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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151006
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】パンツ型の吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/49 20060101AFI20241017BHJP
   A61F 13/496 20060101ALI20241017BHJP
   A61F 13/533 20060101ALI20241017BHJP
   A61F 13/51 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
A61F13/49 312Z
A61F13/49 315A
A61F13/49 410
A61F13/496
A61F13/533 100
A61F13/51
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064107
(22)【出願日】2023-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩見 滉平
(72)【発明者】
【氏名】中尾 佑馬
(72)【発明者】
【氏名】川口 宏子
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200BA12
3B200CA03
3B200CA06
3B200DA04
3B200DA08
3B200DA21
3B200DB05
3B200DB07
(57)【要約】
【課題】吸収性物品の腹側部における尿の漏れを効果的に抑制することができる吸収性物品を提供すること。
【解決手段】本発明の吸収性物品1は、外装体3が、腹側レッグ弾性部材37aを有し、該弾性部材37aが横方向Yに延びた股下伸縮領域CR、及び前側中間領域Rを有している。吸収体4は、吸収体弾性部材48を有しており、吸収性コア40は、前側中間領域Rに一対の低剛性部42,42を有している。前側中間領域Rは、平面視において低剛性部42が第2領域R2、第3領域R3及び第4領域R4の少なくとも一部と重なっており、前側中間領域Rの各領域R1,R2,R3,R4及び股下伸縮領域CRの横方向Yの収縮応力が、下記(1)、(2)及び(3)の大小関係を満たす。
(1)第1領域R1>第2領域R2>第3領域R3
(2)第1領域R1>第2領域R2>第4領域R4
(3)股下伸縮領域CR>第4領域R4
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の腹側に配される腹側部と、着用者の背側に配される背側部と、該腹側部及び該背側部の間に位置する股下部とを備え、該腹側部から該股下部を介して該背側部に延びる方向に対応する縦方向と該縦方向に直交する横方向とを有し、吸収性コアを有する吸収体と、該吸収体の非肌対向面側に配された外装体とを備え、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部を有するパンツ型の吸収性物品であって、
前記外装体には、前記腹側部から前記股下部にかけて、前記レッグ開口部の開口縁部に沿って伸長状態で配された腹側レッグ弾性部材を有しており、
前記外装体は、前記腹側レッグ弾性部材の前記股下部側の端部が前記横方向に延びた股下伸縮領域、及び前記縦方向における前記吸収性コアの前記腹側部側の前端と前記股下伸縮領域との間の前側中間領域を有しており、
吸収体は、前記縦方向に沿う側部に配された、該縦方向に延びる吸収体弾性部材を有しており、
前記吸収性コアは、前記前側中間領域に前記縦方向に延びる一対の低剛性部を有しており、
前記前側中間領域を前記縦方向に4等分して4領域に区分し、前記ウエスト開口部に近い側から順に第1領域、第2領域、第3領域及び第4領域としたときに、平面視において前記低剛性部が第2領域、第3領域及び第4領域の少なくとも一部と重なっており、さらに各領域及び前記股下伸縮領域の前記横方向の収縮応力が、下記(1)、(2)及び(3)の大小関係を満たす、吸収性物品。
(1)第1領域>第2領域>第3領域
(2)第1領域>第2領域>第4領域
(3)股下伸縮領域>第4領域
【請求項2】
前記前側中間領域において、前記横方向に伸長状態に配された弾性部材が前記縦方向に沿って間欠的に配置されており、
前記縦方向における前記弾性部材間の間隔が、前記腹側部側から前記股下部側に向かうに連れ漸次拡がっている、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記前側中間領域において、前記弾性部材の収縮応力が、前記腹側部側から前記股下部側に向かうに連れ漸次低下している、請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記前側中間領域は、前記横方向中央において、前記弾性部材の弾性伸縮性が発現しないプレカット領域を有しており、
前記プレカット領域の前記横方向の長さが、前記腹側部側から前記股下部側に向かうに連れ漸次拡大している、請求項2又は3に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記低剛性部の前記股下部側の端部が、平面視において前記股下伸縮領域の前記腹側部側の前端と重なっている、請求項1~4の何れか1項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記吸収性コアは、前記一対の低剛性部それぞれの前記横方向外方に位置するサイド吸収性コアと、前記一対の低剛性部間に位置する中央吸収性コアとを有しており、
前記サイド吸収性コアの曲げ荷重が、前記中央吸収性コアの曲げ荷重以上である、請求項1~5の何れか1項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記吸収性コアは、前記縦方向に沿う両側縁に、第3領域と第4領域とに跨るように配された一対の切り欠き部を有する、請求項1~6の何れか1項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記吸収性コアは、前記一対の低剛性部それぞれの前記横方向外方に位置するサイド吸収性コアと、前記一対の低剛性部間に位置する中央吸収性コアとを有しており、
前記吸収性コアは、前記前側中間領域と重なる前記中央吸収性コアが、前記背側部において前記横方向の位置が該中央吸収性コアと同じとなる部分に比して曲げ荷重が低く、且つ前記中央吸収性コアの曲げ荷重について下記(C1)及び(C2)の大小関係を満たす、請求項1~7の何れか1項に記載の吸収性物品。
(C1)第2領域>第3領域
(C2)第2領域>第4領域
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンツ型の吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使い捨ておむつ等の吸収性物品に関し、尿や便等の排泄物の漏れを効果的に防止することを目的として、該吸収性物品に立体ギャザーやウエストギャザーを形成したものが知られている。この吸収性物品においては、立体ギャザーにより該吸収性物品の横方向における排泄物の漏れを防止し、ウエストギャザーにより着用者のウエスト周りのフィット性を向上させることにより、該ウエスト周りからの漏れを防止している。
【0003】
例えば、特許文献1には、胴回り開口部を形成する長手方向端部に胴周り弾性部材が設けられており、立体ギャザー形成用弾性部材と立体ギャザーシートとを具備する立体ギャザー形成部と備え、該立体ギャザー形成部における起立部のうち長手方向端部に固定部が形成されているとともに、該固定部の長手方向の内方端部が、胴回り弾性部材及び吸収性コアの両者が存在しない部分に位置している、吸収性物品が記載されている。
【0004】
また特許文献2には、吸収体と重ならない位置にウエストギャザーを有し、後身頃における該吸収体と該ウエストギャザーとの間に窪み上の防漏領域を有しており、長手方向に延びる立体ギャザーの延長線に対して、前記ウエストギャザーが幅方向内側に設けられている、吸収性物品が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016―10442号公報
【特許文献2】特開2019―97871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
吸収性物品の嵩張りを抑制する観点、及び着用状態においても着用者の身体を動き易くする観点等から、近年、吸収体の薄型化が進んでいる。しかしながら、薄型化した吸収体では、尿の吸収速度が排尿量に追いつかない傾向にあり、尿が吸収性物品の外部へ漏れる虞があった。
特許文献1及び2の吸収性物品は、特に着用者の腹側に配される腹側部において、尿の漏れを効果的に抑制する課題について、特段の検討はなされていなかった。
【0007】
したがって本発明は、吸収性物品の腹側部における尿の漏れを効果的に抑制することができる吸収性物品に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、着用者の腹側に配される腹側部と、着用者の背側に配される背側部と、該腹側部及び該背側部の間に位置する股下部とを備え、該腹側部から該股下部を介して該背側部に延びる方向に対応する縦方向と該縦方向に直交する横方向とを有し、吸収性コアを有する吸収体と、該吸収体の非肌対向面側に配された外装体とを備え、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部を有するパンツ型の吸収性物品に関する。
一実施形態において、前記外装体には、前記腹側部から前記股下部にかけて、前記レッグ開口部の開口縁部に沿って伸長状態で配された腹側レッグ弾性部材を有していることが好ましい。
一実施形態において、前記外装体は、前記腹側レッグ弾性部材の前記股下部側の端部が前記横方向に延びた股下伸縮領域、及び前記縦方向における前記吸収性コアの前記腹側部側の前端と前記股下伸縮領域との間の前側中間領域を有していることが好ましい。
一実施形態において、吸収体は、前記縦方向に沿う側部に配された、該縦方向に延びる吸収体弾性部材を有していることが好ましい。
一実施形態において、前記吸収性コアは、前記前側中間領域に前記縦方向に延びる一対の低剛性部を有していることが好ましい。
一実施形態において、前記前側中間領域を前記縦方向に4等分して4領域に区分し、前記ウエスト開口部に近い側から順に第1領域、第2領域、第3領域及び第4領域としたときに、平面視において前記低剛性部が第2領域、第3領域及び第4領域の少なくとも一部と重なっていることが好ましい。
一実施形態において、第1領域、第2領域、第3領域及び第4領域の各領域の前記横方向の収縮応力が、下記(1)、(2)及び(3)の大小関係を満たしていることが好ましい。
(1)第1領域>第2領域>第3領域
(2)第1領域>第2領域>第4領域
(3)股下伸縮領域>第4領域
【発明の効果】
【0009】
本発明の吸収性物品によれば、吸収性物品の腹側部における尿の漏れを効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の吸収性物品の一実施形態である使い捨ておむつの展開且つ伸長状態を示す平面図である。
図2図2は、図1のII-II線断面図である。
図3図3は、図1に示す前側中間領域及び股下伸縮領域を示す、拡大平面図である。
図4図4は、本発明の作用効果を説明するための使い捨ておむつの着用状態を示す図であって、該おむつの前身頃の縦方向に沿う断面図である。
図5図5は、図1に示す前側中間領域の横方向に沿う断面図である。
図6図6は、本発明に係る吸収体の別の形態を示す図3相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1図6には、本発明のパンツ型の吸収性物品の一実施形態であるパンツ型使い捨ておむつ1(以下、単に「おむつ1」という)が示されている。おむつ1は、着用状態において着用者の腹側に配される腹側部Aと、着用者の背側部に配される背側部Bと、腹側部A及び背側部Bの間に位置する股下部Cとを有している。おむつ1は、着用者の前後方向に対応する方向、即ち腹側部Aから股下部Cを介して背側部Bに延びる方向に対応する縦方向Xと、該縦方向Xと直交する横方向Yとを有している。縦方向Xは、後述する吸収性本体10の長手方向と一致している。
おむつ1は、吸収体4を有する吸収性本体10と、該吸収性本体10の非肌対向面側に配された外装体3とを備えている。外装体3は、おむつ1の非肌対向面、即ちおむつ1の外面を形成している。
【0012】
本明細書において、「肌対向面」は、使い捨ておむつ又はその構成部材(例えば表面シート12)における、使い捨ておむつの着用時に着用者の肌側に向けられる面、即ち相対的に着用者の肌に近い側であり、「非肌対向面」は、使い捨ておむつ又はその構成部材における、使い捨ておむつの着用時に肌側とは反対側に向けられる面、即ち相対的に着用者の肌から遠い側である。なお、「着用時」又は「着用状態」は、通常の適正な着用位置、即ち当該使い捨ておむつの正しい着用位置が維持された状態を意味する。
【0013】
おむつ1は、図1に示すように、展開且つ伸長状態において、縦方向Xに延び且つ該おむつ1を横方向Yに2等分する縦中心線CLyに対して左右対称に形成されている。
おむつ1の「展開且つ伸長状態」とは、おむつ1を後述するサイドシール部11で切り離して展開状態とし、その展開状態のおむつ1を各部の弾性部材を伸長させて設計寸法(弾性部材の影響を一切排除した状態で平面状に拡げたときの寸法と同じ)となるまで拡げた状態をいう。本明細書において、おむつ1の各部位における縦方向X又は横方向Yの長さ等といった各寸法は、特に断りがない限り、各部の弾性部材を伸長させて各部材を引き伸ばした状態での寸法(設計寸法)のことである。
【0014】
吸収性本体10は、図2に示すように、液透過性の表面シート12、防漏シート13及びこれら両シート12,13間に介在配置された液保持性の吸収体4並びに一対の防漏カフ6,6を具備している。吸収性本体10において表面シート12、吸収体4、一対の防漏カフ6,6、及び防漏シート13は、これらが接着剤等の公知の接合手段により一体化されて構成されている。吸収性本体10は、平面視において縦方向Xに長い長方形形状をなし、腹側部Aから背側部Bまで縦方向Xに延在している。
【0015】
吸収体4は、図1に示すように、平面視長方形形状をなし、縦方向Xにおいて腹側部Aから背側部Bにかけて連続している。吸収体4の長手方向は、おむつ1の縦方向Xに一致している。吸収体4は、平面視において後述する外装体3の横方向Yの中央部に配置され、接着剤により防漏シート13に接合されている。
【0016】
吸収体4は、液保持性の吸収性コア40と、該吸収性コア40の外面を被覆するコアラップシート49とを含んで構成されている(図1及び図2参照)。吸収性コア40は、後述する積繊体により形成されている。
吸収性コア40は、図1及び図2に示すように、横方向Yに離間し且つ縦方向Xに延びる一対の低剛性部42,42を有している。本実施形態の低剛性部42,42は、縦方向Xに延び、且つ吸収性コア40を貫通する貫通孔からなる(図2参照)。これに代えて、低剛性部42,42は、吸収性コア40の肌対向面又は非肌対向面に形成される凹部(溝)であってもよい。
本実施形態の一対の低剛性部42,42は、おむつ1の前身頃に配されている。前身頃は、おむつ1の縦方向X全長を2等分して2領域に区分したときの腹側部A側の領域である。斯かる形態に代えて、一対の低剛性部42,42は、縦方向Xにおいて背側部Bまで延びていてもよい。
【0017】
本実施形態の吸収性コア40は、一対の低剛性部42,42間に位置する中央吸収性コア40cと、該低剛性部42の横方向Y外方に位置するサイド吸収性コア40s,40sとを有している。すなわち吸収性コア40は、中央吸収性コア40cと、該中央吸収性コア40cの横方向Y両側に配されたサイド吸収性コア40s,40sとを有し、中央吸収性コア40cとサイド吸収性コア40sとの間に低剛性部42が形成されている。
本実施形態の吸収性コア40は、低剛性部42,42を起点に、一対のサイド吸収性コア40s,40sが、着用者の肌に向かって持ち上がるように変形し得る(図2及び図5参照)。すなわち、一対のサイド吸収性コア40s,40sが、低剛性部42を起点に中央吸収性コア40cから起立する。
【0018】
吸収体4は、縦方向Xに沿う側部に、縦方向Xに延びる吸収体弾性部材48を有している。吸収体4の側部は、コアラップシート49を含む吸収体4の全幅(横方向Yの長さ)を三等分して三領域に区分したときの両側の領域である。本実施形態の吸収体弾性部材48は、吸収体4の側縁と横方向Yに隣り合い、且つ縦方向Xに伸長状態で配されている。このように、吸収体弾性部材48は、吸収体4の側部近傍に配されていてもよく、その場合、吸収体4の側縁から横方向Y外方に5mm以内の領域に配されることが好ましい。
この吸収体弾性部材48が縦方向Xに収縮することにより、低剛性部42を起点とするサイド吸収性コア40sの変形を補助できる。すなわち、サイド吸収性コア40sが着用者の肌に向かって持ち上がるように変形し易くなる。
【0019】
吸収体弾性部材48は、表面シート12よりも非肌対向面側、且つ防漏シート13よりも肌対向面側に配されている。
本実施形態の吸収体弾性部材48は、表面シート12とコアラップシート49との間に配されているが、これに代えて、コアラップシート49と吸収性コア40との間に配されていてもよい。また吸収体弾性部材48は、吸収体4の肌対向面側に位置してもよく、非肌対向面側に位置してもよい。
【0020】
図1に示すように、吸収性本体10は、その肌対向面における縦方向Xに沿う両側部に、一対の防漏カフ6,6を具備している。すなわち、一対の防漏カフ6,6は、吸収性本体10の横方向Y両側に配されており、縦方向Xに沿って延びている。本実施形態の防漏カフ6は、図2に示すように、液抵抗性又は撥水性で且つ通気性のカフ形成用シート60を縦方向Xに沿って二つ折りにして、相対向した2枚のカフ形成用シート60,60どうしを接合することにより形成されている。本実施形態の防漏カフ6は、相対向した2枚のカフ形成用シート60,60どうし間に、カフ弾性部材61を具備している。カフ弾性部材61は、防漏カフ6の横方向Yの内方端部に配されている(図1及び図2参照)。より詳細には、カフ形成用シート60を二つ折りにした折り目部分近傍に、カフ弾性部材61が配されている。カフ弾性部材61は、縦方向Xに伸長状態で配されている。各防漏カフ6は、少なくとも股下部Cにおいて吸収体4と防漏シート13との間に固定された基端部と、カフ弾性部材61が固定された自由端部を有している。防漏カフ6は、自由端に沿って縦方向Xに伸長状態で配されたカフ弾性部材61が収縮することで、少なくとも股下部Cにおいて該自由端部が立ち上がるようになされている(図2参照)。
【0021】
本実施形態の防漏カフ6は、おむつ1の厚み方向Zにおける自由端部と基端部との間に、カフ形成用シート60,60どうし間に挟まれ且つ伸長状態で固定された中間弾性部材65を有している(図2参照)。この中間弾性部材65は、防漏カフ6の起立性に寄与している。
【0022】
本実施形態の外装体3は、おむつ1の外面即ち非肌対向面を形成する外層シート31と、該外層シート31の肌対向面側に位置する内層シート32とを備えている(図1及び図2参照)。外装体3において、おむつ1の厚み方向Zに隣り合う防漏シート13及び内層シート32、並びに内層シート32及び外層シート31それぞれは、接着剤を介して接合されている。
外装体3において、腹側部A及び背側部Bそれぞれにおける外装体3の縦方向Xに沿う両側縁部どうしが、ホットメルト接着剤等の接着剤、ヒートシール、超音波シール等の公知の接合手段によって互いに接合されることで、一対のサイドシール部11,11が形成される。これにより、着用者の胴が通されるウエスト開口部、及び着用者の下肢が通される一対のレッグ開口部が形成される(図示せず)。すなわち、股下部Cは、おむつ1の縦方向Xにおけるサイドシール部11どうし間の領域である。
外装体3は、着用状態において着用者の脚周りに配されるレッグ開口縁部LSを有している。斯かるレッグ開口縁部LSの周縁がレッグ開口部を形成する。レッグ開口縁部LSは吸収体4の横方向Y外方に形成されている。
【0023】
外装体3は、図1に示す如き展開且つ伸長状態のおむつ1の外形を形作っており、外装体3の周縁は、展開且つ伸長状態のおむつ1の輪郭線、即ち腹側部A、股下部C及び背側部Bそれぞれの輪郭線を形成している。外装体3は、図1に示すように、股下部Cにおいて、外装体3の縦方向Xに沿う両側縁部が横方向Yの中央に向かって凸の円弧状に湾曲しており、縦方向Xの中央域が横方向Yの内方に向けて括れている。外装体3と吸収性本体10とは、接着剤等の公知の接合手段によって接合されている。
また、外装体3における外層シート31及び内層シート32の少なくとも一方が、ウエスト開口部の周縁端WE(以下、「ウエスト開口端WE」ともいう。)に沿って肌対向面側に折り返されていてもよい。
【0024】
外装体3において、外層シート31は、おむつ1の外面即ち非肌対向面を形成しており、内層シート32は、外層シート31の肌対向面側に配置されている。外装体3は、内層シート32及び外層シート31間に配された複数の糸状又は帯状の弾性部材35,36,37a,37b,38を有している。本実施形態の外装体3は、腹側部A及び背側部Bにおいて横方向Yに沿って配されたウエスト弾性部材35、及び胴回り弾性部材36、並びにレッグ開口部を形成するレッグ開口縁部LSに沿って配されたレッグ弾性部材37a,37bを備えている(図1参照)。また本実施形態の外装体3は、股下部Cにおいて横方向Yに沿って配された股下弾性部材38を備えている。
【0025】
腹側部A及び背側部Bでは、複数のウエスト弾性部材35及び胴回り弾性部材36それぞれが、横方向Yに伸長状態で、縦方向Xに所定間隔を置いて間欠的に配置されている。ウエスト弾性部材35は、腹側部A及び背側部Bにおいて吸収体4の縦方向X外方に配され且つ横方向Yに伸縮可能なウエスト伸縮領域3Wを形成している(図1及び図3参照)。ウエスト伸縮領域3Wは、横方向Yにおけるサイドシール部11,11間でウエスト弾性部材35が伸長状態で配され、弾性伸縮性を発現している。このように、ウエスト開口部の開口縁部にウエスト伸縮領域3Wを有することで、該ウエスト開口部の全周に亘って実質的に連続した環状のウエストギャザー(襞)が形成される。
ウエスト弾性部材35は、腹側部A又は背側部Bの全幅(横方向Y全長)に連続している。
図3においては説明の便宜上、コアラップシート49の図示を省略している。
【0026】
胴回り弾性部材36は、腹側部A及び背側部Bにおいて吸収体4と縦方向Xに重なっており、該吸収体4の横方向外方に配され、横方向Yに伸縮可能な胴回り伸縮領域3Tを形成している(図1参照)。胴回り伸縮領域3Tは、ウエスト伸縮領域3Wよりも縦方向X内方に位置している。胴回り伸縮領域3Tは、横方向Yにおけるサイドシール部11と吸収体4との間で胴回り弾性部材36が伸長状態で配され、弾性伸縮性を発現している。斯かる胴回り弾性部材36は、吸収体4の横方向Y外方では弾性伸縮性を発現する一方、平面視において吸収体4と重なる領域が、細かく分断する等の処理によって弾性伸縮性を発現しないように配されている。換言すると、胴回り弾性部材64は、吸収体4と重なる横方向中央において弾性伸縮性が発現しない。これにより、吸収体4の両側それぞれに一対の胴回り伸縮領域3Tが形成されている。
【0027】
レッグ開口縁部LSには、糸状又は帯状の1本又は複数本のレッグギャザー形成用のレッグ弾性部材37a,37bが伸縮可能な状態で配されている。本実施形態の前身頃では、レッグ開口縁部LSに沿って、腹側部Aにおけるサイドシール部11の股下部C側の端部から、股下部Cの縦方向中央まで腹側レッグ弾性部材37aが伸長状態で配されている。また本実施形態の後身頃では、レッグ開口縁部LSに沿って、背側部Bにおけるサイドシール部11の股下部C側の端部から、股下部Cの縦方向中央まで背側レッグ弾性部材37bが伸長状態で配されている。後身頃は、おむつ1の縦方向X全長を2等分して2領域に区分したときの背側部B側の領域である。
腹側レッグ弾性部材37a及び背側レッグ弾性部材37bが伸長状態で配されていることにより、レッグ開口部の開口縁部(レッグ開口縁部LS)に、その全周に亘って実質的に連続した環状のレッグギャザーが形成される。これらレッグ弾性部材37a,37bも、外装体3を構成する外層シート31と内層シート32との間において接着剤等の接合手段により挟持固定されている。
【0028】
本実施形態の外装体3では、腹側レッグ弾性部材37aの股下部C側の端部が横方向Yに延びている(図3参照)。すなわち腹側レッグ弾性部材37aは、レッグ開口縁部LSに沿う縁部部分e1と、縁部部分e1と連続し横方向Y中央に向かって延在する中央部分e2とを有している。縁部部分e1は、レッグ開口縁部LSに沿って湾曲した部分であり、中央部分e2は横方向Yに沿った部分である(図3参照)。本実施形態の中央部分e2は、平面視において吸収体4と重なっている。
【0029】
本実施形態の外装体3は、股下部Cにおいて横方向Yに伸長状態で配された股下弾性部材38を有している(図1参照)。
本実施形態の股下弾性部材38は、吸収体4と横方向Yに重なる領域で、細かく分断する等の処理によって弾性伸縮性を発現しないように配されている。斯かる股下弾性部材38は、吸収体4よりも横方向Y外方において弾性伸縮性を発現している。これにより、股下部Cにおいて外装体3を横方向Yに収縮させて、着用者の肌に対するフィット性を確保している。また、外装体3において複数の股下弾性部材38が縦方向Xに間欠的に配置されている。
【0030】
外装体3は、腹側レッグ弾性部材37aの股下部C側の端部が横方向Yに延びた股下伸縮領域CRと、該股下伸縮領域CRと縦方向Xに隣接し且つ股下伸縮領域CRの腹側部A側に位置する前側中間領域Rとを有している。
股下伸縮領域CRは、腹側レッグ弾性部材37aの中央部分e2が配された領域であり、横方向Yに伸縮可能である。股下伸縮領域CRは、縦方向Xにおいて最も腹側部A側に位置する中央部分e2と、縦方向Xにおいて最も背側部B側に位置する中央部分e2との間の領域である(図3参照)。
【0031】
前側中間領域Rは、縦方向Xにおける吸収性コア40の腹側部A側の前端(以下、単に「前端」ともいう。)と股下伸縮領域CRとの間の領域である。吸収性コア40の前端は、縦方向Xにおける吸収性コア40の腹側部A側の端である(図3参照)。
前側中間領域Rは、前身頃において腹側部Aと股下部Cとに跨るように、縦方向Xに連続している。前側中間領域Rは、前身頃における吸収性コア40の一対の低剛性部42,42と重なっている。換言すると、吸収性コア40は、前側中間領域Rに一対の低剛性部42,42を有している。
【0032】
前側中間領域Rを縦方向に4等分して4領域に区分し、これら4領域を、ウエスト開口部(ウエスト開口端WE)に近い側から順に第1領域R1、第2領域R2、第3領域R3及び第4領域R4とする(図3参照)。
本実施形態の低剛性部42は、前側中間領域Rにおいて縦方向Xに延在しており、平面視において第1領域R1、第2領域R2、第3領域R3及び第4領域R4それぞれと重なっている(図3参照)。この低剛性部42は、第1領域R1の縦方向X中央から股下部C側に向かって、第2領域R2、第3領域R3及び第4領域R4の縦方向X全長に連続するように該縦方向Xに延びている。斯かる形態に代えて、低剛性部42は、平面視において第2領域R2、第3領域R3及び第4領域R4の少なくとも一部と重なっていればよい。例えば、低剛性部42は、第3領域R3及び第4領域R4とのみ重なっていてもよく、この場合、第3領域R3及び第4領域R4と部分的に重なっていてもよい。また低剛性部42は、第1領域R1と重なっていなくともよい。
【0033】
本実施形態の第1領域R1は、腹側部Aにおけるウエスト伸縮領域3Wよりも縦方向X内方であって、胴回り伸縮領域3Tの一部を含む。この第1領域R1は、複数の胴回り弾性部材36を含む。
本実施形態の第2領域R2は、第1領域R1よりも縦方向X内方であって、腹側部Aにおける胴回り伸縮領域3Tの縦方向X内方端部と、前身頃における股下部Cの縦方向X外方端部とを含む。この第2領域R2は、複数の胴回り弾性部材36と股下弾性部材38とを含む。
本実施形態の第3領域R3は、前身頃における股下部Cの縦方向X中央部分を含む。この第3領域R3は、複数の股下弾性部材38を含む。
本実施形態の第4領域R4は、前身頃における股下部Cの縦方向X内方側の部分を含む。この第4領域R4は、横方向Yに弾性伸縮性を発現する弾性部材を含まない。
【0034】
上記のように本実施形態の前側中間領域Rは、第1領域R1、第2領域R2、及び第3領域R3それぞれが、横方向Yに弾性伸縮性を発現する弾性部材36,38を含み、第4領域R4が、横方向Yに弾性伸縮性を発現する弾性部材を含んでいない。これに代えて、第1領域R1、第2領域R2、第3領域R3及び第4領域R4それぞれが、横方向Yに弾性伸縮性を発現する弾性部材36,38を含んでいてもよい。また、第1領域R1及び第2領域R2それぞれが横方向Yに弾性伸縮性を発現する弾性部材36,38を含み、第3領域R3及び第4領域R4それぞれが、横方向Yに弾性伸縮性を発現する弾性部材を含んでいなくともよい。
【0035】
本実施形態の外装体3では、前側中間領域Rにおいて、横方向Yに伸長状態に配された弾性部材が縦方向Xに沿って間欠的に配置されている。より具体的には、第1領域R1では複数の胴回り弾性部材36が、第2領域R2では複数の胴回り弾性部材36及び股下弾性部材38が、また第3領域R3では複数の股下弾性部材38が、それぞれ縦方向Xに沿って間欠的に配置されている。
【0036】
前側中間領域Rは、横方向Y中央において、弾性部材の弾性伸縮性が発現しないプレカット領域Pを有している(図3参照)。より具体的には、第1領域R1は、横方向Yにおける一対の胴回り伸縮領域3T間に、胴回り弾性部材36の弾性伸縮性が発現しないプレカット領域Pを有している。第2領域R2は、吸収体4の横方向両側に位置する胴周り弾性部材36どうし間、及び吸収体4の横方向両側に位置する股下弾性部材38どうし間に、これら弾性部材36,38の弾性伸縮性が発現しないプレカット領域Pを有している。また第3領域R3は、吸収体4の横方向両側に位置する股下弾性部材38どうし間に、これら股下弾性部材38の弾性伸縮性が発現しないプレカット領域Pを有している。
本実施形態の前側中間領域Rは、第1領域R1から第3領域R3にかけて、プレカット領域Pが縦方向Xに連続している。
【0037】
外装体3では、前側中間領域Rにおける各領域R1,R2,R3,R4及び股下伸縮領域CRの横方向Yの収縮応力が、下記(1)、(2)及び(3)の大小関係を満たしている。
(1)第1領域R1>第2領域R2>第3領域R3
(2)第1領域R1>第2領域R2>第4領域R4
(3)股下伸縮領域CR>第4領域R4
各領域R1,R2,R3,R4及び股下伸縮領域CRの横方向Yの収縮応力は、以下の方法により測定することができる。
【0038】
<各領域の横方向Yの収縮応力の測定方法>
吸収性物品を展開且つ伸長状態にした後、前側伸縮領域Rを縦方向Xに四分割した第1領域R1、第2領域R2、第3領域R3、及び第4領域R4の各領域に関し、縦方向Xにおいて該領域の横方向Yの長さが最短となる箇所であって、該領域の縦方向X両側縁上の2箇所に、油性ペン等で縦方向Xに延びる目印を付ける。本実施形態の第2領域R2、第3領域R3及び第4領域R4のように、縦方向Xにおいて領域の横方向Yの長さが異なっている場合、該領域の横方向Yの長さが最短となる股下部側端縁の横方向Y両端それぞれに、該両端を通り且つ縦方向Xに延びる2本の線状の目印を付ける。次いで、2本の目印間の横方向Yの長さ(以下、「100%伸長時の長さK100」ともいう。)を測定する。次いで、展開且つ伸長状態の吸収性物品から、第1領域R1、第2領域R2、第3領域R3、及び第4領域R4の各領域を吸収性本体10ごと切り出し、これをサンプルとする。この際、各領域は、2本の目印と、各領域の横方向Yに沿う境界に沿って切り出す。すなわち、前記の吸収性物品において目印よりも横方向Y外方に延出する部分はサンプルから除かれる。
次いで、横方向Yを引張方向に一致させて、引張試験機(株式会社オリエンテックの「RTA-100」)のチャックにサンプルの横方向Y両端部を非伸長且つ弛みのない状態で固定する。この際、チャックは、サンプルの横方向Y両端から該横方向Y内方に10mm離間した位置に取り付ける。
次いで、引張速度300mm/minでチャック間を拡げることでサンプルを引っ張り、サンプルの全長(横方向Y全長)が、90%伸長時の長さK90となるまで伸長させたときの引張応力(N)を測定する。90%伸長時の長さK90は、100%伸長時の長さK100の90%の長さである。すなわち、チャック間長さと、サンプルの両端部におけるチャック取り付け位置からサンプルの横方向Yの端までの長さ(10mm×2)との合計長さが、90%伸長時の長さK90となる時点の引張応力(N)を測定する。そして、得られた引張応力(N)をサンプルの幅(縦方向Xの長さ)で除した値を、収縮応力(N/m)とする。
【0039】
図4に示す本実施形態の外装体3は、第1領域R1の収縮応力(黒矢印)、第2領域R2の収縮応力(ドットのハッチングが施された矢印)、及び第3領域R3の収縮応力(白矢印)の順に大きい。外装体3は、前記(1)及び(2)の大小関係により、第1領域R1が第2領域R2よりも横方向Yの収縮応力が高く、第3領域R3及び第4領域R4それぞれは、第1領域R1及び第2領域R2に比して横方向Yの収縮応力が低い。これにより、着用状態において、第1領域R1が第2領域R2よりも着用者の身体Jにフィットする一方、第3領域R3及び第4領域R4では、おむつ1の肌対向面と着用者の肌(身体J)との間に隙間(空間S)が生じ易い(図4参照)。これに加え外装体3は、前記(3)の大小関係により、股下伸縮領域CRが第4領域R4よりも横方向Yの収縮応力が高いので、着用状態において股下伸縮領域CRが第4領域R4よりも着用者の身体Jにフィットする(図4参照)。すなわち本実施形態のおむつ1は、縦方向Xにおいて第3領域R3及び第4領域R4を挟む領域R1,R2,CRにておむつ1の肌対向面を着用者の肌に密着させながら、第3領域R3及び第4領域R4にて該肌との間に空間Sを生じ易い。これにより、おむつ1の前身頃の縦方向Xに沿う断面がJ字状をなし易い(図4参照)。
また第1領域R1よりも収縮応力が低い第2領域R2、並びに前記空間Sが生じた第3領域R3及び第4領域R4では、一対の低剛性部42,42と重なっている部分において、該低剛性部42を起点にサイド吸収性コア40s,40sが中央吸収性コア40cから起立するように、すなわち凹部状に吸収体4が変形している(図5参照)。すなわち第2領域R2、第3領域R3及び第4領域R4における低剛性部42と重なる部分は、この凹部状内に尿Uを一時的に溜めることができるので、多量の尿Uを一時的に保持することができる。これにより、吸収体4が薄型であっても、おむつ1の外部に尿Uが漏れることを効果的に抑制することができる。斯かる効果を、以下、「漏れ防止効果」ともいう。
図5においては説明の便宜上、第3領域R3における股下弾性部材38及び腹側レッグ弾性部材37aの図示を省略している。
【0040】
漏れ防止効果をより向上させる観点から、前側中間領域Rにおける第1領域R1及び第2領域R2の横方向Yの収縮応力(以下、単に「収縮応力」ともいう。)は、以下の範囲内であることが好ましい。これにより、前記の空間Sをより生じ易くするとともに、ウエスト開口部からの尿Uの漏れをより抑制できる。
第1領域R1の収縮応力は、第2領域R2の収縮応力の好ましくは1.5倍以上、より好ましくは2.5倍以上であり、また好ましくは5.5倍以下、より好ましくは4.5倍以下であり、また好ましくは1.5倍以上5.5倍以下、より好ましくは2.5倍以上4.5倍以下である。
第1領域R1の収縮応力は、好ましくは65N/m以上、より好ましくは75N/m以上であり、また好ましくは105N/m以下、より好ましくは95N/m以下であり、また好ましくは65N/m以上105N/m以下、より好ましくは75N/m以上95N/m以下である。
第2領域R2の収縮応力は、好ましくは15N/m以上、より好ましくは20N/m以上であり、また好ましくは35N/m以下、より好ましくは30N/m以下であり、また好ましくは15N/m以上35N/m以下、より好ましくは20N/m以上30N/m以下である。
【0041】
前記の空間Sをより容易に生じさせる観点から、第2領域R2及び第3領域R3の各収縮応力は、以下の範囲内であることが好ましい。
第2領域R2の収縮応力は、第3領域R3の収縮応力の好ましくは5倍以上、より好ましくは10倍以上であり、また好ましくは35倍以下、より好ましくは40倍以下であり、また好ましくは5倍以上40倍以下、より好ましくは10倍以上35倍以下である。
第3領域R3の収縮応力は、好ましくは1.0N/m以上、より好ましくは5.0N/m以上であり、また好ましくは20N/m以下、より好ましくは15N/m以下であり、また好ましくは1.0N/m以上20N/m以下、より好ましくは5.0N/m以上15N/m以下である。
【0042】
第3領域R3及び第4領域R4の収縮応力は、異なっていてもよく、同じであってもよい。
漏れ防止効果をより向上させる観点から、第3領域R3は、第4領域R4よりも横方向Yの収縮応力が高いことが好ましい。すなわち前側中間領域Rは横方向Yの収縮応力が下記(4)の大小関係を満たすことが好ましい。斯かる構成により、前記の空間Sをより容易に生じさせることができる。
(4)第1領域>第2領域>第3領域>第4領域
【0043】
前記の空間Sをより容易に生じさせる観点から、第3領域R3及び第4領域R4の各収縮応力は、以下の範囲内であることが好ましい。
第3領域R3の収縮応力は、第4領域R4の収縮応力の好ましくは1.0倍以上1.5倍以下、より好ましくは1.1倍以上1.4倍以下である。
第4領域R4が横方向Yに弾性伸縮性を発現する弾性部材を含む場合、第4領域R4の収縮応力は、好ましくは1.0N/m以上20N/m以下、より好ましくは5.0N/m以上15N/m以下である。
【0044】
本実施形態のおむつ1は、股下伸縮領域CRの収縮応力によって、前身頃の股下部C側の端部のフィット性を高めている。前記の空間Sを形成しつつ、前身頃の股下部C側の端部における尿Uの漏れをより抑制する観点から、第4領域R4及び股下伸縮領域CRの各収縮応力は、以下の範囲内であることが好ましい。
股下伸縮領域CRの収縮応力は、第4領域R4の収縮応力の好ましくは1.5倍以上、より好ましくは2.0倍以上であり、また好ましくは4.5倍以下、より好ましくは4.0倍以下であり、また好ましくは1.5倍以上4.5倍以下、より好ましくは2.0倍以上4.0倍以下である。
股下伸縮領域CRの収縮応力は、好ましくは10N/m以上40N/m以下、より好ましくは15N/m以上35N/m以下である。
【0045】
前記(1)及び(2)の大小関係をより容易に満たす観点から、前側中間領域Rは、以下の構成(i)~(iii)の何れか1つを具備していることが好ましく、これら構成(i)~(iii)の2つ以上を具備していることがより好ましい。
構成(i):縦方向Xにおける弾性部材間の間隔が、腹側部A側から股下部C側に向かうに連れ漸次拡がっている。
構成(ii):前側中間領域Rにおいて、弾性部材の収縮応力が、腹側部A側から股下部C側に向かうに連れ漸次低下している。
構成(iii):プレカット領域Pの横方向Yの長さが、腹側部A側から股下部C側に向かうに連れ漸次拡大している。
【0046】
前記構成(i)において「縦方向Xにおける弾性部材間の間隔」は、横方向Yに弾性伸縮性を発現する弾性部材間の間隔であって、縦方向Xに隣り合う同方向Xの該弾性部材どうし間の距離である。前記構成(i)を具備する前側中間領域Rは、斯かる弾性部材間の間隔が下記の大小関係(i-a)を満たすことが好ましい。
(i-a)第1領域R1<第2領域R2<第3領域R3<第4領域R4
第4領域R4が横方向Yに弾性伸縮性を発現する弾性部材を含まない場合、前記弾性部材間の間隔は下記の大小関係(i-b)を満たすことが好ましい。
(i-b)第1領域R1<第2領域R2<第3領域R3
【0047】
前記構成(i)の一例としては、第1領域R1の縦方向Xにおける胴周り弾性部材36どうし間の間隔D1(図3参照)が、第2領域R2の縦方向Xにおける弾性部材36,38どうし間の間隔D2(図3参照)よりも小さく、当該間隔D2(図3参照)が、第3領域R3の縦方向Xにおける股下弾性部材38どうし間の間隔D3(図3参照)よりも小さいことが挙げられる。
前側中間領域Rの各領域R1,R2,R3,R4において、縦方向Xにおける弾性部材どうし間の間隔が異なっている場合は、当該領域において最小の前記間隔を、「縦方向Xにおける弾性部材どうし間の間隔」とする。
【0048】
前記構成(i)によって、前記(1)及び(2)の大小関係をより容易に満たす観点から、前側中間領域Rにおける縦方向Xにおける弾性部材どうし間の間隔は、以下の範囲内であることが好ましい。
第1領域R1の縦方向Xにおける弾性部材どうし間の間隔D1(図3参照)は、好ましくは3mm以上10mm以下、より好ましくは4mm以上7mm以下である。
第2領域R2の縦方向Xにおける弾性部材どうし間の間隔D2(図3参照)は、好ましくは10mm以上20mm以下、より好ましくは13mm以上17mm以下である。
第3領域R3の縦方向Xにおける弾性部材どうし間の間隔D3(図3参照)は、好ましくは20mm以上30mm以下、より好ましくは23mm以上27mm以下である。
第4領域R4が横方向Yに弾性伸縮性を発現する弾性部材を含む場合、第4領域R4の縦方向Xにおける弾性部材どうし間の間隔(図示せず)は、好ましくは30mm以上40mm以下、より好ましくは33mm以上37mm以下である。
【0049】
前記構成(ii)において、弾性部材の収縮応力は、横方向Yの収縮応力である。前記構成(ii)を具備する前側中間領域Rは、斯かる弾性部材の収縮応力が下記の大小関係(ii-a)を満たすことが好ましい。
(ii-a)第1領域R1>第2領域R2>第3領域R3>第4領域R4
第4領域R4が横方向Yに弾性伸縮性を発現する弾性部材を含まない場合、前記弾性部材の収縮応力は下記の大小関係(ii-b)を満たすことが好ましい。
(ii-b)第1領域R1>第2領域R2>第3領域R3
【0050】
前記構成(ii)の一例としては、第1領域R1の胴周り弾性部材36の収縮応力が、第2領域R2の弾性部材36,38の収縮応力よりも大きく、該第2領域R2の弾性部材36,38の収縮応力が、第3領域R3の股下弾性部材38の収縮応力よりも大きいことが挙げられる。
前側中間領域Rの各領域R1,R2,R3,R4における弾性部材の横方向Yの収縮応力は、例えば弾性部材の繊度又は伸長率により調整することができる。
【0051】
前記構成(ii)をより確実に具備させる観点から、前側中間領域Rにおける弾性部材の繊度は以下の範囲内であることが好ましい。
第1領域R1における弾性部材の繊度は、好ましくは730dtex以上820dtex以下、より好ましくは750dtex以上800dtex以下である。
第2領域R2における弾性部材の繊度は、好ましくは580dtex以上670dtex以下、より好ましくは600dtex以上650dtex以下である。
第3領域R3における弾性部材の繊度は、好ましくは280dtex以上370dtex以下、より好ましくは300dtex以上350dtex以下である。
第4領域R4が横方向Yに弾性伸縮性を発現する弾性部材を含む場合、第4領域R4における弾性部材の繊度は、好ましくは280dtex以上370dtex以下、より好ましくは300dtex以上350dtex以下である。
前側中間領域Rの各領域R1,R2,R3,R4において、弾性部材の繊度が異なっている場合は、当該領域において最大となる繊度を、該領域の「弾性部材の繊度」とする。
弾性部材の繊度は下記の方法により測定することができる。
【0052】
<弾性部材の繊度の測定方法>
吸収性物品全体を十分な量のテトラヒドロフラン(THF)溶剤につけ、弾性部材を該吸収性物品から剥がした後、20℃、湿度50%の室内で1週間乾燥させ、弾性部材を十分乾燥させる。乾燥後の弾性部材の自然状態の長さL(mm)と重量W(g)を測定する。弾性部材の繊度(dtex)は以下の式で求められる。
弾性部材の繊度=10000000/(L×W)
【0053】
前記構成(ii)をより確実に具備させる観点から、前側中間領域Rにおける弾性部材の伸長率は以下の範囲内であることが好ましい。
第1領域R1における弾性部材の伸長率は、好ましくは3.0倍以上3.4倍以下、より好ましくは3.1倍以上3.3倍以下である。
第2領域R2における弾性部材の伸長率は、好ましくは2.8倍以上3.2倍以下、より好ましくは2.9倍以上3.1倍以下である。
第3領域R3における弾性部材の伸長率は、好ましくは2.4倍以上2.8倍以下、より好ましくは2.5倍以上2.7倍以下である。
第4領域R4が横方向Yに弾性伸縮性を発現する弾性部材を含む場合、第4領域R4における弾性部材の伸長率は、好ましくは2.4倍以上2.8倍以下、より好ましくは2.5倍以上2.7倍以下である。
前側中間領域Rの各領域R1,R2,R3,R4において、弾性部材の伸長率が異なっている場合は、当該領域において最大となる伸長率を、該領域の「弾性部材の伸長率」とする。
弾性部材の伸長率は下記の方法により測定することができる。
【0054】
<伸長率の測定方法>
おむつ1をサイドシール部11で切り離し、自然状態(収縮状態)にして、各弾性部材の伸長方向に間隔Laを開けて、おむつ1の外面(非肌対向面)から該弾性部材が存する位置に、油性ペンを用いて2つの印を付ける。次いで、おむつ1を展開且つ伸長状態(図1参照)にして、前記2つの印間の長さLbを測定する。この測定を各弾性部材に対して3回行い、「Lb/La」で表される式で算出される値の算術平均値により、伸長率(倍)を求める。間隔Laは、例えば100mmとすることができるが、伸縮可能な範囲が100mmに満たない場合、当該間隔Laを可能な限り広くする。
【0055】
前記構成(iii)において、プレカット領域Pの横方向Yの長さは、横方向Yにおける吸収体4の両側に配された弾性部材どうし間の距離である。前記構成(iii)を具備する前側中間領域Rは、斯かるプレカット領域Pの横方向Yの長さが下記の大小関係(iii-a)を満たすことが好ましい。
(iii-a)第1領域R1<第2領域R2<第3領域R3<第4領域R4
第4領域R4が横方向Yに弾性伸縮性を発現する弾性部材を含まない場合、プレカット領域Pの横方向Yの長さは下記の大小関係(iii-b)を満たすことが好ましい。
(iii-b)第1領域R1<第2領域R2<第3領域R3
前記(iii)の形態には、第1領域R1における弾性部材が横方向Yに連続することで、該第1領域R1がプレカット領域Pを有さない一方、第2領域R2及び第3領域R3の他の領域それぞれがプレカット領域Pを有する形態が含まれる。斯かる形態では、第1領域R1のプレカット領域Pの横方向Yの長さは0mmとなる。
【0056】
前側中間領域Rの各領域R1,R2,R3,R4において、プレカット領域Pの横方向Yの長さが異なっている場合は、当該領域において最小となる横方向Yの長さを、「プレカット領域Pの横方向Yの長さ」とする。
【0057】
前記構成(iii)によって、前記(1)及び(2)の大小関係をより容易に満たす観点から、前側中間領域Rにおけるプレカット領域Pの横方向Yの長さは、以下の範囲内であることが好ましい。
第1領域R1におけるプレカット領域Pの横方向Yの長さD6(図3参照)は、好ましくは0mm以上60mm以下、より好ましくは30mm以上60mm以下である。
第2領域R2におけるプレカット領域Pの横方向Yの長さD7(図3参照)は、好ましくは60mm以上80mm以下、より好ましくは70mm以上80mm以下である。
第3領域R3におけるプレカット領域Pの横方向Yの長さD8(図3参照)は、好ましくは80mm以上90mm以下、より好ましくは85mm以上90mm以下である。
第4領域R4が横方向Yに弾性伸縮性を発現する弾性部材を含む場合、第4領域R4におけるプレカット領域Pの横方向Yの長さ(図示せず)は、好ましくは90mm以上100mm以下、より好ましくは95mm以上100mm以下である。
【0058】
前身頃において吸収体4の変形性をより向上することは、漏れ防止効果の点で好ましい。斯かる観点から、低剛性部42の股下部C側の端部が、平面視において股下伸縮領域CRの腹側部A側の前端と重なっていることが好ましい(図3参照)。これにより、低剛性部42の股下部C側の端部が、第4領域R4及び股下伸縮領域CR間の屈曲点fとなり、前記の空間Sをより生じ易くなる(図4参照)。
この場合、低剛性部42の股下部C側の端部と、股下伸縮領域CRの腹側部A側の前端とは、展開且つ伸長状態におけるおむつ1の平面視で重なっている。
【0059】
横方向Yに沿う断面視において吸収体4をより凹状に変形させる観点から、前身頃におけるサイド吸収性コア40sの曲げ荷重が、中央吸収性コア40cの曲げ荷重以上であることが好ましい。これにより、サイド吸収性コア40sを中央吸収性コア40cから起立するように、より安定して変形させることができる。すなわち着用状態においても凹状に変形した吸収体4の凹部内の空間をより安定して維持することができる。
上記と同様の観点から、前身頃におけるサイド吸収性コア40s及び中央吸収性コア40cの各曲げ荷重は以下の範囲内であることが好ましい
サイド吸収性コア40sの曲げ荷重は、中央吸収性コア40cの曲げ荷重に対して好ましくは100%以上250%以下、より好ましくは150%以上230%以下である。
サイド吸収性コア40sの曲げ荷重は、好ましくは10g/30mm以上40g/30mm以下、より好ましくは15g/30mm以上35g/30mm以下である。
中央吸収性コア40cの曲げ荷重は、好ましくは5g/30mm以上25g/30mm以下、より好ましくは10g/30mm以上20g/30mm以下である。この中央吸収性コア40cの曲げ荷重は、前側中間領域Rと重なる部分の曲げ荷重とする。
曲げ荷重は以下の方法により測定することができる。
【0060】
<曲げ荷重の測定方法>
吸収性コアの曲げ荷重の測定は、三点曲げ荷重の測定によって行われる。先ず、おむつ1から吸収体4を取り出し、該吸収体から30mm角の正方形の測定試料を切り出す。吸収体4がコアラップシート49を具備する場合、コアラップシート49ごと測定試料を切り出す。測定試料は、吸収体4の厚み全体を切り出す。
次いで、測定試料を一対の板状の支持体の間に架けわたす。支持体の間隔は10mmとし、架けわたす方向が横方向Yに沿うようにする。支持体間に架けわたした測定試料の上から板状押し込み体を測定試料に押し込む。板状押し込み体は、その幅が2mmであり、押し込み方向の長さは測定試料の長さ(30mm)よりも長い。平面視における板状押し込み体を押し込む位置は、一対の支持体間の中間位置である。板状押し込み体を支持体に対して8mm押し込み、その押し込み中に発生した荷重の最大値を曲げ荷重(g/30mm)とする。曲げ荷重の測定器はハンドロメーターを使用する。
曲げ荷重の値が小さいほど柔軟性が高い、すなわち曲げ剛性が低いと判断できる。
【0061】
吸収性コア40の曲げ荷重の高低は、吸収性コア40の坪量により調整することができる。
前身頃におけるサイド吸収性コア40sの曲げ荷重が、中央吸収性コア40cの曲げ荷重以上となるようにする観点から、前身頃におけるサイド吸収性コア40s及び中央吸収性コア40cの坪量は以下の範囲内であることが好ましい。
サイド吸収性コア40sの坪量は、中央吸収性コア40cの坪量に対して好ましくは100%以上250%以下、より好ましくは150%以上230%以下である。
サイド吸収性コア40sの坪量は、好ましくは200g/m以上400g/m以下、より好ましくは250g/m以上350g/m以下である。
中央吸収性コア40cの坪量は、好ましくは50g/m以上250g/m以下、より好ましくは100g/m以上200g/m以下である。この中央吸収性コア40cの坪量は、前側中間領域Rと重なる部分の坪量とする。
【0062】
吸収性コア40は、背側部Bにおいて横方向Yの位置が中央吸収性コア40cと同じとなる部分40e(以下、「中央対応部分40e」ともいう。図1参照)を有する。前側中間領域Rと重なる中央吸収性コア40cの曲げ荷重は、中央対応部分40eの曲げ荷重に比して低いことが好ましい。斯かる構成により、中央吸収性コア40cの変形性をより向上させて、前記の空間Sをより生じさせ易くすることができる。
中央対応部分40eの曲げ荷重は、吸収体4における中央対応部分40eから前記の測定試料を切り出し、前記<曲げ荷重の測定方法>によって該測定試料の三点曲げ荷重を測定することで、確認することができる。
【0063】
上記と同様の観点から、吸収性コア40の中央対応部分40eの曲げ荷重は以下の範囲内であることが好ましい
中央対応部分40eの曲げ荷重は、前側中間領域Rと重なる中央吸収性コア40cの曲げ荷重に対して好ましくは70%以上100%以下、より好ましくは80%以上95%以下である。
中央対応部分40eの曲げ荷重は、好ましくは10g/30mm以上30g/30mm以下、より好ましくは15g/30mm以上25g/30mm以下である。
【0064】
前側中間領域Rと重なる中央吸収性コア40cの曲げ荷重を、中央対応部分40eの曲げ荷重よりも低くする観点から、これら中央吸収性コア40c及び中央対応部分40eの坪量は以下の範囲内であることが好ましい。
前側中間領域Rと重なる中央吸収性コア40cの坪量は、中央対応部分40eの坪量に対して好ましくは70%以上100%以下、より好ましくは80%以上95%以下である。
中央対応部分40eの坪量は、好ましくは250g/m以上450g/m以下、より好ましくは300g/m以上400g/m以下である。
【0065】
前記の空間Sをより生じさせ易くする観点から、前側中間領域Rと重なる吸収性コア40は、中央吸収性コア40cの曲げ荷重について下記(C1)及び(C2)の大小関係を満たすことが好ましい。
(C1)第2領域R2>第3領域R3
(C2)第2領域R2>第4領域R4
第2領域R2、第3領域R3、及び第4領域R4における吸収体4の曲げ荷重は、中央吸収性コア40cにおける各領域R2,R3,R4と重なる各部分から前記の測定試料(30mm角)を切り出し、前記<曲げ荷重の測定方法>によって該測定試料の三点曲げ荷重を測定することで、確認することができる。また吸収体4がコアラップシート49を具備する場合、コアラップシート49ごと測定試料を切り出す。測定試料は、吸収体4の厚み全体を切り出す。
【0066】
前記の空間Sをより生じさせ易くする観点から、前記(C1)の大小関係に関し、第2領域R2における中央吸収性コア40c及び第3領域R3における中央吸収性コア40cの曲げ荷重は以下の範囲内であることが好ましい。
第2領域R2における中央吸収性コア40cの曲げ荷重は、第3領域R3における吸収性コア40の曲げ荷重に対して好ましくは120%以上160%以下、より好ましくは130%以上150%以下である。
第2領域R2における中央吸収性コア40cの曲げ荷重は、好ましくは10g/30mm以上40g/30mm以下、より好ましくは20g/30mm以上30g/30mm以下である。
第3領域R3における中央吸収性コア40cの曲げ荷重は、好ましくは5g/30mm以上30g/30mm以下、より好ましくは10g/30mm以上20g/30mm以下である。
【0067】
前記の空間Sをより生じさせ易くする観点から、前記(C2)の大小関係において、第2領域R2における中央吸収性コア40c及び第4領域R4における中央吸収性コア40cの曲げ荷重は以下の範囲内であることが好ましい。
第2領域R2における中央吸収性コア40cの曲げ荷重は、第4領域R4における中央吸収性コア40cの曲げ荷重に対して好ましくは120%以上160%以下、より好ましくは130%以上150%以下である。
第2領域R2における中央吸収性コア40cの曲げ荷重は、好ましくは10g/30mm以上40g/30mm以下、より好ましくは20g/30mm以上30g/30mm以下である。
第4領域R4における中央吸収性コア40cの曲げ荷重は、好ましくは5g/30mm以上30g/30mm以下、より好ましくは10g/30mm以上20g/30mm以下である。
【0068】
前記(C1)又は(C2)の大小関係をより容易に満たす観点から、中央吸収性コア40cの坪量は以下の範囲内であることが好ましい。
第2領域R2における中央吸収性コア40cの坪量は、第3領域R3における中央吸収性コア40cの坪量に対して好ましくは120%以上160%以下、より好ましくは130%以上150%以下である。
第2領域R2における中央吸収性コア40cの坪量は、第4領域R4における中央吸収性コア40cの坪量に対して好ましくは120%以上160%以下、より好ましくは130%以上150%以下である。
第2領域R2における中央吸収性コア40cの坪量は、好ましくは110g/m以上310g/m以下、より好ましくは160g/m以上260g/m以下である。
第3領域R3における中央吸収性コア40cの坪量は、好ましくは50g/m以上250g/m以下、より好ましくは100g/m以上200g/m以下である。
第4領域R4における中央吸収性コア40cの坪量は、好ましくは50g/m以上250g/m以下、より好ましくは100g/m以上200g/m以下である。
【0069】
吸収体4を前記の凹状により変形し易くする観点から、吸収体弾性部材48の繊度は、好ましくは550dtex以上700dtex以下、より好ましくは600dtex以上650dtex以下である。
上記と同様の観点から、吸収体弾性部材48の伸長率は、好ましくは2.5倍以上3.5倍以下、より好ましくは2.7倍以上3.3倍以下である。
吸収体弾性部材48の伸長率は、おむつ1の内面(肌対向面)から吸収体弾性部材48が存する位置に、油性ペンを用いて2つの印を付ける点以外は、前記の<伸長率の測定方法>と同様の方法により測定することができる。
【0070】
本実施形態のおむつ1は、漏れ防止効果により、薄型の吸収体4を好ましく適用できる。本実施形態のおむつ1が具備する吸収体4の厚みは、好ましくは2.0mm以上、より好ましくは3.0mm以上であり、また好ましくは6.0mm以下、より好ましくは5.0mm以下であり、また好ましくは2.0mm以上6.0mm以下、より好ましくは3.0mm以上5.0mm以下である。
吸収体4の厚みは、以下の方法により測定される。先ず、吸収体4を水平な場所にシワや折れ曲がりがないように静置し、該吸収体の任意の箇所について、17cN/cmの荷重下で厚みを測定する。斯かる厚みの測定は、例えば、厚み計(株式会社ミツトヨ製、ABSデジマチックインジケータ 575シリーズ)を用いる。このとき、厚み計の先端部と測定サンプル(吸収体)との間に、荷重が17cN/cmとなるように大きさを調整した平面視円形状又は正方形状のプレート(厚み5mm程度のアクリル板)を配置して、厚みを測定する。厚み測定では、測定サンプルにおける任意の10箇所を測定し、それら10箇所の厚みの平均値を算出して、これを吸収体4の厚みとする。
【0071】
上述した実施形態におけるおむつ1の各部の形成材料について詳述する。表面シート12及び防漏シート13としてはそれぞれ、吸収性物品(使い捨ておむつ)に従来用いられているものを特に制限なく用いることができる。
表面シート12としては例えば、液透過性の不織布及び開孔フィルム等を用いることができる。不織布としては、例えば、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、スパンレース不織布、ヒートロール不織布、メルトブローン不織布等の公知の不織布が挙げられる。
防漏シート13としては、液難透過性又は撥水性のシートを用いることができる。斯かるシートとしては、樹脂フィルムや、樹脂フィルムと不織布等とのラミネート等を用いることができる。樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、ナイロン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート等の高分子材料からなるフィルムや、透湿性フィルム等が挙げられる。
【0072】
吸収体4は、吸収性コア40として、木材パルプ、親水化処理された合成繊維等の親水性繊維の積繊体や、該集合体に吸水性ポリマーを保持させた積繊体を用いることができる。
また、吸収体4として、不織布等の繊維シートに吸水性ポリマーを担時させたポリマーシートを用いることができる。斯かるポリマーシートとしては、例えば、特開2009-022670号公報に記載の、2枚のシート間に接着剤により固着された吸水性樹脂粉末を含んで構成されたものが挙げられる。パンツ型使い捨ておむつにおいて吸収体4は、縦方向Xの中央で折り返された二つ折りの状態になり、該吸収体4に発生した皺どうしが重なるとおむつ1の厚みが増大する。吸収体4がポリマーシートからなると、斯かる厚みの増大をより抑制できる点で好ましい。
【0073】
コアラップシート49としては、表面シート12と同様のものを用いることができる。皺が発生したとしても柔らかく、厚みをより抑制する観点から、コアラップシート49は不織布であることが好ましい。不織布としては、上述した公知の不織布が挙げられる。
【0074】
外装体3における内層シート32及び外層シート31は、例えば上述した公知の不織布を用いることができる。また、不織布どうしを積層した積層不織布等を用いることができる。
【0075】
吸収体4における吸収体弾性部材48、防漏カフ6におけるカフ弾性部材61、並びに外装体3における股下弾性部材38、胴回り弾性部材36、ウエスト弾性部材35及びレッグ弾性部材37a,37b等の弾性部材は、この種の吸収性物品に通常用いられる各種公知の弾性材料を特に制限なく用いることができる。弾性材料としては、例えば、スチレン-ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、ネオプレン等の合成ゴム、天然ゴム、EVA、伸縮性ポリオレフィン、ポリウレタン等が挙げられる。弾性部材の形態としては、断面が矩形、正方形、円形、多角形状等の糸状(糸ゴム等)若しくは紐状(平ゴム等)のもの、又はマルチフィラメントタイプの糸状のもの等を好ましく用いることができる。
【0076】
本発明の吸収性物品は、図1図5に示す形態に限定されず、別の形態であってもよい。以下に、本発明の吸収性物品の別の実施形態について説明する。以下では、別の実施形態について、図1図5に示す実施形態と異なる構成部分を主として説明し、同様の構成部分は同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない構成部分は、図1図5に示す実施形態についての説明が適宜適用される。
【0077】
上述した実施形態のおむつ1は、縦方向Xに沿う両側縁が直線状である、略矩形の吸収性コア40を具備するものであったが、吸収性コア40は斯かる形態に限定されない。
図6に示すおむつ1aが具備する吸収性コア40aは、前身頃において縦方向Xに沿う両側縁に、一対の切り欠き部45,45が形成されている。この切り欠き部45は、第3領域R3と第4領域R4とに跨るように配されている。
本実施形態の吸収性コア40aは、一対の切り欠き部45,45を有することで、サイド吸収性コア40sの横方向Y外方端部が着用者の身体Jに追従して変形する際に、皺が生じ難くなり、該身体Jへのフィット性をより向上することができる。
【0078】
サイド吸収性コア40sの横方向Y外方端部における皺の発生をより抑制する観点から、一対の切り欠き部45の縦方向Xの長さL10(図6参照)は、好ましくは5mm以上15mm以下、より好ましくは8mm以上12mm以下である。
上記と同様の観点から、一対の切り欠き部45の横方向Yにおける切込み長さL11(図6参照)は、好ましくは5mm以上15mm以下、より好ましくは8mm以上12mm以下である。前記切込み長さL11は、切り欠き部45の横方向Yの最大長さである。
【0079】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されない。
例えば、上述した実施形態の吸収性コアは、一対の低剛性部42,42を有するものであったが、該低剛性部42に加えて、別の低剛性部を有していてもよい。より具体的には、吸収性コアは、一対の低剛性部42,42と、横方向Yにおいてこれら低剛性部42,42間に位置し且つ縦方向Xに延びる別の低剛性部を有していてもよい。
また、上述した実施形態の防漏カフ6は、中間弾性部材65を具備するものであったが、防漏カフ6は、該中間弾性部材65を具備していなくともよい。
【符号の説明】
【0080】
1,1a おむつ
3 外装体
3T 伸縮領域
3W ウエスト伸縮領域
31 外層シート
32 内層シート
35 ウエスト弾性部材
36 胴回り弾性部材
37a 腹側レッグ弾性部材
e1 縁部部分
e2 中央部分
37b 背側レッグ弾性部材
38 股下弾性部材
4 吸収体
40,40a 吸収性コア
40c 中央吸収性コア
40s サイド吸収性コア
42 低剛性部
45 切り欠き部
48 吸収体弾性部材
49 コアラップシート
6 防漏カフ
60 カフ形成用シート
61 カフ弾性部材
10 吸収性本体
11 サイドシール部
12 表面シート
13 防漏シート
A 腹側部
B 背側部
C 股下部
CR 股下伸縮領域
J 身体
LS レッグ開口縁部
P プレカット領域
R 前側中間領域
R1 第1領域
R2 第2領域
R3 第3領域
R4 第4領域
S 空間
WE ウエスト開口端
X 縦方向
Y 横方向
Z 厚み方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6