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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150900
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/184 20210101AFI20241017BHJP
   H01M 50/105 20210101ALI20241017BHJP
   H01M 50/119 20210101ALI20241017BHJP
   H01M 50/121 20210101ALI20241017BHJP
   H01M 50/129 20210101ALI20241017BHJP
【FI】
H01M50/184 C
H01M50/105
H01M50/119
H01M50/121
H01M50/129
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063927
(22)【出願日】2023-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新谷 晃大
(72)【発明者】
【氏名】西 勇二
(72)【発明者】
【氏名】大野 了平
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 祐哉
【テーマコード(参考)】
5H011
【Fターム(参考)】
5H011AA09
5H011CC10
5H011DD13
5H011FF02
5H011KK01
(57)【要約】
【課題】第1外装体および第2外装体の接合部における皺の発生を抑制し、当該接合部での破断を抑制可能な二次電池を提供する。
【解決手段】二次電池100は、蓄電体1と外装体20とを備え、外装体20は、シート部材を含む第1外装体21と第2外装体22とを含み、第1外装体21の第1絶縁層と第2外装体22の第1絶縁層とが接合されており、外装体20が有する1組の外縁部201,202の一方側および他方側の各々で、外縁部に沿う全域において、第1外装体21および第2外装体22に含まれるシート部材の端部のうちの一方の端部は、第1外装体21および第2外装体22に含まれるシート部材の端部のうち他方の端部よりも外側に突出しており、1組の外縁部201,202の一方側および他方側の各々で、蓄電体1と一方の端部との距離L11,L12は、蓄電体L1と他方の端部との距離L21,L22よりも大きくなっている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向の一端側に位置する第1面および前記第1方向の他端側に位置する第2面を有する蓄電体と、
前記蓄電体を収容する外装体と、を備え、
前記外装体は、前記第1面側に配置された第1外装体と、前記第2面側に配置された第2外装体とを含み、
前記第1外装体および前記第2外装体の各々は、互いに相対する第1主面および第2主面を有する金属層と前記第1主面に設けられた第1絶縁層と前記第2主面に設けられた第2絶縁層とを有し、かつ、少なくとも前記第1外装体および前記第2外装体の周縁部を構成するシート部材を含んでおり、
前記蓄電体は、前記第1外装体の前記第1絶縁層と前記第2外装体の前記第1絶縁層とが互いに向かい合った状態で接合されることにより、前記第1外装体および前記第2外装体によって封止されており、
前記外装体は、前記第1方向から見た場合に、互いに向かい合う1組の外縁部を有し、
前記第1方向から見た場合に、前記1組の外縁部の一方側および他方側の各々で、前記外縁部に沿う全域において、前記第1外装体に含まれる前記シート部材の端部および前記第2外装体に含まれる前記シート部材の端部のうちの一方の端部は、前記第1外装体に含まれる前記シート部材の端部および前記第2外装体に含まれる前記シート部材の端部のうち他方の端部よりも、前記蓄電体が収容される収容空間側とは反対側に向けて突出しており、
前記1組の外縁部の一方側および他方側の各々で、前記蓄電体と前記一方の端部との距離は、前記蓄電体と前記他方の端部との距離よりも大きくなっている、二次電池。
【請求項2】
前記第1方向は鉛直方向と平行であり、
前記第1外装体は、前記第2外装体の上方に配置されており、
前記第1外装体に含まれる前記シート部材の端部が、前記第2外装体に含まれる前記シート部材の端部よりも、前記収容空間側とは反対側に向けて突出している、請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記第1外装体と前記第2外装体は、同じサイズであり、
前記第1方向から見た場合に、前記第1外装体と前記第2外装体とは、互いにずれた状態で配置されている、請求項1に記載の二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、二次電池に関し、特に、車両に搭載される二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の二次電池として、特開2013-110117号公報(特許文献1)には、第1外装フィルムと第2外装フィルムとの周縁部を熱融着し、複数の正極板と複数の負極板とが積層された電池要素(蓄電体)を第1外装フィルムと第2外装フィルムとの間に封止する技術が開示されている。第1外装フィルムおよび第2外装フィルムの各々は、金属層と、金属層の片面に設けられた熱融着性を有する樹脂層と、金属層の他方の面に設けられた保護層とを有しており、第2外装フィルムは、その端面が電池要素を収容する収容空間側に向くように折り曲げられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-110117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の二次電池においては、略直方体形状を有する蓄電体を取り囲むように全周に亘って第2外装フィルムを折り曲げる場合には、角部において、第1外装フィルムおよび第2外装フィルムとの接合部に皺が発生しやすくなる。このような皺が発生する場合には、当該皺の部分に応力が集中し、金属層が破断しやすくなる。金属層が破断した場合には、蓄電体を収容する外装体の密閉性が低下する。
【0005】
本開示は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、本開示の目的は、第1外装体および第2外装体の接合部における皺の発生を抑制し、当該接合部での破断を抑制可能な二次電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に基づく二次電池は、第1方向の一端側に位置する第1主面および上記第1方向の他端側に位置する第2主面を有する蓄電体と、上記蓄電体を収容する外装体と、を備える。上記外装体は、上記第1主面側に配置された第1外装体と、上記第2主面側に配置された第2外装体とを含む。上記第1外装体および上記第2外装体の各々は、互いに相対する第1主面および第2主面を有する金属層と上記第1主面に設けられた第1絶縁層と上記第2主面に設けられた第2絶縁層とを有し、かつ、少なくとも上記第1外装体および上記第2外装体の周縁部を構成するシート部材を含んでいる。上記蓄電体は、上記第1外装体の上記第1絶縁層と上記第2外装体の上記第1絶縁層とが互いに向かい合った状態で接合されることにより、上記第1外装体および上記第2外装体によって封止されている。上記外装体は、上記第1方向から見た場合に、互いに向かい合う1組の外縁部を有する。上記第1方向から見た場合に、上記1組の外縁部の一方側および他方側の各々で、上記外縁部に沿う全域において、上記第1外装体に含まれる上記シート部材の端部および上記第2外装体に含まれる上記シート部材の端部のうちの一方の端部は、上記第1外装体に含まれる上記シート部材の端部および上記第2外装体に含まれる上記シート部材の端部のうち他方の端部よりも、上記蓄電体が収容される収容空間側とは反対側に向けて突出している。上記1組の外縁部の一方側および他方側の各々で、上記蓄電体と上記一方の端部との距離は、上記蓄電体と上記他方の端部との距離よりも大きくなっている。
【0007】
上記構成によれば、外装体が有する1組の外縁部の一方側および他方側の各々で、外縁部に沿う全域において、第1外装体に含まれるシート部材の端部および第2外装体に含まれるシート部材の端部のうちの一方の端部が、第1外装体に含まれるシート部材の端部および第2外装体に含まれるシート部材の端部のうち他方の端部よりも、蓄電体が収容される収容空間側とは反対側に向けて突出した状態で、蓄電体を収容する第1外装体および第2外装体が接合されている。さらに、1組の外縁部の一方側および他方側の各々で、上記1組の外縁部の一方側および他方側の各々で、上記蓄電体と上記一方の端部との距離は、上記蓄電体と上記他方の端部との距離よりも大きくなっている。
【0008】
このように上記構成においては、第1外装体の端部および第2外装体の端部を折り曲げずに第1外装体と第2外装体とを接合することができるため、第1外装体と第2外装体の接合部に皺が発生することを抑制することができる。これにより、皺に応力が集中して金属層が破損することを抑制できる。
【0009】
上記本開示に基づく二次電池にあっては、上記第1方向は鉛直方向と平行であってもよい。上記第1外装体は、上記第2外装体の上方に配置されていてもよい。上記第1外装体に含まれる上記シート部材の端部が、上記第2外装体に含まれる上記シート部材の端部よりも、上記収容空間側とは反対側に向けて突出していてもよい。
【0010】
上記構成によれば、上方に位置する第1外装体の端部が第2外装体の端部よりも外側に突出することにより、外装体の端部に上方側から水等の異物が付着した場合に、異物によって、第1外装体の金属層と第2外装体の金属層とが導通されることを抑制することができる。また、二次電池を鉛直方向に積層した場合には、各々の二次電池において、上方に位置する第1外装体の端部が第2外装体の端部よりも外側に突出することにより、より効果的に異物による第1外装体の金属層と第2外装体の金属層との導通を抑制することができる。
【0011】
上記本開示に基づく二次電池にあっては、上記第1外装体と上記第2外装体は、同じサイズであってもよい。上記第1方向から見た場合に、上記第1外装体と上記第2外装体とは、互いにずれた状態で配置されていてもよい。
【0012】
上記構成によれば、同じサイズの第1外装体と第2外装体とをずらすことで、第1外装体の端部および第2外装体の端部の位置を調整することができる。このため、第1外装体および第2外装体の一方を他方よりも大きくする構成と比較して、製造コストを低減することができる。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、第1外装体および第2外装体の接合部における皺の発生を抑制し、当該接合部での破断を抑制可能な二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施の形態1に係る二次電池の斜視図である。
図2】実施の形態1に係る二次電池の平面図である。
図3図2に示すIII-III線に沿った断面図である。
図4】実施の形態1に係る二次電池を積層した状態を示す断面図である。
図5】実施の形態2に係る二次電池の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る二次電池の斜視図である。図2は、実施の形態1に係る二次電池の平面図である。図3は、図2に示すIII-III線に沿った断面図である。図1から図3を参照して、実施の形態1に係る二次電池100について説明する。
【0017】
図1から図3に示すように、実施の形態1に係る二次電池100は、後述する複数の電極(電極板11)が積層方向に積層された積層電極体10および樹脂封止体40を有する蓄電体1と、当該蓄電体1を収容する外装体20とを備える。外装体20は、後述する積層電極体10の終端電極に電気的に接続されて、上記積層方向から外部に電流を取り出し可能に設けられている。二次電池100は、たとえば、リチウムイオン電池等の二次電池である。
【0018】
積層電極体10は、複数の電極板11と、複数のセパレータ15と、正極終端電極16と、負極終端電極17とを含む。複数の電極板11、正極終端電極16、および負極終端電極17は、セパレータ15を介して積層方向に積層されている。なお、積層方向は、第1方向(DR1方向)と平行となっている。
【0019】
セパレータ15は、シート状に形成されている。セパレータ15としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、ポリプロピレン、メチルセルロース等からなる織布又は不織布等が例示される。セパレータ15は、フッ化ビニリデン樹脂化合物で補強されたものであってもよい。
【0020】
複数の電極板11は、正極終端電極16、および負極終端電極17との間に設けられている。電極板11は、たとえば、バイポーラ電極である。電極板11は、集電体12と、正極層13と、負極層14とを含む。
【0021】
集電体12は、たとえば、アルミニウム(Al)、ステンレス鋼、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、白金(Pt)、ニオブ(Nb)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、銅(Cu)、および亜鉛(Zn)からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。また、集電体12は、金属箔の表面にメッキ加工を施したものであってもよい。
【0022】
集電体12は、積層方向の一方側に位置する第1主面12aおよび積層方向の他方側に位置する第2主面12bを有する。第1主面12aには、負極層14が設けられている。第2主面12bには、正極層13が設けられている。
【0023】
正極終端電極16は、積層方向の一方側に位置する。正極終端電極16は、集電体12と正極層13とを含む。具体的には、正極終端電極16では、集電体12の第1主面12aには、負極層14および正極層13が設けられておらず、集電体12の第2主面12bに正極層13が設けられている。正極終端電極16における集電体12の第1主面12aには、後述する第1導電板18が配置されている。
【0024】
負極終端電極17は、積層方向の他方側に位置する。負極終端電極17は、集電体12と負極層14とを含む。具体的には、負極終端電極17では、集電体12の第1主面12aには、負極層14が設けられており、集電体12の第2主面12bには負極層14および正極層13が設けられていない。負極終端電極17における集電体12の第2主面12bには、後述する第2導電板19が配置されている。
【0025】
正極層13は、正極活物質が第2主面12bに塗工されることにより形成されている。正極活物質としては、たとえば、リチウムイオン等の電荷担体を吸蔵及び放出し得るものを採用することができる。具体的には、正極活物質として、層状岩塩構造を有するリチウムイオン複合金属酸化物、スピネル構造の金属酸化物、ポリアニオン系化合物など、リチウムイオン二次電池の正極活物質として使用可能なものを採用することができる。また、2種以上の正極活物質を併用してもよく、たとえば、正極活物質は、オリビン型リン酸鉄リチウム(LiFePO)を含んでいてもよい。
【0026】
負極層14は、負極活物質が第1主面12aに塗工されることにより形成されている。負極括物質として、たとえば、リチウム、炭素、金属化合物、及びリチウムと合金化可能な元素もしくはその化合物等を採用することができる。
【0027】
なお、複数の電極板11、負極終端電極17、正極終端電極16のいずれにおいても、集電体12の周縁部は、正極層13および負極層14が設けられていない未塗工領域となっている。
【0028】
樹脂封止体40は、積層電極体10の周囲を封止するように設けられている。具体的には、樹脂封止体40は、隣り合う2つの電極板11の間に形成される内部空間を封止している。当該内部空間には、電解液が注入されている。樹脂封止体40は、ホットメルト部材、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、あるいは光硬化性樹脂等の樹脂部材が硬化することにより形成されている。樹脂封止体40は、上述の未塗工領域に設けられている。
【0029】
外装体20は、第1外装体21と、第2外装体22とを含む。第1外装体21および第2外装体22は、各々の周縁部が互いに接合されることにより、蓄電体1を内部に封止する。第1外装体21は、第1方向(上記積層方向)の一端側に位置する積層電極体10の第1面(正極終端電極16における集電体12の第1主面12a)側に配置されている。第2外装体は、第1方向の他端側に位置する積層電極体10の第2面(負極終端電極17における集電体12の第2主面12b)側に配置されている。第1外装体21のサイズは、第2外装体22のサイズよりも大きくなっている。
【0030】
第1外装体21は、第1導電板18、樹脂層50、および第1シート部材31を含む。第2外装体22は、第2導電板19、樹脂層50、および第2シート部材32を含む。
【0031】
第1導電板18および第2導電板19は、積層電極体10を積層方向に挟み込むように設けられている。具体的には、第1導電板18は、上記正極終端電極16が有する集電体12の第1主面12a上に配置されている。第1導電板18は、第1主面12aに当接して配置されることにより、正極終端電極16に電気的に接続されている。第1導電板18は、正極終端電極16に電気的に接続されることにより、二次電池100の正極端子として機能する。第2導電板19は、上記負極終端電極17が有する集電体12の第2主面12b上に配置されている。第2導電板19は、第2主面12bに当接して配置されることにより、負極終端電極17に電気的に接続されている。第2導電板19は、負極終端電極17に電気的に接続されることにより、二次電池100の負極端子として機能する。二次電池100では、電流を外部に引き出すためのタブを用いずに、正極端子として機能する第1導電板18および負極端子として機能する第2導電板19を介して、内部に収容した蓄電体1から電流を外部に取り出すことが可能である。
【0032】
第1導電板18および第2導電板19は、矩形形状を有する。第1導電板18および第2導電板19の周縁は、樹脂封止体40上に位置している。第1導電板18および第2導電板19のサイズは、同一である。
【0033】
第1導電板18および第2導電板19は、アルミニウム(Al)、ステンレス鋼、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、白金(Pt)、ニオブ(Nb)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、および亜鉛(Zn)からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。また、集電体12は、金属箔の表面にメッキ加工を施したものであってもよい。
【0034】
第1シート部材31は、第1外装体21の周縁部を構成する。第1シート部材31は、第1導電板18の周縁に接合されている。本実施の形態では、第1シート部材31は、第1導電板18の周縁との間に樹脂層50が介在した状態で、第1導電板18に接合されている。
【0035】
第2シート部材32は、第2外装体22の周縁部を構成する。第2シート部材32は、第2導電板19の周縁に接合されている。本実施の形態では、第2シート部材32は、第2導電板19の周縁との間に樹脂層50が介在した状態で、第2導電板19に接合されている。
【0036】
樹脂層50は、絶縁性を有する樹脂材料が用いられてもよい。樹脂層50は第1導電板18や第2導電板19に溶着可能な樹脂材料が用いられてもよい。樹脂層50としては、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレン、変性ポリプロピレン等の熱融着性樹脂を採用することができる。
【0037】
第1シート部材31および第2シート部材32の各々は、互いに相対する第1主面および第2主面を有する金属層と第1主面に設けられた第1絶縁層と第2主面に設けられた第2絶縁層とを有する。
【0038】
具体的には、第1シート部材31は、第1金属層310、第1絶縁層311、および第2絶縁層312を有する。第1金属層310は、たとえば、Al箔、Ni箔、Cu箔、ステンレス箔等の金属箔を用いることができる。第1金属層310は、耐透湿性、耐通気性、耐薬品性を第1シート部材31に付与する。第1金属層310は、厚さ方向に互いに相対する第1主面310aおよび第2主面310bを有する。第1絶縁層311は、第1金属層310の第1主面310aに設けられている。第2絶縁層312は、第1金属層310の第2主面310bに設けられている。
【0039】
第1絶縁層311および第2絶縁層312としては、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレン、変性ポリプロピレン等の熱融着性樹脂を採用することができる。第1絶縁層311および第2絶縁層312は、1層で形成されていてもよく、多層構造であってもよい。
【0040】
なお、第2絶縁層312は、第1絶縁層311と異なる部材であってもよい。第2絶縁層312としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート、またはナイロンの単層、あるいは、これらを積層させたものを採用してもよい。ポリエチレンテレフタレートおよびナイロンを積層する場合には、ポリエチレンテレフタレートが外層側に位置することが好ましい。
【0041】
第2シート部材32は、第2金属層320、第1絶縁層321、および第2絶縁層322を有する。第2金属層320は、耐透湿性、耐通気性、耐薬品性を第2シート部材32に付与する。第2金属層320は、厚さ方向に互いに相対する第1主面320aおよび第2主面320bを有する。第1絶縁層321は、第2金属層320の第1主面320aに設けられている。第2絶縁層322は、第2金属層320の第2主面320bに設けられている。
【0042】
第2金属層320、第1絶縁層321、および第2絶縁層322としては、上述の第1金属層310、第1絶縁層311、および第2絶縁層312と同様のものを採用することができる。
【0043】
蓄電体1は、第1外装体21の第1絶縁層311と第2外装体22の第1絶縁層321とが互いに向かい合った状態で接合されることにより、第1外装体21および第2外装体22に封止されている。第1外装体21の第1絶縁層311と第2外装体22の第1絶縁層321とが接合された部分には、接合部70が形成されている。
【0044】
第1導電板18の中央部および第2導電板19の中央部は、樹脂層50や第1シート部材31および第2シート部材32によって被覆されない、露出領域となっている。この露出領域を介して、内部に収容した蓄電体1から電流を直接外部に取り出すことができる。
【0045】
外装体20は、第1方向(上記積層方向)から見た場合に、略矩形形状を有する。外装体20は、積層方向から見た場合に、互いに向かい合う1組の外縁部201,202およびもう1組の外縁部203,204を有する。
【0046】
第1方向から見た場合に、1組の外縁部201,202の一方側および他方側の各々で、外縁部201,202に沿う全域において、第1外装体21に含まれる第1シート部材31の端部31t1,31t2および第2外装体22に含まれる第2シート部材32の端部32t1,32t2のうちの一方の端部は、第1外装体21に含まれる第1シート部材31の端部31t1,31t2および第2外装体22に含まれる第2シート部材32の端部32t1,32t2のうち他方の端部よりも、蓄電体1が収容される収容空間側とは反対側に向けて突出している。また、上記一方の端部は、上記接合部70と重ならない位置にある。
【0047】
具体的には、外縁部201側においては、外縁部201に沿う全域において、第1シート部材31の端部31t1は、第2シート部材32の端部32t1よりも、蓄電体1が収容されている収容空間側とは反対側に向けて突出している。第1シート部材31の端部31t1は、第2シート部材32に重ならない位置にある。
【0048】
外縁部202側においては、外縁部202に沿う全域において、第1シート部材31の端部31t2は、第2シート部材32の端部32t2よりも、蓄電体1が収容されている収容空間側とは反対側に向けて突出している。第1シート部材31の端部31t2は、第2シート部材32に重ならない位置にある。
【0049】
また、1組の外縁部201,202の一方側および他方側の各々で、蓄電体1と上記一方の端部との距離は、蓄電体1と上記他方の端部との距離よりも大きくなっている。
【0050】
具体的には、外縁部201側において、第1シート部材31の端部31t1と蓄電体1との距離L11は、第2シート部材32の端部32t1と蓄電体1との距離L21よりも大きくなっている。外縁部202側において、第1シート部材31の端部31t2と蓄電体1との距離L12は、第2シート部材32の端部32t2と蓄電体1との距離L22よりも大きくなっている。
【0051】
もう1組の外縁部203,204側においても、同様に、第1方向から見た場合に、外縁部203,204に沿う全域において、第1外装体21に含まれる第1シート部材31の端部31t3,31t4および第2外装体22に含まれる第2シート部材32の端部32t3,32t4のうちの一方の端部は、第1外装体21に含まれる第1シート部材31の端部31t3,31t4および第2外装体22に含まれる第2シート部材32の端部32t3,32t4のうち他方の端部よりも、蓄電体1が収容される収容空間側とは反対側に向けて突出している。また、上記一方の端部は、上記接合部70と重ならない位置にある。
【0052】
具体的には、外縁部203側においては、外縁部203に沿う全域において、第1シート部材31の端部31t3は、第2シート部材32の端部32t3よりも、蓄電体1が収容されている収容空間側とは反対側に向けて突出している。第1シート部材31の端部31t3は、第2シート部材32に重ならない位置にある。
【0053】
外縁部204側においては、外縁部204に沿う全域において、第1シート部材31の端部31t4は、第2シート部材32の端部32t4よりも、蓄電体1が収容されている収容空間側とは反対側に向けて突出している。第1シート部材31の端部31t4は、第2シート部材32に重ならない位置にある。
【0054】
また、もう1組の外縁部203,204の一方側および他方側の各々で、蓄電体1と上記一方の端部との距離は、蓄電体1と上記他方の端部との距離よりも大きくなっている。
【0055】
具体的には、外縁部203側において、第1シート部材31の端部31t3と蓄電体1との距離L13は、第2シート部材32の端部32t3と蓄電体1との距離L23よりも大きくなっている。外縁部204側において、第1シート部材31の端部31t4と蓄電体1との距離L14は、第2シート部材32の端部32t4と蓄電体1との距離L24よりも大きくなっている。
【0056】
このように実施の形態1に係る二次電池100にあっては、第1外装体21の端部および第2外装体22の端部を折り曲げずに第1外装体21と第2外装体22とを接合することができるため、第1外装体21と第2外装体22の接合部70に皺が発生することを抑制することができる。これにより、皺に応力が集中して金属層(第1金属層310,第2金属層320)が破損することを抑制できる。
【0057】
さらに、本実施の形態においては、第1外装体21のサイズは、第2外装体22のサイズよりも大きくなっており、全周に亘って、第1外装体21の端部は、第2外装体22の端部よりも外側に突出している。このため、第1外装体21が上方側に配置される場合には、外装体20に上方側から水等の異物が付着した場合に、異物によって、第1外装体21の第1金属層310と第2外装体22の第2金属層320とが導通されることを抑制することができる。
【0058】
図4は、実施の形態1に係る二次電池を積層した状態を示す断面図である。図4を参照して、実施の形態1に係る二次電池を積層した状態について説明する。図4においては、積層方向が鉛直方向と平行となり、複数の二次電池100が鉛直方向に沿って積層されている。互いに隣り合う二次電池100において、上方側に位置する二次電池100の第2導電板19と下方側に位置する二次電池100の第1導電板18との不図示の導電部材によって電気的に接続されている。また、各二次電池100においては、第1外装体21は、第2外装体22よりも上方に配置されている。
【0059】
たとえば、積層された二次電池100の上方側から水等の異物Fが移動してきた場合には、図中矢印AR1に示すように、第2外装体22よりも外側に突出する第1外装体21の端部から下方に向かうように異物Fの移動を誘導できる。これにより、下方側に配置された二次電池100に異物Fが付着することを抑制でき、異物による第1外装体21の第1金属層310と第2外装体22の第2金属層320との導通をより効果的に抑制することができる。
【0060】
(実施の形態2)
図5は、実施の形態2に係る二次電池の平面図である。図5を参照して、実施の形態2に係る二次電池100Aについて説明する。
【0061】
図5に示すように、実施の形態2に係る二次電池100Aは、実施の形態1に係る二次電池100と比較して、第1外装体21および第2外装体22の構成が相違する。その他の構成については、ほぼ同様である。
【0062】
第1外装体21および第2外装体22のサイズは同じであり、第1方向から見た場合に、第1外装体21および第2外装体22は、面内方向に互いにずれた状態で配置されている。
【0063】
この場合においても、第1方向から見た場合に、1組の外縁部201,202の一方側および他方側の各々で、外縁部201,202に沿う全域において、第1外装体21に含まれる第1シート部材31の端部31t1,31t2および第2外装体22に含まれる第2シート部材32の端部32t1,32t2のうちの一方の端部は、第1外装体21に含まれる第1シート部材31の端部31t1,31t2および第2外装体22に含まれる第2シート部材32の端部32t1,32t2のうち他方の端部よりも、蓄電体1が収容される収容空間側とは反対側に向けて突出している。また、上記一方の端部は、上記接合部70と重ならない位置にある。
【0064】
具体的には、外縁部201側においては、外縁部201に沿う全域において、第1シート部材31の端部31t1は、第2シート部材32の端部32t1よりも、蓄電体1が収容されている収容空間側とは反対側に向けて突出している。第1シート部材31の端部31t1は、第2シート部材32に重ならない位置にある。
【0065】
外縁部202側においては、外縁部202に沿う全域において、第2シート部材32の端部32t2は、第1シート部材31の端部31t2よりも、蓄電体1が収容されている収容空間側とは反対側に向けて突出している。第2シート部材32の端部31t2は、第1シート部材31に重ならない位置にある。
【0066】
また、1組の外縁部201,202の一方側および他方側の各々で、蓄電体1と上記一方の端部との距離は、蓄電体1と上記他方の端部との距離よりも大きくなっている。
【0067】
具体的には、外縁部201側において、第1シート部材31の端部31t1と蓄電体1との距離L11は、第2シート部材32の端部32t1と蓄電体1との距離L21よりも大きくなっている。外縁部202側において、第2シート部材32の端部32t2と蓄電体1との距離L22は、第1シート部材31の端部31t2と蓄電体1との距離L12よりも大きくなっている。
【0068】
なお、外縁部203側においては、第1シート部材31の端部31t3は、第2シート部材32の端部32t3よりも蓄電体1が収容されている収容空間側とは反対側に向けて突出している。第1シート部材31の端部31t3は、第2シート部材32と重ならない位置にある。第1シート部材31の端部31t3と蓄電体1との距離L13は、第2シート部材32の端部32t3と蓄電体1との距離L23よりも大きくなっている。
【0069】
外縁部204側においては、第2シート部材32の端部32t4は、第1シート部材31の端部31t4よりも蓄電体1が収容されている収容空間側とは反対側に向けて突出している。第2シート部材32の端部32t4は、第1シート部材31と重ならない位置にある。第2シート部材32の端部32t4と蓄電体1との距離L24は、第1シート部材31の端部31t4と蓄電体1との距離L14よりも大きくなっている。
【0070】
上記に構成される場合であっても、第1外装体21の端部および第2外装体22の端部を折り曲げずに第1外装体21と第2外装体22とを接合することができるため、実施の形態1とほぼ同様の効果が得られる。
【0071】
また、同じサイズの第1外装体21と第2外装体22とをずらすことで、第1外装体21の端部および第2外装体22の端部の位置を調整することができるため、第1外装体21および第2外装体22の一方を他方よりも大きくする構成と比較して、製造コストを低減することができる。
【0072】
(その他の変形例)
上述した実施の形態1、2においては、第1外装体21が、第1導電板18と第1シート部材31を含み、第2外装体22が、第2導電板19と第2シート部材32を含む場合を例示して説明したが、これに限定されない。複数の電極板11に設けられた集電タブが、外装体20から突出可能に設けられる場合には、第1外装体21は第1シート部材31のみによって構成されていてもよいし、第2外装体22も第2シート部材32のみによって構成されていてもよい。
【0073】
以上、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0074】
1 蓄電体、10 積層電極体、11 電極板、12 集電体、12a 第1主面、12b 第2主面、13 正極層、14 負極層、15 セパレータ、16 正極終端電極、17 負極終端電極、18 第1導電板、19 第2導電板、20 外装体、21 第1外装体、22 第2外装体、31 第1シート部材、31t1,31t2,31t3,31t4 端部、32 第2シート部材、32t1,32t2,32t3,32t4 端部、40 樹脂封止体、50 樹脂層、70 接合部、100,100A 二次電池、201,202,203,204 外縁部、310 第1金属層、310a 第1主面、310b 第2主面、311 第1絶縁層、312 第2絶縁層、320 第2金属層、320a 第1主面、320b 第2主面、321 第1絶縁層、322 第2絶縁層、F 異物。
図1
図2
図3
図4
図5