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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150919
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】プロテクタおよびワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20241017BHJP
   H02G 11/00 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
H02G3/04 018
H02G3/04 087
H02G11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063968
(22)【出願日】2023-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 伸次
(72)【発明者】
【氏名】土田 和弘
(72)【発明者】
【氏名】柴田 友容
(72)【発明者】
【氏名】横山 真樹
(72)【発明者】
【氏名】久米 正起
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 慶恭
(72)【発明者】
【氏名】荒木 浩太
【テーマコード(参考)】
5G357
5G371
【Fターム(参考)】
5G357DA10
5G357DB03
5G357DC12
5G357DD02
5G357DE03
5G357DE08
5G371AA01
5G371BA01
5G371CA01
(57)【要約】
【課題】グリスの漏れを抑制することができるプロテクタおよびワイヤハーネスを提供することを目的とする。
【解決手段】プロテクタ1は、鉛直方向Zの下側に位置されるカバー側第1周壁22aを有したカバー20と、鉛直方向Zの下側に位置されカバー側第1周壁22aの内側に重ねられるベース側第1周壁12aを有したベース10と、を備え、カバー20には、カバー側第1周壁22aとの間にベース側第1周壁12aを挟むようにカバー側底壁21から積層方向Yの他方側に突出したリブ27が設けられ、リブ27は、ベース10およびカバー20が組み付けられた状態で、ベース側第1周壁12aをカバー側第1周壁22a側に押圧して弾性変形させ、リブ27とベース側第1周壁12aとの間をシールするシール部40を形成している。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース側底壁と、前記ベース側底壁の周縁部から当該ベース側底壁と交差する積層方向の一方側に突出したベース側周壁と、を有し、前記ベース側周壁の内側に車両に配索される配索材の折返し部が収容される収容空間部が設けられたベースと、
前記ベース側底壁と対向するカバー側底壁と、前記カバー側底壁の周縁部から前記積層方向の他方側に突出したカバー側周壁と、を有し、前記収容空間部を前記積層方向の一方側から覆うように前記ベースに組み付けられるカバーと、
を備え、
前記ベースおよび前記カバーには、前記収容空間部と外部とを連通し、前記配索材が前記収容空間部内に導入または前記収容空間部外に引き出される一対の開口部が設けられ、
前記カバー側周壁は、前記積層方向と交差する鉛直方向の下側に位置されるカバー側第1周壁を含み、
前記ベース側周壁は、前記鉛直方向の下側に位置され、前記カバー側第1周壁の内側に重ねられるベース側第1周壁を含み、
前記カバーには、前記カバー側第1周壁との間に前記ベース側第1周壁を挟むように前記カバー側底壁から前記積層方向の他方側に突出したリブが設けられ、
前記リブは、前記ベースおよび前記カバーが組み付けられた状態で、前記ベース側第1周壁を前記カバー側第1周壁側に押圧して弾性変形させ、前記リブと前記ベース側第1周壁との間をシールするシール部を形成している、
プロテクタ。
【請求項2】
前記リブは、前記カバーにおいて、前記カバー側第1周壁の前記積層方向および前記鉛直方向と交差する延在方向の一端部と他端部との間に渡って延びるように設けられる、
請求項1に記載のプロテクタ。
【請求項3】
前記リブの先端部には、前記積層方向の他方側に向かうにつれて前記鉛直方向の上側に向かうように傾斜した傾斜面が設けられる、
請求項1または2に記載のプロテクタ。
【請求項4】
前記カバー側周壁は、前記鉛直方向の上側に位置されるカバー側第2周壁を含み、
前記ベース側周壁は、前記鉛直方向の上側に位置され、前記カバー側第2周壁の内側に重ねられるベース側第2周壁を含み、
前記カバーにおける前記リブと前記カバー側第2周壁との間の前記鉛直方向に沿った第1開口幅は、前記ベースにおける前記ベース側第1周壁と前記ベース側第2周壁との間の前記鉛直方向に沿った第2開口幅よりも広く形成される、
請求項1または2に記載のプロテクタ。
【請求項5】
導電性を有する配索材と、
前記配索材を保護するプロテクタと、を備え、
前記プロテクタは、
ベース側底壁と、前記ベース側底壁の周縁部から当該ベース側底壁と交差する積層方向の一方側に突出したベース側周壁と、を有し、前記ベース側周壁の内側に車両に配索される前記配索材の折返し部が収容される収容空間部が設けられたベースと、
前記ベース側底壁と対向するカバー側底壁と、前記カバー側底壁の周縁部から前記積層方向の他方側に突出したカバー側周壁と、を有し、前記収容空間部を前記積層方向の一方側から覆うように前記ベースに組み付けられるカバーと、
を備え、
前記ベースおよび前記カバーには、前記収容空間部と外部とを連通し、前記配索材が前記収容空間部内に導入または前記収容空間部外に引き出される一対の開口部が設けられ、
前記カバー側周壁は、前記積層方向と交差する鉛直方向の下側に位置されるカバー側第1周壁を含み、
前記ベース側周壁は、前記鉛直方向の下側に位置され、前記カバー側第1周壁の内側に重ねられるベース側第1周壁を含み、
前記カバーには、前記カバー側第1周壁との間に前記ベース側第1周壁を挟むように前記カバー側底壁から前記積層方向の他方側に突出したリブが設けられ、
前記リブは、前記ベースおよび前記カバーが組み付けられた状態で、前記ベース側第1周壁を前記カバー側第1周壁側に押圧して弾性変形させ、前記リブと前記ベース側第1周壁との間をシールするシール部を形成している、
ワイヤハーネス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロテクタおよびワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のワイヤハーネスのプロテクタに関する技術として、例えば、特許文献1には、車両に配索される配索材の折返し部が収容される収容空間部が設けられたベースと、収容空間部を積層方向の一方側から覆うようにベースに組み付けられるカバーと、を備えたプロテクタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-143606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した特許文献1に記載のワイヤハーネスでは、例えば、車両の搭載要件等によってプロテクタを縦置きの状態で設置する場合があり、この場合、収容空間部内に塗布されているグリス等がベースとカバーとの間の隙間から外部に漏れてしまう虞があった。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、グリスの漏れを抑制することができるプロテクタおよびワイヤハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るプロテクタは、ベース側底壁と、前記ベース側底壁の周縁部から当該ベース側底壁と交差する積層方向の一方側に突出したベース側周壁と、を有し、前記ベース側周壁の内側に車両に配索される配索材の折返し部が収容される収容空間部が設けられたベースと、前記ベース側底壁と対向するカバー側底壁と、前記カバー側底壁の周縁部から前記積層方向の他方側に突出したカバー側周壁と、を有し、前記収容空間部を前記積層方向の一方側から覆うように前記ベースに組み付けられるカバーと、を備え、前記ベースおよび前記カバーには、前記収容空間部と外部とを連通し、前記配索材が前記収容空間部内に導入または前記収容空間部外に引き出される一対の開口部が設けられ、前記カバー側周壁は、前記積層方向と交差する鉛直方向の下側に位置されるカバー側第1周壁を含み、前記ベース側周壁は、前記鉛直方向の下側に位置され、前記カバー側第1周壁の内側に重ねられるベース側第1周壁を含み、前記カバーには、前記カバー側第1周壁との間に前記ベース側第1周壁を挟むように前記カバー側底壁から前記積層方向の他方側に突出したリブが設けられ、前記リブは、前記ベースおよび前記カバーが組み付けられた状態で、前記ベース側第1周壁を前記カバー側第1周壁側に押圧して弾性変形させ、前記リブと前記ベース側第1周壁との間をシールするシール部を形成している。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るプロテクタおよびワイヤハーネスは、カバーには、カバー側第1周壁との間にベース側第1周壁を挟むようにカバー側底壁から積層方向の他方側に突出したリブが設けられ、リブは、ベースおよびカバーが組み付けられた状態で、ベース側第1周壁をカバー側第1周壁側に押圧して弾性変形させ、リブとベース側第1周壁との間をシールするシール部を形成している。この構成により、プロテクタおよびワイヤハーネスは、例えば、シール部によってベースとカバーとのうち鉛直方向の下側に位置されるリブとベース側第1周壁との間の隙間を塞ぐことができる。この結果、プロテクタおよびワイヤハーネスは、収容空間部内に塗布されているグリスの漏れを抑制することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係るプロテクタが適用されるワイヤハーネスの例示的な斜視図である。
図2図2は、実施形態に係るプロテクタの例示的な分解斜視図である。
図3図3は、実施形態に係るプロテクタの例示的な断面図である。
図4図4は、図3のリブ近傍の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、下記実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。なお、本明細書では、序数は、部品や、部材、部位、位置、方向等を区別するためだけに用いられており、順番や優先度を示すものではない。
【0010】
[実施形態]
図1は、実施形態に係るプロテクタ1が適用されるワイヤハーネスWHの斜視図である。図1に示される本実施形態のプロテクタ1は、車両に配索されるワイヤハーネスWHに組み込まれるものである。ここで、ワイヤハーネスWHは、例えば、車両に搭載される各機器間の接続のために、電源供給や信号通信に用いられる複数の配索材Wを束にして集合部品とし、コネクタ等で複数の配索材Wを各機器に接続するようにしたものである。本実施形態のワイヤハーネスWHは、導電性を有する配索材Wと、配索材Wを保護するプロテクタ1と、を備えている。プロテクタ1は、例えば、車両に搭載された不図示のスライドシートやスライドドア等に配索される配索材Wの一部を余長部分として内部に収容して保護するものである。なお、ワイヤハーネスWHは、この他、さらに、コルゲートチューブや、グロメット、電気接続箱、固定具、コネクタなど種々の構成部品を含んで構成されてもよい。
【0011】
なお、以下の説明では、互いに交差する第1方向、第2方向、及び、第3方向のうち、第1方向を「延在方向X」といい、第2方向を「積層方向Y」といい、第3方向を「鉛直方向Z」という。ここでは、延在方向Xと積層方向Yと鉛直方向Zとは、相互に略直交する。延在方向Xは、典型的には、プロテクタ1の長手方向、プロテクタ1に対する配索材Wの挿通方向、車両前後方向等に相当する。積層方向Yは、典型的には、プロテクタ1における後述するベース10とカバー20との積層方向、プロテクタ1の厚さ方向、車両幅方向等に相当する。鉛直方向Zは、典型的には、プロテクタ1におけるベース10およびカバー20の高さ方向(縦幅方向)、車両上下方向等に相当する。また、以下の説明で用いる各方向は、特に断りのない限り、プロテクタ1が車両に組み付けられた状態での方向として説明する。
【0012】
配索材Wは、例えば、車両において、スライドシートに設けられた電装品に対して電力を供給するものである。配索材Wは、例えば、複数の電線が束ねられた電線束と、当該電線束を覆う筒状の外装材と、を含んで構成される。外装材は、例えば、コルゲートチューブ等である。配索材Wは、電線束に外装材が装着された装着状態において、相対的に高い柔軟性、良好な屈曲性を有する。本実施形態の配索材Wは、電線束に外装材が装着された装着状態において、外力を加えていない自然の状態(略直線状態)から、外力を加えて屈曲させた屈曲状態にすると、屈曲された部分が弾性変形し屈曲部分に弾性反力が生じて元の状態に戻ろうとするものである。
【0013】
配索材Wは、プロテクタ1の内部(図2の収容空間部4)に一部が収容された状態で、当該配索材Wの一部が、スライドシートのスライド方向のうち一方のスライド移動に伴ってプロテクタ1の内側に導入され、スライド方向のうち他方のスライド移動に伴って、プロテクタ1の外側に引き出される。配索材Wは、一方の端部が、スライドシートに設けられた電装品に電気的に接続され、他方の端部が、車両に搭載されたバッテリ等に電気的に接続される。
【0014】
プロテクタ1は、延在方向Xに沿って延在し、延在方向Xの一端部に一対の開口部2、3が設けられている。開口部2、3は、プロテクタ1の内部に配索材Wの一部が収容された収容状態において、それぞれに配索材Wが挿通される。プロテクタ1は、スライドシートのスライド方向のうち、一方のスライド移動に伴って、配索材Wが一方の開口部2から導入され、スライド方向のうち、他方のスライド移動に伴って、配索材Wが当該開口部2から引き出される。配索材Wは、プロテクタ1の内部に一部が収容された収容状態で、一方の端部について、開口部2を介したプロテクタ1内外への出し入れが可能に構成されている。
【0015】
一方、配索材Wは、プロテクタ1の内部に一部が収容された収容状態で、他方の端部について、開口部3から外側に突出した位置でプロテクタ1の一部に結束バンド等により結束されており、開口部3を介したプロテクタ1内外への出し入れが規制されている。プロテクタ1は、後述するベース10およびカバー20の幅方向(短手方向)が鉛直方向Zに沿う縦置きの状態で設置され、延在方向Xの両端部に設けられた一対の取付部24、26がボルト等の締結部材によって車体に締結される。
【0016】
図2は、プロテクタ1の分解斜視図である。図2に示されるように、プロテクタ1は、例えば、ベース10と、カバー20と、を含んで構成される。ベース10およびカバー20は、例えば、絶縁性を有する合成樹脂等によって形成される。カバー20は、ベース10に対して積層方向Yの一方側に積層された状態で組付けられる。ベース10とカバー20とは、互いに別体で形成され、後述する係止部31および被係止部32による係止機構30によって互いに一体化される。プロテクタ1は、ベース10とカバー20とが相互に組み付けられることで、全体として略直方体状に形成される。
【0017】
ベース10は、例えば、ベース側底壁11と、ベース側底壁11の周縁部に設けられたベース側周壁12と、を有している。ベース側底壁11およびベース側周壁12は、プロテクタ1の内部空間部としての収容空間部4を区画するための構造体である。収容空間部4は、配索材Wが収容される空間部である。ベース側底壁11は、例えば、平板状に形成され、延在方向Xに沿って延在している。ベース側底壁11の外面には、積層方向Yに沿って突出した複数のビード13が設けられている。複数のビード13は、ベース10を補強するためのものであり、例えば、延在方向Xおよび鉛直方向Zに沿って延びた格子状に形成される。
【0018】
ベース側周壁12は、ベース側底壁11の周縁部から積層方向Yの一方側に突出している。ベース側周壁12は、例えば、鉛直方向Zの下側に位置されるベース側第1周壁12aと、鉛直方向Zの上側に位置されるベース側第2周壁12bと、延在方向Xの他端部側(開口部2、3とは反対側)に位置されるベース側第3周壁12cと、を含んで構成される。ベース側第1周壁12aおよびベース側第2周壁12bは、延在方向Xに沿って直線状に延在している。ベース側第3周壁12cは、ベース側第1周壁12aおよびベース側第2周壁12bの延在方向Xの他端部と接続され、延在方向Xの他方側に凸の状態で円弧状(半円状)に湾曲している。
【0019】
また、ベース10の延在方向Xの一端部には、配索材Wが引き回される配線引き回し部15が設けられている。配線引き回し部15は、ベース側第1周壁12aの延在方向Xの一端部と接続され、延在方向Xの一方側に凸の状態で円弧状(半円状)に湾曲している。配線引き回し部15は、積層方向Yの一方側(カバー20側)に向けて開放される略U字状の断面を有しており、後述するカバー20側の配線引き回し部25と積層方向Yに重ねられる。一対の配線引き回し部15、25の内部空間部は、配索材Wが挿通される挿通空間部として機能し、当該挿通空間部の一端部は上述した収容空間部4と連通すると共に、他端部は上述した開口部2を構成している。
【0020】
また、ベース10の延在方向Xの両端部には、一対の取付部14、16が設けられている。取付部14は、ベース側第3周壁12cから鉛直方向Zの下側に突出した状態に設けられ、後述するカバー20側の取付部24と積層方向Yに重ねられる。そして、取付部14、24には、上述したプロテクタ1と車体とを締結するボルト等の締結部材が積層方向Yに貫通する取付穴14a、24aが設けられている。取付部16は、ベース側底壁11の延在方向Xの一端部に設けられ、後述するカバー20側の取付部26と積層方向Yに重ねられる。そして、取付部16、26には、上述したプロテクタ1と車体とを締結するボルト等の締結部材が積層方向Yに貫通する取付穴16c、26cが設けられている。
【0021】
カバー20は、ベース10に組み付けられ、当該ベース10における収容空間部4を覆う(塞ぐ)ものである。カバー20は、例えば、カバー側底壁21と、カバー側底壁21の周縁部に設けられたカバー側周壁22と、を有している。カバー側底壁21およびカバー側周壁22は、プロテクタ1の内部空間部としての上述した収容空間部4を区画するための構造体である。カバー側底壁21は、例えば、平板状に形成され、ベース側底壁11と対向するように延在方向Xに沿って延在している。カバー側底壁21の外面には、積層方向Yに沿って突出した複数のビード23(図1参照)が設けられている。複数のビード23は、カバー20を補強するためのものであり、例えば、延在方向Xおよび鉛直方向Zに沿って延びた格子状に形成される。
【0022】
カバー側周壁22は、カバー側底壁21の周縁部から積層方向Yの他方側に突出している。カバー側周壁22は、例えば、鉛直方向Zの下側に位置されるカバー側第1周壁22aと、鉛直方向Zの上側に位置されるカバー側第2周壁22bと、延在方向Xの他端部側(開口部2、3とは反対側)に位置されるカバー側第3周壁22cと、を含んで構成される。カバー側第1周壁22aおよびカバー側第2周壁22bは、延在方向Xに沿って直線状に延在している。カバー側第1周壁22aは、ベース側第1周壁12aの外側に重ねられ、カバー側第2周壁22bは、ベース側第2周壁12bの外側に重ねられる。カバー側第1周壁22aは、車両の床面と対向する。カバー側第3周壁22cは、カバー側第1周壁22aの延在方向Xの他端部22a2(図2参照)およびカバー側第2周壁22bの延在方向Xの他端部と接続され、延在方向Xの他方側に凸の状態で円弧状(半円状)に湾曲している。カバー側第3周壁22cは、ベース側第3周壁12cの外側に重ねられる。
【0023】
また、カバー20の延在方向Xの一端部には、配索材Wが引き回される配線引き回し部25が設けられている。配線引き回し部25は、カバー側第1周壁22aの延在方向Xの一端部22a1と接続され、延在方向Xの一方側に凸の状態で円弧状(半円状)に湾曲している。配線引き回し部25は、積層方向Yの他方側(ベース10側)に向けて開放される略U字状の断面を有しており、上述したベース10側の配線引き回し部15と積層方向Yに重ねられ、当該配線引き回し部15と共に配索材Wが挿通される挿通空間部を構成している。開口部2は、配線引き回し部15、25における収容空間部4とは反対側の端部に設けられ、開口部3は、配線引き回し部15、25における収容空間部4側の端部の近傍に設けられている。
【0024】
また、カバー20の延在方向Xの両端部には、一対の取付部24、26が設けられている。取付部24は、カバー側第3周壁22cから鉛直方向Zの下側に突出した状態に設けられ、上述したベース10側の取付部14と積層方向Yに重ねられる。また、取付部26は、カバー側底壁21の延在方向Xの一端部に設けられ、上述したベース10側の取付部16と積層方向Yに重ねられる。取付部26は、例えば、カバー側底壁21から積層方向Yの他方側(ベース10側)に凸状に突出した状態に設けられる。これにより、カバー側底壁21と取付部26の頂部26a(凸部)との間には、積層方向Yの段差部26bが形成される。段差部26bの側面は、配索材Wの折返し部W1(図2参照)に沿った円弧状に形成される。
【0025】
収容空間部4は、プロテクタ1内に形成され、一対の開口部2、3を介して外部と連通している。収容空間部4に配索された配索材Wは、積層方向Yから見た場合、鉛直方向Zの両側に直線状態にある直線部がそれぞれ配置され、鉛直方向Zの中央側に直線部を連結しかつ折返し状態にある折返し部W1が配置される。折返し部W1は、収容空間部4に収容された配索材Wのうち、延在方向Xの一方側から他方側にU字状に折り返された部分である。折返し部W1は、例えば、スライドシートのスライド移動に伴い、延在方向Xに沿って移動する。具体的には、折返し部W1は、スライドシートのスライド移動に伴って開口部2から出し入れされた場合に、段差部26bの側面と近接する第1位置P1と、カバー側第3周壁22cと近接する第2位置P2と、の間で延在方向Xに沿って移動可能である。配索材Wは、スライドシートのスライド移動に伴い、収容空間部4内で第1位置P1と第2位置P2との間で摺動する。このため、収容空間部4内で摺動する配索材Wの外面には、摺動を円滑に行わせるためのグリスG(図4参照)が塗布されている。
【0026】
係止機構30は、例えば、カバー20側に設けられた係止部31と、ベース10側に設けられた被係止部32と、を有している。係止部31は、例えば、カバー側第1周壁22aおよびカバー側第2周壁22bの外面に爪状に形成される。ここでは、カバー側第1周壁22aおよびカバー側第2周壁22bには、延在方向Xに互いに間隔をあけて複数の係止部31が設けられている。係止部31は、カバー側第1周壁22aおよびカバー側第2周壁22bから鉛直方向Zにおいて収容空間部4とは反対側に突出し、積層方向Yの一方側を向いた係止面31aを有している。係止面31aは、ベース10とカバー20とが係止された状態で、被係止部32と積層方向Yに対向する。
【0027】
被係止部32は、例えば、ベース側第1周壁12aおよびベース側第2周壁12bの外面に積層方向Yに沿って係止部31が挿入される開口を有した筒状に形成される。ここでは、被係止部32は、ベース側第1周壁12aおよびベース側第2周壁12bにおける係止部31と対応する位置に設けられており、当該係止部31が挿入および係止される。被係止部32は、積層方向Yの他方側を向いた被係止面32aを有している。被係止面32aは、係止面31aと積層方向Yに対向し、係止面31aと被係止面32aとが係止されることで、カバー20のベース10に対する積層方向Yの一方側への移動(抜け)が制限される。
【0028】
図3は、プロテクタ1の断面図であり、図4は、図3のリブ27近傍の拡大図である。図3、4に示されるように、本実施形態では、カバー20には、カバー側第1周壁22aに隣接してリブ27が設けられている。リブ27は、カバー側第1周壁22aとの間にベース側第1周壁12aを挟むようにカバー側底壁21から積層方向Yの他方側に突出している。リブ27の積層方向Yに沿った突出量は、カバー側第1周壁22aの積層方向Yに沿った突出量よりも小さく設定される。本実施形態では、リブ27は、カバー側第1周壁22aの延在方向Xの一端部22a1(図2参照)と他端部22a2との間に渡って延びるように設けられている。
【0029】
そして、本実施形態では、カバー20におけるリブ27とカバー側第2周壁22bとの間の鉛直方向Zに沿った第1開口幅b1は、ベース10におけるベース側第1周壁12aとベース側第2周壁12bとの間の鉛直方向Zに沿った第2開口幅b2よりも僅かに広く形成されている。これにより、カバー20に対してベース10が嵌合するように組み付けられることで、リブ27がベース側第1周壁12aをカバー側第1周壁22a側に押圧して弾性変形させ、リブ27とベース側第1周壁12aとの間をシールするシール部40を形成している。
【0030】
すなわち、本実施形態では、リブ27は、ベース10とカバー20とが組み付けられた状態において、自由状態よりも鉛直方向Zの上側に圧縮されている。これにより、リブ27の弾性変形に伴う力Fp1(弾性力)が生じ、リブ27の下面27aとベース側第1周壁12aとの間の面圧が増大してこれらの位置でのシール性が高められている。また、本実施形態では、上述した係止機構30は、リブ27の弾性変形に伴う力Fp1(弾性力)が生じた状態で、係止部31と被係止部32とが係止される。係止部31と被係止部32とが係止された状態では、カバー20のベース10に対する積層方向Yの一方側への移動(抜け)が制限され、リブ27の下面27aとベース側第1周壁12aとの間の面圧が増大した状態が保持される。
【0031】
また、本実施形態では、リブ27の先端部には、傾斜面27bが設けられている。傾斜面27bは、積層方向Yの他方側に向かうにつれて鉛直方向Zの上側に向かうように傾斜している。傾斜面27bは、カバー20に対するベース10の嵌合組み付け時のガイドとして機能する。すなわち、傾斜面27bは、リブ27とカバー側第1周壁22aとの間の隙間(凹部)にベース側第1周壁12aを嵌合(係合)する際に、当該ベース側第1周壁12aをリブ27とカバー側第1周壁22aとの間の隙間に案内するためのガイド面として機能する。
【0032】
以上のように、本実施形態のプロテクタ1およびワイヤハーネスWHでは、カバー20には、カバー側第1周壁22aとの間にベース側第1周壁12aを挟むようにカバー側底壁21から積層方向Yの他方側に突出したリブ27が設けられ、リブ27は、ベース10およびカバー20が組み付けられた状態で、ベース側第1周壁12aをカバー側第1周壁22a側に押圧して弾性変形させ、リブ27とベース側第1周壁12aとの間をシールするシール部40を形成している。この構成により、プロテクタ1およびワイヤハーネスWHは、例えば、シール部40によってベース10とカバー20とのうち鉛直方向Zの下側に位置されるリブ27とベース側第1周壁12aとの間の隙間を塞ぐことができる。この結果、プロテクタ1およびワイヤハーネスWHは、収容空間部4内に塗布されているグリスGの漏れを抑制することができ、ひいてグリスGの収容空間部4外への漏れによって生じる周辺部品への影響を抑制することができる。
【0033】
また、本実施形態のプロテクタ1およびワイヤハーネスWHは、リブ27は、カバー20において、カバー側第1周壁22aの積層方向Yおよび鉛直方向Zと交差する延在方向Xの一端部22a1と他端部22a2との間に渡って延びるように設けられる。この構成により、プロテクタ1およびワイヤハーネスWHは、例えば、カバー側第1周壁22aに沿って延在方向Xに延びたリブ27によって収容空間部4内に塗布されているグリスGの漏れをより確実に抑制することができる。
【0034】
また、本実施形態のプロテクタ1およびワイヤハーネスWHは、リブ27の先端部には、積層方向Yの他方側に向かうにつれて鉛直方向Zの上側に向かうように傾斜した傾斜面27bが設けられる。この構成により、プロテクタ1およびワイヤハーネスWHは、例えば、傾斜面27bによるガイド機能によってベース側第1周壁12aのリブ27に対する嵌合性(係合性)が向上し、ひいてはベース10とカバー20との組み付け作業の作業性をより高めることができる。
【0035】
また、本実施形態のプロテクタ1およびワイヤハーネスWHは、カバー20におけるリブ27とカバー側第2周壁22bとの間の鉛直方向Zに沿った第1開口幅b1は、ベース10におけるベース側第1周壁12aとベース側第2周壁12bとの間の鉛直方向Zに沿った第2開口幅b2よりも広く形成される。この構成により、プロテクタ1およびワイヤハーネスWHは、例えば、リブ27がベース側第1周壁12aをカバー側第1周壁22a側に押圧して弾性変形させ、リブ27とベース側第1周壁12aとの間をシールするシール部40を形成する構成を比較的容易に得ることができる。
【0036】
なお、本実施形態では、第1開口幅b1が第2開口幅d2よりも広く形成されることで、リブ27がベース側第1周壁12aをカバー側第1周壁22a側に押圧して弾性変形させる構成としたが、この例には限定されず、例えば、ベース側第1周壁12aが、カバー20側のリブ27と嵌合されていない自由状態において、図4の左斜め上方向に傾斜しており、それをリブ27で鉛直方向Zの下側に押し広げて組み付ける構成としてもよい。また、リブ27の先端部には、例えば、傾斜面27bが設けられなくてもよい。
【0037】
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、形式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 プロテクタ
2、3 開口部
4 収容空間部
10 ベース
11 ベース側底壁
12 ベース側周壁
12a ベース側第1周壁
12b ベース側第2周壁
20 カバー
21 カバー側底壁
22 カバー側周壁
22a カバー側第1周壁
22a1 一端部
22a2 他端部
22b カバー側第2周壁
27 リブ
27b 傾斜面
40 シール部
b1 第1開口幅
b2 第2開口幅
W 配索材
W1 折返し部
WH ワイヤハーネス
X 延在方向
Y 積層方向
Z 鉛直方向

図1
図2
図3
図4