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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151111
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】斜板式可変容量型ピストンポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04B 1/324 20200101AFI20241017BHJP
【FI】
F04B1/324
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064251
(22)【出願日】2023-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】000005197
【氏名又は名称】株式会社不二越
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(72)【発明者】
【氏名】山本 怜
(72)【発明者】
【氏名】横田 貴也
(72)【発明者】
【氏名】池生 慎一
【テーマコード(参考)】
3H070
【Fターム(参考)】
3H070AA01
3H070BB04
3H070BB06
3H070CC02
3H070DD46
3H070DD47
3H070DD52
(57)【要約】
【課題】斜板が傾転する際の衝突音の発生を抑制することができ、静音性能を高めることが可能な斜板式可変容量型ピストンポンプを提供する。
【解決手段】本発明にかかる斜板式可変容量型ピストンポンプの構成は、支持されたシリンダバレルと、シリンダバレルに軸方向に摺動可能に挿入された複数個のピストンと、ピストンの頭部が摺接可能にされ且つシャフトの回転に対して相対回転不能ハウジング内に支持された斜板と、斜板の一端から延びたアームを押すスプリングユニットと、を備え、スプリングユニットは、スプリングと、スプリングの一端を支持しスプリングの中に挿入されたスリーブと、スリーブの中を移動可能なピストンロッドと、ピストンロッドの先端に連結されスプリングの他端を支持するスプリングホルダと、を有し、スリーブの内側には段差が形成されていて、ピストンロッドは段差に係止する頭部を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトと共に回転可能にハウジング内に支持されたシリンダバレルと、
前記シリンダバレルに軸方向に摺動可能に挿入された複数個のピストンと、
前記ピストンの頭部が摺接可能にされ且つ前記シャフトの回転に対して相対回転不能に前記ハウジング内に支持された斜板と、
前記斜板の一端から延びたアームを押すスプリングユニットと、
を備え、
前記スプリングユニットは、
スプリングと、
前記スプリングの一端を支持し該スプリングの中に挿入されたスリーブと、
前記スリーブの中を移動可能なピストンロッドと、
前記ピストンロッドの先端に連結され前記スプリングの他端を支持するスプリングホルダと、
を有し、
前記スリーブの内側には段差が形成されていて、
前記ピストンロッドは前記段差に係止する頭部を有することを特徴とする斜板式可変容量式ピストンポンプ。
【請求項2】
前記スリーブの内部には、前記ピストンロッドを付勢する第2スプリングと、該第2スプリングを付勢するトルク調整ネジとが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の斜板式可変容量式ピストンポンプ。
【請求項3】
前記スプリングユニットと前記ハウジングの間に、前記斜板の傾転方向に前記スプリングユニットが回転する動きの回転軸を形成する2個のボール又は円筒状体を有することを特徴とする請求項1または2に記載の斜板式可変容量式ピストンポンプ。
【請求項4】
シャフトと共に回転可能にハウジング内に支持されたシリンダバレルと、
前記シリンダバレルに軸方向に摺動可能に挿入された複数個のピストンと、
前記ピストンの頭部が摺接可能にされ且つ前記シャフトの回転に対して相対回転不能に前記ハウジング内に支持された斜板と、
前記斜板の一端から延びたアームを押すスプリングユニットと、
を備え、
前記スプリングユニットは、
スプリングと、
前記スプリングの一端を支持するスプリング受けと、
前記スプリングの他端を支持するスプリングホルダと、
を有し、
前記スプリングユニットと前記ハウジングの間に、前記斜板の傾転方向に前記スプリングユニットが回転する動きの回転軸を形成する2個のボール又は円筒状体を有することを特徴とする斜板式可変容量式ピストンポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械や産業用機械等に用いられる斜板式可変容量型ピストンポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
建設機械や産業用機械には、可変容量型ポンプが用いられることがある。可変容量型ポンプの1つである斜板式可変容量型ピストンポンプは、斜板(スワッシュプレートとも称される)を傾転させることでポンプの容量を変化させることができる。例えば特許文献1には、「シャフトと共に回転可能にハウジング内に支持されたシリンダバレルと、シリンダバレルに軸方向に摺接可能に挿入された複数個のピストンの頭部と摺接可能にされかつシャフトの回転に対して相対回転不能にハウジング内に支持された斜板と」を有する可変容量ポンプが開示されている。
【0003】
特許文献1の可変容量ポンプでは、斜板は、前記ハウジングに設けた駆動装置に押圧され、シャフトの回転軸に直交する軸線を形成する2個のボール又は円筒状体の回りを傾転させて、斜板の傾斜角を変えるようにされている。また2個のボール又は円筒状体は、「セラミック材料で形成され、セラミック材料は、重量%で92-99.5%の酸化アルミニウム(Al2O3)と、残部を不可避な不純物として、SiO2、CaO2、MgO、及び微量のNa2O、K2O、及びFe」を含むとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第291559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の可変容量ポンプでは、スプリング荷重による斜板を保持するモーメント(MS)と、ピストンの反力による斜板を傾転させるモーメント(Mp)とのバランスによって斜板が傾転する。Mp<MSの場合には、斜板のアームはストッパに押し付けられた状態となっている。そしてMp>MSとなると、斜板が傾転することにより、斜板のアームがストッパから離れる。このとき、斜板にはピストンの圧力脈動によって振動が生じる。すると、その振動によって斜板がストッパに細かく衝突する衝突音が騒音となってしまう。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑み、斜板が傾転する際の衝突音の発生を抑制することができ、静音性能を高めることが可能な斜板式可変容量型ピストンポンプを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明にかかる斜板式可変容量型ピストンポンプの代表的な構成は、シャフトと共に回転可能にハウジング内に支持されたシリンダバレルと、シリンダバレルに軸方向に摺動可能に挿入された複数個のピストンと、ピストンの頭部が摺接可能にされ且つシャフトの回転に対して相対回転不能ハウジング内に支持された斜板と、斜板の一端から延びたアームを押すスプリングユニットと、を備え、スプリングユニットは、スプリングと、スプリングの一端を支持しスプリングの中に挿入されたスリーブと、スリーブの中を移動可能なピストンロッドと、ピストンロッドの先端に連結されスプリングの他端を支持するスプリングホルダと、を有し、スリーブの内側には段差が形成されていて、ピストンロッドは段差に係止する頭部を有することを特徴とする。
【0008】
上記スリーブの内部には、ピストンロッドを付勢する第2スプリングと、第2スプリングを付勢するトルク調整ネジとが設けられているとよい。
【0009】
上記スプリングユニットとハウジングの間に、斜板の傾転方向にスプリングユニットが回転する動きの回転軸を形成する2個のボール又は円筒状体を有するとよい。
【0010】
上記課題を解決するために、本発明にかかる斜板式可変容量型ピストンポンプの他の構成は、シャフトと共に回転可能にハウジング内に支持されたシリンダバレルと、シリンダバレルに軸方向に摺動可能に挿入された複数個のピストンと、ピストンの頭部が摺接可能にされ且つシャフトの回転に対して相対回転不能にハウジング内に支持された斜板と、斜板の一端から延びたアームを押すスプリングユニットと、を備え、スプリングユニットは、スプリングと、スプリングの一端を支持するスプリング受けと、スプリングの他端を支持するスプリングホルダと、を有し、スプリングユニットとハウジングの間に、斜板の傾転方向にスプリングユニットが回転する動きの回転軸を形成する2個のボール又は円筒状体を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、斜板が傾転する際の衝突音の発生を抑制することができ、静音性能を高めることが可能な斜板式可変容量型ピストンポンプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態にかかる斜板式可変容量型ピストンポンプを説明する図である。
図2】第1実施形態にかかる斜板式可変容量型ピストンポンプを説明する図である。
図3図1および図2の斜板およびスリーブを説明する図である。
図4】スプリングユニットを説明する図である。
図5】第2実施形態にかかる斜板式可変容量型ピストンポンプを説明する図である。
図6】第2実施形態にかかる斜板式可変容量型ピストンポンプを説明する図である。
図7図5および図6のスプリング受けを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示または説明を省略する。
【0014】
(第1実施形態)
図1および図2は、第1実施形態にかかる斜板式可変容量型ピストンポンプ(以下、ピストンポンプ100と称する)を説明する図である。図1は、斜板120の傾転角が最大である最大容量時のピストンポンプ100を例示している。図2は、斜板120の傾転角が最小である流量制限時のピストンポンプ100を例示している。
【0015】
第1実施形態のピストンポンプ100は、吐出口(不図示)を通じて作動油等の流体を不図示の建設機械や産業用機械に供給する装置である。図1および図2に示すように第1実施形態のピストンポンプ100はハウジング102を有する。ハウジング内には、シャフト104(軸)と共に回転可能に支持されたシリンダバレル110が配置されている。
【0016】
シリンダバレル110には、シャフト104の軸方向D1に摺動可能な複数個のピストン112が挿入されている。複数のピストン112は、シリンダバレル110の周方向に並んで配置されていて、シリンダバレル110を回転させると往復運動し、吐出口から作動油が吐出される。またピストン112は、摺接可能に斜板120に当接する頭部112aを有する。
【0017】
図3は、図1および図2の斜板120およびスリーブ144を説明する図である。図3(a)は、斜板120の正面図および断面図である。図3(b)は、スリーブ144の正面図および断面図である。斜板120は、シャフト104の回転に対して相対回転不能にハウジング102内に支持されていて、ポンプの吐出圧に応じて変化するピストン112の反力に連動して傾転する。
【0018】
図3(a)に示すように斜板120は、シャフト104が挿通される挿通孔122aを有する円環部122と、円環部122(斜板120の一端)から延びたアーム124とを有する。また円環部122には、ボール130(図1および図2参照)が嵌め込まれる2つの穴122bが形成されている。この2つの穴122bそれぞれに嵌め込まれる2つのボール130によってシャフト104の回転軸(軸方向D1)に直交する軸線J1が形成される。したがって、斜板120が2つのボール130の回りを傾転し、斜板120の傾転角が変化可能となる。
【0019】
第1実施形態のピストンポンプ100の特徴としてハウジング102内には、斜板120のアーム124を押すスプリングユニット140が設けられている。スプリングユニット140は、スプリング(以下、第1スプリング142と称する)、スリーブ144、ピストンロッド146およびスプリングホルダ148を有する。
【0020】
スリーブ144は、第1スプリング142の中に挿入されていて、第1スプリング142の一端142aを支持している。またスリーブ144の中には、スリーブ144内を移動可能なピストンロッド146が配置されている。ピストンロッド146の先端には、第1スプリング142の他端142bを支持するスプリングホルダ148が連結されている。
【0021】
次に図1図2および図4を参照し、第1実施形態のピストンポンプ100の動作について説明する。図4はスプリングユニットを説明する図である。第1実施形態のピストンポンプ100は、スプリングユニット140の荷重による斜板120を保持するモーメント(以下、保持モーメントMSと称する)と、ピストン112の反力による斜板120を傾転させるモーメント(以下、傾転モーメントMpと称する)との関係によって斜板120が傾転する。
【0022】
図1は、傾転モーメントMpが保持モーメントMSよりも小さい「ポンプ流量最大時」の状態を例示している。傾転モーメントMpが保持モーメントMSよりも小さい場合、斜板120のアーム124は、スプリングユニット140からかかるスプリング荷重によって押され、傾転した状態になる。このときの斜板120の傾転角θによってポンプの最大吐出流量が定まる。
【0023】
図2は、傾転モーメントMpが保持モーメントMSより大きい「ポンプ流量制御時」の状態を例示している。ポンプの吐出圧力が増大すると、傾転モーメントMpが保持モーメントMSよりも大きくなる。すると、斜板120はピストン112の反力によって押されて傾転する。これにより、斜板120の傾斜角θは、図1の状態よりも小さくなる。
【0024】
第1実施形態のピストンポンプ100では、斜板120の傾斜角θの最大値と最小値は、斜板120のアーム124を押すスプリングユニット140のストロークの長さによって決まる。スプリングユニット140が長くなると斜板120の傾斜角θは大きくなり、逆にスプリングユニット140が短くなると斜板120の傾斜角θは小さくなる。
【0025】
そしてスプリングユニット140の長さは、スリーブ144内におけるピストンロッド146の位置によって決まる。図1および図4(a)ではピストンロッド146は伸長側の位置P1にあり、スプリングユニット140の長さは最も長いL1となっている。図2および図4(b)ではピストンロッド146が短縮側の位置P2にあり、スプリングユニット140の長さは最も短いL2となっている。
【0026】
上記説明したように第1本実施形態のピストンポンプ100によれば、スリーブ144内におけるピストンロッド146の位置、換言すればピストンロッド146のストロークを規制することにより、斜板120の傾斜角θを所望の角度に調節することができる。このため、従来斜板のアームの受けとして配置されていたストッパが不要となる。したがって、ピストン112の圧力脈動によって生じた振動に起因する斜板とストッパとの衝突音を抑制することができ、静音性能を高めることが可能となる。
【0027】
図4(a)および(b)に示すように、ピストンロッド146は、ロッド軸146a、ロッド軸146aより径の大きい頭部146bを有する。一方、スリーブ144の内側には、ピストンロッド146の頭部146bが係止される段差144aが形成されている。スプリングユニット140が最も長いL1のとき、ピストンロッド146の頭部146bが段差144aに当接して止まっている。スプリングユニット140が最も短いL2のとき、ナット150がスリーブ144に当接して止まっている。
【0028】
ここで、ハウジング102の内部空間は作動油が充満している。したがってスリーブ144の内外はドレン圧(ほぼ大気圧)の作動油で満たされているため、ピストンロッド146がスリーブ144の内部を摺動するときに抵抗があり、ピストン112の圧力脈動に対してピストンロッド146は鋭敏に反応しない。このため、斜板120が傾転する際の衝突音の発生を抑制することができ、静音性能を高めることが可能な斜板式可変容量型ピストンポンプを提供することができる。
【0029】
また本実施形態では、ピストンロッド146のロッド軸146aは、スリーブ144のブッシュ144bの径d1とほぼ同径(すきまばめ)の径d2である。ロッド軸146aの径d2がブッシュ144bとほぼ同径であることにより、頭部146bが段差144aに近接した位置ではブッシュ144bにおいて作動油が搾られるため、スリーブ144内におけるピストンロッド146の移動速度が低下する。これにより、位置P1においては頭部146bと段差144aとの衝突を緩和することができる。位置P2においてはナット150とスリーブ144先端との衝突を緩和することができる。
【0030】
またピストンロッド146の頭部146bは、段差144aに当接する側の縁146cが面取りされている。これにより、図4(a)に示すようにピストンロッド146が段差144aに向かって移動する際に、面取りされた縁146cから作動油が徐々に流れ込む。これにより、ピストンロッド146とスリーブ144の段差144aとの衝撃をより緩和することができ、ピストンロッド146の破損や衝撃音の発生を好適に抑制することが可能となる。
【0031】
更に本実施形態のピストンポンプ100では、図1および図2に示すようにスリーブ144の内部には、ピストンロッド146を付勢する第2スプリング152と、第2スプリング152を付勢するトルク調整ネジ154とが配置されている。かかる構成によれば、トルク調整ネジ154をスリーブ144に対して捻じ込むと、第2スプリング152がピストンロッド146を付勢する。これにより、ピストンロッド146ひいてはスプリングユニット140から斜板120にかかる保持モーメントMSを調節することが可能となる。
【0032】
また図1および図2に示すように本実施形態のピストンポンプ100では、スプリングユニット140とハウジング102の間に2個のボール160が配置される。図3(b)に示すようにスリーブ144は、ピストンロッド146が挿通される挿通孔144c、および2つのボール160(図1および図2参照)が嵌め込まれる2つの穴144d(くぼみ)が形成されている。
【0033】
2つのボール160は、スリーブ144の2つの穴144dそれぞれに嵌め込まれることにより、スプリングユニット140とハウジング102の間に配置される。これにより2個のボール160によって、斜板120の傾転方向にスプリングユニット140が回転する動きの回転軸J2が形成される。その結果、斜板120が傾転してスプリングホルダ148が上下に移動したとき、スプリングユニット140の向きを円滑に傾けることができる。これにより第1スプリング142が常に真っすぐの(湾曲しない)状態を保つことができるとともに、ピストンロッド146を常に良好にスライドさせることができる。
【0034】
なお第1実施形態のピストンポンプ100では、斜板120の2つの穴122bに2つのボール130が嵌め込まれ、スリーブ144の2つの穴144dに2つのボール160が嵌め込まれる構成を例示したが、これに限定するものではない。斜板120に嵌め込まれる2つのボール130、およびスリーブ144に嵌め込まれる2つのボール160に替えて円筒状体を用いる構成としても同様の効果を得ることが可能である。
【0035】
(第2実施形態)
図5および図6は、第2実施形態にかかる斜板式可変容量型ピストンポンプ(以下、ピストンポンプ200と称する)を説明する図である。図5は、斜板120の傾転角が最大である最大容量時のピストンポンプ200を例示している。図6は、斜板120の傾転角が最小である流量制限時のピストンポンプ200を例示している。なお第2実施形態の200において、第1実施形態の100と実質的に同一な構成要素については同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0036】
図5および図6に示すように、第1実施形態のピストンポンプ200の特徴としてハウジング102内には、斜板120の一端から延びたアーム124を押すスプリングユニット240が設けられている。スプリングユニット240は、第1スプリング142、スプリング受け246およびスプリングホルダ148を有する。
【0037】
第1スプリング142は、スプリング受け246によって一端142aが支持され、スプリングホルダ148によって他端142bが支持される。またピストンポンプ200ではケーシングの内部に、斜板120のアーム124の受けとなる第1ストッパ222、および斜板120の円環部122の受けとなる第2ストッパ224が配置されている。
【0038】
図7は、図5および図6のスプリング受け246を説明する図であり、スプリング受け246の側面図および平面図である。第2実施形態の特徴としてピストンポンプ200は、スプリングユニット240とハウジング102の間に配置される2個のボール260を有する。図7に示すようにスプリング受け246は、第1スプリング142を支持する支持部246a、およびボール260を保持するボール保持部246bを含んで構成される。
【0039】
ボール保持部246bには、2つのボール260(図5および図6参照)が嵌め込まれる2つの穴246cが形成されている。これにより、2つのボール260を246の2つの穴246bにそれぞれ嵌め込むことにより、2つのボール260がスプリングユニット240と、ハウジング102内に配置されてトルク調整ネジ154と連動して移動する位置調整プレート158との間に配置される。
【0040】
上記構成によれば、2個のボール260によって、斜板120の傾転方向にスプリングユニット140が回転する動きの回転軸J2が形成される。その結果、斜板120が傾転してスプリングホルダ148が上下に移動したとき、スプリングユニット240の向きを円滑に傾けることができる。これにより第1スプリング142が常に真っすぐの(湾曲しない)状態を保つことができる。
【0041】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施例について説明したが、本発明は斯かる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、建設機械や産業用機械に用いられる斜板式可変容量型ピストンポンプとして利用することができる。
【符号の説明】
【0043】
D1…軸方向、P1…位置、d1…径、J1…軸線、P2…位置、d2…径、J2…回転軸、d3…径、100…ピストンポンプ、102…ハウジング、104…シャフト、110…シリンダバレル、112…ピストン、112a…頭部、120…斜板、122…円環部、122a…挿通孔、122b…穴、124…アーム、130…ボール、140…スプリングユニット、142…第1スプリング、142a…一端、142b…他端、144…スリーブ、144a…段差、144b…ブッシュ、144c…挿通孔、144d…穴、146…ピストンロッド、146a…ロッド軸、146b…頭部、146c…縁、148…スプリングホルダ、150…ナット、152…第2スプリング、154…トルク調整ネジ、158…位置調整プレート、160…ボール、200…ピストンポンプ、222…第1ストッパ、224…第2ストッパ、240…スプリングユニット、246…スプリング受け、246a…支持部、246b…ボール保持部、260…ボール、MS…保持モーメント、Mp…傾転モーメント
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7