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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150953
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】モータ制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 29/68 20160101AFI20241017BHJP
【FI】
H02P29/68
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064013
(22)【出願日】2023-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】弁理士法人服部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂口 浩二
(72)【発明者】
【氏名】山田 純
(72)【発明者】
【氏名】堀 文貴
(72)【発明者】
【氏名】中山 誠二
【テーマコード(参考)】
5H501
【Fターム(参考)】
5H501AA20
5H501DD09
5H501JJ04
5H501JJ17
5H501LL23
5H501LL38
5H501LL54
5H501MM09
(57)【要約】
【課題】適切に温度を推定可能なモータ制御装置を提供する。
【解決手段】ECU40は、駆動回路と、制御部50と、を備える。駆動回路は、モータへの通電を切り替える駆動素子を有する。制御部50は、モータの駆動状態を取得するモータ駆動状態取得部53、サーミスタ45の検出値に基づき駆動素子の周辺温度を基準温度Tbとして演算する温度演算部581、および、駆動素子の温度である素子温度を推定する温度推定部582を有する。温度推定部582は、モータ駆動実施ありと判断された場合、モータの駆動状態および基準温度Tbに基づいて上昇温度を推定し、モータ駆動実施なしと判定された場合、基準温度Tbに基づいて下降温度を推定する。温度推定部582は、加算値または減算値に基づき素子温度の推定値である推定素子温度Tmを更新する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ(10)への通電を切り替える駆動素子を有する駆動回路(41)と、
前記モータの駆動状態を取得する駆動状態取得部(53)、温度センサ(45)の検出値に基づき前記駆動素子の周辺温度を基準温度として演算する基準温度演算部(581)、および、前記駆動素子の温度である素子温度を推定する温度推定部(582)を有する制御部(50)と、
を備え、
前記温度推定部は、
モータ駆動実施ありと判定された場合、前記モータの駆動状態および前記基準温度に基づいて上昇温度を推定し、
モータ駆動実施なしと判定された場合、前記基準温度に基づいて下降温度を推定し、
前記上昇温度または前記下降温度に基づき前記素子温度の推定値を更新するモータ制御装置。
【請求項2】
前記上昇温度は、前記素子温度と前記基準温度との差に基づいて推定される請求項1に記載のモータ制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記駆動回路に印加される印加電圧を検出する電圧検出部(52)を有し、
前記上昇温度は、前記印加電圧に基づいて推定される請求項2に記載のモータ制御装置。
【請求項4】
前記モータは、シフトレンジの切り替えに係るアクチュエータであって、
前記モータの駆動状態には、レンジ切替角度が含まれ、
前記上昇温度は、今回のレンジ切り替えにおける前記レンジ切替角度に基づいて推定される請求項1~3のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
【請求項5】
前記モータは、シフトレンジの切り替えに係るアクチュエータであって、
前記モータの駆動状態には、レンジ切替時間が含まれ、
前記上昇温度は、今回のレンジ切り替えにおける前記レンジ切替時間に基づいて推定される請求項1~3のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
【請求項6】
前記モータは、シフトレンジの切り替えに係るアクチュエータであって、
前記モータの駆動状態には、レンジ切替駆動、および、基準位置学習駆動が含まれ、
前記上昇温度は、前記モータの駆動状態が前記レンジ切替駆動か前記基準位置学習駆動かに応じて推定される請求項1~3のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
【請求項7】
前記下降温度は、前記素子温度と前記基準温度との差に基づいて推定される請求項1に記載のモータ制御装置。
【請求項8】
前記下降温度は、前記モータの駆動終了からの経過時間に基づき、前記経過時間が短いほど大きくなるように推定される請求項7に記載のモータ制御装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記温度センサの故障を判定する故障判定部(55)を有し、
前記温度推定部は、前記温度センサが故障している場合、前記基準温度を所定値とする請求項1に記載のモータ制御装置。
【請求項10】
前記モータは、シフトレンジの切り替えに係るアクチュエータであって、
前記素子温度の推定値が高温判定閾値より高い場合、レンジ切り替えを禁止する請求項1に記載のモータ制御装置。
【請求項11】
前記制御部は、電源をオフしたときの前記素子温度の推定値である終了時素子温度を記憶する温度記憶部(59)を有し、
前記温度推定部は、電源オン時の前記素子温度の初期値を、前記終了時素子温度とする請求項1に記載のモータ制御装置。
【請求項12】
前記制御部は、電源をオフしたときの前記素子温度の推定値である終了時素子温度、および、電源をオフしたときの前記基準温度である終了時基準温度を記憶する温度記憶部(59)を有し、
前記温度推定部は、
電源をオフにしてから再度オンにする間の前記基準温度の温度低下量が判定閾値より大きい場合、電源オン時の前記素子温度の初期値を、電源オン時の前記基準温度とし、
電源をオフにしてから再度オンにする間の前記基準温度の前記温度低下量が前記判定閾値以下の場合、電源オン時の前記素子温度の初期値を、前記終了時素子温度とする請求項1に記載のモータ制御装置。
【請求項13】
前記制御部は、電源をオフしたときの前記素子温度の推定値である終了時素子温度を記憶する温度記憶部(59)を有し、
前記温度推定部は、電源オン時の前記基準温度が前記終了時素子温度より高い場合、電源オン時の前記素子温度の初期値を、電源オン時の前記基準温度とする請求項1に記載のモータ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータを駆動源としてシフトレンジを切り換えるレンジ切換機構の制御装置が知られている。例えば特許文献1では、レンジ切換操作が所定時間以下の短い操作間隔で連続して操作される操作回数が操作回数カウンタによりカウントされ、カウント値が所定値に達した時点で、通常制御から発熱抑制制御に切り換え、モータへの通電を一時的に禁止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4999395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では温度検出を行っていない。そのため、高温環境下でも成立するように、レンジ切り替えの上限回数を厳しめに設定する必要があり、本来よりも切替可能な回数が減ってしまう。また、駆動素子の温度は、搭載上、直接的に検出することが困難な場合がある。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、適切に駆動素子温度を推定可能なモータ制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のモータ制御装置は、駆動回路(41)と、制御部(50)と、を備える。駆動回路は、モータ(10)への通電を切り替える駆動素子を有する。制御部は、モータの駆動状態を取得する駆動状態取得部(53)、温度センサ(45)の検出値に基づき駆動素子の周辺温度を基準温度として演算する基準温度演算部(581)、および、駆動素子の温度である素子温度を推定する温度推定部(582)を有する。
【0007】
温度推定部は、モータ駆動実施ありと判定された場合、モータの駆動状態および基準温度に基づいて上昇温度を推定し、モータ駆動実施なしと判定された場合、基準温度に基づいて下降温度を推定する。温度推定部は、上昇温度または下降温度に基づき素子温度の推定値を更新する。これにより、駆動素子の温度を適切に推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態によるシフトバイワイヤシステムを示す模式図である。
図2】一実施形態による制御部を示すブロック図である。
図3】一実施形態による温度推定処理を説明するフローチャートである。
図4】一実施形態による推定素子温度の初期値設定を説明するタイムチャートである。
図5】一実施形態による加算値を説明する説明図である。
図6】一実施形態による減算値を説明する説明図である。
図7】一実施形態による減算値を説明する説明図である。
図8】一実施形態による基準温度設定処理を説明するフローチャートである。
図9】一実施形態による発熱判定処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(一実施形態)
以下、本発明によるモータ制御装置を図面に基づいて説明する。一実施形態によるモータ制御装置を図1図9に示す。図1に示すように、モータ制御装置としてのECU40は、例えばシフトバイワイヤシステム1に適用される。シフトバイワイヤシステム1は、モータ10、ディテント機構20、パーキングロック機構30、および、ECU40等を備える。
【0010】
モータ10は、例えばスイッチトリラクタンスモータであって、図示しない車両に搭載されるバッテリから電力が供給されることで回転し、ディテント機構20の駆動源として機能する。モータ10には、回転位置を検出するエンコーダ等の回転角センサが設けられている。
【0011】
モータ10の回転は、図示しない減速機を介して出力軸15に出力される。これにより、モータ10の回転がディテント機構20に伝達される。出力軸15には、出力軸15の角度を検出する出力軸センサ16が設けられる。
【0012】
ディテント機構20は、ディテントプレート21、ディテントスプリング25、および、ディテントローラ26等を有し、減速機から出力された回転駆動力を、マニュアルバルブ28、および、パーキングロック機構30へ伝達する。
【0013】
ディテントプレート21は、出力軸15に固定され、モータ10により駆動される。ディテントプレート21のディテントスプリング25側には、P(パーキング)、R(リバース)、N(ニュートラル)、D(ドライブ)の各レンジに対応する4つの谷部22が形成される。
【0014】
ディテントプレート21には、出力軸15と平行に突出するピン24が設けられる。ピン24は、マニュアルバルブ28と接続される。ディテントプレート21がモータ10によって駆動されることで、マニュアルバルブ28は軸方向に往復移動する。すなわち、ディテント機構20は、モータ10の回転運動を直線運動に変換してマニュアルバルブ28に伝達する。マニュアルバルブ28は、バルブボディ29に設けられる。マニュアルバルブ28が軸方向に往復移動することで、図示しない油圧クラッチへの油圧供給路が切り替えられ、油圧クラッチの係合状態が切り替わることでシフトレンジが変更される。
【0015】
ディテントスプリング25は、弾性変形可能な板状部材であり、先端にディテントローラ26が設けられる。ディテントスプリング25は、ディテントローラ26をディテントプレート21の回動中心側に付勢する。ディテントプレート21に所定以上の回転力が加わると、ディテントスプリング25が弾性変形し、ディテントローラ26が谷部22間を移動する。ディテントローラ26が谷部22のいずれかに嵌まり込むことで、ディテントプレート21の揺動が規制され、マニュアルバルブ28の軸方向位置、および、パーキングロック機構30の状態が決定され、シフトレンジが固定される。
【0016】
パーキングロック機構30は、パーキングロッド31、円錐体32、パーキングロックポール33、軸部34、および、パーキングギア35を有する。パーキングロッド31は、略L字形状に形成され、一端311側がディテントプレート21に固定される。パーキングロッド31の他端312側には、円錐体32が設けられる。円錐体32は、他端312側にいくほど縮径するように形成される。
【0017】
パーキングロックポール33は、円錐体32の円錐面と当接し、軸部34を中心に揺動可能に設けられる。パーキングロックポール33のパーキングギア35側には、パーキングギア35と噛み合い可能な凸部331が設けられる。ディテントプレート21の回転により円錐体32がP方向に移動すると、パーキングロックポール33が押し上げられ、凸部331とパーキングギア35とが噛み合う。一方、円錐体32がNotP方向に移動すると、凸部331とパーキングギア35との噛み合いが解除される。
【0018】
パーキングギア35は、図示しない車軸に設けられ、パーキングロックポール33の凸部331と噛み合い可能に設けられる。パーキングギア35と凸部331とが噛み合うと、車軸の回転が規制される。シフトレンジがPレンジ以外のレンジであるNotPレンジのとき、パーキングギア35はパーキングロックポール33によりロックされず、車軸の回転は、パーキングロック機構30により妨げられない。また、シフトレンジがPレンジのとき、パーキングギア35はパーキングロックポール33によってロックされ、車軸の回転が規制される。
【0019】
ECU40は、駆動回路41、サーミスタ45、および、制御部50等を有する。駆動回路41は、図示しない駆動素子を有し、駆動素子をスイッチングすることでモータ巻線の通電を切り替える。サーミスタ45は、駆動素子と同一の基板に実装され、駆動素子の周辺温度として基板温度を検出する。
【0020】
制御部50は、マイコン等を主体として構成され、内部にはいずれも図示しないCPU、ROM、RAM、I/O、及び、これらの構成を接続するバスライン等を備えている。制御部50における各処理は、ROM等の実体的なメモリ装置(すなわち、読み出し可能非一時的有形記録媒体)に予め記憶されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理であってもよいし、専用の電子回路によるハードウェア処理であってもよい。
【0021】
制御部50は、駆動制御部51、電圧検出部52、モータ駆動状態取得部53、ECU状態判定部54、故障判定部55、および、発熱判定処理部58等を有する。駆動制御部51は、駆動回路41の駆動素子のオンオフ作動を制御することで、モータ10の駆動を制御する。電圧検出部52は、駆動回路41に印加される印加電圧Vを検出する。本実施形態では、図示しない電圧センサにより検出されるバッテリ電圧を印加電圧Vとする。
【0022】
モータ駆動状態取得部53は、モータ10の駆動状態を取得する。モータ10の駆動状態には、モータ10の駆動有無が含まれ、モータ駆動ありの場合、駆動モードや切替前後のシフトレンジに係る情報等が含まれる。ECU状態判定部54は、ECU40の起動状態を判定する。なお、ECU40の終了判定後、終了処理実施時間は、制御部50にて終了処理等の各種処理を実行可能である。故障判定部55は、サーミスタ45の故障を検出する。
【0023】
図2に示すように、発熱判定処理部58は、基準温度演算部581、温度推定部582、および、発熱判定部583を有する。基準温度演算部581は、サーミスタ45の検出値に基づき、基準温度Tbを演算する。本実施形態では、基準温度Tbは、基板温度である。基準温度Tbの演算については後述する。
【0024】
温度推定部582は、基準温度Tb、サーミスタ45の故障判定、および、モータ10の駆動状態等に基づき、駆動素子の温度を推定する。以下、駆動素子温度の推定値を推定素子温度Tmとする。発熱判定部583は、推定素子温度Tmに基づき、駆動素子の発熱判定を行う。
【0025】
ところで、シフトバイワイヤシステム1において、運転者が無用なレンジ切替操作を頻繁に繰り返した場合、モータ10や駆動素子の温度が上昇する虞がある。例えば、温度上昇を抑制すべく、短い操作間隔で連続して操作される回数をカウントし、カウント値が所定値に達した時点で通常制御から発熱抑制制御(例えばモータ通電禁止)に切り替える。しかしながら、温度検出をせずにカウント値に基づいて発熱抑制制御に切り替える場合、高温環境下でも成立するように、厳しめに回数を設定する必要があり、切替可能回数が本来可能な回数よりも減ってしまう。
【0026】
また、モータ10の発熱よりも駆動素子の発熱の方が厳しい場合、駆動素子の発熱を見越して切替可能回数がさらに制限される虞があるが、駆動素子そのものの温度を計測することは搭載上困難である。そこで本実施形態では、基準温度Tbから駆動素子の温度を推定し、推定素子温度Tmに基づいて発熱判定を行うことで、適切な切替可能回数とすることができ、カウント値で発熱抑制制御に切り替える場合と比較し、実施可能回数を増やすことができる。
【0027】
本実施形態の温度推定処理を図3のフローチャートに基づいて説明する。この処理は、制御部50にて所定の周期で実施される。以下、ステップS101等の「ステップ」を省略し、単に記号「S」と記す。
【0028】
S101では、制御部50は、ECU40の起動時か否か判断する。ECU40の起動時ではないと判断された場合(S101:NO)、S104へ移行する。ECU40の起動時であると判断された場合(S101:YES)、S102へ移行し、S105で書き込まれた終了時素子温度Tm_fおよび終了時基準温度Tb_fを読み出す。
【0029】
S103では、発熱判定処理部58は、素子温度の初期値Tm_iを設定する。初期値Tm_iの設定を図4に基づいて説明する。図4では、横軸を時間、縦軸を温度とするが、タイムスケールは実際とは必ずしも一致しない。また、基準温度Tbを実線、推定素子温度Tmを一点鎖線で示した。ECU40の電源オフ時の基準温度を終了時基準温度Tb_f、電源オン時の基準温度を起動時基準温度Tb_w、終了時基準温度Tb_fから起動時基準温度Tb_wを減算した値を基準温度低下量ΔTbとする(式(1)参照)。
【0030】
ΔTb=Tb_f-Tb_w ・・・(1)
【0031】
時刻x11にてECU40の電源をオフにし、時刻x12にてオンにしたとき、基準温度低下量ΔTbが温度低下判定閾値Tb_thより大きい場合、前回の電源オフから駆動素子が冷却されるのに十分な時間が経っており、通電により上昇した推定素子温度Tmが基準温度Tbと同等程度まで下がっている蓋然性が高いため、素子温度の初期値Tm_iを起動時基準温度Tb_wとする。
【0032】
時刻x13にてECU40の電源をオフにし、時刻x14にてオンにしたとき、基準温度低下量ΔTbが温度低下判定閾値Tb_th以下の場合、前回の電源オフからあまり時間が経過しておらず、通電により上昇した推定素子温度Tmが基準温度Tbまで下がっていない蓋然性が高いため、素子温度の初期値Tm_iを終了時素子温度Tm_fとする。
【0033】
時刻x15にてECU40の電源をオフにし、時刻x16にてオンにしたとき、外気温の上昇等により起動時基準温度Tb_wが終了時基準温度Tb_fより高い場合、終了時素子温度Tm_fまたは起動時基準温度Tb_wの高い方の値を素子温度の初期値Tm_iとする。この例では、Tm_f<Tb_wであるので、素子温度の初期値Tm_iを起動時基準温度Tb_wとする。
【0034】
図3に戻り、S101にて否定判断されて移行するS104では、制御部50は、ECU40の終了時か否か判断する。ECU40の終了時であると判断された場合(S104:YES)、S105へ移行し、現在の素子温度を終了時素子温度Tm_f、基準温度を終了時基準温度Tb_fとして、不揮発性メモリである温度記憶部59に書き込む。ECU40の終了時ではないと判断された場合(S104:NO)、S106へ移行する。
【0035】
S106では、発熱判定処理部58は、モータ10の駆動が実施されたか否か判断する。モータ10の駆動が実施されていないと判断された場合(S106:NO)、S108へ移行する。モータ10の駆動が実施されたと判断された場合(S106:YES)、S107へ移行する。
【0036】
S107では、発熱判定処理部58は、加算値ADを読み込み、推定素子温度Tmの前回値に加算値ADを加算し、推定素子温度Tmの今回値とする(式(2)参照)。添え字の(n)は今回値、(n-1)は前回値を意味する。
【0037】
加算値ADは、モータ10の1駆動、例えば1回のレンジ切り替えにおける駆動素子の上昇温度に基づいて設定される値である。図5に示すように、加算値ADは、印加電圧V、推定素子温度Tmから基準温度Tbを減算した値である温度偏差ΔT(式(3)参照)、および、モータ10の駆動状態を引数として演算される。図5のマップは一例であり、閾値の数等は適宜設定可能である。図6および図7も同様である。
【0038】
Tm(n)=Tm(n-1)+AD ・・・(2)
ΔT=Tm-Tb ・・・(3)
【0039】
印加電圧Vが電圧判定閾値Vthより小さい場合、マップ上段を用い、壁当て駆動時の加算値AD=UPWL1、切替駆動時の加算値AD=UPCP1とする。印加電圧Vが電圧判定閾値Vth以上である場合、マップ下段を用い、壁当て駆動時の加算値AD=UPWL2、切替駆動時の加算値AD=UPCP2とする。印加電圧Vが大きいと、推定素子温度Tmは上昇しやすいため、値UPWL2は値UPWL1よりも相対的に大きく、値UPCP2は値UPCP1よりも相対的に大きい。
【0040】
温度偏差ΔTに係る閾値a、b、cの大小関係は、a<b<cである。すなわち、ΔT<aのとき、推定素子温度Tmと基準温度Tbとの差が相対的に小さく、ΔT≧cのとき、推定素子温度Tmと基準温度Tbとの差が相対的に大きい。例えば印加電圧V<Vth、モータ10の駆動状態が壁当てのとき、ΔT<aのときの加算値AD=UPWL1_1が最も大きく、次いでUPWL1_2、UPWL1_3であって、ΔT≧cのときの値UPWL1_4が最も小さい。すなわち、駆動素子温度に対して周辺温度が低い場合、通電により駆動素子が昇温しにくいため、加算値ADを相対的に小さくする。印加電圧V≧Vthの場合、壁当て駆動以外の場合も同様である。
【0041】
モータ10の駆動状態には、壁当て駆動、および、各レンジの切替駆動が含まれる。壁当て駆動では、ディテントローラ26をP側またはD側の駆動限界まで移動させ、壁位置を基準位置として学習する。壁当て駆動では、ディテントローラ26が壁に当接したときの衝撃を抑えるべく、トルク抑制制御とするため、通常のレンジ切替駆動よりも発熱量が大きい。したがって、印加電圧Vおよび温度偏差ΔTが同じであれば、壁当て駆動時の加算値AD=UPLWは、切替時の加算値AD=UPCPよりも相対的に大きい。
【0042】
各レンジの切替駆動では、レンジ切替角度に応じた加算値が設定されている。例えば、P-D切替時は、他のレンジ切替時よりも切替角度が大きく、通電時間が長くなるため、P-D切替時の加算値は、他のレンジ切替時よりも加算値ADを相対的に大きくする、といった具合である。また例えば、R-N切替角度とN-D切替角度が等しい場合、UPCP1_5=UPCP1_9のように、値が等しくてもよい。なお、切替角度が大きいほど、切替時間が長くなるため、加算値ADは、レンジ切替時間に応じて設定されている、と捉えることもできる。また、マップ演算に替えて、レンジ切替角度やレンジ切替時間等を用いた数式演算にて加算値ADを決定してもよい。
【0043】
図3に戻り、S106にて否定判断されて移行するS108では、発熱判定処理部58は、モータ10の駆動停止からの経過時間Xstopが、第1停止判定時間Xth1未満か否か判断する。駆動停止からの経過時間Xstopが第1停止判定時間Xth1未満であると判断された場合(S108:YES)、S109へ移行する。S109では、発熱判定処理部58は、減算値SU1を読み込み、推定素子温度Tmの前回値から減算値SU1を減算し、推定素子温度Tmの今回値とする(式(4))。
【0044】
モータ10の駆動停止からの経過時間Xstopが第1停止判定時間Xth1以上であると判断された場合(S108:NO)、S110へ移行する。S110では、発熱判定処理部58は、モータ10の駆動停止からの経過時間Xstopが、第2停止判定時間Xth2未満か否か判断する。第2停止判定時間Xth2は、第1停止判定時間Xth1より大きい値に設定される。駆動停止からの経過時間Xstopが第1停止判定時間Xth1以上、第2停止判定時間Xth2未満であると判断された場合(S110:YES)、S111へ移行する。S111では、発熱判定処理部58は、減算値SU2を読み込み、推定素子温度Tmの前回値から減算値SU2を減算し、推定素子温度Tmの今回値とする(式(5))。駆動停止からの経過時間Xstopが第2停止判定時間Xth2以上であると判断された場合(S110:NO)、S112へ移行し、推定素子温度Tmを基準温度Tbとする。
【0045】
Tm(n)=Tm(n-1)-SU1 ・・・(4)
Tm(n)=Tm(n-1)-SU2 ・・・(5)
【0046】
減算値SU1、SU2は、モータ10の駆動停止からの経過時間Xstopに応じて設定される値である。モータ10の駆動停止直後は、単位時間Xi(例えば0.5[s])あたりの推定素子温度の下げ幅が相対的に大きく、駆動停止から時間が経過するにしたがって下げ幅は小さくなる。そこで本実施形態では、モータ10の駆動停止からの経過時間に応じ、駆動停止からの経過時間Xstopが小さいほど減算値が大きくなるように設定している。すなわち、温度偏差ΔTが等しい場合、SU1>SU2である。ここでは減算値SUを2段階としているが、3段階以上としてもよいし、経過時間Xstopを用いた数式演算にて減算値SUを決定してもよい。
【0047】
減算値SU1を図6、減算値SU2を図7に示す。温度偏差ΔTに係る閾値d、e、f、gの大小関係は、d<e<f<gである。すなわち、ΔT<dのとき、推定素子温度Tmと基準温度Tbとの差が相対的に小さく、ΔT≧gのときは、推定素子温度Tmと基準温度Tbとの差が相対的に大きい。
【0048】
図6に示すように、ΔT<dのとき、減算値SU1を0にする。また、小さい方から順に、DWN1_1、DWN1_2、DWN1_3であって、ΔT≧gのときの値DWN1_4が最も大きい。図7に示すように、ΔT<dのとき、減算値SU2を0にする。また、小さい方から順に、DWN2_1、DWN2_2、DWN2_3であって、ΔT≧gのときの値DWN2_4が最も大きい。すなわち、駆動素子温度に対して周辺温度が低い場合、無通電状態にて温度低下しやすいため、減算値SUを相対的に大きくする。
【0049】
基準温度設定処理を図8のフローチャートに基づいて説明する。S201では、基準温度演算部581は、サーミスタ45から検出値を取得する。S202では、基準温度演算部581は、サーミスタ45の検出値が正常か否か判断する。サーミスタ45の検出値が正常であると判断された場合(S202:YES)、S203へ移行する。サーミスタ45の検出値が異常であると判断された場合(S202:NO)、S204へ移行する。
【0050】
S203では、基準温度演算部581は、サーミスタ45の検出値に基づき、基準温度Tbを演算する。サーミスタ45が複数(例えば2つ)の検出素子から構成されている場合、平均値を基準温度Tbとする。また、平均値以外の演算値や代表値を基準温度Tbとしてもよい。
【0051】
S204では、基準温度演算部581は、サーミスタ45の検出値を用いず、基準温度Tbを所定値とする。本実施形態では、サーミスタ45が正常時であるときに検出される最高温度Tb_max(例えば90℃)を基準温度Tbとする。これにより、サーミスタ45が故障した場合であっても、駆動素子の温度を推定可能である。また、最悪状態を想定し、基準温度Tbを最高温度Tb_maxとすることで、駆動素子の熱破壊を防ぐことができる。設定された基準温度Tbは、推定素子温度Tmの演算に用いられる。
【0052】
発熱判定処理を図9のフローチャートに基づいて説明する。S301では、発熱判定部583は、推定素子温度Tmがガード温度Tgより高いか否か判断する。ガード温度Tgは、駆動素子が熱破壊されないように、駆動素子の熱破壊が生じる温度に応じて設定される。推定素子温度Tmがガード温度Tgより高いか否か判断する。推定素子温度Tmがガード温度Tgより高いと判断された場合(S301:YES)、S302へ移行し、発熱判定フラグFlg_hをオンにする。推定素子温度Tmがガード温度Tg以下であると判断された場合(S301:NO)、S303へ移行し、発熱判定フラグFlg_hをオフにする。
【0053】
発熱判定フラグFlg_hは、駆動制御部51に送られる。駆動制御部51では、発熱判定フラグFlg_hがオフのとき通常制御にてレンジ切り替えを行い、発熱判定フラグFlg_hがオンのとき発熱抑制制御とする。本実施形態では、発熱抑制制御として、レンジ切り替えを禁止する。
【0054】
以上説明したように、ECU40は、駆動回路41と、制御部50と、を備える。駆動回路41は、モータ10への通電を切り替える駆動素子を有する。制御部50は、モータ10の駆動状態を取得するモータ駆動状態取得部53、サーミスタ45の検出値に基づき駆動素子の周辺温度を基準温度Tbとして演算する基準温度演算部581、および、駆動素子の温度である素子温度を推定する温度推定部582を有する。
【0055】
温度推定部582は、モータ駆動実施ありと判断された場合、モータの駆動状態および基準温度Tbに基づいて上昇温度を推定し、モータ駆動実施なしと判定された場合、基準温度Tbに基づいて下降温度を推定する。温度推定部582は、加算値ADまたは減算値SUに基づき素子温度の推定値である推定素子温度Tmを更新する。詳細には、加算値ADを加算、または、減算値SUを減算することで推定素子温度Tmを演算する。
【0056】
これにより、駆動素子の温度を適切に推定可能である。例えばECU40をシフトバイワイヤシステム1に適用した場合、素子温度推定を行わずに最悪条件を想定して短期間でのレンジ切り替えの上限回数を設定する場合と比較し、通常使用される温度領域における切り替え可能回数を増やすことができる。
【0057】
モータ駆動実施ありと判定された場合の素子温度推定に用いる加算値ADは、推定素子温度Tmと基準温度Tbとの差である温度偏差ΔTに基づいて推定される。ここで、加算値ADの演算に用いられる推定素子温度Tmは前回値または初期値であって、加算値ADを用いて推定素子温度Tmの今回値を演算する、と捉えることもできる。本実施形態では、加算値ADは間欠的に駆動されるモータ10の駆動1回あたりの値であって、シフトバイワイヤシステム1においてはレンジ切り替えまたは壁当て1回あたりの値である。これにより、電流検出値等を用いることなく比較的簡素な演算にてモータ駆動時の推定素子温度Tmを演算可能である。
【0058】
制御部50は、駆動回路41に印加される印加電圧を検出する電圧検出部52を有する。加算値ADは、印加電圧Vに基づいて推定される。これにより、より適切にモータ駆動時の推定素子温度Tmを演算可能である。
【0059】
モータ10の駆動状態には、レンジ切替角度またはレンジ切替時間が含まれる。加算値ADは、今回のレンジ切り替えにおけるレンジ切替角度またはレンジ切替時間に基づいて推定される。また、モータ10の駆動状態には、レンジ切替駆動、および、壁当て駆動が含まれる。加算値ADは、モータ10の駆動状態がレンジ切替駆動か壁当て駆動かに応じて推定される。これにより、シフトバイワイヤシステム1における駆動素子の温度を精度よく推定可能であるので、切替可能回数を増やすことができる。
【0060】
モータ駆動実施なしと判定された場合の素子温度推定に用いる減算値SUは、推定素子温度Tmと基準温度Tbとの差に基づいて推定される。ここで、減算値SUの演算に用いられる推定素子温度Tmは前回値または初期値であって、減算値SUを用いて推定素子温度Tmの今回値を演算する、と捉えることもできる。また、減算値SUは、モータ10の駆動終了からの経過時間Xstopに基づき、経過時間Xstopが短いほど大きくなるように推定される。これにより、モータ駆動が実施されていないときの推定素子温度Tmを適切に演算可能である。
【0061】
制御部50は、サーミスタ45の故障を判定する故障判定部55を有する。温度推定部582は、サーミスタ45が故障している場合、基準温度Tbを所定値とする。本実施形態では、所定値は、最悪条件に応じて設定される値であって、最高温度Tb_maxとする。これにより、サーミスタ45が故障した場合であっても、駆動素子の熱破壊を防止しつつ、レンジ切り替えを継続可能である。
【0062】
モータ10は、シフトレンジの切り替えに係るアクチュエータであって、推定素子温度Tmがガード温度Tgより高い場合、レンジ切り替えを禁止する。これにより、駆動素子の熱破壊を防止することができる。
【0063】
制御部50は、ECU40の電源をオフしたときの素子温度である終了時素子温度Tm_f、および、電源をオフしたときの基準温度である終了時基準温度Tb_fを記憶する温度記憶部59を有する。
【0064】
温度推定部582は、ECU40の電源をオフにしてから再度オンにする間の基準温度の温度低下量が判定閾値より大きい場合、すなわち、基準温度低下量ΔTb>Tb_thの場合、電源オン時の素子温度の初期値Tm_iを、電源オン時の基準温度である起動時基準温度Tb_wとする。また、温度推定部582は、ECU40の電源をオフにしてから再度オンにする間の基準温度の温度低下量が判定閾値以下の場合、すなわち0≦ΔTb≦Tb_thの場合、電源オン時の素子温度の初期値Tm_iを終了時素子温度Tm_fとする。
【0065】
また、素子温度が基準温度を下回ることはないので、温度推定部582は、起動時基準温度Tb_wが終了時素子温度Tm_fより高い場合、電源オン時の素子温度の初期値Tm_iを、起動時基準温度Tb_wとする。これにより、電源オン時の素子温度の初期値Tm_iを適切に設定でき、推定素子温度Tmを適切に演算可能である。
【0066】
また、基準温度低下量ΔTbによらず、電源オン時の素子温度の初期値Tm_iを、終了時素子温度Tm_fとしてもよい。これにより、ECU40がすぐに再起動された場合であっても、熱破壊を防止することができる。
【0067】
実施形態では、ECU40が「モータ制御装置」、サーミスタ45が「温度センサ」、モータ駆動状態取得部53が「駆動状態取得部」に対応する。また、加算値ADが「上昇温度」、減算値SUが「下降温度」、温度低下判定閾値Tb_thが「(温度低下量の判定に係る)判定閾値」、ガード温度Tgが「高温判定閾値」、壁当て駆動が「基準位置学習駆動」に対応する。
【0068】
(他の実施形態)
上記実施形態では、モータとしてSRモータを例示した。他の実施形態では、モータは、ブラシレスDCモータ等、SRモータ以外のものであってもよい。上記実施形態では、温度センサはサーミスタである。他の実施形態では、温度センサはサーミスタ以外のものであってもよい。また、上記実施形態では、温度センサは、駆動素子と同一の基板に実装される。他の実施形態では、駆動素子の周辺温度を検出可能であれば、温度センサは、駆動素子と同一基板実装以外の箇所に設けてもよい。また、他の装置で用いている温度情報を通信等で取得して用いてもよい。
【0069】
上記実施形態では、ディテントプレートには各レンジに対応する4つの谷部が形成されている。他の実施形態では、ディテントプレートの谷部の数は、4つに限らず2以上の任意の数であってもよい。また、ディテント機構やパーキングロック機構の構成や配置等は、上記実施形態と異なっていてもよい。
【0070】
上記実施形態では、モータ制御装置は、シフトレンジの切り替えに係るシフトバイワイヤシステムに適用される。他の実施形態では、モータ制御装置は、シフトバイワイヤシステム以外の車載装置に適用されてもよい。また、車載以外の装置に適用されてもよい。
【0071】
「前記モータは、シフトレンジの切り替えに係るアクチュエータであって、前記モータの駆動状態には、レンジ切替駆動、および、基準位置学習駆動が含まれ、前記上昇温度は、前記モータの駆動状態が前記レンジ切替駆動か前記基準位置学習駆動かに応じて推定される」点についての開示は、モータ制御装置に係る各開示と組み合わせてもよい。
【0072】
「下降温度は、前記素子温度と前記基準温度との差に基づいて推定される」点についての開示は、モータ制御装置に係る各開示と組み合わせてもよい。
【0073】
「前記制御部は、前記温度センサの故障を判定する故障判定部(55)を有し、前記温度推定部は、前記温度センサが故障している場合、前記基準温度を所定値とする」点についての開示は、モータ制御装置に係る各開示と組み合わせてもよい。
【0074】
「前記モータは、シフトレンジの切り替えに係るアクチュエータであって、前記素子温度の推定値が高温判定閾値より高い場合、レンジ切り替えを禁止する」点についての開示は、モータ制御装置に係る各開示と組み合わせてもよい。
【0075】
「前記制御部は、電源をオフしたときの前記素子温度である終了時素子温度を記憶する温度記憶部(59)を有し、前記温度推定部は、電源オン時の前記素子温度の初期値を、前記終了時素子温度とする」点についての開示は、モータ制御装置に係る各開示と組み合わせてもよい。
【0076】
「前記制御部は、電源をオフしたときの前記素子温度である終了時素子温度、および、電源をオフしたときの前記基準温度である終了時基準温度を記憶する温度記憶部(59)を有し、前記温度推定部は、電源をオフにしてから再度オンにする間の前記基準温度の温度低下量が判定閾値より大きい場合、電源オン時の前記素子温度の初期値を電源オン時の前記基準温度とし、電源をオフにしてから再度オンにする間の前記基準温度の前記温度低下量が前記判定閾値以下の場合、電源オン時の前記素子温度の初期値を前記終了時素子温度とする」点についての開示は、モータ制御装置に係る各開示と組み合わせてもよい。
【0077】
「前記制御部は、電源をオフしたときの前記素子温度の推定値である終了時素子温度を記憶する温度記憶部(59)を有し、前記温度推定部は、電源オン時の前記基準温度が前記終了時素子温度より高い場合、電源オン時の前記素子温度の初期値を、電源オン時の前記基準温度とする」点についての開示は、モータ制御装置に係る各開示と組み合わせてもよい。
【0078】
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0079】
1・・・シフトバイワイヤシステム
10・・・モータ
40・・・ECU(モータ制御装置)
41・・・駆動回路
45・・・サーミスタ(温度センサ)
50・・・制御部
51・・・駆動制御部
53・・・モータ駆動状態取得部(駆動状態取得部)
58・・・発熱判定処理部
581・・・基準温度演算部 582・・・温度推定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9