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特開2024-151109不織布シートの製造方法、不織布シートの製造装置および不織布シート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151109
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】不織布シートの製造方法、不織布シートの製造装置および不織布シート
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/04 20060101AFI20241017BHJP
【FI】
C08J5/04 CEP
C08J5/04 CFG
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064249
(22)【出願日】2023-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石黒 亮
(72)【発明者】
【氏名】木村 公一
【テーマコード(参考)】
4F072
【Fターム(参考)】
4F072AB04
4F072AB05
4F072AB06
4F072AB10
4F072AD01
4F072AD44
4F072AG03
4F072AH02
4F072AH03
4F072AH25
4F072AJ04
4F072AJ15
4F072AJ23
4F072AJ25
4F072AL01
(57)【要約】
【課題】低粘度の液状材料を用いる場合であっても、不織布シートを安定して製造する。
【解決手段】(a)原料を含有する、粘度が100000mPa・s以下の液状材料LMを調整する工程、(b)不織布NW上に、液状材料LMを塗工機によりシート状に塗工する工程、(c)液状材料LMを不織布NWに含浸させる工程、(d)不織布NWに含浸した液状材料LMを固化させ、不織布シート50を得る工程、および(e)不織布シート50を巻き取る工程、を有する不織布シートの製造方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む、不織布シートの製造方法:
(a)原料を含有する、粘度が100000mPa・s以下の液状材料を調整する工程;
(b)前記(a)工程の後、不織布上に、前記液状材料を塗工機によりシート状に塗工する工程;
(c)前記(b)工程の後、前記液状材料を前記不織布に含浸させる工程;
(d)前記(c)工程の後、前記不織布に含浸した前記液状材料を固化させ、不織布シートを得る工程;および
(e)前記(d)工程の後、前記不織布シートを巻き取る工程。
【請求項2】
請求項1に記載の不織布シートの製造方法において、
前記不織布が、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、レーヨン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、アラミドガラス繊維、および炭素繊維から選ばれる少なくとも1種を含有する材料からなる、シートの製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の不織布シートの製造方法において、
前記不織布の目付が0.1g/m~10000g/mの範囲である、不織布シートの製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載の不織布シートの製造方法において、
前記(c)工程において、前記液状材料の含浸を前記不織布の上下に配置した含浸ロールにより行う、不織布シートの製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の不織布シートの製造方法において、
前記(c)工程において、前記不織布に対して、前記含浸ロールにより加圧する、不織布シートの製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の不織布シートの製造方法において、
前記含浸ロールによる加圧が、0.01~100MPaである、不織布シートの製造方法。
【請求項7】
請求項1に記載の不織布シートの製造方法において、
前記原料として、グルコマンナン、セルロース系材料、ゼラチンおよび寒天から選ばれる少なくとも1種を含有する粉末状フィラーを用いる、不織布シートの製造方法。
【請求項8】
請求項1に記載の不織布シートの製造方法において、
前記液状材料が、前記原料と溶媒とを含んでおり、
前記(d)工程において、前記溶媒を加熱により揮発させる乾燥処理工程を有する、不織布シートの製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の不織布シートの製造方法において、
前記溶媒が、水またはアルコールである、不織布シートの製造方法。
【請求項10】
以下を含む、不織布シートの製造装置:
原料を含有する、粘度が100000mPa・s以下の液状材料を調整し、貯留する原料容器;
不織布を送り出す不織布搬出部;
前記不織布搬出部から送り出した前記不織布上に、前記液状材料をシート状に塗工する塗工機;
塗工された前記液状材料を、前記不織布に含浸させる含浸領域;
前記不織布に含浸された前記液状材料を固化させ、シートとする固化領域;および
前記液状材料が固化して得られた不織布シートを巻き取るシート巻取り部。
【請求項11】
請求項10に記載の不織布シートの製造装置であって、
前記固化領域において、前記シート中の溶媒を加熱により揮発させる乾燥処理部を有する、不織布シートの製造装置。
【請求項12】
請求項11に記載の不織布シートの製造装置であって、
前記液状材料が、前記原料と溶媒とを含んでおり、
前記固化領域において、揮発した前記溶媒を回収する回収部を有する、不織布シートの製造装置。
【請求項13】
以下を含む、不織布シート:
不織布;および
前記不織布に含浸、固化した、グルコマンナン、セルロース系材料、ゼラチンおよび寒天から選ばれる少なくとも1種を含有する含浸材料。
【請求項14】
請求項13に記載の不織布シートであって、
前記不織布シートが2以上の層を積層した多層構造を有し、前記不織布シートを1層以上有する、不織布シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不織布シートの製造方法、不織布シートの製造装置および不織布シートに関する。
【背景技術】
【0002】
シートの製造方法としては、押出機により原料を溶融し、得られた溶融樹脂を押出成形用ダイ(Tダイ)からシート形状に押出すことにより製造する方法が広く知られている(例えば、特許文献1(特開2020-146853号公報)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-146853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この押出される溶融樹脂は、押出成形用ダイ(Tダイ)から冷却ロールまで所定の距離(エアギャップ)が設けられるため、そのエアギャップ間において、溶融樹脂の自重や張力、速度等により、ダイス幅よりも得られるフィルム幅が狭くなるネックインと呼ばれる現象が生じる。
【0005】
このとき、溶融樹脂の粘度が低い場合には、そのネックイン量が大きくなる傾向にあり、求める形状のシートを製造することが困難となる場合がある。
【0006】
そこで、本発明は、樹脂材料から構成されるシートを製造するにあたって、原料を含む液状材料の粘度が低い場合であっても、求める形状のシートを得ることができる不織布シートの製造方法および不織布シートの製造装置を提供することを目的とする。
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施の形態である不織布シートの製造方法は、(a)原料を含有する、粘度が100000mPa・s以下の液状材料を調整する工程、(b)不織布上に、液状材料を塗工機によりシート状に塗工する工程、(c)液状材料を不織布に含浸させる工程、(d)不織布に含浸した液状材料を固化させ、不織布シートを得る工程、(e)不織布シートを巻き取る工程、を有する。
【0008】
一実施の形態である不織布シートの製造装置は、原料を含有する、所定の粘度の液状材料を調整し、貯留する原料容器、不織布を送り出す不織布搬出部、不織布に液状材料を塗工する塗工機、不織布に液状材料を含浸させる含浸領域、液状材料を固化させ、不織布シートとする固化領域、不織布シートを巻き取るシート巻取り部、を有する。
【0009】
上記不織布シートの製造方法および不織布シートの製造装置において、液状材料の調整は、その粘度が100000mPa・s以下となるようにする。
【発明の効果】
【0010】
一実施の形態によれば、不織布シートの製造において、押出成形用ダイ(Tダイ)を用いた場合にはネックイン量が大きくなる粘度の液状材料を用いる場合であっても、不織布シートを安定して製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1の不織布シートの製造装置の概略構成を示した図である。
図2図1において、塗工機としてグラビアロールを適用した場合を説明する図である。
図3】実施の形態2の不織布シートの製造装置の概略構成を示した図である。
図4】グルコマンナンの化学構造式を示す図である。
図5】セルロースの化学構造式を示す図である。
図6】不織布シートを用いた、水分回収装置の概略構成を示した図である。
図7】不織布シートを用いた、水分回収装置の概略構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0013】
(実施の形態1)
<不織布シートの製造装置>
図1は、本実施の形態の不織布シートの製造装置の構成を模式的に示す図である。
【0014】
この図1に示した不織布シートの製造装置10は、原料を含有する、粘度が100000mPa・s以下の液状材料LMを調整し、貯留する原料容器11、不織布NWを送り出す不織布搬出部12、不織布搬出部12から送り出した不織布NW上に、液状材料LMを塗工する塗工機13、不織布NW上に塗工されたシート状の液状材料SLMを不織布NW中に含浸させる含浸領域14、不織布NW中に含浸した液状材料SLMを固化させ、不織布シート50とする固化領域15、固化領域15の後段で、不織布シート50を巻き取るシート巻取り部16、を有する。
【0015】
原料容器11は、原料を含有する、粘度が100000mPa・s以下の液状材料を調整し、貯留する容器である。この原料容器11に貯留される液状材料は、後述する塗工機13で不織布NW上に塗工される塗工液と言うこともできる。
【0016】
この原料容器11では、原料を含有し、粘度が100000mPa・s以下の液状材料となるように調整する。例えば、原料を加熱して溶融することにより上記粘度を満たす場合には、その原料のみを原料容器11に貯留できる。この場合、粘度調整としては、原料を上記粘度となるように加熱する加熱部を有するようにすればよい。この加熱部としては、例えば、ヒータ等の加熱源が挙げられ、この加熱源により原料を加熱し、原料容器11内でその温度を保持するようにすればよい。
【0017】
また、原料を溶媒と混合し、粘度が100000mPa・s以下の液状材料となるように調整することもできる。例えば、原料を上記のように加熱、溶融させるためには非常に高温に加熱しなければならない場合、加熱、溶融してもその粘度が100000mPa・sにすることが難しい場合などには、溶媒を用いて原料を溶解し、その粘度を100000mPa・s以下に調整できる。また、加熱、溶融により粘度が100000mPa・s以下となる原料であっても、溶媒を用いて、その粘度を調整することもできる。
【0018】
このように、原料と溶媒とを混合し、原料溶液とする場合は、例えば、この原料容器11に溶媒を供給する溶媒供給部を設け、原料溶液(液状材料)が上記粘度範囲となるように溶媒の供給量を調整するようにする。
【0019】
なお、ここで液状材料の粘度は、塗工機13により塗工するための塗工液の粘度であり、10~80000mPa・sが好ましく、100~10000mPa・sがより好ましい。
【0020】
不織布搬出部12は、不織布NWを送り出す構成の部材である。ここで、不織布NWは、上記液状材料を塗工するための基材である。この不織布搬出部において、不織布NWがロール状に巻かれており、連続して不織布NWを塗工機13まで送り出し、その表面に液状材料を塗工させるようにできる。
【0021】
塗工機13は、原料容器11からポンプ等により送られてくる液状材料を不織布NW上に塗工する装置である。この塗工機13は、シート成形に用いられる公知の塗工機を用いることができ、例えば、ダイコータ、グラビアコータ、バーコータ、ブレードコータ等の接触塗工処理を行う方式の塗工機が挙げられる。塗工機13により、不織布NW上に、一様の幅で液状材料を塗工できる。これら塗工機は、例えば、液状材料の粘度に応じて選択することができる。
【0022】
この塗工機13として、図1ではダイコータを適用した場合を例示している。この場合、液状材料をダイヘッドから押出しながら不織布NW上に塗工するスロットダイ方式のダイコータが好ましい。このとき、塗工機13の液状材料を吐出するスリットと、基材を介して対向する位置にバックロール17が設けられる。
【0023】
また、塗工機13として、図2ではグラビアコータを適用した場合を例示している。図2は、シートの製造装置10において、グラビアコータを用いて、基材BM上へ液状材料LMを塗工する構成を説明する図である。ここで、グラビアコータは内部構成がわかるようにその断面構造を示している。
【0024】
この図2に示したグラビアコータは、縦型の塗工機であり、チャンバー(槽)13aが垂直方向(重力方向に対し平行な方向)に配置されている。この塗工機は、液状材料LMを貯留するためのチャンバー(槽)13aと、チャンバー(槽)13aにその一部が浸かる塗工用のロール(グラビアロール)CRと、液状材料LMの飛び散り防止とロール表面の液量を調整するためのブレード13b、チャンバー(槽)内の液状材料と塗工用ロール(グラビアロール)CRの隙間からの塗工液の漏洩を防止するための第2のブレード13cとを有する。
【0025】
第1のブレード13bは、塗工用ロールCRの回転方向側に、塗工用ロールCRの表面に付着した液状材料LMの液量を調整するように、第1のブレード13bの角度や押付圧を調整できるように配置されている。そして、塗工用ロールCRの表面に付着した液状材料LMが基材BMの表面に転写されることによりシート状の液状材料SLMが形成される。
【0026】
なお、グラビアコータのチャンバー(槽)13aは、縦型であっても、横型であってもよく、横型の場合は、塗工液の漏洩を防止するための第2のブレード13cは不要となり、液状材料LMの飛び散り防止とロール表面の液量を調整するための第1のブレード13bのみを有する構成とできる。
【0027】
含浸領域14は、上記塗工機13で塗工されたシート状の液状材料SLMを不織布NWに含浸させる領域である。この含浸領域14では、シート状の液状材料SLMを不織布NWの繊維の隙間に浸み込ませるものであり、例えば、含浸ロール14aを設けて、シート状の液状材料SLMが塗工された不織布NWを上下から挟み込むようにして、シート状の液状材料SLMを不織布NWに含浸させるようにできる。このとき、図1では、含浸ロール14aを2組設けた例を示しているが、1組でも、3組以上でもよい。また、この含浸ロール14aは、シート状の液状材料SLMが塗工された不織布NWに対して、加圧できる構成とし、含浸を促進させるようにしてもよい。
【0028】
なお、使用する液状材料LMの粘度と不織布NWの目付の関係によっては、塗工機13から不織布NW上へ液状材料LMを塗工すると同時に、不織布NWへ液状材料LMの含浸が進行していく場合があり、この態様で十分な含浸が行える場合は、含浸ロール14a等の含浸部材を設けなくてもよい。
【0029】
固化領域15は、上記含浸領域14でシート状の液状材料SLMが含浸された不織布NWを固化させて、不織布シート50とする領域であり、このとき固化するのは原料である。この固化領域15では、液状材料が原料のみからなる場合は、不織布NWに含浸した液状材料(原料)の温度を下げて、固化させるようにする。このとき、例えば、特に冷却手段を設けずに25℃程度の常温等で自然に不織布NWに含浸した原料の温度を低下させて固化させることができる。また、冷却手段を設けて、不織布NWに含浸した原料の温度を積極的に低下させ、固化させるようにしてもよい。
【0030】
また、液状材料が、原料と溶媒とを混合した原料溶液である場合は、不織布NWに含浸した液状材料から加熱等により溶媒を揮発させて、固化させるようにする。このとき、特に加熱手段を設けずに常温等で自然に溶媒を揮発させて固化させることができる。また、ヒータ等の加熱手段を設けて、不織布NWに含浸した液状材料の温度を積極的に加熱し、溶媒の揮発を促進させ、固化させるようにしてもよい。
【0031】
上記のように、不織布NWに含浸した液状材料を固化させることで、不織布NWと原料とが一体となった不織布シート50が得られる。
【0032】
シート巻取り部16は、得られた不織布シート50を巻取り、ロール状の不織布シートとして収容可能な部材である。ここで巻き取られた不織布シート50は、ロール状の不織布シートとして製品とできる。また、必要に応じて、この不織布シートにさらに処理を行いシート製品とすることもできる。
【0033】
また、不織布搬出部12からシート巻取り部16までの間には、不織布NWを安定して送り出すことができるように送りロール18を設けることが好ましい。この送りロール18は、不織布NW(液状材料が塗工された後は、液状材料が含浸した不織布NWまたは不織布シート50)を挟んで、後段に送り出す作用を奏する。
【0034】
<シートの製造方法>
次に、実施の形態1におけるシートの製造方法について説明する。このシートの製造方法では、原料を含有する、粘度が100000mPa・s以下の液状材料を調整する工程((a)工程)、(a)工程の後、不織布上に、液状材料を塗工機によりシート状に塗工する工程((b)工程)、(b)工程の後、液状材料を不織布に含浸させる工程((c)工程)、(c)工程の後、不織布に含浸した液状材料を固化させ、不織布シートを得る工程((d)工程)、および(d)工程の後、不織布シートを巻き取る工程((e)工程)、を有する。
【0035】
以下、具体的な装置構成として、図1で説明したシートの製造装置10を用いたシートの製造方法を説明する。
【0036】
まず、原料を含有する、粘度が100000mPa・s以下の液状材料を調整する工程を行う((a)工程)。
【0037】
この粘度を調整する工程では、上記したように、原料容器11において、原料を含有する、粘度が100000mPa・s以下の液状材料を調整する。例えば、原料を加熱して溶融することにより上記粘度を満たす場合には、その原料のみを原料容器11に貯留して、その原料を上記粘度となるように加熱して粘度調整を行う。
【0038】
また、原料を溶媒と混合し、その粘度を100000mPa・s以下に調整する場合、原料に溶媒を混合して得られる原料溶液(液状材料)が、上記粘度範囲となるように溶媒の供給量を調整する。この場合、必要に応じて加熱等の温度調整を組み合わせてもよい。
【0039】
この(a)工程における液状材料の粘度は、上記の通り、塗工機13により塗工するための塗工液の粘度であり、10~50000mPa・sが好ましく、100~10000mPa・sがより好ましい。
【0040】
次いで、(a)工程の後、不織布上に、液状材料を塗工機によりシート状に塗工する工程を行う((b)工程)。
【0041】
本実施の形態では、不織布搬出部12を有しており、この不織布搬出部12から送り出された不織布NW上に、塗工機13により液状材料LMをシート状に塗工することにより、シート形状の液状材料SLM(塗工体)が得られる。
【0042】
ここで用いる不織布NWとしては、特に限定されるものではなく、公知の不織布を制限なく用いることができる。この不織布NWとしては、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維等の無機繊維やナイロン(ポリアミド)、テトロン、レーヨン、キュプラ、アセテート、ビニロン、アクリル、ポリエチレンテレフタレート(ポリエステル)、ポリプロピレン、アラミド、ポリエステル、ポリイミド、ポリアクリル等の化学繊維などが挙げられる。また、セルロース繊維、綿、リンター、カポック、亜麻、大麻、ラミー、絹、羊毛等の天然繊維も使用できる。炭素繊維、ガラス繊維や化学繊維は、比較的高い剛性を有するため、不織布シート50の剛性を高め、シート自体の強度を向上できるため好ましい。
【0043】
不織布を構成する繊維の平均繊維径は、0.1μm~0.5mmが好ましく、0.4μm~200μmがより好ましい。また、この繊維の繊維長は、平均繊維長が1mm~200mmが好ましい。また、不織布の厚さは、10μm~5mmが好ましく、20μm~3mmが好ましくい。
【0044】
また、この不織布NWの目付は、0.1~10000g/mが好ましく、0.2~5000g/mがより好ましい。繊維の目付をこのような範囲とすることで、不織布NWの空隙に液状材料を十分な量含浸できるだけではなく、不織布シート50の強度を維持することができる。不織布NWの目付は、液状材料の含侵させた不織布シート50の引張強度や曲げ強度、疲労強度などの設計強度や耐熱性などを総合的に検討したうえで、適宜選択することが好ましい。
【0045】
このとき、液状材料は、不織布NWに含浸させる原料の量に応じて、その塗工量を調整し、シート状の液状材料SLMの厚さを決定すればよい。すなわち、液状材料が原料のみからなる場合、含浸した液状材料LMの全てが固化し、不織布シート50となるため、その塗工量が含浸量となるようにして塗工する。また、原料と溶媒とを混合した原料溶液を液状材料とする場合、含浸した液状材料LMのうち、溶媒が揮発し、その残部である原料成分が固化し、不織布シート50となる。そのため、原料成分の量を考慮し、液状材料LMの塗工量を決定し、塗工する。
【0046】
液状材料LMの塗工においては、その不織布NWの搬送速度、用いる液状材料LMの粘度、塗工機13における液状材料LMの吐出量などの様々な要因により、塗工するシート状の液状材料SLMの厚さが変わるため、目的の厚さとなるように、これら塗工条件を調整するようにすればよい。
【0047】
液状材料LMの粘度は、上記したように100000mPa・s以下とする。不織布NWの搬送速度は、例えば、1~500m/分が好ましく、5~300m/分がより好ましい。
【0048】
なお、液状材料LMの粘度に応じて、塗工機13を選択することが好ましい。例えば、液状材料LMの粘度が1000mPa・s以上である場合、塗工機13としてダイコータを用いることが好ましく、液状材料LMの粘度が1000mPa・s未満である場合、塗工機13としてグラビアコータを用いることが好ましい。また、液状材料LMの粘度が10000mPa・s以上の場合、スクリュ形状を有する装置、たとえば単軸押出機や二軸押出機などをポンプの代わりに用いることが好ましい。
【0049】
次いで、(b)工程の後、液状材料LMを不織布NWに含浸させる工程を行う((c)工程)。
【0050】
本実施の形態では、不織布NW上に塗工して形成されたシート状の液状材料SLMを、含浸領域14において、不織布NWの繊維の隙間に浸み込ませるものである。この含浸操作は、例えば、含浸ロール14aを設けて、シート状の液状材料SLMが塗工された不織布NWを上下から挟み込むようにして、シート状の液状材料SLMを不織布NWに含浸させるようにできる。
【0051】
上記のように、この含浸ロール14aは、シート状の液状材料SLMが塗工された不織布NWに対して、加圧できる構成とし、含浸を促進させるようにしてもよい。このとき、含浸ロール14aにより加圧する圧力は、0.01~100MPaが好ましく、0.1~50MPaがより好ましい。
【0052】
なお、上記の通り、使用する液状材料LMの粘度と不織布NWの目付の関係によっては、塗工機13から不織布NW上へ液状材料LMを塗工すると同時に、不織布NWへ液状材料LMの含浸が進行していく場合があり、この態様で十分な含浸が行える場合は、含浸ロール14a等の含浸部材を設けなくてもよい。
【0053】
さらに、(c)工程の後、不織布NWに含浸した液状材料を固化させ、不織布シート50を得る工程を行う((d)工程)。
【0054】
本実施の形態では、不織布NWに含浸された液状材料を固化させて、不織布NWと液状材料(原料)が一体化した不織布シート50が得られる。ここで、液状材料(原料)の固化は、固化領域15において行われる。
【0055】
液状材料が原料のみからなる場合、不織布NWに含浸した液状材料の温度を下げて、固化させるようにする。このとき、例えば、特に冷却手段を設けずに常温等で自然に原料の温度を低下させて固化させることができる。また、冷却手段を設けて、原料の温度を積極的に低下させ、固化させるようにしてもよい。
【0056】
このとき固化する温度は、用いる原料に固有のものであり、その原料の融点またはガラス転移点未満の温度となるようにすればよい。このような温度とすることにより、液状の原料が固化し、シートが得られる。
【0057】
また、液状材料が、原料と溶媒とを混合した原料溶液である場合、不織布NWに含浸された液状材料から加熱等により溶媒を揮発させて、固化させるようにする。このとき、溶媒の揮発は常温等で自然に行ってもよいが、製造効率を向上させるために、ヒータ等の加熱手段を設けて、液状材料が含浸した不織布NWを加熱し、溶媒の揮発を促進させ、固化させることが好ましい。このようにして不織布シート50を形成することができる。
【0058】
そして、この固化の後、不織布シート50を巻き取る工程を行う((e)工程)。ここでは、シート巻取り部16により、上記不織布シート50をロール状に巻き取る。このようにして、製品としての不織布シートを連続して得ることができる。
【0059】
上記実施の形態の構成とすることにより、粘度の低い液状材料を原料として用いる場合であっても、ネックイン等のように所望の形状とは大きく異なるようなシートとなることを抑制でき、使用できる原料の制限が大幅に緩和され、適用範囲の広い不織布シートの製造技術を提供することができる。また、このように得られた不織布シートは、原料のみからなるシートよりも強度の高いシートとして得られ、取り扱いが容易になり好ましい。
【0060】
(実施の形態2)
<不織布シートの製造装置>
図3は、他の実施の形態の不織布シートの製造装置の構成を模式的に示す図である。
【0061】
この図3に示したシートの製造装置20は、上記のシートの製造装置10と同様に、原料を含有する、粘度が100000mPa・s以下の液状材料を調整し、貯留する原料容器11、不織布NWを送り出す不織布搬出部12、不織布搬出部12から送り出した不織布NW上に、液状材料を塗工する塗工機13、不織布NW上に塗工された液状材料を不織布NWに含浸させる含浸領域14、不織布NWに含浸した液状材料を固化させ、不織布シート50とする固化領域15、固化領域15の後段で、不織布シート50を巻き取るシート巻取り部16、を有する。
【0062】
そして、このシートの製造装置20では、さらに、乾燥処理部21を有する点で、シートの製造装置10とは異なる。以下、同一の構成についての説明は省略し、異なる構成について詳細に説明する。
【0063】
このシートの製造装置20は、上記の通り、シートの製造装置10の構成に加え、乾燥処理部21が設けられている。乾燥処理部21は、固化領域15に配置され、不織布NWに含浸した液状材料に含まれる溶媒を乾燥させる部材である。すなわち、この実施の形態2は、液状材料として、原料と溶媒とを混合した原料溶液(液状材料)が用いられる態様の実施形態である。
【0064】
この乾燥処理部21は、(d)工程において、不織布NWに含浸した液状材料に含まれる溶媒を効率的に揮発させるために設けられる。通常、乾燥処理部21内は、溶媒の揮発を促進するために加熱雰囲気とする。加熱雰囲気とするには、例えば、ヒータ等の熱源により設定した温度に加熱した気体(空気等)を乾燥処理部21内に導入するようにすればよい。このとき、加熱した気体の導入操作を継続して行い、乾燥処理部21内の温度が設定温度付近に保持できるようにすることが好ましい。
【0065】
この加熱温度は、使用する溶媒に応じて最適な温度を設定できる。加熱温度としては、例えば、溶媒として水や低級アルコールを用いた場合には、50~90℃が好ましい。ただし、上限値は溶媒の沸点未満の温度とする。このような温度範囲とすることで、溶媒の揮発効率を有意に向上でき、溶媒の沸騰によりシート内に気泡が発生するような事態を回避できる。また、揮発、乾燥を促進するために、シート状の液状材料SLMに対して送風できる送風機を設けた構成としてもよい。
【0066】
また、乾燥処理部21を設けた場合、その乾燥処理部21内で発生した揮発した溶媒を、冷却して液化し、回収する溶媒回収機構を設けてもよい。この溶媒回収機構を設けることで、溶媒を再利用することができる。さらに、ここで回収した溶媒を、再度原料を溶解するための溶媒として循環させて再利用することもできる。このように再利用することで、本実施の形態の不織布シートの製造操作に関し、コストを低減させ、効率的に不織布シートを製造できる。
【0067】
<不織布シートの製造方法>
本実施の形態においては、使用する不織布シートの製造装置20は、上記したように不織布シートの製造装置10とは、乾燥処理部21を有するか否かの点で異なる。そのため、不織布シートの製造方法における基本的な操作は、実施の形態1と同一である。
【0068】
この実施の形態2では、実施の形態1での操作に加え、不織布NWに含浸した液状材料に対して、乾燥処理部21により液状材料が含む溶媒を加熱により揮発、乾燥させ、効率的に、不織布と原料とが一体化した不織布シート50とするものである。この乾燥処理は、固化領域15において行われる。
【0069】
この乾燥処理は、上記のように使用する溶媒の揮発が促進される温度にまで加熱することが好ましく、使用する溶媒に応じて最適な温度を設定する。この加熱温度としては、例えば、溶媒として水や低級アルコールを用いた場合には、50~90℃が好ましい。ただし、上限値は溶媒の沸点未満の温度とする。このような温度範囲とすることで、溶媒の揮発効率を有意に向上でき、溶媒の沸騰によりシート内に気泡が発生するような事態を回避できる。また、揮発、乾燥を促進するために、シート状の液状材料SLMに対して送風できる送風機を設けた構成としてもよい。
【0070】
また、上記のように溶媒回収機構を設け、乾燥処理部21で揮発した溶媒を、冷却して液化させ、溶媒を回収することができる。このように回収した溶媒は、再度原料の溶媒として循環させて再利用することができる。
【0071】
<原料>
次に、実施の形態1~2で用いられる原料について説明する。ここで、原料は特に限定されず、上記の通り、塗工機13により塗工するための液状材料として、粘度が100000mPa・s以下となる液状材料であればよい。この液状材料は、原料を溶融させて調整しても、溶媒と混合、溶解して調整してもよい。
【0072】
この原料としては、例えば、樹脂等の成型において、いわゆる射出グレードや紡糸グレード等の低粘度の液状樹脂をダイから射出するような樹脂が例示できる。
【0073】
また、原料として、生分解性材料などを用いることもできる。本発明における生分解性材料としては、水溶性材料が適しており、溶媒として水を用いて溶解させ、低粘度の液状材料を得ることが容易であることから、成形性に優れるだけではなく、環境負荷が低い点にも優れる。
【0074】
本実施の形態で用いることができる原料として、例えば、多糖類やゼラチン等が挙げられ、多糖類としては、例えば、グルコマンナン、セルロース系材料、ペクチン、でんぷん、イソマルトデキストリン、寒天等が挙げられ、これらは1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。特に、グルコマンナン、セルロース系材料、ゼラチンおよび寒天から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。
【0075】
グルコマンナンは、コンニャクイモの塊茎に約10%含まれる水溶性多糖類で、こんにゃく粉をアルコール精製することによって抽出できる。グルコマンナンは、図4に示す化学構造を有しており、D-グルコースとD-マンノースが1:1.6の割合でβ-1,4結合している多糖類である(nは単位構造の繰り返し数を示す)。50~60個の糖に対し1個の割合で分岐を有しており、分子量は大きく、100万を超えるものもある。
【0076】
ここで用いるグルコマンナンは、分子量が20~2000000の範囲が好ましい。このような分子量を有するグルコマンナンは、水に1質量%添加して溶融させたときの粘度が1000~20000mPa・sとなる。
【0077】
また、グルコマンナンは、多数の水酸基を有し、アルコール類を溶媒として用いることで溶解させ、容易に低粘度化できる。
【0078】
セルロース系材料は、セルロース、セルロースを一部に含む材料である。セルロースは、多数のβ-グルコース分子がグリコシド結合により直鎖状に重合した天然に存在する高分子で、図6に示した化学構造を有し、分子式(C10で表される炭水化物(多糖類)である。このセルロース系材料としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、セルロースナノファイバーなども挙げられる。
【0079】
ここで用いるセルロース系材料は、分子量が1000~500000の範囲が好ましい。このような分子量を有するセルロース系材料は、20~60℃に加熱して溶融させたときの粘度が 50~50000mPa・sとなる。
【0080】
また、セルロース系材料は、多数の水酸基を有し、アルコール類を溶媒として用いることで溶解させ、容易に低粘度化できる。
【0081】
ゼラチンは、繊維状のタンパク質コラーゲンであり、寒天は、紅藻類の粘液質を固めたものを凍結・乾燥させて得られ、そのままでは水に不溶であるが、加熱することで溶融して低粘度化できる。
【0082】
さらに、上記液状材料には、フィラーを含有させることもできる。フィラーとしては、例えば、アルミナ、シリカ、水酸化アルミニウム、ベーマイトなどの無機物やセルロース(セルロースナノファイバー含む)、炭素繊維、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、グラフェン、フラーレン、アラミド繊維などを用いることができる。セルロースとして、セルロースの親水基が、疎水基に置換されたものを用いてもよい。
【0083】
(実施の形態3)
<不織布シート>
本実施の形態の不織布シートは、上記した低粘度の液状材料が不織布NWに含浸、固化して構成されたシート状物からなる。この低粘度の液状材料としては、上記したように、原料を溶融したものまたは原料を溶媒に溶解させて得られたものであって、原料としては、例えば、グルコマンナン、セルロース系材料、ゼラチンおよび寒天から選ばれる少なくとも1種を含有するものが好ましい。
【0084】
この不織布シート50は、不織布NWとこの不織布NWに含浸、固化した、低粘度の液状材料を含有する含浸材料からなる。この不織布シート50は、その表面に、各種処理を行ったものでもよい。不織布シートの厚さは、任意の厚さとでき、例えば、10μm~5mmが好ましく、20μm~3mmがより好ましい。
【0085】
この不織布シート50の不織布と固化物(原料)との割合は、任意の割合とできる。例えば、不織布シート全体に対する固化した原料の割合を5体積%以上90体積%以下とすることが好ましい。このように、不織布よりも原料の割合を高めることで、その原料からなる固化部分に由来する特性を有効に発揮させることができる。この場合、この原料の割合は以下の数式(1)で算出できる。
原料の割合[%]=(固化した原料の体積)/(不織布シートの体積) ・・・(1)
【0086】
このとき、不織布の割合を多くすることで、不織布シート50の強度を向上させるようにすることもできる。この構成の割合は、不織布シート50の目的に応じて決定すればよく、用いる不織布と液状材料とを適宜選択して調整できる。
【0087】
また、この不織布シートは、その表面に他の層を設けた多層構造のシートとでき、その際に全ての層を本実施の形態の不織布シートとしたものでもよいし、一部の層を本実施の形態の不織布シートとし、その他の層を本実施の形態以外のシート(不織布を構成としたシートでもよいし、不織布を構成としていない不織布シートでもよい)として積層したものであってもよい。すなわち、本実施の形態で用いる不織布シートを1層以上有するものであればよい。
【0088】
この不織布シートとして、グルコマンナンを原料として用いた場合について、具体的に説明する。グルコマンナンは、溶媒として用いた水に0.5質量%添加すると粘度が10000mPa・sの液状材料となる。
【0089】
このように溶媒に添加して得られた液状材料を、例えば、図1に示した不織布シートの製造装置10を用いて、不織布シートが製造できる。このとき、例えば、不織布NWとしては、幅50cm、厚さ2mm、目付500g/cm、空隙率50%のポリエチレン(PE)製の不織布を用い、不織布NWの搬送速度を0.1m/秒、液状材料LMを吐出するスリット幅が1mmの塗工機13(ダイコータ)から、吐出量を3000mL/分として、液状材料LMを不織布NW上に塗工する。
【0090】
シート状の液状材料SLMが形成された不織布NWを、含浸領域14において、含浸ロール14aで上下から圧力1MPaをかけて挟み込み、液状材料LMを不織布NWに含浸させた。常温で自然冷却により固化させつつ送りロール19により搬送して不織布シート50とした。この厚さ2mmの不織布シート50をシート巻取り部16により巻き取ってロール状の不織布シート50を得ることができる。
【0091】
このように得られるグルコマンナン製の不織布シートは、その原料の吸湿性を応用した吸水性シートとして使用することができる。
【0092】
このようにして得られるグルコマンナン製のシートは、その原料の吸湿性を応用した吸水性シートとして使用することができる。この吸水性シートとしての使用例について、図6および7を用いて説明する。これらの図において、矢印は熱エネルギーの移動を示している。
【0093】
図6および7は、太陽光を利用した、グルコマンナン製の不織布シート50を吸水性シートとして応用する場合の例である。ここで示した、水分回収装置100は、集熱器101、蓄熱槽102、傾斜板103、および水分回収容器104から構成されている。
【0094】
集熱器101は、例えば、太陽光から熱エネルギーを取り出し、蓄熱槽102に移動させることができる機器である。蓄熱槽102は、集熱器101で集められた熱を蓄える部分であり、蓄えた熱は所望のタイミングで不織布シート50を加熱するために使用できるようになっている。傾斜板103は、不織布シート50の上方に傾斜して配置された板状体である。この傾斜板103は、不織布シート50から放出された水蒸気を冷やして液化し、水分回収容器104へと導くものである。水分回収容器104は、傾斜板103に導かれた液化した水を貯留する容器である。
【0095】
この水分回収装置100は、例えば、以下のように使用する。まず、図6に示したように、日中は、太陽光の熱エネルギーを集熱器101により集熱し、ここで集められた熱エネルギーを蓄熱槽102に蓄熱する。ここで、不織布シート50は外部雰囲気に晒されているが、空気中に含まれる水分(水蒸気)を吸湿する。上記したようにグルコマンナン製の不織布シート50は吸湿性に優れ、多くの水分を保持できる。
【0096】
次いで、陽が落ちた夜間においては、図7に示したように、蓄熱槽102で蓄えた熱エネルギーを利用し、不織布シート50を加熱する。この加熱は、不織布シート50が吸湿した水分を放出(放湿)させる温度とするもので、例えば、80~100℃が好ましい。ここで、不織布シート50から放出された水分は、その上方に拡散していき、傾斜板103と接触して、その表面で液化する。液化した水分は、その傾斜板103の傾斜に沿って、傾斜板103の低い方向に流れ、水分回収容器104へと導かれ、最終的に水分回収容器104に収容される。
【0097】
以上、本発明について、実施の形態および実施例により具体的に説明したが、本発明はこれら実施の形態および実施例に限定して解釈されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0098】
10,20 シートの製造装置
11 原料容器
12 不織布搬出部
13 塗工機
14 含浸領域
15 固化領域
16 シート巻取り部
17 バックロール
18 送りロール
21 乾燥処理部
50 不織布シート
LM 液状材料
NW 不織布
SLM シート状の液状材料
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7