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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151084
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】ウェーハアライナー
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/68 20060101AFI20241017BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
H01L21/68 G
H01L21/68 N
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064215
(22)【出願日】2023-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】000220354
【氏名又は名称】東京航空計器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】有村 憲一
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131BA39
5F131DB02
5F131DB52
5F131EA02
5F131EA22
5F131EA24
5F131EB32
5F131EB33
(57)【要約】
【課題】優れたウェーハアライナーを提供する。
【解決手段】ウェーハアライナー1は、搬入されるウェーハの主面と平行な基準面に沿って開閉し、閉じたときに前記ウェーハの周縁部を把持し、前記基準面に垂直な中心軸回りに旋回するように構成された第1チャック10と、前記基準面に沿って開閉し、閉じたときに前記ウェーハの周縁部を保持するように構成された第2チャック20と、前記ウェーハに設けられた印を検出するように構成された検出センサ60と、前記ウェーハが搬入されたら、第1チャック10に閉じて前記ウェーハを把持させ、続いて検出センサ60の出力に基づいて前記ウェーハが所定の周方向位置となるように第1チャック10を旋回させ、続いて第2チャック20に閉じて前記ウェーハを保持させて第1チャック10に開いて前記ウェーハを放させ、続いて第1チャック10を第1所定位置まで旋回させるように構成されている制御装置70とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬入されるウェーハの主面と平行な基準面に沿って開閉し、閉じたときに前記ウェーハの周縁部を把持し、前記基準面に垂直な中心軸回りに旋回するように構成された第1チャックと、
前記基準面に沿って開閉し、閉じたときに前記ウェーハの周縁部を保持するように構成された第2チャックと、
前記ウェーハに設けられた印を検出するように構成された検出センサと、
前記ウェーハが搬入されたら、前記第1チャックに閉じて前記ウェーハを把持させ、続いて前記検出センサの出力に基づいて前記ウェーハが所定の周方向位置となるように前記第1チャックを旋回させ、続いて前記第2チャックに閉じて前記ウェーハを保持させて前記第1チャックに開いて前記ウェーハを放させ、続いて前記第1チャックを第1所定位置まで旋回させるように構成された制御装置と
を備えるウェーハアライナー。
【請求項2】
前記基準面は水平面であり、
前記第1チャックは、前記ウェーハの周縁部を把持するように構成された、鉛直な把持面を有しており、
前記第2チャックは、前記第2チャックに保持された前記ウェーハを鉛直上方向に移動させられるように、外側ほど鉛直上側となるように前記水平面に対して傾いたウェーハ保持面を有している、
請求項1に記載のウェーハアライナー。
【請求項3】
前記第1チャックは、前記把持面の内側に接続した、外側ほど鉛直上側となるように前記水平面に対して傾いたウェーハ搭載面を有している、請求項2に記載のウェーハアライナー。
【請求項4】
前記第1チャックの開閉と前記第2チャックの開閉とを機械的に連動させる連動機構と、
前記連動機構を動作させる1つの駆動部と
を備える、請求項1乃至3の何れかに記載のウェーハアライナー。
【請求項5】
前記第2チャックで保持された前記ウェーハを搬出するように構成された搬送ロボットをさらに備え、
前記第1所定位置は、前記第1チャックが前記搬送ロボットと衝突しない位置であり、
前記制御装置は、前記第1チャックを前記第1所定位置まで旋回させた後に、前記搬送ロボットに前記ウェーハを搬出させるように構成されている、
請求項1乃至3の何れかに記載のウェーハアライナー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハアライナーに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、基板検査装置や半導体製造装置などで半導体ウェーハを扱う際に、ウェーハアライナーを用いて、ノッチやオリフラなどに基づいてウェーハの向きをそろえることが行われている。例えば特許文献1には、このようなウェーハアライナーに係る技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-243294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、優れたウェーハアライナーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、ウェーハアライナーは、搬入されるウェーハの主面と平行な基準面に沿って開閉し、閉じたときに前記ウェーハの周縁部を把持し、前記基準面に垂直な中心軸回りに旋回するように構成された第1チャックと、前記基準面に沿って開閉し、閉じたときに前記ウェーハの周縁部を保持するように構成された第2チャックと、前記ウェーハに設けられた印を検出するように構成された検出センサと、前記ウェーハが搬入されたら、前記第1チャックに閉じて前記ウェーハを把持させ、続いて前記検出センサの出力に基づいて前記ウェーハが所定の周方向位置となるように前記第1チャックを旋回させ、続いて前記第2チャックに閉じて前記ウェーハを保持させて前記第1チャックに開いて前記ウェーハを放させ、続いて前記第1チャックを第1所定位置まで旋回させるように構成された制御装置とを備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、優れたウェーハアライナーを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、一実施形態に係るウェーハアライナーの構成例の概略を示す外観図である。
図2図2は、一実施形態に係るウェーハアライナーの構成例の概略を模式的に示す図である。
図3A図3Aは、ウェーハの受け入れを待機しているときの待機位置における第1チャック及び第2チャックを模式的に示す図である。
図3B図3Bは、第1チャックが閉じ、第2チャックが開いた状態を模式的に示す図である。
図3C図3Cは、第2チャックが閉じ、第1チャックが開いた状態を模式的に示す図である。
図4図4は、制御装置によって制御されるウェーハアライナーの動作の一例の概略を示すフローチャートである。
図5A図5Aは、搬送ロボットによってウェーハが搬入されているときの概要を示す図である。
図5B図5Bは、図5Aに示した囲み部分の拡大図である。
図6A図6Aは、第1チャックが閉じて第2チャックが開いたときのウェーハアライナーの概要を示す図である。
図6B図6Bは、図6Aに示した囲み部分の拡大図である。
図7A図7Aは、ノッチが検出されたときのウェーハアライナーの概要を示す図である。
図7B図7Bは、図7Aに示した囲み部分の拡大図である。
図7C図7Cは、図7Aに示した囲み部分の拡大図である。
図8A図8Aは、第2チャックが閉じて第1チャックが開いたときの概要を示す図である。
図8B図8Bは、図8Aに示した囲み部分の拡大図である。
図8C図8Cは、図8Aに示した囲み部分の拡大図である。
図9A図9Aは、第1チャックが初期位置に戻った状態のウェーハアライナーの概要を示す図である。
図9B図9Bは、図9Aに示した囲み部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
一実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態は、例えばノッチやオリエンテーション・フラットといった印を基準にウェーハの周方向位置を揃えるためのウェーハアライナーに関する。これに限らないが、ウェーハの直径は、例えば、200 mm又は300 mmであり得る。本実施形態のウェーハアライナーは、従来のウェーハアライナーと比較して、ウェーハへのダメージの低減、高い動作信頼性、早いスループットなどを実現する。
【0009】
[ウェーハアライナーの構成]
図1は、本実施形態に係るウェーハアライナー1の構成例の概略を示す外観図である。ウェーハアライナー1は、ウェーハ90を支持するそれぞれ複数の第1チャック10及び第2チャック20を備える。第1チャック10及び第2チャック20は、円盤状のウェーハ90の周縁部を支持するように構成されており、ウェーハ90が配置される位置の周囲に設けられている。図1に示す例では、第1チャック10及び第2チャック20が3つずつ設けられおり、第1チャック10及び第2チャック20は、それぞれウェーハ90が配置される位置の周囲に均等に配置されている。第1チャック10又は第2チャック20は、どのように配置されていてもよいし、4つ以上設けられていてもよい。
【0010】
ウェーハ90の周方向位置を示す印としては、ノッチやオリエンテーション・フラットなどが知られている。本実施形態は、この印の一例としてノッチが使われる場合である。本実施形態では、ウェーハアライナー1は、ウェーハ90のノッチ91を検出するための検出センサ60を備える。検出センサ60は、例えば、光学式のセンサである。
【0011】
ウェーハ90は、図5Aに示すように、搬送ロボット81によってウェーハアライナー1に搬入され、第1チャック10にその主面が水平になるように載せられる。ウェーハアライナー1は、第1チャック10でウェーハ90を把持してそれを周方向に回転させながら、検出センサ60を用いてノッチ91を探し、ノッチ91の位置に基づいてウェーハ90のアライメントを行う。アライメントされたウェーハ90は、搬送ロボット81によって、ウェーハアライナー1から搬出される。
【0012】
以降の説明では、基準面を水平とし、ウェーハ90はその主面が水平となるように配置されるものとし、ウェーハ90が配置されたときのウェーハ90の周方向に相当する方向をウェーハアライナー1の周方向として説明し、ウェーハ90の半径方向に相当する方向をウェーハアライナー1の半径方向として説明する。
【0013】
図2は、ウェーハアライナー1の構成例の概略を模式的に示す図である。図2においては、第1チャック10及び第2チャック20は、それぞれ2つだけ示されている。
【0014】
第1チャック10は、半径方向に水平に延びる第1アーム41によって支持されている。第1アーム41は、第1開閉機構51によって、半径方向水平に、外側に変位したり内側に変位したりできる。すなわち、第1チャック10は、半径方向水平に、外側に変位して開いたり内側に変位して閉じたりできる。第1アーム41及び第1開閉機構51の構成は上述のようなものに限らないが、第1チャック10は、水平に半径方向に開閉するように構成されている。
【0015】
また、第1開閉機構51は、旋回機構32によって、鉛直に設けられた中心軸31回りに水平に旋回可能に構成されている。すなわち、第1チャック10は、中心軸31回りに水平に旋回可能に構成されている。旋回機構32、第1アーム41及び第1開閉機構51の構成は上述のようなものに限らないが、第1チャック10は、鉛直な中心軸回りに旋回するように構成されている。
【0016】
第2チャック20は、半径方向に水平に延びる第2アーム42によって支持されている。第2アーム42は、固定された第2開閉機構52によって、半径方向水平に、外側に変位したり内側に変位したりできる。すなわち、第2チャック20は、半径方向水平に、外側に変位して開いたり、内側に変位して閉じたりできる。第2アーム42及び第2開閉機構52の構成は上述のようなものに限らないが、第2チャック20は、水平に半径方向に開閉するように構成されている。
【0017】
全ての第1開閉機構51及び第2開閉機構52は、連動機構53によって連動する。その結果、後述するように、全ての第1チャック10及び第2チャック20は、連動する。例えば、第1チャック10がウェーハ90を把持するとき、全ての第1チャック10は内側に変位して閉じ、このとき、全ての第2チャック20は外側に変位して開く。第2チャック20がウェーハ90を保持するとき、全ての第2チャック20は内側に変位して閉じ、第2チャック20がウェーハ90を保持すると、続いて全ての第1チャック10は外側に変位して開く。このような第1開閉機構51、第2開閉機構52及び連動機構53に係る機構は、リンク、ギア、カム、ばねなどを用いて適宜に構成され得る。
【0018】
連動機構53は、駆動部としての開閉用モータ54によって駆動される。開閉用モータ54は、例えば、ギヤードモータであり得る。開閉用モータ54の動作は、制御装置70によって制御される。図示しないエンコーダなどが設けられてもよく、開閉用モータ54はサーボモータであってよい。本実施形態では、連動機構53を動作させる1つの駆動部によって、全ての第1チャック10及び第2チャック20が動作する。
【0019】
旋回機構32は、旋回用モータ33によって駆動される。旋回用モータ33は、例えば、パルスモータであり得る。旋回用モータ33の動作は、制御装置70によって制御される。図示しないエンコーダなどが設けられてもよく、旋回用モータ33はサーボモータであってよい。
【0020】
制御装置70は、例えば、Central Processing Unit(CPU)、又はField Programmable Gate Array(FPGA)等の集積回路を含む。制御装置70は、上述の通り、開閉用モータ54及び旋回用モータ33の動作を制御して、第1チャック10及び第2チャック20の動作を制御する。制御装置70は、検出センサ60からノッチ91の検出の有無など検出結果の情報を取得する。制御装置70は、検出センサ60からの情報に基づいて、第1チャック10及び第2チャック20の動作を制御する。制御装置70は、搬送ロボット81を制御する搬送ロボット制御部82と連携し、ウェーハアライナー1を動作させる。
【0021】
第1チャック10及び第2チャック20の開閉動作について、図3A乃至図3Cを参照してさらに説明する。図3Aは、ウェーハ90の受け入れのために待機しているときの待機位置における第1チャック10及び第2チャック20を模式的に示す図である。第1チャック10は、外側ほど鉛直上側となるように水平面に対して上向きに穏やかに傾いたウェーハ搭載面11を備える。ウェーハ搭載面11の外側端部には、鉛直な壁面を形成する把持面12が設けられている。搬送ロボット81によってウェーハ90が搬入されると、ウェーハ90は、ウェーハ搭載面11上に搭載される。第1チャック10は、ウェーハ搭載面11でウェーハ90の周縁部を下から支持する。
【0022】
図3Bは、連動機構53、第1開閉機構51及び第2開閉機構52によって、第1チャック10が閉じ、第2チャック20が開いた状態を模式的に示す図である。第1チャック10が閉じるとき、図3Aに示す状態から、第1開閉機構51によって第1アーム41は半径方向内側に移動し、第1アーム41に支持された第1チャック10も半径方向内側に水平に移動する。第1チャック10のウェーハ搭載面11は、穏やかに傾斜しているので、第1チャック10が閉じるとき、ウェーハ90の周縁部は、ウェーハ搭載面11上を滑らかに移動する。ウェーハ90の周縁部がウェーハ搭載面11の外周縁に達すると、ウェーハ90の周縁部は、第1チャック10の鉛直な把持面12に当たる。例えば第1開閉機構51に設けられた引張ばねなどにより、第1チャック10には、半径方向内側に向けて力がかかる。このため、第1チャック10の鉛直な把持面12からウェーハ90の周縁部に力がかかる。この力は、ウェーハ90に水平にかかる。このようにして、ウェーハ90は、その周縁部において、第1チャック10の鉛直な把持面12によって把持される。
【0023】
図3Cは、第2チャック20が閉じ、第1チャック10が開いた状態を模式的に示す図である。第2チャック20は、外側ほど鉛直上側となるように水平面に対して上向きに傾いたウェーハ保持面21を備える。ウェーハ保持面21には、この傾きが変化する保持位置22が設けられている。ウェーハ保持面21は、保持位置22より外側では、保持位置22より内側よりも水平面に対して上向きに大きく傾いている。
【0024】
連動機構53、第2開閉機構52及び第1開閉機構51により、まず、第2アーム42が半径方向内側に移動し、第2アーム42に支持された第2チャック20も半径方向内側に移動する。やがて、第2チャック20の保持位置22がウェーハ90の周縁部に達し、ウェーハ90が保持位置22で第2チャック20のウェーハ保持面21に載り、第2チャック20に保持される。その後、第1アーム41が半径方向外側に移動し、第1アーム41に支持された第1チャック10も半径方向外側に移動する。ウェーハ90が保持位置22で第2チャック20に保持されているとき、第2開閉機構52から第2チャック20には内側に向けた力などはかかっていない。したがって、ウェーハ90には水平方向の力は働かず、ウェーハ90は重力に抗して第2チャック20によって支持されているだけである。
【0025】
保持位置22よりも外側でもウェーハ保持面21は外側ほど鉛直上側となるように傾斜しているので、搬送ロボット81によって、ウェーハ90を持ち上げるとき、ウェーハ90の周縁部は、ウェーハ保持面21と擦れない。
【0026】
[ウェーハアライナーの動作]
図4は、制御装置70によって制御されるウェーハアライナー1の動作の一例の概略を示すフローチャートである。図4及び他の図面を参照してウェーハアライナー1の動作について説明する。
【0027】
ステップS1において、制御装置70は、第1チャック10及び第2チャック20を待機位置に移動させる。第1チャック10及び第2チャック20の待機位置は、搬送ロボット81によるウェーハ90の搬入を待つ位置である。第1チャック10の周方向位置は、搬送ロボット81と衝突しないように、図1に示すように、第2チャック20の脇の位置である。第1チャック10及び第2チャック20の半径方向位置は、図1及び図3Aに示したように、ウェーハ90が第1チャック10のウェーハ搭載面11に搭載されるような位置である。
【0028】
ステップS2において、制御装置70は、ウェーハ90が搬入されたか否かを判定する。制御装置70は、例えば、搬送ロボット制御部82から情報を取得することで、ウェーハ90が搬入されたか否かを判定できる。また、ウェーハアライナー1には、ウェーハ90が搬入されたことを検出するためのセンサが設けられ、このセンサの出力に基づいてウェーハ90が搬入されたか否かを判定してもよい。ウェーハ90が搬入されるまで、処理は待機する。
【0029】
図5Aは、搬送ロボット81によってウェーハ90が搬入されているときの概要を示す図である。図5Bは、図5Aに示した囲み部分の拡大図である。搬送ロボット81は、例えば、ウェーハ90が第1チャック10及び第2チャック20のやや上を通るようにしてウェーハ90を水平に搬入し、ウェーハアライナー1の中心軸31の真上にウェーハ90の中心がほぼ一致する位置において、ウェーハ90を真下に降ろす。その結果、ウェーハ90は、第1チャック10のウェーハ搭載面11に搭載される。このとき、図5B及び図3Aに示すように、第1チャック10は、ウェーハ搭載面11でウェーハ90を下から支持しているが把持しておらず、第2チャック20はウェーハ90に接触していない。ウェーハ90が第1チャック10に搭載されたら、搬送ロボット81は、退避する。第1チャック10が円周方向待機位置にあるので、搬送ロボット81は、第1チャック10と接触することなく、ウェーハ90を搬入することができる。
【0030】
ステップS2において、ウェーハ90が搬入されたと判定されたとき、処理はステップS3に進む。ステップS3において、制御装置70は、開閉用モータ54を動作させ、連動機構53及び第1開閉機構51を介して第1チャック10を閉じさせ、連動機構53及び第2開閉機構52を介して連動して第2チャック20を開かせる。
【0031】
図6Aは、第1チャック10が閉じ、第2チャック20が開いたときの概要を示す図である。図6Bは、図6Aに示した囲み部分の拡大図である。図6B及び図3Bに示すように、第1チャック10は、把持面12でウェーハ90の周縁部を把持する。このとき、第2チャック20は、開くのでウェーハ90に接触していない。
【0032】
ステップS4において、制御装置70は、旋回用モータ33を動作させ、第1チャック10を周方向に旋回させる。すなわち、ウェーハ90が周方向に旋回させられる。ステップS5において、制御装置70は、検出センサ60の出力に基づいて、ノッチ91が検出センサ60の位置に到達してノッチ91が検出されたか否かを判定する。ノッチ91が検出されるまで、ステップS4及びステップS5の処理が繰り返され、ウェーハ90が周方向に旋回させられる。
【0033】
ステップS5において、ノッチ91が検出されたと判定されたとき、ステップS6において、制御装置70は、第1チャック10の周方向の旋回を停止させる。図7Aは、ノッチ91が検出されたときのウェーハアライナー1の概要を示す図である。図7B及び図7Cは、それぞれ図7Aに示した囲み部分の拡大図である。このとき、ウェーハ90を把持する第1チャック10は、ウェーハ90に触れていない第2チャック20に対して周方向に離れた位置に移動している。このとき、ウェーハ90の周方向位置は、ノッチ91が検出センサ60の位置と一致する位置である。目標とするウェーハ90の周方向位置がこの位置である場合には、このままでよいし、目標とするウェーハ90の周方向位置が異なる場合には、制御装置70はその位置までさらに第1チャック10を所定量だけ周方向に旋回させる。
【0034】
その後、ステップS7において、制御装置70は、開閉用モータ54を動作させる。このとき、開閉用モータ54によって動作する連動機構53及び第2開閉機構52を介して、第2チャック20は閉じ、第2チャック20がウェーハ90を受け取る。続いて、連動機構53及び第1開閉機構51を介して連動して第1チャック10が開き、第1チャック10がウェーハ90を放す。
【0035】
図8Aは、第2チャック20が閉じ、第1チャック10が開いたときの概要を示す図である。図8B及び図8Cは、それぞれ図8Aに示した囲み部分の拡大図である。図8B図8C及び図3Cに示すように、第2チャック20は、保持位置22でウェーハ90の周縁部を支持する。このとき、第1チャック10は、開くのでウェーハ90に接触していない。
【0036】
ステップS8において、制御装置70は、旋回用モータ33を動作させ、ウェーハ90を把持していない第1チャック10を、周方向に旋回させて待機位置と同じ初期位置に戻させる。図9Aは、第1チャック10が初期位置に戻った状態のウェーハアライナー1の概要を示す図である。図9Bは、図9Aに示した囲み部分の拡大図である。第1チャック10の周方向位置は、待機位置と同じく第2チャック20の脇の位置であり、ウェーハ90を搬出する搬送ロボット81と衝突しない位置である。制御装置70は、第1チャック10が初期位置に到達したら、搬送ロボット制御部82にその旨の情報を伝達する。ウェーハアライナー1は、この位置で、搬送ロボット81によるウェーハ90の搬出を待つ。
【0037】
搬送ロボット81は、ウェーハ90を搬入したときは逆に、ウェーハ90の下部に入り込み、ウェーハ90を下から真上へ掬い上げる。このとき、ウェーハ90は、第2チャック20の保持位置22に載っている状態であり、保持位置22の外側のウェーハ保持面21は、上方外側に開いた形状を有するので、ウェーハ90は、第2チャック20のその他の部分に当たることなく持ち上げられる。搬送ロボット81は、ウェーハアライナー1からウェーハ90を搬出し、ウェーハ90を所定の位置に収容する。
【0038】
ステップS9において、制御装置70は、ウェーハ90が搬出されたか否かを判定する。搬出されていないと判定されたとき、搬出されるまで待機する。搬出されたと判定されたとき、ステップS10において、制御装置70は、処理を終了するか否かを判定する。すなわち、次のウェーハ90に係る処理を行うか否かを判定する。終了せず、次のウェーハ90の処理を行うと判定されたとき、処理はステップS1に戻る。すなわち、第1チャック10及び第2チャック20が半径方向に変位して待機位置に移動し、上述のステップS1乃至ステップS9の処理を繰り返す。ステップS10で終了すると判定されたとき、一連の処理は終了する。
【0039】
[ウェーハアライナーについて]
例えば特許文献1(特開2003-243294号公報)に開示されているウェーハアライナーを含め、従来知られているウェーハアライナーでは、旋回させる際にウェーハを把持するアライメントチャック(本実施形態の第1チャック10に相当)と当該チャックがウェーハを放すときにウェーハを支持する支持体(本実施形態の第2チャック20に相当)との少なくとも何れか一方が上下に変位する構成を有することが一般的である。これに対して、本実施形態のウェーハアライナー1では、第1チャック10と第2チャック20との何れも水平方向にのみ変位し、上下方向に変位しない。このため、種々の利点が得られる。
【0040】
例えば、従来のアライナーでは、アライメントチャックが開いてウェーハを放すこととアライメントチャック又は支持体が上下動して支持体がウェーハを支持することとを含む受け渡し動作が行われる。この受け渡し動作においては、ウェーハに偏芯が発生する可能性がある。また、ウェーハの偏芯が大きいと、受け渡し動作時のウェーハの傾きの原因となる。また、受け渡し動作における上下動に伴い、ウェーハの周縁部が支持体に対して滑るように移動して、擦れが生じる。
【0041】
これに対して、本実施形態のウェーハアライナー1では、受け渡し動作時に第1チャック10及び第2チャック20の何れも上下動することなく、まず、第2チャック20がウェーハ90を支持し、その後、第1チャック10が開く。このため、受け渡し動作時にウェーハに偏芯が生じない。また、受け渡し時にウェーハ90の周縁部の擦れが生じない。これらのため、受け渡し動作時にウェーハ90へダメージを与えるおそれがない。
【0042】
また、本実施形態のウェーハアライナー1では、第1チャック10及び第2チャック20に上下動がなく、また、第1チャック10及び第2チャック20の開閉は、連動機構53で連動しているので、従来の上下動を伴うアライナーなどと比較して一軸少なくなる。その結果、従来のアライナーと比較して、本実施形態のウェーハアライナー1では、機構が単純化され、コストダウンでき、誤動作が生じにくく、高い動作の信頼性が得られ、動作時の消費電力も小さくなる。また、本実施形態のウェーハアライナー1では、第1チャック10及び第2チャック20の開閉動作と第1チャック10の旋回動作との2軸のみで動作するため、動作シーケンスが簡素化され得る。
【0043】
また、従来のアライナーでは1枚のウェーハの処理あたり、上述の上下動作が最低2回含まれることになるが、本実施形態のウェーハアライナー1では、この上下動作が無く、上下に係る加減速がないため、スループットが速くなる。
【0044】
また、上述の実施形態では、搬送ロボット81によって、ウェーハ90のウェーハアライナー1への搬入及びウェーハアライナー1からの搬出が行われる例を示したが、これに限らない。本実施形態に係るウェーハアライナー1によれば、ウェーハ90を第1チャック10に載せる際のウェーハ90の周辺に広い空間を設けることができるため、搬入は、オペレーターによって手動で行うこともできる。すなわち、オペレーターは、ウェーハピンセットを使って、ウェーハ90をウェーハアライナー1の第1チャック10に手載せしてもよい。
【0045】
本実施形態に係るウェーハアライナー1によれば、チャック面積を大きくしてチャック位置を目認しやすくすることができる。また、動作時にウェーハ90の上下動がなく、第1チャック10及び第2チャック20の開閉動作と、第1チャック10の旋回動作のみであるため、動作が穏やかでオペレーターにやさしい。
【0046】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0047】
1:ウェーハアライナー
10:第1チャック、11:ウェーハ搭載面、12:把持面
20:第2チャック、21:ウェーハ保持面、22:保持位置
31:中心軸、32:旋回機構、33:旋回用モータ
41:第1アーム、42:第2アーム
51:第1開閉機構、52:第2開閉機構、53:連動機構、54:開閉用モータ
60:検出センサ
70:制御装置
81:搬送ロボット、82:搬送ロボット制御部
90:ウェーハ、91:ノッチ

図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
【手続補正書】
【提出日】2024-09-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬入されるウェーハの主面と平行な基準面に沿って開閉し、閉じたときに前記ウェーハの周縁部を把持し、前記基準面に垂直な中心軸回りに旋回するように構成された第1チャックと、
前記基準面に沿って開閉し、閉じたときに前記ウェーハの周縁部を保持するように構成された第2チャックと、
前記ウェーハに設けられた印を検出するように構成された検出センサと、
前記ウェーハが搬入されたら、前記第1チャックに閉じて前記ウェーハを把持させ、続いて前記検出センサの出力に基づいて前記ウェーハが所定の周方向位置となるように前記第1チャックを旋回させ、続いて前記第2チャックに閉じて前記ウェーハを保持させて前記第1チャックに開いて前記ウェーハを放させ、続いて前記第1チャックを第1所定位置まで旋回させるように構成された制御装置と
前記第1チャックの開閉と前記第2チャックの開閉とを機械的に連動させる連動機構と、
前記連動機構を動作させる1つの駆動部と
を備えるウェーハアライナー。
【請求項2】
搬入されるウェーハの主面と平行な基準面に沿って開閉し、閉じたときに前記ウェーハの周縁部を把持し、前記基準面に垂直な中心軸回りに旋回するように構成された第1チャックと、
前記基準面に沿って開閉し、閉じたときに前記ウェーハの周縁部を保持するように構成された第2チャックと、
前記ウェーハに設けられた印を検出するように構成された検出センサと、
前記ウェーハが搬入されたら、前記第1チャックに閉じて前記ウェーハを把持させ、続いて前記検出センサの出力に基づいて前記ウェーハが所定の周方向位置となるように前記第1チャックを旋回させ、続いて前記第2チャックに閉じて前記ウェーハを保持させて前記第1チャックに開いて前記ウェーハを放させ、続いて前記第1チャックを第1所定位置まで旋回させるように構成された制御装置と
前記第2チャックで保持された前記ウェーハを搬出するように構成された搬送ロボットと
を備え
前記第1所定位置は、前記第1チャックが前記搬送ロボットと衝突しない位置であり、
前記制御装置は、前記第1チャックを前記第1所定位置まで旋回させた後に、前記搬送ロボットに前記ウェーハを搬出させるように構成されている、
ウェーハアライナー。
【請求項3】
前記基準面は水平面であり、
前記第1チャックは、前記ウェーハの周縁部を把持するように構成された、鉛直な把持面を有しており、
前記第2チャックは、前記第2チャックに保持された前記ウェーハを鉛直上方向に移動させられるように、外側ほど鉛直上側となるように前記水平面に対して傾いたウェーハ保持面を有している、
請求項1又は2に記載のウェーハアライナー。
【請求項4】
前記第1チャックは、前記把持面の内側に接続した、外側ほど鉛直上側となるように前記水平面に対して傾いたウェーハ搭載面を有している、請求項に記載のウェーハアライナー。