(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151115
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 39/12 20060101AFI20241017BHJP
【FI】
D06F39/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064256
(22)【出願日】2023-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183276
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 裕三
(72)【発明者】
【氏名】前田 真吾
【テーマコード(参考)】
3B165
【Fターム(参考)】
3B165AA01
3B165AA11
3B165AA32
3B165BA13
3B165BA33
3B165CA01
3B165CA02
3B165CA05
3B165CA13
3B165CB01
3B165CB31
3B165FA02
3B165GH03
(57)【要約】
【課題】背面カバーの通気口を介した、収納ケースへの水の浸入を抑制する洗濯機を提供する。
【解決手段】本開示の洗濯機は、後面側に後開口を有する筐体と、筐体の後面側に配設され、制御装置を収納する収納ケースと、後開口を覆う背面カバーと、を備え、収納ケースは、収納ケースの内外を連通するケース通気口を後面側に有し、背面カバーは、筐体の内外を連通するカバー通気口と、カバー通気口の上方において、背面カバーが筐体の後面側に取り付けられた状態で筐体の内方を臨む、背面カバーにおける内面から、前面側に向けて突出するとともに左右方向に延在する突出部と、を有する。
【選択図】
図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
後面側に後開口を有する筐体と、前記筐体の後面側に配設され、制御装置を収納する収納ケースと、前記後開口を覆う背面カバーと、を備え、
前記収納ケースは、前記収納ケースの内外を連通するケース通気口を後面側に有し、
前記背面カバーは、前記筐体の内外を連通するカバー通気口と、前記カバー通気口の上方において、前記背面カバーが前記筐体の後面側に取り付けられた状態で前記筐体の内方を臨む、前記背面カバーにおける内面から、前面側に向けて突出するとともに左右方向に延在する突出部と、を有する、洗濯機。
【請求項2】
前記背面カバーには、カバーベース部が内側に膨出することで形成されるカバー膨出部が配設され、
前記カバー通気口は、前記カバー膨出部に形成されるカバー膨出縁と、前記カバーベース部に形成されるカバーベース縁とによって画定されるとともに、前記背面カバーの上下方向に開口している、請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記突出部は、前記カバー通気口の奥行き寸法よりも大きな突出寸法を有する、請求項1に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記突出部は、前記カバー通気口と、前記カバー通気口の近傍であり且つ上方に位置する前記ケース通気口との間に配設される、請求項1に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記背面カバーは、前記収納ケースの上方において、前記筐体の内外を連通する上方通気口をさらに有する、請求項1に記載の洗濯機。
【請求項6】
前記背面カバーは、前記上方通気口の下方であり且つ前記収納ケースの上方において、前記背面カバーの前記内面から前面側に向けて突出するとともに左右方向に延在する中間突出部をさらに有する、請求項5に記載の洗濯機。
【請求項7】
前記中間突出部は、左右方向において、中央部から側部にかけて斜め下向きに延在する、請求項6に記載の洗濯機。
【請求項8】
前記中間突出部は、前後方向において、後方から前方にかけて斜め下向きに延在する、請求項6に記載の洗濯機。
【請求項9】
前記収納ケースの上面は、後面側から前面側に向けて下方に傾斜する傾斜部を有する、請求項1に記載の洗濯機。
【請求項10】
前記カバー通気口には、前記カバーベース縁と前記カバー膨出縁とを前後方向において部分的につなぐ接続部が配設される、請求項2に記載の洗濯機。
【請求項11】
前記収納ケースは、後面側において、ケース蓋を有し、
前記ケース蓋には、蓋ベース部が前面側に膨出することによって形成される前膨出部と、前記蓋ベース部が後面側に膨出することによって形成される後膨出部とが配設され、
前記ケース通気口は、前記前膨出部に形成される前膨出縁と、前記後膨出部に形成される後膨出縁と、によって画定される、請求項1に記載の洗濯機。
【請求項12】
前記ケース蓋は、金属製であり、
前記ケース通気口は、前面側から後面側への打ち抜きによって形成される、請求項11に記載の洗濯機。
【請求項13】
前記背面カバーは、樹脂からなる、請求項1に記載の洗濯機。
【請求項14】
前記樹脂は、再生材である、請求項13に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、筐体の後面を構成する第2構成部品(背面カバー)を備える洗濯機が開示されている。
【0003】
特許文献1に開示された洗濯機では、第2構成部品(背面カバー)として、プレス加工された金属板が使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、背面カバーの通気口を介した、収納ケースへの水の浸入を抑制する洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様の洗濯機は、
後面側に後開口を有する筐体と、前記筐体の後面側に配設され、制御装置を収納する収納ケースと、前記後開口を覆う背面カバーと、を備え、
前記収納ケースは、前記収納ケースの内外を連通するケース通気口を後面側に有し、
前記背面カバーは、前記筐体の内外を連通するカバー通気口と、前記カバー通気口の上方において、前記背面カバーが前記筐体の後面側に取り付けられた状態で前記筐体の内方を臨む、前記背面カバーにおける内面から、前面側に向けて突出するとともに左右方向に延在する突出部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、背面カバーのカバー通気口を介した、収納ケースへの水の浸入を抑制する洗濯機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示に係る一実施の形態における洗濯機の斜視図
【
図2】
図1に示した洗濯機を構成する下部筐体の背面図
【
図3】
図1に示した洗濯機における背面カバーの背面図
【
図8】
図6に示した背面カバーにおけるカバー通気口および突出部を説明する断面図
【
図9】
図5に示した背面カバーおよび収納ケースを説明する正面図
【
図10】
図9に示した背面カバーおよび収納ケースを説明する断面図
【
図11】
図9に示した背面カバーおよび収納ケースを説明する斜視図
【
図12】
図11に示した背面カバーおよび収納ケースの要部拡大断面図
【
図15】
図14に示したケース蓋におけるケース通気口を説明する断面図
【
図16】カバー通気口とケース通気口と突出部との関係を説明する断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本開示の基礎となった知見等)
近年、環境への負荷を低減するために、樹脂の再生材を使用する取り組みが様々な業種で行われている。例えば、洗濯機の背面カバーを金属製から樹脂製に置き換える場合、樹脂材料は金属材料よりも熱伝導率が低いため、背面カバーの放熱性が低下する。例えば通気口の数を増やすことによって樹脂製の背面カバーの放熱性が向上するが、水が筐体内部に浸入しやすくなる。通気口を通じた水の浸入経路として、例えば、雨水が直接浸入する場合や、雨水が地面に跳ね返って浸入する場合、外部から水がかかった場合などが考えられる。特に、制御装置を収納した収納ケースが筐体の後面側に配設される場合、背面カバーの通気口を介して水が収納ケースに浸入することによって制御装置がダメージを受けるリスクがある。発明者らは、この課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
【0010】
そこで、本開示は、背面カバーの通気口を介した、収納ケースへの水の浸入を抑制する洗濯機を提供することを目的とする。
【0011】
以下、本開示の実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。各図には、便宜上、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を示している。この明細書においては、洗濯機1の幅方向、奥行き方向、高さ方向のそれぞれを、X軸、Y軸、Z軸で規定している。説明の便宜上、洗濯機1の使用時に使用者が位置する側(前面側)から見た
図1を基準として洗濯機1における方向を特定する。
【0012】
図面のX軸方向において、前面側から見た場合の洗濯機1の左側を左面側(左方)とするとともに、洗濯機1の右側を右面側(右方)として、X軸方向を左右方向と呼ぶことがある。図面のY軸方向において、洗濯機1の使用時に使用者が位置する側を前面側(前方)とするとともに、蓋体6のヒンジ軸が設けられる側を後面側(後方)として、Y軸方向を前後方向と呼ぶことがある。図面のZ軸方向において、洗濯機1の上側を上面側(上方)とするとともに、洗濯機1の下側を下面側(下方)として、Z軸方向を上下方向と呼ぶことがある。また、X軸およびY軸に延在する方向を面方向と呼ぶことがある。また、背面カバー10における外面11は、背面カバー10が筐体2の後面側に取り付けられた状態で筐体2の外方を臨む面のことを指しており、背面カバー10における内面21は、背面カバー10が筐体2の後面側に取り付けられた状態で、筐体2の内方を臨む面のことを指している。
【0013】
(実施の形態)
図1は、本開示に係る一実施の形態における洗濯機1の斜視図である。
【0014】
(全体構成)
洗濯機1は、筐体2と、水槽(図示せず)と、洗濯槽(図示せず)と、薬剤供給ユニット(図示せず)と、蓋体6と、収納ケース40とを備える。
【0015】
(筐体)
図1に示すように、洗濯機1は、外郭を成す筐体2を備える。筐体2の上面側には、衣類等の洗濯物を出し入れするための投入口(図示せず)が形成されている。筐体2の上面側には、蓋体6が開閉自在に設けられる。蓋体6は、投入口を覆うように構成される。蓋体6を全開状態にすることにより、洗濯物の出し入れが可能になる。なお、筐体2は、上部筐体2aと下部筐体2bを含む。投入口および蓋体6は、上部筐体2aに設けられている。
【0016】
例えば、
図1に示すように、筐体2の後面上部には、操作パネル7が設けられる。操作パネル7は、電源ボタンや表示操作部などを備える。筐体2の内側後面上部には、薬剤供給ユニットが設けられる。薬剤供給ユニットは、洗濯槽に液剤、粉末洗剤、及び固形剤などの洗濯用の薬剤を供給する機能を有する。筐体2の後面側の内部には、収納ケース40(
図9から
図12などに図示)が配設される。収納ケース40の詳細は後述する。
【0017】
(水槽)
水槽は、筐体2の内部に設けられて、洗濯水を溜めるように上側端部が開口した有底円筒形状を有する部材である。水槽を外槽と称してもよい。
【0018】
(洗濯槽)
洗濯槽は、水槽の内側において回動可能に設けられて、洗濯物を収容するように、上側端部が開口した有底円筒形状を有する部材である。洗濯槽には水槽に連通する多数の貫通孔が形成される。貫通孔は、水槽と洗濯槽との間で洗濯水および薬剤供給ユニットから供給される薬剤の流通を可能にする。洗濯槽は筐体2の投入口に面する位置に開口を有する。開口を通じて洗濯物は洗濯槽に投入される。洗濯槽をドラムまたは内槽と称してもよい。
【0019】
(蓋体)
蓋体6は、前面側に位置する第1蓋体6aと、後面側に位置する第2蓋体6bとを有する。蓋体6は、筐体2の後面側において回動可能に支持される。蓋体6は、筐体2の投入口を覆うように構成される。
【0020】
(背面カバー)
図2は、
図1に示した洗濯機1を構成する下部筐体2bの背面図である。下部筐体2bの後面は、一部分が開口しており、
図2に示すように、下部筐体2bは、後面側に後開口9を有する。背面カバー10は、後開口9を覆うように、下部筐体2bの後面側に配設される。背面カバー10は、下部筐体2bの後面に対して、例えばビスで取り付けられる。
【0021】
図3は、
図1に示した洗濯機1における背面カバー10の背面図である。
図4は、
図3に示した背面カバー10の斜視図である。
図3および
図4に示すように、背面カバー10は、背面視で略矩形状を有する。背面カバー10は、例えばポリプロピレン樹脂(PP樹脂)などの各種樹脂の再生材からなる。これにより、所望とする形状を容易に形成できるとともに、環境への負荷を低減できる。ただし、背面カバー10を構成する材料は、各種の樹脂であればよく、再生材に限定されない。
【0022】
背面カバー10は、板状のカバーベース部12を有する。収納ケース40が筐体2の後面よりも後方に突出するように配設される場合、背面カバー10は、ケース収納部13を有する。ケース収納部13は、
図4に示すようにカバーベース部12を後方に膨出させて、収納ケース40の一部分または全体を受け入れ可能な形状を有する。
【0023】
図3および
図4に示すように、背面カバー10のケース収納部13には、複数のカバー膨出部14が配設される。カバー膨出部14は、カバーベース部12から、筐体2の後面に対して内方側に膨出するように設けられる。例えば、上下方向に5行であり左右方向に2列であり合計10個のカバー膨出部14が配設される。ただし、カバー膨出部14の配列および総数は、これらに限定されない。
【0024】
図5は、
図3に示した背面カバー10の正面図である。
図6は、
図5に示した背面カバー10の斜視図である。
図5および
図6に示すように、背面カバー10は、カバー膨出部14の上方において、庇状の突出部19を有する。突出部19は、カバーベース部12の内面21から前面側に例えば略水平に突出するとともに、左右方向に延在する。複数のカバー膨出部14に対応して、複数の突出部19が配設される。
【0025】
(カバー通気口)
図7は、
図6に示した背面カバー10の要部拡大斜視図である。
図8は、
図6に示した背面カバー10におけるカバー通気口17および突出部19を説明する断面図である。
図7および
図8に示すように、背面カバー10は、カバー膨出部14において、カバー通気口17を有する。カバー通気口17は、背面カバー10の外面11および内面21を貫通するように構成され、筐体2の内外を連通している。
【0026】
カバー膨出部14の上端には、カバー膨出縁16が形成される。カバー膨出縁16は、例えば平面視でU字形状を有する。カバーベース部12の下端には、カバーベース縁15が形成される。カバーベース縁15は、例えば左右方向に延在する。カバー膨出縁16の一端とカバーベース縁15の一端とがつながるとともに、カバー膨出縁16の他端とカバーベース縁15の他端とがつながることにより、カバー通気口17が画定される。それとともに、
図8に示すように、カバー通気口17は、背面カバー10の上下方向に開口している。これにより、クランク状に屈曲した複雑な経路が形成されるので、カバー通気口17を通じた水の浸入を抑制できる。
【0027】
図8に示すように、カバー膨出縁16の外面11とカバーベース縁15の内面21とで規定されるカバー通気口17の奥行き寸法をt1とし、突出部19の先端とカバーベース縁15の内面21とで規定される突出部19の突出寸法をt2とする。突出部19の突出寸法t2がカバー通気口17の奥行き寸法t1よりも大きいように寸法構成される。これにより、手指がカバー通気口17から差し込まれた場合に、手指が突出部19に当たることで、より内方まで侵入することを抑制できる。そのため、手指が筐体2の内部の部品に接触して怪我することを抑制できる。
【0028】
図8に示すように、突出部19の下面とカバー通気口17との間の距離で規定される離間距離をt3とする。離間距離t3が小さい場合、カバー通気口17を介した通気性が悪くなり、離間距離t3が大きい場合、水が外部から浸入することを抑制する効果が低下する。したがって、離間距離t3は、通気性および水の浸入抑制効果を勘案して適宜な距離になるように寸法構成される。
【0029】
また、
図7に示すように、カバー通気口17には、カバーベース縁15とカバー膨出縁16とを前後方向において部分的につなぐ接続部18が配設される。これにより、カバー通気口17の変形を抑制できる。そのため、手指が筐体2の内部の部品に接触して怪我することを抑制できる。
【0030】
(上方通気口)
図5および
図6に示すように、背面カバー10の上方には、言い換えると収納ケース40の上方には、複数の上方膨出部24が配設される。上方膨出部24は、カバーベース部12から、筐体2の後面に対して内方側に膨出するように設けられる。例えば、上下方向に1行であり左右方向に2列であり合計2個の上方膨出部24が配設される。ただし、上方膨出部24の配列および総数は、これらに限定されない。
【0031】
背面カバー10は、上方膨出部24の上方において、庇状の上方突出部29を有する。上方突出部29は、カバーベース部12の内面21から前面側に例えば略水平に突出するとともに、左右方向に延在する。複数の上方膨出部24に対応して、複数の上方突出部29が配設される。
【0032】
上述したカバー通気口17と同様に、背面カバー10は、上方膨出部24において、上方通気口27を有する。上方通気口27は、背面カバー10の外面11および内面21を貫通するように構成され、筐体2の内外を連通している。収納ケース40の内部で発生した熱は、筐体2の内部において上方へと向かう。上方通気口27が収納ケース40の上方に設けられていることにより、収納ケース40の内部で発生した熱を筐体2の外に排出できる。
【0033】
上方膨出部24の上端には、上方カバー膨出縁26が形成される。上方カバー膨出縁26は、例えば平面視でU字形状を有する。カバーベース部12の下端には、上方カバーベース縁25が形成される。上方カバーベース縁25は、例えば左右方向に延在する。上方カバー膨出縁26の一端と上方カバーベース縁25の一端とがつながるとともに、上方カバー膨出縁26の他端と上方カバーベース縁25の他端とがつながることにより、上方通気口27が画定される。また、上述したカバー通気口17と同様に、上方通気口27は、背面カバー10の上下方向に開口している。
【0034】
上方突出部29の先端と上方カバーベース縁25の内面21とで規定される上方突出部29の突出寸法は、上方カバー膨出縁26の外面11と上方カバーベース縁25の内面21とで規定される上方通気口17の奥行き寸法よりも大きいように寸法構成される。これにより、手指が上方通気口27から差し込まれた場合に、手指が上方突出部29に当たることで、より内方まで侵入することを抑制できる。そのため、手指が筐体2の内部の部品に接触して怪我することを抑制できる。
【0035】
図6に示すように、上方通気口27には、上方カバーベース縁25と上方カバー膨出縁26とを前後方向に部分的につなぐ上方接続部28が配設される。これにより、上方通気口27の変形を抑制できる。そのため、手指が筐体2の内部の部品に接触して怪我することを抑制できる。
【0036】
また、カバーベース部12の内面21において、上方膨出部24の下方であり且つケース収納部13の上方には、庇状の中間突出部33がさらに配設される。中間突出部33は、カバーベース部12の内面21から前面側に突出する。これにより、背面カバー10の上方通気口27を介した、収納ケース40への水の浸入を抑制できる。そのため、上方通気口27を通じて収納ケース40内に水が浸入することを抑制し、収納ケース40に収納された制御装置60が濡れて故障することを抑制できる。
【0037】
中間突出部33は、左右方向において、中央部から側部にかけて斜め下向きに延在する。これにより、上方通気口27を通じて浸入した水を収納ケース40の側方に導くことができる。そのため、ケース通気口57が配設される後面側に水が流れることを抑制できる。なお、中間突出部33の上面は、例えば、左右方向において、中央部から側部にかけて2度の角度で下方に傾斜している。また、中間突出部33は、前後方向において、後方から前方にかけて斜め下向きに延在する。これにより、中間突出部33の上面に落ちた水を、中間突出部33の上面に残留させず、収納ケース40の上面に案内できる。なお、中間突出部33の上面は、例えば、前後方向において、後方から前方にかけて1度の角度で下方に傾斜している。中間突出部33は、左右方向に並んで配置される2つの突出部19の外側端よりも外側に位置して、左右方向に長く延在する。これにより、上方通気口27を通じて浸入した水を収納ケース40の上面または側方に導き、ケース通気口57が配設される後面側に水が流れることを抑制できる。
【0038】
(収納ケース)
図9は、
図5に示した背面カバー10および収納ケース40を説明する正面図である。
図10は、
図9に示した背面カバー10および収納ケース40を説明する断面図である。
図11は、
図9に示した背面カバー10および収納ケース40を説明する斜視図である。
図12は、
図11に示した背面カバー10および収納ケース40の要部拡大断面図である。
図13は、
図10に示した収納ケース40におけるケース蓋50の正面図である。
図14は、
図13に示したケース蓋50の要部拡大斜視図である。
図15は、
図14に示したケース蓋50におけるケース通気口57を説明する断面図である。
【0039】
図9から
図12に示すように、筐体2の後面側の内部に配設される収納ケース40は、後方に膨出したケース収納部13によって、部分的に受け入れられる。収納ケース40は、ボックス42と、ケース蓋50とを有する。ボックス42は、後面端部が開口した有底矩形状を有する。
図12に示すように、ボックス42は前面側に位置するとともに、ケース蓋50は後面側に位置する。ケース蓋50は、ボックス42の開口を覆うようにボックス42の後面側に装着される。収納ケース40のケース蓋50とケース収納部13の内面21との間には、隙間が設けられる。
【0040】
図10において破線で示すように、収納ケース40の内部には、制御装置60が収納される。制御装置60は、電源基板、制御基板および/または各種の電装品などを含む。例えば、電源基板や制御基板や各種の電装品などがボックス42のボックス底面43に固設される。電源基板はモータ(図示せず)などの駆動を制御し、制御基板は一連の洗濯運転の実行を制御する機能を有する。一連の洗濯運転を実行させると、制御装置60の発熱によって収納ケース40の内部温度が上昇する。そのため、ボックス42は難燃性の樹脂材料(例えばアクリル二トル・ブタジエン・スチレンの共重合体樹脂(ABS樹脂))からなるとともに、ケース蓋50は金属材料(例えば鋼材)からなる。これにより、収納ケース40が高温になった場合の安全性が確保される。なお、ボックス42およびケース蓋50は、難燃性の材料で構成されることが望ましいが、材料は限定されない。
【0041】
図11および
図12に示すように、ボックス42の上面は、傾斜部45,46を有する。傾斜部45,46は、後面側から前面側に向けて下方に傾斜する。例えば、傾斜部45,46は、後面側に位置して緩い傾斜を有する第1傾斜45と、前面側に位置して急な傾斜を有する第2傾斜46とを有する。これにより、上方通気口27を通じて浸入した水(以下、上方浸入水とする)がボックス42の上面に流下した場合、上方浸入水が収納ケース40の前面側すなわちボックス底面43の側に導かれる。これにより、上方浸入水が、ケース通気口57(後述する)が設けられた後面側すなわちケース蓋50の方に流れることを抑制できる。
【0042】
(ケース通気口)
図13から
図15に示すように、ケース蓋50は、上下方向および左右方向に延在する略矩形板状の蓋ベース部53を有する。蓋ベース部53は、後面側に位置する蓋外面51と、前面側に位置する蓋内面52とを有する。蓋ベース部53には、複数の蓋膨出部59が配設される。例えば、上下方向に6行であり左右方向に2列または3列であり合計17個の蓋膨出部59が配設される。ただし、蓋膨出部59の配列および総数は、これらに限定されない。
【0043】
蓋膨出部59は、前膨出部54および後膨出部58を含む。前膨出部54は、蓋ベース部53が前面側に膨出することによって形成される。後膨出部58は、蓋ベース部53が後面側に膨出することによって形成される。
【0044】
ケース蓋50は、金属製であり、前膨出部54および後膨出部58は、前面側から後面側への打ち抜き加工によって形成される。これにより、打ち抜き加工によって生成されるバリが、収納ケース40の内側に突出することを抑制でき、収納ケース40内で使用されるリード線の切断リスクを抑制できる。
【0045】
図14および
図15に示すように、ケース蓋50は、蓋膨出部59において、ケース通気口57を有する。ケース通気口57は、ケース蓋50の外面11および内面21を貫通するように構成され、収納ケース40の内外を連通している。ケース通気口57は、前膨出部54の下端部に形成される前膨出縁56と、後膨出部58の上端部に形成される後膨出縁55と、によって画定される。これにより、例えば前膨出部54だけを収納ケース40の内側に膨出させる場合よりも内側への膨出量を少なくでき、収納ケース40の内部で使用されるリード線の切断リスクを抑制できる。
【0046】
(カバー通気口とケース通気口と突出部との関係)
図16は、カバー通気口17とケース通気口57と突出部19との関係を説明する断面図である。
図16において、右下にあるカバー通気口17と、カバー通気口17の近傍であり且つ左上にあるケース通気口57とに着目して説明する。洗濯機1の設置面(屋外で使用される場合には地面)や背面カバー10の外面11によって跳ね返った水(以下、跳ね返り水という)は、背面カバー10のカバー通気口17を通じて、筐体2の内部に浸入しようとする。跳ね返り水は、下方から斜め上方の内側に向けて浸入しようとする。
【0047】
突出部19は、カバー通気口17から、カバー通気口17の近傍であり且つ上方に位置するケース通気口57に至る水の浸入経路を遮るように、カバー通気口17とケース通気口57との間に配設される。これにより、跳ね返り水は、突出部19によってブロックされるので、ケース通気口57に到達することが抑制される。したがって、背面カバー10のカバー通気口17を介して、水が収納ケース40の内部に浸入することを抑制し、収納ケース40の内部に収納された制御装置60が濡れて故障することを抑制できる。
【0048】
(効果)
本実施の形態の洗濯機1によれば、以下の効果を奏することができる。
【0049】
洗濯機1は、後面側に後開口9を有する筐体2と、筐体2の後面側に配設され、制御装置60を収納する収納ケース40と、後開口9を覆う背面カバー10と、を備える。収納ケース40は、収納ケース40の内外を連通するケース通気口57を後面側に有する。背面カバー10は、筐体2の内外を連通するカバー通気口17と、カバー通気口17の上方において、背面カバー10が筐体2の後面側に取り付けられた状態で筐体2の内方を臨む、背面カバー10における内面21から、前面側に向けて突出するとともに左右方向に延在する突出部19と、を有する。
【0050】
このような構成により、背面カバー10のカバー通気口17を介した、収納ケース40への水の浸入を抑制できる。そのため、ケース通気口57を通じて収納ケース40内に水が浸入することを抑制し、収納ケース40に収納された制御装置60が濡れて故障することを抑制できる。
【0051】
本実施の形態の洗濯機1において、背面カバー10には、カバーベース部12が内側に膨出することで形成されるカバー膨出部14が配設される。そして、カバー通気口17は、カバー膨出部14に形成されるカバー膨出縁16と、カバーベース部12に形成されるカバーベース縁15とによって画定されるとともに、背面カバー10の上下方向に開口している。
【0052】
このような構成により、クランク状に屈曲した複雑な経路が形成されるので、カバー通気口17を通じた水の浸入を抑制できる。
【0053】
本実施の形態の洗濯機1において、突出部19は、カバー通気口17の奥行き寸法t1よりも大きな突出寸法t2を有する。
【0054】
このような構成により、手指がカバー通気口17から差し込まれた場合に、手指が突出部19に当たることで、より内方まで侵入することを抑制できるので、手指が筐体2の内部の部品に接触して怪我することを抑制できる。
【0055】
本実施の形態の洗濯機1において、突出部19は、カバー通気口17と、カバー通気口17の近傍であり且つ上方に位置するケース通気口57との間に配設される。
【0056】
このような構成により、跳ね返りで浸入しようとする水は、突出部19によってブロックされるので、ケース通気口57に到達することが抑制される。
【0057】
本実施の形態の洗濯機1において、背面カバー10は、収納ケース40の上方において、筐体2の内外を連通する上方通気口27をさらに有する。
【0058】
収納ケース40の内部で発生した熱は、筐体2の内部において上方に向かうが、このような構成により、収納ケース40の内部で発生した熱を筐体2の外に排出できる。
【0059】
本実施の形態の洗濯機1において、背面カバー10は、上方通気口27の下方であり且つ収納ケース40の上方において、背面カバー10の内面21から前面側に向けて突出するとともに左右方向に延在する中間突出部33をさらに有する。
【0060】
このような構成により、上方通気口27を通じて収納ケース40内に水が浸入することを抑制し、収納ケース40に収納された制御装置60が濡れて故障することを抑制できる。
【0061】
本実施の形態の洗濯機1において、中間突出部33は、左右方向において、中央部から側部にかけて斜め下向きに延在する。
【0062】
このような構成により、上方通気口27を通じて浸入した水を収納ケース40の側方に導くことができるので、ケース通気口57が配設される後面側に水が流れることを抑制できる。
【0063】
本実施の形態の洗濯機1において、中間突出部33は、前後方向において、後方から前方にかけて斜め下向きに延在する。
【0064】
このような構成により、中間突出部33の上面に落ちた水を、中間突出部33の上面に残留させず、収納ケース40の上面に案内できる。
【0065】
本実施の形態の洗濯機1において、収納ケース40の上面は、後面側から前面側に向けて下方に傾斜する傾斜部45,46を有する。
【0066】
このような構成により、上方通気口27を通じて浸入した水がボックス42の上面に流下した場合、水が収納ケース40の前面側すなわちボックス底面43の側に導かれることにより、水が後面側すなわちケース蓋50の方に流れることを抑制できる。
【0067】
本実施の形態の洗濯機1において、カバー通気口17には、カバーベース縁15とカバー膨出縁16とを前後方向において部分的につなぐ接続部18が配設される。
【0068】
このような構成により、カバー通気口17の変形を抑制できるので、手指が筐体2の内部の部品に接触して怪我することを抑制できる。
【0069】
本実施の形態の洗濯機1において、収納ケース40は、後面側において、ケース蓋50を有する。ケース蓋50には、蓋ベース部53が前面側に膨出することによって形成される前膨出部54と、蓋ベース部53が後面側に膨出することによって形成される後膨出部58とが配設される。そして、ケース通気口57は、前膨出部54に形成される前膨出縁56と、後膨出部58に形成される後膨出縁55と、によって画定される。
【0070】
このような構成により、例えば前膨出部54だけを収納ケース40の内側に膨出させる場合よりも内側への膨出量を少なくでき、収納ケース40の内部で使用されるリード線の切断リスクを抑制できる。
【0071】
本実施の形態の洗濯機1において、ケース蓋50は、金属製である。そして、ケース通気口57は、前面側から後面側への打ち抜きによって形成される。
【0072】
このような構成により、打ち抜きによって生成されるバリが、収納ケース40の内側に突出することを抑制でき、収納ケース40内で使用されるリード線の切断リスクを抑制できる。
【0073】
本実施の形態の洗濯機1において、背面カバー10は、樹脂からなる。
【0074】
このような構成により、所望とする形状を容易に形成できる。
【0075】
本実施の形態の洗濯機1において、樹脂は、再生材である。
【0076】
このような構成により、環境への負荷を低減できる。
【0077】
なお、本開示は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。
【0078】
上記の実施の形態において、突出部19および上方突出部29は、前面側に向けて略水平に突出することを例示したが、水平方向に対して斜め上方または斜め下方に延在してもよい。
【0079】
上記の実施の形態において、ケース通気口57は、収納ケース40のケース蓋50に配設されることを例示したが、ボックス底面43またはボックス42の側面に配設されてもよい。この場合、ボックス42に配設されるケース通気口57は、水が浸入しにくい位置に配設されてもよい。
【0080】
上記の実施の形態において、背面カバー10は、後方に膨出したケース収納部13を有することを例示したが、全体が平板状に延在する形状であってもよい。
【0081】
上記の実施の形態において、洗濯機1の一例として縦型洗濯機1を説明した。洗濯機1は、薬剤を用いて洗濯物を洗濯できるものであればよい。したがって、洗濯機1は、縦型洗濯機に限定されず、ドラム式洗濯機であってもよい。
【0082】
第1の態様における洗濯機は、後面側に後開口を有する筐体と、筐体の後面側に配設され、制御装置を収納する収納ケースと、後開口を覆う背面カバーと、を備え、収納ケースは、収納ケースの内外を連通するケース通気口を後面側に有し、背面カバーは、筐体の内外を連通するカバー通気口と、カバー通気口の上方において、背面カバーが筐体の後面側に取り付けられた状態で筐体の内方を臨む、背面カバーにおける内面から、前面側に向けて突出するとともに左右方向に延在する突出部と、を有する。
【0083】
第2の態様における洗濯機として、第1の態様における洗濯機において、背面カバーには、カバーベース部が内側に膨出することで形成されるカバー膨出部が配設され、カバー通気口は、カバー膨出部に形成されるカバー膨出縁と、カバーベース部に形成されるカバーベース縁とによって画定されるとともに、背面カバーの上下方向に開口している。
【0084】
第3の態様における洗濯機として、第1または第2の態様における洗濯機において、出部は、カバー通気口の奥行き寸法よりも大きな突出寸法を有する。
【0085】
第4の態様における洗濯機として、第1から第3の態様のいずれかにおける洗濯機において、突出部は、カバー通気口と、カバー通気口の近傍であり且つ上方に位置するケース通気口との間に配設される。
【0086】
第5の態様における洗濯機として、第1から第4の態様のいずれかにおける洗濯機において、背面カバーは、収納ケースの上方において、筐体の内外を連通する上方通気口をさらに有する。
【0087】
第6の態様における洗濯機として、第1から第5の態様のいずれかにおける洗濯機において、背面カバーは、上方通気口の下方であり且つ収納ケースの上方において、背面カバーの内面から前面側に向けて突出するとともに左右方向に延在する中間突出部をさらに有する。
【0088】
第7の態様における洗濯機として、第6の態様における洗濯機において、中間突出部は、左右方向において、中央部から側部にかけて斜め下向きに延在する。
【0089】
第8の態様における洗濯機として、第6または第7の態様における洗濯機において、中間突出部は、前後方向において、後方から前方にかけて斜め下向きに延在する。
【0090】
第9の態様における洗濯機として、第1から第8の態様のいずれかにおける洗濯機において、収納ケースの上面は、後面側から前面側に向けて下方に傾斜する傾斜部を有する。
【0091】
第10の態様における洗濯機として、第2から第9の態様のいずれかにおける洗濯機において、カバー通気口には、カバーベース縁とカバー膨出縁とを前後方向において部分的につなぐ接続部が配設される。
【0092】
第11の態様における洗濯機として、第1から第10の態様のいずれかにおける洗濯機において、収納ケースは、後面側において、ケース蓋を有し、ケース蓋には、蓋ベース部が前面側に膨出することによって形成される前膨出部と、蓋ベース部が後面側に膨出することによって形成される後膨出部とが配設され、ケース通気口は、前膨出部に形成される前膨出縁と、後膨出部に形成される後膨出縁と、によって画定される。
【0093】
第12の態様における洗濯機として、第11の態様における洗濯機において、ケース蓋は、金属製であり、ケース通気口は、前面側から後面側への打ち抜きによって形成される。
【0094】
第13の態様における洗濯機として、第1から第12の態様のいずれかにおける洗濯機において、背面カバーは、樹脂からなる。
【0095】
第14の態様における洗濯機として、第13の態様における洗濯機において、樹脂は、再生材である。
【0096】
本開示は、添付図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本開示の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本開示は、筐体の後開口を覆う背面カバーを有する洗濯機に適用可能である。具体的には、縦型洗濯機やドラム式洗濯機や二槽式洗濯機などに有用である。
【符号の説明】
【0098】
1…洗濯機
2…筐体
6…蓋体
6a…第1蓋体
6b…第2蓋体
7…操作パネル
9…後開口
10…背面カバー
11…外面
12…カバーベース部
13…ケース収納部
14…カバー膨出部
15…カバーベース縁
16…カバー膨出縁
17…カバー通気口
18…接続部
19…突出部
21…内面
24…上方膨出部
25…上方カバーベース縁
26…上方カバー膨出縁
27…上方通気口
28…上方接続部
29…上方突出部
33…中間突出部
40…収納ケース
42…ボックス
43…ボックス底面
45…第1傾斜(傾斜部)
46…第2傾斜(傾斜部)
50…ケース蓋
51…蓋外面
52…蓋内面
53…蓋ベース部
54…前膨出部
55…後膨出縁
56…前膨出縁
57…ケース通気口
58…後膨出部
59…蓋膨出部
60…制御装置
t1…カバー通気口の奥行き寸法
t2…突出部の突出寸法
t3…突出部およびカバー通気口の離間距離