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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150867
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】遠隔監視システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/13 20060101AFI20241017BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20241017BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20241017BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
G08G1/13
G08G1/16 A
H04N7/18 U
H04N7/18 D
H04Q9/00 301B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063882
(22)【出願日】2023-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(72)【発明者】
【氏名】鹿子田 嵩大
(72)【発明者】
【氏名】内山 勇司
(72)【発明者】
【氏名】星 悠太郎
(72)【発明者】
【氏名】青木 芳憲
【テーマコード(参考)】
5C054
5H181
5K048
【Fターム(参考)】
5C054CA04
5C054CC02
5C054DA07
5C054FE23
5C054HA26
5C054HA29
5C054HA30
5H181AA01
5H181AA06
5H181AA27
5H181BB17
5H181CC04
5H181CC11
5H181EE12
5H181EE15
5H181FF05
5H181FF13
5H181FF17
5H181FF18
5H181LL04
5H181LL06
5H181MB02
5K048BA42
5K048BA43
5K048DC01
5K048EB15
(57)【要約】
【課題】運行管理対象の移動体を周辺情報も含めた条件により効率良く遠隔監視できる遠隔監視システムを提供する。
【解決手段】遠隔監視システム1は、運行管理対象の移動体2移動体の状態を示す移動体情報を取得するとともに、移動体2に関連する運転支援情報及び運行環境情報を取得し、当該取得情報を基に特定した重点監視対象の移動体2に対して、通常時よりも高画質な映像情報の送信を要求し、該要求に応答して移動体2から送信される高画質な映像情報を受信して遠隔監視を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運行管理対象の移動体を遠隔監視する遠隔監視システムであって、
前記移動体の状態を示す移動体情報を取得するとともに、前記移動体に関連する運転支援情報及び運行環境情報を取得し、当該取得情報を基に特定した重点監視対象の前記移動体に対して、通常時よりも高画質な映像情報の送信を要求し、該要求に応答して前記移動体から送信される前記高画質な映像情報を受信して遠隔監視を行う、遠隔監視システム。
【請求項2】
前記移動体から送信される前記移動体情報を受信して取得する移動体情報取得部と、
インフラ側運転支援装置から提供される前記運転支援情報、及び外部情報源から提供される前記運行環境情報を取得する外部提供情報取得部と、
前記移動体の運行経路に関する地図情報を記憶する記憶部と、
前記移動体情報取得部で取得された前記移動体情報、前記外部提供情報取得部で取得された前記運転支援情報及び前記運行環境情報、並びに、前記記憶部に記憶された地図情報に基づいて、前記移動体が通常監視対象か重点監視対象かを判定する判定部と、
前記判定部により重点監視対象と判定された前記移動体に対して通常監視対象のときよりも高画質な映像情報の送信を要求する指令を生成し、該指令を前記移動体に送信する指令部と、
前記移動体から送信される映像情報及び音声情報を受信して取得する映像音声取得部と、
管理者により操作される遠隔監視装置に対して、前記映像音声取得部で取得された映像情報及び音声情報を、前記判定部の判定結果に対応付けて出力する遠隔監視情報提供部と、
を備えて構成されている、請求項1に記載の遠隔監視システム。
【請求項3】
前記外部提供情報取得部で取得される前記運転支援情報は、前記移動体の運行経路上のクロスポイントにおける衝突判定結果を含む、請求項2に記載の遠隔監視システム。
【請求項4】
前記外部提供情報取得部で取得される前記運行環境情報は、前記移動体の運行経路の周辺における交通状況及び気象状況を含む、請求項2に記載の遠隔監視システム。
【請求項5】
前記記憶部に記憶される前記地図情報は、前記移動体の運行ダイヤを示すダイヤ情報、前記移動体の運行経路を示す経路情報、及び該運行経路における走行路の形状を示す走行路形状情報を含む、請求項2に記載の遠隔監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運行管理対象の移動体を遠隔監視する遠隔監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、鉄道、自動車、バスなどの移動体の運行を集中管理する場合、複数の移動体を遠隔監視しながら各移動体の運行が管理される。移動体の遠隔監視に関連する従来技術の一例として、特許文献1には、車両の走行によって得られる走行データ(複数種類のカメラ画像)を車両の管制を行うセンタに送信する車両用通信装置が開示されている。この車両用通信装置では、車両状況(直進、右折、左折、後退、乗降停車、乗員異常等)と、走行データの種類別の送信条件(解像度、フレームレート、優先度)とを関連付けた条件規則をもとに、センタでの必要性が高い走行データほど優先順位を高く切り替えて、センタに送信する送信データが生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-289528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のような従来技術については、センタに送信される走行データの送信条件、すなわち、車両の走行時に撮像されるカメラ画像の解像度やフレームレート、優先度が、車両状況のみに応じた条件規則に従って制御されているため、例えば、当該車両周辺の交通状況や道路構造、路側に設置されている運転支援装置の衝突判定等の車両以外の情報(車両の周辺情報)も含めた条件規則により、カメラ画像の解像度やフレームレート等を変更することが難しく、効率的な遠隔監視の観点から改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記課題に着目してなされたものであり、運行管理対象の移動体を周辺情報も含めた条件により効率良く遠隔監視できる遠隔監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため本発明の一態様は、運行管理対象の移動体を遠隔監視する遠隔監視システムを提供する。この遠隔監視システムは、前記移動体の状態を示す移動体情報を取得するとともに、前記移動体に関連する運転支援情報及び運行環境情報を取得し、当該取得情報を基に特定した重点監視対象の前記移動体に対して、通常時よりも高画質な映像情報の送信を要求し、該要求に応答して前記移動体から送信される前記高画質な映像情報を受信して遠隔監視を行う。
【発明の効果】
【0007】
上記のように本発明に係る遠隔監視システムによれば、移動体の状態を示す移動体情報だけでなく、移動体の周辺情報である運転支援情報及び運行環境情報も含めた条件により重点監視対象の移動体を特定して高画質な映像情報による遠隔監視が行われるため、運行管理対象の移動体を効率良く遠隔監視することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態による遠隔監視システムの構成を示すブロック図である。
図2】遠隔監視システムで実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図3図2における重点監視対象の判定処理に関する具体例を示すフローチャートである。
図4図3における経路情報及びダイヤ情報の判定処理に関する具体的な一例を示すフローチャートである。
図5】移動体で実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図6】遠隔監視装置で実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態による遠隔監視システムの構成を示すブロック図である。
図1において、本実施形態の遠隔監視システム1は、例えば、鉄道、自動車、バスなどの移動体2を遠隔監視する。移動体2は、その運行状況が運行管理システム100によって集中管理されている。運行管理システム100は、遠隔監視システム1を利用して複数の移動体2を遠隔監視しながら各移動体2の運行を管理している。つまり、遠隔監視システム1は、運行管理システム100の一部機能(各移動体2の遠隔監視機能)を実現しており、運行管理対象の移動体2を遠隔監視するように構成されている。遠隔監視システム1と各移動体2とは、無線通信によって情報を送受信可能に構成されている。
【0010】
本実施形態の遠隔監視システム1は、例えば、移動体情報取得部11と、外部提供情報取得部12と、記憶部13と、判定部14と、指令部15と、映像音声取得部16と、遠隔監視情報提供部17と、を備えて構成されている。
【0011】
移動体情報取得部11は、複数の移動体2からそれぞれ送信される移動体情報を受信して取得する。移動体情報は、移動体2の状態を示す情報であり、例えば、移動体2の位置情報、走行速度情報、乗客の行動情報、衝突検知情報、故障・異常情報などを含む。
【0012】
位置情報は、移動体2に搭載された制御装置23に接続されている衛星測位システム(GNSS)25等を利用して、移動体2の現在の位置を測位した情報である。制御装置23は、移動体2の各種動作を制御するための装置である。
【0013】
走行速度情報は、移動体2の現在の走行速度を示す情報であり、ここでは、制御装置23に接続されているECU(Electronic Control Unit)26での各種制御に用いられる走行速度情報を利用している。
【0014】
乗客の行動情報は、移動体2に搭載された複数のカメラ21のうちで移動体2の内部を撮影可能なカメラ21を利用して、走行中の乗客の移動などを検知した情報である。
【0015】
衝突検知情報は、上記複数のカメラ21のうちで移動体2の外部を撮影可能なカメラ21を利用して、歩行者の飛び出しなどを検知した情報である。
【0016】
故障・異常情報は、ECU26によって制御される移動体2の各機器の状態に基づいて故障又は異常の発生を検出した情報である。また、故障・異常情報は、移動体2に搭載されている通信装置24と、遠隔監視システム1の移動体情報取得部11、指令部15及び映像音声取得部16のそれぞれとの間における通信状態の異常を検出した情報である。
【0017】
上記のような移動体情報は、移動体2の通信装置24によって、当該移動体の識別情報(以下、「移動体ID」と表記する)及び送信時刻情報とともに、無線信号に載せて遠隔監視システム1側に所要の周期で送信される。
【0018】
移動体情報取得部11では、各移動体2からの無線信号が受信されることにより、移動体IDに対応付けられた移動体情報が随時取得される。移動体情報取得部11で取得された各々の移動体情報は、判定部14に伝えられる。
【0019】
外部提供情報取得部12は、インフラ側運転支援装置3から提供される各移動体2に関連した運転支援情報と、外部情報源4から提供される各移動体2に関連した運行環境情報とを取得する。
【0020】
インフラ側運転支援装置3は、移動体2の走行路上における路側等に設置され、周囲に存在する移動体2や人等の状況を基に、事故を未然に防ぐための運転支援情報を生成する。運転支援情報には、例えば、移動体2の運行経路上のクロスポイントにおける衝突判定結果などが含まれている。インフラ側運転支援装置3で生成された運転支援情報は、該当する移動体2にも無線送信されるとともに、公衆通信網等を介して遠隔監視システム1の外部提供情報取得部12にも送信される。
【0021】
外部情報源4は、例えば、交通情報、気象情報、防災情報などを提供する少なくとも1つの外部機関の情報提供サーバである。交通情報は、交通渋滞、交通事故、交通規制、工事、沿線火災などの情報を含む。気象情報は、エリア毎の気象予報、警報、注意報などの情報を含む。防災情報は、災害時に出される避難情報や各種警戒情報などを含む。外部情報源4により提供される各種情報は、公衆通信網等を介して遠隔監視システム1の外部提供情報取得部12に送信される。
【0022】
外部提供情報取得部12では、インフラ側運転支援装置3及び外部情報源4からの送信情報が受信されることにより、各移動体2に関連した運転支援情報及び運行環境情報が取得される。外部提供情報取得部12で取得された運転支援情報及び運行環境情報は、判定部14に伝えられる。
【0023】
記憶部13は、各移動体2の運行経路に関する地図情報を記憶している。地図情報は、移動体IDに対応付けられた運行経路を示す経路情報、各々の運行経路における走行路の形状(カーブやクロスポイント、幅員等)を示す走行路形状情報などを含む。また、移動体2がダイヤに従って運行される鉄道や路線バス等に該当する場合、地図情報には、移動体IDに対応付けられたダイヤ情報も含まれる。記憶部13には、上記のような地図情報の他にも、遠隔監視システム1の各部機能を実現する処理内容を記述したプログラムなどが記憶されていてもよい。
【0024】
判定部14は、移動体情報取得部11で取得された移動体情報と、外部提供情報取得部12で取得された運転支援情報及び運行環境情報と、記憶部13に記憶された地図情報とに基づいて、各移動体2が通常監視対象か重点監視対象かを判定する。判定部14による判定結果は、指令部15及び遠隔監視情報提供部17にそれぞれ伝えられる。なお、判定部14における判定処理の詳細については後述する。
【0025】
指令部15は、判定部14により重点監視対象と判定された移動体2に対して、通常時(通常監視対象)のときよりも高画質な映像情報の送信を要求する指令を生成する。本実施形態において、各移動体2から遠隔監視システム1に送信される映像情報は、前述した複数のカメラ21からそれぞれ出力される映像信号を映像合成装置22により1つに合成して遠隔監視用の映像情報を生成したものである。この遠隔監視用の映像情報は、通常時、無線通信の料金やトラフィック量を抑制するために、解像度及びフレームレートが比較的低く設定された低画質な状態で、各移動体2の通信装置24から遠隔監視システム1の映像音声取得部16に送信されている。なお、各移動体2には集音マイク(図示せず)が搭載されており上記映像情報と伴に音声情報も送信される。
【0026】
このような通常時の低画質な映像情報に対して、遠隔監視システム1の判定部14で重点監視対象の移動体2が判定されると、通常時よりも高い解像度及び/又は通常時よりも高いフレームレートに設定された高画質な映像情報が、重点監視対象の移動体2から送信されるようにする。このために、遠隔監視システム1の指令部15は、重点監視対象の移動体2に対して、映像情報の高画質化への設定変更を要求する指令を生成して送信する。
【0027】
上記指令を通信装置24で受信した重点監視対象の移動体2では、制御装置23が、複数のカメラ21のそれぞれにおける解像度及び/又はフレームレートの設定を変更することにより、遠隔監視システム1に送信する映像情報の高画質化が行われる。なお、映像情報の画質設定の詳細については後述する。
【0028】
映像音声取得部16は、各移動体2から送信される映像情報及び音声情報を受信して取得する。映像音声取得部16で取得された各移動体2の映像情報及び音声情報は、移動体IDと対応付けて遠隔監視情報提供部17に伝えられる。
【0029】
遠隔監視情報提供部17は、管理者により操作される少なくとも1つの遠隔監視装置5に対して、映像音声取得部16で取得された映像情報及び音声情報を、判定部14の判定結果に対応付けて提供するように構成されている。遠隔監視情報提供部17及び遠隔監視装置5は、公衆通信網等により互いに通信可能に接続されている。
【0030】
遠隔監視装置5は、表示部51を有しており、表示部51には、運行管理対象である複数の移動体2の移動体IDが一覧表示される。本実施形態では、一覧表示された移動体IDのうちで重点監視対象に該当する移動体IDが強調表示されるなどして、通常監視対象に該当する移動体IDとは区別されるように構成されている。また、表示部51には、移動体IDの一覧表示の他にも、例えば、遠隔監視システム1の移動体情報取得部11で移動体2の故障又は異常を示す移動体情報が取得された場合に、当該移動体2の故障又は異常を管理者に知らせるための表示などが行われるようにしてもよい。管理者は、遠隔監視装置5の入力操作部(図示せず)を操作して、表示部51に一覧表示された移動体IDの中から遠隔監視を行う移動体IDを選択する。これにより、選択された移動体IDに対応する映像情報が表示部51に表示されると同時に、音声情報が遠隔監視装置5のスピーカ(図示せず)から出力される。
【0031】
このように遠隔監視システム1の遠隔監視情報提供部17は、遠隔監視装置5からの要求に応じて各移動体2の映像情報及び音声情報を遠隔監視装置5に提供可能な遠隔監視サーバとして機能する。なお、本実施形態では、遠隔監視装置5が公衆通信網を介して遠隔監視システム1に接続される一例を説明したが、信号ケーブルにより遠隔監視装置5が遠隔監視システム1に直接接続されていてもよい。
【0032】
管理者は、遠隔監視装置5から出力される映像情報及び音声情報を参照して当該移動体2の動作を監視する。そして、管理者は、必要に応じて移動体2の運行を制御するための指示を遠隔監視装置5及び公衆通信網を利用して運行管理システム100の側に送ることにより移動体2の運行管理を行う。
【0033】
次に、本実施形態による遠隔監視システム1の動作について説明する。
図2は、遠隔監視システム1で実行される処理の一例を示すフローチャートである。
上記のように構成された遠隔監視システム1では、まず、図2のステップS10において、移動体情報取得部11が、運行管理対象となっている複数の移動体2からそれぞれ送信される移動体情報を受信して取得する。
【0034】
ステップS20では、映像音声取得部16が、複数の移動体2からそれぞれ送信される映像情報及び音声情報を受信して取得する。なお、各移動体2から送信される映像情報は、システム起動時の初期状態として、通常時の低画質な状態に設定されているものとする。映像音声取得部16で取得された各移動体2の映像情報及び音声情報は、遠隔監視情報提供部17に伝えられる。
【0035】
ステップS30では、外部提供情報取得部12が、インフラ側運転支援装置3から提供される運転支援情報を取得する。また、ステップS40では、外部提供情報取得部12が、外部情報源4から提供される運行環境情報を取得する。
【0036】
ステップS50では、判定部14が、上記ステップS10で取得された各移動体2の移動体情報、上記各ステップS30,S40で取得された運転支援情報及び運行環境情報、並びに、記憶部13に記憶されている地図情報を用いて、各移動体2が重点監視対象か否かを判定する。移動体2が重点監視対象であると判定された場合(YES)、ステップS60に進む。一方、重点監視対象ではない、すなわち、通常監視対象であると判定された場合には(NO)、ステップS10に戻って上記各ステップS10~S50の処理が繰り返される。
【0037】
ここで、上記ステップS50における重点監視対象の判定処理に関する具体例について図3のフローチャートを参照しながら詳しく説明する。この具体例では、運行管理対象の各移動体2ごとに、図3に示すステップS110~S180の一連の処理が判定部14により実行される。
【0038】
まず、図3のステップS110では、移動体情報取得部11により取得された移動体2の移動体情報が予め定めた重点監視条件に該当するか否かの判定が行われる。
移動体情報に関する重点監視条件としては、例えば、移動体情報に含まれる移動体2の位置情報の時間的な変化を基に、移動体2の蛇行運転または走行路の逆走などが推定される場合に、その移動体2を重点監視対象とする条件を設定可能である。
【0039】
また、移動体情報に含まれる移動体2の走行速度情報が、所定の下限値を下回る低速状態または所定の上限値を上回る速度超過状態を示す場合に、その移動体2を重点監視対象とする条件を設定してもよい。
【0040】
さらに、走行中の移動体2(特に、バス等)の車内における乗客の移動などを示す行動情報が移動体情報に含まれている場合に、その移動体2を重点監視対象とする条件を設定可能である。
【0041】
加えて、歩行者の飛び出しなどを示す衝突検知情報、或いは、移動体2の各機器や通信状態の故障又は異常を示す故障・異常情報が、移動体情報に含まれている場合に、当該移動体2を重点監視対象とする条件を設定してもよい。
【0042】
移動体2の移動体情報が、上記のような重点監視条件に該当しない場合には(NO)、ステップS120に進み、重点監視条件に該当する場合には(YES)、ステップS180に移る。
【0043】
ステップS120では、記憶部13の地図情報に含まれる走行路形状情報について、移動体2の位置情報に対応する走行路部分の形状が、予め定めた重点監視条件に該当するか否かの判定が行われる。
【0044】
走行路形状情報に関する重点監視条件としては、例えば、走行路形状情報及び移動体2の位置情報を基に、移動体2が見通しの悪いカーブや狭い幅員などの付近を走行することが推定される場合に、その移動体2を重点監視対象とする条件を設定可能である。
【0045】
移動体2の位置情報に対応する走行路部分の形状が、上記のような重点監視条件に該当しない場合には(NO)、ステップS130に進み、重点監視条件に該当する場合には(YES)、ステップS180に移る。
【0046】
ステップS130では、外部提供情報取得部12により取得されたインフラ側運転支援装置3からの運転支援情報について、移動体2の位置情報に対応する運転支援の内容が、予め定めた重点監視条件に該当するか否かの判定が行われる。
【0047】
運転支援情報に関する重点監視条件としては、例えば、運転支援情報及び移動体2の位置情報を基に、移動体2の走行方向前方のクロスポイントでの衝突判定などが行われている場合に、その移動体2を重点監視対象とする条件を設定可能である。
【0048】
移動体2の位置情報に対応する運転支援の内容が、上記のような重点監視条件に該当しない場合には(NO)、ステップS140に進み、重点監視条件に該当する場合には(YES)、ステップS180に移る。
【0049】
ステップS140では、外部提供情報取得部12により取得された外部情報源4からの運行環境情報について、移動体2の位置情報に対応する運行環境が、予め定めた重点監視条件に該当するか否かの判定が行われる。
【0050】
運行環境情報に関する重点監視条件としては、例えば、運行環境情報に含まれる交通情報及び移動体2の位置情報を基に、移動体2が交通渋滞や交通事故、交通規制、工事、沿線火災などの発生箇所付近を走行することが推定される場合に、その移動体2を重点監視対象とする条件を設定可能である。
【0051】
また、運行環境情報に含まれる気象情報及び移動体2の位置情報を基に、移動体2が悪天候による警報や注意報が出されているエリアを走行することが推定される場合に、その移動体2を重点監視対象とする条件を設定してもよい。
【0052】
さらに、運行環境情報に含まれる防災情報及び移動体2の位置情報を基に、移動体2が災害発生による避難情報や各種警戒情報が出されているエリアを走行することが推定される場合に、その移動体2を重点監視対象とする条件を設定することも可能である。
【0053】
移動体2の位置情報に対応する運行環境が、上記のような重点監視条件に該当しない場合には(NO)、ステップS150に進み、重点監視条件に該当する場合には(YES)、ステップS180に移る。
【0054】
ステップS150では、記憶部13の地図情報に含まれる経路情報及びダイヤ情報について、移動体2の位置情報及び走行速度情報に対応した運行状況(経路及びダイヤ)が、予め定めた重点監視条件に該当するか否かの判定が行われる。
【0055】
経路情報に関する重点監視条件としては、例えば、経路情報並びに移動体2の位置情報及び走行速度情報を基に、移動体2が運行経路から外れて走行している、或いは、停車場所から発進することなどが推定される場合に、その移動体2を重点監視対象とする条件を設定可能である。
【0056】
また、ダイヤ情報に関する重点監視条件としては、例えば、ダイヤ情報及び移動体2の位置情報を基に、移動体2の到着予定時刻に対する早着又は遅延が推定される場合に、その移動体2を重点監視対象とする条件を設定可能である。
【0057】
移動体2の位置情報及び走行速度情報に対応した運行状況(経路及びダイヤ)が、上記のような重点監視条件に該当しない場合には(NO)、ステップS160に進み、重点監視条件に該当する場合には(YES)、ステップS180に移る。
【0058】
ステップS160では、前述したステップS20(図2)において取得した移動体2からの映像情報が通常時よりも高画質であるかの判定が行われる。映像情報が高画質である場合には(YES)、次のステップS170で、当該移動体2が重点監視対象から通常監視対象に変更されて、前述したステップS50のNO(図2)となる。
【0059】
ステップS180では、上記ステップS110~S150のいずれかの処理において重点監視条件に該当すると判定されたことにより、当該移動体2が重点監視対象であると判定されて、前述したステップS50のYES(図2)となる。なお、図3に示したステップS110~S150における各処理の項目や順番は一例であって、これに限定されることを意味するものではない。
【0060】
ここで、上記ステップS150における経路情報及びダイヤ情報の判定処理に関する更に具体的な一例について、図4のフローチャートを参照しながら詳しく説明する。ここでは、判定の対象とする移動体2の具体例として、所定の経路及びダイヤに従って運行される路線バスを想定して説明を行うことにする。
【0061】
図4のステップS210では、判定部14により、移動体2(路線バス)の移動体IDに対応した経路情報及びダイヤ情報が記憶部13の地図情報から取得される。
【0062】
ステップS220では、前述したステップS10(図2)において取得された移動体情報に含まれる移動体2の位置情報と、上記ステップS210で取得された経路情報とを用いて、移動体2が運行経路上を走行しているか否かの判定が行われる。移動体2が運行経路上を走行している場合には、ステップS230に進む。一方、移動体2が運行経路から外れて走行している場合には、前述したステップS150のYESとなりステップS180の処理が行われる(図3)。
【0063】
ステップS230では、前述したステップS40(図2)において取得された運行環境情報に含まれる交通情報を用いて、運行経路上を走行する移動体2の付近において、交通渋滞や交通事故などが発生しているか否かの判定が行われる。交通渋滞や交通事故などが発生していない場合には(NO)、ステップS240に進む。一方、交通渋滞や交通事故などが発生している場合には(YES)、前述したステップS150のYESとなりステップS180の処理が行われる(図3)。
【0064】
ステップS240では、移動体2の位置情報及び経路情報を用いて、移動体2が停留所に位置しているか否かの判定が行われる。停留所に位置している場合には(YES)、ステップS250に進む。一方、停留所に位置していない場合には(NO)、前述したステップS150のNOとなりステップS160の処理が行われる(図3)。
【0065】
ステップS250では、移動体2の位置情報の取得時刻(移動体情報の送信時刻に対応)と、移動体2のダイヤ情報が示す上記停留所の到着時刻または出発時刻との差分値が、予め定めた閾値以内であるか否かの判定が行われる。上記差分値が閾値以内である場合には(YES)、前述したステップS150のNOとなりステップS160の処理が行われる(図3)。一方、上記差分値が閾値を超えている場合、すなわち、移動体2の運行ダイヤに乱れが生じている場合には(NO)、前述したステップS150のYESとなりステップS180の処理が行われる(図3)。
【0066】
図2に戻って、ステップS60では、前述したステップS50において移動体2が重点監視対象であると判定されたことを受けて、指令部15が、重点監視対象の移動体2に対して、通常時(通常監視対象)よりも高解像度及び/又は高フレームレートに設定された高画質な映像情報の送信を要求する指令を生成し、該生成した指令を重点監視対象の移動体2に送信する。
【0067】
ステップS70では、判定部14が、前述したステップS50において重点監視対象であると判定した移動体2の移動体IDを、遠隔監視情報提供部17および公衆通信網を介して遠隔監視装置5に通知する。この通知により、遠隔監視装置5の表示部51に一覧表示される移動体IDのうちで重点監視対象に該当する移動体IDが強調表示され、通常監視対象に該当する移動体IDとは区別される。ステップS70の処理が終了すると、ステップS10に戻って、上述したような一連の処理が遠隔監視システム1で繰り返し実行される。
【0068】
次に、移動体2で実行される処理について詳しく説明する。
前述したように図2のステップS60において、遠隔監視システム1の指令部15が、重点監視対象の移動体2に対して、高画質な映像情報の送信を要求する指令を送信することにより、該指令を受信した移動体2では、遠隔監視システム1に送信する映像情報の画質(解像度及び/又はフレームレート)の設定を変更するための処理が行われる。また、移動体2では、遠隔監視システム1に送信するための移動体情報を生成するための処理も行われる。
【0069】
図5は、移動体2で実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図5の一例において、まずステップS310では、移動体2の通信装置24(図1)が、遠隔監視システム1の指令部15から送信される指令を受信する。通信装置24で受信された指令は制御装置23に伝えられる。
【0070】
ステップS320では、制御装置23が、上記ステップS310で受信された指令に、映像情報の画質変更を要求する内容が含まれているかを判定する。画質変更の要求が有る場合には(YES)、ステップS330に進み、画質変更の要求が無い場合には(NO)、ステップS360に移る。
【0071】
ステップS330では、制御装置23が、重点監視対象の移動体2に対応した高画質への変更を要求する内容であるか否かを判定する。高画質への変更要求である場合には(YES)、ステップS340に進み、高画質への変更要求ではない、すなわち、通常監視対象の移動体2に対応した低画質への変更要求である場合には(NO)、ステップS350に移る。
【0072】
ステップS340では、制御装置23が、各カメラ21の解像度を相対的に高くするとともに、各カメラ21のフレームレートを相対的に高くする設定変更を行う。本実施形態では、各カメラの初期値(通常時の低画質な状態)の一例として、解像度がHD(1280×720)に設定され、フレームレートが33fpsをカメラの台数で除算した値の前後(例えば、カメラが4台のとき8fps等)に設定されている場合を想定する。この場合、重点監視対象の移動体2に対応した高画質な状態としては、例えば、解像度がFull-HD(1920×1080)に設定され、フレームレートが33fps以上に設定されるようにするのがよい。ただし、低画質及び高画質の各状態に対応した解像度及びフレームレートの設定は上記の一例に限定されない。高画質への設定変更が終わると、ステップS360に進む。
【0073】
ステップS350では、制御装置23が、各カメラ21の解像度を相対的に低くするとともに、各カメラ21のフレームレートを相対的に低くする設定変更を行う。本実施形態では、通常監視対象の移動体2に対応した低画質な状態として、前述したように解像度がHDに設定され、フレームレートが33fpsをカメラの台数で除算した値の前後に設定される。低画質への設定変更が終わると、ステップS360に進む。
【0074】
ステップS360では、映像合成装置22が、上記ステップS340又はS350で設定変更された各カメラ21により撮影される映像をそれぞれ取得する。そして、ステップS370では、映像合成装置22が、各カメラ21から取得した複数の映像を1つに合成して、遠隔監視用の映像情報を生成する。映像合成装置22により生成された遠隔監視用の映像情報は、集音マイクを利用して取得された音声情報と一緒に、制御装置23を経由して通信装置24に送られる。
【0075】
ステップS380では、通信装置24が、上記ステップS370で生成された遠隔監視用の映像情報及び音声情報を無線信号に載せて遠隔監視システム1の映像音声取得部16に送信する。このとき、通信装置24は、移動体2と遠隔監視システム1の間の無線通信回線のビットレート等を考慮し、映像情報の画質設定に応じて、伝送データを圧縮して送信するのが好ましい。
【0076】
具体的な一例として、通信装置24は、高画質の映像情報を遠隔監視システム1に送信する場合、ITU-T勧告H.264で定義される規格に従って伝送データを圧縮するとともに、低画質の映像情報を遠隔監視システム1に送信する場合には、モーションJPEG(Motion JPEG)方式に従って伝送データを圧縮するようにしてもよい。ただし、伝送データの圧縮方式は上記の一例に限定されない。
【0077】
上記のように遠隔監視用の映像情報の画質設定に応じて伝送データの圧縮方式を変更すれば、複数の移動体2と遠隔監視システム1とを接続する通信回線での輻輳を抑制可能になり、映像情報及び音声情報を安定して通信することができる。
【0078】
上記ステップS310~S380によって、移動体2の映像情報及び音声情報を遠隔監視システム1の映像音声取得部16に送信する処理が終わると、続くステップS390~S410において、移動体2の状態を示す移動体情報を遠隔監視システム1の移動体情報取得部11に送信する処理が行われる。
【0079】
ステップS390では、移動体2の制御装置23が、MRM(Minimal Risk Maneuver)27(図1)の動作状態に関する情報を取得する。MRM27は、移動体2の自動運転において、安全に走行できない事象が発生した場合の対処として停止状態に至るまでの運転制御を行う。
【0080】
ステップS400では、制御装置23が、ECU26における各種制御の状態を基に、移動体2の走行速度や、各機器の故障又は異常などに関する情報を取得する。また、制御装置23は、上記ステップS390,S400で取得される移動体2の自動運転制御に関連した状態情報の他にも、通信装置24と遠隔監視システム1との間における通信状態の異常に関する情報や、GNSS25で測位される現在の位置情報、カメラ21を利用した乗客の行動情報及び衝突検知情報なども取得する。そして、制御装置23で取得された各種情報は、移動体2の状態を示す移動体情報として纏められて、制御装置23から通信装置24に伝えられる。
【0081】
ステップS410では、通信装置24が、制御装置23から伝えられる移動体情報を無線信号に載せて遠隔監視システム1の移動体情報取得部11に送信する。移動体情報の送信処理が終わると、ステップS310に戻って、上記のような一連の処理が移動体2で繰り返し実行される。
【0082】
次に、遠隔監視装置5で実行される処理について詳しく説明する。
前述したように遠隔監視装置5では、管理者が、表示部51に一覧表示された移動体IDの中から遠隔監視を行う移動体IDを選択することにより、その移動体IDに対応する映像情報が表示部51に表示されると同時に、音声情報がスピーカから出力される。
【0083】
図6は、遠隔監視装置5で実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図6の一例において、まずステップS510では、遠隔監視装置5が、公衆通信網等を介して遠隔監視システム1の遠隔監視情報提供部17に接続する。そして、ステップS520では、遠隔監視装置5が、重点監視対象に該当する移動体IDを遠隔監視情報提供部17より取得する。このとき、遠隔監視システム1の移動体情報取得部11で移動体2の故障又は異常を示す移動体情報が取得されていれば、当該移動体2の故障又は異常に関する情報も移動体IDと一緒に取得される。
【0084】
ステップS530では、遠隔監視装置5が、運行管理対象であって遠隔監視が可能な移動体IDを表示部51に一覧表示する。このとき、表示部51に一覧表示する移動体IDのうち、重点監視対象に該当する移動体IDの表示には強調処理が施されるなどして、通常監視対象に該当する移動体IDの表示とは区別される。また、移動体IDの一覧表示とともに、移動体2の故障又は異常に関する表示も行われる。
【0085】
ステップS540では、管理者が、遠隔監視装置5の入力操作部を操作して、表示部51に一覧表示された移動体IDの中から遠隔監視を行いたい移動体IDを選択する。そして、ステップS550では、遠隔監視装置5が、管理者により選択された移動体IDを、公衆通信網等を介して遠隔監視システム1の遠隔監視情報提供部17に通知する。これにより、遠隔監視情報提供部17は、遠隔監視装置5から通知された移動体IDに対応する映像情報及び音声情報を、公衆通信網等を介して遠隔監視装置5に送信する。
【0086】
ステップS560では、遠隔監視装置5が、遠隔監視情報提供部17からの送信信号を受信して、管理者により選択された移動体IDに対応する映像情報及び音声情報を取得する。そして、ステップS570では、取得された映像情報が表示部51に表示されると同時に、音声情報がスピーカから出力される。
【0087】
上記のような遠隔監視装置5におけるステップS510~S570の一連の処理により、管理者は、遠隔監視装置5から出力される映像情報及び音声情報を参照して当該移動体2の動作を監視し、必要に応じて移動体2の運行を制御するための指示を遠隔監視装置5及び公衆通信網を利用して運行管理システム100の側に送ることで、移動体2の運行管理を行う。このとき、重点監視対象の移動体2については、通常時よりも高画質な映像情報が管理者に提供されるため、その動作が高い精度で遠隔監視されるようになる。
【0088】
以上説明したように本実施形態による遠隔監視システム1では、運行管理対象の各移動体2から各々の状態を示す移動体情報が取得されるとともに、各移動体2に関連する運転支援情報及び運行環境情報が取得される。そして、当該取得情報を基に特定された重点監視対象の移動体2に対して、通常時よりも高画質な映像情報の送信が要求され、該要求に応答して移動体2から遠隔監視システム1に送信される高画質な映像情報を利用して、重点監視対象の移動体2についての遠隔監視が行われる。
【0089】
このような本実施形態の遠隔監視システム1によれば、通常時に、移動体2から遠隔監視システム1に低画質な映像情報を送信して通信費用を抑えるようにしていても、移動体2の状態とその周辺の状況に応じて、重点監視条件に該当する移動体2に関しては高画質な映像情報により遠隔監視を行うことができる。このときの重点監視条件は、上述した従来技術のように移動体2の状態のみで判断されるのではなく、移動体2の周辺情報(運転支援情報及び運行環境情報)も含めて判断されるため、重点監視条件に該当するケースを増やすことができる。したがって、本実施形態の遠隔監視システム1は、運行管理対象の移動体2を効率良く高い精度で遠隔監視することが可能である。
【0090】
また、本実施形態の遠隔監視システム1では、移動体情報取得部11により、移動体2から送信される移動体情報が取得されるとともに、外部提供情報取得部12により、インフラ側運転支援装置3から提供される運転支援情報、及び外部情報源から提供される運行環境情報が取得される。そして、移動体情報取得部11及び外部提供情報取得部12による取得情報、並びに、記憶部13に記憶された地図情報に基づいて、判定部14により、移動体2が通常監視対象か重点監視対象かの判定が行われる。このように通常又は重点監視対象の判定が、移動体情報、運転支援情報、運行環境情報及び地図情報を組み合わせて複合的に行われることにより、重点監視条件に該当するケースを更に増やすことができる。さらに、遠隔監視システム1では、映像音声取得部16により取得される移動体2からの映像情報及び音声情報が、遠隔監視情報提供部17により、判定部14での判定結果に対応付けて遠隔監視装置5に出力される。これにより、管理者は、遠隔監視装置5を操作して移動体2の遠隔監視をより効率的に行うことが可能になる。
【0091】
また、本実施形態の遠隔監視システム1では、外部提供情報取得部12で取得される運転支援情報が、移動体2の運行経路上のクロスポイントにおける衝突判定結果を含んでいる。このような運転支援情報を組み合わせて重点監視対象の移動体2を判定し、その移動体2を高画質な映像情報を用いて遠隔監視して運行制御を行うことで、運行経路上のクロスポイントでの衝突をより確実に回避することが可能になる。
【0092】
さらに、本実施形態の遠隔監視システム1では、外部提供情報取得部12で取得される運行環境情報が、移動体2の運行経路の周辺における交通状況及び気象状況を含んでいる。このような運行環境情報を組み合わせて重点監視対象の移動体2を判定し、その移動体2を高画質な映像情報を用いて遠隔監視して運行制御を行うことで、運行経路の周辺における交通状況及び気象状況に応じて移動体2の運行を柔軟に管理することが可能になる。
【0093】
加えて、本実施形態の遠隔監視システム1では、記憶部13の地図情報が、移動体2の運行ダイヤを示すダイヤ情報、移動体2の運行経路を示す経路情報、及び該運行経路における走行路の形状を示す走行路形状情報を含んでいる。このような地図情報を組み合わせて重点監視対象の移動体2を判定し、その移動体2を高画質な映像情報を用いて遠隔監視して運行制御を行うことで、運行ダイヤ及び運行経路に従って移動体2の運行を正確に管理することが可能になる。
【0094】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形および変更が可能である。
【0095】
例えば、上述した実施形態では、移動体2に搭載された複数のカメラ21の映像を1つに合成した映像情報が、移動体2から遠隔監視システム1に送信される一例を説明したが、個々のカメラ21の映像、或いは、複数のカメラ21の中から選択した特定のカメラ21の映像が、遠隔監視用の映像情報として、移動体2から遠隔監視システム1に送信されるようにしてもよい。
【0096】
また、上述した実施形態では、移動体2に関連する運転支援情報がインフラ側運転支援装置3から遠隔監視システム1に提供される一例を説明したが、例えば、移動体同士がそれぞれ運転支援情報を送受信して衝突事故を未然に防ぐようなシステムが採用されている場合、移動体間で送受信される運転支援情報が遠隔監視システム1に提供されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0097】
1…遠隔監視システム、2…移動体、3…インフラ側運転支援装置、4…外部情報源、5…遠隔監視装置、11…移動体情報取得部、12…外部提供情報取得部、13…記憶部、14…判定部、15…指令部、16…映像音声取得部、17…遠隔監視情報提供部、21…カメラ、22…映像合成装置、23…制御装置、24…通信装置、51…表示部、100…運行管理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6