(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150828
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】脊椎位置測定用キット
(51)【国際特許分類】
A61B 17/70 20060101AFI20241017BHJP
【FI】
A61B17/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063814
(22)【出願日】2023-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】523135311
【氏名又は名称】真鍋 和
(74)【代理人】
【識別番号】100166589
【弁理士】
【氏名又は名称】植村 貴昭
(72)【発明者】
【氏名】真鍋 和
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL24
4C160LL39
4C160LL62
(57)【要約】
【課題】放射線診断用機器を用いた脊椎固定術を行う場合に好適な脊椎位置測定用キットを提供する。
【解決手段】脊椎位置測定用キット1は、雄ねじが形成されたアンカー21、及び当該アンカー21を回転可能に保持するヘッド22を含むペディクルスクリュー2と、前記アンカー21の反対側から前記ヘッド22に螺入することで、前記アンカー21を前記ヘッド22に仮固定する仮固定用スクリュー3と、一端が前記仮固定用スクリュー3に形成された嵌合部に嵌合するレファレンスポール5と、前記レファレンスポール5の他端側に取り付けられ、放射線診断用機器(CTスキャン)を用いて患者の筋肉の裏側にある脊椎の3D画像を作成する際に、当該3D画像の位置の基準となるレファレンスフレーム6とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
雄ねじが形成されたアンカー、及び当該アンカーを回転可能に保持するヘッドを含むペディクルスクリューと、
前記アンカーの反対側から前記ヘッドに螺入することで、前記アンカーを前記ヘッドに仮固定する仮固定用スクリューと、
一端が前記仮固定用スクリューに形成された嵌合部に嵌合するレファレンスポールと、
前記レファレンスポールの他端側に取り付けられ、放射線診断用機器を用いて患者の筋肉の裏側にある脊椎の3D画像を作成する際に、当該3D画像の位置の基準となるレファレンスフレームと、
を備えることを特徴とする脊椎位置測定用キット。
【請求項2】
雄ねじが形成されたアンカー、及び当該アンカーを回転可能に保持するヘッドを含むペディクルスクリューと、
前記アンカーの反対側から前記ヘッドに螺入することで、前記アンカーを前記ヘッドに仮固定する仮固定用スクリューと、
前記仮固定用スクリューが挿通される挿通部が形成され、前記ペディクルスクリューの前記アンカーの反対側から前記ヘッドに取り付けられるエクステンダーと、
棒状に形成され、前記エクステンダーの前記挿通部に挿入され、一端が前記仮固定用スクリューに形成された嵌合部に嵌合するレファレンスポールと、
前記レファレンスポールの他端側に取り付けられ、放射線診断用機器を用いて患者の筋肉の裏側にある脊椎の3D画像を作成する際に、当該3D画像の位置の基準となるレファレンスフレームと、
を備えることを特徴とする脊椎位置測定用キット。
【請求項3】
雄ねじが形成されたアンカー、及び当該アンカーを回転可能に保持するヘッドを含むペディクルスクリューと、
前記アンカーの反対側から前記ヘッドに螺入することで、前記アンカーを前記ヘッドに仮固定する仮固定用スクリューと、
前記仮固定用スクリューが挿通される挿通部が形成され、前記ペディクルスクリューの前記アンカーの反対側から前記ヘッドに取り付けられるエクステンダーと、
棒状に形成され、前記エクステンダーの前記挿通部に挿入され、一端が前記仮固定用スクリューに形成された嵌合部に嵌合するレファレンスポールと、
放射線診断用機器を用いて患者の筋肉の裏側にある脊椎の3D画像を作成する際に、当該3D画像の位置の基準となるレファレンスフレームと、
前記レファレンスフレームとレファレンスポールの他端側との間に設けられ、レファレンスポールに対して前記レファレンスフレームを角度調整可能な状態で固定する固定手段と、
を備えることを特徴とする脊椎位置測定用キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、脊椎固定術の際に脊椎位置の測定に用いられる脊椎位置測定用キットに関する。
【背景技術】
【0002】
脊椎固定術の一つの手技では、連続して並ぶ椎弓根にペディクルスクリューがねじ込まれ、それらのペディクルスクリュー同士が脊椎ロッドにより連結される。ペディクルスクリューは、雄ねじが形成されたアンカーと、アンカーを回転可能に保持するヘッドを含む。ヘッドには当該ヘッドをアンカーの軸方向と直交する方向に横断するチャンネルが設けられ、このチャンネルに脊椎ロッドが挿入される。チャンネルに挿入された脊椎ロッドは止めねじによってヘッドに固定される。
【0003】
ペディクルスクリュー同士が脊椎ロッドにより連結される際、椎体間隔や脊椎の湾曲具合を調整するためにペディクルスクリューの向きや位置が調整される。このペディクルスクリューの向きや位置の調整には、ペディクルスクリューのヘッドに取り付けられてヘッドの長さを延長するエクステンダーが用いられることがある。
【0004】
このようなペディクルスクリューとエクステンダーを組み合わせた技術の一例として、特許文献1には、3つのペディクルスクリューが連続して並ぶ椎弓根にねじ込まれ、それらのペディクルスクリューに3つのエクステンダーがそれぞれ取り付けられる脊椎固定術用キットが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、脊椎固定術において、CTスキャンを用いて患者の筋肉の裏側にある脊椎の3D画像を作成し、連続して並ぶ椎弓根にペディクルスクリューをねじ込む作業を行う際に、ナビゲーション装置を用いて脊椎の3D画像に各種作業を行うための情報を表示する技術が普及してきている。このような脊椎固定術の場合、脊椎の3D画像の位置の基準となる目印としてレファレンスフレームを皮膚切開して患者の骨盤や棘突起に固定する必要があり、レファレンスフレームの固定が患者の負担になる場合が多々あった。
【0007】
本発明は、CTスキャンを用いた脊椎固定術を行う場合に好適な脊椎位置測定用キットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の脊椎位置測定用キットは、雄ねじが形成されたアンカー、及び当該アンカーを回転可能に保持するヘッドを含むペディクルスクリューと、前記アンカーの反対側から前記ヘッドに螺入することで、前記アンカーを前記ヘッドに仮固定する仮固定用スクリューと、一端が前記仮固定用スクリューに形成された嵌合部に嵌合するレファレンスポールと、前記レファレンスポールの他端側に取り付けられ、放射線診断用機器を用いて患者の筋肉の裏側にある脊椎の3D画像を作成する際に、当該3D画像の位置の基準となるレファレンスフレームと、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の脊椎位置測定用キットは、雄ねじが形成されたアンカー、及び当該アンカーを回転可能に保持するヘッドを含むペディクルスクリューと、前記アンカーの反対側から前記ヘッドに螺入することで、前記アンカーを前記ヘッドに仮固定する仮固定用スクリューと、前記仮固定用スクリューが挿通される挿通部が形成され、前記ペディクルスクリューの前記アンカーの反対側から前記ヘッドに取り付けられるエクステンダーと、棒状に形成され、前記エクステンダーの前記挿通部に挿入され、一端が前記仮固定用スクリューに形成された嵌合部に嵌合するレファレンスポールと、前記レファレンスポールの他端側に取り付けられ、放射線診断用機器を用いて患者の筋肉の裏側にある脊椎の3D画像を作成する際に、当該3D画像の位置の基準となるレファレンスフレームと、を備えることを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明の脊椎位置測定用キットは、雄ねじが形成されたアンカー、及び当該アンカーを回転可能に保持するヘッドを含むペディクルスクリューと、前記アンカーの反対側から前記ヘッドに螺入することで、前記アンカーを前記ヘッドに仮固定する仮固定用スクリューと、前記仮固定用スクリューが挿通される挿通部が形成され、前記ペディクルスクリューの前記アンカーの反対側から前記ヘッドに取り付けられるエクステンダーと、棒状に形成され、前記エクステンダーの前記挿通部に挿入され、一端が前記仮固定用スクリューに形成された嵌合部に嵌合するレファレンスポールと、放射線診断用機器を用いて患者の筋肉の裏側にある脊椎の3D画像を作成する際に、当該3D画像の位置の基準となるレファレンスフレームと、前記レファレンスフレームとレファレンスポールの他端側との間に設けられ、レファレンスポールに対して前記レファレンスフレームを角度調整可能な状態で固定する固定手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明における脊椎位置測定用キットによって、放射線診断用機器を用いた脊椎固定術を行う場合に好適な脊椎位置測定用キットを提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る脊椎位置測定用キットを示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る脊椎位置測定用キットに用いられるペディクルスクリュー側アセンブリを示す分解斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る脊椎位置測定用キットに用いられるペディクルスクリュー側アセンブリの各部品及びセットスクリューを示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る脊椎位置測定用キットに用いられるペディクルスクリュー側アセンブリを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態>
図1は、発明の実施形態に係る脊椎位置測定用キットを示す斜視図である。
図2は、本発明の実施形態に係る脊椎位置測定用キットに用いられるペディクルスクリュー側アセンブリを示す分解斜視図である。
図3は、本発明の実施形態に係る脊椎位置測定用キットに用いられるペディクルスクリュー側アセンブリの各部品及びセットスクリューを示し、
図3(a)は、エクステンダー付きペディクルスクリューを示す側面図、
図3(b)は仮固定用スクリューを示す側面図、
図3(c)は仮固定用スクリューを示す前面図、
図3(d)は仮固定用スクリューを示す背面図、
図3(e)はレファレンスポールを示す背面図、
図3(f)はセットスクリューを示す側面図、
図3(g)はセットスクリューを示す前面図、
図3(h)はセットスクリューを示す背面図である。
図4は、本発明の実施形態に係る脊椎位置測定用キットに用いられるペディクルスクリュー側アセンブリを示す側面図である。
【0014】
<脊椎位置測定用キットの構成>
図1において、脊椎位置測定用キット1は、雄ねじが形成されたアンカー21、及び当該アンカー21を回転可能に保持するヘッド22を含むペディクルスクリュー2と、前記アンカー21の反対側から前記ヘッドに螺入することで、前記アンカー21を前記ヘッド22に仮固定する仮固定用スクリュー3と、前記仮固定用スクリュー3が挿通される挿通部41が形成され、前記ペディクルスクリュー2の前記アンカー21の反対側から前記ヘッド22に取り付けられるエクステンダー4と、棒状に形成され、前記エクステンダー4の前記挿通部41に挿入され、一端が前記仮固定用スクリュー3に形成された嵌合部(
図3(c)に示す星形凹部31)に嵌合するレファレンスポール5と、放射線診断用機器(CTスキャン)を用いて患者の筋肉の裏側にある脊椎の3D画像を作成する際に、当該3D画像の位置の基準となるレファレンスフレーム6と、前記レファレンスフレーム6をレファレンスポール5の他端側の間に設けられ、レファレンスポール5に対して前記レファレンスフレーム6を角度調整可能な状態で固定する固定手段の角度調整ユニット7とを備える。
【0015】
脊椎位置測定用キット1を使用する場合には、エクステンダー4が取り付けられたペディクルスクリュー2が患者の皮膚11を介して、患者の体内に挿入され、ペディクルスクリュー2のアンカー21が、患者の皮膚11を介して、脊椎12の椎弓根13にねじ込まれる。
【0016】
ペディクルスクリュー2のヘッド22には、当該ヘッド22をアンカー21の軸方向と直交する方向に横断するチャンネル23(
図2及び
図3(a)参照)が設けられている。チャンネル23には、本固定の際に、図示しない脊椎ロッドが挿入される。
【0017】
最終的には、複数のペディクルスクリュー2のアンカー21が、連続して並ぶ脊椎12(
図1参照)の椎弓根13(
図1参照)にねじ込まれ、チャンネル23に図示しない脊椎ロッドが挿入され、脊椎ロッドが
図3(f)~
図3(h)に示すセットスクリューにより押さえつけられることで、ペディクルスクリュー2同士が図示しない脊椎ロッドにより連結される。
【0018】
より詳しくは、ヘッド22は、アンカー21に貫通される円盤部24と、円盤部24から立ち上がる、チャンネル23を挟んで互いに対向する一対の対向壁25a、25bを含む。対向壁25a、25bの内側面には、
図3(b)~
図3(d)に示す仮固定用スクリュー3及び
図3(f)~
図3(h)に示すセットスクリュー8と螺合する雌ねじ部が形成されている。
【0019】
図4において、ペディクルスクリュー2のアンカー21とチャンネル23の間には、ワッシャー状の介挿部材26がスライド可能に状態で設けられている。
【0020】
図3(b)~
図3(d)に示す仮固定用スクリュー3は、背面側に星形凹部31が形成され、側面の雄ネジ部32が形成され、前面側に介挿部材26(
図1、
図3(a)、
図4参照)を直接押さえ付ける突起部33が形成されている。仮固定用スクリュー3は、仮固定の際に使用されるものであり、図示しない脊椎ロッドを介さずに介挿部材26を押さえ付けるため、突起部33が形成されている。
【0021】
図3(f)~
図3(h)に示すセットスクリュー8は、背面側に星形凹部81が形成され、側面の雄ネジ部82が形成され、前面側に図示しない脊椎ロッドを介して介挿部材26(
図1、
図3(a)、
図4参照)を押さえ付ける押圧面83が形成されている。セットスクリュー8は、本固定の際に使用されるものであり、図示しない脊椎ロッドを介して介挿部材26を押さえ付けるため、仮固定用スクリュー3と違って、押圧面83に突起部が形成されていない。
【0022】
アンカー21は、仮固定の際に、介挿部材26を介して仮固定用スクリュー3に押さえ付けられることで、ヘッド22に対して固定される。
【0023】
また、アンカー21は、本固定の際に、図示しない脊椎ロッド及び介挿部材26を介してセットスクリュー8に押さえ付けられることで、ヘッド22に対して固定される。
【0024】
図2に示すように、ペディクルスクリュー2では、脊椎ロッド挿入用のチャンネル23を延長するように一対の対向壁25a、25bに一対のタブ42a、42bがそれぞれ設けられている。一対のタブ42a、42bは、エクステンダー4を構成している。
【0025】
ペディクルスクリュー2とエクステンダー4は、エクステンダー付きペディクルスクリュー9を構成している。
【0026】
一対のタブ42a、42bの間は、
図4に示すように、レファレンスポール5が挿通される挿通部41が形成されている。
【0027】
図2及び
図3(e)に示すように、レファレンスポール5の一端側には、星形凸部51が形成されている。星形凸部51は、仮固定用スクリュー3に形成された星形凹部31(
図3(c)参照)及びセットスクリュー8に形成された星形凹部81(
図3(g)参照)と嵌合可能になっている。
【0028】
レファレンスポール5の他端側には、角度調整ユニット7の取り付け部材71(
図1参照)と嵌合する嵌合部52が形成されている。
嵌合部52には、角度調整ユニット7の取り付け部材71が嵌合した状態で固定される。
【0029】
レファレンスポール5の他端側寄りの側面には、ばねにより外側に付勢された側面押圧部材53が設けられている。側面押圧部材53は、
図4に示すように、レファレンスポール5がエクステンダー4の挿通部41に挿入された状態で挿通部41の内面を押圧することで、レファレンスポール5とエクステンダー4の間のガタツキを無くしている。
【0030】
図4に示すように、エクステンダー付きペディクルスクリュー9とレファレンスポール5は、エクステンダー4の挿通部41に挿入された状態でペディクルスクリュー側アセンブリ10を構成している。
【0031】
図1に示すように、角度調整ユニット7の取付け部材71には、上下左右の傾斜角度調整及び右回り及び左回りの回転調整が可能な調整部72が設けられている。取付け部には、レファレンスフレーム6が取り付けられる。レファレンスフレーム6は、ひし形のフレーム状に形成され、ひし形の頂点に手前側にCTスキャンの目印となるボール部材61、62、63、64が取り付けられている。
【0032】
<脊椎位置測定用キットの使用方法>
脊椎位置測定用キットを使用する場合、術者は、患者の脊椎付近の皮膚及び筋肉に穴を開け、エクステンダー4が取り付けられたペディクルスクリュー2を、患者の皮膚11及び筋肉の穴を介して、患者の体内に挿入し、ペディクルスクリュー2のアンカー21を、患者の脊椎12の椎弓根13にねじ込む。
【0033】
次に、術者は、エクステンダー4の挿通部41を介して仮固定用スクリュー3をヘッド22に挿入し、仮固定用スクリュー3をヘッド22に螺入することで、仮固定用スクリュー3が介挿部材26を介してアンカー21を押さえ付けて固定する。
【0034】
次に、術者は、レファレンスポール5をエクステンダー4の挿通部41に挿入し、レファレンスポール5の星形凸部51をセットスクリュー8の星形凹部81に嵌合させる。レファレンスポール5は、星形凸部51と星形凹部81の嵌合と、側面押圧部材53の押圧により、エクステンダー4に対して非回転且つガタツキの無い状態で組み合わされる。
【0035】
次に、術者は、レファレンスポール5の他端側の嵌合部52に、角度調整ユニット7の取付け部材71(
図1参照)と嵌合固定する。
これにより、
図1に示す状態のセッティングが完了する。
【0036】
図1に示す状態で、患者のCTスキャンを行う。
この後、術者は、CTスキャンの3D画像及びナビゲーション装置の指示に基づいて、残りの複数のエクステンダー4が取り付けられたペディクルスクリュー2を、患者の脊椎12の複数の椎弓根13にねじ込む。
【0037】
次に、術者は、レファレンスポール5の他端側の嵌合部52から角度調整ユニット7の取付け部材71を取り外し、レファレンスポール5をエクステンダー4から引き抜き、仮固定用スクリュー3をエクステンダー4の挿通部41を介してヘッド22に取り外し、この仮固定用スクリュー3を含む複数のペディクルスクリュー2のチャンネル23に図示しない脊椎ロッドを挿入する。
【0038】
次に、術者は、複数のペディクルスクリュー2において、エクステンダー4の挿通部41を介してセットスクリュー8をヘッド22に挿入し、セットスクリュー8をヘッド22に螺入することで、セットスクリュー8が脊椎ロッド及び介挿部材26を介してアンカー21を押さえ付けて固定する。これにより、複数のペディクルスクリュー2同士が図示しない脊椎ロッドにより連結される。
【0039】
次に、術者は、複数のペディクルスクリュー2とエクステンダー4の間を折り曲げることで、複数のペディクルスクリュー2からエクステンダー4を外す。これにより患者の脊椎12は、複数のペディクルスクリュー2と脊椎ロッドによって固定された状態となる。
【0040】
<実施形態の構成及び効果>
このような実施形態の構成及び効果を纏めて説明すると、脊椎位置測定用キット1は、雄ねじが形成されたアンカー21、及び当該アンカー21を回転可能に保持するヘッド22を含むペディクルスクリュー2と、前記アンカー21の反対側から前記ヘッド22に螺入することで、前記アンカー21を前記ヘッド22に仮固定する仮固定用スクリュー3と、一端が前記仮固定用スクリュー3に形成された嵌合部(
図3(c)に示す星形凹部31)に嵌合するレファレンスポール5と、前記レファレンスポール5の他端側に取り付けられ、放射線診断用機器(CTスキャン)を用いて患者の筋肉の裏側にある脊椎の3D画像を作成する際に、当該3D画像の位置の基準となるレファレンスフレーム6とを備える。
【0041】
また、脊椎位置測定用キット1は、雄ねじが形成されたアンカー21、及び当該アンカー21を回転可能に保持するヘッド22を含むペディクルスクリュー2と、前記アンカー21の反対側から前記ヘッド22に螺入することで、前記アンカー21を前記ヘッド22に仮固定する仮固定用スクリュー3と、前記仮固定用スクリュー3が挿通される挿通部41が形成され、前記ペディクルスクリュー2の前記アンカー21の反対側から前記ヘッド22に取り付けられるエクステンダーと、棒状に形成され、前記エクステンダーの前記挿通部41に挿入され、一端が前記仮固定用スクリュー3に形成された嵌合部(
図3(c)に示す星形凹部31)に嵌合するレファレンスポール5と、前記レファレンスポール5の他端側に取り付けられ、放射線診断用機器(CTスキャン)を用いて患者の筋肉の裏側にある脊椎の3D画像を作成する際に、当該3D画像の位置の基準となるレファレンスフレーム6とを備える。
【0042】
このような構成を有することから、本実施形態の脊椎位置測定用キット1は、脊椎の固定に使用するペディクルスクリュー2に3D画像の位置の基準となる目印としてレファレンスフレームを取り付けることが可能となり、目印としてレファレンスフレームを皮膚切開して患者の骨盤や棘突起に固定する必要がなく、放射線診断用機器(CTスキャン)を用いた脊椎固定術を行う場合に好適な脊椎位置測定用キットを提供することができる。
【0043】
尚、
図1乃至
図4に示した本発明の実施形態では、放射線診断用機器としてCTスキャンを用いたが、放射線診断用機器としてはMRI装置等、各種適用可能である。
【0044】
本発明の、構造、システム、材質、各部材の連結等は、本発明の要旨を変更しない範囲で、様々に変更可能である。
【0045】
例えば、2つ以上の部材を1つにすることも可能であるし、逆に、1つの部材を2つ以上の別の部材から構成して接続することも可能である。
【0046】
また、上記実施形態は、あくまでも、現在のところの最良の形態またはそれに近い形態の1つにすぎない。
【0047】
<定義等>
本発明における放射線診断用機器は、放射線診断を行う機器であればどのようなものであってもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 :脊椎位置測定用キット
2 :ペディクルスクリュー
3 :固定用スクリュー
4 :エクステンダー
5 :レファレンスポール
6 :レファレンスフレーム
7 :角度調整ユニット
8 :セットスクリュー
9 :エクステンダー付きペディクルスクリュー
10 :ペディクルスクリュー側アセンブリ
11 :皮膚
12 :脊椎
13 :椎弓根
21 :アンカー
22 :ヘッド
23 :チャンネル
24 :円盤部
25a :対向壁
26 :介挿部材
31 :星形凹部
32 :ネジ部
33 :突起部
41 :挿通部
42a :タブ
51 :星形凸部
52 :嵌合部
53 :側面押圧部材
61、62、63、64:ボール部材
71 :取り付け部材
72 :調整部
81 :星形凹部
82 :ネジ部
83 :押圧面