IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151113
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/14 20060101AFI20241017BHJP
【FI】
D06F39/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064253
(22)【出願日】2023-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183276
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 裕三
(72)【発明者】
【氏名】坂本 拓海
(72)【発明者】
【氏名】外薗 洸佑
【テーマコード(参考)】
3B165
【Fターム(参考)】
3B165AA01
3B165AA11
3B165AE01
3B165AE02
3B165BA23
3B165BA24
3B165BA86
3B165CA02
3B165CA11
3B165CA13
3B165CA20
3B165CB01
3B165CB31
3B165FA02
(57)【要約】
【課題】リサイクルのために蓋体を解体する場合、構成部材の分別・回収が容易である洗濯機を提供する。
【解決手段】本開示の洗濯機は、筐体と、筐体に形成される投入口を開閉自在に覆う蓋体と、を備え、蓋体は、第1部材と、第1部材と異なる素材で構成され、第1部材の側面を覆う第2部材と、を有し、第2部材の側壁は、周辺部の厚みよりも薄い厚みを有する薄肉部を有する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、前記筐体に形成される投入口を開閉自在に覆う蓋体と、を備え、
前記蓋体は、第1部材と、前記第1部材と異なる素材で構成され、前記第1部材の側面を覆う第2部材と、を有し、
前記第2部材の側壁は、周辺部の厚みよりも薄い厚みを有する薄肉部を有する、洗濯機。
【請求項2】
前記薄肉部は、前記第1部材の前記側面よりも幅方向において外方に配設される、請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記薄肉部は、前記第2部材の第1縁部まで延在して設けられ、
前記第2部材は、前記第1縁部まで延在して設けられた溝部をさらに有する、請求項1に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記第2部材は、前記蓋体の表面を構成する表部材であり、
前記表部材の内側には、前記第1部材を露出させる表窓が形成され、
前記第2部材は、前記表窓の端部から前記第1縁部まで延在する溝部をさらに有する、請求項3に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記第2部材は、前記薄肉部を有する前記側壁の近傍の裏面側において、前記第1部材の前記側面に当接する当接リブを有する、請求項1に記載の洗濯機。
【請求項6】
前記蓋体は、前記筐体の後面側において回動可能に支持されて、前記薄肉部は、前面側に位置する前記側壁に配設される、請求項1に記載の洗濯機。
【請求項7】
前記蓋体は、前記投入口を閉じた状態では前方下向きに傾斜しており、
前記蓋体は、前記薄肉部が強制的に破壊された場合に、前記第1部材の前記側面に当接する前面支持部を有する、請求項1に記載の洗濯機。
【請求項8】
前記前面支持部は、前記前面支持部によって前記第1部材が支持される支持位置と、前記前面支持部による前記第1部材の支持が解除される解除位置との間で弾性的に動く、請求項7に記載の洗濯機。
【請求項9】
前記蓋体は、前記第1部材の外縁部を支持する支持部材をさらに備え、
前記前面支持部は、前記支持部材の前面側に配設される、請求項7に記載の洗濯機。
【請求項10】
前記支持部材の前面側は、平坦に構成される、請求項9に記載の洗濯機。
【請求項11】
前記第2部材および前記支持部材の少なくとも一方には、前記第1部材の厚み方向において互いに嵌合するための爪部が配設される、請求項9に記載の洗濯機。
【請求項12】
前記蓋体は、前記蓋体の裏面を構成する裏部材をさらに備え、
前記裏部材および前記支持部材の少なくとも一方には、前記第1部材の厚み方向において互いに嵌合するための爪部が配設される、請求項9に記載の洗濯機。
【請求項13】
前記第1部材は、ガラスにより構成され、
前記第2部材は、樹脂により構成される、請求項1に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、筐体の投入口を開閉自在に覆う蓋体を有する洗濯機が開示されている。
【0003】
特許文献1に開示された洗濯機では、蓋体を構成する第1の蓋部材と第2の蓋部材とが接着部材によって固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-166885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、リサイクルのために蓋体を解体する場合、構成部材の分別・回収が容易である洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様の洗濯機は、
筐体と、前記筐体に形成される投入口を開閉自在に覆う蓋体と、を備え、
前記蓋体は、第1部材と、前記第1部材と異なる素材で構成され、前記第1部材の側面を覆う第2部材と、を有し、
前記第2部材の側壁は、周辺部の厚みよりも薄い厚みを有する薄肉部を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、リサイクルのために蓋体を解体する場合、構成部材の分別・回収が容易である洗濯機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示に係る一実施の形態における洗濯機の斜視図
図2図1に示した洗濯機において投入口の開状態を示す斜視図
図3図1に示した洗濯機において投入口の半開状態を示す斜視図
図4図1に示した洗濯機における蓋体の斜視図
図5図4に示した蓋体を構成する第2蓋体の展開図
図6図5に示した第2蓋体を構成する表部材の上面図
図7図5に示した第2蓋体を構成する表部材の下面図
図8図6に示した表部材の要部拡大斜視図
図9図7に示した表部材の要部拡大斜視図
図10】第2蓋体を構成する表部材および透光部材における当接状態を説明する図
図11図5に示した第2蓋体を構成する支持部材の斜視図
図12】透光部材を有する支持部材の上面図
図13図12に示した支持部材の要部拡大図
図14図13に示した弾性当接部の斜視図
図15】透光部材に対する支持部材の弾性当接部の当接状態を説明する図
図16図11に示した支持部材の下面図
図17図5に示した第2蓋体を構成する裏部材の上面図
図18】前面側における表部材および透光部材の関係を説明する断面図
図19】前面側における表部材および透光部材の関係を説明する断面図
図20】表部材および支持部材の嵌合関係を説明する断面図
図21】支持部材および裏部材の嵌合関係を説明する断面図
図22】第2蓋体を構成する表部材の変形例の上面図
図23】第2蓋体を構成する表部材の変形例の上面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、蓋体において、接着部材を用いて2つ以上の構成部材を固着させる洗濯機があった。しかしながら、例えばガラス部材および樹脂部材などの異なる素材で構成された2つ以上の構成部材を、接着部材を用いて固着させる構造において、リサイクルのために蓋体を解体する場合、接着部材を剥がす必要があり、構成部材の分別・回収が容易ではないという課題があった。そのため、蓋体のリサイクルのための構成部材の分別・回収を容易とするためには、蓋体において、接着部材を用いずに2つ以上の構成部材を組み合わせることが望ましい。
【0010】
しかしながら、接着部材を用いずに2つ以上の構成部材を組み合わせる構造では、リサイクルのための構成部材の分別・回収をより容易な構成とすることが必要であるという課題がある。発明者らは、この課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
【0011】
そこで、本開示は、リサイクルのために蓋体を解体する場合、構成部材の分別・回収が容易である洗濯機を提供することを目的とする。
【0012】
以下、本開示の実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。各図には、便宜上、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を示している。この明細書においては、洗濯機1の幅方向、奥行き方向、高さ方向のそれぞれを、X軸、Y軸、Z軸で規定している。説明の便宜上、洗濯機1の使用時に使用者が位置する側(前面側)から見た図1を基準として洗濯機1における方向を特定する。
【0013】
図面のX軸方向において、前面側から見た場合の洗濯機1の左側を左面側(左方)とするとともに、洗濯機1の右側を右面側(右方)として、X軸方向を左右方向と呼ぶことがある。図面のY軸方向において、洗濯機1の使用時に使用者が位置する側を前面側(前方)とするとともに、蓋体6のヒンジ軸が設けられる側を後面側(後方)として、Y軸方向を前後方向と呼ぶことがある。図面のZ軸方向において、洗濯機1の上側を上面側(上方)とするとともに、洗濯機1の下側を下面側(下方)として、Z軸方向を上下方向と呼ぶことがある。また、X軸およびY軸に延在する方向を面方向と呼ぶことがある。
【0014】
また、図1に示すように、蓋体6は、洗濯機1において後方から前方にかけて下方に傾斜して配設されているので、蓋体6のZ軸方向(上下方向)は洗濯機1のZ軸方向(上下方向)と正確には一致しない。そこで便宜上、洗濯機1の蓋体6および蓋体6を構成する構成部材(表部材10、透光部材20、支持部材30および裏部材40)を説明する図4から図23においては、図示しない水平台に置いた状態を基準として、蓋体6および構成部材(表部材10、透光部材20、支持部材30および裏部材40)における方向を特定する。
【0015】
(実施の形態1)
[1-1.構成]
図1は、本開示に係る一実施の形態における洗濯機1の斜視図である。図2は、図1に示した洗濯機1において投入口8の開状態を示す斜視図である。図3は、図1に示した洗濯機1において投入口8の半開状態を示す斜視図である。
【0016】
(全体構成)
洗濯機1は、筐体2と、水槽3と、洗濯槽4と、薬剤供給ユニット5と、蓋体6と、制御ユニットとを備える。
【0017】
(筐体)
図1に示すように、洗濯機1は、外郭を成す筐体2を備える。筐体2の上面側には、衣類等の洗濯物を出し入れするための投入口8が形成されている。筐体2の上面側には、蓋体6が開閉自在に設けられる。蓋体6は、投入口8を覆うように構成される。図2に示すように、蓋体6を開状態にすることにより、洗濯物の出し入れが可能になる。
【0018】
例えば、図1に示すように、筐体2の後面上部には、操作パネル7が設けられる。操作パネル7は、電源ボタンや表示操作部などを備える。筐体2の内部には、図示しない制御ユニットが配設される。筐体2の内側後面上部には、薬剤供給ユニット5が設けられる。薬剤供給ユニット5は、洗濯槽4に液剤、粉末洗剤、及び固形剤などの洗濯用の薬剤を供給する機能を有する。
【0019】
(水槽)
水槽3は、筐体2の内部に設けられて、洗濯水を溜めるように上側端部が開口した有底円筒形状を有する部材である。水槽3を外槽と称してもよい。
【0020】
(洗濯槽)
洗濯槽4は、水槽3の内側において回動可能に設けられて、洗濯物を収容するように、上側端部が開口した有底円筒形状を有する部材である。洗濯槽4には水槽3に連通する多数の貫通孔が形成される。貫通孔は、水槽3と洗濯槽4との間で洗濯水および薬剤供給ユニット5から供給される薬剤の流通を可能にする。洗濯槽4は筐体2の投入口8に面する位置に開口を有する。開口を通じて洗濯物は洗濯槽4に投入される。洗濯槽4をドラムまたは内槽と称してもよい。
【0021】
(蓋体)
図4は、図1に示した洗濯機1における蓋体6の斜視図である。図1および図4に示すように、蓋体6は、前面側に位置する第1蓋体6aと、後面側に位置する第2蓋体6bとを有する。蓋体6は、筐体2の後面側において回動可能に支持される。蓋体6は、筐体2の投入口8を覆うように構成される。
【0022】
図1に示すように、蓋体6を降ろして蓋体6で投入口8を閉じた閉状態(以下、蓋体6の閉状態という)にすることにより、各種の洗濯動作が可能になる。閉状態では、蓋体6は前方下向きに傾斜している。図2に示すように、二つ折り状態の蓋体6を直立させて投入口8を開状態にすることにより、洗濯物の出し入れが可能になる。図3に示すように、二つ折り状態の蓋体6を寝かせて投入口8を半開状態にすることも可能である。
【0023】
図5は、図4に示した蓋体6を構成する第2蓋体6bの展開図である。図5に示すように、第2蓋体6bは、上面側から下面側にかけて、表部材10と、透光部材20と、支持部材30と、裏部材40とが順に積層されるように構成される。表部材10および裏部材40は、蓋体6における第2蓋体6bの外面部を構成する外面部材として働く。
【0024】
図6は、図5に示した第2蓋体6bを構成する表部材10の上面図である。図7は、図5に示した第2蓋体6bを構成する表部材10の下面図である。図8は、図6に示した表部材10の要部拡大斜視図である。図9は、図7に示した表部材10の要部拡大斜視図である。
【0025】
図6に示すように、表部材10は、平面視で略矩形状を有する表枠11を含む。表枠11は、表枠前部11aと、表枠左部11bと、表枠後部11cと、表枠右部11dとを有する。表枠前部11aは、蓋体6の閉状態において表枠11の前部に位置する箇所である。表枠左部11bは、蓋体6の閉状態において表枠11の左部に位置する箇所である。表枠後部11cは、蓋体6の閉状態において表枠11の後部に位置する箇所である。表枠右部11dは、蓋体6の閉状態において表枠11の右部に位置する箇所である。また、表枠11は、表枠第1縁部11eと表枠第2縁部11fとを有する。表枠第1縁部11eと表枠第2縁部11fとは、表枠11における透光部材20の側面21を覆う面(本実施の形態では後述する側壁前部15a)の縁部である。以降、本実施の形態では、表枠前部11aの前側の縁部を表枠第1縁部11eとして、後述する側壁前部15aの下側の端部を表枠第2縁部11fとして説明する。
【0026】
表枠前部11aと表枠左部11bと表枠後部11cと表枠右部11dとにおける各内周縁によって、表窓12が表枠11の内側に形成される。表窓12は、平面視で略矩形状を有する。表部材10は、例えばアクリル二トル・ブタジエン・スチレンの共重合体樹脂(ABS樹脂)などの各種の樹脂材料からなる。
【0027】
図6および図8に示すように、表枠前部11aおよび表枠左部11bが交わる箇所に形成される表窓12の左前側のコーナー部と、表枠前部11aおよび表枠右部11dが交わる箇所に形成される表窓12の右前側のコーナー部とのそれぞれは、例えば大略直角であるように角張った形状を有する。そして、表枠前部11aおよび表枠左部11bの表側(おもて側)の境界部分と、表枠前部11aおよび表枠右部11dの表側(おもて側)の境界部分とのそれぞれは、溝部18をさらに有する。溝部18は、Z軸方向に凹んでおり、Y軸方向に沿って直線状に延在する。言い換えると、溝部18は、表窓12における角張った形状の前側のコーナー部から表枠前部11aの前側の縁部である表枠第1縁部11eまで一直線で延在する。
【0028】
図7に示すように、表部材10の表枠前部11aと表枠左部11bと表枠後部11cと表枠右部11dとの各裏側において、複数の表側嵌合部13が設けられる。複数の表側嵌合部13は、各表枠11部において、長手方向に離間配置される。表側嵌合部13は、図9に示すように、Z軸方向の上面側から下面側に向けて突出するように延在している。表側嵌合部13は、表側嵌合穴13aを有する。
【0029】
図7および図9に示すように、表枠前部11aの裏面側には、複数の当接リブ14を有する。複数の当接リブ14は、表枠前部11aにおいて、X軸方向に離間配置される。当接リブ14は、Z軸方向に突出するとともに、Y軸方向に沿って延在する。当接リブ14は、後面側の端部において、当接規制面14aを有する。当接規制面14aは、第2蓋体6bに組み込まれた透光部材20の側面21に当接する。
【0030】
図7に示すように、側壁15が、表部材10の裏側の外周縁に沿って延在するように形成される。側壁15は、Z軸方向に突出する。側壁15は、表枠前部11aと表枠左部11bと表枠後部11cと表枠右部11dとのそれぞれに対応する、側壁前部15aと側壁左部15bと側壁後部15cと側壁右部15dとを有する。なお、側壁15は、透光部材20の厚み方向における側面21を覆っている。言い換えると、側壁15は、第2蓋体6b(本実施の形態では特に表部材10を指す)において、厚み方向に設けられている面である。
【0031】
図9および図10に示すように、側壁前部15aには、2つの薄肉部17が左右方向に離間して形成される。
【0032】
2つの薄肉部17は、側壁前部15aの内側部分が凹んだ形状を有する。薄肉部17は、例えば、なだらかに凹んだ曲面形状を有する。一方の薄肉部17は、透光部材20の側面21よりも左右方向の外方の位置であり、且つ、表枠前部11aおよび表枠左部11bの境界部分に形成される溝部18よりも側壁左部15bの側に寄った位置に配設される。図示しないが、他方の薄肉部17は、透光部材20の側面21よりも左右方向の外方の位置であり、且つ、表枠前部11aおよび表枠右部11dの境界部分に形成される溝部18よりも側壁右部15dの側に寄った位置に配設される。
【0033】
側壁前部15aにおいて、薄肉部17の周辺に位置する周辺部の厚みをt1とし、薄肉部17の厚みをt2とする。t1は周辺部での平均的な肉厚であり、t2は薄肉部17での最小の肉厚である。t2はt1よりも小さくて、側壁前部15aにおいて薄肉部17が周辺部よりも厚みが薄いように寸法構成される。表部材10の材料強度に依存するが、例えば、0.2×t1≦t2≦0.8×t1の厚みを有し、好ましくは0.3×t1≦t2≦0.7×t1の厚みを有する。
【0034】
後に詳述するが、表部材10の薄肉部17は、第2蓋体6bを解体して透光部材20を取り出すために表部材10の表枠前部11aを強制的に破断する場合の強制的な破壊の起源として働く。これにより、薄肉部17を強制的に破壊して、表部材10から透光部材20を容易に取り出すことができ、リサイクルの分別・回収に供することができる。なお、この開示において、「強制的に破壊する」という文言は、通常の使用では破壊されないが、強い力を意図的に加えることによって破壊することを意味している。
【0035】
図4に示すように、透光部材20は、例えば、平面視で略矩形の板形状を有する。透光部材20の外縁部22は、表枠11の内周縁によって覆われて、表窓12に対応する部分が露出している。透光部材20は、表窓12に対応する露出部分を介して洗濯槽4の内部が視認可能であるように、透光性を有する。透光部材20は、例えばガラスなどの各種の透光性材料からなる。
【0036】
図11は、図5に示した第2蓋体6bを構成する支持部材30の斜視図である。図12は、透光部材20を有する支持部材30の上面図である。図13は、図12に示した支持部材30の要部拡大図である。図14は、図13に示した弾性当接部34の斜視図である。図15は、透光部材20に対する支持部材30の弾性当接部34の当接状態を説明する図である。図16は、図11に示した支持部材30の下面図である。
【0037】
図11に示すように、支持部材30は、平面視で略矩形状を有する支持枠31を含む。支持枠31は、4つの支持枠部を有し、すなわち、支持枠前部31aと、支持枠左部31bと、支持枠後部31cと、支持枠右部31dとを有する。支持枠前部31aは、蓋体6の閉状態において支持枠31の前部に位置する箇所である。支持枠左部31bは、蓋体6の閉状態において支持枠31の左部に位置する箇所である。支持枠後部31cは、蓋体6の閉状態において支持枠31の後部に位置する箇所である。支持枠右部31dは、蓋体6の閉状態において支持枠31の右部に位置する箇所である。支持枠前部31aと支持枠左部31bと支持枠後部31cと支持枠右部31dとにおける各内周縁によって、支持窓32が形成される。支持窓32は、平面視で略矩形状を有する。支持部材30は、例えばポリプロピレン樹脂(PP樹脂)などの各種の樹脂材料からなる。
【0038】
図11から図14に示すように、支持部材30の表側(おもて側)には、支持凹部35が形成される。支持凹部35は、支持窓32を囲むとともに支持部材30の表面(おもて面)よりも凹んでいるように形成される。透光部材20の外縁部22は、支持凹部35に載置されることで支持される。支持枠左部31bと、支持枠後部31cと、支持枠右部31dとにおける支持凹部35は、支持窓32の近傍において、透光部材20の外縁部22を支持可能なサイズで部分的に形成される。これに対して、支持枠前部31aにおける支持凹部35は、支持枠前部31aのY軸方向の全幅にわたって形成されて、支持部材30の前面側である支持枠前部31aは、段差を有しないように平坦に構成される。
【0039】
図11および図12に示すように、支持部材30の支持枠左部31bと支持枠後部31cと支持枠右部31dとの各表側(おもて側)には、複数の弾性当接部34が配設される。複数の弾性当接部34は、各支持枠31部において、長手方向に離間配置される。弾性当接部34は、例えば、樹脂材料からなる支持部材30の一部として、一体に構成される。
【0040】
図13および図14に示すように、弾性当接部34は、透光部材20の側面21に当接するとともに透光部材20の面方向(X軸方向およびY軸方向)に付勢している。これにより、本実施の形態のように、表部材10、支持部材30および裏部材40と透光部材20とを固着させる接着部材を用いない場合においても、洗濯機1の運転中に発生する振動によって第2蓋体6bの構成部材である透光部材20が面方向に大きく動くことを抑制できるので、蓋体6において発生する振動や異音を抑制できる。
【0041】
弾性当接部34は、支持枠31から透光部材20の側面21に向けて突出し、平面視で矩形の環形状を有する。これにより、透光部材20を面方向に付勢する付勢構造を容易に構成できる。
【0042】
弾性当接部34は、バネ部34aおよび突出部34cを有する。バネ部34aは、一側部34lおよび他側部34mが支持部材30から突出するように延在して、一側部34lおよび他側部34mがバネ接続部34nで接続され、中央に空洞部34gが形成されることによって、平面視で矩形の環形状を有する。言い換えると、バネ接続部34nは、一側部34lおよび他側部34mによって両持ちで支持されている。バネ部34aの外周部分には、平面視でU字形状の隙間部34hが形成されている。バネ部34aは、押圧によって弾性的に変形する。バネ部34aの弾性的な変形により、透光部材20を面方向に付勢する付勢力が生じる。
【0043】
弾性当接部34は、上記のように、蓋体6において発生する振動や異音を抑制する付勢力を有するように構成されている。それとともに、弾性当接部34は、その付勢力が、蓋体6を破断して透光部材20を取り出す場合において透光部材20のスライド移動を妨げないように構成されている。
【0044】
図13および図14に示すように、突出部34cは、バネ部34aのバネ接続部34nの中央部に形成される。突出部34cは、バネ部34aから透光部材20の側面21に向けて突出した形状を有する。突出部34cの上側部分には、傾斜ガイド部34dが形成される。傾斜ガイド部34dは、内側部分から外側部分に向けて斜め下方に傾斜している。傾斜ガイド部34dは、例えばC面またはR面の形状を有する。傾斜ガイド部34dは、蓋体6を製造する場合に、透光部材20を上方から支持部材30に装着する際の位置決めガイドとして働く。傾斜ガイド部34dの下方には、側方当接部34eが形成される。側方当接部34eは、透光部材20の側面21に当接するように構成される。
【0045】
図11および図12に示すように、支持部材30は、その前面側において、すなわち支持枠前部31aの表側において、少なくとも1つの(例えば2つの)前面支持部38を有する。例えば2つの前面支持部38は、支持枠前部31aにおいて、長手方向に離間配置される。前面支持部38は、図19に示すように、Y軸方向の前面側から後面側に延在するとともにZ軸方向に弾性的に変位可能に片持ちで支持される。前面支持部38は、上方から押圧されると、下方に弾性的に変位する。すなわち、前面支持部38は、前面支持部38によって透光部材20が支持される支持位置と、前面支持部38による透光部材20の支持が解除される解除位置との間で弾性的に動く。これにより、支持位置から解除位置への移行を容易に行うことができる。なお、第2蓋体6bが組み立てられた状態にある場合、透光部材20の前面側の側面21は、図18に示すように当接リブ14に当接しているが、前面支持部38には当接していない。
【0046】
図11および図12に示すように、支持部材30の支持枠前部31aと支持枠左部31bと支持枠後部31cと支持枠右部31dとの各表側において、複数の表支持嵌合部33が設けられる。複数の表支持嵌合部33は、各支持枠31部において、長手方向に離間配置される。
【0047】
図20は、表部材10および支持部材30の嵌合関係を説明する断面図である。図20に示すように、表支持嵌合部33は、Z軸方向の上面側から下面側に延在してX軸方向に突出している。表支持嵌合部33は、爪部33aを有する。支持部材30の爪部33aは、表部材10の表側嵌合穴13aに嵌合して、透光部材20の厚み方向において互いに嵌合するための嵌合構造が形成される。これにより、接着部材を用いることなく、表部材10と透光部材20と支持部材30とを容易に一体化でき、リサイクルの分別・回収のために第2蓋体6bを容易に解体できる。
【0048】
図16に示すように、支持部材30の支持枠前部31aと支持枠左部31bと支持枠後部31cと支持枠右部31dとの各裏側において、複数の裏支持嵌合部36が設けられる。複数の裏支持嵌合部36は、各支持枠31部において、長手方向に離間配置される。
【0049】
図17は、図5に示した第2蓋体6bを構成する裏部材40の上面図である。
【0050】
図17に示すように、裏部材40は、平面視で略矩形状を有する裏枠41を含む。裏枠41は、裏枠前部41aと、裏枠左部41bと、裏枠後部41cと、裏枠右部41dとを有する。裏枠前部41aは、蓋体6の閉状態において裏枠41の前部に位置する箇所である。裏枠左部41bは、蓋体6の閉状態において裏枠41の左部に位置する箇所である。裏枠後部41cは、蓋体6の閉状態において裏枠41の後部に位置する箇所である。裏枠右部41dは、蓋体6の閉状態において裏枠41の右部に位置する箇所である。裏枠前部41aと裏枠左部41bと裏枠後部41cと裏枠右部41dとにおける各内周縁によって、裏窓42が形成される。裏窓42は、平面視で略矩形状を有する。表窓12と支持窓32と裏窓42とは、平面視で重なりを有するように構成される。裏部材40は、例えばポリプロピレン樹脂(PP樹脂)などの各種の樹脂材料からなる。
【0051】
図17に示すように、裏部材40の裏枠前部41aと裏枠左部41bと裏枠後部41cと裏枠右部41dとの各表側(おもて側)には、複数の裏側嵌合部46が設けられる。複数の裏側嵌合部46は、各裏枠41部において、長手方向に離間配置される。
【0052】
図21は、支持部材30および裏部材40の嵌合関係を説明する断面図である。図21に示すように、裏支持嵌合部36は、Z軸方向の上面側から下面側に延在してX軸方向に突出している。裏側嵌合部46は、爪部46aを有する。裏部材40の爪部46aは、支持部材30の爪部36aに嵌合して、透光部材20の厚み方向において互いに嵌合するための嵌合構造が形成される。これにより、接着部材を用いることなく、支持部材30および裏部材40を容易に一体化でき、リサイクルの分別・回収のために第2蓋体6bを容易に解体できる。
【0053】
図18は、前面側における表部材10および透光部材20の関係を説明する断面図である。図19は、前面側における表部材10および透光部材20の関係を説明する断面図である。
【0054】
図18および図19に示すように、上述した表部材10と透光部材20と支持部材30と裏部材40とを組み立てた状態の第2蓋体6bでは、透光部材20が、表部材10と支持部材30とによって挟持されている。具体的には、透光部材20の外縁部22が、表部材10の表枠11の内周縁と支持部材30の支持凹部35とによって挟持されている。そして、図10および図18に示すように、組み立てられた状態にある透光部材20の前方に位置する側面21は、当接リブ14の当接規制面14aに当接して支持される。これにより、組み立てられた状態にある蓋体6において、Y軸方向における透光部材20の動きが規制される。
【0055】
[1-2.動作および作用]
以上のように構成された洗濯機1について、以下にその動作および作用を説明する。
【0056】
[1-2-1.蓋体における弾性当接部の動作および作用]
弾性当接部34は、透光部材20の側面21に当接するとともに透光部材20の面方向に付勢している。これにより、洗濯機1の運転中に発生する振動によって第2蓋体6bの構成部材である透光部材20が面方向に大きく動くことを抑制できるので、蓋体6において発生する振動や異音を抑制できる。
【0057】
弾性当接部34は、透光部材20の外縁部22を支持する支持部材30に配設されている。これにより、支持部材30が表部材10または裏部材40との嵌合構造によって挟持される場合に、弾性当接部34が表部材10または裏部材40によって隠れるので、意匠性を向上できる。
【0058】
支持部材30は、平面視で略矩形状の支持枠31を有し、弾性当接部34は、支持枠31における対面する2つの支持枠部31a,31c;31b,31dの少なくとも一方に配設される。これにより、透光部材20を面方向に付勢する付勢構造を容易に且つ低コストで構成できる。
【0059】
弾性当接部34は、透光部材20の側面21に向けて突出し、平面視で環形状を有する。これにより、透光部材20を面方向に付勢する付勢構造を容易に構成できる。
【0060】
弾性当接部34は、弾性的に変形するバネ部34aと、バネ部34aから透光部材20の側面21に向けて突出する突出部34cと、を有する。これにより、洗濯機1の運転中に、蓋体6において発生する振動や異音を抑制できる。
【0061】
支持部材30は樹脂からなり、弾性当接部34は、支持部材30の一部である。これにより、弾性当接部34を容易に且つ低コストで設けることができる。
【0062】
蓋体6は、蓋体6の表面を構成する表部材10をさらに備え、表部材10および支持部材30の少なくとも一方には、透光部材20の厚み方向において互いに嵌合するための爪部33aが配設される。さらに、蓋体6は、蓋体6の裏面側を構成する裏部材40をさらに備え、裏部材40および支持部材30の少なくとも一方には、透光部材20の厚み方向において互いに嵌合するための爪部36a、46aが配設される。これにより、第2蓋体6bは、透光部材20を、表部材10、支持部材30および裏部材40のそれぞれに設けられた爪構造によって挟み込む構造をしている。そのため、表部材10、透光部材20、支持部材30および裏部材40を、接着部材およびビスなどの別途の取付部材を用いることなく、組み合わせて構成することができるので、蓋体6を解体し、リサイクルする際に、素材ごとの分別が容易になる。
【0063】
[1-2-2.第2蓋体の解体に係る動作および作用]
以降、第2蓋体6bを解体し、第2蓋体6bから透光部材20を取り出す場合の動作の一例について説明する。
【0064】
第2蓋体6bを解体する場合、まず、図3に示すように蓋体6が筐体2に取り付けられた状態で投入口8を半開にした状態において、側壁前部15aを前方に引っ張る。
【0065】
表部材10の側壁15には、周辺部の厚みよりも薄い厚みを有する薄肉部17が設けられている。また、表部材10の表枠前部11aの上面には、溝部18が設けられている。側壁前部15aが前方に引っ張られることにより、溝部18が副次的な起源になり、薄肉部17および溝部18を結ぶ亀裂が生じやすくなった状態で、薄肉部17が強制的な破壊の起源となる。これにより、表部材10の側壁前部15aに破断部が形成される。なお、側壁前部15aを前方に引っ張られる際、表枠前部11aの上面を支えられながら引っ張られても良い。
【0066】
なお、本実施の形態において、薄肉部17は、透光部材20の側面21よりも左右方向の外方に配設される。言い換えると、薄肉部17は、透光部材20よりも幅方向において外方に配設されている。これにより、表部材10の破断部は透光部材20よりも幅方向において外方に形成されるので、表部材10の破断部から透光部材20を取り出す場合に、透光部材20が表部材10の破断部に引っかかることを抑制できる。
【0067】
また、本実施の形態において、溝部18は、表窓12のコーナー部から、表部材10の表枠第1縁部11eまで一直線に延在している。これにより、表部材10の外観品位を向上させるとともに、表部材10を破壊する際に、表窓12と表枠第1縁部11eと溝部18とに囲まれた領域である表枠前部11aを支持してもよいことを、使用者に認識させやすくすることができる。
【0068】
表部材10の表枠前部11aが強制的に破断されて表枠前部11aが表部材10から分離されると、当接リブ14による透光部材20の当接・支持が解消される。蓋体6は、前方下向きに傾斜しているので、透光部材20が、前方下向きにずり落ちるように前面側に動くことが可能になる。そこで、蓋体6は、前面支持部38を有する。
【0069】
すなわち、蓋体6は、投入口8を閉じた状態では前方下向きに傾斜し、蓋体6は、薄肉部17が強制的に破壊された場合に、透光部材20の側面21に当接する前面支持部38を有する。これにより、表部材10が破壊された場合に、表部材10の代わりに支持部材30によって透光部材20が当接・支持されるので、透光部材20が前面側に動くことが規制される。すなわち、表部材10が破壊された場合に、透光部材20が第2蓋体6bから不用意に脱離することを抑制できる。
【0070】
前面支持部38は、前面支持部38によって透光部材20が支持される支持位置と、前面支持部38による透光部材20の支持が解除される解除位置との間で弾性的に動く。前面支持部38は、上方から押圧されることにより、支持位置から解除位置に移行する。前面支持部38が解除位置に位置すると、透光部材20が、前面支持部38の上面上を通過可能となり、透光部材20を第2蓋体6bから取り出すことが可能となる。
【0071】
本実施の形態においては、支持部材30の前面側は、平坦に構成される。これにより、透光部材20が支持部材30に引っ掛かることなく、透光部材20をスムーズに取り出すことができる。
上記により、本実施の形態においてガラスで構成された透光部材20を、樹脂で構成された表部材10、支持部材30および裏部材40から分離することができるので、リサイクルの分別・回収を可能とすることができる。
【0072】
[1-3.効果など]
本実施の形態の洗濯機1によれば、以下の効果を奏することができる。
【0073】
[効果1]
洗濯機1は、筐体2と、筐体2に形成される投入口8を開閉自在に覆う蓋体6と、を備える。蓋体6は、板形状を有する透光部材20(第1部材)と、透光部材20の側面21に当接するとともに透光部材20の面方向に付勢する弾性当接部34と、を有する。
【0074】
このような構成により、洗濯機1の運転中に発生する振動によって第2蓋体6bの構成部材である透光部材20が面方向に大きく動くことを抑制できるので、蓋体6において発生する振動や異音を抑制できる。
【0075】
本実施の形態の洗濯機1において、弾性当接部34は、透光部材20の外縁部22を支持する支持部材30に配設される。
【0076】
このような構成により、支持部材30が表部材10または裏部材40との嵌合構造によって挟持される場合に、弾性当接部34が表部材10または裏部材40によって隠れるので、意匠性を向上できる。
【0077】
本実施の形態の洗濯機1において、支持部材30は、平面視で略矩形状の支持枠31を有する。そして、弾性当接部34は、支持枠31における対面する2つの支持枠部31a,31c;31b,31dの少なくとも一方に配設される。
【0078】
このような構成により、透光部材20を面方向に付勢する付勢構造を容易に且つ低コストで構成できる。
【0079】
本実施の形態の洗濯機1において、弾性当接部34は、透光部材20の側面21に向けて突出し、平面視で環形状を有する。
【0080】
このような構成により、透光部材20を面方向に付勢する付勢構造を容易に構成できる。
【0081】
本実施の形態の洗濯機1において、弾性当接部34は、弾性的に変形するバネ部34aと、バネ部34aから透光部材20の側面21に向けて突出する突出部34cと、を有する。
【0082】
このような構成により、洗濯機1の運転中に、蓋体6において発生する振動や異音を抑制できる。
【0083】
本実施の形態の洗濯機1において、支持部材30は樹脂からなる。そして、弾性当接部34は、支持部材30の一部である。
【0084】
このような構成により、弾性当接部34を容易に且つ低コストで設けることができる。
【0085】
本実施の形態の洗濯機1において、蓋体6は、蓋体6の表面を構成する表部材10をさらに備える。そして、表部材10および支持部材30の少なくとも一方には、透光部材20の厚み方向において互いに嵌合するための爪部33aが配設される。
【0086】
このような構成により、接着部材を用いることなく、表部材10と透光部材20と支持部材30とを容易に一体化でき、リサイクルの分別・回収のために第2蓋体6bを容易に解体できる。
【0087】
本実施の形態の洗濯機1において、蓋体6は、蓋体6の裏面側を構成する裏部材40をさらに備える。そして、裏部材40および支持部材30の少なくとも一方には、透光部材20の厚み方向において互いに嵌合するための爪部36a、46aが配設される。
【0088】
このような構成により、接着部材を用いることなく、支持部材30および裏部材40を容易に一体化でき、リサイクルの分別・回収のために第2蓋体6bを容易に解体できる。
【0089】
[効果2]
洗濯機1は、筐体2と、筐体2に形成される投入口8を開閉自在に覆う蓋体6と、を備える。蓋体6は、透光部材20(第1部材)と、透光部材20と異なる素材で構成され、透光部材20の側面21を覆う表部材10(第2部材)と、を有する。表部材10の側壁15は、周辺部の厚みよりも薄い厚みを有する薄肉部17を有する。
【0090】
このような構成により、薄肉部17が表部材10の強制的な破壊の起源となり、リサイクルのために蓋体6を解体する場合、構成部材である表部材10と、表部材10と異なる素材で構成された透光部材20とを分別することが容易となる。
【0091】
本実施の形態の洗濯機1において、薄肉部17は、透光部材20の側面21よりも左右方向(幅方向)の外方に配設される。
【0092】
このような構成により、透光部材20よりも幅方向において外方に表部材10の破断部が形成される。そのため、透光部材20が表部材10の破断部に引っ掛かることなく、透光部材20をスムーズに取り出すことができる。
【0093】
本実施の形態の洗濯機1において、薄肉部17は、表部材10の表枠第1縁部11e(第1縁部)まで延在して設けられ、表部材10は、表枠第1縁部11eまで延在して設けられた溝部18をさらに有する。
【0094】
このような構成により、溝部18が表部材10の副次的な破壊の起源になり、薄肉部17および溝部18を結ぶ亀裂が生じやすくなる。そのため、表部材10の破断部を容易に形成することができる。
【0095】
本実施の形態の洗濯機1において、第2部材10は、蓋体6の表面を構成する表部材10である。表部材10の内側には、透光部材20を露出させる表窓12が形成される。表部材10は、表窓12の端部から表枠第1縁部11e(第1縁部)まで延在する溝部18をさらに有する。
【0096】
このような構成により、溝部18が副次的な破壊の起源になり、薄肉部17および溝部18を結ぶ亀裂が生じやすくなるとともに、表窓12の延長に溝部18が設けられるので、外観品位を向上させることができる。
【0097】
本実施の形態の洗濯機1において、表部材10は、薄肉部17を有する側壁15の近傍の裏面側において、透光部材20の側面21に当接する当接リブ14を有する。
【0098】
このような構成により、組み立てられた状態にある蓋体6において、透光部材20の動きが規制される。
【0099】
本実施の形態の洗濯機1において、蓋体6は、筐体2の後面側において回動可能に支持される。そして、薄肉部17は、前面側に位置する側壁15に配設される。
【0100】
このような構成により、蓋体6が筐体2に取り付けられた状態で前方に引っ張る力が強制的に加えられることで容易に破壊される。
【0101】
本実施の形態の洗濯機1において、蓋体6は、投入口8を閉じた状態では前方下向きに傾斜している。そして、蓋体6は、薄肉部17が強制的に破壊された場合に、透光部材20の側面21に当接する前面支持部38を有する。
【0102】
このような構成により、透光部材20が第2蓋体6bから不用意に脱離することを抑制できる。
【0103】
本実施の形態の洗濯機1において、前面支持部38は、前面支持部38によって透光部材20が支持される支持位置と、前面支持部38による透光部材20の支持が解除される解除位置との間で弾性的に動く。
【0104】
このような構成により、支持位置から解除位置への前面支持部38の移行を容易に行うことができる。
【0105】
本実施の形態の洗濯機1において、蓋体6は、透光部材20の外縁部22を支持する支持部材30をさらに備える。そして、前面支持部38は、支持部材30の前面側に配設される。
【0106】
このような構成により、表部材10が破壊された場合に、表部材10の代わりに支持部材30によって透光部材20が当接・支持されるので、透光部材20が前面側に動くことが規制される。
【0107】
本実施の形態の洗濯機1において、支持部材30の前面側は、平坦に構成される。
【0108】
このような構成により、透光部材20が支持部材30に引っ掛かることなく、透光部材20をスムーズに取り出すことができる。
【0109】
本実施の形態の洗濯機1において、表部材10および支持部材30の少なくとも一方には、透光部材20の厚み方向において互いに嵌合するための爪部33aが配設される。
【0110】
このような構成により、接着部材を用いることなく、表部材10と透光部材20と支持部材30とを容易に一体化でき、リサイクルの分別・回収のために蓋体6を容易に解体できる。
【0111】
本実施の形態の洗濯機1において、蓋体6は、蓋体6の裏面を構成する裏部材40をさらに備える。そして、裏部材40および支持部材30の少なくとも一方には、透光部材20の厚み方向において互いに嵌合するための爪部36a、46aが配設される。
【0112】
このような構成により、接着部材を用いることなく、支持部材30および裏部材40を容易に一体化でき、リサイクルの分別・回収のために蓋体6を容易に解体できる。
【0113】
本実施の形態の洗濯機1において、透光部材20は、ガラスにより構成される。表部材10は、樹脂により構成される。
【0114】
このような構成により、透光部材20(第1部材)と表部材10(第2部材)とが異なる素材で構成されている場合にも、表部材10から透光部材20を取り出すことができるので、蓋体6を解体してリサイクルする際に、素材ごとの分別が容易になる。
【0115】
なお、本開示は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。
【0116】
上記の実施の形態において、弾性当接部34は、対向する支持枠左部31bおよび支持枠右部31dの両方に配設される態様を例示したが、支持枠左部31bまたは支持枠右部31dに配設されてもよい。すなわち、略矩形状の支持枠31を構成する対向する支持枠部31a,31c;31b,31dの少なくとも一方に弾性当接部34が配設される。これにより、透光部材20を面方向に付勢する付勢構造を容易に且つ低コストで構成できる。
【0117】
上記の実施の形態において、弾性当接部34は、透光部材20の外縁部22を支持する支持部材30に配設される態様を例示したが、支持部材30を省略して、支持部材30の機能が組み込まれた表部材10に配設されるかまたは支持部材30の機能が組み込まれた裏部材40に配設されてもよい。
【0118】
弾性当接部34は、平面視で矩形の環形状を有する態様を例示したが、平面視で、円形や楕円や半円や半楕円などの各種の環形状を有してもよい。
【0119】
弾性当接部34は、バネ接続部34nを一側部34lおよび他側部34mによる両持ちで支持する態様を例示したが、一側部34lまたは他側部34mを支持枠31から切り離してバネ接続部34nを一側部34lまたは他側部34mによる片持ちで支持する態様であってもよい。
【0120】
上記の実施の形態において、弾性当接部34は、支持部材30の一部である態様を例示したが、支持部材30とは別体である別の弾性要素として構成されてもよい。また、弾性当接部34は、フェルトやウレタンフォームなどであってもよい。
【0121】
上記の実施の形態において、透光部材20は、平面視で略矩形の板形状を有する態様を例示したが、平面視で円形状や楕円形状であってもよい。
【0122】
上記の実施の形態において、薄肉部17は、なだらかに凹んだ曲面形状を有する態様を例示したが、急峻に凹んだV字形状であってもよいし、溝のような形状をしていてもよい。
【0123】
上記の実施の形態において、表部材10の側壁15が薄肉部17を有する態様を例示したが、外面部材として働く裏部材40の側壁が薄肉部17を有してもよい。また、薄肉部17は、第1部材(上記実施の形態においては透光部材20)の側面21の一部を覆う部材に設けられていればよいので、薄肉部17は、蓋体6の外面を構成する外面部材に設けられていなくてもよい。さらに、薄肉部は、蓋体の厚み方向に延在して設けられていればよいため、薄肉部が延在する方向は上下方向に限定されない。ドラム式洗濯機のように蓋体の厚み方向が前後方向である場合、薄肉部は、前後方向に延在してもよい。
【0124】
上記の実施の形態において、溝部の一例として、表窓12のコーナー部と表枠第1縁部11eとの間を接続するように設けられた溝部18を説明した。溝部18は、薄肉部17が設けられている表枠第1縁部11eから延在して設けられていればよい。溝部18の変形例として、図22に示すような、表窓12よりも左右方向(幅方向)において内側に位置する溝部118や、図23に示すような、表窓12よりも左右方向(幅方向)において外側に位置する溝部218が考えられる。なお、溝部18は、左右方向(幅方向)において薄肉部17と同一直線状に位置してもよい。この場合、側壁前部15aにおける破断部の形成が容易になる。また、溝部18,118,218は、薄肉部17の延在端部となっている縁部(表枠第1縁部11e)から延在して設けられればよいため、前後方向から幅方向に傾斜して延在するように設けられてもよい。また、溝部18,118,218の形状は、溝のような形状でもよいし、なだらかに凹んだ曲面形状を有してもよいし、急峻に凹んだV字形状であってもよい。
【0125】
本実施の形態において、第1部材20の一例として、光を透過させる透光部材20を説明した。第1部材20は、透光部材として、ガラスから構成されてもよいし、透明のアクリル樹脂等から構成されてもよい。また、第1部材20は、光を透過させない、金属等で構成されてもよい。そして、本実施の形態において、第1部材20の側面21を覆う第2部材の一例として、表部材10、支持部材30および裏部材40を説明した。第2部材は、樹脂で構成されてもよいし、他の素材で構成されてもよい。また、第1部材と第2部材とは、それぞれ異なる種類の樹脂等で構成されてもよい。なお、第1部材20を構成する素材が、第1部材20の側面21を覆う第2部材を構成する素材と異なる場合に、本開示の構成がより効果を奏することができる。
【0126】
上記の実施の形態において、洗濯機1の一例として縦型洗濯機を説明した。洗濯機1は、薬剤を用いて洗濯物を洗濯できるものであればよい。したがって、洗濯機1は、縦型洗濯機に限定されず、ドラム式洗濯機であってもよい。また、蓋体6は、第1蓋体6aおよび第2蓋体6bの2つの蓋体要素から構成される折り畳みタイプを例示したが、1つの蓋体要素からなる非折り畳みタイプのものであってもよい。
【0127】
第1の態様における洗濯機は、筐体と、筐体に形成される投入口を開閉自在に覆う蓋体と、を備え、蓋体は、第1部材と、第1部材と異なる素材で構成され、第1部材の側面を覆う第2部材と、を有し、第2部材の側壁は、周辺部の厚みよりも薄い厚みを有する薄肉部を有する。
【0128】
第2の態様における洗濯機として、第1の態様における洗濯機において、薄肉部は、第1部材の側面よりも幅方向において外方に配設される。
【0129】
第3の態様における洗濯機として、第1または第2の態様における洗濯機において、薄肉部は、第2部材の第1縁部まで延在して設けられ、第2部材は、第1縁部まで延在して設けられた溝部をさらに有する。
【0130】
第4の態様における洗濯機として、第3の態様における洗濯機において、第2部材は、蓋体の表面を構成する表部材であり、表部材の内側には、第1部材を露出させる表窓が形成され、第2部材は、表窓の端部から第1縁部まで延在する溝部をさらに有する。
【0131】
第5の態様における洗濯機として、第1から第4の態様のいずれかにおける洗濯機において、第2部材は、薄肉部を有する側壁の近傍の裏面側において、第1部材の側面に当接する当接リブを有する。
【0132】
第6の態様における洗濯機として、第1から第5の態様のいずれかにおける洗濯機において、蓋体は、前記筐体の後面側において回動可能に支持されて、前記薄肉部は、前面側に位置する前記側壁に配設される。
【0133】
第7の態様における洗濯機として、第1から第6の態様のいずれかにおける洗濯機において、蓋体は、投入口を閉じた状態では前方下向きに傾斜しており、蓋体は、薄肉部が強制的に破壊された場合に、第1部材の側面に当接する前面支持部を有する。
【0134】
第8の態様における洗濯機として、第7の態様における洗濯機において、前面支持部は、前面支持部によって第1部材が支持される支持位置と、前面支持部による第1部材の支持が解除される解除位置との間で弾性的に動く。
【0135】
第9の態様における洗濯機として、第1から第8の態様のいずれかの態様における洗濯機において、蓋体は、第1部材の外縁部を支持する支持部材をさらに備え、前面支持部は、支持部材の前面側に配設される。
【0136】
第10の態様における洗濯機として、第9の態様における洗濯機において、支持部材の前面側は、平坦に構成される。
【0137】
第11の態様における洗濯機として、第9または第10の態様における洗濯機において、第2部材および支持部材の少なくとも一方には、第1部材の厚み方向において互いに嵌合するための爪部が配設される。
【0138】
第12の態様における洗濯機として、第9または第10の態様における洗濯機において、蓋体は、蓋体の裏面を構成する裏部材をさらに備え、裏部材および支持部材の少なくとも一方には、第1部材の厚み方向において互いに嵌合するための爪部が配設される。
【0139】
第13の態様における洗濯機として、第1から第12の態様のいずれかにおける洗濯機において、第1部材は、ガラスにより構成され、第2部材は、樹脂により構成される。
【0140】
本開示は、添付図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本開示の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0141】
本開示は、筐体の投入口を開閉自在に覆う蓋体を有する洗濯機に適用可能である。具体的には、縦型洗濯機やドラム式洗濯機などに有用である。
【符号の説明】
【0142】
1…洗濯機
2…筐体
3…水槽
4…洗濯槽
5…薬剤供給ユニット
6…蓋体
6a…第1蓋体
6b…第2蓋体
7…操作パネル
8…投入口
10…表部材(第2部材)
11…表枠
11a…表枠前部
11b…表枠左部
11c…表枠後部
11d…表枠右部
11e…表枠第1縁部(第1縁部)
11f…表枠第2縁部
12…表窓
13…表側嵌合部
13a…表側嵌合穴
14…当接リブ
14a…当接規制面
15…側壁
15a…側壁前部
15b…側壁左部
15c…側壁後部
15d…側壁右部
17…薄肉部
18…溝部
20…透光部材(第1部材)
21…側面
22…外縁部
30…支持部材
31…支持枠
31a…支持枠前部(支持枠部)
31b…支持枠左部(支持枠部)
31c…支持枠後部(支持枠部)
31d…支持枠右部(支持枠部)
32…支持窓
33…表支持嵌合部
33a…爪部
34…弾性当接部
34a…バネ部
34c…突出部
34d…傾斜ガイド部
34e…側方当接部
34g…空洞部
34h…隙間部
34l…一側部
34m…他側部
34n…バネ接続部
35…支持凹部
36…裏支持嵌合部
36a…爪部
38…前面支持部
40…裏部材(外面部材)
41…裏枠
41a…裏枠前部
41b…裏枠左部
41c…裏枠後部
41d…裏枠右部
42…裏窓
46…裏側嵌合部
46a…爪部
118…溝部
218…溝部
t1…周辺部の厚み
t2…薄肉部の厚み
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23