内に決定された最大捕捉閾値と少なくとも同じ高さのままである、ステップとを含む。一実施例によれば、ペーシング出力の電圧は、加えられた安全マージンを有する観察期間に等しいか又はそれよりも短い期間内に決定された最大捕捉閾値と少なくとも同じ高さのままである。
【0059】
本発明の一態様は、制御ユニット上で実行されるときに、a)ヒト又は動物の心臓を刺激するための植込み型医療装置の検出ユニットであり、ヒト又は動物の心臓の電気信号を検出するように構成された検出ユニットを用いて観察期間中に捕捉閾値を検出するステップであって、各捕捉閾値が、植込み型医療装置の刺激ユニットによって送達されるペーシング・パルスに応答して検出され、刺激ユニットが同じ心臓の心臓領域を刺激するように構成されている、ステップと、b)検出された捕捉閾値を植込み型医療装置の記憶ユニットに記憶するステップと、c)各日多くとも所定の最大値だけ刺激ユニットのペーシング出力の電圧を低下させるステップであって、ペーシング出力の電圧が、観察期間に等しいか又はそれよりも短い期間内に決定された最大捕捉閾値と少なくとも同じ高さのままである、ステップと、を制御ユニットに実行させるコンピュータ読み取り可能なコードを含むコンピュータ・プログラム製品に関する。一実施例によれば、ペーシング出力の電圧は、加えられた安全マージンを有する観察期間に等しいか又はそれよりも短い期間内に決定された最大捕捉閾値と少なくとも同じ高さのままである。
【0060】
本発明の一態様は、ヒト又は動物の心臓を刺激するための植込み型医療装置を用いたこのような治療の必要なヒト又は動物の患者の治療方法に関し、植込み型医療装置は、制御ユニットと、記憶ユニットと、ヒト又は動物の心臓の心臓領域を刺激するための刺激ユニットと、同じ心臓の電気信号を検出するための検出ユニットとを備え、この方法は、a)検出ユニットを用いて観察期間中に捕捉閾値を検出するステップであって、各捕捉閾値が刺激ユニットによって送達されるペーシング・パルスに応答して検出される、ステップと、b)検出された捕捉閾値を記憶ユニットに記憶するステップと、c)各日多くとも所定の最大値だけ刺激ユニットのペーシング出力の電圧を低下させるステップであって、ペーシング出力の電圧が、加えられた安全マージンを有する観察期間に等しいか又はそれよりも短い期間内に決定された最大捕捉閾値と少なくとも同じ高さのままである、ステップと、d)ヒト又は動物の心臓を、前述のステップにおいて調整されたペーシング出力でペーシング・パルスを印加することによって刺激するステップと、を含む。
【0061】
本明細書に記載された個々の植込み型医療装置の全ての実施例は、任意の所望の方法で組み合わせることができ、それぞれの別の植込み型医療装置、記載された方法、及び記載されたコンピュータ・プログラム製品に移行させることができる。さらに、記載された方法の任意の実施例は、任意の所望の方法で組み合わせることができ、それぞれの別の方法、異なる植込み型医療装置、及びコンピュータ・プログラム製品に移行させることができる。最後に、コンピュータ・プログラム製品の任意の実施例は、任意の所望の方法で組み合わせることができ、それぞれの別のコンピュータ・プログラム製品、記載された植込み型医療装置、及び記載された方法に、任意の組合せで移行させることができる。
【0062】
本発明の態様のさらなる詳細は、例示的な実施例及び添付の図面を参照して説明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【
図1】植込み型医療装置の刺激ユニットのペーシング出力を決定するための方法の第1の実施例の概略ワークフローである。
【
図2】植込み型医療装置の刺激ユニットのペーシング出力を決定するための方法の第2の実施例の概略ワークフローである。
【発明を実施するための形態】
【0064】
図1は、植込み型医療装置として、心臓ペースメーカーによって実施される方法のワークフローを示す。まず、心臓ペースメーカーの検出ユニットは、観察期間中に捕捉閾値の検出110に役立つ。その後、2つの連続する捕捉閾値の間の閾値間差の決定120が実行される。
【0065】
次に、観察期間内に決定された最大閾値間差が、予め設定された限界値に等しいか、この限界値より大きいか、又はこの限界値より小さいかのいずれであるかの決定130が行われる。それにより、限界値は、
図1の実施例では0.4Vに設定される。最大決定閾値間差が少なくとも0.4Vである場合、過去30日間の最大捕捉閾値の選択140が行われる。この文脈では、30日間が第1の期間となる。他方、最大決定閾値間差が0.4Vより小さい場合、過去3日間の最大決定捕捉閾値の選択150が行われる。この文脈では、3日間が第2の期間となる。その後、選択された最大捕捉閾値への安全マージンの加算160が実行される。
【0066】
最後に、植込み型医療装置の刺激ユニットによるペーシング・パルスのためのペーシング出力の調整170が実行される。この調整は、選択された最大捕捉閾値に基づいており、選択された捕捉閾値と安全マージンとの和になるようにペーシング出力を定義する。
【0067】
この方法は、典型的には、心臓ペースメーカーによって1日に一度適用される。
【0068】
ステップ160において選択された最大捕捉閾値に加えられる安全マージンは、心臓ペースメーカーが、植込み以降、所定の期間より長く植え込まれていない場合は、0.4Vであるように選択され、心臓ペースメーカーの移植が所定の期間より長く実行された場合は、0.3Vに低減される。一実施例によれば、所定の期間とは、20日~150日、又は50日~120日、又は70日~120日、又は90日~120日、又は100日~120日、又は112日である。
【0069】
図2は、植込み型医療装置のさらなる実施例として機能する別の心臓ペースメーカーによって適用されるさらなる方法の概略ワークフローを示す。
【0070】
まず、捕捉閾値の決定210は、観察期間中に行われる。この検出は、心臓ペースメーカーの検出ユニットを用いて実行される。各捕捉閾値は、心臓ペースメーカーの刺激ユニットによって送達されるペーシング・パルスのシーケンスに応答して決定される。
【0071】
捕捉閾値は、通常、心臓ペースメーカーのペーシング出力を調整するのに役立つ。しかしながら、ペーシング出力の調整の前に、予め印加されたペーシング出力の低下に関して決定220が行われる。0.1V減少した予め印加されたペーシング出力の電圧Uが、決定された捕捉閾値CT(任意選択的に安全マージンを加えた)と少なくとも同じ高さである場合、0.1Vを引いた予め印加されたペーシング出力に対してペーシング出力の調整230が行われる。
【0072】
しかしながら、決定220は、捕捉閾値(任意選択的に安全マージンを加えた)の検出210が、0.1V減少した予め印加されたペーシング出力の電圧Uよりも高い捕捉閾値CTをもたらす結果を与える場合、決定された捕捉閾値に基づくペーシング出力の調整240が行われる(安全マージンは、任意選択的に考慮され、検出された最大捕捉閾値に加えられる)。一実施例によれば、ペーシング出力は、アルゴリズムによって決定された出力に直ちに増加される。
【0073】
この方法は、ペーシング出力がアルゴリズム決定ペーシング出力に達するまで、本実施例では0.1Vに設定される最大値だけ、反復的に減少されることを保証する。この方法は、必要な捕捉閾値が予期せず上昇すると、自動的にペーシング出力を増加させ、安全な心臓捕捉が常に保証され得るように実行される。
【0074】
さらに、以前のペーシング出力の反復的な減少が行われなくても、この方法は、印加されるペーシング出力が、必要な捕捉閾値を決して下回らないことを保証する。
【0075】
図2に示す実施例は、
図1の実施例と組み合わせることができるか、又は心臓ペースマーカーにおける
図1の実施例を用いずに実施することができる。