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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150865
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/3291 20160101AFI20241017BHJP
   G09G 3/3233 20160101ALI20241017BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20241017BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20241017BHJP
   H10K 59/12 20230101ALI20241017BHJP
【FI】
G09G3/3291
G09G3/3233
G09G3/20 611A
G09G3/20 621E
G09G3/20 623X
G09G3/20 624B
H10K50/10
H10K59/12
G09G3/20 660Q
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063879
(22)【出願日】2023-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】土橋 守幸
(72)【発明者】
【氏名】藤井 一男
(72)【発明者】
【氏名】肖 利民
【テーマコード(参考)】
3K107
5C080
5C380
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC14
3K107EE03
3K107HH04
3K107HH05
5C080AA06
5C080BB05
5C080DD26
5C080JJ02
5C080JJ03
5C080JJ04
5C380AA01
5C380AB06
5C380BA03
5C380CA08
5C380CA44
5C380CB01
5C380CB17
5C380CC04
5C380CC26
5C380CC33
5C380CC39
5C380CC55
5C380CC63
5C380CD015
5C380DA02
5C380DA24
5C380DA32
(57)【要約】
【課題】アクティブマトリクス型の表示パネルにて一部の領域に画像を表示させる際の消費電力が削減されるようにする。
【解決手段】画素データに応じた画素電流を流すFETと、FETのゲート電圧をシフトさせる電圧シフト回路と、画素電流が流れることにより発光する発光素子とを含む画素によるアクティブマトリクス方式の表示パネルと、電圧シフト回路にゲート電圧をシフトさせるシフト制御電圧を供給するシフト制御電圧回路とを備え、シフト制御電圧回路は、表示パネルの表示面が水平方向に沿って画像表示領域と画像非表示領域とで分割されるように設定された場合に、前記画像表示領域に含まれる各画素の前記電圧シフト回路に対しては第1電圧値によるシフト制御電圧を供給し、画像非表示領域に含まれる各画素の電圧シフト回路に対しては、第2電圧値によるシフト制御電圧を供給するように表示装置を構成する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素データの電圧に応じた画素電流を流すFETを備える電流出力回路と、前記FETのゲート電圧をシフトさせる電圧シフト回路と、前記画素電流が流れることにより発光する発光素子とを含む画素がマトリクス状に配置されたアクティブマトリクス方式による表示パネルと、
前記電圧シフト回路に対してゲート電圧をシフトさせるシフト制御電圧を供給するシフト制御電圧回路とを備え、
前記シフト制御電圧回路は、
前記表示パネルが水平方向に沿って画像表示領域と画像非表示領域とで分割されるように設定された場合に、
前記画像表示領域に含まれる各画素の前記電圧シフト回路に対しては、前記FETが前記画素データの電圧に応じて導通するゲート電圧を設定する第1電圧値によるシフト制御電圧を供給し、
前記画像非表示領域に含まれる各画素の前記電圧シフト回路に対しては、前記FETが前記画素データの電圧の最大値に対して導通しないゲート電圧を設定する第2電圧値によるシフト制御電圧を供給する
表示装置。
【請求項2】
前記シフト制御電圧回路は、
前記画像表示領域に対応して前記第1電圧値によるシフト制御電圧を供給する第1シフト制御電圧回路と、前記画像非表示領域に対応して前記第2電圧値によるシフト制御電圧を供給する第2シフト制御電圧回路とを有する
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記シフト制御電圧回路は、
前記表示パネルの全領域を前記画像表示領域とするように設定された場合に、前記表示パネルにおけるすべての画素の前記電圧シフト回路に対して、前記第1電圧値によるシフト制御電圧を供給する
請求項1または2に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子等の電流駆動型発光素子を画素に用いたアクティブマトリクス型の表示装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-83117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、OLED(Organic Light-Emitting Diode)を発光素子として用いることで折り畳みが可能とされ、大きなサイズの表示パネルを有する表示装置の場合には、表示パネルを折りたたんで、表示パネルの一部領域にユーザが見る画像を表示させることが可能である。
このように、アクティブマトリクス型の表示パネルにて一部の領域にユーザが見る画像を表示させるにあたり消費電力の低減が図られるようにすることが好ましい。
【0005】
本発明は、上記した課題を考慮して、アクティブマトリクス型の表示パネルにて一部の領域に画像を表示させる際の消費電力が削減されるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決する本発明の一態様は、画素データの電圧に応じた画素電流を流すFETを備える電流出力回路と、前記FETのゲート電圧をシフトさせる電圧シフト回路と、前記画素電流が流れることにより発光する発光素子とを含む画素がマトリクス状に配置されたアクティブマトリクス方式による表示パネルと、前記電圧シフト回路に対してゲート電圧をシフトさせるシフト制御電圧を供給するシフト制御電圧回路とを備え、前記シフト制御電圧回路は、前記表示パネルが水平方向に沿って画像表示領域と画像非表示領域とで分割されるように設定された場合に、前記画像表示領域に含まれる各画素の前記電圧シフト回路に対しては、前記FETが前記画素データの電圧に応じて導通するゲート電圧を設定する第1電圧値によるシフト制御電圧を供給し、前記画像非表示領域に含まれる各画素の前記電圧シフト回路に対しては、前記FETが前記画素データの電圧の最大値に対して導通しないゲート電圧を設定する第2電圧値によるシフト制御電圧を供給する表示装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、アクティブマトリクス型の表示パネルにて一部の領域に画像を表示させる際の消費電力が削減されるようになるとの効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態における表示装置の構成例を示す図である。
図2】本実施形態における画素の回路構成例を示す図である。
図3】本実施形態における画素の回路の動作例を示す図である。
図4】本実施形態における表示パネルの全領域にて画像を表示する場合の画素の駆動タイミングの一例を示すタイミングチャートである。
図5】本実施形態における表示パネルにおける区分例を示す図である。
図6】本実施形態における表示装置の部分領域表示に対応する構成例を示す図である。
図7】本実施形態における表示パネルにて部分領域表示を行う場合の画素の駆動タイミングの一例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本実施形態の表示装置1の構成例を示している。同図の表示装置1はアクティブマトリクス型である。同図の表示装置は、表示パネル10、ゲートスキャン回路20(スイッチ素子駆動回路の一例)、およびデータ駆動回路30(30-1~30-6)を備える。
【0010】
表示パネル10は、発光素子を有して形成される画素がマトリクス状に配置された表示面を有する。
【0011】
ゲートスキャン回路20は、表示パネル10において水平に配列されたゲートライン(水平ライン)のスキャンを行う回路である。
【0012】
データ駆動回路30は、表示パネル10において垂直に配列されたデータラインにデータ信号を出力する回路である。同図において、データ駆動回路30は、3つが設けられた例が示されている。この場合、表示パネル10において配列されるデータラインは、配列順に従って6つの組に区分され、区分された各1つのデータラインの組に対して、各1つのデータ駆動回路30がデータ信号を出力するようにされている。なお、本実施形態において、データ駆動回路30は区分されることなく1つとされたうえで、表示パネル10において配列されるデータラインのそれぞれにデータ信号を出力してよい。
【0013】
図2は、本実施形態の表示パネル10において配置される1つの画素11の回路構成例を示している。同図に示される画素11の回路構成は、基本的なものの一つである。画素11の回路構成については特に限定されない。同図において示されるトランジスタは、いずれもFETであり、具体的にはMOSFETである場合を例に挙げる。
【0014】
トランジスタT1のドレインは電源電圧VDDと接続され、トランジスタT1のソースはトランジスタT4(第1スイッチ素子の一例)のドレインと接続され、トランジスタT1のゲートはキャパシタC1を介してトランジスタT3のソースと接続される。
トランジスタT2のドレインはトランジスタT1ソースと接続され、トランジスタT2のソースはトランジスタT1のゲートと接続され、トランジスタT2のゲートは、初期化信号(駆動信号の一例)SCAN[n-1]に対応する初期化制御ラインと接続される。
トランジスタT3のドレインはデータラインと接続され、トランジスタT3のソースはキャパシタC1を介してトランジスタT1のゲートと接続され、トランジスタT3のゲートは書込制御信号(駆動信号の一例)SCAN[n]に対応する書込制御ラインと接続される。
トランジスタT1、トランジスタT2、トランジスタT3、およびキャパシタC1により、電流出力回路111が形成される。電流出力回路111は、データ信号VDATAの電圧値に応じた画素駆動電流Ioを出力する。画素駆動電流Ioは、トランジスタT4がオンとなることに応じて、トランジスタT1からトランジスタT4を介して発光素子D1に流れる。
トランジスタT4(スイッチ素子の一例)のドレインはトランジスタT1のソースと接続され、トランジスタT4のソースは発光素子D1の一端と接続され、ゲートは発光制御信号(駆動信号の一例)EM[n]に対応する発光制御ラインと接続される。
表示パネル10において水平方向に配列される画素11に対応して配置される1つのゲートラインは、初期化制御ライン、書込制御ライン、および発光制御ラインを含む。
発光素子D1は、トランジスタT4のソースとグランドとの間に挿入される。
トランジスタT5のドレインはシフト電圧ラインと接続され、トランジスタT5のソースはトランジスタT3のソースとキャパシタC1との接続点に接続され、トランジスタT5のゲートは初期化制御ラインと接続される。このように接続されるトランジスタT5により電圧シフト回路112が形成される。
【0015】
本実施形態における発光素子D1の種別は特に限定されないが、例えば、OLEDを用いることができる。
【0016】
図3を参照して、図2の画素11における回路の動作について説明する。
1フレーム期間が開始されると、まず、期間tm1において初期化信号SCAN[n-1]が出力され、トランジスタT2とトランジスタT5がオンとなる。このとき、トランジスタT1、T3、T4はオフである。
上記のようにトランジスタT2、トランジスタT5が導通することにより、トランジスタT1のゲート-ソース間電圧は、所定値のゲート閾値電圧Vthとなるように初期化される。
この際に、電圧シフト回路112のトランジスタT5が導通することによって、シフト制御電圧ViniがキャパシタC1に印加される。シフト制御電圧Viniの値を例えば0Vからシフトさせることに応じて、キャパシタC1が保持する電圧がシフトされることから、トランジスタT1のゲート電圧をシフトさせることができる。
【0017】
期間tm1に続く期間tm2においては、初期化信号SCAN[n-1]の出力が停止され、書込制御信号SCAN[n]が出力される。この結果、トランジスタT2とトランジスタT5はオフとなり、トランジスタT3がオンとなる。このとき、データ駆動回路30から対応のデータラインに対してデータ信号VDATAが出力される。
この状態では、キャパシタC1にてデータ信号に応じたデータ信号VDATAが保持され、トランジスタT1のゲート電圧は、ゲート閾値電圧Vthにデータ信号VDATAの電圧値を加えた電位(Vth+VDATA)となる。
上記のように期間tm1と期間tm2とによる1水平期間(1H)において、画素11では、トランジスタT1のゲート閾値電圧の初期化と、データの書き込みとが行われる。
【0018】
期間tm2に続く期間tm3(発光制御期間の一例)においては、書込制御信号SCAN[n]の出力が停止され、期間tm1~tm2において停止されていた発光制御信号EM[n]が出力される。この結果、トランジスタT3がオフとなり、トランジスタT4がオンとなる。この状態では、トランジスタT1のゲート電圧(キャパシタC1に保持された電圧)からゲート閾値電圧Vthを差し引いた電圧(すなわち、データ信号VDATAの電圧)に応じた画素駆動電流Ioが発光素子D1に流れる。このように画素駆動電流Ioが流れることで、発光素子D1はデータ信号VDATAの電圧値に応じた輝度で発光する。
期間tm3が終了すると、次の1フレーム(1V)期間が開始される。
【0019】
図4のタイミングチャートは、表示パネル10の全領域にて画像の表示を行う場合における、1つのデータラインに対応して配置された画素11の駆動タイミングを示している。
1つのゲートラインは、同じ行に対応して配列される複数の画素11に対応する。ゲートライン#1~#Nは、例えば表示パネル10の上から下にかけて配置された1番目からN番目までの画素11の行のそれぞれに対応する。
【0020】
図4に示されるように、1フレーム(1V)としての期間においては、ゲートスキャン回路20により、ゲートライン#1~#Nの順で水平期間(1H)ごとにシフトされたタイミングで、対応の画素11が図3の期間tm1、tm2、tm3の動作を行う。このような動作が、データラインごとに行われることで、表示パネル10の表示面の全体を用いた画像の表示が行われる。
【0021】
本実施形態において、表示装置1の表示パネル10は、図2のように表示面の全領域にて画像を表示するようにされた全領域表示と、表示面を複数の領域に区分し、区分した領域ごとに画像の表示・非表示を設定した部分領域表示とで切り替えが可能とされる。
【0022】
本実施形態においては、部分領域表示にあたり、画像表示領域と画像非表示領域とについて、表示パネル10における表示面の水平方向(横方向)に沿って区分する。
図5は、部分領域表示での領域区分の具体例を示している。図5においては、表示パネル10の表示面の左側の1/3の領域を画像が表示される画像表示領域AR1とし、右側の2/3の領域を画像が表示されない画像非表示領域とするように区分した例が示される。
本実施形態では、画像表示領域AR1と画像非表示領域AR2とのそれぞれの表示面における占有率については特に限定されない。
【0023】
本実施形態の表示装置1は、OLEDを用いたような場合には、表示パネル10について折り畳みが可能な程度に物理的な柔軟性を有するように構成できる。
この場合、表示パネル10を折り畳んだときに表出して見えている表示面の部分は画像表示領域として設定して画像を表示し、表出して見えていない表示面の部分については画像非表示領域として画像を表示しないようにする部分領域表示により、消費電力の低減が期待できる。
【0024】
例えば電源電圧VDDを供給する電源回路について画像表示領域と画像非表示領域とに対応させて分割し、画像表示領域の電源回路に電源電圧VDDを出力させ、画像非表示領域の電源回路には電源電圧VDDを出力させないようにすれば、部分領域表示が可能となる。
しかしながら、この場合には、分割された電源回路のそれぞれから出力させる電源電圧VDDの値を同等とすることが難しい。このため、全領域表示を行った場合に、画像表示領域として設定されている領域と画像非表示領域として設定されている領域とで輝度差が生じてしまう。
そこで、本実施形態においては、電源電圧VDDの電源回路を分割することなく、以下のようにして部分領域表示を行うようにされる。
【0025】
図6は、本実施形態の表示装置1の部分領域表示に対応する構成例を示している。同図において、図1と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
同図では、部分領域表示に対応する構成として、図1において図示を省略していたシフト制御電圧回路40が示されている。シフト制御電圧回路40は、表示パネル10に配置される画素11のそれぞれにシフト制御電圧Viniを出力する回路である。
同図のシフト制御電圧回路40は、画像表示領域AR1に対応する第1回路部41-1と、画像非表示領域AR2に対応する第2回路部41-2とを含む。つまり、同図のシフト制御電圧回路40は、画像表示領域AR1と画像非表示領域AR2とのそれぞれに対応して分割された2つの回路部を有する。
第1回路部41-1は、所定の電圧値によるシフト制御電圧Viniを設定し、表示パネル10において画像表示領域AR1に含まれる画素11のそれぞれに設定されたシフト制御電圧Viniを出力する。
第2回路部41-2は、第1回路部41-1とは個別に所定の電圧値によるシフト制御電圧Viniを設定し、表示パネル10において画像非表示領域AR2に含まれる画素11のそれぞれに設定されたシフト制御電圧Viniを供給する。
このような構成のシフト制御電圧回路40は、画像表示領域AR1の画素11に出力するシフト制御電圧Viniと、画像非表示領域AR2の画素11に出力するシフト制御電圧Viniとで、それぞれ異なる電圧値を設定可能とされる。
【0026】
なお、第1回路部41-1から画像表示領域AR1に含まれる画素11のそれぞれにシフト制御電圧Viniが配分されるようにするための表示パネル10における配線構造については特に限定されない。同様に、第2回路部41-2から画像非表示領域AR2に含まれる画素11のそれぞれにシフト制御電圧Viniを配分するための表示パネル10における配線構造については特に限定されない。
【0027】
図7(A)を参照して、図6の構成の表示装置1が全領域表示を行う場合の画素11の動作例について説明する。
全領域表示においては、ゲートスキャン回路20は、全領域に対応する画素11を対象として、図2および図3のシーケンスにより、各ゲート信号(初期化信号SCAN[n-1]、書込制御信号SCAN[n]、発光制御信号EM[n])を出力し、トランジスタT1~T5を駆動する。
また、全領域表示においては、データ駆動回路30-1~30-6のそれぞれがアクティブとされて、表示に応じた所定のタイミングでデータ信号VDATAを出力する。
【0028】
また、シフト制御電圧回路40は、第1回路部41-1と第2回路部41-2とのそれぞれから、所定の電圧値のシフト制御電圧Vini-1を出力する。シフト制御電圧Vini-1の電圧値は、トランジスタT1がオンとなったときに、データ信号VDATAに応じた画素駆動電流Ioを流すことが可能なトランジスタT1のゲート電圧が得られるように設定される。
【0029】
図7(A)においては、データ信号VDATAの最大電圧値VDATA_MAXが示されている。同図では、最大電圧値VDATA_MAXが5Vである場合を例に挙げている。
また、同図では、期間tm1(図2)において出力される初期化信号SCAN[n-1]により初期化されるトランジスタT1のゲート閾値電圧Vthが示される。同図では、ゲート閾値電圧Vthが2Vである場合を例に挙げている。
また、同図では、シフト制御電圧Vini-1として0Vとした場合が示されている。なお、シフト制御電圧Vini-1は、例えば必要に応じて0Vより大きい所定の電圧値が設定されてよい。
【0030】
全領域表示において、上記のように0Vのシフト制御電圧Vini-1が表示パネル10における全画素11に出力されることで、期間tm1が経過して初期化信号SCAN[n-1]の出力が反転し、トランジスタT2、T5がオフとなったタイミングでは、トランジスタT1のゲート電圧は、ゲート閾値電圧VthにトランジスタT5(電圧シフト回路112)により印加されるシフト制御電圧Vini-1が加わった電圧値となる。この場合、ゲート閾値電圧Vthが2Vでシフト制御電圧Vini-1が0Vであることから、トランジスタT1のゲート電圧は、電圧値Vgs1-1として示すように2V(=2V+0V)となる。
【0031】
次に、期間tm2(図2)においてゲート書込信号SCAN[n]が出力されたとき、データ信号VDATAの最大電圧値VDATA_MAXが供給されている場合には、トランジスタT1のゲート電圧は、同図の電圧値Vgs1-2として示すように、電圧値Vgs1-1に最大電圧値VDATA_MAXが加わることで7V(2V+5V)となる。
【0032】
次に、期間tm3(図2)において、発光制御信号EM[n]が出力されてトランジスタT4がオンになる(導通する)と、トランジスタT1には、電圧値Vgs1-2からゲート閾値電圧Vthを差し引いた5Vの電圧値Vgs1-3に応じた画素駆動電流Ioが流れる。つまり、この場合には、トランジスタT3に入力されたデータ信号VDATAの電圧値に応じた画素駆動電流Ioが流れることになる。これにより、発光素子D1は、トランジスタT3に入力されたデータ信号VDATAの電圧値に応じて発光する。同図では、トランジスタT3に入力されたデータ信号VDATAの電圧値が最大電圧値VDATA_MAX(5V)とされていることで、電圧値Vgs1-3も5Vとである例が示されている。
【0033】
全領域表示においては、図7のようにデータ信号VDATAの電圧値に応じて発光素子D1を発光させる動作が表示パネル10における各画素11において行われる。この結果、表示パネル10の表示面の全領域において画像が表示される。
【0034】
部分領域表示においては、ゲートスキャン回路20は、全領域に対応する画素11を対象として、図2および図3のシーケンスにより、各ゲート信号(SCAN[n-1]、SCAN[n]、EM[n])を出力し、トランジスタT1~T5を駆動する。
また、部分領域表示においては、データ駆動回路30-1~30-6のうち、画像表示領域AR1に対応するデータ駆動回路30-1、30-2がアクティブとされて、表示に応じた所定のタイミングでデータ信号VDATAを出力する。一方、画像非表示領域AR2に対応するデータ駆動回路30-2~30-6は非アクティブとされてデータ信号VDATAを出力しない。
【0035】
また、部分領域表示におけるシフト制御電圧回路40は、第1回路部41-1が全領域表示の場合と同じように設定されたシフト制御電圧Vini-1を出力し、第2回路部41-2は、シフト制御電圧Vini-1と異なる電圧値によるシフト制御電圧Vini-2を出力するように動作を切り替える。
【0036】
図7(B)を参照して、部分領域表示での画像非表示領域AR2に対応する画素11の動作について説明する。
部分領域表示の場合においては、画素11にデータ信号VDATAは印加されないことから、画素11のキャパシタC1にて保持される電圧(ホールド電圧)が不定な状態で発生している。この際、キャパシタC1にて保持される不定のホールド電圧は、0Vからデータ信号VDATAの最大電圧値VDATA_MAXの範囲となる。図7(B)では、ホールド電圧Vholが最大電圧値VDATA_MAXと等しい5Vである場合を示している。
【0037】
部分領域表示の場合にも、画像非表示領域AR2に対応する画素11に対しては、各ゲート信号(SCAN[n-1]、SCAN[n]、EM[n])が出力される。
期間tm1(図2)において初期化信号SCAN[n-1]が出力されることで、トランジスタT1のゲート閾値電圧Vthが所定値となるように初期化される。同図においても、図7(A)と同様にゲート閾値電圧Vthは2Vとされた例を示している。
【0038】
また、部分領域表示の場合、画像非表示領域AR2に対応する画素11のトランジスタT5(電圧シフト回路112)には、シフト制御電圧Vini-2が印加される。シフト制御電圧Vini-2は、ホールド電圧Vholdが最大であってもトランジスタT1をオンしないことが可能な電圧値が設定される。具体的には、シフト制御電圧Vini-2は、データ信号VDATAの最大電圧値VDATA_MAX(すなわち、ホールド電圧Vholdが取り得る最大値)より大きければよい。図7(B)では、シフト制御電圧Vini-2が6Vとされた例が示される。
【0039】
この場合、期間tm1が経過してトランジスタT2、T5がオフとなったタイミングでは、トランジスタT1のゲート電圧は、ゲート閾値電圧VthにトランジスタT5から印加されるシフト制御電圧Vini-2が加わった電圧値となる。この場合、ゲート閾値電圧Vthが2Vでシフト制御電圧Vini-2が6Vであることから、トランジスタT1のゲート電圧は、電圧値Vgs1-1として示すように-4V(=2V-6V)となる。
【0040】
次に、期間tm2(図2)においては、ゲート書込信号SCAN[n]が出力されてトランジスタT3がオンになるが、データ信号VDATAは供給されていない。この場合、キャパシタC1のホールド電圧Vholdは不定の状態にある。
ホールド電圧Vholdが最大値の5Vである場合、トランジスタT1のゲート電圧は、同図の電圧値Vgs1-2として示すように、-4Vの電圧値Vgs1-1に5Vのホールド電圧Vholdが加わることで1V(=-4V+5V)となる。
【0041】
次に、期間tm3(図2)において、発光制御信号EM[n]が出力されてトランジスタT4がオンとなる(導通する)。しかし、このときのトランジスタT1のゲート電圧は、電圧値Vgs1-2として示すように1Vであって、ゲート閾値電圧Vthの2Vより小さい。このため、トランジスタT1はオンとならずにオフである。
このようにトランジスタT4がオンとなってもトランジスタT1がオフであれば、発光素子D1には画素駆動電流Ioが流れないことから、発光素子D1は発光しないようにすることができる。つまり、部分領域表示の場合には、画像非表示領域AR2における画素11の発光素子D1が発光しないようにされる。
【0042】
このようにして、部分領域表示では、画像表示領域AR1にて画像を表示し、画像非表示領域AR2においては画像を表示しないようにすることができる。この場合、画像非表示領域AR2に対応する各画素にてデータ信号VDATAの出力が停止され、画素駆動電流Ioが流れないことによる消費電力の低減が図られる。また、画像非表示領域AR2において発光素子D1が発光しないようにされることから、画像非表示領域AR2における画像非表示の状態としては輝度むら等のない黒色とすることが可能となる。
【0043】
なお、部分領域表示にあたり、表示パネル10の表示面において画像表示領域AR1と画像非表示領域AR2とが占有する比率は任意に変更可能とされてよい。
この場合、シフト制御電圧回路40は、例えば、表示パネル10において垂直方向に沿って配列される画素列ごとに個別にシフト制御電圧を供給するようにされたうえで、画素列ごとに、シフト制御電圧Vini-1、Vini-2で切り替えが可能なように構成されてよい。そのうえで、シフト制御電圧回路40は、表示パネル10において、画像表示領域AR1として設定された領域の画素列にはシフト制御電圧Vini-1を出力し、画像非表示領域AR2として設定された領域の画素列にはシフト制御電圧Vini-2を出力する可能なように構成されてよい。
【0044】
なお、表示パネル10の表示面において、画像表示領域AR1と画像非表示領域AR2との少なくともいずれか一方が複数存在するように設定されてよい。
【符号の説明】
【0045】
1 表示装置、10 表示パネル、11 画素、20 ゲートスキャン回路、21 発光制御信号出力回路、22 ゲート回路、23 信号出力制御回路、30 データ駆動回路、40 シフト制御電圧回路、41-1 第1回路部、41-2 第2回路部、111 電流出力回路、112 電圧シフト回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7