(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150899
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】運転支援装置及び運転支援方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20241017BHJP
B60W 40/08 20120101ALI20241017BHJP
B60W 50/12 20120101ALI20241017BHJP
B60W 50/14 20200101ALI20241017BHJP
【FI】
G08G1/00 D
B60W40/08
B60W50/12
B60W50/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063926
(22)【出願日】2023-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】324003048
【氏名又は名称】三菱電機モビリティ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】張 遠
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA60
3D241BA70
3D241DD02Z
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB13
5H181BB20
5H181CC02
5H181CC04
5H181EE02
5H181FF10
5H181FF12
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF33
5H181KK01
5H181KK03
5H181KK04
5H181KK07
(57)【要約】
【課題】車両のペダルの踏み間違いに関する制御を適切に行うことが可能な技術を提供することを目的とする。
【解決手段】運転支援装置は、車両内情報と車両周辺情報とを取得する取得部と、車両内情報及び車両周辺情報に基づいて、車両の運転者のパニック状態の度合を示すパニック度を推測する推測モデルに学習させる学習部と、車両内情報及び車両周辺情報を推測モデルに適用してパニック度を推測し、パニック度に基づいて車両のペダルの踏み間違いに関する制御を行う制御部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内に関する情報である車両内情報と、前記車両周辺に関する情報である車両周辺情報とを取得する取得部と、
前記車両内情報及び前記車両周辺情報に基づいて、前記車両の運転者のパニック状態の度合を示すパニック度を推測する推測モデルに学習させる学習部と、
前記車両内情報及び前記車両周辺情報を前記推測モデルに適用して前記パニック度を推測し、前記パニック度に基づいて前記車両のペダルの踏み間違いに関する制御を行う制御部と
を備える、運転支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の運転支援装置であって、
前記車両周辺情報は、前記車両の位置が駐車場に対応する場合の前記車両の後続車両台数、前記車両周辺の対向車両台数、及び、前記車両周辺の歩行者数の少なくともいずれか1つを含む、運転支援装置。
【請求項3】
請求項1に記載の運転支援装置であって、
前記車両周辺情報は、前記車両の位置が駐車場に対応する場合の前記駐車場の通路幅を含む、運転支援装置。
【請求項4】
請求項1に記載の運転支援装置であって、
前記車両周辺情報は、前記車両の駐車対象である駐車スペースの隣の駐車スペースの空き状況を含む、運転支援装置。
【請求項5】
請求項1に記載の運転支援装置であって、
前記制御部は、前記パニック度が閾値以上である場合に、前記パニック度に応じた強度を有する指向性の光を、前記車両から前記車両周辺の歩行者に向けて照射させる、運転支援装置。
【請求項6】
請求項1に記載の運転支援装置であって、
前記制御部は、前記パニック度が閾値以上である場合に、前記パニック度に応じた表示態様で、前記運転者が踏むべき前記ペダルの画像を、前記運転者の視線の向きに対応する表示部に表示させる、運転支援装置。
【請求項7】
請求項6に記載の運転支援装置であって、
前記制御部は、前記画像を前記表示部に表示させる場合に、前記表示部を確認する旨の音声を、音声出力部に出力させる、運転支援装置。
【請求項8】
請求項1に記載の運転支援装置であって、
前記学習部は、前記運転者ごとに前記推測モデルに学習させ、
前記制御部は、前記運転者ごとに前記パニック度の推測及び前記制御を行う、運転支援装置。
【請求項9】
車両内に関する情報である車両内情報と、前記車両周辺に関する情報である車両周辺情報とを取得し、
前記車両内情報及び前記車両周辺情報に基づいて、前記車両の運転者のパニック状態の度合を示すパニック度を推測する推測モデルに学習させ、
前記車両内情報及び前記車両周辺情報を前記推測モデルに適用して前記パニック度を推測し、前記パニック度に基づいて前記車両のペダルの踏み間違いに関する制御を行う、運転支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、運転支援装置及び運転支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に対する運転者の運転を支援する運転支援装置について様々な技術が提案されている。例えば特許文献1には、発話音声認識センサ、呼吸センサ、心拍センサなどで取得された運転者の情報に基づいてペダルの踏み間違えに関する制御を行う技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、運転者の情報に基づいてペダルの踏み間違いが生じているか否かを判定すると、その判定精度が不十分であるため、車両のペダルの踏み間違いに関する制御を適切に行うことができないという問題があった。
【0005】
そこで、本開示は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、車両のペダルの踏み間違いに関する制御を適切に行うことが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る運転支援装置は、車両内に関する情報である車両内情報と、車両周辺に関する情報である車両周辺情報とを取得する取得部と、車両内情報及び車両周辺情報に基づいて、車両の運転者のパニック状態の度合を示すパニック度を推測する推測モデルに学習させる学習部と、車両内情報及び車両周辺情報を推測モデルに適用してパニック度を推測し、パニック度に基づいて車両のペダルの踏み間違いに関する制御を行う制御部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、車両内情報及び前記車両周辺情報に基づいてパニック度を推測する推測モデルに学習させ、車両内情報及び車両周辺情報を推測モデルに適用してパニック度を推測し、パニック度に基づいて車両のペダルの踏み間違いに関する制御を行う。このような構成によれば、車両のペダルの踏み間違いに関する制御を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る運転支援装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】実施の形態1に係る車両内情報及び車両周辺情報の一例を示す図である。
【
図3】実施の形態1に係る推測モデルの一例を示す図である。
【
図4】実施の形態1に係る運転支援装置の動作を示すフローチャートである。
【
図5】実施の形態1に係る運転支援装置の動作を示すフローチャートである。
【
図6】実施の形態1に係る運転支援装置の動作を示すフローチャートである。
【
図7】実施の形態1に係る運転支援装置の動作を示すフローチャートである。
【
図8】実施の形態2に係る運転支援装置の動作を示すフローチャートである。
【
図9】実施の形態3に係る運転支援装置の動作を示すフローチャートである。
【
図10】実施の形態3に係る運転支援装置で表示される画像の一例を示す図である。
【
図11】実施の形態3に係る運転支援装置で表示される画像の一例を示す図である。
【
図12】その他の変形例に係る運転支援装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図13】その他の変形例に係る運転支援装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図14】その他の変形例に係るサーバの構成を示すブロック図である。
【
図15】その他の変形例に係る通信端末の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施の形態1>
図1は、本実施の形態1に係る運転支援装置1の構成を示すブロック図である。運転支援装置1は、車両に対する運転者の運転を支援する装置である。運転支援装置1は、車両に搭載された踏み間違い制御装置であってもよいし、後述するように車両に搭載されていないサーバなどであってもよい。
【0010】
図1に示すように、運転支援装置1は、センサ情報取得部11aと、ビデオ情報取得部11bと、情報取得部11cと、情報統合部11dと、データベース12と、学習部13と、制御部14とを備える。なお、センサ情報取得部11a、ビデオ情報取得部11b、情報取得部11c、及び、情報統合部11dは取得部の概念に含まれる。
【0011】
センサ情報取得部11aは、車両のロケーション情報と、車両周辺の障害物情報との少なくともいずれか1つを取得する。なお本明細書において、例えばA、B、C、…、及び、Zの少なくともいずれか1つとは、A、B、C、…、及び、Zのグループから1つ以上抜き出した全ての組合せのうちのいずれか1つであることを意味する。
【0012】
ロケーション情報は、車両の通行回数と、駐車場種別情報と、スポット情報と、道路情報との少なくともいずれか1つを含む。
【0013】
駐車場種別情報は、例えば、車両の位置が駐車場に対応する場合に、車両の位置に対応する駐車場が、コンビニエンスストアの駐車場、立体駐車場、縦列駐車場、及び、自宅の駐車場の少なくともいずれか1つであるかを示す情報である。なお本明細書において、車両が位置するX、及び、車両が周辺に位置するXの少なくともいずれか1つを、車両の位置に対応するXと記す。例えば、車両の位置に対応する駐車場は、車両が位置する駐車場であってもよいし、車両の周辺に位置する駐車場であってもよい。
【0014】
スポット情報は、例えば、車両の位置に対応する特定のスポットの混雑情報、及び、工事情報の少なくともいずれか1つを含む。特定のスポットは、例えばお気に入りのスポットを含む。
【0015】
道路情報は、例えば、車両の位置に対応する道路の混雑情報、工事情報、電柱などの柱情報、交通量、車線変更の難易度、及び、道路種別情報の少なくともいずれか1つを含む。道路種別情報は、例えば、車両の位置が道路に対応する場合に、車両の位置に対応する道路が、山道、狭い道路、Uターンができない道路、危険道路、事故が多発する道路の少なくともいずれか1つであるかを示す情報である。
【0016】
障害物情報は、例えば、車両と対向車両との間の距離と、車両と後続車両との間の距離と、車両と歩行者との間の距離との少なくともいずれか1つを含む。
【0017】
以上のような情報を取得するセンサ情報取得部11aは、例えば、車両の位置などを取得するセンサであってもよいし、当該センサで得られた位置と地図情報とを照合する情報処理装置であってもよいし、それらハードウェアのインターフェースであってもよい。
【0018】
ビデオ情報取得部11bは、車両外部のビデオ情報と、車両内部のビデオ情報との少なくともいずれか1つを取得する。ビデオ情報は、画像情報のみであってもよいし、画像情報及び音声情報であってもよい。
【0019】
車両外部のビデオ情報は、例えば、車両周辺の他車両、車両周辺の歩行者、車両周辺の環境である周辺環境の少なくともいずれか1つのビデオ情報を含む。
【0020】
他車両のビデオ情報は、例えば、車両と対向車両との間の距離、対向車両台数、車両と後続車両との間の距離、及び、後続車両台数の少なくともいずれか1つを含む。歩行者のビデオ情報は、例えば、歩行者と対向車両との間の距離、及び、歩行者数の少なくともいずれか1つを含む。
【0021】
周辺環境のビデオ情報は、例えば、車両の位置に対応する道路の幅、車両の位置に対応する駐車場の駐車スペースに関する駐車スペース情報、車両周辺の音声情報の少なくともいずれか1つを含む。駐車スペース情報は、例えば、駐車スペースの空き状況、駐車スペースにおける障害物と車両との間の距離、駐車スペースの幅、及び、駐車スペースの寸法の少なくともいずれか1つを含む。
【0022】
車両内部のビデオ情報は、例えば、車両内の運転者、同乗者、動物、及び、スマートフォンの少なくともいずれか1つのビデオ情報を含む。運転者のビデオ情報は、例えば、画像処理などを適宜行うことによって運転者の表情、脈拍、熱、頭の向き、目線、及び、会話量を取得可能なビデオ情報を含む。同乗者、動物及びスマートフォンのビデオ情報は、例えば、画像処理などを適宜行うことによって乳幼児、ペット及びスマートフォンの状況を取得可能なビデオ情報を含む。
【0023】
以上のような情報を取得するビデオ情報取得部11bは、例えば、前方カメラ、車内カメラ、及び、サラウンドビューカメラの少なくともいずれか1つであってもよいし、それらハードウェアのインターフェースであってもよい。また、各種カメラは、通常のカメラであってもよいし、赤外線カメラであってもよい。
【0024】
情報取得部11cは、車両のECU(Electronic Control Unit)で管理される制御情報と、無線通信によって得られる無線通信情報と、運転者からの操作によって入力される操作情報との少なくともいずれか1つを取得する。
【0025】
無線通信情報は、例えばクラウドなどのサーバからインターネットを介して取得可能な、車両周辺の道路の混雑情報、工事情報、運転者特徴情報、及び、運転車種情報の少なくともいずれか1つを含む。運転者特徴情報は、例えば、運転者の通常時の脈拍数、血圧及び熱などの健康状態を示す健康診断情報を含んでもよい。また、運転者特徴情報は、運転者の服薬履歴、病歴、ライフスタイルなどの生活習慣の情報を含んでもよい。また、運転者特徴情報は、SNSのテキストマイニングによって取得可能な運転者のSNSでの行動傾向を示す行動パターンを含んでもよい。また、運転者特徴情報は、運転者の運転パターンを含んでもよいし、スマートフォンとの連携によって取得可能な運転者の通常時の表情を含んでもよい。また、運転者特徴情報は、運転者の名前、性別及び年齢などを含んでもよい。
【0026】
運転車種情報は、例えば、運転者の運転歴、運転者がよく運転する車両と運転支援装置1が支援する対象である車両との間における、操作機器の配置の差異、表示機器の配置の差異、前方視野(死角を含む)の差異、ホイールベースの差異、最小回転半径の差異の少なくともいずれか1つを含む。
【0027】
操作情報は、例えば運転者の名前、性別及び年齢などを含む。
【0028】
以上のような情報を取得する情報取得部11cは、例えば、通信装置、及び、入力装置の少なくともいずれか1つであってもよいし、それらハードウェアのインターフェースであってもよい。ここでいう通信装置は、例えばV2Vを用いた通信装置であってもよい。
【0029】
情報統合部11dは、センサ情報取得部11aで取得された情報と、ビデオ情報取得部11bで取得された情報と、情報取得部11cで取得された情報とに基づいて、車両内に関する情報である車両内情報と、車両周辺に関する情報である車両周辺情報とを生成する。
【0030】
図2は、車両内情報及び車両周辺情報の一例を示す図である。
図2に示すように、本実施の形態1では、車両周辺情報は、車両の位置が駐車場に対応する場合の車両の後続車両台数、車両周辺の対向車両台数、及び、車両周辺の歩行者数の少なくともいずれか1つを含む。また本実施の形態1では、車両周辺情報は、車両の位置が駐車場に対応する場合の駐車場の通路幅を含む。また本実施の形態1では、車両周辺情報は、駐車スペース情報、すなわち車両の駐車対象である駐車スペースの隣の駐車スペースの空き状況を含む。
【0031】
ただし、車両周辺情報は、これに限ったものではなく、例えば
図2の他車両情報、歩行者情報、及び、周辺環境情報に記載された情報のいずれか1つであってもよい。また、車両内情報は、例えば
図2の運転者情報、運転者以外の室内情報、及び、運転車種情報に記載された情報のいずれか1つであってもよい。また、車両内情報及び車両周辺情報は
図2の例に限ったものではない。例えば、運転車種情報は、車両内情報ではなく車両周辺情報に含まれてもよい。
【0032】
図1の情報統合部11dは、センサ情報取得部11aで取得された情報と、ビデオ情報取得部11bで取得された情報と、情報取得部11cで取得された情報とに基づいて、運転者特定情報を生成してデータベース12に登録する。なお、運転者特定情報は、車両内情報及び車両周辺情報に関係する運転者を特定するための情報である。
【0033】
なお以上では、情報取得部11cが、運転支援装置1内で車両内情報及び車両周辺情報を生成して取得する場合について説明したが、これに限ったものではない。例えば、車両内情報及び車両周辺情報が運転支援装置1の外部装置で生成される場合に、情報取得部11cは、当該外部装置から車両内情報及び車両周辺情報を取得してもよい。
【0034】
学習部13は、情報統合部11dで取得された車両内情報及び車両周辺情報に基づいて、車両の運転者のパニック状態の度合を示すパニック度を推測する推測モデルに学習させる。推測モデルの学習には、例えばディープラーニングなどの機械学習(訓練)が用いられる。
【0035】
図3は、学習部13によって学習される推測モデルの一例を示す図である。推測モデルの入力層が、車両内情報及び車両周辺情報を受けると、推測モデルの各中間層が、入力情報とパラーメータとに基づいて出力情報を逐次的に生成する。推測モデルの出力層は、中間層からの最終的な出力情報に基づいてパニック度を出力する。推測モデルの学習に、教師あり学習が用いられた場合には、中間層のパラーメータなどが学習される。なお、推測モデルの学習は、教師あり学習に限ったものではなく、クラスタリングなどの教師なし学習であってもよい。
【0036】
学習結果として得られる推測モデルは、車両内情報及び車両周辺情報が入力されると、適切なパニック度を出力することが可能になる。なお本実施の形態1では、学習部13は、車両内情報及び車両周辺情報と、データベース12の運転者特定情報とに基づいて運転者ごとに推測モデルの学習を行う。これにより、推測モデルを簡素化しつつ、学習を効率よく行うことが可能となっている。
【0037】
図1の制御部14は、情報統合部11dで生成された車両内情報及び車両周辺情報を、学習部13で得られた推測モデルに適用して、パニック度を推測する。本実施の形態1では、上述したように運転者ごとに推測モデルが学習される。このため、制御部14は、車両内情報及び車両周辺情報と、運転者特定情報とに基づいて運転者を特定し、車両内情報及び車両周辺情報を、特定された運転者の推測モデルに適用して、当該運転者のパニック度を推測する。
【0038】
制御部14は、パニック度に基づいて車両のペダルの踏み間違いに関するアシスタンス制御を行う。本実施の形態1では、制御部14は、特定された運転者のパニック度が、特定された運転者に対応する閾値以上であると判定した場合に、アシスタンス制御として被制御部21を制御する。なお、閾値は、運転者ごとに設定されるのであれば、デフォルトの値であってもよいし、運転者などのユーザによって設定される値であってもよいし、パニック度に基づいて設定される閾値であってもよい。
【0039】
制御部14は、被制御部21を制御される。本実施の形態1では、被制御部21は、音声出力部21aと、灯火照射部21bと、表示部21cと、通信部21dと、ECUである車両制御部21eとを含み、制御部14は、これらの少なくともいずれか1つを制御する。
【0040】
制御部14は、アシスタンス制御として音声出力部21aを制御することにより、音声出力部21aは、運転者及び歩行者の少なくともいずれか一方に警告音声または案内音声を出力する。制御部14は、アシスタンス制御として灯火照射部21bを制御することにより、灯火照射部21bは、車両から車両周辺の歩行者に向けて光を照射する。制御部14は、アシスタンス制御として表示部21cを制御することにより、表示部21cは、運転者に図形及び文字の少なくともいずれかを含む警告画像を表示する。制御部14は、アシスタンス制御として通信部21dを制御することにより、通信部21dは、例えばV2Vなどを用いて、車両周辺の他車両に警告信号を送信する。制御部14は、アシスタンス制御として車両制御部21eを制御することにより、車両制御部21eは、車両のアクセル及びブレーキの少なくともいずれか1つを制御する。
【0041】
<動作>
図4は、本実施の形態1に係る運転支援装置の全体動作の概要を示すフローチャートである。なお、各処理の詳細については後述する。
【0042】
ステップS1にて、情報統合部11dは、車両内情報及び車両周辺情報を生成し、学習部13は、車両内情報及び車両周辺情報に基づいて推測モデルに学習させる学習処理を行う。
【0043】
ステップS2にて、情報統合部11dは、車両内情報及び車両周辺情報を生成し、制御部14は、車両内情報及び車両周辺情報に推測モデルを適用してパニック度を推測する推測処理を行う。
【0044】
ステップS3にて、制御部14は、パニック度に基づいてアシスタンス制御が可能な制御処理を行う。その後、
図4の動作が終了する。
【0045】
なお、ステップS1は、推測モデルの学習段階であり、ステップS2及びステップS3は、学習結果である推測モデルの利用段階である。ステップS1の処理が一度またはある程度行われた後であれば、ステップS1の処理は、ステップS2及びステップS3の処理と並列的に繰り返し行われてもよい。また、ステップS2及びステップS3の処理は、車両が運転されている間に繰り返し行われてもよい。
【0046】
図5は、
図4のステップS1の学習処理の動作を示すフローチャートである。ここでは便宜上、運転者特定情報が、データベース12にすでに登録されているものとして説明する。
【0047】
ステップS11にて、センサ情報取得部11a、ビデオ情報取得部11b、及び、情報取得部11cは、車両内情報及び車両周辺情報を生成するための情報を取得する。情報統合部11dは、センサ情報取得部11a、ビデオ情報取得部11b、及び、情報取得部11cで取得された情報に基づいて、車両内情報及び車両周辺情報を生成する。
【0048】
ステップS12にて、学習部13は、ステップS11で生成された車両内情報及び車両周辺情報と、データベース12に登録された運転者特定情報とに基づいて、運転者を特定する。例えば、運転者特定情報が複数の運転者の表情を含み、車両内情報が運転者の表情を含む場合に、学習部13は、両者の表情を照合することによって、車両の運転者を特定してもよい。また例えば、学習部13は、インターネットを介して取得されたビッグデータを利用して、車両の運転者を特定してもよい。なお、車両の運転者を特定する方法は、上記に限ったものではない。
【0049】
ステップS13にて、学習部13は、ステップS11で生成された車両内情報及び車両周辺情報に基づいて、ステップS12で特定された運転者に割り当てられた推測モデルに学習させる。
【0050】
ステップS14にて、学習部13は、特定された運転者について、パニック度の閾値を設定する。学習部13は、デフォルトの値によって閾値を設定してもよいし、運転者などのユーザから入力された値によって閾値を設定してもよいし、推測モデルの学習時のパニック度に基づいて閾値を設定してもよい。その後、
図5の動作が終了する。
【0051】
図6は、
図4のステップS2の推測処理の動作を示すフローチャートである。
【0052】
ステップS21にて、センサ情報取得部11a、ビデオ情報取得部11b、及び、情報取得部11cは、車両内情報及び車両周辺情報を生成するための情報を取得する。情報統合部11dは、センサ情報取得部11a、ビデオ情報取得部11b、及び、情報取得部11cで取得された情報に基づいて、車両内情報及び車両周辺情報を生成する。なお推測モデルを用いたパニック度の推測精度に大きな影響がないのであれば、ステップS21で生成される車両内情報及び車両周辺情報の種類は、ステップS11で生成される車両内情報及び車両周辺情報の種類と多少異なってもよい。
【0053】
ステップS22にて、制御部14は、ステップS21で生成された車両内情報及び車両周辺情報と、データベース12に登録された運転者特定情報とに基づいて、運転者を特定する。つまり、制御部14は、ステップS12と同様の処理を行う。
【0054】
ステップS23にて、制御部14は、ステップS22で特定された運転者について、
図5の処理で得られた推測モデルとパニック度の閾値とを学習部13から取得する。
【0055】
ステップS24にて、制御部14は、ステップS21で生成された車両内情報及び車両周辺情報を、ステップS23で取得された推測モデルに適用して、当該運転者のパニック度を推測する。その後、
図6の動作が終了する。
【0056】
図7は、
図4のステップS3の制御処理の動作を示すフローチャートである。
【0057】
ステップS31にて、制御部14は、ステップS24で推測されたパニック度が、ステップS23で取得された閾値以上であるか否かを判定する。パニック度が閾値以上であると判定された場合には処理がステップS32に進み、パニック度が閾値以上でないと判定された場合には
図7の動作が終了する。
【0058】
ステップS32にて、制御部14は、車両のペダルの踏み間違いに関するアシスタンス制御として、被制御部21を制御する。本実施の形態1では、制御部14は、音声出力部21aを制御することにより、運転者及び歩行者の少なくともいずれか一方に警告音声または案内音声を出力する。灯火照射部21bは、制御部14からの制御に応じて、車両から車両周辺の歩行者に向けて光を照射する。表示部21cは、制御部14からの制御に応じて、運転者に図形及び文字の少なくともいずれかを含む警告画像を表示する。通信部21dは、制御部14からの制御に応じて、例えばV2Vなどを用いて、車両周辺の他車両に警告信号を送信する。車両制御部21eは、制御部14からの制御に応じて、車両のアクセル及びブレーキの少なくともいずれか1つを制御する。その後、
図7の動作が終了する。
【0059】
なお、後続車両が存在する場合に、アクセルまたはブレーキの制御によって車両が停止すると衝突などの事故が生じる可能性がある。そこで、制御部14は、アクセルまたはブレーキを制御する場合には、車両のハザードを点灯させてもよいし、通信部21dから後続車両に、車両が停止する旨の信号を送信させてもよい。これにより、後続車両は、送信された信号に基づいて、後続車両の運転者への警告の通知などを行うことができる。
【0060】
<実施の形態1のまとめ>
パニック度は、車両内の状態だけでなく、車両周辺の状態にも影響を受けると考えられる。このことを考慮して、本実施の形態1に係る運転支援装置1は、車両内情報及び前記車両周辺情報に基づいてパニック度を推測する推測モデルに学習させ、車両内情報及び車両周辺情報を推測モデルに適用してパニック度を推測し、パニック度に基づいて車両のペダルの踏み間違いに関する制御を行うように構成されている。このような構成によれば、車両内情報だけでなく車両周辺情報を用いて学習を行うので、パニック度の推測精度を高めることができる。これにより、運転者がペダルの踏み間違えが生じているか否かの判定についての精度を高めることができるので、車両のペダルの踏み間違いに関する制御を適切に行うことができる。
【0061】
また本実施の形態1では、車両周辺情報は、車両の位置が駐車場に対応する場合の車両の後続車両台数、車両周辺の対向車両台数、及び、車両周辺の歩行者数の少なくともいずれか1つを含む。一般的に、後続車両台数、対向車両台数、及び、歩行者数が多いほど、運転者のストレスが高くなる傾向があることから、このような構成によれば、パニック度の推測精度をさらに高めることができる。
【0062】
また本実施の形態1では、車両周辺情報は、車両の位置が駐車場に対応する場合の駐車場の通路幅を含む。一般的に、駐車場の通路幅が狭いほど、運転者のストレスが高くなる傾向があることから、このような構成によれば、パニック度の推測精度をさらに高めることができる。
【0063】
また本実施の形態1では、車両周辺情報は、車両の駐車対象である駐車スペースの隣の駐車スペースの空き状況を含む。一般的に、隣の駐車スペースの空き状況は、車両の駐車に関する難易度に影響し、その結果として運転者のストレスに影響する傾向があることから、このような構成によれば、パニック度の推測精度をさらに高めることができる。
【0064】
また本実施の形態1では、学習部13は、運転者ごとに推測モデルに学習させ、制御部14は、運転者ごとにパニック度の推測及びアシスタンス制御を行う。このような構成によれば、推測モデルを簡素化しつつ、学習を効率よく行うことができる。また本実施の形態1のように、運転支援装置1が、運転者ごとに推測されたパニック度に基づいて、パニック度の閾値を設定すれるように構成された場合には、各運転者に合わせたアシスタンス制御を行うことができる。
【0065】
<実施の形態2>
本実施の形態2に係る運転支援装置1の構成を示すブロック図は、
図1のブロック図と同様である。
【0066】
本実施の形態2では、制御部14は、推測されたパニック度が閾値以上である場合、つまりアシスタンス制御が行われる場合に、当該パニック度に応じた強度を有する指向性の光を、車両の灯火照射部21bから車両周辺の歩行者に向けて照射させる。
【0067】
図8は、本実施の形態2に係る運転支援装置1の動作を示すフローチャートであり、具体的には、
図7のステップS32に含まれる処理を示す。
【0068】
ステップS41にて、制御部14は、
図6のステップS21で生成された車両周辺情報に基づいて、車両周辺に歩行者が存在するか否かを判定する。歩行者が存在すると判定された場合には処理がステップS42に進み、歩行者が存在しないと判定された場合には
図8の動作が終了する。
【0069】
ステップS42にて、制御部14は、
図6のステップS21で生成された車両周辺情報から歩行者の位置を取得する。また、制御部14は、
図6のステップS24で推測されたパニック度に基づいて、灯火照射部21bが出力すべき光の強度を取得する。
【0070】
ステップS43にて、制御部14は、ステップS42で取得された歩行者の位置及び光の強度に基づいて灯火照射部21bを制御する。これにより、車両の灯火照射部21bは、制御部14で決定された強度を有する指向性の光を、車両周辺の歩行者に向けて照射する。その後、
図8の動作が終了する。
【0071】
<実施の形態2のまとめ>
以上のような本実施の形態2に係る運転支援装置によれば、パニック度が閾値以上である場合に、当該パニック度に応じた強度を有する指向性の光を、車両から車両周辺の歩行者に向けて照射させる。このような構成によれば、危険度が高いときには、歩行者に危険を通知することができ、かつ、ペダルの踏み間違いによる危険度が低いときには、歩行者の迷惑にならないようにすることができる。
【0072】
<実施の形態2の変形例>
制御部14は、パニック度が閾値以上である場合に、車両から車両周辺の対向車両に向けずに、歩行者に向けて照射しなくてもよい。この場合、対向車両の運転者への運転の妨げることを抑制することができるので、事故の誘発を抑制することができる。
【0073】
また制御部14は、パニック度に基づいて、灯火照射部21bから車両周辺の歩行者に照射する光の色合いを変更してもよい。例えば、パニック度が高くなるにつれて、制御部14は、光の色合いを緑色、黄色、赤色の順に変更してもよい。また、光の色合いは、単色でもよいし混成色でもよい。このような構成によれば、歩行者は、車両の運転者の危険度を容易に理解することができる。
【0074】
また制御部14は、パニック度に基づいて、危険エリア及び退避経路の少なくともいずれか1つを灯火照射部21bに照射させてもよい。このような構成によれば、歩行者は事故を容易に回避することができる。
【0075】
また制御部14は、危険エリアに存在する歩行者の表情などに基づいて、危険に対する歩行者の認識度を推測し、指向性を有する警告音声を、車両の音声出力部21aから認識度が一定値以下である歩行者に向けて出力させてもよい。このような構成によれば、認識度が一定値以下である歩行者に対してのみ警告音声で注意喚起を行うことができ、かつ、他の歩行者の迷惑にならないようにすることができる。
【0076】
<実施の形態3>
本実施の形態3に係る運転支援装置1の構成を示すブロック図は、
図1のブロック図と同様である。
【0077】
本実施の形態3では、複数の表示部21cが設けられている。複数の表示部21cは、電子ルームミラー、電子サイドミラー、CID(Center Information Display)、並びに、フロントガラス、リアドアガラス及びリアガラスのHUD(Head Up Display)を含む。そして、制御部14は、推測されたパニック度が閾値以上である場合、つまりアシスタンス制御が行われる場合に、パニック度に応じた表示態様で、運転者が踏むべきペダルの画像を、運転者の視線の向きに対応する表示部21cに表示させる。また、制御部14は、当該画像を表示部21cに表示させる場合に、表示部21cを確認する旨の音声を、音声出力部21aに出力させる。
【0078】
図9は、本実施の形態3に係る運転支援装置1の動作を示すフローチャートであり、具体的には、
図7のステップS32に含まれる処理を示す。
【0079】
ステップS51にて、制御部14は、
図6のステップS21で生成された車両内情報から、運転者の頭の向きを、運転者の視線の向きとして取得する。なお、車両内情報が運転者の視線の向きそのものを含んでいる場合には、制御部は、当該視線の向きを取得してもよい。
【0080】
ステップS52にて、制御部14は、運転者の視線の向きが前方中央であるか否かを判定する。視線の向きが前方中央であると判定された場合には処理がステップS53に進み、視線の向きが前方中央でないと判定された場合には処理がステップS54に進む。
【0081】
ステップS53にて、制御部14は、パニック度に応じた表示態様で、運転者が踏むべきペダルの画像を、電子ルームミラー、フロントガラスのHUD、及び、CIDの少なくともいずれか1つに表示させる。その後、処理がステップS57に進む。
【0082】
図10は、ステップS53でフロントガラスのHUDによって表示される、ブレーキペダルの画像26aと、アクセルペダルの画像26bとの一例を示す図である。
図10の例では、HUDは、運転者がブレーキペダルを踏むように画像26aを緑色などの目立つ色で表示し、画像26bを白色などの目立たない色で表示している。なお
図10の例では、パニック度が比較的大きい場合の状態が示されており、HUDは、画像26a,26bの表示だけでなく、「ブレーキを踏んでください」という文字も表示している。
【0083】
図11は、ステップS53でCIDによって表示される、ブレーキペダルの画像26aと、アクセルペダルの画像26bとの一例を示す図である。
図11の例では、CIDは、
図10と同様の色で画像26a,26bを表示している。なお
図11の例では、パニック度が比較的大きい場合の状態が示されており、CIDは、画像26a,26bの表示だけでなく、画像26a側に点滅する星形マークなどのアニメーション画像も表示している。
【0084】
図9のステップS54にて、制御部14は、運転者の視線の向きが前方側方であるか否かを判定する。視線の向きが前方側方であると判定された場合には処理がステップS55に進み、視線の向きが前方側方でないと判定された場合には処理がステップS56に進む。
【0085】
ステップS55にて、制御部14は、パニック度に応じた表示態様で、運転者が踏むべきペダルの画像を、電子サイドミラーに表示させる。その後、処理がステップS57に進む。
【0086】
ステップS56にて、制御部14は、パニック度に応じた表示態様で、運転者が踏むべきペダルの画像を、電子サイドミラー、リアドアガラスのHUD、及び、リアガラスのHUDに表示させる。その後、処理がステップS57に進む。
【0087】
ステップS57にて、制御部14は、表示部21cを確認する旨の音声を、音声出力部21aに出力させる。その後、
図9の動作が終了する。
【0088】
<実施の形態3のまとめ>
以上のような本実施の形態3に係る運転支援装置によれば、パニック度が閾値以上である場合に、当該パニック度に応じた表示態様で、運転者が踏むべきペダルの画像を、運転者の視線の向きに対応する表示部21cに表示させる。このような構成によれば、危険度が高いときには、運転者が踏むべきペダルの画像を表示することができ、ペダルの踏み間違いによる危険度が低いときには、運転者の迷惑にならないようにすることができる。また、運転者が踏むべきペダルの画像を常に表示するのではなく、必要に応じて表示するので、消費電力の低減化が期待できる。また、制御部14は、運転者の視線に最も近い表示部21cにのみペダルの画像を表示するように構成すれば、例えば、助手席者がCIDでテレビなどのコンテンツを見ている場合に、ペダルの画像が当該コンテンツの表示を妨げることを抑制することができる。
【0089】
<実施の形態3の変形例>
制御部14は、運転者特定情報に基づいて運転者に適した色(例えばイルミネーションのような色など)で画像26a,26bを表示してもよい。また、車両内情報が運転者特定情報を含む場合、制御部14は、運転者に適した内容の文字を表示してもよいし、運転者に適したアニメーション画像を表示してもよい。
【0090】
<その他の変形例>
上述した
図1の取得部(つまりセンサ情報取得部11a、ビデオ情報取得部11b、情報取得部11c、及び、情報統合部11d)と、学習部13と、制御部14とを、以下「取得部等」と記す。取得部等は、
図12に示す処理回路81により実現される。すなわち、処理回路81は、車両内に関する情報である車両内情報と、車両周辺に関する情報である車両周辺情報とを取得する取得部と、車両内情報及び車両周辺情報に基づいて、車両の運転者のパニック状態の度合を示すパニック度を推測する推測モデルに学習させる学習部13と、車両内情報及び車両周辺情報を推測モデルに適用してパニック度を推測し、パニック度に基づいて車両のペダルの踏み間違いに関する制御を行う制御部14と、を備える。処理回路81には、専用のハードウェアが適用されてもよいし、メモリに格納されるプログラムを実行するプロセッサが適用されてもよい。プロセッサには、例えば、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)などが該当する。
【0091】
処理回路81が専用のハードウェアである場合、処理回路81は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。取得部等の各部の機能それぞれは、処理回路を分散させた回路で実現されてもよいし、各部の機能をまとめて一つの処理回路で実現されてもよい。
【0092】
処理回路81がプロセッサである場合、取得部等の機能は、ソフトウェア等との組み合わせにより実現される。なお、ソフトウェア等には、例えば、ソフトウェア、ファームウェア、または、ソフトウェア及びファームウェアが該当する。ソフトウェア等はプログラムとして記述され、メモリに格納される。
図13に示すように、処理回路81に適用されるプロセッサ82は、メモリ83に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。すなわち、運転支援装置1は、処理回路81により実行されるときに、車両内に関する情報である車両内情報と、車両周辺に関する情報である車両周辺情報とを取得するステップと、車両内情報及び車両周辺情報に基づいて、車両の運転者のパニック状態の度合を示すパニック度を推測する推測モデルに学習させるステップと、車両内情報及び車両周辺情報を推測モデルに適用してパニック度を推測し、パニック度に基づいて車両のペダルの踏み間違いに関する制御を行うステップと、が結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリ83を備える。換言すれば、このプログラムは、取得部等の手順や方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。ここで、メモリ83は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などの、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、HDD(Hard Disk Drive)、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、それらのドライブ装置、または、今後使用されるあらゆる記憶媒体であってもよい。
【0093】
以上、取得部等の各機能が、ハードウェア及びソフトウェア等のいずれか一方で実現される構成について説明した。しかしこれに限ったものではなく、取得部等の一部を専用のハードウェアで実現し、別の一部をソフトウェア等で実現する構成であってもよい。例えば、取得部については専用のハードウェアとしての処理回路81でその機能を実現し、それ以外についてはプロセッサ82としての処理回路81がメモリ83に格納されたプログラムを読み出して実行することによってその機能を実現することが可能である。
【0094】
以上のように、処理回路81は、ハードウェア、ソフトウェア等、またはこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
【0095】
また、以上で説明した運転支援装置は、車両装置と、通信端末と、車両装置及び通信端末の少なくとも1つにインストールされるアプリケーションの機能と、サーバとを適宜に組み合わせてシステムとして構築される運転支援システムにも適用することができる。通信端末は、例えば、携帯電話、スマートフォン及びタブレットなどを含む。以上で説明した運転支援装置の各機能あるいは各構成要素は、前記システムを構築する各機器に分散して配置されてもよいし、いずれかの機器に集中して配置されてもよい。
【0096】
図14は、本変形例に係るサーバ91の構成を示すブロック図である。
図14のサーバ91は、通信部91aと制御部91bとを備えており、車両92の車両装置93と無線通信を行うことが可能となっている。
【0097】
取得部である通信部91aは、車両装置93と無線通信を行うことにより、車両装置93で取得された車両内情報及び車両周辺情報を受信する。
【0098】
制御部91bは、サーバ91の図示しないプロセッサなどが、サーバ91の図示しないメモリに記憶されたプログラムを実行することにより、
図1の学習部13及び制御部14と同様の機能を有している。つまり、制御部91bは、車両内情報及び車両周辺情報に基づいて推測モデルに学習させ、車両内情報及び車両周辺情報を推測モデルに適用してパニック度を推測する。そして、制御部91bは、パニック度に基づいて車両のペダルの踏み間違いに関する制御を行うための制御信号を生成する。そして、通信部91aは、制御部91bの制御信号を車両装置93に送信する。このように構成されたサーバ91によれば、実施の形態1で説明した運転支援装置1と同様の効果を得ることができる。
【0099】
図15は、本変形例に係る通信端末96の構成を示すブロック図である。
図15の通信端末96は、通信部91aと同様の通信部96aと、制御部91bと同様の制御部96bとを備えており、車両97の車両装置98と無線通信を行うことが可能となっている。なお、通信端末96には、例えば車両97の運転者が携帯する携帯電話、スマートフォン、及びタブレットなどの携帯端末が適用される。このように構成された通信端末96によれば、実施の形態1で説明した運転支援装置1と同様の効果を得ることができる。
【0100】
なお、各実施の形態及び各変形例を自由に組み合わせたり、各実施の形態及び各変形例を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
【0101】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0102】
(付記1)
車両内に関する情報である車両内情報と、前記車両周辺に関する情報である車両周辺情報とを取得する取得部と、
前記車両内情報及び前記車両周辺情報に基づいて、前記車両の運転者のパニック状態の度合を示すパニック度を推測する推測モデルに学習させる学習部と、
前記車両内情報及び前記車両周辺情報を前記推測モデルに適用して前記パニック度を推測し、前記パニック度に基づいて前記車両のペダルの踏み間違いに関する制御を行う制御部と
を備える、運転支援装置。
【0103】
(付記2)
前記車両周辺情報は、前記車両の位置が駐車場に対応する場合の前記車両の後続車両台数、前記車両周辺の対向車両台数、及び、前記車両周辺の歩行者数の少なくともいずれか1つを含む、付記1に記載の運転支援装置。
【0104】
(付記3)
前記車両周辺情報は、前記車両の位置が駐車場に対応する場合の前記駐車場の通路幅を含む、付記1または付記2に記載の運転支援装置。
【0105】
(付記4)
前記車両周辺情報は、前記車両の駐車対象である駐車スペースの隣の駐車スペースの空き状況を含む、付記1から付記3のうちのいずれか1項に記載の運転支援装置。
【0106】
(付記5)
前記制御部は、前記パニック度が閾値以上である場合に、前記パニック度に応じた強度を有する指向性の光を、前記車両から前記車両周辺の歩行者に向けて照射させる、付記1から付記4のうちのいずれか1項に記載の運転支援装置。
【0107】
(付記6)
前記制御部は、前記パニック度が閾値以上である場合に、前記パニック度に応じた表示態様で、前記運転者が踏むべき前記ペダルの画像を、前記運転者の視線の向きに対応する表示部に表示させる、付記1から付記5のうちのいずれか1項に記載の運転支援装置。
【0108】
(付記7)
前記制御部は、前記画像を前記表示部に表示させる場合に、前記表示部を確認する旨の音声を、音声出力部に出力させる、付記6に記載の運転支援装置。
【0109】
(付記8)
前記学習部は、前記運転者ごとに前記推測モデルに学習させ、
前記制御部は、前記運転者ごとに前記パニック度の推測及び前記制御を行う、付記1から付記7のうちのいずれか1項に記載の運転支援装置。
【0110】
(付記9)
車両内に関する情報である車両内情報と、前記車両周辺に関する情報である車両周辺情報とを取得し、
前記車両内情報及び前記車両周辺情報に基づいて、前記車両の運転者のパニック状態の度合を示すパニック度を推測する推測モデルに学習させ、
前記車両内情報及び前記車両周辺情報を前記推測モデルに適用して前記パニック度を推測し、前記パニック度に基づいて前記車両のペダルの踏み間違いに関する制御を行う、運転支援方法。
【符号の説明】
【0111】
1 運転支援装置、11a センサ情報取得部、11b ビデオ情報取得部、11c 情報取得部、11d 情報統合部、13 学習部、14 制御部、21a 音声出力部、21b 灯火照射部、21c 表示部、26a,26b 画像。