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特開2024-151073店舗システム、サーバ及びそのプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151073
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】店舗システム、サーバ及びそのプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0207 20230101AFI20241017BHJP
   G06Q 30/06 20230101ALI20241017BHJP
【FI】
G06Q30/0207 328
G06Q30/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064201
(22)【出願日】2023-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】神谷 卓也
(72)【発明者】
【氏名】竹野 唯志
(72)【発明者】
【氏名】柿野 友成
(72)【発明者】
【氏名】山崎 景太
(72)【発明者】
【氏名】ミヤ タンダル
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB07
5L030BB44
5L030BB72
5L049BB07
5L049BB44
5L049BB72
(57)【要約】
【課題】貼付物によって定まる値引の額が時間の経過に応じて変更されたことを消費者が容易に知り得るようにする。
【解決手段】商品に貼付された貼付物により特定される値引額を管理するサーバと、商品を販売する店舗に来店した消費者が操作する情報端末とを含む。サーバは、貼付物により特定される値引額が時間の経過に応じて変動したことを検出する。サーバは、貼付物により特定される値引額が変動したことを示す情報を当該サーバとの通信が確立している情報端末に配信する。情報端末は、サーバから受信した情報を基に、貼付物により特定される値引額が変動したことを報知する。
【選択図】 図7

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品に貼付された貼付物により特定される値引額を管理するサーバと、前記商品を販売する店舗に来店した消費者が操作する情報端末と、を含み、
前記サーバは、
前記貼付物により特定される値引額が時間の経過に応じて変動したことを検出する検出手段と、
前記貼付物により特定される値引額が変動したことを示す情報を当該サーバとの通信が確立している前記情報端末に配信する配信手段と、
を具備し、
前記情報端末は、
前記店舗に来店した消費者が当該店舗で購入した商品の会計が終了するまで前記サーバとの通信を確立させる通信制御手段と、
前記サーバから受信した前記情報を基に、前記貼付物により特定される値引額が変動したことを報知する報知手段と、
を具備する店舗システム。
【請求項2】
前記情報端末は、
商品に貼付された前記貼付物を読み取る読取手段、
をさらに具備し、
前記報知手段は、前記サーバから受信した前記情報を基に、前記読取手段により読み取った貼付物により特定される値引額が変動したことを報知する、請求項1記載の店舗システム。
【請求項3】
前記情報端末は、
商品に貼付された前記貼付物を読み取る読取手段、
をさらに具備し、
前記サーバは、
通信が確立している前記情報端末毎に、当該情報端末の読取手段で読み取られた貼付物を認識する認識手段と、
前記検出手段により値引額が変動したことが検出された貼付物を読み取った前記情報端末を送信先として決定する決定手段と、
をさらに具備し、
前記配信手段は、前記決定手段により送信先として決定された前記情報端末に前記情報を配信する、請求項1記載の店舗システム。
【請求項4】
商品に貼付された貼付物により特定される値引額を管理し、前記商品を販売する店舗に来店した消費者が操作する情報端末と通信が可能なサーバであって、
前記貼付物により特定される値引額が時間の経過に応じて変動したことを検出する検出手段と、
前記貼付物により特定される値引額が変動したことを示す情報を当該サーバとの通信が確立している前記情報端末に配信する配信手段と、
を具備するサーバ。
【請求項5】
通信が確立している前記情報端末毎に、当該情報端末の読取手段で読み取られた貼付物を認識する認識手段と、
前記検出手段により値引額が変動したことが検出された貼付物を読み取った前記情報端末を送信先として決定する決定手段と、
をさらに具備し、
前記配信手段は、前記決定手段により送信先として決定された前記情報端末に前記情報を配信する、請求項4記載のサーバ。
【請求項6】
商品に貼付された貼付物により特定される値引額を管理し、前記商品を販売する店舗に来店した消費者が操作する情報端末と通信が可能なサーバのコンピュータを、
前記貼付物により特定される値引額が時間の経過に応じて変動したことを検出する検出手段、及び、
前記貼付物により特定される値引額が変動したことを示す情報を当該サーバとの通信が確立している前記情報端末に配信する配信手段、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、店舗システム及びそのシステムのサーバ並びにサーバのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケット、ドラッグストア等の店舗では、値引の対象となる商品に、値引額又は割引率を表記したシール等の貼付物を貼付することが行われている。貼付物が貼付された商品は、その貼付物に表記された値引額又は割引率で定価よりも値引されて販売される。
【0003】
通常、値引の対象となる商品は、消費期限又は賞味期限が近付いた商品、あるいは在庫処分の対象となった商品等である。これらの商品を値引して販売することにより、売れ残りによるロスを低減できる。このような効果は、消費期限又は賞味期限までの残り時間、あるいは在庫処分までの残り時間が少なくなるに従い値引の額を大きくすることで、さらに高くなると考えられる。一方、残り時間に応じて値引の額を大きくするためには、貼付物を貼り替える作業が強いられる。また、値引の対象となる1つの商品に対して2種類以上の貼付物が必要となるためコスト高になる。
【0004】
このような課題を解決するためには、貼付物によって定まる値引の額を時間の経過に応じて変えられるようにすればよい。しかしながら、値引額が時間の経過に応じて変更されると、消費者が売場で商品を買物籠等に入れてから会計場(レジ)で会計を行うまでの間に、その商品に貼付されていた貼付物によって定まる値引の額が変更される場合があり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-074013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、貼付物によって定まる値引の額が時間の経過に応じて変更されたことを消費者が容易に知り得る技術を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態において、店舗システムは、商品に貼付された貼付物により特定される値引額を管理するサーバと、商品を販売する店舗に来店した消費者が操作する情報端末とを含む。
サーバは、検出手段と、配信手段とを備える。検出手段は、貼付物により特定される値引額が時間の経過に応じて変動したことを検出する。配信手段は、貼付物により特定される値引額が変動したことを示す情報を当該サーバとの通信が確立している情報端末に配信する。
情報端末は、通信制御手段と、報知手段とを備える。通信制御手段は、店舗に来店した消費者が当該店舗で購入した商品の会計が終了するまでサーバとの通信を確立させる。報知手段は、サーバから受信した情報を基に、貼付物により特定される値引額が変動したことを報知する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、店舗システムの全体構成を示すブロック図である。
図2図2は、モバイルサーバの要部回路構成を示すブロック図である。
図3図3は、商品マスタに保存される商品マスタデータの構造図である。
図4図4は、シールマスタに保存されるシールマスタデータの構造図である。
図5図5は、取引ファイルに記憶されるデータの構成を示す模式図である。
図6図6は、モバイル端末の要部回路構成を示すブロック図である。
図7図7は、値引管理サーバの要部回路構成を示すブロック図である。
図8図8は、シール別テーブルのデータ構造を示す模式図である。
図9図9は、モバイル端末のプロセッサが実行する第1の情報処理の要部手順を示す流れ図である。
図10図10は、値引管理サーバのプロセッサが実行する第2の情報処理の要部手順を示す流れ図である。
図11図11は、モバイル端末のプロセッサが実行する第3の情報処理の要部手順を示す流れ図である。
図12図12は、モバイルサーバのプロセッサが実行する第4の情報処理の要部手順を示す流れ図である。
図13図13は、値引額更新画像と更新後合計金額とを表示したタッチパネルの一画面例である。
図14図14は、第2の実施形態における値引管理サーバの要部回路構成を示すブロック図である。
図15図15は、第2の実施形態において、モバイル端末のプロセッサが実行する第1の情報処理の要部手順を示す流れ図である。
図16図16は、第2の実施形態において、値引管理サーバのプロセッサが実行する第5の情報処理の要部手順を示す流れ図である。
図17図17は、第2の実施形態において、値引管理サーバのプロセッサが実行する第2の情報処理の要部手順を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、貼付物によって定まる値引の額が時間の経過に応じて変更されたことを消費者が容易に知り得るようにした店舗システムの実施形態について、図面を用いて説明する。
なお、本実施形態は、弁当、サラダ等のように時間を単位として消費期限が設定された商品を値引対象商品として取り扱う店舗において、消費期限までの残り時間に応じて値引対象商品の値引の額を変更する場合を例示する。具体的には、売場の担当者は、消費期限までの残り時間が所定の時間となった値引対象商品に、その商品の値引額を特定するための貼付物を貼付する。店舗システムは、この貼付物によって特定される値引額を時間の経過に応じて変更する。貼付物は、粘着面を有するシールとする。本実施形態では、貼付物を値引シールと表す。
【0010】
<第1の実施形態>
第1の実施形態を、図1乃至図13を用いて説明する。
[店舗システムの説明]
はじめに、店舗に構築される店舗システムの概略について、図1を用いて説明する。
図1は、店舗システム100の全体構成を示すブロック図である。店舗システム100は、複数台のモバイル端末10と、複数台の会計機20と、モバイルサーバ30、値引管理サーバ40及びNTP(Network Time Protocol)サーバ50を含むサーバ群とを備える。店舗システム100は、会計機20とサーバ群とを、LAN(Local Area Network)等の通信ネットワーク60を介して接続する。また店舗システム100は、通信ネットワーク60にアクセスポイント70を接続し、このアクセスポイント70と複数台のモバイル端末10との間で無線によるデータ通信を行えるようにしている。なお、アクセスポイント70の台数は1台に限定されない。店舗の規模あるいは売場のレイアウト等により2台以上のアクセスポイント70が通信ネットワーク60に接続されていてもよい。また、サーバ群は、上述したモバイルサーバ30、値引管理サーバ40及びNTPサーバ50に限定されない。他の用途のサーバが通信ネットワーク60に接続されていてもよい。
【0011】
モバイル端末10は、店舗に来店した消費者が操作者となる。店舗は、商品が陳列されている売場と会計を行う会計場(レジ)とに区分されている。来店した消費者は、モバイル端末10とともに売場を移動する。そして消費者は、購入を希望する商品いわゆる買上商品を見つけると、モバイル端末10を自ら操作して買上商品を登録し、登録済の買上商品を買物籠等に入れる。このように、モバイル端末10は、売場移動型のセルフ登録システムに用いられる無線通信端末である。例えば消費者が所有する汎用のスマートフォン、店舗が消費者に貸し出す専用のハンディターミナル、ショッピングカートに取り付けられたタブレット端末等がモバイル端末10となり得る。
【0012】
会計機20は、モバイル端末10を用いて買上商品の登録をセルフで行った消費者の会計を処理する電子機器である。会計は、現金で行ってもよいし、クレジットカード、電子マネー、コード決済等のキャッシュレスで行ってもよい。会計機20は、消費者が自ら会計の操作を行うセルフ方式の会計機であってもよいし、店舗の従業員であるキャッシャが会計の操作を行う対面方式の会計機であってもよい。
【0013】
モバイルサーバ30は、モバイル端末10による買上商品の登録を支援するサービスを行うコンピュータシステムである。値引管理サーバ40は、値引シールによって特定される値引額を管理するサービスを行うコンピュータシステムである。NTPサーバ50は、正しい時刻情報を取得し、その時刻情報を通信ネットワーク60に接続された他のサーバ等に配信するサービスを行うコンピュータシステムである。これらのサーバ群は、オンプレミスの環境下でサービスを提供するものであってもよいし、クラウドコンピューティングの環境下でサービスを提供するものであってもよい。
【0014】
[モバイルサーバの説明]
次に、モバイルサーバ30について、図2乃至図5を用いて説明する。
図2は、モバイルサーバ30の要部回路構成を示すブロック図である。モバイルサーバ30は、プロセッサ31、メインメモリ32、補助記憶デバイス33、タイマ34、ネットワークインターフェース35及びシステム伝送路36等を備える。システム伝送路36は、アドレスバス、データバス、制御信号線等を含む。システム伝送路36は、プロセッサ31と他の各部とを接続し、相互間で授受されるデータ信号を伝送する。
【0015】
モバイルサーバ30は、プロセッサ31と、メインメモリ32及び補助記憶デバイス33とを、システム伝送路36で接続することにより、コンピュータを構成する。そしてモバイルサーバ30は、システム伝送路36に、タイマ34及びネットワークインターフェース35を接続し、コンピュータで制御することにより、モバイルサーバ30としての機能を実現している。
【0016】
プロセッサ31は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ31は、オペレーティングシステム又はアプリケーションプログラムに従って、モバイルサーバ30としての各種の機能を実現するべく各部を制御する。プロセッサ31は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。プロセッサ31は、複数のプロセッサコアを含み、複数の処理を並行して実行することが可能なマルチコア・プロセッサである。
【0017】
メインメモリ32は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メインメモリ32は、不揮発性のメモリ領域と揮発性のメモリ領域とを含む。メインメモリ32は、不揮発性のメモリ領域ではオペレーティングシステム又はアプリケーションプログラムを記憶する。メインメモリ32は、プロセッサ31が各部を制御するための処理を実行する上で必要なデータを不揮発性又は揮発性のメモリ領域で記憶する場合もある。メインメモリ32は、揮発性のメモリ領域を、プロセッサ31によってデータが適宜書き換えられるワークエリアとして使用する。不揮発性のメモリ領域は、例えばROM(Read Only Memory)である。揮発性のメモリ領域は、例えばRAM(Random Access Memory)である。
【0018】
補助記憶デバイス33は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。例えばEEPROM(Electric Erasable Programmable Read-Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、あるいはSSD(Solid State Drive)等が補助記憶デバイス33となり得る。補助記憶デバイス33は、プロセッサ31が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサ31での処理によって作成されたデータ等を保存する。補助記憶デバイス33は、上記のアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。
【0019】
タイマ34は、NTPサーバ50から配信される時刻情報に同期して、現在の時刻を計時するものである。
【0020】
ネットワークインターフェース35は、通信ネットワーク60に接続された他の機器とデータ通信を行うためのインターフェースである。他の機器は、値引管理サーバ40、NTPサーバ50、及びアクセスポイント70との間で無線通信が確立しているモバイル端末10を含む。
【0021】
かかる構成のモバイルサーバ30は、補助記憶デバイス33において、商品マスタ37及びシールマスタ38のデータベースを管理する。またモバイルサーバ30は、メインメモリ32において、複数の取引ファイル39を一時的に保存する。
【0022】
商品マスタ37は、店舗で販売される商品毎に作成された商品マスタデータ371(図3を参照)の集合体である。商品マスタデータ371は、図3に示すように、商品コード、商品名、単価等の項目のデータで構成されたレコードである。商品コードは、各商品を個々に識別するために商品毎に設定された一意の識別情報である。通常、各商品にはその商品を識別する商品コードがバーコードの形態で付されている。二次元コードの形態で各商品に商品コードが付されていてもよい。商品コードをICメモリで記憶したRFID(Radio Frequency Identification)タグが各商品に付されていてもよい。単価は、商品1点当たりの通常価格である。単価は、定価であるともいえる。
【0023】
シールマスタ38は、値引対象商品に貼付される値引シールの種類毎に作成されたシールマスタデータ381(図4を参照)の集合体である。シールマスタデータ381は、図4に示すにように、シールID、シール名、シール画像、値引額等の項目のデータで構成されたレコードである。シールIDは、各種の値引シールを識別するために値引シール毎に設定された一意の識別情報である。シール名は、そのシールIDで識別される値引シールに対して設定された名称である。シール画像は、そのシールIDで識別される値引シールの粘着面とは反対側の表面に印刷されている画像である。値引額は、そのシールIDで識別される値引シールによって特定される初期の値引額である。
【0024】
取引ファイル39は、図5に示すように、取引番号と、1乃至複数の商品販売データと、合計データとを記憶するための領域である。取引番号は、モバイル端末10を操作して買上商品の登録をセルフで行う消費者との売買取引が生じる毎に生成される一意の番号である。少なくとも、モバイルサーバ30に保存される複数の取引ファイル39において取引番号が重複することはない。
【0025】
商品販売データは、その取引番号で特定される売買取引で登録された買上商品に係る情報である。商品販売データは、商品コード、商品名、単価、点数、シールID、値引額、金額等の項目のデータを含む。商品コード、商品名及び単価は、商品マスタデータ371の情報である。点数は、商品コードで識別される買上商品の買上点数である。シールID及び値引額は、買上商品に貼付された値引シールに基づく情報である。買上商品に値引シールが付されていない場合には、シールID及び値引額はNULL値または“0”となる。金額は、単価に買上点数を乗じて算出された金額から値引額を減じた金額である。
【0026】
合計データは、合計点数、合計金額及び合計値引額を含む。合計点数は、取引ファイル39に記憶された商品販売データの点数を合計したものである。合計金額は、取引ファイル39に記憶された商品販売データの金額を合計したものである。合計値引額は、取引ファイル39に記憶された商品販売データの値引額を合計したものである。
【0027】
[モバイル端末の説明]
次に、モバイル端末10の構成について、図6を用いて説明する。
図6は、モバイル端末10の要部回路構成を示すブロック図である。モバイル端末10は、プロセッサ11、メインメモリ12、補助記憶デバイス13、無線ユニット14、タッチパネル15、スピーカ16、センサインターフェース17及びシステム伝送路18等を備える。システム伝送路18は、アドレスバス、データバス、制御信号線等を含む。システム伝送路18は、プロセッサ11と他の各部とを接続し、相互間で授受されるデータ信号を伝送する。
【0028】
モバイル端末10は、プロセッサ11と、メインメモリ12及び補助記憶デバイス13とを、システム伝送路18で接続することにより、コンピュータを構成する。そしてモバイル端末10は、システム伝送路18に、無線ユニット14、タッチパネル15、スピーカ16及びセンサインターフェース17を接続し、コンピュータで制御することにより、モバイル端末10としての機能を実現している。モバイル端末10は、店舗システム100における情報端末の一例である。
【0029】
プロセッサ11は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ11は、オペレーティングシステム又はアプリケーションプログラムに従って、モバイル端末10としての各種の機能を実現するべく各部を制御する。プロセッサ11は、例えばCPUである。
【0030】
メインメモリ12は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メインメモリ12は、不揮発性のメモリ領域と揮発性のメモリ領域とを含む。メインメモリ12は、不揮発性のメモリ領域ではオペレーティングシステム又はアプリケーションプログラムを記憶する。メインメモリ12は、プロセッサ11が各部を制御するための処理を実行する上で必要なデータを不揮発性又は揮発性のメモリ領域で記憶する場合もある。メインメモリ12は、揮発性のメモリ領域を、プロセッサ11によってデータが適宜書き換えられるワークエリアとして使用する。不揮発性のメモリ領域は、例えばROMである。揮発性のメモリ領域は、例えばRAMである。
【0031】
補助記憶デバイス13は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。例えばEEPROM、HDD、あるいはSSD等が補助記憶デバイス13となり得る。補助記憶デバイス13は、プロセッサ11が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサ11での処理によって作成されたデータ等を保存する。補助記憶デバイス13は、上記のアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。
【0032】
無線ユニット14は、アクセスポイント70との間で所定の無線通信プロトコルに従いデータの送受信を行うためのものである。タッチパネル15は、モバイル端末10の表示デバイス及び入力デバイスとして機能するものである。スピーカ16は、種々の報知音を発するためのものである。スピーカ16は、音声合成システムで合成された音声を発してもよい。
【0033】
センサインターフェース17は、読取センサ19との通信インターフェースである。読取センサ19は、商品Mに付されたバーコードCと値引シールSとを読み取る機能を有したセンサである。例えば読取センサ19は、カメラで撮影した商品Mの画像からバーコードCの画像と値引シールSの画像とを切出す。そして読取センサ19は、バーコードCの画像データと値引シールSの画像データとをセンサインターフェース17に出力する。ここに、センサインターフェース17に接続された読取センサ19は、商品に貼付された貼付物、つまりは値引シールSを読み取る読取手段として機能する。
【0034】
かかる構成のモバイル端末10は、オペレータである消費者による買上商品のセルフ登録を支援するために、専用のアプリケーションソフトウェアをインストールとしている。以下では、このソフトウェアをセルフ登録アプリと称する。セルフ登録アプリをメインメモリ12又は補助記憶デバイス13にインストールする方法は特に限定されるものではない。リムーバブルな記録媒体にセルフ登録アプリを記録して、あるいはネットワークを介した通信によりセルフ登録アプリを配信して、メインメモリ12又は補助記憶デバイス13にインストールすることができる。記録媒体は、CD-ROM,メモリカード等のようにプログラムを記憶でき、かつ装置が読み取り可能であれば、その形態は問わない。
【0035】
セルフ登録アプリをインストールしたモバイル端末10は、メインメモリ12の揮発性記憶領域の一部をシールバッファ121の領域とする。シールバッファ121は、読取センサ19によって読み取られた値引シールSのシールIDを一時的に保存するための領域である。
【0036】
また、セルフ登録アプリをインストールしたモバイル端末10のプロセッサ11は、通信制御手段111及び報知手段112としての機能を実現する。通信制御手段111は、店舗に来店した消費者が当該店舗で購入した買上商品の会計が終了するまで値引管理サーバ40との通信を確立させる機能である。報知手段112は、値引管理サーバ40から受信した情報を基に、値引シールSにより特定される値引額が変動したことを報知する機能である。
【0037】
[値引管理サーバの構成説明]
次に、値引管理サーバ40の構成について、図7及び図8を用いて説明する。
図7は、値引管理サーバ40の要部回路構成を示すブロック図である。値引管理サーバ40は、プロセッサ41、メインメモリ42、補助記憶デバイス43、タイマ44、ネットワークインターフェース45、登録機インターフェース46及びシステム伝送路47等を備える。システム伝送路47は、アドレスバス、データバス、制御信号線等を含む。システム伝送路47は、プロセッサ41と他の各部とを接続し、相互間で授受されるデータ信号を伝送する。
【0038】
値引管理サーバ40は、プロセッサ41と、メインメモリ42及び補助記憶デバイス43とを、システム伝送路47で接続することにより、コンピュータを構成する。そして値引管理サーバ40は、システム伝送路47に、タイマ44、ネットワークインターフェース45及び登録機インターフェース46を接続し、コンピュータで制御することにより、値引管理サーバ40としての機能を実現している。値引管理サーバ40は、店舗システム100におけるサーバの一例である。
【0039】
プロセッサ41は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ41は、オペレーティングシステム又はアプリケーションプログラムに従って、値引管理サーバ40としての各種の機能を実現するべく各部を制御する。プロセッサ41は、例えばCPUである。プロセッサ41は、複数のプロセッサコアを含み、複数の処理を並行して実行することが可能なマルチコア・プロセッサである。
【0040】
メインメモリ42は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メインメモリ42は、不揮発性のメモリ領域と揮発性のメモリ領域とを含む。メインメモリ42は、不揮発性のメモリ領域ではオペレーティングシステム又はアプリケーションプログラムを記憶する。メインメモリ42は、プロセッサ41が各部を制御するための処理を実行する上で必要なデータを不揮発性又は揮発性のメモリ領域で記憶する場合もある。メインメモリ42は、揮発性のメモリ領域を、プロセッサ41によってデータが適宜書き換えられるワークエリアとして使用する。不揮発性のメモリ領域は、例えばROMである。揮発性のメモリ領域は、例えばRAMである。
【0041】
補助記憶デバイス43は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。例えばEEPROM、HDD、あるいはSSD等が補助記憶デバイス43となり得る。補助記憶デバイス43は、プロセッサ41が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサ41での処理によって作成されたデータ等を保存する。補助記憶デバイス43は、上記のアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。
【0042】
タイマ44は、NTPサーバ50から配信される時刻情報に同期して、現在の時刻を計時するものである。
【0043】
ネットワークインターフェース45は、通信ネットワーク60に接続された他の機器とデータ通信を行うためのインターフェースである。他の機器は、モバイルサーバ30、NTPサーバ50及びアクセスポイント70との間で無線通信が確立しているモバイル端末10を含む。
【0044】
登録機インターフェース46は、通信ケーブル48によって着脱自在に接続された値引情報登録機49とデータ通信を行うためのインターフェースである。値引情報登録機49は、値引シールにより特定される値引額の情報を値引管理サーバ40に登録するための機器である。例えば汎用のパーソナルコンピュータが値引情報登録機49として用いられる。
【0045】
かかる構成の値引管理サーバ40は、各種の値引シールによりそれぞれ特定される値引額の情報を一元的に管理するために、専用のアプリケーションソフトウェアをインストールとしている。以下では、このソフトウェアを値引管理アプリと称する。値引管理アプリをメインメモリ42又は補助記憶デバイス43にインストールする方法は特に限定されるものではない。リムーバブルな記録媒体に値引管理アプリを記録して、あるいはネットワークを介した通信により値引管理アプリを配信して、メインメモリ42又は補助記憶デバイス43にインストールすることができる。記録媒体は、CD-ROM,メモリカード等のようにプログラムを記憶でき、かつ装置が読み取り可能であれば、その形態は問わない。
【0046】
値引管理アプリをインストールした値引管理サーバ40は、補助記憶デバイス43の記憶領域の一部をシール別テーブル431の領域とする。シール別テーブル431は、値引シールの種類別に用意されたデータテーブルである。
【0047】
図8は、シール別テーブル431のデータ構造を示す模式図である。図8に示すように、シール別テーブル431は、テーブル番号NとシールIDとをヘッダ情報として記述する。また、シール別テーブル431は、レコード番号Rのカラムと、更新時刻のカラムと、値引額のカラムとを含む。
【0048】
テーブル番号Nは、シール別テーブル431を個々に識別するために割り当てられた“1”から始まる連続番号である。シールIDは、当該シール別テーブル431を使用する値引シールの識別情報である。レコード番号Rは、対応した更新時刻のカラムと値引額のカラムとに記述される更新時刻と値引額との対データ毎に割り当てられた“1”から始まる連続番号である。そして、レコード番号Rが“1”に対応する更新時刻及び値引額の対データは、シールIDで識別される値引シールを値引対象商品に貼付する時刻とその時点の値引額、つまりは初期の値引額である。“2”以上のレコード番号Rに対応する更新時刻及び値引額の対データは、シールIDで識別される値引シールで特定される値引額を更新する時刻と更新後の値引額である。更新時刻及び値引額の対データは、レコード番号Rの小さい順に複数設定可能である。更新時刻及び値引額の設定は、値引情報登録機49によって行われる。
【0049】
図7の説明に戻る。
値引管理アプリをインストールした値引管理サーバ40のプロセッサ41は、検出手段411及び配信手段412としての機能を実現する。検出手段411は、値引シールにより特定される値引額が時間の経過に応じて変動したことを検出する機能である。配信手段412は、値引シールにより特定される値引額が変動したことを示す情報を、値引管理サーバ40との通信が確立している情報端末、つまりはモバイル端末10に配信する機能である。
【0050】
[店舗システムの動作説明]
次に、店舗システム100の主要な動作について、図9乃至図12の流れ図を用いて説明する。図9及び図11は、モバイル端末10のプロセッサ11が実行する情報処理の要部手順を示す流れ図である。図10は、値引管理サーバ40のプロセッサ41が実行する情報処理の要部手順を示す流れ図である。図12は、モバイルサーバ30のプロセッサ31が実行する情報処理の要部手順を示す流れ図である。なお、以下に説明する情報処理の手順は一例である。同様な作用効果を奏し得るのであれば、その手順は限定されるものではない。
【0051】
[第1の情報処理]
モバイル端末10を用いて買上商品をセルフ登録する消費者は、来店した後にセルフ登録アプリを起動する。セルフ登録アプリが起動すると、モバイル端末10のプロセッサ11は、図9の流れ図に示す手順の情報処理を開始する。以下では、この処理を第1の情報処理と称する。
【0052】
プロセッサ11は、ACT1としてアクセスポイント70を介してモバイルサーバ30との通信が確立されるのを待ち受ける。無線ユニット14の動作によりモバイルサーバ30との通信が確立されると、モバイルサーバ30から新規の取引番号が送られてくるので、プロセッサ11は、ACT2としてその取引番号を取得し記憶する。その後、プロセッサ11は、ACT3として買上商品の登録を待ち受ける。
【0053】
モバイルサーバ30との通信が確立したモバイル端末10のタッチパネル15には、例えばスタートボタンが表示されるので、消費者は、スタートボタンにタッチして買物を始める。消費者は、売場を移動し、買上商品を見つけると、モバイル端末10を操作して買上商品の登録を行う。すなわち消費者は、読取センサ19で買上商品のバーコードを読み取る。また、買上商品に値引シールが貼付されている場合には、消費者は、その値引シールの画像を読取センサ19で読み取る。消費者は、登録済の商品を買物籠等に入れる。
【0054】
買上商品の登録を検知したプロセッサ11は、ACT3からACT4へと進む。プロセッサ11は、ACT4として値引シールの画像を読み取っているか否かを確認する。値引シールの画像を読み取っていない場合には、プロセッサ11は、ACT4からACT5へと進む。プロセッサ11は、ACT5として第1登録イベントの送信を制御する。これに対し、値引シールの画像を読み取っている場合には、プロセッサ11は、ACT4からACT6へと進む。プロセッサ11は、ACT6として第2登録イベントの送信を制御する。
【0055】
これらの制御により、無線ユニット14を介して第1登録イベント又は第2登録イベントが無線送信される。無線送信された第1登録イベント又は第2登録イベントは、アクセスポイント70で受信され、通信ネットワーク60を経由してモバイルサーバ30へと送られる。第1登録イベントには、読取センサ19で読み取ったバーコードを解析して得られた商品コードが含まれる。第2登録イベントには、上記商品コードと、読取センサ19で読み取った値引シールの画像データとが含まれる。また、第1登録イベント及び第2登録イベントには、ACT2において記憶した取引番号も含まれる。
【0056】
第1登録イベントを受信したモバイルサーバ30のプロセッサ31は、当該イベントに含まれる商品コードで商品マスタ37を検索し、当該商品コードを含む商品マスタデータ371を取得する。プロセッサ31は、商品マスタデータ371の商品コード、商品名及び単価で商品販売データを生成する。当該商品販売データの点数は“1”である。シールID及び値引額はNULL値又は“0”である。金額は、単価に点数を乗じた金額である。プロセッサ31は、商品販売データを、第1登録イベントに含まれている取引番号が設定された取引ファイル39に記述する。
【0057】
一方、第2登録イベントを受信したモバイルサーバ30のプロセッサ31は、当該イベントに含まれる商品コードで商品マスタ37を検索し、当該商品コードを含む商品マスタデータ371を取得する。またプロセッサ31は、第2登録イベントに含まれる値引シールの画像データでシールマスタ38を検索し、類似したシール画像データを含むシールマスタデータ381を取得する。プロセッサ31は、商品マスタデータ371の商品コード、商品名及び単価と、シールマスタデータ381のシールID及び値引額とで商品販売データを生成する。当該商品販売データの点数は“1”である。金額は、単価に点数を乗じた金額から値引額を減じた金額である。プロセッサ31は、商品販売データを、第2登録イベントに含まれている取引番号が設定された取引ファイル39に記述する。
【0058】
商品販売データを取引ファイル39に記述し終えたプロセッサ31は、第1登録イベント又は第2登録イベントの送信元であるモバイル端末10に許諾応答コマンドを返す。許諾応答コマンドには、商品販売データが含まれる。
【0059】
第1登録イベント又は第2登録イベントを送信したモバイル端末10のプロセッサ11は、ACT7として許諾応答コマンドを待ち受ける。無線ユニット14を介してモバイルサーバ30からの許諾応答コマンドを受信すると、プロセッサ11は、ACT7からACT8へと進む。プロセッサ11は、ACT8として許諾応答コマンドに含まれる商品販売データにシールIDが存在するか否かを確認する。シールIDの値がNULL値又は“0”の場合には、シールIDは存在しない。この場合、プロセッサ11は、ACT9の処理をスキップしてACT10へと進む。
【0060】
一方、商品販売データにシールIDが存在する場合には、プロセッサ11は、ACT8からACT9へと進む。プロセッサ11は、ACT9としてそのシールIDをシールバッファ121で記憶する。その後、プロセッサ11は、ACT10へと進む。なお、シールバッファ121は、セルフ登録アプリが起動された段階でクリアされている。
【0061】
ACT9においてシールIDをシールバッファで記憶するか、ACT9の処理をスキップすると、プロセッサ11は、ACT10としてタッチパネル15に商品登録情報を表示する。商品登録情報は、許諾応答コマンドに含まれる商品販売データの商品名、単価、点数、値引額、金額等の情報である。なお、シールIDが存在しない場合には、値引額は“0”として表示される。
【0062】
商品登録情報を表示したプロセッサ11は、ACT11へと進む。プロセッサ11は、ACT11として買上商品の登録が行われたか否かを確認する。買上商品の登録が行われていない場合、プロセッサ11は、ACT12へと進む。プロセッサ11は、ACT12として会計が指示されたか否かを確認する。会計が指示されていない場合、プロセッサ11は、ACT11へと戻る。このようにプロセッサ11は、ACT11及びACT12として買上商品の登録が行われるか、会計が指示されるのを待ち受ける。
【0063】
消費者は、次の買上商品を見つけると、モバイル端末10を操作して買上商品の登録を行う。買物を終えると、消費者は、タッチパネル15に表示されている会計ボタンにタッチして会計を指示する。
【0064】
ACT11及びACT12の待ち受け状態において、買上商品の登録を検知したプロセッサ11は、ACT4へと戻る。プロセッサ11は、ACT4乃至ACT10の処理を前述したのと同様に実行する。したがって、モバイルサーバ30においては、モバイル端末10から受信した第1登録イベント又は第2登録イベントに基づき、当該モバイル端末10が記憶している取引番号の取引ファイル39に、当該モバイル端末10で登録された買上商品の商品販売データを記述する処理が繰り返される。また、モバイル端末10においては、買上商品に値引シールが貼付されている場合にその値引シールのシールIDをシールバッファ121に記述する処理が繰り返される。
【0065】
ACT11及びACT12の待ち受け状態において、会計指示を検知したプロセッサ11は、ACT13へと進む。プロセッサ11は、ACT13として会計イベントの送信を制御する。この制御により、無線ユニット14を介して会計イベントが無線送信される。無線送信された会計イベントは、アクセスポイント70で受信され、通信ネットワーク60を経由してモバイルサーバ30へと送られる。会計イベントには、ACT2において記憶した取引番号が含まれる。
【0066】
会計イベントを受信したモバイルサーバ30のプロセッサ31は、当該イベントに含まれる取引番号の取引ファイル39に合計データを記述する。合計データは、取引ファイル39に記述されている全ての商品販売データの点数、金額及び値引額をそれぞれ合計した値である。合計データを取引ファイル39に記述し終えたプロセッサ31は、会計イベントの送信元であるモバイル端末10に許諾応答コマンドを返す。許諾応答コマンドには、会計バーコードのデータが含まれる。会計バーコードは、例えば取引ファイル39の取引番号を所定のコード体系でバーコード化したものである。
【0067】
会計イベントを送信したモバイル端末10のプロセッサ11は、ACT14として許諾応答コマンドを待ち受ける。無線ユニット14を介してモバイルサーバ30からの許諾応答コマンドを受信すると、プロセッサ11は、ACT14からACT15へと進む。プロセッサ11は、ACT15として許諾応答コマンドに含まれるデータを基にタッチパネル15に会計バーコードを表示する。
【0068】
会計バーコードを確認した消費者は、会計場に移動し、会計機20のスキャナで会計バーコードを読み取らせる。会計バーコードを読み取った会計機20は、通信ネットワーク60を介してモバイルサーバ30にアクセスし、会計バーコードで表されている取引番号の取引ファイル39を要求する。この要求を受けたモバイルサーバ30のプロセッサ31は、該当する取引ファイル39を会計機20に出力する。これにより、会計機20においては、取引ファイル39のデータを基に商取引の決済が可能となるので、消費者は、決済を行う。またモバイルサーバ30のプロセッサ31は、当該取引ファイル39の取引番号を含む会計イベントを送信したモバイル端末10に会計完了コマンドを送信する。
【0069】
会計バーコードを表示したモバイル端末10のプロセッサ11は、ACT16として会計完了コマンドを待ち受ける。モバイルサーバ30から会計完了コマンドを受信すると、プロセッサ11は、ACT16からACT17へと進む。プロセッサ11は、ACT17としてシールバッファ121をクリアする。その後、プロセッサ11は、ACT18としてモバイルサーバ30との回線を切断して、第1の情報処理を終了する。ここにプロセッサ11は、第1の情報処理におけるACT1及びACT18の処理により、通信制御手段111としての機能を実現する。
【0070】
[第2の情報処理]
値引管理サーバ40のプロセッサ41は、タイマ44によって計時される時刻が例えば1分を経過する毎に、図10の流れ図に示す手順の情報処理を開始する。以下では、この処理を第2の情報処理と称する。
【0071】
第2の情報処理を開始したプロセッサ41は、ACT21としてタイマ44で計時されている現在の時刻Tを取得する。またプロセッサ41は、ACT22として加算カウンタn及び加算カウンタkをそれぞれ“0”にリセットする。加算カウンタnは、シール別テーブル431のテーブル番号Nをカウントするものである。加算カウンタkは、後述する値引額更新データのデータ数をカウントするものである。
【0072】
プロセッサ41は、ACT23として加算カウンタnを“1”だけカウントアップする。そしてプロセッサ41は、ACT24として加算カウンタnが上限値Nmaxを超えたか否かを確認する。上限値Nmaxは、シール別テーブル431に記述されているテーブル番号Nの最大値である。すなわち上限値Nmaxは、シール別テーブル431の総数、あるいは値引シールの種類数であると言える。
【0073】
加算カウンタnが上限値Nmaxを超えていない場合、プロセッサ41は、ACT24からACT25へと進む。プロセッサ41は、ACT25としてテーブル番号Nが加算カウンタnの値と一致するシール別テーブル431を検索する。プロセッサ41は、ACT26としてそのシール別テーブル431に現在時刻Tを更新時刻とする値引額との対データが記述されているか否かを確認する。以下では、現在時刻Tを更新時刻とする値引額との対データを更新対データと称する。更新対データが記述されていない場合、プロセッサ41は、ACT23へと戻る。プロセッサ41は、加算カウンタnをさらに“1”だけカウントアップして、ACT23以降の処理を前述したのと同様に実行する。
【0074】
一方、更新対データが記述されている場合には、プロセッサ41は、ACT26からACT27へと進む。プロセッサ41は、ACT27として更新対データのレコード番号Rが“1”であるか、“1”よりも大きいかを判別する。レコード番号Rが“1”である場合、更新対データは、値引シールを値引対象商品に貼付した時刻と初期の値引額である。この場合、プロセッサ41は、ACT23へと戻る。プロセッサ41は、加算カウンタnをさらに“1”だけカウントアップして、ACT23以降の処理を前述したのと同様に実行する。
【0075】
これに対し、更新対データのレコード番号Rが“1”よりも大きい場合、すなわちレコード番号Rが”2”以上の場合には、更新対データは、値引シールによって特定される値引額を更新する時刻と更新後の値引額である。この場合、プロセッサ41は、ACT27からACT28へと進む。プロセッサ41は、ACT28としてそのシール別テーブル431のシールIDを取得する。そしてプロセッサ41は、ACT29としてシールマスタ38を検索して、ACT28の処理で取得したシールIDを含むシールマスタデータ381からシール画像データを取得する。またプロセッサ41は、ACT29として同シールマスタデータ381から値引額を取得する。以下では、この値引額を更新前値引額と称する。さらにプロセッサ41は、ACT31として更新対データの値引額を取得する。以下では、この値引額を更新後値引額と称する。
【0076】
ACT28乃至ACT31の処理を終えると、プロセッサ41は、ACT32へと進む。プロセッサ41は、ACT32として値引額更新データを作成し、送信バッファで記憶する。値引額更新データは、ACT28の処理で取得したシールIDと、ACT29の処理で取得したシール画像と、ACT30の処理で取得した更新前値引額と、ACT31の処理で取得した更新後値引額とを含むデータである。値引額更新データは、値引シールにより特定される値引額が変動したことを示す情報の一例である。送信バッファは、メインメモリ42に確保された記憶領域の一部である。送信バッファは、複数の値引額更新データを一時的に記憶することができる。
【0077】
値引額更新データを記憶したプロセッサ41は、ACT33へと進む。プロセッサ41は、ACT33として加算カウンタkを“1”だけカウントアップする。その後、プロセッサ41は、ACT23へと戻る。プロセッサ41は、加算カウンタnをさらに“1”だけカウントアップして、ACT23以降の処理を前述したのと同様に実行する。
【0078】
このようにプロセッサ41は、シール別テーブル431を順次検索し、レコード番号Rが“2”以上の対データで、現在時刻Tを更新時刻とする対データが記述されている場合に値引額更新データを作成して送信バッファに記憶する処理を繰り返し実行する。そしてACT24において、加算カウンタnが上限値Nmaxを超えると、プロセッサ41は、ACT34へと進む。プロセッサ41は、ACT34として加算カウンタkが“0”よりも大きい値であるか否かを確認する。加算カウンタkが“0”である場合、すなわち値引額更新データが作成されなかった場合には、プロセッサ41は、第2の情報処理を終了する。
【0079】
これに対し、加算カウンタkが“0”よりも大きい値である場合、すなわち少なくとも1つの値引額更新データが作成された場合には、プロセッサ41は、ACT34からACT35へと進む。プロセッサ41は、ACT35として送信バッファに記憶した値引額更新データで、モバイルサーバ30にシールマスタ38の更新を依頼する。この依頼を受けてモバイルサーバ30は、シールマスタ38に保存されているシールマスタデータ381のうち、値引額更新データに含まれるシールIDが記述されたシールマスタデータ381の値引額を、同値引額更新データの更新後値引額に更新する。
【0080】
シールマスタ38の更新を依頼したプロセッサ41は、ACT36へと進む。プロセッサ41は、ACT36として送信バッファに記憶した値引額更新データを、アクセスポイント70を介して通信が確立している全てのモバイル端末10に宛てて配信する。これにより、アクセスポイント70を介して値引額更新データが無線送信される。値引額更新データは、値引管理サーバ40との回線が確立している全てのモバイル端末10で受信される。以上で、プロセッサ41は、第2の情報処理を終了する。
【0081】
かくして、シール別テーブル431に記述されているレコード番号Rが“2”以上の対データで、現在時刻Tを更新時刻とする値引額との対データが存在する場合、すなわち値引シールによって定まる値引の額が時間の経過に応じて変更された場合に、その値引シールのシールID及びシール画像と、更新前値引額及び更新後値引額とを含む値引額更新データが作成される。そして、値引額更新データに基づきシールマスタ38が更新される。また、値引管理サーバ40との回線が確立している全てのモバイル端末10に値引額更新データが配信される。
【0082】
ここに、プロセッサ41は、第2の情報処理におけるACT21乃至ACT33の処理により、検出手段411としての機能を実現する。またプロセッサ41は、ACT36の処理により、配信手段412としての機能を実現する。
【0083】
[第3の情報処理]
値引管理サーバ40との回線が確立しているモバイル端末10のプロセッサ11は、値引更新データを受信する毎に、図11の流れ図に示す手順の情報処理を開始する。以下では、この情報処理を第3の情報処理と称する。
【0084】
プロセッサ11は、ACT41として無線ユニット14を介して受信した値引額更新データを記憶する。またプロセッサ11は、ACT42として制御フラグFを“0”に初期化する。さらにプロセッサ11は、ACT43として減算カウンタdの初期値を“k”とする。“k”は、受信した値引額更新データのデータ数である。
【0085】
ACT41乃至ACT43の処理を終えると、プロセッサ11は、ACT44へと進む。プロセッサ11は、ACT44として1つの値引額更新データからシールIDを取得する。以下では、シールIDを取得した値引額更新データを処理対象データと称する。
【0086】
プロセッサ11は、ACT45としてシールバッファ121を検索する。プロセッサ11は、ACT46としてシールバッファ121に処理対象データから取得したシールIDが記憶されているか否かを確認する。
【0087】
シールバッファ121に処理対象データから取得したシールIDが記憶されていない場合、プロセッサ11は、後述するACT47乃至ACT52の処理をスキップしてACT53へと進む。プロセッサ11は、ACT53として減算カウンタdを“1”だけカウントダウンする。そしてプロセッサ11は、ACT54として減算カウンタdが“0”になったか否かを確認する。減算カウンタdが“0”よりも大きい場合には、値引管理サーバ40から受信した値引額更新データの中にまだ処理対象データとなっていない値引額更新データが存在する。プロセッサ11は、ACT54からACT44へと戻る。プロセッサ11は、処理対象データとなっていない値引額更新データのなかから1つを選択し、処理対象データとする。そしてプロセッサ11は、その処理対象データからシールIDを取得し、そのシールIDがシールバッファ121に記憶されているか否かを確認する。
【0088】
一方、処理対象データから取得したシールIDがシールバッファ121に記憶されている場合には、プロセッサ11は、ACT46からACT47へと進む。プロセッサ11は、ACT47として制御フラグFを調べる。制御フラグFが“0”の場合、プロセッサ11は、ACT47からACT48へと進む。プロセッサ11は、ACT48として制御フラグFを“1”に変更する。ACT47において制御フラグFがすでに“1”に変更されていた場合には、プロセッサ11は、ACT48の処理をスキップする。
【0089】
ACT48において制御フラグFを“1”に変更したか、ACT48の処理をスキップすると、プロセッサ11は、ACT49へと進む。プロセッサ11は、ACT49としてモバイルサーバ30に更新イベントを送信するように制御する。この制御により、無線ユニット14を介して更新イベントが無線送信される。無線送信された更新イベントは、アクセスポイント70で受信され、通信ネットワーク60を経由してモバイルサーバ30へと送られる。更新イベントには、図9のACT2の処理において記憶した取引番号と、処理対象データを構成するシールID及び更新後値引額とが含まれる。
【0090】
更新イベントを受信したモバイルサーバ30においては、後述する第4の情報処理が実行される。そして、モバイルサーバ30から更新完了コマンドが返信される。更新完了コマンドには、更新後合計金額が含まれている。
【0091】
更新イベントの送信を制御したプロセッサ11は、ACT50として更新完了コマンドを待ち受ける。無線ユニット14を介してモバイルサーバ30からの更新完了コマンドを受信すると、プロセッサ11は、ACT51へと進む。プロセッサ11は、ACT51として値引額更新画像を作成する。値引額更新画像は、シールIDがシールバッファ121に記憶されていた処理対象データを構成するシール画像と更新前値引額と更新後値引額とにより編集される画像である。またプロセッサ11は、ACT52として更新完了コマンドから取得した更新後合計金額を記憶する。プロセッサ11は、以前に更新後合計金額を記憶していた場合には、その更新後合計金額に上書きして、更新完了コマンドから取得した更新後合計金額を記憶する。
【0092】
ACT51及びACT52の処理を終えると、プロセッサ11は、ACT53へと進む。プロセッサ11は、ACT53として減算カウンタdを“1”だけカウントダウンする。そしてプロセッサ11は、ACT54として減算カウンタdが“0”になったか否かを確認する。減算カウンタdが“0”よりも大きい場合、プロセッサ11は、ACT54からACT44へと戻る。そしてプロセッサ11は、ACT44以降の処理を前述したのと同様に実行する。
【0093】
ACT54において、減算カウンタdが“0”になると、プロセッサ11は、ACT54からACT55へと進む。プロセッサ11は、ACT55として制御フラグFを調べる。制御フラグFが“0”の場合、値引額更新画像は作成されていない。プロセッサ11は、第3の情報処理を終了する。
【0094】
制御フラグFが“1”の場合には、ACT51において値引額更新画像が作成されている。また、ACT52において最新の更新後合計金額が記憶されている。プロセッサ11は、ACT55からACT56へと進む。プロセッサ11は、ACT56としてタッチパネル15に値引額更新画像を表示する。またプロセッサ11は、ACT57としてタッチパネル15に更新後合計金額を表示する。以上で、プロセッサ11は、第3の情報処理を終了する。
【0095】
このように、プロセッサ11は、値引管理サーバ40からモバイル端末10へと配信された値引額更新データに含まれるシールIDがシールバッファ121に記憶されている場合に、値引額更新画像を作成する。またプロセッサ11は、モバイルサーバ30から受信した更新後値引額を記憶する。そしてプロセッサ11は、値引額更新画像と更新後合計金額とをタッチパネル15に表示する。このとき、2以上の値引額更新画像を記憶していた場合には、プロセッサ11は、その2以上の値引額更新画像をタッチパネル15に表示する。更新後値引額については上書きされるので、プロセッサ11は、最新の更新後値引額を表示する。
【0096】
ここに、プロセッサ11は、第3の情報処理におけるACT41乃至ACT57の処理により、報知手段112としての機能を実現する。
【0097】
[第4の情報処理]
モバイル端末10から更新イベントを受信したモバイルサーバ30のプロセッサ31は、図12の流れ図に示す手順の情報処理を開始する。以下では、この処理を第4の情報処理と称する。
【0098】
プロセッサ31は、ACT61として更新イベントから取引番号を取得する。またプロセッサ31は、ACT62として更新イベントからシールIDを取得する。そしてプロセッサ31は、ACT63として、ACT61において取得した取引番号の取引ファイル39に記憶されている商品販売データを1データずつ検索する。プロセッサ31は、ACT64として商品販売データのシールIDがACT62において取得したシールIDと一致するか否かを確認する。シールIDが一致しない場合、プロセッサ31は、後述するACT65及びACT66の処理をスキップしてACT67へと進む。
【0099】
これに対し、商品販売データのシールIDがACT62において取得したシールIDと一致した場合には、プロセッサ31は、ACT65へと進む。プロセッサ31は、ACT65としてその商品販売データを更新する。具体的にはプロセッサ31は、その商品販売データの値引額を更新イベントに含まれる更新後値引額に変更する。またプロセッサ31は、当該商品販売データの金額を再計算する。商品販売データを更新し終えると、プロセッサ31は、ACT66へと進む。プロセッサ31は、ACT66として取引ファイル39に記憶されている合計データの合計値引額及び合計金額を再計算する。ACT65及びACT66の処理を終えると、プロセッサ31は、ACT67へと進む。
【0100】
このように、商品販売データのシールIDがACT62において取得したシールIDと一致しないか、一致していたためにACT65及びACT66の処理を終えると、プロセッサ31はACT67へと進む。プロセッサ31は、ACT67として商品販売データの検索を終えたか否かを確認する。検索を終えていない場合、プロセッサ31は、ACT63へと戻る。プロセッサ31は、ACT63以降の処理を前述したのと同様に実行する。
【0101】
こうしてプロセッサ31は、取引ファイル39に記憶されている商品販売データの検索を終えると、ACT67からACT68へと進む。プロセッサ31は、ACT68として合計データの合計金額を更新後合計金額として取得する。プロセッサ31は、ACT69として更新イベント送信元のモバイル端末10に更新完了応答コマンドを送信する。更新完了応答コマンドには、ACT68において取得した更新後合計金額が含まれる。以上で、プロセッサ31は、第4の情報処理を終了する。
【0102】
このように、更新イベントを受信したモバイルサーバ30のプロセッサ31は、時間の経過に応じて値引額が変更された値引シールに基づく商品販売データの値引額を更新前値引額から更新後値引額に変更するとともに更新後合計金額を再計算する。そしてプロセッサ31は、その更新後合計金額を含む更新完了応答コマンドを更新イベント送信元のモバイル端末10へと送信する。
【0103】
[店舗システムの作用効果]
以上詳述したように、消費者がモバイル端末10を操作して登録した買上商品に値引シールが貼付されている場合、その値引シールのシールIDが当該モバイル端末10のシールバッファ121に記憶される。そしてシールバッファ121に記憶されるシールIDは、モバイル端末10を操作する消費者の会計が終了するまで保持される。
【0104】
一方、値引管理サーバ40は、値引シールによって特定される値引額が、時間の経過に応じて更新されると値引額更新データをモバイル端末10に配信する。値引額更新データには、値引額が更新された値引シールのシールIDと、当該値引シールのシール画像と、更新前値引額と、更新後値引額とが含まれる。値引額更新データは、モバイルサーバ30及び値引管理サーバ40との通信が確立している全てのモバイル端末10に配信される。
【0105】
したがって、会計を終えていない消費者が使用するモバイル端末10は、値引額更新データを受信することができる。そして、シールバッファ121に記憶しているシールIDを含む値引額更新データを受信すると、モバイル端末10は、タッチパネル15に値引額更新画像と更新後合計金額とを表示する。
【0106】
図13は、値引額更新画像81と更新後合計金額82とを表示したタッチパネル15の一画面例である。値引額更新画像81は、消費者が登録した買上商品に付されている値引シールSによって特定される値引額が、更新前値引額50円から更新後値引額80円に更新されたことを示している。また、更新後合計金額82は、値引シールSによって特定される値引額が更新された後の買上金額が1,234円であることを示している。
【0107】
消費者は、タッチパネル15に表示された値引額更新画像81により、買上商品に貼付されている値引シールSによって値引される額が50円から80円に増額したことを知ることができる。また消費者は、値引額が増額したことによって買上金額が1,234円に変更されたことを知ることができる。
【0108】
かくして第1の実施形態によれば、消費者が売場で商品を買物籠等に入れてから会計場で会計を行うまでの間に、その商品に貼付されていた値引シールによって定まる値引の額が時間の経過に応じて変更された場合でも、消費者に対してリアルタイムに値引の額が変更されたことを報知することができる。また、値引額変更後の合計金額についてもリアルタイムに報知することができる。
【0109】
<第2の実施形態>
第2の実施形態を、図14乃至図17を用いて説明する。
なお、店舗システム100、モバイルサーバ30及びモバイル端末10の構成は、第1の実施形態と同じである。したがって、図1乃至図6については第2の実施形態においてもそのまま適用し、説明は省略する。
【0110】
[値引管理サーバの説明]
図14は、第2の実施形態における値引管理サーバ40の要部回路構成を示すブロック図である。図14では、第1の実施形態で説明した図7と共通する部分には同一の符号を付している。図7図14とを対比すればわかるように、第2の実施形態の値引管理サーバ40は、メインメモリ42の記憶領域の一部を取引別シールバッファ421の領域とした点と、プロセッサ41が、認識手段413及び決定手段414としての機能を有した点が第1の実施形態とは異なる。
【0111】
取引別シールバッファ421は、値引管理サーバ40との通信が確立しているモバイル端末10毎に作成される。取引別シールバッファ421は、モバイル端末10で登録された買上商品に貼付されている値引シールのシールIDを一時的に記憶するための領域である。
【0112】
認識手段413は、アクセスポイント70を介して通信が確立しているモバイル端末10毎に、当該モバイル端末10の読取センサ19で読み取られた値引シールを認識する機能である。決定手段414は、検出手段411により値引額が変動したことが検出された値引シールを読み取ったモバイル端末10を送信先として決定する機能である。配信手段412は、決定手段414により送信先として決定されたモバイル端末10に、値引シールにより特定される値引額が変動したことを示す情報、すなわち値引額更新データを配信する。
【0113】
[店舗システムの動作説明]
[第1の情報処理]
図15は、第2の実施形態において、モバイル端末10のプロセッサ11が実行する第1の情報処理の要部手順を示す流れ図である。なお、第1の実施形態で説明した同一処理の図9と共通する部分には同一の符号を付し、その詳しい説明は省略する。
【0114】
プロセッサ11は、ACT1乃至ACT8として、第1の実施形態と同様の処理を実行する。すなわちアクセスポイント70を介してモバイルサーバ30との通信が確立したモバイル端末10のプロセッサ11は、取引番号を記憶した後、買上商品の登録を待ち受ける。買上商品が登録されると、プロセッサ11は、その登録に際し、値引シールの画像を読み取っていない場合にはモバイルサーバ30に第1登録イベントを送信し、値引シールの画像を読み取っている場合には、モバイルサーバ30に第2登録イベントを送信する。
【0115】
第1登録イベント又は第2登録イベントを送信したプロセッサ11は、許諾応答コマンドを待ち受ける。モバイルサーバ30からの許諾応答コマンドを受信すると、プロセッサ11は、許諾応答コマンドに含まれる商品販売データにシールIDが存在するか否かを確認する。シールIDが存在しない場合、プロセッサ11は、ACT10乃至ACT12の処理を第1実施形態と同様に実行する。すなわちプロセッサ11は、タッチパネル15に商品登録情報を表示して、次の商品登録が行われるか会計が指示されるのを待ち受ける。
【0116】
これに対し、商品販売データにシールIDが存在する場合には、プロセッサ11は、ACT8からACT71へと進む。プロセッサ11は、ACT71としてシールイベントの送信を制御する。この制御により、無線ユニット14を介してシールイベントが無線送信される。無線送信されたシールイベントは、アクセスポイント70で受信され、通信ネットワーク60を経由して値引管理サーバ40へと送られる。シールイベントには、商品販売データに存在していたシールIDが含まれる。また、シールイベントには、ACT2の処理で記憶した取引番号が含まれる。シールイベントを送信したプロセッサ11は、ACT10乃至ACT12の処理を前述したのと同様に実行する。
【0117】
ACT12において、会計指示を検知したプロセッサ11は、ACT72へと進む。プロセッサ11は、ACT72として会計イベントの送信を制御する。この制御により、無線ユニット14を介して会計イベントが無線送信される。無線送信された会計イベントは、アクセスポイント70で受信され、通信ネットワーク60を経由してモバイルサーバ30と値引管理サーバ40へと送られる。会計イベントには、ACT2において記憶した取引番号が含まれる。このように第2の実施形態では、会計イベントは、モバイルサーバ30だけでなく値引管理サーバ40にも送信される。
【0118】
会計イベントの送信を制御したプロセッサ11は、ACT14乃至ACT16の処理を第1実施形態と同様に実行する。すなわちプロセッサ11は、許諾応答コマンドを待ち受ける。そして、モバイルサーバ30から許諾応答コマンドを受信すると、プロセッサ11は、タッチパネル15に会計バーコードを表示する。その後、モバイルサーバ30から会計完了コマンドを受信すると、プロセッサ11は、ACT18へと進む。すなわちプロセッサ11は、モバイルサーバ30との回線を切断して、第1の情報処理を終了する。
【0119】
このようにモバイル端末10のプロセッサ11は、買上商品に値引シールが貼付されている場合には、その値引シールのシールIDと取引番号とを含むシールイベントを値引管理サーバ40に送信する。また、取引番号を含む会計イベントを、モバイルサーバ30だけでなく値引管理サーバ40にも送信する。
【0120】
[第5の情報処理]
値引管理サーバ40のプロセッサ41は、図16の流れ図に示す手順の情報処理を実行する。以下では、この情報処理を第5の情報処理と称する。
【0121】
プロセッサ41は、ACT81としてシールイベントを受信したか否かを確認する。シールイベントを受信していない場合、プロセッサ41は、ACT82として会計イベントを受信したか否かを確認する。会計イベントを受信していない場合、プロセッサ41は、ACT81に戻る。このようにプロセッサ41は、ACT81及びACT82においてシールイベントを受信するか、会計イベントを受信するのを待ち受ける。
【0122】
ACT81及びACT82の待ち受け状態において、シールイベントを受信すると、プロセッサ41は、ACT81からACT83へと進む。プロセッサ41は、ACT83としてシールイベントから取引番号を取得する。プロセッサ41は、ACT84としてその取引番号を設定した取引別シールバッファ421が存在するか否かを確認する。当該取引別シールバッファ421が存在しない場合、プロセッサ41は、ACT84からACT85へと進む。プロセッサ41は、ACT85として当該取引番号を設定した取引別シールバッファ421をメインメモリ42に作成する。そしてプロセッサ41は、ACT86としてその取引別シールバッファ421にシールイベントから取得したシールIDを記述する。
【0123】
シールイベントから取得した取引番号を含む取引別シールバッファ421が既にメインメモリ42に存在する場合には、プロセッサ41は、ACT84からACT86へと進む。プロセッサ41は、ACT86としてその取引別シールバッファ421にシールイベントから取得したシールIDを記述する。以上で、プロセッサ41は、シールイベントを受信したときの第5の情報処理を終了する。
【0124】
一方、会計イベントを受信した場合には、プロセッサ41は、ACT82からACT87へと進む。プロセッサ41は、ACT87として会計イベントから取引番号を取得する。この取引番号を設定した取引別シールバッファ421は既にメインメモリ42に作成されているので、プロセッサ41は、ACT88へと進む。プロセッサ41は、ACT88として当該取引番号を設定した取引別シールバッファ421をメインメモリ42から削除する。以上で、プロセッサ41は、会計イベントを受信したときの第5の情報処理を終了する。
【0125】
このように値引管理サーバ40のプロセッサ41は、モバイル端末10からシールイベントを受信する毎に、そのモバイル端末10が記憶する取引番号が設定された取引別シールバッファ421に当該シールイベントに含まれるシールIDを記憶する。このシールIDは、モバイル端末10の読取センサ19によって読み取られた値引シールのシールIDである。そして取引別シールバッファ421は、その取引別シールバッファ421に設定された取引番号を記憶するモバイル端末10を使用する消費者の会計が終了すると削除される。
【0126】
ここに、プロセッサ41は、図16のACT81乃至ACT88の処理により、認識手段413としての機能を実現する。
【0127】
[第2の情報処理]
図17は、第2の実施形態において、値引管理サーバ40のプロセッサ41が実行する第2の情報処理の要部手順を示す流れ図である。第2の実施形態における第2の情報処理が第1の実施形態における第2の情報処理と異なる点は、ACT33の後の処理とACT35の後の処理である。その他のACT21乃至ACT33までの処理、及び、カウンタnが上限値Nmaxを超えた後のACT34及びACT35の処理については第1の実施形態と同様なので、ここでの説明は省略する。
【0128】
第2の実施形態において、現在時刻Tを更新時刻とする更新対データのレコード番号Rが”2”以上であり、ACT28乃至ACT33の処理を終えたプロセッサ41は、ACT91へと進む。プロセッサ41は、ACT91として値引額更新データに含まれるシールIDの値引シールを登録しているモバイル端末10が存在するか否かを確認する。具体的にはプロセッサ41は、メインメモリ42に作成されている全ての取引別シールバッファ421を検索し、値引額更新データに含まれるシールIDが記述されている取引別シールバッファ421を検出する。検出された取引別シールバッファ421に設定されている取引番号を記憶するモバイル端末10は、値引額更新データに含まれるシールIDの値引シールを読取センサ19で読み取ったモバイル端末10である。以下では、このモバイル端末10を読取端末と称する。プロセッサ41は、ACT92へと進む。プロセッサ41は、ACT92として読取端末を値引額更新データの送信先として決定する。
【0129】
ACT91において読取端末を検出できないか、ACT92において読取端末を値引額更新データの送信先として決定すると、プロセッサ41は、ACT23へと戻る。そしてプロセッサ41は、ACT23以降の処理を前述したのと同様に実行する。
【0130】
したがって、値引額更新データに含まれるシールIDの値引シールを読取センサ19で読み取ったモバイル端末10は、値引額更新データの送信先として決定される。
【0131】
一方、ACT35において、値引額更新データでモバイルサーバ30にシールマスタ38の更新したプロセッサ41は、ACT93へと進む。プロセッサ41は、ACT93として値引額更新データの送信先として決定されたモバイル端末10が存在するか否かを確認する。送信先として決定されたモバイル端末10が存在する場合、プロセッサ41は、ACT94へと進む。プロセッサ41は、ACT94として送信バッファに記憶した値引額更新データを、送信先として決定されたモバイル端末10に配信する。
【0132】
ここに、プロセッサ41は、図17のACT91及びACT92の処理により、決定手段414としての機能を実現する。またプロセッサ41は、ACT93及びACT94の処理により、配信手段412としての機能を実現する。
【0133】
以上詳述したように、第2の実施形態によれば、値引管理サーバ40は、アクセスポイント70を介して通信が確立しているモバイル端末10のうち、値引額が変動した値引シールを読み取ったモバイル端末10だけに値引額更新データを配信する。したがって、通信が確立している全てのモバイル端末10に値引額更新データを配信する第1の実施形態と比較して、値引管理サーバ40とモバイル端末10との間の通信トラフィック量を低減することができる。また、値引額が変動した値引シールを読み取っていないモバイル端末10に対しては値引額更新データが配信されないので、モバイル端末10のプロセッサ11が実行する情報処理の負荷を軽減することができる。
【0134】
しかも、モバイル端末10はシールバッファ121が不要となるので、モバイル端末10のメモリ容量を削減できるメリットもある。
【0135】
[他の実施形態]
前記実施形態では、消費期限までの残り時間に応じて値引対象商品の値引の額を変更する場合を例示した。日数を単位として賞味期限または在庫処分が設定された商品を値引対象商品とする場合においても、24時間営業の店舗であれば買物も途中で値引額が変更される場合があり得る。このような場合においても、シール別テーブル431の更新時刻を更新日と変更することで前記実施形態を適用することが可能である。
【0136】
前記実施形態では、貼付物により特定される値引額が変動したことを示す情報である値引額更新データを、値引シールのシールID及びシール画像と更新前値引額及び更新後値引額とを含むデータとした。値引額更新データは、少なくとも消費者が値引シールを識別できる情報と、更新後の値引額とを知り得る情報であればよい。
【0137】
モバイル端末10が有する報知手段112は、値引額更新画像81を表示する手段に限定されるものではない。例えば、値引額が更新されたことを音声としてスピーカ16から発するようにしてもよい。また、値引額更新画像81は、図13に示すものに限定されない。例えば、更新後の値引額を太文字としたり、色を変えたりすることで目立たせる。あるいは、値引額更新画像81を点滅させて、消費者に注意を喚起する。
【0138】
第1の実施形態において、値引管理サーバ40のプロセッサ41は、図10のACT35の処理の後に、アクセスポイント70を介して回線が確立しているモバイル端末10が有するシールバッファ121に記憶されているシールIDを取得する処理を追加する。そしてACT36の処理においては、プロセッサ41は、値引額更新データに含まれるシールIDをシールバッファ121で記憶しているモバイル端末10を送信先に設定して、値引額更新データを配信する。このような構成を採用することで、第2の実施形態と同様に通信トラフィック量を削減できる効果を奏する。
【0139】
店舗システム100は、モバイル端末10で直接会計を行えるようにすることで、会計機20を省略してもよい。また、モバイルサーバ30としての機能と値引管理サーバ40としての機能とを1つのサーバで実現してもよい。
【0140】
この他、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態及びその変形は、発明の範囲に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0141】
10…モバイル端末、20…会計機、30…モバイルサーバ、37…商品マスタ、38…シールマスタ、39…取引ファイル、40…値引管理サーバ、50…NTPサーバ、60…通信ネットワーク、70…アクセスポイント、100…店舗システム、111…通信制御手段、112…報知手段、121…シールバッファ、411…検出手段、412…配信手段、413…認識手段、414…決定手段、421…取引別シールバッファ、431…シール別テーブル。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17