(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001510
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】電源切替装置、電力供給装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
H02J 9/04 20060101AFI20231227BHJP
H02J 9/06 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
H02J9/04
H02J9/06
H02J9/06 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100200
(22)【出願日】2022-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹下 幸一
(72)【発明者】
【氏名】奥村 俊明
(72)【発明者】
【氏名】綾井 直樹
【テーマコード(参考)】
5G015
【Fターム(参考)】
5G015GA08
5G015GA11
5G015JA05
5G015JA21
5G015JA32
5G015JA52
(57)【要約】
【課題】 電源切替装置における信頼性をより高める。
【解決手段】電力系統と負荷の間に設けられる交流電路と、前記交流電路のうち、前記電力系統とは異なる電源部が前記電力系統に対して並列に接続される第1点よりも前記電力系統に近い位置に設けられる双安定リレーと、前記双安定リレーを閉じて前記電力系統と前記負荷とを接続することで前記電力系統から前記負荷に交流電力を供給する第1モードと、前記双安定リレーを開いて前記電力系統と前記負荷とを遮断することで前記電源部から前記負荷に交流電力を供給する第2モードと、に切り替える制御部と、を備える、電源切替装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統と負荷の間に設けられる交流電路と、
前記交流電路のうち、前記電力系統とは異なる電源部が前記電力系統に対して並列に接続される第1点よりも前記電力系統に近い位置に設けられる双安定リレーと、
前記双安定リレーを閉じて前記電力系統と前記負荷とを接続することで前記電力系統から前記負荷に交流電力を供給する第1モードと、前記双安定リレーを開いて前記電力系統と前記負荷とを遮断することで前記電源部から前記負荷に交流電力を供給する第2モードと、に切り替える制御部と、
を備える、
電源切替装置。
【請求項2】
前記双安定リレーは、
前記交流電路を開閉可能な主接点と、
前記電力系統からの励磁入力により前記主接点を閉じる第1コイルと、
前記電源部からの励磁入力により前記主接点を開く第2コイルと、
を含む、
請求項1に記載の電源切替装置。
【請求項3】
前記電力系統から前記第1コイルを励磁する電流を供給する第1入力路と、
前記第1入力路に設けられ、前記電力系統から供給される電流を整流する第1整流部と、
前記第1入力路を開閉可能な第1接点と、
を備え、
前記制御部は、前記電力系統の停電を検出してから、前記電力系統の復電を検出するまでの間、前記第1接点を開状態に維持する、
請求項2に記載の電源切替装置。
【請求項4】
前記第1入力路のうち前記第1整流部及び前記第1接点よりも前記電力系統に近い位置に設けられ、前記電力系統から供給される交流電力を所定電圧の直流電力に変換する第1コンバータを備える、
請求項3に記載の電源切替装置。
【請求項5】
前記第1接点は、前記第1入力路のうち前記第1整流部よりも前記第1コイルに近い位置に設けられ、
前記電源部は、
直流電力を供給する直流電源と、
前記直流電源からの直流電力を交流電力に変換するインバータと、
を含み、
前記電源切替装置は、
第1端が前記直流電源と前記インバータとの間に接続され、前記第1端とは反対の第2端が前記第1整流部と前記第1接点との間に接続されている第3入力路と、
前記第3入力路に設けられ、前記直流電源からの直流電力を前記所定電圧の直流電力に変換する第2コンバータと、
を備える、
請求項4に記載の電源切替装置。
【請求項6】
前記電源部から前記第2コイルを励磁する電流を供給する第2入力路と、
前記第2入力路を開閉可能な第2接点と、
を備え、
前記制御部は、前記電力系統の停電を検出してから、前記電力系統の復電を検出するまでの間、少なくとも一時的に前記第2接点を閉じる、
請求項2に記載の電源切替装置。
【請求項7】
前記電源部と前記第1点との間の電路を開閉する開閉器を備え、
前記制御部は、
前記電力系統が停電してから前記双安定リレーを開くまでの間、前記開閉器を開状態に維持し、
前記双安定リレーを開いてから前記電力系統が復電するまでの間に、前記開閉器を閉じる、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の電源切替装置。
【請求項8】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の電源切替装置と、
前記電源部と、
を備える、
電力供給装置。
【請求項9】
負荷へ交流電力を供給する供給源を電力系統と、前記電力系統とは異なる電源部とに切り替える電源切替装置の制御方法であって、
前記電源切替装置は、前記電力系統と前記負荷の間に設けられる交流電路のうち、前記電源部が前記電力系統に対して並列に接続される第1点よりも前記電力系統に近い位置に設けられる双安定リレーを備え、
前記電力系統から交流電力が供給されている場合に、前記双安定リレーを閉じて前記電力系統と前記負荷とを接続することで前記電力系統から前記負荷へ交流電力を供給する第1ステップと、
前記電力系統が停電した場合に、前記双安定リレーを開いて前記電力系統と前記負荷とを遮断することで前記電源部から前記負荷へ交流電力を供給する第2ステップと、
を備える、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電源切替装置、電力供給装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
負荷に交流電力を供給する供給源を、電力系統と、蓄電池等の電源部とに切り替える電源切替装置が知られている。特許文献1には、電力系統と負荷とを接続する電力線と、電力線のうち電力供給装置から供給される電力の供給点である電力供給点よりも電力系統に近い位置に設けられているスイッチと、スイッチを制御する制御部と、を備える分電盤が開示されている。電力系統の停電を検知した場合、制御部は電力供給装置から供給される電力を用いてスイッチをオフにすることで、停電時に電力供給装置から負荷に電力を供給するための回路を分電盤内に形成する。
【0003】
特許文献2には、電力系統が停電した場合に、電力変換装置及び太陽光発電装置を電力系統から切り離す解列リレーが開示されている。特許文献3には、商用電力系統で電圧低下が発生した場合に、重要負荷及び電源部を商用電力系統から遮断する開放スイッチが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-73010号公報
【特許文献2】特開2017-189112号公報
【特許文献3】特開2019-201475公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電源切替装置において、負荷及び電源部を電力系統から遮断するリレーが破損すると、電力系統から負荷及び電源部へ電力を供給することができなくなる。このため、当該リレーには高い信頼性が要求される。
【0006】
かかる課題に鑑み、本開示は、電源切替装置における信頼性をより高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の電源切替装置は、電力系統と負荷の間に設けられる交流電路と、前記交流電路のうち、前記電力系統とは異なる電源部が前記電力系統に対して並列に接続される第1点よりも前記電力系統に近い位置に設けられる双安定リレーと、前記双安定リレーを閉じて前記電力系統と前記負荷とを接続することで前記電力系統から前記負荷に交流電力を供給する第1モードと、前記双安定リレーを開いて前記電力系統と前記負荷とを遮断することで前記電源部から前記負荷に交流電力を供給する第2モードと、に切り替える制御部と、を備える、電源切替装置である。
【0008】
本開示の制御方法は、負荷へ交流電力を供給する供給源を電力系統と、前記電力系統とは異なる電源部とに切り替える電源切替装置の制御方法であって、前記電源切替装置は、前記電力系統と前記負荷の間に設けられる交流電路のうち、前記電源部が前記電力系統に対して並列に接続される第1点よりも前記電力系統に近い位置に設けられる双安定リレーを備え、前記電力系統から交流電力が供給されている場合に、前記双安定リレーを閉じて前記電力系統と前記負荷とを接続することで前記電力系統から前記負荷へ交流電力を供給する第1ステップと、前記電力系統が停電した場合に、前記双安定リレーを開いて前記電力系統と前記負荷とを遮断することで前記電源部から前記負荷へ交流電力を供給する第2ステップと、を備える、制御方法である。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、電源切替装置における信頼性をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係る電力供給装置の構成を例示する図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る制御方法を例示するフローチャートである。
【
図3】
図3は、実施形態に係る制御方法を例示するフローチャートである。
【
図4】
図4は、実施形態に係る制御方法を例示するフローチャートである。
【
図5】
図5は、変形例に係る電力供給装置の構成を示す図である。
【
図6】
図6は、変形例に係る電力供給装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本開示の実施形態の説明]
本開示の実施形態には、その要旨として、少なくとも以下のものが含まれる。
【0012】
(1)本開示の電源切替装置は、電力系統と負荷の間に設けられる交流電路と、前記交流電路のうち、前記電力系統とは異なる電源部が前記電力系統に対して並列に接続される第1点よりも前記電力系統に近い位置に設けられる双安定リレーと、前記双安定リレーを閉じて前記電力系統と前記負荷とを接続することで前記電力系統から前記負荷に交流電力を供給する第1モードと、前記双安定リレーを開いて前記電力系統と前記負荷とを遮断することで前記電源部から前記負荷に交流電力を供給する第2モードと、に切り替える制御部と、を備える、電源切替装置である。
【0013】
負荷へ交流電力を供給する供給源を切り替える際に、双安定リレーを用いることで、例えば単安定リレーを用いる場合と比べて、リレーの発熱等に伴う回路の劣化を抑制することができるため、電源切替装置の信頼性をより高めることができる。
【0014】
(2)前記(1)の電源切替装置において、前記双安定リレーは、前記交流電路を開閉可能な主接点と、前記電力系統からの励磁入力により前記主接点を閉じる第1コイルと、前記電源部からの励磁入力により前記主接点を開く第2コイルと、を含んでもよい。
【0015】
このように構成することで、電力系統が停電している間は、第1コイルは励磁されず、主接点を開状態に維持することができる。また、電力系統とは異なる電源部からの励磁入力によって主接点を開くことで、停電時において電力系統を電源部及び負荷から遮断することができる。これにより、停電中の電力系統への逆潮流を抑制しつつ、電源部から負荷へ交流電力を供給することができる。
【0016】
(3)前記(2)の電源切替装置は、前記電力系統から前記第1コイルを励磁する電流を供給する第1入力路と、前記第1入力路に設けられ、前記電力系統から供給される電流を整流する第1整流部と、前記第1入力路を開閉可能な第1接点と、を備えてもよい。この場合、前記制御部は、前記電力系統の停電を検出してから、前記電力系統の復電を検出するまでの間、前記第1接点を開状態に維持してもよい。
【0017】
例えば、第1接点を第1入力路に設けない場合、電力系統によって基準の電圧に満たない低電圧の交流電力が交流電路に入力されるときにも第1コイルへの励磁入力がなされることで主接点が閉じ、負荷に不安定な交流電力が供給されるおそれがある。前記(3)のように構成することで、電力系統が基準範囲内の電圧を供給する状態で電力系統を負荷に接続することができる。これにより、負荷に不安定な交流電力が供給されることを抑制することができる。
【0018】
(4)前記(3)の電源切替装置は、前記第1入力路のうち前記第1整流部及び前記第1接点よりも前記電力系統に近い位置に設けられ、前記電力系統から供給される交流電力を所定電圧の直流電力に変換する第1コンバータを備えてもよい。
【0019】
このように構成することで、第1コンバータにおいて調整された所定電圧の直流電力によって第1コイルが励磁されるため、第1コイルを安定的に励磁することができる。
【0020】
(5)前記(4)の電源切替装置において、前記第1接点は、前記第1入力路のうち前記第1整流部よりも前記第1コイルに近い位置に設けられてもよい。この場合、前記電源部は、直流電力を供給する直流電源と、前記直流電源からの直流電力を交流電力に変換するインバータと、を含んでもよく、前記電源切替装置は、第1端が前記直流電源と前記インバータとの間に接続され、前記第1端とは反対の第2端が前記第1整流部と前記第1接点との間に接続されている第3入力路と、前記第3入力路に設けられ、前記直流電源からの直流電力を前記所定電圧の直流電力に変換する第2コンバータと、を備えてもよい。
【0021】
このように構成することで、第1コンバータ及び第2コンバータのうち一方が故障した場合であっても、第1コンバータ及び第2コンバータのうち他方によって、第1コイルへの直流電流の供給を継続することができるため、電源切替装置の信頼性をより高めることができる。
【0022】
(6)前記(2)から前記(5)のいずれかの電源切替装置は、前記電源部から前記第2コイルを励磁する電流を供給する第2入力路と、前記第2入力路を開閉可能な第2接点と、を備えてもよい。この場合、前記制御部は、前記電力系統の停電を検出してから、前記電力系統の復電を検出するまでの間、少なくとも一時的に前記第2接点を閉じてもよい。
【0023】
このように構成することで、第2コイルに電流が供給される時間を短くすることができる。これにより、双安定リレーにおける発熱を抑制することで、回路の劣化を抑制することができる。
【0024】
(7)前記(1)から前記(6)のいずれかの電源切替装置は、前記電源部と前記第1点との間の電路を開閉する開閉器を備えてもよい。この場合、前記制御部は、前記電力系統が停電してから前記双安定リレーを前記第2状態とするまでの間、前記開閉器を開状態に維持し、前記双安定リレーを前記第2状態としてから前記電力系統が復電するまでの間に、前記開閉器を閉じてもよい。
【0025】
このように構成することで、電力系統の停電中において、双安定リレー及び開閉器のうち少なくとも一方は開状態となっている。このため、電源部は電力系統から双安定リレー及び開閉器のうち少なくとも一方によって遮断される。これにより、電力系統に電源部からの逆潮流が流れることを抑制することができる。
【0026】
(8)本開示の電力供給装置は、前記(1)から前記(7)のいずれかの電源切替装置と、前記電源部と、を備える、電力供給装置である。
【0027】
(9)本開示の制御方法は、負荷へ交流電力を供給する供給源を電力系統と、前記電力系統とは異なる電源部とに切り替える電源切替装置の制御方法であって、前記電源切替装置は、前記電力系統と前記負荷の間に設けられる交流電路のうち、前記電源部が前記電力系統に対して並列に接続される第1点よりも前記電力系統に近い位置に設けられる双安定リレーを備え、前記電力系統から交流電力が供給されている場合に、前記双安定リレーを閉じて前記電力系統と前記負荷とを接続することで前記電力系統から前記負荷へ交流電力を供給する第1ステップと、前記電力系統が停電した場合に、前記双安定リレーを開いて前記電力系統と前記負荷とを遮断することで前記電源部から前記負荷へ交流電力を供給する第2ステップと、を備える、制御方法である。
【0028】
負荷へ交流電力を供給する供給源を切り替える際に、双安定リレーを用いることで、例えば単安定リレーを用いる場合と比べて、リレーの発熱等に伴う回路の劣化を抑制することができるため、電源切替装置の信頼性をより高めることができる。
【0029】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の電源切替装置及び電力供給装置の具体例について、図面を参照して説明する。
【0030】
[1.電力供給装置]
[1.1 電力供給装置の構成]
図1は、実施形態に係る電力供給装置1の構成例を示す図である。
電力供給装置1は、需要家(例えば、一般家庭、工場)に設置されている負荷70へ、電力系統60の交流電力又は電源部40の交流電力を供給する装置である。電力供給装置1は、電源切替装置10と、電源部40と、を備える。
【0031】
電力系統60は、例えば単相の商用電力系統である。なお、電力系統60は、三相の電力系統であってもよいし、商用以外の電力系統(例えば、工場内の電力系統)であってもよい。
【0032】
電源部40は、電力系統60とは異なる交流電源であり、例えば需要家に設置されている。電源部40は、電力系統60が停電した際に負荷70へ交流電力を供給する補助電源である。なお、電源部40は、電力系統60が停電していない通常時において、電力系統60とともに負荷70へ交流電力を供給してもよい。電源部40は直流電源41と、チョッパ42と、インバータ43と、を含む。
【0033】
直流電源41は、直流電力を供給する電源であり、例えば蓄電池である。この場合、直流電源41は、リチウムイオン電池であってもよいし、その他の蓄電池であってもよい。なお、直流電源41は、太陽電池であってもよいし、蓄電池と太陽電池の組合せであってもよい。直流電源41が蓄電池及び太陽電池を含む場合、蓄電池は太陽電池により発電された電力によって充電されてもよい。
【0034】
チョッパ42は、直流電源41からの直流電力をインバータ43において制御可能な電圧に昇圧又は降圧する回路である。チョッパ42は、例えば直流電源41とインバータ43の間に設けられている。なお、直流電源41から供給される直流電力が、既にインバータ43において制御可能な電圧に調整されている場合、チョッパ42を省略してもよい。
【0035】
インバータ43は、直流電力と交流電力とを双方向に変換する双方向インバータ回路である。例えば、蓄電池である直流電源41が充電を行う場合、インバータ43は、電力系統60から供給される交流電力を直流電力に変換してチョッパ42へ出力する。一方、蓄電池(又は太陽電池)である直流電源41が放電を行う場合、インバータ43は、直流電源41からチョッパ42を経て供給される直流電力を交流電力に変換して負荷70へ出力する。
【0036】
[1.2 電源切替装置10の構成]
電源切替装置10は、負荷70へ交流電力を供給する供給源を、電力系統60と、電源部40とに切り替える装置である。電源切替装置10は、例えば需要家に設置されている。電源切替装置10は、交流電路11と、双安定リレー12と、制御装置13と、第1入力路14と、第2入力路15と、第1接点16と、第2接点17と、開閉器18と、を備える。
【0037】
交流電路11は、電力系統60と負荷70の間に設けられる電路である。交流電路11は、例えば電力系統60が単相である場合には、接地電力線と非接地電力線との2本の電力線を含む。
図1では、簡単のために接地電力線を図示省略している。また、電力系統60が三相である場合には、交流電路11は3本の電力線を含む。
【0038】
交流電路11は、電源部40が電力系統60に対して並列に接続される第1点P1を含む。なお、
図1の例では、第1点P1は交流電路11のうち電源切替装置10の内部に設けられているが、第1点P1は電源切替装置10と負荷70との間(すなわち、交流電路11のうち電源切替装置10の外部)に設けられていてもよい。
【0039】
双安定リレー12は、例えば電力系統60が停電した場合に、電力系統60を電源部40及び負荷70から遮断して、電源部40から負荷70へ交流電力を供給する回路を形成するための素子である。特許文献1等の従来技術では、電力系統を負荷から遮断するためのリレーとして単安定リレー(Monostable Relay)を用いていた。単安定リレーは、コイルに励磁入力を加えたときに接点が動作し、励磁入力を除去したときに接点が復帰するリレーであり、常時励磁式リレーとも称される。
【0040】
単安定リレーは、例えば接点を閉じた状態(又は接点を開いた状態)を維持するために、コイルに継続して電流を供給する必要がある。このため、単安定リレーは電流供給によって発熱しやすく、熱等による回路の劣化が生じうる。
【0041】
これに対し、本実施形態の電源切替装置10は、双安定リレー12(Bistable Relay)を備える。双安定リレー12は、コイルに励磁入力を加えたときに接点が動作又は復帰し、励磁入力を除去した後もその状態を保つリレーである。このため、双安定リレー12では、接点の切替の際にコイルに電流を流せばよく、コイルに継続して電流を供給せずとも、接点を閉じた状態(又は開いた状態)を維持することができる。このため、単安定リレーに比べてリレーの発熱に伴う回路の劣化を抑制することで、電源切替装置10の信頼性を従来よりも高めることができる。また、電流を供給する時間を従来よりも少なくすることで、電源切替装置10においてリレーを動作させるための電力消費を少なくすることができる。
【0042】
双安定リレー12は、交流電路11のうち第1点P1よりも電力系統60に近い位置に設けられている。双安定リレー12は、例えば二巻線形であり、主接点21と、第1コイル22と、第2コイル23と、第1整流部24と、第2整流部25と、を含む。双安定リレー12は、ラッチングリレー(又は、ラッチ式電磁接触器)とも称される。
【0043】
主接点21は、交流電路11を開閉可能な接点である。主接点21が閉状態(オン)のとき、交流電路11において電力系統60と負荷70とが電気的に接続される。主接点21が開状態(オフ)のとき、交流電路11において電力系統60と負荷70とが電気的に遮断される。
【0044】
第1コイル22は、電力系統60からの励磁入力により主接点21を閉じるコイルである。第1コイル22は第1入力路14から供給される電流により励磁される。第1入力路14は、交流電路11のうち主接点21と電力系統60の間にある第2点P2から第1コイル22へ引き出される電力線である。第1入力路14には、第1接点16と、第1整流部24とが設けられている。
【0045】
第1接点16は、第1入力路14を開閉可能な接点である。第1接点16は、制御装置13に含まれる制御部31によって開閉制御される。
図1の例において、第1接点16はb接点(ブレーク接点)である。なお、第1接点16はa接点(メーク接点)であってもよい。
【0046】
第1整流部24は、電力系統60から供給される電流を整流する。第1整流部24は、例えば第2点P2に近い方をアノードとしたダイオードを含む。第1接点16が閉じているときに、電力系統60から供給された電流が第1整流部24により整流されることで、第1コイル22に直流電流が供給される。
【0047】
図1の例において、第1整流部24は、双安定リレー12に内蔵されている。なお、第1整流部24は、第1入力路14のうち双安定リレー12の外部に設けられていてもよい。
図1の例において、第1整流部24は第1入力路14のうち第1接点16よりも第1コイル22に近い位置に設けられている。なお、第1整流部24は、第1入力路14のうち第1接点16よりも第2点P2に近い位置に設けられてもよい。
【0048】
双安定リレー12において、主接点21が開状態である場合に第1コイル22に励磁入力を加えると、主接点21は閉状態に切り替わる。そして、第1コイル22における励磁入力を除去した後も、主接点21は閉状態を維持する。
【0049】
第2コイル23は、電源部40からの励磁入力により主接点21を開くコイルである。第2コイル23は第2入力路15から供給される電流により励磁される。第2入力路15は、開閉器18と電源部40との間にある第3点P3から第2コイル23へ引き出される電力線である。第2入力路15には、第2接点17と、第2整流部25とが設けられている。
【0050】
第2接点17は、第2入力路15を開閉可能な接点である。第2接点17は、制御部31によって開閉制御される。
図1の例において、第2接点17はa接点(メーク接点)である。なお、第2接点17はb接点(ブレーク接点)であってもよい。
【0051】
第2整流部25は、電源部40から供給される電流を整流する。第2整流部25は、例えば第3点P3に近い方をアノードとしたダイオードを含む。第2接点17が閉じているときに、電源部40から供給された電流が第2整流部25により整流されることで、第2コイル23に直流電流が供給される。
【0052】
図1の例において、第2整流部25は、双安定リレー12に内蔵されている。なお、第2整流部25は、第2入力路15のうち双安定リレー12の外部に設けられていてもよい。
図1の例において、第2整流部25は第2入力路15のうち第2接点17よりも第2コイル23に近い位置に設けられている。なお、第2整流部25は、第2入力路15のうち第2接点17よりも第3点P3に近い位置に設けられてもよい。
【0053】
双安定リレー12において、主接点21が閉状態である場合に、第2コイル23に励磁入力を加えると、主接点21は開状態に切り替わる。そして、第2コイル23における励磁入力を除去した後も、主接点21は開状態を維持する。
【0054】
制御装置13は、電源切替装置10の各部を監視及び制御する装置である。制御装置13は、制御部31と、記憶部32と、電圧センサ33と、を含む。制御装置13に、読取部34が取り付けられてもよい。これらの各部31,32,33,34は、バスによって電気的にそれぞれ接続されている。
【0055】
制御装置13は、電力系統60又は電源部40から電力供給される。例えば、通常時(電力系統60が停電していない時)において、制御装置13は電力系統60が供給する交流電力によって動作する。そして、電力系統60の停電時において、制御装置13は電源部40が供給する交流電力によって動作する。なお、通常時において、制御装置13は電源部40のみから供給される電力によって動作してもよい。
【0056】
制御部31は、例えばプロセッサ等の回路構成(Circuitry)を含む。制御部31は、具体的には、1個又は複数個のCPU(Central Processing Unit)を含む。制御部31に含まれるプロセッサは、GPU(Graphics Processing Unit)であってもよい。制御部31は、記憶部32に記憶されているコンピュータプログラムを読み出して、各種の演算及び制御を実行する。
【0057】
なお、制御部31は、自身の内部の回路構成を書き換え可能なプログラマブル回路(PLD:Programmable Logic Device)であってもよい。この場合、制御部31は、CPLD(Complex PLD)であってもよいし、FPGA(Field Programmable Gate Array)であってもよい。制御部31がPLDである場合、制御部31は予め制御部31に書き込まれたプログラムに基づいて、各種の演算及び制御を実行する。
【0058】
記憶部32は、揮発性メモリと、不揮発性メモリと有し、各種のデータを記憶する。揮発性メモリは、例えばRAM(Random Access Memory)を含む。不揮発性メモリは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)又はROM(Read Only Memory)等を含む。記憶部32は、例えば、不揮発性メモリにコンピュータプログラム及び各種のパラメータを記憶している。
【0059】
電圧センサ33は、電力系統60の電圧を監視するセンサである。電圧センサ33は、交流電路11のうち双安定リレー12と電力系統60の間に設けられている。電圧センサ33は、交流電路11における電力系統60の電圧を検出し、その検出電圧を制御部31に出力する。
【0060】
制御装置13に読取部34が取り付けられる場合、読取部34は、コンピュータが読取り可能な記録媒体35から情報を読み取る。記録媒体35は、例えばCD、DVD等の光学ディスク又はUSBフラッシュメモリである。読取部34は、例えば光学ドライブ又はUSB端子である。記録媒体35にはコンピュータプログラム及び各種のパラメータが記録されており、記録媒体35を読取部34に読み取らせることで、コンピュータプログラム及び各種のパラメータが記憶部32の不揮発性メモリに記憶される。
【0061】
制御部31は、電圧センサ33の検出結果に基づいて、電力系統60の状態(具体的には、停電しているか否か)を判定する。そして、制御部31は、判定結果に基づいて、第1接点16、第2接点17、開閉器18及び電源部40を制御する。制御部31による制御動作については、後述する。
【0062】
開閉器18は、電源部40と第1点P1との間の電路を開閉する。開閉器18は、制御部31によって開閉制御される。
【0063】
[1.3 電源切替装置10の制御方法]
次に、電源切替装置10が実行する制御方法を説明する。電源切替装置10では、例えば記憶部32に記憶されているコンピュータプログラムを制御部31が読み出して各種の演算及び処理を実行することで、電源の切替が実行される。
【0064】
図2から
図4は、実施形態に係る制御方法を例示するフローチャートである。
図2から
図4に示す各工程の順序は、適宜前後してもよい。
【0065】
図2を参照する。はじめに、制御部31は電力供給装置1を初期状態に制御する(ステップS11)。例えば電源切替装置10を需要家内に導入した最初の時点において、電力系統60は電源切替装置10に接続されておらず、電源部40の直流電源41は直流電力を供給可能な状態(蓄電池の場合、充電済みの状態)となっているものとする。この状態で、電源切替装置10を需要家内に設置する作業者は、電源部40を電源切替装置10に接続する。これにより、電源部40から制御装置13への電力供給が開始される。
【0066】
この状態において、制御部31は、第1接点16を開き、第2接点17を閉じる。また、制御部31は開閉器18を開く。この状態において、制御部31はインバータ43を制御する。これにより、インバータ43は直流電源41からの直流電力を交流電力に変換して、第3点P3へ出力する。電源部40(インバータ43)から出力される交流電力は第2入力路15に供給され、第2整流部25において整流された後、第2コイル23を励磁することで、主接点21が開かれる。
【0067】
制御部31は、主接点21を開いた後に第2接点17を開くことで、主接点21を開状態(オフ)に維持したまま、第2コイル23への励磁入力を除去する。そして、制御部31はインバータ43の制御を切り替え、その後に開閉器18を閉じる。以上により、電力供給装置1は初期状態となる。すなわち、主接点21、第1接点16及び第2接点17は開かれ、開閉器18は閉じられる。この状態において、インバータ43は直流電源41の直流電力を交流電力に変換して負荷70に出力することができる。
【0068】
次に、電力系統60からの電力供給が開始される(ステップS12)。例えば、電源切替装置10を需要家内に設置する作業者が、電力系統60の配線を電源切替装置10の端子に接続することで、電力系統60からの電力供給が開始される。
【0069】
続いて、制御部31は、電力系統60からの電力供給に基づいて、第1接点16を閉じる(ステップS13)。具体的には、電力系統60からの電力供給により、電圧センサ33の検出電圧が所定の範囲内(例えば、電力系統60が単相100Vの場合、検出電圧が95V以上107V以下)となった場合に、制御部31は「電力系統60からの電力供給がある」と判定する。そして、当該判定の後、制御部31は第1接点16を閉じる。
【0070】
第1接点16が閉じられることで、電力系統60からの交流電流が第1入力路14に供給され、第1整流部24において整流された後、第1コイル22を励磁することで、主接点21が閉じられる(ステップS14)。主接点21が閉状態(オン)になった後、制御部31は第1接点16を開く(ステップS15)。これにより、主接点21の閉状態を維持したまま、第1コイル22への励磁入力が除去される。
【0071】
ステップS14において主接点21を閉状態(第1状態)とすることで、電力系統60から電源部40及び負荷70に交流電力が供給される(ステップS16)。ここで、主接点21を第1状態とすることで、電力系統60から負荷70に交流電力を供給する状態を「第1モード」と称する。
【0072】
電源部40には、第1点P1、開閉器18及び第3点P3を経た交流電力が供給される。交流電力は、インバータ43において直流電力に変換された後、チョッパ42において昇圧又は降圧されて、直流電源41に入力される。これにより、直流電源41(蓄電池)が充電される。
【0073】
なお、直流電源41が太陽電池である場合、ステップS16においてインバータ43は動作を停止することで、直流電源41に直流電力が供給されることを防止する。また、直流電源41が太陽電池である場合、ステップS13において、制御部31が第1接点16を閉じるとともに、開閉器18を開くことで、第1モードにおいて電力系統60と電源部40とを遮断してもよい。
【0074】
図3を参照する。電力系統60が停電すると(ステップS21)、制御部31が電圧センサ33の検出電圧に基づいて停電を検出する(ステップS22)。ここで、電力系統60から供給される交流電力が標準電力を、所定値を超えて下回る場合に、電力系統60が「停電している」と表現する。具体的には、電圧センサ33の検出電圧が所定の範囲外(例えば、電力系統60が単相100Vの場合、検出電圧が95V未満)となる状態が所定時間継続した場合に、制御部31は「電力系統60が停電している」と判定する。
【0075】
停電を判定した後、制御部31は開閉器18を開く(ステップS23)。これにより、電源部40と、電力系統60及び負荷70とを遮断し、電源部40からの交流電力が停電中の電力系統60へ流れ込むこと(逆潮流)を抑制する。
【0076】
次に、制御部31はインバータ43の制御を切り替える(ステップS24)。これにより、インバータ43は直流電源41からの直流電力を交流電力に変換して、第3点P3へ出力する。
【0077】
続いて、制御部31は第2接点17を閉じる(ステップS25)。これにより、インバータ43から出力される電流は第2入力路15に供給され、第2整流部25において整流された後、第2コイル23を励磁することで、主接点21が開かれる(ステップS26)。これにより、交流電路11において、電力系統60と、電源部40及び負荷70とが遮断される。
【0078】
主接点21が開状態(第2状態)になった後、制御部31は第2接点17を開く(ステップS27)。これにより、主接点21の開状態を維持したまま、第2コイル23への励磁入力が除去される。
【0079】
また、主接点21が開状態になった後、制御部31は開閉器18を閉じる(ステップS28)。これにより、電源部40と負荷70とを電気的に接続する。このとき、電力系統60と電源部40とは遮断されており、インバータ43は直流電源41の直流電力を交流電力に変換して負荷70に出力する状態となっている。このため、電源部40は、電力系統60への逆潮流を抑制しつつ、負荷70に交流電力を供給する(ステップS29)。ここで、主接点21を第2状態とすることで、電源部40から負荷70に交流電力を供給する状態を「第2モード」と称する。
【0080】
図4を参照する。電力系統60が復電すると(ステップS31)、制御部31が電圧センサ33の検出電圧に基づいて復電を検出する(ステップS32)。例えば、電圧センサ33の検出電圧が所定の範囲内(例えば、電力系統60が単相100Vの場合、検出電圧が95V以上107V以下)となった場合に、制御部31は「電力系統60からの電力供給がある(すなわち、電力系統60が復電した)」と判定する。
【0081】
当該判定の後、制御部31はインバータ43の制御を切り替える(ステップS33)。その後、制御は
図2のステップS13に戻り、ステップS13以降の制御を繰返す。以上により、電源切替装置10における一連の制御方法が実行される。
【0082】
[1.4 電源切替装置10の作用効果]
電源切替装置10の制御部31は、双安定リレー12を閉じて電力系統60と負荷70とを接続することで電力系統60から負荷70に交流電力を供給する第1モードと、双安定リレー12を開いて電力系統60と負荷70とを遮断することで電源部40から負荷70に交流電力を供給する第2モードと、に切り替える。
【0083】
負荷70へ交流電力を供給する供給源を切り替える際に、双安定リレー12を用いることで、単安定リレーを用いる場合と比べて、リレーの発熱等に伴う回路の劣化を抑制することができる。そのため、電源切替装置10の信頼性をより高めることができる。また、電流をリレーに供給する時間を、単安定リレーを用いる場合よりも短くすることで、電源切替装置10においてリレーを動作させるための電力消費を少なくすることができる。
【0084】
双安定リレー12は、電力系統60からの励磁入力により主接点21を閉じる第1コイル22を含む。このように構成することで、電力系統60が停電している間は、第1コイル22は励磁されず、主接点21を開状態に維持することができる。また、電力系統60が復電した場合に、電力系統60からの励磁入力により主接点21を閉じることで、電力系統60を電源部40及び負荷70に接続することができる。
【0085】
双安定リレー12は、電源部40からの励磁入力により主接点21を開く第2コイル23を含む。電力系統60からの電力供給なく動作可能な電源部40からの励磁入力によって主接点21を開くことで、停電時において電力系統60を電源部40及び負荷70から遮断することができる。これにより、停電中の電力系統60への逆潮流を抑制しつつ、電源部40から負荷70へ交流電力を供給することができる。
【0086】
制御部31は、電力系統60の停電を検出してから、電力系統60の復電を検出するまでの間、第1接点16を開状態に維持する。例えば、第1接点16を第1入力路14に設けない場合、電力系統60によって基準の電圧に満たない低電圧の交流電力が交流電路11に入力されるときにも第1コイル22への励磁入力がなされることで主接点21が閉じ、負荷70に不安定な交流電力が供給されるおそれがある。これに対し、第1入力路14に第1接点16を設け、電力系統60の停電を検出してから、電力系統60の復電を検出するまでの間、制御部31が第1接点16を開状態に維持することで、電力系統60が基準範囲内の電圧を供給する状態で電力系統60を負荷70に接続することができる。これにより、負荷70に不安定な交流電力が供給されることを抑制することができる。
【0087】
また、制御部31は、電力系統60の復電を検出し、かつインバータ43の制御を切り替えるまでの間、第1接点16を開状態に維持する。インバータ43が直流電源41の電力を出力している状態の際に主接点21を閉じると、電力系統60に電源部40からの逆潮流が流れるおそれがある。これに対し、制御部31はインバータ43の制御を切り替えるまで第1接点16を開状態に維持するため、この期間中は第1コイル22に励磁入力がなされず、主接点21は閉じられない。このため、電力系統60に電源部40からの逆潮流が流れることを抑制することができる。
【0088】
制御部31は、電力系統60の停電を検出してから、電力系統60の復電を検出するまでの間、少なくとも一時的に第2接点17を閉じる。例えば、第2接点17を第2入力路15に設けない場合、インバータ43が直流電源41の直流電力を交流電力に変換して出力している状態である間、第2コイル23に継続して励磁入力がなされる。
図2から
図4の例では、ステップS24からステップS33までの間、第2コイル23に継続して励磁入力がなされるため、双安定リレー12が発熱して、電源切替装置10に含まれる回路が劣化するおそれがある。これに対し、第2接点17を第2入力路15に設けて、少なくとも一時的に第2接点17を閉じるように構成することで、第2コイル23に電流が供給される時間を短くすることができる。これにより、双安定リレー12における発熱を抑制することで、回路の劣化を抑制することができる。
【0089】
制御部31は、電力系統60が停電してから双安定リレー12を開くまでの間、開閉器18を開状態に維持し、双安定リレー12を開いてから電力系統60が復電するまでの間に、開閉器18を閉じる。すなわち、電力系統60の停電中において、双安定リレー12及び開閉器18のうち少なくとも一方は開状態となっている。このため、電源部40は電力系統60から双安定リレー12及び開閉器18のうち少なくとも一方によって遮断される。これにより、電力系統60に電源部40からの逆潮流が流れることを抑制することができる。
【0090】
[2.変形例]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は前述した形態以外にも種々の変更を行うことが可能である。以下、本開示の実施形態に係る変形例について説明する。以下の変形例において、実施形態と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0091】
[2.1 第1入力路及び第2入力路の変形例1]
実施形態に係る電源切替装置10において、第1入力路14には第1接点16が設けられ、第2入力路15には第2接点17が設けられている。しかしながら、第1接点16及び第2接点17のうち少なくとも一方が省略されてもよい。
【0092】
[2.2 第1入力路及び第2入力路の変形例2]
図5は、変形例に係る電源切替装置10aの構成を示す図である。電源切替装置10aは、第1コイル22を励磁する電力を第1コンバータ51(又は第2コンバータ53)によって調整し、第2コイル23を励磁する電力を第3コンバータ55によって調整する点で、実施形態の電源切替装置10と相違する。
【0093】
電源切替装置10aの第1入力路14において、第1接点16a(内部構成は第1接点16と同じ)は、第1整流部24よりも第1コイル22に近い位置に設けられている。また、電源切替装置10aは、第1コンバータ51と、第3入力路52と、第2コンバータ53と、第3整流部54と、第3コンバータ55と、をさらに備える。
【0094】
第1コンバータ51は、第1入力路14のうち第1整流部24及び第1接点16aよりも電力系統60に近い位置に設けられている。第1コンバータ51は、電力系統60から供給される交流電力を所定電圧V1の直流電力に変換するAC-DCコンバータである。所定電圧V1は、例えば12Vである。
【0095】
第3入力路52は、第1端P4と第2端P5とを接続する電路である。第1端P4は、直流電源41とインバータ43との間に設けられている。
図5の例では、第1端P4は直流電源41とチョッパ42との間に設けられているが、第1端P4はチョッパ42とインバータ43との間に設けられてもよい。第2端P5は、第1端P4とは反対の端である。第2端P5は、第1整流部24と第1接点16aとの間に設けられている。
【0096】
第2コンバータ53は、第3入力路52に設けられている。第2コンバータ53は、直流電源41からの直流電力を所定電圧V1の直流電力に変換するDC-DCコンバータである。すなわち、第1コンバータ51から第2端P5へ出力される直流電力と、第2コンバータ53から第2端P5へ出力される直流電力は、互いに同じ所定電圧V1となる。
【0097】
第3整流部54は、第3入力路52のうち第2コンバータ53よりも第2端P5に近い位置に設けられている。第3整流部54は、第2コンバータ53から出力される直流電力を整流する。
【0098】
第3コンバータ55は、第2入力路15のうち第2整流部25及び第2接点17よりも第3点P3に近い位置に設けられている。第3コンバータ55は、電源部40から供給される交流電力(すなわち、インバータ43から出力される交流電力)を所定電圧V2の直流電力に変換するAC-DCコンバータである。所定電圧V2は、第1コンバータ51及び第2コンバータ53からそれぞれ出力される所定電圧V1と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0099】
電源切替装置10aでは、第1コンバータ51又は第2コンバータ53において調整された所定電圧V1の直流電力によって第1コイル22を励磁するため、第1コイル22を安定的に励磁することができる。また、第3コンバータ55において調整された所定電圧V2の直流電力によって第2コイル23を励磁するため、第2コイル23を安定的に励磁することができる。
【0100】
さらに、電源切替装置10aでは、電力系統60からの電流を供給する第1入力路14のうち第1整流部24及び第1接点16aの間に、直流電源41からの電流を供給する第3入力路52を接続させている。このように構成することで、第1コンバータ51及び第2コンバータ53のうち一方が故障した場合であっても、第1コンバータ51及び第2コンバータ53のうち他方によって、第1コイル22への直流電流の供給を継続することができる。このように電源切替装置10a内の回路に冗長性を持たせることで、電源切替装置10aの信頼性をより高めることができる。
【0101】
ここで、電源切替装置10aにおいて電力系統60から負荷70に供給される電流値を検出する電流センサを設ける場合、電流センサは交流電路11のうち第2点P2と主接点21との間に設けることが好適である。電流センサを交流電路11のうち第2点P2よりも電力系統60に近い位置に設けると、負荷70に流れる電流と、第1入力路14に流れる電流と、の両方を検出することになるため、負荷70に流れる電流を正確に検出することができないからである。
【0102】
なお、負荷70に供給される電流が大きい場合や、検出する電流値に高い精度が求められていない場合には、電流センサを交流電路11のうち第2点P2よりも電力系統60に近い位置に設けてもよい。
【0103】
[2.3 第2入力路の変形例]
図6は、変形例に係る電源切替装置10bの構成を示す図である。電源切替装置10bは、第2入力路15に代えて第2入力路15aが設けられている点と、開閉器18が省略されている点で、実施形態の電源切替装置10と相違する。
【0104】
第2入力路15aは、直流電源41とインバータ43との間の第1端P4から第2コイル23へ引き出される電路である。第2入力路15aには、直流電源41から直流電流が供給される。第2入力路15aには、第2入力路15と同様に、第2接点17と第2整流部25とが設けられている。
【0105】
電源切替装置10bにおいて、インバータ43と第1点P1との間には開閉器18が設けられていない。以下、電源切替装置10bにおける制御部31が実行する制御方法について、説明する。
【0106】
図3を参照する。電源切替装置10bの制御部31は、電力系統60の停電を検出した場合に、開閉器18を開くステップS23とインバータ43の制御を直流電源41の直流電力を交流電力に変換して出力する制御に切替えるステップS24とを省略し、代わりにインバータ43の運転を停止させる制御を行う。これにより、電源部40から電力系統60へ逆潮流が流れることを抑制することができる。
【0107】
電源切替装置10bの制御部31は、インバータ43の運転を停止させた後、第2接点17を閉じて(ステップS25)、第2コイル23を励磁することで、主接点21を開く(ステップS26)。その後、制御部31は第2接点17を開く(ステップS27)。
【0108】
主接点21を開いた後、制御部31は、開閉器18を閉じるステップS28を省略し、代わりにインバータ43の制御を直流電源41の直流電力を交流電力に変換して出力する制御に切り替える。これにより、電源部40から負荷70に電力供給がなされる(第2モード:ステップS29)。
【0109】
以上のように、第2入力路15aを第1端P4から引き出した場合、開閉器18を省略することができる。この場合、制御部31は、電力系統60の停電を検出してから主接点21が開かれるまでの間、インバータ43の運転を停止させることで、電力系統60への逆潮流を抑制することができる。また、制御部31は、主接点21が開かれた後にインバータ43の制御を直流電源41の直流電力を交流電力に変換して出力する制御に切り替えることで、電力系統60への逆潮流を抑制しつつ、電源部40から負荷70へ交流電力を供給することができる。
【0110】
[2.4 双安定リレーの変形例]
実施形態の双安定リレー12は二巻線形であるが、一巻線形の双安定リレーを用いてもよい。この場合、例えば第2コイル23が省略される。そして、第1コイル22は第1方向に流れる電流による励磁入力によって主接点21を閉じ、第1方向とは反対の第2方向に流れる電流による励磁入力によって主接点21を開く。第2入力路15は、第3点P3から引き出され、第2接点17及び第2整流部25を介して、第1入力路14のうち第1整流部24よりも第1コイル22に近い位置に接続される。
【0111】
また、第1入力路14のうち第2入力路17が接続される部分には、新たにスイッチング素子が接続される。スイッチング素子は制御部31により制御され、第1入力路14から第1コイル22に第1方向の電流を供給する際にはスイッチング素子により第2入力路17を第1入力路14から切断する。一方、第2入力路15から第1コイル22に第2方向の電流を供給する際にはスイッチング素子により第1入力路14を第1コイル22から遮断する。このように構成する場合にも、単安定リレーに比べてリレーの発熱に伴う回路の劣化を抑制することで、電源切替装置10の信頼性を従来よりも高めることができる。
【0112】
[3.補記]
なお、上述の実施形態及び各種の変形例については、その少なくとも一部を、相互に任意に組み合わせてもよい。また、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0113】
1 電力供給装置
10 電源切替装置
10a 電源切替装置
10b 電源切替装置
11 交流電路
12 双安定リレー
13 制御装置
14 第1入力路
15 第2入力路
15a 第2入力路
16 第1接点
16a 第1接点
17 第2接点
18 開閉器
21 主接点
22 第1コイル
23 第2コイル
24 第1整流部
25 第2整流部
31 制御部
32 記憶部
33 電圧センサ
34 読取部
35 記録媒体
40 電源部
41 直流電源
42 チョッパ
43 インバータ
51 第1コンバータ
52 第3入力路
53 第2コンバータ
54 第3整流部
55 第3コンバータ
60 電力系統
70 負荷
P1 第1点
P2 第2点
P3 第3点
P4 第1端
P5 第2端
A1 結合子
A2 結合子
A3 結合子
V1 所定電圧
V2 所定電圧