(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151069
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】表示媒体、処理装置、処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G09F 19/14 20060101AFI20241017BHJP
【FI】
G09F19/14
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064194
(22)【出願日】2023-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】598138327
【氏名又は名称】株式会社ドワンゴ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 快勢
(57)【要約】
【課題】省スペースで、健常者も少数色覚特性保持者も見えやすいコンテンツを表示する。
【解決手段】表示媒体1は、健常者および少数色覚特性保持者が視認可能なコンテンツを表示する。表示媒体1は、第1の方向に、RGB成分を含む第1のコンテンツを表示し、第2の方向に、前記RGB成分のRの値およびGの値のうちのいずれか一方の値と正の相関を有する輝度を有する第2のコンテンツを表示する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
健常者および少数色覚特性保持者が視認可能なコンテンツを表示する表示媒体であって、
第1の方向に、RGB成分を含む第1のコンテンツを表示し、
第2の方向に、前記RGB成分のRの値およびGの値のうちのいずれか一方の値と正の相関を有する輝度を有する第2のコンテンツを表示する
表示媒体。
【請求項2】
前記第1のコンテンツのRGB成分の前記一方の値の値域に対する前記一方の値の比率と、前記第2のコンテンツの輝度の値域に対する輝度の値の比率は対応する
請求項1に記載の表示媒体。
【請求項3】
前記表示媒体の表面に複数のセルを有し、
前記セルは、遮光性を有する突状部材と、表面に色領域を有し、
前記セルは、第1ないし第2のそれぞれの方向から視認した際、視認される前記色領域が異なるように形成される
請求項1に記載の表示媒体。
【請求項4】
前記表示媒体の表面に複数のセルを有し、
前記セルは、前記セル上の空間を2つ方向に放射状に区分し、色領域を有するパーティションを備え、
前記セルは、第1ないし第2のそれぞれの方向から視認した際、視認される前記色領域が異なるように形成される
請求項2に記載の表示媒体。
【請求項5】
前記表示媒体は、
透明部材で形成され、複数の上面セルを有し、前記複数の上面セルのそれぞれに色領域を有する上面レイヤと、
透明部材で形成され、複数の下面セルを有し、前記複数の下面セルのそれぞれに色領域を有する下面レイヤを備え、
前記上面レイヤの上面セルと、前記上面セルに重なる前記下面レイヤの下面セルを含むセルは、第1ないし第2のそれぞれの方向から視認した際、前記下面セルの色領域において、前記上面セルの色領域が重なる部分が互いに異なるように形成され、
前記第1の方向上の第1の視点から見る各セルで、RGB成分を含む第1のコンテンツを、前記第1の方向に表示し、
前記第2の方向上の第2の視点から見る各セルの輝度が、前記各セルに対応するRGB成分の前記一方の値と正の相関がある第2のコンテンツを、前記第2の方向に表示する
請求項1に記載の表示媒体。
【請求項6】
透明部材で形成され、複数の上面セルを有し、前記複数の上面セルのそれぞれに色領域を有する上面レイヤと、
透明部材で形成され、複数の下面セルを有し、前記複数の下面セルのそれぞれに色領域を有する下面レイヤを備え、
前記上面レイヤの上面セルと、前記上面セルに重なる前記下面レイヤの下面セルを含むセルは、第1ないし第2のそれぞれの方向から視認した際、前記下面セルの色領域において、前記上面セルの色領域が重なる部分が互いに異なるように形成され、
前記上面セルおよび前記下面セルのそれぞれは、前記色領域と、色が与えられない透明領域とを有し、
前記色領域は、前記上面セルおよび前記下面セルのそれぞれのセルの端から離れた位置に設けられ、複数の画素を備える表示媒体において、前記色領域に色を割り当てる処理装置であって、
前記第1の方向に表示するコンテンツについて各セルで表示する色のRGBの各値を算出する算出部と、
前記各セルについて、前記第1の方向に、算出されたRGBの各値の色を表示し、前記第2の方向に、Rの値およびGの値のうちのいずれか一方の値と正の相関がある輝度を有する色を表示するように、前記上面セルおよび前記下面セルの各画素に色を割り当てる割り当て部
を有する処理装置。
【請求項7】
透明部材で形成され、複数の上面セルを有し、前記複数の上面セルのそれぞれに色領域を有する上面レイヤと、
透明部材で形成され、複数の下面セルを有し、前記複数の下面セルのそれぞれに色領域を有する下面レイヤを備え、
前記上面レイヤの上面セルと、前記上面セルに重なる前記下面レイヤの下面セルを含むセルは、第1ないし第2のそれぞれの方向から視認した際、前記下面セルの色領域において、前記上面セルの色領域が重なる部分が互いに異なるように形成され、
前記上面セルおよび前記下面セルのそれぞれは、前記色領域と、色が与えられない透明領域とを有し、
前記色領域は、前記上面セルおよび前記下面セルのそれぞれのセルの端から離れた位置に設けられ、複数の画素を備える表示媒体において、前記色領域に色を割り当てる処理方法であって、
前記上面セルおよび前記下面セルのそれぞれは、前記色領域と、色が与えられない透明領域とを有し、
前記色領域は、前記上面セルおよび前記下面セルのそれぞれのセルの端から離れた位置に設けられ、複数の画素を備え、
コンピュータが、前記第1の方向に表示するコンテンツについて前記セルで表示する色のRGBの各値を算出し、
コンピュータが、前記セルで、前記第1の方向に、算出されたRGBの各値の色を表示し、前記第2の方向に、Rの値およびGの値のうちのいずれか一方の値と正の相関がある輝度を有する色を表示するように、前記上面セルおよび前記下面セルの各画素に色を割り当てる
処理方法。
【請求項8】
コンピュータを、請求項6に記載の処理装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示媒体、処理装置、処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
色を感じる3つの細胞である赤錐体、緑錐体および青錐体により、人は、色を感じることができる。一方、いずれかの錐体が欠損している、または機能していないことにより、少数色覚特性が生じる場合がある。一般的に少数色覚特性保持者は、赤または/および緑の色の認識が苦手である。例えば、赤地に緑の文字がある場合、あるいは緑地に赤の文字がある場合、少数色覚特性保持者は文字を全く認識できない場合がある。
【0003】
このような状況を鑑みて、少数色覚特性の有無に関わらず、見やすい色を使ってデザインするユニバーサルデザインが普及している。ユニバーサルデザインでは、少数色覚特性保持者が見えづらい赤と緑を使わないなど、いくつかの指標がある。
【0004】
また、複数の方向に、それぞれ異なるコンテンツを表示する表示媒体が知られている(特許文献1-3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6374625号公報
【特許文献2】特許第6758447号公報
【特許文献3】特許第6764990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながらユニバーサルデザインでは、利用可能な色が制限されることから、任意の色でコンテンツを表現することができない。
【0007】
任意の色でコンテンツを表現しようとすると少数色覚特性保持者は見えづらいので、健常者向けに任意の色で表現したコンテンツと、少数色覚特性保持者に好適な色で表現したコンテンツを併記することも考えられる。しかしながら、カラーバリエーションを変えて、同一の内容のコンテンツ併記するために、広いスペースが必要となる。
【0008】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本開示の目的は、省スペースで、健常者も少数色覚特性保持者も見えやすいコンテンツを表示可能な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様の表示媒体は、健常者および少数色覚特性保持者が視認可能なコンテンツを表示する表示媒体であって、第1の方向に、RGB成分を含む第1のコンテンツを表示し、第2の方向に、前記RGB成分のRの値およびGの値のうちのいずれか一方の値と正の相関を有する輝度を有する第2のコンテンツを表示する。
【0010】
本開示の一態様の処理装置は、透明部材で形成され、複数の上面セルを有し、前記複数の上面セルのそれぞれに色領域を有する上面レイヤと、透明部材で形成され、複数の下面セルを有し、前記複数の下面セルのそれぞれに色領域を有する下面レイヤを備え、前記上面レイヤの上面セルと、前記上面セルに重なる前記下面レイヤの下面セルを含むセルは、第1ないし第2のそれぞれの方向から視認した際、前記下面セルの色領域において、前記上面セルの色領域が重なる部分が互いに異なるように形成され、前記上面セルおよび前記下面セルのそれぞれは、前記色領域と、色が与えられない透明領域とを有し、前記色領域は、前記上面セルおよび前記下面セルのそれぞれのセルの端から離れた位置に設けられ、複数の画素を備える表示媒体において、前記色領域に色を割り当てる処理装置であって、前記第1の方向に表示するコンテンツについて各セルで表示する色のRGBの各値を算出する算出部と、前記各セルについて、前記第1の方向に、算出されたRGBの各値の色を表示し、前記第2の方向に、Rの値およびGの値のうちのいずれか一方の値と正の相関がある輝度を有する色を表示するように、前記上面セルおよび前記下面セルの各画素に色を割り当てる割り当て部を有する。
【0011】
本開示の一態様の処理方法は、透明部材で形成され、複数の上面セルを有し、前記複数の上面セルのそれぞれに色領域を有する上面レイヤと、透明部材で形成され、複数の下面セルを有し、前記複数の下面セルのそれぞれに色領域を有する下面レイヤを備え、前記上面レイヤの上面セルと、前記上面セルに重なる前記下面レイヤの下面セルを含むセルは、第1ないし第2のそれぞれの方向から視認した際、前記下面セルの色領域において、前記上面セルの色領域が重なる部分が互いに異なるように形成され、前記上面セルおよび前記下面セルのそれぞれは、前記色領域と、色が与えられない透明領域とを有し、前記色領域は、前記上面セルおよび前記下面セルのそれぞれのセルの端から離れた位置に設けられ、複数の画素を備える表示媒体において、前記色領域に色を割り当てる処理方法であって、前記上面セルおよび前記下面セルのそれぞれは、前記色領域と、色が与えられない透明領域とを有し、前記色領域は、前記上面セルおよび前記下面セルのそれぞれのセルの端から離れた位置に設けられ、複数の画素を備え、コンピュータが、前記第1の方向に表示するコンテンツについて前記セルで表示する色のRGBの各値を算出し、コンピュータが、前記セルで、前記第1の方向に、算出されたRGBの各値の色を表示し、前記第2の方向に、Rの値およびGの値のうちのいずれか一方の値と正の相関がある輝度を有する色を表示するように、前記上面セルおよび前記下面セルの各画素に色を割り当てる。
【0012】
本開示の一態様の表示媒体は、健常者および少数色覚特性保持者が視認可能なコンテンツを表示する表示媒体であって、第1の方向に、RGB成分を含む第1のコンテンツを表示し、第2の方向に、前記RGB成分のRの値と正の相関を有する輝度を有する第2のコンテンツを表示し、第3の方向に、前記RGB成分のGの値と正の相関を有する輝度を有する第3のコンテンツを表示する。
【0013】
本開示の一態様の処理装置は、透明部材で形成され、複数の上面セルを有し、前記複数の上面セルのそれぞれに色領域を有する上面レイヤと、透明部材で形成され、複数の下面セルを有し、前記複数の下面セルのそれぞれに色領域を有する下面レイヤを備え、前記上面レイヤの上面セルと、前記上面セルに重なる前記下面レイヤの下面セルを含むセルは、第1ないし第3のそれぞれの方向から視認した際、前記下面セルの色領域において、前記上面セルの色領域が重なる部分が互いに異なるように形成され、前記上面セルおよび前記下面セルのそれぞれは、前記色領域と、色が与えられない透明領域とを有し、前記色領域は、前記上面セルおよび前記下面セルのそれぞれのセルの端から離れた位置に設けられ、複数の画素を備える表示媒体において、前記色領域に色を割り当てる処理装置であって、前記第1の方向に表示するコンテンツについて各セルで表示する色のRGBの各値を算出する算出部と、前記各セルについて、前記第1の方向に、算出されたRGBの各値の色を表示し、前記第2の方向に、算出されたRの値と正の相関がある輝度を有する色を表示し、前記第3の方向に、算出されたGの値と正の相関がある輝度を有する色を表示するように、前記上面セルおよび前記下面セルの各画素に色を割り当てる割り当て部を有する。
【0014】
本開示の一態様の処理方法は、透明部材で形成され、複数の上面セルを有し、前記複数の上面セルのそれぞれに色領域を有する上面レイヤと、透明部材で形成され、複数の下面セルを有し、前記複数の下面セルのそれぞれに色領域を有する下面レイヤを備え、前記上面レイヤの上面セルと、前記上面セルに重なる前記下面レイヤの下面セルを含むセルは、第1ないし第3のそれぞれの方向から視認した際、前記下面セルの色領域において、前記上面セルの色領域が重なる部分が互いに異なるように形成され、前記上面セルおよび前記下面セルのそれぞれは、前記色領域と、色が与えられない透明領域とを有し、前記色領域は、前記上面セルおよび前記下面セルのそれぞれのセルの端から離れた位置に設けられ、複数の画素を備える表示媒体において、前記色領域に色を割り当てる処理方法であって、前記上面セルおよび前記下面セルのそれぞれは、前記色領域と、色が与えられない透明領域とを有し、前記色領域は、前記上面セルおよび前記下面セルのそれぞれのセルの端から離れた位置に設けられ、複数の画素を備え、コンピュータが、前記第1の方向に表示するコンテンツについて前記セルで表示する色のRGBの各値を算出し、コンピュータが、前記セルで、前記第1の方向に、算出されたRGBの各値の色を表示し、前記第2の方向に、算出されたRの値と正の相関がある輝度を有する色を表示し、前記第3の方向に、算出されたGの値と正の相関がある輝度を有する色を表示するように、前記上面セルおよび前記下面セルの各画素に色を割り当てる。
【0015】
本開示の一態様は、上記処理装置として、コンピュータを機能させるプログラムである。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、省スペースで、健常者も少数色覚特性保持者も見えやすいコンテンツを表示可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、第1の実施の形態に係る表示媒体の斜視図である。
【
図2】
図2は、第1の実施の形態に係る表示媒体の側面図である。
【
図3】
図3は、第1の実施の形態に係る表示媒体の上面レイヤおよび下面レイヤを説明する図である。
【
図4】
図4は、第1の実施の形態に係るセルの側面図である。
【
図5】
図5は、第1の実施の形態に係る表示媒体を製造するための出力データを生成する処理装置の機能ブロックを説明する図である。
【
図6】
図6は、第1の実施の形態に係る表示媒体に割り当てる色を決定する処理を説明するフローチャートである。
【
図7】
図7は、第2の実施の形態に係る表示媒体の斜視図である。
【
図8】
図8は、第2の実施の形態に係る表示媒体のセルの一例を説明する図である。
【
図9】
図9は、第2の実施の形態に係る表示媒体において遮蔽される画素および露出する画素の一例を説明する図である。
【
図10】
図10は、第2の実施の形態に係る表示媒体を製造するための出力データを生成する処理装置の機能ブロックを説明する図である。
【
図11】
図11は、第3の実施の形態に係る表示媒体の斜視図である。
【
図12】
図12(a)は、第3の実施の形態に係る表示媒体に用いられるパーティションの正面図であって、
図12(b)は、右側面図である。
【
図13】
図13は、第3の実施の形態に係る表示媒体に用いられるパーティションの断面図である。
【
図14】
図14は、処理装置に用いられるコンピュータのハードウエア構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本開示の実施の形態を説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付し説明を省略する。
【0019】
(表示媒体)
本開示の実施の形態に係る表示媒体は、健常者および少数色覚特性保持者が視認可能なコンテンツを表示する。表示媒体は、それぞれ異なる方向に、健常者および少数色覚特性保持者が視認しやすいコンテンツを表示する。
【0020】
少数色覚特性保持者は、正常とされる他の大勢の人とは色が異なって見えてしまう、または感じてしまう者で、医学的に、色盲、色弱または色覚異常者と称される場合もある。多くの人は、色を知覚するための3種の錐体を有する。少数色覚特性保持者は、3種の錐体のうちの特定の一つの錐体、あるいは複数の錐体が欠損しているため、他の多くの人と異なる色覚特性を有する。
【0021】
本開示において、表示媒体は、第1の方向に、RGB成分を含む第1のコンテンツを表示する。表示媒体は、第2の方向に、RGB成分のRの値と正の相関を有する輝度を有する第2のコンテンツを表示する。表示媒体は、第3の方向に、RGB成分のGの値と正の相関を有する輝度を有する第3のコンテンツを表示する。
【0022】
表示媒体の表示面は、複数のセルに区分される。各セルは、複数の画素を有する。本開示の実施の形態に係る表示媒体が表示するコンテンツは、表示媒体上の複数の画素のそれぞれに与えられた色で表現される。
【0023】
表示媒体は、複数の画素のうち第1の視点から見える画素で、RGB(Red:赤、Green:緑、Blue:青)の3原色で表現可能な第1のコンテンツを表示する。表示媒体は、複数の画素のうち第2の視点から見える画素で、第1のコンテンツの赤色成分の値と正の相関がある輝度を有する第2のコンテンツを表示する。表示媒体は、複数の画素のうち第3の視点から見える画素で、第1のコンテンツの緑色成分の値と正の相関がある輝度を有する第3のコンテンツを表示する。
【0024】
本開示において健常者は、コンテンツの構図を、第1のコンテンツの赤緑青の各成分から理解する。少数色覚特性保持者は、赤または緑を認識しづらいので、赤緑青のうち青成分が表現するコンテンツの構図を、第1のコンテンツの各セルの赤緑青のうちの青の成分から理解できる。一方、少数色覚特性保持者は、第1のコンテンツを視認しても、赤成分と緑成分のそれぞれが表現するコンテンツの構図を理解できない。そこで少数色覚特性保持者は、本開示に係る表示媒体により、赤成分が表現するコンテンツの構図を、第2のコンテンツの各セルの輝度の差異から理解する。少数色覚特性保持者は、緑成分が表現するコンテンツの構図を、第3のコンテンツの各セルの輝度の成分の差異から理解する。少数色覚特性保持者は、視点を変えて表示媒体を繰り返すことにより、第1のコンテンツ、第2のコンテンツおよび第3のコンテンツから、各色成分が表現する構図を視認することが可能となる。ここで、コンテンツの構図は、コンテンツ内の被写体または背景の輪郭(エッジ)である。
【0025】
本開示の実施の形態に係る表示媒体を製造するために用いられる処理装置は、印刷機などの表示媒体を製造するための製造装置に入力される出力データとして、表示媒体の各画素に与えられる色を指定する。
【0026】
処理装置は、算出部および割り当て部を備える。
【0027】
算出部は、赤緑青の3原色で表現可能な第1のコンテンツにおいて、所定セルで表示する色の赤緑青の各値を算出する。ここで、第1のコンテンツは、赤緑青の3原色に変換可能であればよく、赤緑青カラーモデルで形成されても良いし、CMYKなどの他のカラーモデルで形成されても良い。CMYKは、Cyan:シアン、Magenta:マゼンダ、Yellow:黄、およびblacK:黒である。
【0028】
割り当て部は、所定セル内の第1の視点から見える画素で、赤緑青の各値の色を表示し、所定セル内の第2の視点から見える画素で、赤緑青のうちの赤の値と正の相関を有する輝度を表示し、所定セル内の第3の視点から見える画素で、赤緑青のうちの緑の値と正の相関を有する輝度を表示するように、所定セル内の各画素に色を割り当てる。
【0029】
発明者は、少数色覚特性保持者が、赤色または緑色の認識が苦手であるものの、赤色または緑色を輝度に変換したコンテンツを見ることで、コンテンツ中の構図を把握し、コンテンツを理解することができる、という知見を得た。また少数色覚特性には、複数の種類があるものの、多くの少数色覚特性保持者は、赤色と緑色のそれぞれを輝度に変換したコンテンツを表示することで、コンテンツ中の構図を把握することができるという知見を得た。
【0030】
非特許文献等に開示される表示媒体は、複数の方向にそれぞれ異なる複数の異なるコンテンツを表示可能である。表示媒体は、ある方向に、健常者が視認しやすいコンテンツを表示する。さらに表示媒体は、それ以外の2つの方向に、少数色覚特性保持者向けのコンテンツを表示する。少数色覚特性保持者向けのコンテンツは、健常者が視認しやすいコンテンツにおいて少数色覚特性保持者が視認しにくい要素を、少数色覚特性保持者が視認しやすい要素に変換したコンテンツである。健常者が視認しやすいコンテンツは、各セルがRGBで形成されるコンテンツである。少数色覚特性保持者が視認しやすい要素に変換したコンテンツは、各セルの赤色の濃淡を輝度の強弱に変換したコンテンツと、各セルの緑色の濃淡を輝度の強弱に変換したコンテンツである。
【0031】
少数色覚特性保持者は、表示媒体を視認する方向を切り換えて、あるいは、表示媒体の方向を切り換えて、3つのコンテンツを順に繰り返し見る。少数色覚特性保持者は、赤色の濃淡を輝度の強弱で表現したコンテンツと、緑色の濃淡を輝度の強弱で表現したコンテンツから、コンテンツにおける構図、具体的には各色の濃淡の差異を把握することが可能になる。
【0032】
このような表示媒体は、省スペースで、健常者も少数色覚特性保持者も見えやすいコンテンツを表示することができる。
【0033】
また表示媒体が表示する第2および第3のコンテンツは、それぞれRGBで形成されるコンテンツの各色成分の濃淡を反映して生成されるので、表示媒体の同じ位置に、コンテンツにおける構図が現れる。表示媒体を視認する方向を切り換えて、あるいは、表示媒体の方向を切り換えることにより、同じ位置に赤の濃淡または緑の濃淡を輝度の強弱として認識できる。表示媒体は、さらに輝度の強弱の残像と相まって、コンテンツにおける構図を把握することが可能になる。
【0034】
また本開示の実施の形態で説明する省スペースで、健常者も少数色覚特性保持者も見えやすいコンテンツを表示する表示媒体の具体例として、第1の実施の形態から第3の実施の形態において説明する。ここでは、3つの実施の形態で表示媒体を説明するが、これに限らない。異なる方向に異なるコンテンツを表示可能な表示媒体おいて、健常者が見やすいRGB(赤緑青)で形成されるコンテンツと、赤色を輝度に変換したコンテンツと、緑色を輝度に変換したコンテンツを表示しても良い。
【0035】
(第1の実施の形態)
図1を参照して、第1の実施の形態に係る表示媒体1を説明する。第1の実施の形態に係る表示媒体1は、非特許文献2に記載の表示媒体の構成を有する。
図1に示すように表示媒体1は、表面に複数のセルCを有する。
図1に示す例において、ユーザの視線は、Z軸方向の上方にある。
図1に示す例において表示媒体1は、直方体形状を揺するが、形状は問わない。表示媒体1は、シート形状に形成されても良いし、立体形状に形成されても良い。
【0036】
表示媒体1は、
図2に示すように、上面レイヤLuおよび下面レイヤLbを有する。上面レイヤLuと下面レイヤLbの呼称は、表示媒体1の配置状況に依存するものではない。第1の実施の形態において、ユーザの視点に近いレイヤは、上面レイヤLuと称される。ユーザの視点に遠いレイヤは、下面レイヤLbと称される。
【0037】
図2および
図3に示すように、上面レイヤLuおよび下面レイヤLbは、XY平面に形成され、Z軸方向に平行に配設される。表示媒体1は、複数方向の光のそれぞれが、上面レイヤLuおよび下面レイヤLbを通過する部分に基づいて、複数方向に対応する複数のコンテンツを表示する。上面レイヤLuおよび下面レイヤLbを通過した複数方向の光が入射する位置に設けられたそれぞれの視点において、それぞれのコンテンツが視認される。表示媒体1は、各方向について、上面レイヤLuを通過する部分の色と、下面レイヤLbを通過した部分との色の組み合わせが、異なるので、複数のコンテンツを表示する。表示媒体1は、上面レイヤLuおよび下面レイヤLbに対して、Z軸方向に上方の3つの異なる視点に、コンテンツを表示する。3つの異なる視点は、少なくとも、X方向の値およびY方向の値が異なる。
【0038】
第1の実施の形態においてコンテンツを表示する際に用いられる所定方向の光は、少なくとも、上面レイヤLuおよび下面レイヤLbに対して、視点と対向する方向から発せられる。視点が、Z軸方向において、上面レイヤLuおよび下面レイヤLbよりも上方に設けられる場合、光は、Z軸方向において、上面レイヤLuおよび下面レイヤLbよりも下方から発せられればよく、光源の位置は問わない。下面レイヤLbよりもZ軸方向の下方から上方に向かう光は、例えば、任意の位置に設けられた光源からの光が、基材Mで反射した光であっても良いし、基材Mに設けられた光源からの光であっても良い。
【0039】
図1に示すように、上面レイヤLuと下面レイヤLbの間に、透明層Nが形成される。また下面レイヤLbに対して透明層NとZ軸方向の反対方向に、基材Mが設けられる。Z軸方向において、基材M、下面レイヤLb、透明層Nおよび上面レイヤLuの順で、これらの部材が積層されて、表示媒体1が形成される。
【0040】
透明層Nは、光の色成分を吸収せずに、多くの光を透過させる材質で形成されるのが好ましい。透明層Nは、例えば、水、透明なプラスチック等の透明な材質で形成される。透明層Nは空気で形成されてもよい。換言すると、上面レイヤLuと下面レイヤLbは、所定距離離れて平行に配設されても良い。基材Mは、鏡、白い紙等であって、上面レイヤLuおよび下面レイヤLbに与えられた色を視認しやすい部材で形成される。
【0041】
図2および
図3に示すように、上面レイヤLuは、透明部材で形成され、複数の上面セルCuを有する。複数の上面セルCuのそれぞれは、色領域を有する。下面レイヤLbは、透明部材で形成され、複数の下面セルCbを有する。複数の下面セルCbのそれぞれは、色領域を有する。上面セルCuおよび下面セルCbのそれぞれの位置の所定の定義によって、上面セルCuおよび下面セルCbの色領域に色を与える印刷機等が、各色領域の位置を、特定できればよく、上面セルCuおよび下面セルCbのそれぞれの位置は視認されなくても良い。例えば、隣接する上面セル2つのCuまたは2つの下面セルCbの間に、明確な線、仕切り、窪み等の区切りがなくても良い。隣接する2つの上面セルCuまたは2つの下面セルCbは、物理的に区切られなくても良い。また隣接する2つの上面セルCuまたは2つの下面セルCbの境界において、2つのセルの端部のそれぞれに同じ色または同じ無色が与えられるなどにより、隣接するセルCが視認できなくても良い。
【0042】
第1の実施の形態において、上面レイヤLuの各上面セルCuと、下面レイヤLbの各下面セルCbは、各レイヤを同様に区分して形成される。上面レイヤLuの各上面セルCuは、下面レイヤLbの各下面セルCbを、Z軸方向にずらした位置に形成される。より具体的には、
図3に示すように、本発明の実施の形態において、上面レイヤLuの上面セルCuは、下面レイヤLbの下面セルCbをZ軸方向にずらした位置に形成される。他のセルも同様である。第1の実施の形態において、上面セルCuと下面セルCbのように、Z軸方向にずらした位置に形成されるセルの関係を、「対応する」と呼ぶ。
【0043】
第1の実施の形態においてセルCは、上面レイヤLuの上面セルCuと、上面セルCuに重なる下面レイヤLbの下面セルCbを含む。セルCは、上面レイヤLuの各上面セルCuと下面レイヤLbの各下面セルCbのうち、対応する上面セルCuと下面セルCbの組み合わせにより特定される。
【0044】
図2ないし
図4に示すように、上面レイヤLuは、透明部材で形成され、複数の上面セルCuを有する。複数の上面セルCuのそれぞれに、色領域G11およびG12を有する。下面レイヤLbは、透明部材で形成され、複数の下面セルCbを有する。複数の下面セルCbのそれぞれに色領域G21、G22、G23、G24、G25およびG26を有する。色領域G11、G12、G21、G22、G23、G24、G25およびG26は、それぞれ、1以上の画素で形成される。ここで画素は、表示媒体1の製造装置が同一の色を与える単位である。
【0045】
第1の実施の形態において、各上面セルCuおよび各下面セルCbが、それぞれ同形状の色領域を有する場合を説明するが、上面セルCuまたは下面セルCb毎に、形状が異なっても良い。また第1の実施の形態において、上面レイヤLuおよび下面レイヤLbのそれぞれにおいて、X軸方向に複数の色領域が設けられる場合を説明するが、1つの色領域が設けられても良い。またY軸方向に1つの色領域が設けられる場合を説明するが、複数の色領域が設けられても良い。さらに複数の色領域が隣接して設けられる場合を説明するが、複数の色領域の間に透明領域が設けられるなど、複数の色領域が離散的に設けられても良い。
【0046】
図4を参照して、1つのセルを形成する上面セルCuと下面セルCbを説明する。第1の実施の形態において、上面セルCuと下面セルCbのそれぞれの境界部分に、透明領域が設けられる。透明領域よりも内側部分に、色領域が設けられる。透明領域が設けられることにより、色領域を通過する光が、隣接するセルの色領域を通過しないように形成することができるので、各色領域に割り当てる色の計算の負担が軽減される。色領域は、各レイヤにインクが塗布されることにより形成される。インクは、染料インクでも良いし、顔料インクでも良い。なお
図4においてハッチが入っていない部分は、インクが乗らない透明部分である。1つの色領域は、1または複数の画素により形成される。本開示において、1つの色領域G11内に、1つの色が均一に与えられる。他の色領域G12ないしG26についても同様である。
【0047】
1つのセルにおいて、上面セルCuの色領域を通過する光が、下面セルCb内を通過し、かつ、下面セルCbの色領域を通過する光が、上面セルCu内を通過するように、上面セルCuおよび下面セルCbの位置は設定される。第1の実施の形態において、1つのセルに含まれる上面セルCuおよび下面セルCbが、Z軸方向にずれる場合を説明するが、これに限らない。対応する上面セルCuと下面セルCbが、斜め方向にずれる、具体的にはZ軸方向のみならずX軸方向またはY軸方向にもずれても良い。
【0048】
第1の実施の形態において、セルは、第1ないし第3のそれぞれの方向から視認した際、下面セルCbの色領域において、上面セルCuの色領域が重なる部分が互いに異なるように形成される。これによりセルは、第1ないし第3の方向に、互いに異なる色を表示することができる。ここで、互いに異なるとは、完全に同一ではないこと意味し、完全に異なる場合のみならず、少なくとも一部が同じで一部が異なる場合も含む。
【0049】
例えば、
図4(a)の第1の方向において、上面セルCuの色領域G11およびG12は、下面セルCbの色領域G23よびG24と重なる。
図4(b)の第2の方向において、上面セルCuの色領域G11およびG12は、下面セルCbの色領域G25よびG26と重なる。
図4(c)の第3の方向において、上面セルCuの色領域G11およびG12は、下面セルCbの色領域G21よびG22と重なる。
【0050】
図4に示す例では、第1ないし第3の方向において、下面セルCbの色領域のうち、上面セルCuの色領域が重なる部分は、完全に重複しない場合を説明したが、一部が重複しても良い。例えば他の実施例で、第1の方向において色領域G23およびG24が上面セルCuの色領域に重なる。第2の方向において色領域G24およびG25が、上面セルCuの色領域に重なり、第3の方向において色領域G22およびG23が、上面セルCuの色領域に重なっても良い。
【0051】
なお、色領域に用いられるインクが、染料インクのように透過性が高いインクの場合、ユーザは、視認する各方向上の各視点において重なる色領域の各色が混ざった色を視認することができる。
図4(a)においてユーザは、G11とG23の各色が混ざった色と、G12とG24の各色が混ざった色を視認する。さらにユーザは、並置加法混色により、G11とG23の各色が混ざった色と、G12とG24の各色が混ざった色と、G21、G22、G25およびG26の各色が混ざった色を視認する。
【0052】
一方、色領域に用いられるインクが、顔料インクのように透過性が低いインクの場合、ユーザは、視認する方向において視点に近い色を視認することができる。
図4(a)においてユーザは、G11の色と、G12の色を視認する。さらにユーザは、並置加法混色により、G11およびG12と、G21、G22、G25およびG26の各色が混ざった色を視認する。
【0053】
このように、第1の実施の形態に係る表示媒体1の各セルは、第1の方向、第2の方向および第3の方向に対して、下面セルCbの色領域のうち、上面セルCuの色領域が重なる部分が異なるので、3つの方向に、互いに異なるコンテンツを表示することができる。
【0054】
具体的に、表示媒体1は、第1の方向に、RGB成分を含む第1のコンテンツを表示する。表示媒体1は、第2の方向に、RGB成分のRの値と正の相関を有する輝度を有する第2のコンテンツを表示する。表示媒体1は、第3の方向に、RGB成分のGの値と正の相関を有する輝度を有する第3のコンテンツを表示する。なお、表示媒体1は、3つの異なる方向に3つのコンテンツを表示できればよく、3つの方向を、
図4に示す方向に限定するものではない。
【0055】
ここで、第1のコンテンツのRGB成分のRの値域に対するRの値の比率と、第2のコンテンツの輝度の値域に対する輝度の値の比率は対応しても良い。同様に、第1のコンテンツのRGB成分のGの値域に対するGの値の比率と、第3のコンテンツの輝度の値域に対する輝度の値の比率は対応しても良い。例えば、第1のコンテンツにおいて、RGB成分の各値が256段階で示され、第2のコンテンツおよび第3のコンテンツにおける輝度が256段階で示される場合、第1のコンテンツのRGB成分のRの値は、第2のコンテンツの輝度の値と同じであることが好ましい。第1のコンテンツのRGB成分のGの値は、第3のコンテンツの輝度の値と同じであることが好ましい。なお、見やすさの観点から、第2のコンテンツにおける輝度は、第1のコンテンツにおけるRの値に対して、所定倍数になったり、オフセットが与えられたりしても良い。同様に、第3のコンテンツにおける輝度は、第1のコンテンツにおけるGの値に対して、所定倍数になったり、オフセットが与えられたりしても良い。
【0056】
表示媒体1は、RGBの各成分に変換可能な第1のコンテンツのほか、R成分の濃淡を輝度の強弱に変換した第2のコンテンツと、G成分の濃淡を輝度の強弱に変換した第3のコンテンツを表示する。健常者は、第1のコンテンツを視認する。緑錐体欠損または赤錐体欠損の少数色覚特性保持者は、第1のコンテンツのB成分で形成されるコンテンツの構図を視認し、さらに、視点を変えて、第2のコンテンツと第3のコンテンツを繰り返し見ることにより、R成分およびG成分のそれぞれ形成されるコンテンツの構図を視認できる。
【0057】
第1の実施の形態において少数色覚特性保持者は、表示媒体1に対する視点を、第1のコンテンツが見える視点、第2のコンテンツが見える視点および第3のコンテンツが見える視点との間で交互に変更することにより、具体的には、視点を、表示媒体1に対して真上方向、左斜め上方向および右斜め上方向と変更することにより、RGBのそれぞれの濃淡で表現される構図を認識することができる。
【0058】
(処理装置)
図5を参照して、表示媒体1に与える色を決定する処理装置10を説明する。処理装置10は、入力画像データ11、セル色データ12および出力データ13の各データと、算出部16および割り当て部17の各機能を備える。各データは、メモリ902またはストレージ903等の記憶装置に記憶される。各機能は、CPU901に実装される。
【0059】
入力画像データ11は、表示媒体1が表示するコンテンツの画像である。入力画像データ11は、複数の画素を備え、各画素に所定の色を対応づける。入力画像データ11は、健常者が視認可能なコンテンツである。入力画像データ11は、RGBの各成分に変換可能である。
【0060】
セル色データ12は、表示媒体1が有する各セルで表現すべき色のデータである。
【0061】
出力データ13は、製造装置で表示媒体1を形成する際に、各レイヤに印刷される色の値とその位置を対応づけるデータである。出力データ13は、セル毎に、そのセルの各色領域で着色する色を特定する。
図4に示す例において出力データ13は、セル毎に、色領域G11、G12、G21、G22、G23、G24、G25およびG26のそれぞれに与える色を対応づける。
【0062】
算出部16は、第1の方向に表示するコンテンツについて各セルで表示する色のRGBの各値を算出する。算出部16は、RGBで表現する第1のコンテンツにおいて、あるセルの上面セルCuおよび下面セルCbで表示する色の赤緑青(RGB)の各値を算出する。算出部16は、入力画像データ11の、処理対象のセルの位置に対応するRGBの値を、このペアの上面セルCuおよび下面セルCbで表示する色のRGBの値として算出する。算出部16は、各セルについてRGBの値を算出して、セル色データ12に出力する。
【0063】
割り当て部17は、各セルについて、各色領域に割り当てる色を決定して、出力データ13に出力する。割り当て部17は、各セルについて、第1の方向に、算出されたRGBの各値の色を表示し、第2の方向に、算出されたRの値と正の相関がある輝度を有する色を表示し、第3の方向に、算出されたGの値と正の相関がある輝度を有する色を表示するように、上面セルCuおよび下面セルCbの各画素に色を割り当てる。
【0064】
割り当て部17は、処理対象のセルについて、第1のコンテンツのRGB成分のRの値域に対するRの値の比率と、第2のコンテンツの輝度の値域に対する輝度の値の比率は対応し、第1のコンテンツのRGB成分のGの値域に対するGの値の比率と、第3のコンテンツの輝度の値域に対する輝度の値の比率は対応するように、各画素に色を割り当てる。
【0065】
割り当て部17は、例えば、第1の方向から見える各画素の組み合わせで、算出部16が算出したRGBを達成し、第2の方向から見える各画素の組み合わせで、算出部16が算出したRの濃淡に対応する輝度を達成し、第3の方向から見える各画素の組み合わせで、算出部16が算出したGの濃淡に対応する輝度を達成する、各画素の色を探索する。割り当て部17は、総当たりで探索しても良いし、最適化により探索しても良い。割り当て部17は、例えば、目標として、第1の方向に対して表示するRGBの値、第2の方向に対して表示する輝度、および第3の方向に対して表示する輝度を設定する。割り当て部17は、評価関数として、探索した各画素の色により実現される第1の方向に対して表示するRGBの値、第2の方向に対して表示する輝度、および第3の方向に対して表示する輝度と、目標との差分を設定する。割り当て部17は、評価関数が最小になるように、各画素に割り当てる色を決定する。
【0066】
割り当て部17は、各セルの各画素に割り当てる色を決定すると、出力データ13に出力する。
【0067】
図6を参照して、所定対象のセルの各画素について、色を割り当てる処理を説明する。
【0068】
まずステップS101において処理装置10は、入力画像データ11から、処理対象のセルの位置の画素値を取得する。ステップS102において処理装置10は、ステップS101で取得した画素値を、RGBの値に分解する。
【0069】
ステップS103において処理装置10は、第1の方向に、取得した画素値を表示し、第2の方向に、ステップS102で分解したRの値に対応する輝度を表示し、第3の方向に、ステップS102で分解したGの値に対応する輝度を表示する、各画素の色の組み合わせを算出する。
【0070】
ステップS104において処理装置10は、処理対象のセルの各画素に、算出した色を割り当てる。
【0071】
処理装置10は、各セルについて
図6に示す処理を繰り返す。処理装置10は、各セルにおける画素と色の対応関係を、出力データ13に出力する。出力データ13を、印刷機などの製造装置に入力することにより、各画素に適切な色が着色された上面レイヤLuおよび下面レイヤLbが出力される。基材M、下面レイヤLbよび第3のレイヤから、表示媒体1が形成される。
【0072】
第1の実施の形態に係る表示媒体1は、省スペースで、健常者も少数色覚特性保持者も見えやすいコンテンツを表示することができる。また第1の実施の形態に係る表示媒体1は、RGBで表現されるコンテンツのほか、Rの濃淡を輝度の強弱に変換した第2のコンテンツとGの濃淡を輝度の強弱に変換した第3のコンテンツを表示する。表示媒体1は、健常者のほか、赤色および緑色のうちのすくなくともいずれか一方を認識しづらい少数色覚特性保持者が見やすいコンテンツを表示する。表示媒体1は、より多くのユーザにコンテンツを視認させることができる。
【0073】
(第1の実施の形態の変形例)
第1の実施の形態において、3つの方向に3つのコンテンツを表示する場合を説明するが、変形例において、2つの方向に2つのコンテンツを表示する場合を説明する。
【0074】
変形例に係る表示媒体1は、第1の方向に、RGB成分を含む第1のコンテンツを表示し、第2の方向に、RGB成分のRの値およびGの値のうちのいずれか一方の値と正の相関を有する輝度を有する第2のコンテンツを表示する。
【0075】
第2のコンテンツの輝度が、Rの値と正の相関を有する場合、第1のコンテンツのRGB成分のRの値の値域に対するRの値の比率と、第2のコンテンツの輝度の値域に対する輝度の値の比率は対応する。表示媒体1は、第1の方向上の第1の視点から見る各セルで、RGB成分を含む第1のコンテンツを、第1の方向に表示し、第2の方向上の第2の視点から見る各セルの輝度が、各セルに対応するRGB成分のRの値と正の相関がある第2のコンテンツを、第2の方向に表示する。変形例に係る処理装置10の割り当て部17は、各セルについて、第1の方向に、算出部16で算出されたRGBの各値の色を表示し、第2の方向に、Rの値と正の相関がある輝度を有する色を表示するように、上面セルおよび下面セルの各画素に色を割り当てる。
【0076】
変形例に係る表示媒体1は、第1のコンテンツとしてRGBで表現されたコンテンツのほか、第2のコンテンツとして、Rの濃淡を輝度の強弱に変換したコンテンツを表示する。表示媒体1は、健常者のほか、赤を認識しづらい少数色覚特性保持者が見やすいコンテンツを表示する。赤を認識しづらい少数色覚特性保持者は、赤緑青のうち緑成分と青成分が表現するコンテンツの構図を、第1のコンテンツの各セルの赤緑青のうちの緑と青の成分のそれぞれから理解できる。赤を認識しづらい少数色覚特性保持者は、赤成分が表現するコンテンツの構図を、第2のコンテンツの各セルの輝度の差異から理解することができる。
【0077】
第2のコンテンツの輝度が、Gの値と正の相関を有する場合、第1のコンテンツのRGB成分のGの値の値域に対するGの値の比率と、第2のコンテンツの輝度の値域に対する輝度の値の比率は対応する。表示媒体1は、第1の方向上の第1の視点から見る各セルで、RGB成分を含む第1のコンテンツを、第1の方向に表示し、第2の方向上の第2の視点から見る各セルの輝度が、各セルに対応するRGB成分のGの値と正の相関がある第2のコンテンツを、第2の方向に表示する。変形例に係る処理装置10の割り当て部17は、各セルについて、第1の方向に、算出部16で算出されたRGBの各値の色を表示し、第2の方向に、Gの値と正の相関がある輝度を有する色を表示するように、上面セルおよび下面セルの各画素に色を割り当てる。
【0078】
変形例に係る表示媒体1は、第1のコンテンツとしてRGBで表現されたコンテンツのほか、第2のコンテンツとして、Gの濃淡を輝度の強弱に変換したコンテンツを表示する。表示媒体1は、健常者のほか、緑を認識しづらい少数色覚特性保持者が見やすいコンテンツを表示する。緑を認識しづらい少数色覚特性保持者は、赤緑青のうち赤成分と青成分が表現するコンテンツの構図を、第1のコンテンツの各セルの赤緑青のうちの赤と青の成分のそれぞれから理解できる。緑を認識しづらい少数色覚特性保持者は、緑成分が表現するコンテンツの構図を、第2のコンテンツの各セルの輝度の差異から理解することができる。
【0079】
第1の実施の形態の変形例に係る表示媒体1は、省スペースで、健常者も少数色覚特性保持者も見えやすいコンテンツを表示することができる。
【0080】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態において、非特許文献2に記載の技術を用いて表示媒体を形成する場合を説明した。第2の実施の形態において、非特許文献1に記載の技術を用いて表示媒体100を形成する場合を説明する。
【0081】
第2の実施の形態に係る表示媒体100は、健常者および少数色覚特性保持者が視認可能なコンテンツを表示する。表示媒体100は、所定の仰角かつ方位角から、3つの方位角に対応する3つのコンテンツを表示する。
【0082】
第2の実施の形態において表示媒体100の表面に複数のセルを有する。セルCは、遮光性を有する突状部材と、表面に色領域を有する。セルCは、第1ないし第3のそれぞれの方向から視認した際、視認される色領域が異なるように形成される。ここで、色領域が異なるとは、完全に同一ではないこと意味し、完全に異なる場合のみならず、少なくとも一部が同じで一部が異なる場合も含む。表示媒体100は、第1の方向上の第1の視点から見る各セルで、RGB成分を含む第1のコンテンツを、第1の方向に表示する。第1のコンテンツは、第1の視点から見える各セルの各画素で、形成される。表示媒体100は、第2の方向上の第2の視点から見る各セルの輝度が、各セルに対応するRGB成分のRの値と正の相関がある第2のコンテンツを、第2の方向に表示する。第2のコンテンツは、第2の視点から見える各セルの各画素で、形成される。表示媒体100は、第3の方向上の第3の視点から見る各セルの輝度が、各セルに対応するRGB成分のGの値と正の相関がある第3のコンテンツを、第3の方向に表示する。第3のコンテンツは、第3の視点から見える各セルの各画素で、形成される。
【0083】
第2の実施の形態に係る表示媒体100は、第1の実施の形態と同様に、省スペースで、健常者も少数色覚特性保持者も見えやすいコンテンツを表示することができる。
【0084】
図7に示すように、表示媒体100は、基材101と、基材101の上面にコンテンツの色を表現する着色部102を備える。基材101は、光を反射する面を有する。基材101は、紙などの薄いシート形状であっても良いし、立体形状であってもよい。基材101は、上面が平面であっても良いし、曲面であっても良い。
【0085】
基材101の上面は、複数のセルCに区分される。複数のセルは、隣接して設置されても良いし、互いに離れて設置されても良い。複数のセルCのそれぞれは、
図8に示すように、3つの方位角のそれぞれに対応する3つのサブセルK0、K1およびK2に区分される。サブセルK0は、方位角φ0に対応する。サブセルK1は、方位角φ1に対応する。サブセルK2は、方位角φ2に対応する。
【0086】
所定の方位角に対応する各サブセルK0、K1、およびK2に、突状部材T0、T1およびT2のそれぞれが形成される。突状部材T0は、サブセルK0に形成される。突状部材T1は、サブセルK1に形成される。突状部材T2は、サブセルK2に形成される。
【0087】
突状部材T0、T1およびT2は、光を遮蔽する部材で形成される。突状部材T0、T1およびT2は、所定の方位角方向の面、より具体的には、その突状部材が形成されるサブセルに対応する方位角に平行な面を有する。
【0088】
所定の仰角かつ方位角から、所定の方位角に対応するサブセルの着色部が観察される。
【0089】
例えばユーザが、表示媒体100上の座標xを、所定の仰角ω0かつ方位角φ0で観察した場合、表示媒体100上の座標xに対応する第1のコンテンツの座標の色値を確認できる。同様にユーザが、表示媒体100上の座標xを、所定の仰角ω1かつ方位角φ1で観察した場合、表示媒体100上の座標xに対応する第2のコンテンツの座標の色値を確認できる。さらにユーザが、表示媒体100上の座標xを、所定の仰角ω2かつ方位角φ2で観察した場合、表示媒体100上の座標xに対応する第3のコンテンツの座標の色値を確認できる。
【0090】
第2の実施の形態において、方位角φ0で第1のコンテンツを表示し、方位角φ2で第2のコンテンツを表示し、方位角φ3で第3のコンテンツを表示する場合を説明するが、これに限らない。方位角と表示するコンテンツとの対応付けは、適宜決定される。
【0091】
図8を参照して、座標xのセルCを説明する。セルCは、サブセルK0、サブセルK1およびサブセルK2を備える。サブセルK0に、方位角φ0の方向に平行な、3つの突状部材T0が配置される。サブセルK1に、方位角φ1の方向に平行な、2つの突状部材T1が配置される。サブセルK2に、方位角φ2の方向に平行な、3つの突状部材T2が配置される。
【0092】
突状部材Tは、所定の高さを有するので、ある仰角から表示媒体1を観察した際に、表示媒体100の表面において、突状部材Tによって遮蔽される部分と遮蔽されない部分が生じる。ユーザは、方位角φ0から観察した場合、方位角φ0と平行な突状部材T0が形成されるサブセルK0の着色部102を視認可能で、それ以外のサブセルK1またはK2の着色部102を視認しづらい。ユーザは、方位角φ1から観察した場合、方位角φ1と平行な突状部材T1が形成されるサブセルK1の着色部102を視認可能で、それ以外のサブセルK0またはK2の着色部102を視認しづらい。ユーザは、方位角φ2から観察した場合、方位角φ2と平行な突状部材T2が形成されるサブセルK2の着色部102を視認可能で、それ以外のサブセルK0またはK1の着色部102を視認しづらい。
【0093】
このような第2の実施の形態に係る表示媒体100は、3つの方向に3つのコンテンツを表示することができる。表示媒体100は、方位角φ上の第1の視点に、第1の視点から見える画素で、RGB成分を含む第1のコンテンツを表示することができる。表示媒体100は、方位角φ1上の第2の視点に、第2の視点から見える画素で、各セルの輝度が、各セルに対応するRGB成分のRの値と正の相関がある第2のコンテンツを表示することができる。表示媒体100は、方位角φ2上の第3の視点に、第3の視点から見える画素で、各セルの輝度が、各セルに対応するRGB成分のGの値と正の相関がある第3のコンテンツを表示することができる。
【0094】
なお、第2の実施の形態において、ユーザは、所定の方位角から見た時、その方位角に対応するサブセルの着色部102の各画素を確認でき、その方位角に対応しないサブセルの着色部102の各画素が確認できないのが理想的ではあるが、そうならない場合がある。
【0095】
図9に示すように、サブセルK1において突状部材T1が形成される場合を考える。ユーザが、突状部材T1と平行なω1方向から観察した場合、サブセルK1内のほぼ全部の画素を確認できる。しかしながら、サブセルK1内に観察されない画素である遮蔽部K1aが形成される。また方位角φ1に対応しないサブセルK2内に観察される画素である露出部K2bが形成されてしまう場合がある。そこで、後述の割り当て部117の処理において、視点毎に見える画素群を特定し、その特定された画素群で、その視点に表示するように色を割り当てる。
【0096】
次に、表示媒体100の各画素に色を割り当てる処理装置110を説明する。
【0097】
図10に示すように、処理装置110は、入力画像データ111、条件データ112、形状データ113、セル色データ114および出力データ115の各データと、算出部116および割り当て部117の各機能を備える。各データは、メモリ902またはストレージ903等の記憶装置に記憶される。各機能は、CPU901に実装される。
【0098】
入力画像データ111、セル色データ114および出力データ115は、
図6の入力画像データ11、セル色データ12および出力データ13と同様である。算出部116の処理は、
図6の算出部16の処理と同様である。
【0099】
条件データ112は、表示媒体100においてコンテンツを表示する方位角および仰角を特定するデータである。形状データ113は、表示媒体100の各サブセルに配置される突状部材の位置および高さを特定するデータである。
【0100】
割り当て部117は、処理対象のセル内の第1の視点から見える画素で、RGB成分を含む色を表示し、処理対象のセル内の第2の視点から見える画素で、RGB成分のRの値と正の相関を有する輝度を有する色を表示し、処理対象のセル内の第3の視点から見える画素で、RGB成分のGの値と正の相関を有する輝度を有する色を表示するように、処理対象のセル内の各画素に色を割り当てる。ここで色を割り当てる対象となる画素は、処理対象のセル内の画素のうち、突状部材が形成されない画素である。
【0101】
割り当て部117は、処理対象のセル内の画素のうち、第1の視点から見える画素群、第2の視点から見える画素群および第3の画素から見える画素群をそれぞれ特定する。例えば
図9の例において、方位角φ1から見たときに見える画素は、サブセルK2内の露出部K2bを含み、サブセルK1内の遮蔽部K1aを含まない。
【0102】
割り当て部117は、それぞれの画素群で、処理対象のセルで表現すべきRGBの値と、そのRGBの赤の値に対応する輝度と、緑の値に対応する輝度を表現できるように、各画素に色を割り当てる。
【0103】
処理装置110は、各セルについて各画素に色を割り当てる処理を繰り返し、各セルにおける画素と色の対応関係を、出力データ115に出力する。出力データ115を、印刷機などの製造装置に入力することにより、各画素の適切な色が着色された表示媒体100が出力される。印刷機は、突状部材も形成可能な3Dプリンタであっても良い。
【0104】
第2の実施の形態に係る表示媒体100は、第1の実施の形態に係る表示媒体1と同様に、省スペースで、健常者も少数色覚特性保持者も見えやすいコンテンツを表示することができる。
【0105】
(技術A)
所定の仰角かつ3つの方位角に対して、前記3つの方位角に対応する3つのコンテンツを表示可能な表示媒体であって、
光を反射する基材を備え、
前記基材を複数のセルに区分し、
前記複数のセルそれぞれを、前記3つの方位角のそれぞれに対応する3つのサブセルに区分し、
所定の方位角に対応する各サブセルに、光を遮蔽する、前記所定の方位角方向の面を有する突状部材が、形成され、
前記所定の仰角かつ方位角から、前記所定の方位角に対応するサブセルが観察され、
複数の画素のうち第1の視点から見える画素で、RGB成分を含む第1のコンテンツを表示し、複数の画素のうち第2の視点から見える画素で、各セルの輝度が、各セルに対応するRGB成分のRの値と正の相関がある第2のコンテンツを表示し、複数の画素のうち第3の視点から見える画素で、各セルの輝度が、各セルに対応するRGB成分のGの値と正の相関がある第3のコンテンツを表示し、
少数色覚特性保持者が、視点を変えて、第1のコンテンツ、第2のコンテンツおよび第3のコンテンツを繰り返し見ることにより、コンテンツの構図を視認できる
表示媒体。
【0106】
(技術B)
技術Bに記載の表示媒体の各画素に色を割り当てる処理装置であって、
前記表示媒体は複数のセルを備え、
前記第1のコンテンツにおいて、所定セルで表示する色の赤緑青の各値を算出する算出部と、
前記所定セル内の前記第1の視点から見える画素で、RGB成分を含む色を表示し、
前記所定セル内の前記第2の視点から見える画素で、前記RGB成分のRの値と正の相関を有する輝度を有する色を表示し、
前記所定セル内の前記第3の視点から見える画素で、前記RGB成分のGの値と正の相関を有する輝度を有する色を表示するように、
前記所定セル内の各画素に色を割り当てる割り当て部
を備える処理装置。
【0107】
(第2の実施の形態の変形例)
第2の実施の形態において、3つの方向に3つのコンテンツを表示する場合を説明するが、変形例において、2つの方向に2つのコンテンツを表示する場合を説明する。第2の実施の形態の変形例に係る表示媒体100は、第1の実施の形態の変形例に係る表示媒体1と同様に、第1の方向に、RGB成分を含む第1のコンテンツを表示し、第2の方向に、RGB成分のRの値およびGの値のうちのいずれか一方の値と正の相関を有する輝度を有する第2のコンテンツを表示する。
【0108】
第2のコンテンツの輝度が、Rの値と正の相関を有する場合、表示媒体100は、複数の画素のうち第1の視点から見える画素で、RGB成分を含む第1のコンテンツを表示し、複数の画素のうち第2の視点から見える画素で、各セルの輝度が、各セルに対応するRGB成分のRの値と正の相関がある第2のコンテンツを表示する。処理装置110の割り当て部117は、所定セル内の第1の視点から見える画素で、RGB成分を含む色を表示し、所定セル内の第2の視点から見える画素で、RGB成分のRの値と正の相関を有する輝度を有する色を表示するように、所定セル内の各画素に色を割り当てる。表示媒体100は、健常者のほか、赤を認識しづらい少数色覚特性保持者が見やすいコンテンツを表示する。
【0109】
第2のコンテンツの輝度が、Gの値と正の相関を有する場合、表示媒体100は、複数の画素のうち第1の視点から見える画素で、RGB成分を含む第1のコンテンツを表示し、複数の画素のうち第2の視点から見える画素で、各セルの輝度が、各セルに対応するRGB成分のGの値と正の相関がある第2のコンテンツを表示する。処理装置110の割り当て部117は、所定セル内の第1の視点から見える画素で、RGB成分を含む色を表示し、所定セル内の第2の視点から見える画素で、RGB成分のGの値と正の相関を有する輝度を有する色を表示するように、所定セル内の各画素に色を割り当てる。表示媒体100は、健常者のほか、緑を認識しづらい少数色覚特性保持者が見やすいコンテンツを表示する。
【0110】
第2の実施の形態の変形例に係る表示媒体100は、省スペースで、健常者も少数色覚特性保持者も見えやすいコンテンツを表示することができる。
【0111】
(第3の実施の形態)
第1の実施の形態において、非特許文献2に記載の技術を用いて表示媒体を形成する場合を説明した。第2の実施の形態において、非特許文献3に記載の技術を用いて表示媒体200を形成する場合を説明する。
【0112】
第3の実施の形態に係る表示媒体200は、健常者および少数色覚特性保持者が視認可能なコンテンツを表示する。表示媒体200は、所定の仰角かつ方位角から、3つの方位角に対応する3つのコンテンツを表示する。
【0113】
第3の実施の形態において表示媒体200の表面に複数のセルを有する。セルは、セルC上の空間を3つ方向に放射状に区分し、色領域を有するパーティションを備える。セルCは、第1ないし第3のそれぞれの方向から視認した際、視認される色領域が異なるように形成される。ここで、色領域が異なるとは、完全に同一ではないこと意味し、完全に異なる場合のみならず、少なくとも一部が同じで一部が異なる場合も含む。表示媒体200は、第1の方向上の第1の視点から見る各セルで、RGB成分を含む第1のコンテンツを、第1の方向に表示する。第1のコンテンツは、第1の視点から見える各セルの各画素で、形成される。表示媒体100は、第2の方向上の第2の視点から見る各セルの輝度が、各セルに対応するRGB成分のRの値と正の相関がある第2のコンテンツを、第2の方向に表示する。第2のコンテンツは、第2の視点から見える各セルの各画素で、形成される。表示媒体100は、第3の方向上の第3の視点から見る各セルの輝度が、各セルに対応するRGB成分のGの値と正の相関がある第3のコンテンツを、第3の方向に表示する。第3のコンテンツは、第3の視点から見える各セルの各画素で、形成される。
【0114】
第3の実施の形態に係る表示媒体100は、第1の実施の形態と同様に、省スペースで、健常者も少数色覚特性保持者も見えやすいコンテンツを表示することができる。
【0115】
図11に示すように、表示媒体200は、基材201を備える。基材201は、紙などの薄いシート形状であっても良いし、立体形状であってもよい。基材201は、上面が平面であっても良いし、曲面であっても良い。
【0116】
基材101の上面は、複数のセルCに区分される。複数のセルは、隣接して設置されても良いし、互いに離れて設置されても良い。
【0117】
1つのセルCに、1つのパーティションPが設けられる。パーティションPは、基材201と交わる平面上に形成される面であって、3つの方向のそれぞれから表示媒体200を観察した際に露出する部分を有する。パーティションPは、表面に、複数の画素を有する。
【0118】
図12に示すように、パーティションPは、セルC上の点から、セルC上の空間を3つの方向毎に放射状に区分するように形成される。第3の実施の形態においてパーティションPは、表示媒体200の上方のX軸上の第1の視点、第2の視点および第3の視点を区分する。パーティションPは、セルCの外縁に接し、隣接するセルのパーティションと接続しないように設けられても良い。あるいはパーティションPは、隣接するセルCのパーティションと接続するように設けられても良い。
【0119】
パーティションPの骨格は、3つの方向の各方向上に仮想的に設けられる点を母点としたボロノイ図におけるボロノイ面の一部である。
【0120】
パーティションPの表面に複数の画素を有する。表示媒体200は、複数の画素のうち第1の視点から見える画素で、RGB成分を含む第1のコンテンツを表示する。表示媒体200は、複数の画素のうち第2の視点から見える画素で、各セルの輝度が、各セルに対応するRGB成分のRの値と正の相関がある第2のコンテンツを表示する。表示媒体200は、複数の画素のうち第3の視点から見える画素で、各セルの輝度が、各セルに対応するRGB成分のGの値と正の相関がある第3のコンテンツを表示する。
【0121】
なお、視点と、その視点に対して表示するコンテンツの組み合わせは適宜設定される。例えば、第2の視点から見える画素で、各セルの輝度が、各セルに対応するRGB成分のGの値と正の相関があるコンテンツを表示し、第3の視点から見える画素で、各セルの輝度が、各セルに対応するRGB成分のRの値と正の相関があるコンテンツを表示しても良い。
【0122】
少数色覚特性保持者が、視点を変えて、第1のコンテンツ、第2のコンテンツおよび第3のコンテンツを繰り返し見ることにより、コンテンツの構図を視認できる。
【0123】
図13を参照して、パーティションPの形状を説明する。第3の実施の形態において、コンテンツを表示する方向上に仮想的に設けられる母点に対するボロノイ図が、仮想的に形成される。パーティションPは、ボロノイ図におけるボロノイ面を骨格に含む。パーティションPは、骨格であるボロノイ面に肉付けしたものである。パーティションPの表面は、ボロノイ面に平行な面を含む。
【0124】
図13に示す例において、3つの視点E1、E2およびE3が設けられる。各視点E1、E2およびE3からセルCの中心Csを視認する際の視線上に、母点H1、H2およびH3が設けられる。母点H1、H2およびH3は、セルCの中心Csを中心とする所定の半径の仮想球体上に設けられる。
【0125】
パーティションPは、2つの遮蔽部材W1およびW2を有する。遮蔽部材W1およびW2は、パーティションPが設置されたセルC上の空間を、3つの領域に区分する。
【0126】
遮蔽部材W1は、ボロノイ面Q1を骨格とし、厚みlの肉付けをしたものである。遮蔽部材W2は、ボロノイ面Q2を骨格とし、厚みlの肉付けをしたものである。また遮蔽部材W1の先端は、半径lとなる円状に形成する。
【0127】
遮蔽部材W1は、セルC上の空間を、視点E1に対応する空間A1と、視点E2に対応する空間A2に区分する。遮蔽部材W2は、セルC上の空間を、視点E2に対応する空間A2と、視点E2に対応する空間A3に区分する。
【0128】
パーティションPの表面のうち、3つの方向のうち所定の指定方向から表示媒体1を観察した際に露出する部分は、3つの指定方向のうち所定の指定方向以外の方向から表示媒体1を観察すると遮蔽される部分を有する。パーティションPの表面のある画素Fは、3つの方向のうちの1以上の方向に対して露出する場合でも、その他の指定方向からは見えない場合がある。パーティションPの表面は、露出する方向に対応するコンテンツの色を表現する。これにより表示媒体1は、複数の指定方向に対して、異なるコンテンツの一部を表現することが可能になるので、広色域かつ高輝度な複数のコンテンツを表示することができる。
【0129】
例えば
図13に示す例において、遮蔽部材W1の空間A1側の面は、視点E1から視認できる一方、視点E2または視点E3から視認できない部分を有する。遮蔽部材W1の空間A2側の面は、視点E2から視認できる一方、視点E1または視点E3からの視認できない部分を有する。遮蔽部材W2の空間A2側の面は、視点E2から視認できる一方、視点E1または視点E3から視認できない部分を有する。遮蔽部材W2の空間A3側の面は、視点E3から視認できる一方、視点E1または視点E2からの視認できない部分を有する。
【0130】
パーティションPが有する各面は、3つの方向のうちの1つの方向から視認しやすく、それ以外の2つの方向から視認しにくく形成される。パーティションPが有する各面は、1つの方向に対してコンテンツを形成する色を発する効果と、その方向以外から遮光する効果を両立する。これにより表示媒体200は、3つの方向に対して、異なるコンテンツを表示することができる。また表示媒体200は、3つの方向に対して色域が広く輝度の高いコンテンツを表示することができる。パーティションPの各面は、指定方向以外からの視線の影響が抑制されるので、指定方向から観察される面に、好適な色を与えることができる。
【0131】
次に、表示媒体200の各画素に色を割り当てる処理装置を説明する。処理装置は、
図14に示す第2の実施の形態に係る処理装置110と同様の構成を有する。
【0132】
条件データ112は、表示媒体200においてコンテンツを表示する方向を特定するデータである。形状データ113は、表示媒体200のパーティションPに関するパラメータ、具体的には厚みl、ボロノイ面を切る際の仮想半球の大きさ等のデータである。
【0133】
割り当て部117は、処理対象のセル内の第1の視点から見える画素で、RGB成分を含む色を表示し、処理対象のセル内の第2の視点から見える画素で、RGB成分のRの値と正の相関を有する輝度を有する色を表示し、処理対象のセル内の第3の視点から見える画素で、RGB成分のGの値と正の相関を有する輝度を有する色を表示するように、処理対象のセル内の各画素に色を割り当てる。ここで色を割り当てる対象となる画素は、処理対象のセル内の画素のうち、いずれかの視点から見える画素である。
【0134】
割り当て部117は、処理対象のセル内のパーティションPの画素のうち、第1の視点から見える画素群、第2の視点から見える画素群および第3の画素から見える画素群をそれぞれ特定する。
【0135】
割り当て部117は、それぞれの画素群で、それぞれの画素群で、処理対象のセルで表現すべきRGBの値と、そのRGBの赤の値に対応する輝度と、緑の値に対応する輝度を表現できるように、各画素に色を割り当てる。
【0136】
処理装置110は、各セルについて各画素に色を割り当てる処理を繰り返し、各セルにおける画素と色の対応関係を、出力データ115に出力する。出力データ115を、印刷機などの製造装置に入力することにより、各画素の適切な色が着色された表示媒体100が出力される。印刷機は、パーティションも形成可能な3Dプリンタであっても良い。
【0137】
第3の実施の形態に係る表示媒体200は、第1または第2の実施の形態に係る表示媒体1と同様に、省スペースで、健常者も少数色覚特性保持者も見えやすいコンテンツを表示することができる。
【0138】
(技術C)
3つの方向に、それぞれ異なる3つのコンテンツを表示する表示媒体であって、
複数の仮想的なセルを備える基材と、
前記セルに、前記基材と交わる平面上に形成される面であって、3つの方向のそれぞれから前記表示媒体を観察した際に露出する部分を有するパーティションを備え、
前記パーティションの骨格は、前記複数の方向の各方向上に仮想的に設けられる点を母点としたボロノイ図におけるボロノイ面の一部を含み、
前記パーティションに設けられる複数の画素のうち第1の視点から見える画素で、RGB成分を含む第1のコンテンツを表示し、複数の画素のうち第2の視点から見える画素で、各セルの輝度が、各セルに対応するRGB成分のRの値と正の相関がある第2のコンテンツを表示し、複数の画素のうち第3の視点から見える画素で、各セルの輝度が、各セルに対応するRGB成分のGの値と正の相関がある第3のコンテンツを表示し、
少数色覚特性保持者が、視点を変えて、第1のコンテンツ、第2のコンテンツおよび第3のコンテンツを繰り返し見ることにより、コンテンツの構図を視認できる
表示媒体。
【0139】
(技術D)
3つの方向に、それぞれ異なる3つのコンテンツを表示する表示媒体であって、
複数の仮想的なセルを備える基材と、
前記セルに、前記基材と交わる平面上に形成される面であって、3つの方向のそれぞれから前記表示媒体を観察した際に露出する部分を有するパーティションを備え、
前記パーティションは、前記セルの外縁に接するように設けられ、前記セルから、前記セル上の空間を前記3つの方向毎に放射状に区分し、
前記パーティションに設けられる複数の画素のうち第1の視点から見える画素で、RGB成分を含む第1のコンテンツを表示し、複数の画素のうち第2の視点から見える画素で、各セルの輝度が、各セルに対応するRGB成分のRの値と正の相関がある第2のコンテンツを表示し、複数の画素のうち第3の視点から見える画素で、各セルの輝度が、各セルに対応するRGB成分のGの値と正の相関がある第3のコンテンツを表示し、
少数色覚特性保持者が、視点を変えて、第1のコンテンツ、第2のコンテンツおよび第3のコンテンツを繰り返し見ることにより、コンテンツの構図を視認できる
表示媒体。
【0140】
(第3の実施の形態の変形例)
第3の実施の形態において、3つの方向に3つのコンテンツを表示する場合を説明するが、変形例において、2つの方向に2つのコンテンツを表示する場合を説明する。第3の実施の形態の変形例に係る表示媒体200は、第1の実施の形態の変形例に係る表示媒体1と同様に、第1の方向に、RGB成分を含む第1のコンテンツを表示し、第2の方向に、RGB成分のRの値およびGの値のうちのいずれか一方の値と正の相関を有する輝度を有する第2のコンテンツを表示する。
【0141】
第2のコンテンツの輝度が、Rの値と正の相関を有する場合、表示媒体200は、パーティションPに設けられる複数の画素のうち第1の視点から見える画素で、RGB成分を含む第1のコンテンツを表示し、複数の画素のうち第2の視点から見える画素で、各セルの輝度が、各セルに対応するRGB成分のRの値と正の相関がある第2のコンテンツを表示する。処理装置110の割り当て部117は、パーティションPに設けられる複数の画素のうち第1の視点から見える画素で、RGB成分を含む第1のコンテンツを表示し、複数の画素のうち第2の視点から見える画素で、各セルの輝度が、各セルに対応するRGB成分のRの値と正の相関がある第2のコンテンツを表示するように、所定セル内の各画素に色を割り当てる。表示媒体200は、健常者のほか、赤を認識しづらい少数色覚特性保持者が見やすいコンテンツを表示する。
【0142】
第2のコンテンツの輝度が、Gの値と正の相関を有する場合、表示媒体200は、パーティションPに設けられる複数の画素のうち第1の視点から見える画素で、RGB成分を含む第1のコンテンツを表示し、複数の画素のうち第2の視点から見える画素で、各セルの輝度が、各セルに対応するRGB成分のGの値と正の相関がある第2のコンテンツを表示する。処理装置110の割り当て部117は、パーティションPに設けられる複数の画素のうち第1の視点から見える画素で、RGB成分を含む第1のコンテンツを表示し、複数の画素のうち第2の視点から見える画素で、各セルの輝度が、各セルに対応するRGB成分のGの値と正の相関がある第2のコンテンツを表示するように、所定セル内の各画素に色を割り当てる。表示媒体200は、健常者のほか、緑を認識しづらい少数色覚特性保持者が見やすいコンテンツを表示する。
【0143】
第3の実施の形態の変形例に係る表示媒体200は、省スペースで、健常者も少数色覚特性保持者も見えやすいコンテンツを表示することができる。
【0144】
上記説明した本実施形態の処理装置10は、例えば、CPU(Central Processing Unit、プロセッサ)901と、メモリ902と、ストレージ903(HDD:Hard Disk Drive、SSD:Solid State Drive)と、通信装置904と、入力装置905と、出力装置906とを備える汎用的なコンピュータシステムが用いられる。このコンピュータシステムにおいて、CPU901がメモリ902上にロードされたプログラムを実行することにより、処理装置10の各機能が実現される。なお処理装置110も、処理装置10と同様に、汎用的なコンピュータシステムが用いられる。
【0145】
なお、処理装置10は、1つのコンピュータで実装されてもよく、あるいは複数のコンピュータで実装されても良い。また処理装置10は、コンピュータに実装される仮想マシンであっても良い。
【0146】
処理装置10のプログラムは、HDD、SSD、USB(Universal Serial Bus)メモリ、CD (Compact Disc)、DVD (Digital Versatile Disc)などのコンピュータ読取り可能な記録媒体に記憶することも、ネットワークを介して配信することもできる。コンピュータ読取り可能な記録媒体は、例えば非一時的な(non-transitory)記録媒体である。
【0147】
なお、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0148】
本開示で述べた各機能部の任意の一部または全部は、プログラムによって実現されてもよい。本開示で言及したプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に非一時的に記録して頒布されてもよいし、インターネットなどの通信回線(無線通信も含む)を介して頒布されてもよいし、任意の端末にインストールされた状態で頒布されてもよい。
【0149】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本開示の追加の効果や種々の変形例を想到できるかもしれないが、本開示の態様は、上述した個々の実施形態には限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本開示の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲において、種々の追加、変更または部分的削除が、可能である。
【0150】
例えば、本開示において1台の装置(あるいは部材、以下同じ)として説明されるもの(図面において1台の装置として描かれているものを含む)は、複数の装置によって実現されてもよい。逆に、本開示において複数の装置として説明されるもの(図面において複数の装置として描かれているものを含む)が、1台の装置によって実現されてもよい。あるいは、ある装置に含まれるとした手段や機能の一部または全部が、他の装置に含まれるようにしてもよい。また、「システム」は、1台の装置から構成されてもよいし、2以上の装置から構成されてもよい。
【0151】
また、本開示に記載された事項の全てが、必須の要件ではない。特に、本開示に記載され、特許請求の範囲に記載されていない事項は、任意の付加的事項ということができる。
【0152】
なお、本出願人は本開示の「先行技術文献」欄の文献に記載された文献公知発明を知っているにすぎず、本開示は必ずしも同文献公知発明における課題を解決することを目的とするものではないことにも留意されたい。本開示が解決しようとする課題は、本開示全体を考慮して認定されるべきものである。例えば、本開示において、特定の構成によって所定の効果を奏する旨の記載がある場合、当該所定の効果の裏返しとなる課題が解決されるということもできる。ただし、必ずしもそのような特定の構成を必須の要件とする趣旨ではない。
【符号の説明】
【0153】
1,100,200 表示媒体
10,110 処理装置
11,111 入力画像データ
12,114 セル色データ
13,115 出力データ
16,116 算出部
17,117 割り当て部
112 条件データ
113 形状データ
901 CPU
902 メモリ
903 ストレージ
904 通信装置
905 入力装置
906 出力装置
A 空間
C セル
G 色領域
H 母点
K サブセル
L レイヤ
M 基材
N 透明層
P パーティション
T 突状部材
W 遮蔽部材
φ 方位角
【手続補正書】
【提出日】2023-06-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項4
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項4】
前記表示媒体の表面に複数のセルを有し、
前記セルは、前記セル上の空間を2つ方向に放射状に区分し、色領域を有するパーティションを備え、
前記セルは、第1ないし第2のそれぞれの方向から視認した際、視認される前記色領域が異なるように形成される
請求項1に記載の表示媒体。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
特許文献等に開示される表示媒体は、複数の方向にそれぞれ異なる複数の異なるコンテンツを表示可能である。表示媒体は、ある方向に、健常者が視認しやすいコンテンツを表示する。さらに表示媒体は、それ以外の2つの方向に、少数色覚特性保持者向けのコンテンツを表示する。少数色覚特性保持者向けのコンテンツは、健常者が視認しやすいコンテンツにおいて少数色覚特性保持者が視認しにくい要素を、少数色覚特性保持者が視認しやすい要素に変換したコンテンツである。健常者が視認しやすいコンテンツは、各セルがRGBで形成されるコンテンツである。少数色覚特性保持者が視認しやすい要素に変換したコンテンツは、各セルの赤色の濃淡を輝度の強弱に変換したコンテンツと、各セルの緑色の濃淡を輝度の強弱に変換したコンテンツである。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
(第1の実施の形態)
図1を参照して、第1の実施の形態に係る表示媒体1を説明する。第1の実施の形態に係る表示媒体1は、
特許文献2に記載の表示媒体の構成を有する。
図1に示すように表示媒体1は、表面に複数のセルCを有する。
図1に示す例において、ユーザの視線は、Z軸方向の上方にある。
図1に示す例において表示媒体1は、直方体形状を
有するが、形状は問わない。表示媒体1は、シート形状に形成されても良いし、立体形状に形成されても良い。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
図2に示すように、上面レイヤLuと下面レイヤLbの間に、透明層Nが形成される。また下面レイヤLbに対して透明層NとZ軸方向の反対方向に、基材Mが設けられる。Z軸方向において、基材M、下面レイヤLb、透明層Nおよび上面レイヤLuの順で、これらの部材が積層されて、表示媒体1が形成される。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0080
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0080】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態において、特許文献2に記載の技術を用いて表示媒体を形成する場合を説明した。第2の実施の形態において、特許文献1に記載の技術を用いて表示媒体100を形成する場合を説明する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0093
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0093】
このような第2の実施の形態に係る表示媒体100は、3つの方向に3つのコンテンツを表示することができる。表示媒体100は、方位角φ0上の第1の視点に、第1の視点から見える画素で、RGB成分を含む第1のコンテンツを表示することができる。表示媒体100は、方位角φ1上の第2の視点に、第2の視点から見える画素で、各セルの輝度が、各セルに対応するRGB成分のRの値と正の相関がある第2のコンテンツを表示することができる。表示媒体100は、方位角φ2上の第3の視点に、第3の視点から見える画素で、各セルの輝度が、各セルに対応するRGB成分のGの値と正の相関がある第3のコンテンツを表示することができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0095
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0095】
図9に示すように、サブセルK1において突状部材T1が形成される場合を考える。ユーザが、突状部材T1と平行な
φ1方向から観察した場合、サブセルK1内のほぼ全部の画素を確認できる。しかしながら、サブセルK1内に観察されない画素である遮蔽部K1aが形成される。また方位角φ1に対応しないサブセルK2内に観察される画素である露出部K2bが形成されてしまう場合がある。そこで、後述の割り当て部117の処理において、視点毎に見える画素群を特定し、その特定された画素群で、その視点に表示するように色を割り当てる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0106
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0106】
(技術B)
技術Aに記載の表示媒体の各画素に色を割り当てる処理装置であって、
前記表示媒体は複数のセルを備え、
前記第1のコンテンツにおいて、所定セルで表示する色の赤緑青の各値を算出する算出部と、
前記所定セル内の前記第1の視点から見える画素で、RGB成分を含む色を表示し、
前記所定セル内の前記第2の視点から見える画素で、前記RGB成分のRの値と正の相関を有する輝度を有する色を表示し、
前記所定セル内の前記第3の視点から見える画素で、前記RGB成分のGの値と正の相関を有する輝度を有する色を表示するように、
前記所定セル内の各画素に色を割り当てる割り当て部
を備える処理装置。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0111
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0111】
(第3の実施の形態)
第1の実施の形態において、特許文献2に記載の技術を用いて表示媒体を形成する場合を説明した。第2の実施の形態において、特許文献3に記載の技術を用いて表示媒体200を形成する場合を説明する。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0113
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0113】
第3の実施の形態において表示媒体200の表面に複数のセルを有する。セルは、セルC上の空間を3つ方向に放射状に区分し、色領域を有するパーティションを備える。セルCは、第1ないし第3のそれぞれの方向から視認した際、視認される色領域が異なるように形成される。ここで、色領域が異なるとは、完全に同一ではないこと意味し、完全に異なる場合のみならず、少なくとも一部が同じで一部が異なる場合も含む。表示媒体200は、第1の方向上の第1の視点から見る各セルで、RGB成分を含む第1のコンテンツを、第1の方向に表示する。第1のコンテンツは、第1の視点から見える各セルの各画素で、形成される。表示媒体200は、第2の方向上の第2の視点から見る各セルの輝度が、各セルに対応するRGB成分のRの値と正の相関がある第2のコンテンツを、第2の方向に表示する。第2のコンテンツは、第2の視点から見える各セルの各画素で、形成される。表示媒体200は、第3の方向上の第3の視点から見る各セルの輝度が、各セルに対応するRGB成分のGの値と正の相関がある第3のコンテンツを、第3の方向に表示する。
第3のコンテンツは、第3の視点から見える各セルの各画素で、形成される。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0114
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0114】
第3の実施の形態に係る表示媒体200は、第1の実施の形態と同様に、省スペースで、健常者も少数色覚特性保持者も見えやすいコンテンツを表示することができる。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0128
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0128】
パーティションPの表面のうち、3つの方向のうち所定の指定方向から表示媒体200を観察した際に露出する部分は、3つの指定方向のうち所定の指定方向以外の方向から表示媒体200を観察すると遮蔽される部分を有する。パーティションPの表面のある画素Fは、3つの方向のうちの1以上の方向に対して露出する場合でも、その他の指定方向からは見えない場合がある。パーティションPの表面は、露出する方向に対応するコンテンツの色を表現する。これにより表示媒体200は、複数の指定方向に対して、異なるコンテンツの一部を表現することが可能になるので、広色域かつ高輝度な複数のコンテンツを表示することができる。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
健常者および少数色覚特性保持者が視認可能なコンテンツを表示する表示媒体であって、
第1の方向に、複数の画素のそれぞれが、RGBの各成分に変換可能な色を有する第1のコンテンツを表示し、
第2の方向に、複数の画素のそれぞれが、前記第1のコンテンツの各画素の前記RGBの各成分のRの値およびGの値のうちのいずれか一方の値と正の相関を有する輝度を有する第2のコンテンツを表示する
表示媒体。
【請求項2】
前記第1のコンテンツのRGB成分の前記一方の値の値域に対する前記一方の値の比率と、前記第2のコンテンツの輝度の値域に対する輝度の値の比率は対応する
請求項1に記載の表示媒体。
【請求項3】
前記表示媒体の表面に複数のセルを有し、
前記セルは、遮光性を有する突状部材と、表面に色領域を有し、
前記セルは、第1ないし第2のそれぞれの方向から視認した際、視認される前記色領域が異なるように形成される
請求項1に記載の表示媒体。
【請求項4】
前記表示媒体の表面に複数のセルを有し、
前記セルは、前記セル上の空間を2つ方向に放射状に区分し、色領域を有するパーティションを備え、
前記セルは、第1ないし第2のそれぞれの方向から視認した際、視認される前記色領域が異なるように形成される
請求項2に記載の表示媒体。
【請求項5】
健常者および少数色覚特性保持者が視認可能なコンテンツを表示する表示媒体であって、
第1の方向に、RGB成分を含む第1のコンテンツを表示し、
第2の方向に、前記RGB成分のRの値およびGの値のうちのいずれか一方の値と正の相関を有する輝度を有する第2のコンテンツを表示し、
前記表示媒体は、
透明部材で形成され、複数の上面セルを有し、前記複数の上面セルのそれぞれに色領域を有する上面レイヤと、
透明部材で形成され、複数の下面セルを有し、前記複数の下面セルのそれぞれに色領域を有する下面レイヤを備え、
前記上面レイヤの上面セルと、前記上面セルに重なる前記下面レイヤの下面セルを含むセルは、第1ないし第2のそれぞれの方向から視認した際、前記下面セルの色領域において、前記上面セルの色領域が重なる部分が互いに異なるように形成され、
前記第1の方向上の第1の視点から見る各セルで、RGB成分を含む第1のコンテンツを、前記第1の方向に表示し、
前記第2の方向上の第2の視点から見る各セルの輝度が、前記各セルに対応するRGB成分の前記一方の値と正の相関がある第2のコンテンツを、前記第2の方向に表示する
表示媒体。
【請求項6】
透明部材で形成され、複数の上面セルを有し、前記複数の上面セルのそれぞれに色領域を有する上面レイヤと、
透明部材で形成され、複数の下面セルを有し、前記複数の下面セルのそれぞれに色領域を有する下面レイヤを備え、
前記上面レイヤの上面セルと、前記上面セルに重なる前記下面レイヤの下面セルを含むセルは、第1ないし第2のそれぞれの方向から視認した際、前記下面セルの色領域において、前記上面セルの色領域が重なる部分が互いに異なるように形成され、
前記上面セルおよび前記下面セルのそれぞれは、前記色領域と、色が与えられない透明領域とを有し、
前記色領域は、前記上面セルおよび前記下面セルのそれぞれのセルの端から離れた位置に設けられ、複数の画素を備える表示媒体において、前記色領域に色を割り当てる処理装置であって、
前記第1の方向に表示するコンテンツについて各セルで表示する色のRGBの各値を算出する算出部と、
前記各セルについて、前記第1の方向に、算出されたRGBの各値の色を表示し、前記第2の方向に、Rの値およびGの値のうちのいずれか一方の値と正の相関がある輝度を有する色を表示するように、前記上面セルおよび前記下面セルの各画素に色を割り当てる割り当て部
を有する処理装置。
【請求項7】
透明部材で形成され、複数の上面セルを有し、前記複数の上面セルのそれぞれに色領域を有する上面レイヤと、
透明部材で形成され、複数の下面セルを有し、前記複数の下面セルのそれぞれに色領域を有する下面レイヤを備え、
前記上面レイヤの上面セルと、前記上面セルに重なる前記下面レイヤの下面セルを含むセルは、第1ないし第2のそれぞれの方向から視認した際、前記下面セルの色領域において、前記上面セルの色領域が重なる部分が互いに異なるように形成され、
前記上面セルおよび前記下面セルのそれぞれは、前記色領域と、色が与えられない透明領域とを有し、
前記色領域は、前記上面セルおよび前記下面セルのそれぞれのセルの端から離れた位置に設けられ、複数の画素を備える表示媒体において、前記色領域に色を割り当てる処理方法であって、
前記上面セルおよび前記下面セルのそれぞれは、前記色領域と、色が与えられない透明領域とを有し、
前記色領域は、前記上面セルおよび前記下面セルのそれぞれのセルの端から離れた位置に設けられ、複数の画素を備え、
コンピュータが、前記第1の方向に表示するコンテンツについて前記セルで表示する色のRGBの各値を算出し、
コンピュータが、前記セルで、前記第1の方向に、算出されたRGBの各値の色を表示し、前記第2の方向に、Rの値およびGの値のうちのいずれか一方の値と正の相関がある輝度を有する色を表示するように、前記上面セルおよび前記下面セルの各画素に色を割り当てる
処理方法。
【請求項8】
コンピュータを、請求項6に記載の処理装置として機能させるためのプログラム。