(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015080
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】データ処理装置、及び、データ処理方法
(51)【国際特許分類】
H04N 21/2362 20110101AFI20240125BHJP
H04H 20/02 20080101ALI20240125BHJP
H04H 20/28 20080101ALI20240125BHJP
【FI】
H04N21/2362
H04H20/02
H04H20/28
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023200826
(22)【出願日】2023-11-28
(62)【分割の表示】P 2022076264の分割
【原出願日】2017-07-14
(31)【優先権主張番号】P 2016150352
(32)【優先日】2016-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082131
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100168686
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 勇介
(72)【発明者】
【氏名】高橋 和幸
(72)【発明者】
【氏名】平山 雄一
(57)【要約】
【課題】より柔軟に、デジタルテレビ放送の運用を行うことができるようにする。
【解決手段】放送局に関連する施設に設置されるデータ処理装置と、送信所に設置されるデータ処理装置とは、通信回線を介して伝送される伝送データとして、制御情報及びコンポーネントと、可変長の情報とを含むストリームを処理して、可変長の情報の存在の有無を示す可変長情報存在情報を付加することで得られるデータをやりとりする。本技術は、例えば、放送局と送信所との間の局間伝送の方式として適用することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信所側のデータ処理装置である他のデータ処理装置と通信回線を介して接続された放送局側のデータ処理装置であって、
物理層よりも上位の層である上位層の制御情報である第1の制御情報並びにビデオ及びオーディオを少なくとも含むコンポーネントのデータと、物理層の制御情報である第2の制御情報とを含むストリームを処理して、前記第2の制御情報の存在の有無を示す存在情報を付加する処理部と、
処理後の前記ストリームを、伝送データとして、前記通信回線を介して前記他のデータ処理装置に送信する送信部と
を備え、
前記他のデータ処理装置は、前記存在情報に基づいて前記伝送データを処理して、前記伝送データから得られる前記ストリームを、放送信号として送信する
データ処理装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記ストリームを処理して、前記第2の制御情報のバージョンを示すバージョン情報を付加する
請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記処理部は、前記ストリームを処理して、前記ストリームのデータの種類を示すデータ種類情報を付加する
請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記第2の制御情報は、1又は複数のセグメントから構成される階層ごとに、各階層の変調パラメータと、前記ストリームのデータの種類を示すデータ種類情報とを含む
請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項5】
前記第2の制御情報は、TMCC(Transmission Multiplexing Configuration Control)情報である
請求項4に記載のデータ処理装置。
【請求項6】
放送局側の前記データ処理装置は、放送局に関連する施設に設置され、
送信所側の前記他のデータ処理装置は、送信所に設置され、
放送局側の前記データ処理装置は、前記伝送データを、専用線を介して、送信所側の前記他のデータ処理装置に送信する
請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項7】
前記第1の制御情報及び前記コンポーネントのデータは、UDP(User Datagram Protocol)パケットを含むIP(Internet Protocol)パケットに格納され、
前記IPパケットと、前記第2の制御情報は、TLV(Type Length Value)パケットに格納され、
前記存在情報は、前記TLVパケットのプロトコルサブタイプにより指定され、
前記伝送データは、イーサネット(登録商標)のフレーム形式で伝送される
請求項6に記載のデータ処理装置。
【請求項8】
送信所側のデータ処理装置である他のデータ処理装置と通信回線を介して接続された放送局側のデータ処理装置のデータ処理方法であって、
放送局側の前記データ処理装置が、
物理層よりも上位の層である上位層の制御情報である第1の制御情報並びにビデオ及びオーディオを少なくとも含むコンポーネントのデータと、物理層の制御情報である第2の制御情報とを含むストリームを処理して、前記第2の制御情報の存在の有無を示す存在情報を付加し、
処理後の前記ストリームを、伝送データとして、前記通信回線を介して前記他のデータ処理装置に送信する
ステップを含み、
送信所側の前記他のデータ処理装置が、前記存在情報に基づいて前記伝送データを処理して、前記伝送データから得られる前記ストリームを、放送信号として送信する
データ処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、データ処理装置、及び、データ処理方法に関し、特に、より柔軟に、デジタルテレビ放送の運用を行うことができるようにしたデータ処理装置、及び、データ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、地上デジタルテレビ放送の放送方式として、日本等が採用するISDB-T(Integrated Services Digital Broadcasting - Terrestrial)においては、物理層の制御情報として、TMCC(Transmission Multiplexing Configuration Control)が規定されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
また、高度広帯域衛星デジタル放送においては、送出側である放送局とアップリンク局との間で、局間信号としてTMCC基本情報を伝送することで、アップリンク局では、TMCC基本情報を使用して、データを伝送することが規定されている(例えば、非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】ARIB STD-B31 2.2版 一般社団法人 電波産業会
【非特許文献2】NEXTVF TR-0004 高度広帯域衛星デジタル放送 運用規定 1.1 版 一般社団法人 次世代放送推進フォーラム(NexTV-F)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、現行の地上デジタルテレビ放送の放送方式の拡張に伴い、送出側である放送局と送信所との間で、より柔軟な運用を行うための提案が要請されていた。
【0006】
本技術はこのような状況に鑑みてなされたものであり、より柔軟に、デジタルテレビ放送の運用を行うことができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術の第1の側面のデータ処理装置は、第1の制御情報及びコンポーネントと、可変長の情報とを含むストリームを処理して、前記可変長の情報の存在の有無を示す可変長情報存在情報を付加する処理部と、処理後の前記ストリームを、伝送データとして、通信回線を介して他のデータ処理装置に送信する送信部とを備えるデータ処理装置である。
【0008】
本技術の第1の側面のデータ処理装置は、独立した装置であってもよいし、1つの装置を構成している内部ブロックであってもよい。また、本技術の第1の側面のデータ処理方法は、上述した本技術の第1の側面のデータ処理装置に対応するデータ処理方法である。
【0009】
本技術の第1の側面のデータ処理装置、及び、データ処理方法においては、第1の制御情報及びコンポーネントと、可変長の情報とを含むストリームを処理して、前記可変長の情報の存在の有無を示す可変長情報存在情報が付加され、処理後の前記ストリームが、伝送データとして、通信回線を介して他のデータ処理装置に送信される。
【0010】
本技術の第2の側面のデータ処理装置は、通信回線を介して、他のデータ処理装置から送信されてくる伝送データを受信する受信部と、前記伝送データを処理する処理部とを備え、前記伝送データは、第1の制御情報及びコンポーネントと、可変長の情報とを含むストリームを処理して、前記可変長の情報の存在の有無を示す可変長情報存在情報を付加することで得られるデータであり、前記処理部は、前記可変長情報存在情報に基づいて、前記伝送データを処理するデータ処理装置である。
【0011】
本技術の第2の側面のデータ処理装置は、独立した装置であってもよいし、1つの装置を構成している内部ブロックであってもよい。また、本技術の第2の側面のデータ処理方法は、上述した本技術の第2の側面のデータ処理装置に対応するデータ処理方法である。
【0012】
本技術の第2の側面のデータ処理装置、及び、データ処理方法においては、通信回線を介して、他のデータ処理装置から送信されてくる伝送データが受信され、前記伝送データが処理される。また、前記伝送データは、第1の制御情報及びコンポーネントと、可変長の情報とを含むストリームを処理して、前記可変長の情報の存在の有無を示す可変長情報存在情報を付加することで得られるデータであり、前記可変長情報存在情報に基づいて、前記伝送データが処理される。
【発明の効果】
【0013】
本技術の第1の側面、及び、第2の側面によれば、より柔軟に、デジタルテレビ放送の運用を行うことができる。
【0014】
なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本技術を適用した伝送システムの一実施の形態の構成を示す図である。
【
図2】放送局側のデータ処理装置の構成例を示す図である。
【
図3】送信所側のデータ処理装置の構成例を示す図である。
【
図5】物理層のフレームの構造と制御情報の配置を説明する図である。
【
図6】高度広帯域衛星デジタル放送におけるTMCC基本情報の伝送方式を説明する図である。
【
図7】本技術の伝送データのフォーマットの例を示す図である。
【
図8】本技術のTLVパケットのシンタックスの例を示す図である。
【
図9】プロトコルサブタイプのシンタックスの例を示す図である。
【
図10】本技術のTMCC情報のシンタックスの例を示す図である。
【
図13】エラー訂正のコードレートの例を示す図である。
【
図16】本技術の緊急警報情報のシンタックスの例を示す図である。
【
図20】JIS X0401で規定される県域コードと、県域コードが表す都道府県との対応関係を示す図である。
【
図21】郵便番号を利用した地域の表現を示す図である。
【
図22】緯度及び経度を利用した地域の表現を示す図である。
【
図23】本技術の局間のデータ伝送処理の流れを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本技術の実施の形態について説明する。なお、説明は以下の順序で行うものとする。
【0017】
1.システムの構成
2.本技術の概要
3.本技術の伝送データのフォーマット
4.本技術の可変長の情報の例
5.本技術の局間のデータ伝送処理の流れ
6.変形例
7.コンピュータの構成
【0018】
<1.システムの構成>
【0019】
(伝送システムの構成例)
図1は、本技術を適用した伝送システムの一実施の形態の構成を示す図である。なお、システムとは、複数の装置が論理的に集合したものをいう。
【0020】
図1において、伝送システム1は、各放送局に関連する施設に設置されるデータ処理装置10-1乃至10-N(Nは1以上の整数)と、送信所に設置されるデータ処理装置20と、エンドユーザが所有する受信装置30-1乃至30-M(Mは1以上の整数)から構成される。
【0021】
また、この伝送システム1において、データ処理装置10-1乃至10-Nと、データ処理装置20とは、通信回線40-1乃至40-Nを介して、接続されている。なお、通信回線40-1乃至40-Nは、例えば専用線とすることができる。
【0022】
データ処理装置10-1は、放送局Aにより制作された放送番組等のコンテンツを処理し、その結果得られる伝送データを、通信回線40-1を介してデータ処理装置20に送信する。
【0023】
データ処理装置10-2乃至10-Nにおいては、データ処理装置10-1と同様に、放送局Bや放送局Z等の各放送局により制作された放送番組等のコンテンツが処理され、その結果得られる伝送データが、通信回線40-2乃至40-Nを介して、データ処理装置20に送信される。
【0024】
データ処理装置20は、通信回線40-1乃至40-Nを介して、放送局側のデータ処理装置10-1乃至10-Nから送信されてくる伝送データを受信する。データ処理装置20は、データ処理装置10-1乃至10-Nからの伝送データを処理し、その結果得られる放送信号を、送信所に設置された送信用アンテナから送信する。
【0025】
これにより、送信所側のデータ処理装置20からの放送信号は、放送伝送路50を介して、受信装置30-1乃至30-Mに送信される。
【0026】
受信装置30-1乃至30-Mは、テレビ受像機やセットトップボックス(STB:Set Top Box)、録画機、ネットワークストレージなどの固定受信機、あるいはスマートフォンや携帯電話機、タブレット型コンピュータ等のモバイル受信機である。また、受信装置30-1乃至30-Mは、例えば車載テレビなどの車両に搭載される機器であってもよい。
【0027】
受信装置30-1は、放送伝送路50を介して、データ処理装置20から送信されてくる放送信号を受信して処理することで、エンドユーザによる選局操作に応じた放送番組等のコンテンツを再生する。
【0028】
受信装置30-2乃至30-Mにおいては、受信装置30-1と同様に、データ処理装置20からの放送信号が処理され、エンドユーザによる選局操作に応じたコンテンツが再生される。
【0029】
なお、伝送システム1において、放送伝送路50は、地上波(地上波放送)のほか、例えば、放送衛星(BS:Broadcasting Satellite)や通信衛星(CS:Communications Satellite)を利用した衛星放送、あるいは、ケーブルを用いた有線放送(CATV:Common Antenna TeleVision)などであってもよい。
【0030】
また、以下の説明では、放送局側のデータ処理装置10-1乃至10-Nを、特に区別する必要がない場合には、データ処理装置10と称し、通信回線40-1乃至40-Nを、特に区別する必要がない場合には、通信回線40と称する。また、受信装置30-1乃至30-Mを、特に区別する必要がない場合には、受信装置30と称する。
【0031】
(放送局側のデータ処理装置の構成例)
図2は、
図1に示した放送局側のデータ処理装置10の構成例を示す図である。
【0032】
図2において、データ処理装置10は、制御部100、コンポーネント処理部101、制御情報生成部102、マルチプレクサ103、パケット生成部104、可変長情報生成部105、データ処理部106、及び送信部107から構成される。
【0033】
制御部100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やマイクロプロセッサ等から構成される。制御部100は、データ処理装置10の各部の動作を制御する。
【0034】
コンポーネント処理部101は、コンテンツを構成するコンポーネントのデータを処理し、その結果得られるコンポーネントのストリームを、マルチプレクサ103に供給する。ここで、コンポーネントのデータは、例えば、ビデオやオーディオ、字幕等のデータであり、これらのデータに対し、例えば、所定の符号化方式に準拠した符号化処理などの処理が行われる。
【0035】
制御情報生成部102は、コンテンツの選局や再生等の処理で用いられる制御情報(上位層の制御情報)を生成し、マルチプレクサ103に供給する。
【0036】
なお、以下の説明では、制御情報(シグナリング)のうち、物理層の処理で用いられる制御情報を、「物理層の制御情報」と称する一方で、物理層よりも上位の層である上位層の処理で用いられる制御情報を、「上位層の制御情報」と称して区別する。
【0037】
マルチプレクサ103は、コンポーネント処理部101から供給されるコンポーネントのストリームと、制御情報生成部102から供給される上位層の制御情報のストリームとを多重化し、その結果得られる多重化ストリームを、パケット生成部104に供給する。なお、ここでは、アプリケーションや時刻情報などの他のストリームが多重化されるようにしてもよい。
【0038】
パケット生成部104は、マルチプレクサ103から供給される多重化ストリームを処理して、所定の形式のパケット(フレーム)を生成し、データ処理部106に供給する。ここでは、例えば、UDP(User Datagram Protocol)やIP(Internet Protocol)、TLV(Type Length Value)などの形式のパケットにカプセル化される。
【0039】
可変長情報生成部105は、可変長の情報を生成し、データ処理部106に供給する。ここでは、可変長の情報として、例えば、物理層の制御情報や、緊急警報情報などを生成することができる。なお、物理層の制御情報や緊急警報情報などの可変長の情報の詳細な内容は、
図10乃至
図22を参照して後述する。
【0040】
データ処理部106は、パケット生成部104から供給される所定の形式のパケット(フレーム)と、可変長情報生成部105から供給される可変長の情報を処理して、伝送データを生成し、送信部107に供給する。なお、伝送データの詳細な内容は、
図7乃至
図9を参照して後述する。
【0041】
送信部107は、例えば、通信I/F回路等から構成される。送信部107は、データ処理部106から供給される伝送データを、通信回線40を介して、送信所側のデータ処理装置20に送信する。
【0042】
放送局側のデータ処理装置10は、以上のように構成される。
【0043】
(送信所側のデータ処理装置の構成例)
図3は、
図1に示した送信所側のデータ処理装置20の構成例を示す図である。
【0044】
図3において、データ処理装置20は、制御部200、受信部201、データ処理部202、フレーム生成部203、及び送信部204から構成される。
【0045】
制御部200は、例えば、CPUやマイクロプロセッサ等から構成される。制御部200は、データ処理装置20の各部の動作を制御する。
【0046】
受信部201は、例えば、通信I/F回路等から構成される。受信部201は、通信回線40を介して、放送局側のデータ処理装置10から送信されてくる伝送データを受信し、データ処理部202に供給する。
【0047】
データ処理部202は、受信部201から供給される伝送データを処理し、その結果得られる、所定の形式のパケット(フレーム)と、物理層の制御情報や緊急警報情報等の可変長の情報を、フレーム生成部203に供給する。
【0048】
フレーム生成部203は、データ処理部202から供給される、所定の形式のパケット(フレーム)と、物理層の制御情報や緊急警報情報等の可変長の情報を処理することで、所定の放送方式に準拠した物理層のフレーム(物理層フレーム)を生成し、送信部204に供給する。
【0049】
送信部204は、フレーム生成部203から供給される物理層フレームに対し、必要な処理を施して、その結果得られる放送信号を、送信所に設置された送信用アンテナから送信する。なお、ここでの必要な処理としては、例えば、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)演算処理やGI(Guard Interval)付加処理、周波数変換処理などが行われる。
【0050】
送信所側のデータ処理装置20は、以上のように構成される。
【0051】
<2.本技術の概要>
【0052】
ところで、日本では、地上デジタルテレビ放送の放送方式として、ISDB-Tが採用されている(例えば、上記の非特許文献1参照)。
【0053】
ISDB-Tにおいては、主に固定受信機向けの放送であり、12セグメントを使用したハイビジョン放送と、主にモバイル受信機向けの放送であり、1セグメントを使用した「携帯電話・移動体端末向けの1セグメント部分受信サービス」(ワンセグ放送)が規定されている。
【0054】
その一方で、日本では、地上デジタルテレビ放送の次世代に向けた高度化の検討が開始されている(以下、この高度化の検討がされている規格を、「ISDB-T2」とも称する)。
【0055】
現行のISDB-Tでは、放送信号の多重化の方式として、周波数分割多重化方式(FDM:Frequency Division Multiplexing)が採用されているが、次世代のISDB-T2においても同様に、周波数分割多重化方式(FDM)が採用されることが想定される。
【0056】
この周波数分割多重化方式(FDM)を採用した場合には、所定の周波数帯域(例えば6MHz)が、複数のセグメントに周波数分割され、1又は複数のセグメントごとの帯域を利用した階層伝送が行われる。この場合に、周波数分割で得られる、1又は複数のセグメントの周波数帯域からなる階層ごとに、例えば、異なるサービスのデータを伝送することができる。
【0057】
すなわち、各階層は、1又は複数のセグメントをまとめた単位である。なお、ISDB-Tにおいては、OFDMセグメントが用いられている。ここで、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)(直交周波数分割多重)では、伝送帯域内に多数の直交するサブキャリア(副搬送波)が設けられ、デジタル変調が行われる。
【0058】
また、次世代のISDB-T2では、新たな物理層の制御情報(シグナリング)として、現行のISDB-Tと同様に、TMCC(Transmission Multiplexing Configuration Control)が規定される予定である。このTMCC情報は、複数の伝送パラメータ(変調パラメータ)が混在する階層伝送において、受信装置30での復調処理や復号処理などを行うための伝送制御情報である。
【0059】
また、現行のISDB-Tでは、伝送方式として、現在広く普及しているMPEG2-TS(Transport Stream)方式を採用しているが、次世代のISDB-T2では、放送と通信の連携を目的として、通信の分野で用いられているIP(Internet Protocol)パケットを、デジタルテレビ放送に適用したIP方式を導入することで、より高度なサービスを提供することが期待されている。
【0060】
このIP方式を採用する場合、UDPパケットを含むIPパケット(UDP/IPパケット)を、放送伝送路50で伝送するためのTLV(Type Length Value)パケットを用いることが想定される。TLVパケットは、可変長のパケットであって、例えば、4~65536バイトのサイズとされる。TLVパケットは、UDP/IPパケットを格納する。
【0061】
また、IP方式を採用する場合には、メディアトランスポート方式として、放送や通信等の多様なネットワークを用いてマルチメディアコンテンツを伝送するためのMMT(MPEG Media Transport)を用いることが想定される。
【0062】
すなわち、このMMTを用いて、ビデオやオーディオ、字幕、上位層の制御情報、アプリケーション、及びコンテンツ等のデータが、UDP/IPパケットに格納され、さらにUDP/IPパケットがTLVパケットにカプセル化され、それにより得られるTLVストリームが、放送波として伝送されることになる。以下、このようなIP方式のトランスポートプロトコルとして、MMTを用いる方式を、TLV/MMT方式とも称する。
【0063】
なお、MMTによるメディアトランスポート方式は、例えば、下記の非特許文献3に規定されている。この非特許文献3においては、上位層の制御情報として、TLV-SIとMMT-SIの2種類の制御情報(SI:Signaling Information)が規定されている。
【0064】
TLV-SIは、IPパケットの多重のためのTLV多重化方式に関わる制御情報である。このTLV-SIには、例えば、TLV-NIT(Network Information Table)やAMT(Address Map Table)などが含まれる。
【0065】
TLV-NITは、TLVパケットによる伝送において、変調周波数等の伝送路の情報と、放送番組とを関連付けるための情報である。AMTは、放送番組番号を識別するためのサービス識別子と、IPパケットとを関連付けるための情報である。なお、MMT-SIは、メディアトランスポート方式であるMMTに関わる制御情報である。このMMT-SIには、放送番組の構成などを示す情報が含まれる。
【0066】
非特許文献3:ARIB STD-B60 1.6版 一般社団法人 電波産業会
【0067】
以上のように、次世代の地上デジタルテレビ放送の放送方式として、現行の地上デジタルテレビ放送の放送方式を拡張して、高度化することが検討されているが、その拡張に伴い、より柔軟に、デジタルテレビ放送の運用を行うことができるようにするための提案が要請されている。
【0068】
特に、送出側において、放送局と送信所(送信局)との間(局間)で伝送される伝送データとして、物理層の制御情報や、緊急警報情報などの可変長の情報を効率よく伝送して、より柔軟な運用を行うための提案が求められている。
【0069】
そこで、本技術では、そのような要請に応えるために、伝送データに、可変長の情報の存在の有無を示す情報(以下、可変長情報存在情報ともいう)を含めることで、物理層の制御情報や、緊急警報情報などの可変長の情報に対する処理を、効率よく行うことができるようにする。その結果として、より柔軟に、デジタルテレビ放送の運用を行うことができるようになる。
【0070】
【0071】
図4には、周波数分割多重化方式(FDM)が採用されている場合おいて、横方向を周波数f(MHz)としたときに、図中の四角で表したセグメントにより、階層が構成されることを示している。
【0072】
すなわち、周波数分割多重化方式(FDM)が採用される場合、所定の周波数帯域(例えば6MHz)が複数のセグメントに周波数分割される。
図4においては、35セグメントに周波数分割されている。
【0073】
ここでは、35個のセグメントのうち、図中の中央の1セグメントを、セグメント#0として、その左右のセグメントを、セグメント#1,#2とし、さらに、その左右のセグメントを、セグメント#3,#4とすることを繰り返していくと、図中の最も左側の1セグメントが、セグメント#33となり、図中の最も右側の1セグメントが、セグメント#34となる。
【0074】
また、1又は複数のセグメントをまとめることで、階層が構成される。
図4においては、セグメント#0乃至#2の3セグメントにより、階層1が構成される。また、セグメント#3,#5と、セグメント#4,#6の4セグメントにより、階層2が構成される。
【0075】
図4では、セグメント#8乃至#29の記述は省略しているが、セグメント#7乃至#30の複数の24セグメントにより、階層3が構成され、セグメント#31とセグメント#32の2セグメントにより、階層4が構成される。そして、セグメント#33とセグメント#34の2セグメントにより、階層5が構成される。
【0076】
このように、周波数分割で得られる、1又は複数のセグメントから階層が構成され、それらの階層ごとに、例えば、異なるサービスのデータを伝送することができる。これにより、例えば、ある放送局が複数のセグメントを使用するといった運用も可能となる。
【0077】
なお、現行のISDB-Tでは、13セグメントに分割され、伝送可能な階層数は、最大で3階層とされていたが、本技術においては、伝送可能なセグメント数と階層数が増加して、より多くの階層を扱うことが可能となるので、より多様なサービスを提供することができる。
【0078】
(物理層フレームの構造)
図5は、物理層のフレームの構造と、制御情報の配置を説明する図である。
【0079】
図5には、現行のISDB-TのOFDMセグメントの構成を示している。
図5において、横方向は、サブキャリアの番号(キャリア番号)を表す周波数軸であり、縦方向は、OFDMシンボルの番号(OFDMシンボル番号)を表す時間軸である。
【0080】
ここで、ISDB-Tでは、OFDMのサブキャリアの間隔が異なるモード1,2,3の3つの伝送モードが規定されている。また、ISDB-Tでは、サブキャリアの変調方式として、QPSK(Quaternary Phase Shift Keying),16QAM(Quadrature Amplitude Modulation),64QAM、及び、DQPSK(Differential QPSK)の4つの変調方式が規定されている。
【0081】
図5は、伝送モードがモード1で、変調方式がDQPSKのOFDMセグメントの構成を示している。
図5においては、204個のOFDMシンボルにより、1個のOFDMフレームが構成されている。
【0082】
図5において、Si,jは、上位層のデータで変調されたサブキャリアのデータシンボル(キャリアシンボル)を表し、OFDMセグメントは、データシンボルに、パイロット信号であるCP(Continual Pilot)や、TMCC信号、AC(Auxiliary Channel)信号の各シンボル(サブキャリア)が付加されて構成される。なお、現行のISDB-TのOFDMセグメントの構成については、上記の非特許文献1の「3.12 フレーム構成」などに記載されている。
【0083】
本技術では、物理層フレームの構造として、
図5に示したOFDMセグメントで構成されるOFDMフレームに準ずる物理層フレームなどを採用することができる。すなわち、送信所側のデータ処理装置20において、フレーム生成部203は、
図5のOFDMフレームに準ずる物理層フレーム等を生成することができる。
【0084】
ここで、本技術の物理層フレームの構造として、
図5に示したOFDMフレームに準ずる物理層フレームを採用した場合、TMCC信号として、本技術のTMCC情報が伝送され、AC信号として、本技術の緊急警報情報を含むAC情報が伝送されることになる。
【0085】
本技術のTMCC情報は、可変長の制御情報(物理層の制御情報)である。本技術のTMCC情報には、階層ごとに、変調パラメータや、伝送するデータの種類を示す情報などが含まれる。なお、本技術のTMCC情報の詳細な内容については、
図10乃至
図15を参照して後述する。
【0086】
AC情報は、放送に関する付加情報であって、例えば、伝送制御に関する付加情報、又は緊急警報情報を含む。本技術では、AC情報として、緊急警報情報が伝送される場合を説明する。本技術の緊急警報情報は、可変長の情報であって、地震や豪雨等の災害に関する緊急警報の内容を示す情報などが含まれる。なお、本技術の緊急警報情報の詳細な内容については、
図16乃至
図22を参照して後述する。
【0087】
(局間のデータ伝送)
上記の非特許文献2には、高度広帯域衛星デジタル放送において、送出側である放送局とアップリンク局との間で、局間信号としてTMCC基本情報を伝送することで、アップリンク局では、TMCC基本情報を使用して、データを伝送することが規定されている。ここで、TMCC基本情報は、アップリンク局側で、TMCC情報を生成するために、放送局側から送られる情報である。
【0088】
図6には、高度広帯域衛星デジタル放送におけるTMCC基本情報の伝送方式を示している。
【0089】
図6に示すように、放送局側においては、主信号としてのTLVパケットに、22バイトのスロットヘッダを付加して、TLVフレーム化するに際し、35バイトのTMCC基本情報が付加されるようにする。そして、放送局側では、このようにして得られるTLVフレームを、イーサネット(登録商標)のフレーム形式にカプセル化してから、TLV多重化出力として、アップリンク局側に送信することになる。
【0090】
これにより、アップリンク局側においては、放送局側から送信されてくるTMCC基本情報を用い、TMCC情報を生成することが可能となる。
【0091】
なお、TMCC基本情報の詳細な内容については、上記の非特許文献2の「第七編 高度BS デジタル放送送出運用規定」の「付録1 TMCC 基本情報の伝送方法と構成」に記載されているため、ここでは、その詳細な内容の説明は省略するものとする。
【0092】
一方で、上述したように、次世代の地上デジタルテレビ放送においても、放送局側から送信所側に、物理層の制御情報(TMCC情報)を通知する運用が想定されている。
【0093】
すなわち、例えば、
図1の伝送システム1において、放送局側のデータ処理装置10と、送信所側のデータ処理装置20との間(局間)で、可変長のTMCC情報などが伝送されることになるが、本技術では、この可変長の情報の存在を示す可変長情報存在情報を、伝送データに含めることで、TMCC情報などの可変長の情報に対する処理を、効率よく行うことができるようにする。
【0094】
以下、本技術の伝送データの詳細な内容について説明する。
【0095】
<3.本技術の伝送データのフォーマット>
【0096】
(局間の伝送データの構造)
図7は、本技術の伝送データのフォーマットの例を示す図である。
【0097】
本技術の伝送データは、放送局と送信所(送信局)との局間で伝送すべきデータを、イーサネット(登録商標)のフレーム形式にカプセル化している。
【0098】
図7において、本技術の伝送データは、宛先MACアドレス、送信元MACアドレス、プロトコルタイプ、プロトコルサブタイプ、プロトコルバージョン、IPv4ヘッダ、UDPヘッダ、DATAパケット、TMCC情報、緊急警報情報、及びFCSから構成される。
【0099】
宛先MACアドレスは、伝送データの宛先の機器のMAC(Media Access Control)アドレスを表している。ここでは、送信所に設置されるデータ処理装置20のMACアドレスが指定される。
【0100】
送信元MACアドレスは、伝送データの送信元の機器のMACアドレスを表している。ここでは、放送局に関連する施設に設置されるデータ処理装置10のMACアドレスが指定される。
【0101】
プロトコルタイプは、上位層のプロトコルを識別するためのタイプを表している。ここでは、例えば、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)で規定された値が指定される。
【0102】
プロトコルサブタイプは、プロトコルタイプでは指定できないようなタイプを表している。ここでは、例えば、TMCC情報や緊急警報情報などの可変長の情報の存在の有無や、伝送するデータの種類を示す情報などが指定される。
【0103】
プロトコルバージョンは、可変長の情報のバージョンを表す。このバージョンは、TMCC情報や緊急警報情報などの可変長の情報が更新される度に、1ずつインクリメントされる。
【0104】
IPv4ヘッダは、IPv4(Internet Protocol version 4)のIPパケットに付加されるヘッダである。
【0105】
UDPヘッダは、UDPパケットに付加されるヘッダである。
【0106】
DATAパケットは、上位層の制御情報やコンポーネントのストリームを格納したパケットである。このDATAパケットは、例えば、UDP/IPパケットなどとされる。
【0107】
TMCC情報は、可変長の制御情報(物理層の制御情報)である。すなわち、このTMCC情報は、送信所側のデータ処理装置20で、TMCC情報を得るために、放送局側のデータ処理装置10から送られる情報である。
【0108】
TMCC情報には、階層ごとに、変調パラメータや、伝送するデータの種類を示す情報などが含まれる。なお、本技術のTMCC情報の詳細な内容については、
図10乃至
図15を参照して後述する。
【0109】
緊急警報情報は、可変長の情報であって、地震や豪雨等の災害に関する緊急警報の内容を示す情報などが含まれる。なお、本技術の緊急警報情報の詳細な内容については、
図16乃至
図22を参照して後述する。
【0110】
フレームチェックシーケンス(FCS:Frame Check Sequence)は、伝送データの誤り検出及び誤り訂正を行うために付加されたチェックサム符号である。このフレームチェックシーケンス(FCS)により、送信所側のデータ処理装置20は、放送局側のデータ処理装置10から受信した伝送データに、誤りがないかどうかをチェックすることができる。
【0111】
本技術の伝送データは、以上のように構成される。
【0112】
(TLVパケットの構造)
図8は、
図7に示した本技術の伝送データに含まれるTLVパケットのシンタックスの例を示す図である。すなわち、
図8に示した形式からなるTLVパケットを、イーサネット(登録商標)のフレーム形式にカプセル化することで、
図7の伝送データが得られる。
【0113】
16ビットのProtocol_Typeは、プロトコルタイプを表している。ここでは、例えば、IEEEで規定された値が指定される。
【0114】
16ビットのProtocol_Subtypeは、プロトコルサブタイプを表している。ここで、
図9には、Protocol_Subtypeのシンタックスの例を示している。ただし、Protocol_Subtypeの16ビットは、ビット列として扱われる。
【0115】
図9に示すように、Protocol_Subtypeの16ビット(0~15ビット)のうち、最下位ビット(LSB:Least Significant Bit)から3ビット目までの下位3ビット(0~2ビット)は、伝送されるデータの種類を表している。このデータの種類としては、例えば、MPEG2-TS方式や、TLV/MMT方式が指定される。
【0116】
例えば、次世代の地上デジタルテレビ放送の放送方式として、TLV/MMT方式が採用される場合、下位3ビット(0~2ビット)には、"001"が指定される。また、MPEG2-TS方式が採用される場合、下位3ビット(0~2ビット)には、"000"が指定される。
【0117】
このように、Protocol_Subtypeの16ビットのうち、下位3ビット(0~2ビット)によって、伝送するデータの種類を指定することができるため、TLV/MMT方式やMPEG2-TS方式など、様々な種類のデータを伝送することが可能となる。
【0118】
なお、TLV/MMT方式やMPEG2-TS方式は、伝送するデータの種類の一例であって、他の種類のデータが伝送される場合には、下位3ビット(0~2ビット)のうち、"2"~"7"("010"~"111")の将来の予約用のビットを利用することで、他の種類のデータを指定することが可能となる。
【0119】
Protocol_Subtypeの16ビット(0~15ビット)のうち、最下位ビット(LSB)から4ビット目の1ビットは、DATAパケットの存在の有無を表している。例えば、この1ビットには、DATAパケットが存在する場合、"1"が指定され、DATAパケットが存在しない場合、"0"が指定される。
【0120】
Protocol_Subtypeの16ビット(0~15ビット)のうち、最下位ビット(LSB)から5ビット目の1ビットは、TMCC情報の存在の有無を表している。例えば、この1ビットには、TMCC情報が存在する場合、"1"が指定され、TMCC情報が存在しない場合、"0"が指定される。
【0121】
Protocol_Subtypeの16ビット(0~15ビット)のうち、最下位ビット(LSB)から6ビット目の1ビットは、緊急警報情報の存在の有無を表している。例えば、この1ビットには、緊急警報情報が存在する場合、"1"が指定され、緊急警報情報が存在しない場合、"0"が指定される。
【0122】
なお、Protocol_Subtypeの16ビット(0~15ビット)のうち、7ビット目から、最上位ビット(MSB:Most Significant Bit)までの上位10ビット(6~15ビット)は、将来の予約の領域とされる。
【0123】
図8の説明に戻り、8ビットのProtocol_Versonは、プロトコルバージョンを表している。ここでは、例えば、TMCC情報や緊急警報情報などの可変長の情報が更新される度に、1ずつインクリメントされる。
【0124】
16ビットのLEN_DATA_Packetは、DATAパケットの長さを表している。DATA_Packetには、LEN_DATA_Packetが示す長さに応じた可変長のDATAパケットが配置される。例えば、DATAパケットとしては、UDP/IPパケットを配置することができる。
【0125】
TMCCには、可変長の情報であるTMCC情報が配置される。なお、本技術のTMCC情報の詳細な内容については、
図10乃至
図15を参照して後述する。
【0126】
EA_infoには、可変長の情報である緊急警報情報が配置される。なお、本技術の緊急警報情報の詳細な内容については、
図16乃至
図22を参照して後述する。
【0127】
以上のように、本技術の伝送データ(のTLVパケット)には、プロトコルタイプやプロトコルサブタイプが付加されているので、送信所側のデータ処理装置20では、TMCC情報や緊急警報情報などの可変長の情報の存在の有無を識別することができる。また、本技術の伝送データ(のTLVパケット)には、プロトコルバージョンが付加されているので、送信所側のデータ処理装置20では、TMCC情報や緊急警報情報などの可変長の情報の更新を検出することができる。
【0128】
<4.本技術の可変長の情報の例>
【0129】
(本技術のTMCC情報のシンタックスの例)
図10は、本技術のTMCC情報のシンタックスの例を示す図である。なお、各階層の変調パラメータについては、
図11乃至
図15を適宜参照しながら、説明するものとする。
【0130】
8ビットのLEN_TMCCは、TMCC情報(TMCC)の長さを表している。
【0131】
8ビットのLEN_TMCC_Parityは、TMCC情報のパリティ(TMCC_Parity)の長さを表している。
【0132】
なお、LEN_TMCC_Parityは、あらかじめ対象の規格により、固定値として規定されている場合には、指定する必要はない。すなわち、TMCC情報に関する長さの情報として、対象の規格でパリティ長が固定値として規定されていない場合には、可変長となるTMCC情報の長さとともに、TMCC情報のパリティ長が指定される。
【0133】
16ビットのParityは、LEN_TMCCと、LEN_TMCC_Parityに付加されるパリティを表している。このパリティを用いた巡回冗長検査(CRC:Cyclic Redundancy Check)によって、TMCC情報に関する長さの情報の誤り検出が行われる。この誤り検出で、データの破損が検出された場合には、対象のTMCC情報は、破棄される。
【0134】
6ビットのNUM_LAYERは、階層数を表している。この階層数としては、例えば、最大で64階層まで指定可能となる。このNUM_LAYERで指定される階層数に応じた階層ループ内に、階層ごとに、num_segment,layer_fft_size,layer_mod,layer_cod,layer_gi,packet_typeのセットが繰り返し配置される。
【0135】
6ビットのnum_segmentは、対象の階層のセグメント数を表している。
【0136】
2ビットのlayer_fft_sizeは、対象の階層のFFTサイズを表している。このFFTサイズとしては、例えば、
図11に示すように、8K,16K,32Kなどを指定することができる。なお、1Kは、1024点を意味している。
【0137】
3ビットのlayer_modは、対象の階層のキャリア変調方式を表している。このキャリア変調方式としては、例えば、
図12に示すように、QPSK,16QAM,64QAM-NUC(Non Uniform Constellation),256QAM-NUC,1024QAM-NUC,4096QAM-NUCなどを指定することができる。
【0138】
3ビットのlayer_codは、対象の階層のエラー訂正のコードレートを表している。このコードレートとしては、例えば、
図13に示すように、1/2,2/3,3/4,5/6,7/8などを指定することができる。
【0139】
3ビットのlayer_giは、対象の階層のガードインターバルを表している。このガードインターバルとしては、例えば、
図14に示すように、1/4,1/8,1/16,1/32などを指定することができる。なお、例えば、「1/4」は、GI長が、OFDMシンボルのシンボル長(有効シンボル長)の1/4であることを表している。
【0140】
3ビットのpacket_typeは、対象の階層で、伝送するデータの種類を表している。このデータ種類としては、例えば、
図15に示すように、MPEG2-TS方式や、TLV/MMT方式が指定される。
【0141】
例えば、次世代の地上デジタルテレビ放送の放送方式として、TLV/MMT方式が採用される場合には、packet_typeとして、"1"が指定される。また、MPEG2-TS方式が採用される場合には、packet_typeとして、"0"が指定される。
【0142】
このように、packet_typeによって、伝送するデータの種類を指定することができるため、階層ごとに、TLV/MMT方式やMPEG2-TS方式など、様々な種類のデータを伝送することが可能となる。
【0143】
なお、TLV/MMT方式やMPEG2-TS方式は、伝送するデータの種類の一例であって、他の種類のデータが伝送される場合には、"2"~"7"の将来の予約(reserved)のビットを利用することで、他の種類のデータを指定することが可能となる。
【0144】
以上が、階層ループ内のフィールドとされる。
【0145】
TMCC_Parityは、TMCC情報に付加されるパリティを表している。このパリティを用いた巡回冗長検査(CRC)によって、TMCC情報に対する誤り検出が行われる。なお、このパリティは、LEN_TMCC_Parityで指定されるパリティ長からなる。ただし、このパリティ長は、あらかじめ対象の規格で規定された固定長とすることもできる。
【0146】
なお、
図10において、Mnemonicとして、uimsbf(unsigned integer most significant bit first)が指定された場合、ビット演算をして、整数として扱われることを意味している。また、bslbf(bit string, left bit first)が指定された場合には、ビット列として扱われることを意味する。これらについては、後述する
図16についても同様とされる。
【0147】
以上、本技術の可変長の情報の例として、TMCC情報について説明した。
【0148】
(本技術の緊急警報情報のシンタックスの例)
図16は、本技術の緊急警報情報のシンタックスの例を示す図である。なお、各メッセージの災害種別コードや地域コードなどについては、
図17乃至
図22を適宜参照しながら、説明するものとする。
【0149】
8ビットのLEN_EA_infoは、緊急警報情報(EA_info)の長さを表している。
【0150】
8ビットのLEN_EA_Parityは、緊急警報情報のパリティ(EA_Parity)の長さを表している。
【0151】
なお、LEN_EA_Parityは、あらかじめ対象の規格により、固定値として規定されている場合には、指定する必要はない。すなわち、緊急警報情報に関する長さの情報として、対象の規格でパリティ長が固定値として規定されていない場合には、可変長となる緊急警報情報の長さとともに、緊急警報情報のパリティ長が指定される。
【0152】
16ビットのParityは、LEN_EA_infoと、LEN_EA_Parityに付加されるパリティを表している。このパリティを用いた巡回冗長検査(CRC)によって、緊急警報情報に関する長さの情報の誤り検出が行われる。この誤り検出で、データの破損が検出された場合には、対象の緊急警報情報は、破棄される。
【0153】
1ビットのEA_EXIST_FLAGは、緊急警報情報において、EA_EXIST_FLAGよりも後段の情報が存在するかどうかを示すフラグである。
【0154】
EA_EXIST_FLAGが、後段の情報が存在することを示している場合、EA_EXIST_FLAGに続いて、version,NUM_EA_MESSAGEがそれぞれ配置される。
【0155】
8ビットのversionは、緊急警報情報のバージョンを表している。このバージョンは、例えば、緊急警報情報が更新される度に、1ずつインクリメントされる。
【0156】
NUM_EA_MESSAGEは、災害種別コードの数を表している。このNUM_EA_MESSAGEで指定される災害種別コードの数に応じたEAメッセージループ内に、EA_code,EA_status,location_type,location_length,location_codeのセットが繰り返し配置される。
【0157】
8ビットのEA_codeは、災害種別コードを表している。例えば、
図17に示すように、EA_codeは、緊急警報の内容を表すEA_message_data(緊急警報情報)に対応付けることで、各種の警報を表すメッセージを通知することができる。なお、例えば、
図17に示したテーブルは、データ処理装置20からの放送信号に含めて送信されるようにすることで、受信装置30により受信され、保持される。
【0158】
2ビットのEA_statusは、緊急警報の状態を表している。この緊急警報の状態としては、例えば、
図18に示すように、「緊急警報が開始される」ことや、「緊急警報が継続している」こと、「緊急警報が終了している」ことが指定される。
【0159】
3ビットのlocation_typeは、地域コードの種類を表している。location_lengthは、地域コードの長さ(サイズ)を表している。location_codeは、地域コードを表している。
【0160】
【0161】
location_typeとして、"0"が指定された場合、警報の対象が全国であることを表す。location_typeが"0"である場合、その後に、location_length及びlocation_codeは配置されない(又は、配置されていても、受信装置30で無視される)。
【0162】
location_typeとして、"1"が指定された場合、location_codeが、あらかじめ決められた所定のコード、すなわち、例えば、JIS X0401で規定される県域コードで地域を表現することを表す。県域コードと、県域コードが表す都道府県との対応関係は、例えば、受信装置30にプリセットしておくことができる。
【0163】
なお、JIS X0401で規定される県域コードは、8ビットで表される。したがって、location_typeが"1"である場合、location_codeのサイズは、8ビット固定になる。
【0164】
以上のように、location_typeが"1"である場合には、location_codeのサイズは、一意に、8ビットになり、変化しないので、緊急警報情報(
図16)には、location_codeのサイズを表すlocation_lengthは、配置する必要がない。
【0165】
location_typeとして、"2"が指定された場合、location_codeが、郵便番号を利用して地域を表現することを表す。
【0166】
郵便番号は、7桁の10進数であり、location_codeが、郵便番号を利用して地域を表現する場合、location_codeには、郵便番号の全部又は一部としての10進数をBCD(Binary coded Decimal)で表現した値がセットされる。
【0167】
ここで、BCDによれば、10進数の各桁が4ビットで表される。また、郵便番号の7桁の全部を用いて地域を表現するときに、location_codeのサイズは、最大になる。したがって、郵便番号を利用して地域を表現するlocation_codeの最大サイズは、28ビット=7桁×4ビットになる。
【0168】
郵便番号を利用して地域を表現するlocation_codeが表す数値の最大の桁数は、郵便番号の7桁であり、その桁数である7を表現することができる最小のビット数である3ビットが、location_lengthに割り当てられる。3ビットのlocation_lengthは、location_codeが表す郵便番号の全部又は一部としての10進数の桁数を表す値にセットされる。
【0169】
location_typeとして、"3"が指定された場合、location_codeが、緯度及び経度を利用して地域を表現することを表す。
【0170】
この場合、location_codeには、例えば、2地点の緯度及び経度がセットされ、かかるlocation_codeは、その2地点を対角線とする長方形の地域を表す。緯度及び経度としては、例えば、最大で、3桁の整数部と6桁の小数部とからなる9桁の10進数を採用することができる。
【0171】
location_codeには、緯度及び経度としての10進数をBCDで表した数値がセットされる。ここでは、緯度及び経度のそれぞれは、上述したように、最大で、9桁の10進数で表され、したがって、BCDで表した数値がセットされるlocation_codeの最大サイズは、144ビット=((9桁×4ビット)+(9桁×4ビット))×2地点になる。
【0172】
また、緯度及び経度それぞれとしての10進数の最大の桁数である9を表現することができる最小のビット数である4ビットが、location_lengthに割り当てられる。4ビットのlocation_lengthは、location_codeにセットされる緯度及び経度それぞれとしての10進数の桁数を表す値にセットされる。
【0173】
値が"4"~"7"のlocation_typeは、将来の予約(reserved)になっている。
【0174】
図20は、JIS X0401で規定される県域コードと、県域コードが表す都道府県との対応関係を示す図である。
【0175】
受信装置30に、
図20に示す県域コードと都道府県との対応関係をプリセットしておくことにより、受信装置30において、県域コードが表す地域(都道府県)を認識することができる。
【0176】
図21は、郵便番号を利用した地域の表現を説明する図である。
【0177】
7桁の郵便番号は、町域及び超高層ビルに設定される。
【0178】
7桁の郵便番号の上位2桁は、
図21に示すように、都道府県を表す。また、7桁の郵便番号の上位3桁又は上位5桁は、管轄する郵便局を表す。郵便局が管轄する地域は定まっているので、郵便番号の上位3桁又は上位5桁は、その上位3桁又は上位5桁が表す郵便局が管轄する地域を表していると捉えることができる。
【0179】
郵便番号の上位3桁が、管轄する郵便局を表す場合、残りの下位4桁は、町域(又は超高層ビル)の町域番号を表す。また、郵便番号の上位5桁が、管轄する郵便局を表す場合、残りの下位2桁は、町域番号を表す。
【0180】
例えば、7桁の郵便番号については、その7桁の郵便番号や、上位2桁、上位3桁、上位5桁を、location_codeに用いることができる。
【0181】
図22は、緯度及び経度を利用した地域の表現を説明する図である。
【0182】
緯度及び経度を利用して地域を表現する場合、location_codeには、2地点の緯度及び経度がセットされる。かかるlocation_codeは、そのlocation_codeに緯度及び経度がセットされた2地点を対角線とする長方形の地域を表す。
【0183】
以上のように、location_codeとしては、location_typeによって、JIS X0401で規定される県域コードや、郵便番号、緯度及び経度等を使用することができ、これにより、都道府県や地方等の比較的大きな地域や、市町村等の比較的小さな地域、その他、任意の大きさの地域を、必要に応じて指定することができる。
【0184】
図16の説明に戻り、以上が、EAメッセージループ内のフィールドとされる。
【0185】
EA_Parityは、緊急警報情報に付加されるパリティを表している。このパリティを用いた巡回冗長検査(CRC)によって、緊急警報情報に対する誤り検出が行われる。なお、このパリティは、LEN_EA_Parityで指定されるパリティ長からなる。ただし、このパリティ長は、あらかじめ対象の規格で規定された固定長とすることもできる。
【0186】
以上、本技術の可変長の情報の例として、緊急警報情報について説明した。
【0187】
なお、上述した説明では、本技術の可変長の情報として、物理層の制御情報としてのTMCC情報と、AC情報として伝送される緊急警報情報を説明したが、他の可変長の情報であってもよい。そして、他の可変長の情報を、
図7に示したイーサネット(登録商標)のフレーム形式にカプセル化した場合には、当該他の可変長の情報の存在の有無が、プロトコルサブタイプにより指定され、当該他の可変長の情報の更新の有無が、プロトコルバージョンにより指定されることになる。
【0188】
<5.本技術の局間のデータ伝送処理の流れ>
【0189】
次に、
図23のフローチャートを参照して、放送局側のデータ処理装置10と、送信所側のデータ処理装置20との間で行われる局間のデータ伝送処理の流れを説明する。
【0190】
なお、
図23において、ステップS101乃至S107の処理は、放送局側のデータ処理装置10により実行され、ステップS201乃至S204の処理は、送信所側のデータ処理装置20により実行される。
【0191】
ステップS101において、コンポーネント処理部101は、ビデオやオーディオ、字幕のコンポーネントのデータに対し、符号化処理などの処理を施し、その結果得られるデータを、マルチプレクサ103に供給する。
【0192】
ステップS102において、制御情報生成部102は、上位層の制御信号を生成し、マルチプレクサ103に供給する。ここでは、例えば、TLV/MMT方式が採用される場合には、上位層の制御信号として、TLV-SIが生成される。
【0193】
ステップS103において、マルチプレクサ103は、ステップS101の処理で得られるコンポーネントのストリームと、ステップS102の処理で得られる上位層の制御信号のストリームとを多重化し、その結果得られる多重化ストリームを、パケット生成部104に供給する。
【0194】
ステップS104において、パケット生成部104は、ステップS103の処理で得られる多重化ストリームを処理し、所定の形式のパケットを生成する。ここでは、例えば、多重化ストリームから得られるデータをペイロードに格納したUDP/IPパケットが生成され、データ処理部106に供給される。
【0195】
ステップS105において、可変長情報生成部105は、可変長の情報を生成し、データ処理部106に供給する。ここでは、例えば、可変長の情報として、物理層の制御情報としてのTMCC情報と、緊急警報情報が生成される。
【0196】
ステップS106において、データ処理部106は、ステップS104の処理で得られた所定の形式のパケットと、ステップS105の処理で得られた可変長の情報を処理して、所定のフレーム形式からなる伝送データを生成し、送信部107に供給する。
【0197】
ここでは、例えば、ステップS104の処理でUDP/IPパケットが得られ、ステップS105の処理でTMCC情報と緊急警報情報が得られるので、
図8に示した形式からなるTLVパケットを生成して、当該TLVパケットを、
図7に示したイーサネット(登録商標)のフレーム形式にカプセル化することで、本技術の伝送データが生成される。
【0198】
すなわち、この伝送データには、TMCC情報と緊急警報情報の存在の有無を識別するためのプロトコルサブタイプと、TMCC情報と緊急警報情報の更新を検出するためのプロトコルバージョンとが付加されている。
【0199】
ステップS107において、送信部107は、ステップS106の処理で得られた伝送データを、通信回線40を介して、送信所側のデータ処理装置20に送信する。
【0200】
以上のような処理が、放送局側のデータ処理装置10により行われる。一方で、送信所側のデータ処理装置20では、以下のような処理が行われる。
【0201】
ステップS201において、受信部201は、放送局側のデータ処理装置10から送信されてくる伝送データを受信し、データ処理部202に供給する。
【0202】
ステップS202において、データ処理部202は、ステップS201の処理で得られる伝送データを処理し、所定の形式のパケットや、可変長の情報を抽出する。ここでは、例えば、所定の形式のパケットとして、TLVパケットが抽出され、可変長の情報として、物理層の制御情報としてのTMCC情報と、緊急警報情報が抽出される。
【0203】
このとき、伝送データ(のTLVパケット)には、プロトコルサブタイプが付加されているので、データ処理部202は、TMCC情報や緊急警報情報などの可変長の情報の存在の有無を識別し、その認識結果に応じた処理を行うことができる。例えば、データ処理部202は、プロトコルサブタイプの解析結果に従い、伝送データに、TMCC情報や緊急警報情報が存在している場合にのみ、TMCC情報や緊急警報情報に関する処理を行うことができる。
【0204】
また、伝送データ(のTLVパケット)には、プロトコルバージョンが付加されているので、データ処理部202は、TMCC情報や緊急警報情報などの可変長の情報の更新を検出し、その検出結果に応じた処理を行うことができる。例えば、データ処理部202は、プロトコルバージョンの解析結果に従い、バージョンが更新されたTMCC情報や緊急警報情報のみを取得し、未更新のTMCC情報や緊急警報情報を無視することができる。
【0205】
データ処理部202は、ステップS202の処理で得られる所定の形式のパケット(TLVパケット)とともに、可変長の情報(TMCC情報や緊急警報情報)を、フレーム生成部203に供給する。
【0206】
ステップS203において、フレーム生成部203は、ステップS202の処理で得られる所定の形式のパケットや可変長の情報を処理して、物理層フレームを生成し、送信部204に供給する。
【0207】
ここでは、ステップS202の処理で、TLVパケットと、TMCC情報や緊急警報情報が得られるので、例えば、
図5に示した構造からなる物理層フレームが生成される。ただし、例えば、伝送データから、可変長の情報として、緊急警報情報が未取得である場合には、物理層フレームに対し、緊急警報情報を含める必要はない。
【0208】
ステップS204において、送信部204は、ステップS203の処理で得られる物理層フレームに対し、TMCC情報等に応じた必要な処理(例えば、IFFT演算処理等)を施して、その結果得られる放送信号を、周波数分割多重化方式(FDM)により、送信所に設置された送信用アンテナから送信する。
【0209】
これにより、
図1の伝送システム1において、受信装置30では、放送伝送路50を介して、送信所側のデータ処理装置20から送信されてくる放送信号が受信され、エンドユーザによる選局操作に応じた放送番組が再生される。
【0210】
以上、本技術の局間のデータ伝送処理の流れを説明した。
【0211】
<6.変形例>
【0212】
(他の放送規格への適用)
上述した説明としては、デジタルテレビ放送の規格として、日本等で採用されている方式であるISDB(Integrated Services Digital Broadcasting)を説明したが、本技術は、米国等が採用する方式であるATSC(Advanced Television Systems Committee)や、欧州の各国等が採用する方式であるDVB(Digital Video Broadcasting)などに適用するようにしてもよい。
【0213】
すなわち、ATSCやDVBでは、放送信号の多重化の方式として、周波数分割多重化方式(FDM)ではなく、時分割多重化方式(TDM:Time Division Multiplexing)が採用されるが、この時分割多重化方式(TDM)を採用した場合でも、本技術を適用することができる。また、上述した階層は、概念的にはPLP(Physical Layer Pipe)として捉えることも可能である。この場合、複数階層は、M-PLP(Multiple-PLP)であるとも言える。
【0214】
また、デジタルテレビ放送の規格としては、地上波放送のほか、放送衛星(BS:Broadcasting Satellite)や通信衛星(CS:Communications Satellite)等を利用した衛星放送や、ケーブルテレビ(CATV)等の有線放送などの規格にも適用することができる。
【0215】
(パケットや制御情報の他の例)
また、上述したパケットやフレーム、制御情報などの名称は、一例であって、他の名称が用いられる場合がある。ただし、これらの名称の違いは、形式的な違いであって、対象のパケットやフレーム、制御情報などの実質的な内容が異なるものではない。
【0216】
例えば、TLVパケットは、ALP(ATSC Link-layer Protocol)パケットやGenericパケットなどを称される場合がある。また、フレームとパケットは、同じ意味で用いられる場合がある。また、上述した説明では、IPv4(Internet Protocol version 4)のIPパケットについて説明したが、IPv6(Internet Protocol version 6)のIPパケットが用いられるようにしてもよい。
【0217】
(他の規格への適用)
また、本技術は、伝送路として、放送伝送路50以外の伝送路、すなわち、例えば、インターネットや電話網等の通信伝送路(通信回線)などを利用することを想定して規定されている所定の規格(デジタルテレビ放送の規格以外の規格)などにも適用することができる。その場合には、伝送システム1(
図1)の伝送路としては、インターネットや電話網等の通信伝送路が利用され、データ処理装置20は、インターネット上に設けられた通信サーバとすることができる。そして、当該通信サーバと、受信装置30とが、通信伝送路を介して双方向の通信を行うことになる。
【0218】
<7.コンピュータの構成>
【0219】
上述した一連の処理(本技術の局間のデータ伝送処理)は、ハードウェアにより実行することもできるし、ソフトウェアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行する場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。
図24は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウェアの構成例を示す図である。
【0220】
コンピュータ1000において、CPU(Central Processing Unit)1001、ROM(Read Only Memory)1002、RAM(Random Access Memory)1003は、バス1004により相互に接続されている。バス1004には、さらに、入出力インターフェース1005が接続されている。入出力インターフェース1005には、入力部1006、出力部1007、記録部1008、通信部1009、及び、ドライブ1010が接続されている。
【0221】
入力部1006は、キーボード、マウス、マイクロフォンなどよりなる。出力部1007は、ディスプレイ、スピーカなどよりなる。記録部1008は、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる。通信部1009は、ネットワークインターフェースなどよりなる。ドライブ1010は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体1011を駆動する。
【0222】
以上のように構成されるコンピュータ1000では、CPU1001が、ROM1002や記録部1008に記録されているプログラムを、入出力インターフェース1005及びバス1004を介して、RAM1003にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0223】
コンピュータ1000(CPU1001)が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブル記録媒体1011に記録して提供することができる。また、プログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線又は無線の伝送媒体を介して提供することができる。
【0224】
コンピュータ1000では、プログラムは、リムーバブル記録媒体1011をドライブ1010に装着することにより、入出力インターフェース1005を介して、記録部1008にインストールすることができる。また、プログラムは、有線又は無線の伝送媒体を介して、通信部1009で受信し、記録部1008にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM1002や記録部1008に、あらかじめインストールしておくことができる。
【0225】
ここで、本明細書において、コンピュータがプログラムに従って行う処理は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に行われる必要はない。すなわち、コンピュータがプログラムに従って行う処理は、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含む。また、プログラムは、1のコンピュータ(プロセッサ)により処理されるものであってもよいし、複数のコンピュータによって分散処理されるものであってもよい。
【0226】
なお、本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0227】
また、本技術は、以下のような構成をとることができる。
【0228】
(1)
第1の制御情報及びコンポーネントと、可変長の情報とを含むストリームを処理して、前記可変長の情報の存在の有無を示す可変長情報存在情報を付加する処理部と、
処理後の前記ストリームを、伝送データとして、通信回線を介して他のデータ処理装置に送信する送信部と
を備えるデータ処理装置。
(2)
前記可変長の情報は、第2の制御情報及び緊急警報情報のうちの少なくとも一方の情報である
(1)に記載のデータ処理装置。
(3)
前記処理部は、前記ストリームを処理して、前記可変長の情報のバージョンを示すバージョン情報を付加する
(2)に記載のデータ処理装置。
(4)
前記処理部は、前記ストリームを処理して、前記ストリームのデータの種類を示すデータ種類情報を付加する
(2)又は(3)に記載のデータ処理装置。
(5)
前記他のデータ処理装置は、前記伝送データから得られる前記ストリームを、周波数分割多重化方式(FDM:Frequency Division Multiplexing)により、放送信号として送信する
(2)乃至(4)のいずれかに記載のデータ処理装置。
(6)
前記第1の制御情報は、物理層よりも上位の層である上位層の制御情報であり、
前記第2の制御情報は、物理層の制御情報であり、
前記第2の制御情報は、1又は複数のセグメントから構成される階層ごとに、各階層の変調パラメータと、前記ストリームのデータの種類を示すデータ種類情報とを含む
(5)に記載のデータ処理装置。
(7)
前記緊急警報情報は、緊急警報のメッセージごとに、緊急警報の内容に関する情報と、緊急警報の対象地域に関する情報とを少なくとも含む
(5)又は(6)に記載のデータ処理装置。
(8)
前記データ処理装置は、放送局に関連する施設に設置され、
前記他のデータ処理装置は、送信所に設置され、
前記データ処理装置は、前記伝送データを、専用線を介して、前記他のデータ処理装置に送信する
(1)乃至(7)のいずれかに記載のデータ処理装置。
(9)
前記第1の制御情報及び前記コンポーネントは、UDP(User Datagram Protocol)パケットを含むIP(Internet Protocol)パケットに格納され、
前記IPパケットと、前記可変長の情報は、TLV(Type Length Value)パケットに格納され、
前記伝送データは、イーサネット(登録商標)のフレーム形式で伝送される
(8)に記載のデータ処理装置。
(10)
データ処理装置のデータ処理方法において、
前記データ処理装置が、
第1の制御情報及びコンポーネントと、可変長の情報とを含むストリームを処理して、前記可変長の情報の存在の有無を示す可変長情報存在情報を付加し、
処理後の前記ストリームを、伝送データとして、通信回線を介して他のデータ処理装置に送信する
ステップを含むデータ処理方法。
(11)
通信回線を介して、他のデータ処理装置から送信されてくる伝送データを受信する受信部と、
前記伝送データを処理する処理部と
を備え、
前記伝送データは、第1の制御情報及びコンポーネントと、可変長の情報とを含むストリームを処理して、前記可変長の情報の存在の有無を示す可変長情報存在情報を付加することで得られるデータであり、
前記処理部は、前記可変長情報存在情報に基づいて、前記伝送データを処理する
データ処理装置。
(12)
前記可変長の情報は、第2の制御情報及び緊急警報情報のうちの少なくとも一方の情報である
(11)に記載のデータ処理装置。
(13)
前記伝送データは、前記可変長の情報のバージョンを示すバージョン情報を含み、
前記処理部は、前記バージョン情報に基づいて、前記可変長の情報を処理する
(12)に記載のデータ処理装置。
(14)
前記伝送データは、前記ストリームのデータの種類を示すデータ種類情報を含み、
前記処理部は、前記データ種類情報に基づいて、前記ストリームを処理する
(12)又は(13)に記載のデータ処理装置。
(15)
前記伝送データから得られる前記ストリームを、周波数分割多重化方式(FDM)により、放送信号として送信する送信部をさらに備える
(12)乃至(14)のいずれかに記載のデータ処理装置。
(16)
前記第1の制御情報は、物理層よりも上位の層である上位層の制御情報であり、
前記第2の制御情報は、物理層の制御情報であり、
前記第2の制御情報は、1又は複数のセグメントから構成される階層ごとに、各階層の変調パラメータと、前記ストリームのデータの種類を示すデータ種類情報とを含む
(15)に記載のデータ処理装置。
(17)
前記緊急警報情報は、緊急警報のメッセージごとに、緊急警報の内容に関する情報と、緊急警報の対象地域に関する情報とを少なくとも含む
(15)又は(16)に記載のデータ処理装置。
(18)
前記他のデータ処理装置は、放送局に関連する施設に設置され、
前記データ処理装置は、送信所に設置され、
前記データ処理装置は、前記他のデータ処理装置から送信されてくる前記伝送データを、専用線を介して受信する
(11)乃至(17)のいずれかに記載のデータ処理装置。
(19)
前記第1の制御情報及びコンポーネントは、UDPパケットを含むIPパケットに格納され、
前記IPパケットと、前記可変長の情報は、TLVパケットに格納され、
前記伝送データは、イーサネット(登録商標)のフレーム形式で伝送される
(18)に記載のデータ処理装置。
(20)
データ処理装置のデータ処理方法において、
前記データ処理装置が、
通信回線を介して、他のデータ処理装置から送信されてくる伝送データを受信し、
前記伝送データを処理する
ステップを含み、
前記伝送データは、第1の制御情報及びコンポーネントと、可変長の情報とを含むストリームを処理して、前記可変長の情報の存在の有無を示す可変長情報存在情報を付加することで得られるデータであり、
前記可変長情報存在情報に基づいて、前記伝送データを処理するステップを含む
データ処理方法。
【符号の説明】
【0229】
1 伝送システム, 10,10-1乃至10-N データ処理装置, 20 データ処理装置, 30,30-1乃至30-M 受信装置, 40,40-1乃至40-N 通信回線, 50 放送伝送路, 100 制御部, 101 コンポーネント処理部, 102 制御情報生成部, 103 マルチプレクサ, 104 パケット生成部, 105 可変長情報生成部, 106 データ処理部, 107 送信部, 200 制御部, 201 受信部, 202 データ処理部, 203 フレーム生成部, 204 送信部, 1000 コンピュータ, 1001 CPU