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特開2024-150903真空処理装置、真空処理装置の制御方法、プログラムおよび空気調和機の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150903
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】真空処理装置、真空処理装置の制御方法、プログラムおよび空気調和機の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F04B 51/00 20060101AFI20241017BHJP
   G01M 3/26 20060101ALI20241017BHJP
   F25B 45/00 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
F04B51/00
G01M3/26 N
F25B45/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063936
(22)【出願日】2023-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】山田 剛広
【テーマコード(参考)】
2G067
3H145
【Fターム(参考)】
2G067AA34
2G067BB02
2G067BB03
2G067BB30
2G067CC04
2G067DD02
2G067EE12
2G067EE13
3H145AA02
3H145AA06
3H145AA12
3H145AA27
3H145AA42
3H145BA20
3H145BA33
3H145CA03
3H145DA02
3H145DA49
3H145EA13
3H145FA03
3H145FA16
(57)【要約】
【課題】対象物の圧力異常の有無を短時間で検査することができ、真空処理効率が高い真空処理装置、真空処理装置の制御方法、プログラムおよび空気調和機の製造方法を提供する。
【解決手段】真空処理装置1Aは、対象物の内部空間を真空引きする真空ポンプ40と、対象物の内部空間の圧力を測定する圧力センサ20と、真空ポンプ40が対象物の内部空間を真空引きする間に測定した圧力センサ20の圧力のデータに基づいて、真空ポンプ40の真空引きによって対象物の内部空間が目標真空度まで到達するか否かを予測し、目標真空度まで到達しないと予測した場合に、対象物に異常があると判定して、真空ポンプ40に真空引きを中止させる予測部62Aを有する制御装置60Aと、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の内部空間を真空引きする真空ポンプと、
前記対象物の内部空間の圧力を測定する圧力センサと、
前記真空ポンプが前記対象物の内部空間を真空引きする間に測定した前記圧力センサの圧力のデータに基づいて、前記真空ポンプの真空引きによって前記対象物の内部空間が目標真空度まで到達するか否かを予測し、前記目標真空度まで到達しないと予測した場合に、前記対象物に異常があると判定して、前記真空ポンプに真空引きを中止させる予測部を有する制御装置と、
を備える真空処理装置。
【請求項2】
前記圧力センサは、前記真空ポンプが前記対象物の内部空間の真空引きを終了する前の、真空引きを開始してから第1時間が経過したときに、前記対象物の内部空間の圧力を測定し、
前記予測部は、前記圧力センサが測定した前記第1時間だけ経過した時の圧力値の第1基準値に対する第1差圧を算出し、算出した前記第1差圧の値が第1閾値よりも大きい場合に、前記目標真空度まで到達しないと予測する、
請求項1に記載の真空処理装置。
【請求項3】
前記圧力センサは、前記第1時間だけ経過する直前に前記対象物の内部空間の圧力を測定し、
前記予測部は、前記圧力センサが測定した前記第1時間だけ経過した時の圧力値と前記第1時間だけ経過する直前時の圧力値から第1圧力変化率を算出し、算出した前記第1圧力変化率が第1変化率閾値よりも大きい場合に、前記目標真空度まで到達しないと予測する、
請求項2に記載の真空処理装置。
【請求項4】
前記圧力センサは、前記真空ポンプが前記対象物の内部空間の真空引きを終了した後の、前記対象物の内部空間の圧力を定期的に測定し、
前記制御装置は、前記圧力センサが定期的に測定した圧力の推移データに基づいて、前記対象物の内部空間の圧力異常を判定する圧力異常判定部をさらに有する、
請求項1に記載の真空処理装置。
【請求項5】
前記圧力異常判定部は、前記圧力センサが測定した圧力の推移データを用いて、前記真空ポンプの真空引きの終了から第2時間だけ経過したときの前記対象物の内部空間の圧力値の第2基準値に対する第2差圧を算出し、算出した前記第2差圧が第2閾値よりも大きい場合に、前記対象物の内部空間に圧力異常があると判定する、
請求項4に記載の真空処理装置。
【請求項6】
前記圧力異常判定部は、前記圧力センサが測定した圧力の推移データを用いて、前記真空ポンプの真空引きの終了から前記第2時間だけ経過したときの、前記第2差圧の一定の時間当たりの圧力変化である第2差圧変化率を算出し、算出した前記第2差圧変化率が第2変化率閾値よりも大きい場合に、前記対象物の内部空間に圧力異常があると判定する、
請求項5に記載の真空処理装置。
【請求項7】
前記圧力異常判定部は、前記圧力センサが測定した圧力の推移データを用いて、前記真空ポンプの真空引きの終了直後の、前記対象物の内部空間の圧力値の第3基準値に対する第3差圧の一定の時間当たりの圧力変化である第3差圧変化率を算出し、算出した前記第3差圧変化率を前記第2差圧変化率から減算して得た変化率の差が第3閾値よりも大きい場合に、前記対象物の内部空間に圧力異常があると判定する、
請求項6に記載の真空処理装置。
【請求項8】
前記予測部は、前記真空ポンプが前記対象物の内部空間の真空引きを終了する前の、真空引きを開始してから第1時間が経過したときの、前記対象物の内部空間の圧力と、前記対象物に目標真空度まで到達しない異常があるか否かとの関係が対応付けられた第1データを学習した第1学習済みモデルを用いて、前記目標真空度まで到達するか否かを予測する、
請求項1に記載の真空処理装置。
【請求項9】
前記予測部は、前記真空ポンプが前記対象物の内部空間の真空引きを終了する前の、真空引きを開始してから第1時間が経過したときの前記対象物の内部空間の圧力および、前記第1時間だけ経過する直前時の前記対象物の内部空間の圧力を含む圧力推移と、前記対象物に目標真空度まで到達しない異常があるか否かとの関係が対応付けられた第2データを学習した第2学習済みモデルを用いて、前記目標真空度まで到達するか否かを予測する、
請求項1に記載の真空処理装置。
【請求項10】
前記対象物は、冷凍サイクル機器が冷媒管により接続された空気調和機の冷媒回路である、
請求項1に記載の真空処理装置。
【請求項11】
対象物の内部空間を真空引きする真空ポンプと、前記対象物の内部空間の圧力を測定する圧力センサと、を備える真空処理装置の制御方法であって、
前記真空ポンプが前記対象物の内部空間を真空引きする間に測定した前記圧力センサの圧力のデータに基づいて、前記真空ポンプの真空引きによって前記対象物の内部空間が目標真空度まで到達するか否かを予測するステップと、
前記目標真空度まで到達するか否かを予測するステップで、前記目標真空度まで到達しないと予測した場合に、前記対象物に異常があると判定して、前記真空ポンプに真空引きを中止させるステップと、
を備える真空処理装置の制御方法。
【請求項12】
対象物の内部空間を真空引きする真空ポンプと、前記対象物の内部空間の圧力を測定する圧力センサと、を備える真空処理装置を制御するコンピュータに、
前記真空ポンプが前記対象物の内部空間を真空引きする間に測定した前記圧力センサの圧力のデータに基づいて、前記真空ポンプの真空引きによって前記対象物の内部空間が目標真空度まで到達するか否かを予測するステップと、
前記目標真空度まで到達するか否かを予測するステップで、前記目標真空度まで到達しないと予測した場合に、前記対象物に異常があると判定して、前記真空ポンプに真空引きを中止させるステップと、
を実行させるためのプログラム。
【請求項13】
冷凍サイクル機器に冷媒管が接続された冷媒回路を備える空気調和機の製造方法であって、
前記冷凍サイクル機器に前記冷媒管を接続して冷媒回路を組み立てる工程と、
組み立てた前記冷媒回路を真空引きする工程と、
真空引き後に前記冷媒回路に冷媒を充填する工程と、
を備え、
前記真空引きする工程では、
真空引きの間に、前記冷媒回路の内部空間の圧力を測定し、測定した圧力のデータに基づいて、前記真空引きによって前記冷媒回路の内部空間が目標真空度まで到達するか否かを予測し、前記目標真空度まで到達しないと予測した場合に、前記冷媒回路に異常があると判定して真空引きを中止させる、
空気調和機の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は真空処理装置、真空処理装置の制御方法、プログラムおよび空気調和機の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
真空処理装置には、真空引きの対象物にリーク、アウトガスの発生等に起因する圧力異常がないか検査するものがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、真空引きする対象物の内部空間の圧力を測定する圧力センサと、真空ポンプで真空引きをした後、圧力センサに真空引きした対象物の内部空間の圧力変化を測定させ、その圧力変化の波形データから対象物に圧力異常の有無を検査する検査部とを備える真空処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-21732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の真空処理装置では、真空ポンプで真空引きをした後の圧力変化の波形データから圧力異常の有無を検査するため、対象物を目標圧力まで、または目標時間だけ真空引きする必要がある。その結果、検査結果を得るまでに時間がかかってしまう。
【0006】
また、検査で圧力異常があると判定された対象物まで真空引きをすることになり、真空処理の効率が低い。
【0007】
本開示は上記の課題を解決するためになされたもので、対象物の圧力異常の有無を短時間で検査することができ、真空処理効率が高い真空処理装置、真空処理装置の制御方法、プログラムおよび空気調和機の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本開示に係る真空処理装置は、真空ポンプと、圧力センサと、制御装置とを備える。真空ポンプは、対象物の内部空間を真空引きする。圧力センサは、対象物の内部空間の圧力を測定する。制御装置は、真空ポンプが対象物の内部空間を真空引きする間に測定した圧力センサの圧力のデータに基づいて、真空ポンプの真空引きによって対象物の内部空間が目標真空度まで到達するか否かを予測し、目標真空度まで到達しないと予測した場合に、対象物に異常があると判定して、真空ポンプに真空引きを中止させる予測部を有する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の構成によれば、予測部は、真空ポンプが対象物の内部空間を真空引きする間に測定した圧力センサの圧力のデータに基づいて、真空ポンプの真空引きによって対象物の内部空間が目標真空度まで到達するか否かを予測し、目標真空度まで到達しないと予測した場合に、対象物に異常があると判定する。このため、対象物を目標真空度まで、または目標時間だけ真空引きしなくても異常の有無が判定できる。その結果、対象物の圧力異常の有無を短時間で検査することができる。
【0010】
また、予測部は、目標真空度まで到達しないと予測した場合に、対象物に異常があると判定して、真空ポンプに真空引きを中止させるので、異常がある対象物の真空引きを行う時間を短くできる。その結果、真空処理の効率が高い。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の実施の形態1に係る真空処理装置とその真空処理装置に接続された空気調和機の室外機の構成を示す概略図
図2】本開示の実施の形態1に係る真空処理装置の処理対象である空気調和機の室外機の製造方法を示すフローチャート
図3】本開示の実施の形態1に係る真空処理装置が備える制御装置のハードウエア構成図
図4】本開示の実施の形態1に係る真空処理装置の処理対象である空気調和機の冷媒回路の内部空間を真空引きしたときの圧力の推移の一例を示すグラフ
図5】本開示の実施の形態1に係る真空処理装置が備える制御装置のブロック図
図6】本開示の実施の形態1に係る真空処理装置が備える制御装置の基準DB記憶部に記憶された基準DBの一例を示す図
図7】本開示の実施の形態1に係る真空処理装置が備える制御装置の予測部が受信した圧力データから得られる圧力推移の波形と基準データの波形を示すグラフ
図8A】本開示の実施の形態1に係る真空処理装置が備える制御装置の圧力異常検出部が受信した圧力データから得られる圧力推移の波形がリークの異常がある場合の、その波形を示すグラフ
図8B図8Aに示すリークの異常がある場合の圧力推移の波形の各時間での圧力値から理論データの圧力推移の波形の各時間での圧力値を差し引いて得た差圧のグラフ
図9A】本開示の実施の形態1に係る真空処理装置が備える制御装置の圧力異常検出部が受信した圧力データから得られる圧力推移の波形がアウトガスの発生の異常がある場合の、その波形を示すグラフ
図9B図9Aに示すアウトガスの発生の異常がある場合の圧力推移の波形の各時間での圧力値から理論データの圧力推移の波形の各時間での圧力値を差し引いて得た差圧のグラフ
図10】本開示の実施の形態1に係る真空処理装置が備える制御装置が行う検査処理のフローチャート
図11】本開示の実施の形態1に係る真空処理装置が備える制御装置が行う検査処理で行われる基準データ生成処理のフローチャート
図12】本開示の実施の形態1に係る真空処理装置が備える制御装置が行う検査処理で行われる予測処理のフローチャート
図13】本開示の実施の形態1に係る真空処理装置が備える制御装置が行う検査処理で行われる圧力異常検出処理のフローチャート
図14】本開示の実施の形態2に係る真空処理装置が備える学習装置のハードウエア構成図
図15】本開示の実施の形態2に係る真空処理装置が備える制御装置と学習装置のブロック図
図16】本開示の実施の形態2に係る真空処理装置が備える学習装置のニューラルネットワーク部の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施の形態に係る真空処理装置、真空処理装置の制御方法、プログラムおよび空気調和機の製造方法について図面を参照して詳細に説明する。なお、図中、同一又は同等の部分には同一の符号を付す。
【0013】
(実施の形態1)
実施の形態1に係る真空処理装置は、真空処理の効率を高めるため、真空引きの途中で真空処理の対象物に圧力異常があるか否かを判定する制御装置を備える装置である。以下、真空処理の対象物が空気調和機の室外機である例に、真空処理装置の構成について説明する。まず、図1および図2を参照して、対象物の空気調和機の室外機の構成について説明する。なお、真空処理装置が室外機の製造で使用されることから、室外機の製造方法も併せて説明する。
【0014】
図1は、実施の形態1に係る真空処理装置1Aとその真空処理装置に接続された空気調和機の室外機100の構成を示す概略図である。図2は、空気調和機の室外機100の製造方法を示すフローチャートである。
【0015】
図1に示すように、空気調和機の室外機100は、冷媒を圧縮する圧縮機110と、冷媒と空気調和機が設置される部屋の室外の外気と冷媒を熱交換させる室外熱交換器120と、冷媒を膨張させる膨張弁130と、これらを接続する冷媒管140とを備える。
【0016】
圧縮機110、室外熱交換器120および膨張弁130は、図示しない室内機が備える室内熱交換器と接続された場合に、冷媒が循環して冷熱サイクルを行う冷媒回路を形成する。室外機100は、その冷媒回路の冷媒の流れる方向を切り替えることにより、室内機の運転を冷房運転または暖房運転に切り替える四方弁150をさらに備える。そして、室外機100には、室内機と接続するため、四方弁150のポートのうちの一つに接続された接続管141と、膨張弁130に接続された接続管142とが設けられている。
【0017】
このような室外機100は、図2に示すように、
(1)まず、圧縮機110、室外熱交換器120、膨張弁130、冷媒管140、四方弁150および接続管141、142を互いに組み付けて、上述した冷媒回路を組み立て(ステップS110)、
(2)続いて、水分、空気を除去するため、冷媒回路の内部空間を真空引きし(ステップS120)、
(3)真空引き後、冷媒回路に冷媒を充填する(ステップS130)、
ことにより製造されている。
実施の形態1に係る真空処理装置1Aは、ステップS120で用いられ、冷媒回路の内部空間を真空引きする。すなわち、冷媒回路の内部空間を真空状態にする。
【0018】
図1に戻って、真空処理装置1Aは、室外機100の接続管141、142に弁11、12を介して接続可能な配管13に設けられた圧力センサ20と、圧力センサ20から延びる配管14に設けられた排気弁30と、配管14の端部に接続された真空ポンプ40と、これら機器を支える搬送装置50とを備える。
【0019】
圧力センサ20は、配管13内の圧力を定期的に測定する。圧力センサ20は、弁11、12を介して、室外機100の接続管141、142が配管13に接続された場合に、弁11、12が開けられて配管13の内部空間と室外機100の接続管141、142の内部空間がつなげられると、室外機100の冷媒回路の内部空間の圧力を測定する。
【0020】
一方、排気弁30は、例えば、電磁弁、電動弁により構成されている。排気弁30は、弁体の開閉により、配管13、弁11、12を介して、真空ポンプ40の吸気口と室外機100の冷媒回路の内部空間とを接続、または切断する。その結果、排気弁30は、真空ポンプ40によって冷媒回路の内部空間を排気して真空引きをする状態と、真空ポンプ40による排気が停止して真空引きが停止した状態とに切り替える。
【0021】
真空ポンプ40は、図示しないが、吸気口が配管14の端部に接続されている。そして、真空ポンプ40は、運転時に排気弁30と弁11、12が開けられることにより、室外機100の冷媒回路を真空引きする。これにより、真空ポンプ40は、冷媒回路の内部空間の空気、水分を排出する。その結果、真空ポンプ40は、上述した室外機100の製造方法のステップS120を実行する。
【0022】
室外機100の製造方法では、図2に示すステップS110-S130の工程毎に作業場所を変更することがある。図1に示す搬送装置50は、ステップS110で組み立てられた室外機100をそれら作業場所へ運ぶために設けられている。搬送装置50は、車輪51、52を有し、室外機100を搭載して、室外機100を搬送する。
【0023】
真空処理装置1Aは、このような構成を備え、上述した室外機100の製造方法の工程のうち、ステップS110の冷媒回路の真空引きに使用される。その冷媒回路の真空引きでは、その処理が適正に行われたか否かを知るため、冷媒回路にリーク、アウトガスの発生等の圧力異常があるかどうかを検査できることが望ましい。特許文献1に記載の真空処理装置では、上述したように真空ポンプ40で真空引きをした後の圧力変化の波形データから圧力異常の有無を検査する。そこで、特許文献1に記載の真空処理装置を室外機100の製造方法のステップS110に使用することが考えられる。
【0024】
しかしながら、特許文献1に記載の真空処理装置を室外機100の製造方法のステップS110で使用したとすると、室外機100の冷媒回路の真空引きが完了してから測定した、冷媒回路の内部空間の圧力変化の波形データを用いて圧力異常の有無を検査する。このため、真空引き開始から検査完了までに時間がかかってしまう。また、検査した結果、圧力異常があると判定された室外機100の冷媒回路も、結果として真空引きをするので、真空処理の効率が低下してしまう。
【0025】
そこで、真空処理装置1Aは、真空処理の効率を高めるため、真空引きの途中で室外機100の冷媒回路に圧力異常がないか検査することができる制御装置60Aを備える。次に、図3図7図8A図8B図9Aおよび図9Bを参照して制御装置60Aの構成について説明する。
【0026】
図3は、真空処理装置1Aが備える制御装置60Aのハードウエア構成図である。なお、図3では、理解を容易にするため、制御装置60Aの接続先も示している。
【0027】
制御装置60Aは、図3に示すように、CPU(Central Processing Unit)601、ROM(Read-Only Memory)602およびRAM(Random Access Memory)603を含むコンピュータと、記憶装置604と、計時部605とを備える。これらCPU601、ROM602、RAM603、記憶装置604および計時部605は、バスライン606によって接続されている。そして、記憶装置604は、後述する図5に示す基準DB(Database)記憶部607、閾値データ記憶部608を有する。また、計時部605は、例えば、リアルタイムクロックであり、時刻情報を出力する。制御装置60Aは、CPU601がROM602に記憶された各種プログラムをRAM603に読み出して実行することにより、真空処理装置1Aの各部品を制御する各種処理を行う。例えば、制御装置60Aは、CPU601が検査プログラムを実行することにより、真空引きした室外機100の冷媒回路に圧力異常がないか検査する検査処理を行う。
【0028】
制御装置60Aは、図3に示すように、I/Oポート(Input/Output Port)609を備える。そのI/Oポート609には、真空ポンプ40の排気開始、排気終了等の排気状態の情報を得るため、真空ポンプ40が備えるコントローラ41が電気的に接続されている。また、I/Oポート609には、真空引きでの圧力情報を得るため、圧力センサ20が電気的に接続されている。
【0029】
また、I/Oポート609には、上述した検査処理の検査結果に基づいて真空引きを制御するため、排気弁30に電気的に接続されている。さらに、I/Oポート609には、上記の検査結果に基づいて動作させるため、搬送装置50が電気的に接続されている。また、上記の検査結果を表示してオペレータに報知するため、液晶ディスプレイ、EL(Electroluminescent)等である表示装置70が電気的に接続されている。
【0030】
制御装置60Aは、このような装置、機器と電気的に接続され、それら装置、機器から得た情報を用いて上述した検査処理を行う。または、上述した検査処理の検査結果をそれら装置、機器に出力して制御する。
【0031】
この検査処理は、上述したように、真空引きした室外機100の冷媒回路に圧力異常がないか検査する処理である。この検査処理は、室外機100の冷媒回路の真空引きを開始してから真空引きを終了後一定の時間が経過するまでの間の冷媒回路の内部空間の圧力変化の特徴に基づいて検査する。その冷媒回路の内部空間の圧力変化を図4に示す。
【0032】
図4は、室外機100の冷媒回路の内部空間を真空引きしたときの圧力の推移の一例を示すグラフである。なお、図4では、グラフの横軸が真空ポンプ40で室外機100の冷媒回路の内部空間を真空引き、すなわち排気してからの経過した時間Tを示している。グラフの縦軸は、そのときに圧力センサ20が測定したセンサ圧力Pを示している。また、グラフの折れ線グラフG1は、良品の冷媒回路を真空引きしたときの圧力センサ20の測定圧力の推移を示している。折れ線グラフG2は、アウトガスの発生がある不良品の冷媒回路を真空引きしたときの圧力センサ20の測定圧力の推移を示している。折れ線グラフG3は、リークがある不良品の冷媒回路を真空引きしたときの圧力センサ20の測定圧力の推移を示している。
【0033】
図4の折れ線グラフG1-G3に示すように、室外機100の冷媒回路の内部空間を真空ポンプ40で排気すると、大気圧P0から時間Tが経過するに従いセンサ圧力Pが低下していく。そして、決められた排気時間Teが経過した後、排気弁30が閉じられるとその直後にセンサ圧力Pが急に上昇する。これは、圧力センサ20の測定箇所は、真空ポンプ40に近く圧力が下がりやすいのに対し、室外機100の冷媒回路の内部空間は、真空ポンプ40から離れて配管抵抗が大きく圧力が下がりにくいからである。これにより、測定箇所と冷媒回路の内部空間に差圧が生じているからである。その結果、排気弁30が閉じられると、圧力を均一化する圧力平準化作用が働き、測定箇所の圧力が上昇するからである。
【0034】
排気弁30を閉じた後、圧力平準化作用により圧力が均一化されると、折れ線グラフG1に示すようにセンサ圧力Pが一定の圧力に落ち着く。そして、良品の場合、排気時間Teから一定の時間経過した時間Td1でセンサ圧力Pが目標圧力Pt以下を保つ。
【0035】
これに対して、室外機100の冷媒回路の内部空間で気化した残留水分、非凝縮性ガス等のアウトガスが発生している場合、折れ線グラフG2に示すように、排気開始から排気時間Teが経過するまでの間にセンサ圧力Pが低下しにくい。さらに、排気時間Teが経過した後、圧力平準化作用に加えてアウトガスの影響があるため、折れ線グラフG1の場合よりも急激にセンサ圧力Pが上昇する。そして、アウトガスの発生が時間の経過と共に落ち着く結果、センサ圧力Pは、目標圧力Ptよりも高いものの、一定の圧力となる。
【0036】
なお、例えば、室外機100の冷媒管140の変形により、室外機100の冷媒回路の内部空間に詰まりがある場合、配管抵抗が大きくなるため、排気開始から排気時間Teが経過するまでの間にセンサ圧力Pが低下しにくい。さらに、配管抵抗が大きいため測定箇所と冷媒回路の内部空間との差圧が大きく、排気時間Teが経過した後、圧力平準化作用が大きくなる。その結果、センサ圧力Pの推移波形は、折れ線グラフG2に類似した波形となる。
【0037】
また、室外機100の冷媒回路にリークがある場合、折れ線グラフG3に示すように、排気開始から排気時間Teが経過するまでの間にセンサ圧力Pがさらに低下しにくい。排気時間Teが経過した後、圧力平準化作用に加えてリークの影響を受けるため、さらに急激にセンサ圧力Pが上昇していき、折れ線グラフG2のように一定の圧力とならない。
【0038】
このように、室外機100の冷媒回路の良品、アウトガスが発生する不良品、リークがある不良品のそれぞれで、内部空間を真空引きしたときの圧力の推移の波形に特徴がある。制御装置60Aが行う、上述した検査処理は、このような特徴を利用して検査する処理である。
【0039】
制御装置60Aは、この検査処理を行うため、ソフトウェアとして構成される各種ブロックを備える。図5にそれらブロックを示す。
【0040】
図5は、制御装置60Aのブロック図である。なお、図5では、理解を容易にするため、制御装置60Aの接続先も示している。
【0041】
制御装置60Aは、図5に示すように、基準データ生成部61、予測部62A、圧力異常検出部63およびデータ更新部64を備える。
【0042】
基準データ生成部61は、圧力センサ20が測定した圧力データから室外機100の冷媒回路に圧力異常がないか検査するための基準となる基準データを作成するために設けられている。
【0043】
その基準データについて説明すると、基準データには(1)室外機100の冷媒回路の良品を実際に真空引きしたときの圧力の推移のデータから作成される場合と、(2)室外機100の冷媒回路の内部空間の圧力を求める理論式を用いて作成される場合とがある。
【0044】
基準データ生成部61は、(1)の場合、制御装置60Aが備える基準DB記憶部607に記憶された基準DBを用いる。図6に基準DB610を示す。
【0045】
図6は、制御装置60Aの基準DB記憶部607に記憶された基準DB610のデータ構成図である。
【0046】
図6に示すように、基準DB610には、機種1~l毎に、n個(n=1,2,3…n)の冷媒回路を真空引きしたときの、各冷媒回路の真空引き開始、すなわち排気開始から経過時間t1、t2、t3・・・tmまでの圧力の推移のデータが格納されている。
【0047】
ここで、機種とは、真空処理装置1Aでは複数の種類の室外機100の冷媒回路が真空処理されるが、その複数の種類のことである。また、ここでいう冷媒回路は、上述した不良品の回路ではなく、リーク、アウトガスの発生、配管抵抗の異常等の不具合のない良品の回路のことである。
【0048】
図5に示す基準データ生成部61は、基準DB記憶部607から上述した基準DB610を読み出す。また、真空処理装置1Aには、図示しないが、キーボード、タッチパネル等の入力装置が接続されており、その入力装置から、真空処理装置1Aが処理する室外機100の冷媒回路の機種情報が入力される。基準データ生成部61は、読み出した基準DB610のうち、入力された機種に該当する部分のn個の冷媒回路データを用いて、その機種の排気開始から経過時間t1、t2、t3・・・tmの各時間での圧力値の平均値pliを以下に示す数式1を適用して求める。これにより、基準データ生成部61は、良品の真空引きでの平均的な圧力推移の波形データを求め、求めた波形データを基準データとする。
【0049】
【数1】
【0050】
なお、基準データ生成部61は、基準DB610が更新されて、図6に示す基準DB610にn+1個目の冷媒回路データが追加された場合、2個目からn+1個目までの冷媒回路データを用いて、上述した平均値pliを求める。要するに移動平均を求める。
【0051】
これに対して、基準DB610に上述した入力装置から入力された機種のデータが存在しない場合、基準データ生成部61は、上記の(2)の理論式を用いて基準データを得る。
【0052】
詳細には、真空排気系の回路は、圧力P[Pa]、流量Q[Pa・m・s―1]、抵抗1/C[s・m-3]を用いることで電気回路と同様に考えることができる結果、真空排気系の回路には、電気回路で成立するキルヒホッフの法則を適用できる。したがって、n個の点と隣り合う任意の点xで成り立つ流入・流出する流量の保存式は以下の数式2で表すことができる。
【0053】
【数2】
【0054】
なお、ここでいう任意の点xとは、例えば圧力センサ20の位置である。また、Px[Pa]は任意の点xの圧力であり、Px‘[Pa]は任意の点xの時間Δt前の圧力である。Py[Pa]は任意の点xと抵抗1/Cxy[s・m-3]を挟んで流量が出入りする点yの圧力である。Qx[Pa・m・s―1]は任意の点xで発生する流量である。Vx[m]は任意の点xが持つ容積である。
【0055】
任意の点数だけ数式2を用い、Vx、1/Cxyを入力装置から入力し、さらに、真空ポンプ40の排気速度を境界条件として与えて連立することにより、任意の点での圧力応答データが算出される。
【0056】
基準データ生成部61は、このような理論式を用いて、室外機100の理想的な冷媒回路を真空引きしたときの圧力推移の波形データを求める。そして、求めた波形データを基準データとする。
【0057】
基準データ生成部61は、上記(1)または(2)で基準データを求めると、その基準データを予測部62Aに送信する。また、基準データ生成部61は、(2)で基準データを求めた場合、その基準データを基準DB610に格納する。これにより、求めた基準データを次回の基準データの生成に活用する。
【0058】
図5に戻って、予測部62Aは、室外機100の冷媒回路の内部空間の真空引き中に目標真空度、すなわち、図4に示す目標圧力Ptまで到達するか否かを予め判定して、目標圧力Ptまで到達しない室外機100の冷媒回路の真空引きを中断することにより、作業効率を高めるために設けられている。
【0059】
詳細には、予測部62Aは、真空ポンプ40の動作開始後、上述した図示しない入力装置から機種情報、起動信号等を受信した場合に、排気弁30を開くと共に、図3に示す計時部605を用いて排気開始から経過した時間を計時する。また、予測部62Aは、圧力センサ20が定期的に出力する圧力データを受信していく。
【0060】
一方、図5に示す閾値データ記憶部608には、予測に用いる各種パラメータ、詳細には、予測検討時間、第1閾値および、第1変化率閾値が予め記憶されている。予測部62Aは、閾値データ記憶部608からこれらパラメータを読み出す。なお、これらパラメータは、機種別であることが望ましいが、以下、理解を容易にするため、機種に共通のパラメータであるものとする。予測部62Aは、経過時間が読み出した予測検討時間に達すると、それまでに受信した圧力センサ20の複数の圧力データからその予測検討時間での圧力の値を特定し、特定した圧力の値と、基準データ生成部61から受信した基準データの予測検討時間での圧力の値とを比較して、予測検討時間での圧力推移の波形が目標の波形か否かを判定する。このときの圧力推移の波形を図7に示す。
【0061】
図7は、予測部62Aが受信した圧力データから得られる圧力推移の波形と基準データの波形を示すグラフである。なお、図7では、グラフの横軸が真空ポンプ40で室外機100の冷媒回路の内部空間の真空引きをしてから経過した時間Tを示している。グラフの縦軸は、そのときのセンサ圧力Pを示している。また、折れ線グラフG4は、センサ圧力Pの推移を示している。折れ線グラフG5は、基準データの圧力値の推移を示している。
【0062】
予測部62Aは、図7に示す予測検討時間Tpでのセンサ圧力Pの値から基準データの予測検討時間Tpでの圧力の値を減算することにより差圧δP1を求める。予測部62Aは、圧力推移の波形が目標の波形に近接するか検査するため、求めた差圧δP1が閾値データ記憶部608から読み出した第1閾値よりも大きいか否かを判定する。
【0063】
予測部62Aは、差圧δP1が第1閾値よりも大きいと判定した場合、目標圧力Ptまで到達せず、また圧力推移が目標の波形にならないと予測し、真空引きされている室外機100の冷媒回路に異常がある不良品であると判定する。また、排気弁30を閉じて、室外機100の冷媒回路の真空引きを中止する。これにより、予測部62Aは、真空処理装置1Aの真空処理の作業効率を高める。
【0064】
一方、予測部62Aは、差圧δP1が第1閾値以下であると判定した場合、室外機100の冷媒回路に他の異常がないかを判定するため、続いて、図7に示す予測検討時間Tpでのセンサ圧力Pの圧力変化率、すなわち、一定の時間当たりの圧力変化ΔP1/ΔT1の値を算出する。予測部62Aは、圧力推移の波形が目標の波形に似た波形変化であるかを検査するため、算出した圧力変化率が閾値データ記憶部608から読み出した第1変化率閾値よりも大きいか否かを判定する。
【0065】
予測部62Aは、圧力変化率が第1変化率閾値よりも大きいと判定した場合、この場合も目標圧力Ptまで到達せず、圧力推移が目標の波形にならないと予測して不良品であると判定する。そして、予測部62Aは、真空処理の作業効率を高めるため、排気弁30を閉じて室外機100の冷媒回路の真空引きを中止する。
【0066】
一方、予測部62Aは、圧力変化率が第1変化率閾値以下であると判定した場合、目標圧力Ptまで到達するものと扱い、排気開始から決められた排気時間Teを経過するまで、室外機100の冷媒回路の真空引きを継続させる。そして、予測部62Aは、決められた排気時間Teを経過すると、排気弁30へ閉信号を出力して排気弁30を閉鎖させる。
【0067】
図5に戻って、圧力異常検出部63は、室外機100の冷媒回路の内部空間の真空引きが完了した後に冷媒回路に圧力異常がある不良がないかを検出するために設けられている。
【0068】
詳細には、圧力異常検出部63は、予測部62Aが排気弁30へ閉信号を出力すると、図3に示す計時部605を用いて排気時間Teから経過した時間、すなわち、排気終了から経過した時間を計時する。また、圧力異常検出部63は、圧力センサ20が定期的に出力する圧力データを受信していく。
【0069】
一方、圧力異常検出部63は、上述した理論式を用いて排気弁30が閉じられた場合の室外機100の冷媒回路の内部空間の圧力推移を算出する。以下、理論式を用いて算出された、理想的な圧力推移のデータのことを、理論データと呼ぶものとする。
なお、予め算出しておいた理論データを図5に示す閾値データ記憶部608に判定用データとして記憶させておき、圧力異常検出部63がその理論データを読み出してもよい。
【0070】
また、図5に示す閾値データ記憶部608には、圧力異常の検出に用いる各種パラメータ、詳細には、検出開始時間、第2閾値、第2変化率閾値および第3変化率閾値が予め記憶されている。圧力異常検出部63は、閾値データ記憶部608からこれら検出開始時間、第2閾値、第2変化率閾値および第3変化率閾値を読み出す。圧力異常検出部63は、排気時間Teから経過した時間が読み出した検出開始時間である場合に、それまでに圧力センサ20から受信した圧力データの、経過時間それぞれに対応付けられた圧力値それぞれから、上述した理論データの経過時間それぞれに対応付けられた圧力値それぞれを差し引いて、経過時間それぞれでの差圧を求める。そして、圧力異常検出部63は、求めた差圧データを用いてリークの異常がある場合の波形であるか否かを判定する。以下に図8A図8Bにリークの異常がある場合の波形を示し、図8A図8Bを参照してその判定方法を詳細に説明する。
【0071】
図8Aは、圧力異常検出部63が受信した圧力データから得られる圧力推移の波形がリークの異常がある場合の、その波形を示すグラフである。図8Bは、図8Aに示すリークの異常がある場合の圧力推移の波形の各時間での圧力値から理論データの圧力推移の波形の各時間での圧力値を差し引いて得た差圧のグラフである。
【0072】
なお、図8A図8Bでは、グラフの横軸は、排気弁30を閉じてから経過した時間Tを示している。図8Aでは、グラフの縦軸はセンサ圧力Pを示し、図8Bでは、グラフの縦軸は差圧δPを示している。また、図8Aに示す折れ線グラフG6は、圧力異常検出部63が受信した、リークの異常がある場合の圧力データの圧力推移を示している。また、折れ線グラフG7は、理論データの圧力推移を示している。図8Bに示す折れ線グラフG8は、図8Aに示す折れ線グラフG6の各時間での圧力から折れ線グラフG7の各時間での圧力を差し引いて得た差圧を示している。
【0073】
リークの異常がある場合、図8Aに示すように、圧力は、時間が経過する程、高くなる。そこで、圧力異常検出部63は、排気弁30の閉鎖直後ではなく、排気弁30の閉鎖から一定の時間が経過した上述した検出開始時間Tdでの圧力の値を用いてリークの異常がある場合の波形であるか否かを判定する。より具体的には、圧力異常検出部63は、求めた差圧データのうち、図8Bに示す検出開始時間Tdでの差圧δP3が、閾値データ記憶部608から読み出した第2閾値よりも大きいか否かを判定する。
【0074】
ここで、第2閾値は、図4に示す目標圧力Ptから図8Aに示す検出開始時間Tdでの圧力P0を減算して得た値よりも小さい値である。
【0075】
圧力異常検出部63は、差圧δP3が第2閾値以下であると判定した場合、圧力変化が理論値に近い冷媒回路であると認定し、その冷媒回路を良品と判定する。
【0076】
一方、圧力異常検出部63は、差圧δP3が第2閾値よりも大きいと判定した場合、リーク異常がある可能性があると判定する。圧力異常検出部63は、リーク、アウトガスの発生等の要因を明らかにするため、続けて、図8Bに示す検出開始時間Tdでの差圧δP3の一定の時間当たりの圧力変化であるΔP3/ΔT3の値、すなわち、差圧δP3の変化率を算出する。そして、圧力異常検出部63は、算出した差圧δP3の変化率が閾値データ記憶部608から読み出した第2変化率閾値よりも大きいか否かを判定する。圧力異常検出部63は、差圧δP3の変化率が第2変化率閾値よりも大きいと判定した場合、室外機100の冷媒回路の圧力変化が大きく、リークがあるものと判定する。そして、その室外機100の冷媒回路を不良と判定する。圧力異常検出部63は、差圧δP3の変化率が第2変化率閾値以下であると判定した場合、室外機100の冷媒回路の圧力変化が小さく、室外機100の冷媒回路をリークがない良品と判定する。
【0077】
また、圧力異常検出部63は、差圧データを用いて、アウトガスの発生による異常がある場合の波形であるか否か、または配管抵抗の異常がある場合の波形であるか否かを判定する。以下に図9A図9Bにリークの異常がある場合の波形を示し、図9A図9Bを参照してその判定方法を詳細に説明する。
【0078】
図9Aは、圧力異常検出部63が受信した圧力データから得られる圧力推移の波形がアウトガスの発生の異常がある場合の、その波形を示すグラフである。図9Bは、図9Aに示すアウトガスの発生の異常がある場合の圧力推移の波形の各時間での圧力値から理論データの圧力推移の波形の各時間での圧力値を差し引いて得た差圧のグラフである。
【0079】
なお、図9A図9Bのグラフの横軸と縦軸が示すものは、図8A図8Bの場合と同じである。また、図9Aに示す折れ線グラフG9は、圧力異常検出部63が受信した、アウトガスの発生の異常がある場合の圧力データの圧力推移を示している。また、折れ線グラフG10は、理論データの圧力推移を示している。図9Bに示す折れ線グラフG11は、図9Aに示す折れ線グラフG9の各時間での圧力から折れ線グラフG10の各時間での圧力を差し引いて得た差圧を示している。
【0080】
アウトガスの発生の異常がある場合、図9Aおよび図9Bに示すように、排気弁30の閉鎖直後と、排気弁30の閉鎖から一定の時間が経過した検出開始時間Tdとの両タイミングで圧力推移の波形が特徴的である。この圧力推移の波形の特徴は、配管抵抗の異常がある場合も同様である。そこで、圧力異常検出部63は、排気弁30の閉鎖直後と検出開始時間Tdの両タイミングでの圧力からアウトガスの発生の異常または配管抵抗の異常がある場合の波形であるか否かを判定する。
【0081】
詳細には、圧力異常検出部63は、図9Bに示す排気弁30閉鎖直後の時間T0での差圧δP2の変化率、すなわち、差圧δP2の一定の時間当たりの圧力変化であるΔP2/ΔT2の値を算出する。ここで、排気弁30閉鎖直後とは、排気弁30閉鎖から数秒、数十秒経過しただけの短い時間を含む。そして、圧力異常検出部63は、算出した差圧δP2の変化率から、上記のリークの異常の検査で算出した差圧δP3の変化率を減算して(ΔP2/ΔT2)-(ΔP3/ΔT3)の値、すなわち、変化率の差を求める。圧力異常検出部63は、求めた変化率の差が、閾値データ記憶部608から読み出した第3変化率閾値よりも大きいか否かを判定する。
【0082】
圧力異常検出部63は、差圧δP2の変化率と差圧δP3の変化率との変化率の差が第3変化率閾値よりも大きいと判定した場合、排気弁30の閉鎖直後と一定の時間が経過した検出開始時間Tdとの間で圧力の変化が大きい冷媒回路であると認定し、その冷媒回路にアウトガスの発生または配管抵抗の異常があると判定する。これにより、圧力異常検出部63は、室外機100の冷媒回路の不良を検出する。一方、圧力異常検出部63は、差圧δP2の変化率と差圧δP3の変化率との変化率の差が第3変化率閾値以下であると判定した場合、圧力変化が小さい冷媒回路であると認定し、その冷媒回路を良品と判定する。
【0083】
図5に戻って、データ更新部64は、圧力異常検出部63が室外機100の冷媒回路を良品と判定した場合に、その良品と判定された冷媒回路の、排気開始から予測検討時間Tpに達するまでに圧力センサ20から受信した圧力データを、予測部62Aから取得する。そして、データ更新部64は、取得した圧力データを基準DB記憶部607に記憶された基準DB610に格納する。これにより、データ更新部64は、基準DB610を更新する。
【0084】
次に、図10図13を参照して、制御装置60Aが実行する検査処理のフローについて詳細に説明する。なお、真空処理装置1Aの真空処理も併せて説明する。
【0085】
以下の説明では、真空ポンプ40に例えば、キーボード、タッチパネルの入力装置があり、その入力装置に起動ボタンと機種設定ボタンがあるものとする。そして、オペレータが、真空処理対象の室外機100の接続管141、142に、弁11、12を介して真空処理装置1Aの配管13を接続して真空処理のセッティングを行うものとする。そして、オペレータが機種設定ボタンで室外機100の機種設定を行って機種情報が入力されるものとする。その後、真空処理を施すため、起動ボタンが押されるものとする。
【0086】
図10は、制御装置60Aが行う検査処理のフローチャートである。図11は、検査処理で行われる基準データ生成処理のフローチャートである。図12は、検査処理で行われる予測処理のフローチャートである。図13は、検査処理で行われる圧力異常検出処理のフローチャートである。
【0087】
まず、オペレータが真空処理対象の室外機100のセッティングを行い、機種設定ボタンで室外機100の機種設定を行った後、起動ボタンを押す。オペレータが起動ボタン押すと、その起動信号により、CPU601がROM602に記憶された検査プログラムを読み出して実行する。これにより、図10に示す検査処理のフローが開始される。
【0088】
検査処理のフローが開始されると、まず、図10に示すように、制御装置60Aは基準データ生成処理を行う(ステップS1)。
【0089】
その基準データ生成処理では、図11に示すように、制御装置60Aは、基準DB610に現在機種データがあるか否か判定する(ステップS11)。詳細には、オペレータによって上述した機種設定ボタンから真空処理対象の室外機100の機種設定が行われるが、制御装置60Aは、その機種設定で設定された現在機種情報を真空ポンプ40のコントローラ41から取得する。そして、制御装置60Aは、基準DB記憶部607に記憶された基準DB610を読み出し、その基準DB610に現在機種に関するデータがあるか否かを判定する。
【0090】
制御装置60Aは、現在機種データがあると判定した場合(ステップS11のYes)、基準DB610から基準データを生成する(ステップS12)。詳細には、制御装置60Aは、基準DB610に格納された現在機種の該当する部分の冷媒回路データを用いて、圧力推移の波形データを求め、求めた波形データを基準データとする。
【0091】
一方、制御装置60Aは、現在機種データがないと判定した場合(ステップS11のNo)、理論式から基準データを生成する(ステップS13)。詳細には、制御装置60Aは、上述した理論式を用いて、室外機100の理想的な冷媒回路を真空引きしたときの圧力推移の波形データを求め、求めた波形データを基準データとする。そして、基準データを生成すると、その基準データを基準DB610に格納する(ステップS14)。
【0092】
制御装置60Aは、ステップS12またはステップS14を行うと、基準データ生成処理を終了させて図10に示す検査処理に戻る。
【0093】
図10に戻って、ステップS1の基準データ生成処理に続いて、制御装置60Aは予測処理を行う(ステップS2)。
【0094】
そのステップS2では、制御装置60Aは、図12に示すように、閾値データ記憶部608から各種パラメータを読み出す(ステップS201)。詳細には、制御装置60Aは、閾値データ記憶部608から予測検討時間Tp、第1閾値および、第1変化率閾値を読み出す。図示しないが、ステップS201を行うときに、基準データ生成処理という準備が終わっているため、制御装置60Aは、開信号を送信して、排気弁30を開いて真空引きを開始すると共に、真空引きを開始してからの時間を計時する。
【0095】
続いて、制御装置60Aは、計時した時間が閾値データ記憶部608から読み出した予測検討時間Tpか否かを判定する(ステップS202)。制御装置60Aは、計時した時間が予測検討時間Tpでないと判定した場合(ステップS202のNo)、ステップS202の前に戻る。これにより、計時した時間が予測検討時間Tpでなるまでステップを繰り返す。
【0096】
一方、制御装置60Aは、計時した時間が予測検討時間Tpであると判定した場合(ステップS202のYes)、予測検討時間Tpでのセンサ圧力Pと基準データの差圧δP1を算出する(ステップS203)。詳細には、圧力センサ20が定期的に圧力データを送信するが、制御装置60Aは、その圧力データを受信している。制御装置60Aは、予測検討時間Tpに受信したセンサ圧力Pの値からステップS12またはS13で生成した基準データのうちの予測検討時間Tpでの圧力の値を減算することにより差圧δP1を算出する。
【0097】
続いて、制御装置60Aは、算出した差圧δP1が第1閾値以下であるか否かを判定する(ステップS204)。ここで、第1閾値は、ステップS201で読み出したパラメータである。制御装置60Aは、差圧δP1が第1閾値よりも大きいと判定した場合(ステップS204のNo)、ステップS208へ進む。そのステップS208については後述する。
【0098】
一方、制御装置60Aは、差圧δP1が第1閾値以下であると判定した場合(ステップS204のYes)、圧力変化率ΔP1/ΔT1を算出する(ステップS205)。詳細には、制御装置60Aは、予測検討時間Tpでのセンサ圧力Pの圧力変化率、すなわちΔP1/ΔT1の値を算出する。
【0099】
続いて、制御装置60Aは、算出した圧力変化率が第1変化率閾値以下であるか否かを判定する(ステップS206)。ここで、第1変化率閾値は、ステップS201で読み出したパラメータである。そして、制御装置60Aは、圧力変化率が第1変化率閾値以下であると判定した場合(ステップS206のYes)、真空処理対象の室外機100の冷媒回路を、目標圧力Ptまで到達すると予測される良品と判定する(ステップS207)。制御装置60Aは、真空処理対象の室外機100の冷媒回路が良品と予測される旨を図3に示す表示装置70に表示する。
【0100】
制御装置60Aは、このステップS207の後、図示しないが、決められた排気時間Teまで排気弁30を開けたままにして、真空引きを続ける。そして、制御装置60Aは、計時していた時間が排気時間Teになると、閉信号を送信して、排気弁30を閉じる。また、上述した計時を終了させる。その後、制御装置60Aは予測処理を終了させて図10に示す検査処理に戻る。
【0101】
一方、制御装置60Aは、圧力変化率が第1変化率閾値よりも大きい判定した場合(ステップS206のNo)、真空処理対象の室外機100の冷媒回路を、目標圧力Ptまで到達しないと予測される不良品と判定する(ステップS208)。そして、制御装置60Aは、真空処理対象の室外機100の冷媒回路が不良品と予測されることを表示装置70に表示し、これより真空処理を中止することをオペレータに報知する。
【0102】
続いて、制御装置60Aは、排気弁30を閉鎖する(ステップS209)。詳細には、制御装置60Aは、排気弁30へ閉信号を送信して排気弁30を閉じさせる。これにより、制御装置60Aは、不良品への真空処理を中止して真空処理の効率を高める。また、上述した計時を終了させる。制御装置60Aは、ステップS209を行うと、予測処理を終了させて図10に示す検査処理に戻る。
【0103】
図10に戻って、ステップS2の予測処理に続いて、制御装置60Aは圧力異常検出処理を行う(ステップS3)。
【0104】
そのステップS3では、図示しないが、制御装置60Aは、排気弁30への閉信号の送信後に続いて、排気弁30の閉鎖後から経過した時間を計るため、新たな計時を開始する。そして、図13に示すように、制御装置60Aは、理想的な圧力推移である理論データを算出する(ステップS301)。詳細には、制御装置60Aは、上述した理論式を用いて、排気弁30が閉じられた場合の室外機100の冷媒回路の内部空間の圧力の理想的な推移のデータ、すなわち理論データを算出する。
【0105】
次に、制御装置60Aは、閾値データ記憶部608から各種パラメータを読み出す(ステップS302)。詳細には、制御装置60Aは、閾値データ記憶部608から検出開始時間Td、第2閾値、第2変化率閾値および第3変化率閾値を読み出す。
【0106】
続いて、制御装置60Aは、計時した時間が閾値データ記憶部608から読み出した検出開始時間Tdか否かを判定する(ステップS303)。制御装置60Aは、計時した時間が検出開始時間Tdでないと判定した場合(ステップS303のNo)、ステップS303の前に戻る。これにより、計時した時間が検出開始時間Tdでなるまでステップを繰り返す。
【0107】
一方、制御装置60Aは、計時した時間が検出開始時間Tdであると判定した場合(ステップS303のYes)、センサ圧力Pと理論データの差圧の推移を算出する(ステップS304)。詳細には、制御装置60Aは、圧力センサ20が定期的に送信する圧力データPを受信しているが、検出開始時間Tdでなるまでの間に受信した圧力データPの経過時間それぞれに対応付けられた圧力値それぞれから、上述した理論データの経過時間それぞれに対応付けられた圧力値それぞれを差し引いて、経過時間それぞれでの差圧を求める。
【0108】
続いて、制御装置60Aは、検出開始時間Tdでの差圧δP3が第2閾値より大きいか否かを判定する(ステップS305)。詳細には、制御装置60Aは、ステップS304で求めた差圧の推移から検出開始時間Tdでの差圧δP3を求める。そして、求めた差圧δP3がステップS302で読み出した第2閾値より大きいか否かを判定する。
【0109】
制御装置60Aは、検出開始時間Tdでの差圧δP3が第2閾値以下であると判定した場合(ステップS305のNo)、真空処理対象の室外機100の冷媒回路を異常なしと判定する(ステップS306)。換言すると、その室外機100の冷媒回路を良品と判定する。制御装置60Aは、その判定結果を表示装置70に表示する。
【0110】
一方、制御装置60Aは、検出開始時間Tdでの差圧δP3が第2閾値よりも大きいと判定した場合(ステップS305のYes)、リーク異常の可能性があるものとして、次の検査のため、検出開始時間Tdでの差圧δP3の変化率ΔP3/ΔT3を算出する(ステップS307)。続いて、制御装置60Aは、算出した差圧δP3の変化率が第2変化率閾値よりも大きいか否かを判定する(ステップS308)。
【0111】
制御装置60Aは、差圧δP3の変化率が第2変化率閾値以下であると判定した場合(ステップS308のNo)、真空処理対象の室外機100の冷媒回路の圧力変化が小さく、リーク異常なしと判定する(ステップS309)。すなわち、真空処理対象の室外機100の冷媒回路を良品と判定する。制御装置60Aは、その冷媒回路にリーク異常がなく、冷媒回路が良品であることを表示装置70に表示する。制御装置60Aは、ステップS309の後、後述するステップS311へ進む。
【0112】
一方、制御装置60Aは、差圧δP3の変化率が第2変化率閾値よりも大きいと判定した場合(ステップS308のYes)、真空処理対象の室外機100の冷媒回路の圧力変化が大きく、リーク異常ありと判定する(ステップS310)。すなわち、その室外機100の冷媒回路を不良品と判定する。制御装置60Aは、真空処理対象の室外機100の冷媒回路にリーク異常があり、その冷媒回路が不良品であることを表示装置70に表示する。そして、制御装置60Aは、次のステップS311へ進む。
【0113】
続いて、アウトガスの発生または、配管抵抗異常の検査を行うため、排気弁30閉鎖直後の時間T0での差圧δP2の変化率ΔP2/ΔT2を算出する(ステップS311)。そして、算出した差圧δP2の変化率ΔP2/ΔT2からステップS307で算出した差圧δP3の変化率ΔP3/ΔT3を減算して得た値が、ステップS302で読み出した第3変化率閾値よりも大きいか否かを判定する(ステップS312)。これにより、排気弁30閉鎖直後の時間T0と検出開始時間Tdで圧力変化がどの程度あるかを判定する。
【0114】
制御装置60Aは、差圧δP2の変化率ΔP2/ΔT2から差圧δP3の変化率ΔP3/ΔT3を減算して得た値が第3変化率閾値以下であると判定した場合(ステップS312のNo)、アウトガス異常なしと判定する(ステップS313)。すなわち、真空処理対象の室外機100の冷媒回路にアウトガスの発生または配管抵抗異常がなく、その冷媒回路が良品であると判定する。制御装置60Aは、その判定結果を表示装置70に表示する。続いて、制御装置60Aは、圧力異常検出処理を終了させ、図10の検査処理に戻る。
【0115】
一方、制御装置60Aは、差圧δP2の変化率ΔP2/ΔT2から差圧δP3の変化率ΔP3/ΔT3を減算して得た値が第3変化率閾値よりも大きいと判定した場合(ステップS312のYes)、アウトガス異常ありと判定する(ステップS314)。すなわち、真空処理対象の室外機100の冷媒回路にアウトガスの発生または配管抵抗異常があり、その冷媒回路が不良品であると判定する。制御装置60Aは、判定結果を表示装置70に表示する。そして、制御装置60Aは、圧力異常検出処理を終了させ、図10の検査処理に戻る。
【0116】
図10に戻って、制御装置60Aは、ステップS3の圧力異常検出処理に続いて、基準DBの更新を行う(ステップS4)。詳細には、制御装置60Aは、予測処理のステップS207で目標圧力Ptまで到達すると予測された圧力データであって、良品とされた室外機100の冷媒回路の処理で圧力センサ20から受信した圧力データを、基準DB記憶部607に記憶させることにより、基準DB610に格納する。これにより、データ更新部64は、基準DB610を更新する。そして、検査処理を終了させる。これにより、真空処理装置1Aの真空処理を終了する。
【0117】
このように、制御装置60Aは、検査処理で行う予測処理において、目標圧力Ptまで到達しない室外機100の冷媒回路を検出して、不良品であることを表示装置70に表示すると共に、真空処理を中止する。これにより、制御装置60Aは、不要な真空処理を削減する。その結果、制御装置60Aは、真空処理装置1Aの真空処理の効率を高める。
【0118】
なお、上述した圧縮機110、室外熱交換器120、膨張弁130および四方弁150は、本開示でいうところの冷凍サイクル機器の一例である。予測検討時間Tpは、本開示でいうところの第1時間の一例である。基準データのうちの予測検討時間Tpでの圧力の値は、本開示でいうところの第1基準値の一例である。差圧δP1は、本開示でいうところの第1差圧の一例である。
【0119】
検出開始時間Tdは、本開示でいうところの第2時間の一例である。理論データの経過時間それぞれに対応付けられた圧力値のうち、検出開始時間Tdでの圧力値は、本開示でいうところの第2基準値の一例である。検出開始時間Tdでの差圧δP3は、本開示でいうところの第2差圧の一例である。
【0120】
以上のように、実施の形態1に係る真空処理装置1Aでは、制御装置60Aの予測部62Aが、真空ポンプ40が真空処理対象である室外機100の冷媒回路の内部空間を真空引きする間に測定した圧力センサ20の圧力のデータに基づいて、真空ポンプ40の真空引きによって冷媒回路の内部空間が目標圧力Pt、すなわち、目標真空度まで到達するか否かを予測し、目標真空度まで到達しないと予測した場合に、冷媒回路に異常があると判定する。これにより、室外機100の冷媒回路の内部空間を目標真空度まで、または目標時間だけ真空引きしなくても冷媒回路の異常の有無が判定できる。その結果、冷媒回路の圧力異常の有無を短時間で検査することができる。
【0121】
また、制御装置60Aに設けられた圧力異常検出部63が、真空引きを終了した後、圧力センサ20が定期的に測定した圧力の推移データに基づいて、室外機100の冷媒回路の内部空間の圧力異常を判定するので、その判定が正確である。
【0122】
(実施の形態2)
実施の形態1では、予測部62Aが、予測検討時間Tpでのセンサ圧力Pの値から基準データの予測検討時間Tpでの圧力の値を減算することにより差圧δP1を求め、求めた差圧δP1が閾値データ記憶部608から読み出した第1閾値よりも大きいか否かを判定する。これにより、予測部62Aは、真空引きされている室外機100の冷媒回路に異常がある不良品か否かを判定する。
【0123】
しかし、予測部62Aはこれに限定されない。予測部62Aは、真空ポンプ40が真空処理対象である室外機100の冷媒回路の内部空間を真空引きする間に測定した圧力センサ20の圧力のデータに基づいて、真空ポンプ40の真空引きによって冷媒回路の内部空間が目標圧力Ptまで到達するか否かを予測し、目標圧力Ptまで到達しないと予測した場合に、冷媒回路に異常があると判定するものであればよい。従って、予測部62Aが行う演算手段は、これを満たす限りにおいて任意である。例えば、予測部62Aは、学習済みモデルを用いて、冷媒回路の内部空間が目標圧力Ptまで到達するか否かを予測してもよい。
【0124】
実施の形態2に係る真空処理装置1Bは、学習装置80を備え、学習装置80が学習させた学習済みモデルを用いて、制御装置60Bの予測部62Bが、真空引き時に室外機100の冷媒回路の内部空間が目標圧力Ptまで到達するか否かを予測する。
【0125】
以下、図14図16を参照して、実施の形態2に係る真空処理装置1Bについて説明する。実施の形態2では、実施の形態1と異なる構成を中心に説明する。
【0126】
図14は、実施の形態2に係る真空処理装置1Bが備える学習装置80のハードウエア構成図である。図15は、制御装置60Bと学習装置80のブロック図である。図16は、学習装置80が備えるニューラルネットワーク部84の一例を示す図である。なお、図15では、理解を容易にするため、制御装置60Bの接続先も示している。
【0127】
学習装置80は、図14に示すように、CPU801、ROM802およびRAM803を含むコンピュータと、記憶装置804を備える。CPU801、ROM802、RAM803および記憶装置804は、バスライン806によって接続されている。そして、記憶装置804は、図15に示す学習用DB記憶部82および学習済みデータ記憶部83を有する。
【0128】
また、学習装置80と図15に示す制御装置60Bは、図示しないがバスライン806、606に接続されたネットワークインターフェースを備える。その図示しないネットワークインターフェースは、例えば、インターネットを介して、学習装置80と制御装置60Bとの通信を可能にする。
【0129】
学習装置80では、図14に示すROM802に記憶された学習プログラムがRAM803に読み出されて実行されることにより、冷媒回路の内部空間の圧力の推移から冷媒回路に目標圧力Ptまで到達しない異常があるか否かを予測する予測モデルを生成するための学習処理を行う。その学習処理を行うため、図15に示すソフトウェアとして構成される機能ブロックである学習部81を備える。
【0130】
学習部81は、図示しない入力装置、例えば、キーボード、タッチパネルから学習指令が入力されると、学習用DB記憶部82に格納された学習用データベースに基づいた学習を行い、上述した予測モデルを生成する。
【0131】
詳細に説明すると、学習用DB記憶部82には、真空ポンプ40が真空引きを開始して実施の形態1で説明した予測検討時間Tpまで経過したときの、真空処理対象物の室外機100の冷媒回路の内部空間の圧力データと、その室外機100の冷媒回路の内部空間が目標圧力Ptまで到達しない異常があるか否かの異常データとが関係付けられた学習用データベースが予め記憶されている。
【0132】
学習部81は、学習用DB記憶部82から上記の学習用データベースを読み出し、読み出した学習用データベースの各データを、学習部81が有する、図16に示すニューラルネットワーク部84に学習させる。
【0133】
ニューラルネットワーク部84は、ニューロンと呼ばれるノード85を複数個有する。そして、それらノード85同士が結合して入力層86、隠れ層87および出力層88を形成している。ニューラルネットワーク部84は、その入力層86に、学習用データベースの真空処理対象物の室外機100の冷媒回路の内部空間の圧力データが入力された場合に、出力層88から、それらに関係付けられた室外機100の冷媒回路の内部空間が目標圧力Ptまで到達しない異常があるか否かの異常データが出力される状態に、ノード85同士の結合の重みw11-w16、w21-w26を調整する。これにより、ニューラルネットワーク部84は、学習済みモデルを生成する。換言すると、ニューラルネットワーク部84は、上述した予測モデルを生成する学習を行う。
【0134】
学習部81は、ニューラルネットワーク部84の学習が終了すると、そのノード85同士の結合の重みw11-w16、w21-w26を図15に示す学習済みデータ記憶部83に記憶させる。これにより、予測モデルのパラメータを保存する。
【0135】
これに対して、制御装置60Bでは、予測部62Bが、上記の予測モデルを用いて、真空引き時に室外機100の冷媒回路の内部空間が目標圧力Ptまで到達するか否かを予測する。
【0136】
詳細には、予測部62Bは、学習済みデータ記憶部83からニューラルネットワーク部84のノード85の結合の重みw11-w16、w21-w26を読み出す。また、学習済みデータ記憶部83には、ニューラルネットワーク部84のノード85、入力層86、隠れ層87および出力層88を構築するための各種パラメータが記憶されている。予測部62Bは、学習済みデータ記憶部83からこれらパラメータを読み出し、これらパラメータと読み出した重みw11-w16、w21-w26とを用いて、ニューラルネットワーク部84と同じ、図示しないニューラルネットワーク部を再構築して、学習済みモデル、すなわち、上述した予測モデルを構築する。
【0137】
予測部62Bは、構築した予測モデルの図示しないニューラルネットワーク部の入力層86に真空処理対象物の室外機100の冷媒回路の内部空間の圧力データを入力することにより、出力層から、室外機100の冷媒回路の内部空間が目標圧力Ptまで到達しない異常があるか否かの異常データを得る。これにより、予測部62Bは、室外機100の冷媒回路の内部空間が目標圧力Ptまで到達するか否かを予測する。
【0138】
なお、上述した学習用データベースは、本開示でいうところの第1データの一例である。また、学習済みモデルは、本開示でいうところの第1学習済みモデルの一例である。
【0139】
また、上述した学習用データベースは、真空ポンプ40が真空引きを開始してから実施の形態1で説明した予測検討時間Tpに至るまでの、真空処理対象物の室外機100の冷媒回路の内部空間の圧力推移のデータと、その室外機100の冷媒回路の内部空間が目標圧力Ptまで到達しない異常があるか否かの異常データとが関係付けられたものであってもよい。その場合、この学習用データベースのことを第2データであってもよい。なお、その場合の第2データで生成した学習済みモデルは、本開示でいうところの第2学習済みモデルの一例である。
【0140】
以上のように、実施の形態2に係る真空処理装置1Bでは、真空引き時に室外機100の冷媒回路の内部空間が目標圧力Ptまで到達するか否かを予測する学習済みモデルを学習装置80が生成する。そして、制御装置60Bの予測部62Bが、その学習済みモデルを用いて、真空引き時に室外機100の冷媒回路の内部空間が目標圧力Ptまで到達するか否かを予測する。学習装置80が学習済みモデルを生成すればよいので、真空処理装置1Bでの室外機100の機種の変更が容易である。
【0141】
以上、本開示の実施の形態に係る真空処理装置1A、1B、真空処理装置1A、1Bの制御方法、プログラムおよび空気調和機の製造方法について説明したが、真空処理装置1A、1B、真空処理装置1A、1Bの制御方法、プログラムおよび空気調和機の製造方法は、これに限定されない。
【0142】
例えば、実施の形態1、2では、真空処理装置1A、1Bが表示装置70を備え、表示装置70に、制御装置60A、60Bが備える予測部62A、62Bの予測結果と圧力異常検出部63の圧力異常検出結果を表示させている。しかし、表示装置70は任意の構成である。真空処理装置1A、1Bは、表示装置70の代わりに、ブザー、警告灯等の警報装置を備えてもよいし、表示装置70に加えて警報装置を備えてもよい。また、なお、表示装置70は、室外機100の冷媒回路の異常または真空引きの異常をオペレータに報知することから報知装置と呼ばれてもよい。
【0143】
また、実施の形態2では、学習装置80が制御装置60Bとネットワークを介して接続されているが、学習装置80と制御装置60Bの接続形態、すなわち、通信形態は任意である。また、学習装置80と制御装置60Bが別々の装置であるか、一体の装置であるかも任意である。例えば、学習装置80が制御装置60Bに内蔵されていてもよい。
【0144】
実施の形態1、2では、真空処理装置1A、1Bの真空処理対象が、空気調和機の室外機100であるが、真空処理対象はこれに限定されない。真空処理対象は、真空引き可能な内部空間を有するものであればよい。真空処理対象は、例えば、空気調和機全般であってもよい。
【0145】
以上のように、真空処理装置1A、1B、真空処理装置1A、1Bの制御方法、プログラムおよび空気調和機の製造方法は、上記の実施の形態に限定されず、様々な変形および置換を加えることができる。
【0146】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0147】
(付記1)
対象物の内部空間を真空引きする真空ポンプと、
前記対象物の内部空間の圧力を測定する圧力センサと、
前記真空ポンプが前記対象物の内部空間を真空引きする間に測定した前記圧力センサの圧力のデータに基づいて、前記真空ポンプの真空引きによって前記対象物の内部空間が目標真空度まで到達するか否かを予測し、前記目標真空度まで到達しないと予測した場合に、前記対象物に異常があると判定して、前記真空ポンプに真空引きを中止させる予測部を有する制御装置と、
を備える真空処理装置。
(付記2)
前記圧力センサは、前記真空ポンプが前記対象物の内部空間の真空引きを終了する前の、真空引きを開始してから第1時間が経過したときに、前記対象物の内部空間の圧力を測定し、
前記予測部は、前記圧力センサが測定した前記第1時間だけ経過した時の圧力値の第1基準値に対する第1差圧を算出し、算出した前記第1差圧の値が第1閾値よりも大きい場合に、前記目標真空度まで到達しないと予測する、
付記1に記載の真空処理装置。
(付記3)
前記圧力センサは、前記第1時間だけ経過する直前に前記対象物の内部空間の圧力を測定し、
前記予測部は、前記圧力センサが測定した前記第1時間だけ経過した時の圧力値と前記第1時間だけ経過する直前時の圧力値から第1圧力変化率を算出し、算出した前記第1圧力変化率が第1変化率閾値よりも大きい場合に、前記目標真空度まで到達しないと予測する、
付記2に記載の真空処理装置。
(付記4)
前記圧力センサは、前記真空ポンプが前記対象物の内部空間の真空引きを終了した後の、前記対象物の内部空間の圧力を定期的に測定し、
前記制御装置は、前記圧力センサが定期的に測定した圧力の推移データに基づいて、前記対象物の内部空間の圧力異常を判定する圧力異常判定部をさらに有する、
付記1から3のいずれか1つに記載の真空処理装置。
(付記5)
前記圧力異常判定部は、前記圧力センサが測定した圧力の推移データを用いて、前記真空ポンプの真空引きの終了から第2時間だけ経過したときの前記対象物の内部空間の圧力値の第2基準値に対する第2差圧を算出し、算出した前記第2差圧が第2閾値よりも大きい場合に、前記対象物の内部空間に圧力異常があると判定する、
付記4に記載の真空処理装置。
(付記6)
前記圧力異常判定部は、前記圧力センサが測定した圧力の推移データを用いて、前記真空ポンプの真空引きの終了から前記第2時間だけ経過したときの、前記第2差圧の一定の時間当たりの圧力変化である第2差圧変化率を算出し、算出した前記第2差圧変化率が第2変化率閾値よりも大きい場合に、前記対象物の内部空間に圧力異常があると判定する、
付記5に記載の真空処理装置。
(付記7)
前記圧力異常判定部は、前記圧力センサが測定した圧力の推移データを用いて、前記真空ポンプの真空引きの終了直後の、前記対象物の内部空間の圧力値の第3基準値に対する第3差圧の一定の時間当たりの圧力変化である第3差圧変化率を算出し、算出した前記第3差圧変化率を前記第2差圧変化率から減算して得た変化率の差が第3閾値よりも大きい場合に、前記対象物の内部空間に圧力異常があると判定する、
付記6に記載の真空処理装置。
(付記8)
前記予測部は、前記真空ポンプが前記対象物の内部空間の真空引きを終了する前の、真空引きを開始してから第1時間が経過したときの、前記対象物の内部空間の圧力と、前記対象物に目標真空度まで到達しない異常があるか否かとの関係が対応付けられた第1データを学習した第1学習済みモデルを用いて、前記目標真空度まで到達するか否かを予測する、
付記1から7のいずれか1つに記載の真空処理装置。
(付記9)
前記予測部は、前記真空ポンプが前記対象物の内部空間の真空引きを終了する前の、真空引きを開始してから第1時間が経過したときの前記対象物の内部空間の圧力および、前記第1時間だけ経過する直前時の前記対象物の内部空間の圧力を含む圧力推移と、前記対象物に目標真空度まで到達しない異常があるか否かとの関係が対応付けられた第2データを学習した第2学習済みモデルを用いて、前記目標真空度まで到達するか否かを予測する、
付記1から8のいずれか1つに記載の真空処理装置。
(付記10)
前記対象物は、冷凍サイクル機器が冷媒管により接続された空気調和機の冷媒回路である、
付記1から9のいずれか1つに記載の真空処理装置。
(付記11)
対象物の内部空間を真空引きする真空ポンプと、前記対象物の内部空間の圧力を測定する圧力センサと、を備える真空処理装置の制御方法であって、
前記真空ポンプが前記対象物の内部空間を真空引きする間に測定した前記圧力センサの圧力のデータに基づいて、前記真空ポンプの真空引きによって前記対象物の内部空間が目標真空度まで到達するか否かを予測するステップと、
前記目標真空度まで到達するか否かを予測するステップで、前記目標真空度まで到達しないと予測した場合に、前記対象物に異常があると判定して、前記真空ポンプに真空引きを中止させるステップと、
を備える真空処理装置の制御方法。
(付記12)
対象物の内部空間を真空引きする真空ポンプと、前記対象物の内部空間の圧力を測定する圧力センサと、を備える真空処理装置を制御するコンピュータに、
前記真空ポンプが前記対象物の内部空間を真空引きする間に測定した前記圧力センサの圧力のデータに基づいて、前記真空ポンプの真空引きによって前記対象物の内部空間が目標真空度まで到達するか否かを予測するステップと、
前記目標真空度まで到達するか否かを予測するステップで、前記目標真空度まで到達しないと予測した場合に、前記対象物に異常があると判定して、前記真空ポンプに真空引きを中止させるステップと、
を実行させるためのプログラム。
(付記13)
冷凍サイクル機器に冷媒管が接続された冷媒回路を備える空気調和機の製造方法であって、
前記冷凍サイクル機器に前記冷媒管を接続して冷媒回路を組み立てる工程と、
組み立てた前記冷媒回路を真空引きする工程と、
真空引き後に前記冷媒回路に冷媒を充填する工程と、
を備え、
前記真空引きする工程では、
真空引きの間に、前記冷媒回路の内部空間の圧力を測定し、測定した圧力のデータに基づいて、前記真空引きによって前記冷媒回路の内部空間が目標真空度まで到達するか否かを予測し、前記目標真空度まで到達しないと予測した場合に、前記冷媒回路に異常があると判定して真空引きを中止させる、
空気調和機の製造方法。
【符号の説明】
【0148】
1A,1B 真空処理装置、11,12 弁、13,14 配管、20 圧力センサ、30 排気弁、40 真空ポンプ、41 コントローラ、50 搬送装置、51、52 車輪、60A,60B 制御装置、61 基準データ生成部、62A,62B 予測部、63 圧力異常検出部、64 データ更新部、70 表示装置、80 学習装置、81 学習部、82 学習用DB記憶部、83 学習済みデータ記憶部、84 ニューラルネットワーク部、85 ノード、86 入力層、87 隠れ層、88 出力層、100 室外機、110 圧縮機、120 室外熱交換器、130 膨張弁、140 冷媒管、141,142 接続管、150 四方弁、601 CPU、602 ROM、603 RAM、604 記憶装置、605 計時部、606 バスライン、607 基準DB記憶部、608 閾値データ記憶部、609 I/Oポート、610 基準DB、801 CPU、802 ROM、803 RAM、804 記憶装置、806 バスライン。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16