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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150856
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】回転体及び光源装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20241017BHJP
   H05G 2/00 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
G03F7/20 503
H05G2/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063857
(22)【出願日】2023-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】芦澤 則孝
【テーマコード(参考)】
2H197
4C092
【Fターム(参考)】
2H197CA10
2H197GA01
2H197GA05
2H197GA24
4C092AA05
4C092AB10
4C092AC09
(57)【要約】
【課題】長期間にわたってエネルギービーム照射位置にプラズマ原料を安定的に供給することが可能な回転体及び光源装置を提供すること。
【解決手段】
本発明の一形態に係る回転体は、エネルギービームの照射により液状のプラズマ原料をプラズマ化して放射線を取り出す光源装置が備える回転体であって、軸周囲区画と、原料収容各と、侵入防止部とを具備する。前記軸周囲区画は、前記回転体を回転させる回転軸の周囲の区画である。前記原料収容区画は、前記軸周囲区画よりも前記回転軸から離隔し、前記プラズマ原料を収容すると共に前記エネルギービームが入射する区画である。前記侵入防止部は、前記軸周囲区画と前記原料収容区画の境界に設けられ、前記プラズマ原料の前記原料収容区画から前記軸周囲区画への侵入を防止する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギービームの照射により液状のプラズマ原料をプラズマ化して放射線を取り出す光源装置が備える回転体であって、
前記回転体を回転させる回転軸の周囲の区画である軸周囲区画と、
前記軸周囲区画よりも前記回転軸から離隔し、前記プラズマ原料を収容すると共に前記エネルギービームが入射する区画である原料収容区画と、
前記軸周囲区画と前記原料収容区画の境界に設けられ、前記プラズマ原料の前記原料収容区画から前記軸周囲区画への侵入を防止する侵入防止部と
を具備する回転体。
【請求項2】
請求項1に記載の回転体であって、
前記侵入防止部は、前記軸周囲区画を囲む壁状部材である
回転体。
【請求項3】
請求項1に記載の回転体であって、
前記侵入防止部は、前記軸周囲区画を封止する封止体である
回転体。
【請求項4】
請求項1に記載の回転体であって、
前記原料収容区画は、前記プラズマ原料が供給される原料供給領域と、前記原料供給領域よりも前記回転軸から離隔し、前記回転体の回転による遠心力により前記原料供給領域から前記プラズマ原料が流入する原料保持領域とを有し、前記エネルギービームは前記原料保持領域に照射される
回転体。
【請求項5】
請求項4に記載の回転体であって、
前記回転軸に垂直な底面を有する底部と、前記底面の周縁に連続し、前記底面に対して壁状となる側面を有する側壁部とを備え、
前記軸周囲区画と前記供給領域は前記底面上に位置し、
前記原料保持領域は前記側面上に位置する
回転体。
【請求項6】
請求項4に記載の回転体であって、
前記原料保持領域の周囲の空間である原料保持空間を、前記側面と共に囲むシールド部をさらに具備する
回転体。
【請求項7】
請求項6に記載の回転体であって、
前記原料供給領域と前記原料保持領域を接続する原料通過流路を有し、
前記プラズマ原料は前記原料通過流路を介して前記原料供給領域から前記原料保持領域へ流入する
回転体。
【請求項8】
請求項7に記載の回転体であって、
前記シールド部は、前記側壁部に連続する天井部と、前記天井部に連続する内壁部とを備える
回転体。
【請求項9】
請求項8に記載の回転体であって、
前記原料通過流路は、前記内壁部と前記底部の間の開口である
回転体。
【請求項10】
請求項8に記載の回転体であって、
前記原料通過流路は、前記原料供給領域と前記原料保持領域を接続する管である
回転体。
【請求項11】
請求項8に記載の回転体であって、
前記内壁部から前記原料供給領域側に突出し、前記原料供給領域に滴下された前記プラズマ原料の跳ね返りを防止する庇部をさらに具備する
回転体。
【請求項12】
請求項8に記載の回転体であって、
前記内壁部と前記侵入防止部とを接続し、前記内壁部及び前記侵入防止部と共に前記原料供給領域の周囲の空間である原料供給空間を囲み、前記プラズマ原料が通過する原料供給口を有する蓋部をさらに具備する
回転体。
【請求項13】
請求項4に記載の回転体であって、
前記原料保持領域は、前記エネルギービームが入射する入射領域と、前記入射領域よりも前記回転軸から離隔し、前記原料供給領域と前記入射領域の間に位置する接続領域を有する
回転体。
【請求項14】
請求項13に記載の回転体であって、
前記原料供給領域と前記接続領域を接続する原料通過流路を有する
回転体。
【請求項15】
請求項4に記載の回転体であって、
前記原料収容区画は、前記原料供給領域と前記原料保持領域の間に位置する原料貯留領域をさらに有し、前記原料貯留領域では前記プラズマ原料が液面から第1深さを有し、前記原料供給領域では前記プラズマ原料が前記液面から前記第1深さより浅い第2深さを有する
回転体。
【請求項16】
請求項15に記載の回転体であって、
前記回転軸に垂直な底面を有する底部と、前記回転軸に沿った方向において前記底部から離隔し、前記回転軸に垂直な受取面を有する受取部とを備え、
前記第1深さは、前記液面から前記底面の深さであり、
前記第2深さは、前記液面から前記受取面の深さである
回転体。
【請求項17】
請求項1に記載の回転体であって、
前記エネルギービームは、レーザ光である
回転体。
【請求項18】
請求項1に記載の回転体であって、
前記放射線は、極端紫外光又はX線である
回転体。
【請求項19】
請求項1に記載の回転体であって、
前記プラズマ原料は、スズ、リチウム、ガドリニウム、テルビウム、ガリウム、ビスマス又はこれらの材料のうちの少なくとも1つを含む合金である
回転体。
【請求項20】
エネルギービームの照射により液状のプラズマ原料をプラズマ化して放射線を取り出す光源装置であって、
真空雰囲気を維持可能なチャンバと、
前記チャンバ内に配置され、回転体の回転軸の周囲の区画である軸周囲区画と、前記軸周囲区画よりも前記回転軸から離隔し、前記プラズマ原料を収容すると共に前記エネルギービームが入射する区画である原料収容区画と、前記軸周囲区画と前記原料収容区画の境界に設けられ、前記プラズマ原料の前記原料収容区画から前記軸周囲区画への侵入を防止する侵入防止部とを備える回転体と、
前記原料収容区画に前記エネルギービームを入射させるビーム源と
を具備する光源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線や極端紫外光等を発生させるプラズマ原料を収容する回転体及び回転体を備えた光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、X線は、医療用用途、工業用用途、研究用用途に用いられてきた。医療用分野においては、X線は、胸部X線写真撮影、歯科X線写真撮影や、CT(Computer Tomogram)といった用途に用いられている。工業用分野においては、X線は、構造物や溶接部などの物質内部を観察する非破壊検査、断層非破壊検査といった用途に用いられている。研究用分野においては、X線は、物質の結晶構造を解析するためのX線回折、物質の構成元素を分析するためのX線分光(蛍光X線分析)といった用途に用いられている。X線のうち比較的波長の長い軟X線領域にある波長13.5nmの極端紫外光(以下、「EUV(Extreme Ultra Violet)光」ともいう)は、近年露光光として使用されている。
【0003】
EUVを発生させるEUV光源装置には、溶融したスズ又はリチウム等であるプラズマ原料にエネルギービームを照射して励起させることにより高温プラズマを発生させ、その高温プラズマからEUV光を取り出すものがある。エネルギービームとしてレーザ光を用いる方法はLPP(Laser Produced Plasma)、放電を用いる方法はDPP(Discharge Produced Plasma)又はLDP(Laser Assisted Discharge Produced Plasma)と呼ばれている。
【0004】
LPPに用いられるEUV光源装置としては、プラズマ原料の液滴に対してレーザ光を集光することにより原料を励起させてプラズマを発生させるものが知られている。それに対して近年、回転体の遠心力によりレーザ光の照射領域へプラズマ原料を供給する方法が開発された(例えば、特許文献1~3参照)。この方法は、プラズマ原料を液滴として供給する必要がないため、液滴にレーザ光を集光する方式と比べて比較的簡易な構成で、高輝度の放射線を得ることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-1924号公報
【特許文献2】特表2008-532228号公報
【特許文献3】特表2022-530497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1、3には、ロードロック機構によりチャンバ内の真空状態を維持しながら、プラズマ原料の基となる金属ペレットを回転体に断続的に供給する点が記載されている。これにより、安定して断続的にEUV光を生成することができるとしている。レーザ光照射位置近傍にはプラズマ原料を貯留する部位があるものの、プラズマ原料はレーザ光を照射するたびに消費され、さらに回転体の遠心力で飛散する。そのため、プラズマ原料を定期的に供給し、安定した連続運転をさせる必要がある。
【0007】
また、特許文献1、3には、プラズマ原料の供給手段が記載されていないが、例えば特許文献2にプラズマ原料の供給装置が提供されている。この方式を用いると、回転体に原料を供給することができるが、ノズルの状態や回転体の状態によっては常に同じ場所に滴下できるわけではなく、それらは回転の擾乱を引き起こす可能性がある。
【0008】
さらに回転体は、その回転軸に軸受が設けられる。この軸受は耐熱性が低いため、プラズマ原料を溶融させるためのヒータは軸受の近傍を避けて配置される。これにより回転体は、回転軸の近傍の温度が低くなっている。この部位にプラズマ原料が滴下されるとプラズマ原料は滴下した形状のまま固化し、重量の偏心を起こしてしまう。これも上記とは別の要因で回転の擾乱を招く。この問題は回転軸の近傍の温度をプラズマ原料が確実に溶解する温度まで上げることで解決するが、その場合、軸受の寿命が短くなる。
【0009】
また、特許文献3、図6の構成では、レーザ光が照射される部位を相互作用ゾーンと呼び、デブリシールドで囲っている。このデブリシールドにより、レーザ光照射で発生するデブリを防ぐことができるが、EUV発光のたびに消費するプラズマ原料を補給する際に、同図6のような構成ではプラズマ原料の供給が難しくなる。デブリシールドと回転体の間にはギャップがあるが、このギャップはプラズマ原料の供給のためではなく、固定されているデブリシールドと回転体を限りなく近づけ、かつ回転体のみを回転させるものであるため、プラズマ原料の導入をこのギャップから行うことは難しい。よって、デブリ低減とレーザ光照射位置までのプラズマ原料の供給を両立させることは難しいと思われる。
【0010】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、長期間にわたってエネルギービーム照射位置にプラズマ原料を安定的に供給することが可能な回転体及び光源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る回転体は、エネルギービームの照射により液状のプラズマ原料をプラズマ化して放射線を取り出す光源装置が備える回転体であって、軸周囲区画と、原料収容区画と、侵入防止部とを具備する。
前記軸周囲区画は、前記回転体を回転させる回転軸の周囲の区画である。
前記原料収容区画は、前記軸周囲区画よりも前記回転軸から離隔し、前記プラズマ原料を収容すると共に前記エネルギービームが入射する区画である。
前記侵入防止部は、前記軸周囲区画と前記原料収容区画の境界に設けられ、前記プラズマ原料の前記原料収容区画から前記軸周囲区画への侵入を防止する。
【0012】
前記侵入防止部は、前記軸周囲区画を囲む壁状部材であってもよい。
【0013】
前記侵入防止部は、前記軸周囲区画を封止する封止体であってもよい。
【0014】
前記原料収容区画は、前記プラズマ原料が供給される原料供給領域と、前記原料供給領域よりも前記回転軸から離隔し、前記回転体の回転による遠心力により前記原料供給領域から前記プラズマ原料が流入する原料保持領域とを有し、前記エネルギービームは前記原料保持領域に照射されてもよい。
【0015】
前記回転体は、前記回転軸に垂直な底面を有する底部と、前記底面の周縁に連続し、前記底面に対して壁状となる側面を有する側壁部とを備え、前記軸周囲区画と前記供給領域は前記底面上に位置し、前記原料保持領域は前記側面上に位置してもよい。
【0016】
前記回転体は、前記原料保持領域の周囲の空間である原料保持空間を、前記側面と共に囲むシールド部をさらに具備してもよい。
【0017】
前記回転体は、前記原料供給領域と前記原料保持領域を接続する原料通過流路を有し、
前記プラズマ原料は前記原料通過流路を介して前記原料供給領域から前記原料保持領域へ流入してもよい。
【0018】
前記シールド部は、前記側壁部に連続する天井部と、前記天井部に連続する内壁部とを備えてもよい。
【0019】
前記原料通過流路は、前記内壁部と前記底部の間の開口であってもよい。
【0020】
前記原料通過流路は、前記原料供給領域と前記原料保持領域を接続する管であってもよい。
【0021】
前記回転体は、前記内壁部から前記原料供給領域側に突出し、前記原料供給領域に滴下された前記プラズマ原料の跳ね返りを防止する庇部をさらに具備してもよい。
【0022】
前記回転体は、前記内壁部と前記侵入防止部とを接続し、前記内壁部及び前記侵入防止部と共に前記原料供給領域の周囲の空間である原料供給空間を囲み、前記プラズマ原料が通過する原料供給口を有する蓋部をさらに具備してもよい。
【0023】
前記原料保持領域は、前記エネルギービームが入射する入射領域と、前記入射領域よりも前記回転軸から離隔し、前記原料供給領域と前記入射領域の間に位置する接続領域を有してもよい。
【0024】
前記回転体は、前記原料供給領域と前記接続領域を接続する原料通過流路を有してもよい。
【0025】
前記原料収容区画は、前記原料供給領域と前記原料保持領域の間に位置する原料貯留領域をさらに有し、前記原料貯留領域では前記プラズマ原料が液面から第1深さを有し、前記原料供給領域では前記プラズマ原料が前記液面から前記第1深さより浅い第2深さを有してもよい。
【0026】
前記回転体は、前記回転軸に垂直な底面を有する底部と、前記回転軸に沿った方向において前記底部から離隔し、前記回転軸に垂直な受取面を有する受取部とを備え、前記第1深さは、前記液面から前記底面の深さであり、前記第2深さは、前記液面から前記受取面の深さであってもよい。
【0027】
前記エネルギービームは、レーザ光であってもよい。
【0028】
前記放射線は、極端紫外光又はX線であってもよい。
【0029】
前記プラズマ原料は、スズ、リチウム、ガドリニウム、テルビウム、ガリウム、ビスマス又はこれらの材料のうちの少なくとも1つを含む合金であってもよい。
【0030】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る光源装置は、エネルギービームの照射により液状のプラズマ原料をプラズマ化して放射線を取り出す光源装置であって、チャンバと、回転体と、ビーム源とを具備する。
上記チャンバは、真空雰囲気を維持可能である。
上記回転体は、前記チャンバ内に配置され、回転体の回転軸の周囲の区画である軸周囲区画と、前記軸周囲区画よりも前記回転軸から離隔し、前記プラズマ原料を収容すると共に前記エネルギービームが入射する区画である原料収容区画と、前記軸周囲区画と前記原料収容区画の境界に設けられ、前記プラズマ原料の前記原料収容区画から前記軸周囲区画への侵入を防止する侵入防止部とを備える。
上記ビーム源は、前記原料収容区画に前記エネルギービームを入射させる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、長期間にわたってエネルギービーム照射位置にプラズマ原料を安定的に供給することが可能な回転体及び光源装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の第1の実施形態に係る光源装置の模式図である。
図2】上記光源装置の一部構成の拡大図である。
図3】上記光源装置が備えるプラズマ生成機構及び原料供給装置の模式図である。
図4】上記プラズマ生成機構が備える回転体の断面図である。
図5】上記回転体の平面図である。
図6】上記回転体へのプラズマ原料の供給及びプラズマ生成を示す模式図である。
図7】上記回転体の他の構成を示す模式図である。
図8】本発明の第2の実施形態に係る光源装置が備えるプラズマ生成機構及び原料供給装置の模式図である。
図9】上記プラズマ生成機構が備える回転体の断面図である。
図10】上記回転体の拡大図である。
図11】上記回転体の平面図である。
図12】上記回転体へのプラズマ原料の供給及びプラズマ生成を示す模式図である。
図13】上記回転体の他の構成を示す模式図である。
図14】上記回転体の他の構成を示す模式図である。
図15】本発明の第3の実施形態に係る光源装置が備えるプラズマ生成機構及び原料供給装置の模式図である。
図16】上記プラズマ生成機構が備える回転体の断面図である。
図17】上記回転体の拡大図である。
図18】上記回転体の平面図である。
図19】上記回転体へのプラズマ原料の供給を示す模式図である。
図20】上記回転体におけるプラズマ生成を示す模式図である。
図21】上記回転体の他の構成を示す模式図である。
図22】本発明の第4の実施形態に係る光源装置が備えるプラズマ生成機構及び原料供給装置の模式図である。
図23】上記プラズマ生成機構が備える回転体の断面図である。
図24】上記回転体の拡大図である。
図25】上記回転体の平面図である。
図26】上記回転体へのプラズマ原料の供給を示す模式図である。
図27】上記回転体におけるプラズマ生成を示す模式図である。
図28】上記回転体の他の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0034】
<第1の実施形態>
[光源装置の基本構成]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る光源装置100の構成例を示す模式図であり、図2は光源装置100の一部を拡大した模式図である。光源装置100は、LPP(Laser Produced Plasma)方式の光源装置である。すなわち、光源装置100は、図2に示すようにプラズマ原料101にエネルギービームEBを照射することで、プラズマ原料101を励起してプラズマPを発生させ、プラズマPから放出される放射線Rを取り出して光源として用いる装置である。放射線RはEUV(Extreme Ultraviolet:極端紫外)光、X線又はその他の電磁波である。
【0035】
プラズマ原料101はスズ(Sn)、リチウム(Li)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ガリウム(Ga)、ビスマス(Bi)又はこれらの材料のうちの少なくとも1つを含む合金であり、液状である。放射線RとしてEUV光が出射される場合は、プラズマ原料101として溶融したSnやLiが用いられる。放射線RとしてX線が出射される場合は、プラズマ原料101として溶融したGaやGa合金、Sn化合物等が用いられる。
【0036】
図1は、光源装置100を設置面から所定の高さの位置で水平方向に沿って切断した場合の模式的な断面を、鉛直上方から見た場合の図である。図1では、光源装置100の構成及び動作を理解しやすいように、断面の構成等を説明する必要のない部分については、断面の図示を省略している。以下、X方向を水平方向のうち左右方向(X軸の正側が右側、負側が左側)、Y方向を水平方向のうち前後方向(Y軸の正側が前方側、負側が後方側)、Z方向を鉛直方向(Z軸の正側が上方側、負側が下方側)として説明を行う。もちろん、本技術の適用について、光源装置100が使用される向き等が限定される訳ではない。
【0037】
図1に示すように光源装置100は、筐体102、真空チャンバ103、エネルギービーム入射チャンバ104、放射線出射チャンバ105、プラズマ生成機構106、制御部107及び原料供給装置130を備える。なお、図1では、原料供給装置130を模式的に図示しているが、詳細な構成については後述する。
【0038】
図1に示す例では、筐体102は、おおよその外形が立方体形状となるように構成されている。なお筐体102の形状は立方体形状に限定されず、任意の立体形状が用いられてよい。筐体102は、前方面に形成される出射孔102aと、右側面に形成される入射孔102bと、左側面に形成される貫通孔102cとを有する。筐体102の材料は限定されず、例えば金属が用いられる。
【0039】
本実施形態では、前方面の出射孔102aを通り、Y方向(前後方向)に延在するように、放射線Rの出射軸EAが設定されている。放射線Rは、出射軸EAに沿って取り出され、出射孔102aから前方側に向かって放出される。また本実施形態では、右側面の入射孔102bから、後方側に向かって左斜めに延在するように、エネルギービームEBの入射軸IAが設定されている。
【0040】
図1に示すように、筐体102の外部にはエネルギービームEBを出射するビーム源108が設置されている。ビーム源108は、入射軸IAに沿ってエネルギービームEBが筐体102の内部に入射するように設置されている。エネルギービームEBとしては、電子ビームやレーザ光を使用することが可能である。ビーム源108の構成としては、これらのエネルギービームEBを出射可能な任意の構成が採用されてよい。
【0041】
光源装置100には、複数のチャンバを含むチャンバ部Cが設けられている。具体的には、チャンバ部Cは、真空チャンバ103、エネルギービーム入射チャンバ(以下、単に入射チャンバという)104、及び放射線出射チャンバ(以下、単に出射チャンバという)105を含む。真空チャンバ103と入射チャンバ104は互いに連結され、真空チャンバ103と出射チャンバ105は互いに連結されている。
【0042】
入射チャンバ104は、エネルギービームEBの入射軸IA上に位置するように構成され、出射チャンバ105は、放射線Rの出射軸EA上に位置するように構成されている。また真空チャンバ103には、プラズマPを発生させるプラズマ生成機構106が配置されている。
【0043】
本実施形態では、チャンバ本体109と、チャンバ本体109の前方面から前方側に突出する外側突出部109aと、チャンバ本体109の内周面から内部側に突出する2つの内側突出部109b及び109cとにより、チャンバ部C(真空チャンバ103、入射チャンバ104及び出射チャンバ105)が構成されている。チャンバ本体109の材料としては、金属材料が用いられる。
【0044】
チャンバ本体109は、おおよその外形が直方体形状となるように構成され、前後左右の各面が、筐体102の前後左右の各面とそれぞれ対向するように配置されている。また、チャンバ本体109は、前方面と右側面との間の右前角部が、エネルギービームEBの入射軸IA上に位置するように配置される。
【0045】
図1に示すように、チャンバ本体109の前方面には、出射孔109dが形成されている。出射孔109dは、放射線Rの出射軸EA上で、筐体102の前方面の出射孔102aと並ぶ位置に形成される。チャンバ本体109の出射孔109dの周縁部から、前方側に突出するように外側突出部109aが形成されている。外側突出部109aは、筐体102の出射孔102aに内接するように、筐体102の出射孔102aよりも前方側に大きく突出するように構成されている。
【0046】
また、チャンバ本体109の内部側において、出射孔109dの周縁部から内部側に突出するように、内側突出部109bが形成されている。外側突出部109a及び内側突出部109bに囲まれた空間が、出射チャンバ105として機能する。出射チャンバ105を構成する外側突出部109a及び内側突出部109b自体を出射チャンバと呼ぶことも可能である。外側突出部109a及び内側突出部109bは、チャンバ本体109と一体的に形成されてもよいし、別個に形成されたのちにチャンバ本体109に接続されてもよい。
【0047】
出射チャンバ105は、放射線Rの出射軸EAを中心軸として、コーン形状となるように構成されている。出射チャンバ105は、放射線Rの出射軸EAに沿った方向において、中央部分の断面積が大きく、前後の端部に近づくにつれて断面積が小さくなるように構成されている。すなわち、出射チャンバ105は、前後の端部に近づくにつれて絞られるような形状を有する。また出射チャンバ105は、前後の端部に放射線Rを通す開口部(アパーチャー)が設けられている。
【0048】
出射チャンバ105の前方側の端部(外側突出部109aの前方側の端部)には、マスク検査装置等の利用装置が接続される。図1に示す例では、利用装置の一部をなすチャンバとして、アプリケーションチャンバ110が接続されている。アプリケーションチャンバ110内の圧力は大気圧であってもよい。また、アプリケーションチャンバ110の内部は、必要に応じてガス注入路よりガス(例えば、不活性ガス)を導入してパージしてもよい。またアプリケーションチャンバ110の内部のガスは図示を省略した排気手段により排気されてもよい。
【0049】
出射チャンバ105とアプリケーションチャンバ110との間には、プラズマPが生成される領域とアプリケーションチャンバ110とを物理的に分離するフィルタ膜111が設けられている。フィルタ膜111は放射線Rを透過可能な材料で構成され、プラズマPの発生に伴って飛散するプラズマ原料101やデブリのアプリケーションチャンバ110への進入を防止する。
【0050】
出射チャンバ105の内部には、出射チャンバ105の内に入射した放射線Rを利用装置内(アプリケーションチャンバ110内)に導光して集光するためのコレクタ(集光鏡)112が配置されている。図1では、出射チャンバ105に入射し集光される放射線Rの成分がハッチングにて図示されている。
【0051】
また出射チャンバ105の内部には、遮蔽部材(中央掩蔽)113が配置されている。遮蔽部材113は、放射線Rの出射軸EA上にて、チャンバ本体109の出射孔109d、筐体102の出射孔102a及びフィルタ膜111と並ぶように配置される。本実施形態では、遮蔽部材113により、コレクタ112によって集光されない放射線成分を遮光することが可能である。
【0052】
チャンバ本体109の右前角部には、入射窓114が設けられている。入射窓114は、エネルギービームEBの入射軸IA上で、筐体102の右側面の入射孔102bと並ぶ位置に配置されている。また、チャンバ本体109の右前角部の内部側において、入射窓114を囲む位置からエネルギービームEBの入射軸IAの方向に沿って突出するように、内側突出部109cが形成されている。
【0053】
チャンバ本体109の内部空間のうち、内側突出部109cに囲まれた空間が、入射チャンバ104として機能する。入射チャンバ104を構成する内側突出部109c及びチャンバ本体109の右前角部の部分自体を、入射チャンバと呼ぶことも可能である。内側突出部109cは、チャンバ本体109と一体的に形成されてもよいし、別個に形成されたのちにチャンバ本体109に接続されてもよい。
【0054】
入射チャンバ104は、エネルギービームEBの入射軸IAを中心軸として、コーン形状となるように構成されている。入射チャンバ104は、エネルギービームEBの入射軸IAの方向において、チャンバ本体109の内部側の端部に近づくにつれて断面積が小さくなるように構成されている。すなわち、入射チャンバ104は、内部側の端部に近づくにつれて絞られるような形状を有する。また入射チャンバ104は、内部側の端部にエネルギービームEBを通す開口部(アパーチャー)が設けられている。
【0055】
入射チャンバ104の内部には、飛散したプラズマ原料101やデブリを捕捉するための捕捉機構が配置される。図1に示す例では、捕捉機構として、エネルギービームEBを透過し、プラズマ原料101やデブリを捕捉する板状の回転部材である回転式窓115が配置されている。回転式窓115を回転させることで、回転式窓115のビーム透過領域の実質的な面積が増大し、回転式窓115の交換頻度を低減することが可能となる。
【0056】
また、図1に示すように、出射チャンバ105及び入射チャンバ104には、ガス注入路116a及び116bがそれぞれ設けられ、図示を省略したガス供給装置から、出射チャンバ105及び入射チャンバ104の内部にガスが供給される。出射チャンバ105には、放射線Rに対して透過率の高いガスが供給される。また入射チャンバ104には、エネルギービームEBに対して透過率の高いガスが供給される。
【0057】
出射チャンバ105及び入射チャンバ104に供給されるガスは同じ種類のガスであってもよいし、異なる種類のガスであってもよい。例えばアルゴンやヘリウムは、エネルギービームEB及び放射線Rの両方に対して透過率の高いガスとして用いることが可能である。この他、出射チャンバ105及び入射チャンバ104に供給されるガスの種類は限定されない。ガスを供給することで、出射チャンバ105及び入射チャンバ104の内部圧力を真空チャンバ103の内部圧力よりも高い圧力に設定し、デブリ等の侵入を抑制することが可能となる。
【0058】
チャンバ本体109の内部空間のうち、出射チャンバ105として機能する内側突出部109bの内部空間及び入射チャンバ104として機能する内側突出部109cの内部空間を除く空間が、真空チャンバ103として機能する。真空チャンバ103を構成する部分自体を、真空チャンバと呼ぶことも可能である。
【0059】
図1に示すように、チャンバ本体109は、筐体102の左側面の貫通孔102cから筐体102の外部に突出する部分を有し、その先端が排気用ポンプ117に接続されている。排気用ポンプ117の具体的な構成は限定されず、真空ポンプ等の任意のポンプが用いられてよい。排気用ポンプ117により真空チャンバ103内が排気され、真空チャンバ103が減圧される。これにより、真空チャンバ103内にて生成される放射線Rの減衰が抑制される。真空チャンバ103内は、入射チャンバ104及び出射チャンバ105に対して減圧雰囲気であればよく、必ずしも真空雰囲気でなくてもよい。また、真空チャンバ103内に不活性ガスが供給されていてもよい。
【0060】
本実施形態では、入射軸IAと出射軸EAとの間の領域に向けて左右方向に延在するようにガスノズル118が設置されている。ガスノズル118は、チャンバ本体109の右側面に、シール部材等を介して設置される。ガスノズル118は、図示を省略したガス供給装置に接続され、チャンバ本体109内にガスを供給する。図1に示す例では、ガスノズル118から、入射軸IAと出射軸EAとの間の領域の右側から左右方向に沿って左側に向かってガスが吹き付けられる。これにより、プラズマPから放出されるデブリを、入射軸IA及び出射軸EAから遠ざかる方向に移動させることが可能となる。
【0061】
プラズマ生成機構106は、真空チャンバ103内にてプラズマPを生成し、放射線R(X線又はEUV光)を放出するための機構である。プラズマ生成機構106は、図2に示すように回転体120を備える。図2に示すように、回転体120にはエネルギービームEBが入射する。回転体120は、エネルギービームEBの照射位置Iが入射軸IAと出射軸EAとの交点の位置に配置されるように、真空チャンバ103内に配置されている。
【0062】
回転体120は、図2に矢印Sで示すように回転可能に保持されており、原料供給装置130から液状のプラズマ原料101が供給される。プラズマ原料101は回転体120の回転により、照射位置Iに供給され、照射位置IにエネルギービームEBが入射することでプラズマPが生成される。プラズマ生成機構106及び原料供給装置130詳細については後述する。
【0063】
制御部107は、光源装置100が有する各構成要素の動作を制御する。例えば、制御部107により、ビーム源108や排気用ポンプ117の動作が制御される。また制御部107により、後に説明する原料供給装置130や回転駆動源等の動作が制御される。制御部107は、例えばCPUやメモリ(RAM、ROM)等のコンピュータに必要なハードウェア回路を有する。CPUがメモリに記憶されている制御プログラムをRAMにロードして実行することにより、種々の処理が実行される。制御部107として、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)等のPLD(Programmable Logic Device)、その他ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のデバイスが用いられてもよい。図1では、制御部107は機能ブロックとして模式的に図示されているが、制御部107が構成される位置等は任意に設計されてよい。
【0064】
また、図1に示すように、本実施形態では、チャンバ本体109の前面側にて真空チャンバ103と空間的に接続される領域に、放射線診断部119が設けられている。放射線診断部119は、放射線Rの出射軸EAとは異なる方向に放射される放射線Rが入射する位置に配置されている。放射線診断部119は、プラズマPからの放射線Rの状態を測定する。ここで放射線Rの状態とは、放射線Rの強度、波長、スペクトルといった放射線Rの物理的状態である。例えば、放射線Rの有無を検出する検出器や、放射線の出力を測定する測定器により放射線診断部119が構成される。放射線診断部19による測定結果は、放射線Rの診断や、以下で説明する原料供給装置130の動作制御に用いられる。
【0065】
[原料供給装置の構成]
図3は、プラズマ生成機構106及び原料供給装置130の構成を示す模式図である。なお、図3では筐体102、エネルギービーム入射チャンバ104及び放射線出射チャンバ105は省略されている。図3に示すように、原料供給装置130は光源装置100の真空チャンバ103に接続される。原料供給装置130は、プラズマ原料101を真空チャンバ103内に供給する装置である。
【0066】
原料供給装置130は、原料排出部131、原料補給管132、補給用バルブ133、原料タンク134、原料供給管135、供給用バルブ136、圧力計137、排気管138、加熱機構139及び真空排気装置140を備える。
【0067】
原料排出部131は、原料タンク134に補給するためのプラズマ原料101を排出する。原料排出部131は、プラズマ原料101を収容し、必要量を排出する機構である。原料補給管132は原料排出部131と原料タンク134とを接続し、原料排出部131から排出されたプラズマ原料101を通過させる。補給用バルブ133は原料補給管132に設けられ、原料タンク134の減圧雰囲気を維持する。補給用バルブ133としては、例えばプラズマ原料101が通過可能なように原料補給管132を開閉するメカニカルバルブ等が用いられる。
【0068】
原料タンク134は、真空チャンバ103の外側に設けられ、液体状態のプラズマ原料101を貯留する。原料タンク134には内部に連通するように、原料補給管132及び原料供給管135が接続されている。また原料タンク134は加熱機構139を有する。加熱機構139は、原料タンク134内のプラズマ原料101を加熱するため機構である。加熱機構139としては、例えば電熱線等を用いたヒータが用いられる。
【0069】
加熱機構139による加熱により、原料補給管132から原料タンク134に補給されるプラズマ原料101は、補給時の状態(固体状態又は液体状態)にかかわらず、プラズマ原料101が液体状態となるように所定の温度に維持される。
【0070】
原料供給管135は、原料タンク134と真空チャンバ103とを接続し、原料タンク134内に貯留された液体状のプラズマ原料101を回転体120に供給する。原料供給管135は、真空チャンバ103の壁面を貫通して原料タンク134と真空チャンバ103とを接続する。供給用バルブ136は原料供給管135に設けられ、プラズマ原料101の流れを開閉する。圧力計137は原料タンク134に接続され、原料タンク134内の圧力を計測する。排気管138は真空排気装置140と原料タンク134を接続する。
【0071】
原料供給装置130は、図3に示すように、真空チャンバ103の鉛直上方に配置される。これにより、液体状のプラズマ原料101をその自重により真空チャンバ103内に導入することが可能となり、装置構成をシンプルにすることができる。また、原料供給装置130を用いることにより、回転体120に対して、液体状のプラズマ原料101を必要に応じて供給することが可能となる。このため、プラズマ原料101の貯留量を少なくし、消費エネルギーを抑えると共に、プラズマ原料を安定して供給することが可能となる。
【0072】
[プラズマ生成機構の構成]
図3に示すように、プラズマ生成機構106は、回転体120、回転駆動源127、軸部128及び軸受129を備える。回転駆動源127は、真空チャンバ103外に配置され、回転体120の回転動力を生成する。回転駆動源127は例えばモータである。軸部128は、回転駆動源127と回転体120を接続し、回転駆動源127において生成された回転動力を回転体120に伝達する。軸受129は軸部128と真空チャンバ103の間に配置され、真空チャンバ103に対する軸部128の回転を可能とする。
【0073】
回転体120は、真空チャンバ103内に配置され、軸部128と接続されている。回転体120は図3に示すように、軸部128の回転により回転する。以下、回転体120及び軸部128の回転軸を回転軸Mとする。回転軸Mは鉛直方向(Z方向)に沿い、回転面が水平方向となるように配置されている。回転体120の材料は特に限定されず、溶融しているプラズマ原料101を収容可能なものであればよい。
【0074】
図4は回転体120の断面図であり、図5は回転体120の平面図である。図4図5のA-A線における回転体120の断面を示す。これらの図に示すように回転体120は本体部121及び侵入防止部122を備える。
【0075】
本体部121は、底部123及び側壁部124を備える。底部123は板状部分であり、円板形状とすることができる。本体部121の中心には軸部128が接続されている。底部123は底面123aを有する。底面123aは底部123のうち軸部128とは反対側の面である。底面123aは例えば回転軸Mに垂直な面であり、すなわち水平面である。
【0076】
側壁部124は、底部123の周縁に連続する筒形状の壁状部分である。側壁部124は、回転軸Mから一定距離に設けられた円筒形状の壁状部分とすることができる。側壁部124は側面124aを有する。側面124aは側壁部124のうち内周側の面であり、底面123aの周縁に連続し、底面123aに対して壁状となる面である。側面123aは例えば底面123aに垂直な面である。また側面124aは、底面123aに垂直な面に対して内周側又は外周側に傾斜した面や、底面123a側が底面123aに垂直であって一定の高さから内周側又は外周側に傾斜した面等であってもよい。
【0077】
侵入防止部122は、底面123a上に設けられた壁状部分である。侵入防止部122は、回転軸Mから一定距離に設けられ、側壁部124より回転軸Mに接近する円筒形状の壁状部分とすることができる。侵入防止部122は壁面122aを有する。壁面122aは侵入防止部122のうち外周側の面であり、底面123aに連続する。壁面122aは例えば、底面123aに垂直な面であり、側面124aと対向する。
【0078】
図4及び図5に示すように、回転体120は軸周囲区画125と原料収容区画126を有する。軸周囲区画125と原料収容区画126は侵入防止部122によって隔てられている。
【0079】
軸周囲区画125は、回転軸Mの周囲の区画であり、侵入防止部122によって囲まれ、侵入防止部122より内周側の区画である。原料収容区画126は、軸周囲区画125よりも回転軸Mから離隔し、プラズマ原料101を収容すると共にエネルギービームEBが入射する区画であり、侵入防止部122より外周側の区画である。原料収容区画126は、原料供給領域126aと原料保持領域126bを有する。
【0080】
原料供給領域126aはプラズマ原料101が供給される領域である。具体的には原料供給領域126aは底面123aのうち、侵入防止部122より外周側の領域である。原料保持領域126bは原料供給領域よりも回転軸Mから離隔し、回転体120の回転による遠心力により原料供給領域126aからプラズマ原料101が流入すると共にエネルギービームEBが照射される領域である。具体的には原料保持領域126bは側面124a上の領域である。
【0081】
図6は原料供給装置130から回転体120へのプラズマ原料101の供給を示す模式図である。同図に示すように、回転体120が回転している状態で、原料供給装置130からプラズマ原料101の液滴Dが底面123a上の原料供給領域126aに滴下される。滴下されたプラズマ原料101は回転体120の回転による遠心力により原料供給領域126aから側面124a、すなわち原料保持領域126bに流入する。
【0082】
図6に示すように、エネルギービームEBは原料保持領域126b上の照射位置Iにおいてプラズマ原料101に照射され、プラズマPを発生させる。エネルギービームEBの照射によるプラズマ化によって、原料保持領域126b上のプラズマ原料101は消費されるため、エネルギービームEBの照射中も原料供給領域126aへのプラズマ原料101の供給は継続される。
【0083】
プラズマ生成機構106は以上のような構成を有する。なお、回転体120の形状は上述のものに限られず、少なくとも軸周囲区画125、原料収容区画126及び侵入防止部122を備えるものであればよい。例えば本体部121の外周形状は円形形状に限られず、多角形形状等であってもよい。侵入防止部122の形状も円筒形状に限られず、軸周囲区画125と原料収容区画126を隔てる形状であればよい。回転軸Mの方向も鉛直方向に沿ったものに限られず、一定程度鉛直方向から傾いた方向であってもよい。回転駆動源127、軸部128及び軸受129の構成についても適宜変更可能である。
【0084】
[回転体による効果]
上述のように、プラズマ原料101は原料供給領域126aに滴下され、遠心力により原料保持領域126bに流入する(図6参照)。すなわちプラズマ原料101は原料収容区画126内に位置する。一方、軸周囲区画125は原料収容区画126よりも回転軸Mに近接し、かつ侵入防止部122により原料収容区画126とは隔てられている。このため、プラズマ原料101が軸周囲区画125に侵入することは防止されている。
【0085】
仮に侵入防止部122が設けられていない場合、液滴Dの飛散等によってプラズマ原料101は軸周囲区画125に侵入するおそれがある。その場合、軸周囲区画125においてプラズマ原料101が固化すると偏心が生じ、回転体120の回転に擾乱が生じるおそれがある。その結果、照射位置Iにおいてプラズマ原料101の液面が変動し、放出される放射線Rの状態が不安定となる。一方、軸周囲区画125をヒータ等によって加熱することでプラズマ原料101の固化を防止することは可能である。しかしながら、軸受は一般に耐熱性が低いため。軸周囲区画125をヒータ等によって加熱すると軸受129の寿命が短くなる。
【0086】
これに対して回転体120では、プラズマ原料101の軸周囲区画125への侵入が防止されているため、軸周囲区画125を加熱する必要がない。また、回転軸Mから離隔した原料収容区画126は加熱することでプラズマ原料101の固化を防止できるため、回転の擾乱を防止し、回転体120の回転を安定化させることが可能となる。したがって回転体120を用いることにより、長期間にわたって照射位置Iにプラズマ原料101を安定的に供給し、放射線Rの状態を安定化させることができ、光源装置100の安定な長時間運転が可能となる。
【0087】
[回転体の他の構成]
回転体120は以下のような構成とすることも可能である。図7は回転体120の他の構成を示す模式図である。
【0088】
図7に示すように、侵入防止部122は軸周囲区画125を封止する封止体であってもよい。具体的には侵入防止部122は、底面123a上に設けられた壁状部分122bと、壁状部分122bの間を閉塞する天板部分122cを備える。壁状部分122bは、回転軸Mから一定距離に設けられ、側壁部124より回転軸Mに接近する円筒形状の壁状部分とすることができる。天板部分122cは平板状部分とすることができる。
【0089】
この構成においても、封止体である侵入防止部122によってプラズマ原料101の軸周囲区画125への侵入を防止することができるため、長期間にわたって照射位置Iにプラズマ原料101を安定的に供給し、放射線Rの状態を安定化させることができる。なお、天板部分122cは平板状に限られず、中央部が上方に向かって突出する曲面形状や錐体形状等、天板部分122c上にプラズマ原料101が蓄積されない形状としても好適である。また、侵入防止部122は軸周囲区画125を封止するものであればよく、例えば半球形状等であってもよい。
【0090】
<第2の実施形態>
本発明に係る第2の実施形態の光源装置について説明する。これ以降の説明では、上記の実施形態で説明した光源装置100における構成及び作用と同様な部分については、その説明を省略又は簡略化する。
【0091】
[プラズマ生成機構の構成]
図8は第2の実施形態に係る光源装置200が備えるプラズマ生成機構206の模式図である。光源装置200の構成のうちプラズマ生成機構206以外の構成は第1の実施形態と同様である。同図に示すようにプラズマ生成機構206は、回転体220、回転駆動源227、軸部228及び軸受229を備える。
【0092】
回転駆動源227は、真空チャンバ103外に配置され、回転体220の回転動力を生成する。回転駆動源227は例えばモータである。軸部228は、回転駆動源227と回転体220を接続し、回転駆動源227において生成された回転動力を回転体220に伝達する。軸受229は軸部228と真空チャンバ103の間に配置され、真空チャンバ103に対する軸部228の回転を可能とする。
【0093】
回転体220は、真空チャンバ103内に配置され、軸部228と接続されている。回転体220は図8に示すように、軸部228の回転により回転する。以下、回転体220及び軸部228の回転軸を回転軸Mとする。回転軸Mは鉛直方向(Z方向)に沿い、回転面が水平方向となるように配置されている。
【0094】
図9は回転体220の断面図であり、図10図9の拡大図、図11は回転体220の平面図である。図9図11のB-B線における回転体220の断面を示す。これらの図に示すように回転体220は本体部221、侵入防止部222及びシールド部230を備える。
【0095】
本体部221は、底部223及び側壁部224を備える。底部223は板状部分であり、円板形状とすることができる。本体部221の中心には軸部228が接続されている。底部223は底面223aを有する。底面223aは底部223のうち軸部228とは反対側の面である。底面223aは例えば回転軸Mに垂直な面であり、すなわち水平面である。
【0096】
側壁部224は、底部223の周縁に連続する筒形状の壁状部分である。側壁部224は、回転軸Mから一定距離に設けられた円筒形状の壁状部分とすることができる。側壁部224は側面224aを有する。側面224aは側壁部224のうち内周側の面であり、底面223aの周縁に連続し、底面223aに対して壁状となる面である。側面224aは例えば底面223aに垂直な面である。また側面224aは、底面223aに垂直な面に対して内周側又は外周側に傾斜した面や、底面223a側が底面223aに垂直であって一定の高さから内周側又は外周側に傾斜した面等であってもよい。
【0097】
侵入防止部222は、底面223a上に設けられた壁状部分である。侵入防止部222は、回転軸Mから一定距離に設けられ、側壁部224より回転軸Mに接近する円筒形状の壁状部分とすることができる。侵入防止部222は壁面222aを有する。壁面222aは侵入防止部222のうち外周側の面であり、底面223aに連続する。壁面222aは例えば、底面223aに垂直な面である。
【0098】
シールド部230は、側面224aとの間に空間を形成する。図10に示すようにシールド部230は、側壁部224に連続する天井部231と天井部231に連続する内壁部232を備える。天井部231は、底部223に平行な板状部材であり、内壁部232は側壁部224に平行な壁状部材である。また、シールド部230は、側面224aとの間に空間を形成するものであればよく、他の形状を有するものであってもよい。内壁部232と底面223aの間には原料通過流路233が設けられている。原料通過流路233は、間隙又は開口であり、内壁部232の全周に渡って設けられている。
【0099】
図9及び図10に示すように、回転体220は軸周囲区画225と原料収容区画226を有する。軸周囲区画225と原料収容区画226は上述した侵入防止部222によって隔てられている。
【0100】
軸周囲区画225は、回転軸Mの周囲の区画であり、侵入防止部222によって囲まれ、侵入防止部222より内周側の区画である。原料収容区画226は、軸周囲区画225よりも回転軸Mから離隔し、プラズマ原料101を収容すると共にエネルギービームEBが入射する区画であり、侵入防止部222より外周側の区画である。原料収容区画226は、原料供給領域226aと原料保持領域226bを有する。
【0101】
原料供給領域226aはプラズマ原料101が供給される領域である。具体的には原料供給領域226aは底面223aのうち、侵入防止部222より外周側かつシールド部230より内周側の領域である。原料保持領域226bは原料供給領域よりも回転軸Mから離隔し、回転体220の回転による遠心力により原料供給領域226aからプラズマ原料101が流入すると共にエネルギービームEBが照射される領域である。具体的には原料保持領域226bは側面224a上の領域である。
【0102】
本実施形態においてはシールド部230が設けられているため、原料供給領域226aと原料保持領域226bは離隔している。また、原料保持領域226bの周囲の空間は側面224aとシールド部230によって囲まれている。以下、この空間を原料保持空間Gとする。上述のように、内壁部232と底部223の間には原料通過流路233が設けられており、原料保持空間Gは原料通過流路233を介して原料供給領域226aと連通している。
【0103】
図12は原料供給装置130から回転体220へのプラズマ原料101の供給を示す模式図である。同図に示すように、回転体220が回転している状態で、原料供給装置130からプラズマ原料101の液滴Dが底面223a上の原料供給領域226aに滴下される。滴下されたプラズマ原料101は回転体220の回転による遠心力により、原料供給領域226aから原料通過流路233を通過して原料保持空間Gに流入し、さらに側面224a、すなわち原料保持領域226bに流入する。
【0104】
図12に示すように、エネルギービームEBは原料保持領域226b上の照射位置Iにおいてプラズマ原料101に照射され、プラズマPを発生させる。エネルギービームEBの照射によるプラズマ化によって、原料保持領域226b上のプラズマ原料101は消費されるため、エネルギービームEBの照射中も原料供給領域226aへのプラズマ原料101の供給は継続される。なお、シールド部230には、エネルギービームEB及び放射線Rを通過させる図示しない通過路が設けられている。通過路は内壁部232に設けられた間隙又は開口である。
【0105】
プラズマ生成機構206は以上のような構成を有する。なお、回転体220の形状は上述のものに限られず、少なくとも軸周囲区画225、原料収容区画226、侵入防止部222及びシールド部230を備えるものであればよい。例えば本体部221の外周形状は円形形状に限られず、多角形形状等であってもよい。侵入防止部222の形状も円筒形状に限られず、軸周囲区画225と原料収容区画226を隔てる形状であればよい。回転軸Mの方向も鉛直方向に沿ったものに限られず、一定程度鉛直方向から傾いた方向であってもよい。回転駆動源227、軸部228及び軸受229の構成についても適宜変更可能である。
【0106】
[回転体による効果]
本実施形態に係る回転体220では、第1の実施形態と同様に、プラズマ原料101の軸周囲区画225への侵入が防止されているため、軸周囲区画225を加熱する必要がない。また、回転軸Mから離隔した原料収容区画226は加熱することでプラズマ原料101の固化を防止できるため、回転の擾乱を防止し、回転体220の回転を安定化させることが可能となる。したがって回転体220を用いることにより、長期間にわたって照射位置Iにプラズマ原料101を安定的に供給し、放射線Rの状態を安定化させることができ、光源装置200の安定な長時間運転が可能となる。
【0107】
加えて、回転体220ではシールド部230によって原料保持空間Gが囲まれているため、デブリが原料保持空間G外に飛散することが防止されている。デブリはプラズマ原料101へのエネルギービームEBの照射によって生じるプラズマ原料101の蒸気及び煙霧であり、エネルギービームEB及び放射線Rを減衰させる。
【0108】
また、原料保持領域226bへのプラズマ原料101の供給は原料通過流路233を介して行われる。仮にシールド部230と側壁部224の間にプラズマ原料101の供給を行うと、液滴Dの飛散により、霧状に拡散されたプラズマ原料101がシールド部230の内部やエネルギービームEBの通過路に付着し、発光性能に影響する可能性がある。これに対し、原料通過流路233を介してプラズマ原料101を供給する場合、そのような付着を防止することができる。したがって、回転体220を用いることにより、デブリの低減とプラズマ原料101の供給及び照射位置Iへの導入を両立させることが可能である。
【0109】
[回転体の他の構成]
回転体220は以下のような構成とすることも可能である。図13及び図14は回転体220の他の構成を示す模式図である。
【0110】
図13に示すように、シールド部230は管部234を備えるものであってもよい。管部234はシールド部230の下端部に接続され、底面223aとの間に管状の原料通過流路233を形成する。管部234はシールド部230の全周にわたって設けられてもよく、所定間隔で設けられてもよい。
【0111】
また、図14に示すようにシールド部230には庇部235が設けられてもよい。庇部235は内壁部232から原料供給領域226a側に突出し、シールド部230の全周にわたって設けられている。庇部235の位置は同図に示すように内壁部232の上端部であってもよく、より低い位置であってもよい。さらに、図19に示すように侵入防止部222にも庇部236が設けられてもよい。庇部236は侵入防止部222から原料供給領域226a側に突出し、侵入防止部222の全周にわたって設けられている。庇部236の位置は同図に示すように侵入防止部222の上端部であってもよく、より低い位置であってもよい。
【0112】
庇部235及び庇部236は原料供給領域226aに滴下されたプラズマ原料101の跳ね返りを遮蔽し、シールド部230上や軸周囲区画225へのプラズマ原料101の飛散を防止する。なお、回転体220には庇部235と庇部236の一方のみが設けられてもよい。
【0113】
また、回転体220は図14に示す管部234と図14に示す庇部235及び庇部236の両方を備えるものであってもよい。さらに、侵入防止部222は第1の実施形態において説明したように、軸周囲区画225を封止する封止体構造(図7参照)であってもよい。
【0114】
<第3の実施形態>
本発明に係る第3の実施形態の光源装置について説明する。
【0115】
[プラズマ生成機構の構成]
図15は第3の実施形態に係る光源装置300が備えるプラズマ生成機構306の模式図である。光源装置300の構成のうちプラズマ生成機構306以外の構成は第1の実施形態と同様である。同図に示すようにプラズマ生成機構306は、回転体320、回転駆動源327、軸部328及び軸受329を備える。
【0116】
回転駆動源327は、真空チャンバ103外に配置され、回転体320の回転動力を生成する。回転駆動源327は例えばモータである。軸部328は、回転駆動源327と回転体320を接続し、回転駆動源327において生成された回転動力を回転体320に伝達する。軸受329は軸部328と真空チャンバ103の間に配置され、真空チャンバ103に対する軸部328の回転を可能とする。
【0117】
回転体320は、真空チャンバ103内に配置され、軸部328と接続されている。回転体320は図15に示すように、軸部328の回転により回転する。以下、回転体320及び軸部328の回転軸を回転軸Mとする。回転軸Mは鉛直方向(Z方向)に沿い、回転面が水平方向となるように配置されている。
【0118】
図16は回転体320の断面図であり、図17図16の拡大図、図18は回転体320の平面図である。図16図18のC-C線における回転体320の断面を示す。これらの図に示すように回転体320は本体部321、侵入防止部322、シールド部330及び受取部340を備える。
【0119】
本体部321は、底部323及び側壁部324を備える。底部323は板状部分であり、円板形状とすることができる。本体部321の中心には軸部328が接続されている。底部323は底面323aを有する。底面323aは底部323のうち軸部328とは反対側の面である。底面323aは例えば回転軸Mに垂直な面であり、すなわち水平面である。
【0120】
側壁部324は、底部323の周縁に連続する筒形状の壁状部分である。側壁部324は、回転軸Mから一定距離に設けられた円筒形状の壁状部分とすることができる。側壁部324は側面324aを有する。側面324aは側壁部324のうち内周側の面であり、底面323aの周縁に連続し、底面323aに対して壁状となる面である。側面324aは例えば底面323aに垂直な面である。また側面324aは、底面323aに垂直な面に対して内周側又は外周側に傾斜した面や、底面323a側が底面323aに垂直であって一定の高さから内周側又は外周側に傾斜した面等であってもよい。
【0121】
侵入防止部322は、受取部340上に設けられた壁状部分である。侵入防止部322は、回転軸Mから一定距離に設けられ、側壁部324より回転軸Mに接近する円筒形状の壁状部分とすることができる。侵入防止部322は壁面322aを有する。壁面322aは侵入防止部322のうち外周側の面であり、受取部340の受取面340aに連続する。壁面322aは例えば、底面323aに垂直な面である。
【0122】
シールド部330は、側面324aとの間に空間を形成する。図17に示すようにシールド部330は、側壁部324に連続する天井部331と天井部331に連続する内壁部332を備える。天井部331は、底部323に平行な板状部材であり、内壁部332は側壁部324に平行な壁状部材である。また、シールド部330は、側面324aとの間に空間を形成するものであればよく、他の形状を有するものであってもよい。内壁部232には受取面340aに連続する原料通過流路333が設けられている。原料通過流路333は、間隙又は開口であり、内壁部332の全周に渡って設けられている。
【0123】
受取部340は受取面340aを形成する。受取部340は図17に示すように底部323と平行な板状部材であり、底面323aから離隔して設けられている。受取部340の外周は内壁部332に接続され、内周が侵入防止部322に接続されている。受取面340aの底面323aとは反対側の面が受取面340aを構成している。
【0124】
図16及び図17に示すように、回転体320は軸周囲区画325と原料収容区画326を有する。軸周囲区画325と原料収容区画326は上述した侵入防止部322によって隔てられている。
【0125】
軸周囲区画325は、回転軸Mの周囲の区画であり、侵入防止部322によって囲まれ、侵入防止部322より内周側の区画である。原料収容区画326は、軸周囲区画325よりも回転軸Mから離隔し、プラズマ原料101を収容すると共にエネルギービームEBが入射する区画であり、侵入防止部322より外周側の区画である。図17に示すように原料収容区画326は、原料供給領域326a、原料保持領域326b及び原料貯留領域326cを有する。
【0126】
原料供給領域326aはプラズマ原料101が供給される領域である。具体的には原料供給領域326aは受取面340a上の領域である。原料保持領域326bは原料供給領域326aよりも回転軸Mから離隔し、回転体320の回転による遠心力により原料供給領域326aからプラズマ原料101が流入すると共にエネルギービームEBが照射される領域である。具体的には原料保持領域326bは側面324a上の領域である。原料貯留領域326cは、原料供給領域326aと原料保持領域326bの間に位置し、底面323a上の領域である。このため、。原料貯留領域326cは原料供給領域326aに対して下方に位置する。
【0127】
本実施形態においては原料貯留領域326cによって原料供給領域326aと原料保持領域326bは離隔している。また、原料保持領域326bの周囲の空間は側面324aとシールド部330によって囲まれている。以下、この空間を原料保持空間Gとする。上述のように、内壁部332と受取面340aの間には原料通過流路333が設けられており、原料保持空間Gは原料通過流路333を介して原料供給領域326aと連通している。
【0128】
図19は原料供給装置130から回転体320へのプラズマ原料101の供給を示す模式図である。同図に示すように、回転体320が静止している状態で、原料供給装置130からプラズマ原料101の液滴Dが受取面340a上の原料供給領域326aに滴下される。プラズマ原料101は受取面340a上を流れ、原料通過流路333を介して原料貯留領域326cに流入する。上記のように、原料貯留領域326cは原料供給領域326aに対して下方に位置するため、原料貯留領域326cにおけるプラズマ原料101の深さL1は原料供給領域326aにおけるプラズマ原料101の深さL2より深くなる。
【0129】
図20は回転体320におけるプラズマ原料101へのエネルギービームEBの照射を示す模式図である。図20に示すようにプラズマ原料101を回転体320へ供給した状態で回転させると、原料貯留領域326cに貯留されていたプラズマ原料101は回転体320の回転による遠心力により、原料貯留領域326cから原料保持領域326bに移動する。
【0130】
図20に示すように、エネルギービームEBは原料保持領域326b上の照射位置Iにおいてプラズマ原料101に照射され、プラズマPを発生させる。エネルギービームEBの照射によるプラズマ化によって、原料保持領域326b上のプラズマ原料101は消費されるため、エネルギービームEBの照射中も原料供給領域326aへのプラズマ原料101の供給は継続される。なお、シールド部330には、エネルギービームEB及び放射線Rを通過させる図示しない通過路が設けられている。通過路は内壁部332に設けられた間隙又は開口である。
【0131】
プラズマ生成機構306は以上のような構成を有する。なお、回転体320の形状は上述のものに限られず、少なくとも軸周囲区画325、原料収容区画326、侵入防止部322、シールド部330及び受取部340を備えるものであればよい。例えば本体部321の外周形状は円形形状に限られず、多角形形状等であってもよい。侵入防止部322の形状も円筒形状に限られず、軸周囲区画325と原料収容区画326を隔てる形状であればよい。回転軸Mの方向も鉛直方向に沿ったものに限られず、一定程度鉛直方向から傾いた方向であってもよい。回転駆動源327、軸部328及び軸受329の構成についても適宜変更可能である。
【0132】
[回転体による効果]
本実施形態に係る回転体320では、第1の実施形態と同様に、プラズマ原料101の軸周囲区画325への侵入が防止されているため、軸周囲区画325を加熱する必要がない。また、回転軸Mから離隔した原料収容区画326は加熱することでプラズマ原料101の固化を防止できるため、回転の擾乱を防止し、回転体320の回転を安定化させることが可能となる。したがって回転体320を用いることにより、長期間にわたって照射位置Iにプラズマ原料101を安定的に供給し、放射線Rの状態を安定化させることができ、光源装置300の安定な長時間運転が可能となる。加えて、回転体320ではシールド部330を備えており、デブリの低減とプラズマ原料101の供給及び照射位置Iへの導入を両立させることが可能である。
【0133】
さらに、回転体320は受取部340を設けることにより、原料供給領域326aにおけるプラズマ原料101の深さL2を、原料貯留領域326cにおけるプラズマ原料101の深さL1より浅くすることができる(図19参照)。これにより、シールド部330があってもプラズマ原料101の液面を視認し、プラズマ原料101の液量を把握することができ、液量を確認しながらプラズマ原料101を供給することができる。また、受取部340を底面323aから離隔させることにより、溶融しているプラズマ原料101の熱が底部323に伝導しにくく、軸受329への熱負荷を抑えることができる。
【0134】
[回転体の他の構成]
回転体320は以下のような構成とすることも可能である。図21は回転体320の他の構成を示す模式図である。
【0135】
図21に示すように、回転体320はシールド部330を備えないものであってもよい。この構成においてもプラズマ原料101の液面の高さを、受取面340a上の液面の有無によって把握することが可能となり、かつ軸受329への熱負荷を抑えることができる。この他にも第2の実施形態と同様に、シールド部330及び侵入防止部322の一方又は両方にプラズマ原料101の跳ね返りを遮蔽する庇部を設けてもよい。さらに、侵入防止部322は第1の実施形態において説明したように、軸周囲区画325を封止する封止体構造(図7参照)であってもよい。
【0136】
<第4の実施形態>
本発明に係る第4の実施形態の光源装置について説明する。
【0137】
[プラズマ生成機構の構成]
図22は第4の実施形態に係る光源装置400が備えるプラズマ生成機構406の模式図である。光源装置400の構成のうちプラズマ生成機構406以外の構成は第1の実施形態と同様である。同図に示すようにプラズマ生成機構406は、回転体420、回転駆動源427、軸部428及び軸受429を備える。
【0138】
回転駆動源427は、真空チャンバ103外に配置され、回転体420の回転動力を生成する。回転駆動源427は例えばモータである。軸部428は、回転駆動源427と回転体420を接続し、回転駆動源427において生成された回転動力を回転体420に伝達する。軸受429は軸部428と真空チャンバ103の間に配置され、真空チャンバ103に対する軸部428の回転を可能とする。
【0139】
回転体420は、真空チャンバ103内に配置され、軸部428と接続されている。回転体420は図22に示すように、軸部428の回転により回転する。以下、回転体420及び軸部428の回転軸を回転軸Mとする。回転軸Mは鉛直方向(Z方向)に沿い、回転面が水平方向となるように配置されている。
【0140】
図23は回転体420の断面図であり、図24図23の拡大図、図25は回転体420の平面図である。図23図25のD-D線における回転体420の断面を示す。これらの図に示すように回転体420は本体部421、侵入防止部422、シールド部430及び蓋部440を備える。
【0141】
本体部421は、底部423及び側壁部424を備える。底部423は板状部分であり、円板形状とすることができる。本体部421の中心には軸部428が接続されている。底部423は底面423aを有する。底面423aは底部423のうち軸部428とは反対側の面である。底面423aは例えば回転軸Mに垂直な面であり、すなわち水平面である。
【0142】
側壁部424は、底部423の周縁に連続する筒形状の壁状部分である。側壁部424は、円筒形状の壁状部分とすることができる。側壁部424は側面424aを有する。側面424aは側壁部424のうち内周側の面であり、底面423aに連続する。側面424aは第1側面424b及び第2側面424cを有する。第1側面424bは側面424aのうち底面423a側の面であり、回転軸Mから一定距離に設けられている。第2側面424cは側面424aのうち底面423aとは反対側の面であり、回転軸Mから一定距離であって第1側面424bよりも前記回転軸Mに接近して設けられている。
【0143】
侵入防止部422は、底面423a上に設けられた壁状部分である。侵入防止部422は、回転軸Mから一定距離に設けられ、側壁部424より回転軸Mに接近する円筒形状の壁状部分とすることができる。侵入防止部422は壁面422aを有する。壁面422aは侵入防止部422のうち外側の面であり、底面423aに連続し、例えば、底面423aに垂直な面である。
【0144】
シールド部430は、側面424aとの間に空間を形成する。図24に示すようにシールド部430は、側壁部424に連続する天井部431と天井部431に連続する内壁部432を備える。天井部431は、底部423に平行な板状部材であり、内壁部432は側壁部424に平行な壁状部材である。また、シールド部430は、側面424aとの間に空間を形成するものであればよく、他の形状を有するものであってもよい。内壁部432と底面423aの間には管部434によって原料通過流路433が設けられている。管部434はシールド部430の下端に接続され、底面423aとの間に管状の原料通過流路433を形成する。管部434はシールド部430の全周にわたって設けられてもよく、所定間隔で設けられてもよい。
【0145】
蓋部440は、侵入防止部422と内壁部432を接続する。蓋部440には回転体420の全周にわたって原料供給口440aが設けられている。
【0146】
図23及び図24に示すように、回転体420は軸周囲区画425と原料収容区画426を有する。軸周囲区画425と原料収容区画426は上述した侵入防止部422によって隔てられている。
【0147】
軸周囲区画425は、回転軸Mの周囲の区画であり、侵入防止部422によって囲まれ、侵入防止部422より内周側の区画である。原料収容区画426は、軸周囲区画425よりも回転軸Mから離隔し、プラズマ原料101を収容すると共にエネルギービームEBが入射する区画であり、侵入防止部422より外周側の区画である。原料収容区画426は、原料供給領域426a及び原料保持領域426bを有する。
【0148】
原料供給領域426aはプラズマ原料101が供給される領域である。具体的には原料供給領域426aは底面423aのうち、蓋部440の原料供給口440aと対向する領域である。原料保持領域426bは原料供給領域426aよりも回転軸Mから離隔し、回転体420の回転による遠心力により原料供給領域426aからプラズマ原料101が流入すると共にエネルギービームEBが照射される領域である。具体的には原料保持領域426bは、入射領域426cと接続領域426dを有する。
【0149】
入射領域426cは、原料保持領域426bのうちエネルギービームEBが入射する領域であり、側面424aのうち第2側面424c上の領域である。接続領域426dは入射領域426cよりも回転軸Mから離隔し、原料供給領域426aと入射領域426cの間に位置する領域であり、側面424aのうち第1側面424b上の領域である。
【0150】
本実施形態においてはシールド部430が設けられているため、原料供給領域426aと原料保持領域426bは離隔している。また、原料保持領域426bの周囲の空間は側面424aとシールド部430によって囲まれている。以下、この空間を原料保持空間Gとする。上述のように、内壁部432と底部423の間には原料通過流路433が設けられており、原料保持空間Gは原料通過流路433を介して原料供給領域426aと連通している。さらに、原料供給領域426aの周囲の空間は内壁部432、侵入防止部422及び蓋部440によって囲まれている。以下、この空間を原料供給空間Hとする。
【0151】
図26は原料供給装置130から回転体420へのプラズマ原料101の供給を示す模式図である。同図に示すように、回転体420が静止している状態で、原料供給装置130からプラズマ原料101の液滴Dが原料供給領域426aに滴下されると、プラズマ原料101は、原料供給領域426a上、すなわち原料供給空間Hに貯留される。
【0152】
図27は回転体420におけるプラズマ原料101へのエネルギービームEBの照射を示す模式図である。図26に示すようにプラズマ原料101を原料供給領域426aに貯留した状態で回転体420を回転させると、プラズマ原料101は回転体420の回転による遠心力により、原料供給領域426aから原料通過流路433を介して接続領域426dに流入し、接続領域426dから入射領域426cに流入する(図中、矢印)。
【0153】
図27に示すように、エネルギービームEBは入射領域426c上の照射位置Iにおいてプラズマ原料101に照射され、プラズマPを発生させる。エネルギービームEBの照射によるプラズマ化によって、入射領域426c上のプラズマ原料101は消費されるため、エネルギービームEBの照射中も原料供給領域426aへのプラズマ原料101の供給は継続される。この際、接続領域426dは入射領域426cよりも回転軸Mから離隔しているため、プラズマ原料101は液面外側ではなく液面内部から入射領域426cに流入する(図中、矢印)。なお、シールド部430には、エネルギービームEB及び放射線Rを通過させる図示しない通過路が設けられている。通過路は内壁部432に設けられた間隙又は開口である。
【0154】
プラズマ生成機構406は以上のような構成を有する。なお、回転体420の形状は上述のものに限られず、少なくとも軸周囲区画425、原料収容区画426、侵入防止部422、シールド部430を備え、原料収容区画426は接続領域426dと入射領域426cを有するものであればよい。例えば本体部421の外周形状は円形形状に限られず、多角形形状等であってもよい。侵入防止部422の形状も円筒形状に限られず、軸周囲区画425と原料収容区画426を隔てる形状であればよい。回転軸Mの方向も鉛直方向に沿ったものに限られず、一定程度鉛直方向から傾いた方向であってもよい。回転駆動源427、軸部428及び軸受429の構成についても適宜変更可能である。
【0155】
[回転体による効果]
本実施形態に係る回転体420では、第1の実施形態と同様に、プラズマ原料101の軸周囲区画425への侵入が防止されているため、軸周囲区画425を加熱する必要がない。また、回転軸Mから離隔した原料収容区画426は加熱することでプラズマ原料101の固化を防止できるため、回転の擾乱を防止し、回転体420の回転を安定化させることが可能となる。したがって回転体420を用いることにより、長期間にわたって照射位置Iにプラズマ原料101を安定的に供給し、放射線Rの状態を安定化させることができ、光源装置400の安定な長時間運転が可能となる。加えて、回転体420ではシールド部430を備えており、デブリの低減とプラズマ原料101の供給及び照射位置Iへの導入を両立させることが可能である。
【0156】
さらに、回転体420は原料保持領域426bが入射領域426cと接続領域426dを備え、接続領域426dは入射領域426cよりも回転軸Mから離隔している。これにより、プラズマ原料101は液面内部から入射領域426cに流入する(図27参照)ため、液面の擾乱を防止することが可能となり、照射位置Iでのプラズマ原料101の状態を安定化させることが可能である。
【0157】
[回転体の他の構成]
回転体420は以下のような構成とすることも可能である。図28は回転体420の他の構成を示す模式図である。
【0158】
同図に示すように、回転体420は蓋部440を備えないものであってもよい。この構成においても、プラズマ原料101の供給による液面の擾乱を防止することが可能である。この他にも第2の実施形態と同様に、シールド部430及び侵入防止部422の一方又は両方にプラズマ原料101の跳ね返りを遮蔽する庇部を設けてもよい。さらに、侵入防止部422は第1の実施形態において説明したように、軸周囲区画425を封止する封止体構造(図7参照)であってもよい。
【0159】
本開示において、「略」という文言が使用される場合、これはあくまで説明の理解を容易とするための使用であり、「略」という文言の使用/不使用に特別な意味があるわけではない。すなわち、本開示において、「中心」「中央」「均一」「等しい」「同じ」「直交」「平行」「対称」「延在」「軸方向」「円形状」「円弧形状」「矩形状」「長方形状」「多角形状」「リング形状」「立方体形状」「直方体形状」「円柱形状」「円盤形状」「コーン形状」等の、形状、サイズ、位置関係、状態等を規定する概念は、「実質的に中心」「実質的に中央」「実質的に均一」「実質的に等しい」「実質的に同じ」「実質的に直交」「実質的に平行」「実質的に対称」「実質的に延在」「実質的に軸方向」「実質的に円形状」「実質的に円弧形状」「実質的に矩形状」「実質的に長方形状」「実質的に多角形状」「実質的にリング形状」「実質的に立方体形状」「実質的に直方体形状」「実質的に円柱形状」「実質的に円盤形状」「実質的にコーン形状」等を含む概念とする。例えば「完全に中心」「完全に中央」「完全に均一」「完全に等しい」「完全に同じ」「完全に直交」「完全に平行」「完全に対称」「完全に延在」「完全に軸方向」「完全に円形状」「完全に円弧形状」「完全に矩形状」「完全に長方形状」「完全に多角形状」「完全にリング形状」「完全に立方体形状」「完全に直方体形状」「完全に円柱形状」「完全に円盤形状」「完全にコーン形状」等を基準とした所定の範囲(例えば±10%の範囲)に含まれる状態も含まれる。従って、「略」の文言が付加されていない場合でも、いわゆる「略」を付加して表現される概念が含まれ得る。反対に、「略」を付加して表現された状態について、完全な状態が排除される訳ではない。
【0160】
本開示において、「Aより大きい」「Aより小さい」といった「より」を使った表現は、Aと同等である場合を含む概念と、Aと同等である場合を含まない概念の両方を包括的に含む表現である。例えば「Aより大きい」は、Aと同等は含まない場合に限定されず、「A以上」も含む。また「Aより小さい」は、「A未満」に限定されず、「A以下」も含む。本技術を実施する際には、上記で説明した効果が発揮されるように、「Aより大きい」及び「Aより小さい」に含まれる概念から、具体的な設定等を適宜採用すればよい。
【0161】
以上説明した本技術に係る特徴部分のうち、少なくとも2つの特徴部分を組み合わせることも可能である。すなわち各実施形態で説明した種々の特徴部分は、各実施形態の区別なく、任意に組み合わされてもよい。また上記で記載した種々の効果は、あくまで例示であって限定されるものではなく、また他の効果が発揮されてもよい。
【符号の説明】
【0162】
100…光源装置
101…プラズマ原料
102…筐体
106、206、306、406…プラズマ生成機構
120、220、320、420…回転体
121、221、321、421…本体部
122、222、322、422…侵入防止部
125、225、325、425…軸周囲区画
126、226、326、426…原料収容区画
126a、226a、326a、426a…原料供給領域
126b、226b、326b、426b…原料保持領域
326c…原料貯留領域
426c…入射領域
426d…接続領域
330、430…シールド部
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