(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150872
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法、プログラム、及び、通信システム
(51)【国際特許分類】
H04W 28/086 20230101AFI20241017BHJP
H04W 92/12 20090101ALI20241017BHJP
【FI】
H04W28/086
H04W92/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063889
(22)【出願日】2023-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】黒田 州人
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
5K067EE24
5K067HH22
(57)【要約】
【課題】基地局間でトラフィック量をバランスさせることができる、制御装置、制御方法、プログラム、及び、通信システムを提供する。
【解決手段】制御装置10にて分配量算出部12は、複数の基地局20のそれぞれの余力リソース量に基づいて、複数の無線端末30のそれぞれの予定通信データ量を合計した合計予定通信データ量を、複数の基地局20に分配して、各基地局20についての分配量を算出する。制御部13は、分配量算出部12にて算出された、複数の基地局20のそれぞれの複数の分配量に基づいて、複数の無線端末30と複数の基地局20との間の通信を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基地局に接続可能なエリアに存在する少なくとも1つの無線端末のそれぞれの予定通信データ量に関する情報と、前記複数の基地局のそれぞれの余力リソース量とを取得する取得部と、
前記複数の基地局のそれぞれの余力リソース量に基づいて、前記少なくとも1つの無線端末のそれぞれの予定通信データ量を合計した合計予定通信データ量を前記複数の基地局に分配した複数の分配量を算出する第1算出部と、
前記算出された複数の分配量に基づいて、前記複数の基地局の前記少なくとも1つの無線端末との間の通信を制御する制御部と、
を具備する制御装置。
【請求項2】
前記取得部は、
少なくとも1つの無線端末のそれぞれの予定通信データ量に関する情報と、各基地局の周波数帯域幅に関する情報と、各基地局の無線リソース使用率に関する情報とを取得する取得処理部と、
各基地局の周波数帯域幅と各基地局の無線リソース使用率とに基づいて、各基地局の余力リソース量を算出する第2算出部と、
を具備する、
請求項1記載の制御装置。
【請求項3】
前記第2算出部は、
各基地局の周波数帯域幅に基づいて、各基地局の無線リソース量を算出し、
各基地局の無線リソース使用率に基づいて、各基地局の無線リソース不使用率を算出し、
各基地局の無線リソース量に各基地局の無線リソース不使用率を乗算することによって、各基地局の余力リソース量を算出する、
請求項2記載の制御装置。
【請求項4】
前記取得処理部は、前記複数の基地局のうちの1つの基地局から、前記少なくとも1つの無線端末のそれぞれの予定通信データ量に関する情報と、各基地局の周波数帯域幅に関する情報と、各基地局の無線リソース使用率に関する情報とを取得し、
前記少なくとも1つの無線端末のそれぞれの予定通信データ量に関する情報、及び、各基地局の周波数帯域幅に関する情報は、前記少なくとも1つの無線端末のそれぞれから、前記1つの基地局によって収集され、
前記複数の基地局のうちの前記1つの基地局以外の他の基地局の前記無線リソース使用率に関する情報は、前記他の基地局から、前記1つの基地局によって収集される、
請求項2記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記1つの基地局に、前記1つの基地局の分配量を通知し、前記他の基地局に、前記他の基地局の分配量を前記1つの基地局を介して通知する、
請求項4記載の制御装置。
【請求項6】
複数の基地局に接続可能なエリアに存在する少なくとも1つの無線端末のそれぞれの予定通信データ量に関する情報と、前記複数の基地局のそれぞれの余力リソース量とを取得することと、
前記複数の基地局のそれぞれの余力リソース量に基づいて、前記少なくとも1つの無線端末のそれぞれの予定通信データ量を合計した合計予定通信データ量を前記複数の基地局に分配した複数の分配量を算出することと、
前記算出された複数の分配量に基づいて、前記複数の基地局の前記少なくとも1つの無線端末との間の通信を制御することと、
を含む制御方法。
【請求項7】
複数の基地局に接続可能なエリアに存在する少なくとも1つの無線端末のそれぞれの予定通信データ量に関する情報と、前記複数の基地局のそれぞれの余力リソース量とを取得することと、
前記複数の基地局のそれぞれの余力リソース量に基づいて、前記少なくとも1つの無線端末のそれぞれの予定通信データ量を合計した合計予定通信データ量を前記複数の基地局に分配した複数の分配量を算出することと、
前記算出された複数の分配量に基づいて、前記複数の基地局の前記少なくとも1つの無線端末との間の通信を制御することと、
を含む処理を、制御装置に実行させるプログラム。
【請求項8】
複数の基地局と、
前記複数の基地局に接続可能なエリアに存在する少なくとも1つの無線端末と、
制御装置と、
を具備し、
前記制御装置は、
前記少なくとも1つの無線端末のそれぞれの予定通信データ量に関する情報と、前記複数の基地局のそれぞれの余力リソース量とを取得する取得部と、
前記複数の基地局のそれぞれの余力リソース量に基づいて、前記少なくとも1つの無線端末のそれぞれの予定通信データ量を合計した合計予定通信データ量を前記複数の基地局に分配した複数の分配量を算出する第1算出部と、
前記算出された複数の分配量に基づいて、前記複数の基地局の前記少なくとも1つの無線端末との間の通信を制御する制御部と、
を具備する、
通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置、制御方法、プログラム、及び、通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の候補セルのうちで配下の端末へ送信するデータ量の小さい候補セルを、ユーザ端末の接続セルとして決定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、特許文献1に開示されている技術では基地局間でトラフィックのバランスをとることができない可能性があることを見出した。例えば通信する予定のデータ量が端末ごとに大きく異なる可能性もあるため、1つの端末単位で接続対象の基地局を決定する方法では、トラフィックのバランスをとることが困難な可能性がある。
【0005】
本開示の目的は、基地局間でトラフィック量をバランスさせることができる、制御装置、制御方法、プログラム、及び、通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの態様では、制御装置は、
複数の基地局に接続可能なエリアに存在する少なくとも1つの無線端末のそれぞれの予定通信データ量に関する情報と、前記複数の基地局のそれぞれの余力リソース量とを取得する取得部と、
前記複数の基地局のそれぞれの余力リソース量に基づいて、前記少なくとも1つの無線端末のそれぞれの予定通信データ量を合計した合計予定通信データ量を前記複数の基地局に分配した複数の分配量を算出する第1算出部(分配量算出部)と、
前記算出された複数の分配量に基づいて、前記複数の基地局の前記少なくとも1つの無線端末との間の通信を制御する制御部と、
を具備する。
【0007】
他の態様では、制御方法は、
複数の基地局に接続可能なエリアに存在する少なくとも1つの無線端末のそれぞれの予定通信データ量に関する情報と、前記複数の基地局のそれぞれの余力リソース量とを取得することと、
前記複数の基地局のそれぞれの余力リソース量に基づいて、前記少なくとも1つの無線端末のそれぞれの予定通信データ量を合計した合計予定通信データ量を前記複数の基地局に分配した複数の分配量を算出することと、
前記算出された複数の分配量に基づいて、前記複数の基地局の前記少なくとも1つの無線端末との間の通信を制御することと、
を含む。
【0008】
他の態様では、プログラムは、
複数の基地局に接続可能なエリアに存在する少なくとも1つの無線端末のそれぞれの予定通信データ量に関する情報と、前記複数の基地局のそれぞれの余力リソース量とを取得することと、
前記複数の基地局のそれぞれの余力リソース量に基づいて、前記少なくとも1つの無線端末のそれぞれの予定通信データ量を合計した合計予定通信データ量を前記複数の基地局に分配した複数の分配量を算出することと、
前記算出された複数の分配量に基づいて、前記複数の基地局の前記少なくとも1つの無線端末との間の通信を制御することと、
を含む処理を、制御装置に実行させる。
【0009】
他の態様では、通信システムは、
複数の基地局と、
前記複数の基地局に接続可能なエリアに存在する少なくとも1つの無線端末と、
制御装置と、
を具備し、
前記制御装置は、
前記少なくとも1つの無線端末のそれぞれの予定通信データ量に関する情報と、前記複数の基地局のそれぞれの余力リソース量とを取得する取得部と、
前記複数の基地局のそれぞれの余力リソース量に基づいて、前記少なくとも1つの無線端末のそれぞれの予定通信データ量を合計した合計予定通信データ量を前記複数の基地局に分配した複数の分配量を算出する第1算出部と、
前記算出された複数の分配量に基づいて、前記複数の基地局の前記少なくとも1つの無線端末との間の通信を制御する制御部と、
を具備する。
【発明の効果】
【0010】
本開示により、基地局間でトラフィック量をバランスさせることができる、制御装置、制御方法、プログラム、及び、通信システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態における制御装置の一例を示すブロック図である。
【
図2】第1実施形態における制御装置10の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【
図3】第2実施形態における制御装置の一例を示すブロック図である。
【
図5】第3実施形態における無線端末の一例を示すブロック図である。
【
図6】第3実施形態における基地局の一例を示すブロック図である。
【
図7】第3実施形態における制御装置の一例を示すブロック図である。
【
図8】第3実施形態における通信システムの処理動作の一例を示すシーケンス図である。
【
図9】制御装置のハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、実施形態について説明する。なお、実施形態において、同一又は同等の要素には、同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0013】
<第1実施形態>
<制御装置の構成例>
図1は、第1実施形態における制御装置の一例を示すブロック図である。
図1において制御装置10は、取得部11と、分配量算出部(第1算出部)12と、制御部13とを有している。制御装置10は、負荷分散補助装置と呼ぶこともできる。
【0014】
取得部11は、複数の基地局20に接続可能なエリアに存在する複数の無線端末30のそれぞれの予定通信データ量に関する情報を取得する。複数の基地局20に接続可能なエリアは、複数の基地局20のそれぞれのセルが重なるエリア(以下では、「重複エリア」と呼ぶことがある)である。予定通信データ量に関する情報は、例えば、無線端末30がこれから送信しようとしているデータ量である。すなわち、複数の無線端末30は、いずれの基地局20とも未だデータ伝送を開始していない無線端末である。ここで、無線端末30と一の基地局20との間の通信が十分な品質を保つことができるときに、無線端末30が一の基地局20のセル内に存在しているものとする。無線端末30と一の基地局20との間の通信が十分な品質を保つことができるときとは、例えば、無線端末30が一の基地局20から送信された信号の受信電力(RSRP)が-114dBm以上である等の条件が満たされるときである。基地局20及び無線端末30については、第2実施形態及び第3実施形態にて詳しく説明する。
【0015】
なお、複数の基地局20にそれぞれ対応する複数のセルには、いずれの基地局20とも未だデータ伝送を開始していない無線端末30のほかに、既にいずれかの基地局20との間でデータ伝送を開始している無線端末が存在する。以下では、重複エリアに存在し且ついずれの基地局20とも未だデータ伝送を開始していない無線端末30を「第1種端末」と呼ぶことがある。また、既にいずれかの基地局20との間で通信を開始している無線端末を「第2種端末」と呼ぶことがある。
【0016】
また、取得部11は、複数の基地局20のそれぞれの「余力リソース量」を取得する。或る基地局20の「余力リソース量」は、例えば、その基地局20の総リソース量から、その基地局20のセルに存在する第2種端末とのデータ伝送に使用されているリソース量を減算して得られる、リソース量である。
【0017】
分配量算出部(第1算出部)12は、複数の基地局20のそれぞれの余力リソース量に基づいて、複数の無線端末30のそれぞれの予定通信データ量を合計した合計予定通信データ量を、複数の基地局20に分配して、各基地局20についての分配量を算出する。例えば、分配量算出部12は、複数の基地局20にそれぞれ対応する複数の余力リソース量の比に基づいて、合計予定通信データ量を複数の基地局20に分配してもよい。なお、ここでは、無線端末30が複数存在することを前提として説明しているが、無線端末30の数は1つであってもよい。
【0018】
制御部13は、分配量算出部12にて算出された、複数の基地局20のそれぞれの複数の分配量に基づいて、複数の無線端末30と複数の基地局20との間の通信を制御する。例えば、制御部13は、各基地局20について、どの無線端末30との間でどのくらいの量のデータを伝送するかを決定してもよい。
【0019】
<制御装置の動作例>
図2は、第1実施形態における制御装置10の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【0020】
取得部11は、複数の基地局20の重複エリアに存在する複数の第1種端末のそれぞれの予定通信データ量に関する情報を取得する(ステップS101)。また、取得部11は、複数の基地局20のそれぞれの余力リソース量を取得する(ステップS101)。
【0021】
分配量算出部12は、複数の基地局20のそれぞれの余力リソース量に基づき、複数の無線端末30のそれぞれの予定通信データ量を合計した合計予定通信データ量を複数の基地局20に分配した各基地局20についての分配量を算出する(ステップS102)。
【0022】
制御部13は、分配量算出部12にて算出された、複数の基地局20のそれぞれの複数の分配量に基づいて、複数の無線端末30と複数の基地局20との間の通信を制御する(ステップS103)。
【0023】
以上で説明した第1実施形態によれば、制御装置10にて分配量算出部12は、複数の基地局20の各々の余力リソース量に基づき、複数の無線端末30の合計予定通信データ量を複数の基地局20に分配した各基地局20の分配量を算出する。制御部13は、分配量算出部12にて算出された、複数の基地局20のそれぞれの複数の分配量に基づいて、複数の無線端末30と複数の基地局20との間の通信を制御する。
【0024】
この制御装置10の構成により、複数の無線端末30の合計予定通信データ量を複数の基地局20のそれぞれの余力リソース量に基づいて分配できるので、複数の基地局20の間でトラフィック量をバランスさせることができる。
【0025】
<第2実施形態>
第2実施形態は、主に、余力リソース量の算出、及び、分配量の算出に関する。
【0026】
図3は、第2実施形態における制御装置の一例を示すブロック図である。
図3において制御装置40は、取得部41と、分配量算出部(第1算出部)12と、制御部13とを有している。
【0027】
取得部41は、第1実施形態の取得部11と同様に、複数の基地局20の重複エリアに存在する複数の無線端末30のそれぞれの予定通信データ量に関する情報を取得する。また、取得部41は、第1実施形態の取得部11と同様に、複数の基地局20のそれぞれの「余力リソース量」を取得する。
【0028】
取得部41は、さらに、各基地局20の周波数帯域幅に関する情報を取得する。また、取得部41は、各基地局20の無線リソース使用率に関する情報を取得する。
【0029】
例えば、取得部41は、取得処理部41Aと、余力リソース量算出部(第2算出部)41Bとを有している。
【0030】
取得処理部41Aは、複数の無線端末30のそれぞれの予定通信データ量に関する情報を取得する。また、取得処理部41Aは、各基地局20の周波数帯域幅に関する情報を取得する。また、取得部41は、各基地局20の無線リソース使用率に関する情報を取得する。
【0031】
余力リソース量算出部(第2算出部)41Bは、各基地局20の周波数帯域幅と各基地局20の無線リソース使用率とに基づいて、各基地局20の余力リソース量を算出する。
【0032】
具体的には、余力リソース量算出部41Bは、各基地局20の周波数帯域幅に基づいて、各基地局20の無線リソース量(つまり、総リソース量)を算出する。また、余力リソース量算出部41Bは、各基地局20の無線リソース使用率に基づいて、各基地局20の無線リソース不使用率を算出する。そして、余力リソース量算出部41Bは、各基地局20の総リソース量に各基地局20の無線リソース不使用率を乗算することによって、各基地局20の余力リソース量を算出する。ここで、基地局20の無線リソース量(つまり、総リソース量)は、基地局20のリソースブロックの数である。
【0033】
分配量算出部(第1算出部)12は、複数の基地局20のそれぞれの余力リソース量に基づいて、複数の無線端末30のそれぞれの予定通信データ量を合計した合計予定通信データ量を、複数の基地局20に分配して、各基地局20についての分配量を算出する。
【0034】
次に、基地局20の余力リソース量及び分配量の算出の具体例について説明する。
図4は、通信システムの一例を示す図である。
【0035】
図4において通信システム1は、基地局20-1,20-2,20-3と、無線端末30-1,30-2,30-3と、制御装置40とを有している。以下では、基地局20-1,20-2,20-3を、それぞれ、基地局A,B,Cと呼び、無線端末30-1,30-2,30-3を、それぞれ、無線端末a,b,cと呼ぶことがある。また、基地局20-1,20-2,20-3を区別しない場合、単に基地局20と呼ぶことがある。無線端末30-1,30-2,30-3を区別しない場合、単に無線端末30と呼ぶことがある。
【0036】
ここで、無線端末A,B,Cの合計予定通信データ量をD(GB)とし、基地局A,B,Cの総リソース量を、それぞれ、X(A),X(B),X(C)とする。また、基地局A,B,Cのリソース使用率を、それぞれ、Y(A),Y(B),Y(C)(%)とする。
【0037】
このとき、余力リソース量算出部41Bは、基地局A,B,Cの余力リソース量Zを、それぞれ次のように算出する。
Z(A)=X(A)×(1-Y(A)/100)
Z(B)=X(B)×(1-Y(B)/100)
Z(C)=X(C)×(1-Y(C)/100)
【0038】
そして、上記の通り、余力リソース量の比に基づいて合計予定通信データ量が複数の基地局20に分配される場合、分配量算出部12は、基地局A,B,Cの分配量D(A),D(B),D(C)を次のように算出する。
D(A)=D×{Z(A)/(Z(A)+Z(B)+Z(C))}
D(B)=D×{Z(B)/(Z(A)+Z(B)+Z(C))}
D(C)=D×{Z(C)/(Z(A)+Z(B)+Z(C))}
【0039】
例えば、合計予定通信データ量D=9(GB)、X(A)=100、X(B)=75、X(C)=50、Y(A)=25、Y(B)=0、Y(C)=0とする。すなわち、基地局A,B,Cの順で、周波数帯域幅が広い。
【0040】
このときの分配量D(A),D(B),D(C)は、次のように算出される。
D(A)=9×{75/(75+75+50)}=3.375(GB)
D(B)=9×{75/(75+75+50)}=3.375(GB)
D(C)=9×{50/(75+75+50)}=2.25(GB)
【0041】
図3の説明に戻り、制御部13は、分配量算出部12にて算出された、複数の基地局20のそれぞれの複数の分配量に基づいて、複数の無線端末30と複数の基地局20との間の通信を制御する。例えば、制御部13は、一の無線端末30の予定通信データ量を複数の基地局20に振り分けてもよい。このとき、一の無線端末30は、振り分けられた予定通信データ量に応じて複数の基地局20との間でデータを伝送することになる。
【0042】
<第3実施形態>
第3実施形態は、主に、予定通信データ量に関する情報、周波数帯域幅に関する情報、及び、無線リソース使用率に関する情報の取得に関する。なお、第3実施形態における通信システムの基本構成は、第2実施形態の通信システム1と同じなので、
図4を参照する。すなわち、
図4における制御装置40を第3実施形態の制御装置50に置き換えればよい。また、以下では、基地局20-1を「第1基地局」と呼び、基地局20-2,20-3をそれぞれ「第2基地局」と呼ぶことがある。
【0043】
<無線端末の構成例>
図5は、第3実施形態における無線端末の一例を示すブロック図である。
図5において無線端末30は、受信部31と、制御部32と、送信部33とを有している。
【0044】
受信部31は、無線端末30の位置を含むセルに対応する基地局20から送信された、その基地局20のID(ここでは、基地局20-1,20-2,20-3のID(Identification; 識別情報))及びその基地局20の周波数帯域幅に関する情報を受信する。このその基地局20のID及びその基地局20の周波数帯域幅に関する情報は、その基地局20の報知チャネルによって報知されてもよい。
【0045】
制御部32は、送信部33に、無線端末30の予定通信データ量に関する情報と、受信部31で受信された基地局20のID及びその基地局20の周波数帯域幅に関する情報とを、第1基地局(ここでは、基地局20-1)に向けて送信させる。
【0046】
<基地局の構成例>
図6は、第3実施形態における基地局の一例を示すブロック図である。
図6において基地局20は、受信部21と、制御部22と、送信部23と、ネットワークインタフェース部24とを有している。
【0047】
(第1基地局)
第1基地局である基地局20-1において受信部21は、無線端末30から送信された、無線端末30の予定通信データ量に関する情報を受信する。また、受信部21は、受信部31で受信された基地局20のID(ここでは、基地局20-1,20-2,20-3のID)及びその基地局20の周波数帯域幅に関する情報を受信する。
【0048】
また、制御部22は、第2基地局である基地局20-2,20-3に対して無線リソース使用率を要求する要求信号を、ネットワークインタフェース部24を介して基地局20-2,20-3に向けて送信する。
【0049】
そして、制御部22は、基地局20-2,20-3から送信された基地局20-2,20-3の無線リソース使用率に関する情報を、ネットワークインタフェース部24を介して受け取る。
【0050】
そして、制御部22は、無線端末30の予定通信データ量に関する情報を、ネットワークインタフェース部24を介して制御装置50に向けて送信する。また、制御部22は、基地局20のID(ここでは、基地局20-1,20-2,20-3のID)及びその基地局20の周波数帯域幅に関する情報ネットワークインタフェース部24を介して制御装置50に向けて送信する。さらに、制御部22は、基地局20-1,20-2,20-3の無線リソース使用率に関する情報を、ネットワークインタフェース部24を介して制御装置50に向けて送信する。
【0051】
そして、制御部22は、制御装置50から送信された基地局20-1,20-2,20-3の分配量に関する情報を、ネットワークインタフェース部24を介して受け取る。
【0052】
そして、制御部22は、基地局20-2の分配量に関する情報を、ネットワークインタフェース部24を介して基地局20-2に向けて送信する。また、制御部22は、基地局20-3の分配量に関する情報を、ネットワークインタフェース部24を介して基地局20-3に向けて送信する。
【0053】
そして、制御部22は、受け取った分配量に従って、無線端末30との間で通信を実行する。
【0054】
(第2基地局)
第2基地局である基地局20-2において制御部22は、送信部23に、基地局20-2のID及び基地局20-2の周波数帯域幅に関する情報を送信させる。上記の通り、基地局20-2のID及び基地局20-2の周波数帯域幅に関する情報は、基地局20-2の報知チャネルによって報知されてもよい。
【0055】
制御部22は、基地局20-1から送信された上記の要求信号を、ネットワークインタフェース部24を介して受け取る。
【0056】
そして、制御部22は、上記の要求信号に応答して、基地局20-2の無線リソース使用率に関する情報を、ネットワークインタフェース部24を介して基地局20-1に向けて送信する。
【0057】
そして、制御部22は、基地局20-1から送信された基地局20-2の分配量に関する情報を、ネットワークインタフェース部24を介して受け取る。
【0058】
そして、制御部22は、受け取った分配量に従って、無線端末30との間で通信を実行する。
【0059】
なお、基地局20-3の構成は、基地局20-2と同様である。
【0060】
<制御装置の構成例>
図7は、第3実施形態における制御装置の一例を示すブロック図である。
図7において制御装置50は、ネットワークインタフェース部51と、取得部41と、分配量算出部(第1算出部)12と、制御部13とを有している。
【0061】
取得部41は、基地局20-1から送信された、無線端末30の予定通信データ量に関する情報と、基地局20のID、周波数帯域幅に関する情報、及び、無線リソース使用率に関する情報とを、ネットワークインタフェース部51を介して受け取る。
【0062】
制御部13は、分配量算出部12にて算出された基地局20-1,20-2,20-3の分配量に関する情報を、ネットワークインタフェース部51を介して基地局20-1に向けて送信する。
【0063】
<通信システムの動作例>
以上の構成を有する通信システム1の処理動作の一例について説明する。
図8は、第3実施形態における通信システムの処理動作の一例を示すシーケンス図である。
【0064】
無線端末30は、無線端末30の予定通信データ量に関する情報と、基地局20のID(ここでは、基地局20-1,20-2,20-3のID)及びその基地局20の周波数帯域幅に関する情報とを、基地局20-1に向けて送信する(ステップS201)。
【0065】
基地局20-1は、無線リソース使用率を要求する要求信号を、基地局20-2,20-3に向けて送信する(ステップS202)。
【0066】
基地局20-2,20-3は、基地局20-2,20-3の無線リソース使用率に関する情報を、基地局20-1に向けて送信する(ステップS203)。
【0067】
基地局20-1は、無線端末30の予定通信データ量に関する情報と、基地局20のID、基地局20の周波数帯域幅に関する情報、及び、基地局20の無線リソース使用率に関する情報とを、制御装置50に向けて送信する(ステップS204)。ここでは、基地局20は、基地局20-1,20-2,20-3である。
【0068】
制御装置50は、基地局20-1,20-2,20-3の分配量を算出する(ステップS205)。
【0069】
制御装置50は、出された基地局20-1,20-2,20-3の分配量に関する情報を、基地局20-1に向けて送信する(ステップS206)。
【0070】
基地局20-1は、基地局20-2の分配量に関する情報を、基地局20-2に向けて送信する(ステップS107)。また、制御部22は、基地局20-3の分配量に関する情報を、基地局20-3に向けて送信する(ステップS207)。
【0071】
以上のように第3実施形態によれば、基地局20-1が、制御装置50にて分配量の算出に必要とされる情報を無線端末30及び基地局20-2,20-3から収集し、収集した情報を制御装置50に提供することができる。
【0072】
<他の実施形態>
図9は、制御装置のハードウェア構成例を示す図である。
図9において制御装置100は、プロセッサ101と、メモリ102と、通信回路103とを有している。プロセッサ101は、例えば、マイクロプロセッサ、MPU(Micro Processing Unit)、又はCPU(Central Processing Unit)であってもよい。プロセッサ101は、複数のプロセッサを含んでもよい。メモリ102は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの組み合わせによって構成される。メモリ102は、プロセッサ101から離れて配置されたストレージを含んでもよい。この場合、プロセッサ101は、図示されていないI(Input)/O(Output)インタフェースを介してメモリ102にアクセスしてもよい。
【0073】
第1実施形態から第3実施形態の制御装置10,40,50は、それぞれ、
図9に示したハードウェア構成を有することができる。第1実施形態から第3実施形態の制御装置10,40,50の取得部11,41と、分配量算出部12と、制御部13とは、プロセッサ101がメモリ102に記憶されたプログラムを読み込んで実行することにより実現されてもよい。ネットワークインタフェース部51は、通信回路103によって実現されてもよい。プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、制御装置10,40,50に供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)を含む。さらに、非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/Wを含む。さらに、非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、半導体メモリを含む。半導体メモリは、例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory)を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によって制御装置10,40,50に供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムを制御装置10,40,50に供給できる。
【0074】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0075】
以上の複数の実施形態は、任意に組み合わせることができる。
【0076】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
複数の基地局に接続可能なエリアに存在する少なくとも1つの無線端末のそれぞれの予定通信データ量に関する情報と、前記複数の基地局のそれぞれの余力リソース量とを取得する取得部と、
前記複数の基地局のそれぞれの余力リソース量に基づいて、前記少なくとも1つの無線端末のそれぞれの予定通信データ量を合計した合計予定通信データ量を前記複数の基地局に分配した複数の分配量を算出する第1算出部と、
前記算出された複数の分配量に基づいて、前記複数の基地局の前記少なくとも1つの無線端末との間の通信を制御する制御部と、
を具備する制御装置。
(付記2)
前記取得部は、
少なくとも1つの無線端末のそれぞれの予定通信データ量に関する情報と、各基地局の周波数帯域幅に関する情報と、各基地局の無線リソース使用率に関する情報とを取得する取得処理部と、
各基地局の周波数帯域幅と各基地局の無線リソース使用率とに基づいて、各基地局の余力リソース量を算出する第2算出部と、
を具備する、
付記1記載の制御装置。
(付記3)
前記第2算出部は、
各基地局の周波数帯域幅に基づいて、各基地局の無線リソース量を算出し、
各基地局の無線リソース使用率に基づいて、各基地局の無線リソース不使用率を算出し、
各基地局の無線リソース量に各基地局の無線リソース不使用率を乗算することによって、各基地局の余力リソース量を算出する、
付記2記載の制御装置。
(付記4)
前記取得処理部は、前記複数の基地局のうちの1つの基地局から、前記少なくとも1つの無線端末のそれぞれの予定通信データ量に関する情報と、各基地局の周波数帯域幅に関する情報と、各基地局の無線リソース使用率に関する情報とを取得し、
前記少なくとも1つの無線端末のそれぞれの予定通信データ量に関する情報、及び、各基地局の周波数帯域幅に関する情報は、前記少なくとも1つの無線端末のそれぞれから、前記1つの基地局によって収集され、
前記複数の基地局のうちの前記1つの基地局以外の他の基地局の前記無線リソース使用率に関する情報は、前記他の基地局から、前記1つの基地局によって収集される、
付記2記載の制御装置。
(付記5)
前記制御部は、前記1つの基地局に、前記1つの基地局の分配量を通知し、前記他の基地局に、前記他の基地局の分配量を前記1つの基地局を介して通知する、
付記4記載の制御装置。
(付記6)
複数の基地局に接続可能なエリアに存在する少なくとも1つの無線端末のそれぞれの予定通信データ量に関する情報と、前記複数の基地局のそれぞれの余力リソース量とを取得することと、
前記複数の基地局のそれぞれの余力リソース量に基づいて、前記少なくとも1つの無線端末のそれぞれの予定通信データ量を合計した合計予定通信データ量を前記複数の基地局に分配した複数の分配量を算出することと、
前記算出された複数の分配量に基づいて、前記複数の基地局の前記少なくとも1つの無線端末との間の通信を制御することと、
を含む制御方法。
(付記7)
前記取得することは、
少なくとも1つの無線端末のそれぞれの予定通信データ量に関する情報と、各基地局の周波数帯域幅に関する情報と、各基地局の無線リソース使用率に関する情報とを取得することと、
各基地局の周波数帯域幅と各基地局の無線リソース使用率とに基づいて、各基地局の余力リソース量を算出することと、
を含む、
付記6記載の制御方法。
(付記8)
複数の基地局に接続可能なエリアに存在する少なくとも1つの無線端末のそれぞれの予定通信データ量に関する情報と、前記複数の基地局のそれぞれの余力リソース量とを取得することと、
前記複数の基地局のそれぞれの余力リソース量に基づいて、前記少なくとも1つの無線端末のそれぞれの予定通信データ量を合計した合計予定通信データ量を前記複数の基地局に分配した複数の分配量を算出することと、
前記算出された複数の分配量に基づいて、前記複数の基地局の前記少なくとも1つの無線端末との間の通信を制御することと、
を含む処理を、制御装置に実行させるプログラム。
(付記9)
前記取得することは、
少なくとも1つの無線端末のそれぞれの予定通信データ量に関する情報と、各基地局の周波数帯域幅に関する情報と、各基地局の無線リソース使用率に関する情報とを取得することと、
各基地局の周波数帯域幅と各基地局の無線リソース使用率とに基づいて、各基地局の余力リソース量を算出することと、
を含む、
付記8記載のプログラム。
(付記10)
複数の基地局と、
前記複数の基地局に接続可能なエリアに存在する少なくとも1つの無線端末と、
制御装置と、
を具備し、
前記制御装置は、
前記少なくとも1つの無線端末のそれぞれの予定通信データ量に関する情報と、前記複数の基地局のそれぞれの余力リソース量とを取得する取得部と、
前記複数の基地局のそれぞれの余力リソース量に基づいて、前記少なくとも1つの無線端末のそれぞれの予定通信データ量を合計した合計予定通信データ量を前記複数の基地局に分配した複数の分配量を算出する第1算出部と、
前記算出された複数の分配量に基づいて、前記複数の基地局の前記少なくとも1つの無線端末との間の通信を制御する制御部と、
を具備する、
通信システム。
(付記11)
前記取得部は、
少なくとも1つの無線端末のそれぞれの予定通信データ量に関する情報と、各基地局の周波数帯域幅に関する情報と、各基地局の無線リソース使用率に関する情報とを取得する取得処理部と、
各基地局の周波数帯域幅と各基地局の無線リソース使用率とに基づいて、各基地局の余力リソース量を算出する第2算出部と、
を具備する、
付記10記載の通信システム。
(付記12)
前記第2算出部は、
各基地局の周波数帯域幅に基づいて、各基地局の無線リソース量を算出し、
各基地局の無線リソース使用率に基づいて、各基地局の無線リソース不使用率を算出し、
各基地局の無線リソース量に各基地局の無線リソース不使用率を乗算することによって、各基地局の余力リソース量を算出する、
付記11記載の通信システム。
(付記13)
前記取得処理部は、前記複数の基地局のうちの1つの基地局から、前記少なくとも1つの無線端末のそれぞれの予定通信データ量に関する情報と、各基地局の周波数帯域幅に関する情報と、各基地局の無線リソース使用率に関する情報とを取得し、
前記少なくとも1つの無線端末のそれぞれの予定通信データ量に関する情報、及び、各基地局の周波数帯域幅に関する情報は、前記少なくとも1つの無線端末のそれぞれから、前記1つの基地局によって収集され、
前記複数の基地局のうちの前記1つの基地局以外の他の基地局の前記無線リソース使用率に関する情報は、前記他の基地局から、前記1つの基地局によって収集される、
付記11記載の通信システム。
(付記14)
前記制御部は、前記1つの基地局に、前記1つの基地局の分配量を通知し、前記他の基地局に、前記他の基地局の分配量を前記1つの基地局を介して通知する、
付記13記載の通信システム。
【符号の説明】
【0077】
1 通信システム
10 制御装置
11 取得部
12 分配量算出部(第1算出部)
13 制御部
20 基地局
21 受信部
22 制御部
23 送信部
24 ネットワークインタフェース部
30 無線端末
31 受信部
32 制御部
33 送信部
40 制御装置
41 取得部
41A 取得処理部
41B 余力リソース量算出部(第2算出部)
50 制御装置
51 ネットワークインタフェース部