IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本光電工業株式会社の特許一覧

特開2024-151016生体情報解析装置、生体情報解析方法、および生体情報解析プログラム
<>
  • 特開-生体情報解析装置、生体情報解析方法、および生体情報解析プログラム 図1
  • 特開-生体情報解析装置、生体情報解析方法、および生体情報解析プログラム 図2
  • 特開-生体情報解析装置、生体情報解析方法、および生体情報解析プログラム 図3
  • 特開-生体情報解析装置、生体情報解析方法、および生体情報解析プログラム 図4
  • 特開-生体情報解析装置、生体情報解析方法、および生体情報解析プログラム 図5
  • 特開-生体情報解析装置、生体情報解析方法、および生体情報解析プログラム 図6
  • 特開-生体情報解析装置、生体情報解析方法、および生体情報解析プログラム 図7
  • 特開-生体情報解析装置、生体情報解析方法、および生体情報解析プログラム 図8
  • 特開-生体情報解析装置、生体情報解析方法、および生体情報解析プログラム 図9
  • 特開-生体情報解析装置、生体情報解析方法、および生体情報解析プログラム 図10
  • 特開-生体情報解析装置、生体情報解析方法、および生体情報解析プログラム 図11
  • 特開-生体情報解析装置、生体情報解析方法、および生体情報解析プログラム 図12
  • 特開-生体情報解析装置、生体情報解析方法、および生体情報解析プログラム 図13
  • 特開-生体情報解析装置、生体情報解析方法、および生体情報解析プログラム 図14
  • 特開-生体情報解析装置、生体情報解析方法、および生体情報解析プログラム 図15
  • 特開-生体情報解析装置、生体情報解析方法、および生体情報解析プログラム 図16
  • 特開-生体情報解析装置、生体情報解析方法、および生体情報解析プログラム 図17
  • 特開-生体情報解析装置、生体情報解析方法、および生体情報解析プログラム 図18
  • 特開-生体情報解析装置、生体情報解析方法、および生体情報解析プログラム 図19
  • 特開-生体情報解析装置、生体情報解析方法、および生体情報解析プログラム 図20
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151016
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】生体情報解析装置、生体情報解析方法、および生体情報解析プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/366 20210101AFI20241017BHJP
   A61B 5/022 20060101ALI20241017BHJP
   A61B 5/33 20210101ALI20241017BHJP
   A61B 5/349 20210101ALI20241017BHJP
   A61B 5/0245 20060101ALI20241017BHJP
   A61B 5/02 20060101ALN20241017BHJP
【FI】
A61B5/366
A61B5/022 A
A61B5/33 200
A61B5/349
A61B5/0245 100B
A61B5/02 310A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064123
(22)【出願日】2023-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】木村 圭
【テーマコード(参考)】
4C017
4C127
【Fターム(参考)】
4C017AA08
4C017AA09
4C017AA12
4C017AA19
4C017AC01
4C017AC16
4C017AC28
4C017AD01
4C017BC08
4C017BD06
4C017CC01
4C017FF15
4C127AA02
4C127FF02
4C127GG10
4C127GG16
(57)【要約】
【課題】心停止に関する報知を精度良く行うことができる生体情報解析装置、生体情報解析方法、および生体情報解析プログラムを提供する。
【解決手段】生体情報解析装置は、取得部、判定部、および報知制御部を有する。取得部は、被検者の関連する複数の生体情報を取得する。判定部は、複数の生体情報の有効性を判定する。報知制御部は、複数の生体情報のうち対応する第1の生体情報および第2の生体情報の有効性が一致している場合、当該有効性に応じて所定の報知を行い、第1および第2の生体情報の有効性が一致していない場合、第1および第2の生体情報のうちいずれかの生体情報の有効性に応じて所定の報知を行う。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の関連する複数の生体情報を取得する取得部と、
前記複数の生体情報の有効性を判定する判定部と、
前記複数の生体情報のうち対応する第1の生体情報および第2の生体情報の有効性が一致している場合、当該有効性に応じて所定の報知を行い、前記第1および第2の生体情報の有効性が一致していない場合、前記第1および第2の生体情報のうちいずれかの生体情報の有効性に応じて前記所定の報知を行う報知制御部と、を有する、生体情報解析装置。
【請求項2】
前記複数の生体情報は、心拍に関する情報、脈波に関する情報、および血圧に関する情報からなる群から選択される、請求項1に記載の生体情報解析装置。
【請求項3】
前記所定の報知は、前記被検者の心停止、または心室細動に関する報知である、請求項1または2に記載の生体情報解析装置。
【請求項4】
前記第1の生体情報は、心拍信号であり、前記第2の生体情報は、脈波信号であり、
前記報知制御部は、前記心拍信号および前記脈波信号の有効性が一致している場合、当該有効性に応じて前記被検者の心停止に関する報知を行い、前記心拍信号および前記脈波信号の有効性が一致していない場合、前記脈波信号の有効性に応じて前記被検者の心停止に関する報知を行う、請求項1に記載の生体情報解析装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記心拍信号の心拍を心電図解析した結果、前記心拍のQRS形状が所定のQRS形状である場合に前記心拍信号が有効であると判定し、所定のQRS形状ではない場合に前記心拍信号が無効であると判定する、請求項4に記載の生体情報解析装置。
【請求項6】
前記心拍信号が有効の期間における、前記脈波信号の脈波の振幅の平均値と、脈波の間隔の平均値とを算出する平均脈波算出部をさらに有し、
前記判定部は、前記心拍信号が無効の期間において、前記脈波の振幅の前記振幅の平均値からの誤差、および前記脈波の間隔の前記間隔の平均値からの誤差が各々所定の範囲内である場合、前記脈波信号が有効であると判定し、いずれかの前記誤差が前記所定の範囲外である場合、前記脈波信号が無効であると判定する、請求項4または5に記載の生体情報解析装置。
【請求項7】
前記心拍信号が有効の期間における前記脈波信号の脈波の形状に基づいて基準脈波を作成する基準脈波作成部をさらに有し、
前記判定部は、前記心拍信号が無効の期間において、所定の第1閾値以上の数の前記脈波の形状が前記基準脈波の形状と一致する場合、前記脈波信号が有効であると判定し、前記第1閾値未満の数の前記脈波の形状が前記基準脈波の形状と一致するか、または前記基準脈波の形状と一致する前記脈波が無い場合、前記脈波信号が無効であると判定する、請求項4または5に記載の生体情報解析装置。
【請求項8】
前記心拍信号が有効の期間における脈波の平均の脈波間隔を算出する脈波間隔算出部と、
前記平均の脈波間隔に基づいて前記心拍信号が無効の期間における前記脈波の出現タイミングを推定する脈波間隔推定部と、をさらに有し、
前記判定部は、前記心拍信号が無効の期間において前記出現タイミングで脈波が出現する場合、前記脈波信号が有効であると判定し、出現しない場合、前記脈波信号が無効であると判定する、請求項4または5に記載の生体情報解析装置。
【請求項9】
心拍が検出されてから脈波が検出されるまでの遅れ時間を測定する計測部をさらに有し、
前記報知制御部は、前記遅れ時間が所定の第2閾値以下である場合、前記脈波信号の脈波が前記心拍信号の心拍に対応していると判断し、前記遅れ時間が所定の第2閾値を超える場合、前記脈波信号の脈波が前記心拍信号の心拍に対応していないと判断する、請求項4または5に記載の生体情報解析装置。
【請求項10】
前記複数の生体情報の有効性が一致していない場合に、前記複数の生体情報に関するログ情報を出力するログ出力部をさらに有する、請求項1または2に記載の生体情報解析装置。
【請求項11】
被検者の関連する複数の生体情報を取得するステップ(a)と、
前記複数の生体情報の有効性を判定するステップ(b)と、
前記複数の生体情報のうち対応する第1および第2の生体情報の有効性が一致している場合、当該有効性に応じて所定の報知を行い、前記第1および第2の生体情報の有効性が一致していない場合、前記第1および第2の生体情報のうちいずれかの生体情報の有効性に応じて前記所定の報知を行うステップ(c)と、を含む、生体情報解析方法。
【請求項12】
被検者の関連する複数の生体情報を取得するステップ(a)と、
前記複数の生体情報の有効性を判定するステップ(b)と、
前記複数の生体情報のうち対応する第1および第2の生体情報の有効性が一致している場合、当該有効性に応じて所定の報知を行い、前記第1および第2の生体情報の有効性が一致していない場合、前記第1および第2の生体情報のうちいずれかの生体情報の有効性に応じて前記所定の報知を行うステップ(c)と、を含む処理を、コンピュータに実行させるための生体情報解析プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報解析装置、生体情報解析方法、および生体情報解析プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院等の医療現場においては、患者の生体情報を監視し、医師等の医療従事者に対して患者の生体情報や、生体情報に基づく各種のアラームを出力する生体情報モニタが使用されている。このような生体情報モニタのうち、例えば、ベッドサイドモニタは、患者の心電図を解析し、心電図(心拍波形)が平坦または低振幅になった場合に医師等の医療従事者に報知する機能(心停止アラーム機能)を備えうる。しかし、心電計の電極同士がショートした場合にも心電図波形が平坦になるため、心停止により波形が平坦になる場合と区別がつかず、心停止アラームが発生する可能性がある。
【0003】
これに関連して、心停止の誤報知を低減することを目的とする患者モニタが下記特許文献1に開示されている。この患者モニタにおいては、同時に測定された心電図および脈波を各々独立に解析し、心停止の報知条件(例えば、心拍が平坦または低振幅)を満たす場合であっても、規則的な脈波が取得されている場合には、心停止に関する報知を抑制する機能を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5957379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の患者モニタでは、例えば、ノイズ、アーチファクト、呼吸性変動等の要因が心停止に関する報知の抑制に与える影響が考慮されていないため、精度良く心停止に関する報知が行われない可能性がある。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものである。したがって、本発明の主な目的は、心停止に関する報知を精度良く行うことができる生体情報解析装置、生体情報解析方法、および生体情報解析プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記課題は、以下の手段によって解決される。
【0008】
本発明の生体情報解析装置は、取得部、判定部、および報知制御部を有する。取得部は、被検者の関連する複数の生体情報を取得する。判定部は、複数の生体情報の有効性を判定する。報知制御部は、複数の生体情報のうち対応する第1の生体情報および第2の生体情報の有効性が一致している場合、当該有効性に応じて所定の報知を行い、第1および第2の生体情報の有効性が一致していない場合、第1および第2の生体情報のうちいずれかの生体情報の有効性に応じて所定の報知を行う。
【0009】
本発明の生体情報解析方法は、被検者の関連する複数の生体情報を取得するステップ(a)と、複数の生体情報の有効性を判定するステップ(b)と、複数の生体情報のうち対応する第1および第2の生体情報の有効性が一致している場合、当該有効性に応じて所定の報知を行い、第1および第2の生体情報の有効性が一致していない場合、第1および第2の生体情報のうちいずれかの生体情報の有効性に応じて所定の報知を行うステップ(c)と、を含む。
【0010】
本発明の生体情報解析プログラムは、被検者の関連する複数の生体情報を取得するステップ(a)と、複数の生体情報の有効性を判定するステップ(b)と、複数の生体情報のうち対応する第1および第2の生体情報の有効性が一致している場合、当該有効性に応じて所定の報知を行い、第1および第2の生体情報の有効性が一致していない場合、第1および第2の生体情報のうちいずれかの生体情報の有効性に応じて所定の報知を行うステップ(c)と、を含む処理を、コンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、生体情報解析装置は、複数の生体情報の有効性に基づき心停止に関する報知の抑制を制御するので、心停止に関する報知を精度良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施形態における生体情報解析装置の概略構成を例示するブロック図である。
図2図1に示す心電図処理部の概略構成を例示するブロック図である。
図3図1に示すPPG処理部の概略構成を例示するブロック図である。
図4】第1の実施形態の生体情報解析装置による生体情報解析方法の処理手順の概略を例示するフローチャートである。
図5】第1の実施形態において心拍信号および脈波信号の有効性が一致する場合における心拍信号と脈波信号との対応関係の一例を示す模式図である。
図6】第1の実施形態において心拍信号および脈波信号の有効性が一致しない場合における心拍信号と脈波信号との対応関係の一例を示す模式図である。
図7】第1の実施形態において心拍信号および脈波信号の有効性が一致しない場合における心拍信号と脈波信号との対応関係の他の例を示す模式図である。
図8】不整脈履歴のログ情報を例示する模式図である。
図9】長時間波形のログ情報を例示する模式図である。
図10】第1の実施形態において心拍信号の有効性を判定する処理(ステップS103)の手順を例示するサブルーチンフローチャートである。
図11】第1の実施形態において脈波信号の有効性を判定する処理(ステップS103)の手順を例示するサブルーチンフローチャートである。
図12】第1の実施形態の変形例における生体情報解析装置の概略構成を例示するブロック図である。
図13図12に示す血圧処理部の概略構成を例示するブロック図である。
図14】第2の実施形態において脈波信号の有効性を判定する処理(ステップS103)の手順を例示するサブルーチンフローチャートである。
図15】第3の実施形態において脈波信号の有効性を判定する処理(ステップS103)の手順を例示するサブルーチンフローチャートである。
図16】第3の実施形態において心拍信号および脈波信号の有効性が一致しない場合における心拍信号と脈波信号との対応関係の一例を示す模式図である。
図17】心拍信号にP波が現れている場合を例示する模式図である。
図18】心拍信号に振幅が高い波形が現れている場合を例示する模式図である。
図19】第5の実施形態において心拍信号および血圧信号の有効性が一致する場合における心拍信号と脈波信号との対応関係の一例を示す模式図である。
図20】心拍信号および血圧信号の有効性が一致しない場合における心拍信号と血圧信号との対応関係の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る生体情報解析装置、生体情報解析方法、および生体情報解析プログラムについて詳細に説明する。図中、同一の部材には同一の符号を用いた。図面における寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0014】
(第1の実施形態)
<生体情報解析システムの構成>
図1は、本実施形態の生体情報解析装置100の概略構成を例示するブロック図である。同図に示すように、生体情報解析装置100は、心電図センサ110、心電図処理部120、SpO2センサ130、PPG処理部140、制御装置200、入力装置300,および出力装置400を有する。心電図処理部120、PPG処理部140、入力装置300、および出力装置400は、各々制御装置200に接続され、制御装置200により制御される。
【0015】
心電図センサ110は、四肢用電極部および胸部用電極部(いずれも不図示)を通じて心臓からの生体電気信号を取得し、心電図処理部120に伝達する、四肢用電極部は複数の四肢用電極を備え、胸部用電極部は複数の胸部用電極を備える。四肢用電極は患者(被検者)の四肢の所定の位置に取り付けられ、胸部用電極は患者の胸部の所定の位置に取り付けられる。
【0016】
心電図処理部120は、心電図センサ110からの生体電気信号を処理して患者の心拍を抽出する。
【0017】
SpO2センサ130は、ヘモグロビンにより吸収される波長帯の光を発する発光素子と、発光素子からの光を受光する受光素子とを有し、患者の指先や耳等に装着されて光電容積脈波を検出するセンサである。
【0018】
PPG処理部140は、SpO2センサ130からの光電容積脈波の電気信号を処理して患者の脈波を抽出する。
【0019】
制御装置200は、患者の複数の生体情報として心拍信号および脈波信号を取得し、これらの情報をモニタ(監視)する。また、制御装置200は、医師等の医療従事者に対して患者の生体情報や、生体情報に基づく各種のアラームを出力する。本実施形態の生体情報解析装置100は、例えば、病院等の医療施設に設置されたベッドサイドモニタであり、心拍信号および脈波信号に基づき患者の心停止を判定し、医療従事者に心停止を報知する機能(「心停止アラーム機能」という)を備える。制御装置200は、コンピュータを構成する。
【0020】
入力装置300は、例えばタッチパネル、各種キー、スイッチ等を有し、医療従事者であるユーザによる指示、各種設定、患者に関する情報等を受け付ける。ユーザによる指示には、例えば、モニタリング開始/終了の指示が含まれ、各種設定には、例えば、モード設定、アラーム設定等が含まれる。また、患者に関する情報には、患者の性別、年齢、既往歴(例えば、心疾患に関する情報)等が含まれる。
【0021】
出力装置400は、生体情報の解析結果、アラーム等のデータを出力する。ここで、出力装置400の出力には、例えばデータのディスプレイへの表示、プリンタへの印刷出力、スピーカへの音声出力等が含まれる。出力装置400は、ディスプレイ、プリンタ、スピーカ等を有する。
【0022】
図2は、図1に示す心電図処理部120の概略構成を例示するブロック図である。同図に示すように、心電図処理部120は、心電図アンプ121、心電図フィルタ122、心電図信号品質評価部123、QRS検出部124、および拍分類部125を有する。
【0023】
心電図アンプ121は、患者に装着された心電図センサ110(電極)から入力される生体信号を増幅することにより心電図信号を生成し、心電図フィルタ122に出力する。心電図信号は、患者の心筋の興奮により生じる活動電位を示し、時間軸上に連続して発生する複数の心拍波形を含む。心拍波形は、心拍、すなわち心臓の拍動を示す波形である。
【0024】
心電図フィルタ122は、心電図信号に対して所定のフィルタリング処理を行い、心電図信号に含まれるノイズ成分を除去する。心電図フィルタ122は、例えば、ローパスフィルタ、またはバンドパスフィルタを含みうる。
【0025】
心電図信号品質評価部123は、心電図フィルタ122によってフィルタリングを行った後の心電図信号の品質を評価する。CPU210は、心電図信号の品質が著しく低い場合、取得データの破棄や、警告メッセージの表示を行うように制御しうる。
【0026】
QRS検出部124は、心電信号から拍(QRS)を検出し、心拍信号を生成して出力する。具体的には、QRS検出部124は、例えば、心電図フィルタ122によってフィルタリングを行った後の心電図信号について所定振幅以上の振幅を有する部分を拍として検出し、ディジタル信号に変換して生体情報解析装置100に心拍信号として出力する。
【0027】
拍分類部125は、QRS検出部124が検出した拍を解析して拍の種類を分類する。拍分類部125は、例えば、パターンマッチングを用いて拍の種類を分類する。拍の種類は、正常拍(N)、および不整脈、例えば心室性期外収縮拍(V)等を含む複数種類である。
【0028】
図3は、図1に示すPPG処理部140の概略構成を例示するブロック図である。同図に示すように、PPG処理部140は、PPGアンプ141、PPGフィルタ142、PPG信号品質評価部143、およびPPG脈波検出部144を有する。
【0029】
PPGアンプ141は、光電容積脈波(PPG:Photoplethysmography)の電気信号を受信し、これを適当な大きさの電圧信号に増幅してPPGフィルタ142に出力する。
【0030】
PPGフィルタ142は、光電容積脈波の電圧信号(以下、「光電容積脈波信号」という)に対して所定のフィルタリング処理を行い、光電容積脈波信号に含まれるノイズ成分を除去する。PPGフィルタ142は、例えば、ローパスフィルタ、またはバンドパスフィルタを含みうる。
【0031】
PPG信号品質評価部143は、PPGフィルタ142によってフィルタリングを行った後の光電容積脈波信号の品質を評価する。CPU210は、光電容積脈波信号の品質が著しく低い場合、取得データの破棄や、警告メッセージの表示を行うように制御しうる。
【0032】
PPG脈波検出部144は、光電容積脈波信号から脈波信号を生成して出力する。具体的には、PPG脈波検出部144は、PPGフィルタ142によってフィルタリングされた光電容積脈波信号をディジタル信号に変換して脈波信号を生成し、制御装置200に出力する。
【0033】
<制御装置200のハードウェア構成>
制御装置200は、CPU(Central Processing Unit)210、ROM(Read Only Memory)220、RAM(Random Access Memory)230、補助記憶部240、および入出力I/F250を有する。補助記憶部240は、例えば、SSD(Solid State Drive)、またはHDD(Hard Disk Drive)を有する。CPU210、ROM220、RAM230、および補助記憶部240は、コンピュータを構成する。
【0034】
CPU210は、ROM220または補助記憶部240に予め保存されている生体情報解析プログラムをRAM230にロードし、実行することにより、様々な機能を実現する。
【0035】
ROM220は、不揮発性のメモリである。ROM220には、CPU210の演算処理に必要な各種のパラメータ等が保存されている。
【0036】
RAM230は、揮発性のメモリであり、CPU210による判定結果や各種データを一時的に保存する。
【0037】
補助記憶部240には、OS(Operating System)、生体情報解析プログラム等のプログラムや、CPU210による演算処理の結果等が保存されている。また、補助記憶部240には、予め定められた標準的な心拍波形(以下、「標準波形」という)に関する情報(例えば、QRS形状等)や、患者ごとの正常拍に関する情報(例えば、QRS形状等)が保存されている。さらに、本実施形態では、補助記憶部240には、モニタリング中に取得された第1の生体情報としての心拍に関する情報(心拍信号)および第2の生体情報として脈波に関する情報(脈波信号)に基づき生成された基準テンプレートが保存されている。基準テンプレートの詳細については後述する。
【0038】
入出力I/F250は、所定の通信プロトコルに従って、各々心電図処理部120、PPG処理部140、入力装置300、および出力装置400との間においてデータを送受する入出力インターフェースである。
【0039】
CPU210は、生体情報解析プログラムを実行することにより、様々な機能を実現する。例えば、CPU210は、心電図センサ110、心電図処理部120、SpO2センサ130、PPG処理部140、制御装置200、入力装置300、および出力装置400を統合的に制御する。
【0040】
具体的には、CPU210は、モニタリングが開始されると、入出力I/F250を通じて、患者の心拍信号脈波信号を常時取得し、これらの信号を解析して解析結果、および各種アラームを出力装置400に出力する。出力装置400は、ディスプレイに解析結果、および各種アラームを表示する。
【0041】
生体情報解析装置100において、患者の生体情報を解析し、表示する基本的な構成は、従来の生体情報モニタと同様の構成であるので、その詳細な説明を省略し、以下では、本実施形態の心停止アラーム機能について主に説明する。心停止アラーム機能において、CPU210、RAM230、および入出力I/F250は、取得部を構成する。また、CPU210は、判定部、報知制御部、平均脈波算出部、およびログ出力部を構成する。
【0042】
<生体情報解析方法>
以下、図4図7を参照して、生体情報解析装置100による生体情報解析方法の処理手順の概略を説明する。図4は、第1の実施形態の生体情報解析装置100による生体情報解析方法の処理手順の概略を例示するフローチャートである。同図に示すフローチャートの処理は、CPU210が生体情報解析プログラムを実行することにより実現される。また、図5は心拍信号および脈波信号の有効性が一致する場合における心拍信号と脈波信号との対応関係の一例を示す模式図である。また、図6は心拍信号および脈波信号の有効性が一致しない場合における心拍信号と脈波信号との対応関係の一例を示す模式図であり、図7は心拍信号および脈波信号の有効性が一致しない場合における心拍信号と脈波信号との対応関係の他の例を示す模式図である。また、図8は不整脈履歴のログ情報を例示する模式図であり、図9は長時間波形のログ情報を例示する模式図である。
【0043】
図4に示すように、CPU210は、患者の生体情報モニタリングを開始する(ステップS101)。CPU210は、入力装置300からユーザによるモニタリング開始の指示を受け付けると、患者の生体情報(心拍信号および脈波信号)のモニタリングを開始する。
【0044】
取得部は、複数の生体情報を取得する(ステップS102)。取得部は、モニタリング中に、患者の生体情報としての心拍信号および脈波信号を常時取得する。例えば、取得部は、取得された心拍信号および脈波信号のうち少なくとも過去8拍分のデータをRAM230に順次記憶させる。
【0045】
図5に示すように、脈波は心拍に起因して発生するので、通常時、心拍信号のQRSと脈波信号の脈波とは1対1で対応する(同図においては矢印により対応関係を示す)。したがって、通常時に、心拍信号のQRSと脈波信号の脈波とが1対1で対応し、かつQRSから脈波までの遅れ時間が一定である場合、QRSと脈波とは共通の心拍に起因して生じ、同一の患者の心拍、および当該心拍に対応する脈波であることが保証される(詳細については、Xianliang He et al.,Method to Determine the Applicability of Multi-Parameter Fusion Analysis, 2019年,Computing in Cardiology 2019,Vol 46を参照)。
【0046】
平均脈波算出部は、次のステップ(ステップS103)の処理の前処理として、通常時に取得された脈波信号を使用して、脈波の平均振幅、および平均間隔(インターバル)を算出し、RAM230に記憶する。また、平均脈波算出部は、脈波の平均振幅、および平均間隔を適宜算出し、RAM230のデータを更新する。より具体的には、平均脈波算出部は、1拍ごと(例えば、新たなQRSを検出するたび)にRAM230に記憶されている過去N拍に対応する脈波の平均振幅、および平均間隔を算出し、更新する。あるいは、平均脈波算出部は、脈波の振幅および間隔について、1拍ごとに平均値の(N-1)/N倍+最新値の1/N倍を算出し、脈波の平均振幅、および平均間隔を更新することもできる。ここで、Nは、任意の自然数であり、好適には、例えば8に設定されるが、16や32のような自然数を適用してもよい。
【0047】
次に、判定部は、複数の生体情報の有効性を判定する(ステップS103)。判定部は、所定の判定処理の手順に従って複数の生体情報の有効性を判定する。図5図7には、心拍信号および脈波信号について有効性の判定結果が例示されている。判定処理の具体的な手順については後述する。
【0048】
次に、判定部は、複数の生体情報の有効性が一致しているか否かを判定する(ステップS104)。例えば、判定部は、心拍信号および脈波信号がともに有効である場合、または心拍信号および脈波信号がともに無効である場合、心拍信号および脈波信号の有効性が一致していると判定する。図5には、心拍信号および脈波信号がともに有効から無効に変化した場合が例示されている。この場合は、患者の心拍が停止し、心停止の状態になったことにより、脈波も停止したと考えられる。患者の心停止は、医療従事者に報知されるべき状態である。
【0049】
図6における□部分JP1は、判定部による判定対象の期間を表している。判定部は、心拍信号が有効であり、かつ脈波信号が無効である場合については、心拍信号および脈波信号の有効性が一致していないと判定する。同図には、心拍信号が有効を維持し、脈波信号が有効から無効に変化している場合について例示されている。この場合は、何らかの理由により心拍信号は維持しているが、脈波信号は停止している。判定部は、振幅が高い波をQRSと誤って認識する可能性があり、心拍信号が有効と判定されうる。この場合は医療従事者に報知されるべき状態である。
【0050】
一方、通常、心電図センサ110とSpO2センサ130とが同じ患者に装着されて正しく測定され、患者が心停止していない場合、このような状況は起こり得ない。したがって、SpO2センサ130が患者から外れた可能性がある。
【0051】
また、図7における□部分JP2は、判定部による判定対象の期間を表している。判定部は、心拍信号が無効であり、かつ脈波信号が有効である場合についても、心拍信号および脈波信号の有効性が一致していないと判定する。同図には、心拍信号が有効から無効に変化し、脈波信号が有効を維持している場合について例示されている。この場合は、何らかの理由により心拍信号が停止しているが、脈波信号は維持されている。したがって、患者の心拍は停止しておらず、医療従事者に心停止を報知する必要はないと考えられる。
【0052】
一方、通常、心電図センサ110とSpO2センサ130とが同じ患者に装着されて正しく測定されている場合、このような状況は起こり得ない。したがって、心電図センサ110が患者から外れたか、あるいはショートした可能性がある。
【0053】
報知制御部は、心拍信号および脈波信号の有効性が一致している場合(ステップS104:YES)、当該有効性に応じて所定の報知を行う(ステップS105)。本実施形態では、所定の報知は、患者の心停止に関する報知(例えば、心停止アラーム、心室細動アラーム)である。本実施形態では、報知制御部は、心拍信号および脈波信号の有効性に応じて、下記表1に示すように所定の報知を行う。
【0054】
【表1】
【0055】
例えば、報知制御部は、心拍信号および脈波信号がともに有効である場合、患者が心停止ではないと推定されるので報知を行わない。すなわち、心拍信号が有効である場合、所定の報知を行う条件(例えば、心停止アラーム条件)が満足されず、脈波信号が有効である場合、所定の報知が抑制される(所定の報知を抑制する条件が満足される)。所定時間は、例えば5秒間でありうる。
【0056】
一方、報知制御部は、心拍信号および脈波信号がともに無効である場合、患者が心停止であると推定されるため、所定の報知として心停止に関する報知を行う。すなわち、心拍信号が無効である場合、心停止に関する報知を行う条件が満足されるが、脈波信号が無効であるため所定の報知を抑制する条件は満足されない。
【0057】
一方、報知制御部は、心拍信号、および脈波信号の有効性が一致していない場合(ステップS104:NO)、心拍信号、および脈波信号の有効性のうちいずれかの生体情報の有効性に応じて所定の報知を行う(ステップS106)。本実施形態では、例えば、報知制御部は、脈波信号の有効性に応じて所定の報知を行うように予め定められうる。例えば、報知制御部は、心拍信号が有効であり、かつ脈波信号が無効である場合、脈波信号が無効であることに基づいて所定の報知を抑制しない(所定の報知を行う)。
【0058】
また、報知制御部は、心拍信号が無効であり、かつ脈波信号が有効である場合、脈波信号が有効であることに基づいて所定の報知を抑制する(所定の報知を行わない)。すなわち、報知制御部は、判定部により心拍信号が有効のときの脈波信号と、心拍信号が無効なときの脈波信号とを比較した結果、脈波信号が有効を維持して変化がなければ、心停止に関する報知を行わない。心拍信号が無効であることにより所定の報知を行う条件が満足されるが、脈波信号が有効であることにより所定の報知を抑制する条件も同時に満足されるため、報知制御部は、脈波信号の有効性を優先して所定の報知を抑制するように制御する。
【0059】
次に、ログ出力部は、生体情報に関するログ情報(履歴)を出力する(ステップS107)。より具体的には、ログ出力部は、心拍信号および脈波信号の有効性が一致していない場合に、生体情報に関するログ情報を出力する。これは、心拍信号が無効(すなわち心電図が平坦または低振幅)であり、所定の報知を行う条件が満足されている場合において、脈波信号が有効であるために所定の報知が抑制されたことをデータログに残すことにより、医療従事者が後に確認できるようにするためである。
【0060】
図8に示すように、ログ出力部は、ログ情報として、例えば、不整脈履歴を出力(表示/印刷)または補助記憶部240に保存できる。不整脈履歴には、例えば、イベント、イベントが発生した日時(日付・時刻)、およびイベントに関連する波形が含まれる。また、イベントには、例えば、心停止(Asystole)、平坦心電図、心房細動(Atrial Fibrillation:AF)、心室細動(Ventricular Fibrillation:VF)等が含まれうる。
【0061】
また、図9に示すように、ログ出力部は、ログ情報として、長時間波形を出力(表示/印刷)または補助記憶部240に保存できる。ログ出力部は、長時間波形において、アラーム発生部に色やマーク等の識別子を付して出力できる。これにより、医療従事者がアラーム発生時の波形を見分けやすくなる。図9には、心停止アラームが報知された時の波形w1と、脈波信号に基づき心停止アラームが抑制された時の波形w2とに別の色(例えば、各々赤色および緑色)が付されて表示される場合を例示している。
【0062】
このように、図4に示すフローチャートの処理においては、制御装置200は、患者の心拍信号および脈波信号を取得し、心拍信号および脈波信号の有効性を判定する。そして、制御装置200は、有効性の判定の結果、心拍信号および脈波信号の有効性が一致している場合、当該有効性に応じて所定の報知を行い、心拍信号および脈波信号の有効性が一致していない場合、脈波信号の有効性に応じて所定の報知を行う。
【0063】
なお、上述の例では、心拍信号、および脈波信号の有効性が一致していない場合に、脈波信号の有効性に応じて所定の報知を行うように予め定められている場合について説明した。しかしながら、本実施形態では、このような場合に限定されず、心拍信号、および脈波信号の有効性が一致していない場合に、心拍信号の有効性に応じて所定の報知を行うように予め定められるように構成されてもよい。
【0064】
[心拍信号の有効性の判定(ステップS103)]
図10は、心拍信号の有効性を判定する処理(ステップS103)の手順を例示するサブルーチンフローチャートである。同図に示すフローチャートの処理は、CPU210が生体情報解析プログラムを実行することにより実現される。
【0065】
まず、判定部は、心拍信号において有効なQRSを検出する(ステップS201)。判定部は、所定の心電図解析、例えば、テンプレートマッチング方式により心拍信号のQRS形状が所定のQRS形状と一致し、かつ拍分類部125により拍分類した結果、QRS形状がNormal(N)と判定された場合に有効なQRSが検出されたと判定する。所定のQRS形状は、標準波形のQRS形状、または患者ごとの正常拍のQRS形状と同等の形状である。例えば、通常時に測定された心拍信号のQRS形状を平均化、あるいは患者ごとに通常のQRS形状を予め学習することによって患者の正常拍のQRS形状を取得することができる。したがって、正常拍は、患者間において疾患や患者の状態によって多少のバラツキが生じうる。例えば、脚ブロックの患者や、ペースメーカーを使用している患者では、正常拍が、幅広であたかも心室性期外収縮のように見えるQRS形状を有しうる。このように、心拍信号のQRS形状が所定のQRS形状と一致するか否かを判定することにより、様々な状態の患者の有効なQRSを検出できる。
【0066】
次に、判定部は、所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS202)。判定部は、所定時間が経過していなければ(ステップS202:NO)、ステップS201の処理に戻り、所定時間が経過するまでQRSの検出を継続する。
【0067】
一方、所定時間が経過した場合(ステップS202:YES)、判定部は、所定時間内に有効なQRSが検出されたか否かを判定する(ステップS203)。判定部は、所定時間に有効なQRSが検出された場合(ステップS203:YES)、心拍信号は有効と判定し(ステップS204)、処理を終了する(リターン)。一方、判定部は、心拍信号において所定時間にわたり有効なQRSがまったく検出されない場合(ステップS203:NO)、心拍信号が無効であると判定し(ステップS205)、処理を終了する(リターン)。
【0068】
[脈波信号の有効性の判定(ステップS103)]
図11は、脈波信号の有効性を判定する処理(ステップS103)の手順を例示するサブルーチンフローチャートである。同図に示すフローチャートの処理は、CPU210が生体情報解析プログラムを実行することにより実現される。
【0069】
まず、判定部は、脈波信号において有効な脈波を検出する(ステップS301)。例えば、判定部は、振幅が所定の閾値以上である場合に有効な脈波が検出されたと判定する。
【0070】
次に、所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS302)。判定部は、所定時間が経過していなければ(ステップS302:NO)、ステップS301の処理に戻り、所定時間が経過するまで脈波の検出を継続する。所定時間は、例えば5秒間でありうる。
【0071】
一方、所定時間が経過した場合(ステップS302:YES)、判定部は、所定時間内に有効な脈波が検出されたか否かを判定する(ステップS303)。判定部は、所定時間内に有効な脈波が検出されなかった場合(ステップS303:NO)、脈波信号は無効と判定する(ステップS304)。一方、判定部は、所定時間内に有効な脈波が検出された場合(ステップS303:YES)、すべての脈波の振幅と、脈波の間隔とが各々規定範囲に収まっているか否かを判定する(ステップS305)。判定部は、すべての脈波について、振幅および脈波の間隔が各々規定範囲に収まっている場合(ステップS305:YES)、脈波信号は有効と判定する(ステップS306)。一方、少なくとも1つの脈波について、振幅または脈波の間隔が規定範囲に収まっていない場合(ステップS305:NO)、脈波信号は無効と判定する(ステップS307)。振幅および間隔についての規定範囲は、各々振幅の平均値±許容誤差、および間隔の平均値±許容誤差でありうる。許容誤差は、例えば標準偏差でありうる。
【0072】
このように、本実施形態では、通常時の平均振幅および平均間隔からの継続性を基準に脈波の有効性を判定する。具体的には、モニタリング中に、脈波の平均振幅と平均間隔を算出し、適宜更新する。例えば、判定部は所定時間内のすべての脈波の振幅および間隔について平均値±許容誤差(例えば標準偏差)の規定範囲に収まっていれば、有効な脈波が継続していると判定し、収まっていなければ継続していないと判定する。これにより、検出された脈波が患者の心拍に起因する脈波であり、かつ有効な脈波であることを確認できる。
【0073】
[変形例]
図12は第1の実施形態の変形例における生体情報解析装置101の概略構成を例示するブロック図であり、図13図12に示す血圧処理部160の概略構成を例示するブロック図である。
【0074】
上述の例では、SpO2センサ130からの光電容積脈波の電気信号を処理して患者の脈波を抽出する場合について説明したが、図12に示すように、SpO2センサ130の代わりに、血圧センサ150からの圧力の電気信号を処理して患者の脈波を抽出するように構成してもよい。血圧センサ150は、例えば、観血式血圧センサ(トランスジューサ)、または非観血式血圧センサ(カフ+圧力センサ)でありうる。以下では、血圧センサ150が観血式血圧センサである場合について説明する。
【0075】
図13に示すように、血圧処理部160は、血圧アンプ161、血圧フィルタ162、血圧信号品質評価部163、および血圧脈波検出部164を有する。
【0076】
血圧アンプ161は、トランスジューサによって検出された圧力の電気信号を受信し、これを適当な大きさの電圧信号に増幅して血圧フィルタ162に出力する。
【0077】
血圧フィルタ162は、増幅された電圧信号に対して所定のフィルタリング処理を行い、電圧信号に含まれるノイズ成分を除去する。血圧フィルタ162は、例えば、ローパスフィルタ、またはバンドパスフィルタを含みうる。
【0078】
血圧信号品質評価部163は、血圧フィルタ162によってフィルタリングを行った後の電圧信号の品質を評価する。CPU210は、電圧信号の品質が著しく低い場合は、取得データの破棄や、警告メッセージの表示を行うように制御しうる。
【0079】
血圧脈波検出部164は、血圧フィルタ162によるフィルタリング処理後の電圧信号から脈波を検出し、脈波信号を生成して出力する。具体的には、血圧脈波検出部164は、血圧フィルタ162によってフィルタリングされた電圧信号をディジタル信号に変換して脈波信号を生成し、制御装置200に出力する。
【0080】
制御装置200は、血圧処理部160によって抽出された脈波信号を使用して、上述した生体情報解析方法にしたがって、患者の心拍信号および脈波信号の有効性を判定し、判定結果に応じて心停止に関する報知を行う。具体的な処理手順については、光電容積脈波に基づく脈波信号を使用した場合と同じであるので、詳細な説明を省略する。
【0081】
以上で説明した本実施形態の生体情報解析装置100によれば、下記の効果を奏することができる。
【0082】
生体情報解析装置100は、複数の生体情報の有効性に基づき心停止に関する報知の抑制を制御するので、心停止に関する報知を精度良く行うことができる。とくに、本実施形態では、心拍に関連する心電図と脈波とを関連付けて解析することにより、心停止に関する報知を行うか否かの判定をより的確に行うことができる。
【0083】
例えば、ノイズやアーチファクトによって脈波状の規則的な信号が脈波信号に偶然に混入したような場合は、有効な脈波信号の条件を満たさないので、心停止に関する報知が抑制されない。ここで、有効な脈波信号の条件とは、所定時間内に有効な脈波が検出され、すべての脈波の振幅と、脈波の間隔が各々規定範囲に収まっていることである。したがって、心停止に関する報知が過剰に抑制されることを防止できる。
【0084】
また、心電図センサ110とSpO2センサ130(血圧センサ150)とが誤って別の患者に装着されたことにより、心電図と脈波とが各々別の患者から取得されている場合も、有効な脈波信号の条件を満たさないので、心停止に関する報知が抑制されない。したがって、心停止アラームが過剰に抑制されることを防止できる。
【0085】
また、本実施形態では、脈波の間隔が一定であるか否か、すなわち脈波の規則性ではなく、脈波の間隔が規定範囲に収まっているか否かに応じて脈波信号の有効性を判定する。したがって、呼吸性変動のように脈波の間隔が徐々に変化する場合であっても、心停止に関する報知を行うことができる。
【0086】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、通常時の平均振幅および平均間隔からの継続性に基づいて脈波信号の有効性を判定する場合について説明した。第2の実施形態では、脈波信号における脈波の形状と予め生成された基準テンプレートの脈波形状との比較結果に基づいて脈波信号の有効性を判定する場合について説明する。なお、説明の重複を避けるため、第1の実施形態と同じ構成については詳細な説明を省略する。
【0087】
本実施形態における生体情報解析装置100による生体情報解析方法は、脈波信号の有効性を判定する処理(図4に示すフローチャートのステップS103)を除き、第1の実施形態における生体情報解析装置100による生体情報解析方法と同じである。したがって、以下の説明では、脈波信号の有効性を判定する処理とその前処理について詳細に説明し、第1の実施形態と共通する処理については説明を省略する。
【0088】
[前処理]
CPU210は、基準脈波作成部として機能し、図4のフローチャートにおけるステップS103の処理の前処理として、通常時に取得された心拍信号、および脈波信号を使用して、基準テンプレートを作成する。より具体的には、基準脈波作成部は、心拍信号のQRSと、対応する脈波信号の脈波とをグループとして扱い(以下「心拍テンプレートグループ」という)、モニタリング中に、生成された心拍テンプレートグループの中から、類似する特徴を集めて加算平均し、各々の特徴に関する基準テンプレートを作成する。特徴としては、例えば、QRS形状、脈波形状、脈波から抽出した振幅、脈波の幅、脈波の傾き、QRSから脈波までの遅れ時間等が挙げられる。基準テンプレートは、テンプレートマッチング方式により、心拍信号のQRS形状が所定のQRS形状と一致し、かつ拍分類部125により拍分類した結果、QRS形状がNormal(N)と判定されている場合に生成される。
【0089】
QRSの平均波形は、QRSピークを基準に加算平均波形が作成される。また、脈波の平均波形についてもQRSピークを基準に加算平均波形が作成されうる。もしくは脈波の平均波形は、脈波のピークを基準にして加算平均波形が作成されてもよい。これは、QRSピークを基準に脈波の平均波形を作成する場合、QRSから脈波までの遅れ時間のゆらぎが平均波形の形状に影響を与える可能性があるためである。
【0090】
CPU210は、計測部として機能し、QRS(心拍)が検出されてから脈波が検出されるまでの遅れ時間を測定する。本実施形態では、計測部は、QRSピークから脈波ピークまでの間を遅れ時間として測定するように構成されうる。QRSから脈波までの遅れ時間が一定であることを判定することにより、QRSと脈波とは共通の心拍に起因して生じていることを確認できる。なお、計測部は、QRSの起始部から脈波の立ち上がりまでを遅れ時間として測定するように構成することもできるが、測定の安定性の観点から、ピーク間で測定するように構成されることが好ましい。報知制御部は、遅れ時間が所定の閾値(第2閾値)以下である場合、脈波信号の脈波が心拍信号の心拍に対応していると判断し、遅れ時間が所定の閾値を超える場合、脈波信号の脈波が心拍信号の心拍に対応していないと判断する。
【0091】
図14は、第2の実施形態において脈波信号の有効性を判定する処理(ステップS103)の手順を例示するサブルーチンフローチャートである。同図に示すサブルーチンフローチャートの処理は、CPU210が生体情報解析プログラムを実行することにより実現される。
【0092】
ステップS401~S404、S406の処理は、図11に示す第1の実施形態における脈波信号の有効性を判定する処理のステップS301~S304、S306の処理と各々同じであるので、詳細な説明を省略する。
【0093】
ステップS405において、すべての脈波の形状が基準テンプレートの脈波の形状と一致するかを判定する。判定部は、例えば、テンプレートマッチングにより、所定時間内に検出されたすべての脈波の形状が基準テンプレートの脈波の形状と概ね一致するかを判定する。
【0094】
判定部は、例えば、検出された脈波の波形と、基準テンプレートの脈波の波形との相互相関を計算するか、あるいは両脈波の波形を重ね合わせたときの差分を計算する等の判定手法を使用してテンプレートマッチングにより両脈波が一致するか否かを判定しうる。
【0095】
判定部は、例えば、両脈波の波形データについて相関係数を算出し、相関係数が所定の第1判定閾値以上である場合、両脈波は概ね一致していると判定し、相関係数が所定の第1判定閾値未満である場合、両脈波は一致していないと判定する。また、判定部は、例えば、両脈波の波形を重ね合わせたときの差分を算出し、差分が所定の第2判定閾値以下である場合、両脈波は概ね一致していると判定し、相関係数が所定の第2判定閾値を超える場合、両脈波は一致していないと判定する。
【0096】
なお、検出された脈波の形状と、基準テンプレートの脈波の形状とが概ね一致する場合は、検出された脈波の間隔は必ずしも一定でなくてもよい。
【0097】
また、AFの患者の場合は脈波の振幅が一定しない。そのため、例えば、判定部は、患者に関する情報に基づいて、AFの患者に対して、上記第1または第2判定閾値に余裕をもたせる(すなわち判定基準を緩める)ように構成されてもよい。
【0098】
また、判定対象の期間中に不整脈(例えば、期外収縮)が発生した場合には、一部の脈波が基準テンプレートと一致しない可能性がある。そのため、判定部は、すべての脈波の形状が基準テンプレートの脈波の形状と一致するか否かを判定する代わりに、所定数以上脈波が一致するか否かを判定するように構成されてもよい。判定部は、心拍信号が無効の所定時間において、所定数(第1閾値)以上の脈波の形状が基準テンプレートの脈波の形状と一致する場合、脈波信号が有効であると判定する。一方、判定部は、所定数未満の数の脈波の形状が基準テンプレートの脈波の形状と一致するか、または基準テンプレートの脈波の形状と一致する脈波が無い場合、脈波信号が無効であると判定する。所定数は、例えば、心拍信号が無効の所定時間におけるすべての脈波に対して、脈波の数-1、脈波の数の3/4等でありうる。
【0099】
以上で説明した本実施形態の生体情報解析装置100によれば、第1の実施形態の効果に加えて下記の効果を奏することができる。
【0100】
AFのような不規則な心拍であっても、心停止に関する報知を行うことができる。
【0101】
また、判定対象の期間に不整脈が発生した場合であっても、心停止に関する報知を行うことができる。
【0102】
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、心停止でなければ脈波が出現すべきタイミングを推定し、そのタイミングにおいて脈波が検出されたか否かに基づいて脈波信号の有効性を判定する場合について説明する。なお、説明の重複を避けるため、第2の実施形態と同じ構成については詳細な説明を省略する。
【0103】
図15は、第3の実施形態において脈波信号の有効性を判定する処理(ステップS103)の手順を例示するサブルーチンフローチャートである。同図に示すサブルーチンフローチャートの処理は、CPU210が生体情報解析プログラムを実行することにより実現される。また、図16は、第3の実施形態において心拍信号および脈波信号の有効性が一致しない場合における心拍信号と脈波信号との対応関係の一例を示す模式図である。
【0104】
本実施形態では、CPU210は、脈波間隔算出部および脈波間隔推定部として機能する。脈波間隔算出部は、心拍信号が有効の期間における脈波の平均の脈波間隔を算出する。また、脈波間隔推定部は、平均の脈波間隔に基づいて心拍信号が無効の所定時間における脈波の出現タイミングを推定する。
【0105】
図15に示すように、まず、判定部は、図16に示す判定対象の期間JP3において脈波のピークが検出されると予想されるタイミングを算出する(ステップS501)。判定部は、QRSが検出されていた期間において生成された心拍テンプレートグループに基づき、判定対処の期間JP3において脈波のピークが検出されると予想されるタイミングT=T1、T2、…、T5を算出する。同図において、心拍テンプレートグループの有効な脈波を〇で示している。タイミングTは、心拍テンプレートグループの最後に検出された脈波のピークT0+脈波の平均間隔×m(mは自然数)によって算出されうる。
【0106】
次に、判定部は、各々のタイミングに想定ウィンドウを設定する(ステップS502)。判定部は、脈波が出現すべきタイミングTに対してT-Δt~T+Δtに想定ウィンドウW=W1、W2、…、W5を設定する。例えば、Δtは80[ms]でありうる。
【0107】
次に、すべての想定ウィンドウWに有効な脈波が検出されたか否かを判定する(ステップS503)。判定部は、有効な脈波が検出されたか否かを、脈波の特徴(例えば、振幅、上昇時間等)によって判定しうる。あるいは、判定部は、有効な脈波が検出されたか否かを、テンプレートマッチングにより、検出された脈波の形状と基準テンプレートの脈波の形状とが一致するか否かによって判定しうる。
【0108】
以上で説明した本実施形態の生体情報解析装置100によれば、第1および第2の実施形態の効果に加えて下記の効果を奏することができる。
【0109】
生体情報解析装置100は、脈波が出現すべきタイミング、および脈波の特徴に基づいて有効な脈波が検出されたか否かを判定するので、より精度良く有効な脈波が検出されたか否かを判定できる。
【0110】
(第4の実施形態)
第4の実施形態においては、心拍信号が有効であり、脈波信号が無効である場合について、さらに心拍信号の波形を分析する場合について説明する。図17は心拍信号にP波が現れている場合を例示する模式図であり、図18は心拍信号に振幅が高い波形が現れている場合を例示する模式図である。なお、説明の重複を避けるため、第1の実施形態と同じ構成については詳細な説明を省略する。
【0111】
図17における判定対象の期間JP4に示すように、例えば、心室ブロックに起因して心房から心室に刺激が伝わらなくなった場合、P波だけが続くことがある。このような場合、判定部は、振幅が高いP波をQRSと誤って認識する可能性があり、心拍信号が有効と判定されうる。
【0112】
また、図18における判定対象の期間JP5に示すように、心拍信号に振幅が高い波形が現れている場合、判定部は、振幅が高い波形をQRSと誤って認識する可能性があり、心拍信号が有効と判定されうる。
【0113】
下記表2に示すように、例えば、P波やVFのように、心拍信号に振幅が高い波形が現れる場合、判定部は、振幅が高い波形をQRSと誤って認識する可能性がある。そこで、本実施形態では、判定部は、心拍信号が有効であり、脈波信号が無効である場合に、さらに心拍信号の波形を分析し、P波、あるいはVFらしい波形か否かを判定するように構成されている。
【0114】
【表2】
【0115】
判定部は、例えば、心拍信号の波形が下記の(a)、(b)のいずれかを満たす場合、心拍信号の波形がP波らしいと判定する。
【0116】
(a)心拍信号の波形の振幅が、補助記憶部240に予め保存されている患者の正常拍(以下、単に「正常拍」という)のQRS振幅よりも極端に小さい(例えば、正常拍の1/3未満)。
【0117】
(b)心拍信号の波形が正常拍のP波の形状と等しい、または類似する。例えば、判定部は、テンプレートマッチング等を使用して、心拍信号の波形と、正常拍のP波とが一致するか否かを判定するように構成されうる。また、判定部は、心拍信号の波形と、正常拍のP波とについて、波形の特徴(振幅、幅、極性、面積)が概ね等しい場合、心拍信号の波形が正常拍のP波の形状と等しい、または類似すると判定する。
【0118】
同様に、判定部は、心拍信号の波形がVFらしいか否かを判定する。例えば、判定部は、周波数解析や特定の振幅を持つ波形の数をカウントすることにより、心拍信号の波形がVFらしいと判定する(VFの判定方法については、例えば、特開2020-156927号公報を参照)。心拍信号の波形がVFであるとすれば、心停止の場合と同様に患者の心臓のポンプ機能は失われているので、脈波は出現しないと考えられる。したがって、図18に示す例においては、脈波信号が有効であるので、心拍信号の波形は、VFではないと判定される。
【0119】
報知制御部は、判定部による判定の結果、脈波信号が無効であり、かつ心拍信号の波形がP波らしいと判定される場合は、心停止に関する報知を行い、心拍信号の波形がVFである場合は、VF(心室細動)の報知を行うように構成されうる。
【0120】
また、心拍信号の波形のQRS形状が正常波のQRS形状から変化していない場合などは、SpO2のセンサが外れている等の可能性が高いので、心停止に関する報知を行わずに、SpO2のセンサが外れている旨の報知を行うように判定部を構成しうる。
【0121】
以上で説明した本実施形態の生体情報解析装置100によれば、第1~第3の実施形態の効果に加えて下記の効果を奏することができる。
【0122】
生体情報解析装置100は、心拍信号が有効であり、脈波信号が無効である場合について、さらに心拍信号の波形を分析するので、心拍信号の波形の形状(種類)に応じて、より適切な報知を行うことができる。
【0123】
(第5の実施形態)
第1~4の実施形態においては、脈波信号が有効か否かを判定する場合について説明した。第5の実施形態では、血圧信号が有効か否かを判定する場合について説明する。なお、説明の重複を避けるため、第1の実施形態と同じ構成については詳細な説明を省略する。
【0124】
図19は第5の実施形態において心拍信号および血圧信号の有効性が一致する場合における心拍信号と血圧信号との対応関係の一例を示す模式図であり、図20は心拍信号および血圧信号の有効性が一致しない場合における心拍信号と血圧信号との対応関係の一例を示す模式図である。
【0125】
本実施形態では、制御装置200は、患者の心拍信号(第1の生体情報)および血圧信号(第2の生体情報)を取得し、心拍信号および血圧信号の有効性を判定する。そして、制御装置200は、有効性の判定の結果、心拍信号および血圧信号の有効性が一致している場合、当該有効性に応じて所定の報知を行い、心拍信号および血圧信号の有効性が一致していない場合、血圧信号の有効性に応じて所定の報知を行う。取得した血圧信号が上限値と下限値の範囲内にある場合、血圧信号は有効と判定され、取得した血圧信号が上限値を超えるか、あるいは下限値を下回る場合、血圧信号は無効と判定される。
【0126】
より具体的には、図19に示すように、制御装置200は、心拍信号および血圧信号(平均血圧)がともに有効である場合、心停止に関する報知を行わず、心拍信号および血圧信号(平均血圧)がともに無効である場合、心停止に関する報知を行う。
【0127】
また、図20に示すように、制御装置200は、心拍信号が無効であり、血圧信号が有効である場合、心停止に関する報知を行わない。このように、制御装置200は、心拍信号が有効のときの血圧信号と、心拍信号が無効なときの血圧信号とを比較して、血圧信号が有効を維持して変化がなければ心停止に関する報知を行わない。一方、図示はしていないが、制御装置200は、心拍信号が有効であり、血圧信号が無効である場合、心拍信号をさらに分析し、心拍信号の波形がP波、またはVFらしいと判定した場合、心停止に関する報知、またはVFの報知を行う。一方、心拍信号の波形がP波、またはVFではない場合、心停止に関する報知を行わずに、センサ異常の報知を行う。
【0128】
以上、本発明の実施形態に係る生体情報解析装置、生体情報解析方法、および生体情報解析プログラムについて説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されない。
【0129】
例えば、上述した実施形態では、脈波信号、または血圧信号の有効性を判定する場合について例示したが、本発明は脈波信号、または血圧信号の有効性を判定する場合に限定されず、心拍信号に対応する他の生体情報の有効性を判定する構成についても採用できる。
【0130】
また、上述した実施形態では、第2の生体情報として脈波信号、または血圧信号を取得し、第2の生体情報の有効性を判定する場合について説明したが、本発明はこのような場合に限定されない。例えば、制御装置200は、第2の生体情報として脈波信号、および血圧信号の両方を取得し、第2の生体情報の有効性を判定するように構成されてもよい。さらに、制御装置200は、3つ以上の生体情報を第2の生体情報として取得し、第2の生体情報の有効性を判定するように構成されてもよい。
【0131】
また、上記実施形態において生体情報解析プログラムにより実行される機能の一部または全部を電子回路などのハードウェアにより実行してもよい。
【符号の説明】
【0132】
100 生体情報解析装置、
110 心電図センサ、
120 心電図処理部、
121 心電図アンプ、
122 心電図フィルタ、
123 心電図信号品質評価部、
124 QRS検出部、
125 拍分類部、
130 SpO2センサ、
140 PPG処理部、
141 PPGアンプ、
142 PPGフィルタ、
143 PPG信号品質評価部、
144 PPG脈波検出部、
200 制御装置、
210 CPU、
220 ROM、
230 RAM、
240 補助記憶部、
250 入出力I/F、
300 入力装置、
400 出力装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20