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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151107
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】異品番検出構造
(51)【国際特許分類】
   H01R 43/20 20060101AFI20241017BHJP
【FI】
H01R43/20 Z
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064247
(22)【出願日】2023-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】本間 秀輝
(72)【発明者】
【氏名】今村 政紀
【テーマコード(参考)】
5E063
【Fターム(参考)】
5E063HB14
5E063XA09
5E063XA20
(57)【要約】
【課題】本発明は、専用形状を設けることなくハウジングの識別を可能とする異品番検出構造を提供することを目的とする。
【解決手段】異品番検出構造10は、コネクタ1と押込み治具6との組み合わせが正規であるか否かを検出するものであって、コネクタは、バスバ2と、バスバ収容室30を有するハウジング3と、を備え、ハウジングは、ハウジング本体の内部を仕切ってバスバ同士を絶縁する絶縁壁42を有し、押込み治具は、治具本体60と、バスバを押込む押込み部61と、検出部62と、を備え、押込み治具をハウジングに押し付けた際に、検出部が絶縁壁に当接しない場合には、ハウジングと押込み治具が正規組み合わせであることが検出され、押込み治具をハウジングに押し付けた際に、検出部が絶縁壁に当接した場合には、ハウジングと押込み治具が非正規組み合わせであることが検出される。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタと押込み治具との組み合わせが正規であるか否かを検出するための異品番検出構造であって、
前記コネクタは、複数のバスバと、前記複数のバスバをそれぞれ収容する複数のバスバ収容室を有するハウジングと、を備え、
前記ハウジングは、筒状に形成されたハウジング本体と、該ハウジング本体の内部を仕切って前記バスバ同士を絶縁する絶縁壁と、を有し、前記絶縁壁で仕切られた空間には前記バスバ収容室が設けられ、
前記押込み治具は、治具本体と、該治具本体から突出して設けられて前記バスバを押込む複数の押込み部と、前記治具本体に設けられて前記ハウジングが正規であるか否かを検出する検出部と、を備え、
前記押込み治具を前記ハウジングに押し付けた際に、前記検出部が前記絶縁壁に当接しない場合には、前記ハウジングと前記押込み治具が正規組み合わせであることが検出され、
前記押込み治具を前記ハウジングに押し付けた際に、前記検出部が前記絶縁壁に当接した場合には、前記ハウジングと前記押込み治具が非正規組み合わせであることが検出されることを特徴とする異品番検出構造。
【請求項2】
前記検出部は、前記治具本体から突出して設けられた当接部であり、
前記ハウジングと前記押込み治具が正規組み合わせである場合には、前記当接部が前記絶縁壁に当接せずに、前記押込み部による前記バスバの前記バスバ収容室への押込みが許容され、
前記ハウジングと前記押込み治具が非正規組み合わせである場合には、前記当接部が前記絶縁壁に当接して前記押込み部による前記バスバの押込みが規制されることを特徴とする請求項1に記載の異品番検出構造。
【請求項3】
前記治具本体は、前記絶縁壁の先端面に接触可能な接触面を有し、前記押込み部および前記当接部は、前記接触面から突出して設けられ、
前記押込み治具は、前記押込み部による前記バスバの押込みが許容された際に、前記バスバの押込みが完了した位置で、前記接触面は前記絶縁壁の先端面に接触するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の異品番検出構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異品番検出構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車には、多種多様な電子機器が搭載され、電子機器に電力や制御信号等を伝えるために、ワイヤハーネスが配索されている。ワイヤハーネスは、複数の電線と、コネクタと、を備え、このコネクタを電子機器のコネクタや他のワイヤハーネスのコネクタに嵌合させることで、電子機器や他のワイヤハーネスに接続されている。
【0003】
このようなワイヤハーネスに用いられるジョイントコネクタとしては、平坦帯状の基板部から複数(この例の場合は、2個)の舌状のタブ端子を延出させた構造をなす略平板状のバスバと、このバスバを収容保持するコネクタハウジングと、を備えて構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
コネクタハウジングは、バスバを嵌入係止する偏平、かつ幅狭なバスバ係止溝が後端面に2列に開設されると共に、前方には開口部が設けられてバスバ係止溝に嵌入したバスバの各タブ端子を該開口部内に突出させている。また、コネクタハウジングには後端面において、バスバ係止溝に直交するように構成されて、バスバをバスバ係止溝内に挿入するための治具案内溝が設けられている。
【0005】
このようなジョイントコネクタを組み立てる場合には、バスバの各タブ端子をバスバ係止溝に近付けて挿入し、バスバ挿入用治具を治具案内溝に近付けて、バスバの基板部を押圧する。これにより、バスバはバスバ係止溝に嵌入係止されて、コネクタハウジングに収容保持されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8-17531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のジョイントコネクタにあって、例えば、コネクタハウジングに、ジョイント極数や配列が異なるバスバが収容される場合には、該コネクタハウジングに異なる品番が割り振られて管理されることとなる。この場合に、所望の品番であるか否かを識別するためにコネクタハウジングに専用形状を設けることが考えられるが、専用形状を設けることによりコネクタハウジング(ハウジング)が大型化する懸念があった。
【0008】
本発明は、大型化することなくハウジングの識別を可能とする異品番検出構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、コネクタと押込み治具との組み合わせが正規であるか否かを検出するための異品番検出構造であって、前記コネクタは、複数のバスバと、前記複数のバスバをそれぞれ収容する複数のバスバ収容室を有するハウジングと、を備え、前記ハウジングは、筒状に形成されたハウジング本体と、該ハウジング本体の内部を仕切って前記バスバ同士を絶縁する絶縁壁と、を有し、前記絶縁壁で仕切られた空間には前記バスバ収容室が設けられ、前記押込み治具は、治具本体と、該治具本体から突出して設けられて前記バスバを押込む複数の押込み部と、前記治具本体に設けられて前記ハウジングが正規であるか否かを検出する検出部と、を備え、前記押込み治具を前記ハウジングに押し付けた際に、前記検出部が前記絶縁壁に当接しない場合には、前記ハウジングと前記押込み治具が正規組み合わせであることが検出され、前記押込み治具を前記ハウジングに押し付けた際に、前記検出部が前記絶縁壁に当接した場合には、前記ハウジングと前記押込み治具が非正規組み合わせであることが検出されることを特徴とする異品番検出構造である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、専用形状を設けることなくハウジングの識別を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施の形態に係る異品番検出構造を構成するコネクタを示す分解斜視図である。
図2】前記コネクタを前方から見た平面図である。
図3】(A)は図2中のI-I線に沿う断面図であり、(B)は(A)の要部を拡大して示す図である。
図4】前記コネクタを後方から見た平面図である。
図5】(A)は前記コネクタを組み立てるための押込み治具を示す斜視図であり、(B)は、(A)を拡大して示す図である。
図6】前記ハウジングと前記押込み治具が正規組み合わせである場合を説明するための図であり、(A)は前記コネクタを後方から見た図であり、(B)は(A)中のII-II線に沿う断面図であって押込み部によるバスバの押込みが許容される様子を説明するための図である。
図7】前記ハウジングと前記押込み治具が非正規組み合わせである場合を説明するための図であり、(A)は前記コネクタを後方から見た図であり、(B)は(A)中のIII-III線に沿う断面図であって押込み部によるバスバの押込みが規制される様子を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図1~7に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係る異品番検出構造10を構成するコネクタ1を示す分解斜視図である。
【0013】
本実施形態の異品番検出構造10は、図6、7に示すように、コネクタ1と押込み治具6との組み合わせが正規であるか否かを検出するためのものであって、コネクタ1と、該コネクタ1を組み立てるための押込み治具6と、を備える。異品番検出構造10は、押込み治具6を用いて、コネクタ1を構成するハウジング3が所望の品番が割り振られたハウジング3であるか否かを検出するためのものである。
【0014】
コネクタ1は、図1~3に示すように、複数のタブ端子20を有する複数のバスバ2と、該複数のバスバ2を収容するバスバ収容室30(図3に示す)を有するハウジング3と、を備える。このコネクタ1は、図1、3に示すように、バスバ2がバスバ収容室30に収容された状態で、各タブ端子20が雌型の端子金具7(図1に示す、以下雌端子7と記す)に挿入接続されるように構成されている。
【0015】
このようなコネクタ1においては、ジョイント極数やバスバ2の配列が異なって、バスバ収容室30の形状が異なる複数のハウジング3A、3B(3)が存在し、これらのハウジング3A、3Bには、異なる品番が割り振られて管理されている。本実施形態の押込み治具6は、ハウジング3Aに対応するものであって、ハウジング3Aと押込み治具6はセットで用いられる。ハウジング3A、3Bは、後述する絶縁壁42の位置が異なる点が相違する。押込み治具6は、ハウジング3における絶縁壁42の位置に応じて、ハウジング3が所望の品番であるか否かを検知する。以下では、区別が必要な場合にのみハウジング3A、3Bと記載し、それ以外ではハウジング3と記載する。
【0016】
バスバ2は、図1、3に示すように、長方形板状の基部21と、該基部21における左右方向Y(基部21の長手方向)の所定位置から前方X1に延出された複数本のタブ端子20と、を一体に有して構成されている。
【0017】
各タブ端子20には、図1、3に示すように、その幅方向Yの両側に延出された一対の延出片22、22が設けられている。一対の延出片22、22は、幅方向Yの延出量が、前方X1にむかうにしたがって徐々に小さくなるように形成されている。また各タブ端子20は、図3に示すように、バスバ2がバスバ収容室30に収容された際に、後述する収容空間構成部4の変位規制部44に当接して、各タブ端子20の幅方向Yの変位を規制するように構成されている。本実施形態では、各バスバ2が有するタブ端子20の数は異なっている。各バスバ2が有するタブ端子20の数は3本以上6本以下である。
【0018】
本実施形態では、各タブ端子20が延在する方向を前後方向Xとし、前後方向Xに直交する2方向をそれぞれ方向Y及び方向Zとする。前後方向Xのうち、各タブ端子20の先端側を「前方X1」と記し、これとは反対方向の基端側を「後方X2」と記す場合がある。方向Yは、タブ端子20の幅方向Y(左右方向Yと記す場合がある)であり、方向Zは各タブ端子20の板厚方向Z(上下方向と記す場合がある)である。板厚方向Zのうち一方を「上方Z1」と記し、他方を「下方Z2」と記す場合がある。
【0019】
ハウジング3は、例えば絶縁性の樹脂から構成されている。このハウジング3は、図3に示すように、前後方向Xを延在方向(筒の軸方向)とする四角筒状のハウジング本体31と、該ハウジング本体31の内部空間を仕切る収容空間構成部4と、該収容空間構成部4によって構成された複数のバスバ収容室30と、複数の雌端子収容室5と、を備える。
【0020】
ハウジング本体31は、図4に示すように、上壁31Aと、該上壁31Aの下方Z2に対向する下壁31Bと、上壁31Aおよび下壁31Bに連続して左右方向Yに対向する一対の側壁31C、31Cと、を備えて構成されている。
【0021】
収容空間構成部4は、図3、4に示すように、ハウジング本体31を上下方向Zに仕切る上下仕切り壁41と、該上下仕切り壁41によって仕切られた空間において、バスバ2同士を絶縁する絶縁壁42と、該絶縁壁42によって仕切られた空間において、各バスバ収容室30に設けられた後述する複数のタブ端子収容室33同士を仕切る左右仕切り壁43(図3に示す)と、各バスバ収容室30に設けられたバスバ2の変位を規制する変位規制部44(図3に示す)と、各バスバ収容室30に設けられたバスバ2を挟んで支持するバスバ挟持部45(図4に示す)と、を備える。
【0022】
上下仕切り壁41は、図4に示すように、本実施形態では2個設けられており、ハウジング本体31は上下仕切り壁41によって上下方向Zに3つの空間に仕切られている。各上下仕切り壁41は、前後方向Xおよび左右方向Yを含む平面上に延在して設けられている。
【0023】
また上下仕切り壁41(およびハウジング本体31の下壁31B)には、図3に示すように、雌端子収容室5に収容された雌端子7を係止するランス410が設けられている。ランス410は、雌端子収容室5毎に1個設けられている。またランス410は、自然状態で、各雌端子収容室5の後方X2に進むにしたがって斜め上方Z1に向けて延びて形成されている。
【0024】
絶縁壁42は、図3、4に示すように、ハウジング本体31の上壁31A(または上下仕切り壁41)の下方Z2に連続して設けられているとともに、前後方向Xおよび上下方向Zを含む平面状に延在して設けられている。この絶縁壁42の後方X2の先端面42Sは、前後方向Xにおいて、バスバ収容室30の後端と同じ位置であって、バスバ2が後述するバスバ収容室30に収容された状態で、バスバ2の後端より後方X2に位置するように構成されている。
【0025】
左右仕切り壁43は、図3に示すように、ハウジング本体31の上壁31A(または上下仕切り壁41)の下方Z2に連続して設けられているとともに、前後方向Xおよび上下方向Zを含む平面状に延在して設けられている。この左右仕切り壁43の後端は、バスバ2が後述するバスバ収容室30に収容された状態で、バスバ2の基部21より前方X1かつ、各タブ端子20の前端より後方X2に位置するように構成されている。
【0026】
変位規制部44は、図3(B)に示すように、絶縁壁42および左右仕切り壁43に設けられて、各バスバ2がバスバ収容室30に収容された状態で、各タブ端子20に設けられた一対の延出片22、22に当接される位置に設けられている。また変位規制部44は、左右方向Yにおいて、前方X1に向かうにしたがって突出量が大きくなるように形成されて、一対の延出片22、22が当接した際に、各タブ端子20の左右方向Yの変位を規制して、左右方向Yにおいて、各タブ端子20を所定の位置に位置付けるように構成されている。
【0027】
バスバ挟持部45は、図4に示すように、バスバ2における基部21を互いの間に挟んで保持する一対の挟持片45A、45Bを有して構成されている。
【0028】
バスバ挟持部45は、図4に示すように、複数(左右仕切り壁43と同じ数だけ)設けられている。複数のバスバ挟持部45は、左右方向Yに間隔(以下では治具案内溝34と記す場合がある)をあけて設けられている。
【0029】
各挟持片45A、45Bは、平板状に形成されているとともに、上下方向Zに対向して設けられている。各挟持片45A、45Bは、前後方向Xおよび左右方向Yを含む平面上に延在して設けられている。また各挟持片45A、45Bは、左右仕切り壁43の上端および下端に連続して、後方X2に延びて形成されている。
【0030】
複数のバスバ収容室30は、それぞれ、図4に示すように、各バスバ2が収容可能に構成されている。本実施形態では、バスバ収容室30は3段に積層されている。以下では、図4に示すように、上方Z1に位置するバスバ収容室30を「第1バスバ収容室30A」と記し、下方Z2に位置するバスバ収容室30を「第3バスバ収容室30C」と記し、第1バスバ収容室30Aと第3バスバ収容室30Cとの間に位置するバスバ収容室30を「第2バスバ収容室30B」と記す場合がある。
【0031】
各バスバ収容室30は、図3に示すように、基部21が収容される基部収容室32と、各タブ端子20が収容される複数のタブ端子収容室33と、を備える。基部収容室32は、各タブ端子収容室33の後方X2に連続して設けられているとともに、左右方向Yに連続して設けられている。
【0032】
各タブ端子収容室33は基部収容室32の左右方向Yの所定位置から前方X1に連続して設けられている。また各タブ端子収容室33は、各タブ端子20を収容可能なように、前後方向Xに延在して設けられている。
【0033】
複数の雌端子収容室5は、図3(A)に示すように、左右方向Yに並んで設けられている。また各雌端子収容室5は、各雌端子7を収容可能なように、前後方向Xに延在して設けられている。即ち、これらの各雌端子収容室5および各タブ端子収容室33は直線上に並んで設けられているとともに、各雌端子収容室5は、各タブ端子収容室33の前方X1側に設けられている。
【0034】
このような雌端子収容室5に雌端子7が挿入されると、雌端子7が当接してランス410が一次的に撓み、さらに挿入が進んで、雌端子7が適正位置まで到達した際に、ランス410が復元して、雌端子7が係止されて、雌端子7は雌端子収容室5に収容されるようになっている。また、各雌端子収容室5に雌端子7が収容された状態で、各バスバ2が各バスバ収容室30に収容されるとともに、各タブ端子20が各タブ端子収容室33に挿入されることにより、雌端子7よびタブ端子20が電気的に接続されるようになっている。
【0035】
さらにハウジング3には、図4に示すように、後述する押込み治具6の押込み部61が挿入される治具案内溝34が設けられている。治具案内溝34は、左右方向Yに隣接するバスバ挟持部45の間にあって、後述する押込み治具6の押込み部61が挿入される空間から構成されている。
【0036】
押込み治具6は、図5に示すように、直方体状の治具本体60と、該治具本体60の前面60f(接触面)から前方X1に突出して設けられた押込み部61と、異品番検出部62(検出部、当接部)と、を備える。押込み部61は、上下方向Zに延在する突条に設けられ、ハウジング3に設けられた治具案内溝34に対応するように、左右方向Yに間隔をあけて設けられている。
【0037】
このような各押込み部61の突出寸法(前後方向Xの寸法)は、バスバ2の後端がバスバ収容室30の後端(前後方向Xにおいて絶縁壁42の先端面42Sと同じ位置)からバスバ収容室30の所定位置に到達するまでの距離に対応する寸法となるように構成されている。これにより、押込み治具6をハウジング3に押し付けた場合に、バスバ2が押込み部61によって押され、押込み部61によって押されたバスバ2がバスバ収容室30の所定位置に到達した際に、治具本体60の前面60fがバスバ収容室30の後端、即ち絶縁壁42の先端面42Sに当接して、押込み治具6のハウジング3への移動が停止されるように構成されている。
【0038】
異品番検出部62は、図5に示すように、本実施形態では2個設けられている。2個の異品番検出部62は、治具本体60の前面60fから前方X1に突出して設けられている。本実施形態の異品番検出部62は移動不能(変位不可能)に構成されている。また異品番検出部62は、左右方向Yの中央部に位置しているとともに、左右方向Yに隣接する押込み部61、61の間に架け渡されて構成されている。また、2個の異品番検出部62は上下方向Zに並んで設けられ、上方Z1側の異品番検出部62は、第1バスバ収容室30Aに対応する位置に設けられ、下方Z2側の異品番検出部62は、第2バスバ収容室30Bに対応する位置に設けられている。
【0039】
このような異品番検出部62は、図6(A)に示すように、押込み治具6の押込み部61を治具案内溝34に近付けて、押込み治具6をハウジング3A(3)に押し付けた際に、異品番検出部62に当接する位置に絶縁壁42がない場合には、図6(B)に示すように、押込み部61および異品番検出部62がバスバ2を押し込んで、バスバ2をバスバ収容室30の所定位置まで到達させる。即ち、押込み部61によるバスバ2の押込みが許容される。このように押込み部61によるバスバ2の押込みが許容されることにより、ハウジング3Aと押込み治具6が正規組み合わせであり、当該ハウジング3Aが、所望の品番のハウジング3Aであることが作業者に検知される。なお、図6(B)において、コネクタ1の断面を示すハッチングは省略されている。
【0040】
また異品番検出部62は、図7(A)に示すように、押込み治具6の押込み部61を治具案内溝34に近付けて、押込み治具6をハウジング3B(3)に押し付けた際に、異品番検出部62に当接する位置に絶縁壁42が設けられた場合には、図7(B)に示すように、異品番検出部62が絶縁壁42に当接して、押込み治具6の移動が規制される。即ち、押込み部61によるバスバ2の押込みが規制される。このように押込み部61によるバスバ2の押込みが規制されることにより、治具本体60の前面60fと絶縁壁42の先端面42Sとは離間して隙間Sが空いた状態となる。このようにして、ハウジング3Bと押込み治具6が非正規組み合わせであり、当該ハウジング3Bが、異品番のハウジング3Bであることが作業者に検知される。なお、図7(B)において、コネクタ1の断面を示すハッチングは省略されている。
【0041】
このようなコネクタ1について押込み治具6を用いて組み立てる手順について、図6(A)(B)を参照して説明する。
【0042】
各バスバ2の各タブ端子20の先端を、各バスバ収容室30の後端に近付けて挿入する。ここで、押込み治具6の押込み部61を治具案内溝34に近付けて、押込み治具6をハウジング3A(3)に押し付ける。これにより押込み部61および異品番検出部62がバスバ2を押し込んで、バスバ2をバスバ収容室30の所定位置まで到達させる。治具本体60の前面60fが絶縁壁42の先端面42Sに当接し、バスバ2がバスバ収容室30の所定位置に到達して、押込み治具6のハウジング3への移動が停止される。このように、異品番検出部62が絶縁壁42に当接せず、押込み部61によるバスバ2の押込みが許容されることにより、ハウジング3Aと押込み治具6が正規組み合わせであり、当該ハウジング3Aが、所望の品番のハウジング3Aであることが作業者に検知される。
【0043】
ここで、仮に、図7(A)に示すように、押込み治具6の押込み部61を治具案内溝34に近付けて、押込み治具6をハウジング3Bに押し付けた際に、図7(B)に示すように、異品番検出部62が絶縁壁42に当接した場合には、押込み治具6のそれ以上の移動が規制される。即ち、押込み部61によるバスバ2の押込みが規制される。このように押込み部61によるバスバ2の押込みが規制されることにより、ハウジング3Bと押込み治具6が非正規組み合わせであり、当該ハウジング3Bが、異品番のハウジング3Bであることが作業者に検知されることとなる。
【0044】
このようにバスバ2がバスバ収容室30の所定位置に到達し、ハウジング3Aが、所望の品番のハウジング3Aであることが作業者に検知されると略同時に、バスバ2は、各タブ端子20の各延出片22がバスバ収容室30の変位規制部44に当接して、各バスバ2の左右方向Yの変異が規制される。また、各タブ端子20は雌端子7の内部に挿入されて、雌端子7と各タブ端子20が電気的に接続される。これによりバスバ2はバスバ収容室30に収容される。このようにしてコネクタ1を組み立てる。
【0045】
上述した実施形態によれば、押込み治具6をハウジング3に押し付けた際に、異品番検出部62(検出部)が絶縁壁42に当接しない場合には、ハウジング3と押込み治具6が正規組み合わせであることが検出され、押込み治具6をハウジング3に押し付けた際に、異品番検出部62が絶縁壁42に当接した場合には、ハウジング3と押込み治具6が非正規組み合わせであることが検出される。これによれば、専用形状を設けることなくハウジング3が所望の品番であることが確認できる。即ち、専用形状を設けることなくハウジング3の識別を可能とすることができるから、コンパクトな形状で製品を提供することができる。また、押込み治具6について、ハウジング3における絶縁壁42の位置に応じて、異品番検出部62(当接部)の位置や数を変更することで、数多くの組み合わせに対応することができる。これによれば、低コストでハウジング3の識別を可能とする構成を実現できる。
【0046】
また、異品番検出部62(当接部)は、治具本体60から突出して設けられ、ハウジング3と押込み治具6が正規組み合わせである場合には、異品番検出部62が絶縁壁42に当接せずに押込み部61によるバスバ2の押込みが許容され、ハウジング3と押込み治具6が非正規組み合わせである場合には、異品番検出部62が絶縁壁42に当接して押込み部61によるバスバ2の押込みが規制される。これによれば、押込み治具6によるバスバ2の押込みが許容された際に、コネクタ1(即ちハウジング3)が所望の品番であることが作業者に検知され、押込み治具6によるバスバ2の押込みが規制された際に、コネクタ1(即ちハウジング3)が所望の品番ではない異品番であることが作業者に検知される。このようにコネクタ1を組み立てる工程において、作業工程数を増やすことなく、当該コネクタ1(即ちハウジング3)が異品番であるか否かを検出することができるから、組立てコストの低減を図ることができる。
【0047】
また治具本体60は、絶縁壁42の先端面42Sに接触可能な前面60f(接触面)を有し、押込み部61および異品番検出部62(当接部)は、前面60fから突出して設けられ、押込み治具6は、押込み部61によるバスバ2の押込みが許容された際に、バスバ2の押込みが完了した位置で、前面60fは絶縁壁42の先端面42Sに当接するように構成されている。これによれば、治具本体60の前面60fが絶縁壁42の先端面42Sに当接した際に、バスバ2の押込みが完了したことが作業者に認識される。これにより、コネクタ1の組立て作業性の向上を図ることができる。
【0048】
尚、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
【0049】
前記実施形態では、異品番検出部62(検出部、当接部)は移動不能(変位不可能)に構成されているが、本発明はこれに限定されるものではない。検出部は、可動式のプローブピンで構成されていてもよい。この場合には、押込み治具6をハウジング3に押し付けた際に、プローブピン(検出部)が絶縁壁42に当接せずにプローブピンが変位(移動)しない場合には、ハウジング3と押込み治具6が正規組み合わせであって、当該ハウジング3が、所望の品番のハウジング3であることが作業者に検知され、押込み治具6をハウジング3に押し付けた際に、プローブピンが絶縁壁42に当接してプローブピンが変位(移動)した場合には、ハウジング3と押込み治具6が非正規組み合わせであって、当該ハウジング3が、異品番のハウジング3であることが作業者に検知されるように構成されていてもよい。
【0050】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部、もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0051】
10 異品番検出構造
1 コネクタ
2 バスバ
3 ハウジング
6 押込み治具
30 バスバ収容室
31 ハウジング本体
42 絶縁壁
42S 絶縁壁の先端面
60 治具本体
60f 前面(接触面)
61 押込み部
62 異品番検出部(検出部、当接部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7