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特開2024-151072スキャン搬送装置、搬送方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151072
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】スキャン搬送装置、搬送方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/00 20060101AFI20241017BHJP
【FI】
B25J13/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064200
(22)【出願日】2023-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】523301949
【氏名又は名称】ジャパン・イーエム・ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】藤本 賢三
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 秀慶
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS05
3C707BS10
3C707JS03
3C707KS08
3C707KT01
3C707KT05
3C707LV12
3C707MT02
(57)【要約】
【課題】スキャン作業に係る搬送装置の稼働率を向上させ、スキャン作業に費やされる時間が短縮可能になる。
【解決手段】スキャン搬送装置は、搬入された対象物の立体形状のスキャンを行うR(Rは2以上の整数)台のスキャン装置のそれぞれに対するスキャンの実行状態を管理する搬送管理部と、立体形状のスキャンデータが合成されるN個(Nは2以上の整数)の対象物をR台のスキャン装置に分配して搬入する搬送制御部と、を備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬入された対象物の立体形状のスキャンを行うR(Rは2以上の整数)台のスキャン装置のそれぞれに対する前記スキャンの実行状態を管理する搬送管理部と、
前記立体形状のスキャンデータが合成されるN個(Nは2以上の整数)の対象物を前記R台のスキャン装置に分配して搬入する搬送制御部と、
を備えるスキャン搬送装置。
【請求項2】
前記搬送制御部は、前記立体形状のスキャンデータが合成される前記N個の対象物の中から前記スキャンの実行対象になる対象物を選定し、前記選定された対象物を前記R台の中の前記スキャンの実行が可能なスキャン装置に搬入する、請求項1に記載のスキャン搬送装置。
【請求項3】
前記搬送制御部は、前記R台のスキャン装置に対し、前記搬入された対象物の返戻に優先させて、前記立体形状のデータが合成される前記N個の対象物の中の、前記スキャンの実行対象になる対象物を搬入する、請求項1または2に記載のスキャン搬送装置。
【請求項4】
前記搬送制御部は、前記立体形状のスキャンデータが合成される前記N個の対象物を、前記R台のスキャン装置の中の故障が生じたスキャン装置を除く他のスキャン装置に分配して搬入する、請求項1または2に記載のスキャン搬送装置。
【請求項5】
前記搬送制御部は、パレット上に複数に配置された、前記立体形状のスキャンデータが合成される前記N個の対象物から構成されるグループの、それぞれのグループの中から前記スキャンの実行対象になる対象物を選定し、前記選定された対象物を前記R台の中の前記スキャンの実行が可能なスキャン装置に搬入する、請求項1または2に記載のスキャン搬送装置。
【請求項6】
前記搬送制御部は、複数の前記パレット上に配置された前記グループのそれぞれの中から前記スキャンの実行対象になる対象物を選定し、前記選定された対象物を前記R台の中の前記スキャンの実行が可能なスキャン装置に搬入する、請求項5に記載のスキャン搬送装置。
【請求項7】
スキャン搬送装置が、
搬入された対象物の立体形状のスキャンを行うR(Rは2以上の整数)台のスキャン装置のそれぞれに対する前記スキャンの実行状態を管理することと、
前記立体形状のスキャンデータが合成されるN個(Nは2以上の整数)の対象物を前記R台のスキャン装置に分配して搬入することと、
を実行する搬送方法。
【請求項8】
スキャン搬送装置に、
搬入された対象物の立体形状のスキャンを行うR(Rは2以上の整数)台のスキャン装置のそれぞれに対する前記スキャンの実行状態を管理することと、
前記立体形状のスキャンデータが合成されるN個(Nは2以上の整数)の対象物を前記R台のスキャン装置に分配して搬入することと、
を実行させるプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スキャン搬送装置、搬送方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の模型や部品等から取得された3次元のスキャンデータを合成し、当該複数の模型や部品等を組合せた3次元データを生成することが行われている。例えば、特許文献1においては、歯列を含む上顎、下顎等の模型から取得されたスキャンデータを合成して上顎と下顎とがかみ合わされた状態をコンピュータ上で再現することが開示されている。また、特許文献2においては、歯形模型をスキャンして取得された2世代以上の歯形データの比較から、損失した歯牙を再現することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2022/085090号
【特許文献2】特開2013-169239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ロボットアームといった搬送装置を用いて、複数の模型や部品等をスキャナ等に載置する場合がある。ロボットアームは、例えば、テーブル上の複数の模型の中からスキャン対象の模型を取得し、当該模型をスキャナ等の所定位置に載置するとともに、スキャン終了後の当該模型を上記テーブル上に返戻する。ロボットアームは、次のスキャン対象の模型について同様の動作を実行し、スキャン対象の模型の全てに対するスキャンが完了するまで搬送動作が繰り返される。このように、複数の模型や部品等から取得されたスキャンデータを組合せて3次元データが生成される場合では、スキャン対象の数量に応じてスキャン作業に要する時間が増大していた。
【0005】
本開示は、スキャン作業に係る搬送装置の稼働率を向上させ、スキャン作業に費やされる時間を短縮可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面におけるスキャン搬送装置は、搬入された対象物の立体形状のスキャンを行うR(Rは2以上の整数)台のスキャン装置のそれぞれに対するスキャンの実行状態を管理する搬送管理部と、立体形状のスキャンデータが合成されるN個(Nは2以上の整数)の対象物をR台のスキャン装置に分配して搬入する搬送制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示により、スキャン作業に係る搬送装置の稼働率を向上させ、スキャン作業に費やされる時間が短縮可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、従来のスキャンデータの合成を説明する図である。
図2図2は、実施形態に係る搬送システムの構成の一例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る搬送システムの一例を説明する図である。
図4図4は、実施形態に係る搬送装置の周辺に配置されるスキャン装置、パレットの高さ関係を説明する図である。
図5図5は、実施形態に係る制御ユニットの機能構成の一例を示す図である。
図6図6は、実施形態に係る搬送管理テーブルに格納される管理情報の一例を示す図である。
図7図7は、実施形態における3次元データの合成に係る各器機の処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図8図8は、実施形態に係る搬送装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図9図9は、実施形態に係る搬送システムの、スキャンデータの合成を説明するタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本開示を実施するための一の形態(以下、一実施形態、実施形態ともいう)を説明する。以下に示す実施形態は例示であり、本開示の技術的範囲を実施形態に限定するものではない。また、以下の実施形態は可能な限り組み合わせることができる。
【0010】
(比較例)
先ず、図1を参照し、比較例として、ロボットアーム等の搬送装置を用いた従来のスキャンデータの合成を説明する。比較例の合成処理においては、例えば、歯列を含む上顎および下顎の各模型、欠損した歯牙の補綴模型(2個)の4個の模型をスキャン対象として、それぞれの3次元のスキャンデータが個別に取得される。上記の各模型の3次元のスキャンデータは、例えば、3次元スキャナ等のスキャン装置により取得される。スキャン対象の各模型は、例えば、ロボットアーム等が搬送可能な範囲内に設けられたテーブル上に配置される。以下では、合成処理に係る模型が配置されるテーブルをパレットともいう。
【0011】
ロボットアーム等はパレット上に配置された複数の模型の中からスキャン対象の模型を取得し、当該ロボットアーム等が搬送可能な範囲内に設けられたスキャン装置の所定箇所(例えば、スキャン対象が載置される台座等)に搬送する。各模型についての全てのスキャンが完了すると、個々の模型から取得された3次元のスキャンデータが合成され、欠損した歯牙の補綴物を含む上顎と下顎とをかみ合わせた状態を再現可能な3次元データが生成される。歯科技工士等の利用者においては、例えば、生成された3次元データに基づいてコンピュータ上にかみ合わせの状態を3次元CG等で再現し、補綴物と対向する対向歯とのかみ合わせ、補綴物と隣接する隣在歯との干渉といった相対的な位置関係が調整される。
【0012】
図1において、ハッチングされた領域Z1は、3次元スキャナの処理の推移を表し、横軸は時間を表す。また、「A-1」から「A-4」は、それぞれスキャン対象の模型を表す。領域Z1の「セット」に示されるように、スキャン対象の模型(A-1)はロボットアームを介してパレット上からスキャン装置の所定箇所に搬送されると、当該模型のスキャンデータが取得される(A-1スキャン)。対象物についてのスキャンが終了すると、ロボットアームは当該対象物をパレット上に返戻するとともに、次のスキャン対象の模型(A-2)がパレット上から取得されてスキャン装置の所定箇所に搬送される(セット)。スキャン装置、ロボットアーム等は上記の処理および対象物の搬送を繰り返し、スキャン対象の模型の全てに対するスキャンが完了すると、各模型から取得されたスキャンデータの合成が開始される。合成処理の開始後、例えば、歯列を含む上顎および下顎の各模型、欠損した歯牙の補綴模型のそれぞれから取得されたスキャンデータが合成され、欠損した歯牙の補綴物を含む上顎と下顎とをかみ合わせた状態での3次元データが生成される。
【0013】
このように、比較例である従来の合成処理では、個々の模型のスキャン装置への搬送、スキャン処理、スキャン終了後の模型の返戻等が繰り返されることになる。パレット上に配置された模型のスキャン装置への搬送・返戻に係る時間を「T1」とし、模型の3次元
スキャンに係る時間を「Tsc」と想定すると、4個の模型から3次元データを合成する場合には、Ta={4×(T1+Tsc)}の時間を要することになる。すなわち、従来例においては、スキャン対象の模型の数量に応じて、3次元データの合成処理に関するスキャン作業の時間が増加することになる。また、当該模型に対するスキャンが実行されている期間では、スキャン装置に模型を搬送する搬送装置は対象物のスキャンが終了するまでは待機状態になる。3次元データの合成処理に係る作業性の観点からは、搬送装置の稼働率を向上させることが望ましく、生産性の観点からは合成処理に係る期間(Ta)を短縮することが望ましい。本実施形態においては、複数の模型や部品等から3次元データが生成される際に、搬送装置の稼働率を向上させるとともに、スキャン作業に係る時間を短縮可能な技術の提供を課題とする。
【0014】
(システム構成)
図2は、本実施形態に係る搬送システム1の構成の一例を示す図である。図2に示されるように、搬送システム1は、R台(Rは2以上の整数)のスキャン装置30と、スキャン制御装置20と、スキャン搬送装置10とを備える。搬送システム1は、パレット50に配置されたN個(Nは2以上の整数)の模型40の中からスキャンの実行対象になる模型40を選択し、選択された模型40をR台の中のスキャンの実行が可能なスキャン装置30に搬送するシステムである。パレット50上に配置された模型40は、略円形形状を有する皿状のトレイ41に載置されている。搬送システム1を構成するスキャン搬送装置(以下、単に「搬送装置」ともいう)10は、模型40が載置されたトレイ41を搬送単位として、スキャン装置30に搬送する。なお、パレット50には、3次元データの生成に係るN個の模型40から構成される模型群が複数に配置され得る。以下、パレット50からスキャン装置30に搬送される搬送単位(模型40が載置されたトレイ41)を搬送物ともいう。
【0015】
R台のスキャン装置30と、スキャン制御装置(以下、単に「制御装置」ともいう)20とは、ネットワークN2を通じて相互に接続される。ネットワークN2は、例えば、スキャン装置30で取得された模型40の3次元のスキャンデータを制御装置20に送信可能な専用ネットワークである。制御装置20は、ネットワークN2を介して各スキャン装置で取得された模型40の3次元のスキャンデータを取得するとともに、全て(N個)の模型40から取得されたスキャンデータを合成し、3次元データを生成する。
【0016】
また、制御装置20と、搬送装置10とは、ネットワークN1を介して通じて相互に接続される。ネットワークN1は、例えば、搬送システム1が構築された構内のLANである。ただし、ネットワークN1は他の通信網、例えば、インターネット等の公衆通信網、携帯電話等の電話通信網、WiFi等の無線通信網、VPN等の専用通信網を含み得る。なお、図2の搬送システム1では、1台の制御装置20、搬送装置10を例示するが、これらの機器は複数に存在し得る。また、ネットワークN1には、N個の模型40から構成される模型群を複数に配置されたパレット50の搬送、返戻を管理する管理装置が接続され得る。
【0017】
(スキャン装置)
スキャン装置30は、レーザ光等を用いてトレイ41の上に載置された模型40の全周囲をスキャンし、当該模型の立体的なスキャンデータを取得する3次元スキャナである。スキャン装置30には、自装置を識別する識別情報(装置ID)が付与されている。スキャン装置30により、模型40の、歯列を含む上顎や下顎、欠損した歯牙等の補綴物の表面形状が3次元のスキャンデータとして取得される。スキャン装置30は、トレイ41に載置された模型40のスキャンが終了すると、ネットワークN2を通じて当該模型40のスキャンデータを装置IDに関連付けて制御装置20に送信する。
【0018】
スキャン装置30は、例えば、搬送装置10によって搬送された搬送物(トレイ41、模型40)が載置される台座31を備え、当該台座31上の搬送物の載置および離間を検知するセンサを有する。スキャン装置30は、センサを介して搬送物の載置を検知すると、スキャンの実行対象(以下、スキャン対象ともいう)の模型40が載置されたことを示す情報(例えば、セットイン信号)を装置IDとともに制御装置20に通知する。制御装置20は、ネットワークN2を通じて、スキャン対象の模型40が載置されたことを示す情報を受け付けると、模型毎に付与された識別情報(模型ID)をスキャン装置30に送信する。模型毎に付与された識別情報(模型ID)は、例えば、ネットワークN1を介して接続された搬送装置10を通じて取得される。なお、模型毎に付与される識別情報(模型ID)には、模型40の固有番号と、この模型40が属するN個の模型群の中の位置を示す情報(例えば、N-1/N)とが含まれる。以下、スキャン対象の模型40を「対象物40」ともいう。
【0019】
スキャン装置30は、対象物40に付与された模型IDを受け付け、対象物40の3次元スキャンを開始する。スキャン装置30は、対象物40の3次元スキャンが終了すると、対象物40の3次元スキャンが終了したことを示す情報を装置IDとともに制御装置20に送信する。また、スキャン装置30は、対象物40から取得された立体形状のスキャンデータに、模型ID、装置IDを関連付けて制御装置20に送信する。
【0020】
3次元スキャンが終了したスキャン装置30は、センサを介して、搬送物(トレイ41、模型40)の離間を検知すると、スキャン対象の模型40が離間したことを示す情報(例えば、セットアウト信号)を装置IDとともに制御装置20に通知する。
【0021】
(スキャン制御装置)
制御装置(スキャン制御装置)20は、R台のスキャン装置30から取得されたN個の模型40のスキャンデータを合成し、当該N個の模型40を組合せた3次元データを生成するコンピュータである。本実施形態では、制御装置20は、N個の模型40のスキャンデータを合成する「画像処理装置」の一例である。制御装置20は、模型40に付与された模型IDに基づいて、R台の各スキャン装置30から送信された模型毎の、立体形状のスキャンデータを合成し、N個の模型40を組合せた3次元データを生成する。制御装置20により、例えば、欠損した歯牙の補綴物を含む上顎と下顎とをかみ合わせた状態の3次元データが生成される。
【0022】
制御装置20は、ネットワークN1を介し、搬送装置10がパレット50上からスキャン装置30に搬送するスキャン対象の模型40(対象物40)に付与された模型IDを取得する。模型IDには、当該対象物の固有番号と、当該対象物が属するN個の模型群の中の位置を示す情報とが含まれている。制御装置20は、搬送装置10によって搬送された搬送物(対象物40、トレイ41)がスキャン装置30の台座31上に載置されると、当該スキャン装置から対象物40が載置されたことを示す情報(例えば、セットイン信号)の通知を受け付ける。対象物40が載置されたことを示す情報には、当該対象物を受け入れたスキャン装置30を識別する装置IDが関連付けされている。
【0023】
制御装置20は、対象物40が載置されたことを示す情報を通知したスキャン装置30に対して、対象物40の模型IDを送信するとともに、搬送装置10に対して、対象物40が載置されたスキャン装置30の装置IDを通知する。スキャン装置30の装置IDは、例えば、対象物40の模型IDと関連付けされて搬送装置10に送信される。スキャン装置30では、制御装置20から送信された模型IDがネットワークN2を介して受け付けられ、対象物40の3次元スキャンが開始される。
【0024】
対象物40の3次元スキャンが終了すると、制御装置20は、対象物40が載置された
スキャン装置30からスキャン終了の通知を受け付けるとともに、当該対象物から取得された立体形状のスキャンデータを受信する。制御装置20は、スキャン終了の通知を受け付けたスキャン装置30の装置IDを搬送装置10に送信するとともに、対象物40のスキャンデータを模型ID等に関連付けてメモリ等に記憶する。また、制御装置20は、ネットワークN2を通じて、スキャン対象の模型40が離間したことを示す情報(例えば、セットアウト信号)を受け付けると、搬送装置10に対して、対象物40が離間されたスキャン装置30の装置IDを通知する。
【0025】
制御装置20は、模型IDに含まれる、模型40の属するN個の模型群の中の位置を示す情報(例えば、N-1/N)にしたがって個別のスキャンデータを管理する。制御装置20は、模型群を構成するN個の模型40に対する全てのスキャンデータが取得されると、搬送装置10に対して、模型群を構成するN個の模型40に対する全てのスキャンデータが取得されたことを示す情報(例えば、群データ取得完了信号)を通知する。そして、制御装置20は、模型群を構成するN個の模型40に対する全てのスキャンデータを合成し、N個の模型40を組合せた3次元データを生成する。生成された3次元データは、模型ID等と関連付けされて、補助記憶部203等に格納される。
【0026】
制御装置20は、接続バスB2によって相互に接続されたプロセッサ201と、主記憶部202と、補助記憶部203と、入出力部204と、通信部205とを備える。主記憶部202および補助記憶部203はメモリを構成し、制御装置20が読み取り可能な記録媒体である。上記の構成要素はそれぞれ複数に設けられてもよいし、一部の構成要素を設けないようにしてもよい。プロセッサ201は、制御装置20の全体の動作を制御する中央処理演算装置であり、制御装置20における制御部の一例である。プロセッサ201は、例えば、CPUまたはMPU等とも呼ばれる。プロセッサ201は、例えば、補助記憶部203に記憶されたプログラムを主記憶部202の作業領域に実行可能に展開し、当該プログラムの実行を通じて周辺機器の制御を行うことで所定の目的に合致した機能を提供する。
【0027】
主記憶部202は、フラッシュメモリ、RAM、ROM等を含み、プロセッサ201が実行するプログラム、当該プロセッサが処理するデータ等を記憶する。補助記憶部203は、HDDまたはSSD等の記憶装置である。補助記憶部203には、USBメモリ、SDカード等の可搬型記録媒体が含まれる。補助記憶部203は、主記憶部202を補助する記憶領域として使用され、各種のプログラム、各種のテーブル、各種のデータが読み書き自在に格納される。補助記憶部203には、通信部205を介して接続された機器との間でデータの受け渡しを行う通信インターフェースプログラムを含むオペレーティングシステム(OS)が格納される。
【0028】
入出力部204は、プロセッサ201で処理されるデータや情報、メモリに記憶されるデータや情報に対する入出力を行うインターフェースである。入出力部204には、例えば、ボタン、キーボード、タッチパネル、マウス等のポインティングデバイスといった入力デバイスが含まれる。また、入出力部204には、LCD、有機ELパネル等の表示デバイス、スピーカ等の出力デバイスが含まれる。表示デバイスは、タッチパネルと組合されて入力デバイスを構成する。入出力部204を通じて、操作者による操作指示が受け付けられる。通信部205は、ネットワークN1、N2等の通信回線を通じて外部装置と通信を行うための通信インターフェースである。通信部205は、通信回線との接続方式に応じて適宜の構成が採用され得る。通信部205として、LANインターフェースボード、無線通信のための無線通信回路等が例示される。
【0029】
(搬送装置)
搬送装置10は、複数の関節部と複数のアーム部から構成された可動部を有する多関節
のロボットアームである。ロボットアームを構成する、複数の関節部のそれぞれには回転角度(回転位置)を検出するセンサ(ロータリエンコーダ等)を有するモータが内蔵されており、センサによって検出された回転角度に基づいて関節部に接続されるアーム部の曲げの動きが制御される。搬送装置10は、球形状の可動範囲を有する。搬送装置10は、アーム部の先端に接続されたグリッパ10aと、制御ユニット11を備える。グリッパ10aは、支持軸を中心として指部が回動することで、パレット50に配置されたトレイ41を把持可能とするロボットハンドである。制御ユニット11は、搬送装置10の搬送動作を制御するコンピュータユニットである。なお、図2においては、模型40が載置されるトレイ41は略円形形状を有するが、グリッパ10aが模型40を載置した状態で把持可能な形状であれば矩形形状であってもよい。
【0030】
搬送装置10は、グリッパ10aを介して、パレット50に配置されたN個の模型40の中からスキャン対象の模型40(対象物40)が載置されたトレイ41を把持する。搬送装置10は、関節部およびアーム部の動きを制御し、グリッパ10aを介して把持された対象物40をトレイ41とともに、R台の中の対象物40に対するスキャンが可能なスキャン装置30に搬送する。搬送装置10によって搬送されたトレイ41は、対象物40を載置した状態で、スキャン装置30の台座31に載置される。
【0031】
グリッパ10aには、模型40に付与された識別情報(模型ID)を取得可能なセンサ10bが設けられている。搬送装置10の制御ユニット11は、スキャン対象の模型40(対象物40)が載置されたトレイ41を把持する際に、センサ10bを介して模型40に付与された模型IDを取得する。取得された模型IDは、ネットワークN1を介して接続された制御装置20に通知される。
【0032】
搬送装置10の制御ユニット11は、R台の中のスキャン可能なスキャン装置30に対象物40を搬送すると、当該対象物が搬送されたスキャン装置30の識別情報(装置ID)を取得する。対象物40が載置されたスキャン装置30の装置IDは、ネットワークN1を介して接続された制御装置(スキャン制御装置)20から取得される。制御ユニット11は、例えば、対象物40の模型IDと、当該模型IDを有する対象物が搬送されたスキャン装置30の装置IDとを関連付けてメモリ等に記憶する。これにより、搬送装置10においては、R台のスキャン装置30のそれぞれに対する、対象物40の搬入状態が当該対象物の模型IDとともに管理される。
【0033】
また、制御ユニット11は、制御装置20から送信された、R台のスキャン装置30の中の、対象物40のスキャンが終了したスキャン装置30に関する装置IDの通知を、ネットワークN1を介して受け付ける。制御ユニット11は、スキャンが終了したスキャン装置30の装置IDに基づいて、メモリ等に記憶された対象物40のスキャン実行状態を更新する。これにより、搬送装置10においては、R台のスキャン装置30に対するスキャン実行状態が管理される。
【0034】
また、制御ユニット11は、制御装置20から送信された、R台のスキャン装置30の中の、スキャン終了後の対象物40が離間されたスキャン装置30の装置IDの通知を、ネットワークN1を介して受け付ける。制御ユニット11は、対象物40が離間されたスキャン装置30の装置IDに基づいて、メモリ等に記憶された対象物40の受け入れ状態を更新する。これにより、搬送装置10においては、R台のスキャン装置30の中の、対象物40に対するスキャンが可能なスキャン装置30が管理される。
【0035】
また、制御ユニット11は、制御装置20から送信された、模型群を構成するN個の模型40に対する全てのスキャンデータが取得されたことを示す情報(例えば、群データ取得完了信号)の通知を受け付ける。制御ユニット11では、上記情報に基づいて、次のス
キャン対象になるN個の模型群に対するスキャン装置30への搬送が実行される。
【0036】
本実施形態においては、N個の模型群のそれぞれから取得された立体形状のスキャンデータを合成して3次元データを生成する際に、N個の中のスキャンが終了した模型40と、R台の中のスキャンが可能なスキャン装置30とが管理できる。
【0037】
制御ユニット11は、接続バスB1によって相互に接続されたプロセッサ101と、主記憶部102と、補助記憶部103と、入出力部104と、通信部105とを備える。上記の構成要素はそれぞれ複数に設けられてもよいし、一部の構成要素を設けないようにしてもよい。制御ユニット11のプロセッサ101は、制御装置20のプロセッサ201と同等の構成であり、説明が省略される。プロセッサ101は、搬送装置10の制御部の一例である。プロセッサ101は、単一のプロセッサで構成されてもよく、複数のプロセッサで構成されてもよい。また、制御ユニット11は、単一のコンピュータで構成されてもよく、複数台のコンピュータが連携する構成であってもよい。
【0038】
同様にして、制御ユニット11の主記憶部102、補助記憶部103、入出力部104、通信部105のそれぞれは、制御装置20の主記憶部202、補助記憶部203、入出力部204、通信部205と同等の構成であるため説明が省略される。搬送装置10は、通信部105を通じて、ネットワークN1に接続された制御装置20と相互に接続される。入出力部104には、模型40に付与された識別情報(模型ID)を取得可能なセンサ10bが含まれる。センサ10bとして、模型40に貼付されたバーコード、2次元コード等を読み取り可能なコードリーダ、CCDやCMOS等の撮像素子による画像センサ、RFID等の近距離無線リーダ等が例示される。センサ10bは、模型40に付与された識別情報を取得可能なデバイスであれば、模型40や、搬送システム1が構築されるスキャン設備の運用形態に応じて適宜に選定できる。
【0039】
主記憶部102および補助記憶部103は制御ユニット11のメモリを構成する。補助記憶部103に格納される情報は主記憶部102に格納されてもよく、主記憶部102に格納される情報が補助記憶部103に格納されてもよい。補助記憶部103には、パレット50に載置されたN個の模型40をトレイ41とともに、R台の中のスキャン可能なスキャン装置30に搬送するための、アプリケーションプログラム(ソフトウェア)等が格納される。
【0040】
(搬送システムの形態例)
図3は、構内に構築された搬送システム1の一例を説明する斜視図である。図3においては、搬送装置10によって、パレット50に配置されたN個の模型40を、4台のスキャン装置(30aから30d)の中のスキャン可能なスキャン装置30に搬送する形態が例示されている。図3(a)には、搬送システム1を構成する搬送装置10、4台のスキャン装置(30aから30d)、N個の模型が配置された複数のパレット50の相対的な位置関係が例示されている。また、図3(b)には、単一のパレット50上に、4個の模型(40A1から40A4、40B1から40B4)を一つの単位群(グループ)として2つの単位群(グループ)に属する模型40を配置する形態(合計8個)が例示されている。
【0041】
図3(a)において、4台のスキャン装置(30aから30d)は、搬送装置10の可動範囲内に当該搬送装置を挟み左右側に配置されている。スキャン装置30aはスキャン装置30cと対向し、スキャン装置30bはスキャン装置30dと対向する。搬送装置10の後側には、2つの単位群に属する模型40を搭載するパレット50が複数段に収容されるマガジンラック4が設けられている。
【0042】
マガジンラック4の最前列には、パレット50aと、パレット50bとが左右方向に並列して配置され、パレット50aおよびパレット50bのそれぞれの後方側にはパレット50cおよびパレット50dが並列して待機している。マガジンラック4の最前列に配置されるパレット50aおよびパレット50bは、搬送装置10の可動範囲内に位置するように配置されている。図3(a)の形態において、各スキャン装置の上下方向の高さ位置はそれぞれを搭載する架台2、搬送装置10の高さ位置は架台3によって調整される。また、マガジンラック4では、高さ調整機構により、最前列に配置される各パレットの高さ位置が調整される。なお、実線矢印Z2に示されるように、マガジンラック4に対する模型群の補充は、当該模型群が配置された状態のパレット50を補充単位として、マガジンラック4の後側から補充される。
【0043】
図4は、搬送装置10の周辺に配置される複数のスキャン装置30および模型40が配置されるパレット50の高さ関係を説明する図である。破線Z6で示される領域は、搬送装置10の可動範囲を表す。図4に示されるように、搬送装置10の可動範囲内に配置される複数(R台)のスキャン装置30の台座31の上下方向の高さ位置は、少なくとも、一点鎖線で示される、水平面と平行する同一面Z8の高さ位置になるように調整されることが好ましい。同様にして、マガジンラック4の最前列に配置される各パレットの上下方向の高さ位置は、少なくとも一点鎖線で示される、水平面と平行する同一面Z7の高さ位置になるように調整されることが好ましい。
【0044】
R台のスキャン装置30の台座31の高さ位置を架台2によって略同じ高さ位置とすることで、異なるスキャン装置30に対象物40を搬送する際の、搬送装置10の上下方向の稼働範囲を揃えることができる。これにより、対象物40が配置されたパレット50と対象物40のスキャンが可能な状態のスキャン装置30との間の搬送に係る時間短縮が期待できる。同様にして、マガジンラック4の最前列に配置される各パレットの上下方向の高さ位置を略同じ高さ位置とすることで、パレット50上に配置された模型群を取得する際の上下方向の稼働範囲を揃えることができる。これにより、パレット50に配置された対象物40を取得し、当該対象物をスキャン装置30に搬送する時間の短縮が期待できる。
【0045】
なお、R台のスキャン装置30の配置位置は、スキャン装置30の台数、搬送装置10の可動範囲、搬送システム1が構築される場所の広さ等に応じて適宜に設定可能である。例えば、図3(a)においては、架台2に一台のスキャン装置30を配置するが、上下方向に2台のスキャン装置30が配置されてもよい。また、R台のスキャン装置30の配置は、搬送装置10の可動範囲内の略同じ高さ位置において、コの字状、扇状、直線状に並列させてもよい。
【0046】
図3(b)において、破線枠Z3、Z4はパレット50上に配置された、2つの模型群を表し、それぞれ4個の模型(40A1から40A4、40B1から40B4)から構成されている。例えば、破線枠Z3で囲まれた模型群では、模型40A1を最前方とし、模型40A4を最後方として前後方向に整列してパレット50上に配置されている。また、破線枠Z3で示される模型群と破線枠Z4で示される模型群とはパレット50上において、破線枠Z3で示される模型群を左側とし、破線枠Z4で示される模型群を右側として、左右に並列して配置されている。
【0047】
例えば、破線枠Z3で囲まれた模型群では、歯列を含む上顎(模型40A1)および下顎(模型40A2)、欠損した歯牙の補綴模型(40A3、40A4)であり、破線枠Z4においても同様である。ただし、パレット50上に配置される模型群が4個に限定されるわけではない。例えば、破線枠Z3の模型群は3個の模型40から構成され、破線枠Z4の模型群は5個の模型40から構成されてもよい。また、パレット50上に配置される
模型40の総数量が、8個に限定されるわけではない。パレット50上に配置される模型40の総数量は8個以外の数量であってよい。なお、搬送システム1の作業性の観点からは、少なくとも、3次元データの合成に係るN個の模型群は同一パレット上に配置されることが好ましい。
【0048】
図3(a)において、例えば、搬送装置10は、パレット50aに配置されたN個の模型40から構成される模型群についてのスキャンが完了すると、右側に並列されたパレット50bを対象として搬送動作を開始する。模型群のスキャンが完了したパレット50aは、例えば、マガジンラック4の搬送機構により、スキャン完了済みのパレット50aが収容される収容棚51aに移動される。パレット50aが移動すると、後側に並列するパレット50cが搬送機構を介してマガジンラック4の最前列に移動される。最前列に移動されたパレット50cは、パレット50bに配置された模型群のスキャンが完了するまで待機状態になる。
【0049】
搬送装置10は、パレット50bに配置された模型群についてのスキャンが完了すると、左側に並列されたパレット50cを対象として搬送動作を開始する。模型群のスキャンが完了したパレット50bは、パレット50aと同様にしてマガジンラック4の搬送機構により、スキャン完了済みのパレット50bが収容される収容棚51bに移動される。パレット50bが移動すると、後側に並列するパレット50dが搬送機構を介してマガジンラック4の最前列に移動され、パレット50cに配置された模型群のスキャンが完了するまで待機状態になる。
【0050】
このように、図3に示す形態では、3次元データの合成に係る模型群を同一パレット上に配置し、当該パレットを最前列に並列して左右に配置することで、スキャンが完了したパレット50に対する換装時間が短縮可能になる。すなわち、搬送システム1では、並列された一方の同一パレット上に配置された模型群に対するスキャンが完了すると、連続して並列された他方の同一パレット上に配置された模型群に対するスキャンが可能になる。また、模型群を搭載するパレット50が複数段に収容されるマガジンラック4では、3次元データの合成に係る模型群が配置されたパレット50を換装単位として、後側に待機する未スキャンの模型群を搭載するパレット50に換装できる。これにより、3次元データの合成に係るN個の模型40をパレット単位で連続して補充することができる。搬送装置10においては、パレット50に配置されたスキャン対象の模型40をスキャン装置30に搬送する稼働率が向上する。
【0051】
マガジンラック4の最前列に配置されるパレット50aおよびパレット50bに対し、パレット50aに配置された模型群は、パレット50bに配置された模型群に対して先行してスキャン装置30に搬送されるとする。このような場合では、例えば、図3(b)のパレット50に配置される2つの模型群(破線枠Z3、Z4)は、先行して搬送される模型群を左側に配置することが好ましい。すなわち、並列して最前列に配置されるパレット間の搬送順と、各パレットに配置される模型群の搬送順とを同一方向(例えば、左側から右側)に揃えることで、搬送に係るロボットアームの水平移動に係る稼働負担の軽減が期待できる。
【0052】
なお、図3(b)の実線吹出しZ5に示されるように、模型40は略円形形状のトレイ41に載置されてパレット50に配置される。パレット50に配置される模型40には、例えば、模型毎に付与された識別情報(模型ID)を表す2次元コード42が貼付されている。搬送装置10は、2次元コードリーダ等のセンサ10bをグリッパ10a等に設けることで、パレット50上に配置された模型40をスキャン装置30に搬送する際に、当該模型の模型IDが取得できる。
【0053】
(制御ユニット11の機能構成)
図5は、制御ユニット11の機能構成の一例を示す図である。制御ユニット11は、搬送管理部111、搬送制御部112、搬送管理TB113、搬送制御DB114を機能構成に備える。
【0054】
搬送管理部111は、R台のスキャン装置30のそれぞれに対する、スキャン対象の模型40(対象物40)の受け入れを管理する。搬送管理部111は、グリッパ10aに設けられたセンサ10bを介して、模型40に貼付された2次元コード42を読み取り、模型ID取得する。模型IDには、例えば、模型40の固有番号と、この模型40が属するN個の模型群の中の位置を示す番号(例えば、N-1)とが含まれる。搬送管理部111は、取得した模型IDを、通信部105と接続されたネットワークN1を介してスキャン制御装置(制御装置)20に送信する。
【0055】
模型IDが取得された対象物40はトレイ41とともに、R台の中のスキャン可能なスキャン装置30に搬送されて台座31上に載置される。対象物40が搬送されたスキャン装置30は、対象物40が載置されたことを示す情報(例えば、セットイン信号)を装置IDとともに制御装置20に送信する。制御装置20は、対象物40が載置されたスキャン装置30の装置IDを対象物40の模型IDと関連付けて搬送装置10に通知する。
【0056】
搬送管理部111は、制御装置20からの通知を受け付け、対象物40が載置されたスキャン装置30の装置IDと模型IDとを搬送管理TB113に格納する。
【0057】
対象物40の3次元スキャンが終了すると、スキャン装置30は、当該スキャンが終了したことを示す情報を装置IDとともに制御装置20に送信する。制御装置20は、スキャン終了の通知を受け付けたスキャン装置30の装置IDを搬送装置10に通知する。
【0058】
搬送管理部111は、制御装置20からの通知を受け付け、スキャンが終了したスキャン装置30の装置IDに基づいて、搬送管理TB113の対象物40に対するスキャン実行状態を更新する。
【0059】
3次元スキャンが終了したスキャン装置30は、スキャン対象の模型40(対象物40)が離間したことを示す情報(例えば、セットアウト信号)を装置IDとともに制御装置20に送信する。制御装置20は、対象物40が離間されたスキャン装置30の装置IDを搬送装置10に通知する。
【0060】
搬送管理部111は、制御装置20からの通知を受け付け、対象物40が離間されたスキャン装置30の装置IDに基づいて、搬送管理TB113の対象物40に対する受け入れ状態を更新する。
【0061】
制御装置20は、模型群を構成するN個の模型40に対する全てのスキャンデータが取得されると、搬送装置10に対して、模型群を構成するN個の模型40に対する全てのスキャンデータが取得されたことを示す情報(例えば、群データ取得完了信号)を通知する。
【0062】
搬送管理部111は、制御装置20からの通知を受け付け、搬送制御部112に対して、次のスキャン対象になる模型群を対象としてスキャン装置30への搬送を実行するように指示を行う。
【0063】
図6は、搬送管理TB113に格納されるテーブル形式の管理情報の一例を示す図である。図6において、管理情報テーブルは、管理番号、装置ID、模型ID、スキャン終了
、受入状態、故障状態の各フィールドを有する。管理情報テーブルに格納される情報は、適宜にフィールドの追加、変更、削除が可能である。
【0064】
管理番号には、R台のスキャン装置30を管理するための管理番号を示す情報が格納される。管理番号は、例えば、搬送制御部112で実行される搬送制御プログラム内で制御に係るスキャン装置30を指定するための識別番号に対応する。装置IDには、スキャン装置30に付与された識別情報が格納される。模型IDには、模型40を識別するための識別情報が格納される。模型IDには、例えば、模型40の固有番号と、この模型40が属するN個の模型群の中の位置を示す番号(例えば、N-1)とが含まれる。スキャン終了には、対象物40が搬送されたスキャン装置30におけるスキャンの実行状態を示す情報が格納される。スキャンの実行状態を示す情報として、例えば、スキャンが終了したことを示す「0」、スキャンが実行中であることを示す「1」といった2値のステータスを表す情報が格納される。受入状態には、スキャン装置30における対象物40に対するスキャンの可否を示す情報が格納される。スキャンの可否を示す情報として、例えば、スキャンが可能であることを示す「○」、スキャンが可能でないことを示す「×」といった2値のステータスを表す情報が格納される。故障状態には、スキャン装置30が故障状態(例えば、「故障」)か正常状態(例えば、「正常」)かを示す情報が格納される。なお、故障状態は、例えば、搬送装置10を操作する操作者の入出力部104を介した、ボタン操作やタッチパネル入力を通じて受け付けられる。
【0065】
搬送制御部112は、複数の関節部と複数のアーム部から構成された可動部を有する多関節のロボットアームを制御し、パレット50に配置された搬送物(スキャン対象の模型40、トレイ41)をスキャン装置30に搬送する。同様にして、搬送制御部112は、スキャンが終了したスキャン装置30の台座31から搬送物を搬送し、パレット50上に返戻する。搬送制御部112は、搬送制御DB114に格納された制御プログラム(ティーチングプログラム)を、搬送管理TB112に格納されたスキャン装置30の状態に応じて適宜に実行し、搬送物のスキャン装置30への搬送およびパレット50への返戻を行う。
【0066】
搬送制御DB114には、搬送作業前に、複数の関節部と複数のアーム部から構成された可動部を有する多関節のロボットアームに教示された制御プログラム(ティーチングプログラム)が格納されている。制御プログラムは、例えば、ロボットアームの位置、姿勢角度、グリッパ10aの支持軸を中心とする指部の回動位置、模型IDの取得位置等を制御するための指令コマンドのシーケンスが定義されたプログラムである。搬送装置10の操作者は、公知のティーチング方法を用いて制御プログラムを生成し、搬送制御DB114に格納する。
【0067】
制御プログラムにより、例えば、パレット50上に配置されたN個の模型40の中からスキャン対象の模型40が搭載されたトレイ41を把持し、R台の中のスキャンが可能なスキャン装置30の台座31に搬送するロボットアームの一連の動作が制御される。同様にして、スキャン装置30の台座31に搬送された、模型40を搭載するトレイ41が把持されて、パレット50上に返戻するロボットアームの一連の動作が制御される。
【0068】
搬送制御部112は、搬送管理TB112で管理されるR台のスキャン装置30のそれぞれの状態を表す管理情報に応じて、搬送制御DB114から読みだされて主記憶部102に展開された制御プログラムを実行し、搬送物の搬送および返戻を行う。
【0069】
なお、図1に示されるように、スキャン装置30においては、模型40の3次元スキャンに係る時間(Tsc)は、相対的に搬送物の搬送・返戻に係る時間(T1)より長い。スキャン作業に係る時間短縮の観点からは、スキャンが終了したスキャン装置30からの
搬送物の返戻動作より、スキャン可能なスキャン装置30への搬送物の搬送動作を優先させることが好ましい。搬送制御部112は、スキャン可能なスキャン装置30への搬送物の搬送動作を、搬送物の返戻動作に優先させてロボットアームを制御する。
【0070】
搬送管理TB113においては、R台のスキャン装置30の中の、故障が生じたスキャン装置30が管理できる。このため、搬送制御部112は、R台のスキャン装置30の中の故障が生じたスキャン装置30を除く、他の正常なスキャン装置30を対象として搬送物の受入可能なスキャン装置を選定できる。搬送システム1においては、スキャン装置30に故障が生じた場合であっても、スキャン作業を中断することなくスキャン対象の模型40の3次元スキャンデータが継続して取得できる。
【0071】
(処理の流れ)
図7および図8を参照して、本実施形態に搬送システム1の処理を説明する。図7は、3次元データの合成に係る各器機の処理の流れの一例を示すシーケンス図である。図7においては、図3に例示の形態である対象物40を搬送・返戻する搬送装置10、4台のスキャン装置(30#1から30#4)、スキャン制御装置20の各器機における処理動作が例示される。なお、図7において、破線枠で囲まれた領域には、搬送装置10の搬送管理TB113で管理される各スキャン装置30の受入状態が例示されている。図8は、搬送装置10における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0072】
図7において、破線枠で囲まれた領域に示されるように、初期状態では、搬送管理TB113で管理される各スキャン装置30の受入状態は全て受入可能の状態である。例えば、4台のスキャン装置(30#1から30#4)はそれぞれS1、S2、S3、S4の管理番号が付与され、当該管理番号と、受け入れ可能であることを示す情報(例えば「○」等)とが対応付けられて管理されている。なお、各スキャン装置において、受け入れ不能である場合には、受け入れ不能であることを示す情報(例えば「×」等)が管理番号に対応付けられて管理される。
【0073】
搬送装置10は、例えば、パレット50の最前方に配置された模型40A1(対象物A-1)を搬送対象としてスキャン装置30#1に搬送し、台座31上に載置(セット)する(D1)。対象物A-1がセットされたスキャン装置30#1では、対象物A-1が載置されたことを示す情報(セットイン信号)が制御装置20に通知されて、対象物A-1の3次元スキャンが開始される(E1)。搬送装置10は、制御装置20から送信された、対象物A-1が載置されたスキャン装置30#1の装置IDを受け付けて搬送管理TB113の管理情報を更新する。管理情報においては、管理番号S1の受入状態が、受け入れ不能であることを示す情報(「×」)に更新される。
【0074】
搬送装置10は、パレット50の模型40A1に隣接して後方側に配置された模型40A2(対象物A-2)を搬送対象としてスキャン装置30#2に搬送し、台座31上にセットする(D2)。対象物A-2がセットされたスキャン装置30#2では、スキャン装置30#1と同様の処理が行われ、対象物A-2の3次元スキャンが開始される(E2)。搬送装置10では、制御装置20から対象物A-2が載置されたスキャン装置30#2の装置IDが受け付けられて搬送管理TB113が更新され、管理番号S2の受入状態が、受け入れ不能であることを示す情報(「×」)に更新される。
【0075】
搬送装置10は、パレット50の模型40A2に隣接して後方側に配置された模型40A3(対象物A-3)を搬送対象としてスキャン装置30#3に搬送し、台座31上にセットする(D3)。スキャン装置30#3では、スキャン装置30#1と同様にして、セットイン信号の制御装置20への送信が行われ、対象物A-3の3次元スキャンが開始される(E3)。そして、搬送装置10では、制御装置20から対象物A-3が載置された
スキャン装置30#3の装置IDが受け付けられて搬送管理TB113が更新され、管理番号S3の受入状態が、受け入れ不能であることを示す情報(「×」)に更新される。
【0076】
搬送装置10は、パレット50の最後方に配置された模型40A4(対象物A-4)を搬送対象としてスキャン装置30#4に搬送し、台座31上にセットする(D4)。スキャン装置30#4では、スキャン装置30#1と同様にして、セットイン信号の制御装置20への送信が行われ、対象物A-4の3次元スキャンが開始される(E4)。搬送装置10は、制御装置20から対象物A-4が載置されたスキャン装置30#4の装置IDを受け付けて搬送管理TB113を更新し、管理番号S4の受入状態が受け入れ不能であることを示す情報(「×」)に更新される。
【0077】
搬送装置10は、対象物A-1の3次元スキャンが終了したスキャン装置30#1の装置IDを制御装置20から受け付け、搬送管理TB113の管理情報を更新する。管理情報においては、管理番号S1のスキャン実行状態が、スキャンが実行中であることを示す「1」から、スキャンが終了したことを示す「0」に更新される。そして、搬送装置10は、スキャン装置30#1に搬入された対象物A-1をパレット50に返戻する(D5)。3次元スキャンが終了した対象物A-1は、例えば、搬送前の配置位置に返戻される。
【0078】
スキャン装置30#1では、対象物A-1が離間されたことを示す情報(セットアウト信号)が制御装置20に通知され、対象物A-1の3次元スキャンデータが模型IDとともに制御装置20に送信される。搬送装置10は、制御装置20から対象物A-1が離間したスキャン装置30#1の装置IDを受け付けて搬送管理TB113の管理情報を更新する。管理情報においては、管理番号S1の受入状態が、受け入れ可能であることを示す情報(「○」)に更新される。
【0079】
既に説明したように搬送装置10では、スキャン作業に係る時間短縮のために、スキャンが終了したスキャン装置30からの搬送物の返戻に優先させて、スキャン可能なスキャン装置30へ搬送物を搬送する。つまり、搬送装置10は、処理D5の直近に対象物A-2の3次元スキャンが終了したことを示す通知を制御装置20から受け付けていても、既にスキャン受入を可能とするスキャン装置30#1への対象物40の搬送を優先させる。
【0080】
搬送装置10は、例えば、パレット50上に配置された破線枠Z4で囲まれた模型群を対象としてスキャン装置30#1への搬送を継続する。搬送装置10は、破線枠Z4で囲まれた模型群の中の最前方に配置された模型40B1(対象物B-1)を搬送対象としてスキャン装置30#1に搬送し、台座31上にセットする(D6)。対象物B-1がセットされたスキャン装置30#1では、処理D1と同様の処理が行われ、対象物B-1の3次元スキャンが開始される(E5)。搬送装置10は、制御装置20から対象物B-1が載置されたスキャン装置30#1の装置IDを受け付けて搬送管理TB113を更新し、管理番号S1の受入状態が受け入れ不能であることを示す情報(「×」)に更新される。
【0081】
搬送装置10は、スキャン装置30#1への対象物B-1の搬送前に受け付けていたスキャン装置30#2に対する対象物A-2の返戻動作を実行する。搬送装置10は、対象物A-2の3次元スキャンが終了したスキャン装置30#2の装置IDを制御装置20から受け付け、スキャン装置30#2に搬入された対象物A-2をパレット50に返戻する(D7)。スキャン装置30#2では、対象物A-2が離間されたことを示すセットアウト信号が制御装置20に通知され、対象物A-2の3次元スキャンデータが模型IDとともに制御装置20に送信される。搬送装置10は、制御装置20から対象物A-2が離間したスキャン装置30#2の装置IDを受け付けて搬送管理TB113の管理情報を更新する。管理情報においては、管理番号S2の受入状態が、受け入れ可能であることを示す情報(「○」)に更新される。
【0082】
以下、搬送装置10では、対象物A-3、A-4の返戻処理(D9、D11)に優先させて対象物B-2、B-3、B-4の搬送処理が実行される(D8、D10、D12)。対象物B-2、B-3、B-4が搬入されたスキャン装置30#2、30#3、30#4のそれぞれでは、D1の処理と同様の処理が行われ、3次元スキャンが開始される(E6からE8)。対象物A-3、A-4の返戻処理においては、D5の処理と同様の処理が行われ、3次元スキャンが終了した対象物A-3、A-4は、搬送前の配置位置に返戻される。また、搬送装置10では、制御装置20から受け付けた各種の通知に基づいて搬送管理TB113が更新され、各スキャン装置に対応する管理番号の受入状態が更新される。D12の処理後には、対象物B-1、B-2、B-3、B-4に対する返戻処理がD5の処理と同様にして実行される(D13からD16)。
【0083】
制御装置20においては、対象物A-1からA-4の3次元スキャンデータが合成され、破線枠Z3で囲まれた模型群の3次元データが生成される(F1)。同様にして、対象物B-1からB-4の3次元スキャンデータが合成され、破線枠Z4で囲まれた模型群の3次元データが生成される(F2)。生成された3次元データは、模型ID等と関連付けされて、補助記憶部203等に格納される。
【0084】
次に、図8のフローチャートを説明する。図8においては、4台のスキャン装置(30#1から30#4)に対する対象物40の搬送処理の流れが例示される。以下では、4台のスキャン装置(30#1から30#4)を、それぞれの管理番号S1、S2、S3、S4で表す。また、搬送管理TB113で管理される各スキャン装置30の受入状態は、受け入れ可能であることを示す情報(「○」)と、不能であることを示す情報(「×」)とで表す。初期状態では、搬送管理TB113で管理される各スキャン装置30の受入状態は全て受入可能の状態である。
【0085】
図8において、処理の開始後、スキャン対象の模型40(対象物40)の有無が判定される(ステップS11)。搬送装置10は、例えば、パレット50上に対象物40がある場合には(ステップS11、“Yes”)、処理はステップS12に進み、そうでない場合には(ステップS11、“No”)、処理はステップS20に進む。
【0086】
ステップS12では、搬送装置10は、搬送管理TB113を参照し、管理番号S1のスキャン装置30が対象物40のスキャンを受け入れ可能か否かを判定する。搬送装置10は、管理番号S1の受入状態に受け入れ可能であることを示す情報(「○」)が格納されている場合には(ステップS12、“Yes”)、処理はステップS13に進み、そうでない場合には(ステップS12、“No”)、処理はステップS14に進む。ステップS13では、搬送装置10は、パレット50に配置された対象物40を管理番号S1のスキャン装置30にセットし、制御装置20から対象物40がセットされたスキャン装置30の装置IDを受け付けて搬送管理TB113の管理情報を更新する。管理情報においては、管理番号S1の受入状態が、受け入れ不能であることを示す情報(「×」)に更新されると、処理はステップS11に戻る。
【0087】
ステップS14では、ステップS12と同様の処理が行われ、管理番号S2のスキャン装置30が対象物40のスキャンを受け入れ可能か否かが判定される。搬送装置10は、管理番号S2のスキャン装置30の受入状態が対象物40のスキャンを受け入れ可能な場合には(ステップS14、“Yes”)、処理はステップS15に進み、そうでない場合には(ステップS14、“No”)、処理はステップS16に進む。ステップS15では、対象物40が管理番号S2のスキャン装置30にセットされ、制御装置20から通知された当該スキャン装置の装置IDが受け付けられて搬送管理TB113が更新される。管理情報においては、管理番号S2の受入状態が、受け入れ不能であることを示す情報(「
×」)に更新されると、処理はステップS11に戻る。
【0088】
ステップS16では、ステップS12と同様の処理が行われ、管理番号S3のスキャン装置30が対象物40のスキャンを受け入れ可能か否かが判定される。搬送装置10は、管理番号S3のスキャン装置30の受入状態が対象物40のスキャンを受け入れ可能な場合には(ステップS16、“Yes”)、処理はステップS17に進み、そうでない場合には(ステップS16、“No”)、処理はステップS18に進む。ステップS17では、対象物40が管理番号S3のスキャン装置30にセットされ、制御装置20から通知された当該スキャン装置の装置IDが受け付けられて搬送管理TB113が更新される。管理情報においては、管理番号S3の受入状態が、受け入れ不能であることを示す情報(「×」)に更新されると、処理はステップS11に戻る。
【0089】
ステップS18では、ステップS12と同様の処理が行われ、管理番号S4のスキャン装置30が対象物40のスキャンを受け入れ可能か否かが判定される。搬送装置10は、管理番号S4のスキャン装置30の受入状態が対象物40のスキャンを受け入れ可能な場合には(ステップS18、“Yes”)、処理はステップS19に進み、そうでない場合には(ステップS18、“No”)、処理はステップS20に進む。ステップS19では、対象物40が管理番号S4のスキャン装置30にセットされ、制御装置20からから通知された当該スキャン装置の装置IDが受け付けられて搬送管理TB113が更新される。管理情報においては、管理番号S4の受入状態が、受け入れ不能であることを示す情報(「×」)に更新されると、処理はステップS11に戻る。
【0090】
ステップS20では、管理番号S1のスキャンが終了したか否かが判定される。搬送装置10は、例えば、搬送管理TB113を参照し、管理番号S1のスキャン実行状態が、スキャンが終了したことを示す情報(「0」)を格納している場合には(ステップS20、“Yes”)、処理はステップS21に進む。一方、そうでない場合には(ステップS20、“No”)、処理はステップS22に進む。
【0091】
ステップS21では、搬送装置10は、管理番号S1のスキャン装置30から搬入された対象物40を取出して、パレット50に返戻する。搬送装置10は、制御装置20から当該スキャン装置の装置IDを受け付けて搬送管理TB113の管理情報を更新する。管理情報においては、管理番号S1の受入状態が、受け入れ可能であることを示す情報(「○」)に更新されると、処理はステップS11に戻る。
【0092】
ステップS22では、管理番号S2のスキャンが終了したか否かが判定される。搬送装置10は、例えば、搬送管理TB113を参照し、管理番号S2のスキャン実行状態が、スキャンが終了したことを示す情報(「0」)を格納している場合には(ステップS22、“Yes”)、処理はステップS23に進む。一方、そうでない場合には(ステップS22、“No”)、処理はステップS24に進む。
【0093】
ステップS23では、搬送装置10は、管理番号S2のスキャン装置30から対象物40を取出してパレット50に返戻し、制御装置20から対象物40が離間したスキャン装置30の装置IDを受け付けて搬送管理TB113の管理情報を更新する。管理情報においては、管理番号S2の受入状態が、受け入れ可能であることを示す情報(「○」)に更新されると、処理はステップS11に戻る。
【0094】
ステップS24では、搬送装置10はステップS20と同様にして、搬送管理TB113に格納された管理番号S3のスキャン実行状態に格納された情報を参照し、スキャン装置30のスキャンが終了したか否かを判定する。搬送装置10は、管理番号S3のスキャン実行状態にスキャンが終了したことを示す情報(「0」)が格納されている場合には(
ステップS24、“Yes”)、処理はステップS25に進む。一方、そうでない場合には(ステップS24、“No”)、処理はステップS26に進む。
【0095】
ステップS25では、搬送装置10は、管理番号S3のスキャン装置30から対象物40を取出してパレット50に返戻し、制御装置20から対象物40が離間したスキャン装置30の装置IDを受け付けて搬送管理TB113の管理情報を更新する。管理情報においては、管理番号S3の受入状態が、受け入れ可能であることを示す情報(「○」)に更新されると、処理はステップS11に戻る。
【0096】
ステップS26では、搬送装置10はステップS20と同様にして、搬送管理TB113に格納された管理番号S4のスキャン実行状態に格納された情報を参照し、スキャン装置30のスキャンが終了したか否かを判定する。搬送装置10は、管理番号S3のスキャン実行状態にスキャンが終了したことを示す情報(「0」)が格納されている場合には(ステップS26、“Yes”)、処理はステップS27に進む。一方、そうでない場合には(ステップS26、“No”)、処理はステップS11に戻る。
【0097】
ステップS27では、搬送装置10は、管理番号S4のスキャン装置30から対象物40を取出してパレット50に返戻し、制御装置20から対象物40が離間したスキャン装置30の装置IDを受け付けて搬送管理TB113の管理情報を更新する。管理情報においては、管理番号S4の受入状態が、受け入れ可能であることを示す情報(「○」)に更新されると、処理はステップS11に戻る。
【0098】
(タイムチャート)
図9は、本実施形態に係る搬送システム1の、スキャンデータの合成を説明するタイムチャートである。図9において、ハッチングされた領域Z9は、管理番号S1のスキャン装置30における3次元スキャンの推移を表す。同様にして、領域Z10からZ12は、それぞれ管理番号S2、S3、S4のスキャン装置30における3次元スキャンの推移を表す。
【0099】
図9に示されるように、搬送装置10においては、スキャン対象の模型40の3次元スキャンが可能なスキャン装置30が存在する場合には、当該スキャン装置への搬送を優先することができる。すなわち、管理番号S1からS4のスキャン装置30が受入可能な状態であれば、N個の模型群の中のスキャン対象の模型40を各スキャン装置に対して連続してセットすることができる。例えば、管理番号S1のスキャン装置30への模型40の搬送後に管理番号S2のスキャン装置30へ模型40を搬送し、連続して管理番号S3、S4のスキャン装置30に模型40を搬送できる。
【0100】
図1と同様にして、パレット50に配置された模型40のスキャン装置30への搬送・返戻に係る時間を「T1」とし、模型40の3次元スキャンに係る時間を「Tsc」と想定する。図9に示されるように、4個の模型で構成される模型群から3次元スキャンデータを合成する場合には、{4×T1+Tsc}の時間で、3次元データを生成するための3次元スキャンデータの取得が可能になる。図1に示される従来例と比較すると、Ta-(4×T1+Tsc)=4×(T1+Tsc)-(4×T1+Tsc)=3Tscの時間短縮が可能になる。例えば、模型40を含む搬送物の搬送・返戻に要する時間(T1)を30秒とし、模型40の3次元スキャンに要する時間(Tsc)を180秒とすると、540秒の時間短縮が可能になる。
【0101】
4個の模型で構成される他の模型群についてのスキャン作業が連続する場合では、図9に示されるように、{T1+Tsc}の時間経過後に当該他の模型群に対する3次元スキャンデータが取得できる。図1に示される従来例と比較すると、従来例において一つの模
型群に対する3次元スキャンデータが取得される前に、本実施形態では2つの模型群に対する3次元スキャンデータの取得が可能になる。
【0102】
以上説明したように、本実施形態に係る搬送システム1の搬送装置10においては、R台のスキャン装置30に対して、スキャン対象の模型40の受入の可否を個別に管理することができる。搬送装置10は、管理情報に基づいて、R台のスキャン装置30の中の受入可能なスキャン装置30に対して、スキャン対象のN個の模型群を個別に分配して搬送することができる。本実施形態によれば、スキャン作業に係る搬送装置の稼働率を向上させ、スキャン作業に係る時間が短縮可能になる。
【0103】
また、本実施形態においては、搬送装置10は、スキャン可能なスキャン装置30への模型40の搬送処理を、3次元スキャンが終了したスキャン装置30からの模型40の返戻処理に優先させて実行できる。これにより、本実施形態では、R台のスキャン装置30に分配されたN個の模型群に要するスキャン時間がさらに短縮可能になる。
【0104】
また、本実施形態においては、R台のスキャン装置30の中の、故障が生じたスキャン装置30が管理できる。これにより、本実施形態では、故障が生じたスキャン装置30を除く、他の正常なスキャン装置30を対象としてN個の模型群が分配できる。スキャン装置30に故障が生じた場合であっても、N個の模型群にたいするスキャン作業を中断することなく継続して3次元スキャンデータが取得できる。
【0105】
(変形例)
変形例においては、搬送装置10は、ロボットアームの先端側にCCDやCMOS等の撮像素子による画像センサ(カメラ)を設けるようにしてもよい。搬送装置10は、例えば、画像センサを介して模型40が搬入されていないスキャン装置30を検知する。また、搬送装置10は、画像センサを介してパレット50に配置された模型群の全体像を検知し、検知された全体像の中からスキャン対象の模型40を把持する。そして、搬送装置10は、画像センサを介して、周囲に存在する障害物(作業台、他のロボット、作業者等)を検知するとともに、検知された障害物を回避しながら、把持されたスキャン対象の模型40を、模型40が未搬入のスキャン装置30に搬送する。変形例においては、搬送装置10は、画像センサを介して検知された情報に基づいて、自立的にスキャン対象の模型40を受入可能なスキャン装置30に搬送できる。
【0106】
(その他の実施形態)
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜に変更して実施し得る。本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0107】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。例えば、搬送装置10が備える搬送制御DB114は、ネットワークN1に接続された外部記憶装置であってよい。
【0108】
本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよ
い。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク、ブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスクを含む。また、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、または光学式カードのような、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0109】
1 搬送システム
4 マガジンラック
10 スキャン搬送装置
10a グリッパ
10b センサ
11 制御ユニット
20 スキャン制御装置
30 スキャン装置
40 模型
41 トレイ
50 パレット
111 搬送管理部
112 搬送制御部
113 搬送管理テーブル
114 搬送制御データベース

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9