(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150972
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】モジュール用コネクタ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01R 24/38 20110101AFI20241017BHJP
H01R 43/00 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
H01R24/38
H01R43/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064049
(22)【出願日】2023-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】000102500
【氏名又は名称】SMK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100172096
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 理太
(72)【発明者】
【氏名】土屋 博崇
(72)【発明者】
【氏名】大澤 文雄
(72)【発明者】
【氏名】笹木 仁人
【テーマコード(参考)】
5E051
5E223
【Fターム(参考)】
5E051BA05
5E051BB05
5E223AA16
5E223AA21
5E223AB59
5E223AC18
5E223BA15
5E223CA13
5E223GA08
5E223GA26
(57)【要約】
【課題】シールド性及び放熱性に優れ、且つ、設計の自由度が高いモジュール用コネクタ及びその製造方法の提供。
【解決手段】このモジュール用コネクタ1は、ケース9の端面部11に形成された樹脂連結用凹部8と、樹脂連結用凹部8の底面部よりケース9と一体に突出した筒状のコネクタシェル3と、コネクタシェル3内に収容されるターミナル4、インシュレータ5及びGNDコンタクト6と、端部が樹脂連結用凹部8に連結され、コネクタシェル3の外側に配置された樹脂製のハウジング7とを備え、コネクタシェル3の外周面に外向きに張り出した抜け止め凸部12が形成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モジュールが収容される導電性金属製のケースと一体化され、前記モジュールと接続されるモジュール用コネクタであって、
前記ケースの端面部に形成された樹脂連結用凹部と、該樹脂連結用凹部の底面部より前記ケースと一体に突出した筒状のコネクタシェルと、該コネクタシェル内に収容される導電性金属からなるターミナルと、前記コネクタシェルと前記ターミナルとの間に介在される絶縁材からなるインシュレータと、端部が前記樹脂連結用凹部に連結され、前記コネクタシェルの外側に配置された樹脂製のハウジングとを備え、
前記コネクタシェルの外周面に外向きに張り出した抜け止め凸部が形成されていることを特徴としてなるモジュール用コネクタ。
【請求項2】
前記樹脂連結用凹部の内縁部より内向きに突出した抜け止め凸片が形成されている請求項1に記載のモジュール用コネクタ。
【請求項3】
前記樹脂連結用凹部の内縁部に段部が形成されている請求項1又は2に記載のモジュール用コネクタ。
【請求項4】
前記抜け止め凸片が前記抜け止め凸部よりも前記樹脂連結用凹部の底側に配置されている請求項2に記載のモジュール用コネクタ。
【請求項5】
前記樹脂連結用凹部が前記端面部の隅部又は外周側に片寄せて配置されている請求項1又は2に記載のモジュール用コネクタ。
【請求項6】
モジュールが収容される導電性金属製のケースと一体化され、前記モジュールと接続されるモジュール用コネクタの製造方法において、
端面部に樹脂連結用凹部及び該樹脂連結用凹部の底面部より突出した筒状のコネクタシェルを一体に有する前記ケースを形成するケース一体成型工程と、
前記コネクタシェルの外周面に外向きに張り出した抜け止め凸部を形成する抜け止め凸部形成工程と、
一体成型により前記コネクタシェルの外側に配置される樹脂製のハウジングを成形するとともに、該ハウジングの端部を前記樹脂連結用凹部に連結するハウジング成型工程と、
絶縁材からなるインシュレータに保持された状態で導電性金属材からなるターミナルを前記コネクタシェル内に組み込むコネクタ組立工程と、
を具備することを特徴としてなるモジュール用コネクタの製造方法。
【請求項7】
前記ケース一体成型工程において、前記樹脂連結用凹部の内縁部に段部を形成する請求項6に記載のモジュール用コネクタの製造方法。
【請求項8】
前記ハウジング成型工程の前に、前記樹脂連結用凹部の内縁部をカシメて前記樹脂連結用凹部の内縁部より内向きに突出した抜け止め凸片を形成する請求項6又は7に記載のモジュール用コネクタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子等のモジュールが収容されるケースと一体化されたモジュール用コネクタ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車載カメラ用カメラモジュール等のモジュールは、モジュールを収容するケースに取り付けられたモジュール用コネクタを介して同軸ケーブル等と接続されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
ケースは、互いに組み付けられ中空箱状を成す樹脂製のフロントケース及びリアケースによって構成され、フロントケースとリアケースとを嵌合させることによって、ケース内にモジュールを収容するとともに、モジュール用コネクタがカメラモジュールの端子と接続されるとともに、リアケースの端面部に取り付けられたコネクタ本体に相手方のコネクタが接続されることによって、同軸ケーブル等とケース内のモジュールとが接続されるようになっている。
【0004】
このモジュール用コネクタは、導電性金属材からなるコネクタシェルと、コネクタシェル内に収容される導電性金属からなるターミナルと、コネクタシェルとターミナルとの間に介在される絶縁材からなるインシュレータと、ケースの端面部より突出し、シェルの外側に配置されたハウジングとを備え、コネクタシェルがリアケースの端板部に形成されたコネクタ挿入部内に保持され、コネクタシェル内にインシュレータ及びターミナルが保持されてなるコネクタ本体がハウジングに収容された状態でリアケースに固定されている。
【0005】
一方、この種のモジュール用コネクタでは、カメラモジュール等のモジュールが高周波の信号を伝送する高性能なものである場合、高周波は減衰し易く、電圧も高くなることから、モジュールを収容するケースが樹脂であると、ノイズ対策及び放熱性が十分ではなかった。そこで、近年では、ケースを導電性金属材で構成することによるシールド性及び放熱性の向上が模索されている。
【0006】
この種のリアケースが導電性金属材によって構成されているモジュール用コネクタでは、鍛造によって、リアケースの端面部にハウジングが一体に形成され、コネクタ本体がこのハウジング内に挿入され、コネクタシェルの外側に形成されたネジ部をハウジングの内側部に螺合させることによりコネクタシェルとケースとを一体化させたものが知られている(例えば特許文献1を参照)。
【0007】
また、この種のモジュール用コネクタでは、導電性金属材からなるケースの端面部に樹脂製のハウジングが接着剤によって固定され、このハウジングの内側にコネクタ本体を組み込むようしたものも知られている(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2018-098069号公報
【特許文献2】特許第6563496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述の如き従来の技術では、ハウジングをケースと一体に形成した場合、ケースとコネクタシェルとが別部品であることから、螺合部分の隙間からノイズが侵入するおそれがあった。
【0010】
また、ハウジングも金属材によって構成することは、加工費や材料費が嵩むという問題があった。
【0011】
一方、上述の如きハウジングを樹脂で形成する場合には、ハウジングに相手方コネクタを接続する際、相手方コネクタの接続状態によってハウジングに対し軸方向と直交する方向の外力によって曲げモーメントが作用するため、この曲げモーメントに対抗し得るようにハウジングとリアケースとを強固に接着するようにリアケースの端面部に一定の接着面積を確保する必要がある。
【0012】
そのため、ハウジングを設ける位置は、ハウジングの位置をリアケース端面部の隅部や外周側に片寄せて配置しようとすると、十分な接着面積を確保することが難しく、リアケース端面部の略中央に限定され、設計の自由度が限定されるという問題があった。
【0013】
そこで、本発明は、このような従来の問題に鑑み、シールド性及び放熱性に優れ、且つ、設計の自由度が高いモジュール用コネクタ及びその製造方法の提供を目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の如き従来の問題を解決するための請求項1に記載の発明の特徴は、モジュールが収容される導電性金属製のケースと一体化され、前記モジュールと接続されるモジュール用コネクタであって、前記ケースの端面部に形成された樹脂連結用凹部と、該樹脂連結用凹部の底面部より前記ケースと一体に突出した筒状のコネクタシェルと、該コネクタシェル内に収容される導電性金属からなるターミナルと、前記コネクタシェルと前記ターミナルとの間に介在される絶縁材からなるインシュレータと、端部が前記樹脂連結用凹部に連結され、前記コネクタシェルの外側に配置された樹脂製のハウジングとを備え、前記コネクタシェルの外周面に外向きに張り出した抜け止め凸部が形成されていることにある。
【0015】
請求項2に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、前記樹脂連結用凹部の内縁部より内向きに突出した抜け止め凸片が形成されていることにある。
【0016】
請求項3に記載の発明の特徴は、請求項1又は2の構成に加え、前記樹脂連結用凹部の内縁部に段部が形成されていることにある。
【0017】
請求項4に記載の発明の特徴は、請求項2の構成に加え、前記抜け止め凸片が前記抜け止め凸部よりも前記樹脂連結用凹部の底側に配置されていることにある。
【0018】
請求項5に記載の発明の特徴は、請求項1又は2の構成に加え、前記樹脂連結用凹部が前記端面部の隅部又は外周側に片寄せて配置されていることにある。
【0019】
請求項6に記載の発明の特徴は、モジュールが収容される導電性金属製のケースと一体化され、前記モジュールと接続されるモジュール用コネクタの製造方法において、端面部に樹脂連結用凹部及び該樹脂連結用凹部の底面部より突出した筒状のコネクタシェルを一体に有する前記ケースを形成するケース一体成型工程と、前記コネクタシェルの外周面に外向きに張り出した抜け止め凸部を形成する抜け止め凸部形成工程と、一体成型により前記コネクタシェルの外側に配置される樹脂製のハウジングを成形するとともに、該ハウジングの端部を前記樹脂連結用凹部に連結するハウジング成型工程と、絶縁材からなるインシュレータに保持された状態で導電性金属材からなるターミナルを前記コネクタシェル内に組み込むコネクタ組立工程と、を具備することにある。
【0020】
請求項7に記載の発明の特徴は、請求項6の構成に加え、前記ケース一体成型工程において、前記樹脂連結用凹部の内縁部に段部を形成することにある。
【0021】
請求項8に記載の発明の特徴は、請求項6又は7の構成に加え、前記ハウジング成型工程の前に、前記樹脂連結用凹部の内縁部をカシメて前記樹脂連結用凹部の内縁部より内向きに突出した抜け止め凸片を形成することにある。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るモジュール用コネクタは、請求項1に記載の構成を具備することによって、ケースとコネクタシェルとが一体に形成されているので、高いシールド性を確保できるとともに、外向きに張り出した抜け止め凸部によって、樹脂製のハウジングの端部が樹脂連結用凹部に確実に連結され、高い耐モーメント性を確保することができる。
【0023】
また、本発明において、請求項2に記載の構成を具備することによって、樹脂製のハウジングの端部が樹脂連結用凹部に確実に連結され、高い耐モーメント性を確保することができる。
【0024】
さらに、本発明において、請求項3に記載の構成を具備することによって、金属製のケースと樹脂製のハウジングとの接触面積が大きくなり、高い固定強度を確保することができる。
【0025】
また、本発明において、請求項4に記載の構成を具備することによって、ハウジングに対し耐曲げモーメント性の向上を図ることができる。
【0026】
さらにまた、本発明において、請求項5に記載の構成を具備することによって、ケースに対するコネクタ本体の位置を自由に設定することができる。
【0027】
また、本発明に係るモジュール用コネクタの製造方法は、請求項6の構成を具備することによって、ケースとコネクタシェルとを一体に形成することで部品点数の削減、シールド性の向上を図ることができるともに、金属製のケースと樹脂製のハウジングとを好適に一体化させるとともに、ハウジングの高い耐曲げモーメント性を確保することができる。
【0028】
また、本発明において、請求項7に記載の構成を具備することによって、ケースとハウジングとの接触面積が大きくなり、高い固定強度を確保することができる。
【0029】
さらに、本発明において、請求項8に記載の構成を具備することによって、ケースを鍛造した場合にも好適に抜け止め凸片を形成することができ、且つ、ハウジングの高い耐曲げモーメント性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明にかかるモジュール用コネクタの一例を示す斜視図である。
【
図2】同上のモジュール用コネクタの断面図である。
【
図3】同上のコネクタ本体部を示す拡大断面図である。
【
図4】同上のモジュール用コネクタの分解斜視図である。
【
図5】(a)は
図5中のケースを示す平面図、(b)は同底面図、(c)はA-A線矢視断面図である。
【
図6】(a)は同上のB-B線矢視断面図、(b)は同C-C線矢視断面図である。
【
図7】(a)(b)は同上のハウジングを示す斜視図、(c)は同底側から見た斜視図である。
【
図8】本発明に係るモジュール用コネクタの製造方法における抜け止め凸部形成工程の状態を示す拡大斜視図であって、(a)は形成前の状態、(b)は同形成後の状態を示す図である。
【
図9】同上の抜け止め凸片形成工程の状態を示す拡大斜視図であって、(a)は形成前の状態、(b)は同形成後の状態を示す図である。
【
図11】(a)(b)は同上のC-C線矢視断面図である。
【
図12】ハウジング成型工程の状態を示す拡大断面図である。
【
図13】同上のハウジングが成形された状態を示す図であって、(a)はB-B線矢視断面図、(b)は同C-C線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、本発明に係るモジュール用コネクタの実施態様を
図1~
図7に示した実施例に基づいて説明する。尚、図中符号1はモジュール用コネクタである。
【0032】
モジュール用コネクタ1は、カメラモジュール等のモジュール(図示せず)が収容されるケースと一体化されたコネクタ本体2を備え、このコネクタ本体2のケース内部側の端部にモジュール側コネクタが接続されるとともに、ケースの端面部11から突出したコネクタ本体2の他端部に同軸ケーブル等の外部接続体に取り付けられた外部コネクタ(図示せず)が接続され、コネクタ本体2を介して外部接続体とモジュールとが接続されるようになっている。
【0033】
コネクタ本体2は、導電性金属材からなる筒状のコネクタシェル3と、コネクタシェル3内に収容される導電性金属からなるターミナル4と、コネクタシェル3とターミナル4との間に介在される絶縁材からなるインシュレータ5と、コネクタシェル3のケース内側開口部に嵌合される導電性金属からなるGNDコンタクト6と、コネクタシェル3の外側に配置された樹脂製のハウジング7とを備えている。
【0034】
このモジュール用コネクタ1は、ケースの端面部11に樹脂連結用凹部8を備え、樹脂連結用凹部8の底面部より突出したコネクタシェル3がケースと一体に形成されるとともに、樹脂製のハウジング7の端部が樹脂連結用凹部8に連結され、コネクタシェル3のケース側からインシュレータ5、ターミナル4及びGNDコンタクト6とが組み込まれ、ケースと一体化されている。
【0035】
ケースは、アルミニウム合金等の導電性金属材により鍛造又は鋳造(ダイキャスト)されたフロントケース及びリアケース9によって構成され、フロントケースとリアケース9とが互いに組み付けられ中空箱状を成すようになっている。
【0036】
リアケース9は、角筒状の周壁部10と、周壁部10の一端側を閉鎖する平板状の端面部11とを備え、周壁部10と端面部11とによって一方の端部が開口した中空箱状に形成されている。
【0037】
また、このリアケース9は、
図5に示すように、端面部11の隅部に片寄せた位置に矩形凹穴状の樹脂連結用凹部8が一体に形成されるとともに、樹脂連結用凹部8の中央部に底部より突出した筒状のコネクタシェル3が一体に形成され、コネクタシェル一体型ケースを成している。
【0038】
尚、樹脂連結用凹部8の位置は、上述した端面部11の隅部に限定されず、端面部11のいずれの位置に配置してもよく、例えば、端面部11の中央部や端面部11の一方の外側面側であって、当該外側面側の辺部の中央に片寄せた位置であってもよい。
【0039】
コネクタシェル3は、それぞれ内径及び外径が異なる複数(3つ)の円筒部3a,3b,3cが径の大きいものから樹脂連結用凹部8底部より順に連結された段付き円筒状に形成され、底部側の円筒部3aの端部が底部に一体に連結され、リアケース9内部と連通されている。
【0040】
また、コネクタシェル3の外周面、より詳しくは、底部側の最も径の大きい円筒部3aの外周面には、外向きに張り出したフランジ状の抜け止め凸部12が形成され、樹脂連結用凹部8内に充填されたハウジング7を構成する樹脂と係合するようになっている。
【0041】
抜け止め凸部12は、リアケース9(コネクタシェル3を含む)と同じアルミニウム合金等の導電性金属材によって内径がコネクタシェル3(円筒部3a)の外径と略同じの円環状に形成され、内周部が溶接又は接着によってコネクタシェル3(円筒部3a)に固定され、樹脂連結用凹部8内に張り出している。
【0042】
この抜け止め凸部12の位置は、特に限定されないが、下面(樹脂連結用凹部8の底側を下とする)がリアケース9の外側端面と同じ高さとし、後述する段部8d上面より高い位置になるようにすることが好ましい。
【0043】
尚、抜け止め凸部12は、必ずしもリアケース9(コネクタシェル3を含む)と同じアルミニウム合金等の導電性金属材である必要はなく、その他の金属、耐熱性の絶縁性樹脂等によって形成してもよい。
【0044】
樹脂連結用凹部8は、
図6に示すように、リアケース9の端面部11がリアケース9内側に膨出し、端面部11よりケース内側に凹んだ位置に形成された底面8aと、その内縁部に形成された内縁壁部8bとによって凹穴状を成している。
【0045】
また、樹脂連結用凹部8は、端面側開口縁部に拡径部8cが形成され、この拡径部8cと内縁壁部8bとによって内縁部に段部8dが形成されている。
【0046】
さらに、樹脂連結用凹部8には、段部8dの上面を内向きに加締めることによって、内縁部、本実施例では段部8dの上面部より内縁壁部の内周面より内向きに突出した抜け止め凸片13,13…が形成されている。
【0047】
よって、抜け止め凸部12が段部8d上面より高い位置に設けられており、抜け止め凸片13,13…は、抜け止め凸部12よりも樹脂連結用凹部8の底側に配置されている。
【0048】
各抜け止め凸片13,13…は、樹脂連結用凹部8の各辺にそれぞれ周方向に間隔をおいて少なくとも対向する各辺に複数個所に設けられている。
【0049】
ハウジング7は、インサート成形によってコネクタシェル一体型ケースと一体化され、成型時に樹脂が樹脂連結用凹部8に充填されることによって、端部がケースの端面部11に連結されるとともに、コネクタシェル3、即ちコネクタ本体2の同軸外側に配置される有底筒状を成している。
【0050】
このハウジング7は、
図7に示すように、コネクタシェル3の下部と嵌合された端部本体7aと、一端側に連続して形成された円筒状のハウジング筒部7bと、端部本体7aの外周部に張り出し、樹脂連結用凹部8の拡径部内に嵌まり込むフランジ部7cと、フランジ部7c下に形成され、樹脂連結用凹部8の底部に嵌まり込む底嵌合部7dとが一体に形成され、端部がリアケース9の端面部11に連結されるとともに、ハウジング筒部7bの内部にコネクタシェル3の先端側筒部3cが収容されるようになっている。
【0051】
また、このハウジング7には、コネクタシェル3の外周面に外向きに張り出した抜け止め凸部12が形成されていることによって、端部本体7aの内周面部に抜け止め凸部12が食い込み係合される係合溝7eが形成される。
【0052】
さらに、このハウジング7には、樹脂連結用凹部8の内縁部より内向きに突出した抜け止め凸片13,13…が形成されていることによって、底嵌合部7dの外側面部に抜け止め凸片13,13…が食い込み係合される係合孔7f,7fが形成される。
【0053】
尚、ハウジング7の成形に際しては、抜け止め凸部12を段部8d上面より高い位置に設けるとともに、各抜け止め凸片13,13…を抜け止め凸部12と高さを違え、且つ、樹脂連結用凹部8の各辺にそれぞれ間隔をおいて配置していることによって、段部8d、抜け止め凸部12及び抜け止め凸片13が互いに干渉せず、ハウジング7用の合成樹脂の流動性がよく、樹脂連結用凹部8内にも確実に樹脂を充填することができる。
【0054】
ターミナル4は、導電性金属材によって細棒状に形成され、インシュレータ5に保持された状態でコネクタシェル3内に固定され、両端部がそれぞれコネクタシェル3の先端側筒部3c内とケース内に突出したGNDコンタクト6内に突出している。
【0055】
インシュレータ5は、絶縁性樹脂からなるそれぞれ円筒状に形成されたインシュレータ部材5a,5bによって構成され、両インシュレータ部材5a,5b間にターミナル4に固定された円環状の止水部材14が介在されている。
【0056】
止水部材14は、ゴムなどの弾性材によって構成され、内周面がターミナル4の外周面に弾性接触されるとともに、外周面がコネクタシェル3の内周面に弾性接触され、インシュレータ5とコネクタシェル3との隙間及びターミナル4とインシュレータ5との隙間からの浸水を防止できるようになっている。
【0057】
尚、コネクタシェル3がリアケース9と一体に形成されるとともに、ハウジング7がケースと一体成型されることによってハウジング7とケースとの間が密着していることによって、止水部材14による止水効果によって、ケース内へのすべての浸水経路が止水されている。
【0058】
GNDコンタクト6は、導電性金属材をプレス加工することによって円筒状に形成され、一方の端部に突設された固定用突片6a,6aがインシュレータ部材5bに圧入されることによって、インシュレータ部材5bに固定され、他端側の筒内部にモジュール側コネクタが挿入されることによって、ターミナル4とモジュール側コネクタの中心導体が接触し、GNDコンタクト6の内周面とモジュール側コネクタの外部導体が接触するようになっている。
【0059】
また、GNDコンタクト6には、一端より外側に折り返して板バネ状に形成された複数の弾性接触片6b,6bを備え、弾性接触片6b,6bがケース9と一体に形成されたコネクタシェル3の内周面と接触することによって、GND接続されるようになっている。
【0060】
次に、上述したモジュール用コネクタ1の製造方法について
図8~
図13に基づいて説明する。尚、上述の実施例と同様の構成には同一符号を付して説明する。
【0061】
このモジュール用コネクタ1は、端面部11に樹脂連結用凹部8及び樹脂連結用凹部8の底面部より突出した筒状のコネクタシェル3を一体に有するケース(リアケース9)を形成するケース一体成型工程と、コネクタシェル3の外周面に外向きに張り出した抜け止め凸部12を形成する抜け止め凸部形成工程と、樹脂連結用凹部8の内縁部をカシメて樹脂連結用凹部8の内縁部より内向きに突出した抜け止め凸片13,13…を形成する抜け止め凸片形成工程と、一体成型によりコネクタシェル3の外側に配置される樹脂製のハウジング7を成形するとともに、ハウジング7の端部を樹脂連結用凹部8に連結するハウジング成型工程と、絶縁材からなるインシュレータ5に保持された状態で導電性金属材からなるターミナル4をコネクタシェル3内に挿入し、コネクタシェル3のケース内側開口部に導電性金属からなるGNDコンタクト6を嵌合させ、インシュレータ5及びターミナル4を固定するコネクタ組立工程とを順次経ることによって製造する。
【0062】
具体的には、先ず初めに、金型(図示せず)内に溶融されたアルミニウム合金等の導電性金属材を高速で充填した後、金型内に圧力をかけて鋳造し、金型から脱型することによってコネクタシェル一体型ケースを形成する(ケース一体成型工程)。その際、金型内に段部を設け樹脂連結用凹部8の内縁部に段部8dを形成する。
【0063】
一方、ケース一体成型工程においては、コネクタシェル3の軸方向に金型を脱型するため、脱型時にコネクタシェル3の軸方向と直交する方向に突出した部分があると脱型できず、抜け止め凸部12及び抜け止め凸片13,13…を形成することができない。
【0064】
次に、
図8に示すように、予めコネクタシェル一体型ケースとは別個に製作した円環状の抜け止め凸部12用の部材をコネクタシェル3の所定の位置にはめ込み、溶接又は接着によってコネクタシェル3の外周面に抜け止め凸部12用の部材を固定して外向きに張り出した抜け止め凸部12を形成する(抜け止め凸部形成工程)。
【0065】
また、
図9~
図11に示すように、樹脂連結用凹部8の内縁部、即ち、樹脂連結用凹部8の内縁部に形成された段部8dの上面部に加締め用ジグ(図示せず)を押圧させ、樹脂連結用凹部8の内縁部より内向きに突出した抜け止め凸片13,13…を形成する(抜け止め凸片形成工程)。
【0066】
尚、抜け止め凸片13,13…は、段部8dを加締めて形成されることによって、抜け止め凸部12よりも前記樹脂連結用凹部8の底側に配置される。
【0067】
尚、抜け止め凸部形成工程と抜け止め凸片形成工程とは、順番を逆にしてもよい。
【0068】
次に、
図12に示すように、型枠15a,15b内に抜け止め凸部12及び抜け止め凸片13,13…を設けたコネクタシェル一体型ケースを設置した状態で型枠15a,15b内に絶縁性樹脂を充填(インサート一体成型)することによって、
図13に示すように、樹脂製のハウジング7を形成し、ハウジング7の端部を樹脂連結用凹部8に連結させるとともに、端部本体7aをコネクタシェル3の外周部に嵌合させる。
【0069】
その際、コネクタシェル一体型ケースに抜け止め凸部12及び抜け止め凸片13,13…が設けられていることによって、抜け止め凸部12が端部本体7aの内周部に食い込むとともに、抜け止め凸片13,13…が底嵌合部の外側面部に食い込み、ハウジング7がコネクタシェル一体型ケースに対し、コネクタシェル3軸方向の抜け止めがされるとともに、ハウジング7に作用する曲げモーメントに対抗する。
【0070】
最後に、
図4に示すように、インシュレータ部材5a、止水部材14付きターミナル4、インシュレータ部材5b及びGNDコンタクト6をケース内側より順次コネクタシェル3内に挿入し、コネクタシェル3のケース内側開口部にGNDコンタクト6を嵌合させることによって、インシュレータ5及びターミナル4を固定し(コネクタ組立工程)、モジュール用コネクタ1の製造が完了する。
【0071】
このように構成されたモジュール用コネクタ1は、コネクタシェル3を導電性金属材からなるケースと一体に設けたことによって、コネクタ本体2とケースとの間に隙間がなくなり、高いシールド性を確保することができる。
【0072】
また、このモジュール用コネクタ1では、ケースの端面部11に樹脂連結用凹部8を設け、コネクタシェル3の外側に配置される樹脂製のハウジング7の端部が樹脂連結用凹部8に連結され、コネクタシェル3の外周面より外向きに張り出した抜け止め凸部12を備えるとともに、樹脂連結用凹部8の内縁部より内向きに突出した抜け止め凸片13,13…を備えることによって、抜け止め凸部12及び抜け止め凸片13,13…によってハウジング7のコネクタシェル3軸方向の抜け出しとハウジング7に作用する曲げモーメントに対抗でき、それに伴いハウジング7とリアケース9との接着面積が小さくとも、ハウジング7とリアケース9とが強固に固定することができる。
【0073】
よって、ハウジング7とリアケース9との接着面積が小さくできれば、ハウジング7の位置をリアケース9端面部11の隅部や外周側に片寄せて配置した場合であっても、当該連結部分に十分な接着面積を確保することができ、その分、設計の自由度が限定される。
【0074】
さらに、コネクタシェル3一体型リアケース9の鋳造においては、脱型できるよう、抜け止め凸部12及び抜け止め凸片13,13…を設けることができないが、本発明に係るモジュール用コネクタ1の製造方法であれば、抜け止め凸部12及び抜け止め凸片13,13…を好適に設けることができる。
【0075】
尚、上述の実施例では、樹脂連結用凹部8の内縁部に段部8dを設け、段部8dより内向きに抜け止め凸片13,13…を設けた場合について説明したが、段部8dを設けず、樹脂連結用凹部8の開口縁部を加締めることによって、抜け止め凸片13,13…を設けてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 モジュール用コネクタ
2 コネクタ本体
3 コネクタシェル
4 ターミナル
5 インシュレータ
6 GNDコンタクト
7 ハウジング
8 樹脂連結用凹部
9 リアケース
10 周壁部
11 端面部
12 抜け止め凸部
13 抜け止め凸片
14 止水部材
15a,15b 型枠
【手続補正書】
【提出日】2024-09-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モジュールが収容される導電性金属製のケースと一体化され、前記モジュールと接続されるモジュール用コネクタであって、
前記ケースの端面部に形成された樹脂連結用凹部と、該樹脂連結用凹部の底面部より前記ケースと一体に突出した筒状のコネクタシェルと、該コネクタシェル内に収容される導電性金属からなるターミナルと、前記コネクタシェルと前記ターミナルとの間に介在される絶縁材からなるインシュレータと、端部が前記樹脂連結用凹部に嵌まり込み連結され、前記コネクタシェルの外側に配置された樹脂製のハウジングとを備え、
前記コネクタシェルの外周面に外向きに張り出した抜け止め凸部が形成されているとともに、前記ハウジングに前記抜け止め凸部と係合する係合溝が形成されていることを特徴としてなるモジュール用コネクタ。
【請求項2】
前記樹脂連結用凹部の内縁部より内向きに突出した抜け止め凸片が形成されている請求項1に記載のモジュール用コネクタ。
【請求項3】
前記樹脂連結用凹部の内縁部に段部が形成されている請求項1又は2に記載のモジュール用コネクタ。
【請求項4】
前記抜け止め凸片が前記抜け止め凸部よりも前記樹脂連結用凹部の底側に配置されている請求項2に記載のモジュール用コネクタ。
【請求項5】
前記樹脂連結用凹部が前記端面部の隅部又は外周側に片寄せて配置されている請求項1又は2に記載のモジュール用コネクタ。
【請求項6】
モジュールが収容される導電性金属製のケースと一体化され、前記モジュールと接続されるモジュール用コネクタの製造方法において、
端面部に樹脂連結用凹部及び該樹脂連結用凹部の底面部より突出した筒状のコネクタシェルを一体に有する前記ケースを形成するケース一体成型工程と、
前記コネクタシェルの外周面に外向きに張り出した抜け止め凸部を形成する抜け止め凸部形成工程と、
一体成型により前記コネクタシェルの外側に配置される樹脂製のハウジングを成形するとともに、前記樹脂連結用凹部内に絶縁性樹脂を充填させ、前記ハウジングの端部を前記樹脂連結用凹部に連結し、前記抜け止め凸部と係合させるハウジング成型工程と、
絶縁材からなるインシュレータに保持された状態で導電性金属材からなるターミナルを前記コネクタシェル内に組み込むコネクタ組立工程と、
を具備することを特徴としてなるモジュール用コネクタの製造方法。
【請求項7】
前記ケース一体成型工程において、前記樹脂連結用凹部の内縁部に段部を形成する請求項6に記載のモジュール用コネクタの製造方法。
【請求項8】
前記ハウジング成型工程の前に、前記樹脂連結用凹部の内縁部をカシメて前記樹脂連結用凹部の内縁部より内向きに突出した抜け止め凸片を形成する請求項6又は7に記載のモジュール用コネクタの製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子等のモジュールが収容されるケースと一体化されたモジュール用コネクタ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車載カメラ用カメラモジュール等のモジュールは、モジュールを収容するケースに取り付けられたモジュール用コネクタを介して同軸ケーブル等と接続されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
ケースは、互いに組み付けられ中空箱状を成す樹脂製のフロントケース及びリアケースによって構成され、フロントケースとリアケースとを嵌合させることによって、ケース内にモジュールを収容するとともに、モジュール用コネクタがカメラモジュールの端子と接続されるとともに、リアケースの端面部に取り付けられたコネクタ本体に相手方のコネクタが接続されることによって、同軸ケーブル等とケース内のモジュールとが接続されるようになっている。
【0004】
このモジュール用コネクタは、導電性金属材からなるコネクタシェルと、コネクタシェル内に収容される導電性金属からなるターミナルと、コネクタシェルとターミナルとの間に介在される絶縁材からなるインシュレータと、ケースの端面部より突出し、シェルの外側に配置されたハウジングとを備え、コネクタシェルがリアケースの端板部に形成されたコネクタ挿入部内に保持され、コネクタシェル内にインシュレータ及びターミナルが保持されてなるコネクタ本体がハウジングに収容された状態でリアケースに固定されている。
【0005】
一方、この種のモジュール用コネクタでは、カメラモジュール等のモジュールが高周波の信号を伝送する高性能なものである場合、高周波は減衰し易く、電圧も高くなることから、モジュールを収容するケースが樹脂であると、ノイズ対策及び放熱性が十分ではなかった。そこで、近年では、ケースを導電性金属材で構成することによるシールド性及び放熱性の向上が模索されている。
【0006】
この種のリアケースが導電性金属材によって構成されているモジュール用コネクタでは、鍛造によって、リアケースの端面部にハウジングが一体に形成され、コネクタ本体がこのハウジング内に挿入され、コネクタシェルの外側に形成されたネジ部をハウジングの内側部に螺合させることによりコネクタシェルとケースとを一体化させたものが知られている(例えば特許文献1を参照)。
【0007】
また、この種のモジュール用コネクタでは、導電性金属材からなるケースの端面部に樹脂製のハウジングが接着剤によって固定され、このハウジングの内側にコネクタ本体を組み込むようしたものも知られている(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2018-098069号公報
【特許文献2】特許第6563496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述の如き従来の技術では、ハウジングをケースと一体に形成した場合、ケースとコネクタシェルとが別部品であることから、螺合部分の隙間からノイズが侵入するおそれがあった。
【0010】
また、ハウジングも金属材によって構成することは、加工費や材料費が嵩むという問題があった。
【0011】
一方、上述の如きハウジングを樹脂で形成する場合には、ハウジングに相手方コネクタを接続する際、相手方コネクタの接続状態によってハウジングに対し軸方向と直交する方向の外力によって曲げモーメントが作用するため、この曲げモーメントに対抗し得るようにハウジングとリアケースとを強固に接着するようにリアケースの端面部に一定の接着面積を確保する必要がある。
【0012】
そのため、ハウジングを設ける位置は、ハウジングの位置をリアケース端面部の隅部や外周側に片寄せて配置しようとすると、十分な接着面積を確保することが難しく、リアケース端面部の略中央に限定され、設計の自由度が限定されるという問題があった。
【0013】
そこで、本発明は、このような従来の問題に鑑み、シールド性及び放熱性に優れ、且つ、設計の自由度が高いモジュール用コネクタ及びその製造方法の提供を目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の如き従来の問題を解決するための請求項1に記載の発明の特徴は、モジュールが収容される導電性金属製のケースと一体化され、前記モジュールと接続されるモジュール用コネクタであって、前記ケースの端面部に形成された樹脂連結用凹部と、該樹脂連結用凹部の底面部より前記ケースと一体に突出した筒状のコネクタシェルと、該コネクタシェル内に収容される導電性金属からなるターミナルと、前記コネクタシェルと前記ターミナルとの間に介在される絶縁材からなるインシュレータと、端部が前記樹脂連結用凹部に嵌まり込み連結され、前記コネクタシェルの外側に配置された樹脂製のハウジングとを備え、前記コネクタシェルの外周面に外向きに張り出した抜け止め凸部が形成されているとともに、前記ハウジングに前記抜け止め凸部と係合する係合溝が形成されていることにある。
【0015】
請求項2に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、前記樹脂連結用凹部の内縁部より内向きに突出した抜け止め凸片が形成されていることにある。
【0016】
請求項3に記載の発明の特徴は、請求項1又は2の構成に加え、前記樹脂連結用凹部の内縁部に段部が形成されていることにある。
【0017】
請求項4に記載の発明の特徴は、請求項2の構成に加え、前記抜け止め凸片が前記抜け止め凸部よりも前記樹脂連結用凹部の底側に配置されていることにある。
【0018】
請求項5に記載の発明の特徴は、請求項1又は2の構成に加え、前記樹脂連結用凹部が前記端面部の隅部又は外周側に片寄せて配置されていることにある。
【0019】
請求項6に記載の発明の特徴は、モジュールが収容される導電性金属製のケースと一体化され、前記モジュールと接続されるモジュール用コネクタの製造方法において、端面部に樹脂連結用凹部及び該樹脂連結用凹部の底面部より突出した筒状のコネクタシェルを一体に有する前記ケースを形成するケース一体成型工程と、前記コネクタシェルの外周面に外向きに張り出した抜け止め凸部を形成する抜け止め凸部形成工程と、一体成型により前記コネクタシェルの外側に配置される樹脂製のハウジングを成形するとともに、前記樹脂連結用凹部内に絶縁性樹脂を充填させ、前記ハウジングの端部を前記樹脂連結用凹部に連結し、前記抜け止め凸部と係合させるハウジング成型工程と、絶縁材からなるインシュレータに保持された状態で導電性金属材からなるターミナルを前記コネクタシェル内に組み込むコネクタ組立工程と、を具備することにある。
【0020】
請求項7に記載の発明の特徴は、請求項6の構成に加え、前記ケース一体成型工程において、前記樹脂連結用凹部の内縁部に段部を形成することにある。
【0021】
請求項8に記載の発明の特徴は、請求項6又は7の構成に加え、前記ハウジング成型工程の前に、前記樹脂連結用凹部の内縁部をカシメて前記樹脂連結用凹部の内縁部より内向きに突出した抜け止め凸片を形成することにある。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るモジュール用コネクタは、請求項1に記載の構成を具備することによって、ケースとコネクタシェルとが一体に形成されているので、高いシールド性を確保できるとともに、外向きに張り出した抜け止め凸部によって、樹脂製のハウジングの端部が樹脂連結用凹部に確実に連結され、高い耐モーメント性を確保することができる。
【0023】
また、本発明において、請求項2に記載の構成を具備することによって、樹脂製のハウジングの端部が樹脂連結用凹部に確実に連結され、高い耐モーメント性を確保することができる。
【0024】
さらに、本発明において、請求項3に記載の構成を具備することによって、金属製のケースと樹脂製のハウジングとの接触面積が大きくなり、高い固定強度を確保することができる。
【0025】
また、本発明において、請求項4に記載の構成を具備することによって、ハウジングに対し耐曲げモーメント性の向上を図ることができる。
【0026】
さらにまた、本発明において、請求項5に記載の構成を具備することによって、ケースに対するコネクタ本体の位置を自由に設定することができる。
【0027】
また、本発明に係るモジュール用コネクタの製造方法は、請求項6の構成を具備することによって、ケースとコネクタシェルとを一体に形成することで部品点数の削減、シールド性の向上を図ることができるともに、金属製のケースと樹脂製のハウジングとを好適に一体化させるとともに、ハウジングの高い耐曲げモーメント性を確保することができる。
【0028】
また、本発明において、請求項7に記載の構成を具備することによって、ケースとハウジングとの接触面積が大きくなり、高い固定強度を確保することができる。
【0029】
さらに、本発明において、請求項8に記載の構成を具備することによって、ケースを鍛造した場合にも好適に抜け止め凸片を形成することができ、且つ、ハウジングの高い耐曲げモーメント性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明にかかるモジュール用コネクタの一例を示す斜視図である。
【
図2】同上のモジュール用コネクタの断面図である。
【
図3】同上のコネクタ本体部を示す拡大断面図である。
【
図4】同上のモジュール用コネクタの分解斜視図である。
【
図5】(a)は
図5中のケースを示す平面図、(b)は同底面図、(c)はA-A線矢視断面図である。
【
図6】(a)は同上のB-B線矢視断面図、(b)は同C-C線矢視断面図である。
【
図7】(a)(b)は同上のハウジングを示す斜視図、(c)は同底側から見た斜視図である。
【
図8】本発明に係るモジュール用コネクタの製造方法における抜け止め凸部形成工程の状態を示す拡大斜視図であって、(a)は形成前の状態、(b)は同形成後の状態を示す図である。
【
図9】同上の抜け止め凸片形成工程の状態を示す拡大斜視図であって、(a)は形成前の状態、(b)は同形成後の状態を示す図である。
【
図11】(a)(b)は同上のC-C線矢視断面図である。
【
図12】ハウジング成型工程の状態を示す拡大断面図である。
【
図13】同上のハウジングが成形された状態を示す図であって、(a)はB-B線矢視断面図、(b)は同C-C線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、本発明に係るモジュール用コネクタの実施態様を
図1~
図7に示した実施例に基づいて説明する。尚、図中符号1はモジュール用コネクタである。
【0032】
モジュール用コネクタ1は、カメラモジュール等のモジュール(図示せず)が収容されるケースと一体化されたコネクタ本体2を備え、このコネクタ本体2のケース内部側の端部にモジュール側コネクタが接続されるとともに、ケースの端面部11から突出したコネクタ本体2の他端部に同軸ケーブル等の外部接続体に取り付けられた外部コネクタ(図示せず)が接続され、コネクタ本体2を介して外部接続体とモジュールとが接続されるようになっている。
【0033】
コネクタ本体2は、導電性金属材からなる筒状のコネクタシェル3と、コネクタシェル3内に収容される導電性金属からなるターミナル4と、コネクタシェル3とターミナル4との間に介在される絶縁材からなるインシュレータ5と、コネクタシェル3のケース内側開口部に嵌合される導電性金属からなるGNDコンタクト6と、コネクタシェル3の外側に配置された樹脂製のハウジング7とを備えている。
【0034】
このモジュール用コネクタ1は、ケースの端面部11に樹脂連結用凹部8を備え、樹脂連結用凹部8の底面部より突出したコネクタシェル3がケースと一体に形成されるとともに、樹脂製のハウジング7の端部が樹脂連結用凹部8に連結され、コネクタシェル3のケース側からインシュレータ5、ターミナル4及びGNDコンタクト6とが組み込まれ、ケースと一体化されている。
【0035】
ケースは、アルミニウム合金等の導電性金属材により鍛造又は鋳造(ダイキャスト)されたフロントケース及びリアケース9によって構成され、フロントケースとリアケース9とが互いに組み付けられ中空箱状を成すようになっている。
【0036】
リアケース9は、角筒状の周壁部10と、周壁部10の一端側を閉鎖する平板状の端面部11とを備え、周壁部10と端面部11とによって一方の端部が開口した中空箱状に形成されている。
【0037】
また、このリアケース9は、
図5に示すように、端面部11の隅部に片寄せた位置に矩形凹穴状の樹脂連結用凹部8が一体に形成されるとともに、樹脂連結用凹部8の中央部に底部より突出した筒状のコネクタシェル3が一体に形成され、コネクタシェル一体型ケースを成している。
【0038】
尚、樹脂連結用凹部8の位置は、上述した端面部11の隅部に限定されず、端面部11のいずれの位置に配置してもよく、例えば、端面部11の中央部や端面部11の一方の外側面側であって、当該外側面側の辺部の中央に片寄せた位置であってもよい。
【0039】
コネクタシェル3は、それぞれ内径及び外径が異なる複数(3つ)の円筒部3a,3b,3cが径の大きいものから樹脂連結用凹部8底部より順に連結された段付き円筒状に形成され、底部側の円筒部3aの端部が底部に一体に連結され、リアケース9内部と連通されている。
【0040】
また、コネクタシェル3の外周面、より詳しくは、底部側の最も径の大きい円筒部3aの外周面には、外向きに張り出したフランジ状の抜け止め凸部12が形成され、樹脂連結用凹部8内に充填されたハウジング7を構成する樹脂と係合するようになっている。
【0041】
抜け止め凸部12は、リアケース9(コネクタシェル3を含む)と同じアルミニウム合金等の導電性金属材によって内径がコネクタシェル3(円筒部3a)の外径と略同じの円環状に形成され、内周部が溶接又は接着によってコネクタシェル3(円筒部3a)に固定され、樹脂連結用凹部8内に張り出している。
【0042】
この抜け止め凸部12の位置は、特に限定されないが、下面(樹脂連結用凹部8の底側を下とする)がリアケース9の外側端面と同じ高さとし、後述する段部8d上面より高い位置になるようにすることが好ましい。
【0043】
尚、抜け止め凸部12は、必ずしもリアケース9(コネクタシェル3を含む)と同じアルミニウム合金等の導電性金属材である必要はなく、その他の金属、耐熱性の絶縁性樹脂等によって形成してもよい。
【0044】
樹脂連結用凹部8は、
図6に示すように、リアケース9の端面部11がリアケース9内側に膨出し、端面部11よりケース内側に凹んだ位置に形成された底面8aと、その内縁部に形成された内縁壁部8bとによって凹穴状を成している。
【0045】
また、樹脂連結用凹部8は、端面側開口縁部に拡径部8cが形成され、この拡径部8cと内縁壁部8bとによって内縁部に段部8dが形成されている。
【0046】
さらに、樹脂連結用凹部8には、段部8dの上面を内向きに加締めることによって、内縁部、本実施例では段部8dの上面部より内縁壁部の内周面より内向きに突出した抜け止め凸片13,13…が形成されている。
【0047】
よって、抜け止め凸部12が段部8d上面より高い位置に設けられており、抜け止め凸片13,13…は、抜け止め凸部12よりも樹脂連結用凹部8の底側に配置されている。
【0048】
各抜け止め凸片13,13…は、樹脂連結用凹部8の各辺にそれぞれ周方向に間隔をおいて少なくとも対向する各辺に複数個所に設けられている。
【0049】
ハウジング7は、インサート成形によってコネクタシェル一体型ケースと一体化され、成型時に樹脂が樹脂連結用凹部8に充填されることによって、端部がケースの端面部11に連結されるとともに、コネクタシェル3、即ちコネクタ本体2の同軸外側に配置される有底筒状を成している。
【0050】
このハウジング7は、
図7に示すように、コネクタシェル3の下部と嵌合された端部本体7aと、一端側に連続して形成された円筒状のハウジング筒部7bと、端部本体7aの外周部に張り出し、樹脂連結用凹部8の拡径部内に嵌まり込むフランジ部7cと、フランジ部7c下に形成され、樹脂連結用凹部8の底部に嵌まり込む底嵌合部7dとが一体に形成され、端部がリアケース9の端面部11に連結されるとともに、ハウジング筒部7bの内部にコネクタシェル3の先端側筒部3cが収容されるようになっている。
【0051】
また、このハウジング7には、コネクタシェル3の外周面に外向きに張り出した抜け止め凸部12が形成されていることによって、端部本体7aの内周面部に抜け止め凸部12が食い込み係合される係合溝7eが形成される。
【0052】
さらに、このハウジング7には、樹脂連結用凹部8の内縁部より内向きに突出した抜け止め凸片13,13…が形成されていることによって、底嵌合部7dの外側面部に抜け止め凸片13,13…が食い込み係合される係合孔7f,7fが形成される。
【0053】
尚、ハウジング7の成形に際しては、抜け止め凸部12を段部8d上面より高い位置に設けるとともに、各抜け止め凸片13,13…を抜け止め凸部12と高さを違え、且つ、樹脂連結用凹部8の各辺にそれぞれ間隔をおいて配置していることによって、段部8d、抜け止め凸部12及び抜け止め凸片13が互いに干渉せず、ハウジング7用の合成樹脂の流動性がよく、樹脂連結用凹部8内にも確実に樹脂を充填することができる。
【0054】
ターミナル4は、導電性金属材によって細棒状に形成され、インシュレータ5に保持された状態でコネクタシェル3内に固定され、両端部がそれぞれコネクタシェル3の先端側筒部3c内とケース内に突出したGNDコンタクト6内に突出している。
【0055】
インシュレータ5は、絶縁性樹脂からなるそれぞれ円筒状に形成されたインシュレータ部材5a,5bによって構成され、両インシュレータ部材5a,5b間にターミナル4に固定された円環状の止水部材14が介在されている。
【0056】
止水部材14は、ゴムなどの弾性材によって構成され、内周面がターミナル4の外周面に弾性接触されるとともに、外周面がコネクタシェル3の内周面に弾性接触され、インシュレータ5とコネクタシェル3との隙間及びターミナル4とインシュレータ5との隙間からの浸水を防止できるようになっている。
【0057】
尚、コネクタシェル3がリアケース9と一体に形成されるとともに、ハウジング7がケースと一体成型されることによってハウジング7とケースとの間が密着していることによって、止水部材14による止水効果によって、ケース内へのすべての浸水経路が止水されている。
【0058】
GNDコンタクト6は、導電性金属材をプレス加工することによって円筒状に形成され、一方の端部に突設された固定用突片6a,6aがインシュレータ部材5bに圧入されることによって、インシュレータ部材5bに固定され、他端側の筒内部にモジュール側コネクタが挿入されることによって、ターミナル4とモジュール側コネクタの中心導体が接触し、GNDコンタクト6の内周面とモジュール側コネクタの外部導体が接触するようになっている。
【0059】
また、GNDコンタクト6には、一端より外側に折り返して板バネ状に形成された複数の弾性接触片6b,6bを備え、弾性接触片6b,6bがケース9と一体に形成されたコネクタシェル3の内周面と接触することによって、GND接続されるようになっている。
【0060】
次に、上述したモジュール用コネクタ1の製造方法について
図8~
図13に基づいて説明する。尚、上述の実施例と同様の構成には同一符号を付して説明する。
【0061】
このモジュール用コネクタ1は、端面部11に樹脂連結用凹部8及び樹脂連結用凹部8の底面部より突出した筒状のコネクタシェル3を一体に有するケース(リアケース9)を形成するケース一体成型工程と、コネクタシェル3の外周面に外向きに張り出した抜け止め凸部12を形成する抜け止め凸部形成工程と、樹脂連結用凹部8の内縁部をカシメて樹脂連結用凹部8の内縁部より内向きに突出した抜け止め凸片13,13…を形成する抜け止め凸片形成工程と、一体成型によりコネクタシェル3の外側に配置される樹脂製のハウジング7を成形するとともに、ハウジング7の端部を樹脂連結用凹部8に連結するハウジング成型工程と、絶縁材からなるインシュレータ5に保持された状態で導電性金属材からなるターミナル4をコネクタシェル3内に挿入し、コネクタシェル3のケース内側開口部に導電性金属からなるGNDコンタクト6を嵌合させ、インシュレータ5及びターミナル4を固定するコネクタ組立工程とを順次経ることによって製造する。
【0062】
具体的には、先ず初めに、金型(図示せず)内に溶融されたアルミニウム合金等の導電性金属材を高速で充填した後、金型内に圧力をかけて鋳造し、金型から脱型することによってコネクタシェル一体型ケースを形成する(ケース一体成型工程)。その際、金型内に段部を設け樹脂連結用凹部8の内縁部に段部8dを形成する。
【0063】
一方、ケース一体成型工程においては、コネクタシェル3の軸方向に金型を脱型するため、脱型時にコネクタシェル3の軸方向と直交する方向に突出した部分があると脱型できず、抜け止め凸部12及び抜け止め凸片13,13…を形成することができない。
【0064】
次に、
図8に示すように、予めコネクタシェル一体型ケースとは別個に製作した円環状の抜け止め凸部12用の部材をコネクタシェル3の所定の位置にはめ込み、溶接又は接着によってコネクタシェル3の外周面に抜け止め凸部12用の部材を固定して外向きに張り出した抜け止め凸部12を形成する(抜け止め凸部形成工程)。
【0065】
また、
図9~
図11に示すように、樹脂連結用凹部8の内縁部、即ち、樹脂連結用凹部8の内縁部に形成された段部8dの上面部に加締め用ジグ(図示せず)を押圧させ、樹脂連結用凹部8の内縁部より内向きに突出した抜け止め凸片13,13…を形成する(抜け止め凸片形成工程)。
【0066】
尚、抜け止め凸片13,13…は、段部8dを加締めて形成されることによって、抜け止め凸部12よりも前記樹脂連結用凹部8の底側に配置される。
【0067】
尚、抜け止め凸部形成工程と抜け止め凸片形成工程とは、順番を逆にしてもよい。
【0068】
次に、
図12に示すように、型枠15a,15b内に抜け止め凸部12及び抜け止め凸片13,13…を設けたコネクタシェル一体型ケースを設置した状態で型枠15a,15b内に絶縁性樹脂を充填(インサート一体成型)することによって、
図13に示すように、樹脂製のハウジング7を形成し、ハウジング7の端部を樹脂連結用凹部8に連結させるとともに、端部本体7aをコネクタシェル3の外周部に嵌合させる。
【0069】
その際、コネクタシェル一体型ケースに抜け止め凸部12及び抜け止め凸片13,13…が設けられていることによって、抜け止め凸部12が端部本体7aの内周部に食い込むとともに、抜け止め凸片13,13…が底嵌合部の外側面部に食い込み、ハウジング7がコネクタシェル一体型ケースに対し、コネクタシェル3軸方向の抜け止めがされるとともに、ハウジング7に作用する曲げモーメントに対抗する。
【0070】
最後に、
図4に示すように、インシュレータ部材5a、止水部材14付きターミナル4、インシュレータ部材5b及びGNDコンタクト6をケース内側より順次コネクタシェル3内に挿入し、コネクタシェル3のケース内側開口部にGNDコンタクト6を嵌合させることによって、インシュレータ5及びターミナル4を固定し(コネクタ組立工程)、モジュール用コネクタ1の製造が完了する。
【0071】
このように構成されたモジュール用コネクタ1は、コネクタシェル3を導電性金属材からなるケースと一体に設けたことによって、コネクタ本体2とケースとの間に隙間がなくなり、高いシールド性を確保することができる。
【0072】
また、このモジュール用コネクタ1では、ケースの端面部11に樹脂連結用凹部8を設け、コネクタシェル3の外側に配置される樹脂製のハウジング7の端部が樹脂連結用凹部8に連結され、コネクタシェル3の外周面より外向きに張り出した抜け止め凸部12を備えるとともに、樹脂連結用凹部8の内縁部より内向きに突出した抜け止め凸片13,13…を備えることによって、抜け止め凸部12及び抜け止め凸片13,13…によってハウジング7のコネクタシェル3軸方向の抜け出しとハウジング7に作用する曲げモーメントに対抗でき、それに伴いハウジング7とリアケース9との接着面積が小さくとも、ハウジング7とリアケース9とが強固に固定することができる。
【0073】
よって、ハウジング7とリアケース9との接着面積が小さくできれば、ハウジング7の位置をリアケース9端面部11の隅部や外周側に片寄せて配置した場合であっても、当該連結部分に十分な接着面積を確保することができ、その分、設計の自由度が限定される。
【0074】
さらに、コネクタシェル3一体型リアケース9の鋳造においては、脱型できるよう、抜け止め凸部12及び抜け止め凸片13,13…を設けることができないが、本発明に係るモジュール用コネクタ1の製造方法であれば、抜け止め凸部12及び抜け止め凸片13,13…を好適に設けることができる。
【0075】
尚、上述の実施例では、樹脂連結用凹部8の内縁部に段部8dを設け、段部8dより内向きに抜け止め凸片13,13…を設けた場合について説明したが、段部8dを設けず、樹脂連結用凹部8の開口縁部を加締めることによって、抜け止め凸片13,13…を設けてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 モジュール用コネクタ
2 コネクタ本体
3 コネクタシェル
4 ターミナル
5 インシュレータ
6 GNDコンタクト
7 ハウジング
8 樹脂連結用凹部
9 リアケース
10 周壁部
11 端面部
12 抜け止め凸部
13 抜け止め凸片
14 止水部材
15a,15b 型枠