(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151059
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】回転電機及び回転電機システム
(51)【国際特許分類】
H02K 1/24 20060101AFI20241017BHJP
【FI】
H02K1/24 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064180
(22)【出願日】2023-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】319007240
【氏名又は名称】株式会社日立インダストリアルプロダクツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】郡 大祐
(72)【発明者】
【氏名】藤井 克彦
(72)【発明者】
【氏名】土谷 摂
(72)【発明者】
【氏名】里 水里
【テーマコード(参考)】
5H601
【Fターム(参考)】
5H601AA08
5H601CC01
5H601CC02
5H601CC14
5H601DD01
5H601DD09
5H601DD11
5H601EE03
5H601FF17
5H601GA02
5H601GB05
5H601GB12
5H601GB22
5H601GB48
(57)【要約】
【課題】界磁コイルを適切に保持しつつ、界磁コイルを効果的に冷却可能な回転電機を提供する。
【解決手段】回転電機は、回転子及び固定子を備える。回転子は、回転子鉄心と、回転子鉄心に巻回された界磁コイルと、を有する。回転子鉄心は、径方向外側に向かって突出し、界磁コイルが巻回される複数の磁極突部を有する。回転子鉄心には、界磁コイルの軸方向端部を内径側から保持する保持部が設けられる。保持部の周方向幅は、磁極突部において界磁コイルが巻回される部分の周方向幅よりも小さい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転子及び固定子を備えた回転電機であって、
前記回転子は、回転子鉄心と、前記回転子鉄心に巻回された界磁コイルと、を有し、
前記回転子鉄心は、径方向外側に向かって突出し、前記界磁コイルが巻回される複数の磁極突部を有し、
前記回転子鉄心には、前記界磁コイルの軸方向端部を内径側から保持する保持部が設けられ、
前記保持部の周方向幅は、前記磁極突部において前記界磁コイルが巻回される部分の周方向幅よりも小さい
回転電機。
【請求項2】
請求項1に記載の回転電機において、
前記回転子の周方向に並んだ前記磁極突部間に形成される溝の底部が、前記磁極突部に巻回されている前記界磁コイルよりも径方向内側に位置している
回転電機。
【請求項3】
請求項1に記載の回転電機において、
前記界磁コイル及び前記保持部は、前記回転子鉄心の軸方向端面から軸方向外側に突出し、
前記保持部の突出高さは、前記界磁コイルの突出高さよりも大きい
回転電機。
【請求項4】
請求項1に記載の回転電機において、
前記保持部は、前記回転子鉄心の軸方向端面に固定される固定部と、前記固定部から立ち上がり前記界磁コイルを弾性力によって付勢する付勢部と、を有している
回転電機。
【請求項5】
請求項4に記載の回転電機において、
前記磁極突部は、前記回転子鉄心に固定されたシャフトから径方向外側に向かって延在する磁極胴部と、前記磁極胴部の先端に取り付けられる磁極頭部と、を有し、
前記磁極頭部と前記保持部とによって、前記界磁コイルが径方向に挟持される
回転電機。
【請求項6】
請求項5に記載の回転電機において、
前記磁極突部の軸方向一端部には、一対の前記保持部が設けられ、
前記一対の保持部は、前記磁極突部の周方向中心を挟むように配置される
回転電機。
【請求項7】
請求項1に記載の回転電機と、
前記回転電機に接続される内燃機関と、
前記回転電機に流入する冷却風を生成する送風機と、を備え、
前記内燃機関が駆動することにより前記回転電機で電力を発生させる
回転電機システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機及び回転電機を備えた回転電機システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、二酸化炭素の排出量を抑えるために、回転電機の高効率化が図られている。また、普通自動車、建設車両、及び鉄道車両等の車両に搭載される回転電機に関しては、高効率化の他に小型化及び軽量化が求められている。回転電機の軽量化は、車両の軽量化に繋がる。車両の軽量化は、燃費の向上に繋がる。つまり、回転電機の軽量化により、車両の効率の向上を図ることができる。
【0003】
一般的に、小型化及び軽量化と、回転電機の効率とはトレードオフの関係にある。このため、小型化及び軽量化を優先させた場合には、回転電機の効率は低下する。すなわち、損失が大きくなる。損失の増加は、回転電機の発熱の増加を招く。このため、小型化及び軽量化を優先して回転電機として成立させるためには、冷却性能の向上が必要である。
【0004】
回転電機の冷却方式には様々な方式がある。例えば、構造が単純で冷却性能が高い冷却方式として、軸流開放型の冷却方式がある。軸流開放型の冷却方式の構造では、回転電機の内部と外部とがダイレクトに繋がっている。回転電機を冷却するための冷媒は、回転電機内の回転軸に配置されるファンや、回転電機とは別に設置される電動送風機により得ることができる。特に、回転電機が停止中でも冷却する必要がある場合には、電動送風機により、強制的に冷媒を回転電機内に流す強制通風方式が採用される。
【0005】
回転電機の種類には誘導機や同期機があり、種類に合わせた冷却構造を採用する必要がある。突極形回転電機(突極形同期機)では、回転子鉄心に界磁コイルが巻回されている。界磁コイルは、固定子鉄心に巻回される固定子コイルよりもターン数が多く、コイルの巻き層としては厚くなる傾向にある。このため、界磁コイルの内部の熱は放熱しにくく、コイル温度が高くなりやすい。したがって、界磁コイルを効果的に冷却する構造が必要となる。また、界磁コイルは回転子鉄心とともに回転する。このため、遠心力や振動等の影響を受ける。したがって、界磁コイルを回転子鉄心に適切に固定する構造が必要となる。
【0006】
特許文献1には、回転子鉄心の極間部に界磁コイルを支持するコイル支えを備えた突極形回転電機が開示されている。コイル支えは、絶縁材からなるコイル支え本体部と、基端部が回転子鉄心に固定され先端部がコイル支え本体部に取り付けられるボルトと、を有している。コイル支え本体部は、界磁コイルを支持するように、テーパー形状に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の構造では、極間部での冷媒(冷却風)の流れが、極間部に配置されるコイル支えによって妨げられてしまう。このため、冷却性の観点で改善の余地がある。
【0009】
本発明は、界磁コイルを適切に保持しつつ、界磁コイルを効果的に冷却可能な回転電機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様による回転電機は、回転子及び固定子を備えた回転電機であって、前記回転子は、回転子鉄心と、前記回転子鉄心に巻回された界磁コイルと、を有し、前記回転子鉄心は、径方向外側に向かって突出し、前記界磁コイルが巻回される複数の磁極突部を有し、前記回転子鉄心には、前記界磁コイルの軸方向端部を内径側から保持する保持部が設けられ、前記保持部の周方向幅は、前記磁極突部において前記界磁コイルが巻回される部分の周方向幅よりも小さい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、界磁コイルを適切に保持しつつ、界磁コイルを効果的に冷却可能な回転電機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る回転電機の側面断面図であり、回転電機を回転中心軸に沿って切断した断面を模式的に示す。
【
図2】
図2は、回転電機の拡大平面断面図であり、回転電機を
図1のII-II線に沿って切断した断面を模式的に示す。
【
図3】
図3は、回転子の拡大平面断面図であり、回転子の極間部を示す。
【
図4A】
図4Aは、第1実施形態に係る回転電機の磁極部の平面図である。
【
図4B】
図4Bは、第1実施形態に係る回転電機の磁極部の側面図である。
【
図5A】
図5Aは、界磁コイルの図示を省略した磁極部の平面図である。
【
図5B】
図5Bは、界磁コイルの図示を省略した磁極部の側面図である。
【
図6A】
図6Aは、第2実施形態に係る回転電機の磁極部の平面図である。
【
図6B】
図6Bは、第2実施形態に係る回転電機の磁極部の側面図である。
【
図7A】
図7Aは、第3実施形態に係る回転電機の磁極部の平面図である。
【
図7B】
図7Bは、第3実施形態に係る回転電機の磁極部の側面図である。
【
図8】
図8は、第3実施形態に係る回転電機の保持部の側面図であり、回転子鉄心に取り付けられる前の状態を示す。
【
図9】
図9は、磁極突部の周方向幅W2に対する保持部の周方向幅W1の割合である幅比率Wr(=W1/W2)と、界磁コイルの温度T及び集中応力σのそれぞれとの関係を示す図である。
【
図10】
図10は、第4実施形態に係る回転電機の磁極部の平面図である。
【
図11】
図11は、第5実施形態に係る回転電機システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1実施形態>
図1~
図5Bを参照して、本発明の第1実施形態に係る回転電機100について説明する。以下の説明において、「軸方向」、「周方向」、「径方向」とは、次のとおりである。「軸方向」とは、回転電機100(回転子2)の回転中心軸に沿う方向である。なお、回転中心軸は、円筒形状の固定子3の中心軸と一致する。「周方向」とは、回転電機100の回転方向(回転子2の回転方向)に沿う方向、すなわち回転中心軸に直交しかつ回転中心軸を中心とする円周方向である。「径方向」とは、回転電機100の回転中心軸に直交しかつ回転中心軸を中心とする放射方向、すなわち半径方向である。また、「内周側」は径方向内側(内径側)を指し、「外周側」はその逆方向、すなわち径方向外側(外径側)のことを指す。
【0014】
図1は、第1実施形態に係る回転電機100の側面断面図であり、回転電機100を回転中心軸に沿って切断した断面を模式的に示す。
図2は、回転電機100の拡大平面断面図であり、回転電機100を
図1のII-II線に沿って切断した断面を模式的に示す。
図2は、回転子2及び固定子3の1極分の断面を示している。回転電機100は、主にディーゼルエンジンのような内燃機関と接続されて使用される。回転電機100は、例えば、出力が数百[kVA]、電圧が数百[V]、回転速度が数千[rpm]程度の発電機であり、大型ダンプトラックや鉄道車両などの車両の電源として使用される。
【0015】
図1及び
図2に示すように、回転電機100は、回転可能に設けられる回転子2と、回転子2とギャップ14を介して回転子2の径方向外側に配置される固定子3と、回転子2及び固定子3を収容するフレーム(ハウジング)1と、を備えている。回転電機100は、突極形の三相同期発電機である。回転電機100は、内燃機関によって駆動されることにより、発電機として作動して三相交流の発電電力を出力する。
【0016】
フレーム1は、固定子3の外周側に設けられ、固定子3を固定する。フレーム1は、内部に冷却風を流入させるための冷媒入口と、外部に冷却風を流出させるための冷媒出口とを有する。本実施形態では、冷媒入口及び冷媒出口が回転電機100の軸方向一端側と他端側に設けられている。つまり、本実施形態では、軸流開放型の冷却構造が採用されている。
【0017】
フレーム1には、固定子3の周方向に沿って所定の間隔で固定子3を固定する複数の固定部が設けられている。周方向に配列される複数の固定部間には、軸方向に冷媒(空気)17を流すための背面ダクト16が形成される。
【0018】
図1に示すように、フレーム1には、回転子2を回転可能に支持する軸受4が設けられている。なお、図示しないが、回転電機100の図示右側には、内燃機関の出力軸を回転可能に支持する軸受が設けられている。回転子2は、シャフト5を有している。シャフト5は、円柱状または円筒状の部材である。シャフト5がフレーム1に設けられた軸受4と、内燃機関側に設けられた軸受(不図示)によって支承されることにより、回転子2が固定子3の内側で回転可能に保持される。なお、
図1では、フレーム1に回転子2を支持する軸受4が一つ設けられている例について示しているが、回転子2の軸方向両側を支持する一対の軸受4がフレーム1に設けられていてもよい。
【0019】
固定子3は、円筒状の固定子鉄心9と、固定子鉄心9に巻回された固定子コイル13と、を有する。
図2に示すように、固定子鉄心9の内周部には、固定子鉄心9の中心軸方向に平行な複数のスロット(本実施形態では、60個のスロット)が形成されている。固定子コイル13は、スロットに装着される。スロットの内周側には、スロット内の固定子コイル13を固定する固定子楔15が設けられている。
図1に示すように、固定子鉄心9の軸方向両端部には、固定子鉄心9を軸方向両側から挟んで固定するコアクランプ11が設けられている。コアクランプ11は、固定子鉄心9の軸方向両端面に対して、軸方向に面圧を加える。
【0020】
回転子2は、回転子鉄心7と、回転子鉄心7に固定されたシャフト5と、回転子鉄心7に巻回された界磁コイル12と、を有する。
図2に示すように、回転子鉄心7は、シャフト5に固定される円筒状のシャフト固定部71と、シャフト固定部71から径方向外側に向かって突出する複数の磁極突部72と、を有する。複数の磁極突部72は、回転子鉄心7の周方向に沿って等間隔で形成されている。
【0021】
磁極突部72は、シャフト固定部71から径方向外側に向かって延在する磁極胴部73と、磁極胴部73の先端に取り付けられる磁極頭部(ポールシュー)74とを有する。磁極胴部73には界磁コイル12が巻回され、磁極突部72と界磁コイル12とによって磁極部180が形成される。本実施形態の回転電機100の極数は、8極である。
【0022】
図1に示すように、回転子鉄心7の軸方向端部には界磁コイル12のコイルエンド(以下、界磁コイルエンドと記す)6が形成されている。界磁コイルエンド6は、界磁コイル12のうち、回転子鉄心7から軸方向に突出している部分のことを指す。つまり、界磁コイルエンド6は、磁極突部72に巻回される界磁コイル12の軸方向端部を構成する。同様に、固定子鉄心9の軸方向両端部には、固定子コイル13のコイルエンド(以下、固定子コイルエンドと記す)10が形成されている。
【0023】
次に冷媒17の流れについて説明する。
図1において太い実線で示す矢印は、冷媒17の流れを模式的に示している。冷媒17は、
図1の左側からフレーム1の内部(回転電機100の内部)に流入する。回転電機100の内部に流入した冷媒は、背面ダクト16、ギャップ14、及び極間部18(
図3参照)に分岐して流れる。
【0024】
背面ダクト16に流入した冷媒17は、背面ダクト16内を軸方向に流れ、主に、固定子3から熱を奪う。これにより、固定子鉄心9に発生する鉄損、及び固定子コイル13に発生する銅損に起因した温度上昇が抑制される。
【0025】
ギャップ14に流入した冷媒17は、ギャップ14内を軸方向に流れ、固定子3及び回転子2から熱を奪う。これにより、固定子鉄心9に発生する鉄損、固定子コイル13に発生する銅損、及び界磁コイル12に発生する銅損に起因した温度上昇が抑制される。
【0026】
極間部18(
図3参照)に流入した冷媒17は、極間部18内を軸方向に流れ、界磁コイル12から熱を奪う。これにより、界磁コイル12に発生する銅損に起因した温度上昇が抑制される。背面ダクト16、ギャップ14、及び極間部18を通過した冷媒17は、
図1の右側からフレーム1の外部(回転電機100の外部)に流出し、大気へ開放される。
【0027】
図3は、回転子2の拡大平面断面図であり、回転子2の極間部18を示す。
図3では、回転子2の2極分の断面を示す。極間部18とは、周方向に配置される複数の磁極部180の間の部分のことを指す。
図3に示すように、極間部18は空隙となっており、冷媒17の流れを妨げるものが配置されていない。このため、回転電機100の内部に流入した冷媒17は、軸方向に沿って極間部18をスムーズに通過する。
【0028】
シャフト固定部71から突出する磁極胴部73の突出長さL1、すなわち磁極胴部73の基端から磁極頭部74の基端までの径方向長さは、界磁コイル12の巻回部12aの径方向幅L2よりも大きい(L1>L2)。なお、巻回部12aとは、界磁コイル12のうち磁極胴部73に巻回された部分のことを指す。界磁コイル12の巻回部12aの径方向一端は、磁極頭部74に当接している。このため、界磁コイル12の巻回部12aの内径側には、回転子鉄心7の軸方向一端面から軸方向他端面に亘って冷却風の障害物が存在しない三角柱形状の空間18aが形成される。磁極胴部73の突出長さL1は、互いに隣り合う一対の磁極胴部73間の溝75の深さともいえる。つまり、回転子2の周方向に並んだ磁極突部72間に形成される溝75は、その底部75aが界磁コイル12の巻回部12aよりも径方向内側に位置するように、深く形成されている。
【0029】
図1に示すように、回転電機100の内部に流入した冷媒17は、界磁コイルエンド6及び固定子コイルエンド10を冷却する。固定子コイル13の巻線方式は、分布巻き方式である。つまり、固定子コイル13は、固定子鉄心9に一定の間隔を空けて巻かれる。このため、固定子コイルエンド10のコイル間には、空隙が形成される。冷媒17は、固定子コイルエンド10のコイル間の空隙を流れるため、固定子コイルエンド10は効果的に冷却される。一方、界磁コイル12の巻線方式は、集中巻き方式である。つまり、界磁コイル12は、磁極突部72に集中して巻かれる。このため、界磁コイルエンド6のコイル間には、空隙が形成されない。つまり、界磁コイルエンド6では、固定子コイルエンド10のように空隙が形成される場合に比べて、冷媒17に接触する面積(伝熱面積)が小さくなる。
【0030】
界磁コイル12は、回転体である回転子鉄心7に巻回されるため、回転子鉄心7に対して適切に保持する必要がある。ここで、界磁コイル12の巻回部12aの径方向内側の面全体を保持する保持部を設けた場合、界磁コイル12を適切に保持することはできるが、保持部が接触する面積の分だけ、界磁コイル12の伝熱面積が小さくなる。
【0031】
そこで、本実施形態では、界磁コイル12の伝熱面積の減少を抑制しつつ、界磁コイル12を適切に保持可能な保持部110が設けられている。
図4A、
図4B、
図5A、及び
図5Bを参照して、本実施形態に係る界磁コイル12の保持構造について詳しく説明する。
図4Aは、磁極部180を軸方向から見た図、すなわち磁極部180の平面図である。
図4Bは、磁極部180を側方(周方向)から見た図、すなわち磁極部180の側面図である。
図5Aは、界磁コイル12の図示を省略した磁極部180の平面図であり、
図5Bは、界磁コイル12の図示を省略した磁極部180の側面図である。
図4A~
図5Bでは、回転子2の1極分の形状を示している。
【0032】
磁極頭部74は、磁極胴部73に着脱可能に設けられている。
図2に示すように、磁極頭部74は、ギャップ14へ界磁磁束を流通させるための部品であり、径方向外側の面が固定子鉄心9の内周面に沿う曲面(円弧面)とされている。
図4A~
図5Bに示すように、磁極頭部74の周方向幅は、磁極胴部73の周方向幅よりも大きい。また、磁極頭部74の軸方向長さは、磁極胴部73の軸方向長さよりも大きい。磁極頭部74は、例えば、界磁コイル12が磁極胴部73に装着された後、回転子2の径方向外側からボルトによって磁極胴部73に締結される。なお、磁極頭部74と磁極胴部73の結合構造には、ボルトによる締結構造に限らず、ダブテイル構造を採用してもよい。
【0033】
図4A及び
図4Bに示すように、磁極頭部74は、界磁コイル12よりも軸方向に突出している。磁極頭部74において、磁極胴部73よりも軸方向に突出している部分は、界磁コイルエンド6の径方向外側を保持する。つまり、磁極頭部74は、界磁コイル12の軸方向端部(界磁コイルエンド6)を外径側から保持する外側保持部として機能する。なお、磁極頭部74は、界磁コイルエンド6だけでなく、巻回部12aの径方向外側の端面全体を保持し、界磁コイル12の径方向外側への位置ずれを防止する。
【0034】
界磁コイルエンド6の径方向内側は、回転子鉄心7の軸方向端部に設けられる保持部110によって保持される。保持部110は、界磁コイル12が内径側に脱落しないように、界磁コイル12の軸方向端部(界磁コイルエンド6)を内径側から保持する内側保持部として機能する。つまり、界磁コイルエンド6は、磁極頭部(外側保持部)74と保持部(内側保持部)110とによって径方向に挟持されている。なお、界磁コイルエンド6の保持構造は、回転子鉄心7の軸方向一端側と他端側とで同じである。
【0035】
図5A及び
図5Bに示すように、保持部110は、回転子鉄心7と一体に形成されている。保持部110は、回転子鉄心7の軸方向端面7aから軸方向に突出する凸部である。ここで、回転子鉄心7の軸方向端面7aとは、界磁コイル12が巻回される部分である磁極胴部73の先端部の軸方向端面7a1、及び、磁極胴部73の先端部の軸方向端面7a1と面一に形成される磁極胴部73の基端部の軸方向端面7a2及びシャフト固定部71の軸方向端面7a3のことを指す。
【0036】
保持部110は、直方体形状であり、シャフト5から径方向に直線状に延在している。保持部110の軸方向長さ(突出高さ)Hは、界磁コイルエンド6の突出高さHc(
図4B参照)と同程度である。保持部110の径方向長さは、保持部110の周方向に沿う幅(周方向幅)W1よりも大きい。保持部110の周方向幅W1は、磁極胴部73の周方向に沿う幅(周方向幅)W2よりも小さい(W1<W2)。保持部110の周方向幅W1は、例えば、磁極胴部73の周方向幅W2の1/2程度とされる。なお、保持部110の周方向幅W1が大きくなるほど保持面積が増加する。保持部110の周方向幅W1が小さくなるほど界磁コイルエンド6の伝熱面積が増加する。このため、周方向幅W1は、周方向幅W2の2/5以上かつ3/5以下の範囲で定めることが好ましい。
【0037】
保持部110は、磁極部180の磁極中心軸Ca上に設けられている。磁極中心軸Caは、磁極突部72の周方向中心を通り、かつ径方向に延在する軸に相当する。保持部110は、保持部110の周方向の中心が磁極突部72の周方向の中心に一致するように設けられている。これにより、単一の保持部110が、磁極中心軸Caから周方向の一方側に偏って配置される場合に比べて、界磁コイル12を安定して保持することができる。
【0038】
なお、界磁コイル12の内径側は外径側に比べて電気特性への影響が小さい。このため、保持部110の形状は、直方体形状に限らず、界磁コイル12が内径側に脱落しないように界磁コイル12を保持可能な種々の形状とすることができる。例えば、保持部110の形状は、半円柱形状、三角柱形状、または台形柱形状としてもよい。ただし、少なくとも、保持部110における界磁コイルエンド6に当接する部分の周方向幅W1は、磁極胴部73における界磁コイル12が巻回される部分の周方向幅W2よりも小さい。
【0039】
上述した実施形態によれば、次の作用効果を奏する。
【0040】
(1)回転電機100は、回転子2及び固定子3を備えている。回転子2は、回転子鉄心7と、回転子鉄心7に巻回された界磁コイル12と、を有している。回転子鉄心7は、径方向外側に向かって突出し、界磁コイル12が巻回される複数の磁極突部72を有している。回転子鉄心7には、界磁コイル12の軸方向端部(界磁コイルエンド6)を内径側から保持する保持部110が設けられている(
図4A及び
図4B参照)。保持部110の周方向幅W1は、磁極突部72において界磁コイル12が巻回される部分の周方向幅W2よりも小さい(
図5A及び
図5B参照)。
【0041】
この構成では、
図4A及び
図4Bに示すように、磁極突部72に巻回される界磁コイル12の径方向内側の端面のうち、軸方向端部の保持部110と接触する面以外の部分が、冷媒17に接する伝熱面となる。具体的には、界磁コイルエンド6の内径側端面のうち保持部110が接触していない面(第1端面)12b、及び界磁コイル12の巻回部12aの周方向端部において軸方向に延在する面(第2端面)12cが、冷媒17と熱交換を直接的に行う伝熱面となる。
【0042】
したがって、この構成によれば、界磁コイル12の巻回部12aの径方向内側の面全体を保持する保持構造に比べて、界磁コイル12の伝熱面積を大きくできる。また、保持部110によって界磁コイル12が保持されるため、磁極部180間に界磁コイル12を保持するための保持構造を設ける必要がない。つまり、磁極部180間の空間(極間部18)を流れる冷媒17の妨げとなる構造を設ける必要がない。このため、極間部18に冷媒17がスムーズに流れ、界磁コイル12が効果的に冷却され、界磁コイル12の温度上昇が効果的に抑制される。
【0043】
以上のとおり、本実施形態によれば、界磁コイル12を適切に保持しつつ、界磁コイル12を効果的に冷却可能な回転電機100を提供することができる。つまり、本実施形態によれば、界磁コイル12のオーバーヒートが防止されるとともに界磁コイル12の位置ずれ(脱落)が防止されるため、絶縁性及び健全性が長期に亘って維持される信頼性の高い回転電機100を提供することができる。
【0044】
(2)回転子2の周方向に並んだ磁極突部72間に形成される溝75の底部75aが、磁極突部72に巻回されている界磁コイル12よりも径方向内側に位置している(
図3参照)。この構成によれば、磁極突部72間の冷媒17の流路(極間部18)の断面積、すなわち通風面積を十分に確保することができる。
【0045】
(3)磁極突部72の軸方向一端部に単一の保持部110が設けられている(
図4A参照)。保持部110は、磁極突部72の周方向中心に設けられている。この構成によれば、界磁コイル12を安定して保持することができる。
【0046】
<第2実施形態>
図6A及び
図6Bを参照して、本発明の第2実施形態に係る回転電機100について説明する。なお、第1実施形態で説明した構成と同一もしくは相当する構成には同一の参照記号を付し、相違点を主に説明する。
図6Aは、第2実施形態に係る回転電機100の磁極部280の平面図であり、
図6Bは、第2実施形態に係る回転電機100の磁極部280の側面図である。
【0047】
図6A及び
図6Bに示すように、第2実施形態では、第1実施形態と同様、界磁コイル12及び保持部210は、回転子鉄心7の軸方向端面7aから軸方向外側に突出している。第2実施形態が第1実施形態と異なる点は、保持部210の突出高さHが、界磁コイル12の突出高さHcよりも大きい点である。つまり、保持部210は、界磁コイル12よりも軸方向外側まで突出している。この構成によれば、回転子2が回転した場合に、複数の保持部210がファンとして機能し、回転電機100の内部の冷却風の流量が増加する。また、複数の保持部210がファンとして機能することにより、周方向及び径方向の冷却風の流れが生じ、界磁コイルエンド6の軸方向端面が効果的に冷却される。このため、本第2実施形態によれば、第1実施形態に比べて、界磁コイル12の温度をより低減することができる。
【0048】
<第3実施形態>
図7A、
図7B、
図8、及び
図9を参照して、本発明の第3実施形態に係る回転電機100について説明する。なお、第1実施形態で説明した構成と同一もしくは相当する構成には同一の参照記号を付し、相違点を主に説明する。
図7Aは、第3実施形態に係る回転電機100の磁極部380の平面図であり、
図7Bは、第3実施形態に係る回転電機100の磁極部380の側面図である。
【0049】
第1実施形態では、保持部110が回転子鉄心7と一体に形成される例について説明した。これに対して、第3実施形態では、保持部310と回転子鉄心7とは別体である。保持部310は、溶接及びボルトによる締結の少なくとも一方により回転子鉄心7に固定される。以下、保持部310の構成について、詳しく説明する。
【0050】
図8は、保持部310の側面図であり、回転子鉄心7に取り付けられる前の状態を示す。保持部310は、断面V字状の板状部材であり、回転子鉄心7に固定される固定部311と、固定部311の一端部から所定の角度で延在する付勢部312と、を有する。付勢部312と固定部311とのなす角度(以下、屈曲角とも記す)θは、90度よりも大きく180度よりも小さい。保持部310は、弾性変形可能な部材である。保持部310は、固定部311が固定されて状態で、付勢部312に対して固定部311側の押圧力が作用すると、屈曲角θが小さくなるように弾性変形する。
【0051】
図7A及び
図7Bに示すように、磁極頭部74が磁極胴部73に取り付けられる前に、固定部311が回転子鉄心7に固定され、かつ界磁コイル12が磁極胴部73に巻回される。この状態で、磁極頭部74が磁極胴部73に取り付けられると、付勢部312には、磁極頭部74から界磁コイル12の巻回部12aを介して内径方向の力が作用する。これにより、付勢部312が屈曲して屈曲角θが小さくなる。磁極頭部74の磁極胴部73への取付が完了すると、屈曲角θは90度程度となる。これにより、保持部310は、断面がL字状となる。
【0052】
したがって、磁極頭部74が磁極胴部73に取り付けられた状態では、弾性変形している保持部310から界磁コイル12の巻回部12aに対して弾性力(復元力)が作用する。これにより、界磁コイル12の巻回部12aは、磁極頭部74と保持部310とによって挟持される。
【0053】
上述したように、界磁コイルエンド6の伝熱面積は、保持部310の周方向幅W1が短くなるほど増加し、冷却性能が向上する。しかしながら、保持部310の周方向幅W1が短くなるほど、保持部310と界磁コイルエンド6との接触面積(すなわち、保持面積)が小さくなる。保持面積が小さくなりすぎると、界磁コイルエンド6には集中荷重による応力集中が働き、界磁コイルエンド6が破損するおそれがある。
【0054】
このため、保持部310は、冷却性能の向上と応力低減の両者を満足可能な大きさに設定する必要がある。本願発明者らは、本実施形態をモデルに数値解析を行い、保持部310と磁極突部72の適切な周方向幅の関係を検討した。
図9は、磁極突部72の周方向幅W2に対する保持部310の周方向幅W1の割合である幅比率Wr(=W1/W2)と、界磁コイル12の温度T及び集中応力σのそれぞれとの関係を示す図である。なお、界磁コイル12の温度及び集中応力のそれぞれは、幅比率Wrが1のとき(W1=W2のとき)の値を1.0[p.u.]に規格化している。
【0055】
図9に示すように、界磁コイル12の温度Tと、集中応力σとはトレードオフの関係になる。幅比率Wrが小さくなるほど、界磁コイル12の温度Tは低くなるが、集中応力σが大きくなる。幅比率Wrが大きくなるほど、集中応力σが小さくなるが、界磁コイル12の温度Tは高くなる。
【0056】
界磁コイル12の温度Tは、絶縁性の観点で、使用環境の標準温度からの温度上昇や最高使用温度に規定がある。例えば、JEC(Japanese Electrotechnical Committee)規格では、コイルの絶縁規格として、F種で温度上昇を110[K]以下にすることを規定されている。この規定を考慮すると、界磁コイル12の温度Tは0.61[p.u.]以下にする必要がある。この温度条件が満足されるためには、幅比率Wrを0.6以下にする必要がある。また、集中応力σは、界磁コイル12が破損しない程度の値と、余裕値とを考慮して、2.5[p.u.]以下にする必要がある。この応力条件が満足されるためには、幅比率Wrを0.4以上にする必要がある。
【0057】
本第3実施形態では、保持部310が板バネ部材として機能し、第1実施形態に比べて大きい保持力が発生する。このため、上述したように、数値解析や実験により、予め適切な幅比率Wrを定めることが好ましい。
【0058】
第3実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果に加え、次の作用効果を奏する。
【0059】
(1)保持部310が回転子鉄心7と別体である。このため、回転子鉄心7の加工時間を低減できる。その結果、回転子鉄心7のコストを低減できる。また、回転子鉄心7を積層鋼板により形成することもできる。また、回転子鉄心7の質量を低減できるので、回転子2の軽量化を図ることができる。さらに、保持部310の材料に、回転子鉄心7とは異なる材料を選定し、低コスト化を図ることができる。
【0060】
(2)保持部310は、回転子鉄心7の軸方向端面7aに固定される固定部311と、固定部311から立ち上がり界磁コイル12を弾性力によって付勢する付勢部312と、を有している。この構成では、保持部310が弾性変形可能な板状部材(板バネ)であり、保持部310が弾性力により界磁コイル12を内径側から付勢する。したがって、弾性変形前の保持部310の屈曲角θを調整することにより、保持部310から界磁コイル12に作用する付勢力を調整することができる。このため、界磁コイル12に対する保持部310の保持力を容易に増加させることができる。したがって、第3実施形態によれば、第1実施形態よりも振動や遠心力の変動に起因する位置ずれ、損傷を効果的に防止し、界磁コイル12の信頼性を向上することができる。
【0061】
(3)磁極突部72は、回転子鉄心7に固定されたシャフト5から径方向外側に向かって延在する磁極胴部73と、磁極胴部73の先端に取り付けられる磁極頭部74と、を有している。界磁コイル12は、磁極頭部74と保持部310とによって、径方向に挟持される。この構成では、磁極頭部74を磁極胴部73に取り付けることにより、保持部310から適正な保持力が界磁コイル12に作用し、界磁コイル12を保持することができる。
【0062】
<第4実施形態>
図10を参照して、本発明の第4実施形態に係る回転電機100について説明する。なお、第3実施形態で説明した構成と同一もしくは相当する構成には同一の参照記号を付し、相違点を主に説明する。
図10は、第4実施形態に係る回転電機100の磁極部480の平面図である。
【0063】
第3実施形態では、単一の磁極突部72の軸方向一端部に単一の保持部310が設けられている例(
図7A参照)について説明した。これに対して、本第4実施形態では、
図10に示すように、単一の磁極突部72の軸方向一端部に一対の保持部310A,310Bが設けられている。一対の保持部310A,310Bは、磁極胴部73の周方向両端部に配置されている。一対の保持部310A,310Bのそれぞれの周方向幅W1A,W1Bは、第3実施形態の保持部310の周方向幅W1の半分である。つまり、第4実施形態の保持部310A,310Bは、第3実施形態の保持部310を周方向に二分割した構造といえる。
【0064】
一対の保持部310A,310Bは、磁極突部72の周方向中心である磁極中心軸Caを挟むように配置される。この構成によれば、界磁コイル12が一対の保持部310A,310Bによって二点支持される。したがって、本第4実施形態によれば、第3実施形態よりも界磁コイル12を安定して保持することができる。
【0065】
<第5実施形態>
図11を参照して、本発明の第5実施形態に係る回転電機システム1000について説明する。
図11は、第5実施形態に係る回転電機システム1000の構成を示す図である。
図11に示す回転電機システム1000は、ダンプトラック(建設用の運搬車両)に搭載される。
図11に示すように、回転電機システム1000は、回転電機ユニット500と、回転電機ユニット500のシャフト5に接続される内燃機関520と、回転電機ユニット500に流入する冷却風(冷媒17の流れ)を生成する電動送風機であるブロア542と、を備える。回転電機システム1000は、内燃機関520が駆動することにより回転電機ユニット500で電力を発生させる。
【0066】
回転電機ユニット500は、主回転電機501と、補助回転電機502と、を有する。第1実施形態から第4実施形態に係る回転電機100は主回転電機501及び補助回転電機502の少なくとも一方に使用される。主回転電機501の回転子2及び固定子3を収容するフレーム1と、補助回転電機502の回転子2及び固定子3を収容するフレーム1は兼用されている。
【0067】
シャフト5には主回転電機501の回転子2及び補助回転電機502の回転子2が接続されている。また、シャフト5はカップリング521を介して内燃機関520に直結されている。内燃機関520が駆動されることで、主回転電機501及び補助回転電機502から主電力変換器531及び補助電力変換器532へ電力が供給される。主電力変換器531はダンプトラックの駆動用電動機541に電力を供給する。駆動用電動機541は駆動輪を回転させて、ダンプトラックを走行させる。補助電力変換器532は補機の一つであるブロア(送風機)542に電力を供給し、ブロア542を回転させる。これにより、主回転電機501及び補助回転電機502を冷却するための冷却風(冷媒17の流れ)が生成される。冷媒17は、回転電機ユニット500の回転軸方向に沿って流れる。
【0068】
本第5実施形態によれば、主回転電機501及び補助回転電機502の少なくとも一方に上記第1~第4実施形態の回転電機100が採用される。このため、ダンプトラックに搭載される各種機器を動作させる電力を長期に亘って安定して出力可能な回転電機100を有する信頼性の高い回転電機システム1000を提供することができる。これにより、回転電機システム1000を備えるダンプトラック(車両)の軽量化、及び高効率化を図ることができる。
【0069】
次のような変形例も本発明の範囲内であり、変形例に示す構成と上述の実施形態で説明した構成を組み合わせたり、上述の異なる実施形態で説明した構成同士を組み合わせたり、以下の異なる変形例で説明する構成同士を組み合わせることも可能である。
【0070】
<変形例1>
上記実施形態では、回転電機100の極数が8極であり、固定子3のスロット数が60である例について説明したが、極数及びスロット数はこれに限定されない。
【0071】
<変形例2>
上記実施形態では、軸流開放型の冷却構造を例に説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、フレーム1は密閉構造とされていてもよい。この場合、フレーム1の内部に送風機が設けられ、送風機により生成された冷却風により回転子2及び固定子3が冷却される。また、冷却構造は、回転電機100の軸方向一端側と軸方向他端側とを個別に冷却する複流構造としてもよい。
【0072】
<変形例3>
第1~第3実施形態では、単一の磁極突部72の軸方向一端部に単一の保持部110,210,310が設けられている例について説明した。第4実施形態では、単一の磁極突部72の軸方向一端部に一対の保持部310A,310Bが設けられている例について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されない。単一の磁極突部72の軸方向一端部に3つ以上の保持部が設けられていてもよい。なお、複数の保持部が設けられる場合、複数の保持部の周方向幅の合計値が、磁極胴部73の周方向幅W2の2/5以上、かつ3/5以下であることが好ましい。
【0073】
<変形例4>
第1及び第2実施形態では、単一の保持部110,210が回転子鉄心7と一体に形成される例について説明したが、本発明はこれに限定されない。第1及び第2実施形態において、一対の保持部を設けてもよい。この変形例では、磁極突部72の軸方向端面の周方向中心に、径方向に延在する凹部を加工することにより、一対の保持部を形成することができる。
【0074】
<変形例5>
第5実施形態では、回転電機100がダンプトラック(建設用の運搬車両)に搭載される例について説明したが、本発明はこれに限定されない。回転電機100は、車両などの移動体に搭載されるものに限定されることもない。
【0075】
<変形例6>
上記実施形態では、回転電機100が発電機である例について説明したが、本発明はこれに限定されない。回転電機100は、電動機として使用されるものであってもよい。また、回転電機100は、発電機及び電動機として使用されるものであってもよい。
【0076】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0077】
1…フレーム、2…回転子、3…固定子、4…軸受、5…シャフト、6…界磁コイルエンド(界磁コイルの軸方向端部)、7…回転子鉄心、7a…軸方向端面、9…固定子鉄心、10…固定子コイルエンド、12…界磁コイル、12a…巻回部、12b…第1端面、12c…第2端面、13…固定子コイル、14…ギャップ、17…冷媒、18…極間部、18a…空間、71…シャフト固定部、72…磁極突部、73…磁極胴部、74…磁極頭部、75…溝、75a…底部、100…回転電機、110,210,310,310A,310B…保持部、180,280,380,480…磁極部、311…固定部、312…付勢部、500…回転電機ユニット、501…主回転電機(回転電機)、502…補助回転電機(回転電機)、520…内燃機関、531…主電力変換器、532…補助電力変換器、541…駆動用電動機、542…ブロア(送風機)、1000…回転電機システム、Ca…磁極中心軸、W1…保持部の周方向幅、W2…磁極突部(磁極胴部)の周方向幅(磁極突部において界磁コイルが巻回される部分の周方向幅)