(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151105
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
G01R 31/26 20200101AFI20241017BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20241017BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20241017BHJP
H01L 23/29 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
G01R31/26 G
H01L23/12 L
H01L21/60 311S
H01L23/30 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064244
(22)【出願日】2023-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】茶木 伸
【テーマコード(参考)】
2G003
4M109
5F044
【Fターム(参考)】
2G003AA07
2G003AB18
2G003AH05
4M109AA01
4M109BA03
4M109DB02
5F044KK07
5F044KK09
5F044KK17
5F044LL13
5F044RR18
(57)【要約】
【課題】実装基板と半導体チップのコンタクト不良を非破壊で検出することができる半導体装置を得る。
【解決手段】半導体チップ5が、多層基板1にフリップチップ実装され、内部回路を有する。複数のパッド6が半導体チップ5の表面に形成されている。複数のピラー7が複数のパッド6に形成されている。複数の上面電極2が多層基板1の上面に形成されている。複数の下面電極3が多層基板1の下面に形成され、それぞれスルーホール4を介して複数の上面電極2に接続されている。複数のピラー7はそれぞれ複数の上面電極2にはんだ8により接続されている。複数のパッド6は、内部回路12に接続された電極パッド6a~6eと、内部回路12に接続されず半導体チップ5の表面の四隅のうちの少なくとも3か所に形成された複数の検査パッド61a~61cを有する。隣接する検査パッド61a~61cは線路13により互いに接続されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層基板と、
前記多層基板にフリップチップ実装され、内部回路を有する半導体チップとを備え、
複数のパッドが前記半導体チップの表面に形成され、
複数のピラーが前記複数のパッドに形成され、
複数の上面電極が前記多層基板の上面に形成され、
複数の下面電極が前記多層基板の下面に形成され、それぞれスルーホールを介して前記複数の上面電極に接続され、
前記複数のピラーはそれぞれ前記複数の上面電極にはんだにより接続され、
前記複数のパッドは、前記内部回路に接続された電極パッドと、前記内部回路に接続されず前記半導体チップの表面の四隅のうちの少なくとも3か所に形成された複数の検査パッドを有し、
隣接する検査パッドは線路により互いに接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記複数の検査パッドは、前記半導体チップの表面の四隅に形成された第1から第4の検査パッドを有することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記複数の検査パッドは、前記半導体チップの中央部に形成された第5の検査パッドを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
隣接する検査パッドの間に抵抗が接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記多層基板が実装されたプリント基板を更に備え、
前記線路は、前記半導体チップの表面の外周に沿って形成され、
前記複数の検査パッドの何れかに接続された前記下面電極は前記プリント基板のGND端子に接続されていることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項6】
多層基板と、
前記多層基板にフリップチップ実装され、内部回路とトランジスタを有する半導体チップとを備え、
複数のパッドが前記半導体チップの表面に形成され、
複数のピラーが前記複数のパッドに形成され、
複数の上面電極が前記多層基板の上面に形成され、
複数の下面電極が前記多層基板の下面に形成され、それぞれスルーホールを介して前記複数の上面電極に接続され、
前記複数のピラーはそれぞれ前記複数の上面電極にはんだにより接続され、
前記複数のパッドは、前記トランジスタを介して前記内部回路に接続された電極パッドと、前記電極パッドに接続された検査パッドと、前記トランジスタの制御端子に接続された制御パッドとを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
多層基板と、
前記多層基板にフリップチップ実装された半導体チップとを備え、
複数のパッドが前記半導体チップの表面に形成され、
複数のピラーが前記複数のパッドに形成され、
複数の上面電極が前記多層基板の上面に形成され、
複数の下面電極が前記多層基板の下面に形成され、それぞれスルーホールを介して前記複数の上面電極に接続され、
前記複数のピラーはそれぞれ前記複数の上面電極にはんだにより接続され、
前記複数のパッドは、第1のパッドと、前記第1のパッドに接続された第2のパッドを有し、
前記複数の上面電極は、前記第1のパッドに形成された前記ピラーに前記はんだにより接続された第1の上面電極と、前記第2のパッドに形成された前記ピラーに前記はんだにより接続された第2の上面電極とを有し、
前記複数の下面電極は、前記第1の上面電極にそれぞれ個別に接続された第1及び第2の下面電極と、前記第2の上面電極にそれぞれ個別に接続された第3及び第4の下面電極とを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
前記半導体チップは内部回路を有し、
前記第1のパッドは前記内部回路に接続されていることを特徴とする請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記半導体チップは内部回路を有し、
前記第1及び第2のパッドは、前記内部回路に接続されず前記半導体チップの表面の四隅のうちの少なくとも3か所に形成されていることを特徴とする請求項7に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1及び第2のパッドは、前記半導体チップの表面の四隅に形成されていることを特徴とする請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1及び第2のパッドは、前記半導体チップの中央部に形成されていることを特徴とする請求項9又は10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記半導体チップの裏面にダイボンドされたヒートシンクと、
前記多層基板、前記半導体チップ及び前記ヒートシンクを封止するモールド樹脂とを備え、
前記ヒートシンクの上面は前記モールド樹脂から露出していることを特徴とする請求項1,2,5~10の何れか1項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップをフリップチップ実装した半導体装置が用いられている(例えば、特許文献1参照)。半導体チップを多層基板にフリップチップ実装する場合、半導体チップの電極にピラーを形成し、半導体チップを裏返して、多層基板の電極と半導体チップのピラーをはんだでコンタクトさせて実装する。半導体チップの裏面にヒートシンクをダイボンドする。これらをモールド封止した後、バックグラインド等の手法でヒートシンクを露出させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フリップチップ実装時に半導体チップが傾く場合がある。また、モールド封止時の流圧、バックグラインド時の横応力、製品として稼働している間に生じる不可抗力等により半導体チップが傾く場合もある。半導体チップが傾いて多層基板の電極と半導体チップのピラーのコンタクトが正常になされず、オープン状態になる場合があった。また、半導体チップの電極からピラーが外れたり、はんだ不足等によりコンタクト不良が発生したりすることもあった。
【0005】
本開示は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は多層基板と半導体チップのコンタクト不良を非破壊で検出することができる半導体装置を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る半導体装置は、多層基板と、前記多層基板にフリップチップ実装され、内部回路を有する半導体チップとを備え、複数のパッドが前記半導体チップの表面に形成され、複数のピラーが前記複数のパッドに形成され、複数の上面電極が前記多層基板の上面に形成され、複数の下面電極が前記多層基板の下面に形成され、それぞれスルーホールを介して前記複数の上面電極に接続され、前記複数のピラーはそれぞれ前記複数の上面電極にはんだにより接続され、前記複数のパッドは、前記内部回路に接続された電極パッドと、前記内部回路に接続されず前記半導体チップの表面の四隅のうちの少なくとも3か所に形成された複数の検査パッドを有し、隣接する検査パッドは線路により互いに接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示では、検査パッドが半導体チップの表面の四隅のうちの少なくとも3か所に形成され、隣接する検査パッドは線路により互いに接続されている。それぞれの検査パッドについてコンタクトをチェックして、全てのコンタクトがショートの場合、半導体チップが平坦に実装されていると判断できる。この場合、電極パッドについてもコンタクトしていると判断できる。よって、多層基板と半導体チップのコンタクト不良を非破壊で検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る半導体装置を示す断面図である。
【
図2】半導体チップが傾いて実装された状態を示す断面図である。
【
図3】実施の形態1に係る半導体チップの表面を示す図である。
【
図4】実施の形態1に係る半導体チップを多層基板にフリップチップ実装した状態を示す断面図である。
【
図5】実施の形態1に係る半導体チップを多層基板にフリップチップ実装した状態を示す断面図である。
【
図6】実施の形態2に係る半導体チップの表面を示す図である。
【
図7】実施の形態2に係る半導体チップを多層基板にフリップチップ実装した状態を示す断面図である。
【
図8】実施の形態3に係る半導体チップの表面を示す図である。
【
図9】実施の形態3に係る半導体チップを多層基板にフリップチップ実装した状態を示す断面図である。
【
図10】実施の形態4に係る半導体チップの表面を示す図である。
【
図11】実施の形態5に係る半導体チップの表面を示す図である。
【
図12】実施の形態5に係る半導体装置を示す平面図である。
【
図13】実施の形態6に係る半導体チップの表面を示す図である。
【
図14】実施の形態6に係る半導体チップを多層基板にフリップチップ実装した状態を示す断面図である。
【
図15】実施の形態6に係る半導体装置の1ポートSパラメータ測定の結果を示す図である。
【
図16】実施の形態6に係る半導体装置の測定1を示す図である。
【
図17】実施の形態6に係る半導体装置の測定1を示す図である。
【
図19】実施の形態6に係る半導体装置の測定3を示す図である。
【
図20】実施の形態7に係る半導体チップの表面を示す図である。
【
図21】実施の形態7に係る多層基板の上面を示す図である。
【
図22】実施の形態7に係る半導体チップを多層基板にフリップチップ実装した状態を示す断面図である。
【
図23】実施の形態8に係る半導体チップの表面を示す図である。
【
図24】実施の形態8に係る多層基板の上面を示す図である。
【
図25】実施の形態8に係る半導体チップを多層基板にフリップチップ実装した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態に係る半導体装置について図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る半導体装置を示す断面図である。多層基板1の上面に複数の上面電極2が形成されている。多層基板1の下面に複数の下面電極3が形成され、それぞれ多層基板1を上下に貫通するスルーホール4を介して複数の上面電極2に接続されている。多層基板1の上面側に半導体チップ5がフリップチップ実装されている。半導体チップ5は増幅器MMIC(Monolithic Microwave Integrated Circuit)である。半導体チップ5の表面に複数のパッド6が形成されている。複数のパッド6にそれぞれピラー7が形成されている。裏返した半導体チップ5の複数のピラー7がそれぞれ多層基板1の複数の上面電極2にはんだ8で個別に接合されている。
【0011】
導電性樹脂等の接着剤9を用いて半導体チップ5の裏面にヒートシンク10がダイボンドされている。多層基板1、半導体チップ5及びヒートシンク10がモールド樹脂11によって封止されている。バックグラインド等の手法でヒートシンク10の上面がモールド樹脂11から露出されている。半導体チップ5で発生した熱はヒートシンク10の上面側から放熱される。多層基板1の下面電極3はモールド樹脂11から露出され、外部との信号の入出力に用いられる。
【0012】
このようなモールド製品ではフリップチップ実装した半導体チップ5の外観が見えない。このため、特性不良となった時に原因究明と対策決定に時間を要することがある。迅速な原因究明のためには、不良モードが回路起因か、組立起因かを分離することが重要である。組立起因不良の代表的なモードに多層基板1の上面電極2と半導体チップ5のピラー7のコンタクト不良がある。
【0013】
フリップチップ実装時、モールド封止時流圧、バックグラインド時の横応力、製品として稼働している間に生じる不可抗力等などにより、半導体チップ5が傾いて実装される場合がある。
図2は、半導体チップが傾いて実装された状態を示す断面図である。この場合、多層基板1の上面電極2と半導体チップ5のピラー7がオープン不良となる。また、はんだ不足等によるコンタクト不良もあり、半導体チップ5のパッド6からピラー7が外れることもある。これらコンタクト不良を非破壊で検査する手法の実現は、半導体チップ5をフリップチップ実装したモールド製品を生産する上で重要な技術の一つである。
【0014】
図3は、実施の形態1に係る半導体チップの表面を示す図である。半導体チップ5は内部回路12を有する。半導体チップ5の表面には、パッド6として、電極パッド6a~6fと検査パッド61a~61cが形成されている。電極パッド6a~6fは、内部回路12に接続されたDC供給用パッド又はRF電極パッドである。検査パッド61a~61cは、半導体チップ5の四角形の表面の四隅のうちの3か所に形成され、半導体チップ5の内部回路12に接続されていない。線路13が半導体チップ5の2辺に沿って形成されている。半導体チップ5の短辺に沿って形成された線路13は隣接する検査パッド61a,61bを互いに接続する。半導体チップ5の長辺に沿って形成された線路13は隣接する検査パッド61b,61cを互いに接続する。
【0015】
図4及び
図5は、実施の形態1に係る半導体チップを多層基板にフリップチップ実装した状態を示す断面図である。
図4は
図3のI-IIに沿った断面図に対応する。
図5は
図3のIII-IVに沿った断面図に対応する。
【0016】
多層基板1の上面には、上面電極2として、上面電極21a,21b,21cが形成されている。多層基板1の下面には、下面電極3として、下面電極31a,31b,31cが形成され、それぞれ多層基板1を上下に貫通するスルーホール4を介して上面電極21a,21b,21cに接続されている。検査パッド61a~61cに形成されたピラー7がそれぞれ上面電極21a,21b,21cにはんだ8により個別に接続されている。
【0017】
下面電極31a,31b間の抵抗値、下面電極31b,31c間の抵抗値、下面電極31c,31a間の抵抗値をそれぞれ測定し、それぞれの検査パッドについてコンタクトがオープンかショートかをチェックする(オープン/ショートチェック)。抵抗値が十分に小さい場合はショートと判定される。全てのコンタクトがショートの場合、半導体チップ5が平坦に実装されていると判断できる。この場合、電極パッド6a~6fについてもコンタクトしていると判断できる。よって、多層基板1と半導体チップ5のコンタクト不良を非破壊で検出することができる。
【0018】
実施の形態2.
図6は、実施の形態2に係る半導体チップの表面を示す図である。
図7は、実施の形態2に係る半導体チップを多層基板にフリップチップ実装した状態を示す断面図である。
図7は
図6のI-IIに沿った断面図に対応する。半導体チップ5の四隅に検査パッド61a~61dが形成されている。検査パッド61a~61dは、半導体チップ5の内部回路12に接続されていない。線路13が半導体チップ5の3辺に沿って形成されている。線路13は検査パッド61c,61dを接続する。上面電極21dはスルーホール4を介して多層基板1の下面の下面電極31dに接続されている。検査パッド61dに形成されたピラー7が多層基板1の上面電極21dにはんだ8により接続されている。その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0019】
半導体チップ5の厚みが50um以下の場合にチップ表面を上にしたときに凸状にチップが反る場合がある。その場合、表裏反転した時に半導体チップ5の四隅のうちの3か所のコンタクト確認では不十分であり、4か所のコンタクト確認が必要になる。
【0020】
例えば、下面電極31b,31c間のオープン/ショートチェックを行い、ショートの場合は検査パッド61b,61c間に配置された電極パッド6a,6bのピラー7が多層基板1の上面電極2にコンタクトしていると判断できる。同様に、下面電極31a,31b間のオープン/ショートチェックを行い、ショートの場合は検査パッド61a,61b間に配置された電極パッド6eのピラー7が多層基板1の上面電極2にコンタクトしていると判断できる。下面電極31c,31d間のオープン/ショートチェックを行い、ショートの場合は検査パッド61c,61d間に配置された電極パッド6fのピラー7が多層基板1の上面電極2にコンタクトしていると判断できる。
【0021】
実施の形態3.
図8は、実施の形態3に係る半導体チップの表面を示す図である。
図9は、実施の形態3に係る半導体チップを多層基板にフリップチップ実装した状態を示す断面図である。
図9は
図8のI-IIに沿った断面図に対応する。
【0022】
検査パッド61eが半導体チップ5の表面の中央部に形成され、検査パッド61aに線路13により接続されている。検査パッド61eは、半導体チップ5の内部回路12に接続されていない。上面電極21eはスルーホール4を介して多層基板1の下面の下面電極31eに接続されている。検査パッド61eに形成されたピラー7は上面電極21eにはんだ8により接続されている。その他の構成は実施の形態2と同様である。
【0023】
半導体チップ5の厚みが50um以下の場合にチップ表面を上にしたときに凹状にチップが反る場合がある。その場合、表裏反転した時に半導体チップ5の四隅のコンタクト確認では不十分でチップ中央部のコンタクト確認が必要になる。例えば、下面電極31a,31e間のオープン/ショートチェックを行い、ショートの場合は検査パッド61e周辺に配置された電極パッド6gのピラー7が多層基板1の上面電極2にコンタクトしていると判断できる。
【0024】
実施の形態4.
図10は、実施の形態4に係る半導体チップの表面を示す図である。隣接する検査パッド61a,61bの間に抵抗R1が接続されている。隣接する検査パッド61b,61cの間に抵抗R2が接続されている。隣接する検査パッド61c,61dの間に抵抗R3が接続されている。隣接する検査パッド61a,61eの間に抵抗R4が接続されている。抵抗R1~R4の抵抗値は例えば10Ωである。コンタクト性の確認のために各パッド間で抵抗を測定し、10、20、30、40Ω以外の抵抗値である場合はコンタクト不良があると判断できる。その他の構成及び効果は実施の形態3と同様である。
【0025】
実施の形態5.
図11は、実施の形態5に係る半導体チップの表面を示す図である。線路13は、検査パッド61a,61dも接続しており、半導体チップ5の表面の外周に沿って形成されている。
【0026】
図12は、実施の形態5に係る半導体装置を示す平面図である。多層基板1がプリント基板14に実装されている。検査用の下面電極31a~31dがそれぞれプリント基板14の端子14a~14dに接続されている。端子14bはGND端子である。これにより、半導体チップ5の表面の外周に沿って形成された線路13がGND接続される。従って、半導体チップ5にガードリングが形成され、耐湿性の向上を図ることができる。
【0027】
実施の形態6.
図13は、実施の形態6に係る半導体チップの表面を示す図である。半導体チップ5は内部回路12とトランジスタ15を有する。半導体チップ5の表面には、パッド6として、電極パッド62a、検査パッド62b,62c、制御パッド62dが形成されている。トランジスタ15のソース電極とドレイン電極がそれぞれ電極パッド62aと内部回路12に接続されている。即ち、電極パッド62aはトランジスタ15を介して内部回路12に接続されている。検査パッド62b,62cはそれぞれ線路13により電極パッド62aに接続されている。制御パッド62dはトランジスタ15の制御端子であるゲート電極に接続されている。これらのパッドにはそれぞれピラー7が形成されている。
【0028】
図14は、実施の形態6に係る半導体チップを多層基板にフリップチップ実装した状態を示す断面図である。
図14は
図13のI-IIに沿った断面図に対応する。上面電極2として上面電極22a,22b,22cが多層基板1の上面に形成されている。下面電極3として下面電極32a,32b,32cが多層基板1の下面に形成され、それぞれスルーホール4を介して上面電極22a,22b,22cに個別に接続されている。電極パッド62aに形成されたピラー7が上面電極22aにはんだ8により接続されている。検査パッド62b,62cに形成されたピラー7がそれぞれ上面電極22bにはんだ8により個別に接続されている。制御パッド62dに形成されたピラー7が上面電極22cにはんだ8により接続されている。その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0029】
通常動作時は下面電極32cに印加する電圧Vcを0Vにしてトランジスタ15をオンにする。コンタクト確認時は下面電極32cに印加する電圧Vcを-5Vにしてトランジスタ15をオフにする。
【0030】
図15は、実施の形態6に係る半導体装置の測定1の結果を示す図である。
図16及び
図17は、実施の形態6に係る半導体装置の測定1を示す図である。測定1では、下面電極32aを接地し、下面電極32cに電圧Vc=-5Vを印加してトランジスタ15をオフにし、下面電極32bに信号を入力して1ポートSパラメータ測定を実施する。1ポートSパラメータ測定では、下面電極32bから入射した波が自身に反射してくる反射電力の振幅と位相(Sパラメータ)を測定する。1GHz以下の低周波信号を入力した場合はトランジスタ15のオフ容量と内部回路12は見えない。
図16は検査パッド62b,62cが正常に接続されている場合を示し、
図17は両者がopenの場合を示している。
【0031】
例えば、電極パッド62aのピラー7と上面電極22aが接続されていない場合、Sパラメータはopenの位置aになる。正常に接続されている場合、Sパラメータはショートの位置bになる。もし接続が不完全で抵抗が大きい場合は、Sパラメータはショートの位置よりも抵抗が大きく見えることで内側の位置b’に移動する。
【0032】
なお、検査パッド62b,62cを2個設けている。このため、検査パッド62b,62cの一方がコンタクト不良になっても、電極パッド62aのコンタクトを検査することができる。検査パッド62b,62cの両方がコンタクト不良の場合は、電極パッド62aの接続状態に関わらず不良と判定することもできる。
【0033】
ここで、接続が不完全な状態とは、接合されていないが、外力等によって接触はしている状態である。その場合の接触抵抗値は数Ωを想定している。例えば、電極パッド62a、検査パッド62b,62cについて、接続が正常な場合の抵抗を0Ω、不完全な場合の抵抗を2Ωと仮定して、下面電極32aと下面電極32cの間の抵抗値を測定する。各パッドのコンタクト状態と電極間の抵抗値の関係を表1に示す。電極パッド62aのコンタクトが正常な場合の抵抗値は0又は1Ωとなり、不完全な場合の抵抗値は2又は3Ωとなる。
【0034】
【0035】
図18は、比較例に係る測定を示す図である。比較例に係る測定では、電極パッド62aに接続される下面電極32aから直接に1ポートSパラメータ測定を行う。正常なコンタクトの場合、理論上は内部回路12のインピーダンスZ1に直列接続されたトランジスタ15のオフ容量が見える。しかし、実際には内部回路12のインピーダンスZ1にばらつきが有るため、接続が不完全の場合の変動と区別がつかない。従って、比較例では、コンタクト不良時のopenは検出できるが、接続が不完全で抵抗が大きい場合の検出ができない。
【0036】
測定1で低周波信号を入力してshortと判定された場合は電極パッド62aのコンタクトが正常と判定する。そうでない場合は測定2を実施する。測定2でopenと判定された場合は測定3を実施する。この様子を表2にまとめている。
【0037】
【0038】
測定2では、下面電極32bを接地し、下面電極32cの電圧Vcを0Vとしてトランジスタ15をオンにし、下面電極32bに高周波信号を入力して1ポートSパラメータ測定を実施する。検査パッド62b,62cの何れかのコンタクトが正常であれば測定2で内部回路12の特性が測定される。従って、測定1と測定2でSパラメータが変化することで電極パッド62aのopenが確定する。検査パッド62b,62cの両方がopenの場合は測定2でopenと測定されるため、測定3を実施する。
【0039】
図19は、実施の形態6に係る半導体装置の測定3を示す図である。測定3では、下面電極32bを接地し、下面電極32cの印加電圧Vcを-5Vと0Vで切り替え、下面電極32aに高周波信号を入力して1ポートSパラメータ測定を実施する。電極パッド62aのコンタクトがopenの場合は測定3でopenと判定される。
【0040】
電極パッド62aが接続されている場合は測定3で内部回路12の特性が測定される。下面電極32cの印加電圧Vcが-5Vの場合と0Vの場合について、電極パッド62aの接続が正常な場合と不完全な場合のSパラメータの違いを事前に実験又はシミュレーションで把握しておく。これにより測定3の測定結果により電極パッド62aの接続が正常か不完全かを判定することができる。
【0041】
以上説明したように、本実施の形態では、半導体チップ5の表面に、パッド6として、電極パッド62a、検査パッド62b,62c、制御パッド62dが形成されている。電極パッド62aはトランジスタ15を介して内部回路12に接続されている。検査パッド62b,62cはそれぞれ線路13により電極パッド62aに接続されている。制御パッド62dはトランジスタ15の制御端子に接続されている。これにより、多層基板1と半導体チップ5のコンタクト不良を非破壊で検出することができる。
【0042】
実施の形態7.
図20は、実施の形態7に係る半導体チップの表面を示す図である。
図21は、実施の形態7に係る多層基板の上面を示す図である。
図22は、実施の形態7に係る半導体チップを多層基板にフリップチップ実装した状態を示す断面図である。
図22は
図20及び
図21のI-IIに沿った断面図に対応する。
【0043】
半導体チップ5の表面には、パッド6として、パッド63aと、パッド63aに線路13により接続されたパッド63b,63cとが形成されている。パッド63aは、内部回路12に接続されたDC供給用パッド又はRF電極パッドである。
【0044】
多層基板1の上面には、上面電極2として、パッド63aに形成されたピラー7にはんだ8により接続された上面電極23aと、パッド63b,63cに形成されたピラー7にはんだ8により個別に接続された上面電極23bとが形成されている。
【0045】
多層基板1の下面には、下面電極3として、スルーホール4により上面電極23aにそれぞれ個別に接続された下面電極33a,33bと、スルーホール4により上面電極23bにそれぞれ個別に接続された下面電極33c,33dとが形成されている。その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0046】
例えば、電流を流すフォース端子として外側の下面電極33c,33bを用い、電圧を測定するセンス端子として内側の下面電極33a,33dを用いて、4端子抵抗測定を実施する。コンタクト不良時はopenとなり、コンタクト正常時はshortとなる。よって、多層基板1と半導体チップ5のコンタクト不良を非破壊で検出することができる。
【0047】
パッドのはんだ接続が正常な場合と不完全な場合の抵抗値の違いは軽微であるため、検査装置と下面電極の間のコンタクト抵抗が検査の障害となる。これに対して、センス端子には電流を流さないため、コンタクト抵抗を無視できる。このため、両者の抵抗値の違いを読み取ることで、接続が正常か不完全かを判別することができる。
【0048】
実施の形態8.
図23は、実施の形態8に係る半導体チップの表面を示す図である。
図24は、実施の形態8に係る多層基板の上面を示す図である。
図25は、実施の形態8に係る半導体チップを多層基板にフリップチップ実装した状態を示す断面図である。
図25は
図23及び
図24のI-IIに沿った断面図に対応する。
【0049】
実施の形態7との相違点として、パッド63a,63b,63cは、内部回路12に接続されず、半導体チップ5の表面の四隅のうちの少なくとも3か所に形成された検査パッドである。その他の構成は実施の形態1,7と同様である。
【0050】
それぞれの箇所の検査パッドについてコンタクトがオープンかショートかをチェックし、全てのコンタクトがショートの場合、半導体チップ5が平坦に実装されていると判断できる。この場合、電極パッドについてもコンタクトしていると判断できる。よって、多層基板1と半導体チップ5のコンタクト不良を非破壊で検出することができる。なお、パッド63a,63b,63cを半導体チップ5の表面の四隅に形成してもよいし、半導体チップ5の中央部に形成してもよい。
【0051】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
多層基板と、
前記多層基板にフリップチップ実装され、内部回路を有する半導体チップとを備え、
複数のパッドが前記半導体チップの表面に形成され、
複数のピラーが前記複数のパッドに形成され、
複数の上面電極が前記多層基板の上面に形成され、
複数の下面電極が前記多層基板の下面に形成され、それぞれスルーホールを介して前記複数の上面電極に接続され、
前記複数のピラーはそれぞれ前記複数の上面電極にはんだにより接続され、
前記複数のパッドは、前記内部回路に接続された電極パッドと、前記内部回路に接続されず前記半導体チップの表面の四隅のうちの少なくとも3か所に形成された複数の検査パッドを有し、
隣接する検査パッドは線路により互いに接続されていることを特徴とする半導体装置。
(付記2)
前記複数の検査パッドは、前記半導体チップの表面の四隅に形成された第1から第4の検査パッドを有することを特徴とする付記1に記載の半導体装置。
(付記3)
前記複数の検査パッドは、前記半導体チップの中央部に形成された第5の検査パッドを有することを特徴とする付記1又は2に記載の半導体装置。
(付記4)
隣接する検査パッドの間に抵抗が接続されていることを特徴とする付記1~3の何れか1項に記載の半導体装置。
(付記5)
前記多層基板が実装されたプリント基板を更に備え、
前記線路は、前記半導体チップの表面の外周に沿って形成され、
前記複数の検査パッドの何れかに接続された前記下面電極は前記プリント基板のGND端子に接続されていることを特徴とする付記2に記載の半導体装置。
(付記6)
多層基板と、
前記多層基板にフリップチップ実装され、内部回路とトランジスタを有する半導体チップとを備え、
複数のパッドが前記半導体チップの表面に形成され、
複数のピラーが前記複数のパッドに形成され、
複数の上面電極が前記多層基板の上面に形成され、
複数の下面電極が前記多層基板の下面に形成され、それぞれスルーホールを介して前記複数の上面電極に接続され、
前記複数のピラーはそれぞれ前記複数の上面電極にはんだにより接続され、
前記複数のパッドは、前記トランジスタを介して前記内部回路に接続された電極パッドと、前記電極パッドに接続された検査パッドと、前記トランジスタの制御端子に接続された制御パッドとを有することを特徴とする半導体装置。
(付記7)
多層基板と、
前記多層基板にフリップチップ実装された半導体チップとを備え、
複数のパッドが前記半導体チップの表面に形成され、
複数のピラーが前記複数のパッドに形成され、
複数の上面電極が前記多層基板の上面に形成され、
複数の下面電極が前記多層基板の下面に形成され、それぞれスルーホールを介して前記複数の上面電極に接続され、
前記複数のピラーはそれぞれ前記複数の上面電極にはんだにより接続され、
前記複数のパッドは、第1のパッドと、前記第1のパッドに接続された第2のパッドを有し、
前記複数の上面電極は、前記第1のパッドに形成された前記ピラーに前記はんだにより接続された第1の上面電極と、前記第2のパッドに形成された前記ピラーに前記はんだにより接続された第2の上面電極とを有し、
前記複数の下面電極は、前記第1の上面電極にそれぞれ個別に接続された第1及び第2の下面電極と、前記第2の上面電極にそれぞれ個別に接続された第3及び第4の下面電極とを有することを特徴とする半導体装置。
(付記8)
前記半導体チップは内部回路を有し、
前記第1のパッドは前記内部回路に接続されていることを特徴とする付記7に記載の半導体装置。
(付記9)
前記半導体チップは内部回路を有し、
前記第1及び第2のパッドは、前記内部回路に接続されず前記半導体チップの表面の四隅のうちの少なくとも3か所に形成されていることを特徴とする付記7に記載の半導体装置。
(付記10)
前記第1及び第2のパッドは、前記半導体チップの表面の四隅に形成されていることを特徴とする付記9に記載の半導体装置。
(付記11)
前記第1及び第2のパッドは、前記半導体チップの中央部に形成されていることを特徴とする付記9又は10に記載の半導体装置。
(付記12)
前記半導体チップの裏面にダイボンドされたヒートシンクと、
前記多層基板、前記半導体チップ及び前記ヒートシンクを封止するモールド樹脂とを備え、
前記ヒートシンクの上面は前記モールド樹脂から露出していることを特徴とする付記1~11の何れか1項に記載の半導体装置。
【符号の説明】
【0052】
1 多層基板、2,21a~21e,22a~22c,23a,23b 上面電極、3,31a~31e,32a~32c,33a~33d 下面電極、4 スルーホール、5 半導体チップ、6,63a,63b,63c パッド、6a~6g,62a 電極パッド、61a~61e,62b,62c 検査パッド、62d 制御パッド、7 ピラー、8 はんだ、10 ヒートシンク、11 モールド樹脂、12 内部回路、13 線路、14 プリント基板、15 トランジスタ、R1~R4 抵抗