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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150863
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】弁装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/02 20060101AFI20241017BHJP
【FI】
F16K31/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063876
(22)【出願日】2023-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】000102511
【氏名又は名称】SMC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 崇
【テーマコード(参考)】
3H062
【Fターム(参考)】
3H062AA02
3H062AA14
3H062CC08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ノズルの流通孔の開口を良好に開閉することができる弁装置を提供する。
【解決手段】弁装置10は、流体が流通する流通孔100を有するノズル66と、ノズルを支持する支持部材62と、ピエゾ素子116を有し、ピエゾ素子の駆動により流通孔の開口102を開閉する弁体68と、弁体に対するノズルの位置を調整するための位置調整機構76と、を備える。位置調整機構は、ノズルを弁体に向かって付勢する付勢部材106と、ノズルに接触することによって付勢部材によるノズルの移動を阻止するストッパ部材132と、を有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が流通する流通孔を有するノズルと、
前記ノズルを支持する支持部材と、
ピエゾ素子を有し、且つ前記ピエゾ素子の駆動により前記流通孔の開口を開閉する弁体と、
前記弁体に対する前記ノズルの位置を調整するための位置調整機構と、
を備える、弁装置。
【請求項2】
請求項1に記載の弁装置であって、
前記位置調整機構は、
前記ノズルを前記弁体に向かって付勢する付勢部材と、
前記ノズルに接触することによって前記付勢部材による前記ノズルの移動を阻止するストッパ部材と、
を有する、弁装置。
【請求項3】
請求項2に記載の弁装置であって、
前記ストッパ部材は、前記付勢部材の付勢方向と交差する方向に移動可能に前記支持部材に設けられ、
前記ノズルの前記ストッパ部材と接触する第1接触面及び前記ストッパ部材の前記ノズルと接触する第2接触面の少なくともいずれかは、前記付勢方向に対して傾斜している、弁装置。
【請求項4】
請求項3に記載の弁装置であって、
前記第1接触面及び前記第2接触面の各々が前記付勢方向に対して傾斜している、弁装置。
【請求項5】
請求項3に記載の弁装置であって、
前記支持部材には、
前記ノズルが配置される凹部と、
前記凹部の内周面に開口するねじ孔と、
が形成され、
前記付勢部材は、前記凹部の底面と前記ノズルとの間に介在し、
前記ストッパ部材は、前記ねじ孔に螺合されたねじ部を有する、弁装置。
【請求項6】
請求項5に記載の弁装置であって、
前記ねじ部の先端部には、当該ねじ部の先端方向に向かって縮径したテーパー面が設けられ、
前記テーパー面は前記第2接触面である、弁装置。
【請求項7】
請求項6に記載の弁装置であって、
前記ねじ部の前記先端部とは反対方向の端部には、前記ねじ部を回転させるための操作部が設けられ、
前記操作部は、前記支持部材の外部に露出している、弁装置。
【請求項8】
請求項5に記載の弁装置であって、
前記ノズルは、
ノズル本体と、
前記ノズル本体と前記凹部の前記内周面との間をシールするノズルシール部材と、
を有し、
前記ノズルシール部材は、前記凹部の前記内周面に形成された前記ねじ孔の開口部と前記凹部の前記底面との間に位置する、弁装置。
【請求項9】
請求項8に記載の弁装置であって、
前記ノズル本体は、金属材料によって構成されている、弁装置。
【請求項10】
請求項1に記載の弁装置であって、
前記弁体は、一方向に延在すると共に可撓性を有する板部材を有し、
前記板部材の一端部は、前記支持部材に保持され、
前記ピエゾ素子は、前記板部材における前記ノズルとは反対方向を向く面に配置され、
前記板部材は、前記ピエゾ素子が駆動することによって前記板部材が前記ノズルから離間するように弾性変形する、弁装置。
【請求項11】
請求項10に記載の弁装置であって、
前記ピエゾ素子は、板状に形成されると共に複数積層されている、弁装置。
【請求項12】
請求項10に記載の弁装置であって、
前記板部材は、金属材料によって構成され、
前記弁体は、前記板部材に設けられて前記ノズルに気密に接触する樹脂製の接触部を有する、弁装置。
【請求項13】
請求項10に記載の弁装置であって、
前記弁体を前記ノズルに向かって付勢する弁体付勢部材を備える、弁装置。
【請求項14】
請求項13に記載の弁装置であって、
前記弁体付勢部材は、金属製のばね部材であり、
前記ばね部材を支持する絶縁性を有する樹脂板と、
前記樹脂板を支持した状態で前記支持部材に取り付けられた金属製のカバー部材と、
を備える、弁装置。
【請求項15】
請求項14に記載の弁装置であって、
前記樹脂板には、前記ばね部材が取り付けられる取付凹部が形成されている、弁装置。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載の弁装置であって、
前記流体が流通する流体流路が形成されたボディと、
前記流体流路を流通する前記流体の圧力を検出するための圧力センサと、
を備え、
前記ボディには、前記流体流路に開口する貫通孔が形成され、
前記圧力センサは、
前記流体流路の外側に配置されるセンサ本体と、
前記センサ本体から前記貫通孔を介して前記流体流路まで突出し、且つ前記流体を前記センサ本体に導入するための導入管部と、
を有し、
前記導入管部には、前記センサ本体に対して離間した状態で配置され、且つ当該導入管部と前記ボディとの間をシールするセンサシール部材が設けられ、
前記ボディは、前記センサシール部材と前記センサ本体との間に位置して前記センサシール部材を支持するシール支持部を含む、弁装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、流体が流通する流通孔を有するノズルと、ピエゾ素子を有する弁体とを備えた弁装置が開示されている。弁体は、ピエゾ素子の駆動によって流通孔の開口を開閉する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2012/0161045号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ノズルの流通孔の開口を良好に開閉することができる弁装置が望まれている。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、流体が流通する流通孔を有するノズルと、前記ノズルを支持する支持部材と、ピエゾ素子を有し、且つ前記ピエゾ素子の駆動により前記流通孔の開口を開閉する弁体と、前記弁体に対する前記ノズルの位置を調整するための位置調整機構と、を備える、弁装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ノズルの流通孔の開口を良好に開閉することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る弁装置の一部省略斜視図である。
図2図2は、弁装置の一部断面正面図である。
図3図3は、弁装置の縦断面図である。
図4図4は、弁装置の一部省略縦断面図である。
図5図5は、図3のV-V線に沿った横断面図である。
図6図6は、図5のVI-VI線に沿った断面図である。
図7図7は、給気弁ユニットの分解斜視図である。
図8図8は、図6のVIII-VIII線に沿った横断面図である。
図9図9は、図3のIX-IX線に沿った横断面図である。
図10図10は、給気弁ユニットの動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態に係る弁装置10について図面を用いて以下に説明する。図1に示すように、本実施形態に係る弁装置10は、出力する流体(圧力流体)の圧力を制御するための電空レギュレータである。圧力流体は、例えば、圧縮空気である。なお、圧力流体は、圧縮空気に限定されず、他の気体であってもよい。また、弁装置10は、電空レギュレータに限定されない。
【0010】
弁装置10は、例えば、全体として縦長の直方体形状に形成されている。図1図3に示すように、弁装置10は、ボディ12と、ケーシング14と、給気弁ユニット16と、排気弁ユニット18とを備える。
【0011】
ボディ12は、ベース部20と、連結部22とを有する。ベース部20は、弁装置10の幅方向(X方向)に延在している。図2図4に示すように、ベース部20の長手方向の一端面(X1方向の端面)には、給気ポート24と排気ポート26とが形成されている。給気ポート24と排気ポート26とは、弁装置10の高さ方向(Z方向)にずれて配置されている。ベース部20の長手方向の他端面(X2方向の端面)には、出力ポート28が形成されている。ベース部20の底面(Z1方向を向く面)には、例えば、ブラケット等を取り付けるための図示しないボルト孔等が形成されている。
【0012】
給気ポート24には、圧力流体を弁装置10に供給するための図示しない給気管が接続される。排気ポート26は、圧力流体を弁装置10の外部に排出するための孔である。出力ポート28には、圧力流体を図示しない流体圧機器に導くための図示しない導出管が接続される。
【0013】
図3に示すように、連結部22は、ベース部20における底面とは反対側(Z2方向)を向く面にボルト30によって取り付けられる。連結部22は、ベース部20よりもZ2方向に突出している。連結部22の突出端部には、給気弁ユニット16及び排気弁ユニット18が取り付けられる。給気弁ユニット16は連結部22のX1方向に配置され、排気弁ユニット18は連結部22のX2方向に配置されている。
【0014】
ボディ12には、圧力流体が流通する流体流路32が形成されている。流体流路32は、給気流路34と、中間流路36と、出力流路38と、排気流路40とを含む。給気流路34は、給気ポート24に供給された圧力流体を給気弁ユニット16に導く。中間流路36は、給気弁ユニット16から導出された圧力流体を排気弁ユニット18に導く。出力流路38は、給気弁ユニット16から中間流路36に導出された圧力流体を出力ポート28に導く。排気流路40は、排気弁ユニット18から導出された圧力流体を排気ポート26に導く。
【0015】
給気流路34は、第1給気流路34aと、第2給気流路34bとを含む。第1給気流路34aは、ベース部20に形成されている。第1給気流路34aの一端部は、給気ポート24に連通する。第2給気流路34bは、連結部22に形成されている。第2給気流路34bは、Z方向に沿って延在している。第2給気流路34bの一端部は、第1給気流路34aの他端部に連通する。第2給気流路34bの他端部は、給気弁ユニット16に繋がる。
【0016】
中間流路36は、連結部22を幅方向(X方向)に貫通するように延びている。中間流路36は、第2給気流路34bよりもZ2方向に位置する。
【0017】
出力流路38は、第1出力流路38aと、第2出力流路38bとを含む。第1出力流路38aは、連結部22に形成されている。第1出力流路38aの一端部は、中間流路36に連通する。第2出力流路38bは、ベース部20に形成されている。第2出力流路38bの一端部は、第1出力流路38aの他端部に連通する。第2出力流路38bの他端部は、出力ポート28に連通する。
【0018】
排気流路40は、第1排気流路40aと、第2排気流路40bとを含む。第1排気流路40aは、連結部22に形成されている。第1排気流路40aの一端部は、排気弁ユニット18に繋がる。第1排気流路40aと第2給気流路34bとの間には、第1出力流路38aが位置する。第2排気流路40bは、ベース部20に形成されている。第2排気流路40bの一端部は、第1排気流路40aの他端部に連通する。第2排気流路40bの他端部は、排気ポート26に連通する。
【0019】
図4に示すように、ボディ12は、圧力センサ42を取り付けるためのセンサ取付部44を有する。センサ取付部44は、連結部22に一体成形されている。センサ取付部44は、ベース部20の第2出力流路38bをZ2方向から覆うように設けられている。センサ取付部44には、第2出力流路38bに開口する貫通孔46が形成されている。貫通孔46は、小径部48と、大径部50とを有する。小径部48は、センサ取付部44のZ2方向の面に開口する。大径部50は、小径部48に連通すると共にセンサ取付部44のZ1方向の面に開口する。
【0020】
圧力センサ42は、センサ本体52と、導入管部54とを含む。センサ本体52は、ボディ12の外側に位置する。換言すれば、センサ本体52は、流体流路32の外側に配置されている。導入管部54は、センサ本体52から貫通孔46を介して第2出力流路38bまで突出している。導入管部54は、第2出力流路38bを流通する圧力流体をセンサ本体52に導入する。導入管部54には、導入管部54とセンサ取付部44との間をシールするセンサシール部材56が設けられている。
【0021】
センサシール部材56は、環状のゴムシールである。センサシール部材56は、大径部50に配置されている。センサシール部材56は、センサ本体52に対して離間している。センサ取付部44は、センサシール部材56とセンサ本体52との間に位置してセンサシール部材56を支持するシール支持部58を含む。
【0022】
図1図3に示すように、ケーシング14は、ベース部20のZ2方向に設けられている。ケーシング14の内部には、給気弁ユニット16、排気弁ユニット18、圧力センサ42、制御部19(図6参照)等が収容されている。ケーシング14には、外部のコントローラ等に接続するためのコネクタ60が設けられている。
【0023】
図6及び図7に示すように、給気弁ユニット16は、支持部材62と、カバー部材64と、ノズル66と、弁体68と、樹脂板70と、押圧部材72と、弁体付勢部材74と、位置調整機構76とを有する。
【0024】
支持部材62は、例えば、硬質な樹脂材料によって構成されている。支持部材62は、支持本体78と、ノズル支持部80とを有する。支持本体78は、Z方向に延在している。支持本体78は、弁体68を収容する収容室82を有する。収容室82は、Y1方向に開口している。
【0025】
ノズル支持部80は、支持本体78からY2方向に突出している。ノズル支持部80は、支持本体78のZ1方向の端部に位置する。ノズル支持部80には、収容室82の底面84からY2方向に窪んだ円形状の凹部86が形成されている(図6参照)。凹部86には、ノズル66が配置されている。ノズル支持部80は、連結部22のX1方向を向く面に図示しないボルト等によって取り付けられている(図3参照)。
【0026】
図5及び図9に示すように、支持部材62には、導入流路88と、導出流路90とが形成されている。図5に示すように、導入流路88は、給気流路34から導かれた圧力流体を凹部86の内部に導く。導入流路88は、凹部86の内面に開口している。図9に示すように、導出流路90は、支持部材62の内部を流通した圧力流体を中間流路36に導く。導出流路90は、収容室82の底面84に開口している(図7参照)。
【0027】
図6及び図7に示すように、カバー部材64は、収容室82のY1方向の開口を塞ぐように支持本体78に対してねじ部材92によって取り付けられている。カバー部材64は、金属材料によって構成されている。支持本体78とカバー部材64との間には、圧力流体の外部への漏出を防止するためのシール部材94が設けられている。
【0028】
ノズル66は、ノズル本体96と、ノズルシール部材98とを有する。ノズル本体96は、例えば、金属材料によって構成される。ノズル本体96を構成する金属材料としては、例えば、アルミニウム、真鍮、ステンレス鋼等が挙げられる。当該金属材料には、クロメート処理等の表面処理が施されてもよい。
【0029】
図6に示すように、ノズル本体96は、圧力流体が流通する流通孔100を有する。ノズル本体96のY1方向を向く先端面には、流通孔100の開口102が形成されている。ノズル本体96のY2方向を向く基端面には、第1取付凹部104が形成されている。第1取付凹部104は、流通孔100に連通している。第1取付凹部104には、位置調整機構76を形成する付勢部材106が配置されている。
【0030】
付勢部材106は、ノズル本体96をY1方向に付勢する。付勢部材106は、例えば、圧縮コイルばねである。なお、付勢部材106は、圧縮コイルばね以外のばね部材であってもよいし、弾性変形するゴム部材等であってもよい。ノズル本体96と凹部86の底面108との間には、圧力流体が流通可能な内部流路110が設けられている。内部流路110は、導入流路88に連通している(図5参照)。ノズルシール部材98は、ノズル本体96の外周面と凹部86の内周面との間をシールする。
【0031】
図6及び図7に示すように、弁体68は、収容室82に配置されている。弁体68は、板部材112と、接触部114と、ピエゾ素子116とを有する。弁体68は、ピエゾ素子116の駆動によって流通孔100の開口102を開閉する(図6及び図10参照)。板部材112は、Z方向に延在した可撓性を有する矩形状の金属板である。板部材112の一端部(Z2方向の端部)の角部には、収容室82の底面84に設けられた一対の突起118が挿入される位置決め孔120が形成されている(図7参照)。板部材112の他端部(Z1方向の端部)は、凹部86の一部をY1方向から覆っている。
【0032】
接触部114は、板部材112のY2方向を向く面に取り付けられている。接触部114と流通孔100の開口102とは、互いに向かい合っている。接触部114は、弾性変形可能なゴム等の樹脂材料によって構成されている。接触部114は、ノズル本体96の先端面に気密に接触することにより流通孔100の開口102を閉塞する。
【0033】
ピエゾ素子116は、板部材112の延在方向(Z方向)に沿って矩形の板状に延在したピエゾプレートである。ピエゾ素子116は、複数積層されている。本実施形態では、2枚のピエゾ素子116が積層されている。なお、ピエゾ素子116は、1枚であってもよい。また、給気弁ユニット16では、3枚以上のピエゾ素子116が積層されてもよい。ピエゾ素子116は、板部材112のY1方向を向く面に取り付けられている。弁体68のZ2方向の端部には、ピエゾ素子116を駆動させるための図示しないケーブルが接合された複数の接合部122が設けられる。接合部122は、例えば、はんだ付け部又はろう付け部である。
【0034】
樹脂板70は、絶縁性を有する。樹脂板70は、板部材112の延在方向(Z方向)に沿って矩形状に延在している。図6図8に示すように、樹脂板70の一端部(Z2方向の端部)には、Y2方向に突出した凸部124が設けられている。凸部124は、弁体68の一端部に接触する。凸部124のX方向の中間部分には、複数の接合部122を逃がすための逃がし溝126が形成されている(図8参照)。
【0035】
樹脂板70のうちの凸部124とは反対側には、溝部128が形成されている。溝部128は、樹脂板70のX方向の全長に渡って延在している。溝部128の底面とカバー部材64との間には、押圧部材72が配置されている。押圧部材72は、凸部124を弁体68に向かって押圧する。これにより、弁体68は、支持部材62に対して保持される。押圧部材72は、例えば、板ばねである。なお、押圧部材72は、板ばねに限定されない。
【0036】
図6に示すように、樹脂板70の他端部(Z1方向の端部)には、弁体付勢部材74が取り付けられる第2取付凹部(取付凹部)130が形成されている。弁体付勢部材74は、弁体68の他端部をノズル本体96に向かって付勢する。弁体付勢部材74は、金属製のばね部材である。弁体付勢部材74は、例えば、圧縮コイルばねである。弁体付勢部材74と接触部114とは、Y方向から見て互いに重なる(図7参照)。
【0037】
ピエゾ素子116に電圧を印加していない状態で、弁体68は、流通孔100の開口102を閉塞する。すなわち、弁体付勢部材74の付勢力によって弁体68の接触部114がノズル66の先端面に押し付けられる。ピエゾ素子116に電圧を印加していない状態で、弁体68は、導入流路88と導出流路90との連通を遮断する(図5及び図9参照)。
【0038】
ピエゾ素子116に電圧が印加されると、図10に示すように、弁体68は、流通孔100の開口102を開放する。具体的には、ピエゾ素子116に電圧が印加されると、ピエゾ素子116には、Z方向の収縮力が作用する。当該収縮力の大きさは、ピエゾ素子116に印加する電圧の大きさに比例する。ピエゾ素子116に収縮力が作用すると、板部材112の他端部がY1方向に反るように弾性変形する。これにより、接触部114がノズル66の先端面から離間して流通孔100が開放する。ピエゾ素子116に電圧を印加した状態で、導入流路88と導出流路90とは互いに連通する。給気弁ユニット16の開度は、ピエゾ素子116に印加する電圧を制御することにより調整される。
【0039】
このような給気弁ユニット16では、弁体68(接触部114)とノズル66(流通孔100の開口102)とを所定位置に精度よく設定する必要がある。
【0040】
図5に示すように、位置調整機構76は、流通孔100の開口102が向く方向(Y1方向)における弁体68に対するノズル66の位置を調整する。位置調整機構76は、上述した付勢部材106と、ストッパ部材132とを有する。ストッパ部材132は、ノズル66に接触することによって付勢部材106によるノズル66の移動を阻止する。
【0041】
ストッパ部材132は、付勢部材106の付勢方向と交差する方向に移動可能にノズル支持部80に設けられている。具体的には、ノズル支持部80には、凹部86の内周面に開口するねじ孔134が形成されている。凹部86の内周面に形成されたねじ孔134の開口部136は、ノズルシール部材98よりもY1方向に位置する。換言すれば、ノズルシール部材98は、開口部136と凹部86の底面108との間に位置する。
【0042】
ストッパ部材132は、ねじ部138と、頭部140とを有する。ねじ部138は、ねじ孔134に螺合する。ねじ部138の先端部には、ねじ部138の先端方向に向かって縮径したテーパー面142が設けられている。頭部140は、ねじ部138の基端部に設けられている。頭部140には、頭部140と支持部材62との間をシールするシール部材146が配置されている。頭部140には、ねじ部138を回転させるための操作部148が設けられている。操作部148は、例えば、図示しない工具が嵌合する溝である。なお、操作部148は、溝に限定されず、手指によって操作可能な突起等であってもよい。操作部148は、支持部材62の外部に露出している。
【0043】
ねじ部138の先端部は、ノズル66の外周面に形成された係止凹部150に挿入される。係止凹部150は、例えば、環状溝である。係止凹部150は、ねじ部138の先端部が挿入可能であれば環状に延在していなくてもよい。係止凹部150のストッパ部材132と接触する第1接触面152は、付勢部材106の付勢方向(Y1方向)に対して傾斜している。第1接触面152は、ノズル66の径方向外方に向かってY2方向に傾斜している。第1接触面152は、X方向に対しても傾斜している。第1接触面152は、Y1方向を向いている。ストッパ部材132のテーパー面142は、ノズル66と接触する第2接触面154である。第1接触面152のX方向に対する傾斜角度は、テーパー面142(第2接触面154)のX方向に対する傾斜角度と同一又は略同一である。
【0044】
給気弁ユニット16では、操作部148を操作してねじ部138を回転させることによりストッパ部材132をノズル66に対して進退させることができる。ストッパ部材132を先端方向に進行させると、ノズル66は、ストッパ部材132によってY2方向に押される。そのため、ノズル66は、付勢部材106をY2方向に押しながら弁体68から離れる方向に移動する。すなわち、ノズル66の流通孔100の開口102は、弁体68から離間する方向に変位する。一方、ストッパ部材132を基端方向に後退させると、ノズル66は、付勢部材106の付勢力によって弁体68に向かってY1方向に移動する。すなわち、ノズル66の流通孔100の開口102は、弁体68に近づく方向に変位する。
【0045】
このように、本実施形態では、操作部148を回転させることにより、弁体68とノズル66との位置関係を容易且つ精度よく調整することができる。また、操作部148が支持部材62の外部に露出しているため、給気弁ユニット16を組み立てた後で、弁体68とノズル66との位置関係を調整し得る。
【0046】
排気弁ユニット18は、基本的に上述した給気弁ユニット16と同様に構成されている。そのため、排気弁ユニット18の構成及び動作等の詳細な説明については省略する。排気弁ユニット18では、給気弁ユニット16と同様に、弁体68とノズル66との位置関係を調整し得る。なお、排気弁ユニット18の導入流路88は、中間流路36に連通している(図9参照)。排気弁ユニット18の導出流路90は、第1排気流路40aに連通している(図5参照)。
【0047】
このような弁装置10では、給気ポート24に供給された圧力流体は、第1給気流路34a、第2給気流路34b、給気弁ユニット16の導入流路88、内部流路110、第1取付凹部104を介して流通孔100に導かれる。給気弁ユニット16の流通孔100が開放されると、流通孔100の圧力流体は、収容室82及び導出流路90を介して中間流路36に導出される。中間流路36に導かれた圧力流体は、第1出力流路38aと排気弁ユニット18の導入流路88とに分かれる。第1出力流路38aに流れた圧力流体は、第2出力流路38bを介して出力ポート28から導出される。
【0048】
排気弁ユニット18の導入流路88に流れた圧力流体は、内部流路110、第1取付凹部104を介して流通孔100に導かれる。排気弁ユニット18の流通孔100が開放されると、流通孔100の圧力流体は、収容室82及び導出流路90を介して第1排気流路40aに導出される。第1排気流路40aに導かれた圧力流体は、第2排気流路40bを介して排気ポート26から外部に放出される。排気ポート26から圧力流体が放出されると、出力ポート28から導出される圧力流体の圧力が低下する。
【0049】
出力ポート28から導出される圧力流体の圧力は、圧力センサ42によって検出される。制御部19は、圧力センサ42によって検出される圧力が設定圧力になるように給気弁ユニット16及び排気弁ユニット18の各々のピエゾ素子116に印加する電圧(流通孔100の開度)をフィードバック制御する。
【0050】
本実施形態によれば、位置調整機構76により弁体68に対するノズル66の位置を精度よく調整することができる。これにより、ノズル66の流通孔100の開口102を良好に開閉することができる。
【0051】
弁装置10は、上述した構成に限定されない。第1接触面152及び第2接触面154のいずれかは、X方向に沿って延在していてもよい。ノズル本体96の第1接触面152は、係止凹部150の内面ではなく、ノズル本体96の外面に設けられてもよい。
【0052】
上述した開示に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0053】
(付記1)
弁装置(10)は、流体が流通する流通孔(100)を有するノズル(66)と、前記ノズルを支持する支持部材(62)と、ピエゾ素子(116)を有し、且つ前記ピエゾ素子の駆動により前記流通孔の開口(102)を開閉する弁体(68)と、前記弁体に対する前記ノズルの位置を調整するための位置調整機構(76)と、を備える。
【0054】
このような構成によれば、位置調整機構により弁体に対するノズルの位置を精度よく調整することができる。これにより、ノズルの流通孔の開口を良好に開閉することができる。
【0055】
(付記2)
付記1に記載の弁装置において、前記位置調整機構は、前記ノズルを前記弁体に向かって付勢する付勢部材(106)と、前記ノズルに接触することによって前記付勢部材による前記ノズルの移動を阻止するストッパ部材(132)と、を有してもよい。
【0056】
このような構成によれば、簡単な構成により弁体に対するノズルの位置を調整することができる。
【0057】
(付記3)
付記2に記載の弁装置において、前記ストッパ部材は、前記付勢部材の付勢方向と交差する方向に移動可能に前記支持部材に設けられ、前記ノズルの前記ストッパ部材と接触する第1接触面(152)及び前記ストッパ部材の前記ノズルと接触する第2接触面(154)の少なくともいずれかは、前記付勢方向に対して傾斜してもよい。
【0058】
このような構成によれば、ストッパ部材をノズルに対して進退させることにより弁体に対するノズルの位置を調整することができる。
【0059】
(付記4)
付記3に記載の弁装置において、前記第1接触面及び前記第2接触面の各々が前記付勢方向に対して傾斜してもよい。
【0060】
このような構成によれば、ストッパ部材とノズルとの接触面積を比較的大きくすることができるため、付勢部材の付勢力が作用するノズルを所定の位置に安定して保持することができる。
【0061】
(付記5)
付記3又は4に記載の弁装置において、前記支持部材には、前記ノズルが配置される凹部(86)と、前記凹部の内周面に開口するねじ孔(134)と、が形成され、前記付勢部材は、前記凹部の底面(108)と前記ノズルとの間に介在し、前記ストッパ部材は、前記ねじ孔に螺合されたねじ部(138)を有してもよい。
【0062】
このような構成によれば、ねじ部を回転させることによりストッパ部材をノズルに対して簡単に進退させることができる。
【0063】
(付記6)
付記5に記載の弁装置において、前記ねじ部の先端部には、当該ねじ部の先端方向に向かって縮径したテーパー面(142)が設けられ、前記テーパー面は前記第2接触面であってもよい。
【0064】
このような構成によれば、ねじ部の先端部に設けられたテーパー面が第2接触面であるため、ストッパ部材を簡単な構成にすると共に比較的小さな構成にすることができる。
【0065】
(付記7)
付記6に記載の弁装置において、前記ねじ部の前記先端部とは反対方向の端部には、前記ねじ部を回転させるための操作部(148)が設けられ、前記操作部は、前記支持部材の外部に露出してもよい。
【0066】
このような構成によれば、操作部の操作によってねじ部を簡単に回転させることができる。また、操作部が支持部材の外部に露出しているので、ノズル及び弁体を支持部材に組み付けた状態で弁体に対するノズルの位置を調整することができる。
【0067】
(付記8)
付記5~7のいずれかに記載の弁装置において、前記ノズルは、ノズル本体(96)と、前記ノズル本体と前記凹部の前記内周面との間をシールするノズルシール部材(98)と、を有し、前記ノズルシール部材は、前記凹部の前記内周面に形成された前記ねじ孔の開口部(136)と前記凹部の前記底面との間に位置してもよい。
【0068】
このような構成によれば、流体がねじ孔から支持部材の外部に漏出することをノズルシール部材によって防止することができる。
【0069】
(付記9)
付記8に記載の弁装置において、前記ノズル本体は、金属材料によって構成されてもよい
【0070】
このような構成によれば、ノズル本体を樹脂材料によって構成する場合と比較して剛性を簡単に向上させることができる。これにより、付勢部材からの付勢力によってノズルが変形することを抑制することができる。そのため、ノズルの変形に伴ってノズルの流通孔の開口が弁体に対して傾斜することを抑えることができる。
【0071】
(付記10)
付記1~9のいずれかに記載の弁装置において、前記弁体は、一方向に延在すると共に可撓性を有する板部材(112)を有し、前記板部材の一端部は、前記支持部材に保持され、前記ピエゾ素子は、前記板部材における前記ノズルとは反対方向を向く面に配置され、前記板部材は、前記ピエゾ素子が駆動することによって前記板部材が前記ノズルから離間するように弾性変形してもよい。
【0072】
このような構成によれば、弁体を簡素な構成にすることができる。
【0073】
(付記11)
付記10に記載の弁装置において、前記ピエゾ素子は、板状に形成されると共に複数積層されてもよい。
【0074】
このような構成によれば、ピエゾ素子に印加する電圧を抑えつつ板部材の弾性変形量を大きくすることができる。
【0075】
(付記12)
付記10又は11に記載の弁装置において、前記板部材は、金属材料によって構成され、前記弁体は、前記板部材に設けられて前記ノズルに気密に接触する樹脂製の接触部(114)を有してもよい。
【0076】
このような構成によれば、弁体を簡素な構成にすることができる。
【0077】
(付記13)
付記10~12のいずれかに記載の弁装置において、前記弁体を前記ノズルに向かって付勢する弁体付勢部材(74)を備えてもよい。
【0078】
このような構成によれば、弁体付勢部材によって弁体をノズルに押し付けることができるため、弁体によってノズルの流通孔の開口を確実に閉塞することができる。
【0079】
(付記14)
付記13に記載の弁装置において、前記弁体付勢部材は、金属製のばね部材であり、前記ばね部材を支持する絶縁性を有する樹脂板(70)と、前記樹脂板を支持した状態で前記支持部材に取り付けられた金属製のカバー部材(64)と、を備えてもよい。
【0080】
このような構成によれば、金属製のばね部材を樹脂板で支持することにより、カバー部材を金属製にすることができる。これにより、カバー部材の耐圧性を簡単に向上させることができる。
【0081】
(付記15)
付記14に記載の弁装置において、前記樹脂板には、前記ばね部材が取り付けられる取付凹部(130)が形成されてもよい。
【0082】
このような構成によれば、樹脂板に対してばね部材が位置ずれすることを取付凹部によって抑えることができる。
【0083】
(付記16)
付記1~15のいずれかに記載の弁装置において、前記流体が流通する流体流路(32)が形成されたボディ(12)と、前記流体流路を流通する前記流体の圧力を検出するための圧力センサ(42)と、を備え、前記ボディには、前記流体流路に開口する貫通孔(46)が形成され、前記圧力センサは、前記流体流路の外側に配置されるセンサ本体(52)と、前記センサ本体から前記貫通孔を介して前記流体流路まで突出し、且つ前記流体を前記センサ本体に導入するための導入管部(54)と、を有し、前記導入管部には、前記センサ本体に対して離間した状態で配置され、且つ当該導入管部と前記ボディとの間をシールするセンサシール部材(56)が設けられ、前記ボディは、前記センサシール部材と前記センサ本体との間に位置して前記センサシール部材を支持するシール支持部(58)を含んでもよい。
【0084】
このような構成によれば、流体流路を流通する流体の圧力がセンサシール部材を介してセンサ本体に作用することをシール支持部によって抑制することができる。これにより、圧力センサによって流体流路を流通する流体の圧力を精度よく検出することができる。
【0085】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0086】
10…弁装置 12…ボディ
16…給気弁ユニット 18…排気弁ユニット
20…ベース部 22…連結部
24…給気ポート 26…排気ポート
28…出力ポート 32…流体流路
34…給気流路 36…中間流路
38…出力流路 40…排気流路
42…圧力センサ 46…貫通孔
52…センサ本体 54…導入管部
56…センサシール部材 58…シール支持部
62…支持部材 64…カバー部材
66…ノズル 68…弁体
70…樹脂板 74…弁体付勢部材
76…位置調整機構 84、108…底面
86…凹部 94、146…シール部材
96…ノズル本体 98…ノズルシール部材
100…流通孔 102…流通孔の開口
106…付勢部材 112…板部材
114…接触部 116…ピエゾ素子
130…第2取付凹部(取付凹部) 132…ストッパ部材
134…ねじ孔 136…開口部
138…ねじ部 142…テーパー面
148…操作部 152…第1接触面
154…第2接触面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10