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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151102
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】試験システム
(51)【国際特許分類】
   G08C 19/00 20060101AFI20241017BHJP
【FI】
G08C19/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064241
(22)【出願日】2023-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002697
【氏名又は名称】めぶき弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100104709
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 誠剛
(72)【発明者】
【氏名】徳嵩 文男
(72)【発明者】
【氏名】戸谷 博之
(72)【発明者】
【氏名】樋口 昌男
(72)【発明者】
【氏名】山本 浩一
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 誠一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 琢矢
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 洸輝
【テーマコード(参考)】
2F073
【Fターム(参考)】
2F073AA01
2F073AA21
2F073AB01
2F073BB04
2F073BC01
2F073CC02
2F073CD01
2F073DD01
2F073FF15
2F073FF17
2F073FG02
2F073GG01
2F073GG02
(57)【要約】
【課題】切換器を交換することなく測定種類の増加が図れる試験システムを提供することである。
【解決手段】試験システム1は、切換器3と、切換器3の接続切換を制御する制御部7とを備え、複数の測定器12A~12Cを用いて試験対象D5に対して試験を行う。切換器3は、測定器を選択する第1のスイッチ群SW1~SW6、ハイ側/ロー側バス4、測定したい測定端子とその極性を選択する第2のスイッチ群SW7~SW14および入出力端子群t33~t40を有する。制御部7は、入出力端子群の一部の端子t39、t40をハイ側/ロー側バス4を介して試験対象を構成する測定端子に接続させて信号測定ループを形成させる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の測定器と試験対象を構成する複数の測定端子との間の接続状態を切り換える切換器と、前記切換器の接続切換を制御する制御部とを備え、前記複数の測定器を用いて試験対象に対して試験を行う試験システムであって、
前記切換器は、前記複数の測定器の内の使用したい測定器を選択する第1のスイッチ群、ハイ側/ロー側バス、測定したい前記測定端子とその極性を選択する第2のスイッチ群および入出力端子群を有し、
前記制御部は、前記入出力端子群の一部の端子をハイ側/ロー側バスを介して前記試験対象を構成する測定端子に接続させて信号測定ループを形成させる、
ことを特徴とする試験システム。
【請求項2】
前記切換器の入出力端子群の一部の端子に新たな測定器が接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載の試験システム。
【請求項3】
前記切換器の入出力端子群の一部の端子に容量性負荷が接続され、
前記切換器の入出力端子群の一部の端子に放電用抵抗が接続され、
前記制御部は、所定の測定終了後に前記放電用抵抗を介して容量性負荷の電荷を放電させるように前記切換器の接続切換を制御する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の試験システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定対象物(DUT)に対し測定装置を接続して測定や試験を行うための試験システムに関し、特に、複数の測定装置と複数の被測定対象物との間を、リレー等の切換器により接続する試験システムにおいて、全ての入出力端子を有効に利用できる試験システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の試験システムでは、所定の試験手順に従って測定器等の動作を制御し、試験対象である被試験器からの出力信号を測定する試験システムが知られている(例えば特許文献1参照)。以下に、従来の試験システムの構成について、図7を参照して説明する。試験システム100は、複数のリレー(スイッチSW101、スイッチSW102、スイッチSW103~SW110)により、複数の測定器102A、102B、102Cと試験対象(DUT)105との間の測定経路の切換を行う切換器103を有する。測定器102Aは、高圧系測定器であってハイ側入力端子Ia1とロー側入力端子Ia2を有し、測定器2Bは、高圧系測定器であってハイ側入力端子Ib1とロー側入力端子Ib2を有する。測定器2Cは、高圧系測定器であってハイ側入力端子Ic1とロー側入力端子Ic2を有する。
【0003】
切換器103は、試験対象105の各測定端子t101~t108間において例えば巻線抵抗の測定や耐圧試験のための測定を行いたい場合、切換器103内のスイッチSW101で測定器を選択し、SW102で測定の極性を選択して、SW103~SW106で対象となる測定端子t101~t104を選択するとともに、SW107~SW110で対象となる測定端子t105~t108を選択し、それぞれの項目を計測する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-220799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した試験システムを構成する切替器103は、出力端子O1~O4の中のいずれか一つと出力端子O5~O8のいずれか一つの組み合わせで複数の測定項目を任意に測定することができる。しかしながら、巻線抵抗の測定や耐圧試験のための測定以外に、例えば抵抗計、LCRメーター、電圧計を追加して測定したいといった場合に入力端子の数はかぎられている。仮に出力端子O1~O8の中に未使用の出力端子があっても、計測項目を増設するには、切換制御の工程そのものを変更したりより入力端子の多い切替器に変更する等、簡単に計測器を増設することができない。
【0006】
したがって、本発明の課題は、切換器に空いた端子がある場合にその空いた端子に新たに測定器を増設させ、その増設させた測定器による測定を可能とし、切換器を交換することなく測定種類の増加が図れる試験システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る試験システムの一側面は、複数の測定器(12A~12C)と試験対象(D5)を構成する複数の測定端子(t51~t56)との間の接続状態を切り換える切換器(3)と、切換器(3)の接続切換を制御する制御部(7)とを備え、複数の測定器(12A~12C)を用いて試験対象(D5)に対して試験を行う試験システムであって、切換器(3)が、複数の測定器の内の使用したい測定器を選択する第1のスイッチ群(SW1~SW6)、ハイ側/ロー側バス(4)、測定したい測定端子とその極性を選択する第2のスイッチ群(SW7~SW14)および入出力端子群(t33~t40)を有する。制御部(7)は、入出力端子群の一部の端子(t39、t40)をハイ側/ロー側バス(4)を介して試験対象を構成する測定端子に接続させて信号測定ループを形成させることを特徴とする。
【0008】
本発明に係るインピーダンス測定システムの他の側面は、切換器(3)の入出力端子群(t33~t40)の一部の端子に新たな測定器(W6)が接続されることを特徴とする。
【0009】
本発明に係るインピーダンス測定システムの他の側面は、切換器(3)の入出力端子群(t33~t40)の一部の端子に容量性負荷(D7)が接続され、切換器(3)の入出力端子群(t33~t40)の一部の端子に放電用抵抗(Rdis)が接続され、制御部(7)は、所定の測定終了後に放電用抵抗を介して容量性負荷(D7)の電荷を放電させるように切換器(3)の接続切換を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
切換器を交換することなく測定種類の増加が図れる試験システムを提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る試験システムの構成を示した図である。
図2】本発明の第1の実施の形態に係る試験システムの切換器、測定器および試験対象間の接続を示した図である。
図3】本発明の第1の実施の形態に係る切換器の入出力端子の空状態を示した図である。
図4】本発明の第1の実施の形態に係る試験システムにおける切換器内部の接続態様を示した図である。
図5】本発明の第1の実施の形態に係る切換器の空チャンネルに新たな測定器を接続した状態を示した図である。
図6】本発明の第2の実施の形態に係る試験システムの構成を示した図である。
図7】従来の試験システムの構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1の実施の形態>
以下に、図1図5を参照して本発明に係る試験システムの第1の実施の形態について説明する。図1に示すように、試験システム1は、切換器(スキャナー)3および制御部7を有する。切換器3は、複数のリレーにより、複数の測定器2A、2B、2C、2Dと複数の試験対象D1、D2、D3(ここでは試験対象を「モータ」として説明するがこれに限定されない。)との間の測定経路の切換を行うものである。測定器2Aは、高圧系測定器であってハイ側出力端子t1とロー側出力端子t2を有し、測定器2Bは、高圧系測定器であってハイ側出力端子t3とロー側出力端子t4を有する。測定器2Cは、低圧系測定器であって出力端子t5を有する。測定器2Dは、低圧系測定器であって出力端子t6を有する。
【0013】
ここで、高圧系測定器とは、部分放電試験のための測定器、絶縁抵抗測定のための測定器、耐圧試験のための測定器、インパルス試験のための測定器等をいい、低圧系測定器とは、インピーダンス測定のための測定器(例えばLCRメータ)、巻線抵抗測定のための測定器(例えば抵抗計)等をいうがこれに限定されない。なお、出力端子t5、t6は便宜上一つの端子で図示されているが、それぞれ、実際には4端子(ハイ側電流計測出力端子、ハイ側電圧計測出力端子、ロー側電流計測出力端子およびロー側電圧計測出力端子の計4端子)で構成される。
【0014】
制御部7は、図示しない記憶部に格納された所定の動作プログラムおよび切換器3内の各スイッチの接続パターン(開閉パターン)にしたがって複数の測定器2A、2B、2C、2Dに対する動作指示および切換器3を構成するスイッチの開閉制御(オンオフ制御、接続切換制御)を行う。なお、制御部7は、切換器3とは独立して図示されているが切換器3に内蔵されるように構成してもよい。また、以下では、測定器2A、2Bを高圧系測定器、測定器2C、2Dを低圧系測定器として説明する。
【0015】
試験システム1の試験対象は、例えば、高圧系試験および低圧系試験の対象としてモータが挙げられ、測定器2A、2B、2C、2Dは、全て高圧系測定器であってもよいし、全て低圧系測定器であってもよいし、一部が高圧系測定器で残りが低圧系測定器のような場合であってもよい。
【0016】
[切換器3の構成]
切換器3は、入力端子群t7~t12、第1のスイッチ群S1~S9、ハイ側/ロー側バス4(図4のハイ側バス4aおよびロー側バス4bに相当)、第2のスイッチ群S10、S11、S12、S13、・・・および入出力チャンネル(入出力端子群)5を有する。入出力チャンネル5は複数の入出力端子(図2のt33~t40に相当)から構成される。第1のスイッチ群S1~S9と第2のスイッチ群S10、S11、S12、S13、・・・はハイ側/ロー側バス4を介して後述する所定の接続態様で接続される。第2のスイッチ群S10、S11、S12、S13、・・・は入出力チャンネル5を介して試験対象D1、D2、D3の入力端子(図示せず)に接続される。図1の例では入出力チャンネル5を構成する複数の接続端子のそれぞれは、試験対象D1のモータ動力端子(U端子)接続線L1、モータ動力端子(V端子)接続線L2、モータ動力端子(W端子)接続線L3、試験対象D2のモータ動力端子(U端子)接続線L4、モータ動力端子(V端子)接続線L5、モータ動力端子(W端子)接続線L6、試験対象D3のモータ動力端子(U端子)接続線L7、モータ動力端子(V端子)接続線L8、モータ動力端子(W端子)接続線L9を介して試験対象D1、D2、D3の入力端子(図示せず)に接続される。
【0017】
ハイ側入力端子t7とロー側入力端子t8はそれぞれ測定器2Aのハイ側出力端子t1とロー側出力端子t2に接続される。ハイ側入力端子t9とロー側入力端子t10はそれぞれ測定器2Bのハイ側出力端子t3とロー側出力端子t4に接続される。
【0018】
ハイ側入力端子t7およびロー側入力端子t8はそれぞれスイッチS1およびS2およびハイ側/ロー側バス4を介して入出力チャンネル5に接続されている。具体的には入出力チャンネル5を構成する複数の入出力端子の内のいずれか2端子に接続される。ハイ側入力端子t7およびロー側入力端子t8は最終的に入出力チャンネル5を構成する複数の入出力端子の内のいずれか2端子に接続されている試験対象D1、D2、D3のモータ動力端子のいずれかにモータ動力端子(U端子、V端子、W端子)接続線L1~L9のいずれかを介して接続される。
【0019】
ハイ側入力端子t9およびロー側入力端子t10はそれぞれスイッチS3、S4およびハイ側/ロー側バス4を介して入出力チャンネル5に接続されている。具体的には入出力チャンネル5を構成する複数の出力端子の内のいずれか2端子に接続される。ハイ側入力端子t9およびロー側入力端子t10は最終的に入出力チャンネル5を構成する複数の入出力端子の内のいずれか2端子に接続されている試験対象D1、D2、D3のモータ動力端子のいずれかにモータ動力端子(U端子、V端子、W端子)接続線L1~L9のいずれかを介して接続される。
【0020】
ここで、入力端子t11、t12は説明の便宜上一つの端子で図示されているが、図1の例では、測定器2C、2Dは低圧用測定器として説明するため、実際には、入力端子t11は4端子(ハイ側電流計測入力端子、ハイ側電圧計測入力端子、ロー側電流計測入力端子およびロー側電圧計測入力端子の計4端子)で構成され、入力端子t12は4端子(ハイ側電流計測入力端子、ハイ側電圧計測入力端子、ロー側電流計測入力端子およびロー側電圧計測入力端子の計4端子)で構成される。なお、図1は例示であるのでt5、t6、t11、t12は、測定器2C、2Dが例えば高圧系測定器である場合には、ハイ側電圧計測入力端子、ロー側電流計測入力端子の計2端子)で構成されるようにしてもよい。
【0021】
入力端子t11を構成するハイ側電流計測入力端子、ハイ側電圧計測入力端子、ロー側電流計測入力端子およびロー側電圧計測入力端子はそれぞれ測定器2Cの出力端子t5を構成する4つの出力端子の内の対応する出力端子に接続される。入力端子t12を構成するハイ側電流計測入力端子、ハイ側電圧計測入力端子、ロー側電流計測入力端子およびロー側電圧計測入力端子はそれぞれ測定器2Dの出力端子t6を構成する4つの出力端子の内の対応する出力端子に接続される。
【0022】
入力端子t11を構成するハイ側電流計測入力端子、ハイ側電圧計測入力端子、ロー側電流計測入力端子およびロー側電圧計測入力端子は、それぞれスイッチS6~S9のいずれかのスイッチと、スイッチS10、S11、S12、S13、・・・の内のいずれかのスイッチを介して入出力チャンネル5に接続される。
【0023】
[切換器による測定器と試験対象との接続態様]
以下に、切換器3による測定器12A~12Cと試験対象(DUT)D4、D5との接続態様について図2図5を参照して説明する。ここで測定器12A~12Cは高圧系測定器であり、試験対象D4は測定端子t43~t50(8チャンネル)を有し、試験対象D5は測定端子t51~t58(8チャンネル)を有する。
【0024】
<試験対象の測定端子がすべて埋まっている場合>
試験対象D4が例えばモータであった場合には、図2に示すように測定端子t43~t50において、高圧試験用の測定端子を3つ、アース端子を一つ、残りの4端子を低圧用の端子とすると8チャンネルすべてが埋まる。この場合には後述する切換器3による接続切換によって測定端子t43~t50のすべての組み合わせにおいて測定器12A~12Cで測定することができる。したがって、従来技術のように、例えば図7における測定端子O1~O4の中のいずれか一つと、測定端子O5~O8の中のいずれか一つの組み合わせでしか測定できないといった制限がなくなり、試験対象の任意の測定端子間での測定が可能となる。
【0025】
<試験対象の測定端子の一部が空いている場合>
測定端子t51~t58を有する試験対象D5が例えばモータであった場合には、図3に示すように測定端子t51~t56において、高圧試験用の測定端子を3つ、アース端子を一つ、残りの2端子を低圧用の端子とすると6チャンネル分が埋まり、測定端子t57、t58の2端子分が余りいわゆる空きチャンネルとなる。
【0026】
この実施の形態では、図4に示すように切換器3は、入力端子t23~t28、第1のスイッチ群としてのスイッチSW1~SW6、第2のスイッチ群としてのスイッチSW7~SW14および入出力端子t33~t40を有する。スイッチSW1、SW2、SW3、SW4、SW5およびSW6は、それぞれ入力端子t23、t24、t25、t26、t27およびt28に接続される。スイッチSW1、SW3およびSW5は、ハイ側バス4aを介してスイッチSW7~SW14に接続される。スイッチSW2、SW4およびSW6は、ロー側バス4bを介してスイッチSW7~SW14に接続される。
【0027】
(測定器12Aを選択した場合)
スイッチSW1、SW2を閉じ(オンし)、スイッチSW7を端子t61に接続すると、ハイ側出力端子t13と測定端子t51が入出力端子t33を介して接続され、スイッチSW7を端子t62に接続すると、ロー側出力端子t14と測定端子t51が入出力端子t33を介して接続される。スイッチSW1、SW2を閉じ(オンし)スイッチSW8を端子t63に接続すると、ハイ側出力端子t13と測定端子t52が入出力端子t34を介して接続され、スイッチSW8を端子t64に接続すると、ロー側出力端子t14と測定端子t52が入出力端子t34を介して接続される。スイッチSW1、SW2を閉じ(オンし)スイッチSW9を端子t65に接続すると、ハイ側出力端子t13と測定端子t53が入出力端子t35を介して接続され、スイッチSW9を端子t66に接続すると、ロー側出力端子t14と測定端子t53が入出力端子t35を介して接続される。
【0028】
スイッチSW1、SW2を閉じ(オンし)スイッチSW10を端子t67に接続すると、ハイ側出力端子t13と測定端子t54が入出力端子t36を介して接続され、スイッチSW10を端子t68に接続すると、ロー側出力端子t14と測定端子t54が入出力端子t36を介して接続される。スイッチSW1、SW2を閉じ(オンし)スイッチSW11を端子t69に接続すると、ハイ側出力端子t13と測定端子t55が入出力端子t37を介して接続され、スイッチSW11を端子t70に接続すると、ロー側出力端子t14と測定端子t55が入出力端子t37を介して接続される。スイッチSW1、SW2を閉じ(オンし)スイッチSW12を端子t71に接続すると、ハイ側出力端子t13と測定端子t56が入出力端子t38を介して接続され、スイッチSW11を端子t72に接続すると、ロー側出力端子t14と測定端子t56が入出力端子t38を介して接続される。
【0029】
ここで、例えばスイッチSW1、SW2を閉じ(オンし)、スイッチSW7を端子t61に接続し、スイッチSW8を端子t64に接続すれば、試験対象D5の測定端子t51とt52を含む電流測定ループ(信号測定ループ)が形成され測定端子t51とt52を通る測定経路について測定できる。他の測定経路については上記接続制御を適切に行って測定することができるので、ここではその説明を省略する。
【0030】
(測定器12B、12Cを選択した場合)
測定器12B、12Cを選択した場合の接続切換制御については、上記測定器12Aを選択した場合と同様であるのでここではその説明を省略する。
【0031】
以下では、切換器3の空いた入出力端子t39とt40を有効に活用するケースについて説明する。図5に示すようにハイ側出力端子t59およびロー側出力端子t60を有する測定器W6を新たに追加し、この測定器W6を空いた入出力端子t39とt40に接続することにより測定器12A~12C以外の測定もすることができる。具体的には、スイッチSW13を端子t73に接続し、スイッチSW7を端子t61に接続し、スイッチSW14を端子t76に接続し、スイッチSW8を端子t65に接続すると、ハイ側出力端子t59が入出力端子t39を介して測定端子t51に接続され、ロー側出力端子t60が入出力端子t40を介して測定端子t52に接続される。このような接続制御によって試験対象D5の測定端子t51とt52を含む電流測定ループ(信号測定ループ)が形成され測定端子t51とt52を通る測定経路について測定器W6による測定を行うことができる。他の測定経路については上記接続制御を適切に行って測定することができるので、ここではその説明を省略する。
【0032】
なお、低圧系測定器を高圧系測定器と同じ個所に接続するような場合には、故障しないよう、高圧リレーを2重(2直列)にして繋ぎこみ、低圧系測定器を使用しない場合に完全に分離できるように配慮するようにしている。
【0033】
[効果]
したがって、上記した実施の形態によれば、切換器3の空いた入出力端子t39とt40を利用して新たに増設した測定器W6で測定できるので切換器3を交換することなく測定種類の増加が図れるといった有効活用が実現可能となる。
【0034】
<第2の実施の形態>
以下に、図6を参照して本発明に係る試験システムの第2の実施の形態について説明する。なお、上記した第1の実施の形態と異なる点のみ説明し、同様の部分の説明は省略する。従来、単独の各種高低圧測定器と高電圧リレーを駆使して切換器を構成する際に、測定の際にDUTに充電した残留電荷などにより、後工程で接続される測定器が故障するという問題があった。以下の第2の実施の形態は上記問題を解決するためのものである。
【0035】
切換器3の入出力端子t33、t34に試験対象として抵抗R1とコンデンサC1を含む容量性負荷D7を接続し、容量性負荷の絶縁抵抗を測定した際に、安全上試験後はC1に溜まった電荷を放電する必要がある。測定器側の放電機能を使って放電するのが一般的であるが放電させるのに時間がかかる。そこで、本第2の実施の形態では、図6に示すように、入出力端子t39、t40に放電用抵抗Rdisを接続しておき、例えば測定器12Aによる試験が終了した後に、測定器12Bのハイ側出力端子t15とロー側出力端子t16および測定器12Cのハイ側出力端子t17とロー側出力端子t18を開放(オフ)し、スイッチSW7、SW8、SW13、SW14を閉じる(例えばスイッチSW7を端子t62に接続し、スイッチSW8を端子t63に接続し、スイッチSW13を端子t73に接続し、スイッチSW14を端子t76に接続する)ことで放電用抵抗Rdisを介してコンデンサC1の電荷を放電することができ、放電時間の短縮を図ることができる。なお、SW7およびSW8をそれぞれt61,t63に接続しても放電することはできるが、その接続では容量性負荷D7が短絡状態となり、SWに流し得る電流容量を超えて流すことによる接点溶着が起きるので、その接点溶着を防ぐために放電抵抗Rdisを接続して電流制限を行っている。
【0036】
以上にこの発明の具体的な実施形態について説明したが、この発明は上記実施形態に限られるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 試験システム
2A、2B、2C、2D、12A、12B、12C 測定器
3 切換器(スキャナー)
4 ハイ側/ロー側バス
5 入出力チャンネル(入出力端子群)
7 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7