(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150909
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】オリフィス付き継手
(51)【国際特許分類】
F16L 55/00 20060101AFI20241017BHJP
F16L 21/04 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
F16L55/00 H
F16L21/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063951
(22)【出願日】2023-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100199369
【弁理士】
【氏名又は名称】玉井 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100228175
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 充紀
(72)【発明者】
【氏名】平松 浩司
【テーマコード(参考)】
3H015
3H025
【Fターム(参考)】
3H015CA02
3H025BA03
3H025BB03
(57)【要約】
【課題】超高圧環境において使用され、低騒音減圧機能を有するオリフィス付き継手を提供すること。
【解決手段】互いに連通する流体通路11,12を有して対向する第1継手部材10及び第2継手部材20と、前記第1継手部材の対向端部の突合せ端面と前記第2継手部材の対向端部の突合せ端面との間に介在させられるガスケット30を備え、前記ガスケットには流体の流れを絞る第1絞り部を形成するオリフィス貫通孔31が設けられ、前記第1継手部材及び前記第2継手部材の少なくとも一方は、対向端部に第2絞り部が形成されている前記流体通路を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに連通する流体通路を有して対向する第1継手部材及び第2継手部材と、
前記第1継手部材の対向端部の突合せ端面と前記第2継手部材の対向端部の突合せ端面との間に介在させられるガスケットを備え、
前記ガスケットには流体の流れを絞る第1絞り部を形成するオリフィス貫通孔が設けられ、
前記第1継手部材及び前記第2継手部材の少なくとも一方は、対向端部に第2絞り部が形成されている前記流体通路を有するオリフィス付き継手。
【請求項2】
前記第1継手部材の突合せ端面および前記第2継手部材の突合せ端面それぞれに環状のシール突起が形成され、雄ねじ部を有する雄ねじ部材と雌ねじ部を有する袋ナットが締め付けられることにより前記ガスケットが前記各突合せ端面に押圧されて前記ガスケットが変形し、前記ガスケットと前記シール突起および前記シール突起の内側平坦面との間にシールが形成されることを特徴とする請求項1に記載のオリフィス付き継手。
【請求項3】
前記第2絞り部の内径が前記第1絞り部の前記オリフィス貫通孔の内径よりも大きいことを特徴とする請求項1または2に記載のオリフィス付き継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、オリフィス付き継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のオリフィス内蔵継手は、配管と配管との間に設けられたガスケットにオリフィス用貫通孔を形成することによって低騒音減圧となるように工夫がなされてきた。
【0003】
図4に示す特許文献1に記載のオリフィス内蔵継手は、2つの減圧配管101の間に設けられ、減圧配管101の端部にはフランジ102が取り付けられている。左側の減圧配管101の右にはオリフィス板103が配設され、その右側に配設されたスペーサ104には多孔オリフィス板108及び多孔質金属107が嵌め入れられ、その右に保持用多孔板109が備え付けられている。高圧力の流体は、減圧配管101の内部を矢印の方向に流れており、オリフィス板103の孔を通過する際に減圧膨張するが、この時、発生する衝撃波はオリフィス板103と多孔オリフィス板108との2枚のオリフィスで挟まれた部分に拘束されることになる。
【0004】
このため、その部分に大きな衝撃波を形成することはできず、これによって騒音発生の原因となる流体の強く大きな渦・乱れの発生が防止される。このように、超高圧の流体は、オリフィス板103と多孔オリフィス板108とによって低騒音で減圧されるが、さらに多孔オリフィス板108の孔を通過する際にも同じように流体は減圧膨張し、騒音を発生する。これに対しては、その直後に配置された多孔質金属107が有する海綿状の立体的に細かな網目状の骨格によって、超高圧の流体の大きな渦・乱れが整流され、多孔オリフィス板108の孔での騒音の発生が防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平04-262191号公報
【特許文献2】特許第3517719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、燃料電池自動車分野の発展により超高圧の水素の供給に用いるための継手の要求があり、様々な形態の継手について検討が行われている。このような技術分野において要求される超高圧耐圧性能は、例えば、流体の圧力が20MPaや100MPa等の超高圧のガスに耐えられる性能を意味する。
特許文献1に記載の継手は、減圧部に配設されるオリフィスが内蔵された継手であるが、超高圧での使用を想定しておらず、また小口径の継手としては使用できない。水素ステーション向けに用いられる小口径の継手として、シール性能に対する信頼から、従来は半導体製造装置向けとして用いられてきた金属ガスケットを用いる継手(特許文献2)の使用が検討されており、この継手のガスケットとしてガスケットオリフィスを用いることが検討されたが、ガスケットオリフィスに変形等をきたすおそれがある。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、超高圧環境において使用され、低騒音減圧機能を有するオリフィス付き継手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明(1)は、互いに連通する流体通路を有して対向する第1継手部材及び第2継手部材と、前記第1継手部材の対向端部の突合せ端面と前記第2継手部材の対向端部の突合せ端面との間に介在させられるガスケットを備え、前記ガスケットには流体の流れを絞る第1絞り部を形成するオリフィス貫通孔が設けられ、前記第1継手部材及び前記第2継手部材の少なくとも一方は、対向端部に第2絞り部が形成されている前記流体通路を有するオリフィス付き継手である。
【0009】
このオリフィス付き継手には、流体の流れを絞る第1絞り部を形成するオリフィス貫通孔が設けられたガスケットが配設されており、第1継手部材及び第2継手部材の少なくとも一方は、対向端部に第2絞り部が形成されているので剛性が高く、水素ステーション等の超高圧環境下においても変形等のおそれが大きく低減して安全性の高い継手となっている。また、低騒音効果も有する。
【0010】
本発明(2)は、前記第1継手部材の突合せ端面および前記第2継手部材の突合せ端面それぞれに環状のシール突起が形成され、雄ねじ部を有する雄ねじ部材と雌ねじ部を有する袋ナットが締め付けられることにより前記ガスケットが前記各突合せ端面に押圧されて前記ガスケットが変形し、前記ガスケットと前記シール突起および前記シール突起の内側平坦面との間にシールが形成されることを特徴とする本発明(1)のオリフィス付き継手である。
【0011】
本発明(2)は、前記第1継手部材の突合せ端面および前記第2継手部材の突合せ端面それぞれに環状のシール突起が形成され、雄ねじ部を有する雄ねじ部材と雌ねじ部を有する袋ナットが締め付けられることにより前記ガスケットが前記各突合せ端面に押圧されて前記ガスケットが変形し、前記ガスケットと前記シール突起および前記シール突起の内側平坦面との間にシールが形成されているので、継手としての接続信頼性を維持しつつ、狭いスペースでも着脱作業ができる。水素ステーション等のような複雑に配管がめぐらされている場所においても好適に用いることができる。
【0012】
本発明(3)は、前記第2絞り部の内径が前記第1絞り部の前記オリフィス貫通孔の内径よりも大きいことを特徴とする本発明(1)または(2)のオリフィス付き継手である
。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、超高圧環境において使用され、低騒音減圧機能を有するオリフィス付き継手を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態1に係るオリフィス付き継手を示す断面図である。
【
図2】本発明の実施形態2に係るオリフィス付き継手を示す断面図である。
【
図3】本発明の実施形態3に係るオリフィス付き継手を示す断面図である。
【
図4】特許文献1に記載の従来のオリフィス付き継手である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0016】
<実施形態1>
図1に、本発明のオリフィス付き継手の実施形態1を示す。
【0017】
<実施形態1>
図1に示すオリフィス付き継手1Aは、流体通路12が形成された第1継手部材10と、流体通路22が形成された第2継手部材20と、第1継手部材10と第2継手部材20の突合せ端面間に介在させられる環状のガスケット30を備えている。ガスケットの材質としてはSUS316Lが用いられるが、SUS316L以外のステンレス鋼や銅等その他の金属が適宜採用される。
ガスケット30には流体の流れを絞る第1絞り部を形成するオリフィス貫通孔31が設けられて、これが第1絞り部を形成し、流体の流れを絞る。なお、
図1においてオリフィス貫通孔はガスケットに径が一定の単一の孔が設けられているが、テーパー状の孔であっても良く、複数の孔を設けても良い。
【0018】
第1継手部材10の流体通路12の内径は、端部で内径が小さくなり第2絞り部貫通孔13が形成されている。この部分が第2絞り部となっている。第2継手部材20の流体通路22の内径は、端部で内径が小さくなり第2絞り部貫通孔23が形成されている。この部分も第2絞り部となっている。
第1絞り部と第2絞り部とが、流体の流れを絞るオリフィス機能を有し、低騒音減圧機能も果たすことができる。第2絞り部は第1継手部材10及び第2継手部材20の端部に形成されているので剛性が高く、水素ステーションのような超高圧流体を安全に取り扱うことが出来る。
【0019】
第2絞り部貫通孔13、第2絞り部貫通孔23及びオリフィス貫通孔31の内径は実施形態1では同一の内径としている。この内径の大きさは実際に流す流体の特性に応じて適宜調整することができる。
【0020】
第1継手部材10及び第2継手部材20は対向端部にフランジ部11,21を有し、さらに、内周面が前記第1継手部材10に挿通され、内周面の一端部が該第1継手部材10のフランジ部11に係合するとともに、外周面に雄ねじ部41を有する雄ねじ部材40と、前記第2継手部材20に挿通され、一端部の内周面の縮径部が前記第2継手部材20のフランジ部21に係合するとともに他端部の内周面に前記雄ねじ部材40の雄ねじ部41と螺合する雌ねじ部51を有する袋ナット50とを有している。各継手端面には環状のシール突起が形成されており、雄ねじ部材40と袋ナット50とを締め付けることによりシール突起によってガスケットが変形し、ガスケットとシール突起およびシール突起の内側平坦面の間においてシールが形成される。なお、本形態において第1継手部材10と雄ねじ部材40は別体となっているが溶接等により一体となっていても良い。フランジ部21と袋ナット50の底面との間に雄ねじ部材40と袋ナット50の供回り防止のためのベアリング60が配設されている。
【0021】
このような構造にすることによって、さらに、超高圧環境下において継手としての接続信頼性を維持しつつ、狭いスペースでも着脱作業ができるので、水素ステーションのような複雑に配管がめぐらされている場所においても好適に用いることができる。
【0022】
<実施形態2>
図2は、実施形態2のオリフィス付き継手1Bを示している。
図1のオリフィス付き継手1Aと説明が重複する部分は一部説明を省略する。
第1継手部材10には第2絞り部を形成する第2絞り部貫通孔13が形成されているが、第2継手部材20には第2絞り部を形成する第2絞り部貫通孔23が形成されていない。流体が第1継手部材10側から第2継手部材20方向へ流れる場合、第2絞り部貫通孔13で流体の圧力を減圧し、低騒音機能を第2絞り部貫通孔13とオリフィス貫通孔31とで役割を果たすことができれば、実施形態2のオリフィス付き継手1Bでも好適に用いることができる。
【0023】
<実施形態3>
図3は、実施形態3のオリフィス付き継手1Cを示している。
図1のオリフィス付き継手1Aと説明が重複する部分は一部説明を省略する。
第1継手部材10の第2絞り部貫通孔13と第2継手部材の第2絞り部貫通孔23の内径は、ガスケット30のオリフィス貫通孔31の内径よりも大きく設定されている。流体の圧力等の特性によって適宜これらの内径は定められる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
以上説明したように、本発明のオリフィス付き継手は、超高圧環境において使用され、低騒音減圧機能を有するオリフィス付き継手として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0025】
1A、1B、1C;オリフィス付き継手
10;第1継手部材
11;フランジ部
12;流体通路
13;第2絞り部貫通孔
20;第2継手部材
21;フランジ部
22;流体通路
23;第2絞り部貫通孔
30;ガスケット
31;オリフィス貫通孔
40;雄ねじ部材
41;雄ねじ部
50;袋ナット
51;雌ねじ部
60;ベアリング