IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッドの特許一覧

<>
  • 特開-表示装置 図1
  • 特開-表示装置 図2
  • 特開-表示装置 図3
  • 特開-表示装置 図4
  • 特開-表示装置 図5
  • 特開-表示装置 図6
  • 特開-表示装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150868
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/3233 20160101AFI20241017BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20241017BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20241017BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20241017BHJP
   H10K 59/12 20230101ALI20241017BHJP
【FI】
G09G3/3233
G09G3/20 624B
G09F9/30 365
G09F9/30 338
H10K50/10
H10K59/12
G09G3/20 611A
G09G3/20 660Q
G09G3/20 621K
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063883
(22)【出願日】2023-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】土橋 守幸
(72)【発明者】
【氏名】藤井 一男
(72)【発明者】
【氏名】肖 利民
【テーマコード(参考)】
3K107
5C080
5C094
5C380
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC14
3K107CC43
3K107EE03
3K107FF04
3K107HH02
3K107HH05
5C080AA06
5C080BB05
5C080DD26
5C080FF11
5C080HH09
5C080JJ02
5C080JJ03
5C080JJ04
5C094AA22
5C094BA03
5C094BA27
5C094CA19
5C094DA06
5C380AA01
5C380AB06
5C380BA39
5C380CA08
5C380CB16
5C380CB17
5C380CC26
5C380CC33
5C380CC37
5C380CC55
5C380CC64
5C380CD015
(57)【要約】
【課題】表示パネルにて一部の領域にユーザが見る画像を表示させる際の消費電力の削減。
【解決手段】データ信号に応じた画素駆動電流を出力する電流出力回路と、電流出力回路から出力される画素駆動電流が流れることにより発光する発光素子と、前記発光素子に流す前記画素駆動電流のオン・オフを行う第1スイッチ素子とを含む画素がマトリクス状に配置されたアクティブマトリクス方式による表示パネルと、前記表示パネルが垂直方向に沿って画像表示領域と画像非表示領域とで分割されるように設定された場合に、画素ごとの発光素子を発光させる発光制御期間において、前記画像表示領域に含まれる画素の第1スイッチ素子をオンとするように駆動信号を出力し、前記画像非表示領域に含まれる画素の第1スイッチ素子に駆動信号を出力しないことでオフとするスイッチ素子駆動回路とを備えて表示装置を構成する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データドライバから出力されるデータ信号に応じた画素駆動電流を出力する電流出力回路と、前記電流出力回路から出力される画素駆動電流が流れることにより発光する発光素子と、前記発光素子に流す前記画素駆動電流のオン・オフを行う第1スイッチ素子とを含む画素がマトリクス状に配置されたアクティブマトリクス方式による表示パネルと、
前記表示パネルが垂直方向に沿って画像表示領域と画像非表示領域とで分割されるように設定された場合に、画素ごとの発光素子を発光させる発光制御期間において、前記画像表示領域に含まれる画素の第1スイッチ素子をオンとするように駆動信号を出力し、前記画像非表示領域に含まれる画素の第1スイッチ素子に駆動信号を出力しないことでオフとするスイッチ素子駆動回路と
を備える表示装置。
【請求項2】
前記表示パネルが垂直方向に沿って画像表示領域と画像非表示領域とで分割されるように設定された場合に、
前記データドライバは、前記画像非表示領域の画素に対応するデータ信号を出力しないようにされ、
前記スイッチ素子駆動回路は、前記画像表示領域の画素における電流出力回路において備えられる所定の1以上の第2スイッチ素子を駆動する信号を出力し、前記画像非表示領域の画素における電流出力回路において備えられる所定の1以上の第2スイッチ素子を駆動する信号を出力しない
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記スイッチ素子駆動回路は、
前記表示パネルの全領域を前記画像表示領域とするように設定された場合に、前記表示パネルにおけるすべての画素ごとの前記発光制御期間において第1スイッチ素子をオンとする
請求項1に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子等の電流駆動型発光素子を画素に用いたアクティブマトリクス型の表示装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-83117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、OLED(Organic Light-Emitting Diode)を発光素子として用いることで折り畳みが可能とされ、大きなサイズの表示パネルを有する表示装置の場合には、表示パネルを折りたたんで、表示パネルの一部領域にユーザが見る画像を表示させることが可能である。
このように、アクティブマトリクス型の表示パネルにて一部の領域にユーザが見る画像を表示させるにあたり消費電力の低減が図られるようにすることが好ましい。
【0005】
本発明は、上記した課題を考慮して、アクティブマトリクス型の表示パネルにて一部の領域にユーザが見る画像を表示させる際の消費電力が削減されるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決する本発明の一態様は、データドライバから出力されるデータ信号に応じた画素駆動電流を出力する電流出力回路と、前記電流出力回路から出力される画素駆動電流が流れることにより発光する発光素子と、前記発光素子に流す前記画素駆動電流のオン・オフを行う第1スイッチ素子とを含む画素がマトリクス状に配置されたアクティブマトリクス方式による表示パネルと、前記表示パネルが垂直方向に沿って画像表示領域と画像非表示領域とで分割されるように設定された場合に、画素ごとの発光素子を発光させる発光制御期間において、前記画像表示領域に含まれる画素の第1スイッチ素子をオンとするように駆動信号を出力し、前記画像非表示領域に含まれる画素の第1スイッチ素子に駆動信号を出力しないことでオフとするスイッチ素子駆動回路とを備える表示装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、アクティブマトリクス型の表示パネルにて一部の領域にユーザが見る画像を表示させる際の消費電力が削減されるようになるとの効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態における表示装置の構成例を示す図である。
図2】本実施形態における画素の回路構成例を示す図である。
図3】本実施形態における画素の回路の動作例を示す図である。
図4】本実施形態における表示パネルの全領域にて画像を表示する場合の画素の駆動タイミングの一例を示すタイミングチャートである。
図5】本実施形態における表示パネルにおける区分例を示す図である。
図6】本実施形態における表示装置の部分領域表示に対応する構成例を示す図である。
図7】本実施形態における表示パネルにて部分領域表示を行う場合の画素の駆動タイミングの一例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本実施形態の表示装置1の構成例を示している。同図の表示装置1はアクティブマトリクス型である。同図の表示装置は、表示パネル10、ゲートスキャン回路20(スイッチ素子駆動回路の一例)、およびデータ駆動回路30を備える。
【0010】
表示パネル10は、発光素子を有して形成される画素がマトリクス状に配置された表示面を有する。
【0011】
ゲートスキャン回路20は、表示パネル10において水平に配列されたゲートライン(水平ライン)のスキャンを行う回路である。
【0012】
データ駆動回路30は、表示パネル10において垂直に配列されたデータラインにデータ信号を出力する回路である。同図において、データ駆動回路30は、3つが設けられた例が示されている。この場合、表示パネル10において配列されるデータラインは、配列順に従って3つの組に区分され、区分された各1つのデータラインの組に対して、各1つのデータ駆動回路30がデータ信号を出力するようにされている。なお、本実施形態において、データ駆動回路30は区分されることなく1つとされたうえで、表示パネル10において配列されるデータラインのそれぞれにデータ信号を出力してよい。
【0013】
図2は、本実施形態の表示パネル10において配置される1つの画素11の回路構成例を示している。同図に示される画素11の回路構成は、基本的なものの一つである。画素11の回路構成については特に限定されない。同図において示されるトランジスタは、いずれもFETであり、具体的にはMOSFETである場合を例に挙げる。
【0014】
トランジスタT1(例えば、第2スイッチ素子の1つ)のドレインは電源電圧VDDと接続され、トランジスタT1のソースはトランジスタT4(第1スイッチ素子の一例)のドレインと接続され、トランジスタT1のゲートはキャパシタC1を介してトランジスタT3のソースと接続される。
トランジスタT2(例えば、第2スイッチ素子の1つ)のドレインはトランジスタT1ソースと接続され、トランジスタT2のソースはトランジスタT1のゲートと接続され、トランジスタT2のゲートは、初期化信号(駆動信号の一例)SCAN[n-1]に対応する初期化制御ラインと接続される。
トランジスタT3(例えば、第2スイッチ素子の1つ)のドレインはデータラインと接続され、トランジスタT3のソースはキャパシタC1を介してトランジスタT1のゲートと接続され、トランジスタT3のゲートは書込制御信号(駆動信号の一例)SCAN[n]に対応する書込制御ラインと接続される。
トランジスタT1、トランジスタT2、トランジスタT3、およびキャパシタC1により、電流出力回路111が形成される。電流出力回路111は、データ信号VDATAの電圧値に応じた画素駆動電流Ioを出力する。画素駆動電流Ioは、トランジスタT4がオンとなることに応じて、トランジスタT1からトランジスタT4を介して発光素子D1に流れる。
トランジスタT4(スイッチ素子の一例)のドレインはトランジスタT1のソースと接続され、トランジスタT4のソースは発光素子D1の一端と接続され、ゲートは発光制御信号(駆動信号の一例)EM[n]に対応する発光制御ラインと接続される。
表示パネル10において水平方向に配列される画素11に対応して配置される1つのゲートラインは、初期化制御ライン、書込制御ライン、および発光制御ラインを含む。
発光素子D1は、トランジスタT4のソースとグランドとの間に挿入される。
トランジスタT5のドレインはシフト電圧ラインと接続され、トランジスタT5のソースはトランジスタT3のソースとキャパシタC1との接続点に接続され、トランジスタT5のゲートは初期化制御ラインと接続される。
【0015】
本実施形態における発光素子D1の種別は特に限定されないが、例えば、OLEDを用いることができる。
【0016】
図3を参照して、図2の画素11における回路の動作について説明する。
1フレーム期間が開始されると、まず、期間tm1において初期化信号SCAN[n-1]が出力され、トランジスタT2とトランジスタT5がオンとなる。このとき、トランジスタT1、T3、T4はオフである。
上記のようにトランジスタT2、トランジスタT5が導通することにより、トランジスタT1のゲート-ソース間電圧は、所定値のゲート閾値電圧Vthとなるように初期化される。
この際に、電圧シフト回路112のトランジスタT5が導通することによって、シフト制御電圧ViniがキャパシタC1に印加される。シフト制御電圧Viniの値を例えば0Vからシフトさせることに応じて、キャパシタC1が保持する電圧がシフトされることから、トランジスタT1のゲート電圧をシフトさせることができる。
【0017】
期間tm1に続く期間tm2においては、初期化信号SCAN[n-1]の出力が停止され、書込制御信号SCAN[n]が出力される。この結果、トランジスタT2とトランジスタT5はオフとなり、トランジスタT3がオンとなる。このとき、データ駆動回路30から対応のデータラインに対してデータ信号VDATAが出力される。
この状態では、キャパシタC1にてデータ信号に応じたデータ信号VDATAが保持され、トランジスタT1のゲート電圧は、ゲート閾値電圧Vthにデータ信号VDATAの電圧値を加えた値(Vth+VDATA)となる。
上記のように期間tm1と期間tm2とによる1水平期間(1H)において、画素11では、トランジスタT1のゲート閾値電圧の初期化と、データの書き込みとが行われる。
【0018】
期間tm2に続く期間tm3(発光制御期間の一例)においては、書込制御信号SCAN[n]の出力が停止され、期間tm1~tm2において停止されていた発光制御信号EM[n]が出力される。この結果、トランジスタT3がオフとなり、トランジスタT4がオンとなる。この状態では、トランジスタT1のゲート電圧からゲート閾値電圧Vthを差し引いた電圧(すなわち、データ信号VDATAの電圧)に応じた画素駆動電流Ioが発光素子D1に流れる。このように画素駆動電流Ioが流れることで、発光素子D1はデータ信号VDATAの電圧値に応じた輝度で発光する。
期間tm3が終了すると、次の1フレーム(1V)期間が開始される。
【0019】
図4のタイミングチャートは、表示パネル10の全領域にて画像の表示を行う場合における、1つのデータラインに対応して配置された画素11の駆動タイミングを示している。
1つのゲートラインは、同じ行に対応して配列される複数の画素11に対応する。ゲートライン#1~#Nは、例えば表示パネル10の上から下にかけて配置された1番目からN番目までの画素11の行のそれぞれに対応する。
【0020】
図4に示されるように、1フレーム(1V)としての期間においては、ゲートスキャン回路20により、ゲートライン#1~#Nの順で水平期間(1H)ごとにシフトされたタイミングで、対応の画素11が図3の期間tm1、tm2、tm3の動作を行う。このような動作が、データラインごとに行われることで、表示パネル10の表示面の全体を用いた画像の表示が行われる。
【0021】
本実施形態において、表示装置1の表示パネル10は、図2のシーケンスにより表示面の全領域にて画像を表示するようにされた全領域表示と、表示面を複数の領域に区分し、区分した領域ごとに画像の表示・非表示を設定した部分領域表示とで切り替えが可能とされる。
【0022】
本実施形態においては、部分領域表示にあたり、画像表示領域と画像非表示領域とについて、表示パネル10における表示面の垂直方向(縦方向)に沿って区分する。
図5は、部分領域表示での領域区分の具体例を示している。図5においては、表示パネル10の表示面の下側の1/3の領域を画像が表示される画像表示領域AR1とし、上側の2/3の領域を画像が表示されない画像非表示領域とするように区分した例が示される。
本実施形態では、画像表示領域AR1と画像非表示領域AR2とのそれぞれの表示面における占有率については特に限定されない。
【0023】
本実施形態の表示装置1は、OLEDを用いたような場合には、表示パネル10について折り畳みが可能な程度に物理的な柔軟性を有するように構成できる。
この場合、表示パネル10を折り畳んだときに表出して見えている表示面の部分は画像表示領域として設定して画像を表示し、表出して見えていない表示面の部分については画像非表示領域として画像を表示しないようにする部分領域表示により、消費電力の低減が期待できる。
【0024】
例えば電源電圧VDDを供給する電源回路について画像表示領域と画像非表示領域とに対応させて分割し、画像表示領域の電源回路に電源電圧VDDを出力させ、画像非表示領域の電源回路には電源電圧VDDを出力させないようにすれば、部分領域表示が可能となる。
しかしながら、この場合には、分割された電源回路のそれぞれから出力させる電源電圧VDDの値を同等とすることが難しい。このため、全領域表示を行った場合に、画像表示領域として設定されている領域と画像非表示領域として設定されている領域とで輝度差が生じてしまう。
そこで、本実施形態においては、電源電圧VDDの電源回路を分割することなく、以下のようにして部分領域表示を行うようにされる。
【0025】
図6は、本実施形態の表示装置1の部分領域表示に対応する構成例を示している。同図において、図1と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
同図では、部分領域表示に対応する構成として、ゲートスキャン回路20における発光制御信号EM[n]の出力に対応する部位が示される。具体的に、同図のゲートスキャン回路20は、発光制御信号出力回路21、ゲート回路22、信号出力制御回路23を備える。
【0026】
発光制御信号出力回路21は、ゲートライン#1~#Nにおける発光制御信号ラインに対して、1水平期間(1H)でシフトしたタイミングで、順次、図4に示すように期間tm3において発光制御信号EM[1]~EM[n]を出力する。このような発光制御信号出力回路21は、例えばシフトレジスタにより構成されてよい。
【0027】
ゲート回路22は、発光制御信号EM[1]~[n]のうち、画像非表示領域AR2に含まれるゲートライン#1~#Mごとに対応する発光制御信号EM[1]~EM[M]に対して備えられる。
ゲート回路22は、それぞれ、信号出力制御回路23から出力される信号出力制御信号に応じて、発光制御信号EM[1]~EM[M]を出力する状態と出力を停止させる状態とで切り替える。ゲート回路22は、図3に示したように、発光制御信号EM[n]がアクティブローである場合には、ORゲートとして構成されてよい。
【0028】
信号出力制御回路23は、表示パネル10への発光制御信号EM[1]~EM[M]の出力を制御する。具体的に、発光制御信号EM[n]がアクティブローで、ゲート回路22がORゲートとして構成される場合、信号出力制御回路23は、画像非表示領域AR2にて画像を非表示とするにあたり、期間tm3においてHレベルを出力すればよい。
【0029】
図7のタイミングチャートは、図6に示したように部分領域表示に対応する構成の表示装置1の表示パネル10において、1つのデータラインに対応して配置された画素11ごとの動作タイミングを示している。
【0030】
まず、部分領域表示の場合には、データ駆動回路30は、画像表示領域AR1に含まれる画素11に対してデータ信号VDATAを出力し、画像非表示領域AR2に含まれる画素11に対してデータ信号VDATAを出力しないように動作する。
【0031】
画像非表示領域AR2における画素11にはデータ信号VDATAが出力されないことに伴い、期間tm1におけるゲート閾値電圧の初期化と期間tm2におけるデータ書き込みも不要となる。この場合、初期化信号SCAN[n-1]と書込制御信号SCAN[n]を出力してトランジスタT1、T2、T3を駆動する必要はない。
そこで、部分領域表示に対応して、ゲートスキャン回路20は、期間tm1、tm2において、初期化信号SCAN[n-1]と書込制御信号SCAN[n]とを出力しないようにする。この場合、図6に示すように、ゲートライン#1~#Mのそれぞれに対応する初期化信号SCAN[n-1]と書込制御信号SCAN[n]は、それぞれ期間tm1、tm2においてHレベルが維持される。
【0032】
また、期間tm2に続く期間tm3においては、信号出力制御回路23がHレベルを出力することで、発光制御信号EM[1]~EM[M]はHレベルとなる。つまり、期間tm3においては、画素11内のトランジスタT4に発光制御信号EM[1]~EM[M]を出力させないようにすることができる。この場合、期間tm3において発光素子D1には画素駆動電流Ioが流れないことから、発光素子D1は発光しない。この結果、画像非表示領域AR2に含まれる画素11の全てにおいて発光素子D1が発光しない状態が得られ、画像非表示領域AR2は、黒色で画像を表示しない状態となる。
【0033】
なお、同図にも示されるように、画像非表示領域AR2に対応する発光制御信号EM[1]~EM[M]は定常的にHレベルとなっている。この場合、信号出力制御回路23は、期間tm3に加えて期間tm1~tm2も含めるようにして、定常的にHレベルを出力してよい。
【0034】
一方、画像表示領域AR1におけるゲートライン#M+1~#Nに対応する画素11では、期間tm1、tm2のそれぞれにおいて、初期化信号SCAN[n-1]と書込制御信号SCAN[n]とが出力され、データ信号VDATAが出力される。
また、画像表示領域AR1に対応する発光制御信号EM[M+1]~EM[N]に対してはゲート回路22が設けられていない。このため、期間tm3において発光制御信号EM[M+1]~EM[N]が出力される。この結果、画像表示領域AR1内の各画素11における発光素子D1は、出力されたデータ信号VDATAに応じて発光する。つまり、画像表示領域AR1においては、画像が表示される状態となる。
【0035】
また、図6の部分領域表示に対応する表示装置1の構成のもとで、全領域表示を行うにあたっては、データ駆動回路30が表示面の全領域に対応する画素11のそれぞれにデータ信号VDATAを出力するように動作を切り替える。また、ゲートスキャン回路20は、画像非表示領域AR2とされていた領域のゲートライン#1~#Mに対しても、期間tm1、tm2のそれぞれにおいて、初期化信号SCAN[n-1]と書込制御信号SCAN[n]とを出力するようにされる。
また、信号出力制御回路23は、期間tm3においてLレベルを出力するように動作を切り替える。期間tm3において信号出力制御回路23がLレベルを出力することで、画像表示領域AR1に対応する発光制御信号EM[M+1]~EM[N]に加えて、画像非表示領域AR2に対応する発光制御信号EM[1]~EM[M]も期間tm3において出力される。この結果、表示パネル10の表示面の全領域にて画像が表示される。
このように、本実施形態の表示装置1は、部分領域表示と全領域表示との切り替えを容易に実現できる。
【0036】
上記構成による表示装置1では、部分領域表示を行うにあたり、画像非表示領域AR2に含まれる画素11において、データ信号VDATAが供給されず、トランジスタT1~T5を駆動する各ゲート信号(SCAN[n-1]、SCAN[n]、EM[n])も出力されない。また、発光素子D1に画素駆動電流Ioが流れることがない。このように画像非表示領域AR2に含まれる画素11の動作が停止されることで、部分領域表示に対応して消費電力を有効に削減することが可能となる。
また、部分領域表示の際には、上記のようにデータ信号VDATAに応じたデータ書き込みがフレーム周期ごとに行われないことから、キャパシタC1にて保持される電圧の値が不定となる。この場合において、例えば期間tm3において発光制御信号EM[n]を出力してトランジスタT4を駆動した場合には、キャパシタC1にて保持されていた電圧に応じた画素駆動電流Ioが発光素子D1に流れ、発光素子D1が発光することになる。この場合、キャパシタC1にて保持される電圧の値は不定であるため、画像非表示領域AR2においては、ムラを有した不定の画像が表示された状態となる。画像非表示領域AR2は、ユーザが見ない部分ではあるものの、不定の画像が表示される状態は解消されることが好ましい。
そこで、本実施形態においては、期間tm1、tm2における各ゲート信号(SCAN[n-1]、SCAN[n]、EM[n])の出力を停止するとともに、期間tm3における発光制御信号EM[n]の出力も停止して発光素子D1を発光させないようにしている。発光素子D1の発光がしないことで、画像非表示領域AR2についてムラが生じることなく一律に黒色とすることができる。
【0037】
なお、本実施形態として、期間tm1、tm2においてゲート信号(SCAN[n-1]、SCAN[n]、EM[n])を出力してゲート閾値電圧の初期化とデータ書き込みとを行ったうえで、期間tm3において発光制御信号EM[n]を出力しないことで発光素子D1を発光させないようにしてもよい。この場合にも、発光制御信号EM[n]を出力しないことによる一定の消費電力の低減効果が得られるとともに、画像非表示領域AR2についてムラが生じることなく一律に黒色とすることができる。
【0038】
なお、表示パネル10の表示面において画像表示領域AR1と画像非表示領域AR2とが占有する比率は任意に変更可能とされてよい。
この場合の部分領域表示において、ゲートスキャン回路20内の発光制御信号EM[n]を出力する回路構成としては、図6に基づく場合には、発光制御信号出力回路21から出力される発光制御信号EM[1]~EM[N]のそれぞれに対応してゲート回路22を設けてよい。この場合、信号出力制御回路23は、期間tm3において、画像表示領域AR1に対応する発光制御信号EMのゲート回路22にはLレベルを出力し、画像非表示領域AR2に対応する発光制御信号EMのゲート回路22にはHレベルを出力してよい。
【0039】
なお、表示パネル10の表示面において、画像表示領域AR1と画像非表示領域AR2との少なくともいずれか一方が複数存在するように設定されてよい。
【符号の説明】
【0040】
1 表示装置、10 表示パネル、11 画素、20 ゲートスキャン回路、21 発光制御信号出力回路、22 ゲート回路、23 信号出力制御回路、30 データ駆動回路、111 電流出力回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7