IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヒラノ技研工業株式会社の特許一覧

特開2024-151009コッタ装置及びそれを用いたロール装置
<>
  • 特開-コッタ装置及びそれを用いたロール装置 図1
  • 特開-コッタ装置及びそれを用いたロール装置 図2
  • 特開-コッタ装置及びそれを用いたロール装置 図3
  • 特開-コッタ装置及びそれを用いたロール装置 図4
  • 特開-コッタ装置及びそれを用いたロール装置 図5
  • 特開-コッタ装置及びそれを用いたロール装置 図6
  • 特開-コッタ装置及びそれを用いたロール装置 図7
  • 特開-コッタ装置及びそれを用いたロール装置 図8
  • 特開-コッタ装置及びそれを用いたロール装置 図9
  • 特開-コッタ装置及びそれを用いたロール装置 図10
  • 特開-コッタ装置及びそれを用いたロール装置 図11
  • 特開-コッタ装置及びそれを用いたロール装置 図12
  • 特開-コッタ装置及びそれを用いたロール装置 図13
  • 特開-コッタ装置及びそれを用いたロール装置 図14
  • 特開-コッタ装置及びそれを用いたロール装置 図15
  • 特開-コッタ装置及びそれを用いたロール装置 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151009
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】コッタ装置及びそれを用いたロール装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 55/18 20060101AFI20241017BHJP
   B21B 1/40 20060101ALI20241017BHJP
   B65H 5/06 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
B29C55/18
B21B1/40
B65H5/06 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064113
(22)【出願日】2023-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】390002015
【氏名又は名称】ヒラノ技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003395
【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】溝口 孝史
【テーマコード(参考)】
3F049
4E002
4F210
【Fターム(参考)】
3F049CA32
3F049DB04
3F049LA15
3F049LB08
3F049LB10
4E002AD13
4F210AJ08
4F210QA04
4F210QC02
4F210QG01
4F210QG18
4F210QN01
4F210QN04
(57)【要約】
【課題】第1台座と第2台座の間の間隙を雄ネジ部で調整した後、その間隙が変化しないコッタ装置及びそれを用いたロール装置を提供する。
【解決手段】平面を有する第1台座110と、傾斜面を有する第2台座112と、第1台座110と第2台座112の間に配された楔型のコアブロック114と、コアブロック114の内部に設けられた注入空間128と、楔型のコアブロック114の長手方向であって、かつ、注入空間128を貫通した雌ネジ部120と、雌ネジ部120を貫通する雄ネジ部132と、注入空間128に圧縮空気を注入するコッタポンプ140とを有する。
【選択図】 図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面を有する第1台座と、
前記平面と相対向し、かつ、前記平面に対し傾斜した傾斜面を有する第2台座と、
前記第1台座の前記平面と前記第2台座の前記傾斜面との間に配された楔型のコアブロックと、
前記コアブロックの内部に設けられた注入空間と、
楔型の前記コアブロックの長手方向であって、かつ、前記注入空間を貫通したブロック雌ネジ部と、
前記ブロック雌ネジ部を貫通する雄ネジ部と、
前記注入空間に圧縮空気を注入する注入手段と、
を有することを特徴とするコッタ装置。
【請求項2】
前記雄ネジ部が突出した前記コアブロックの外面に凹部が形成され、
前記凹部は前記注入空間と連通し、
前記凹部にナットが嵌合し、
前記ナットのナット雌ネジ部と前記ブロック雌ネジ部とが同軸で、かつ、同じ径である、
請求項1に記載のコッタ装置。
【請求項3】
前記注入空間と連通している前記ナットの外周部にOリングが設けられている、
請求項2に記載のコッタ装置。
【請求項4】
前記第1台座の前記平面と、前記コアブロックの間に配された第1ローラプレートと、
前記第2台座の前記傾斜面と、前記コアブロックの間に配された第2ローラプレートと、
を有する請求項1に記載のコッタ装置。
【請求項5】
前記雄ネジ部の先端には、前記雄ネジ部を回転されるハンドル、又は、モータが設けられている、
請求項1に記載のコッタ装置。
【請求項6】
第1ロールと、
前記第1ロールと平行に配された第2ロールと、
前記第1ロールを回転自在に支持する左右一対の第1軸受け部と、
前記第2ロールを回転自在に支持する左右一対の第2軸受け部と、
前記第1軸受け部の左側と前記第2軸受け部の左側の間に配された請求項1に記載の左側のコッタ装置と、
前記第1軸受け部の右側と前記第2軸受け部の右側の間に配された請求項1に記載の右側のコッタ装置と、
を有し、
左右一対の前記コッタ装置の前記第1台座が、左右一対の前記第1軸受け部にそれぞれ設けられ、
左右一対の前記コッタ装置の前記第2台座が、左右一対の前記第2軸受け部にそれぞれ設けられている、
ことを特徴とするロール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コッタ装置とそれを用いたロール装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
機械分野において、第1部材と第2部材の間の距離を調整するためにコッタ装置が用いられている。このコッタ装置は、第1部材に平面を有する第1台座を設け、第2部材に前記平面に対し傾斜した傾斜面を有する第2台座を設け、第1台座と第2台座の間に楔型のコアブロックを配している。このコアブロックには雌ネジ部が貫通し、この雌ネジ部に雄ネジ部が螺合している。そして、作業員又はモータによって雄ネジ部を回転させることによりコアブロックを移動させ、傾斜面の傾斜角度だけ第1部材と第2部材の間隔を広げたり狭めたりできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-70854号公報
【特許文献2】特開2020-28841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、第1部材又は第2部材に力が掛けた状態で、第1部材と第2部材の間隙を調整した後であっても、その間隙が数μmがずれるという問題点があった。これは、コアブロックの雌ネジ部と、雄ネジ部の製作公差によって、雄ネジ部の山と谷と、雌ネジ部の谷と山との間に若干の隙間があり、この隙間の分だけコアブロックが移動し、間隙が変化するからである。
【0005】
そこで本発明は上記問題点に鑑み、第1台座と第2台座の間の間隙を雄ネジ部で調整した後、その間隙が変化しないコッタ装置及びそれを用いたロール装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、平面を有する第1台座と、前記平面と相対向し、かつ、前記平面に対し傾斜した傾斜面を有する第2台座と、前記第1台座の前記平面と前記第2台座の前記傾斜面との間に配された楔型のコアブロックと、前記コアブロックの内部に設けられた注入空間と、楔型の前記コアブロックの長手方向であって、かつ、前記注入空間を貫通したブロック雌ネジ部と、前記ブロック雌ネジ部を貫通する雄ネジ部と、前記注入空間に圧縮空気を注入する注入手段と、を有することを特徴とするコッタ装置である。
【発明の効果】
【0007】
本実施形態によれば、雄ネジ部で第1台座と第2台座の間隙を調整した後、注入空間に注入手段から圧縮空気を注入すると、その圧縮空気によって雄ネジ部の山と谷が雌ネジ部の谷と山に押され固定される。したがって、第1台座と第2台座の間隙が変化しない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の加熱ロール装置の斜視図である。
図2】加熱ロール装置の後面図である。
図3】加熱ロール装置のブロック図である。
図4】加熱ロール装置の後方から見た縦断面図である。
図5】加熱ロール装置の右側面図である。
図6】上加熱ロールの左側面図である。
図7】上加熱ロールの右側面図である。
図8】上加熱ロールの上ロール本体の右側の一部展開図である。
図9】上加熱ロールにおける主流路、加熱流路、連結流路、直結流路の説明を行う図である。
図10】右コッタ装置の右側面図である。
図11】右コッタ装置の後方から見た縦断面図である。
図12】右側の押圧装置の縦断面図である。
図13】下右軸受け部の上方から見た横断面図である。
図14】入口側から見た押圧装置の後面図である。
図15】変更例2の上加熱ロールの縦断面図である。
図16】変更例3の粉体プレス装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態の加熱ロール装置10について、図1図14を参照して説明する。本実施形態の加熱ロール装置10は、長尺状のウエブWを二つの加熱ロールでプレスするものであり、ウエブWとしてはフィルム、塗工液が塗工されたフィルムや金属箔などである。本説明において、ウエブWは、図1に示すように、加熱ロール装置10の入口から出口に前後方向に流れ、入口側を後、出口側を前と定義する。そして左右方向を示すときは後から前を見たときの左右方向と定義する。
【0010】
(1)加熱ロール装置10
本発明の加熱ロール装置10の全体の概略について図1図2を参照して説明する。
【0011】
図1図2に示すように、水平な床面に載置された基台11の上面の前部には順番に直方体の左右一対の前左支持フレーム14と前右支持フレーム12とが鉛直方向に立設され、基台11の上面の後部には、直方体の左右一対の後左支持フレーム15と後右支持フレーム13が鉛直方向に立設されている。さらに図2に示すように、前左支持フレーム14と後左支持フレーム15の左側には、装置支持フレーム16が基台11から鉛直方向に立設されている。
【0012】
図1図2に示すように、左側の前後一対の前左支持フレーム14と後左支持フレーム15の間の上部には、直方体の上左軸受け部18が固定され、その下方には直方体の下左軸受け部22が上下方向に移動自在に配されている。右側の前後一対の前右支持フレーム12と後右支持フレーム13の間の上部には、直方体の上右軸受け部20が固定され、その下方には直方体の下右軸受け部24が上下方向に移動自在に配されている。
【0013】
図1図2に示すように、上左軸受け部18と上右軸受け部20との間には、回転自在に上加熱ロール26が配されている。この上加熱ロール26の回転軸の方向は、左右方向に一致し、かつ、水平である。下左軸受け部22と下右軸受け部24との間には、下加熱ロール28が回転自在に配されている。この下加熱ロール28の回転軸の方向は、左右方向に一致し、かつ、水平である。
【0014】
図2に示すように、装置支持フレーム16には、上部に上ロールモータ36が配され、下部に下ロールモータ46が配されている。上ロールモータ36は、上減速機38、上カップリング装置40を介して上加熱ロール26を回転させる。下ロールモータ46は、下減速機48と下カップリング装置50を介して下加熱ロール28を回転させる。なお、上カップリング装置40と下カップリング装置50は、リンクカップリング装置からなる。「リンクカップリング装置」とは、リンクのクランクモーションを利用した軸心違い継手であり、軸の平行移動が可能なカップリング装置である。
【0015】
図2に示すように、下左軸受け部22の下面には、左受圧部44が設けられている。この下左軸受け部22の下方に位置する基台11には、左油圧シリンダ42が設けられ、そのピストン56は上下方向に移動自在であり、そのピストン56の先端は左受圧部44に当接されている。そして左油圧シリンダ42は、下左軸受け部22を上方に常に押圧している。下右軸受け部24の下面には、右受圧部54が設けられている。この下右軸受け部24の下方に位置する基台11には、右油圧シリンダ52が設けられ、そのピストン56は上下方向に移動自在であり、そのピストン56の先端が右受圧部54に当接されている。そして右油圧シリンダ52は、下右軸受け部24を常に上方に押圧している。
【0016】
図1図2に示すように、上左軸受け部18と下左軸受け部22との間には、左コッタ装置100が配され、上加熱ロール26と下加熱ロール28の左側の間隙を調整している。上右軸受け部20と下右軸受け部24との間には、右コッタ装置102が配され、上加熱ロール26と下加熱ロール28の右側の間隙を調整できる。
【0017】
基台11には、加熱ロール装置10の操作や制御を行う操作盤、左油圧シリンダ42と右油圧シリンダ52を昇降させる油圧ユニットがそれぞれ設けられているが、本実施形態と図2では、まとめて制御部30として記載している。
【0018】
(2)上加熱ロール26と下加熱ロール28
次に、上加熱ロール26と下加熱ロール28の構造について説明する。まず、上加熱ロール26について図面を参照して説明する。
【0019】
図4に示すように、上加熱ロール26は金属製であり、円柱状の上ロール本体200の左右両側面から上左回転軸202と上右回転軸204とが突出している。上左回転軸202は、上左ベアリング206を介して上左軸受け部18に回転自在に配されている。上右回転軸204は、上右ベアリング208を介して上右軸受け部20に回転自在に配されている。
【0020】
図2に示すように、上左回転軸202は上左軸受け部18からさらに突出し、上カップリング装置40と連結されている。この上カップリング装置40は、上減速機38の出力軸が連結され、上ロールモータ36が回転すると上減速機38によって所定の回転速度に減速され、上カップリング装置40を介して上左回転軸202、すなわち上加熱ロール26が回転する。
【0021】
図4に示すように、上右回転軸204、上ロール本体200、上左回転軸202の中心部には、加熱油が通る主流路220が貫通している。この主流路220は、上左回転軸202側は閉塞され、上右回転軸204側は開口している。この上右回転軸204の開口部には、回転するジョイント部240を介して加熱油が供給される供給管242が連結されている。供給管242の先には、加熱油を供給する供給ポンプ(不図示)が接続されている。
【0022】
図4に示すように、上ロール本体200の外周面近傍には回転軸の方向に沿って直線状の加熱流路222が貫通している。この加熱流路222は、図6図7に示すように、径方向に沿って等角度毎に24本設けられている。図4に示すように、加熱流路222の左右両側は開口し、左右両側の開口部分を円環状の蓋238で閉塞している。この蓋238によって加熱流路222から加熱油が漏れない。
【0023】
図4に示すように、上ロール本体200の内部には、加熱流路222の一端部と主流路220のほぼ中央部を結ぶ直線状の連結流路224が設けられている。この連結流路224によって主流路220を流れる加熱油が加熱流路222に至る。
【0024】
図6図8に示すように、隣接する加熱流路222と加熱流路222を結ぶための直結流路226が設けられている。この直結流路226は「く」の字状に曲がり、隣接する加熱流路222の一端部と加熱流路222の一端部との間を結ぶものである。
【0025】
24本の加熱流路222を連結流路224と直結流路226がどのように接続しているかを図4図6図9を参照して説明する。なお、図6は蓋238を取り除いた状態の上加熱ロール26の左縦断面図であり、図7は右縦断面図であり、図8は上ロール本体200の右側の展開図である。また、図9において、横方向の直線が加熱流路222を示し、斜めの一点鎖線が連結流路224を示し、「く」の字状の直線が直結流路226を示している。そして、図7図9中において24本の加熱流路222には、1番~24番の番号をそれぞれ付している。
【0026】
図9において1番~3番の加熱流路222について注目する。図6図8に示すように、主流路220は、連結流路224を介して加熱流路222の右端部に接続されている。そして、軸方向に対し斜めに延び、途中で屈曲して再び軸方向に対し斜めに延びて全体的な形状が「く」の字状の直結流路226が1番の加熱流路222の左端部に接続され、同じく2番の加熱流路222の左端部にも接続されている。2番の加熱流路222の右端部には、「く」の字状の直結流路226が接続され、3番の加熱流路222に接続されている。3番の加熱流路222の左端部は、連結流路224を介して主流路220に接続されている。
【0027】
これによって、図6図9に示すように、主流路220に流れる加熱油は、連結流路224を流れて1番の加熱流路222の右端部に流れる。
【0028】
次に、加熱油は、図6図9に示すように、1番の加熱流路222の右端部から左端部まで流れ、直結流路226を流れて2番の加熱流路222の左端部に流れる。
【0029】
次に、加熱油は、図6図9に示すように、2番の加熱流路222の左端部から右端部まで流れ、直結流路226を流れて3番の加熱流路222の右端部に流れる。
【0030】
次に、加熱油は、図6図9に示すように、3番の加熱流路222の右端部から左端部に流れ、連結流路224を介して主流路220に循環する。
【0031】
4番~6番の加熱流路222に関しても、図8に示すように、1番~3番の加熱流路222と同様に加熱油が流れる。以下同様に3本の加熱流路222が1組になって加熱油が流れ、上加熱ロール26の外周面近傍全体に加熱油が流れ、上加熱ロール26全体を加熱することができる。
【0032】
上左回転軸202と上右回転軸204は、主流路220を流れる加熱油によって加熱され、上ロール本体200とほぼ同じ温度に加熱される。
【0033】
図4に示すように、下加熱ロール28も、上加熱ロール26と同様の構造を有している。すなわち、下ロール本体210の左右両側面から下左回転軸212と下右回転軸214が突出している。下左回転軸212は、下左ベアリング216によって下左軸受け部22に回転自在に支持されている。下右回転軸214は、下右ベアリング218によって下右軸受け部24に回転自在に支持されている。
【0034】
下ロール本体210と下左回転軸212と下右回転軸214には、主流路220が設けられ、下ロール本体210の外周面近傍には24本の加熱流路222が設けられ、それぞれ連結流路224と直結流路226とによって接続されている。この接続構造は上加熱ロール26と同様である。
【0035】
また、図4に示すように、下ロール本体210の加熱流路222の左右両端部は、円環状の蓋238によって閉塞されている。また、下左回転軸212の主流路220は閉塞され、下右回転軸214に開口した主流路220にはジョイント部240を介して供給管242が接続されている。
【0036】
(3)上左軸受け部18、上右軸受け部20、下左軸受け部22、下右軸受け部24
次に、上左軸受け部18、上右軸受け部20、上左軸受け部18、下左軸受け部22、下右軸受け部24の構造について説明する。
【0037】
まず、上右軸受け部20について図2図5を参照して説明する。図5に示すように、直方体の金属製の上右軸受け部20の前後両側部には、縦に長い長方形の固定板252,252が設けられ、この固定板252,252は、上右軸受け部20から突出し、前右支持フレーム12と後右支持フレーム13の間に固定されている。
【0038】
金属製の上右軸受け部20は、図5に示すように、右側から見てほぼ正方形であり、上加熱ロール26の回転軸を中心にアナログ時計表示で2時と4時と8時と10時の位置に電気ヒータ254が設けられている。なお、このアナログ時計表示で真上を12時の位置とする。この電気ヒータ254は、図4に示すように、円柱状であって、回転軸の方向に沿って上右軸受け部20に埋設されている。
【0039】
また、図5に示すように、上加熱ロール26の回転軸を中心にアナログ時計表示で3時の位置に第1温度センサ256が設けられ、9時の位置に第2温度センサ258が設けられている。図2に示すように、この第1温度センサ256と第2温度センサ258も円柱状であり、回転軸の方向に沿って上右軸受け部20に埋設されている。
【0040】
制御部30の操作で、4本の電気ヒータ254を加熱し、第1温度センサ256で検出した温度が所定の温度(100°~200°)になる維持されるようにフィードバック制御する。また、第2温度センサ258で上左軸受け部18の温度を常に検出し、何らかの要因によって必要以上に温度(例えば、250℃)に上昇した場合に電気ヒータ254を停止させる。第2温度センサ258は昇温防止のためのサーモスタットの役割を果たしている。
【0041】
次に、上左軸受け部18について説明する。直方体の上左軸受け部18の前後両側部には、図1に示すように、固定板250,250が設けられ、上左軸受け部18から突出し、前左支持フレーム14と後左支持フレーム15の間に固定されている。また、上右軸受け部20と同様に4本の電気ヒータ254と第1温度センサ256と第2温度センサ258が設けられている。
【0042】
下左軸受け部22と下右軸受け部24も同様に4本の電気ヒータ254と第1温度センサ256と第2温度センサ258が設けられている。但し、下左軸受け部22は、前後一対の前左支持フレーム14と後左支持フレーム15の間を上下動自在であり、下右軸受け部24は前後一対の前右支持フレーム12と後右支持フレーム13の間を上下動自在である。この構造については後から説明する。
【0043】
(4)左コッタ装置100と右コッタ装置102
次に、左コッタ装置100と右コッタ装置102について説明する。まず、右コッタ装置102について図5図10図11を参照して説明する。
【0044】
図5に示すように、直方体の上右軸受け部20と下右軸受け部24は、右側面から見た場合ほぼ正方形である。そして、上右軸受け部20の下面と下右軸受け部24の上面とは平行で、かつ、水平に配されている。この間に右コッタ装置102が設けられている。図5図10に示すように、右コッタ装置102は、固定された上右軸受け部20の下面から突出し、その突出した下面が水平な面である第1台座110を有している。また、第1台座110と対応する位置における移動する下右軸受け部24の上面から突出し、その突出した上面が前後方向に傾斜した傾斜面を有する第2台座112が設けられている。この第2台座112は、例えば出口(前)に行くほど低くなるように傾斜している。
【0045】
図10に示すように、第1台座110と第2台座112との間には、コアブロック114が設けられている。コアブロック114は、第1台座110と第2台座112との間に嵌まり込めるようにするために、前後方向が長手方向となった楔型である。楔型のコアブロック114の上面(第1摺動面)は水平であり、下面(第2摺動面)は第2台座112に対応して傾斜している。そして、コアブロック114が前後方向に移動し易いようにコアブロック114の上面(第1摺動面)と第1台座110の間にはローラプレート116が配され、コアブロック114の下面(第2摺動面)と第2台座112の上面との間にはローラプレート118が配されている。ローラプレート116とローラプレート118とは、額縁状の枠材の中に複数個の円柱型のローラが前後方向に水平に並んで配されている。そして、コアブロック114が移動するとそのローラが回転して移動し易くなっている。
【0046】
図10に示すように、コアブロック114の内部には、円筒形の注入空間128が前後方向に設けられている。また、コアブロック114の内部の中心部には、雌ネジ部120が前後方向に沿って水平に貫通している。なお、円筒形の注入空間128の内径は、雌ネジ部120の内径より大きく設定されている。
【0047】
図10に示すように、コアブロック114の前面には凹部が設けられ、円筒形の注入空間128と連通し、注入空間128の前面が開口している。そして、コアブロック114の前面の凹部には、ナット122が前後方向に嵌め込まれている。このナット122の雌ネジ部124は、コアブロック114に設けられている雌ネジ部120と同軸であり、かつ、同じ半径を有している。図10に示すように、ナット122の外周面とコアブロック114の内周面の間にはリング状のOリング126が嵌め込まれている。
【0048】
図10に示すように、コアブロック114の雌ネジ部120と円筒形の注入空間128とナット122の雌ネジ部124を、貫通するように雄ネジ部132が螺合している。雄ネジ部132の後端部はコアブロック114からさらに突出し、上右軸受け部20の下面から下方に突出したネジ受け部134に支持されている。一方、雄ネジ部132の前端部は、図5図10に示すように、ネジ受け部135を介して前右支持フレーム12を貫通し、その前端部にはハンドル136が設けられている。このハンドル136を回転させると雄ネジ部132が回転し、それに伴って楔型のコアブロック114が前後方向に移動し、第2台座112の傾斜角度だけ下右軸受け部24が上下動する。なお、上右軸受け部20は、前右支持フレーム12と後右支持フレーム13に固定されているため上下動しない。これによって、上加熱ロール26と下加熱ロール28の間隔を1μm~1mmの単位で調整することができる。
【0049】
図11に示すように、コアブロック114の内部にある円筒形の注入空間128の側面には注入口130が開口している。注入口130には、電磁式の三方弁であるコッタ弁138を介して圧縮ポンプであるコッタポンプ140が接続されている。これは、ハンドル136でコアブロック114の位置を調整しても、雌ネジ部120、雌ネジ部124と雄ネジ部132の谷と山との間の隙間があるため若干ずれる可能性がある。そのため、コッタポンプ140から注入空間128と雄ネジ部132の間の空間に圧縮空気を入れ、雄ネジ部132の山が雌ネジ部120、雌ネジ部124の谷に押圧されるようにして、コアブロック114の前後方向の位置を固定することができる。
【0050】
そして、コアブロック114を移動させたい場合には、コッタ弁138によって、注入空間128に注入されている圧縮空気を注入口130から排気し、雌ネジ部120と雌ネジ部124と雄ネジ部132の螺合状態を緩め、ハンドル136で回転させる。
【0051】
左コッタ装置100についても右コッタ装置102と同様に、第1台座110、第2台座112、コアブロック114、雄ネジ部132を有し、ハンドル136を回すことによって雄ネジ部132が雌ネジ部120、ナット122の雌ネジ部124に螺合しコアブロック114の位置を調整することができる。また、コアブロック114の中には注入空間128が有り、コッタポンプ140から圧縮空気を入れて、コアブロック114の位置の前後方向の位置を固定することができる。
【0052】
また、下左軸受け部22を下降させ、上左軸受け部18と離れるときは、左コッタ装置100の第1台座110とローラプレート116とコアブロック114と雄ネジ部132が上左軸受け部18に残り、ローラプレート118と第2台座112が下左軸受け部22と共に下降する。右コッタ装置102も同様である。
【0053】
(5)下左軸受け部22と下右軸受け部24
次に、下左軸受け部22と下右軸受け部24の取り付け構造について説明する。まず、下右軸受け部24の取り付け構造について説明する。
【0054】
図2に示すように、上記したように基台11には、右油圧シリンダ52が設けられている。この右油圧シリンダ52の上部には、上下方向に加熱油圧で移動するピストン56が設けられ、ピストン56の上端部には押圧部58が設けられている。この押圧部58は円柱状であり、その上面は円錐型となっている。
【0055】
図2に示すように、下右軸受け部24の下面にある右受圧部54は、下右軸受け部24の下面から下方に突出した円柱部と、この円柱部の下面から下方に膨らんでいる半球型の右受圧部54とを有している。そして、右油圧シリンダ52の押圧部58の先端が、右受圧部54の中心部を押圧し、下右軸受け部24を上方に押圧している。
【0056】
図13に示すように、前右支持フレーム12における下右軸受け部24に対応する左右両側面には、左右一対の前レール64,64が設けられている。左右一対の前レール64,64は、厚みを有する金属板よりなり、下右軸受け部24の前部を左右両側から挟んでいる。
【0057】
図13に示すように、後右支持フレーム13における下右軸受け部24に対応する左右両側面には、左右一対の後レール66,66が設けられている。左右一対の後レール66,66は、厚みを有する金属板よりなり、下右軸受け部24の後部を左右両側から挟んでいる。左右方向への移動が阻止されている
図13に示すように、左右一対の前レール64,64と左右一対の後レール66,66によって、下右軸受け部24の左側と右側が挟まれているので左右方向への移動が阻止されている。また、下右軸受け部24は、前レール64,64と後レール66,66に沿って上下方向に移動可能となっている。さらに、下右軸受け部24は、前レール64,64と後レール66,66に沿って前後方向にも移動可能となっている。
【0058】
図13に示すように、直方体の下右軸受け部24の前面から直方体の突部68が突出している。この突部68の前面は、前右支持フレーム12の後面に当接している。
【0059】
後右支持フレーム13の前後一対の後レール66,66の間には、直方体の押圧装置70が固定されている。この押圧装置70は、ピストンフレーム72と上ピストン78と下ピストン80とを有する。直方体のピストンフレーム72は、図14に示すように、後方から見て長方形であり、ピストンフレーム72の上下にはそれぞれ円形の上凹部74と下凹部76が設けられている。円形の上凹部74には、円盤形の上ピストン78が嵌め込まれ、円形の下凹部76には円盤形の下ピストン80が嵌め込まれている。
【0060】
図12に示すように、上ピストン78と上凹部74との間には、上注入空間82が設けられ、下ピストン80とピストンフレーム72との間には下注入空間84が設けられている。上注入空間82の上部に相当するピストンフレーム72の上部には、上注入口86が開口し、下注入空間84の下部に対応するピストンフレーム72の下部には下注入口88が開口している。図14に示すように、上注入口86には、上注入管90が接続され、下注入口88には下注入管92が接続されている。上注入管90と下注入管92は、1本の注入管94となって、電磁式の三方弁よりなる固定弁96を介して圧縮空気を供給する固定ポンプ98が接続されている。
【0061】
押圧装置70の役割は、右油圧シリンダ52と右コッタ装置102によって下右軸受け部24の上下の位置が確定した場合に、固定ポンプ98から固定弁96、注入管94、上注入管90、下注入管92を介して、上注入空間82と下注入空間84に圧縮空気を供給し、上ピストン78と下ピストン80を前方に突出させ、下右軸受け部24の突部68を、図12図13の矢印に示すように前右支持フレーム12に押圧し、下右軸受け部24の前後方向の位置を固定する。
【0062】
下左軸受け部22も同様の構造の突部68と押圧装置70を有し、固定ポンプ98から上注入空間82と下注入空間84に圧縮空気を供給し、上ピストン78と下ピストン80を前方に突出させ、下左軸受け部22を前左支持フレーム14に押圧して前後方向の位置を固定する。
【0063】
これによって、上加熱ロール26と下加熱ロール28を加熱しながら回転させても、下右軸受け部24が揺れたりせず正確にプレスすることができる。
【0064】
(6)加熱ロール装置10の動作状態
加熱ロール装置10の電気的構成について図3のブロック図を参照して説明する。
【0065】
油圧ユニットを含む制御部30には、左油圧シリンダ42、右油圧シリンダ52、上ロールモータ36、下ロールモータ46、固定弁96、固定ポンプ98、コッタ弁138、コッタポンプ140の左上側、右上側、左下側、右下側の4個の電気ヒータ(図3中では「ヒータ」と記載する)254、左上側、右上側、左下側、右下側の第1温度センサ256、左上側、右上側、左下側、右下側の第2温度センサ258が接続されている。そして、下記で説明する動作について制御を行う。
【0066】
(7)加熱ロール装置10の動作状態
加熱ロール装置10がプレス作業をするときの動作状態について説明する。なお、上記したように上加熱ロール26の上下方向の位置、前後方向の位置は、左右一対の前左支持フレーム14と前右支持フレーム12と左右一対の後左支持フレーム15と後右支持フレーム13に対し固定されている。
【0067】
まず、制御部30は、上加熱ロール26と下加熱ロール28に不図示の供給ポンプから加熱油を供給し、上加熱ロール26と下加熱ロール28を所定の温度(例えば、100°~200°)に加熱する。
【0068】
次に、制御部30は、左右一対の上左軸受け部18と上右軸受け部20と、左右一対の下左軸受け部22と下右軸受け部24のそれぞれの4本の電気ヒータ254を加熱し、上加熱ロール26と下加熱ロール28と同じ温度(例えば、100°~200°)になるように第1温度センサ256を用いてフィードバック制御を行う。なお、制御部30は、第2温度センサ258を用いて、許容最高温度になったときに、電気ヒータ254を停止させる。
【0069】
次に、左右一対の押圧装置70,70の固定ポンプ98,98によって、左右一対の上注入空間82と下注入空間84に圧縮空気をそれぞれ送り込み、上ピストン78と下ピストン80によって下左軸受け部22と下右軸受け部24をそれぞれ前左支持フレーム14と前右支持フレーム12に押圧し、左右一対の下左軸受け部22と下右軸受け部24を前後方向の位置を固定する。なお、プレス作業が終了するまで固定ポンプ98は圧縮空気を送り続ける。
【0070】
次に、左油圧シリンダ42と右油圧シリンダ52によって、下左軸受け部22と下右軸受け部24を上昇させることによって、プレス作業を行わず待機するための高さ(以下、「待機高さ」という)にある下加熱ロール28を、ウエブWをプレスする高さ(以下、「プレス高さ」という)まで上昇させる。
【0071】
次に、左コッタ装置100と右コッタ装置102によって、上加熱ロール26の下周面と下加熱ロール28の上周面との間隙を、プレスするための間隙(以下、「プレス間隙」という)にハンドル136を回転させることによって1μm単位で調整する。このときに、プレス間隙は、左右方向に沿って同じに寸法になるように、左コッタ装置100と右コッタ装置102を調整する。
【0072】
次に、コッタポンプ140によって左コッタ装置100と右コッタ装置102の注入空間128に圧縮空気を送り込み、雄ネジ部132が雌ネジ部124に対して移動しないように固定する。なお、プレス作業が終了するまでコッタポンプ140は圧縮空気を送り続ける。
【0073】
次に、左油圧シリンダ42と右油圧シリンダ52によって下左軸受け部22と下右軸受け部24と下加熱ロール28を待機高さまで一旦下降させる。
【0074】
次に、上加熱ロール26と下加熱ロール28の間にウエブWを通す。
【0075】
次に、待機高さにある下加熱ロール28を、左油圧シリンダ42と右油圧シリンダ52によって、下左軸受け部22と下右軸受け部24をプレス高さまで再び上昇させる。
【0076】
次に、制御部30は、上ロールモータ36と下ロールモータ46を用いて上加熱ロール26と下加熱ロール28を所定の回転速度で回転させ、ウエブWを加熱しながらプレスする。
【0077】
(8)効果
本実施形態によれば、上加熱ロール26と下加熱ロール28を加熱するだけでなく、上左軸受け部18、上右軸受け部20、下左軸受け部22、下右軸受け部24も加熱するため、プレス作業の開始時に上加熱ロール26と下加熱ロール28との温度差がなく、上左軸受け部18、上右軸受け部20、下左軸受け部22、下右軸受け部24の熱膨張による寸法の変化がない。すなわち、加熱ロール装置10の作業開始時に、上左軸受け部18、上右軸受け部20、下左軸受け部22、下右軸受け部24が電気ヒータ254で直ぐに温度が上昇するため、早期に温度を安定化させることができ、また温度分布のムラを少なくすることができる。また、第2温度センサ258によって最高温度以上になるのを防止できるため、熱膨張をコントロールでき、寸法を安定化させることができる。そして、4つの各軸受け部のプレス作業中の寸法変化がないため、上加熱ロール26と下加熱ロール28の軸ぶれがなくプレス間隙を一定に維持でき、安定したウエブWを製造できる。また、4つの軸受け部が加熱しすぎにならないため、左コッタ装置100と右コッタ装置102の経時変化を抑えることができる。
【0078】
また、4本の電気ヒータ254は、上左軸受け部18、上右軸受け部20、下左軸受け部22、下右軸受け部24の上下左右にあるため、各軸受け部の温度分布をそれぞれ均一にさせることができる。
【0079】
また、4本の電気ヒータ254と第1温度センサ256と第2温度センサ258は、円柱型であり、上左軸受け部18、上右軸受け部20、下左軸受け部22、下右軸受け部24の軸方向に沿って差し込まれているため、各軸受け部の軸方向における温度分布も均一にさせることができる。
【0080】
上記実施形態によれば、上加熱ロール26と下加熱ロール28に関して、主流路220から送られた加熱油は連結流路224を介して加熱流路222に送られるため、上加熱ロール26と下加熱ロール28の外周面の全周を加熱することができるだけでなく、上加熱ロール26と下加熱ロール28の内部も温度ムラなく加熱させることができる。また、24本の加熱流路222には、連結流路224と直結流路226を用いて加熱油をスムーズに送ることができる。
【0081】
上記実施形態によれば、左コッタ装置100と右コッタ装置102であると、上加熱ロール26と下加熱ロール28の間隙を調整した後、注入空間128に圧縮空気を入れることにより、雌ネジ部120、雌ネジ部124と雄ネジ部132の螺合状態を、確実に固定することができ、間隙の変化が起きない。
【0082】
また、ナット122の外周部にはOリング126が設けられているため、注入空間128に圧縮空気を送り込んでもコアブロック114の外方に空気が漏れることがない。
【0083】
また、プレス作業が終わった後は、コッタ弁138によって注入空間128の圧縮空気を排気することができるため、ハンドル136で簡単に雄ネジ部132を回転させることができる。
【0084】
上記実施形態によれば、上下動自在に設けられた下左軸受け部22と下右軸受け部24はそれぞれ押圧装置70によって前右支持フレーム12と前左支持フレーム14に押圧されるため、プレス作業中でも下左軸受け部22と下右軸受け部24が前後方向に揺れることなく確実に固定され、プレス作業が正確に行われる。
【0085】
また、固定弁96によって上注入空間82と下注入空間84から空気を簡単に排気することができるため、下左軸受け部22と下右軸受け部24を左油圧シリンダ42と右油圧シリンダ52によって簡単に上下動させることができる。
【0086】
また、下左軸受け部22と下右軸受け部24は、それぞれ左右一対の前レール64と左右一対の後レール66,66によって支持されているため、左右方向にずれることがない。
【変更例】
【0087】
上記実施形態の変更例について説明する。
【0088】
(1)変更例1
上記実施形態では、上加熱ロール26と下加熱ロール28では加熱流路222を24本等角度毎に設けたが、径方向に沿って等角度毎であれば、25本以上であってもよく、また、24本未満であってもよい。
【0089】
(2)変更例2
上記実施形態では、上加熱ロール26と下加熱ロール28に主流路220と24本の加熱流路222と連結流路224と直結流路226を設けた。これに代えて、図15に示すように上加熱ロール26の上ロール本体200に断面円形の加熱油の貯留空間260を設け、回転軸の方向に沿って、かつ、貯留空間260を貫通するように電気ヒータ262を設ける。そして電気ヒータ262を加熱し、貯留空間260に貯留されている加熱油を加熱し、上加熱ロール26全体を加熱してもよい。下加熱ロール28についても同様の構造を実施することができる。
【0090】
(3)変更例3
上記実施形態では、2つの加熱ロールを図1図2に示すように上下に並べたが、これに代えて図16に示すように、前後に並べてもよい。
【0091】
図16に示す装置は、粉体プレス装置300であり、前後方向に加熱ロール302、304を並べ、これらの回転軸307,308は、左右一対の軸受け部310,312によって左右方向で、かつ、水平に回転自在に支持されている。
【0092】
一方の加熱ロール302の左右一対の軸受け部310は、不図示の装置フレームに前後方向、左右方向の位置は固定されている。
【0093】
他方の加熱ロール304の左右一対の軸受け部312は、押圧装置316と、不図示の装置フレームに固定された固定部318の間を上下方向に沿って移動自在であり、また、加熱ロール302に向かって(前方へ)左右一対の油圧シリンダ320で押圧されている。
【0094】
金属製の加熱ロール302、304は、上記実施形態と同様に加熱油で加熱されている。金属製の左右一対の軸受け部310,312も上記実施形態と同様に電気ヒータ254で加熱されている。
【0095】
左右一対の軸受け部310と軸受け部312の間には、左右一対のコッタ装置314が設けられている。コッタ装置314は、図10に示すコッタ装置102と同じものであり、異なる点はコッタ装置314が前後方向でなく、上下方向に取り付けられている点である。加熱ロール302、304のプレス間隙は、左右一対のコッタ装置314で調整できる。
【0096】
図12図13に示す押圧装置70と同様の押圧装置316が加熱ロール304の軸受け部312の上方に設けられ、軸受け部312の下方向にある固定部318に上から押圧固定している。
【0097】
そして、加熱油で加熱された加熱ロール302、304を回転させてその間に粉体をタンク306から落下させて加熱しながらプレスして、シート状のウエブWを生成する。
【0098】
(4)変更例4
上記実施形態では、左コッタ装置100は、上左軸受け部18と下左軸受け部22との間に設け、右コッタ装置102は、上右軸受け部20と下右軸受け部24との間に設け、上加熱ロール26と下加熱ロール28との間隙を調整した。
【0099】
これに限らず注入空間128を有する左コッタ装置100、右コッタ装置102は、他の間隙や高さを調整する装置に用いてもよい。例えば、バックアップロールの下方に位置する塗工液を塗工する塗工ダイの高さ調整に用いてもよい。
【0100】
(5)変更例5
上記実施形態では、押圧装置70に設けられたピストンは上ピストン78と下ピストン80の2個であったが、これに限らずピストンを1個だけ設けてもよく、さらに3個のピストンを三角状に配してもよく、4個のピストンを四角形に配してもよい。
【0101】
(6)変更例6
上記実施形態では、雄ネジ部132をハンドル136で回転させたが、これに代えて雄ネジ部132をサーボモータなどの駆動源によった回転させてもよい。
【0102】
(7)変更例7
上記実施形態では、コアブロック114と第1台座110との間にローラプレート116を設け、コアブロック114と第2台座112との間にローラプレート118を設けた。しかし、これらローラプレート116,118を設けず第1台座110と第2台座112の間をコアブロック114が直接摺動してもよく、また、他の滑り部材によって摺動させてもよい。
【0103】
(8)その他
上記では本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の主旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0104】
10・・・加熱ロール装置、12・・・前右支持フレーム、13・・・後右支持フレーム、14・・・前左支持フレーム、15・・・後左支持フレーム、18・・・上左軸受け部、20・・・上右軸受け部、22・・・下左軸受け部、24・・・下右軸受け部、26・・・上加熱ロール、28・・・下加熱ロール、30・・・制御部、42・・・左油圧シリンダ、52・・・右油圧シリンダ、70・・・押圧装置、72・・・ピストンフレーム、78・・・上ピストン、80・・・下ピストン、82・・・上注入空間、84・・・下注入空間、98・・・固定ポンプ、100・・・左コッタ装置、102・・・右コッタ装置、110・・・第1台座、112・・・第2台座、114・・・コアブロック、120・・・雌ネジ部、122・・・ナット、124・・・雌ネジ部、128・・・注入空間、132・・・雄ネジ部、136・・・ハンドル、140・・・コッタポンプ、200・・・上ロール本体、202・・・上左回転軸、204・・・上右回転軸、210・・・下ロール本体、212・・・下左回転軸、214・・・下右回転軸、220・・・主流路、222・・・加熱流路、224・・・連結流路、226・・・直結流路、254・・・電気ヒータ、256・・・第1温度センサ、258・・・第2温度センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16