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特開2024-151022照明器具の点検方法および照明システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151022
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】照明器具の点検方法および照明システム
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/165 20200101AFI20241017BHJP
   H05B 47/16 20200101ALI20241017BHJP
   F21S 9/02 20060101ALI20241017BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20241017BHJP
【FI】
H05B47/165
H05B47/16
F21S9/02 110
F21S9/02 200
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064130
(22)【出願日】2023-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 直紀
(72)【発明者】
【氏名】大澤 隆司
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA08
3K273QA34
3K273QA37
3K273QA38
3K273RA12
3K273RA13
3K273RA16
3K273SA08
3K273SA33
3K273SA42
3K273SA50
3K273TA13
3K273TA15
3K273TA18
3K273TA27
3K273TA28
3K273TA29
3K273TA49
3K273TA52
3K273TA66
3K273TA70
3K273TA72
3K273TA73
3K273UA16
3K273UA22
3K273UA24
3K273UA25
3K273UA27
3K273UA29
(57)【要約】
【課題】任意のタイミングで、複数の照明器具の点検時期を調整することができる照明器具の点検方法および照明システムを提供する。
【解決手段】照明空間に設置され、蓄電池を有する複数の照明器具を点検する方法であって、複数の照明器具を、複数のグループに分ける設定を行うグループ設定工程と、照明器具が、蓄電池を放電させて行う点検を少なくともグループ毎に行う点検工程と、点検工程が終了すると、蓄電池を充電する充電工程とを有し、グループに決められた順番で、1つのグループにおける蓄電池の充電工程が終了すると、次のグループに属する照明器具が点検工程および充電工程を行い、点検工程および充電工程を行っているグループ以外の他のグループの照明器具は待機するものである。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明空間に設置され、蓄電池を有する複数の照明器具を点検する方法であって、
複数の前記照明器具を、複数のグループに分ける設定を行うグループ設定工程と、
前記照明器具が、前記蓄電池を放電させて行う前記点検を少なくとも前記グループ毎に行う点検工程と、
前記点検工程が終了すると、前記蓄電池を充電する充電工程と
を有し、
前記グループに決められた順番で、1つの前記グループにおける前記蓄電池の前記充電工程が終了すると、次の前記グループに属する前記照明器具が前記点検工程および前記充電工程を行い、前記点検工程および前記充電工程を行っている前記グループ以外の他の前記グループの前記照明器具は待機する照明器具の点検方法。
【請求項2】
複数の前記照明器具に設定されたアドレスに関する情報をデータとして取得するアドレス取得工程と、
前記アドレスに関する情報に基づき、前記グループ設定工程において設定したそれぞれの前記グループにおける点検開始時刻を設定するスケジュール設定工程と
を有し、
前記スケジュール設定工程は、1つの前記グループにおける前記照明器具の前記点検工程および前記充電工程を行う時間よりも長い時間を空けて、それぞれの前記グループにおける前記点検開始時刻を設定する請求項1に記載の照明器具の点検方法。
【請求項3】
前記グループ設定工程において、異なる前記グループの前記照明器具が互いに隣り合うように前記グループを設定する請求項1または請求項2に記載の照明器具の点検方法。
【請求項4】
前記グループ設定工程において、ある前記照明器具に対して隣り合う前記照明器具のうち、少なくとも1つの前記照明器具が異なる前記グループとなるように前記グループを設定する請求項1または請求項2に記載の照明器具の点検方法。
【請求項5】
前記照明器具は、LEDを光源とする請求項1または請求項2に記載の照明器具の点検方法。
【請求項6】
電気的負荷となる光源部および前記光源部に電力を供給する蓄電池を有する複数の照明器具と、
複数の前記照明器具を複数のグループに分ける設定を行うグループ形成部およびそれぞれの前記グループに属する前記照明器具の点検および前記蓄電池への充電のスケジュールを設定するスケジュール設定記憶部を有し、複数の前記照明器具と通信接続された照明制御装置とを備え、
前記スケジュール設定記憶部は、1つの前記グループに属する前記照明器具の前記点検および前記充電を終了後に、次の前記グループに属する前記照明器具の前記点検および前記充電を開始する前記スケジュールを設定する照明システム。
【請求項7】
複数の前記照明器具は、設置位置を示すアドレスデータをそれぞれ有し、
前記照明制御装置は、複数の前記照明器具から前記アドレスデータを取得するアドレス取得部を有し、
前記グループ形成部は、複数の前記照明器具における前記アドレスデータから前記複数のグループを設定する請求項6に記載の照明システム。
【請求項8】
前記グループ形成部は、異なる前記グループの前記照明器具が互いに隣り合うように前記グループを設定する請求項6または請求項7に記載の照明システム。
【請求項9】
前記グループ形成部は、ある前記照明器具に対して隣り合う前記照明器具のうち、少なくとも1つの前記照明器具が異なる前記グループとなるように前記グループを設定する請求項6または請求項7に記載の照明システム。
【請求項10】
複数の前記照明器具は、前記光源部にLEDを有する請求項6または請求項7に記載の照明システム。
【請求項11】
前記スケジュール設定記憶部は、1つの前記グループに属する前記照明器具が前記点検を開始してから次の前記グループに属する前記照明器具が前記点検を開始するまでの時間を、前記照明器具の前記点検および前記充電の時間よりも長い時間となるように前記スケジュールを設定する請求項6または請求項7に記載の照明システム。
【請求項12】
前記照明制御装置は計時装置を有し、
前記スケジュール設定記憶部が設定した前記スケジュールおよび前記計時装置の計時に基づき、点検対象となる前記グループの前記照明器具に点検指示信号を送る請求項6または請求項7に記載の照明システム。
【請求項13】
複数の前記照明器具はそれぞれ計時装置を有し、
前記照明制御装置から送られる前記スケジュールおよび前記計時装置の計時に基づき、前記点検および前記充電を行う請求項6または請求項7に記載の照明システム。
【請求項14】
前記照明制御装置は、複数の前記照明器具から送られる結果信号に含まれる点検結果のデータを取得するステータス取得部を有する請求項6または請求項7に記載の照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この技術は、照明器具の点検方法および照明システムに関するものである。特に、蓄電池を有する照明器具の点検に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、蓄電池が放電した電力を用いて、光源を発光させ、照明を行う照明器具がある。たとえば、停電時において、内蔵する蓄電池が供給する電力により光源を非常点灯させる、非常灯または誘導灯等の防災灯(非常用照明器具)がある。このような防災灯に関し、停電が起こった際の正常な動作を担保するため、内蔵する蓄電池の寿命診断および非常点灯動作に関する点検内容が、照明器具に関する各種工業規格(たとえば、一般社団法人日本照明工業会規格等)に定められている。このような工業規格等に基づき、屋内外に設置される防災灯の点検が行われる。
【0003】
このような状況下において、外部電源からの電力によって動作する通常光源と、内蔵する蓄電池からの電力供給によって動作する非常光源とを備える、いわゆる併用型の屋外防災灯の点検システムによる点検方法が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1の点検システムは、周囲の照度を検出する照度センサ、内蔵する蓄電池の電力を用いて非常光源を点灯する非常光源点灯手段および非常光源点灯手段により非常光源を点灯させて、所定の規則に基づく点検を行う点検手段を備える。特許文献1の点検システムによる点検方法は、これらの手段によって、屋外の照度を検出して行う。夕刻に街路灯として点灯を開始したタイミングを起点とし、その後、所定の時間経過後で、概ね明け方近くに蓄電池から非常用光源に電力を供給して点灯させ、蓄電池の劣化状態を点検する。そして、点検後の昼間に蓄電池を再充電する。このため、点検後の夜間に停電が発生した場合でも、機能を維持することができる。このように、内蔵する蓄電池の点検後の再充電期間でも、停電による照度を維持することは重要である。
【0005】
ところで、防災灯に含まれる誘導灯(日本工業規格C 8105-2-22:201422.3.22A参照)について、内蔵型の非常電源の点検の要件が緩和されている。この要件では、非常電源がニッケル-カドミウム蓄電池の場合は、製造年から3年を超えるまで原則として点検は不要となる。また、非常電源がニッケル-水素蓄電池の場合は、製造年から5年を超えるまで原則として点検は不要である(消防予第80号「消防用設備等の試験基準および点検要領の一部改正について(通知)」参照)。
【0006】
このため、電源タイマが点灯装置の使用期間を計時し、使用時間の計時値が点検値に達してから遅延時間が経過したタイミングで点検を実行する点灯装置がある(たとえば、特許文献2参照)。この点灯装置における点検方法は、他の点灯装置のいずれかと異なるタイミングで点灯を行わせるために、複数の照明器具のそれぞれの遅延時間の長さを調整することで、点検を行うタイミングをずらす方法である。これにより、点検のタイミングが異なる防災灯を、一斉に点検するのではなく、各々の装置における使用時間が到達するタイミングに合わせた点検を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2022-054058号公報
【特許文献2】特開2020-027705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
防災灯の蓄電池が、既定の時間非常点灯可能かまたは蓄電池が寿命で交換する必要があるかを点検する際、通常は、1つの部屋または1つの階または施設全体等(以下、照明空間という)における複数の防災灯に対し、まとめて点検等を行って、できる限り効率がよくなるように点検が行われる。たとえば、オフィスビル等では、オフィス利用者の作業を阻害しないように、点検する時間帯を考慮し、できる限り点検時間を短くすることが施設管理者にとって配慮すべき事項である。
【0009】
しかし、点検後に、蓄電池が既定の時間点灯可能となるまでの充電時間は、一般には2日(48時間)程度が必要である。したがって、点検を一斉に行うと、点検後の2日以内に停電が発生した場合、照明空間における全ての防災灯が十分機能せず、必要な点灯時間が確保できない等、避難誘導が十分行えない可能性がある。
【0010】
そこで、任意のタイミングで、複数の照明器具の点検時期を調整することができる照明器具の点検方法および照明システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
開示に係る照明器具の点検方法は、照明空間に設置され、蓄電池を有する複数の照明器具を点検する方法であって、複数の照明器具を、複数のグループに分ける設定を行うグループ設定工程と、照明器具が、蓄電池を放電させて行う点検を少なくともグループ毎に行う点検工程と、点検工程が終了すると、蓄電池を充電する充電工程とを有し、グループに決められた順番で、1つのグループにおける蓄電池の充電工程が終了すると、次のグループに属する照明器具が点検工程および充電工程を行い、点検工程および充電工程を行っているグループ以外の他のグループの照明器具は待機するものである。
【0012】
また、開示に係る照明システムは、電気的負荷となる光源部および光源部に電力を供給する蓄電池を有する複数の照明器具と、複数の照明器具を複数のグループに分ける設定を行うグループ形成部およびそれぞれのグループに属する照明器具の点検および蓄電池への充電のスケジュールを設定するスケジュール設定記憶部を有し、複数の照明器具と通信接続された照明制御装置とを備え、スケジュール設定記憶部は、1つのグループに属する照明器具の点検および充電を終了後に、次のグループに属する照明器具の点検および充電を開始するスケジュールを設定するものである。
【発明の効果】
【0013】
開示に係る照明器具の点検方法および照明システムにおいては、複数の照明器具を、複数のグループに分け、1つのグループにおける蓄電池の充電が終了すると、次のグループに属する照明器具が点検を開始する。このため、照明空間におけるすべての照明器具において、必要な点灯時間を確保することができないという事態を回避することができ、安全を担保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施の形態1に係る照明空間の一例を示す図である。
図2】天井3000に設置された非常灯1000の設置間隔の一例を示す図である。
図3】通路4000における非常灯1000の設置間隔の一例を示す図である。
図4】天井3000に設置されている非常灯1000を2つのグループに分けた例を示す図である。
図5】天井3000に設置されている非常灯1000を3つのグループに分けた例を示す図である。
図6】実施の形態1に係るリモートコントローラ5000の斜視図を示す図である。
図7】実施の形態2に係る照明統合操作器100を中心とする照明システムの構成を示す図である。
図8】実施の形態2に係る非常灯400の外観を示す図である。
図9】実施の形態2に係る非常灯400の分解斜視図である。
図10】実施の形態2に係る照明システムにおける点検動作について説明する図である。
図11】実施の形態3に係る照明システムにおける状態(ステータス)確認動作について説明する図である。
図12】実施の形態4に係る誘導灯500の外観を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施の形態に係る照明器具の点検方法および照明システムについて、図面等を参照しながら説明する。以下の図面において、同一の符号を付したものは、同一またはこれに相当するものであり、以下に記載する実施の形態の全文において共通することとする。また、図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。そして、明細書全文に表わされている構成要素の形態は、あくまでも例示であって、明細書に記載された形態に限定するものではない。特に構成要素の組み合わせは、各実施の形態における組み合わせのみに限定するものではなく、他の実施の形態に記載した構成要素を別の実施の形態に適用することができる。そして、発明の要旨を逸脱しない範囲で、置換え、変更または省略等を行うことができる。また、添字で区別等している複数の同種の機器等について、特に区別したり、特定したりする必要がない場合には、添字等を省略して記載する場合がある。
【0016】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る照明空間の一例を示す図である。実施の形態1では、点検対象の照明器具となる防災灯として、たとえば、非常灯1000を例にして説明する。図1は、点検対象となる非常灯1000が設置されたオフィスの天井3000を示している。照明空間となる広いオフィスの天井3000には、多くの照明器具2000以外に、多くの非常灯1000も設置されている。非常灯1000は、停電時において、内蔵する蓄電池(図示せず)からの電力供給によって、光源が規定時間以上、非常点灯する非常用照明器具である。
【0017】
図2は、天井3000に設置された非常灯1000の設置間隔の一例を示す図である。非常灯1000は、非常時に点灯したときに定められた照度を確保する必要がある。このため、非常灯1000は、定められた照度で床面を照らすことができる間隔で、天井3000に設置される。
【0018】
図3は、通路4000における非常灯1000の設置間隔の一例を示す図である。天井3000に非常灯1000を設置した場合と同様に、非常灯1000は、非常時において点灯したとき、定められた照度で床面を照らすことができる間隔で、通路4000に設置される。
【0019】
図4は、天井3000に設置されている非常灯1000を2つのグループに分けた例を示す図である。実施の形態1における防災灯点検方法は、天井3000に設置された複数の非常灯1000を、複数のグループに分ける設定工程を行った上で、蓄電池を放電させる蓄電池点検等の点検工程および点検後の蓄電池への充電工程を、グループ毎に決められた順番に行うものである。そして、1つのグループにおける点検工程および充電工程が終了すると、次のグループにおける点検工程および充電工程を行うものである。
【0020】
これらの工程は、点検者によって任意のタイミングでグループ毎に点検するかまたはそれぞれの非常灯1000の点検時期を調整し、自動点検を設定することができる照明制御装置を有する照明システムによって行われる。ただ、これに限定するものではない。たとえば、非常灯1000が、DIPスイッチおよび計時を行う回路等を備え、DIPスイッチにより設定されたグループ分けまたは時期などに基づいて点検工程および充電工程を行ってもよい。
【0021】
図4において、丸印は、非常灯1000の位置を示す。ここで、丸印の大きさには意味は無く、単に非常灯1000の配置について示している。非常灯1000内の「A」または「B」は、その非常灯1000が属するグループを示す。図4は、天井3000に設置された複数の非常灯1000を、グループAとグループBの2つに分けてグループ設定を行った場合を示している。
【0022】
図4のようなグループの設定を行った場合、たとえば、グループAに属する非常灯1000が点検工程を行う。そして、グループAに属する非常灯1000は、点検工程後、満充電を確保できる時間、充電工程を行う。この間、グループBに属する非常灯1000は、点検工程を開始せずに待機し、非常時においては点灯する。満充電を確保できる時間は、たとえば、48時間とする。そして、グループAに属する非常灯1000の充電工程終了後、グループBに属する非常灯1000の点検工程を開始する。
【0023】
ここで、グループの設定について、複数の非常灯1000に対し、たとえば、図4における右半分側と左半分側とに分けた2つのグループ設定をする等してもよい。右半分側と左半分側とに分けたグループ設定を行うと、点検直後に停電が発生した場合、未点検のグループに属する非常灯1000は、蓄電池に蓄えられた電力により発光することができるので、設計通りの床面照度を確保することができる。一方で、点検を行ったグループに属する非常灯1000は、点検によって蓄電池の電力を使ってしまって設計通りの床面照度を確保することができない可能性がある。
【0024】
そこで、望ましくは、図4に示すような、市松模様のように、隣り合う非常灯1000が互いに異なるグループとなるグループ分けを行って設定を行うとよい。図4のように、照明空間において、蓄電池が満充電状態ではなく、必要な点灯時間を確保できない非常灯1000同士が、できる限り隣り合わせないようにした方が、避難誘導の観点より好ましい。ただし、照明空間の角部等、照明空間の一部において、隣り合う非常灯1000のグループが同じであってもよい。たとえば、各非常灯1000において、少なくとも1つの隣り合う非常灯1000が異なるグループとなるように、グループ分けを行って設定を行う。
【0025】
図5は、天井3000に設置されている非常灯1000を3つのグループに分けた例を示す図である。図5は、天井3000に設置された複数の非常灯1000を、グループA、グループBおよびグループCの3つのグループに分けて設定した場合を示している。
【0026】
図5のようなグループの設定を行った場合、たとえば、グループAに属する非常灯1000が点検工程を行う。そして、グループAに属する非常灯1000は、点検後、満充電を確保できる時間、充電工程を行う。この間、グループBに属する非常灯1000およびグループCに属する非常灯1000は、点検工程を開始せずに待機し、非常時においては点灯する。
【0027】
グループAに属する非常灯1000の充電工程が終了すると、グループBに属する非常灯1000の点検工程を開始する。また、グループBに属する非常灯1000の充電工程が終了すると、グループCに属する非常灯1000の点検工程を開始する。
【0028】
どのグループも点検を行っていない場合は、点検可能状態にする。たとえば、非常灯1000は、点検可能状態の期間に点検がスケジュールされている場合は、点検を行うことができる。ここで、たとえば、あるグループの非常灯1000について、点検工程および充電工程を実施している期間に、他のグループにおける非常灯1000の点検開始時間がスケジュール設定されている場合がある。このとき、あるグループにおける非常灯1000の点検実施期間後に点検開始するように、他のグループにおける非常灯1000の時間が再設定される調整が行われるようにしてもよい。また、点検者等のユーザーが、各グループにおける点検開始時間が他グループの点検開始時間と重複しないように、スケジュールの設定を行ってもよい。
【0029】
たとえば、2つのグループ設定の場合と同様に、複数の非常灯1000について、図5における右半分側、中央および左半分側に分けた3つのグループ設定をする等してもよい。ただ、できる限り床面照度が均等になるような分け方の方が避難誘導の観点より望ましい。たとえば、照明空間の角部等、照明空間の一部においては、非常灯1000のグループが異なるように分けられていなくてもよい。
【0030】
ここで比較すべきことは、非常灯1000を2つのグループに分けて設定した図4の場合、停電時は、概ね半分程度の床面照度になってしまう。一方、図5のように、非常灯1000を3つのグループに分けた場合は、いずれか2つのグループの非常灯1000が内蔵する蓄電池は満充電された状態であるため、概ね2/3の照度を確保することができる。このように、グループ分けして設定するグループ数を増やすことで、点検直後において蓄電池の電力がない状態の非常灯1000の数を減らすことができる。このため、グループ数が多ければ、点検直後であっても、照明空間における非常灯1000の配置設計に近い床面照度を確保することができる。
【0031】
また、非常灯1000について、電球を光源とする非常灯1000は、通常、床面照度で1[lx]を確保することができるように配置されている、一方、蛍光灯およびLED(Light Emitting Diode)等を光源とする非常灯1000は、2[lx]を確保することができるように配置されている。これは、光源が高温になったときに、光束が低下するリスクを補うものである。
【0032】
ここで、点検直後に、急な停電が発生した場合、非常灯1000の光源は、特に高温になってはいない。前述のように、LEDを光源とする非常灯1000は、2[lx]を確保するように配置されている。そこで、非常灯1000の光源をLEDとしておく方が、床面照度が高くなるため、好ましい。
【0033】
図6は、実施の形態1に係るリモートコントローラ5000の斜視図を示す図である。図6のリモートコントローラ5000は、点検用のボタン5100を有している。点検作業員が点検開始を手動で行うだけでなく、図6のリモートコントローラ5000のボタン5100を押すことにより、点検を開始することもできる。これにより、点検が容易となり、効率の良い作業を行うことができる。
【0034】
以上のように、実施の形態1における照明器具の点検方法によれば、複数の非常灯1000を、複数のグループに分けて設定し、1つのグループにおける蓄電池の充電工程が終了すると、次のグループに属する照明器具が点検工程を開始するようにする。このため、照明空間におけるすべての非常灯1000において、必要な充電状態でないという事態を最低限回避することができ、安全を担保することができる。
【0035】
たとえば、照明空間において、停電時に、光源が電球である場合は1[lx]の床面照度を確保し、光源が蛍光灯またはLEDである場合は、2[lx]の床面照度を確保するように、法に則って、配置表に基づき防災灯が設置されている。実施の形態1における点検方法では、異なるグループの非常灯1000が互いに隣り合う、または、ある非常灯1000に隣り合う非常灯1000のうち、少なくとも1つの非常灯1000が異なるグループとなるようにグループを設定する。このため、照明空間において均等となるように床面照度を確保することができる。たとえば、照明空間の非常灯1000を2グループに分けて、2回に分けて点検する場合は、規定の概ね半分の床面照度を確保することができる。また、3グループに分けて3回点検する場合では、概ね2/3の照度を確保することができる。また、非常灯1000の光源をLEDにすることで、明るさを確保することができる。
【0036】
実施の形態2.
図7は、実施の形態2に係る照明統合操作器100を中心とする照明システムの構成を示す図である。ここでは、照明制御装置による照明制御を行って、複数の防災灯の点検を自動的に行う照明システムについて説明する。実施の形態2に係る照明システムは、防災灯の一例として非常灯400を点検対象とする照明器具とする場合について説明する。実施の形態2に係る照明システムは、照明統合操作器100、照明ネットワークコントローラ200、照明コントローラ300および非常灯400を備える。
【0037】
点検対象となる複数の非常灯400は、実施の形態1と同様に、複数のグループに分けられ、グループ設定される。ここでは、複数の非常灯400は、グループAおよびグループBの2つのグループに分けられる。また、図7では示していないが、非常灯400には各々商用電源(図示せず)が接続されている。そして、グループAに属する非常灯400とグループBに属する非常灯400との間には、信号線が接続されている。
【0038】
図8は、実施の形態2に係る非常灯400の外観を示す図である。また、図9は、実施の形態2に係る非常灯400の分解斜視図である。実施の形態2における非常灯400は、取付け面に形成された取付け孔に埋め込まれて設置される埋め込み型の防災灯である。取付け面の具体例は、たとえば、天井面である。
【0039】
図8または図9に示すように、実施の形態2における非常灯400は、点灯装置410、蓄電池420、光源部430、本体440、取付バネ450、枠460、モニタ470および点検スイッチ480を有する。本体440は、非常灯400が有する機器を収容する。取付バネ450は、非常灯400を天井等の被取付部に取り付けるための取付部材である。取付バネ450は、たとえば、曲面を有する形状の板金で形成されている。枠460は、本体440の開口部分を覆うパネルであり、非常灯400において部屋内に露出する部分である。
【0040】
光源部430は、電気的負荷となるLED等の発光素子(図示せず)を有する。発光素子が発光することで、非常灯400が点灯する。蓄電池420は、電力を貯め、商用電源からの電力が供給されないときに、バックアップ用電源となって、非常灯400の各機器へ電力を供給する。モニタ470は、たとえば、LED等の発光素子(図示せず)を有し、LEDが発光することにより、非常灯400の状態(ステータス)を表示する。点検スイッチ480は、非常灯400の利用者が、蓄電池420の電池残量を点検する等において操作する1または複数個のスイッチである。点検スイッチ480は、非常灯400の操作装置となる。
【0041】
点灯装置410は、光源部430の点灯状態および蓄電池420の充放電状態を制御する。点灯装置410は、たとえば、処理装置となるマイクロコンピュータ等をハードウェアとして有する。図7に示すように、実施の形態2の非常灯400において、点灯装置410は、受信部411、点検処理部412、点灯回路413、充電回路414および送信部415を有する。
【0042】
受信部411および送信部415は、照明コントローラ300と通信可能に接続され、照明コントローラ300側から送られるまたは照明コントローラ300側に送る信号の送受信を行う。実施の形態2においては、受信部411は、たとえば、照明ネットワークコントローラ200および照明コントローラ300を介して、照明統合操作器100から送られる点検信号を受信する。また、送信部415は、たとえば、照明ネットワークコントローラ200および照明コントローラ300を介して、点検結果のデータを含む信号を照明統合操作器100に送る。
【0043】
点灯回路413は、蓄電池420から供給された電力を光源部430へ供給し、光源部430の発光体の点灯または消灯に関する点灯制御を行う回路である。ここで、点灯回路413は、他にも、商用電源(図示せず)等からの外部の電力から供給された交流電流を直流電流に変換して光源部430へ供給してもよい。また、充電回路414は、外部電源から供給された交流電流を直流電流に変換して蓄電池420に充電させる回路である。
【0044】
点検処理部412は、受信部411が受信した指示信号に基づき、蓄電池420を用いた点検工程および充電工程に関する処理を行う。ここで、実施の形態2のシステムにおいて、点検処理部412は、点検に係る指示信号を受信すると、以下のような手順で、蓄電池420の点検を行う。
(1)充電回路414から蓄電池420への電力の供給を停止させる。
(2)点灯回路413に蓄電池420から光源部430へ電力を供給させ、光源部430を点灯させる。
(3)光源部430を規定時間点灯させる。ここで、規定時間とは、法規定等で定められた点検期間である。たとえば、非常灯400の場合は、30分または60分である。また、誘導灯の場合は20分または60分である。ここで、規定時間については、これらの時間だけでなく、任意の期間であってもよい。
(4)規定時間経過後に、点灯回路413に蓄電池420から光源部430への電力供給を停止させ、光源部430の点灯を停止する。
(5)蓄電池420の電圧を検出し、蓄電池420の電圧があらかじめ設定した閾値よりも高いかまたは低いかを判定する。
(6)充電回路414から蓄電池420へ電力の供給を開始し、再び蓄電池420へ充電を開始する。
【0045】
照明ネットワークコントローラ200は、中央監視設備または防犯設備等のビル設備間通信として普及している装置である。照明ネットワークコントローラ200は、たとえば、BACnet通信(Building Automation and Control Networking Protocol)を、MBUS通信へ変換する装置である。また、照明コントローラ300は、照明空間の照明器具を制御する装置である。
【0046】
実施の形態1において説明した照明制御装置としての機能を有する照明統合操作器100は、制御装置部110(パソコン)、操作部120(キーボード)、表示部130(ディスプレイ)および報知部140を有する。特に、実施の形態2における照明統合操作器100は、照明ネットワークコントローラ200および照明コントローラ300を介して、防災照明器具である非常灯400と通信可能に接続されている。
【0047】
実施の形態2における制御装置部110は、非常灯400の操作、監視、スケジュール設定およびセンサ動作の設定等、複数の非常灯400の管理を行う。実施の形態2においては、制御装置部110は、特に、非常灯400の点検に関する処理を行う。そこで、制御装置部110は、ステータス判定部111、ステータス記憶部112、ステータス取得部113、計時部114、スケジュール判定部115、指示部116、スケジュール設定記憶部117、グループ形成部118およびアドレス取得部119を有する。
【0048】
アドレス取得部119は、通信接続された非常灯400にそれぞれ設定されたアドレス、照明空間における非常灯400の設置位置および機器番号等のデータ(以下、アドレスデータという)を取得するアドレス取得工程を行う。アドレスデータは、各非常灯400が有する。
【0049】
グループ形成部118は、たとえば、非常灯400のアドレスデータをグループ化するグループ設定工程を行う。グループ化は、ユーザーが操作部120から入力するなどして手動でグループの設定をするものでもよいし、グループ形成部118が一定の法則に基づいて自動でグループの設定を行ってもよい。一定の法則とは、たとえば、実施の形態1で説明したような、隣り合う非常灯400同士を同じグループに設定しないという法則である。たとえば、点検後においては、満充電されるまでの規定の時間の間、非常灯400の蓄電池420から光源部430に電力供給ができない。実施の形態1で説明したように、隣り合う非常灯400同士が同時に点検動作を行わないことによって、点検後において、非常灯400を点灯させる必要が発生した場合でも、点検していない隣の非常灯400を点灯させることができる。このため、照明空間の一部における床面照度の著しい低下を回避することができる。
【0050】
スケジュール設定記憶部117は、ユーザーの設定に基づいて、グループ形成部118が設定した各グループの点検スケジュールを設定するスケジュール設定工程を行う。また、スケジュール設定記憶部117は、各グループにおける各非常灯400のアドレスデータと点検スケジュールデータとを関連付けて記憶する。点検スケジュールデータは、たとえば、各グループにおける点検開始時刻等を示すデータであり、ユーザーが操作部120を介して設定する。ここで、点検スケジュールデータの設定は、アドレスを取得した非常灯400毎に行ってもよいし、グループ形成部118が形成したグループ毎に対して行ってもよい。
【0051】
計時部114は、たとえば、RTC(Real time clock)等の計時装置を有し、現在の時刻を計時する。また、スケジュール判定部115は、計時部114が計時する時刻とスケジュール設定記憶部117が記憶する時刻とが一致したかどうかを判定し、一致したと判定すると、指示部116に点検開始信号を送信する。指示部116は、点検開始信号に基づいて、点検対象のグループに属する非常灯400に対して点検指示信号を送り、点検を指示する。
【0052】
ステータス取得部113は、照明コントローラ300および照明ネットワークコントローラ200を経由して、非常灯400から送信された結果信号に含まれる点検結果のデータを取得する。ステータス記憶部112は、ステータス取得部113が取得した点検結果のデータと非常灯400のアドレスデータとを関連付けて記憶する。ここで、ステータス記憶部112は、同じアドレスの非常灯400の点検結果を上書きして記憶するものではなく、非常灯400のアドレスデータ、点検実施時刻のデータおよび点検結果のデータを関連付けたデータを記憶し、蓄積させていってもよい。そして、ステータス判定部111は、ステータス記憶部112が記憶した点検結果のデータに基づいて、非常灯400の正常または異常を判定する。
【0053】
報知部140は、ステータス判定部111の判定結果を報知する。ここで、報知部140における報知手段は、特に限定しない。たとえば、報知部140は発光手段を有し、正常の場合は発光手段が緑色で発光する。また、点検による異常およびランプ異常状態の場合は発光手段が赤色で発光し、ランプ交換状態の場合は黄色で発光し、電池寿命状態の場合はオレンジで発光する等してもよい。また、他にも、たとえば、後述する表示部130が報知手段となって、表示部130の画面上に非常灯400のアドレスと判定結果とを文字等で表示させてもよい。また、スピーカー等が報知手段となって、音声等で報知してもよい。
【0054】
操作部120は、ユーザーが、非常灯400などの照明器具の操作、監視、スケジュール設定またはセンサ動作の設定を、選択および指示入力等する支援を行う。そして、表示部130は、制御装置部110からの表示信号に基づき、操作部120における操作内容および操作結果等を表示するものである。また、表示部130は、非常灯400の点検結果等を表示してもよい。
【0055】
図10は、実施の形態2に係る照明システムにおける点検動作について説明する図である。点検対象となる非常灯400の点検動作に係る処理は、主として制御装置部110における各部が行う。ここで、非常灯400と照明統合操作器100との通信は、照明ネットワークコントローラ200および照明コントローラ300を介して行われるものとする(以下において同じものとする)。
【0056】
アドレス取得部119は、非常灯400から送られたアドレス信号からアドレスデータを取得する(ステップS1)。そして、グループ形成部118が、アドレスデータに基づいてグループ化を行い、グループを形成する(ステップS2)。また、スケジュール設定記憶部117が、ユーザーの指示等に基づいて点検スケジュールを設定する。スケジュール設定記憶部117が、点検スケジュールデータとグループ形成部118がグループ化した非常灯400のアドレスデータとを関連付けて記憶する(ステップS3)。ここで、ステップS1~ステップS3におけるアドレス取得、グループ設定およびスケジュール設定の工程は、点検毎に行ってもよいし、一度だけの設定でもよい。
【0057】
照明統合操作器100において、制御装置部110の計時部114は、計時した現在の時刻をスケジュール判定部115に送る(ステップS4)。スケジュール判定部115は、スケジュール設定記憶部117に記憶された点検スケジュールデータにおける点検開始時刻と計時部114が計時する現在の時刻とが一致するかどうかを判定する(ステップS5)。スケジュール判定部115は、時刻が一致したと判定すると、指示部116に、点検対象とするグループの点検指示を行う。一方、スケジュール判定部115は、時刻が一致しないと判定すると、ステップS4に戻って処理を続ける。指示部116は、点検対象とするグループの非常灯400に対して、点検指示にかかる指示信号を送信する(ステップS6)。
【0058】
点検指示の信号を受信した非常灯400では、点灯装置410の点検処理部412が処理を開始し、非常灯400は自己点検を行う(ステップS11)。自己点検としては、たとえば、各非常灯400が、光源部430が蓄電池420が供給する電力で、規定時間、点灯可能であるかどうかを点検する点検工程および点検後に蓄電池420を充電する充電工程を行う。ただし、点検については、このような内容に限定するものではない。たとえば、タイマ動作により、任意の時間、光源部430が点灯するものであってもよい。点検処理部412は、自己点検の結果を判定する(ステップS12)。また、点検処理部412は、判定結果に基づいてモニタ470に表示させる(ステップS13)。そして、点検処理部412は、送信部415に、点検結果のデータを含む結果信号を照明統合操作器100へ送信させる(ステップS14)。
【0059】
照明統合操作器100において、制御装置部110のステータス取得部113は、各非常灯400から送信された信号内の点検結果のデータを取得する(ステップS7)。ステータス記憶部112は、ステータス取得部113が取得した点検結果のデータと非常灯400のアドレスデータとを関連付けて記憶する(ステップS8)。また、ステータス判定部111は、点検結果のデータに基づいて、各非常灯400の正常または異常を判定する(ステップS9)。そして、ステータス判定部111は、判定結果を報知部140に報知させる(ステップS10)。前述したように、報知部140は、正常の場合は発光手段が緑色で発光し、異常の場合は発光手段が赤色で発光する。照明統合操作器100は、スケジュール設定記憶部117に記憶された点検スケジュールデータに基づき、各グループに対し、ステップS4~ステップS10の処理を行う。
【0060】
以上のように、実施の形態2に係る照明システムによれば、照明統合操作器100の制御装置部110において、アドレス取得部119が複数の非常灯400からアドレスデータを取得する。また、グループ形成部118がアドレスデータに基づき、複数の非常灯400をグループに分けてグループを形成する。そして、スケジュール設定記憶部117が、各グループにおける点検スケジュールを設定して、アドレスデータとともに記憶する。そして、スケジュール判定部115が、点検開始時刻になったと判定すると、指示部116が、点検対象の非常灯400に指示信号を送って、非常灯400に点検させる。このため、任意のタイミングで、各非常灯400の点検開始のスケジュールを設定し、実行することができる照明システムを提供することができる。そして、オフィスビル等の施設では、オフィス利用者の作業を阻害しないよう、夜間、休日または一定期間閉館する場合等、影響の小さい時間帯を選択し、一斉点検等を行うことができる。
【0061】
このとき、実施の形態1のように、異なるグループの非常灯400が互いに隣り合う、または、ある非常灯400に隣り合う少なくとも1つの非常灯400が異なるグループとなるようにグループを設定することで、床面照度の極端な低下を抑制することができる。
【0062】
また、実施の形態2に係る照明システムによれば、照明統合操作器100の制御装置部110において、ステータス取得部113が、各非常灯400が行った点検結果のデータを取得する。さらに、ステータス判定部111が、点検結果に基づいて、正常または異常の判定を行って報知部140に報知させる。このため、各非常灯400が有するモニタ470を確認しなくても、点検者が点検結果を把握することができ、効率よく点検などの作業を行うことができる。
【0063】
実施の形態3.
実施の形態2においては、照明統合操作器100が行う非常灯400の点検動作について説明した。ここで、たとえば、点検には、法律等で定められる点検作業だけでなく、非常灯400の状態を定期的に点検する等の状態確認作業を行う場合もある。そこで、実施の形態3においては、照明システムにおいて、非常灯400の状態を検出して確認を行う作業を自動的に行う照明統合操作器100の処理について説明する。ここで、実施の形態3に係る照明システムは、実施の形態2で説明した照明システムと同様の構成である。
【0064】
図11は、実施の形態3に係る照明システムにおける状態(ステータス)確認動作について説明する図である。実施の形態2と同様に、実施の形態3において行われる状態確認動作に係る処理についても、主として制御装置部110における各部が行う。ここで、ステップS21~ステップS23におけるアドレス取得およびグループ設定の工程は、実施の形態2において説明したステップS1~ステップS3における処理と同様である。
【0065】
照明統合操作器100において、制御装置部110の計時部114は、計時した現在の時刻をスケジュール判定部115に送る(ステップS24)。スケジュール判定部115は、スケジュール設定記憶部117に記憶された状態スケジュールデータにおける状態検出開始時刻と計時部114が計時する現在の時刻とが一致するかどうかを判定する(ステップS25)。スケジュール判定部115が時刻が一致したと判定すると、指示部116に、状態取得対象とするグループのステータス取得指示を行う。一方、スケジュール判定部115は、時刻が一致しないと判定すると、ステップS24に戻って処理を続ける。指示部116は、状態取得対象とするグループの非常灯400に対して、ステータス取得指示に係る指示信号を送信する(ステップS26)。
【0066】
ステータス取得指示の信号を受信した非常灯400は、点検処理部412が、点検と同様の処理を行って状態検出を開始する(ステップS31)。ここで、点検処理部412が検出する非常灯400の状態は、たとえば、正常、ランプ異常、ランプ交換または電池寿命である。非常灯400において、状態検出の際に、蓄電池420が光源部430等に電力供給を行うため、状態検出後に、蓄電池420を充電する充電工程を行う。点検処理部412は、状態検出の結果を判定する(ステップS32)。また、点検処理部412は、判定結果に基づいてモニタ470に表示させる(ステップS33)。そして、点検処理部412は、送信部415に、状態検出結果のデータを含む結果信号を照明統合操作器100へ送信させる(ステップS34)。
【0067】
照明統合操作器100において、制御装置部110のステータス取得部113は、各非常灯400から送信された信号内の状態検出結果のデータを取得する(ステップS27)。ステータス記憶部112は、ステータス取得部113が取得した状態検出結果のデータと非常灯400のアドレスデータとを関連付けて記憶する(ステップS28)。また、ステータス判定部111は、状態検出結果のデータに基づいて、各非常灯400の状態を判定する(ステップS29)。そして、ステータス判定部111は、判定結果を報知部140に報知させる(ステップS30)。前述したように、報知部140は、正常の場合は発光手段が緑色で発光し、ランプ異常状態の場合は発光手段が赤色で発光する。また、報知部140は、ランプ交換状態の場合は発光手段が黄色で発光し、電池寿命状態の場合はオレンジで発光する。照明統合操作器100は、スケジュール設定記憶部117に記憶された状態スケジュールデータに基づき、各グループに対し、ステップS24~ステップS30の処理を行う。
【0068】
以上のように、実施の形態3においては、法に則るなどした定期点検だけでなく、任意のタイミングで行う非常灯400の状態検出においても、ステータス取得を自動的に行うことができる。このため、非常灯400における異常を、照明統合操作器100において確認することができ、寿命となる蓄電池420の交換を促すことができる。また、各非常灯400が有するモニタ470を確認しなくても、点検者であるユーザーが蓄電池420の寿命等に関する状態検出を行って確認することができ、効率よく状態確認などの作業を行うことができる。
【0069】
実施の形態4.
実施の形態1~実施の形態3においては、点検および状態検出対象となる防災灯の一例として、非常灯400を点検等する場合について説明したが、これに限定するものではない。たとえば、誘導灯500においても同様である。
【0070】
図12は、実施の形態4に係る誘導灯500の外観を示す図である。図12に示す誘導灯500は、停電時等において、内蔵する蓄電池(図示せず)からの電力供給によって、光源が規定時間以上、非常点灯する非常用照明器具である。そして、誘導灯500は、非常灯400と同様に、モニタ510および点検スイッチ520を有し、点灯装置(図示せず)を内蔵して、点検および状態検出を行うことができる。したがって、点検および状態検出対象が誘導灯500であっても、実施の形態1~実施の形態3において説明したことと同様の効果を奏することができる。
【0071】
また、照明空間内に設置された非常灯400と誘導灯500とを併合してグループを分け、グループ設定を行ってもよい。また、実施の形態1等では、埋め込み型の非常灯400について説明したが、埋め込み型に限定する必要はなく、直付け型等の防災灯であってもよい。
【0072】
そして、実施の形態1等においては、照明器具が防災灯である場合について説明したが、これに限定するものではない。たとえば、蓄電池を内蔵する照明器具または内部部品の自己点検等を行う照明器具を点検対象等として、実施の形態1~実施の形態3において説明した点検方法および照明システムを適用することができる。
【0073】
また、実施の形態2および実施の形態3の照明システムでは、照明統合操作器100がスケジュール判定部115およびスケジュール設定記憶部117を有し、指示部116から指示信号を送って、非常灯400が自己点検または状態検出を行った。しかし、これに限定するものではない。
【0074】
たとえば、非常灯400が計時装置などを有し、また、照明統合操作器100から送られた信号内の点検スケジュールデータまたは状態スケジュールデータを記憶しておく。そして、非常灯400が計時装置の計時と点検スケジュールデータまたは状態スケジュールデータとに基づいて開始時刻を判定し、自己点検または状態検出を開始してもよい。
【0075】
実施の形態1等では、オフィスを想定した照明空間について説明したが、これに限定するものではない。たとえば、商業施設、学校、病院または倉庫等、その他の施設であってもかまわない。また、それら施設内の通路またはその他の空間における照明器具に対しても、実施の形態1~実施の形態3において説明した点検方法および照明システムを適用することができる。
【0076】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0077】
(付記1)
照明空間に設置され、蓄電池を有する複数の照明器具を点検する方法であって、
複数の前記照明器具を、複数のグループに分ける設定を行うグループ設定工程と、
前記照明器具が、前記蓄電池を放電させて行う前記点検を少なくとも前記グループ毎に行う点検工程と、
前記点検工程が終了すると、前記蓄電池を充電する充電工程と
を有し、
前記グループに決められた順番で、1つの前記グループにおける前記蓄電池の前記充電工程が終了すると、次の前記グループに属する前記照明器具が前記点検工程および前記充電工程を行い、前記点検工程および前記充電工程を行っている前記グループ以外の他の前記グループの前記照明器具は待機する照明器具の点検方法。
(付記2)
複数の前記照明器具に設定されたアドレスに関する情報をデータとして取得するアドレス取得工程と、
前記アドレスに関する情報に基づき、前記グループ設定工程において設定したそれぞれの前記グループにおける点検開始時刻を設定するスケジュール設定工程と
を有し、
前記スケジュール設定工程は、1つの前記グループにおける前記照明器具の前記点検工程および前記充電工程を行う時間よりも長い時間を空けて、それぞれの前記グループにおける前記点検開始時刻を設定する付記1に記載の照明器具の点検方法。
(付記3)
前記グループ設定工程において、異なる前記グループの前記照明器具が互いに隣り合うように前記グループを設定する付記1または付記2に記載の照明器具の点検方法。
(付記4)
前記グループ設定工程において、ある前記照明器具に対して隣り合う前記照明器具のうち、少なくとも1つの前記照明器具が異なる前記グループとなるように前記グループを設定する付記1または付記2に記載の照明器具の点検方法。
(付記5)
前記照明器具は、LEDを光源とする付記1~付記4のいずれか1つに記載の照明器具の点検方法。
(付記6)
電気的負荷となる光源部および前記光源部に電力を供給する蓄電池を有する複数の照明器具と、
複数の前記照明器具を複数のグループに分ける設定を行うグループ形成部およびそれぞれの前記グループに属する前記照明器具の点検および前記蓄電池への充電のスケジュールを設定するスケジュール設定記憶部を有し、複数の前記照明器具と通信接続された照明制御装置とを備え、
前記スケジュール設定記憶部は、1つの前記グループに属する前記照明器具の前記点検および前記充電を終了後に、次の前記グループに属する前記照明器具の前記点検および前記充電を開始する前記スケジュールを設定する照明システム。
(付記7)
複数の前記照明器具は、設置位置を示すアドレスデータをそれぞれ有し、
前記照明制御装置は、複数の前記照明器具から前記アドレスデータを取得するアドレス取得部を有し、
前記グループ形成部は、複数の前記照明器具における前記アドレスデータから前記複数のグループを設定する付記6に記載の照明システム。
(付記8)
前記グループ形成部は、異なる前記グループの前記照明器具が互いに隣り合うように前記グループを設定する付記6または付記7に記載の照明システム。
(付記9)
前記グループ形成部は、ある前記照明器具に対して隣り合う前記照明器具のうち、少なくとも1つの前記照明器具が異なる前記グループとなるように前記グループを設定する付記6または付記7に記載の照明システム。
(付記10)
複数の前記照明器具は、前記光源部にLEDを有する付記6~付記9のいずれか1つに記載の照明システム。
(付記11)
前記スケジュール設定記憶部は、1つの前記グループに属する前記照明器具が前記点検を開始してから次の前記グループに属する前記照明器具が前記点検を開始するまでの時間を、前記照明器具の前記点検および前記充電の時間よりも長い時間となるように前記スケジュールを設定する付記6~付記10のいずれか1つに記載の照明システム。
(付記12)
前記照明制御装置はそれぞれ計時装置を有し、
前記スケジュール設定記憶部が設定した前記スケジュールおよび前記計時装置の計時に基づき、点検対象となる前記グループの前記照明器具に点検指示信号を送る付記6~付記11のいずれか1つに記載の照明システム。
(付記13)
複数の前記照明器具は計時装置を有し、
前記照明制御装置から送られる前記スケジュールおよび前記計時装置の計時に基づき、前記点検および前記充電を行う付記6~付記12のいずれか1つに記載の照明システム。
(付記14)
前記照明制御装置は、複数の前記照明器具から送られる結果信号に含まれる点検結果のデータを取得するステータス取得部を有する付記6~付記13のいずれか1つに記載の照明システム。
【符号の説明】
【0078】
100 照明統合操作器、110 制御装置部、111 ステータス判定部、112 ステータス記憶部、113 ステータス取得部、114 計時部、115 スケジュール判定部、116 指示部、117 スケジュール設定記憶部、118 グループ形成部、119 アドレス取得部、120 操作部、130 表示部、140 報知部、200 照明ネットワークコントローラ、300 照明コントローラ、400 非常灯、410 点灯装置、411 受信部、412 点検処理部、413 点灯回路、414 充電回路、415 送信部、420 蓄電池、430 光源部、440 本体、450 取付バネ、460 枠、470 モニタ、480 点検スイッチ、500 誘導灯、510 モニタ、520 点検スイッチ、1000 非常灯、2000 照明器具、3000 天井、4000 通路、5000 リモートコントローラ、5100 ボタン。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12