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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150988
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】経口組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/17 20160101AFI20241017BHJP
   A61K 38/39 20060101ALI20241017BHJP
   A61P 19/00 20060101ALI20241017BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20241017BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20241017BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
A23L33/17
A61K38/39
A61P19/00
A61P21/00
A61K47/02
A61K47/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064076
(22)【出願日】2023-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小松沢 里帆
(72)【発明者】
【氏名】野村 道康
(72)【発明者】
【氏名】尾上 貴俊
(72)【発明者】
【氏名】神谷 智康
【テーマコード(参考)】
4B018
4C076
4C084
【Fターム(参考)】
4B018LB01
4B018LB02
4B018LB09
4B018LB10
4B018LE02
4B018LE03
4B018LE05
4B018MD05
4B018MD18
4B018MD20
4B018MD33
4B018MD94
4B018ME14
4B018MF02
4B018MF08
4C076BB01
4C076CC09
4C076DD29
4C076EE30
4C076FF70
4C084AA02
4C084DA40
4C084MA52
4C084NA14
4C084ZA94
4C084ZA96
(57)【要約】
【課題】膝及び/又は腰の違和感の軽減、膝及び/又は腰の動作の改善及び/又は容易化、階段昇降機能及び/又は歩行機能の改善及び/又は容易化を図ることができる有効かつ安全に摂取可能な経口組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、コラーゲンペプチドを含有する、膝及び/又は腰の違和感を軽減するために用いられる経口組成物である。更に二酸化ケイ素及びポリデキストロースの中から選ばれる1以上を含有する経口組成物が好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コラーゲンペプチドを含有する、膝及び/又は腰の違和感を軽減するために用いられる経口組成物。
【請求項2】
コラーゲンペプチドを含有する、膝及び/又は腰の不快感を軽減するために用いられる経口組成物。
【請求項3】
コラーゲンペプチドを含有する、膝及び/又は腰の動作を改善及び/又は容易化するために用いられる経口組成物。
【請求項4】
コラーゲンペプチドを含有する、階段昇降機能及び/若しくは歩行機能の改善及び/又は低下抑制に用いられる経口組成物。
【請求項5】
さらに、二酸化ケイ素及びポリデキストロースの中から選ばれる1以上を含有する請求項1~4のいずれか一項に記載の経口組成物。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コラーゲンペプチドを含有する経口組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
コラーゲンは皮膚の真皮を構成するタンパク質であり、皮膚の弾力性や保湿性に関わることが知られている。そのため、美容などへの効果を目的として、コラーゲンを補給する健康食品の開発を求められてきた。しかしながら、コラーゲンは水に難溶であるため、水に懸濁させて摂取する粉末飲料のような剤形には不向きである。一方、コラーゲンを低分子化したコラーゲンペプチドであれば、水などに溶かして利用することが可能である(非特許文献1)。それにより、健康食品の原料としては、コラーゲンペプチドが多く利用されている。コラーゲンペプチドは、主に豚や魚、牛等に由来するコラーゲンを分解することで製造される食品素材であり、美容飲料などに用いられている(例えば特許文献1)。しかしながら、コラーゲンペプチドは美容効果を目的として用いられることが通常であり、膝及び/又は腰の違和感の軽減、膝及び/又は腰の動作の改善及び/又は容易化、階段昇降機能及び/又は歩行機能の改善及び/又は低下抑制等の用途にコラーゲンペプチドを用いることは知られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-296999号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】皮革科学,Vol.56,No.2,71~79頁(2010)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は膝及び/又は腰の違和感の軽減、膝及び/又は腰の動作の改善及び/又は容易化、階段昇降機能及び/又は歩行機能の改善及び/又は低下抑制等を図ることができ、有効かつ安全に摂取可能な経口組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は以下の〔1〕~〔14〕を提供する。
〔1〕コラーゲンペプチドを含有する、膝及び/又は腰の違和感を軽減するために用いられる経口組成物。
〔2〕コラーゲンペプチドを含有する、膝及び/又は腰の不快感を軽減するために用いられる経口組成物。
〔3〕コラーゲンペプチドを含有する、膝及び/又は腰の動作をサポートするために用いられる経口組成物。ここで動作のサポートとは、改善及び/又は容易化することを意味する。
〔4〕コラーゲンペプチドを含有する、階段昇降機能及び/又は歩行機能をサポートするために用いられる経口組成物。ここで機能のサポートとは、機能改善及び/又は低下抑制することを意味する。
〔5〕コラーゲンペプチドを摂取することにより、膝及び/又は腰の違和感を軽減する方法(但し、人の治療方法を除く)。
〔6〕コラーゲンペプチドを摂取することにより、膝及び/又は腰の動作を改善及び/又は容易化する方法(但し、人の治療方法を除く)。
〔7〕コラーゲンペプチドを摂取することにより、階段昇降及び/又は歩行機能を改善及び/又は低下抑制する方法(但し、人の治療方法を除く)。
〔8〕膝及び/又は腰の違和感の軽減剤の有効成分としての、コラーゲンペプチドの使用。
〔9〕膝及び/又は腰の動作の改善及び/又は容易化剤の有効成分としての、コラーゲンペプチドの使用。
〔10〕階段昇降及び/又は歩行機能を改善及び/又は低下抑制する剤の有効成分としての、コラーゲンペプチドの使用。
〔11〕コラーゲンペプチドを含有する、膝の曲げ伸ばし、階段の登り降り、座った状態からの立ち上がり、又は身をかがめる際の、膝の痛みの改善に用いられる経口組成物。
〔12〕コラーゲンペプチドを含有する、膝の曲げ伸ばし、階段の登り降り、座った状態からの立ち上がり、又は身をかがめる際の、動作の改善及び/又は容易化に用いられる経口組成物。
〔13〕コラーゲンペプチドを含有する、腰痛改善に用いられる経口組成物。
〔14〕コラーゲンペプチドを含有する、動作時の腰の痛みの改善に用いられる経口組成物。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、膝及び/又は腰の痛み等の違和感の軽減、膝及び/又は腰の動作の改善及び/又は容易化、階段昇降機能及び/又は歩行機能の改善及び/又は低下抑制等を図ることができ、有効かつ安全に摂取可能な経口組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明についてその好適な形態を説明する。本発明の経口組成物はコラーゲンペプチドを含有する。なお、以下で「及び/又は」という場合、「及び」、「又は」のいずれであってもよい。
【0009】
(A)コラーゲンペプチド
コラーゲンペプチドは、動物の骨や皮に多く含まれるたんぱく質であるコラーゲンを加熱及び変性させて得られるゼラチンを、さらに酸やアルカリあるいは酵素等で加水分解させたものをいう。コラーゲンは、由来生物(豚、牛、魚など)や製法(酸処理、アルカリ処理など)に関して特に限定されずに使用することができる。例えば動物としては、牛や豚、鶏などの動物の骨や皮、鮭、マグロ、ティラピア、タラ等の魚の皮、鱗を用いることができる。
【0010】
本発明に用いるコラーゲンペプチドの平均分子量は、1,300~4,500であることが好ましい。当該範囲であることで、膝及び/又は腰の違和感の軽減、膝及び/又は腰の動作の改善及び/又は容易化、階段昇降機能及び/又は歩行機能の改善及び/又は低下抑制の効果を得やすくなる。好ましくはコラーゲンペプチドの平均分子量は1,400~3,900、さらに好ましくは1,600~3,500、最も好ましくは1,800~2,900の範囲にある。なお本明細書において、「平均分子量」という場合、重量平均分子量を指す。重量平均分子量は、以下の方法にて測定される。
【0011】
HPLCカラム TSKgel G2500PWXL, Φ7.8 mm×300 mm
バッファー 水、アセトニトリル及びトリフルオロ酢酸の混液(55:45:0.1)
流速 0.5ml/min
検出 UV220nm
カラム温度 40℃
サンプル濃度0.2%(0.45μm メンブレンフィルター)
使用マーカー
Cytochrome C 分子量 12,327
Aprotinin 分子量 6,512
Bacitracin 分子量 1,450
Angiotensin II 分子量 1,046
Gly-Gly-Tyr-Arg 分子量 451
Gly-Gly-Gly 分子量 189
【0012】
コラーゲンペプチドとしては、牛や豚、鶏などの動物の骨や皮、魚の皮、鱗等のいずれであってもよいが、豚、魚の皮、魚の鱗から選ばれる一種に由来するコラーゲンペプチドであることが本発明の効果をより良く発揮する観点で好ましく、豚であることが特に好ましい。
【0013】
本発明においてコラーゲンペプチドは、膝及び/又は腰の違和感の軽減、膝及び/又は腰の動作の改善及び/又は容易化、階段昇降機能及び/又は歩行機能の改善及び/又は低下抑制する効果に特に優れる観点と、コラーゲンペプチドの摂取量を増やし過ぎずに効率よく高い効果を発揮する観点から、本発明の経口組成物の一日摂取量中に300mg~5,000mg含有されていることが好ましく、500mg~4,000mg含有されていることがより好ましく、1,000mg~3,000mg含有されていることが更に好ましい。
【0014】
膝及び/又は腰の違和感及び不快感の軽減、膝及び/又は腰の動作の改善及び/又は容易化、階段昇降機能及び/又は歩行機能を改善及び/又は低下抑制の効果が高い点と、経口組成物の摂取量を増やし過ぎずに効率よく高い効果を発揮する観点から、コラーゲンペプチドは、本発明の経口組成物の固形分中、1~100質量%含有されていることが好ましく、40~100質量%含有されていることがより好ましく、80~100質量%含有されていることが更に好ましい。
【0015】
本明細書中、固形分とは、経口組成物が固形状である場合は、経口組成物中の含有量を指し、経口組成物が非固形状である場合には、経口組成物中の溶媒を除いた全成分の合計量を指す。
ここで溶媒とは、水、25℃で液状の油脂、エタノール等、経口組成物に用いられるものが挙げられる。
固形状としては、粉末状、顆粒状、粒状、固体状等が挙げられる。
非固形状とは、上記固形状に該当しないものであり、液状、流動状、ペースト状が挙げられ、水等の溶媒に固形状成分が分散又は溶解しているものをいう。
なお、本明細書において、組成物がカプセル剤の形態である場合、組成物とはカプセル剤の内容物を指し、カプセル自体の質量は組成物の質量に含めないものとする。
【0016】
(B)その他の成分
本発明の経口組成物は、その他の成分として、二酸化ケイ素及びポリデキストロースの中から選ばれる1以上を含有することが、風香味も好ましくなり、また経口組成物が粉末状である場合に粉舞いがしにくくなる点で好ましい。
【0017】
二酸化ケイ素とは、食品添加物または医薬品添加物として使用されるものであれば特に限定されない。本発明の1つの態様において、二酸化ケイ素として、平均粒径が1μm以上15μm以下の二酸化ケイ素を用いると、粉舞いの抑制及び風香味の点で好ましい。この観点から、二酸化ケイ素の平均粒径は、2μm以上15μm以下がより好ましい。
【0018】
具体的には、アエロジル200、アエロジル200FAD(登録商標、日本アエロジル株式会社製)、カープレックス#67、カープレックスFPS-500(登録商標、DSL.ジャパン株式会社製)などを使用することができる。
【0019】
なお、二酸化ケイ素の平均粒径はコールターカウンター法により測定されるものである。
【0020】
ポリデキストロースは、グルコースがα-又はβ-型の1-2、1-3、1-4、又は1-6結合で分岐状に多数重合した構造を有する、水溶性かつ難消化性の多糖類であり、その一部は食物繊維としてはたらく。ポリデキストロースは、例えば、グルコース、ソルビトール、クエン酸を凡そ89:10:1、またはグルコース、ソルビトール、リン酸を凡そ90:10:0.1の質量比で混合後、高温条件下で重合させることによって製造される。また、ポリデキストロース量は米国のFederal Chemicals Codexや平成18年7月21日食安発第0721001号の別紙記載の方法によって測定される。
【0021】
本発明においては、ポリデキストロースとして、ポリデキストロースとともにポリデキストロースの原料となる重合性単量体の1種又は2種以上を不純物として含むポリデキストロース混合物を用いてもよいし、不純物を除去した純度100%のポリデキストロースを用いてもよい。この重合性単量体としてはポリデキストロース製造の原料である前述のグルコースや、ソルビトールを挙げることができる。ポリデキストロース混合物は、純品のポリデキストロースと、グルコース及びソルビトールとからなるものであってもよい。
【0022】
ポリデキストロースがポリデキストロース混合物である場合、混合物中に不純物として含まれるグルコース及びソルビトールの合計量は、10質量%以下であることが好ましく、6質量%以下であることがより好ましい。
【0023】
本発明の経口組成物において、二酸化ケイ素及びポリデキストロースの合計量は、コラーゲンペプチド100質量部に対し、0.1~100質量部であることが、本発明の効果を良好としつつ、風香味も好ましくなり、経口組成物が粉末状である場合に粉舞いがしにくくなる点で好ましい。この観点から、二酸化ケイ素及びポリデキストロースの合計量は、コラーゲンペプチド100質量部に対し、0.2質量部以上がより好ましく、0.3質量部以上が更に好ましい。二酸化ケイ素及びポリデキストロースの合計量は、コラーゲンペプチド100質量部に対し80質量部以下であってもよく、50質量部以下であってもよい。
【0024】
本発明の経口組成物において、二酸化ケイ素の量は、コラーゲンペプチド100質量部に対し、0.1~100質量部であることが、本発明の効果を良好としつつ、風香味も好ましくなり、また経口組成物が粉末状である場合に粉舞いがしにくくなる点で好ましい。この観点から、二酸化ケイ素の量は、コラーゲンペプチド100質量部に対し、0.2質量部以上がより好ましく、0.3質量部以上が更に好ましい。二酸化ケイ素の量は、コラーゲンペプチド100質量部に対し80質量部以下であってもよく、50質量部以下であってもよい。
【0025】
本発明の経口組成物において、二酸化ケイ素量は、本発明の経口組成物の固形分中、0.001~25質量%であることが風香味が好ましくなり、また経口組成物が粉末状である場合に粉舞いがしにくくなる点で好ましい。この観点から、二酸化ケイ素の量は、本発明の経口組成物の固形分中、0.001質量%以上であることがより好ましく、0.01質量%以上であることが更に好ましく、0.1質量%以上であることが特に好ましい。二酸化ケイ素の量は、本発明の経口組成物の固形分中、5質量%であってもよく、3質量%以下であってもよく、1質量%以下であってもよい。
【0026】
本発明において、ポリデキストロースの量は、コラーゲンペプチド100質量部に対し、0.0001~100質量部であることが、本発明の効果を良好としつつ、風香味も好ましくなり、また経口組成物が粉末状である場合に粉舞いがしにくくなる点で好ましい。この観点から、ポリデキストロースの量は、コラーゲンペプチド100質量部に対し、0.001質量部以上が好ましく、0.01質量部以上がより好ましい。ポリデキストロースの量は、コラーゲンペプチド100質量部に対し、80質量部以下であってもよく、50質量部以下であってもよい。
【0027】
本発明において、ポリデキストロース量は、本発明の経口組成物の固形分中、0.000001~30質量%であることが、本発明の効果を良好としつつ、風香味も好ましくなり、また経口組成物が粉末状である場合に粉舞いがしにくくなる点で好ましい。この観点から、ポリデキストロースの量は、本発明の経口組成物の固形分中、0.00001質量%以上であることがより好ましく、0.0001質量%以上であることが更に好ましい。ポリデキストロースの量は、本発明の経口組成物の固形分中、10質量%であってもよく、0.1質量%以下であってもよい。
【0028】
更に、本発明では、二酸化ケイ素とポリデキストロースを組み合わせることが、風香味も好ましくなり、また経口組成物が粉末状である場合に粉舞いがしにくくなる点で特に好ましい。この場合に、二酸化ケイ素とポリデキストロースとの質量比(前者:後者)は、100:0.001~100であることが、粉末状である場合に粉舞いがよりしにくくなる点で好ましく、100:1~100であることがより好ましい。二酸化ケイ素とポリデキストロースとの質量比(前者:後者)は、100:50以下であってもよい。
【0029】
本発明の経口組成物は、コラーゲンペプチド、二酸化ケイ素、ポリデキストロース以外に、通常使用される他の成分を、本発明の効果を損なわない範囲で含有してもよい。経口摂取する場合、このような成分としては、水、二酸化ケイ素、ポリデキストロース以外の賦形剤や、結合剤、光沢剤、滑沢剤、安定剤、希釈剤、増量剤、増粘剤、乳化剤、酸化防止剤、pH調整剤、着色料、香料、添加剤などを挙げることができる。その他の成分の含有量は、本発明の経口組成物の形態等に応じて適宜選択することができる。例えば、添加剤としては、N-アセチルグルコサミン、エラスチン、ヒアルロン酸、鶏肉抽出物等が挙げられる。
【0030】
N-アセチルグルコサミンは、通常の飲食物や外用剤等に使用できるものであれば限定されないが、例えば、カニやエビなどの甲殻類の外殻を由来とする天然多糖類キチンを公知の方法、例えば酸及び酵素により加水分解して得られるものがあり、製法など特に限定されるものではない。
【0031】
N-アセチルグルコサミンを用いる場合、コラーゲンペプチド100質量部に対し、0.00001~30質量部であってもよく、0.0001~10質量部であってもよく、0.001~1質量部であってもよい。
【0032】
またN-アセチルグルコサミンを用いる場合、本発明の固形分中、0.0001~10質量%であってもよく、0.001~1質量%であってもよい。
【0033】
ヒアルロン酸は、鶏冠由来のもの、微生物由来のもの、合成品、酵素などを用いて加水分解したものを用いることができる。本発明においては、たとえば、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸カリウムなどのヒアルロン酸の塩、加水分解ヒアルロン酸のようなヒアルロン酸を低分子化した分解物を使用することができる。
【0034】
ヒアルロン酸を用いる場合、コラーゲンペプチド100質量部に対し、0.00001~30質量部であってもよく、0.0001~10質量部であってもよく、0.001~1質量部であってもよい。
【0035】
ヒアルロン酸を用いる場合、本発明の経口組成物の固形分中、0.0001~10質量%であってもよく、0.001~1質量%であってもよい。
【0036】
エラスチンは、哺乳類、鳥類、魚類等、特に哺乳動物の大動脈、項靭帯、黄色靭帯、肺、皮膚、子宮、弾性軟骨等に、コラーゲンと共に存在し、弾性を有する主要蛋白質であり、別名として、弾性繊維とも称される。本発明で用いるエラスチンには、水溶性エラスチンの他に加水分解エラスチン、α-エラスチン、κ-エラスチン及びエラスチンペプチド等も含まれる。本発明に用いられるエラスチンとしては特に制限されないが、タラ、サバ、サケ、ニシン、タイ、マグロ、イワシなどの魚類の皮や結合組織を加水分解したものを使用することができる。
【0037】
エラスチンを用いる場合、コラーゲンペプチド100質量部に対し、0.00001~30質量部であってもよく、0.0001~10質量部であってもよく、0.001~1質量部であってもよい。
【0038】
エラスチンを用いる場合、本発明の経口組成物の固形分中、0.0001~10質量%であってもよく、0.001~1質量%であってもよい。
【0039】
鶏肉抽出物は、イミダゾールジペプチドであるカルノシン及び/又はアンセリンを含む鶏肉抽出物に含まれる態様であることが好ましい。
【0040】
鶏肉抽出物を用いる場合、固形分として、コラーゲンペプチド100質量部に対し、0.00001~30質量部であることが好ましく、0.0001~10質量部であってもよく、0.001~1質量部でああってもよい。
【0041】
鶏肉抽出物を用いる場合、本発明の経口組成物の固形分中、0.0001~10質量%であってもよく、0.001~1質量%であってもよい。
【0042】
(C)経口組成物
経口組成物の形態としては、例えば、錠剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒剤、液剤、粒状剤、棒状剤、板状剤、ブロック状剤、固形状剤、丸状剤、ペースト状剤、クリーム状剤、カプレット状剤、ゲル状剤、チュアブル状剤、スティック状剤等を挙げることができる。これらの中でも、錠剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒剤、液剤の形態が好ましく、とりわけ、服用しやすさの利点があり、本発明の効果が特に優れたものとなる点で顆粒剤がより好ましい。錠剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒剤、液剤として用いられる経口用組成物の例としては、サプリメント、食品添加剤、容器詰飲料、粉末飲料等を例示することができる。本明細書における粉末飲料とは、摂取時に、消費者が、水や湯、牛乳、豆乳などの液体に混合して、飲料として飲用に供される粉末状(顆粒を含む)の加工食品のことを意味する。
【0043】
また経口組成物の具体例としては、飲食用組成物として食品を含めることができる。食品としては、ティーバッグ、パン・菓子類、麺類などの各種食品、調理品等も挙げることができる。パン・菓子類としては、食パン、菓子パン、フランスパン、イギリスパン、マフィン、蒸しパン、ドーナツ、ワッフル等のパン類や、バターケーキ、スポンジケーキ、シフォンケーキ、ホットケーキ等のケーキ類、チョコ、シャーベット、アイス等の冷菓、ゼリー、クッキー等を挙げることができる。麺類としては、うどんや素麺等が挙げられる。調理品としては、カレー、シチュー、味噌汁、野菜スープ等のスープやそれらのもと、調味料等を挙げることができる。
【0044】
本発明の経口組成物の利用形態としては、具体的には、医薬品(医薬部外品を含む)、一般食品、栄養機能食品、所定機関により効能の表示が認められた特定保健用食品、機能性表示食品等のいわゆる健康食品を挙げることができる。効能を表示した食品は「機能性食品」と総称されることがある。
【0045】
本発明の経口組成物は、後述する実施例に記載の通り、膝及び/又は腰の違和感の軽減、膝及び/又は腰の動作を改善及び/又は容易化、階段昇降機能及び/又は歩行機能の改善及び/又は低下抑制等を図ることができる。
【0046】
膝の違和感としては、痛みのほか、こわばり、膝の動かしにくさ、例えば曲げにくさ、伸ばしにくさ、膝がずれる感じ、膝が引っかかる感じ、等が挙げられる。違和感は不快感を包含するものであり、不快感の代表的なものが痛みである。
【0047】
腰の違和感としては、痛みのほか、腰の動かしにくさ、例えば曲げにくさや伸びにくさ等が挙げられる。違和感は不快感を包含するものであり、不快感の代表的なものが痛みである。
【0048】
膝の動作としては、膝の曲げ伸ばしが挙げられる。膝の曲げ伸ばしは膝関節の曲げ伸ばしを含む。例えば歩行、階段昇降、立ち上がる、立った状態から座る、しゃがみこむ、時の膝の曲げ伸ばしが挙げられる。
【0049】
腰の動作としては、腰の曲げ伸ばしが挙げられる。腰の曲げ伸ばしは腰関節の曲げ伸ばしの動作を含む。例えば、ものを持ち上げる、朝起きて動き出す、椅子に腰かける、立ち上がる、しゃがみこむ、前かがみになる、腰をそらす、寝返り、階段の昇り降り、捻ねる、歩く等の際の腰の動作が挙げられる。
【0050】
動作の改善には、動作がスムーズになること、動作域が広くなることを含む。
【0051】
動作の容易化は、動作時の違和感の軽減、及び、それによる動作の困難性の低下を含む。
【0052】
歩行機能の改善又は低下抑制の例としては、歩行時の痛みなどの違和感の軽減、痛みなどの違和感の低減により歩行が楽になること、膝が曲げ易くなったり伸び易くなったりすることで、歩行の動きが改善すること(例えば歩行がスムーズになったり、歩行が早くなる、歩行がしっかりする)ことやこれらの状態の悪化、機能の低下が抑制されることが挙げられる。
【0053】
階段昇降機能の改善又は低下抑制の例としては、階段昇降時の痛みなどの違和感の軽減、痛みなどの違和感の低減により階段昇降が楽になること、膝が曲げ易くなったり伸び易くなったりすることで、階段昇降が改善する(例えば階段昇降がスムーズになったり、階段昇降が早くなる、階段昇降の際の動きがよろけずに危なげなくできるようになる)ことやこれらの状態の悪化、機能の低下が抑制されることが挙げられる。
【0054】
本発明の経口組成物は、膝及び/又は腰の違和感の軽減、膝及び/又は腰の動作を改善及び/又は容易化、階段昇降機能及び/又は歩行機能の改善及び/又は低下抑制のための経口組成物として用いることもできる。
【0055】
本発明の経口組成物を上記の各用途として用いる場合、上記の各用途に用いられる点において、製品として他の製品と区別することができるものであればよい。例えば、本発明に係る製品の本体、包装、説明書、宣伝物(広告媒体)のいずれかに、膝及び/又は腰の違和感の軽減、膝及び/又は腰の動作を改善及び/又は容易化、或いは階段昇降機能及び/又は歩行機能の改善及び/又は低下抑制に関わる機能がある旨を表示したものが本発明の経口組成物の範囲に含まれる。なお、本発明の経口組成物は、製品の包装等に、コラーゲンペプチドが有効成分として表示されているものに限られない。例えば、有効成分を特定していないものであってもよい。また、一般的な食品であっても、膝及び/又は腰の違和感の軽減、膝及び/又は腰の動作を改善及び/又は容易化、或いは階段昇降機能及び/又は歩行機能の改善及び/又は低下抑制に関わる機能を示唆して製造販売されるものは本発明の経口組成物の範囲に含まれる。
【0056】
具体的に、本発明の経口組成物においては、例えば、膝の曲げ伸ばし時の違和感軽減等に関し、「膝の曲げ伸ばし時の違和感を軽減」、「膝の動きをサポート」、「膝の曲げ伸ばしをサポート」、「膝関節の曲げ伸ばしをサポート」「膝関節の動きをサポート」「膝関節の動きのスムーズさをサポート」「膝関節の曲げ伸ばしを助ける」「日常生活における膝を曲げ伸ばし時に生じる違和感を軽減する」「膝関節の曲げ伸ばし時に生じる違和感を軽減する」「膝の曲げ伸ばしを改善する」「膝の曲げ伸ばしを滑らかにする」等を表示したものを例示することができる。
【0057】
具体的に、本発明の経口組成物においては、例えば、階段昇降機能及び/又は歩行機能の改善等に関し、「階段昇降能力の改善」、「歩行能力の改善」「階段の昇り降りが楽に」「日常生活における膝の動きの改善に役立つ」「階段昇降時や歩行時の膝の悩みの改善」「階段昇降時や歩行時の膝の動きの改善」、「日常生活における膝の動きをサポート」「階段昇降といった日常生活における膝の違和感の軽減」「階段昇降時の膝の違和感を和らげる/軽減する」「日常生活における膝の動きの改善に役立つ」「歩行の改善に役立つ」「日常生活における膝の動きをサポート」「日常生活における歩行をサポート」「歩行といった日常生活における膝の違和感の軽減」「歩行時の膝の違和感を和らげる」「歩行時の膝の違和感を軽減する」等を表示したものを例示することができる。
【0058】
具体的に、本発明の経口組成物においては、例えば、立ち上がり時及び/又はものを拾う時における膝の違和感軽減に関し「立ち上がり時或いはものを拾う時における膝の違和感を軽減」「座った状態から立ち上がる時における膝の違和感軽減」「床に落ちたものを拾う時における膝の違和感軽減」「日常生活における膝の動きの改善に役立つ」「日常生活における膝の動きの改善に役立つ」「日常生活における膝の動きをサポート」「日常生活における膝の悩みを改善」「座った状態から立ち上がる時の動きの改善に役立つ」「座った状態から立ち上がる時をサポート」「座った状態から立ち上がる時といった日常生活における膝の違和感の軽減」「座った状態から立ち上がる時の膝の違和感を和らげる」「座った状態から立ち上がる時の膝の違和感を軽減する」「日常生活における膝の動き(床に落ちたものを拾う時)の改善に役立つ」「床に落ちたものを拾う時等の膝の動きの改善に役立つ」「日常生活における膝の動きをサポート」「床に落ちたものを拾う時の膝の動きをサポート」「床に落ちたものを拾う時といった日常生活における膝の違和感の軽減」「床に落ちたものを拾う時の膝の違和感を和らげる」等が挙げられる。
【0059】
具体的に、本発明の経口組成物においては、例えば、床から重いものを持ち上げる時に生じる腰の違和感を軽減するに際し、「日常生活で生じる腰の違和感を軽減する」「日常で生じる腰の不快感を軽減する」「日常生活で生じる腰の違和感を和らげる」「日常生活で生じる腰の不快感を和らげる」「日常生活で生じる腰の不快感/違和感を和らげる/軽減する」等を表示したものを例示することができる。ここで、日常生活の例としては、例えば、「朝起きて動き出す」、「椅子に腰かけている」、「立ち上がる」、「しゃがみこむ」、「立っている」、「前かがみになる」、「腰をそらす」、「寝返り」、「階段の昇り降り」、「捻ねる」、「歩く」等の例が挙げられる。
【0060】
本発明の経口組成物はコラーゲンペプチドの1日の摂取量が上記摂取量となるように適宜設計することが好ましく、1回で上記摂取量を摂取する態様であってもよいし、複数回に分けて上記摂取量を摂取する態様であってもよい。すなわち、例えば、1つの容器に、又は2~4の複数の容器に分けて、1日分として収容することができる。
【0061】
本発明の経口組成物は、ヒト等の哺乳類に適用されることが好ましく、とりわけヒト対象であることが好ましい。ヒトに適用されることにより、ヒトの膝及び/又は腰の違和感の軽減、膝及び/又は腰の動作の改善及び/又は容易化、階段昇降機能及び/又は歩行機能の改善及び/又は容易化を図ることができる有効かつ安全に摂取可能な経口組成物を提供することが期待される。特に、本発明の経口組成物は例えば40歳以上の摂取による効果が期待できる。
【0062】
本発明は、個体にコラーゲンペプチドを経口摂取させるステップを含む、当該個体の膝及び/又は腰の違和感の軽減、膝及び/又は腰の動作の改善及び/又は容易化、階段昇降機能及び/又は歩行機能の改善及び/又は低下抑制する方法を提供する。個体としては、ヒト、猫、犬等の哺乳類が好ましく、ヒトがより好ましい。これらの方法では、2週間以上連続してコラーゲンペプチドを含む本発明の経口組成物を摂取させることが好ましく、3週間以上連続して本発明の経口組成物を摂取させることがより好ましく、4週間以上連続して本発明の経口組成物を摂取させることが更に好ましく、8週以上継続して摂取させることが更に一層好ましく、12週以上継続して摂取させることが最も好ましい。2週間以上連続して(A)本発明の経口組成物を摂取させる場合、毎日摂取しても、摂取しない日があってもよく、1週間に1日以上摂取すればよいが、好ましくは1週間に2日以上、或いは3日以上摂取することがより好ましい。
【実施例0063】
以下、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0064】
<試験1:アンケートによる膝及び/又は腰の改善評価>
■研究食品
被験食品には、コラーゲンペプチドに、ポリデキストロース、N-アセチルグルコサミン、エラスチン、ヒアルロン酸、鶏肉抽出物、及び二酸化ケイ素を混合し、造粒した粉末食品(粉末飲料)を使用した。対照食品には、外観で被験食品との区別がつかないように、被験食品中のコラーゲンペプチドをポリデキストロースに置き換えたものを使用した。被験食品及び対照食品ともに1日摂取目安量(2,600mg)を無地アルミ個包装とし、被験者及び介入実施者への盲検性を確保した。コラーゲンペプチドとしては、豚由来のものを用いた。
研究食品の1日摂取目安量あたりの熱量及び栄養成分値を表1に示した。
【0065】
【表1】
【0066】
被験食品に含まれるコラーゲンペプチド量は1日摂取目安量あたり2.0gであった。なお、被験食品中のコラーゲンペプチド量はAOAC法(AOAC 990.26-1993)に従い、Hyp量に換算係数8を乗じて算出した。
【0067】
■被験者
以下の選択基準(1)~(4)を全て満たし、かつ除外基準(1)~(11)のいずれにも抵触しない60名(男性32名、女性28名)を、試験責任医師が被験者として組み入れた。
【0068】
選択基準:(1)同意取得時の年齢が40歳以上75歳未満の男女で、関節に違和感や不快感がある者、(2)スクリーニング検査のX線検査から、研究責任者にKL分類により膝関節が病的でないと判定された者、(3)BMIが30未満の者、(4)研究の目的・内容について十分な説明を受け、同意能力があり、よく理解した上で自発的に参加を志願し、書面で研究参加に同意した者
【0069】
除外基準:(1)関節リウマチの現病歴、既往歴がある者、スクリーニング検査の結果、関節リウマチに罹患している可能性がある者、(2)関節の慢性痛、靭帯損傷または半月板損傷について外科的手術を受けた者、(3)人工関節等の使用がある者、(4)湿布薬、塗布剤、鎮痛剤等、関節に係わる医薬品を週3回以上使用している者、(5)重篤な肝障害、腎障害、消化器疾患、心疾患、呼吸器疾患、内分泌疾患、その他代謝性疾患、関節疾患の現病歴、既往歴がある者、(6)研究期間中に関節に影響を及ぼす可能性がある医薬品の服用、サプリメント・健康食品の摂取を止める事ができない者、(7)研究食品に含まれる食品成分のアレルギーを有する者、(8)妊娠中、授乳中の者、もしくは妊娠の意思がある者、(9)スクリーニング検査1か月以内に200mLまたは3か月以内に400mLを超える採血、成分献血をした者、(10)同意取得時から遡って1か月以内に他の食品の摂取や医薬品を使用する研究、化粧品及び医薬品などを塗布する研究に参加していた者、本研究参加中に他の研究に参加する者、(11)その他、研究責任者が研究対象者として不適当と判断した者
【0070】
■試験方法
本試験は、摂取開始前期間(3週間)、摂取期間(12週間)、後観察期間(4週間)からなる合計19週間のランダム化プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験(割付け比;1:1)として実施した。
試験責任医師が選択基準及び除外基準に従い組入れを行い、統計解析責任者が性別、年齢、Kellgren-Laurence分類(KL分類)、JOAスコアを調整因子としたブロックランダム化法(ブロックサイズ4)にて割振りを行った。割振りした2群を、試験に直接関係のないコントローラーが被験食品群と対照食品群に割り付けた。さらに、コントローラーは割付け結果を記載した表(キーコード)を作成及び封緘し、解析対象者決定後にキーコードを開示するまで密封保管することで、盲検性を確保した。
摂取期間中,被験者に1日1回、1包の研究食品(被験食品群には被験食品、対照食品群には対照食品)を水又はぬるま湯に溶かして12週間連続摂取させた。
【0071】
■検査項目
有効性評価として、下記表2~6に示す時期に、医師による評価として(1)日本整形外科学会膝痛疾患治療成績判定基準(膝JOA)、(2)被験者自身による評価として日本版変形性膝関節症患者機能評価表(JKOM)、(3)VAS法を用いた体感アンケート、(4)疾患特異的・患者立脚型慢性腰痛症患者機能評価尺度(JLEQ)を実施した。最終的に被験食品群22名、対照食品群22名の合計44名(男性;19名、女性;25名)を解析対象とした。
【0072】
表2~6において、「摂取前」とは摂取開始前検査、「摂取4週間後」とは摂取4週間後検査、「摂取8週間後」とは摂取8週間後検査、「摂取12週間後」とは摂取12週間後検査、「後観察4週間後」とは後観察期間4週間後検査を意味する。
【0073】
なお解析対象集団はPPS(Per-Protocol Set)とし、各検査時のスコアについて被験食品群と対照食品群の群間比較を行った。VASスコアは対応のないt検定、その他のスコアはMann WhitneyのU検定を行い、いずれの検定も有意水準は両側で0.05とした。統計解析はIBM:SPSS Statistics28を使用して行った。また、データは平均値±標準誤差で示した。
【0074】
(1)膝JOA
膝JOAは医師による膝に関する評価であり、被験者の左右の膝それぞれについて、I「疼痛・歩行能力」、II「疼痛・階段昇降能力」、III「屈曲角度および強直・高度拘縮」、IV「腫脹」の4項目を評価した。なお、Iは7段階評価の30点満点、IIは6段階評価の25点満点、IIIは6段階評価の35点満点、IVは3段階評価の10点満点であり、軽症であるほど高い点数となる。具体的な評価基準を以下に示す。
【0075】
I「疼痛・歩行能力」
1km以上歩行可能。通常疼痛がないが動作時たまに疼痛があってもよい。 30点
1km以上歩行可能。疼痛あり。 25点
500m以上、1km未満の歩行可能。疼痛あり。 20点
100m以上、500m未満の歩行可能。疼痛あり 15点
室内歩行又は100m未満の歩行可能。疼痛あり 10点
歩行不能 5点
起立不能 0点
【0076】
II「疼痛・階段昇降能力」
昇降自由。疼痛なし。 25点
昇降自由。疼痛あり。手すりを使えば疼痛なし。 20点
手すりを使い疼痛あり。一歩一歩の昇降は疼痛なし。 15点
一歩一歩の昇降も疼痛あり。手すりを使えば一歩一歩の昇降は疼痛なし。 10点
手すりを使っての一歩一歩の昇降も疼痛あり。 5点
出来ない。 0点
【0077】
III「屈曲角度および強直・高度拘縮」
正座可能な可動域 35点
横座り・あぐら可能な可動域 30点
110度以上屈曲可能 25点
75度以上屈曲可能 20点
35度以上屈曲可能 10点
35度未満の屈曲、または強直・拘縮高度 0点
【0078】
IV「腫脹」
水腫・腫脹なし 10点
時に穿刺必要 5点
頻回に穿刺必要 0点
【0079】
各項目の両膝のスコア合計(JOA合計スコア)の結果を表2に示す。JOA合計スコアは,摂取12週間後において対照食品群と比較して被験食品群で有意な高値を示した(p<0.05)。またJOAIスコア(項目Iの両膝の合計スコア)及びJOAIIスコア(項目IIの両膝の合計スコア)は,摂取12週間後において対照食品群と比較して被験食品群で有意な高値を示した(p<0.05)。
【0080】
【表2】
【0081】
(2)JKOM
JKOMは被験者自身による膝に関する評価であり、この数日間の日常生活における膝の状態を回答するA「膝の痛みやこわばり」、B「日常生活の状態」、この1か月間の膝による行動制限等について回答するC「ふだんの活動など」、この1か月間の健康状態を回答するD「健康状態について」の4項目計25問について5段階で評価し、最も軽症の選択肢を0点とし、最も重症の選択肢を4点、中間の選択肢は症状に応じて1点、2点、3点とした。具体的な基準は以下の通りである。
【0082】
A.「膝の痛みやこわばり」
ひどくこわばる、ひどく痛い 又は 毎晩ある 4点
かなりこわばる、かなり痛い 又は しばしばある 3点
中程度こわばる、中程度痛い 又は ときどきある 2点
少しこわばる、少し痛い 又は たまにある 1点
こわばりはない、全く痛くない 又は 全くない 0点
【0083】
B.「日常生活の状態」
非常に困難、ほとんど歩けない 又は 必ず杖を使う 4点
かなり困難、家の中を歩ける程度 又は しばしば杖を使う 3点
中程度困難、家のまわりを歩ける程度 又は ときどき杖を使う 2点
少し困難,15分くらい歩ける 又は たまに杖を使う 1点
困難はない,30分以上歩ける 又は 全く杖を使わない 0点
【0084】
C.「ふだんの活動など」
催し物やデパートなどへ全く行かなかった、非常に困難、全くやめていた 又は ほとんどあきらめていた 4点
催し物やデパートなどへ月に1回行った、かなり困難、かなり制限した 又は よくあった 3点
催し物やデパートなどへ2週に1回程度行った、中程度困難、半分ほど制限した 又は 数回あった 2点
催し物やデパートなどへ週に1回程度行った、少し困難、少し制限した 又は 1~2回あった 1点
催し物やデパートなどへ週に2,3回以上行った、困難はない、制限しなかった 又は ない 0点
【0085】
D.「健康状態について」
全然自分の健康状態は人並みに良いと思わない 又は ひどく悪い影響があると思う 4点
自分の健康状態は人並みに良いと思わない 又は かなり悪い影響があると思う 3点
良いとも悪いとも言えない 又は 中程度悪い影響があると思う
2点
自分の健康状態は人並みに良いと思う 又は 少し悪い影響があると思う 1点
全く自分の健康状態は人並みに良いと思う 又は 全く影響はないと思う 0点
【0086】
A、B、C、Dの小計スコア及びAからDの合計スコア(JKOMスコア)を評価に用いた。JKOMの結果を表3に示した。JKOMスコア、JKOMBスコア小計は、摂取4週間後、摂取12週間後及び後観察4週間後において対照食品群と比較して被験食品群で有意な低値を示した(p<0.05)。また、JKOMAスコア小計は、摂取12週間後、後観察4週間後で対照食品群と比較して被験食群で有意な低値を示した(p<0.05)。
【0087】
【表3】
【0088】
(3)膝の体感アンケート
膝の体感アンケートは被験者自身による膝に関する評価として,VAS法を用いて,ここ最近の「膝を曲げ伸ばしする時」「階段を昇り降りする時」「座った状態から立ち上がる時」「身をかがめて床に落ちたものを拾う時」について、膝の痛み又は困難さをそれぞれ評価した。なお、各評価では左端を痛み又は困難さが全くない状態、右端を想像できる最悪の痛み又は困難さがある状態とした100mm線分上に現在の状態がどこに位置するか回答させ、左端からの長さをVASスコアとして評価に用いた。膝に関するVASアンケートの結果を表4に示した。膝を曲げ伸ばしする時の痛み、階段を昇り降りする時の痛み、座った状態から立ち上がる時の痛み、身をかがめて床に落ちたものを拾う時の痛みのいずれのVASスコアにおいても摂取12週間後において対照食品群と比較して被験食品群で有意な低値を示した(p<0.05)。また、膝を曲げ伸ばしする時の困難さ、階段を昇り降りする時の困難さ、座った状態から立ち上がる時の困難さ、身をかがめて床に落ちたものを拾う時の困難さのいずれのVASスコアにおいても摂取12週間後で対照食品群と比較して被験食品群で有意な低値を示した(p<0.05)。
【0089】
【表4】
【0090】
(4)JLEQ
JLEQは被験者自身による腰に関する評価であり、質問項目については数日間の日常生活における動作や精神面等の状態について回答するA「数日間のあなたの腰の痛み」、B「数日間のあなたの腰痛による生活上の問題」、この1か月間の腰による行動制限や健康状態等について回答するC「ふだんの活動など」の3項目計30問について5段階で評価し、最も症状のみられない状態を0点とし、各問4点満点とした。具体的基準は以下の通りである。
【0091】
A.「数日間のあなたの腰の痛み」
ひどく痛い 4点
かなり痛い 3点
中程度痛い 2点
少し痛い 1点
痛くない 0点
【0092】
B.「数日間のあなたの腰痛による生活上の問題」
つねにつらくて、じっとしていられない、ひどく困難、ほとんど戸外を歩けない、ひどくつらい、いつも思っていた、毎晩のようによく眠れなかった 又は 全く無理だと思う 4点
しばしば姿勢を変えないとつらい、かなり困難、2、3分程度しか歩けない、かなりつらい、しばしば思った、よく眠れない夜の方が多かった 又は かなりむずかしいと思う 3点
ときどき姿勢を変えないとつらい、中程度困難、10~15分程度しか歩けない、中程度つらい、ときどき思った、よく眠れるときと眠れないときが半々だった 又は 中程度むずかしいと思う 2点
少しつらい、少し困難、30分程度は歩ける、少しつらい、たまに思った、一晩ほどよく眠れないことがあった 又は少しむずかしいと思う 1点
つらくはない、困難はない、1時間以上歩ける、つらくない、思わなかった、腰痛のためによく眠れないことはなかった 又は むずかしくないと思う 0点
【0093】
C.「ふだんの活動など」
全く外出しなかった、全くやめていた、ほとんど休んだ、つねに気分がすぐれなかった 又は ひどく悪い影響がある 4点
しばしば差しひかえた、かなり制限した、半分程度休んだ、気分がすぐれないときが多かった 又は かなり悪い影響がある 3点
ときどき差しひかえた、半分程度制限した、数日以上休んだ、ときどき気分がすぐれなかった 又は 中程度悪い影響がある 2点
1、2回差しひかえた、少し制限した、1~3日休んだ、たまに気分がすぐれなかった 又は 少し悪い影響がある 1点
差し控えることはなかった、制限しなかった、休まなかった、気分がすぐれないことはなかった 又は 全く影響はない 0点
【0094】
A、B、Cの小計スコア及びAからCの合計スコア(JLEQスコア)を評価に用いた。結果を表5に示した。JLEQスコア、JLEQBスコア小計は、摂取4週間後、摂取8週間後、摂取12週間後及び後観察4週間後において対照食品群と比較して被験食品群で有意な低値を示した(p<0.05)。また、JLEQAスコア小計は、摂取4週間後及び摂取12週間後で対照食品群と比較して被験食品群で有意な低値を示した(p<0.05)。
【0095】
【表5】
【0096】
(5)腰の体感アンケート
腰の体感アンケートは被験者自身による腰に関する評価として、VAS法を用いて、ここ最近の「床から重いものを持ち上げた時」について、腰の痛みを評価した。なお、各評価では左端を痛み又は困難さが全くない状態、右端を想像できる最悪の痛み又は困難さがある状態とした100mm線分上に現在の状態がどこに位置するか回答させ、左端からの長さをVASスコアとして評価に用いた。腰に関するVASアンケートの結果を表6に示した。床から重いものを持ち上げた時の痛みのVASスコアにおいて摂取12週間後において対照食品群と比較して被験食品群で有意な低値を示した(p<0.05)。
【0097】
【表6】
【0098】
<試験2:腰の不快感改善>
[試験方法]
表7に示す割合となるように粉末飲料を作成した。ニ酸化ケイ素の平均粒径としては2μm以上15μm以下とした。なお下記表における分子量は、平均分子量である。
作成した粉末飲料2gを40mLの水に懸濁して、被験者に摂取させた。摂取1時間後に「腰の不快感」を評価した。腰の不快感の評価基準については以下のとおりである。
<評価基準>
3: 服用前に比べて非常に良い。
2: 服用前に比べて良い。
1: 服用前に比べてどちらかといえば良い。
0: 服用前と変わらない。
-1:服用前に比べてどちらかといえば悪い。
-2:服用前に比べて悪い。
-3:服用前に比べて非常に悪い。
【0099】
【表7】
【0100】
表7に示す通り、コラーゲンペプチド摂取により腰の不快感が軽減されていた。さらに、コラーゲンペプチドとポリデキストロース又は二酸化ケイ素を組み合わせることで、腰の不快感がより一層軽減されていた。
【0101】
<試験3:粉の舞いやすさ、風香味の好ましさ>
[試験方法]
表8に示す割合となるように粉末飲料を作成した。各粉末飲料2gを20cmの高さから空のカップに落して、以下の基準に従って、粉の舞いにくさを評価した。また、各粉末飲料2gを40mLの水に懸濁させて摂取し、以下の基準に従って、風香味の好ましさを評価した。なお、粉舞いしにくいと、消費者が粉末飲料を容器に投入する際に容器の外へまき散りにくいため、粉末飲料として好ましい。また、風香味が良いと消費者が経口摂取しやすいため、経口組成物として好ましい。
【0102】
<評価基準>
●粉の舞いにくさ
3: 実施例1に比べて非常に粉舞いしにくい。
2: 実施例1に比べて粉舞いしにくい。
1: 実施例1比べてどちらかといえば粉舞いしにくい。
0: 実施例1と変わらない。
-1:実施例1に比べてどちらかといえば粉舞いしやすい。
-2:実施例1に比べて粉舞いしやすい
-3:実施例1に比べて非常に粉舞いしやすい。
【0103】
●風香味の好ましさ
3: 実施例1に比べて非常に良い。
2: 実施例1に比べて良い。
1: 実施例1に比べてどちらかといえば良い。
0: 実施例1と変わらない。
-1:実施例1に比べてどちらかといえば悪い。
-2:実施例1に比べて悪い。
-3:実施例1に比べて非常に悪い。
【0104】
【表8】
【0105】
コラーゲンペプチドのみの場合に比べて、コラーゲンペプチドと二酸化ケイ素又はポリデキストロースとを組み合わせることで、粉舞いがしにくくなり、風香味も好ましくなることが分かった。したがって、本発明の経口組成物がコラーゲンペプチドに加えてポリデキストロース及び/又は二酸化ケイ素を含有する場合、粉末飲料として特に適することが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明の経口組成物は、膝及び/又は腰の違和感及び不快感の軽減、膝及び/又は腰の動作の改善及び/又は容易化、階段昇降機能及び/又は歩行機能の改善及び/又は容易化等を図ることができ、有効かつ安全に摂取可能な剤として用いることができることから、産業上有用である。