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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151052
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】オイル流通構造
(51)【国際特許分類】
   F01M 5/00 20060101AFI20241017BHJP
【FI】
F01M5/00 P
F01M5/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064168
(22)【出願日】2023-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 昌幸
【テーマコード(参考)】
3G313
【Fターム(参考)】
3G313BB34
3G313BD49
3G313EA26
3G313FA08
3G313FA09
(57)【要約】
【課題】エンジン始動時に油温を早期に上昇できるオイル流通構造を提供する。
【解決手段】オイル流通構造1は、エンジン10と、エンジン10に設けられたオイルパン20と、オイルパン20に接続され、エンジン10を潤滑するためのエンジンオイルOLを溜めるサブタンク40と、オイルパン20に接続され、エンジン10を潤滑するためのエンジンオイルOLの一部を内部に貯留して保温する保温タンク45と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
前記エンジンに設けられたオイルパンと、
前記オイルパンに接続され、前記エンジンを潤滑するためのオイルを溜めるサブタンクと、
前記オイルパンに接続され、前記エンジンを潤滑するためのオイルの一部を内部に貯留して保温する保温タンクと、を備える、オイル流通構造。
【請求項2】
前記保温タンクの容量が前記オイルパンの容量以上である、請求項1に記載のオイル流通構造。
【請求項3】
前記サブタンクの容量が前記保温タンクの容量よりも大きい、請求項2に記載のオイル流通構造。
【請求項4】
前記オイルパンに対して、前記サブタンクと前記保温タンクとが並列に接続されている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のオイル流通構造。
【請求項5】
前記オイルパンと前記保温タンクとを連通する連通管と、
前記連通管に設けられ、前記連通管を流れるオイルの流量を制御する制御バルブと、を備える、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のオイル流通構造。
【請求項6】
前記制御バルブが閉じられた状態で、前記エンジンの内部でオイルが循環し、
前記制御バルブを開くことにより、前記保温タンク内の保温されたオイルが前記オイルパンへ流れる、請求項5に記載のオイル流通構造。
【請求項7】
前記制御バルブを開くことにより、前記オイルパンと前記保温タンクとの間をオイルが循環する、請求項6に記載のオイル流通構造。
【請求項8】
前記制御バルブが開かれた状態で、さらに、前記オイルパンと前記サブタンクとの間をオイルが循環する、請求項7に記載のオイル流通構造。
【請求項9】
前記オイルパン内のオイルを吸い上げるオイルポンプをさらに備え、
前記連通管は、前記オイルポンプの吸込口に向いて開口している、請求項6に記載のオイル流通構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、オイル流通構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2006-77601号公報(特許文献1)には、エンジン本体側のオイルパンと、オイルパンに接続されるサブタンクと、を設けて、使用オイルの総量を増加させることによって、オイルの劣化を遅延させてメンテナンスを行うスパンを長期化する効果が見込める、と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-77601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エンジンの冷間始動時などの、エンジンオイルの温度が低いときには、エンジンオイルの粘度が高く、機械損失(フリクションロス)が増加し燃費悪化の原因となる。エンジンの始動直後から適温のエンジンオイルをエンジンの潤滑に使用できることが求められている。
【0005】
本開示では、エンジン始動時に油温を早期に上昇できる、オイル流通構造が提案される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従うと、エンジンと、エンジンに設けられたオイルパンと、オイルパンに接続され、エンジンを潤滑するためのオイルを溜めるサブタンクと、オイルパンに接続され、エンジンを潤滑するためのオイルの一部を内部に貯留して保温する保温タンクと、を備える、オイル流通構造が提案される。
【0007】
このオイル流通構造においては、エンジンの始動時に、保温タンク内に貯留され保温されたオイルをオイルパンに供給することができ、エンジンに供給されるオイルの温度を早期に上昇することができる。
【0008】
上記のオイル流通構造において、保温タンクの容量がオイルパンの容量以上であってもよい。オイルパン内のオイルの全量を、保温タンク内に溜められたオイルで置換することができるので、オイルをより早く昇温することができる。
【0009】
上記のオイル流通構造において、サブタンクの容量が保温タンクの容量よりも大きくてもよい。サブタンク内に多量のオイルを溜めることができ、エンジンの潤滑に使われるオイルの量を増加できるので、オイルの劣化を抑制することができる。
【0010】
上記のオイル流通構造において、オイルパンに対して、サブタンクと保温タンクとが並列に接続されていてもよい。これにより、オイル流通構造の構造を簡略化でき、オイル流通構造の全体を小型化することができる。
【0011】
上記のオイル流通構造は、オイルパンと保温タンクとを連通する連通管と、連通管に設けられ、連通管を流れるオイルの流量を制御する制御バルブと、を備えてもよい。エンジンを始動するときに、制御バルブを開いて保温タンク内の保温されたオイルをオイルパンへ流すことができる。
【0012】
上記のオイル流通構造において、制御バルブが閉じられた状態で、エンジンの内部でオイルが循環し、制御バルブを開くことにより、保温タンク内の保温されたオイルがオイルパンへ流れてもよい。保温タンク内の油温が低下した状態でエンジンを始動するときには、制御バルブを閉じてエンジン内のみでオイルを循環させることで、オイルの温度上昇を早めることができる。保温タンク内の油温が高い状態でエンジンを始動するときには、制御バルブを開いて保温タンク内のオイルをオイルパンへ流すようにして、エンジンに供給されるオイルの温度を早期に上昇することができる。
【0013】
上記のオイル流通構造において、制御バルブを開くことにより、オイルパンと保温タンクとの間をオイルが循環してもよい。暖機運転中には、オイルパン内の油温と保温タンク内の油温との均一性を向上することができる。通常運転中には、エンジンで加熱されたオイルを保温タンクへ流して、高温のオイルを保温タンクの内部に貯留することができる。
【0014】
上記のオイル流通構造において、制御バルブが開かれた状態で、さらに、オイルパンとサブタンクとの間をオイルが循環してもよい。暖機運転中には、サブタンク内の油温を上昇させることができる。通常運転中には、オイルをサブタンクで冷却できるので、オイルの熱劣化を抑制することができる。
【0015】
上記のオイル流通構造は、オイルパン内のオイルを吸い上げるオイルポンプをさらに備え、連通管は、オイルポンプの吸込口に向いて開口していてもよい。オイルパンと保温タンクとを繋ぐオイルの経路にポンプなどの動力源を設けなくても、保温タンクからオイルパンへオイルを流すことができる。
【発明の効果】
【0016】
本開示に従ったオイル流通構造によると、エンジン始動時に油温を早期に上昇することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態に従ったオイル流通構造の全体構成を模式的に示す図である。
図2】各制御モードにおける油温と制御バルブの開度とを示す表である。
図3】第1の制御モードにおけるオイル流れを示す模式図である。
図4】第2の制御モードにおけるオイル流れを示す模式図である。
図5】第3の制御モードにおけるオイル流れを示す模式図である。
図6】第4の制御モードにおけるオイル流れを示す模式図である。
図7】第5の制御モードにおけるオイル流れを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施形態について図に基づいて説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。実施形態から任意の構成が抽出され、それらが任意に組み合わされることも、当初から予定されている。
【0019】
[構成]
図1は、実施形態に従ったオイル流通構造1の全体構成を模式的に示す図である。オイル流通構造1は、エンジン10と、オイルパン20と、サブタンク40と、保温タンク45と、第1連通管50と、第2連通管60とを主に備えている。
【0020】
エンジン10は、都市ガス、LPG(Liquefied Petroleum Gas)などの気体燃料を用いて作動する。エンジン10は、たとえば、空調設備などに用いられるガスヒートポンプの動力源として用いられる。エンジン10のハウジングの下部に、オイルパン20が設けられている。オイルパン20内に、エンジン10を潤滑するためのエンジンオイルOLが溜められる。
【0021】
エンジン10のハウジングの内部に、オイルポンプ30が配置されている。オイルポンプ30は、オイルパン20内のエンジンオイルOLを吸い上げる。オイルポンプ30は、吸い上げたエンジンオイルOLをエンジン10に供給して、エンジン10を潤滑する。
【0022】
オイルポンプ30に、吸込管31が接続されている。吸込管31はオイルポンプ30の下方に配置されており、上下方向に延びている。吸込管31の上端が、オイルポンプ30に接続されている。吸込管31の下端は開口しており、その開口が吸込口32を形成している。オイルパン20内のエンジンオイルOLは、吸込口32を経由して吸込管31内に吸い込まれて、オイルポンプ30に供給される。オイルパン20の底面22には、底面22の一部が窪んだ凹部23が形成されている。吸込口32は、凹部23に向いて開口している。
【0023】
サブタンク40は、オイルパン20と離れて配置されている。オイルパン20とサブタンク40とは、第1連通管50および第2連通管60によって連通されている。サブタンク40は、第1連通管50および第2連通管60を介して、オイルパン20に接続されている。圧力調節管26は、エンジン10とサブタンク40の上部の気相部とを繋ぎ、エンジン10の内部とサブタンク40内の気相部とを連通している。エンジン10の内部の気体の圧力とサブタンク40内の気相部の気体の圧力とが調節されるので、オイルパン20内のエンジンオイルOLの液面とサブタンク40内のエンジンオイルOLの液面との高さが合わせられている。
【0024】
サブタンク40は、エンジンオイルOLを冷却するオイル冷却構造41を有している。オイル冷却構造41は、水冷式または空冷式などの、冷却媒体との熱交換によってサブタンク40内のエンジンオイルOLを冷却する方式としてもよい。または、電流が印加されて熱を移動させるペルチェ素子などの、エンジンオイルOLを冷却する任意の温度調整装置が、サブタンク40に設けられてもよい。
【0025】
第1連通管50は、流入口51と流出口52とを有している。流入口51は、オイルパン20内に開口している。流出口52は、サブタンク40内に開口している。流入口51を通って、オイルパン20内のエンジンオイルOLが第1連通管50へ流入する。流出口52を通って、第1連通管50からサブタンク40へエンジンオイルOLが流出する。第1連通管50は、オイルパン20からサブタンク40へ向かうエンジンオイルOLの流路を形成している。
【0026】
オイルパン20内に、バッフルプレート21が配置されている。バッフルプレート21は、オイルパン20の内部空間を上下に区画している。エンジン10からオイルパン20へ落下する高温のエンジンオイルOLは、バッフルプレート21の上面に沿って、オイルパン20内を一方方向(図1においては右方向)へ流れる。第1連通管50の流入口51は、バッフルプレート21に沿うエンジンオイルOLの流れの下流端付近において開口している。バッフルプレート21は、エンジン10において熱を受けて温度上昇したエンジンオイルOLを第1連通管50へ導いている。バッフルプレート21は、高温のエンジンオイルOLが、第1連通管50に流入して第1連通管50を経由してサブタンク40へ流れることを、促進している。
【0027】
第2連通管60は、流入口61と流出口62とを有している。流入口61は、サブタンク40内に開口している。流出口62は、オイルパン20内に開口している。流入口61を通って、サブタンク40内のエンジンオイルOLが第2連通管60へ流入する。流出口62を通って、第2連通管60からオイルパン20へエンジンオイルOLが流出する。第2連通管60は、サブタンク40からオイルパン20へ向かうエンジンオイルOLの流路を形成している。
【0028】
第2連通管60は、オイルパン20の底面22を貫通している。第2連通管60は、底面22に形成されている凹部23を貫通している。第2連通管60の流出口62は、オイルポンプ30に接続されている吸込管31の下端の吸込口32に向いて開口している。図1に示されるように、第2連通管60は、流出口62において拡径していてもよい。吸込管31の吸込口32は、第2連通管60の流出口62よりも開口面積が大きくてもよい。
【0029】
オイルポンプ30の吸込口32の手前に第2連通管60を接続することで、オイルポンプ30の吸引力によって、サブタンク40からオイルパン20へエンジンオイルOLが流れる。これにより、オイルパン20とサブタンク40とを繋ぐエンジンオイルOLの経路にポンプなどの動力源を設けなくても、オイルパン20とサブタンク40との間をエンジンオイルOLが循環できる構造とされている。
【0030】
保温タンク45は、オイルパン20と離れて配置され、サブタンク40と離れて配置されている。保温タンク45は、エンジンオイルOLの一部を内部に貯留する。エンジン10の運転中にエンジン10の熱を受けて温度が上昇した、温度の高いエンジンオイルOLが、保温タンク45に供給される。保温タンク45は、タンクの外側に保温構造46を有している。保温タンク45は、内部に貯留する高温のエンジンオイルOLを保温する。保温構造46は、断熱材を有してもよい。保温構造46は、空気層を含んでもよく、真空層を含んでもよい。
【0031】
保温タンク45は、外部からエネルギーの供給を受けて発熱することにより内部に貯留するエンジンオイルOLを加温する、加温機能を有してもよい。加温機能は、たとえば電気ヒータによって実現されてもよい。
【0032】
保温タンク45の容量がオイルパン20の容量以上であるように、オイルパン20と保温タンク45とは構成されている。保温タンク45の容量は、たとえば、オイルパン20の容量の1.0倍よりも大きく1.5倍以下であってもよい。保温タンク45の容量は、たとえば、オイルパン20の容量の1.25倍であってもよい。サブタンク40の容量が保温タンク45の容量よりも大きいように、保温タンク45とサブタンク40とは構成されている。サブタンク40の容量は、たとえば、保温タンク45の容量の1.5倍以上4.0倍以下であってもよい。サブタンク40の容量は、たとえば、保温タンク45の容量の2.0倍であってもよい。
【0033】
分岐管53は、第1連通管50から分岐している。分岐管53は、保温タンク45に接続されている。保温タンク45は、分岐管53を介して第1連通管50に接続されている。保温タンク45は、分岐管53と第1連通管50とを介して、オイルパン20に接続されている。第1連通管50および分岐管53は、オイルパン20から保温タンク45へ向かうエンジンオイルOLの流路を形成している。
【0034】
分岐管63は、第2連通管60から分岐している。分岐管63は、保温タンク45に接続されている。保温タンク45は、分岐管63を介して第2連通管60に接続されている。保温タンク45は、分岐管63と第2連通管60とを介して、オイルパン20に接続されている。分岐管63および第2連通管60は、保温タンク45からオイルパン20へ向かうエンジンオイルOLの流路を形成している。分岐管63および第2連通管60は、オイルパン20と保温タンク45とを連通する「連通管」の一例に対応する。
【0035】
第1連通管50および第2連通管60はオイルパン20とサブタンク40とを繋ぎ、第1連通管50および第2連通管60の中間に保温タンク45が接続されている。これにより、サブタンク40と保温タンク45とは、オイルパン20に対して、並列に接続されている。
【0036】
オイルパン20に、温度センサ91が設けられている。温度センサ91は、オイルパン20内のエンジンオイルOLの温度(以下、エンジンオイルOLの温度を単に「油温」とも称する)を検出する。温度トランスミッタ94は、温度センサ91の検出した油温を示す電気信号である検出信号T1を、ECU(Electronic Control Unit)80に送信する。
【0037】
保温タンク45内に、温度センサ92が設けられている。温度センサ92は、保温タンク45内のエンジンオイルOLの温度を検出する。温度トランスミッタ95は、温度センサ92の検出した油温を示す電気信号である検出信号T2を、ECU80に送信する。サブタンク40内に、温度センサ93が設けられている。温度センサ93は、サブタンク40内のエンジンオイルOLの温度を検出する。温度トランスミッタ96は、温度センサ93の検出した油温を示す電気信号である検出信号T3を、ECU80に送信する。
【0038】
第2連通管60には、制御バルブ70Aが設けられている。ECU80は、制御バルブ70Aへ制御信号VAを送信して、制御バルブ70Aの開度を制御する。制御バルブ70Aは、「連通管」に設けられ「連通管」を流れるエンジンオイルOLの流量を制御する、「制御バルブ」の一例に対応する。
【0039】
第1連通管50から分岐管53が分岐する分岐部分に、制御バルブ70B1,70B2が設けられている。制御バルブ70B1は、分岐管53に設けられている。制御バルブ70B1は、保温タンク45の入口に設けられている。制御バルブ70B2は、第1連通管50から分岐管53が分岐する分岐部分よりもサブタンク40側に設けられている。制御バルブ70B2は、サブタンク40の入口に設けられている。ECU80は、制御バルブ70B1,70B2へ制御信号VBを送信して、制御バルブ70B1,70B2の開度を制御する。
【0040】
第2連通管60から分岐管63が分岐する分岐部分に、制御バルブ70C1,70C2が設けられている。制御バルブ70C1は、分岐管63に設けられている。制御バルブ70C1は、保温タンク45の出口に設けられている。制御バルブ70C2は、第2連通管60から分岐管63が分岐する分岐部分よりもサブタンク40側に設けられている。制御バルブ70C2は、サブタンク40の出口に設けられている。ECU80は、制御バルブ70C1,70C2へ制御信号VCを送信して、制御バルブ70C1,70C2の開度を制御する。
【0041】
ECU80は、オイルパン20内のエンジンオイルOLの温度、保温タンク45内のエンジンオイルOLの温度、およびサブタンク40内のエンジンオイルOLの温度に基づいて、制御バルブ70A、制御バルブ70B1,70B2、および制御バルブ70C1,70C2の開度を制御する。これによりECU80は、オイルパン20と保温タンク45とを循環するエンジンオイルOLの流量を制御し、オイルパン20とサブタンク40とを循環するエンジンオイルOLの流量を制御する。
【0042】
[動作]
図2は、各制御モードにおける油温と制御バルブの開度とを示す表である。図2および後続の図を適宜参照して、オイルパン20、保温タンク45およびサブタンク40内の油温に関連して設定されるオイル流通構造1の制御モードと、各制御モードにおける、制御バルブ70A,70B1,70B2,70C1,70C2の開度、およびエンジンオイルOLの流れとについて説明する。
【0043】
オイルパン20内の油温、保温タンク45内の油温、およびサブタンク40内の油温に関して、それぞれ、第1の閾値と、第1の閾値よりも高い第2の閾値とが設定されてもよい。第1の閾値と第2の閾値とは、ECU80の記憶部に予め記憶されていてもよい。ECU80は、油温が第1の閾値未満であるときに油温を「低」と判断し、油温が第1の閾値以上第2の閾値未満であるときに油温を「中」と判断し、油温が第2の閾値以上であるときに油温を「高」と判断してもよい。
【0044】
図2に示されるように、オイルパン20内の油温が「低」、保温タンク45内の油温が「低」、サブタンク40内の油温が「低」のときに、オイル流通構造1は第1の制御モードとされる。第1の制御モードは、エンジン10が長時間停止した結果、保温タンク45内の油温が下がり、保温タンク45内の油温が「低」となった状態で、エンジン10を始動するときの運転モードである。
【0045】
図2に示される「バルブA」「バルブB1」「バルブB2」「バルブC1」「バルブC2」は、それぞれ、制御バルブ70A、制御バルブ70B1、制御バルブ70B2、制御バルブ70C1、制御バルブ70C2を示す。第1の制御モードでは、ECU80は、制御バルブ70A、制御バルブ70B1、制御バルブ70B2、制御バルブ70C1、および制御バルブ70C2を、いずれも全閉(開度0%)にする。
【0046】
図3は、第1の制御モードにおけるオイル流れを示す模式図である。第1の制御モードでは、制御バルブ70A,70B1,70B2,70C1,70C2のすべてが全閉であるので、オイルパン20と保温タンク45との間を循環するエンジンオイルOLの流れは発生しない。オイルパン20とサブタンク40との間を循環するエンジンオイルOLの流れは発生しない。オイルパン20内のエンジンオイルOLはオイルパン20から流出しない。サブタンク40または保温タンク45内のエンジンオイルOLがオイルパン20に流れ込むことがない。
【0047】
したがって第1の制御モードでは、オイルポンプ30がオイルパン20内のエンジンオイルOLを吸い上げてエンジン10に供給し、エンジン10を潤滑および冷却したエンジンオイルOLの全量がオイルパン20へ戻る。エンジンオイルOLは、エンジン10のハウジング内を循環する。なお、図3および後続の図に示される矢印は、オイル流通構造1の各制御モードにおけるエンジンオイルOLの流れを示す。
【0048】
サブタンク40内のエンジンオイルOL、および保温タンク45内のエンジンオイルOLが、エンジン10側へ流れず、各タンク内に留まっている。そのため、エンジン10のハウジング内を循環するエンジンオイルOLの量が、小さくなっている。オイルパン20内のエンジンオイルOLがエンジン10に向けて繰り返し流されてエンジン10の熱を受けることにより、エンジンオイルOLの温度が上昇する。循環するエンジンオイルOLの量が少ないので、エンジンオイルOLを短時間で温度上昇させることができ、エンジンオイルOLを早期に適温にまで昇温することができる。
【0049】
制御バルブ70Aを全閉にしていれば。サブタンク40または保温タンク45内のエンジンオイルOLがオイルパン20に流れ込まなくすることができるので、制御バルブ70B1,70C1は必ずしも全閉でなくてもよい。すなわち、第1の制御モードにおけるバルブ開度は、制御バルブ70Aを全閉にすることが必須であり、保温タンク45の入口の制御バルブ70B1と保温タンク45の出口の制御バルブ70C1とは、両方とも全閉であってもよく、いずれか一方または両方が全開または中間開度であってもよい。制御バルブ70B1と制御バルブ70C1との両方を開状態にしておくことで、制御バルブ70Aを開くと、直ちにオイルパン20と保温タンク45とを循環するエンジンオイルOLの流れを発生させることができる。
【0050】
図2に示されるように、オイルパン20内の油温が「低」、保温タンク45内の油温が「高」、サブタンク40内の油温が「低」のときに、オイル流通構造1は第2の制御モードとされる。第2の制御モードは、エンジン10の停止時間が比較的短く、以前のエンジン10の稼働時に保温タンク45内に貯留されたエンジンオイルOLの温度が「高」の範囲に保たれている状態で、エンジン10を始動するときの運転モードである。
【0051】
第2の制御モードでは、ECU80は、制御バルブ70A、制御バルブ70B1、および制御バルブ70C1を、全開(開度100%)にする。ECU80は、制御バルブ70B2および制御バルブ70C2を、全閉にする。
【0052】
図4は、第2の制御モードにおけるオイル流れを示す模式図である。第2の制御モードでは、制御バルブ70A,70B1,70C1が全開であるので、オイルパン20と保温タンク45との間を循環するエンジンオイルOLの流れが発生する。保温タンク45内の保温されたエンジンオイルOLが、オイルパン20に流れ込む。オイルポンプ30によってオイルパン20から吸い上げられてエンジン10に供給されたエンジンオイルOLは、バッフルプレート21によって導かれて第1連通管50に流入し、保温タンク45へ流れる。一方、制御バルブ70B2,70C2が全閉であるので、オイルパン20とサブタンク40との間を循環するエンジンオイルOLの流れは発生しない。
【0053】
第2の制御モードでは、前回のエンジン10の稼働時に保温タンク45内に溜められたエンジンオイルOLが、エンジン10の停止中に保温されて、高温に保たれている。エンジン10の始動時に、保温タンク45内の高温のエンジンオイルOLがオイルパン20に流入して、エンジン10に供給される。エンジン10の停止中にオイルパン20内の油温が低下しても、保温タンク45内の温度が高く粘度の低いエンジンオイルOLをオイルパン20に循環させることで、エンジン10に供給される油温を早期に上昇できる。これにより、機械損失を低減でき、燃費を向上することができる。
【0054】
保温タンク45の容量がオイルパン20の容量以上であれば、オイルパン20内のエンジンオイルOLの全量を、保温タンク45内に溜められた高温のエンジンオイルOLで置換することができる。したがって、エンジンオイルOLをより早く昇温することができる。
【0055】
図2に示されるように、オイルパン20内の油温が「中」、保温タンク45内の油温が「中」、サブタンク40内の油温が「低」のときに、オイル流通構造1は第3の制御モードとされる。第3の制御モードは、第1の制御モードでオイルパン20内のエンジンオイルOLを昇温させた後に、または、第2の制御モードで保温タンク45内に高温のエンジンオイルOLが貯留されている場合に、オイルパン20と保温タンク45との間でエンジンオイルOLを循環させることにより、オイルパン20内の油温と保温タンク45内の油温とが均一化したときの運転モードである。
【0056】
第3の制御モードでは、ECU80は、制御バルブ70Aの開度を中間開度にする。バルブの中間開度とは、全閉(開度0%)でなく全開(開度100%)でない開度をいう。ECU80はたとえば、第3の制御モードにおける制御バルブ70Aの開度を、10%以上40%以下に設定してもよい。第2の制御モードと同様に、ECU80は、制御バルブ70B1、および制御バルブ70C1を、全開(開度100%)にし、制御バルブ70B2および制御バルブ70C2を、全閉にする。すなわち、第2の制御モードにおけるバルブ開度と第3の制御モードにおけるバルブ開度とは、制御バルブ70Aの開度のみが異なっている。
【0057】
図5は、第3の制御モードにおけるオイル流れを示す模式図である。制御バルブ70Aが中間開度であり制御バルブ70B1,70C1が全開であるので、オイルパン20と保温タンク45との間を循環するエンジンオイルOLの流れが発生する。制御バルブ70B2,70C2が全閉であるので、オイルパン20とサブタンク40との間を循環するエンジンオイルOLの流れは発生しない。
【0058】
制御バルブ70Aの開度が全開から絞られて中間開度とされているので、オイルパン20とサブタンク40とを循環するエンジンオイルOLの流量が下げられている。そのため、エンジン10のハウジング内を循環するエンジンオイルOLの流れが発生している。一部のエンジンオイルOLがエンジン10に向けて繰り返し流されることで、そのエンジンオイルOLの油温上昇が促進されている。これにより、エンジンオイルOLを早期に適温にまで昇温することができ、暖気時間を短くできる。
【0059】
このときに、保温タンク45へのエンジンオイルOLの循環が継続されており、温度上昇したエンジンオイルOLが保温タンク45へも流れる。これにより、オイルパン20内の油温が保温タンク45内の油温よりも高くなることが抑制され、保温タンク45内の油温を高く保つことが可能になる。
【0060】
図2に示されるように、第3の制御モードを継続することによりオイルパン20および保温タンク45内の油温が上昇すると、オイル流通構造1を第4の制御モードとする。第4の制御モードにおいては、オイルパン20内の油温は「中」、保温タンク45内の油温は「中」、サブタンク40内の油温は「中」の範囲とされる。第4の制御モードは、暖機運転が間もなく終わる状態での運転モードである。
【0061】
第4の制御モードでは、ECU80は、制御バルブ70Aの開度を中間開度にする。このときの制御バルブ70Aの開度は、第3の制御モードにおける制御バルブ70Aの開度よりも大きくてもよい。ECU80はたとえば、第4の制御モードにおける制御バルブ70Aの開度を、40%以上70%以下に設定してもよい。第2の制御モードと同様に、ECU80は、制御バルブ70B1および制御バルブ70C1を全開(開度100%)にする。ECU80は、制御バルブ70B2の開度を中間開度にし、制御バルブ70C2を全開にする。ECU80はたとえば、第4の制御モードにおける制御バルブ70B2の開度を、10%以上50%以下に設定してもよい。
【0062】
図6は、第4の制御モードにおけるオイル流れを示す模式図である。制御バルブ70Aが中間開度、制御バルブ70B1,70C1が全開であるので、オイルパン20と保温タンク45との間を循環するエンジンオイルOLの流れが発生する。制御バルブ70Aが中間開度、制御バルブ70B2が中間開度、制御バルブ70C2が全開であるので、オイルパン20とサブタンク40との間を循環するエンジンオイルOLの流れが発生する。第4の制御モードでは、オイルパン20から保温タンク45とサブタンク40との両方へのエンジンオイルOLの流れが発生する。
【0063】
サブタンク40へのエンジンオイルOLの流れを発生させることで、サブタンク40内の油温を上昇させている。容量の大きいサブタンク40内のエンジンオイルOLをエンジン10の潤滑に使うようにすることで、循環するエンジンオイルOLの流量が増加している。これによりエンジンオイルOLの劣化が抑制される。
【0064】
サブタンク40に設けられたオイル冷却構造41が、エンジンオイルOLの冷却能力を変動できる仕様である場合には、第4の制御モードにおいてはオイル冷却構造41の冷却能力を小さくすることができる。これにより、サブタンク40内の油温を短時間で上昇させることができるので、暖機運転に要する時間をより短縮できる。
【0065】
図2に示されるように、オイルパン20内の油温が「高」にまで上昇すると、オイル流通構造1を第5の制御モードとする。第5の制御モードは、暖機運転が終了しエンジン10のハウジング内の油温が規定の温度に到達した後の、通常の運転モードである。第5の制御モードにおいては、保温タンク45内の油温は「高」とされ、オイル冷却構造41がサブタンク40内のエンジンオイルOLを冷却することでサブタンク40内の油温は「中」とされる。
【0066】
第5の制御モードでは、ECU80は、制御バルブ70A、制御バルブ70B2、制御バルブ70C1、および制御バルブ70C2を、全開(開度100%)にする。ECU80は、制御バルブ70B1を中間開度にする。ECU80はたとえば、第5の制御モードにおける制御バルブ70B1の開度を、0%超50%以下に設定してもよい。
【0067】
図7は、第5の制御モードにおけるオイル流れを示す模式図である。第5の制御モードでは、制御バルブ70A,70B2,70C2が全開であるので、オイルパン20とサブタンク40との間を循環するエンジンオイルOLの流れが発生する。エンジン10において熱を受けて温度上昇したエンジンオイルOLが、サブタンク40へ流れて、サブタンク40内で冷却されて、オイルパン20へ戻される。サブタンク40においてエンジンオイルOLを冷却できるので、エンジンオイルOLの熱劣化が抑制される。オイル冷却構造41がエンジンオイルOLの冷却能力を変動できる仕様である場合には、第5の制御モードにおいてはオイル冷却構造41の冷却能力を大きくすることができる。
【0068】
制御バルブ70C1が全開であり制御バルブ70C1が中間開度であるので、エンジン10において加熱された高温のエンジンオイルOLの一部が、保温タンク45へ流れる。保温タンク45内の油温を高く保つことにより、エンジン10が停止するときに、保温タンク45内に高温のエンジンオイルが貯留されている状態とすることができる。保温構造46によって保温タンク45内のエンジンオイルOLを保温することで、次回のエンジン10の始動時に保温タンク45内のエンジンオイルOLをオイルパン20へ流して、エンジン10に供給される油温を早期に上昇させることが可能になる。
【0069】
制御バルブ70Aは、第3および第4の制御モードで中間開度とされるので、開度を調整可能な電動弁により構成することができる。制御バルブ70B1は、第5の制御モードで中間開度とされ、制御バルブ70B2は、第4の制御モードで中間開度とされるので、開度を調整可能な電動弁により構成することができる。制御バルブ70C1,70C2は、電磁弁でもよいし、電動弁により構成されてもよい。
【0070】
[作用および効果]
上述した説明と一部重複する記載もあるが、本実施の形態の特徴的な構成および作用効果についてまとめて記載すると、以下の通りである。
【0071】
図1,7に示されるように、サブタンク40と保温タンク45とが、オイルパン20に接続されている。サブタンク40および保温タンク45の内部に、エンジン10を潤滑するためのエンジンオイルOLが溜められている。エンジン10の潤滑に使われるエンジンオイルOLの量が増加しているので、エンジンオイルOLの劣化を抑制することができる。エンジンオイルOLの交換頻度を下げることができ、メンテナンス性に優れたオイル流通構造1を実現することができる。
【0072】
図1に示されるように、保温タンク45は、保温構造46を有しており、内部に貯留するエンジンオイルOLを保温する。図4に示されるように、エンジン10の始動時に、保温タンク45内に貯留され保温されたエンジンオイルOLをオイルパン20に供給することができる。エンジン10に供給されるエンジンオイルOLの温度を早期に上昇することができるので、機械損失を低減でき、燃費を向上することができる。
【0073】
保温タンク45の容量がオイルパン20の容量以上であることにより、オイルパン20内のエンジンオイルOLの全量を、保温タンク45内に溜められた高温のエンジンオイルOLで置換することができる。したがって、エンジンオイルOLをより早く昇温することができる。
【0074】
図1に示されるように、サブタンク40の容量が保温タンク45の容量よりも大きいことにより、サブタンク40内により多量のエンジンオイルOLを溜めることができ、エンジン10の潤滑に使われるエンジンオイルOLの量を増加できるので、より確実にエンジンオイルOLの劣化を抑制することができる。
【0075】
図1に示されるように、オイルパン20とサブタンク40とを連通する第1連通管50および第2連通管60の中間に保温タンク45が接続されており、オイルパン20に対してサブタンク40と保温タンク45とが並列に接続されている。オイルパン20とサブタンク40との間を循環するエンジンオイルOLの経路の一部が、オイルパン20と保温タンク45との間を循環するエンジンオイルOLの経路とされているので、オイル流通構造1の構造を簡略化でき、オイル流通構造1の全体を小型化することができる。
【0076】
図1に示されるように、オイルパン20と保温タンク45とを連通する第2連通管60に、制御バルブ70Aが設けられている。制御バルブ70Aは、第2連通管60を流れるエンジンオイルOLの流量を制御する。図4に示されるように、エンジン10を始動するときに、制御バルブ70Aを開いて保温タンク45内の保温されたエンジンオイルOLをオイルパン20へ流すことにより、エンジン10に供給されるエンジンオイルOLの温度を早期に上昇することができる。
【0077】
図2,3に示されるように、制御バルブ70Aが閉じられた状態で、エンジン10の内部でエンジンオイルOLが循環する。保温タンク45内の油温がオイルパン20内の油温と同程度に低下した状態でエンジン10を始動するときには、制御バルブ70Aを閉じてエンジン10のハウジング内のみでエンジンオイルOLを循環させることで、循環するエンジンオイルOLの流量を小さくして、エンジン10に供給されるエンジンオイルOLの温度上昇を早めることができる。
【0078】
図2,4に示されるように、制御バルブ70Aを開くことにより、保温タンク45内の保温されたエンジンオイルOLがオイルパン20へ流れる。保温タンク45内の油温がオイルパン20内の油温よりも高い状態で、エンジン10を始動するときに、制御バルブ70Aを開いて保温タンク45内のエンジンオイルOLをオイルパン20へ流すようにして、エンジン10に供給されるエンジンオイルOLの温度を早期に上昇することができる。
【0079】
図2,4,7に示されるように、制御バルブ70Aを開くことにより、オイルパン20と保温タンク45との間をエンジンオイルOLが循環する。暖機運転中には、オイルパン20内の油温と保温タンク45内の油温との均一性を向上することができる。通常運転中には、エンジン10で加熱されたエンジンオイルOLを保温タンク45へ流して、高温のエンジンオイルOLを保温タンク45の内部に貯留することができる。
【0080】
図2,6,7に示されるように、制御バルブ70Aが開かれた状態で、さらに、オイルパン20とサブタンク40との間のエンジンオイルOLが循環する。暖機運転中には、サブタンク40内の油温を上昇させることができる。通常運転中には、エンジン10で加熱されたエンジンオイルOLをサブタンク40で冷却できるので、エンジンオイルOLの熱劣化を抑制することができる。
【0081】
図1に示されるように、オイルパン20内のエンジンオイルOLを吸い上げるオイルポンプ30の吸込口32に向いて、第2連通管60が開口している。オイルパン20と保温タンク45とを繋ぐエンジンオイルOLの経路にポンプなどの動力源を設けなくても、保温タンク45からオイルパン20へエンジンオイルOLを流すことができる。これにより、オイル流通構造1の構成を簡略化でき、コストを低減できる。
【0082】
[付記]
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
【0083】
(付記1)
エンジンと、
前記エンジンに設けられたオイルパンと、
前記オイルパンに接続され、前記エンジンを潤滑するためのオイルを溜めるサブタンクと、
前記オイルパンに接続され、前記エンジンを潤滑するためのオイルの一部を内部に貯留して保温する保温タンクと、を備える、オイル流通構造。
【0084】
(付記2)
前記保温タンクの容量が前記オイルパンの容量以上である、付記1に記載のオイル流通構造。
【0085】
(付記3)
前記サブタンクの容量が前記保温タンクの容量よりも大きい、付記1または付記2に記載のオイル流通構造。
【0086】
(付記4)
前記オイルパンに対して、前記サブタンクと前記保温タンクとが並列に接続されている、付記1から付記3のいずれか1つに記載のオイル流通構造。
【0087】
(付記5)
前記オイルパンと前記保温タンクとを連通する連通管と、
前記連通管に設けられ、前記連通管を流れるオイルの流量を制御する制御バルブと、を備える、付記1から付記4のいずれか1つに記載のオイル流通構造。
【0088】
(付記6)
前記制御バルブが閉じられた状態で、前記エンジンの内部でオイルが循環し、
前記制御バルブを開くことにより、前記保温タンク内の保温されたオイルが前記オイルパンへ流れる、付記5に記載のオイル流通構造。
【0089】
(付記7)
前記制御バルブを開くことにより、前記オイルパンと前記保温タンクとの間をオイルが循環する、付記6に記載のオイル流通構造。
【0090】
(付記8)
前記制御バルブが開かれた状態で、さらに、前記オイルパンと前記サブタンクとの間をオイルが循環する、付記7に記載のオイル流通構造。
【0091】
(付記9)
前記オイルパン内のオイルを吸い上げるオイルポンプをさらに備え、
前記連通管は、前記オイルポンプの吸込口に向いて開口している、付記5から付記8のいずれか1つに記載のオイル流通構造。
【0092】
以上のように実施形態について説明を行なったが、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0093】
1 オイル流通構造、10 エンジン、20 オイルパン、21 バッフルプレート、22 底面、23 凹部、26 圧力調節管、30 オイルポンプ、31 吸込管、32 吸込口、40 サブタンク、41 オイル冷却構造、45 保温タンク、46 保温構造、50 第1連通管、51,61 流入口、52,62 流出口、53,63 分岐管、60 第2連通管、70A,70B1,70B2,70C1,70C2 制御バルブ、80 ECU、91,92,93 温度センサ、94,95,96 温度トランスミッタ、OL エンジンオイル、T1,T2,T3 検出信号、VA,VB,VC 制御信号。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7