(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150968
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】センサユニット及び収集装置
(51)【国際特許分類】
G01K 15/00 20060101AFI20241017BHJP
【FI】
G01K15/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064044
(22)【出願日】2023-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】314005768
【氏名又は名称】PHCホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三宅 永至
(72)【発明者】
【氏名】細江 良則
【テーマコード(参考)】
2F056
【Fターム(参考)】
2F056XA07
(57)【要約】
【課題】測定精度を自らが保証可能とすること。
【解決手段】センサユニットは、環境情報を収集する収集装置に着脱可能なセンサユニットであって、環境情報に相関する値を検出してアナログ値として出力するセンサ素子と、センサ素子から出力されたアナログ値を測定し、測定されたアナログ値をデジタル値に変換して収集装置に入力する変換部と、変換部で測定されたアナログ値の測定誤差を補正するようデジタル値を補正するデータを有する補正データ部と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境情報を収集する収集装置に着脱可能なセンサユニットであって、
前記環境情報に相関する値を検出してアナログ値として出力するセンサ素子と、
前記センサ素子から出力された前記アナログ値を測定し、測定された前記アナログ値をデジタル値に変換して前記収集装置に入力する変換部と、
前記変換部で測定された前記アナログ値の測定誤差を補正するよう前記デジタル値を補正するデータを有する補正データ部と、
を備える、
センサユニット。
【請求項2】
前記測定誤差は、前記変換部において前記測定値を測定する測定回路による誤差であり、
前記補正データ部は、前記測定回路による誤差を補正する回路補正データを有する、
請求項1に記載のセンサユニット。
【請求項3】
前記補正データ部は、更に、前記変換部から出力された前記デジタル値を前記環境情報の真値に対応するデジタル値に変換する変換テーブルを有する、
請求項1に記載のセンサユニット。
【請求項4】
請求項1に記載のセンサユニットが着脱可能な収集装置であって、
前記センサユニットの前記変換部から入力される前記デジタル値と、前記補正データ部から入力されるデータと、に基づいて、前記環境情報の真値を求める演算部を備える、
収集装置。
【請求項5】
前記環境情報の真値を他の装置に送信する通信部を備える、
請求項4に記載の収集装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサユニット及び収集装置に関する。
【背景技術】
【0002】
温度管理が必要な製品の1つとして、例えば、医薬品は、その品質を保つため、医薬品を保管する保管温度等を管理することが重要である。医薬品は、例えば、保冷庫で保冷して保管されるが、保冷庫の温度センサとは別の温度センサを有する収集装置を用いて、保管温度を収集し、医薬品が適切な保管温度で管理されていることを監視するようにしている。このようにして収集装置が収集した保管温度のデータは、保冷庫が適切な保管温度で医薬品を管理していることの証拠(エビデンス)にもなる。
【0003】
保管温度を測定する温度センサとしては、例えば、サーミスタ等が用いられるが、サーミスタ等は、温度変化に対する出力変化が製品毎にばらつくことがある。そのため、例えば、特許文献1では、温度センサと、温度センサの出力変化と実際の温度変化との間の誤差を補正する補正データを記憶した不揮発性メモリと、を有する温度センサユニットが開示されている。特許文献1では、温度センサからの出力を収集装置(特許文献1では測定装置本体)側で温度データに変換する。収集装置は、温度センサの出力変化に誤差がある場合、不揮発性メモリに記憶した補正データを読み込み、補正データで誤差を補正して、正確な温度に換算するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
引用文献1に示す収集装置においては、収集装置側で温度センサからの出力(アナログ値)を温度データ(デジタル値)に変換している。このような、アナログ値をデジタル値へ変換するADコンバータにおいては、その実装部品の特性のばらつきにより、アナログ値を測定する際に誤差が生じる可能性がある。つまり、引用文献1に示すような構成の収集装置では、温度センサの出力変化の誤差は補正データにより補正可能であるが、ADコンバータによる誤差を含めた補正までは行っていない。そのため、そのままでは、温度の測定精度の保証はできず、測定した温度のデータを証拠(エビデンス)とすることは難しい。
【0006】
温度の測定精度を保証するためには、メーカー側等で、温度センサを収集装置に接続した状態で、ADコンバータも含めて、温度校正を行う必要がある。更に、定期点検をする場合や温度センサを交換する場合には、メーカー側等が温度センサ及び収集装置を引き取り、温度センサを収集装置に接続した状態で、ADコンバータも含めて、温度校正を行う必要がある。このように、測定精度を継続的に保証するためには、メーカー側等で校正作業を行う必要があるため、このような校正作業が不要となるよう、測定精度を自らが保証可能なセンサユニットが望まれている。
【0007】
本発明の目的は、測定精度を自らが保証可能なセンサユニット及び収集装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るセンサユニットは、
環境情報を収集する収集装置に着脱可能なセンサユニットであって、
前記環境情報に相関する値を検出してアナログ値として出力するセンサ素子と、
前記センサ素子から出力された前記アナログ値を測定し、測定された前記アナログ値をデジタル値に変換して前記収集装置に入力する変換部と、
前記変換部で測定された前記アナログ値の測定誤差を補正するよう前記デジタル値を補正するデータを有する補正データ部と、
を備える。
【0009】
本発明に係る収集装置は、
前記センサユニットが着脱可能な収集装置であって、
前記センサユニットの前記変換部から入力される前記デジタル値と、前記補正データ部から入力されるデータと、に基づいて、前記環境情報の真値を求める演算部を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、測定精度をセンサユニット自らが保証することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】本発明の実施の形態に係るセンサユニットの一例を示す斜視図である。
【
図1B】
図1Aに示したセンサユニットを示す図であって、収集装置へ接続する側の面を示す図である。
【
図2A】
図1A、
図1Bに示したセンサユニットを取り付ける収集装置の一例を示す正面図である。
【
図2D】
図2Cに示した収集装置の背面において、カバーを取り外した状態を示す図である。
【
図2E】
図2Dに示したカバーを取り外した収集装置の背面において、本発明の実施の形態に係るセンサユニットを取り付けた状態を示す図である。
【
図3】従来のセンサ素子及び収集装置を説明する概略図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係るセンサユニット及び収集装置を説明する概略図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係る収集装置における温度データの取得方法を説明するフローチャートである。
【
図6】本発明の実施の形態に係る収集装置を用いる監視システムの一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は一例であり、本発明は、これに限定されるものではない。
【0013】
図1Aは、本実施の形態に係るセンサユニット10の一例を示す斜視図である。
図1Bは、
図1Aに示したセンサユニット10を示す図であって、後述する収集装置20へ接続する側の面を示す図である。
【0014】
センサユニット10は、センサ素子11を有する。センサ素子11は、ここでは、一例として、温度に相関する値を検出してアナログ値(例えば、電圧値)として出力するセンサ素子であり、例えば、サーミスタや白金抵抗測温体(Platinum Thermometer)等である。
【0015】
センサユニット10は、一例として、直方体の筐体10aを有し、センサ素子11は、ケーブル11aを介して、筐体10a内の回路(基板)に電気的に接続される。
【0016】
詳細は、後述の
図4において説明するが、センサユニット10は、更に、ADコンバータ12(本発明における変換部)、補正データ部13を備え、筐体10a内において、センサ素子11は、ADコンバータ12に電気的に接続される。
【0017】
また、センサユニット10は、筐体10aにおいて、収集装置20へ接続する側の面に、センサユニット10を収集装置20へ電気的に接続するコネクタポート14を有する。コネクタポート14は、後述の
図2Dに示すコネクタ33と接続される。コネクタポート14をコネクタ33と接続することにより、センサユニット10は、後述する変換データ及び補正データを収集装置20へ入力することになる。
【0018】
センサユニット10を取り付ける収集装置20について、
図2A~
図2Eを参照して説明する。
【0019】
図2A~
図2Eは、センサユニット10を取り付ける収集装置の一例である収集装置20を示す図である。
図2Aは収集装置20の正面図であり、
図2Bは収集装置20の底面図であり、
図2Cは収集装置20の背面図である。また、
図2Dは、
図2Cに示した収集装置20の背面において、カバー26を取り外した状態を示す図であり、
図2Eは、
図2Dに示したカバー26を取り外した収集装置20の背面において、センサユニット10を取り付けた状態を示す図である。
【0020】
なお、
図2A~
図2Eにおいては、使用時にユーザが正対する側を収集装置20の前側(正面側)とし、その反対側を収集装置20の後側(背面側)とする。また、ユーザが収集装置20を前方から見たときの左側、右側、上側及び下側を、それぞれ、収集装置20の左側、右側、上側(天面側)及び下側(底面側)とする。
【0021】
収集装置20は、外部給電又は内部のバッテリにより駆動し、センサユニット10を用いて、測定対象の温度を測定し、収集する。収集装置20は、筐体20aを有し、筐体20aは、前面20b、底面20c、背面20d等を有する。
【0022】
収集装置20の底面20cには、センサユニット10におけるセンサ素子11のケーブル11aが挿通する溝22が設けられている。ここでは、収集装置20は、一例として、
図2Eに示すように、2つのセンサユニット10を収容可能に構成されているので、底面20cには、2つの溝22が設けられている。
【0023】
なお、底面20cを含めて、筐体20aには、収集装置20と他の装置とのデータの送受信や収集装置20への給電が可能な外部コネクタポートを設けてもよい。例えば、外部コネクタポートにより、後述の
図6に示すように、ネットワークNWを介して、他の装置であるサーバ110や外部端末120とデータの送受信が可能な構成としてもよい。
【0024】
また、収集装置20と他の装置とにおけるデータの送受信は、有線による通信に限らず、無線による通信でもよい。例えば、無線LANにより、ネットワークNWを介して、他の装置とデータの送受信を行ってもよい。
【0025】
収集装置20の背面20dには、センサユニット10等を収容可能な収容部31が設けられている(
図2Eを参照)。収容部31は、収集装置20の使用時には、カバー26で覆われている(
図2Cを参照)。カバー26は、センサユニット10等を収容部31に収容する際又は収容部31から取り外す際、背面20dから取り外される(
図2D、
図2Eを参照)。
【0026】
収容部31には、センサユニット10が着脱可能な取付部32等が設けられている。ここでは、収集装置20は、一例として、
図2Eに示すように、2つのセンサユニット10を収容部31に収容可能に構成されているので、収容部31には、2つの取付部32が設けられている。
【0027】
それぞれの取付部32には、センサユニット10のコネクタポート14を収集装置20へ電気的に接続するコネクタ33が設けられている。
図2Eに示すように、取付部32にセンサユニット10を取り付けると、コネクタポート14とコネクタ33とが電気的に接続されて、センサユニット10から収集装置20へ変換データや補正データを入力することができる。
【0028】
収容部31内の取付部32にセンサユニット10を取り付ける際、センサ素子11のケーブル11aは、
図2Eに示すように、溝22を通って、収容部31から収集装置20の外側へ取り出すことができ、センサ素子11を所望の測定位置に配置可能である。
【0029】
このように、収集装置20にセンサユニット10を取り付けることにより、収集装置20は、センサユニット10を用いて、測定対象の温度収集が可能である。これにより、収集装置20は、測定対象の温度データを取得して、管理温度を逸脱している場合には、警告をユーザに報知したり、記録として残したりすることができる。
【0030】
ここで、
図3は、従来のセンサ素子11及び収集装置200を説明する概略図である。従来の収集装置200は、センサ素子11が接続され、センサ素子11で検出された温度(アナログ値)を温度データ(デジタル値)に変換するADコンバータ210と、ADコンバータ210で変換された温度データを演算処理する演算部220とを有する。
【0031】
上述したように、サーミスタ等のセンサ素子11は、温度変化に対する出力変化が製品毎にばらつくことがある。そのため、特許文献1では、センサ素子11の出力変化に誤差がある場合、不揮発性メモリに記憶した補正データを読み込み、補正データで誤差を補正して、正確な温度に換算するようにしていた。
【0032】
ところが、引用文献1に示すような収集装置200では、収集装置200側でセンサ素子11からの出力(アナログ値)を温度データ(デジタル値)に変換している。アナログ値をデジタル値へ変換するADコンバータ210においては、その測定回路の実装部品の特性のばらつきにより、アナログ値を測定する際に誤差が生じる可能性がある。
【0033】
このような収集装置200において、例えば、収集装置200の設置現場でセンサ素子11を交換した場合、センサ素子11自体の誤差は補正可能ではあるが、ADコンバータの誤差は補正できない。そのため、交換したセンサ素子11を含めて、収集装置200の測定温度の精度を保証すること、つまり、校正済みと保証することはできない。測定温度の精度を保証するためには、つまり、校正済みと保証するためには、収集装置200を回収し、交換するセンサ素子11を接続した状態で、校正済みと保証するための処理を行うことが必要である。
【0034】
そこで、本実施の形態では、センサユニット10及び収集装置20を
図4に示す構成とし、後述するように、測定精度を自らが保証可能なセンサユニット10を交換可能な構成としている。
図4は、本実施の形態に係るセンサユニット10及び収集装置20を説明する概略図である。
【0035】
具体的には、センサユニット10は、センサ素子11と、センサ素子11が接続されるADコンバータ12と、補正データ部13と、を有する。ADコンバータ12は、
図3に示す構成とは異なり、収集装置20側ではなく、センサユニット10側に設けられている。
【0036】
ADコンバータ12は、図示は省略するが、測定回路と変換回路とを有する。測定回路は、センサ素子11から出力されたアナログ値(電圧値)を測定し、変換回路は、測定回路で測定されたアナログ値をデジタル値に変換して、収集装置20に入力する。ADコンバータ12は、変換するデジタル値としては、電圧値のままでもよいし、電圧値を抵抗値に変換した後、デジタル値に変換してもよい。
【0037】
補正データ部13は、補正データとして、引用文献1とは異なり、ADコンバータ12で測定されたアナログ値の測定誤差を補正するよう、ADコンバータ12から出力されたデジタル値を補正する回路補正データを有する。補正データ部13は、更に、ADコンバータ12から出力されたデジタル値を温度(環境情報)の真値に対応するデジタル値に変換する変換テーブルを有する。このように、補正データ部13は、補正データとして、回路補正データと変換テーブルとを有する。このような、補正データ部13は、例えば、記憶素子を有する回路であり、ADコンバータ12と共に、例えば、基板上に搭載され、当該基板が筐体10a内に配置されている。
【0038】
補正データ部13が有する回路補正データは、ADコンバータ12が出力するデジタル値に応じたデータとなる。例えば、ADコンバータ12が出力するデジタル値が電圧値であれば、回路補正データは、電圧値を補正するデータとなり、ADコンバータ12が出力するデジタル値が抵抗値であれば、回路補正データは、抵抗値を補正するデータとなる。なお、ADコンバータ12が出力するデジタル値が温度であれば、回路補正データは、温度を補正するデータとしてもよい。
【0039】
収集装置20は、演算部30を有しているが、従来の収集装置200とは異なり、ADコンバータは有していない。演算部30は、センサユニット10のADコンバータ12で変換されたデジタル値(変換データ)と、補正データ部13から入力された補正データ(回路補正データ及び変換テーブル)とに基づいて、演算処理を行う。演算部30は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を有するマイコンである。また、収集装置20は、後述するネットワークNW(
図6を参照)との通信を行う通信部50を備えている。また、収集装置20は、温度データ等のデータを記憶するHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の記憶装置を備えていてもよい。
【0040】
センサユニット10と収集装置20とは、上述したように、コネクタポート14とコネクタ33とが接続されることにより、電気的に接続されている。そして、センサ素子11で検出された温度(アナログ値)は、ADコンバータでデジタル値(変換データ)に変換され、デジタル値として、収集装置20へ入力される。
【0041】
このように、センサユニット10は、謂わば、温度をデジタルで測定するデジタル測定素子であり、しかも、補正データ部13の補正データ(回路補正データ)により、ADコンバータ12の製品ばらつきも補正可能に構成されている。
【0042】
ここで、回路補正データは、センサ素子11の電圧値(アナログ値)からセンサ素子11の抵抗値を求める際、ADコンバータ12を構成する測定回路の実装部品のばらつきによる誤差を補正するためのデータである。実装部品のばらつきとしては、例えば、測定回路の抵抗成分のばらつきやオフセット電圧のばらつき等がある。回路補正データは、ADコンバータ12の電気的特性を測定することにより、予め作成される。
【0043】
補正データ部13は、上述した回路補正データを有しているので、後述するように、演算部30で、ADコンバータ12を構成する測定回路の実装部品のばらつきによる誤差を補正することができる。
【0044】
また、補正データ部13は変換テーブルを有しており、変換テーブルは、ADコンバータ12から出力されたデジタル値が実際の温度(真値)に対応する温度データ(デジタル値)となるよう変換するためのテーブルである。例えば、ADコンバータ12が出力するデジタル値が電圧値であれば、変換テーブルは、電圧値を温度データに変換するデータとなる。同様に、ADコンバータ12が出力するデジタル値が抵抗値であれば、変換テーブルは、抵抗値を温度データに変換するデータとなる。このような変換テーブルは、例えば、温度に対するセンサ素子11の電気的特性(例えば、電圧値)を測定することにより、予め作成される。変換テーブルは、センサ素子11の種類に応じて作成されるが、同じ種類のセンサ素子11でも、個別に作成してもよい。
【0045】
そして、演算部30は、上述した回路補正データ及び変換テーブルを参照して、センサ素子11で検出された温度(アナログ値)を、実際の温度に対応する温度データに変換することになる。
【0046】
センサユニット10はセンサ素子11とADコンバータ12と補正データ部13とを有し、補正データ部13は上述した回路補正データ及び変換テーブルを有する。このような構成のセンサユニット10は、上述した回路補正データ及び変換テーブルにより、所望の測定温度の精度を実現可能である。センサ素子11を接続した状態で、センサユニット10の測定温度の精度が確認できれば、測定温度の精度を保証すること、つまり、校正済みと保証することができる。このように、センサユニット10は、測定精度を自らが保証可能である。
【0047】
種類が異なる温度測定用のセンサ素子11がセンサユニット10に接続されている場合、補正データ部13は、当該センサユニット10のADコンバータ12に対応する回路補正データと、センサ素子11の種類に対応する変換テーブルを有することになる。そのため、このような構成のセンサユニット10を用いても、測定精度を保証することができる。
【0048】
例えば、センサ素子11がサーミスタであるセンサユニット10から、センサ素子11が白金抵抗測温体であるセンサユニット10へ交換しても、上述した理由により、測定精度を保証することができる。
【0049】
つまり、センサユニット10を交換しても、そのADコンバータ12が、ADコンバータ12及びセンサ素子11に対応する回路補正データ及び変換テーブルを有するので、測定精度を保証することができる。
【0050】
また、例えば、収容部31内の2つのセンサユニット10が、互いに異なる環境情報を測定する場合でも、同様の理由により、収集装置20側を校正済みと保証するための処理を行う必要はない。例えば、収容部31内の2つのセンサユニット10において、一方が温度を、他方が湿度を測定する場合でも、収集装置20側を校正済みと保証するための処理は不要である。
【0051】
そして、本実施の形態では、センサ素子11を交換する必要がある場合、センサ素子11ではなく、センサユニット10を交換するので、校正済みのセンサユニット10を交換することになる。そのため、従来のように、収集装置200を回収し、交換するセンサ素子11を接続した状態で、校正済みと保証するための処理を行う必要はない。
【0052】
なお、センサユニット10において、その測定温度の精度を確認して、校正済みとした日を、校正日としてセンサユニット10が有するようにすれば、収集装置20は、センサユニット10の校正日を管理することができる。これにより、収集装置20は、必要に応じて、ユーザにセンサユニット10の交換を通知することができる。
【0053】
以上説明したセンサユニット10における温度データの取得方法を、
図5に示すフローチャートを参照して説明する。なお、ここでは、一例として、ADコンバータ12がセンサ素子11の電圧値(アナログ値)から抵抗値(デジタル値)へ変換する場合を例に取って説明を行う。また、ここでは、変換テーブルは、抵抗値を温度データに変換するデータである。
【0054】
(ステップS11)
演算部30は、センサユニット10を用いて、センサ素子11の電圧値(アナログ値)をADコンバータ12で測定し、ADコンバータ12は、変換された電圧値(デジタル値)を演算部30に入力する。センサ素子11は、例えば、サーミスタ等の温度センサ素子である場合には、測定対象の温度を電圧値として出力する。
【0055】
(ステップS12)
演算部30は、センサ素子11で測定した電圧値を変換した電圧値(デジタル値)から抵抗値を求めるが、ここでは、補正データ部13の回路補正データを参照して、補正された抵抗値を求めることになる。回路補正データは、上述したように、ADコンバータ12の製品ばらつき、特に、回路の抵抗成分の影響を排除するように補正するためのデータである。
【0056】
(ステップS13)
演算部30は、補正データ部13の変換テーブルを参照して、ステップS12で求めた抵抗値から温度データ(デジタル値)を求める。変換テーブルは、上述したように、センサ素子11の抵抗値が実際の温度(真値)に対応するよう補正するためのテーブルである。
【0057】
以上説明した手順により、収集装置20(演算部30)は、センサユニット10を用いて、温度データ(デジタル値)を収集することができる。そして、ステップS12で説明したように、補正データ部13の回路補正データを参照して、ステップS11で測定したセンサ素子11の電圧値から補正された抵抗値を求めるので、ADコンバータ12の製品ばらつき、特に、回路の抵抗成分の影響を排除することができる。
【0058】
[変形例1]
図6は、本実施の形態に係るセンサユニット10及び収集装置20を用いる監視システム100の一例を示す概略図である。
【0059】
監視システム100は、上述したセンサユニット10及び収集装置20と、ネットワークNWと、サーバ110と、外部端末120とを有する。
【0060】
センサユニット10及び収集装置20は、上述した通りであるので、重複する説明は省略する。ネットワークNWは、収集装置20、サーバ110、外部端末120の間において温度データ等のデータの送受信を行う。
【0061】
サーバ110は、例えば、コンピューターであり、HDD、SSD等の記憶装置を有し、記憶装置は、収集装置20で取得した温度データ等のデータを記憶する。
【0062】
また、外部端末120は、例えば、コンピューターや携帯端末等であり、サーバ110を介して、収集装置20と温度データ等のデータの送受信を行う。
【0063】
サーバ110や外部端末120は、収集装置20で収集した温度データを監視し、温度データが適正範囲から逸脱している場合には、ユーザに通知するようにしてもよい。また、サーバ110や外部端末120は、センサユニット10の校正日等の校正情報を管理し、センサユニット10の校正の保証期限(例えば、1年間)に近くなったら、ユーザにセンサユニット10を交換するよう通知するようにしてもよい。
【0064】
以上、本発明の実施の形態について説明した。なお、以上の説明は、本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されない。つまり、上記装置の構成や各部分の形状についての説明は一例であり、本発明の範囲においてこれらの例に対する様々な変更や追加が可能であることは明らかである。
【0065】
例えば、上記実施の形態では、変換テーブルは、演算部30が用いているが、ADコンバータ12が用いて、センサ素子11から出力された電圧値(アナログ値)から、電圧値、抵抗値又は温度(デジタル値)に変換してもよい。
【0066】
また、上記実施の形態では、センサ素子として、温度センサ素子を例にとって説明したが、温度に限らず、湿度や空気中の微粒子(パーティクル)等を測定するセンサ素子でもよい。いずれの場合でも、センサユニット側で測定精度が保証されており、保証された測定値をデジタル値として出力するので、故障等により異なるセンサユニットへ交換しても、測定精度を保証することができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明に係るセンサユニット及び収集装置は、温度管理が必要な製品の保管温度の監視や証拠となる保管温度の取得に有用であり、IoT(Internet of Things)を担う機器の1つとして有用である。
【符号の説明】
【0068】
10 センサユニット
11 センサ素子
12 ADコンバータ
13 補正データ部
20 収集装置
30 演算部
50 通信部
100 監視システム
110 サーバ
120 外部端末