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特開2024-151056紙送りローラ用ゴム組成物および紙送りローラ
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  • 特開-紙送りローラ用ゴム組成物および紙送りローラ 図1
  • 特開-紙送りローラ用ゴム組成物および紙送りローラ 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151056
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】紙送りローラ用ゴム組成物および紙送りローラ
(51)【国際特許分類】
   C08L 21/00 20060101AFI20241017BHJP
   C08L 23/04 20060101ALI20241017BHJP
   C08K 5/14 20060101ALI20241017BHJP
   F16C 13/00 20060101ALI20241017BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20241017BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
C08L21/00
C08L23/04
C08K5/14
F16C13/00 A
G03G15/00 551
G03G21/16 195
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064175
(22)【出願日】2023-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125184
【弁理士】
【氏名又は名称】二口 治
(74)【代理人】
【識別番号】100188488
【弁理士】
【氏名又は名称】原谷 英之
(72)【発明者】
【氏名】草部 宗己
(72)【発明者】
【氏名】生田 学
【テーマコード(参考)】
2H171
3J103
4J002
【Fターム(参考)】
2H171FA26
2H171GA20
2H171GA40
2H171SA31
2H171UA04
2H171UA06
2H171UA07
2H171UA10
2H171XA02
3J103AA02
3J103AA13
3J103AA32
3J103AA85
3J103BA41
3J103CA02
3J103FA14
3J103FA15
3J103GA02
3J103GA54
3J103GA55
3J103GA57
3J103GA58
3J103GA60
3J103HA03
3J103HA12
3J103HA42
3J103HA53
3J103HA60
4J002AE053
4J002BB032
4J002BB052
4J002BB151
4J002DA038
4J002DE237
4J002EK036
4J002FD017
4J002FD023
4J002FD098
4J002FD146
4J002GM00
(57)【要約】
【課題】成形性が高い紙送りローラ用ゴム組成物を提供する。
【解決手段】紙送りローラ用ゴム組成物は、基材ゴム、架橋剤、および、低密度ポリエチレン(ただし、直鎖状低密度ポリエチレンを除く。)を含有し、前記低密度ポリエチレンの密度が、0.910g/cm3~0.930g/cm3であり、前記低密度ポリエチレンの含有量が、前記基材ゴム100質量部に対して3質量部~35質量部であることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材ゴム、架橋剤、および、低密度ポリエチレン(ただし、直鎖状低密度ポリエチレンを除く。)を含有し、
前記低密度ポリエチレンの密度が、0.910g/cm3~0.930g/cm3であり、
前記低密度ポリエチレンの含有量が、前記基材ゴム100質量部に対して3質量部~35質量部であることを特徴とする紙送りローラ用ゴム組成物。
【請求項2】
前記低密度ポリエチレンが、体積基準の中位径が100μm以下の粉体である請求項1に記載の紙送りローラ用ゴム組成物。
【請求項3】
前記基材ゴムが、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体を含有する請求項1に記載の紙送りローラ用ゴム組成物。
【請求項4】
ローラ本体が、請求項1~3のいずれか1項に記載の紙送りローラ用ゴム組成物から成形されたことを特徴とする紙送りローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙送りローラの形成に使用されるゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
静電式複写機、レーザープリンタ、普通紙ファクシミリ装置、およびこれらの複合機、インクジェットプリンタ等の画像形成装置、ならびに自動現金預払機(ATM)等の機器類における紙送り機構には、各種の紙送りローラが組み込まれている。前記紙送りローラは、紙、プラスチックフィルム等のシートと接触しながら回転して摩擦によってシートを搬送する。
【0003】
紙送りローラは、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)からなるローラを使用することが多い。例えば、特許文献1には、基材ゴムと、この基材ゴム100部に対して5部以上50部以下の超高分子量ポリエチレンとを含むゴム組成物が架橋されてなる紙送りローラが記載されている(特許文献1(請求項1、段落0019~0021)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-179263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
紙送りローラは、接圧面積を大きくするために、ローラ外径を大きくすることが好ましい。しかし、このような外径が大きなローラは、成形が困難であるため、紙送りローラ用ゴム組成物には良好な成形性が求められる。
ここで、ゴム組成物の成形性は、オイル、ワックス等の可塑剤の配合量を増加させることで高めることができる。しかしながら、紙送りローラ用ゴム組成物では、成形後のローラ表面へのブリードや、用紙汚れを防止する観点から、オイル、ワックス等の可塑剤の配合量を増加させることができない。
【0006】
そのため、従来の紙送りローラ用ゴム組成物では、外径が大きなローラを成形する際に、成形不良(充填不足、ゴム割れ・ウェルド等)が発生し易い傾向があった。本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、成形性が高い紙送りローラ用ゴム組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決することができた本発明の紙送りローラ用ゴム組成物は、基材ゴム、架橋剤、および、低密度ポリエチレン(ただし、直鎖状低密度ポリエチレンを除く。)を含有し、前記低密度ポリエチレンの密度が0.910g/cm3~0.930g/cm3であり、前記低密度ポリエチレンの含有量が、前記基材ゴム100質量部に対して3質量部~35質量部であることを特徴とする。
【0008】
ゴム組成物に所定量の低密度ポリエチレンを配合することで、成形時のゴム組成物の流動性が向上し、成形性が良好となる。そのため、外径が大きなローラを成形する場合でも、成形不良の発生を抑制できる。また、低密度ポリエチレンは、ゴムを硬化させた後は、基材ゴムに対して均一に混合された状態で固化する。よって、ブルームが起こることがなく、また、基材ゴムの性能への影響が小さく、紙送りローラの性能を損なうことなく、ゴム組成物の成形性を高めることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、成形性が高い紙送りローラ用ゴム組成物が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の紙送りローラの一例を示す斜視図である。
図2】摩擦係数測定方法を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<紙送りローラ用ゴム組成物>
紙送りローラ用ゴム組成物(以下、単に「ゴム組成物」と称する場合がある。)は、基材ゴム、架橋剤、および、低密度ポリエチレン(ただし、直鎖状低密度ポリエチレンを除く。)を含有する。
【0012】
(基材ゴム)
前記基材ゴムとしては、例えば、エチレン-αオレフィン共重合体、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エピクロルヒドリン系ゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、シリコンゴム等が挙げられる。これらの基材ゴムは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0013】
前記基材ゴムは、エチレン-αオレフィン共重合体を含有することが好ましい。前記エチレン-αオレフィン共重合体は、構成成分として、少なくともエチレンとαオレフィンとを含む共重合体である。また、前記エチレン-αオレフィン共重合体には、エチレンとαオレフィンに少量のジエン成分を加えることで、主鎖中に二重結合を導入したエチレン-αオレフィン-ジエン共重合体も含まれる。前記エチレン-αオレフィン共重合体は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0014】
前記αオレフィンとしては、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン等が挙げられる。
前記ジエン成分としては、エチリデンノルボルネン(ENB)、1,4-ヘキサジエン(1,4-HD)、ジシクロペンタジエン(DCP)等が挙げられ、エチリデンノルボルネンが好ましい。
【0015】
前記エチレン-αオレフィン共重合体としては、エチレン-プロピレン共重合体(EPM)、エチレン-ブテン共重合体(EBR)、エチレン-プロピレン-ブテン共重合体(EPBR)、エチレン-オクテン共重合体(EOR)等が挙げられる。また、前記エチレン-αオレフィン-ジエン共重合体としては、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体(EPDM)、エチレン-ブテン-ジエン共重合体(EBDM)、エチレン-プロピレン-ブテン-ジエン共重合体(EPBDM)等が挙げられる。前記エチレン-αオレフィン共重合体としては、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体(EPDM)が好ましい。
【0016】
前記エチレン-αオレフィン共重合体のエチレン成分の含有率は、40質量%以上が好ましく、より好ましくは45質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上であり、80質量%以下が好ましく、より好ましくは75質量%以下、さらに好ましくは72質量%以下である。エチレン成分の含有率が前記範囲であれば、市販品で入手しやすく、紙送りローラとして成形加工しやすく、紙送りローラとしてより好適なゴムが得られる。
【0017】
前記エチレン-αオレフィン共重合体として、前記エチレン-αオレフィン-ジエン共重合体を用いる場合、ジエン成分の含有率は、0.5質量%以上が好ましく、より好ましくは1.0質量%以上、さらに好ましくは2.0質量%以上であり、15質量%以下が好ましく、より好ましくは13質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。ジエン成分の含有率が前記範囲であれば、市販品で入手しやすく、紙送りローラとして成形加工しやすく、紙送りローラとしてより好適なゴムが得られる。
【0018】
前記基材ゴム中のエチレン-αオレフィン共重合体の含有率は、50質量%以上が好ましく、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。基材ゴム中のエチレン-αオレフィン共重合体の含有率が50質量%以上であれば、得られるローラ本体の耐オゾン性が向上する。
【0019】
前記エチレン-αオレフィン共重合体は、伸展油を加えて柔軟性を調整した油展タイプのものと、加えない非油展タイプのものとがあるが、いずれも使用できる。なお、油展タイプの場合、添加された伸展油の質量は、加工助剤として取り扱うものとする。
【0020】
前記紙送りローラ用ゴム組成物を、給紙トレイ周辺へ配置されるピックローラ、フィードローラ、リタードローラなどの給紙ローラを形成する給紙ローラ用ゴム組成物として使用する場合、基材ゴムは、非油展EPDMと油展EPDMを含有することが好ましい。この場合、基材ゴムに、伸展油が均一に相溶された油展EPDMを配合することで混練の時間を短縮して、混練の作業性を向上することができる。また、油展EPDM中に含まれる伸展油は、成形後のローラ本体の外周面にブリードし難いため、用紙汚れ等を抑制しつつ、ゴム組成物の成形性を高めることができる。
【0021】
前記非油展EPDMのムーニー粘度ML1+4(125℃)は、38以上が好ましく、120以下が好ましく、より好ましくは100以下である。非油展EPDMのムーニー粘度ML1+4(125℃)が38以上であれば、得られるローラ本体の耐摩耗性が向上し、120以下であればゴム組成物の成形性が一層向上する。なお、本明細書においてムーニー粘度(ML1+4(125℃))とは、JIS K6300-1(2013)に準じて、Lローターを使用し、予備加熱時間1分間、ローターの回転時間4分間、125℃の条件下にて測定した値である。
【0022】
前記油展EPDMとしては、EPDMを任意の伸展油によって任意の割合で伸展したものが使用できる。前記伸展油としては、例えば、パラフィンオイルが挙げられる。前記伸展油の油展量はEPDM100質量部に対して、70質量部以上が好ましく、より好ましくは80質量部以上であり、150質量部以下が好ましく、より好ましくは120質量部以下である。
【0023】
前記ゴム組成物において、油展EPDM中のEPDMと非油展EPDMとの合計100質量部に対する油展EPDM中の伸展油の含有量は、10質量部以上が好ましく、より好ましくは15質量部以上であり、100質量部以下が好ましく、より好ましくは90質量部以下である。
【0024】
(架橋剤)
前記ゴム組成物は、架橋剤を含有する。前記架橋剤としては、有機過酸化物、硫黄系架橋剤等が挙げられる。前記ゴム組成物が架橋剤を含有することで、得られる紙送りローラの耐摩耗性がより向上する。前記架橋剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0025】
前記有機過酸化物としては、ジクミルパーオキサイド、α,α’-ビス(t-ブチルパーオキシ-m-ジイソプロピル)ベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)3,3,5-トリメチルシクロヘキサンなどが挙げられる。
【0026】
前記硫黄系架橋剤としては単体硫黄、硫黄ドナー型化合物が挙げられる。前記単体硫黄としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド状硫黄、不溶性硫黄が挙げられる。前記硫黄ドナー型化合物としては、4,4’-ジチオビスモルホリンなどが挙げられる。
【0027】
前記架橋剤の含有量は、前記基材ゴム100質量部に対して1.5質量部以上が好ましく、より好ましくは2.0質量部以上、さらに好ましくは2.5質量部以上であり、5.0質量部以下が好ましく、より好ましくは4.0質量部以下、さらに好ましくは3.5質量部以下である。前記加硫剤の含有量が1.5質量部以上であれば形成されるローラの耐摩耗性がより向上し、5.0質量部以下であれば形成されるローラの硬度が高くなりすぎず、摩擦係数がより良好となる。
【0028】
(低密度ポリエチレン)
前記ゴム組成物は、低密度ポリエチレン(LDPE)を含有する。低密度ポリエチレンは、エチレンの単独重合体であり、分子鎖中にランダムに分岐構造を有しており、密度が0.910g/cm3~0.930g/cm3である。前記低密度ポリエチレンは、融点が100℃~120℃程度であり、ゴム組成物の成形温度において溶融する。そのため、成形時のゴム組成物の流動性が高められ、成形性が向上する。また、低密度ポリエチレンは、ゴムを硬化させた後は、基材ゴムに対して均一に混合された状態で固化するため、ブルームが起こることがなく、また、基材ゴムの性能への影響が小さい。
【0029】
前記低密度ポリエチレンのメルトマスフローレイト(190℃、2.16kg)は、1g/10min以上が好ましく、より好ましくは5g/10min以上、さらに好ましくは10g/10min以上である。前記メルトマスフローレイトが1g/10min以上であれば、低分子量であり、流動性が良く、ゴム練り時により混ざり易くなる。前記低密度ポリエチレンのメルトマスフローレイト(190℃、2.16kg)の上限は特に限定されないが、通常100g/10min程度である。前記低密度ポリエチレンのメルトマスフローレイトは、JIS K7210-1(2014)に従い測定する。
【0030】
前記低密度ポリエチレンの融点は、115℃以下が好ましく、より好ましくは110℃以下である。前記融点が115℃以下であれば、分子構造がランダムに分岐しており、流動性が良く、ゴム練り時により混ざり易くなる。前記低密度ポリエチレンの融点の下限は特に限定されないが、通常100℃程度である。前記低密度ポリエチレンの融点は、JIS K7121(1987)に従い測定する。
【0031】
前記低密度ポリエチレンの含有量は、前記基材ゴム100質量部に対して3質量部以上、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上であり、35質量部以下、好ましくは30質量部以下、さらに好ましくは20質量部以下である。前記低密度ポリエチレンの含有量が上記範囲内であれば、紙送りローラの摩擦係数の低下を抑制しつつ、ゴム組成物の成形性を向上できる。
【0032】
前記ゴム組成物に配合される前記低密度ポリエチレンは、体積基準の中位径(50%径)(小径側を0%とした体積累積分布における累積50%に対応する粒子径)が100μm以下の粉体であることが好ましい。前記ゴム組成物に、粉体状の低密度ポリエチレンを配合することで、ゴム練り時、より均質に混ぜることが出来る。前記低密度ポリエチレンの粉体の体積基準の中位径は100μm以下が好ましく、60μm以下がより好ましく、さらに好ましくは30μm以下である。前記低密度ポリエチレンの粉体の体積基準の中位径の下限は特に限定されないが、通常1μm程度である。前記体積基準の中位径は、レーザー回折法により測定する。
【0033】
前記直鎖状低密度ポリエチレンは、エチレンと、炭素数が3以上20以下のα-オレフィンとの共重合体である。前記炭素数が3以上20以下のα-オレフィンとしては、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、4-メチル-1-ペンテンなどが挙げられる。なお、前記低密度ポリエチレンに、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)は含まれない。前記直鎖状低密度ポリエチレンでは、ゴム成型でのゴム流動性が改善されないため、ゴム組成物の成形性を向上する効果が得られない。
【0034】
(その他の成分)
前記ゴム組成物は、充填材、架橋促進剤、老化防止剤、しゃくかい剤、顔料など、本発明の趣旨を害さない範囲で、ゴムの配合剤として一般的に使用される配合剤を使用することができる。
【0035】
(充填材)
前記充填材としては、ゴムの配合剤として一般的に使用されるものが使用することができ、例えば、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、酸化アルミニウム等が挙げられ、カーボンブラック、炭酸カルシウムが好ましい。充填材を配合することにより、得られるローラの機械的強度等を向上できる。
【0036】
前記充填材の含有量は、基材ゴム100質量部に対して、3質量部以上が好ましく、より好ましくは5質量部以上であり、80質量部以下が好ましく、より好ましくは60質量部以下である。前記充填材の含有量が上記範囲内であれば、得られる紙送りローラの柔軟性および耐久性が良好となる。
【0037】
前記紙送りローラ用ゴム組成物を、給紙ローラ用ゴム組成物として使用する場合には、前記充填材の含有量は、基材ゴム100質量部に対して、3質量部以上が好ましく、より好ましくは5質量部以上であり、30質量部以下が好ましく、より好ましくは20質量部以下である。前記充填材の含有量が上記範囲何であれば、得られる給紙ローラの柔軟性が一層良好となる。
前記紙送りローラ用ゴム組成物を、搬送ローラ用ゴム組成物として使用する場合には、前記充填材の含有量は、基材ゴム100質量部に対して、20質量部以上が好ましく、より好ましくは30質量部以上であり、80質量部以下が好ましく、より好ましくは60質量部以下である。前記充填材の含有量が上記範囲内であれば、得られる搬送ローラの耐久性が一層良好となる。
【0038】
(架橋促進助剤)
前記ゴム組成物は、架橋促進助剤を含有してもよい。前記架橋促進助剤としては、酸化亜鉛が挙げられる。前記架橋促進助剤の使用量は、前記基材ゴム100質量部に対して1質量部以上、10質量部以下が好ましい。
【0039】
(老化防止剤)
前記老化防止剤としては、ジエチルジチオカルバミン酸ニッケル、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル等が挙げられる。
【0040】
(ゴム組成物)
前記紙送りローラ用ゴム組成物は、基材ゴム、架橋剤、および、低密度ポリエチレン、ならびに必要に応じて他の原料を配合し、ニーダー、バンバリーミキサー、オープンロール等で混練することで調製できる。混練の方法および条件は生産スケールによって適宜選択される。
【0041】
<紙送りローラ>
本発明の紙送りローラは、前記紙送りローラ用ゴム組成物から成形されたものである。
前記紙送りローラを成形する方法としては、トランスファー成形法、押出成形法、コンプレッション成形法等が挙げられる。前記紙送りローラ用ゴム組成物は、流動性が高く、金型へと圧入しやすいため、特にトランスファー成形法に適している。
【0042】
紙送りローラの形状としては、円筒状、円柱状、多角筒状、多角柱状が挙げられる。紙送りローラが円筒状、多角筒状の場合、紙送りローラはシャフトを有することが好ましい。前記シャフトの材質は特に限定されず、金属、セラミック、樹脂等が挙げられる。
【0043】
前記紙送りローラが給紙ローラである場合、ローラ本体のタイプAデュロメータ硬さは、30以上が好ましく、より好ましくは35以上、さらに好ましくは40以上であり、60以下が好ましく、より好ましくは55以下、さらに好ましくは50以下である。前記給紙ローラのローラ本体のタイプAデュロメータ硬さが30以上であればローラ本体の耐摩耗性がより向上し、製品寿命がより長くなり、60以下であればローラ本体の柔軟性がより向上し、紙との摩擦係数がより向上する。
【0044】
前記紙送りローラが搬送ローラである場合、ローラ本体のタイプAデュロメータ硬さは、50以上が好ましく、より好ましくは60以上であり、85以下が好ましく、より好ましくは80以下である。前記搬送ローラのローラ本体のタイプAデュロメータ硬さが50以上であれば高速通紙での製品寿命がより長くなり、85以下であれば高速通紙を行った場合でも摩擦係数がより維持される。
【0045】
図1に紙送りローラの一例を示す。図1に記載の紙送りローラ1は、上述した本発明のゴム組成物を円筒状に形成したローラ本体2を備えている。前記ローラ本体2の中心には断面円形の通孔3が設けられており、当該通孔3には、図示しない駆動系に連結されるなどした円柱状のシャフト4が挿通されて、固定されている。ローラ本体2の外周面は、通孔3およびシャフト4と同心の円筒状に形成されている。
【0046】
ローラ本体2とシャフト4とは、例えば、ローラ本体2の通孔3に、当該通孔3の内径よりも外径の大きいシャフト4を圧入する等して、空転を生じないように互いに固定されている。つまり、両者間の径差に基づく締め代により、当該両者間で一定の空転トルク(空転が生じない限界のトルク)が確保されている。
【0047】
シャフト4は、例えば、金属、セラミック、硬質樹脂等によって形成されている。ローラ本体2は、必要に応じて複数個を、1本のシャフト4の複数箇所に固定してもよい。
ローラ本体2を製造する方法は、ゴム組成物を押出成形法等によって円筒状に成形した後、プレス架橋法等によって架橋する方法;トランスファー成形法等によって筒状に成形するとともに架橋する方法等が挙げられる。
【0048】
ローラ本体2は、上記製造の工程の任意の時点で、必要に応じて、外周面を所定の表面粗さになるように研磨したり、ローレット加工、シボ加工等したりしてもよい。また、外周面が所定幅となるようにローラ本体2の両端をカットしてもよい。ローラ本体2の外周面は、任意のコート層で被覆してもよい。
【0049】
またローラ本体2は、外周面側の外層と通孔3側の内層の2層構造に形成してもよい。その場合、少なくとも外層を上記本発明のゴム組成物によって形成するのが好ましい。ただし、構造を簡略化し、生産性を向上するとともに製造コストを低下させること等を考慮すると、ローラ本体2は、図1に示すように単層構造とするのが好ましい。
【0050】
また、ローラ本体2は多孔質構造としてもよい。しかし、耐摩耗性を向上したり、圧縮永久ひずみを小さくして、1箇所で接触した状態が比較的長期間に亘って続いても変形による凹みを生じにくくしたりするために、ローラ本体2は、実質的に非多孔質構造であるのが好ましい。
【0051】
前記通孔3は、紙送りローラ1の用途によっては、ローラ本体2の中心から偏心した位置に設けてもよい。また、ローラ本体2の外周面は筒状ではなく異形形状、たとえば、筒状の外周面の一部が平面状に切欠かれた形状等であってもよい。これら異形形状のローラ本体2を備えた紙送りローラ1を製造するには、先に説明した製造方法によって直接に、異形形状のローラ本体2を成形したのち架橋させてもよいし、筒状に成形したローラ本体2を、後加工によって異形形状としてもよい。
【0052】
また筒状に成形したローラ本体2の通孔3に、当該ローラ本体2の異形形状に対応する変形形状とされたシャフト4を圧入して、ローラ本体2を異形形状に変形させてもよい。
この場合、外周面5の研磨やローレット加工、シボ加工などは、変形前の筒状の外周面5に対して実施できるため加工性を向上できる。
【0053】
<画像形成装置>
本発明の紙送りローラは、例えば、レーザープリンタや静電式複写機、普通紙ファクシミリ装置、あるいはこれらの複合機等の、電子写真法を利用した種々の画像形成装置に組み込むことができる。また、本発明の紙送りローラは、例えば、インクジェットプリンタやATM等に組み込むこともできる。
【0054】
本発明の紙送りローラは、シートと接触しながら回転して、摩擦によってシートの送り出しや、搬送を行う。前記シートとしては、枚葉紙等の枚葉シート、連続紙等の連続シートが挙げられる。前記紙送りローラは、例えば、給紙トレイ周辺へ配置されるピックローラ、フィードローラ、リタードローラ等の給紙ローラや、レジストローラ、プラテンローラ、排紙ローラ等の搬送ローラとして用いることができる。
【実施例0055】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
【0056】
[評価方法]
(1)硬度
ローラ本体の硬度は、シャフトを圧入したローラ本体の表面について、マイクロゴム硬度計(高分子計器製、「MD-1」)を用いて測定した。測定は、温度23℃、相対湿度55%の環境下で行い、押針としてタイプAを使用して、測定試料に針を刺した後3秒後の値を記録した。
【0057】
(2)摩擦係数測定
図2に示すように、普通紙11(富士フイルムビジネスイノベーション製、P紙(幅60mm、長さ210mm))を、水平に設置したポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製の板10の上に載置した。この紙11に、紙送りローラ1のローラ本体2を載置し、シャフト4に鉛直荷重W1(=300gf)を付加し板10に圧接させた。
次いで、温度23℃、相対湿度55%の環境下、ローラ本体2を一点鎖線の矢印R1で示す方向に200rpmで回転させた際に、紙11の一端に接続したロードセル12に加わる搬送力F(gf)を測定した。
測定した搬送力Fと鉛直荷重W1(=300gf)とから式(1)によって初期の摩擦係数μを求めた。
μ=F(gf)/W1(gf) (1)
【0058】
(3)強制摩耗試験
図2に示すように、普通紙11(富士フイルムビジネスイノベーション製、P紙)を、水平に設置したポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製の板10の上に載置した。この紙11に、紙送りローラ1のローラ本体2を載置し、シャフト4に鉛直荷重W1(=500gf)を付加し板10に圧接させた。
次いで、温度23℃、相対湿度55%の環境下、ローラ本体2を一点鎖線の矢印R1で示す方向に200rpmで10分間連続回転させた。その後、回転させる前のローラ本体2の質量W0(g)と回転後のローラ本体2の質量W1(g)とから下記式(2)によって摩耗減量率ΔM(%)求めた。
ΔM(%)=100×(W0-W1)/W0 (2)
【0059】
[給紙ローラ用ゴム組成物の調製]
表1に示した配合となるように、各原料を混合し、給紙ローラ用のゴム組成物を調製した。具体的には、まず架橋剤以外の原料を、ニーダーを用いて混合し、混合物を調製した。この際、ニーダー槽内の温度(槽内温度)80℃~130℃で、2分間以上混合した。次いで、得られた混合物を冷却して、表面温度を50℃に制御したオープンロールを用いて、前記混合物と架橋剤を混合し、ゴム組成物を調製した。
【0060】
【表1】
【0061】
表1で使用した原料は下記のとおりである。
油展EPDM:住友化学製、「エスプレン(登録商標)670F」(油展EPDM)(エチレン含有率66質量%、ジエン成分含有率4.0質量%、EPDM100質量部に対するオイル添加量100質量部)
非油展EPDM:住友化学製、「エスプレン(登録商標)586」(非油展EPDM)(エチレン-プロピレン-エチリデンノルボルネン共重合体、エチレン含有率66質量%、ジエン成分含有率12.5質量%、ムーニー粘度(M1+4(125℃))60)
LDPE:住友精化製、「フローセン(登録商標)UF20」(低密度ポリエチレン、密度0.919cm3/g、メルトマスフローレイト(190℃、2.16kg)20g/10min、融点106℃、体積基準の中位径20μm)
UHMWPE:三井化学製、「ミペロン(登録商標)XM220」(超高分子量ポリエチレン、密度0.94cm3/g)
LLDPE:プライムポリマー製、「ウルトゼックス(登録商標)25100J」(直鎖状低密度ポリエチレン、密度0.923cm3/g)
有機過酸化物:日油製、「パークミル(登録商標)D」(ジクミルパーオキサイド)
カーボンブラック:東海カーボン社製、シースト(登録商標)3
【0062】
[給紙ローラの製造]
給紙ローラは、上記で調製した給紙ローラ用のゴム組成物を用いて、トランスファー成形法により製造した。
金型として、円筒状キャビティ(外径21mm、内径11mm、深さ70mm)を100個(縦10列、横10列)有する金型を使用した。各キャビティへのゲートを有するポット型を前記金型の上部に載置し、ポット型にゴム組成物2500gを投入し、この上にポット蓋を載置した。ポット内でゴム組成物を80℃~100℃程度に加温した後、ポット蓋を押し込み、ゴム組成物を各キャビティに圧入した。圧入条件は10MPa、1分間とした。続いて、エア抜き、バンピングを行った後、170℃、20分間加熱処理を行い、架橋を行った。
【0063】
冷却後、ゴム硬化物を取り出し、成形不良(充填不良)の有無を確認し、下記の基準で評価した。
◎:成形不良の硬化物が0個
〇:成形不良の硬化物が1個~5個
×:成形不良の硬化物が6個以上
【0064】
上記で得た円筒状のゴム硬化物を外径が20mmとなるように研磨した後、長さ24mmに切断し、ローラ本体を製造した。このローラ本体の通孔にシャフト(直径12mm)を挿通し、給紙ローラを作製した。得られた給紙ローラについて評価を行い、結果を表1に示した。
なお、給紙ローラの初期の摩擦係数μ、摩耗減量率ΔM(%)については、下記の基準で評価した。
<摩擦係数μ>
◎:1.65≦μ≦2.05
〇:1.55≦μ<1.65、または、2.05<μ≦2.15
×:μ<1.55、または、2.15<μ
<摩耗減量率ΔM(%)>
◎:ΔM≦0.06
〇:0.06<ΔM≦0.08
△:0.08<ΔM≦0.10
×:0.10<ΔM
【0065】
ゴム組成物No.1は、低密度ポリエチレンを含有しない場合である。このゴム組成物No.1は成形性が悪く、成形不良が多かった。また、得られる給紙ローラの耐摩耗性も劣っていた。
【0066】
ゴム組成物No.2~6は、密度が0.910g/cm3~0.930g/cm3である低密度ポリエチレンを、基材ゴム100質量部に対して3質量部~35質量部含有する場合である。これらのゴム組成物No.2~6は成形性が良く、成形不良が低減されていた。特に、低密度ポリエチレンの含有量が、基材ゴム100質量部に対して10質量部~30質量部である場合、成形不良が発生しなかった。また、これらのゴム組成物から得られる給紙ローラは、摩擦係数および耐摩耗性も良好であった。
【0067】
ゴム組成物No.7は、密度が0.910g/cm3~0.930g/cm3である低密度ポリエチレンを、基材ゴム100質量部に対して40質量部含有する場合である。このゴム組成物No.7は流動性が高くなり過ぎ、成形不良が発生した。また、得られる給紙ローラの摩擦係数が劣っていた。
【0068】
ゴム組成物No.8および9は、密度が0.940g/cm3(0.930g/cm3超)であるポリエチレンを含有する場合である。これらのゴム組成物No.8および9は成形性が悪く、成形不良が多くなった。
【0069】
ゴム組成物No.10および11は、直鎖状低密度ポリエチレンを含有する場合である。これらのゴム組成物No.10および11は成形性が悪く、成形不良が多くなった。
【0070】
[搬送ローラ用ゴム組成物の調製]
表2に示した配合となるように、各原料を混合し、搬送ローラ用のゴム組成物を調製した。具体的には、まず架橋剤以外の原料を、ニーダーを用いて混合し、混合物を調製した。この際、ニーダー槽内の温度(槽内温度)80℃~130℃で、2分間以上混合した。次いで、得られた混合物を冷却して、表面温度を50℃に制御したオープンロールを用いて、前記混合物と架橋剤を混合し、ゴム組成物を調製した。
【0071】
【表2】
【0072】
表2で使用した原料は下記のとおりである。
非油展EPDM:住友化学製、「エスプレン(登録商標)505A」(非油展EPDM)(エチレン-プロピレン-エチリデンノルボルネン共重合体、エチレン含有率50質量%、ジエン成分含有率9.5質量%、ムーニー粘度(M1+4(100℃))47)
LDPE:住友精化製、「フローセン(登録商標)UF20」(低密度ポリエチレン、密度0.919cm3/g、メルトマスフローレイト(190℃、2.16kg)20g/10min、融点106℃、体積基準の中位径20μm)
UHMWPE:三井化学製、「ミペロン(登録商標)XM220」(超高分子量ポリエチレン、密度0.94cm3/g)
LLDPE:プライムポリマー製、「ウルトゼックス(登録商標)25100J」(直鎖状低密度ポリエチレン、密度0.923cm3/g)
有機過酸化物:日油製、「パークミル(登録商標)D」(ジクミルパーオキサイド)
カーボンブラック:東海カーボン社製、シースト(登録商標)3
炭酸カルシウム:白石カルシウム社製、白艶華
プロセスオイル:出光興産社製、ダイアナプロセスオイルPW380
【0073】
[搬送ローラの製造]
搬送ローラは、上記で調製した搬送ローラ用のゴム組成物を用いて、トランスファー成形法により製造した。
金型として、円筒状キャビティ(外径13mm、内径5.5mm、深さ70mm)を100個(縦10列、横10列)有する金型を使用した。各キャビティへのゲートを有するポット型を前記金型の上部に載置し、ポット型にゴム組成物1500gを投入し、この上にポット蓋を載置した。ポット内でゴム組成物を80℃~100℃程度に加温した後、ポット蓋を押し込み、ゴム組成物を各キャビティに圧入した。圧入条件は10MPa、1分間とした。続いて、エア抜き、バンピングを行った後、170℃、20分間加熱処理を行い、架橋を行った。
【0074】
冷却後、ゴム硬化物を取り出し、成形不良(充填不良)の有無を確認し、下記の基準で評価した。
◎:成形不良の硬化物が0個
〇:成形不良の硬化物が1個~5個
×:成形不良の硬化物が6個以上
【0075】
上記で得た円筒状のゴム硬化物を外径が12mmとなるように研磨した後、長さ10mmに切断し、ローラ本体を製造した。このローラ本体の通孔にシャフト(直径6mm)を挿通し、搬送ローラを作製した。得られた搬送ローラについて評価を行い、結果を表2に示した。
なお、搬送ローラの初期の摩擦係数μ、摩耗減量率ΔM(%)については、下記の基準で評価した。
<摩擦係数μ>
◎:1.33≦μ≦1.73
○:1.23≦μ<1.33、または、1.73<μ≦1.83
×:μ<1.23、1.83<μ
<摩耗減量率ΔM(%)>
◎:ΔM≦0.08
〇:0.08<ΔM≦0.10
△:0.10<ΔM≦0.12
×:0.12<ΔM
【0076】
ゴム組成物No.12~16は、密度が0.910g/cm3~0.930g/cm3である低密度ポリエチレンを、基材ゴム100質量部に対して3質量部~35質量部含有する場合である。これらのゴム組成物No.12~16は成形性が良く、成形不良が低減されていた。特に、低密度ポリエチレンの含有量が、基材ゴム100質量部に対して10質量部~30質量部である場合、成形不良が発生しなかった。また、特に、低密度ポリエチレンの含有量が、基材ゴム100質量部に対して15質量部~30質量部である場合、これらのゴム組成物から得られる搬送ローラは、摩擦係数および耐摩耗性も良好であった。
【0077】
ゴム組成物No.17および18は、密度が0.940g/cm3(0.930g/cm3超)である高密度ポリエチレンを含有する場合である。これらのゴム組成物No.17および18は成形性が悪く、成形不良が多くなった。
【0078】
ゴム組成物No.19および20は、直鎖状低密度ポリエチレンを含有する場合である。これらのゴム組成物No.19および20は成形性が悪く、成形不良が多くなった。
【0079】
本発明(1)は、基材ゴム、架橋剤、および、低密度ポリエチレン(ただし、直鎖状低密度ポリエチレンを除く。)を含有し、前記低密度ポリエチレンの密度が、0.910g/cm3~0.930g/cm3であり、前記低密度ポリエチレンの含有量が、前記基材ゴム100質量部に対して3質量部~35質量部であることを特徴とする紙送りローラ用ゴム組成物である。
【0080】
本発明(2)は、前記低密度ポリエチレンが、体積基準の中位径が100μm以下の粉体である本発明(1)に記載の紙送りローラ用ゴム組成物である。
【0081】
本発明(3)は、前記基材ゴムが、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体を含有する本発明(1)または(2)に記載の紙送りローラ用ゴム組成物である。
【0082】
本発明(4)は、ローラ本体が、本発明(1)~(3)のいずれか1項に記載の紙送りローラ用ゴム組成物から成形されたことを特徴とする紙送りローラである。
【符号の説明】
【0083】
1:紙送りローラ、2:ローラ本体、3:通孔、4:シャフト、10:板、11:紙、12:ロードセル
図1
図2