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  • 特開-地下工事の検査方法及び検査装置 図1
  • 特開-地下工事の検査方法及び検査装置 図2
  • 特開-地下工事の検査方法及び検査装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150851
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】地下工事の検査方法及び検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01V 5/00 20240101AFI20241017BHJP
   E21D 9/093 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
G01V5/00 B
E21D9/093 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063840
(22)【出願日】2023-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145816
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿股 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100195718
【弁理士】
【氏名又は名称】市橋 俊規
(74)【代理人】
【識別番号】100196003
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 太郎
(72)【発明者】
【氏名】宮寺 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】藤牧 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】山本 修治
(72)【発明者】
【氏名】杉田 宰
(72)【発明者】
【氏名】中居 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】須賀 昌隆
(72)【発明者】
【氏名】竹葉 紀子
【テーマコード(参考)】
2D054
2G105
【Fターム(参考)】
2D054GA15
2D054GA17
2D054GA62
2D054GA68
2G105AA02
2G105BB19
2G105EE02
2G105LL02
2G105LL03
2G105LL04
2G105LL05
2G105LL06
(57)【要約】
【課題】ミュオン検出器1により、地中3の性状及びその変化を高精度で解析する。
【解決手段】地中の性状を解析する地下工事の検査方法において、地中を掘削する掘削装置2の内部に当該掘削装置の進行方向に間隔をおいて設置された2台以上のミュオン検出器1によりミュオンの飛来方向分布及び時間変化を測定し、その測定結果から地中の性状及びその変化を解析する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中の性状を解析する地下工事の検査方法において、地中を掘削する掘削装置の内部に当該掘削装置の進行方向に間隔をおいて設置された2台以上のミュオン検出器によりミュオンの飛来方向分布及び時間変化を測定し、その測定結果から地中の性状及びその変化を解析することを特徴とする地下工事の検査方法。
【請求項2】
前記掘削装置の後方に少なくとも1台のミュオン検出器を設置するとともに、当該掘削装置に同期して移動することを特徴とする請求項1記載の地下工事の検査方法。
【請求項3】
前記掘削装置が掘削したトンネル内に少なくとも1台のミュオン検出器を固定配置したことを特徴とする請求項1又は2記載の地下工事の検査方法。
【請求項4】
前記地中の性状は、地中の空洞の有無又は位置、地下水流の有無又は位置、地中構造物の位置、種類又は密度、あるいは地中物質の位置、種類又は密度であることを特徴とする請求項1記載の地下工事の検査方法。
【請求項5】
前記ミュオン検出器により工事前、工事中及び工事後のミュオンの飛来方向分布及び時間変化を測定し、その測定結果から工事によって生じた地中の性状及びその変化を解析することを特徴とする請求項1記載の地下工事の検査方法。
【請求項6】
前記ミュオン検出器により前記地下工事を行う場所近傍の地上又は地中に存在又は移動する重量物を測定解析し、その解析結果に基づいて前記地中の性状の解析結果の較正を行うことを特徴とする請求項1記載の地下工事の検査方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の地下工事の検査方法を実施する地下工事の検査装置であって、地中を掘削する掘削装置の内部及び/又は外部に少なくとも1台のミュオン検出器を設置したことを特徴とする地下工事の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、宇宙線ミュオンを用いた地下工事の検査方法及び検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、シールド工法等を用いた地下工事において地中に空洞が発見される事象が発生している。地中の性状を地上から調査する方法として地中レーダー、比抵抗トモグラフィ、弾性波トモグラフィ等が知られているが、地中レーダーは地中での電磁波の散乱および吸収により事実上5m以深の探知には不向きである。また、比抵抗トモグラフィと弾性波トモグラフィは多数のボーリング孔を掘削する必要があるため現実的ではない。
【0003】
また、いずれの測定方法も地上構造物や地下埋設物の多い都心部では測定可能地点が限られ、対象範囲全域をカバーすることは困難である。
【0004】
一方、地下水脈等の測定対象の内部をイメージングする技術として、宇宙線ミュオン等の荷電粒子を使用した透視技術が知られている。宇宙線ミュオン(以下、「ミュオン」ともいう。)は、X線や他の放射線と比べ透過力が強く、物質中を徐々にエネルギーを失いながら透過する。そのため、宇宙線ミュオンの飛来方向分布及び時間変化から測定対象の性状を推定することができる。
【0005】
宇宙に起因して発生するミュオン等の荷電粒子は、非常に高いエネルギーを持ち、透過力が高いため、例えば、火山やピラミッドといった大型構造物等のイメージング手法として用いられている。
【0006】
また、坑道の中にミュオン検出器を設置し、土被り厚によるミュオンのフラックス変化を測定し、地中の性状を検出する手段や、地中に設置したミュオン検出器でミュオンの角度分布を測定することにより、地中のトモグラフィ解析を行う手法も提案されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】E. P. George, Commonwealth Engineer, 455 (July 1, 1955).
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010-271059号公報
【特許文献2】特開2002-106291号公報
【特許文献3】特開2011-202356号公報
【特許文献4】WO2011/058911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した従来の検査手法は、いずれも地中物質の密度分布等の情報を既知として与えることで解析的に地中の情報を再構築しており、広い範囲にわたって観測を行うには長期にわたる観測が必要であった。また、都心部の地下工事等に適用する場合には、地上及び地下構造物の位置、形状、重量等の情報が必要となるため、シールド工法等の地下工事による地中空洞の発生検知に適用することは現実的ではなかった。
【0010】
さらに、実際の工事現場では検出器の設置スペースに制約があるため、高精度の検査結果を得ることが困難であった。
【0011】
本発明の実施形態は、上記課題を解決するためになされたもので、地中物質の種類、密度、空洞等の地中の性状及びその変化を高精度で検出することができるとともに、検出器の設置スペースの制約を受けない地下工事の検査方法および検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本実施形態に係る地下工事の検査方法は、地中の性状を解析する地下工事の検査方法において、地中を掘削する掘削装置の内部に当該掘削装置の進行方向に間隔をおいて設置された2台以上のミュオン検出器によりミュオンの飛来方向分布及び時間変化を測定し、その測定結果から地中の性状及びその変化を解析することを特徴とする。
【0013】
また、上記実施形態に係る地下工事の検査装置は、地中を掘削する掘削装置の内部及び/又は外部に1台以上のミュオン検出器を設置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本実施形態に係る地下工事の検査方法及び検査装置によれば、ミュオン検出器からなる検査装置を用いたことで、地中の性状及びその変化を高精度で解析することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1の実施形態に係る地下工事の検査装置の構成図。
図2】第1の実施形態に係る地下工事の検査方法の説明図。
図3】第2の実施形態に係る地下工事の検査装置の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る地下工事の検査方法及び検査装置の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0017】
[第1の実施形態]
第1の実施形態に係る地下工事の検査方法及び検査装置について、図1及び図2を参照して説明する。ここで、図1は第1の実施形態に係る地下工事の検査装置の模式的な構成図であり、図2は地下工事の検査方法の説明図である。
【0018】
(構成)
本第1の実施形態に係る地下工事の検査装置は、図1に示すように、地中3を掘削する掘削装置2(例えば、シールドマシン)の内部に設置された複数台のミュオン検出器1(1a、1b)と解析装置(図示せず)とから構成される。
【0019】
なお、ミュオン検出器1は、荷電粒子を粒子単位で測定できるものであればよく、ドリフトチューブ検出器のほか、比例計数管やマルチワイヤ方式、GEM検出器、シンチレーション検出器等が適用可能である。また、検出方式や検出器の外形は任意であり、例えば1つの検出器で直交する2方向位置を特定できる方式のものも適用可能である。
【0020】
このミュオン検出器1は掘削装置2の上部方向から飛来するミュオンを、視野角αの範囲で予め設定した時間計測する。
【0021】
なお、図1及び図2の例では、2台のミュオン検出器1a、1bが配置されているが、3台以上であってもよい
また、解析装置はミュオン検出器1の近傍に配置してもよいが、掘削装置2の外部に通信可能に配置してもよい(図示せず)。
【0022】
(作用)
このように構成された地下工事の検査装置において、掘削装置2が図2に示すように、図中の位置A(破線)から位置B(実線)に前進した場合を想定する。その掘削中に、空洞6が発生した場合、位置A(破線)において掘削装置2の前方に設置したミュオン検出器1aで計測したミュオンと、位置B(実線)において掘削装置2の後方に設置したミュオン検出器1bが、位置Aのミュオン検出器1aと同じ位置に移動した際に測定したミュオンの差分を解析することで、空洞6の有無及び位置を検知することができる。
【0023】
計測時間については、連続的に計測してもよいが、掘削装置2の掘削速度と空洞検知のタイミングに応じて決定してもよい。また、工事前、工事中、工事後のミュオンの飛来方向分布及び時間変化を計測解析して、空洞6の発生等の地中3の性状及びその変化を測定することも可能である。
【0024】
また、検査装置の検知対象は空洞6の有無又は位置に限定されず、周囲より地中3の密度が高い/又は低い箇所についても対象としてもよいし、さらに、地下水脈や湧き水の有無又は位置、地中構造物の位置、種類又は密度、あるいは地中物質の位置、種類又は密度も対象としてもよい。
【0025】
また、ミュオン検出器1は、掘削箇所、掘削予定箇所、及びこれらの近傍の地上や地中3を移動する車両等の重量物をモニタリングして解析し、当該重量物によるミュオンの変化を除外又は較正し、地中3の性状及びその変化を高精度で解析することも可能である。
【0026】
(効果)
以上説明したように、本第1の実施形態の地下工事の検査方法及び検査装置によれば、ビルや家屋等の地上構造物5、地中3の下水管等の地中構造物、地中3に存在する空洞、地下水脈等のミュオンの測定値に影響を与える構造物があっても、掘削前後のミュオンの測定値の差分を見ることでこれらの影響を排除しながら地下工事で生じた空洞6や湧き水等を検知することが可能となり、その後の工事工程等において適切な工事を実施することができる。
【0027】
また、地上や地中3を移動する車両等の重量物によるミュオンの測定値の変化を除外又は較正することで、地中3の性状及びその変化を高精度で解析することも可能である。
【0028】
[第2の実施形態]
第2の実施形態に係る地下工事の検査方法及び検査装置について、図3を参照して説明する。なお、上記の実施形態と同様又は類似の構成については、同一の符号を付し重複説明を省略する。
【0029】
本第2の実施形態では、図3に示すように、掘削装置2の内部に1台のミュオン検出器1aを設置し、掘削装置2の後方に掘削装置2と同期して移動するミュオン検出器1cを設置している。このミュオン検出器1cは、掘削装置2に直接取付け固定してもよいが、掘削装置2と同期して移動する自走式の台車に搭載してもよい(図示せず)。
【0030】
作用効果は上記第1の実施形態と同様であるが、掘削装置2の内部が狭小で複数のミュオン検出器1を配置できない場合や、複数台のミュオン検出器1の間隔を拡げ、より広範囲のミュオンを検出したい場合に、本第2の実施形態の構成を適用することが望ましい。これにより、地中3の性状及びその変化を広範囲かつ高精度で解析することができる。
【0031】
なお、掘削装置2の内部及び後方に配置するミュオン検出器1a、1cの数は1台に限定されず、適宜増減可能である。
【0032】
(変形例)
本変形例では、図3に示すように、掘削を行う掘削装置2の外部、本変形例では掘削装置2が掘削したトンネル4に1台以上のミュオン検出器1dを固定配置する。
【0033】
作用効果は上記第2の実施形態と同様であるが、地中3の性状及びその変化をより広範囲かつ高精度で解析することができる。なお、固定配置されるミュオン検出器1dの数は適宜増減可能である。
【0034】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0035】
1、1a~1d…ミュオン検出器、2…掘削装置(シールドマシン)、3…地中、4…トンネル、5…地上構造物、6…空洞
図1
図2
図3