(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150973
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】着座率向上装置、着座率向上方法および着座率向上プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20241017BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064050
(22)【出願日】2023-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103090
【弁理士】
【氏名又は名称】岩壁 冬樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124501
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 誠人
(72)【発明者】
【氏名】皆川 拓海
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC20
5L050CC20
(57)【要約】
【課題】利用者が混雑した電車内で空いた座席に着座できる確率を向上できる着座率向上装置を提供する。
【解決手段】着座率向上装置20は、電車内の座席に着座している乗客が撮影された画像または映像に写る乗客の特徴を用いて、乗客が降車する駅である降車駅を予測する予測部21を備える。また、予測部21は、複数の特徴を用いる場合、降車駅の予測に寄与する度合いが高い順に複数の特徴をそれぞれ用いてもよい。また、予測部21は、予測された降車駅で乗客が降車する確率を予測してもよい。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電車内の座席に着座している乗客が撮影された画像または映像に写る前記乗客の特徴を用いて、前記乗客が降車する駅である降車駅を予測する予測部を備える
ことを特徴とする着座率向上装置。
【請求項2】
予測部は、複数の特徴を用いる場合、降車駅の予測に寄与する度合いが高い順に前記複数の特徴をそれぞれ用いる
請求項1記載の着座率向上装置。
【請求項3】
予測部は、予測された降車駅で乗客が降車する確率を予測する
請求項1記載の着座率向上装置。
【請求項4】
予測部は、複数の降車駅を確率と共にそれぞれ予測する
請求項3記載の着座率向上装置。
【請求項5】
予測された降車駅を示す情報を、乗客の降車駅の予測を要求した利用者が携帯する端末に向けて送信する送信部を備える
請求項1記載の着座率向上装置。
【請求項6】
電車内に設置されたカメラが撮影した画像または映像、または乗客の降車駅の予測を要求した利用者が携帯する端末のカメラが撮影した画像または映像を受信する受信部を備える
請求項1から請求項5のうちのいずれか1項に記載の着座率向上装置。
【請求項7】
電車内の座席に着座している乗客が撮影された画像または映像に写る前記乗客の特徴を用いて、前記乗客が降車する駅である降車駅を予測する
ことを特徴とする着座率向上方法。
【請求項8】
複数の特徴を用いる場合、降車駅の予測に寄与する度合いが高い順に前記複数の特徴をそれぞれ用いる
請求項7記載の着座率向上方法。
【請求項9】
コンピュータに、
電車内の座席に着座している乗客が撮影された画像または映像に写る前記乗客の特徴を用いて、前記乗客が降車する駅である降車駅を予測する予測処理
を実行させるための着座率向上プログラム。
【請求項10】
コンピュータに、
予測処理で、複数の特徴を用いさせる場合、降車駅の予測に寄与する度合いが高い順に前記複数の特徴をそれぞれ用いさせる
請求項9記載の着座率向上プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着座率向上装置、着座率向上方法および着座率向上プログラムに関し、特に電車内の画像または映像を用いて乗客の降車駅を予測する着座率向上装置、着座率向上方法および着座率向上プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電車は、通勤や通学において多く使用される交通手段の1つである。通勤や通学を行う人が多い朝の時間帯では、多くの人が電車に乗る。よって、朝の時間帯において、乗客が電車内の座席に座ることは困難である。
【0003】
例えば、電車で通勤を数時間行う乗客にとって、座席に座れないために長時間立ったままの姿勢を維持することは、疲労がたまる原因の1つである。
【0004】
毎日の出退勤時刻を労働者自身が決定できるフレックスタイム制等を利用すれば、乗客は、朝の時間帯を回避して電車で通勤できる。しかし、朝の時間帯を回避する場合であっても、電車内の座席に座って快適に通勤できるとは限らない。また、学生にとって朝の時間帯を回避して電車で通学することは難しい。
【0005】
特許文献1には、乗客が座席から立った場合に乗客の降車駅を予測する降車駅情報システムが記載されている。特許文献1に記載されている降車駅情報システムは、列車に乗車中の利用者が所持する端末装置を備えた降車駅情報システムである。
【0006】
特許文献1に記載されている端末装置は、撮影手段と、撮影手段により撮影された列車内の撮影画像に基づいて列車内の乗客が立ったことを判定する判定手段と、判定手段により乗客が立ったことが判定されたときの利用者の位置情報を取得する位置情報取得手段とを備える。
【0007】
また、特許文献1に記載されている端末装置は、位置情報取得手段により取得された利用者の位置情報に基づいて乗客の降車駅を特定する降車駅特定手段をさらに備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載されている降車駅情報システムの利用者である乗客は、座席から立った乗客の降車駅を予測できる。すなわち、特許文献1に記載されている降車駅情報システムの利用者は、主に予測された降車駅に電車が到着する直前に、判定対象の乗客が座っていた座席に着座できると判断できる。
【0010】
しかし、特許文献1に記載されている降車駅情報システムが利用される場合、上述したように判定対象の乗客が座席から立ってから降車駅の予測が行われる。電車が降車駅に到着する直前に降車駅の予測が行われると、予測のタイミングと判定対象の乗客が電車を降りるタイミングが殆ど変わらなくなる。
【0011】
すなわち、特許文献1に記載されている降車駅情報システムの利用者は、結局空いた座席を他の乗客と同じ条件で取り合う。その結果、特許文献1に記載されている降車駅情報システムの利用者は、空いた座席に座れない可能性もある。
【0012】
よって、空いた座席に着座できる確率を高めるために、座席に座っている乗客の降車駅を、電車が降車駅に到着するタイミングよりも前に予測できる技術が求められている。
【0013】
そこで、本発明は、利用者が混雑した電車内で空いた座席に着座できる確率を向上できる着座率向上装置、着座率向上方法および着座率向上プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明による着座率向上装置は、電車内の座席に着座している乗客が撮影された画像または映像に写る乗客の特徴を用いて、乗客が降車する駅である降車駅を予測する予測部を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明による着座率向上方法は、電車内の座席に着座している乗客が撮影された画像または映像に写る乗客の特徴を用いて、乗客が降車する駅である降車駅を予測することを特徴とする。
【0016】
本発明による着座率向上プログラムは、コンピュータに、電車内の座席に着座している乗客が撮影された画像または映像に写る乗客の特徴を用いて、乗客が降車する駅である降車駅を予測する予測処理を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、利用者が混雑した電車内で空いた座席に着座できる確率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態の着座率向上装置の利用例を示す説明図である。
【
図2】本実施形態の着座率向上装置100の構成例を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態の着座率向上装置100による降車駅予測処理の動作を示すフローチャートである。
【
図4】本実施形態の画像・映像の取得処理の動作を示すフローチャートである。
【
図5】利用者が携帯する端末に送信部140が送信する予測結果の例を示す説明図である。
【
図6】利用者が携帯する端末に送信部140が送信する予測結果の他の例を示す説明図である。
【
図7】本発明による着座率向上装置100のハードウェア構成例を示す説明図である。
【
図8】本発明による着座率向上装置の概要を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態の着座率向上装置の利用例を示す説明図である。
【0020】
本実施形態の着座率向上装置100は、電車の利用者の負担を軽減することを目的とする装置である。具体的には、着座率向上装置100は、着座している乗客の降車駅を電車が降車駅に到着するタイミングよりも前に予測することによって、利用者が空いた座席に座ることができる確率を高める装置である。換言すると、着座率向上装置100は、満員電車内であっても電車内で着座できる確率(着座率)を向上させる装置である。
【0021】
図1に示すように、着座率向上装置100は、電車内に設置されているカメラから、電車内に着座している乗客の画像または映像を取得する。次いで、着座率向上装置100は、取得された画像または映像に写る乗客の顔、服装、荷物、姿勢等の特徴を、AI(Artificial Intelligence)やデータを用いて解析する。
【0022】
次いで、着座率向上装置100は、
図1に示すように、解析で得られた特徴と、利用者の位置情報、学校または会社の所在地情報、または経路と照合することによって、電車内に着座している乗客の降車駅を予測する。
【0023】
なお、着座率向上装置100は、乗客の降車駅の予測を要求した利用者が携帯する端末のカメラが撮影した画像または映像を基に電車内に着座している乗客の特徴を解析してもよい。また、撮影された画像または映像には、複数の着座している乗客が写っていてもよい。
【0024】
[構成の説明]
図2は、本実施形態の着座率向上装置100の構成例を示すブロック図である。
図2に示す着座率向上装置100は、受信部110と、解析部120と、予測部130と、送信部140と、データベース150とを備える。
【0025】
受信部110は、電車内に設置されたカメラまたは利用者が携帯する端末のカメラで撮影された電車内の画像または映像を、カメラから受信する機能を有する。すなわち、本実施形態の着座率向上装置100は、各カメラと通信可能に接続している。
【0026】
解析部120は、受信された電車内の画像または映像に写る、着座している乗客の姿勢、服装、顔、荷物等の情報を解析する機能を有する。解析部120は、電車内に着座している乗客の特徴を、AI等を用いて解析する。
【0027】
通勤や通学が行われる時間帯の電車には、制服やスーツ等を着た人が多く乗車している。よって、乗客の服装や荷物を基に乗客の降車駅を特定できる可能性が高い。
【0028】
予測部130は、解析部120により解析された乗客の特徴を基に、乗客の降車駅を予測する機能を有する。予測部130は、解析された乗客の特徴を基に、例えば乗客がある駅で降車する確率を予測する。
【0029】
送信部140は、予測部130が予測した乗客の降車駅を示す情報を、利用者が携帯する端末に送信する機能を有する。送信部140は、乗客が予測された降車駅で降車する確率を、予測された降車駅を示す情報と共に送信してもよい。
【0030】
データベース150は、乗客の顔画像(顔データ)と乗客の降車駅を示す過去の情報とを併せて記憶する機能を有する。乗客は毎朝同じ時間帯の電車に乗る確率が高いことが予想される。よって、乗客の顔画像と降車駅とを管理することによって、乗客の降車駅を予測しやすくなることが考えられる。
【0031】
[動作の説明]
以下、本実施形態の着座率向上装置100の着座している乗客の降車駅を予測する動作を
図3を参照して説明する。
図3は、本実施形態の着座率向上装置100による降車駅予測処理の動作を示すフローチャートである。
【0032】
最初に、着座率向上装置100の利用者は、画像・映像の取得処理を実行する(ステップS101)。
【0033】
次いで、着座率向上装置100の解析部120は、取得された電車内の画像または映像に写る、座っている乗客の顔データを分析する。具体的には、解析部120は、乗客の顔データがデータベース150に登録されているか否かを判定する(ステップS102)。
【0034】
顔データがデータベース150に登録されている場合(ステップS102におけるYes)、解析部120は、データベース150に顔データと共に登録された過去の情報から降車駅を取得する(ステップS103)。降車駅を取得した後、解析部120は、ステップS113の処理を行う。
【0035】
顔データがデータベース150に登録されていない場合(ステップS102におけるNo)、解析部120は、乗客の服装の特徴を分析する。解析部120は、最初に乗客の服装がスーツや学校等で指定される服装であるか否かを判定する(ステップS104)。解析部120は、例えば制服や会社のロゴマーク等の特徴があるか否かを基に判定する。
【0036】
乗客の服装がスーツや学校等で指定される服装である場合(ステップS104におけるYes)、解析部120は、学校を特定可能な特徴があるか否かを判定する(ステップS105)。
【0037】
学校を特定可能な特徴がある場合(ステップS105におけるYes)、解析部120は、特徴を基に学校を特定する。次いで、予測部130は、特定された学校の最寄り駅や通学経路を予測する(ステップS106)。最寄り駅を降車駅として予測した後、予測部130は、ステップS113の処理を行う。
【0038】
学校を特定可能な特徴がない場合(ステップS105におけるNo)、解析部120は、乗客の服装をスーツと判定する。次いで、予測部130は、最寄りのオフィスが多く隣接する駅を予測する(ステップS107)。オフィスが多く隣接する駅を降車駅として予測した後、予測部130は、ステップS113の処理を行う。
【0039】
乗客の服装がスーツや学校等で指定される服装でない場合(ステップS104におけるNo)、解析部120は、乗客の荷物の特徴を分析する。具体的には、解析部120は、乗客の荷物が多いか否か、または大きいか否かを判定する(ステップS108)。
【0040】
乗客の荷物が多い、または大きい場合(ステップS108におけるYes)、解析部120は、荷物の特徴を分析する。次いで、予測部130は、分析された荷物の特徴を基に降車駅を予測する(ステップS109)。
【0041】
例えば、荷物がテニスラケット用カバンであれば、予測部130は、近場のテニスコートを探索する。次いで、予測部130は、探索されたテニスコートの最寄り駅を降車駅として予測する。降車駅を予測した後、予測部130は、ステップS113の処理を行う。
【0042】
乗客の荷物が少ない、かつ小さい場合(ステップS108におけるNo)、解析部120は、乗客の姿勢を基に、乗客が眠っているか否かを判定する(ステップS110)。
【0043】
乗客が眠っている場合、予測部130は、現在地から近い駅が降車駅である確率を下げ、現在地から遠い駅が降車駅である確率を上げる(ステップS111)。各駅が降車駅である確率を予測した後、予測部130は、ステップS113の処理を行う。
【0044】
乗客が眠っていない場合、予測部130は、降車駅が近いと予測する(ステップS112)。すなわち、予測部130は、現在地から近い駅が降車駅である確率を上げ、現在地から遠い駅が降車駅である確率を下げる。各駅が降車駅である確率を予測した後、予測部130は、ステップS113の処理を行う。
【0045】
次いで、送信部140は、予測結果を利用者の端末に向けて送信する(ステップS113)。予測結果が送信されると、利用者の端末には、取得された乗客の顔データと乗客が降車した駅を登録するか否かを確認するメッセージが表示される(ステップS114)。
【0046】
表示されたメッセージに対して利用者が、登録しない指示を入力すると(ステップS114におけるNo)、着座率向上装置100は、降車駅予測処理を終了する。
【0047】
表示されたメッセージに対して利用者が、乗客が降車した駅と共に登録する指示を入力すると(ステップS114におけるYes)、解析部120は、データベース150に、取得された乗客の顔データと入力された乗客が降車した駅とを併せて登録する(ステップS115)。登録した後、着座率向上装置100は、降車駅予測処理を終了する。
【0048】
上記のように、
図3に示す例では予測部130が乗客の複数の特徴を用いて降車駅を予測している。また、予測部130は、降車駅の予測に寄与する度合いが高い順(服装、荷物、姿勢)に特徴をそれぞれ用いている。
【0049】
次に、
図3に示す降車駅予測処理を構成する副処理であるステップS101の画像・映像の取得処理を、
図4を参照して説明する。
図4は、本実施形態の画像・映像の取得処理の動作を示すフローチャートである。
【0050】
最初に、利用者は、携帯する端末にインストールされている、着座率向上装置100を利用するためのアプリケーションを起動する(ステップS201)。
【0051】
次いで、利用者は、起動されたアプリケーション上で撮影モードを選択する(ステップS202)。
【0052】
選択された撮影モードが「自分で撮影モード」である場合(ステップS203における「自分で撮影モード」)、利用者は、携帯する端末で電車内の画像または映像を撮影する(ステップS204)。
【0053】
次いで、利用者は、携帯する端末から撮影された画像または映像を着座率向上装置100に向けて送信する。また、利用者は、現在の位置情報も併せて送信する(ステップS205)。撮影された画像または映像と位置情報を送信した後、着座率向上装置100は、
図3に示す降車駅予測処理に戻る。
【0054】
選択された撮影モードが「カメラで撮影モード」である場合(ステップS203における「カメラで撮影モード」)、利用者は、携帯する端末から「カメラで撮影モード」が選択されたことを着座率向上装置100に向けて送信する(ステップS206)。
【0055】
次いで、着座率向上装置100の送信部140は、電車内に設置されているカメラに電車内の画像または映像を撮影することを指示する(ステップS207)。
【0056】
次いで、電車内に設置されているカメラは、電車内の画像または映像を撮影する(ステップS208)。
【0057】
次いで、電車内に設置されているカメラは、撮影された画像または映像を着座率向上装置100に向けて送信する。また、電車内に設置されているカメラは、現在の位置情報も併せて送信する(ステップS209)。撮影された画像または映像と位置情報を送信した後、着座率向上装置100は、
図3に示す降車駅予測処理に戻る。
【0058】
図5は、利用者が携帯する端末に送信部140が送信する予測結果の例を示す説明図である。
図5に示す予測結果は、乗客と、降車駅と、降車確率とで構成されている。
【0059】
図5に示す予測結果は、乗客の顔データがデータベース150に登録されている場合に送信される予測結果である。すなわち、予め乗客の顔データと降車駅がデータベース150に登録されていたため、予測結果は、
図5に示すように「乗客Aが○○駅で降車する確率が100%」という内容を示している。
【0060】
図6は、利用者が携帯する端末に送信部140が送信する予測結果の他の例を示す説明図である。
図6に示す予測結果は、乗客と、降車駅と、降車確率とで構成されている。
【0061】
図6に示す予測結果は、乗客の顔データがデータベース150に登録されていない場合に送信される予測結果である。すなわち、乗客Bの降車駅がいくつか予測されたため、予測結果は、
図6に示すように「乗客Bが○○駅で降車する確率が80%、△△駅で降車する確率が70%、××駅で降車する確率が50%」という内容を示している。
【0062】
以上のように、本実施形態の着座率向上装置100は、電車内の座席に着座している乗客が撮影された画像または映像に写る乗客の特徴を用いて、乗客が降車する駅である降車駅を予測する予測部130を備える。
【0063】
また、予測部130は、複数の特徴を用いる場合、降車駅の予測に寄与する度合いが高い順に複数の特徴をそれぞれ用いてもよい。
【0064】
また、予測部130は、予測された降車駅で乗客が降車する確率を予測してもよい。また、予測部130は、複数の降車駅を確率と共にそれぞれ予測してもよい。
【0065】
また、着座率向上装置100は、予測された降車駅を示す情報を、乗客の降車駅の予測を要求した利用者が携帯する端末に向けて送信する送信部140を備える。
【0066】
また、着座率向上装置100は、電車内に設置されたカメラが撮影した画像または映像、または乗客の降車駅の予測を要求した利用者が携帯する端末のカメラが撮影した画像または映像を受信する受信部110を備える。
【0067】
[効果の説明]
本実施形態の着座率向上装置100は、AIによる分析により、服装、姿勢、荷物等から着座している乗客が降りる駅を予測する予測部130を備える。
【0068】
上記のように、電車で通勤や通学をする人にとって、少しでも快適な状態で通勤や通学をすることが望まれている。しかし、満員電車内で座席に座ることは難しい。
【0069】
満員電車には、服装や荷物等、降車駅の予測に役立つ特徴を有する乗客が多く乗車している。解析部120は、例えばAIを用いて画像または映像に写る乗客の特徴を解析する。
【0070】
予測部130は、解析された乗客の特徴を基に電車内の着座している乗客が降車する駅を予測できる。すなわち、本実施形態の着座率向上装置100の利用者は、座席が空く前に着座している乗客の降車駅を把握できる。
【0071】
よって、利用者は、降車駅を把握している乗客の近くに前もって乗車できるため、空いた座席を他の乗客よりも有利な条件で取ることができる。すなわち、利用者が空いた座席に着座できる確率が向上する。
【0072】
空いた座席に着座できる確率が向上すると、利用者にとっての電車で移動する時の疲労やストレスが軽減される可能性が高まる。また、空いた座席の取り合いによる混乱が軽減するため、電車の乗降がよりスムーズに行われる可能性が高まる。
【0073】
また、分析された顔画像がデータベース150に登録済みであれば、解析部120は、データベース150から乗客の降車駅を取得できる。すなわち、予測部130は、より確実に乗客の降車駅を予測できる。
【0074】
なお、本実施形態のデータベース150は、個人情報保護法で定義されている個人情報データベースに該当する。よって、本実施形態の着座率向上装置100を用いてサービスを提供する事業者には、撮影対象の電車の扉付近に着座率向上装置100による処理を説明した張り紙等を設ける、駅構内等の目立つ箇所に着座率向上装置100による処理を説明した掲示を設ける等の対応を実施することが求められる。
【0075】
本実施形態の着座率向上装置100は、通勤や通学も含めた一般的な電車利用時における降車駅予測、駅の混雑予測、および乗客のスムーズな乗降に向けた改善の実施において利用されることが考えられる。
【0076】
以下、本実施形態の着座率向上装置100のハードウェア構成の具体例を説明する。
図7は、本発明による着座率向上装置100のハードウェア構成例を示す説明図である。
【0077】
図7に示す着座率向上装置100は、CPU(Central Processing Unit )11と、主記憶部12と、通信部13と、補助記憶部14とを含む。また、ユーザが操作するための入力部15や、ユーザに処理結果または処理内容の経過を提示するための出力部16を含む。
【0078】
着座率向上装置100は、
図7に示すCPU11が各構成要素が有する機能を提供するプログラムを実行することによって、ソフトウェアにより実現される。
【0079】
すなわち、CPU11が補助記憶部14に格納されているプログラムを、主記憶部12にロードして実行し、着座率向上装置100の動作を制御することによって、各機能がソフトウェアにより実現される。
【0080】
なお、
図7に示す着座率向上装置100は、CPU11の代わりにDSP(Digital Signal Processor)を含んでもよい。または、
図7に示す着座率向上装置100は、CPU11とDSPとを併せて含んでもよい。
【0081】
主記憶部12は、データの作業領域やデータの一時退避領域として用いられる。主記憶部12は、例えばRAM(Random Access Memory)である。データベース150は、主記憶部12で実現される。
【0082】
通信部13は、無線のネットワーク(情報通信ネットワーク)を介して、周辺機器との間でデータを入力および出力する機能を有する。
【0083】
補助記憶部14は、一時的でない有形の記憶媒体である。一時的でない有形の記憶媒体として、例えば磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory )、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory )、半導体メモリが挙げられる。
【0084】
入力部15は、データや処理命令を入力する機能を有する。入力部15は、例えばキーボード、マウス、タッチパネル等の入力デバイスである。
【0085】
出力部16は、データを出力する機能を有する。出力部16は、例えば液晶ディスプレイ装置等の表示装置、タッチパネル、またはプリンタ等の印刷装置である。
【0086】
また、
図7に示すように、着座率向上装置100において、各構成要素は、システムバス17に接続されている。
【0087】
着座率向上装置100において、補助記憶部14は、受信部110、解析部120、予測部130、および送信部140を実現するためのプログラムを記憶している。
【0088】
なお、着座率向上装置100は、例えば内部に
図2に示すような機能を実現するLSI(Large Scale Integration )等のハードウェア部品が含まれる回路が実装されてもよい。
【0089】
また、着座率向上装置100は、CPU等の素子を用いるコンピュータ機能を含まないハードウェアにより実現されてもよい。例えば、各構成要素の一部または全部は、汎用の回路(circuitry )または専用の回路、プロセッサ等やこれらの組み合わせによって実現されてもよい。これらは、単一のチップ(例えば、上記のLSI)によって構成されてもよいし、バスを介して接続される複数のチップによって構成されてもよい。各構成要素の一部または全部は、上述した回路等とプログラムとの組み合わせによって実現されてもよい。
【0090】
また、着座率向上装置100の各構成要素の一部または全部は、演算部と記憶部とを備えた1つまたは複数の情報処理装置で構成されていてもよい。
【0091】
各構成要素の一部または全部が複数の情報処理装置や回路等により実現される場合には、複数の情報処理装置や回路等は集中配置されてもよいし、分散配置されてもよい。例えば、情報処理装置や回路等は、クライアントアンドサーバシステム、クラウドコンピューティングシステム等、各々が通信ネットワークを介して接続される形態として実現されてもよい。
【0092】
次に、本発明の概要を説明する。
図8は、本発明による着座率向上装置の概要を示すブロック図である。本発明による着座率向上装置20は、電車内の座席に着座している乗客が撮影された画像または映像に写る乗客の特徴を用いて、乗客が降車する駅である降車駅を予測する予測部21(例えば、予測部130)を備える。
【0093】
そのような構成により、着座率向上装置は、利用者が混雑した電車内で空いた座席に着座できる確率を向上できる。
【0094】
また、予測部21は、複数の特徴を用いる場合、降車駅の予測に寄与する度合いが高い順に複数の特徴をそれぞれ用いてもよい。
【0095】
そのような構成により、着座率向上装置は、乗客の降車駅をより早く予測できる。
【0096】
また、予測部21は、予測された降車駅で乗客が降車する確率を予測してもよい。また、予測部21は、複数の降車駅を確率と共にそれぞれ予測してもよい。
【0097】
そのような構成により、着座率向上装置は、予測される降車駅の候補を1つ以上利用者に提示できる。
【0098】
また、着座率向上装置20は、予測された降車駅を示す情報を、乗客の降車駅の予測を要求した利用者が携帯する端末に向けて送信する送信部(例えば、送信部140)を備えてもよい。
【0099】
そのような構成により、着座率向上装置は、利用者が携帯する端末に予測される降車駅を提示できる。
【0100】
また、着座率向上装置20は、電車内に設置されたカメラが撮影した画像または映像、または乗客の降車駅の予測を要求した利用者が携帯する端末のカメラが撮影した画像または映像を受信する受信部(例えば、受信部110)を備えてもよい。
【0101】
そのような構成により、着座率向上装置は、利用者が携帯する端末のカメラで撮影することが困難な場合にも対応できる。
【符号の説明】
【0102】
11 CPU
12 主記憶部
13 通信部
14 補助記憶部
15 入力部
16 出力部
17 システムバス
20、100 着座率向上装置
21、130 予測部
110 受信部
120 解析部
140 送信部
150 データベース