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特開2024-15083キャップユニット及びキャップ付き容器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015083
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】キャップユニット及びキャップ付き容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/06 20060101AFI20240125BHJP
   B65D 47/12 20060101ALI20240125BHJP
   A47J 41/00 20060101ALI20240125BHJP
   A47J 41/02 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
B65D47/06 110
B65D47/12 100
A47J41/00 304A
A47J41/02 104A
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023200908
(22)【出願日】2023-11-28
(62)【分割の表示】P 2020091629の分割
【原出願日】2020-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】591261602
【氏名又は名称】サーモス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木口 瑞玖
(72)【発明者】
【氏名】丸山 高広
(57)【要約】
【課題】通液孔の密閉性を良好に保つことを可能としたキャップユニットを提供する。
【解決手段】容器本体2の内側と連通される通液孔12が設けられたキャップ本体8と、キャップ本体8の外側を覆う外蓋17と、キャップ本体8の内側に嵌め込まれた状態で通液孔12を閉塞する中栓18とが設けられた蓋体9と、中栓18の外周部に取り付けられた状態で、キャップ本体8の内側と中栓18との間を密閉する蓋パッキン21とを備え、蓋パッキン21は、中栓18の外周部に設けられたリング状の溝部22に嵌合された状態で取り付けられており、溝部22は、蓋パッキン21の上面と対向する上壁面22aと、蓋パッキン21の下面と対向する下壁面22bと、上壁面22aと下壁面22bとの間で蓋パッキン21の内周面と接触する内壁面22cとを有し、上壁面22aは、下壁面22bよりも拡径方向に突出して設けられている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部が開口した容器本体の口頸部に着脱自在に取り付けられると共に、前記容器本体の内側と連通される通液孔が設けられたキャップ本体と、
前記キャップ本体に対して着脱自在に取り付けられると共に、前記キャップ本体の外側を覆う外蓋と、前記キャップ本体の内側に嵌め込まれた状態で前記通液孔を閉塞する中栓とが設けられた蓋体と、
前記中栓の外周部に取り付けられた状態で、前記キャップ本体の内側と前記中栓との間を密閉する蓋パッキンとを備え、
前記蓋パッキンは、前記中栓の外周部に設けられたリング状の溝部に嵌合された状態で取り付けられており、
前記溝部は、前記蓋パッキンの上面と対向する上壁面と、前記蓋パッキンの下面と対向する下壁面と、前記上壁面と前記下壁面との間で前記蓋パッキンの内周面と接触する内壁面とを有し、
前記上壁面は、前記下壁面よりも拡径方向に突出して設けられていることを特徴とするキャップユニット。
【請求項2】
前記蓋パッキンは、その外周面から拡径方向に向かって突出された弾性フランジ部を有し、
前記キャップ本体の内側に前記弾性フランジ部が密着した状態となることによって、前記キャップ本体の内側と前記中栓との間を密閉することを特徴とする請求項1に記載のキャップユニット。
【請求項3】
前記上壁面の外周端部は、前記弾性フランジ部の基端部よりも外周側且つ前記弾性フランジ部の先端部よりも内周側に位置することを特徴とする請求項2に記載のキャップユニット。
【請求項4】
前記下壁面の外周端部は、前記弾性フランジ部の基端部よりも内周側に位置することを特徴とする請求項2又は3に記載のキャップユニット。
【請求項5】
前記キャップ本体の内周部に設けられた雌ネジ部と、前記中栓の外周部に設けられた雄ネジ部との螺合によって、前記キャップ本体に対して前記蓋体が着脱自在に取り付けられていることを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載のキャップユニット。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載のキャップユニットと、
前記キャップユニットが取り付けられた容器本体とを備えるキャップ付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップユニット及びキャップ付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、上部が開口した容器本体に対して着脱自在に取り付けられるキャップユニット(栓体)を備えたキャップ付き容器がある。また、キャップユニットの中には、上部が開口した容器本体の口頸部に取り付けられると共に、容器本体の内側と連通される通液孔が設けられたキャップ本体と、通液孔を開閉する蓋体とを備えたものがある(例えば、下記特許文献1を参照。)。
【0003】
具体的に、下記特許文献1には、キャップ本体の外側を覆う外蓋と、キャップ本体の内側に嵌め込まれた状態で通液孔を閉塞する中栓とを有して、キャップ本体の内周部に設けられた雌ネジ部と、中栓の外周部に設けられた雄ネジ部との螺合によって、キャップ本体に対して蓋体が着脱自在に取り付けられる構造が開示されている。
【0004】
また、下記特許文献1には、キャップ本体の下端側の外周部に取り付けられた止水パッキンによって、容器本体の内側とキャップ本体との間を密閉すると共に、中栓の外周部に取り付けられた蓋パッキンによって、キャップ本体の内側と中栓との間を密閉する構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-162544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した従来のキャップ付き容器では、容器本体の上下を逆転させて倒立させた場合に、容器本体に収容された飲料(液体)がキャップ本体と中栓との間の隙間から蓋パッキンを乗り越えて、通液孔の内側へと漏れ出すことがあった。
【0007】
特に、容器本体が倒立した状態で落下した場合、地面等に衝突した際の衝撃により容器本体に収容された飲料が蓋パッキンを押圧し、蓋パッキンが中栓の外周部からズレてしまうことがあった。この場合、蓋パッキンによる通液孔の密閉性を良好に保つことは困難である。
【0008】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、通液孔の密閉性を良好に保つことを可能としたキャップユニット、並びに、そのようなキャップユニットを備えることによって、使い勝手の更なる向上を可能としたキャップ付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 上部が開口した容器本体の口頸部に着脱自在に取り付けられると共に、前記容器本体の内側と連通される通液孔が設けられたキャップ本体と、
前記キャップ本体に対して着脱自在に取り付けられると共に、前記キャップ本体の外側を覆う外蓋と、前記キャップ本体の内側に嵌め込まれた状態で前記通液孔を閉塞する中栓とが設けられた蓋体と、
前記中栓の外周部に取り付けられた状態で、前記キャップ本体の内側と前記中栓との間を密閉する蓋パッキンとを備え、
前記蓋パッキンは、前記中栓の外周部に設けられたリング状の溝部に嵌合された状態で取り付けられており、
前記溝部は、前記蓋パッキンの上面と対向する上壁面と、前記蓋パッキンの下面と対向する下壁面と、前記上壁面と前記下壁面との間で前記蓋パッキンの内周面と接触する内壁面とを有し、
前記上壁面は、前記下壁面よりも拡径方向に突出して設けられていることを特徴とするキャップユニット。
〔2〕 前記蓋パッキンは、その外周面から拡径方向に向かって突出された弾性フランジ部を有し、
前記キャップ本体の内側に前記弾性フランジ部が密着した状態となることによって、前記キャップ本体の内側と前記中栓との間を密閉することを特徴とする前記〔1〕に記載のキャップユニット。
〔3〕 前記上壁面の外周端部は、前記弾性フランジ部の基端部よりも外周側且つ前記弾性フランジ部の先端部よりも内周側に位置することを特徴とする前記〔2〕に記載のキャップユニット。
〔4〕 前記下壁面の外周端部は、前記弾性フランジ部の基端部よりも内周側に位置することを特徴とする前記〔2〕又は〔3〕に記載のキャップユニット。
〔5〕 前記キャップ本体の内周部に設けられた雌ネジ部と、前記中栓の外周部に設けられた雄ネジ部との螺合によって、前記キャップ本体に対して前記蓋体が着脱自在に取り付けられていることを特徴とする前記〔1〕~〔4〕の何れか一項に記載のキャップユニット。
〔6〕 前記〔1〕~〔5〕の何れか一項に記載のキャップユニットと、
前記キャップユニットが取り付けられた容器本体とを備えるキャップ付き容器。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明によれば、通液孔の密閉性を良好に保つことを可能としたキャップユニット、並びに、そのようなキャップユニットを備えることによって、使い勝手の更なる向上を可能としたキャップ付き容器を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係るキャップユニットを備えたキャップ付き容器の構成を示す断面図である。
図2図1に示すキャップユニットの構成を下方側から見た斜視図である。
図3図1に示すキャップユニットの構成を示す下面図である。
図4図1に示すキャップユニットの構成を上方側から見た分解斜視図である。
図5図1に示すキャップユニットの構成を下方側から見た分解斜視図である。
図6図1に示すキャップ付き容器の倒立状態を示す要部断面図である。
図7】止水パッキンの別の構成を示す断面図である。
図8図7に示す止水パッキンが取り付けられたキャップユニットを示す断面図である。
図9】止水パッキンの別の構成を示す断面図である。
図10図9に示す止水パッキンが取り付けられたキャップユニットを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
本発明の一の実施形態として、例えば図1図6に示すキャップユニット1を備えたキャップ付き容器100について説明する。
【0013】
なお、図1は、キャップユニット1を備えたキャップ付き容器100の構成を示す断面図である。図2は、キャップユニット1の構成を下方側から見た斜視図である。図3は、キャップユニット1の構成を示す下面図である。図4は、キャップユニット1の構成を上方側から見た分解斜視図である。図5は、キャップユニット1の構成を下方側から見た分解斜視図である。図6は、キャップ付き容器100の倒立状態を示す要部断面図である。
【0014】
本実施形態のキャップ付き容器100は、図1に示すように、本実施形態のキャップユニット1と、このキャップユニット1が着脱自在に取り付けられる容器本体2とを備えている。キャップ付き容器100は、真空断熱構造を有する容器本体2によって、この容器本体2に収容された飲料(液体)を保温又は保冷することが可能な飲料用容器である。
【0015】
具体的に、この容器本体2は、例えばステンレス等からなる有底筒状の外容器3及び内容器4を有し、外容器3の内側に内容器4を収容した状態で互いの口元部を接合した二重構造の容器により構成されている。また、外容器3と内容器4との間には、真空断熱層5が設けられている。真空断熱層5は、例えば、高真空に減圧(真空引き)されたチャンバー内で、外容器3の底面中央部に設けられた脱気孔を塞ぐことによって形成することができる。
【0016】
容器本体2は、略円形状の底面部2aと、底面部2aの外周から略円筒状に起立した胴部2bと、胴部2bの上部側において縮径された略円筒状の口頸部2cとを有している。また、口頸部2cの上端部は、容器本体2の上部開口部2dとして、円形状に開口している。
【0017】
口頸部2cの内周面は、胴部2bの内周面よりも縮径されている。また、口頸部2cの内周面には、第1の雌ネジ部6が設けられている。第1の雌ネジ部6は、口頸部2cの上端側から下方に向けて螺旋状に突出したネジ山から構成されている。さらに、第1の雌ネジ部6の下方には、リング状の張出部7が容器本体2の内周面から全周に亘って突出して設けられている。
【0018】
なお、本実施形態のキャップ付き容器100は、全体として略円筒状の外観形状を有しているが、キャップ付き容器100の外観形状については、特に限定されるものではなく、サイズやデザイン等に合わせて適宜変更を加えることが可能である。また、容器本体2の外周面には、塗装や印刷等が施されていてもよい。
【0019】
本実施形態のキャップユニット1は、図1図5に示すように、容器本体2の上部開口部2dを閉塞する栓体を構成するものであり、キャップ本体8と、このキャップ本体8に着脱自在に取り付けられる蓋体9とを備えている。
【0020】
キャップ本体8は、例えばポリプロピレン(PP)等の耐熱性樹脂からなる筒状の外筒部材10及び内筒部材11を有している。また、キャップ本体8は、外筒部材10と内筒部材11とが一体に形成された構成であってもよい。
【0021】
キャップ本体8では、外筒部材10の内周面に設けられた係止凸部10aが内筒部材11の外周面に設けられた係止凹部11aに係止されることによって、外筒部材10を貫通した内筒部材11が外筒部材10に一体に取り付けられている。なお、外筒部材10については、上述したPPの他にも、例えばアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)等の熱可塑性樹脂を用いることも可能である。
【0022】
内筒部材11(キャップ本体8)の内側には、飲み口又は注ぎ口となる通液孔12が設けられている。通液孔12は、内筒部材11(キャップ本体8)の上端から下方に向けて漸次縮径されたテーパー孔部12aと、テーパー孔部12aの下端から下方に向けて同一径とされた第1のストレート孔部12bと、第1のストレート孔部12bの下端に第1のストレート孔部12bよりも縮径された段差部12cと、段差部12cから下方に向けて同一径とされた第2のストレート孔部12dとを有している。
【0023】
内筒部材11の外筒部材10を挟んだ下方側の外周面には、第1の雄ネジ部13が設けられている。第1の雄ネジ部13は、内筒部材11の下端側から上方に向けて螺旋状に突出したネジ山から構成されている。これにより、キャップ本体8は、第1の雌ネジ部6と第1の雄ネジ部13とを構成するネジ山同士の螺合によって、容器本体2の口頸部2cに着脱自在に取り付けられている。
【0024】
内筒部材11(キャップ本体8)の下端側の外周部には、止水パッキン14が着脱自在に取り付けられている。止水パッキン14は、容器本体2の内側とキャップ本体8との間を密閉するリング状のシール部材であり、例えばシリコーンゴム等の耐熱性を有するゴムやエラストマーなどの弾性部材からなる。
【0025】
内筒部材11の下端側の外周部には、フランジ部11bが拡径方向に突出して設けられている。一方、止水パッキン14の内周面には、リング状の嵌合凹部14aが全周に亘って設けられている。止水パッキン14は、この嵌合凹部14aにフランジ部11bが嵌合された状態で、内筒部材11の下端側の外周部に全周に亘って嵌め付けられている。
【0026】
また、止水パッキン14の外周面には、上下方向に並ぶ複数(本実施形態では2つ)の弾性フランジ部14bが拡径方向に突出して設けられている。止水パッキン14は、容器本体2の口頸部2cにキャップ本体8が取り付けられた際に、弾性フランジ部14bが弾性変形しながら、容器本体2の張出部7に全周に亘って密着した状態となる。これにより、張出部7(容器本体2の内側)と内筒部材11(キャップ本体8)との間を密閉することが可能となっている。
【0027】
また、止水パッキン14は、下側の弾性フランジ部14bが張出部7の頂上側に接触し、上側の弾性フランジ部14bが張出部7の入側に接触することが好ましい。これにより、張出部7(容器本体2の内側)と内筒部材11(キャップ本体8)との間の密閉性を向上させることができる。
【0028】
一方、止水パッキン14は、それ自体を弾性変形させる(引っ張り伸ばす)ことによって、内筒部材11(キャップ本体8)の下端側の外周部から取り外すことが可能である。これにより、止水パッキン14とキャップ本体8とをそれぞれ別々に洗浄することができ、止水パッキン14とキャップ本体8との間を衛生的に保つことができる。
【0029】
なお、止水パッキン14については、上述した形状のものに必ずしも限定されるものではなく、例えば、弾性フランジ部14bの数については、上述した2つに限らず、1つ又は3つ以上とすることも可能である。また、止水パッキン14は、上述した弾性フランジ部14bが設けられた構成に必ずしも限定されるものではなく、その形状等について適宜変更を加えることが可能である。
【0030】
外筒部材10(キャップ本体8)の外周面は、容器本体2の胴部2bと面一となるように略円筒状に形成されている。また、内筒部材11(キャップ本体8)の内周面には、第2の雌ネジ部15が設けられている。第2の雌ネジ部15は、内筒部材11の第2のストレート孔部12dを形成する位置から突出された複数(本実施形態では4つ)のネジ山突起から構成されている。また、これら複数のネジ山突起の間には、内筒部材11(キャップ本体8)の内側に残留した飲料(液体)を容器本体2側へと戻すための複数の隙間15aが設けられている。
【0031】
内筒部材11の外筒部材10を挟んだ上方側は、テーパー孔部12aの形状に合わせて、上端に向けて漸次拡径された広口部16を形成している。これにより、通液孔12から流出した飲料(液体)を飲み易く又は注ぎ易くすることができる。
【0032】
蓋体9は、通液孔12を開閉するものであり、例えばPP等の耐熱性樹脂からなる外蓋17及び中栓18を有している。
【0033】
外蓋17は、キャップ本体8の外側を覆う部分であり、外筒部材10(キャップ本体8)の外周面と面一となるように略円筒状に形成された周壁部17aと、周壁部17aの上部を覆う天壁部17bとを有している。中栓18は、キャップ本体8の内側に嵌め込まれた状態で通液孔12を閉塞する部分であり、略円形状の底壁部18aと、底壁部18aの周囲から略円筒状に立ち上がる周壁部18bとを有している。
【0034】
中栓18は、外蓋17の内側中央部に位置しており、溶着等により周壁部18bが天壁部17bの下面中央部に一体に取り付けられている。また、中栓18の内側には、断熱材19が配置されている。なお、中栓18の内側には、断熱材19の代わりに、断熱層となる空気(空間)が設けられた構成としてもよい。
【0035】
周壁部18b(中栓18)の外周面には、第2の雄ネジ部20が設けられている。第2の雄ネジ部20は、周壁部18bの下端から上方に向けて螺旋状に切り欠かれた一対のネジ溝から構成されている。これにより、中栓18(蓋体9)は、第2の雄ネジ部20を構成するネジ溝に第2の雌ネジ部15を構成するネジ山突起がそれぞれ螺合されることによって、内筒部材11(キャップ本体8)の内周部に着脱自在に取り付けられている。
【0036】
また、第2の雄ネジ部20は、互いに相補形を為す二条ネジからなる。二条ネジを用いた場合、キャップ本体8に対して蓋体9を少ない回転操作(本実施形態では約160°)で着脱することが可能である。
【0037】
中栓18の外周部には、蓋パッキン21が着脱自在に取り付けられている。蓋パッキン21は、通液孔12(キャップ本体8の内側)と中栓18との間を密閉するリング状のシール部材であり、上記止水パッキン14と同様に、例えばシリコーンゴム等の耐熱性を有するゴムやエラストマーなどの弾性部材からなる。
【0038】
一方、周壁部18b(中栓18)の外周面には、リング状の溝部22が全周に亘って設けられている。蓋パッキン21は、この溝部22に全周に亘って嵌め付けられている。
【0039】
蓋パッキン21の外周面には、上下方向に並ぶ複数(本実施形態では2つ)の弾性フランジ部21aが拡径方向に突出して設けられている。蓋パッキン21は、キャップ本体8に蓋体9が取り付けられた際に、弾性フランジ部21aが弾性変形しながら、通液孔12に全周に亘って密着した状態となる。これにより、通液孔12(キャップ本体8の内側)と中栓18との間を密閉することが可能となっている。
【0040】
また、蓋パッキン21は、中栓18が通液孔12を閉塞したときに、テーパー孔部12aと第1のストレート孔部12bとの境界近傍の第1のストレート孔部12bに、弾性フランジ部21aが密着した状態となることが好ましい。これにより、キャップ本体8から蓋体9を取り外す際に、弾性フランジ部21aが第1のストレート孔部12bに密着した状態から、テーパー孔部12a側に少し移動するだけで、通液孔12(キャップ本体8の内側)と中栓18との間を開放することが可能である。
【0041】
一方、蓋パッキン21は、それ自体を弾性変形させる(引っ張り伸ばす)ことによって、溝部22から取り外すことが可能である。これにより、蓋パッキン21と蓋体9とをそれぞれ別々に洗浄することができ、蓋パッキン21と蓋体9との間を衛生的に保つことができる。
【0042】
なお、蓋パッキン21については、上述した形状のものに必ずしも限定されるものではなく、例えば、弾性フランジ部21aの数については、上述した2つに限らず、1つ又は3つ以上とすることも可能である。また、蓋パッキン21は、上述した弾性フランジ部21aが設けられた構成に必ずしも限定されるものではなく、その形状等について適宜変更を加えることが可能である。
【0043】
ところで、本実施形態のキャップユニット1において、止水パッキン14は、図1に示すように、中栓18とキャップ本体8との間の隙間Sを閉塞する下面側突出部14cを有している。
【0044】
下面側突出部14cは、キャップ本体8の下端部よりも縮径方向に突出して設けられている。これにより、下面側突出部14cは、中栓18が通液孔12を閉塞した状態において、中栓18の底壁部18aの外周付近と全周に亘って接触している。
【0045】
なお、下面側突出部14cと底壁部18aの外周部付近との接触による止水性は、完全に密閉されている必要はなく、落下時に、中栓18と、キャップ本体8と、蓋パッキン21と、下面側突出部14cとの間に形成される空間に、飲料が充満しない程度の止水性を有していればよい。
【0046】
本実施形態のキャップユニット1では、図6に示すように、キャップ付き容器100の上下を逆転させて容器本体2を倒立させた場合でも、中栓18とキャップ本体8との間の隙間Sを下面側突出部14cが閉塞することで、容器本体2に収容された飲料(液体)がこの隙間Sから隙間15aを通り、蓋パッキン21を乗り越えて、通液孔12の内側へと漏れ出すことを防ぐことが可能である。
【0047】
また、本実施形態のキャップユニット1において、溝部22は、図6に示すように、蓋パッキン21の上面と対向する上壁面22aと、蓋パッキン21の下面と対向する下壁面22bと、上壁面22aと下壁面22bとの間で蓋パッキン21の内周面と接触する内壁面22cとを有している。
【0048】
上壁面22aは、下壁面22bよりも拡径方向に突出して設けられている。具体的に、この上壁面22aの外周端部は、弾性フランジ部21aの基端部よりも外周側且つ弾性フランジ部21aの先端部よりも内周側に位置している。一方、下壁面22bの外周端部は、弾性フランジ部21aの基端部よりも内周側に位置している。これにより、蓋パッキン21は、溝部22に嵌め付けられた状態において、この溝部22の内側から上方側へと捲れ上がり難くなっている。
【0049】
したがって、本実施形態のキャップユニット1では、図6に示すように、キャップ付き容器100が倒立した状態で落下した場合でも、地面等に衝突した際の衝撃により容器本体2に収容された飲料が蓋パッキン21を押圧し、蓋パッキン21が溝部22からズレてしまうことを防ぐことが可能である。
【0050】
また、本実施形態のキャップユニット1では、上述した中栓18とキャップ本体8との間の隙間Sを下面側突出部14cが閉塞することで、容器本体2に収容された飲料が蓋パッキン21を押圧することを抑制することが可能である。
【0051】
以上のようにして、本実施形態のキャップユニット1では、通液孔12の密閉性を良好に保つことが可能である。したがって、本実施形態のキャップ付き容器100では、このようなキャップユニット1を備えることによって、使い勝手の更なる向上を図ることが可能である。
【0052】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記キャップユニット1は、図7及び図8に示すような別の止水パッキン14Aが取り付けられた構成であってもよい。なお、図7は、止水パッキン14Aの構成を示す断面図である。図8は、止水パッキン14Aが取り付けられたキャップユニット1を示す断面図である。
【0053】
具体的に、止水パッキン14Aは、図7に示すように、下面側突出部14cの先端側が上方に向かって屈曲した上向き屈曲部14dを有している。
【0054】
この止水パッキン14Aが取り付けられたキャップユニット1では、図8に示すように、中栓18が通液孔12を閉塞した状態において、上向き屈曲部14dが弾性変形しながら、下面側突出部14cが中栓18の底壁部18aの外周付近と全周に亘って接触している。
【0055】
この構成の場合、中栓18の底壁部18aの外周付近に対する下面側突出部14cの密着性を向上させることが可能である。
【0056】
一方、上記キャップユニット1は、図9及び図10に示すような別の止水パッキン14Bが取り付けられた構成であってもよい。なお、図9は、止水パッキン14Bの構成を示す断面図である。図10は、止水パッキン14Bが取り付けられたキャップユニット1を示す断面図である。
【0057】
具体的に、止水パッキン14Bは、図9に示すように、下面側突出部14cの先端側が下方に向かって屈曲した下向き屈曲部14eを有している。
【0058】
この止水パッキン14Bが取り付けられたキャップユニット1では、図10に示すように、中栓18が通液孔12を閉塞した状態において、下面側突出部14cが中栓18の底壁部18aの外周付近と全周に亘って接触すると共に、下向き屈曲部14eが中栓18の下面から離間している。
【0059】
この構成の場合、止水パッキン14Bの下向き屈曲部14eが摘まみ易くなっている。これにより、中栓18(蓋体9)から止水パッキン14を取り外し易くすることが可能である。
【0060】
なお、上記止水パッキン14,14A,14Bについては、中栓18が通液孔12を閉塞した状態において、下面側突出部14cを中栓18の底壁部18aの外周付近から離間した状態とし、容器本体2に収容された飲料により押圧されたときに、下面側突出部14cが弾性変形しながら、中栓18の下面側の外周部と接触した状態となる構成としてもよい。
【0061】
なお、上記実施形態では、上述した真空断熱構造を有する容器本体2によって保温・保冷機能を持たせたキャップ付き容器100を例示しているが、真空断熱構造を持たない容器本体を備えたキャップ付き容器に対して、本発明を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0062】
100…キャップ付き容器 1…キャップユニット 2…容器本体 6…第1の雌ネジ部 7…張出部 8…キャップ本体 9…蓋体 10…外筒部材 11…内筒部材 12…通液孔 13…第1の雄ネジ部 14,14A,14B…止水パッキン 14c…下面側突出部 14d…上向き屈曲部 14e…下向き屈曲部 15…第2の雌ネジ部 17…外蓋 18…中栓 20…第2の雄ネジ部 21…蓋パッキン 21a…弾性フランジ部 22…溝部 22a…上壁面 22b…下壁面 22c…内壁面 S…隙間
図1
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図8
図9
図10